しかしながら、このようなカプラでは、パイプをアダプタ内に挿入する際に、シールOリングがパイプに強く擦られるため磨耗による劣化が生じ易いという問題がある。また、このカプラでは、構造が複雑で部品点数も多くなるため高価につくという問題もある。さらに、このカプラでは、パイプの内周面側を用いてシールすることができないため、外周面が粗面に形成されたパイプ等を用いることができない。
本発明は、前述した問題に対処するためになされたもので、その目的は、シール部材に劣化が生じ難く長寿命化が図れるとともに、安価につく管部材や栓部材を含む取付部材を被検査物の開口部に取り付けるための取付構造を提供することである。
前述した目的を達成するため、本発明に係る取付構造の構成上の特徴は、漏れ検査が行われる被検査物が備える筒状の開口部に取付部材を取り付けるための取付構造であって、取付部材を、開口部の内周面と所定の間隔を保って開口部内に挿入され、外周面における先端部に開口部の内周面に向かって突出するシール受け部が形成され、外周面におけるシール受け部の後部側に開口部の端面に当接できる挿入部材制止部が形成された挿入部材と、開口部と挿入部との間に円周に沿って設置される可撓性を備えたリング状のシール部材と、開口部と挿入部材との間に挿入され、シール部材をシール受け部に押し付けて変形させることによって開口部の内周面と挿入部材の外周面とに圧接させて、開口部と挿入部材との間を密閉する押圧部材とで構成し、挿入部材をシール部材および押圧部材とともに開口部内に挿入して挿入部材制止部を開口部の端面に当接させることにより挿入部材を停止させたのちに、押圧部材を軸方向に押して移動させることによってシール部材を前記シール受け部に押し付けるようにしたことにある。
前記のように構成した本発明の取付構造では、挿入部材の外周面にシール部材と押圧部材とを取り付け、その状態の挿入部材を被検査物の開口部内に挿入し、さらに、押圧部材を開口部の内部側に押し込むことによって、シール部材で被検査物の開口部と挿入部材との間を密閉することができる。すなわち、シール部材は、押圧部材の押圧によってシール受け部に押し付けられることによって変形し、開口部の内周面と挿入部材の外周面とに密着することにより開口部と挿入部材との間を密閉する。
また、挿入部材に挿入部材制止部を設けて、挿入部材が開口部の内部に所定量入ったときに、挿入部材制止部が開口部の端面に当接して挿入部材がそれ以上開口部の内部側に進入することができないようにしている。したがって、シール部材の太さを、開口部の内周面と挿入部材の外周面との間に抵抗なく、または抵抗が少ない状態で挿入できる大きさにして、シール部材が押圧部によって押圧されたときに変形して、開口部の内周面、挿入部材の外周面、シール受け部および押圧部に密接するようにすることができる。これによって、シール部材に加わる摩擦が低減されて、シール部材の劣化が防止されシール部材および取付構造の長寿命化が図れる。
また、被検査物の開口部に取付部材を取り付けるための操作が、シール部材および押圧部材を取り付けた状態の挿入部材を開口部内に挿入し、挿入部材制止部を開口部の端面に当接させた状態で押圧部材を移動させるだけで済むため簡単になる。なお、挿入部材制止部が開口部の端面に当接するときの挿入部材の先端部の位置は、シール受け部および押圧部材の先端部の双方がシール部材に接触してはいるが、シール部材に変形を生じさせない位置またはその近傍になっていることが好ましい。
また、本発明に係る取付構造の他の構成上の特徴は、漏れ検査が行われる被検査物が備える筒状の開口部に取付部材を取り付けるための取付構造であって、開口部の端面の近傍に基準位置制止部を設けるとともに、取付部材を、開口部の内周面と所定の間隔を保って開口部内に挿入され、外周面における先端部に開口部の内周面に向かって突出するシール受け部が形成され、外周面におけるシール受け部の後部側に基準位置制止部に当接できる挿入部材制止部が形成された挿入部材と、開口部と挿入部材との間に円周に沿って設置される可撓性を備えたリング状のシール部材と、開口部と挿入部材との間に挿入され、シール部材をシール受け部に押し付けて変形させることによって開口部の内周面と挿入部材の外周面とに圧接させて、開口部と挿入部材との間を密閉する押圧部材とで構成し、挿入部材をシール部材および押圧部材とともに開口部内に挿入して挿入部材制止部を基準位置制止部に当接させることにより挿入部材を停止させたのちに、押圧部材を軸方向に押して移動させることによってシール部材をシール受け部に押し付けるようにしたことにある。
前記のように構成した取付構造では、挿入部材制止部を直接被検査物の開口部端面に当接するのではなく、開口部の近傍に別途基準位置制止部を設けて、この基準位置制止部に挿入部材制止部を当接させることにより、挿入部材がそれ以上開口部の内部側に進入することができないようにしている。この基準位置制止部は、例えば、被検査物が設置される設置台や、被検査物が収容されるチャンバー等一定の位置に設ける。これによって、複数個の被検査物を連続して検査する際に、検査後の被検査物と未検査の被検査物とを取り換えても常に一定の位置になる。また、これによると、開口部に挿入部材制止部が当接することがなくなるため、開口部に傷がつくことを防止できる。
また、本発明に係る取付部材のさらに他の構成上の特徴は、挿入部材を、開口部を介して被検査物内に連通し被検査物内に検査用のガスを供給するための管部材で構成したことにある。これによると、検査用のガスを外部に漏らすことなく検査用ガスの供給元から被検査物に供給することができる。
また、本発明に係る取付部材のさらに他の構成上の特徴は、挿入部材を、開口部を閉塞するための栓部材で構成したことにある。この場合の開口部は、被検査物が複数の開口部を備えている場合に、検査用のガスを供給するための開口部以外の閉塞する必要のある開口部であり、これによって、検査用のガスを供給するための開口部以外の開口部を良好な状態で閉塞することができる。
また、本発明に係る取付部材のさらに他の構成上の特徴は、挿入部材制止部と押圧部材との間に、挿入部材に対して押圧部材を後退させるための付勢部材を設けて、押圧部材がシール部材をシール受け部に対して押し付ける力が解除されたときに、付勢部材の付勢により押圧部材が後退するようにしたことにある。これによると、漏れ検査が終了して、押圧部材によるシール部材の押圧が解除されると同時に、挿入部材が後退するようになるため、シール部材に不要な押圧力を加えることがなくなる。これによって、シール部材の劣化がさらに防止されシール部材の長寿命化が図れる。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を図面を用いて説明する。図1は同実施形態に係る取付構造20を備えた漏れ検査装置10の概略構成図を示している。この漏れ検査装置10は、本発明の被検査物としてのワーク11を収容するチャンバー12と、チャンバー12内に設置されたワーク11の内部に漏れ検査用のヘリウムガスを供給するヘリウムガス供給部13と、ワーク11の内部からチャンバー12内の空間部に漏れたヘリウムガスを検出するためのヘリウム検出装置14とを備えている。
さらに、この漏れ検査装置10は、チャンバー12内の空気を抜いてチャンバー12内を減圧するチャンバー真空ポンプ15、ワーク11内の空気を抜いてワーク11内を減圧するワーク真空ポンプ16、ワーク11内の検査後のヘリウムガスを外部に排出するソレノイドバルブ17aおよび検査後のチャンバー12内に外気を取り込むためのソレノイドバルブ17bとを備えている。ワーク11は、例えば、自動車の燃料タンクのように液漏れが生じないことを要求されるもので注油口等の円筒状の開口部11aを備えたもので構成する。
また、チャンバー12は、ワーク11を設置するための上下移動が可能な台状の蓋部12aと、下端周縁部にシール部材18aが設置され、蓋部12aが上昇したときに、蓋部12aとで内部に密閉空間を形成する容器部12bとからなる気密性を備えた容器で構成されている。そして、蓋部12aにおけるヘリウムガス供給部13の設置場所に近い部分には、チャンバー12の内部から外部に貫通する接続用配管21が設けられている。この接続用配管21は、取付構造20の一部を構成するもので、後述する所定の部材を介してワーク11の開口部11aに接続可能になっている。また、この接続用配管21は、上端部を蓋部12aの上方に突出させ、下端部をチャンバー12の下方に延ばしている。
そして、接続用配管21の下端部は、三方に分岐して、そのうちの一つの分岐部はソレノイドバルブ13aを介してヘリウムガス供給部13に接続されている。また、三方に分岐した接続用配管21の他の二つの分岐部うちの一つの分岐部はソレノイドバルブ16aおよび排気管16bを介してワーク真空ポンプ16に接続され、残りの分岐部は、検査後のヘリウムガスを排出するためのソレノイドバルブ17aに接続されている。そして、各ソレノイドバルブ13a,16a,17aをそれぞれ開閉作動させることにより、接続用配管21と、ヘリウムガス供給部13、ワーク真空ポンプ16および外部との間をそれぞれ連通させたり遮断させたりすることができる。
すなわち、ソレノイドバルブ16a,17aを閉じ、ソレノイドバルブ13aを開けることにより、接続用配管21や所定の部材を介してヘリウムガス供給部13からワーク11内にヘリウムガスを供給することができ、ソレノイドバルブ13a,17aを閉じ、ソレノイドバルブ16aを開けた状態でワーク真空ポンプ16を作動させることにより、ワーク11内の空気を外部に放出してワーク11内を減圧することができる。さらに、ソレノイドバルブ13a,16aを閉じ、ソレノイドバルブ17aを開けることにより、ワーク11内の使用したヘリウムガスを外部に排出することができる。
また、チャンバー12の容器部12bの一方の側面における下部側部分からは、チャンバー12をヘリウム検出装置14に接続するための検査ガス用配管14aが延びており、この検査ガス用配管14aには、センシングバルブ14bが設けられている。そして、センシングバルブ14bを開閉作動させることによりチャンバー12内とヘリウム検出装置14との間を連通させたり遮断させたりすることができる。ヘリウム検出装置14は、分析管やターボ分子ポンプ等を備えた装置で構成され、チャンバー12から送られる気体中のヘリウムガスを検出することによりワーク11に漏れが生じているか否かの判定を行う。
また、容器部12bの一方の側面における上部側部分には、チャンバー12内に外部の空気を導入するためのソレノイドバルブ17bが設けられている。このソレノイドバルブ17bを開けることにより、検査後の減圧されたチャンバー12内に外部の空気を導入することができる。また、容器部12bの他方の側面における略中央からは、チャンバー12をチャンバー真空ポンプ15に接続するための排気管15aが延びており、この排気管15aには、ソレノイドバルブ15bが設けられている。
そして、ソレノイドバルブ15bを開閉作動させることによりチャンバー12とチャンバー真空ポンプ15との間を連通させたり遮断させたりすることができる。チャンバー真空ポンプ15は、チャンバー12内の空気を抜いてチャンバー12内を減圧することにより、ヘリウム検出装置14によるヘリウムガスの検出がより精度よく行えるようにする。また、容器部12bの他方の側面におけるやや上部側部分には、内周面にシール部材18bが設けられた穴部が形成されており、この穴部に容器部12bの外部から内部に延びる棒状の押圧部材駆動部22が摺動自在に設けられている。この押圧部材駆動部22の後端部は押圧部材駆動シリンダ23に連結されており、押圧部材駆動部22は、押圧部材駆動シリンダ23の作動によってチャンバー12内で水平方向に進退する。
取付構造20は、ワーク11の開口部11aと接続用配管21とを気密的に接続するためのもので、後端側の内部に接続用配管21の先端部を挿入させた状態で接続用配管21に連結され、図2に示したように、先端側が開口部11aの内部に挿入可能になった管状連結部材24と、シール部材25と、押圧部材26とを備えている。管状連結部材24は、接続用配管21の先端部に一体的に連結され、接続用配管21とともに本発明の挿入部材を構成するもので、円筒状の連結部本体24aと、連結部本体24aの先端外周面に円周に沿って形成されたフランジ状のシール受け部24bと、連結部本体24aの外周面におけるシール受け部24bよりもやや後方側部分に円周に沿って形成された本発明の挿入部材制止部としての複数の管状連結部材制止部24cとで構成されている。
また、シール受け部24bの外径は、開口部11aの内径よりもやや小さく設定されており、管状連結部材24の先端側部分を開口部11a内に挿入したときに、シール受け部24bの外周面と開口部11aの内周面との間に所定幅の隙間が生じるように設定されている。このため、管状連結部材24の先端側部分を開口部11a内に挿入したときに、シール受け部24bの外周面と開口部11aの内周面との間に僅かな隙間が生じて管状連結部材24と開口部11aとの間に大きな摩擦が生じないようになっている。
また、管状連結部材制止部24cの外径(先端部を結ぶ円周の直径)は、開口部11aの内径よりも大きく設定されており、管状連結部材24を開口部11a内に所定長さ分挿入したときに、管状連結部材制止部24cは、開口部11aの端面に当接して、管状連結部材24がそれ以上開口部11a内に入らないように制止する。シール部材25は、管状連結部材24の先端側外周面と開口部11aの内周面との間の隙間に設置することのできる可撓性を備えたOリングで構成されており、力を加えることによって変形可能になっている。
また、シール部材25の断面の直径は、管状連結部材24における連結部本体24aの外周面と開口部11aの内周面との間の隙間の幅と同じかやや小さく設定されて、シール部材25を管状連結部材24とともに開口部11a内に挿入する際に、シール部材25に大きな摩擦力がかからないようにしている。押圧部材26は、管状連結部材24の外周面と開口部11aの内周面との間の隙間に挿入可能な略円筒状のシール押さえ部26aと、シール押さえ部26aの外周面における略中央から外周側に向かって突出する複数の押圧部26bと、シール押さえ部26aの外周面における後端部から外周側に向って突出する複数のシール解放用突部26cとで構成されている。
すなわち、シール押さえ部26aの後部から中央部よりもやや前部側にかけての部分には、図3に示したように、シール押さえ部26aの後端部から前部側に向かって延びる複数の切欠ガイド部26dが円周方向に一定間隔を保って形成されている。そして、シール押さえ部26aの外周面における切欠ガイド部26dが設けられていない部分に押圧部26bおよびシール解放用突部26cが間隔を保って形成されている。そして、複数の押圧部26bとシール解放用突部26cとのうちの上方に位置する所定の押圧部26bとシール解放用突部26cとの間に、押圧部材駆動部22の先端部が延びている。
この押圧部材駆動部22は、後端部が押圧部材駆動シリンダ23に連結されて、チャンバー12の内部に真っ直ぐに延びる押圧部本体22aと、押圧部本体22aの先端から下方に屈曲して下端部が押圧部26bとシール解放用突部26cとの間に延びる押圧片22bとで構成されている。この押圧部材駆動部22は、押圧部材駆動シリンダ23の作動によって移動し、前方に移動するときに押圧片22bで押圧部26bを押して押圧部材26を前方に移動させる。そして、押圧部材駆動部22は、後方に移動するときに押圧片22bで、シール解放用突部26cを押して押圧部材26を後方に移動させる。
これらの管状連結部材24、シール部材25および押圧部材26の各部材は、図3に示したように、管状連結部材24の外周面におけるシール受け部24bの後部側にシール部材25を取り付けるとともに、管状連結部材24の外周面におけるシール部材25の後部側に、切欠ガイド部26d内に管状連結部材制止部24cを位置させた状態で押圧部材26を取り付けることにより組み付けることができる。そして、押圧部材26の押圧部26b近傍に押圧部材駆動部22の押圧片22bを配置するとともに、図3に示した状態の管状連結部材24等を、開口部11a内に差し込むことにより、図2の状態になる。
その状態で、押圧部材駆動シリンダ23を作動させることにより、押圧部材駆動部22が押圧部材26を前方に移動させ、押圧部材26のシール押さえ部26aがシール部材25をシール受け部24bに押し付けて変形させる。これによって、図4に示したように、シール部材25は、周囲に位置する管状連結部材24の外周面、開口部11aの内周面、シール受け部24bの内面(後面)およびシール押さえ部26aの先端面のすべてに圧接して、開口部11aと管状連結部材24との間を密閉する。
このため、管状連結部材24と開口部11aとの間は密閉されるとともに、互いに圧接して、管状連結部材24は開口部11a内に固定される。これによって、接続用配管21は、管状連結部材24を介してワーク11に連結される。また、その状態から押圧部材駆動シリンダ23を作動させて押圧部材駆動部22を後方に移動させることにより、押圧部材26を後方に移動させて管状連結部材24を開口部11aから外すことができる。
なお、シール受け部24bおよび管状連結部材制止部24cを含む管状連結部材24、シール部材25および押圧部材26で本発明の取付部材が構成される。また、チャンバー12の蓋部12aの開閉や漏れ検査装置10が備える各装置の作動は制御装置(図示せず)の制御により自動的に行われる。また、ワーク11の設置や取り外しは、蓋部12aを下降させた状態で手作業によって行われるが、ロボットを用いて行うこともできる。
つぎに、前述したように構成された漏れ検査装置10を用いて、ワーク11の漏れ検査を行う場合について説明する。まず、チャンバー12の蓋部12aを下降させて蓋部12a上の所定部分にワーク11を設置するとともに、ワーク11の開口部11aに、接続用配管21の先端部に連結された管状連結部材24等からなる取付部材を取り付ける。つぎに、蓋部12aを上昇させて、チャンバー12内を気密状態にする。そして、押圧部材駆動シリンダ23を作動させて管状連結部材24等からなる取付部材をワーク11の開口部11aに接続するとともに、開口部11aと管状連結部材24との間をシールする。
つぎに、ソレノイドバルブ17bおよびセンシングバルブ14bを閉じ、ソレノイドバルブ15bを開けた状態にし、その状態でチャンバー真空ポンプ15を作動させて、チャンバー12内の空気を吸引してチャンバー12内が真空に近い状態になるまで排気する。さらに、ソレノイドバルブ13a,17aを閉じ、ソレノイドバルブ16aを開けた状態で、ワーク真空ポンプ16を作動させて、ワーク11内の空気を吸引してワーク11内が真空に近い状態になるまで排気する。つぎに、ソレノイドバルブ16aを閉じて、ソレノイドバルブ13aを開ける。これによって、ヘリウムガス供給部13からヘリウムガスが、接続用配管21および開口部11aを介して、ワーク11内に送られる封入される。
そして、チャンバー12内が所定の圧力に到達した段階で、ソレノイドバルブ15bを閉じて、センシングバルブ14bを開ける。さらに、ワーク11内に規定圧力までヘリウムガスが封入されたのち、ソレノイドバルブ13aを閉じる。この際、ワーク11に、傷や欠陥による穴や割れ等があれば、ワーク11内に送られたヘリウムガスの一部は、ワーク11の外部に漏れ出てチャンバー12の空間内に入る。そして、チャンバー12内の気体は、検査ガス用配管14aを通ってヘリウム検出装置14に送られ、ヘリウム検出装置14は、送られた気体中のヘリウムガスを検出する。
また、ワーク11に傷等の欠陥がなければヘリウムガスはワーク11内に残った状態になる。このため、ヘリウム検出装置14は、チャンバー12から送られる気体中のヘリウムガスの有無や量を検出し、検出値が所定の設定値以上であれば、ワーク11に漏れがあり、検出値が設定値以下であれば、ワーク11に漏れはないと判定する。
つぎに、ワーク11の漏れ検査の判定が終了すると、センシングバルブ14bを閉じて、ヘリウム検出装置14によるヘリウムガスの検出を停止させる。そして、ソレノイドバルブ17aを開けて、ワーク11内のヘリウムガスを外部に排出したのちに、ソレノイドバルブ17bを開けてチャンバー12内に大気を導入する。ついで、押圧部材駆動シリンダ23を作動させて、押圧部材駆動部22を後退させることにより、管状連結部材24等からなる取付部材をワーク11の開口部11aから引き離す。そして、チャンバー12の蓋部12aを下降させて蓋部12a上からワーク11を取り外す。そして、検査するワーク11が複数個ある場合には、未検査のワーク11を前述した方法でチャンバー12内に設置して、前述した検査を再度行う。
以上のように、本実施形態に係る取付構造20では、シール部材25と押圧部材26を取り付けた状態の管状連結部材24を、ワーク11の開口部11a内に挿入していくと、シール部材25に圧力が加わる前に、管状連結部材制止部24cが、開口部11aの端面に当接して、管状連結部材24がそれ以上開口部11aの内部側に進入できなくなる。そして、その状態で、押圧部材駆動シリンダ23を作動させて押圧部材駆動部22で押圧部材26を押し込むことによって、シール部材25をシール受け部24bに押し付けて変形させることができる。
これによって、シール部材25は開口部11aの内周面および管状連結部材24の外周面に密着して開口部11aと管状連結部材24との間を密閉する。また、管状連結部材24等からなる取付部材をワーク11の開口部11aから取り外す際には、押圧部材駆動部22で押圧部材26を挿入方向と反対の方向(後方)に移動させることにより、押圧部材26によるシール部材25への押圧力を解除し、シール部材25のシール受け部24b等に対する密着状態を解消することができる。
そして、管状連結部材24等をワーク11の開口部11aから離脱させることにより、管状連結部材24等からなる取付部材のワーク11の開口部11aからの取り外しを完了することができる。なお、管状連結部材24等からなる取付部材をワーク11の開口部11aに装着したり脱着したりする際に、ワーク11に対して管状連結部材24等を移動させることに代えて、管状連結部材24等を固定した状態にして、管状連結部材24等に対してワーク11を移動させることもできる。
このように構成した取付構造20によると、管状連結部材24等を、ワーク11の開口部11a内に挿入する際には、シール部材25に殆ど摩擦がかからず、シール部材25にかかる力は、管状連結部材24等の進入が停止したのちに生じる押圧部材26による押圧力だけであるため、シール部材25の磨耗劣化が防止され長寿命化が図れる。また、開口部11aに管状連結部材24を接続するための操作が、シール部材25および押圧部材26を取り付けた状態の管状連結部材24を開口部11a内に挿入し、管状連結部材制止部24cを開口部11aの端面に当接させた状態で押圧部材26を挿入方向に少し移動させるだけで済むため簡単になる。そして、この簡単な操作でシール部材25を管状連結部材24および開口部11aに密着状態にできる。
さらに、管状連結部材24等を、ワーク11の開口部11aから取り外す際には、挿入方向と反対の方向(後方)に押圧部材26を移動させるだけで、押圧部材26によるシール部材25への押圧力を解除し、シール部材25のシール受け部24b等に対する密着状態を解消することができる。つまり、シール部材25による密着状態化と密着状態解消の両方が、簡単な操作で実現できる。また、本発明に係る取付構造20を備えた漏れ検査装置10によると、検査用のヘリウムガスを外部に漏らすことなくワーク11に供給することができるため精度のよい検査を行える。さらに、この取付構造20によると構造が簡単になるため安価につく。
(第2実施形態)
図5および図6は、本発明の第2実施形態に係る取付構造30を示している。この取付構造30では、管状連結部材34の外周面に形成された本発明の挿入部材制止部としての管状連結部材制止部34cが、複数個でなく管状連結部材34の円周に沿って形成されたフランジ状の1個のもので構成されている。そして、その管状連結部材制止部34cに、管状連結部材制止部34cを前後に貫通する複数の挿通孔34aが円周に沿って一定間隔を保って形成されている。
また、押圧部材36は、管状連結部材34の外周面における管状連結部材制止部34cの前部側に配置された軸方向の長さが短い円筒状のシール押さえ部36aと、管状連結部材34の外周面における軸方向の略中央部に円周に沿って配置されたフランジ状の押圧部36bと、管状連結部材34の挿通孔34aを挿通した状態で平行に配置されシール押さえ部36aと押圧部36bとを連結する連結棒36cとを備えている。
さらに、押圧部材36の後部側部分は、円筒状に形成され、その後端部外周にフランジ状のシール解放用突部36dが形成されている。この取付構造30のそれ以外の部分の構成については、前述した実施形態に係る取付構造20と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。また、この取付構造30を備えた漏れ検査装置も前述した漏れ検査装置10と同一である。
これによっても、開口部11aに管状連結部材34等からなる取付部材を取り付けたときには、図6に示したように、シール部材25は開口部11aの内周面および管状連結部材34の外周面に密着して開口部11aと管状連結部材34との間を密閉する。また、このように構成された取付構造30によれば、押圧部材36を管状連結部材34に対して前後方向に移動させる際に、複数の連結棒36cがそれぞれ挿通孔34a内を移動するため、挿通孔34aがガイドとなって押圧部材36は軸周り方向にずれることなく軸方向に正確に移動するようになる。
このため、シール部材25の全体に均一な圧力を加えることができ、シール部材25によって開口部11aと管状連結部材34とをより精度よく密閉することができる。また、この取付構造30を備えた漏れ検査装置によると、さらに、精度のよい漏れ検査が行えるようになる。この取付構造30および取付構造30を備えた漏れ検査装置のそれ以外の作用効果については、前述した実施形態に係る取付構造20および漏れ検査装置10と同様である。
(第3実施形態)
図7は、本発明の第3実施形態に係る取付構造40を示している。この取付構造40は、前述したチャンバー12と略同形のチャンバーに設けられワーク11の開口部11aに接続されるものであるが、この取付構造40が設けられるチャンバー(図示せず)内におけるワーク11が設置される蓋部に本発明の基準位置制止部としての制止片41が設けられている。この制止片41は、蓋部に取り付けられた板状の基部41aと、基部41aに対して直交して配置された板状の当接部41bとからなるL形の部材で構成されている。
そして、この制止片41は、蓋部にワーク11を設置したときに、ワーク11の開口部11aの端面近傍に当接部41bが位置するようにして蓋部の上面に設置されている。この取付構造40のそれ以外の部分の構成については、前述した実施形態に係る取付構造20と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。また、この取付構造40を備えた漏れ検査装置の取付構造40以外の部分の構成は前述した漏れ検査装置10と同一である。
この構成において、ワーク11の開口部11aに、管状連結部材24を接続させる場合には、まず、シール部材25および押圧部材26が取り付けられた状態の管状連結部材24を、開口部11a内に差し込む。この場合、開口部11a内への管状連結部材24の差し込み量が、図2に示した状態よりもまだ短い(管状連結部材制止部24cが開口部11aに当接していない状態)ときに、管状連結部材制止部24cが、制止片41の当接部41bに当接して管状連結部材24は、その位置に停止する。
その状態で、押圧部材駆動シリンダ23を作動させることにより、押圧部材駆動部22を介して押圧部材26を前方に移動させ、押圧部材26のシール押さえ部26aでシール部材25をシール受け部24bに押し付けて変形させる。これによって、シール部材25は、管状連結部材24の外周面、開口部11aの内周面、シール受け部24bの内面およびシール押さえ部26aの先端面に圧接して、開口部11aと管状連結部材24との間を密閉する。また、管状連結部材24と開口部11aとは、互いに圧接して固定される。
このように構成された取付構造40では、管状連結部材制止部24cが、制止片41の当接部41bに当接することにより管状連結部材24が停止するようにしている。このため、管状連結部材制止部24cがワーク11の開口部11aに当接することがなくなり、開口部11aに傷がつくことを防止できる。この取付構造40および取付構造40を備えた漏れ検査装置のそれ以外の作用効果については、前述した実施形態に係る取付構造20および漏れ検査装置10と同様である。また、第3実施形態に係る取付構造40の変形例として、本発明の基準位置制止部としての制止片41を、第2実施形態の取付構造30に設けることもできる。
(第4実施形態)
図8は、本発明の第4実施形態に係る取付構造50を示している。この取付構造50では、管状連結部材54の外周面に形成された管状連結部材制止部54cの後面と、押圧部材56の押圧部56bの前面との間に、本発明の付勢部材としてのコイルばね57が圧縮された状態で設置されている。このコイルばね57は、管状連結部材制止部54cがワーク11の開口部11aに当接し、まだ押圧部材56が前方に圧入されていないときに、無負荷に近い状態になるようにして設置されている。
したがって、押圧部材駆動シリンダ23を作動させることにより、押圧部材駆動部52を介して押圧部材56を前方に移動させる際に、押圧部材56は、コイルばね57の弾性力に抗して移動する。また、押圧部材56を前方に付勢する力を解除すると、押圧部材56および押圧部材駆動部52は、コイルばね57の弾性力によって、僅かに後退する。この取付構造50のそれ以外の部分の構成については、前述した実施形態に係る取付構造20と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。また、この取付構造50を備えた漏れ検査装置も前述した漏れ検査装置10と同一である。
このように構成したため、漏れ検査が終了して、押圧部材56によるシール部材25の押圧が解除されると同時に、押圧部材56が確実に後退するため、シール部材25に不要な押圧力を解除時に加えて摩擦する虞がなくなる。これによって、シール部材25の押圧による劣化が防止されシール部材25の長寿命化が図れる。この取付構造50および取付構造50を備えた漏れ検査装置のそれ以外の作用効果については、前述した実施形態に係る取付構造20および漏れ検査装置10と同様である。また、第4実施形態に係る取付構造50の変形例として、本発明の付勢部材としてのコイルばね57を、第2実施形態の取付構造30または第3実施形態の取付構造40に設けることもできる。
(第5実施形態)
図9は、本発明の第5実施形態に係る取付構造60を備えた漏れ検査装置10aの概略構成図を示している。この漏れ検査装置10aは、2つの開口部61a,61bを備えたワーク61の漏れ検査を行うもので、チャンバー62の容器部62bの一方の側面における略中央には、内周面にシール部材18cが設けられた穴部が形成されており、この穴部に容器部62bの外部から内部に延びる棒状の押圧部材駆動部63が摺動自在に設けられている。この押圧部材駆動部63の後端部は押圧部材駆動シリンダ64に連結されており、押圧部材駆動部63は、押圧部材駆動シリンダ64の作動によってチャンバー62内で水平方向に進退する。
そして、この取付構造60では、本発明に係る被検査物の開口部が、ワーク61が備える検査用のヘリウムガスを供給するための開口部61aでなく、検査時に閉塞される開口部61bで構成され、本発明に係る挿入部材が、管状連結部材でなく円柱状の栓部材65で構成されている。したがって、栓部材65の後端部には、配管等は接続されてなく、接続用配管21aは開口部61aに取付構造20aを介して接続されている。栓部材65は、図10に示したように、略円柱体で構成され、外周面における前端部に、シール受け部24bと同形のシール受け部65aが形成され、外周面における中央部に管状連結部材制止部24cと同形の複数の栓部材制止部65bが形成されている。
また、押圧部材66は、蓋部62aの上面に設けられた支持部67に移動可能な状態で取り付けられている。支持部67は、蓋部62aの上面から垂直方向に延びる板状の垂直部67aと、垂直部67aを貫通するようにして垂直部67aから水平方向に延びる長さの短い円筒部67bとで構成されている。そして、押圧部材66は円筒部67b内を移動可能な状態で支持部67に取り付けられている。この押圧部材66は、前部側が栓部材65を移動可能な状態にして内部に収容できる略円筒状に形成され、後部側が略円柱状に形成されている。
また、押圧部材66の前部側には、シール押さえ部66aおよびフランジ状のシール解放用突部66bが形成されており、シール押さえ部66aとシール解放用突部66bとの間に、栓部材制止部65bを軸方向に移動可能な状態で貫通させる摺動孔66cが形成されている。そして、押圧部材66の外周面における後端部にはフランジ状の押圧部66dが形成され、この押圧部66dと、支持部67の垂直部67aとの間に押圧部材66を後方に付勢するためのコイルばね68が設置されている。また、栓部材65の栓部材制止部65bと、押圧部材66のシール解放用突部66bとの間に押圧部材66を後方に付勢するためのコイルばね69が設置されている。
この取付構造60のそれ以外の部分の構成については、前述した実施形態に係る取付構造20と同一である。また、取付構造60を備えた漏れ検査装置10aの取付構造60以外の部分の構成については前述した漏れ検査装置10と同一である。したがって、同一部分に同一符号を記して説明は省略する。また、これによると、検査用のヘリウムガスを供給するための開口部61a以外の開口部61bを良好な状態で閉塞することができる。また、第5実施形態に係る取付構造60の変形例として、本発明の挿入部材としての栓部材65を、第2〜第4実施形態の取付構造30,40,50の管状連結部材24,34,54に代えて用いることもできる。この場合、複数の開口部を備えたワークが被検査物として用いられる。
また、本発明に係る取付構造は、前述した各実施形態に限定するものでなく、適宜変更して実施することが可能である。例えば、漏れ検査用のガスとしては、ヘリウムガスに代えて、水素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アルゴンガス等の各種のガスを用いることができる。この場合、それぞれの使用するガスに応じた検出装置を用いる。また、ワークとしては、燃料タンク以外のものでもよく、コンプレッサー、ポンプ、パイプ、チューブ等漏れ検査が必要なものであればよい。さらに、取付構造を構成する各部分の構造についても本発明の技術的範囲内で適宜変更することができる。
11,61…ワーク、11a,61a,61b…開口部、20,20a,30,40,50,60…取付構造、24,34,54…管状連結部材、24b,65a…シール受け部、24c,34c,54c…管状連結部材制止部、25…シール部材、26,36,56,66…押圧部材、41…制止片、65…栓部材、65b…栓部材制止部。