JP4977203B2 - ホログラム層を有するシュリンクラベルおよびラベル付き容器 - Google Patents

ホログラム層を有するシュリンクラベルおよびラベル付き容器 Download PDF

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Description

本発明は、ホログラム層を有するシュリンクラベルに関する。更に詳しくは、比較的変形量の大きな収縮処理を施した際にも、鮮明なホログラム表現が可能なシュリンクラベルに関する。また、該シュリンクラベルを装着してなるラベル付き容器に関する。
現在、意匠性の付与や偽造防止の目的などで、ホログラムを有するラベル(ホログラムラベル)が用いられている。従来、ホログラムラベルとしては、紙や非収縮性のプラスチックフィルムにホログラム箔を貼り合わせ、または転写した巻き付けラベルやタックラベルが一般的であった。しかし、これらのラベルでは、凹凸のある複雑な形状の被着体(PETボトルなど)には、形状にそって密着させることが困難であるという課題を有していた。
一方、熱収縮性の基材を用い、被着体とのフィット性を向上させたホログラムラベルも知られている(特許文献1〜3)。しかし、これらのラベルも粘着剤層を有する巻き付けラベルであり、乾電池などの上下端の形状にフィットするように収縮変形するに過ぎず、ホログラムが設けられた部分である胴部はほとんど収縮しないものであった。
即ち、複雑なボトル形状に沿って装着できるようなシュリンクフィルム(特に筒状シュリンクラベル)にホログラムを施したホログラムラベルは未だ得られていないのが現状である。
特開2003−177672号公報 特開2003−330351号公報 特開2004−230571号公報
本発明者らは、これら従来のホログラムラベルを、ボトル形状に追従させる用途である、収縮量の大きな、いわゆる筒状シュリンクラベルなどに適用することを試みたところ、ホログラム層が収縮に追従せず、収縮白化するなどの問題が生じることがわかった。一方、従来の筒状シュリンクラベルに用いられている、収縮加工追従性の良好なインキ(例えば、国際公開第2007/007803号参照)をホログラムラベルに用いた場合には、収縮加工によりホログラムが消失する問題が生じることがわかった。
即ち、本発明の目的は、比較的収縮量の大きな筒状シュリンクラベルに用いた場合にも、ホログラムを表現でき、なおかつ優れた収縮追従性を有するシュリンクラベルを提供することにある。また、該シュリンクラベルを装着した、ホログラムを有するラベル付き容器を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、ホログラム層を、特定の樹脂組成からなる樹脂組成物から形成することにより、比較的変形量の大きな収縮加工に対しても追従性が良好で、なおかつ収縮加工後にも明瞭なホログラムを表現できるシュリンクラベルを得ることができることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、シュリンクフィルムの少なくとも片面に、アクリル系モノマーと2官能以上のウレタンアクリレートの合計量に対して、アクリル系モノマー45〜95重量%及び2官能以上のウレタンアクリレート5〜55重量%を含み、且つ前記アクリル系モノマーと2官能以上のウレタンアクリレートの合計量が活性エネルギー線ラジカル硬化性樹脂組成物全量に対して60〜99重量%である活性エネルギー線ラジカル硬化性樹脂組成物を硬化させて形成されたホログラム層を有することを特徴とするシュリンクラベルを提供する。
さらに、本発明は、前記シュリンクフィルムの主配向方向の熱収縮率(70℃温水中、10秒)が10〜30%、主配向方向の熱収縮率(80℃温水中、10秒)が30〜70%である前記のシュリンクラベルを提供する。
さらに、本発明は、シュリンクラベルの主配向方向の収縮速度(80℃、温水中)が1〜20%/0.2秒である前記のシュリンクラベルを提供する。
さらに、本発明は、シュリンクラベルの主配向方向の収縮応力(80℃温水に試験片の80%を10秒間浸漬した場合の収縮応力)が1.0〜6.0N/mm2である前記のシュリンクラベルを提供する。
さらに、本発明は、筒状シュリンクラベルである前記のシュリンクラベルを提供する。
さらに、本発明は、前記のシュリンクラベルを、容器に装着し、収縮、密着させてなるラベル付き容器を提供する。
本発明のシュリンクラベルは、比較的大きな収縮量の収縮加工を行った際にも、ホログラム層の収縮白化がなく、またホログラムの消失もない。このため、複雑な形状の被着体に対しても、優れた形状追従性と明瞭なホログラム表現を両立しうる。従って、PETボトルなどに用いられるラベルとして特に有用である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明のシュリンクラベルは、シュリンクフィルムの少なくとも片面にホログラム層を有する積層構造を有する。ただし、上記ホログラム層はシュリンクラベル全面に設けられている必要はなく、一部にシュリンクフィルム/ホログラム層の積層構造を有していればよい。なお、上記シュリンクフィルムとホログラム層は他の層を介さず直接積層されていてもよいし、接着層、アンカーコート層等の他の層を介して積層されていてもよい。また、上記各層は、いずれも単層であってもよいし、2層以上からなる層であってもよい。
[ホログラム層]
本発明のシュリンクラベルにおけるホログラム層は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させることにより形成される。ホログラム層を形成する樹脂組成物が、活性エネルギー線硬化性であることにより、熱硬化性の場合と異なり、シュリンクフィルムなどの熱により変形させて用いる基材にも好適に用いられる。活性エネルギー線の中でも、特に紫外線硬化性、近紫外線硬化性であることが好ましい。好ましい吸収波長は200〜460nmである。なお、本願にいう樹脂組成物とは、「樹脂を形成するための組成物」の意味を含むものとする。
上記ホログラム層を形成する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、収縮加工に対して良好な追従性を発揮する観点から柔軟性を必要とし、一方、収縮加工後においても、ホログラムを維持するためには、形状保持の為の硬さを必要とする。これら、柔軟性と剛性のバランスを満足し、本発明のシュリンクラベルに用いることが可能な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は、アクリル系モノマー及び2官能以上のウレタンアクリレートからなるラジカル重合性(ラジカル硬化性)の樹脂組成物である。
(ラジカル硬化性樹脂組成物)
本発明のシュリンクラベルにおけるホログラム層を形成する、活性エネルギー線ラジカル硬化性樹脂組成物(以下、「ラジカル硬化性樹脂組成物」と称する)は、アクリル系モノマー及び2官能以上のウレタンアクリレートを必須成分として構成される。
上記ラジカル硬化性樹脂組成物に用いられるアクリル系モノマーは、公知慣用のアクリル系紫外線硬化性インキ(UVインキ)のモノマー成分として用いられるものであり、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル[好ましくは(メタ)アクリル酸C1-12アルキルエステル等];(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などのカルボキシル基含有重合性不飽和化合物又はその無水物;2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシル基含有(メタ)アクリル酸エステル[好ましくは(メタ)アクリル酸ヒドロキシC1-8アルキルエステル等]などが挙げられる。
また、上記のほか、必要に応じて、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドなどの(メタ)アクリル酸アミド誘導体;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジプロピルアミノプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸ジアルキルアミノアルキルエステル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンなどのスチレン系化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;塩化ビニルなどのハロゲン化ビニル;メチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;(メタ)アクリロニトリルなどのシアノ基含有ビニル化合物;エチレン、プロピレンなどのオレフィン類やジエン類などの重合性不飽和化合物を単量体成分として用いることもできる。
なお、本発明においては、2官能以上のウレタンアクリレートは上記アクリル系モノマーには含まないものとする。1官能のウレタンアクリレートは、アクリル系モノマーとして含まれていてもよい。
上記アクリル系モノマーは、市販品を用いることも可能であり、例えば、東洋インキ製造(株)製「FD TC OPニス VC」、(株)T&K TOKA製「UVフレキソニス FV−2」、「UV LTP FL OPニス」等のアクリル系モノマーを含むインキ等を用いてもよい。
上記ラジカル硬化性樹脂組成物は、2官能以上のウレタンアクリレート(ウレタンメタクリレートを含む)を必須成分として含む。上記ウレタンアクリレートは、1分子中に(メタ)アクリロイル基を2以上有することが必要であり、(メタ)アクリロイル基の個数は、好ましくは2〜4であり、より好ましくは2である。ウレタンアクリレートは、ポリオール成分、イソシアネート成分、アクリレート成分から構成される化合物である。
上記アクリレート成分は、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートであり、具体的には、2−ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
上記イソシアネート成分としては、芳香族、脂肪族及び脂環族の公知のジイソシアネート類の1種又は2種以上の混合物を用いることができる。ジイソシアネート類の具体例として、例えば、トリレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどが挙げられる。また、必要に応じて3官能以上のポリイソシアネート類やポリイソシアネートアダクト体を上記ジイソシアネートと混合して用いることもできる。
前記ポリオール化合物としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、プロピレングリコール、ブタンジオール(1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等)、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノールなどの低分子量グリコール類;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール−ポリカプロラクトン共重合体等のポリエーテルジオール;プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオールなどのジオール類とアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、フマル酸などの2塩基酸類とから得られるポリエステルジオール;ポリカプロラクトンポリオール、ポリバレロラクトンポリオール、ラクトンブロック共重合ポリオールなどのラクトンジオールなどの公知のジオール類を使用できる。また、必要に応じて上記のジオール類と、3官能以上のポリオール化合物とを混合して用いることもできる。
上記ウレタンアクリレートは、市販品を用いることも可能であり、例えば、東亞合成(株)製「アロニックス M−1210」、日本化薬(株)製「KAYARAD UX−6101」、根上工業(株)製「アートレジン UN−9000PEP」等が挙げられる。
上記ラジカル硬化性樹脂組成物中におけるアクリル系モノマーと2官能以上のウレタンアクリレートの配合比[アクリル系モノマー:2官能以上のウレタンアクリレート](重量比)は、95:5〜45:55であり、好ましくは85:15〜50:50、より好ましくは75:25〜60:40である。アクリル系モノマーと2官能以上のウレタンアクリレートの合計量に対して、アクリル系モノマーの配合量が95重量%を超える場合には、ラジカル硬化性樹脂組成物の硬化物(硬化皮膜)の柔軟性、収縮加工に対する追従性が低下するため、収縮加工の際に「インキ割れ」が生じて、ホログラム層が白化する。一方、2官能以上のウレタンアクリレートの配合量が55重量%を超える場合には、ラジカル硬化性樹脂組成物の硬化速度が低下し、生産性が低下する。また、剛性が低下して、収縮加工の際にホログラムが消失する、均一に収縮しないなどの問題が生じる。
上記ラジカル硬化性樹脂組成物中におけるアクリル系モノマーと2官能以上のウレタンアクリレートの合計の添加量は、特に限定されないが、塗工性、硬化性等の観点から、ラジカル硬化性樹脂組成物の全量に対して、60〜99重量%が好ましく、より好ましくは65〜96重量%、さらにより好ましくは70〜95重量%である。
ラジカル硬化性樹脂組成物には、活性エネルギー線硬化性発現のために、活性エネルギー線重合開始剤(以下、光重合開始剤と称する)を添加することが好ましい。本発明の光重合開始剤としては、特に限定されないが、光ラジカル重合開始剤が好ましい。光ラジカル重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルケタール類、アセトフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アセトフェノン誘導体、ベンジル、ベンゾフェノン、ベンゾフェノン誘導体、α−アシロキシムエステル、チオキサントン誘導体、アントラキノン誘導体、芳香族過酸化エステル類などが挙げられる。これらは単独もしくは2種以上を混合して使用される。中でも、反応性や相溶性の向上、臭気低減の観点から、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが特に好ましい。光ラジカル重合開始剤の含有量は、特に限定されないが、樹脂組成物の総重量に対して、0.5〜7重量%が好ましく、より好ましくは1〜5重量%である。
ラジカル硬化性樹脂組成物には、ホログラム箔などの転写用ホログラムとの剥離性を向上する観点から、離型剤を添加することが好ましい。上記離型剤としては、シリコーン系化合物、フッ素系化合物、長鎖アルキル系化合物などの公知慣用の離型剤を用いることができるが、中でも、シリコーン化合物(シリコーン系離型剤)が好ましい。上記離型剤の添加量は、アクリル系モノマーと2官能以上のウレタンアクリレートの合計量100重量部に対して、0.1〜3重量部が好ましく、より好ましくは0.5〜2.5重量部である。離型剤の添加量が0.1重量部未満の場合には、ホログラム箔を転写させた後、箔と樹脂層(硬化後)との剥離が円滑に行えず、原反切れやホログラムの表現性(シャープさ)が低下する場合がある。また、添加量が3重量部を超えると、ラベル表面のオイルが工程に付着し工程汚染の原因となったり、表面が平滑化することによりブロッキング等の不具合が発生する場合がある。
上記離型剤として用いられるシリコーン系化合物は、特に限定されないが、主鎖がシロキサン結合からなるポリシロキサンであり、メチル基、フェニル基以外の置換基を有しないストレートシリコーン化合物(ジメチルシリコーン、メチルフェニルシリコーン、メチルハイドロジェンシリコーンなど)であってもよいし、側鎖または末端にメチル基、フェニル基以外の置換基を有する変性シリコーン化合物であってもよい。
上記変性シリコーンにおける置換基としては、例えば、エポキシ基、フッ素原子、アミノ基、カルボキシル基、脂肪族ヒドロキシル基(アルコール性水酸基)、芳香族ヒドロキシル基(フェノール性水酸基)、(メタ)アクリロイル基含有の置換基、ポリエーテル鎖を含有する置換基などが挙げられる。これらの置換基を有する変性シリコーンとしては、例えば、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アミノ変性シリコーン、(メタ)アクリル変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーン、カルボキシル変性シリコーン、カルビノール変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、ジオール変性シリコーンなどが例示される。これらの変性シリコーン化合物としては、例えば、国際公開2007/007803号パンフレットに記載の化合物などを用いることが可能である。
ラジカル硬化性樹脂組成物中の、反応に関与せず主に分散剤として使用される溶剤の含有量は、5重量%以下であることが好ましく、より好ましくは1重量%以下であり、さらに、実質的に溶剤を含有しないことが最も好ましい。なお、ここでいう溶剤とは、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、シクロヘキサンなどの有機溶媒や水のことをいい、グラビア、フレキソ印刷インキ等では、塗布加工性やコーティング剤中の各成分の相溶性や分散性を改良する目的で通常用いられているものであって、硬化後の樹脂組成物に取り込まれる反応性希釈剤はこれに含まれない。本発明に用いられるラジカル硬化性樹脂組成物は、無溶剤でも、優れた塗布性、成分同士の分散性を発揮でき、溶剤の量を極めて少なくできるため、溶媒の除去が不要となり、高速化、コストダウンがはかれるほか、環境負荷を少なくすることが可能である。
ラジカル硬化性樹脂組成物は、顔料成分を含まない透明な樹脂組成物であってもよいし、ホログラム表現性を阻害しない範囲であれば、着色剤により着色されていてもよい。上記着色剤としては、印刷インキ用途などに一般的に用いられる顔料や染料を用いることができ、特に限定されないが、顔料が好ましく用いられる。顔料としては、有機、無機の着色顔料が使用でき、銅フタロシアニンブルー等の藍(青色)顔料、縮合アゾ系顔料などの赤色顔料、アゾレーキ系顔料などの黄色顔料、カーボンブラック、アルミフレーク、雲母(マイカ)等が用途に合わせて選択、使用できる。また、顔料として、その他にも、光沢調製などの目的で、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、アクリルビーズ等の体質顔料も使用できる。上記顔料の添加量としては、ホログラムの表現性を害しない観点から、アクリル系モノマーと2官能以上のウレタンアクリレートの合計量100重量部に対して、1〜20重量部が好ましい。
ラジカル硬化性樹脂組成物には、上記の成分の他にも、その他の機能付与の目的で、他の樹脂成分、増感剤、分散剤、酸化防止剤、香料、消臭剤、安定剤、滑剤等を、本発明の効果を損なわない程度に、添加してもよい。
ラジカル硬化性樹脂組成物の粘度(23±2℃)は、特に限定されないが、例えば、グラビア印刷により塗工される場合には、10〜2000mPa・sが好ましく、より好ましくは20〜1000mPa・sである。粘度が2000mPa・sを超える場合には、グラビア印刷性が低下する場合がある。また、粘度が10mPa・s未満の場合には、添加剤が沈降しやすくなる等、貯蔵安定性が低下する場合がある。樹脂組成物の粘度は、各成分の配合比、増粘剤、減粘剤等によって制御することが可能である。なお、本明細書中、「粘度」とは、特に限定しない限り、E型粘度計(円錐平板形回転粘度計)を用い、23±2℃、円筒の回転数50回転の条件下、JIS Z 8803に準じて測定した値を意味している。
一方、フレキソ印刷により塗工される場合には、粘度は、ザーンカップ#3(離合社製)で10〜50秒が好ましい。
ラジカル硬化性樹脂組成物は、上述のアクリル系モノマー、ウレタンアクリレート、及び必要に応じて、光重合開始剤、離型剤やその他の添加剤等を混合して製造する。混合は、バタフライミキサー、プラネタリーミキサー、ポニーミキサー、ディゾルバー、タンクミキサー、ホモミキサー、ホモディスパーなどのミキサーや、ロールミル、サンドミル、ボールミル、ビーズミル、ラインミルなどのミル、ニーダーなどが用いられる。混合の際の混合時間(滞留時間)は10〜120分が好ましい。得られた樹脂組成物は、必要に応じて、濾過してから用いてもよい。
本発明のホログラム層を形成するために用いられるラジカル硬化性樹脂組成物の活性エネルギー線硬化物(樹脂硬化物)は、アクリル系モノマー成分およびウレタンアクリレート成分が共重合された構造を有する。このため、アクリル系モノマーのみからなる樹脂硬化物と比較して、柔軟性、シュリンク加工に対する追従性が高く、比較的大きなシュリンク変形に対しても、樹脂硬化物層(ホログラム層)の割れ(いわゆる「インキ割れ」)が生じない。また、アクリル系モノマーとウレタンアクリレートの比率を制御することによって、適正な硬度を維持しているため、樹脂硬化物が柔軟になりすぎることにより、シュリンク加工時などに一旦形成させたホログラムが消失することがない。このため、比較的大きくシュリンク変形させるシュリンクラベルに用いても、収縮白化を生じることなく、なおかつ、優れたホログラム表現性を発揮する。
[シュリンクフィルム]
本発明のシュリンクラベルに用いられるシュリンクフィルムは、ラベルの基材となる層であり、強度特性や収縮特性等を担う層である。シュリンクフィルムに用いられる樹脂は、要求物性、コストなどに応じて、適宜選択することが可能であり、特に限定されないが、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリアミド系樹脂、アラミド、ポリイミド、ポリフェニレンスルフィド、アクリル系樹脂等の樹脂を用いることができる。中でも好ましくは、ポリエステル系フィルム、ポリスチレン系フィルム、或いはこれらの積層フィルムである。ポリエステル系樹脂としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂やポリ(エチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート)(PEN)、ポリ乳酸(PLA)等を用いることができ、中でも好ましくはポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂である。また、ポリスチレン系樹脂としては、一般ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体(SBS)、スチレン−ブタジエン−イソプレン共重合体(SBIS)等が特に好ましく例示される。
本発明のシュリンクフィルムは、単層フィルムであってもよいし、要求物性、用途などに応じて、複数のフィルム層を積層した積層フィルムであってもよい。また、積層フィルムの場合、異なる樹脂からなるフィルム層を積層していてもよい。
本発明のシュリンクフィルムは、シュリンク特性を発揮する観点から、1軸、2軸または多軸に配向したフィルムであることが好ましい。シュリンクフィルムが積層フィルムの場合には、積層フィルム中の少なくとも1層のフィルム層が配向していることが好ましい。全てのフィルム層が無配向の場合には、十分なシュリンク特性と発揮できない場合がある。シュリンクフィルムとしては、特に1軸または2軸配向フィルムが用いられることが多く、中でも、フィルム幅方向(ラベル周方向となる方向)に強く配向しているフィルム(実質的に幅方向に1軸延伸されたフィルム)が一般的に用いられる。
本発明のシュリンクフィルムは、溶融製膜または溶液製膜などの慣用の方法によって作製することができる。また、市販のシュリンクフィルムを用いることも可能である。シュリンクフィルムの表面には、必要に応じて、コロナ放電処理やプライマー処理等の慣用の表面処理が施されていてもよい。積層構成のシュリンクフィルムを作製する場合、積層の方法としては、慣用の方法、例えば、共押出法、ドライラミネート法などを用いることが可能である。シュリンクフィルムに配向を施す方法としては、長手方向(縦方向;MD方向)および幅方向(横方向;TD方向)の2軸延伸、長手、または、幅方向の1軸延伸を用いる。延伸方式は、ロール方式、テンター方式、チューブ方式の何れの方式を用いてもよい。延伸処理は、70〜100℃程度の温度で、必要に応じて長手方向に例えば1.01〜1.5倍、好ましくは1.05〜1.3倍程度に延伸した後、幅方向に3〜6倍、好ましくは4〜5.5倍程度延伸することにより行う場合が多い。
本発明のシュリンクフィルムの厚みは、特に限定されないが、10〜100μmが好ましく、より好ましくは20〜80μm、さらに好ましくは30〜60μmである。また、本発明のシュリンクフィルムが、上述の中心層と表層部からなる3層積層フィルムである場合には、中心層と表層部の厚み比(表層/中心層/表層)は、1/2/1〜1/10/1が好ましい。
本発明のシュリンクラベルに用いるシュリンクフィルムは、収縮加工の際のホログラムの形状保持とホログラム層の追従性の確保の観点から、比較的収縮応力が小さく、収縮速度は遅い方が好ましい。このような要求を満たすシュリンクフィルムとしては、ポリエステル系樹脂とポリスチレン系樹脂の積層フィルムが好ましく、中でも、ポリエステル系樹脂はホログラム層の密着性が良好でありポリスチレン系樹脂は収縮特性が良好であるという観点から、表層がポリエステル系樹脂、中心層がポリスチレン系樹脂である積層シュリンクフィルムが特に好ましい。このようなシュリンクフィルムは、市場でも入手可能であり、例えば、三菱樹脂(株)「DL」、グンゼ(株)「HGS」(以上、表層がポリエステル系樹脂、中心層がポリスチレン系樹脂の積層フィルム)、シーアイ化成(株)「ボンセット」(ポリスチレン系フィルム)、三菱樹脂(株)「エコロージュ」(ポリ乳酸系フィルム)等が挙げられる。
本発明に用いられるシュリンクフィルムの主配向方向の熱収縮率(70℃温水中、10秒)は、特に限定されないが、主配向方向が10〜30%が好ましく、さらに好ましくは15〜25%である。また。主配向方向の熱収縮率(80℃温水中、10秒)は、特に限定されないが、30〜70%が好ましく、さらに好ましくは35〜65%である。主配向方向の熱収縮率が上記範囲を超える場合には、ホログラム層が収縮加工に追従せず、白化を生じたり、ホログラムの表現性が低下する場合がある。また、上記範囲を下回る場合には、被着体の形状に対するラベルの追従性が低く、容器の仕上がりが劣る場合がある。なお、上記主配向方向とは主に延伸処理が施された方向(最も熱収縮率が大きい方向)であり、シュリンクラベルが筒状シュリンクラベルの場合には、一般に幅方向である。
なお、上記主配向方向と直交する方向の熱収縮率(80℃、10秒)は、特に限定されないが、−3〜15%程度が好ましい。
本発明に用いられるシュリンクフィルムが透明フィルムの場合、その透明度(ヘイズ値(%):JIS K 7105準拠)は、10未満が好ましく、より好ましくは5.0未満、さらに好ましくは2.0未満である。ヘイズ値が10以上の場合には、シュリンクフィルムを通して印刷を見せる場合に、印刷が曇り、装飾性が低下することがある。
[シュリンクラベル]
本発明のシュリンクラベルは、上記シュリンクフィルム上に、上記ラジカル硬化性樹脂組成物を硬化させてなるホログラム層を形成することにより製造される。上記ホログラム層の主な形成工程は以下の(i)〜(iv)のとおりである。(i)上記シュリンクフィルム上に、上記ラジカル硬化性樹脂組成物を塗布する。(ii)転写用ホログラムを(i)の樹脂組成物層上に重ねる。(iii)活性エネルギー線により樹脂組成物層を硬化させる(硬化後を「樹脂硬化物層」と称する)。(iv)転写用ホログラムを剥離する。上記(i)〜(iv)の工程は、生産性の観点からは、塗布工程と一連の工程で行うことが好ましい。また、工程速度は、特に限定されないが、20〜150m/分が好ましく、より好ましくは25〜100m/分である。
上記(i)において、樹脂組成物をシュリンクフィルムに塗布する方法としては、コストや生産性、印刷の装飾性などの観点から、グラビア印刷、フレキソ印刷、シルク印刷、凸版輪転印刷等が好ましく、中でも、グラビア、フレキソ印刷方式が特に好ましい。また、上記塗布工程は、シュリンクフィルムの製造工程中(例えば、未延伸または縦1軸延伸後)に設けてもよいし(インラインコート)、フィルム製膜後設けてもよく(オフラインコート)、特に限定されないが、生産性、また、硬化処理を含めた加工性の観点から、オフラインコートが好ましい。
上記(ii)において、転写用ホログラムとしては、ロール状のもの、フィルム状のもののいずれを用いてもよいが、簡便性の観点からは、フィルム状のもの(例えば、ホログラムマスターフィルムやホログラム箔など)が好ましく用いられる。例えば、ホログラムマスターフィルムを樹脂組成物層上に重ねる方法としては、通常のラミネートに使用されるニップローラーまたはエア吹き付け等の手法を採用することができる。中でも、重ね合わせ時のずり応力の発生を抑える観点から、エア吹き付けが好ましい。
上記(iii)において、樹脂組成物層(未硬化)の硬化は、紫外線(UV)ランプ、紫外線LEDや紫外線レーザーなどを用いる活性エネルギー線硬化で行う。照射する活性エネルギー線は、樹脂組成物の組成によっても異なり、特に限定されないが、硬化性の観点から、波長が200〜460nmの紫外線(近紫外線)が好ましく、また、照射強度は150mJ/cm2〜1000mJ/cm2、照射時間は0.1〜3秒が好ましい。
本発明のシュリンクラベルにおいて、ホログラム層(樹脂硬化物層)は、ラベルの最表層(例えば、最外層や最内層)に設けられることが好ましい。本発明のシュリンクラベルの具体的な積層構成は、特に限定されないが、例えば、ホログラム層/フィルム層/印刷層、ホログラム層/印刷層/フィルム層/印刷層、ホログラム層/アンカーコート層/フィルム層/印刷層などが挙げられる。さらに表層のホログラム層上に部分的に印刷層が設けられていてもよい。なお、本発明のホログラム層はシュリンクフィルムとの密着性が良好であるため、シュリンクフィルムの表面上に直接塗工しても優れた効果を発揮するが、これに限定されず、接着層などの他の層を介して設けられてもよい。
本発明のシュリンクラベルにおいて、ホログラム層の厚みは、特に限定されないが、0.3〜5μmが好ましく、より好ましくは0.5〜3μmである。ホログラム層の厚みが5μmを超えると硬化不良や収縮不良の原因となる場合があり、0.3μm未満ではホログラム加工において形成する凹凸の高さが不足して、加工が安定しない場合がある。
本発明のシュリンクラベルには、シュリンクフィルム、ホログラム層の他にも、例えば、印刷層を設けてもよい。印刷層は、商品名やイラスト、デザイン、取扱注意事項等を表示するデザイン印刷層や白色の抑え印刷層などである。印刷層はバインダー樹脂、顔料、および、必要に応じて溶剤を構成成分として含有する印刷インキを塗布して形成される(必要に応じて、乾燥及び/又は硬化を行う)。上記印刷層(単層)厚みは、特に限定されないが、0.1〜15μmが好ましく、より好ましくは0.5〜10μmである。印刷層は部分的に設けられていてもよく、複数層設けられていてもよい。印刷層の形成方法としては、公知慣用のコーティング手法を用いることが可能で特に限定されないが、グラビア印刷やフレキソ印刷などが好ましい。なお、上記印刷工程は、特に限定されないが、ホログラム層形成工程よりも前に行われることが好ましい。なお、ホログラム層上に部分的に印刷を施す場合はホログラム層形成工程後に行う。
本発明のシュリンクラベルには、他にも、保護層、接着層、紫外線吸収層、オーバーラミネート層、アンカーコート層、プライマーコート層、不織布、紙等の層を必要に応じて設けてもよい。
本発明に用いられるシュリンクラベルの主配向方向の収縮応力(一次収縮応力)(80℃、温水中)は、1.0〜6.0N/mm2が好ましく、1.5〜5.0N/mm2がより好ましい。シュリンクラベルの収縮応力が6.0N/mm2を超える場合には、収縮追従性不足による白化(インキ割れ)が生じる場合がある。また、1.0N/mm2未満では、シュリンク加工により被着体形状に十分追従せず、仕上がりが低下する場合がある。または、インキ皮膜が収縮せず、シワ、カールなどの収縮不良が発生する場合がある。なお、上記熱収縮応力(一次収縮応力)は、シュリンクラベルの試験片の80%の部分を、80℃の温水に10秒浸漬したときに生じる収縮応力の最大値であり、引張試験機により測定される。
本発明に用いられるシュリンクラベルの主配向方向の収縮速度(80℃、温水中)は、1〜20%/0.2秒が好ましく、より好ましくは2〜15%/0.2秒である。シュリンクラベルの収縮速度が20%/0.2秒を超える場合には、収縮追従性不足による白化(インキ割れ)が生じる場合がある。また、1%/0.2秒未満では、シュリンク加工に時間がかかるため、生産性が低下する。なお、収縮応力や収縮速度は、用いられるシュリンクフィルムにおいてもほぼ同程度の値となる。
本発明のシュリンクラベルの厚みは、特に限定されないが、10〜150μmが好ましく、より好ましくは20〜120μmである。
本発明のシュリンクラベルの形態は、筒状ラベル、巻き付けラベル等、特に限定されないが、シュリンク加工における収縮変形量が大きくても美麗なホログラム表現が可能である本発明の特徴を発揮する観点からは、筒状のシュリンクラベル(筒状シュリンクラベル)が好ましい。本発明における樹脂組成物以外の、一般的な活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を用いてホログラム層を形成する場合には、比較的収縮変形量が小さい巻き付けラベルには用いることができるものもあるが、筒状ラベルに用いることはできない。
[その他の加工]
本発明のシュリンクラベルが筒状シュリンクラベルとして用いられる場合、本発明のシュリンクラベルは、主配向方向(通常、シート幅方向)がラベルの円周方向となるように円筒状に成形される。具体的には、長尺状のシュリンクラベルを筒状に形成した後、一方の側縁部に、長手方向に帯状に約2〜4mm幅で、テトラヒドロフラン(THF)などの溶剤や接着剤(以下溶剤等)を内面に塗布し、該溶剤等塗布部を、他方の側縁部から5〜10mmの位置に重ね合わせて外面に接着(センターシール)し、長尺筒状シートの連続体を得る。なお、シュリンクラベルの上記の溶剤などを塗工する部分(センターシール部)には、ホログラム層や印刷層が施されず、基材(シュリンクフィルム)同士が接着されていることが好ましい。
また、本発明のシュリンクラベルに、ラベル切除用のミシン目を設ける場合は、所定の長さ及びピッチのミシン目を長手方向に形成する。ミシン目は慣用の方法(例えば、周囲に切断部と非切断部とが繰り返し形成された円板状の刃物を押し当てる方法やレーザーを用いる方法等)により施すことができる。ミシン目を施す工程段階は、印刷工程の後や、筒状加工工程の前後など、適宜選択ことができる。なお、ミシン目は、ホログラム層上に設けることも可能であるが、ホログラム層が積層されていない基材(シュリンクフィルム)部分に設けることが好ましい。
[ラベル付き容器]
本発明のシュリンクラベルを、容器に装着することにより、ラベル付き容器が得られる。該ラベル付き容器に用いられる容器には、例えば、PETボトルなどのソフトドリンク用ボトル、宅配用牛乳瓶、調味料などの食品用容器、アルコール飲料用ボトル、医薬品容器、洗剤、スプレーなどの化学製品の容器などが含まれる。容器の材質は、特に限定されないが、PETなどのプラスチック、紙などが好ましい。容器の形状は、特に限定されないが、円筒状や角形のボトルタイプが好ましい。
上記容器への装着方法としては、特に限定されないが、例えば、筒状シュリンクラベルの場合、長尺筒状のシュリンクラベルを切断後、所定の容器に装着し、加熱処理によって、ラベルを収縮、容器に追従密着させることによってラベル付き容器を作製する。具体的には、長尺筒状シュリンクラベルを、自動ラベル装着装置(シュリンクラベラー)に供給し、必要な長さに切断した後、内容物を充填した容器に外嵌し、所定温度の熱風トンネルやスチームトンネルを通過させたり、赤外線等の輻射熱で加熱して熱収縮させ、容器に密着させて、ラベル付き容器を得る。本発明のシュリンクラベルは、熱風(60〜300℃)による収縮も可能であるが、特に均一にかつ比較的緩やかに収縮させることが好ましいため、収縮方法は水蒸気(スチーム)によることが好ましい。また、加熱処理温度としては、例えば、60〜100℃が好ましく、より好ましくは65〜95℃である。上記容器への装着に際しては、シュリンクラベルにおけるホログラム層が形成された部分(ホログラム形成部)は、3〜25%程度熱収縮して容器に装着することが好ましく、より好ましくは5〜20%である。
[物性の測定方法ならびに効果の評価方法]
(1)熱収縮率(70℃温水中/10秒)、熱収縮率(80℃温水中/10秒)
以下においては、熱収縮率(70℃温水中、10秒)の測定方法を示す。熱収縮率(80℃温水中、10秒)の測定の場合には、下記の温水の温度を70℃から80℃に変更すればよい。
シュリンクフィルムから、50mm(主配向方向)×50mm(主配向方向と直交方向)の正方形のサンプル片を作製した。
サンプル片を70℃の温水中で、10秒熱処理(無荷重下)し、熱処理前後のサンプルの寸法(幅方向)を読み取り、以下の計算式で熱収縮率を算出した。試験回数5回の平均値を収縮率とした。
なお、実施例、比較例のシュリンクフィルム(シュリンクラベル)の主配向方向は幅方向である。
熱収縮率(%) = (L0−L1)/L0×100
0 : 熱処理前のサンプルの寸法(主配向方向)
1 : 熱処理後のサンプルの寸法(L0と同じ方向)
上記は、主配向方向の熱収縮率の算出方法を示すが、主配向方向と直交方向の熱収縮率を算出する場合には、寸法の測定方向を主配向方向と直交方向に変更すればよい。
主配向方向が不明の場合には、例えば、10°ごとに方向を変更して熱収縮率を測定し、最も収縮率の大きな方向を主配向方向とすることができる。
(2)収縮応力(80℃温水中)
実施例及び比較例で作製したシュリンクラベルより、主配向方向に200mm、主配向方向と直交する方向に15mmの略矩形のサンプル片を採取し、上記主配向方向が引張方向となるようにサンプル片を引張試験機(島津製作所製、「オートグラフAGS−50G」、ロードセル500N)のチャックにチャック間距離100mmの状態でセットし、チャック間距離を100mmに保持した状態で、80℃の温水に10秒間、チャック間100mmのうち、下から80mmの部分まで浸漬し、そのときに生じる収縮応力(N/mm2)を測定し、その最大値をもって収縮応力(一次収縮応力)とした。
(3)収縮速度(80℃温水中)
実施例及び比較例で作製したシュリンクラベルより、主配向方向に100mm、主配向方向と直交する方向に5mmの短冊状サンプル片を採取し、測定に用いた。
上記サンプル片を80℃の温浴に浸漬した際の主配向方向の寸法(初期測定長:88mm)の時間変化を測定(サンプリング時間:0.1秒)し、熱収縮率の時間変化を算出した。連続する3点の測定点の熱収縮率から熱収縮率の時間に対する変化率(単位:%/0.2秒)を算出し、その最大値をもって、「収縮速度(80℃温水中)」とした。
(4)表面硬化性(初期タック性)
実施例、比較例で、樹脂組成物層に紫外線硬化処理(紫外線照射工程速度:70m/分)を施した直後に、樹脂硬化物層表面を指で触り、指に未硬化の樹脂組成物がつくかどうかを目視にて観察し、指に樹脂組成物が付かない場合は表面硬化性良好(○)、指に樹脂組成物が付く場合は表面硬化性不良(×)と判断した。
(5)密着性(テープ剥離試験)
碁盤目のクロスカットを入れない以外は、JIS K 5600に準じて、試験を行った。実施例、比較例で得られたシュリンクラベルのホログラム層側の表面に、ニチバンテープ(幅18mm)を貼り付け、90度方向に剥離し、5mm×5mmの領域において、ホログラム層の残存した面積を観察し、下記の基準で密着性(接着性)を判断した。
90%以上 : 密着性良好(○)
80%以上、90%未満 : 密着性はやや不良であるが使用可能なレベル(△)
80%未満 : 密着性不良(×)
(6)収縮白化試験(加工追従性)
(熱収縮処理)
実施例、比較例で得られたシュリンクラベルから、主配向方向(ラベルの幅方向)を長さ方向として、サンプル長さ100mm(サンプル幅50mm)の短冊状サンプル片を採取した。
上記サンプルの長さ方向の両端(100mm間隔)を、80mm間隔に固定できる治具に固定した(熱処理前はたるんだ状態である)。上記治具に両端を固定したサンプルを、90℃の温水に10秒間浸漬して熱処理し、サンプルを20%熱収縮させた。
(評価)
上記熱収縮処理後のサンプルを以下の基準で評価した。
サンプルが白化しない : 加工追従性良好(○)
サンプルが若干白化する : 使用可能なレベル(△)
サンプルが白化した : 加工追従性不良(×)
(7)ホログラム表現性
実施例、比較例で得られたシュリンクラベルを、上記収縮白化試験と同様の方法で、10%、20%熱収縮させた後、目視にて図柄を確認し、以下の基準で評価した。
なお、10%熱収縮させる場合には、収縮白化試験の熱収縮処理における治具の間隔を90mmに変更した。
光学干渉による図柄がはっきりと観察される : ホログラム表現性良好(○)
光学干渉による図柄は観察されるが、輝度が低い : 使用可能なレベル(△)
光学干渉による図柄がはっきりと観察できない : ホログラム表現性不良(×)
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例、比較例における樹脂組成物における成分Aと成分Bの配合(重量比)、樹脂組成物およびシュリンクラベルの評価結果を表1に示す。
実施例1
(活性エネルギー線硬化性樹脂組成物)
T&K TOKA(株)製、商品名「UV LTP FL OPニス」(アクリル系モノマー95重量%、ラジカル系光重合開始剤、剥離剤を含有するインキ)と、東亞合成(株)製、商品名「アロニックス M−1210」(アクリル系モノマー35重量%、2官能性ウレタンアクリレート65重量%含有)を、アクリル系モノマー(成分Aとする)と2官能性ウレタンアクリレート(成分Bとする)が表1に示した重量比になるように配合し(「UV LTP FL OPニス」/「アロニックス M−1210」を90/10(重量比)で配合)、ラジカル硬化性樹脂組成物を得た。なお、溶剤は使用しなかった。
(シュリンクフィルム)
基材となるシュリンクフィルムとして、表層がポリエステル系樹脂、中心層がポリスチレン系樹脂である積層シュリンクフィルム(三菱樹脂(株)製「DL」、厚み:40μm、熱収縮率(70℃、10秒):20.3%、熱収縮率(80℃、10秒):37.1%)を用いた。
(シュリンクラベル)
上記ラジカル硬化性樹脂組成物を、卓上グラビア印刷機((株)日商グラビア製、商品名「GRAVO PROOF MINI」)および80線、版深27μmのグラビア版を用いて、上記シュリンクフィルムの片面に全面グラビア印刷(樹脂組成物層厚み:3μm)を施した。
次いで、転写用ホログラム箔(日本コーバン(株)、商品名「ホログラム透明OPPラミネート用フィルム」)を上記樹脂組成物層上に重ねた。続いて、樹脂組成物層を塗工した面側から、紫外線照射装置(フュージョンUVシステムズジャパン(株)製、商品名「LIGHT HAMMER 10」:出力100%、Dバルブ)を用いて、コンベア速度70m/分、240W/cmの条件で光照射を行い、樹脂組成物層を硬化させた。その後、転写用ホログラム箔を剥離し、ホログラム層を有するシュリンクラベル(収縮速度(80℃温水中):5.6%/0.2秒、収縮応力(80℃温水に試験片の80%を10秒間浸漬した場合の収縮応力):4.7N/mm2)を得た。
なお、上記において、工程速度は50m/分(印刷工程)、70m/分(硬化工程)、50m/分(ホログラム箔のラミネート、剥離工程)であった。
上記で得られたシュリンクラベル(ラベル厚み:42μm、ホログラム層厚み:2μm)に対して、表面硬化性(初期タック性)、密着性(テープ剥離)、加工追従性(収縮白化試験)、ホログラム表現性を評価した。
表1に示すように、得られた樹脂組成物およびシュリンクラベルは、優れた特性を有していた。
さらに、上記で得られたシュリンクラベルをホログラム層側が(外側)となり、且つ、フィルムの幅方向が円周方向となるように筒状に丸めて、テトラヒドロフラン(THF)でセンタシールし、筒状シュリンクラベルを得た。最後に、上記筒状シュリンクラベルを、容器(東洋製罐(株)製500ml耐熱角形PETボトル)に装着し、ホログラム形成部が5〜15%収縮されるようにして、雰囲気温度90℃のスチームトンネルで加熱収縮して、ラベル付き容器を得た。得られたラベル付き容器は優れた仕上がりであった。
実施例2〜5
表1に示すように、成分Aと成分Bの重量比を変更した以外は、実施例1と同様にして、ラジカル硬化性樹脂組成物およびシュリンクラベルを得た。なお、実施例2〜5のシュリンクラベルは、実施例1のシュリンクラベルとほぼ同じ収縮速度(80℃温水中)と収縮応力(80℃温水に試験片の80%を10秒間浸漬した場合の収縮応力)であった。
表1に示すように、得られた樹脂組成物およびシュリンクラベルは、優れた特性を有していた。また、実施例1と同様にして、ラベル付き容器を作製したところ、得られたラベル付き容器は優れた仕上がりであった。
比較例1
表1に示すように、成分Bを用いない以外は、実施例1と同様にして、ラジカル硬化性樹脂組成物およびシュリンクラベルを得た。
表1に示すように、得られたシュリンクラベルは、特性の劣るものであった。
比較例2
表1に示すように、成分Aと成分Bの重量比を変更した以外は、実施例1と同様にして、ラジカル硬化性樹脂組成物およびシュリンクラベルを得た。
表1に示すように、得られた樹脂組成物およびシュリンクラベルは、特性の劣るものであった。
なお、実施例および比較例において、成分Aと成分Bの重量比の変更は、T&K TOKA(株)製、商品名「UV LTP FL OPニス」と、東亞合成(株)製、商品名「アロニックス M−1210」の配合比を変更することによって行った。また、必要に応じて、ラジカル系光重合開始剤((株)チバ・スペシャルティ・ケミカルズ製、商品名「IRGACURE 184」を、添加量を調整して添加した。
Figure 0004977203
本発明は、比較的変形量の大きな収縮処理を施した際にも、鮮明なホログラム表現が可能であり、ホログラム層を有するシュリンクラベルやシュリンクラベルを装着してなるラベル付き容器に用いることができる。

Claims (6)

  1. シュリンクフィルムの少なくとも片面に、アクリル系モノマーと2官能以上のウレタンアクリレートの合計量に対して、アクリル系モノマー45〜95重量%及び2官能以上のウレタンアクリレート5〜55重量%を含み、且つ前記アクリル系モノマーと2官能以上のウレタンアクリレートの合計量が活性エネルギー線ラジカル硬化性樹脂組成物全量に対して60〜99重量%である活性エネルギー線ラジカル硬化性樹脂組成物を硬化させて形成されたホログラム層を有することを特徴とするシュリンクラベル。
  2. 前記シュリンクフィルムの主配向方向の熱収縮率(70℃温水中、10秒)が10〜30%、主配向方向の熱収縮率(80℃温水中、10秒)が30〜70%である請求項1に記載のシュリンクラベル。
  3. シュリンクラベルの主配向方向の収縮速度(80℃、温水中)が1〜20%/0.2秒である請求項1または2に記載のシュリンクラベル。
  4. シュリンクラベルの主配向方向の収縮応力(80℃温水に試験片の80%を10秒間浸漬した場合の収縮応力)が1.0〜6.0N/mm2である請求項1〜3のいずれかの項に記載のシュリンクラベル。
  5. 筒状シュリンクラベルである請求項1〜4のいずれかの項に記載のシュリンクラベル。
  6. 請求項1〜5のいずれかの項に記載のシュリンクラベルを、容器に装着し、収縮、密着させてなるラベル付き容器。
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