JP2006159901A - 熱収縮性積層フィルム、並びに該フィルムを用いた成形品、熱収縮性ラベル及び容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】多価カルボン酸残基及び多価アルコール残基を含有する非晶性ポリエステル系樹脂と結晶性ポリエステル系樹脂とからなる混合樹脂組成物で構成された表面層(S層)と、スチレン系樹脂組成物で構成された中間層(M層)と、スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はその水素添加誘導体を含む樹脂組成物で構成された接着層(AD層)とを有する積層フィルムにおいて、フィルムの主収縮方向と直交する方向の引張弾性率が1200MPa以上とし、フィルム主収縮方向の23℃における引張破断伸度を40%以上とする。
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明の目的は、以下の熱収縮性積層フィルムにより達成される。
(1) 表面層(S層)、中間層(M層)及び接着層(AD層)を有する積層フィルムであって、各層が下記成分を主成分とする樹脂組成物からなるとともに、フィルム主収縮方向と直交する方向のJIS K7127に準拠して測定される引張弾性率が1200MPa以上であり、かつJIS K7127に準拠して測定される23℃におけるフィルム主収縮方向の引張破断伸度が40%以上であることを特徴とする熱収縮性積層フィルム。
表面層(S層):多価カルボン酸残基及び多価アルコール残基を含有する非晶性ポリエステル系樹脂と、該非晶性ポリエステル系樹脂100質量部に対して1質量部以上40質量部以下の結晶性ポリエステル系樹脂とからなる混合樹脂組成物
中間層(M層):スチレン系樹脂組成物。
接着層(AD層):スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はその水素添加誘導体を含み、該共重合体又は水素添加誘導体中のスチレン系炭化水素の含有率が5質量%以上40質量%以下である樹脂組成物
(2) 前記中間層(M層)が該中間層(M層)を構成する樹脂組成物100質量部に対し、前記表面層(S層)を構成する樹脂組成物1質量部以上100質量部以下を含む前記(1)に記載の熱収縮性積層フィルム。
(3) 前記中間層(M層)が該中間層(M層)を構成する樹脂組成物100質量部に対し、前記接着層(AD層)を構成する樹脂組成物1質量部以上30質量部以下を含む前記(1)又は(2)に記載の熱収縮性積層フィルム。
(4) 前記表面層(S層)を構成する非晶性ポリエステル系樹脂が、芳香族ジカルボン酸残基とジオール残基とからなり、全ジオール残基中に15モル%以上50モル%以下の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を含有する非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂である前記(1)乃至(3)のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム、
(5) 前記表面層(S層)を構成する結晶性ポリエステル系樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンイソフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート−ネオペンチルテレフタレート共重合樹脂、ポリブチレンテレフタレート−エーテル共重合樹脂、ポリブチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、及びポリトリメチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記(1)乃至(4)に記載の熱収縮性積層フィルム、
(6) 前記中間層(M層)を構成するスチレン系樹脂組成物が、スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体、スチレン系炭化水素若しくは共役ジエン系炭化水素と共重合可能なモノマーと前記共重合体との共重合体、又はこれらの混合物である前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム、
(7) 前記接着層(AD層)を構成するスチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はその水素添加誘導体のガラス転移温度が20℃以下である前記(1)乃至(6)のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム、
(8) JIS K7105に準拠して測定されるヘーズ値が10%以下である前記(1)乃至(7)のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
(9) 70℃温水中で10秒間加熱したときの主収縮方向の熱収縮率が10%以上30%未満であり、かつ80℃温水中で10秒間加熱したときの主収縮方向の熱収縮率が30%以上60%以下である前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
(10) JIS K7127に準拠して測定される30℃30日保管後の前記フィルムの−5℃における引張伸度が100%以上である前記(1)乃至(9)のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
(11) 前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを用いて得られることを特徴とする成形品。
(12) 前記(1)乃至(10)のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた熱収縮性ラベル。
(13) (11)に記載の成形品又は(12)に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
本発明の熱収縮性積層フィルム(以下「本発明のフィルム」ともいう)は、非晶性ポリエステル系樹脂と、該非晶性ポリエステル系樹脂100質量部に対して1質量部以上40質量部以下の結晶性ポリエステル系樹脂とからなる混合樹脂組成物を主成分として構成される表面層(S層)と、収縮仕上がり性や経時脆化を防ぐ目的のスチレン系樹脂組成物で構成される中間層(M層)と、前記表面層(S層)と前記中間層(M層)との層間剥離強度を向上させる目的の、スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はその水素添加誘導体で構成される接着層(AD層)とを有する。
本発明において、表面層(S層)は多価カルボン酸残基及び多価アルコール残基を含有する非晶性ポリエステル系樹脂と結晶性ポリエステル系樹脂との混合樹脂組成物を主成分として構成される。
本発明において、好ましい多価アルコール残基の混合物としては、例えば、第1残基としてエチレングリコール、第2残基として1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、及び1,4−シクロヘキサンジメタノールからなる群から選ばれる少なくとも一種、好ましくは1,4−シクロヘキサンジメタノールを用いたものが挙げられる。
本発明において、非晶性ポリエステル系樹脂とは、示差熱走査型熱量計(DSC)を用いて−50℃から300℃まで加熱速度10℃/分で昇温した後、−50℃まで冷却速度10℃/分で降温を行い、再度300℃まで加熱速度10℃/分で昇温した際、2度目の昇温時に明確な融解ピークが現れるポリエステル系樹脂を指し、共重合ポリエステル樹脂も含まれる。
本発明では、フィルムの中間層(M層)を形成する樹脂としてスチレン系樹脂組成物を用いる。スチレン系樹脂組成物は、スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合が好適に用いられる。
スチレン系炭化水素としては、例えば、ポリスチレン、ポリ(p−、m−又はo−メチルスチレン)、ポリ(2,4−、2,5−、3,4−又は3,5−ジメチルスチレン)、ポリ(p−t−ブチルスチレン)等のポリアルキルスチレン;ポリ(o−、m−又はp−クロロスチレン)、ポリ(o−、m−又はp−ブロモスチレン)、ポリ(o−、m−又はp−フルオロスチレン)、ポリ(o−メチル−p−フルオロスチレン)等のポリハロゲン化スチレン;ポリ(o−、m−又はp−クロロメチルスチレン)等のポリハロゲン化置換アルキルスチレン;ポリ(p−、m−又はo−メトキシスチレン)、ポリ(o−、m−又はp−エトキシスチレン)等のポリアルコキシスチレン;ポリ(o−、m−、又はp−カルボキシメチルスチレン)等のポリカルボキシアルキルスチレン;ポリ(p−ビニルベンジルプロピルエーテル)等のポリアルキルエーテルスチレン;ポリ(p−トリメチルシリルスチレン)等のポリアルキルシリルスチレン;さらにはポリビニルベンジルジメトキシホスファイド等が挙げられる。前記スチレン系炭化水素は、これらの単独重合体、共重合体及び/又はスチレン系炭化水素以外の共重合可能なモノマーを単量体単位として含んでいてもよい。
なお、上記「無延伸フィルム」とは、スチレン系樹脂組成物を原料として成形されたフィルムであって、フィルム形成時に延伸しないで得られたフィルムをいう。
本発明において、接着層(AD層)は、スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はその水素添加誘導体を含有する。ここで、スチレン系炭化水素としては、スチレンが好適に用いられ、α−メチルスチレン等のスチレン同族体なども用いることができる。また、共役ジエン系炭化水素としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン等が挙げられ、これらは単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。また、第3成分として、ビニル芳香族系化合物及び共役ジエン系炭化水素以外の成分を少量含んでいてもよい。また、共役ジエン系炭化水素部分のビニル結合を主とした二重結合が多く存在することにより、表面層(S層)のポリエステル系樹脂と馴染みが良くなり、層間接着強度を向上できるため好ましい。
本発明の熱収縮性フィルムは、表面層(S層)と中間層(M層)間に接着層(AD層)を有する少なくとも3層構成のものであれば、特に限定されるものではない。ここで、中間層(M層)は、単層でも多層でもよく、また多層の場合にはその中に表面層(S層)と同様の層を有してもかまわない。
各層の厚み比は、上述した効果及び作用を考慮して設定すればよく、特に限定されるものではない。本発明においては、表面層(S層)のフィルム全体の厚みに対する厚み比は10%以上、好ましくは20%以上であり、上限が75%、好ましくは65%以下である。また中間層(M層)のフィルム全体の厚みに対する厚み比は20%以上、好ましくは30%以上であり、上限は80%以下、好ましくは70%以下である。さらに接着層(AD層)はその機能から、0.5μm以上、好ましくは1μm以上であり、かつ6μm以下、好ましくは5μm以下の範囲である。各層の厚みが上記範囲内であれば、フィルムの腰(常温での剛性)、収縮仕上がり性、再生添加時の透明性、自然収縮に優れ、かつフィルムの層間剥離が抑制された、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルムがバランス良く得ることができる。
本発明のフィルムは、フィルムの主収縮方向と直交する方向のJIS K7127に準拠して測定された引張弾性率が1200MPa以上であることが重要であり、より好ましくは1300MPa、さらに好ましくは1400MPa以上である。また、通常使用される熱収縮性フィルムの引張弾性率の上限値は、3000MPa程度、好ましくは2900MPa程度であり、さらに好ましは2800MPa程度である。ここで、引張弾性率が1200MPa以上であれば、フィルム全体としての腰(常温での剛性)が高く、特に、フィルムの厚みを薄くした場合にも、ペットボトルなどの容器に製袋したフィルムをラベリングマシン等で被せる際に、斜めに被り、あるいはフィルムの腰折れなどで歩留まりが低下しやすいなどの問題点が発生し難く好ましい。上記引張弾性率は、JIS K7127に準じて、23℃の条件で測定することができる。
なお、本明細書においてフィルムの主収縮方向とは、縦方向と横方向のうち延伸方向の大きい方を意味し、例えば、ボトルに装着する場合にはその外周方向に相当する方向である。
本発明のフィルムは、公知の方法によって製造することができる。フィルムの形態としては平面状、チューブ状の何れであってもよいが、生産性(原反フィルムの幅方向に製品として数丁取りが可能)や内面に印刷が可能という点から平面状が好ましい。平面状のフィルムの製造方法としては、例えば、複数の押出機を用いて樹脂を溶融し、Tダイから共押出し、チルドロールで冷却固化し、縦方向にロール延伸をし、横方向にテンター延伸をし、アニールし、冷却し、(印刷が施される場合にはその面にコロナ放電処理をして、)巻取機にて巻き取ることによりフィルムを得る方法が例示できる。また、チューブラー法により製造したフィルムを切り開いて平面状とする方法も適用できる。
本発明のフィルムは、フィルムの低温収縮性、収縮仕上がり性、透明性、自然収縮等に優れているため、その用途が特に制限されるものではないが、必要に応じて印刷層、蒸着層その他機能層を形成することにより、ボトル(ブローボトル)、トレー、弁当箱、総菜容器、乳製品容器等の様々な成形品として用いることができる。特に本発明のフィルムを食品容器(例えば清涼飲料水用又は食品用のPETボトル、ガラス瓶、好ましくはPETボトル)用熱収縮性ラベルとして用いる場合、複雑な形状(例えば、中心がくびれた円柱、角のある四角柱、五角柱、六角柱など)であっても該形状に密着可能であり、シワやアバタ等のない美麗なラベルが装着された容器が得られる。本発明の成形品及び容器は、通常の成形法を用いることにより作製することができる。
JIS K7127に準じて、温度23℃の条件でフィルムの主収縮方向と直交する方向(MD)について測定した。また、下記の基準で評価した結果も併記した。
(◎):引張弾性率が1400MPa以上
(○):引張弾性率が1200MPa以上1400MPa未満
(×):引張弾性率が1200MPa未満
フィルムをMD10mm、TD100mmの大きさに切り取り、70℃、80℃、及び90℃の温水バスに10秒間それぞれ浸漬し、収縮量を測定した。熱収縮率は、フィルムの主収縮方向(TD)について、収縮前の原寸に対する収縮量の比率を%値で表示した。
フィルムからMD50mm、TD1000mmの大きさに切り取り、30℃の雰囲気の恒温槽に30日間放置し、フィルムの主収縮方向(TD)について、収縮前の原寸に対する収縮量を測定し、その比率を%値で表示した。
JIS K7105に準拠してフィルム厚み50μmでフィルムのヘーズ値を測定した。
JIS K7127に準じて、温度23℃、試験速度200mm/分の条件でフィルムの主収縮方向(TD)について測定した。この際、測定する試験片は20個とし、結果の平均値をTD引張破断伸度とした。
JIS K7127に準じて、温度−5℃、試験速度200mm/分の条件でフィルムの主収縮方向と直交する方向(MD)について測定した。この際、測定する試験片は20個とし、結果の平均値をMD低温引張破断伸度とした。
フィルムを30℃の雰囲気の恒温槽に30日間放置した後、JIS K7127に準じて、温度−5℃、試験速度200mm/分の条件でフィルムの主収縮方向と直交する方向(MD)について測定した。この際、測定する試験片は20個とし、結果の平均値を経時後の低温引張破断伸度とした。
接着層(AD層)の原料樹脂ペレットを熱プレス加工機械により200℃、10MPa、10分の条件にてシート化(200μm)した後、試料を4×60mmに切り出し、粘弾性スペクトロメーターDVA−200(アイティ計測(株)製)を用い、振動周波数10Hz、ひずみ0.1%、昇温速度3℃/分、チャック間25mmで長手方向について、−150〜150℃まで測定し、得られたデータから損失弾性率(E”)のピーク値を求め、その時の温度をTgとした。
フィルムのTDの両端より10mmの位置で、テトロヒドロフラン(THF)溶剤を用いて接着し、筒状ラベルを製造した。シール部分を円周方向(TD)に15mm幅に切り取り、それを恒温槽付引張試験機((株)インテスコ製「201X」)にて、TDに試験速度200mm/分の条件でT型剥離強度試験を行い、下記の基準で評価した。
◎:シール強度が5N/15mm幅以上
○:シール強度が4N/15mm幅以上5N/15mm幅未満
×:シール強度が3N/15mm幅未満
10mm間隔の格子目を印刷したフィルムをMD100mm×TD298mmの大きさに切り取り、TDの両端を10mm重ねてテトロヒドロフラン(THF)溶剤で接着し、円筒状フィルムを作製した。この円筒状フィルムを、容量1.5Lの円筒型ペットボトルに装着し、蒸気加熱方式の長さ3.2m(3ゾーン)の収縮トンネル中を回転させずに、約4秒間で通過させた。各ゾーンでのトンネル内雰囲気温度は、蒸気量を蒸気バルブで調整し、70〜85℃の範囲とした。フィルム被覆後は下記基準で評価した。
◎:収縮が十分でシワ、アバタ、格子目の歪みが全く生じない。
○:収縮が十分でシワ、アバタ、格子目の歪みがごく僅かに生じる
×:収縮は十分だがシワ、アバタ、格子目の歪みが顕著に生じる
得られた熱収縮フィルムを粉砕器にて粉砕して再生ペレット化した後、フィルム100質量部に対して50質量部に相当する量を中間層(M層)に再生添加して、各実施例と同様にして再生添加フィルムを得た。得られた再生添加フィルムを用いて、JIS K7105に準拠してヘーズ値を測定した。また、下記の基準で評価した結果も併記した。
◎:ヘーズ値が5%未満
○:ヘーズ値が5%以上10%未満
×:ヘーズ値が10%以上
得られた熱収縮フィルムを巻いて外面同士(帯電防止剤を塗布したフィルムの場合は塗布面同士)を重ね合わせ、テスター産業 ヒートシールテスター TP−701−Aを用いて、0.1MPaの加圧下で70℃から120℃まで1℃間隔で加熱し、それぞれ1分間保持した。加圧加熱後、試料を10mm×40mmの大きさに切り出し、フィルム端部から剥がして、フィルム表面の融着の有無を確認した。フィルムが融着し始める直前の温度を確認して、N数=3にて全試料が融着しない温度を耐熱融着温度とした。また、下記の基準で評価した結果も併記した。
◎:100℃を超える温度にて融着するもの
○:90℃〜100℃の温度で加熱すると融着するもの
×:90℃未満の温度でも融着するもの
表1に示すように、表面層(S層)の非晶性ポリエステル系樹脂としてジカルボン酸残基がテレフタル酸残基、ジオール残基がエチレングリコール残基68mol%と1,4−シクロヘキサンジメタノール残基32mol%の共重合ポリエステル樹脂(以下「PET1」と略称する)100質量部と、結晶性ポリエステル系樹脂としてジカルボン酸残基がテレフタル酸残基、ジオール残基が1,4−ブタンジオール残基であるポリエステル樹脂(以下「PBT1」と略称する)30質量部との混合樹脂組成物を用いた。また、中間層(M層)のスチレン系樹脂として、SBSブロック共重合体(スチレン/ブタジエン=90/10、貯蔵弾性率E’=2.5×109Pa、損失弾性率E”ピーク温度=54℃、ビカット軟化点=76℃、以下「SBS1」と略称する。)45質量%とSBS(スチレン/ブタジエン=71/29、貯蔵弾性率E’=2.1×108Pa、損失弾性率E”ピーク温度=−46℃及び84℃、ビカット軟化点=69℃、以下「SBS2」と略称する。)55質量%との混合樹脂組成物100質量部と、該組成物100質量部に対して酸化防止剤(住友化学社製、商品名:スミライザーGS)0.2質量部とを含有する樹脂組成物を用いた。さらに接着層(AD層)のスチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素又はその水素添加誘導体として、SIS(JSRクレイトンポリマー社製 クレイトンD1124、スチレン含有率30質量%、Tg−56℃、以下「AD1」と略称する。)を用いた。各層を構成する原料をそれぞれ別個の三菱重工業株式会社製2軸押出機に投入し、設定温度240℃で溶融混合後、各層の厚みが表面層(S層)/接着層(AD層)/中間層(M層)/接着層(AD層)/表面層(S層)=55μm/7μm/151μm/7μm/55μmとなるよう3種5層ダイスより共押出し、60℃のキャストロールで引き取り、冷却固化させて幅300mm、厚さ275μmの未延伸積層シートを得た。次いで、京都機械株式会社製フィルムテンター設備にて、予熱温度105℃、延伸温度90℃で横一軸方向に5.5倍延伸した後、冷風で急冷して、厚さ50μmの熱収縮性積層フィルムを得た。
また、得られた熱収縮フィルムを粉砕器にて粉砕して再生ペレット化した後、フィルム100質量部に対して50質量部に相当する量を中間層(M層)に再生添加して、上記と同様にして再生添加後の熱収縮性積層フィルムを得た。再生添加を行った後の中間層(M層)の樹脂組成は、中間層を構成するスチレン系樹脂組成物100質量部に対し、表裏層(S層)を構成する樹脂組成物が42質量部、接着層(AD層)を構成する樹脂組成物が4質量部であった。
得られたフィルムを評価項目の全てに対して問題がなかったものを(○)、1つでも問題があったものを(×)として総合評価した。得られた結果を表2に示す。
表1に示すように、表面層(S層)を構成するPBT1の含有量を10質量部に変更した以外は、実施例1と同様に熱収縮性積層フィルム及び再生添加後の熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
表1に示すように、接着層(AD層)を構成するAD1をスチレン−イソプレン共重合体(クラレ社製 ハイブラー5125、スチレン含有量20質量%、Tg−14℃)(以下「AD2」と略称する)に変更した以外は、実施例1と同様に熱収縮性積層フィルム及び再生添加後の熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
表1に示すように、表面層(S層)に用いたPBT1をジカルボン酸残基がテレフタル酸残基90mol%とイソフタル酸残基10mol%、ジオール残基が1,4−ブタンジオール残基である共重合ポリブチレンテレフタレート樹脂(以下「PBT2」と略称する)30質量部に変更した以外は、実施例1と同様に熱収縮性積層フィルム及び再生添加後の熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
表1に示すように、表面層(S層)に用いたPBT1をジカルボン酸残基がテレフタル酸残基89mol%とイソフタル酸11mol%、ジオール残基がエチレングリコール残基である共重合ポリエチレンテレフタレート樹脂(以下「PET2」と略称する)20質量部に変更した以外は、実施例1と同様に熱収縮性積層フィルム及び再生添加後の熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
表1に示すように、表面層(S層)に用いたPET2をポリトリメチレンテレフタレート(以下「PTT」と略称する)20質量部に変更した以外は、実施例5と同様に熱収縮性積層フィルム及び再生添加後の熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
表1に示すように、表面層(S層)上に耐熱層を形成するために、キス方式のロールコーターを用いて東邦化学工業(株)製の「アンステックスC200X」の水溶液(カチオン系界面活性剤、界面活性剤濃度50%、以下「SAA1」という。)を延伸前のシートに塗布した。その後、実施例1と同様の条件で延伸することにより表面層(S層)上にSAA1を0.0006g/m2含有する耐熱層を設けた。得られた熱収縮性積層フィルム及び再生添加後の熱収縮性積層フィルムを評価した結果を表2に示す。
表1に示すように、耐熱層をSAA1:0.006g/m2含有する耐熱層に変更した以外は、実施例7と同様の方法により表面層(S層)上に耐熱層を形成した。得られた熱収縮性積層フィルム及び再生添加後の熱収縮性積層フィルムを評価した結果を表2に示す。
表1に示すように、表面層(S層)上に耐熱層を形成するために、キス方式のロールコーターを用いてSAA1を延伸前のシートに塗布した。その後、実施例4と同様の条件で延伸することにより表面層(S層)上にSAA1を0.0015g/m2含有する耐熱層を設けた。得られた熱収縮性積層フィルム及び再生添加後の熱収縮性積層フィルムを評価した結果を表2に示す。
表1に示すように、表面層(S層)上に耐熱層を形成するために、キス方式のロールコーターを用いて花王(株)製の「エレクトロストリッパーAC」の水溶液(両性界面活性剤、界面活性剤濃度9.9%、以下「SAA2」という。)を延伸前のシートに塗布した。その後、実施例2と同様の条件で延伸することにより表面層(S層)上にSAA2を0.0015g/m2含有する耐熱層を設けた。得られた熱収縮性積層フィルム及び再生添加後の熱収縮性積層フィルムを評価した結果を表2に示す。
表1に示すように、耐熱層を、SAA2を0.0045g/m2含有する耐熱層に変更した以外は、実施例10と同様の方法により表面層(S層)上に耐熱層を形成した。得られた熱収縮性積層フィルム及び再生添加後の熱収縮性積層フィルムを評価した結果を表2に示す。
表1に示すように、表面層(S層)に用いたPET1とPBT1からなる混合樹脂組成物をPET1 100質量部とPBT220質量部との混合樹脂組成物に変更し、接着層(AD層)を有さず、中間層(M層)の組成をSBS1とSBS2の混合樹脂組成物からPET1単体に変更し、積層シートの厚みが表面層(S層)/中間層(M層)/表面層(S層)=100μm/75μm/100μmとなるように2種3層ダイスより共押出した以外は、実施例1と同様に熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルム及び再生添加後の熱収縮性積層フィルムを評価した結果を表2に示す。
表1に示すように、表面層(S層)に用いたPET1とPBT1からなる混合樹脂組成物をPET1単体とした以外は、実施例1と同様に熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルム及び再生添加後の熱収縮性積層フィルムを評価した結果を表2に示す。
表1に示すように、表面層(S層)に用いたPET1とPBT1からなる混合樹脂組成物の質量比をPET1 100質量部に対して、PBT1を50質量部に変更した以外は、実施例1と同様に熱収縮性積層フィルム及び再生添加後の熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
表1に示すように、接着層(AD層)に用いたAD1をEAA(日本ポリエチ社製 ノバテックA500W、AA含有量20wt%)(以下「AD3」と略称する)に変更した以外は、実施例1と同様に熱収縮性積層フィルム及び再生添加後の熱収縮性積層フィルムを得た。得られたフィルムを評価した結果を表2に示す。
これより、本発明のフィルムは、フィルムの腰、自然収縮、再生添加時の透明性が良好であり、かつフィルムの経時的な機械強度低下、層間剥離が抑制された、収縮包装、収縮結束包装や収縮ラベル等の用途に適した熱収縮性積層フィルムであることが分かる。
Claims (13)
- 表面層(S層)、中間層(M層)及び接着層(AD層)を有する積層フィルムであって、各層が下記成分を主成分とする樹脂組成物からなるとともに、フィルム主収縮方向と直交する方向のJIS K7127に準拠して測定される引張弾性率が1200MPa以上であり、かつJIS K7127に準拠して測定される23℃におけるフィルム主収縮方向の引張破断伸度が40%以上であることを特徴とする熱収縮性積層フィルム。
表面層(S層):多価カルボン酸残基及び多価アルコール残基を含有する非晶性ポリエステル系樹脂と、該非晶性ポリエステル系樹脂100質量部に対して1質量部以上40質量部以下の結晶性ポリエステル系樹脂とからなる樹脂組成物
中間層(M層):スチレン系樹脂組成物
接着層(AD層):スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はその水素添加誘導体を含み、該共重合体又は水素添加誘導体中のスチレン系炭化水素の含有率が5質量%以上40質量%以下である樹脂組成物 - 前記中間層(M層)が該中間層(M層)を構成する樹脂組成物100質量部に対し、前記表面層(S層)を構成する樹脂組成物1質量部以上100質量部以下を含む請求項1に記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記中間層(M層)が該中間層(M層)を構成する樹脂組成物100質量部に対し、前記接着層(AD層)を構成する樹脂組成物1質量部以上30質量部以下を含む請求項1又は2に記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記表面層(S層)を構成する非晶性ポリエステル系樹脂が、芳香族ジカルボン酸残基とジオール残基とからなり、全ジオール残基中に15モル%以上50モル%以下の1,4−シクロヘキサンジメタノール残基を含有する非晶性ポリエチレンテレフタレート系樹脂である請求項1乃至3のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記表面層(S層)を構成する結晶性ポリエステル系樹脂が、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリプロピレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンイソフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、ポリエチレンテレフタレート−ネオペンチルテレフタレート共重合樹脂、ポリブチレンテレフタレート−エーテル共重合樹脂、ポリブチレンテレフタレート−イソフタレート共重合樹脂、及びポリトリメチレンテレフタレートからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1乃至4のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記中間層(M層)を構成するスチレン系樹脂組成物が、スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体、スチレン系炭化水素若しくは共役ジエン系炭化水素と共重合可能なモノマーと前記共重合体との共重合体、又はこれらの混合物である請求項1乃至5のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 前記接着層(AD層)を構成するスチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素との共重合体又はその水素添加誘導体のガラス転移温度が20℃以下である請求項1乃至6のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- JIS K7105に準拠して測定されるヘーズ値が10%以下である請求項1乃至7のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- 70℃温水中で10秒間加熱したときの主収縮方向の熱収縮率が10%以上40%以下であり、かつ80℃温水中で10秒間加熱したときの主収縮方向の熱収縮率が30%以上70%以下である請求項1乃至8のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルム。
- JIS K7127に準拠して測定される30℃30日保管後の前記フィルムの−5℃における引張破断伸度が100%以上である請求項1乃至9のいずれかに記載の熱収縮性フィルム。
- 請求項1乃至10のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた成形品。
- 請求項1乃至10のいずれかに記載の熱収縮性積層フィルムを基材として用いた熱収縮性ラベル。
- 請求項11に記載の成形品又は請求項12に記載の熱収縮性ラベルを装着した容器。
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