JP4976916B2 - 眼鏡を掛けた人用マスク - Google Patents
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それに対し、マスク本体部に、その本体部の上縁の、鼻脇の2つのくぼみに対応する位置からそれぞれ上方に延び出して、眼鏡の2つのパッドの各々と重なり合う一対の突出片を設ければ、そのマスクを、眼鏡を掛けた人が使用する際、一対の突出片の各々が眼鏡の2つのパッドの各々により、2つのくぼみの各々の底面に押し付けられることによって、それらくぼみと本体部との隙間が塞がれるため、従来のマスクに比較して、鼻脇のくぼみを通って呼気が眼鏡のレンズへ流れることを良好に防止し、レンズがくもることを容易に防止することができる。しかも、一対の突出片を形成することは容易であり、マスクの製造コストを増大させることがきわめて少なくて済む。
前記本体部が、その本体部の上縁の、中央の両側においてそれぞれその中央より上方に延び出し、前記鼻とその鼻の両側に位置する両頬との間において鼻に沿って延びるくぼみを塞ぐ一対の突出片を備えたことを特徴とするマスク。
本体部の上縁の中央には一対の突出片に挟まれた凹部が形成されることとなるが、この凹部の形状は、凹部の縁を形成する突部の側縁を鼻の側面に密着し易くする上で、V字形あるいはV字の底部に丸味を付けた形状とすることが望ましい。
上記通気性を有する材料としては、不織布,織布等が採用でき、織布としてはガーゼが適している。
(2)当該マスクが眼鏡を掛けた人用であり、前記一対の突出片の各上端部が、正面視において前記眼鏡の一部と重なり合う(1)項に記載のマスク。
突出片の前記上縁の中央に対する突出量は、突出片の形状,剛性,厚み等に応じて変えられるべきであるが、一般に、鼻脇のくぼみを塞ぐ機能を高める上では3mm以上,5mm以上,7mm以上,10mm以上とされることが望ましい。
一対の突出片を、鼻脇のくぼみを塞ぐに十分なものとしようとすれば、突出片の突出量を大きくすることが必要になり、正面視において眼鏡の一部と重なり合うことが多くなる。通常であれば、マスクの本体部が眼鏡の内側に入り込めば、水蒸気が一層レンズに導かれ易くなり、レンズがくもり易くなるのであるが、本マスクにおいては、一対の突出片は鼻脇のくぼみを塞ぐものであるため、眼鏡と重なりあってもレンズを曇らせることがないか、少なくとも曇らせることが少なくて済む。
(3)前記一対の突出片の前記上端部がそれぞれ眼鏡のパッドと重なり合い、そのパッドにより前記くぼみの底面に押し付けられる(2)項に記載のマスク。
眼鏡のパッドに一対の突出片の上端部を鼻脇のくぼみの底面に押し付けさせれば、鼻脇のくぼみを特に良好に塞ぐことができる。眼鏡には必ずパッドが設けられているため、眼鏡の種類を問わず、くもりを良好に防止し得る。
(4)前記一対の突出片の少なくとも一部にそれぞれ、前記眼鏡のレンズを囲む枠またはレンズの縁と接触することによりそれら枠あるいは縁により押さえられ、前記一対の突出片の各々を前記くぼみの底面に押し付ける押付部が設けられた(2)項に記載のマスク。
眼鏡の枠またはレンズの縁に押付部を押さえさせることにより、押付部に突出片を鼻脇のくぼみの底面に押し付けさせれば、眼鏡の種類を問わず、鼻脇のくぼみを良好に塞ぐことができる。
(5)前記押付部がクッション材により形成された部分を含む(4)項に記載のマスク。
クッション材は(4)項以外の態様のマスクにも適用可能であり、その場合には(4)項の押付部を構成するクッション材より薄くされることが望ましいことが多い。
(6)前記クッション材が、軟質ウレタンフォーム,ポリスチレンフォームおよびわたから選ばれた材料から成る(5)項に記載のマスク。
フォームは比較的柔軟性の高いもの、すなわち単位長さ当たりのセル数が比較的小さいもの(例えば25〜30/25mmの衣料用軟質ウレタンフォーム、JIS K6402−1976 QE相当のもの)あるいは密度の比較的小さいもの(例えば0.010以上0.014未満のポリスチレンフォーム包装用緩衝材、JIS Z 1536−1975の5号相当のもの)が望ましい。フォームは、多数の気泡が互いに独立したものでも、互いに連通したものでもよいが、押付部も適度の通気性を有することが望ましく、その観点からは後者が好適である。また、わたは、天然繊維のわたでもよく、化学繊維のわたでもよい。わたを構成する繊維同士が単純に絡み合わされているものでも、局部的に結合されているものでもよい。後者は、クッション材の形状を安定に保つ上で優れている。
(7)前記クッション材がそのクッション材より肌理の細かな表皮により覆われた(5)項または(6)項に記載のマスク。
クッション材、特に柔らかなクッション材は表面が平滑ではないことが多く、見映えあるいは使い勝手が悪い。本項の構成を採用すれば、柔らかいクッション材のこの欠点を軽減することができる。本体部が複数枚のシートが重ね合わされたものである場合、最も外側のシートの一部を表皮とすることもできる。表皮は、微小な穴を多数有するものとすることも、穴を有しないものとすることも可能である。押付部も適度の通気性を有することが望ましく、その観点からは前者が好適である。
(8)前記表皮が前記本体部と同じ色を有する(7)項に記載のマスク。
押付部が本体と同じ色となり、見映えが向上する。肌理も本体部と同じにすれば、一層見映えがよくなる。
(9)少なくとも前記一対の突出片に設けられ、それら一対の突出片の剛性を前記本体部の他の部分より大きくする剛性付与部を含む(1)項ないし(8)項のいずれかに記載のマスク。
剛性付与部を設けて一対の突出片を比較的剛性の高いものとすれば、突出片を眼鏡の一部に押させさせなくても、突出片自体の腰により、鼻脇のくぼみの底面に密着させることができる。
本項の特徴は、(2)項ないし(8)項の特徴とは別個に採用し得、その場合に、眼鏡との接触が不可欠ではなくなる利点があるが、(2)項ないし(8)項の特徴と併用すれば眼鏡のくもりを一層確実に防止することができる。
(10)前記剛性付与部が、前記突出片と、前記本体部の前記突出片の基端に隣接する隣接部とに跨る領域に配設された(9)項の記載のマスク。
マスクの中には、使用中、本体部の形状が3次元の立体的な形状を保つものとされるものがあり、この種のマスクに本項の特徴を適用すれば、突出片を本体部の立体形状の延長方向に延びる状態とすることにより、良好に鼻脇のくぼみに押し付けることが可能となる。
(11)前記本体部が複数枚のシート材が合わされて構成され、前記剛性付与部がそれら複数枚のシート材の間に挟まれた剛性付与層を含む(9)項または(10)項に記載のマスク。
剛性付与層は、例えば、複数枚のシートとは別体の弾性シート(剛性付与シート)でもよく、複数枚のシートの少なくとも1枚に固着された剛性付与層でもよい。複数枚のシートの互いに対向する面同士を接着する接着層や複数のシートを互いに溶着することにより剛性が増された溶着部でもよい。これら弾性シート,剛性付与層,接着層,溶着部等は、突出片を鼻脇のくぼみの底面に密着させるには十分な大きさであり、マスクを装着している人に違和感を抱かせるほどには大きくない適度な弾性を有するものであることが望ましい。また、押付部も適度の通気性を有することが望ましく、その観点から、剛性付与部も通気性を有するものとすることが望ましい。
(12)前記剛性付与部が前記突出片の表面に固着された剛性付与層を含む(9)項または(10)項に記載のマスク。
剛性付与層は通気性を低下させる場合が多いため、突出片の表面側に形成し、使用者の肌に直接接触しないようにすることが望ましい場合が多い。(11)項における剛性付与層に関する説明が本項における剛性付与層にも当てはまる。
(13)前記眼鏡に装着され、前記一対の突出片をそれぞれ前記くぼみの底面に押し付ける押付部材を含む(1)項,(2)項,(9)項ないし(12)項のいずれかに記載のマスク。
押付部材は、金属,硬質樹脂等、硬質の弾性材料から成るものとしても、軟質樹脂から成るものとしてよい。ただし、いずれにしても、適度の弾性を有して、眼鏡の種類やマスク使用者の顔形等によって変わる押付部材装着部とマスクの突出片との相対位置のばらつきを吸収し得るものとされることが望ましい。また、押付部材を、互いに異なる材料により形成される複数の部分を備えたものとすることも可能である。例えば、押付部材の眼鏡への取付部は比較的大きな剛性および弾性変形能を有する材料により形成し、押付部は適度な弾性を有する材料により形成し、他の一部を比較的容易に塑性変形させ得る材料により形成し、その塑性変形容易部の塑性変形により、押付部材を、使用者が眼鏡の形状やマスク装着者の顔形に合った形状として、使用し得るものとするのである。
本押付部材は、(1)項におけるように、マスク本体の上縁から突出した1対の突出片を備えたマスクと組み合わせて使用する場合に特に有効である。しかし、突出片がなく上縁がほぼ水平な本体部や、中央が最も高く、側方に向かうに従って低くなる向きに傾斜した本体部を備えたマスクと組み合わせて使用しても、眼鏡レンズのくもり止め効果が得られる。本項の特徴は、(1)項の特徴とは別個に採用することも可能なのである。
(14)前記押付部材が前記眼鏡に着脱可能である(13)項に記載のマスク。
押付部材は眼鏡に取り外し不能に取り付けられるものとすることも可能である。しかし、着脱可能とされることが望ましい。後者の場合、押付部材自体が眼鏡の一部に着脱されるようにしても、眼鏡に押付部材保持部材を恒久的に固着し、その押付部材保持部材に押付部材を着脱し得るようにしてもよい。
(15)前記押付部材が、前記眼鏡の左右のレンズ枠またはレンズを連結するブリッジと、そのブリッジの上方において左右のレンズ枠またはレンズを連結するプレースバーとの少なくとも一方を利用して眼鏡に取り付けられる(13)項または(14)項に記載のマスク。
眼鏡は必ずブリッジを有し、ブリッジと共にプレースバーを有するものもある。したがって、これらブリッジあるいはプレースバーを利用して押付部材を眼鏡に取り付け得るようにすることが便利である。
(16)前記押付部材が、前記眼鏡のメタルフレームのパッド足とパッド箱との少なくとも一方を利用して装着される(13)項ないし(15)項のいずれかに記載のマスク。
眼鏡がメタルフレームを有するものである場合には、フレームにパッドを取り付けるためのパッド足およびパッド箱が設けられるのが普通であり、これらパッド足とパッド箱との少なくとも一方を利用して押付部材が着脱されるようにすることが便利である。本項が(15)項に従属する場合は、押付部材がブリッジとプレースバーとの少なくとも一方と、パッド足とパッド箱との少なくとも一方との両方を利用して装着することとなり、特に安定して装着することができる。
(17)通気性を有する材料から成り、口と鼻とを覆う本体部と、その本体部の両側部から延び出して耳に掛けられる耳掛部とを含むマスクであって、
前記本体部が、その本体部の上縁の、中央の両側の、前記鼻とその鼻の両側に位置する両頬との間において鼻に沿って延びる2つのくぼみの各々に対応する位置から上方に延び出して眼鏡の2つのパッドの各々と重なり合い、それらパッドにより前記2つのくぼみの各々の底面に押し付けられることによってそれらくぼみを塞ぐ一対の突出片を含むことを特徴とする眼鏡を掛けた人用マスク。
(18)前記一対の突出片の間に形成された下向きの凹部の最下部からそれら突出片の最上部までの距離が7mm以上とされた(17)項に記載の眼鏡を掛けた人用マスク。
(19)前記一対の突出片の間に形成された前記凹部がV字形を成す(18)項に記載の眼鏡を掛けた人用マスク。
(20)前記本体部の上縁が、前記一対の突出片の各々と左端および右端との間においてそれぞれ下に凸に湾曲した曲線により画定された(18)項または(19)項に記載の眼鏡を掛けた人用マスク。
(21)前記本体部の上縁が、前記一対の突出片の各々と左端および右端との間においてそれぞれ下に凸に湾曲した曲線により画定されるとともに、前記一対の突出部の上端部において上向きに凸に湾曲させられ、その上向きに凸に湾曲させられた部分が、前記凹部を画定する縁に滑らかに連ならされた(18)項または(19)項に記載の眼鏡を掛けた人用マスク。
(22)前記本体部が、それぞれ複数枚の布から成って互いに対称の形状を有する右構成部と左構成部とを含み、それら右構成部と左構成部とが、それぞれの一方の側縁に、(a)外方に凸の湾曲部,(b)その湾曲部の上端から上部ほど後方に位置する向きに傾斜した第1傾斜部,および(c)その第1傾斜部の上端からさらに大きな傾斜角度で後方に傾斜させられた第2傾斜部を備え、前記湾曲部および前記第1傾斜部において互いに結合される一方、前記第2傾斜部においては結合されず、それら左構成部と右構成部とが左右に開かれた状態で中高の3次元形状を呈するとともに、前記互いに結合されない第2傾斜部が前記一対の突出片の間の前記下向きの凹部を形成する(17)項ないし(21)項のいずれかに記載の眼鏡を掛けた人用マスク。
なお、図示の例では、第3係合部120が帯板状とされて、パッド箱122の一側面に安定して係合するようにされている。しかし、横断面形状を円形とすることも可能であり、逆に横断面形状をコの字形とするなどにより、積極的にパッド箱122を保持する形状としてもよい。
Claims (6)
- 通気性を有する材料から成り、口と鼻とを覆う本体部と、その本体部の両側部から延び出して耳に掛けられる耳掛部とを含むマスクであって、
前記本体部が、その本体部の上縁の、中央の両側の、前記鼻とその鼻の両側に位置する両頬との間において鼻に沿って延びる2つのくぼみの各々に対応する位置から上方に延び出して眼鏡の2つのパッドの各々と重なり合い、それらパッドにより前記2つのくぼみの各々の底面に押し付けられることによって、それらくぼみと当該本体部との隙間を塞ぐ一対の突出片を含むことを特徴とする眼鏡を掛けた人用マスク。 - 前記一対の突出片の間に形成された下向きの凹部の最下部からそれら突出片の最上部までの距離が7mm以上とされた請求項1に記載の眼鏡を掛けた人用マスク。
- 前記一対の突出片の間に形成された前記凹部がV字形を成す請求項2に記載の眼鏡を掛けた人用マスク。
- 前記本体部の上縁が、前記一対の突出片の各々と左端および右端との間においてそれぞれ下に凸に湾曲した曲線により画定された請求項2または3に記載の眼鏡を掛けた人用マスク。
- 前記本体部の上縁が、前記一対の突出片の各々と左端および右端との間においてそれぞれ下に凸に湾曲した曲線により画定されるとともに、前記一対の突出部の上端部において上向きに凸に湾曲させられ、その上向きに凸に湾曲させられた部分が、前記凹部を画定する縁に滑らかに連ならされた請求項2または3に記載の眼鏡を掛けた人用マスク。
- 前記本体部が、それぞれ複数枚の布から成って互いに対称の形状を有する右構成部と左構成部とを含み、それら右構成部と左構成部とが、それぞれの一方の側縁に、(a)外方に凸の湾曲部,(b)その湾曲部の上端から上部ほど後方に位置する向きに傾斜した第1傾斜部,および(c)その第1傾斜部の上端からさらに大きな傾斜角度で後方に傾斜させられた第2傾斜部を備え、前記湾曲部および前記第1傾斜部において互いに結合される一方、前記第2傾斜部においては結合されず、それら左構成部と右構成部とが左右に開かれた状態で中高の3次元形状を呈するとともに、前記互いに結合されない第2傾斜部が前記一対の突出片の間の前記下向きの凹部を形成する請求項2ないし5のいずれかに記載の眼鏡を掛けた人用マスク。
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