JP4976742B2 - 担架 - Google Patents

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Description

本発明は、担架に関しており、さらに詳しくは、階段等の狭い場所での使用に好適な担架に関している。
従来から知られている担架は、方形に形成された搬送布の両側部に当該搬送布から突出する棒材を設けたものであって、搬送布に被搬送者を乗せ、搬送者が搬送布の前後から突出している棒材を握り、二人掛かりで被搬送者を搬送するものであった。しかし、従来タイプの担架は、搬送用の棒材が設けられているので、階段など狭い場所での使用が不便であり使い勝手が良いとは言えなかった。
上記した不便を解消し、狭い場所でも使用が容易な担架並びに搬送用具が提案されており、その一例として、方形状布の四隅部に搬送手段としての取っ手を設け、左右両側部に肩担ぎ紐ないしは肩掛けベルトを設けた担架(特許文献1,2)、また、被搬送者を一人で背負って搬送できるようにした搬送用具がある(特許文献3,4)。
特開2003−38575号公報 登録実用新案第3108190号公報 特開2002−360633号公報 登録実用新案第3119323号公報
特許文献1,2に記載の担架は、搬送用の棒材を使用しないものであり、また担架本体が布製であるから、小回りが可能となり、狭い場所で使用し易いことの利点があるが、被搬送者を担架に固定する手段を備えていないので、被搬送者を搬送する場合は最善の注意を要することが当然であることを前提としても、被搬送者を安定よく搬送することが難しいものである。
また、特許文献3,4に記載の搬送器具は、被搬送者を一人で背負って搬送できる利点があるが、成人一人を背負うにはそれなりの体力が要求されるので、たとえ健常者であっても、被搬送者を背負うのは容易でなく、まして体力的に劣る高齢者にとっては使い勝手が良いとは言えないものである。
従来から担架は、急病人や怪我人を搬送するための用具として用いられてきたが、近時は、介護施設などにおいて高齢者が高齢者を介護する場合にも使用されており、担架が病人や怪我人の搬送以外の目的で使用されることが多くなってきている。このような要求を満たすためには、使用方法が簡単なこと、2〜3人で搬送することを想定すれば、搬送作業に過大の体力を要しないことが重要な問題となる。
本発明が解決しようとする課題は、搬送用の棒材を不要にすることで、階段などの狭い場所でも被搬送者を容易に搬送でき、かつ、被搬送者の固定手段を備えることで、安定よく搬送できるようにした担架を提供することである。
課題を解決するための第1の手段は、担架が、樹脂シート又は布製シートなどによる軟質シート材により構成されている担架部材と足載せ部材とが展開した状態で連続して形成されており、上記担架部材は被搬送者を仰向けに寝かせた時に背中及び腰部を支えるものであって、基端部に頭載台及び該頭載台の両側に隣接し上記足載せ部材の先端部に達する長さを有する一対の搬送ベルトを設け、上記搬送ベルトの自由端に当該搬送ベルト同士又は上記足載せ部材に着脱自在に結合する結合具を設け、上記頭載台と上記搬送ベルトとを連結紐により連結し、上記担架部材の中央部両側縁に被搬送者の胸部及び/又は腹部を当該担架部材に固定するための胴部固定ベルトを設け、該胴部固定ベルトは重合部分に面ファスナーを設けて開閉自在とし、上記担架部材の先端部近傍に大腿部固定ベルトを設け、該大腿部固定ベルトの自由端に当該大腿部固定ベルト同士を着脱自在に結合する結合具を設け、上記担架部材の基端部近傍に肩部固定ベルトを設け、該肩部固定ベルトは先端部に当該担架部材に着脱自在に結合する結合具を設け、上記足載せ部材に足挿入袋を設けるとともに、当該足載せ部材の自由端に肩掛け搬送ベルトを着脱自在に結合する結合具を設け、上記担架部材の裏面四隅部に取手環を設けけたものであって、担架は背負い型と担架型の搬送が可能であり、背負い型は、被搬送者を上記担架部材に仰向け状態に固定して当該担架部材の基端部を起し、搬送は前方搬送者と後方搬送者で行い、前方搬送者が立て膝をした状態で上記担架部材の裏面部を背中に当接し、自由状態になっている上記搬送ベルトを前方搬送者の正面に引出して結合し、後方搬送者が上記肩掛け搬送ベルトを上記足載せ部材に固定して肩に掛けて搬送するものであり、担架型は、被搬送者を上記担架部材に固定して上記搬送ベルトを上記足載せ部材に固定し、搬送は二人で行い、各人が当該搬送ベルトを肩に掛けて搬送するものであることを特徴とするものである。
課題を解決するための第2の手段は、解決手段の第1において、担架部材と搬送ベルトとの間に、両者を連結する補助搬送ベルトを設けたことを特徴とするものである。
課題を解決するための第3の手段は、解決手段の第1又は2において、足載せ部材は任意の位置に杖収納袋を設けたことを特徴とするものである。
請求項1は、担架が樹脂シート又は布製シートなどによる軟質シート材により構成されており、担架を使用する時は、背負い型と担架型の搬送が選択でき、背負い型により被搬送者を搬送する場合は、担架に被搬送者を仰向けにして胴部固定ベルトなどの固定手段により固定したのち担架部材の基端部を起し、該担架部材の裏面を前方搬送者が背中で背負い、自由状態になっている搬送ベルトを前方搬送者の正面で結合し、後方搬送者が足載せ部材に結合した肩掛け搬送ベルトを肩に掛け、被搬送者の脚部姿勢を水平状態とし、前方搬送者及び後方搬送者の二人の搬送者によって搬送するものであるから、階段などの狭い通路での使用又はエレベータに乗り込むことが容易であることの効果がる。
請求項1は、被搬送者の固定手段として、面ファスナーにより開閉自在な胴部固定ベルト及び結合具により着脱自在な大腿部固定ベルト並びに肩部固定ベルトを設けたものであるから、被搬送者を担架への固定が迅速かつ容易になるものであり、さらに、足載せ部材に足挿入袋を設けているから、被搬送者の足先を挿入すれば、上記固定手段と相俟って被搬送者を安定よく担架に固定することができる効果がある。
また、請求項1は、被搬送者の頭部を支える頭載台を有しており、頭載台が連結紐によって搬送ベルトに連結されているから搬送中に頭載台が動くのを防ぐことができるので、担架を背負い型によって使用した場合、搬送中は当該頭載台がやや起された状態になるから、被搬送者は頭部が下がることによる不安感がないだけでなく、搬送中は後方搬送者と正対した状態で搬送されるので、仰向けに寝たまま搬送される場合と異なり安心した心地で搬送されるものとなる。この他、担架型で搬送される場合であっても、被搬送者は側部搬送者の顔を見ることができるので、搬送中の不安感が解消される利点がある。
この他、請求項1は、担架部材の裏面四隅部に取手環を設けたものであるから、担架を担架型で搬送する場合の側部搬送者の取っ手となり、また、背負い型で搬送する場合は搬送ベルトを通して担架部材を背負い易くしており、安全性が確保できる効果がある。
さらに請求項1は、担架を背負い型によって使用した場合、前方搬送者は両手が解放された状態で搬送できるので、安定感があるだけでなく、例えば、狭い場所又は階段では、壁に伝わりながら搬送することができる等の利点がある。
請求項2は、担架部材と搬送ベルトとの間に両者を連結する補助搬送ベルトを設けたものであるから、被搬送者を搬送する時は担架に固定しているが、当該固定手段を補助して万一にも被搬送者が担架から脱落することを防止する効果がある。
請求項3は、足載せ部材に杖収納袋を設けたものであるから、担架の搬送に使用する杖を予め確保しておくことができることの効果がある。
図1は本発明の担架を表面側からみた状態を示す全体の斜視図、図2は本発明の担架を裏面側からみた状態を示す全体の斜視図、図3は本発明の担架を示す断面図、図4は担架に被搬送者を固定した状態を示す平面図、図5は背負い型で被搬送者を搬送する場合の作業手順を示す斜視図、図6は担架の足載せ部材に肩掛けベルトを結合する状態を示す斜視図、図7は背負い型で被搬送者を搬送している状態を示す斜視図、図8は担架型で被搬送者を搬送する場合の作業手順を示す斜視図、図9は担架型で被搬送者を搬送している状態を示す斜視図である。図10は足挿入袋の先端に杖を収容する杖収容袋を設けた状態を示す斜視図である。
図1から図3において、担架1は、展開した状態で担架部材100及び足載せ部材200が連続して形成されたものであり、該担架部材100並びに足載せ部材200は、樹脂シート又は布製シートなどによる軟質シート材により構成されている。
上記担架部材100は、本体部分が被搬送者を仰向きに寝かせた時に背中及び腰部を支えるものであり、内部に詰物を収容するなどにより適度な厚みを持たせ、被搬送者が心地よく搬送されるようにしている。また、担架部材100の基端部には、被搬送者の頭部を支えるための頭載台101が設けられている。
本明細書において、担架1及び担架部材100の「基端部」とは、頭載台101が設けられている部分、すなわち、被搬送者を搬送する時の被搬送者の頭部方向となる端縁をいい、また、担架1の「先端部」とは、足載せ部材200の自由端をいい、担架部材100の「先端部」とは、足載せ部材200を設けた方の端縁をいう。
上記した担架部材100の基端部には、上記頭載台101の両側に隣接する一対の搬送ベルト102が設けられており、当該搬送ベルト102は、先端部に第1の結合具103が設けられ、途中に長さ調整具104が設けられており、全体の長さが調整できるようになっている。なお、搬送ベルト102は、上記足載せ部材200の先端部にまで達する長さを有している。
上記した担架部材100の略中央部分の両側縁には、被搬送者の胸部及び/又は腹部を担架1に固定するための胴部固定ベルト105が設けられており、該胴部固定ベルト105は、被搬送者の胸部及び/又は腹部を重合できる長さを有している。なお、胴部固定ベルト105の重合部分に面ファスナー106を設けて開閉自在としている。
また、上記担架部材100には、胴部固定ベルト105を設けた位置に、当該担架部材100と上記搬送ベルト102を連結した補助搬送ベルト107が設けられている。補助搬送ベルト107は、被搬送者の固定手段を補助し、万一にも被搬送者が担架から脱落するのを防止している。さらに、上記頭載台101と上記搬送ベルト102は、連結紐108により連結されており、搬送中に頭載台101が動くのを防ぎ、被搬送者の頭部を固定して搬送できるようにしている。
また、上記担架部材100の先端部には、被搬送者の大腿部を固定する大腿部固定ベルト110が設けられており、該大腿部固定ベルト110の自由端には第2の結合具111が設けられている。なお、上記した搬送ベルト102に設けた第1の結合具103及び大腿部固定ベルト110に設けた第2の結合具111は、いずれも、ベルト同士を結合するものであるから、雄型と雌型が一対で形成されているものを使用する。
上記担架部材100には、頭載台101と胴部固定ベルト105の間に、被搬送者の肩部を固定するための肩部固定ベルト112が設けられている。肩部固定ベルト112は、基部を担架部材100に固定したものであって、長さ調整ができる構造に形成されていると共に、先端部が当該担架部材100に設けた第3の結合具113に対し着脱自在になっている。
また、上記担架部材100の裏面には、基端部に第1の取手環120が設けられ、先端部に第2の取手環121が設けられており、これら取手環は、担架型で被搬送者を搬送する時に使用するものであるが、特に基端部に設けた第1の取手環120は、担架1を背負い型で使用する時に搬送ベルト102を通して担架部材100を背負い易くするものである(図2参照)。
上記の足載せ部材200は、軟質シート材だけで構成されており、先端部に足挿入袋201が設けられている。足挿入袋201は、被搬送者の足先を挿入することで被搬送者の固定手段と相俟って安定よく担架に固定できるものである。また、足載せ部材200の自由端には、上記搬送ベルト102に設けた第1の結合具103と結合させる第4の結合具202が設けられている。なお、第4の結合具202は、第1の結合具103の結合具が雄型構造のものに対しては雌型構造を配置し、雌型構造のものに対しては雄型構造を配置する必要がある。
上記足載せ部材200を担ぐ部材として肩掛け搬送ベルト210が用意されている。該肩掛け搬送ベルト210は、担架1を背負い型で搬送する時に使用するベルトであって、各自由端に足載せ部材200が有する第4の結合具202と結合させる第5の結合具211を設けたものである。また、肩掛け搬送ベルト210は、被搬送者の姿勢を一定に保持できるように、搬送者の身長に合わせて全体の長さが調整できるように、長さ調整具212を有しており、当該搬送ベルト210の長さが調整できるようになっている。
上記肩掛け搬送ベルト210をはじめ、搬送ベルト102,胴部固定ベルト105,肩部固定ベルト112は、担架使用時に所定の結合具と結合するので、緊急時にベルトを正しく結合するために、例えば、結合具を色分けするか又は結合具に数字を表記するなどの手段をとることができる。
この他、実施形態の担架には、附属品として搬送者が使用する杖を装着しておくことができる。後に詳しく説明するが、本発明の担架は、前方及び後方搬送者の二人によって搬送するものであるが、いずれの搬送者も両手が解放されているので、搬送中の安全を確保するために杖が使用できるようになっている。具体的には、図10に示すように、杖220は伸縮可能なものを使用し、縮小した状態で上記足挿入袋201の先端に設けた杖収納袋221内に収容する。なお、杖収納袋221には蓋体222が設けられており、蓋体222は面ファスナーなどにより常時は開口部を閉塞しておく。
実施形態において、杖220を収容する杖収納袋221は担架の長手方向に対し直交する方向、すなわち、杖220が横向き方向に収容されるので、担架搬送時に力が左右に分散されて安定感があり、また、背の低い人を搬送するときは、足載せ部材200が弛む傾向にあるので、その対応のためにも横向きに収容する方が優れている。ただし、杖220の収容位置は、足挿入袋201の先端に限るものでなく任意の場所に収容又は装着することができることは勿論である。
本発明の実施形態は上記のとおりであり、次に、実施形態を使用して被搬送者を搬送する方法を説明する。
実施形態の使用方法には、背負い型と担架型があり、背負い型は前方搬送者と後方搬送者の二人で搬送し、担架型は左右を支持する二人の側方搬送者で搬送する。まず、搬送に先立ち、被搬送者を担架に乗せ固定する。担架1は、担架部材100と足載せ部材200が平らになるように展開し、胴部固定ベルト105は面ファスナー106の係合を解除して担架部材100の外側に拡げ、大腿部固定ベルト110は第2の結合具111の係合を解除してこれも担架部材100の外側に拡げる。また、同時に肩部固定ベルト112も第3の結合具113の係合を解除して自由状態にする。
次に、被搬送者を担架1に仰向け状態に寝かせる。被搬送者は、頭部を頭載台101に乗せ、足部を足載せ部材200の足挿入袋201に挿入する。次いで、胴部固定ベルト105を被搬送者の胸部及び腹部部分で重合して面ファスナー106を係合し、また、大腿部固定ベルト110の第2の結合具111を被搬送者の大腿部において係合し、さらに、肩部固定ベルト112を被搬送者の腋の下から通して第3の結合具113を係合し、これにより、図4に示すように、被搬送者の肩部、胴部及び大腿部のそれぞれを担架部材100に固定し、足部を足載せ部材200の足挿入袋201に挿入して担架1に固定する。
なお、上記肩部固定ベルト112は、長さを調整できる機能を有しているから、被搬送者の体形に応じた長さに調整して肩部を固定する。また、上記搬送ベルト102も長さ調整具104により全体の長さを調整しておく。図4に示す実施形態において、被搬送者は胴部固定ベルト105により胴部のみが固定されており、腕が自由状態になっているから窮屈感がなく開放的であるが、仮に、被搬送者が病人又は怪我人であって腕が不自由な場合は、胴部固定ベルト105によって被搬送者の腕も一緒に固定して搬送するとよい。そうすれば、被搬送者の腕の安全が確保され、また、搬送する人も安定して搬送することが出来ることになる。
図5を参照して、背負い型によって被搬送者の搬送を行なうには、被搬送者を固定した状態で担架部材100の基端部を起し、前方搬送者が立て膝をした状態で担架部材100の裏面部を背中に当接する(図5A)。この時、自由状態になっている搬送ベルト102を前方搬送者の腋の下を通して当該搬送者の後頭部に誘導する。続いて、搬送ベルト102を搬送者の後頭部で交差させ、搬送ベルト102と頭載台101を連結している連結紐108及び担架部材100の裏面に設けた第1の取手環120を通し、再び自由端を搬送者の腋の下に向って誘導する(図5B)。
連結紐106及び第1の取手環120を通した後、前方搬送者の腋の下を通して搬送者の正面に引き出された搬送ベルト102は、それぞれの自由端に設けられた第1の結合具103を係合して当該搬送ベルト102を結合する(図5C)。
上記手順を経ることにより前方搬送者が担架部材100を背負う作業が完了するが、前方搬送者が、担架部材100を背負う作業をしている間、後方搬送者は、引き起した担架部材100が傾いたりしないように支えたり、また、搬送ベルト102を結合する作業の手助けをするなどの補助作業を行っている。
次いで図6を参照して、後方搬送者が、肩掛け搬送ベルト210の第5の結合具211を足載せ部材200の先端部に設けた第4の結合具202に結合し、当該肩掛け搬送ベルト210を環状に形成する。後方搬送者は、腰をかがめて低い姿勢をしたまま環状に形成された肩掛け搬送ベルト210を肩に掛ける。
被搬送者を搬送するには、前方搬送者と後方搬送者が同時に立ち上る。これにより、背負い型による搬送の準備作業が完了するので、前方及び後方搬送者が同時に立ち上がって担架1を担ぎ、所望する場所へ被搬送者を搬送する。なお、後方搬送者が立ち上った時に被搬送者の脚部姿勢が水平状態に維持されることが望ましいので、足載せ部材200が水平状態になるように、肩掛け搬送ベルト210の長さ調整具212を使用して当該ベルトの長さを調整し、被搬送者が搬送される時は脚部が水平状態となるようにする。
図7に示すように、前方搬送者は担架部材100を背負っており、後方搬送者は足載せ部材200を肩に掛けているので、被搬送者は上半身を起した状態で担架1に固定されて搬送される。
実施形態による担架を、背負い型によって使用した場合は、従来構造の搬送棒が不要となっているから、階段などの狭い通路又はエレベータによる搬送が容易となる。また、被搬送者は、あたかも椅子に座っている状態で搬送されるので、仰向けに寝たまま搬送される場合と異なり、不安感がなく安心した心地で搬送される利点がある。
また、担架を背負い型によって使用した場合は、前方及び後方搬送者は、いずれも両手が解放されているので、両手が自由になっているので安定感があるだけでなく、例えば狭い場所又は階段では壁に伝わりながら搬送することができる等の利点がある。また、両手が使用できるので、杖を使いながらの搬送が可能であり、高齢者が高齢者を搬送するときの利便性がよくなっている。
実施形態は、担架1を担架型としても使用することができる。図8を参照して、搬送ベルト102を足載せ部材200の第4の結合具202に結合する。すなわち、足載せ部材200に設けた第4の結合具202から肩掛け搬送ベルト210を外し、代わりに搬送ベルト102の第1の結合具103を係合して当該搬送ベルト102を足載せ部材200に設けた第4の結合具202に結合する。
担架型の場合も二人で搬送するものであり、搬送者は担架の側部で側部搬送者として搬送する。実施形態を担架型で使用する時は、一人の側部搬送者が、担架1に向って正対し立て膝をついた状態で搬送ベルト102を肩に掛け、もう一人の側部搬送者も同様に担架1に向って正対し、他の搬送ベルト102を肩に掛ける。
次いで、二人の側部搬送者が同時に立ち上り、図9に示すように、担架部材100の裏面四隅部に設けた第1の取手環120及び第2の取手環121を持って担架1を支持し、所望の場所へ被搬送者を搬送する。
なお、実施形態において、搬送者は第1及び第2の取手環120,121を持って担架を搬送しているが、例えば、搬送者の一人が被搬送者の頭部近くの搬送ベルト102を持ち、もう一人の搬送者が足挿入袋201近くの搬送ベルト102を持って搬送することができる。この場合、足挿入袋201付近を持った搬送者が先頭になれば、階段などの狭い場所であっても担架型としての搬送が可能となるものである。
実施形態による担架を、担架型によって使用した場合であっても、従来構造の搬送棒がないので、階段などの狭い通路又はエレベータによる搬送が容易となる。ただし、担架型の場合、被搬送者は仰向けに寝たまま搬送されるが、頭載台101は頭部が起きた方向に傾いており、被搬送者は側部搬送者の顔を見ながら搬送されるので、担架型による場合であっても、不安感がなく安心した心地で搬送される利点がある。
実施形態の担架は、背負い型及び担架型のいずれの場合も二人の搬送者で使用するものであるから、搬送に際して特別の力を必要としないものであり、高齢者が高齢者を搬送する場合にも活用できるものとなっている。
本発明の担架を表側からみた状態を示す全体の斜視図。 本発明の担架を裏側からみた状態を示す全体の斜視図。 本発明の担架を示す断面図。 担架に被搬送者を固定した状態を示す平面図。 背負い型で被搬送者を搬送する場合の作業手順を示す斜視図。 担架の足載せ部材に肩掛けベルトを結合する状態を示す斜視図。 背負い型で被搬送者を搬送している状態を示す斜視図。 担架型で被搬送者を搬送する場合の作業手順を示す斜視図。 担架型で被搬送者を搬送している状態を示す斜視図。 足挿入袋の先端に杖を収容する杖収容袋を設けた状態を示す斜視図。
符号の説明
1 担架
100 担架部材
101 頭載台
102 搬送ベルト
103 第1の結合具
104 長さ調整具
105 胴部固定ベルト
106 面ファスナー
107 補助搬送ベルト
108 連結紐
110 大腿部固定ベルト
111 第2の結合具
112 肩部固定ベルト
113 第3の結合具
120 第1の取手環
121 第2の取手環
200 足載せ部材
201 足挿入袋
202 第4の結合具
210 肩掛け搬送ベルト
211 第5の結合具
212 長さ調整具
220 杖
221 杖収容袋
222 蓋体

Claims (3)

  1. 担架が、樹脂シート又は布製シートなどによる軟質シート材により構成されている担架部材(100)と足載せ部材(200)とが展開した状態で連続して形成されており、
    上記担架部材(100)は被搬送者を仰向けに寝かせた時に背中及び腰部を支えるものであって、基端部に頭載台(101)及び該頭載台(101)の両側に隣接し上記足載せ部材(200)の先端部に達する長さを有する一対の搬送ベルト(102)を設け、
    上記搬送ベルト(102)の自由端に当該搬送ベルト同士又は上記足載せ部材(200)に着脱自在に結合する結合具を設け、
    上記頭載台(101)と上記搬送ベルト(102)とを連結紐(108)により連結し、
    上記担架部材(100)の中央部両側縁に被搬送者の胸部及び/又は腹部を当該担架部材(100)に固定するための胴部固定ベルト(105)を設け、該胴部固定ベルト(105)は重合部分に面ファスナーを設けて開閉自在とし、
    上記担架部材(100)の先端部近傍に大腿部固定ベルト(110)を設け、該大腿部固定ベルト(110)の自由端に当該大腿部固定ベルト同士を着脱自在に結合する結合具を設け、
    上記担架部材(100)の基端部近傍に肩部固定ベルト(112)を設け、該肩部固定ベルト(112)は先端部に当該担架部材(100)に着脱自在に結合する結合具を設け、
    上記足載せ部材(200)に足挿入袋(201)を設けるとともに、当該足載せ部材(200)の自由端に肩掛け搬送ベルト(210)を着脱自在に結合する結合具を設け、
    上記担架部材(100)の裏面四隅部に取手環(120,121)を設けけたものであって、
    担架は背負い型と担架型の搬送が可能であり、背負い型は、被搬送者を上記担架部材(100)に仰向け状態に固定して当該担架部材(100)の基端部を起し、搬送は前方搬送者と後方搬送者で行い、前方搬送者が立て膝をした状態で上記担架部材(100)の裏面部を背中に当接し、自由状態になっている上記搬送ベルト(102)を前方搬送者の正面に引出して結合し、後方搬送者が上記肩掛け搬送ベルト(210)を上記足載せ部材(200)に固定して肩に掛けて搬送するものであり、担架型は、被搬送者を上記担架部材(100)に固定して上記搬送ベルト(102)を上記足載せ部材(200)に固定し、搬送は二人で行い、各人が当該搬送ベルト(102)を肩に掛けて搬送するものであることを特徴とする担架。
  2. 担架部材(100)と搬送ベルト(102)との間に、両者を連結する補助搬送ベルト(107)を設けたことを特徴とする請求項1に記載の担架。
  3. 足載せ部材(200)は、任意の位置に杖収納袋(221)を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の担架。
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