JP4976521B2 - プロジェクション溶接特性に優れたCu−Ni−Si系銅合金、及びその製造方法 - Google Patents

プロジェクション溶接特性に優れたCu−Ni−Si系銅合金、及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、プロジェクション溶接特性に優れたCu−Ni−Si系銅合金に関し、特に、車載用の駆動回路やモータ装置内部の回路基板等に使用されるCu−Ni−Si系銅合金、及びその製造方法に関する。
プロジェクション溶接は、抵抗溶接の一種であり、プロジェクション部に電流が集中して流れるため、良好な溶接を行うことができ、最近、車載用の駆動回路やモータ装置内部の回路基板に使用される銅又は銅合金部材の連結端子とリード端子との溶接などに使用されている。
特許文献1に記載された駆動回路装置、及びこれを備えたモータ装置では、連結端子の端部とリード端子の端部とがプロジェクション溶接されている。連結端子には純銅、リン青銅等が使用されている。回路基板36から延設される連結端子22は、連結端子折曲部22Aで折り曲げられ、制御IC44から延設されるリート端子18と共に上方へ延びており、さらに、連結端子22の端部とリード端子18の端部は溶接点16で電気溶接にて接合され、連結端子22は、曲点22Bでリード端子18から離れるように曲げられている。このため、電気溶接時に、溶接点16以外に電流が流れて分流するのを抑えることができ、溶接強度のばらつきを抑制することができる。
特許文献2に記載された車両用交流発電機の整流器では、サーキットボードアッセンブリ32の接続端子37が分岐されて樹脂体36の内周側および外周側に露出され、+側ダイオード33のリード33dが接続端子43の分岐された外周側の露出部37bに外周側からプロジェクション溶接により接合一体化され、さらに−側ダイオード34のリード34dが接続端子37の分岐された内周側の露出部37aに内周側からプロジェクション溶接により接合一体化されている。そのリードは銅によって形成されている。
特開2009−123359号公報 特開平11−252877号公報
従来のプロジェクション溶接を必要とする回路基板等に使用されている黄銅或いはリン青銅部材では、耐食性に問題がある。このため、その部材として、耐食性、耐熱性に優れたコルソン系銅合金(Cu−Ni−Si系銅合金)の使用が検討されているが、プロジェクション溶接特性に難があり、その解決策が望まれている。
本発明は、これらの事情に鑑みてなされたものであり、特に、車載用の駆動回路やモータ装置内部の回路基板等に使用されるプロジェクション溶接特性に優れたCu−Ni−Si系銅合金、及びその製造方法を提供する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、コルソン系銅合金に最適量のZnを含有させ、結晶組織内のEBSD法にて測定したGrain Orientation Spread(GOS)の全結晶粒における平均値を3.0°〜5.0°とし、EBSD法にて測定した結晶粒界の全粒界長さLに対する特殊粒界の全特殊粒界長さLσの比率(Lσ/L)を15〜30%とすると、プロジェクション溶接特性が飛躍的に向上することを見出した。
プロジェクション溶接特性を向上させるには、導電性を有する金属の溶接の容易性と、良好な形状を有する突き出し部を形成できる加工性とが重要な要件であり、本発明者らは鋭意検討の結果、次の知見を得た。
(1)Znは銅合金の添加成分としては、耐マイグレーション特性向上のために含有させることが多く、溶接の容易性にも寄与するが、低融点でもあり、最適量を超えると、プロジェクション溶接時に蒸発して逆に溶接性を悪くすることが多い。
(2)銅合金組織中のEBSD法にて測定したGOSの全結晶粒における平均値、結晶粒界の全粒界長さLに対する特殊粒界の全特殊粒界長さLσの比率(Lσ/L)は、突き出し部を形成するための絞り加工性に大きく寄与し、最適値を超えると、絞り加工性が悪くなり、良好な形状を有する突き出し部が出来難くなる
即ち、最適なZn含有量と、最適なGOSの全結晶粒における平均値と結晶粒界の全粒界長さLに対する特殊粒界の全特殊粒界長さLσの比率(Lσ/L)とを有するコルソン系銅合金は、極めて良好なプロジェクション溶接性を発揮することが可能となる。
また、通常のコルソン系銅合金は、連続鋳造など適当な方法で鋳塊を作製し、この鋳塊を850〜950℃程度に加熱して均質化焼鈍を行い、熱間圧延した後、水冷してNi−Si化合物の析出を抑制し、次いでこの熱延材に対して、(1)冷間圧延→(2)溶体化処理→(3)時効処理→(4)冷間圧延及び熱処理を施し、目標とする最終板厚の板材を製造している。また、(4)の冷間圧延の後、歪み取りや歪み矯正を目的とする短時間加熱、テンションレベリングなどの処理を行うこともある。特に、適切な特性を得るには、(2)の溶体化処理と、(3)の時効処理において適切な条件を選択する必要がある。
本発明者らは、プロジェクション溶接に適する絞り加工性を有するコルソン系銅合金を製造するには、銅合金組織内に化合物粒子を極力析出させずに、固溶状態で存在させることが重要であるとの知見を得た。
即ち、従来のコルソン系銅合金の製造に必要とされる、化合物粒子を析出させる溶体化処理及び時効処理を行わずに、熱間圧延と中間焼鈍と低温焼鈍を最適な条件に選定することにより、プロジェクション溶接性に優れたコルソン系銅合金が製造可能となり、コスト的にも安価に製造出来るのである。
本発明の銅合金は、Ni:1.0〜4.0質量%、Si:0.1〜1.0質量%、Zn:0.3〜0.7質量%、Sn:0.4〜0.8質量%を含有し、残りがCuおよび不可避不純物からなる組成を有し、結晶組織内のEBSD法にて測定したGOSの全結晶粒における平均値が3.0°〜5.0°であり、EBSD法にて測定した結晶粒界の全粒界長さLに対する特殊粒界の全特殊粒界長さLσの比率(Lσ/L)が15〜30%であることを特徴とする。
Znの含有量が0.3質量%未満では、プロジェクション溶接特性の向上に寄与せず、0.7質量%を超えると、プロジェクション溶接時に蒸発して逆に溶接性を悪化させる。
GOSの全結晶粒における平均値が3.0°未満であると、結晶組織の異方性が強まり加工性の低下を来たし、5.0°を超えると、粒界割れによるクラックが発生し易くなる。
Lσ/Lが15%未満であると、圧延加工性が悪くなり、30%を超えると、粒界割れによるクラックが発生し易くなる。
また、本発明の銅合金は、Zr、Crからなる元素のうち少なくとも一種を0.01〜0.3質量%含有するとよい。
Zr、Crからなる元素のうち少なくとも一種を0.01〜0.3質量%含有することにより、プロジェクション溶接部の耐熱性が向上する。
また、本発明の銅合金は、Mgを0.001〜0.2質量%含有するとよい。
Mgを0.001〜0.2質量%含有することにより、プレス加工時の耐金型磨耗性が向上する。
本発明の銅合金の製造方法は、熱間圧延、第1冷間圧延、中間焼鈍、第2冷間圧延、低温焼鈍をこの順序で行い、熱間圧延時の厚み方向の加工速度を13.0〜28.0mm/分とし、冷却開始温度を500〜700℃として、中間焼鈍を500〜700℃にて20〜60秒実施し、低温焼鈍を400〜500℃にて20〜60秒実施することを特徴とする。
即ち、本発明のプロジェクション溶接特性に優れた銅合金は、通常のコルソン系銅合金の製造に必要とされる、化合物粒子を析出させる溶体化処理、及び時効処理を行わずに、熱間圧延と中間焼鈍と低温焼鈍とを最適な条件に選定することにより、製造することが出来る。
熱間圧延時の厚み方向の加工速度が13.0mm/分未満であると、組織が不均一となり、粗大な析出物も生成され、圧延加工性が悪化し、加工速度が大きいと組織が均一になり、粗大な析出物の成長を抑えられるが、28.0mm/分を超えると設備的に実施不可能である。
冷却開始温度が500℃未満であると、組織が不均一となり、粗大な析出物も生成され、圧延加工性が悪化し、冷却開始温度が高い方が組織は均一になるが、700℃を超える設定はエネルギーロスが大きくなり、経済的ではない。
中間焼鈍時の温度が500℃未満であり、時間が20秒未満であると、Lσ/Lが上昇して粒界割れが発生しやすくなり、圧延加工性が悪く、生産性が低下する。また、析出時効が起こって導電率が上昇し、溶接性が低下する。
中間焼鈍時の温度が700℃を超え、時間が60秒を超えると、組織が溶体化して導電率は低下するが、GOSの全結晶粒における平均値が低下し、微細組織の異方性が強まり、加工性が低下する。
低温焼鈍時の温度が400℃未満であり、時間が20秒未満であると、Lσ/Lが上昇して粒界割れが発生しやすくなるため、加工性が低下する。
低温焼鈍時の温度が500℃を超え、時間が60秒を超えると、GOSの全結晶粒における平均値が低下するため、異方性が強まり加工性が低下する。
本発明により、車載用の駆動回路やモータ装置内部の回路基板等での使用に適するプロジェクション溶接特性に優れたCu−Ni−Si系銅合金が得られる。
以下に、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の銅合金は、Ni:1.0〜4.0質量%、Si:0.1〜1.0質量%、Zn:0.3〜0.7質量%、Sn:0.4〜0.8質量%を含有し、残りがCuおよび不可避不純物からなる組成を有する。
Ni及びSiは、共存した状態でNiとSiの金属間化合物を形成することにより、導電率を大幅に低下させることなく強度を向上させる効果がある。Niが1.0質量%未満又はSiが0.1質量%未満ではその効果がなく、Niが4.0質量%を超え又はSiが1.0質量%を超えると熱間加工性が著しく低下する。
Znは、0.3質量%未満では、プロジェクション溶接時の特性の向上に寄与せず、0.7質量%を超えると、プロジェクション溶接時に蒸発し逆に溶接性を悪化させる。
Snは、固溶強化により強度を向上させる成分であり、0.4質量%未満ではその効果
が十分ではなく、0.8質量%を超えるとその効果が飽和するとともに、熱間及び冷間加工性が劣化する。
また、この銅合金は、Zr、Crからなる元素のうち少なくとも一種を0.01〜0.3質量%含有しても良く、これら元素のうち少なくとも一種を0.01〜0.3質量%含有させることにより、プロジェクション溶接部の耐熱性の向上に寄与する。
また、この銅合金は、Mgを0.001〜0.2質量%含有しても良く、Mgを0.001〜0.2質量%含有することにより、プレス加工時の耐金型磨耗性に寄与する。
更に、この銅合金は、結晶組織内のEBSD法にて測定したGOSの全結晶粒における平均値が3.0°〜5.0°であり、EBSD法にて測定した結晶粒界の全粒界長さLに対する特殊粒界の全特殊粒界長さLσの比率(Lσ/L)が15〜30%以上である。
GOSの全結晶粒における平均値が3.0°未満であると、結晶組織の異方性が強まり加工性の低下をもたらし、5.0°を超えると、粒界割れによるクラックが発生し易くなる。
Lσ/Lが15%未満であると、圧延加工性が悪くなり、30%を超えると、粒界割れによるクラックが発生し易くなる。
即ち、GOSの全結晶粒における平均値とLσ/Lとが最適な数値範囲であることにより、良好な形状を有する突き出し部をプレス加工によって形成することができる。
GOSは、走査型電子顕微鏡に取り付けた結晶方位測定システムにより、各測定ピクセルの方位を測定し、測定ピクセル間の方位差が15°以上を結晶粒界とみなし、結晶粒内のあるピクセルと残りの全てのピクセル間の方位差の平均値を計算したもので、結晶粒ごとに値を持つ。GOSの全結晶粒における平均値は、測定範囲の全ての結晶粒のGOSの平均値を算出したものである。
結晶組織内のEBSD法にて測定した結晶粒界の全粒界長さLに対する特殊粒界の全特殊粒界長さLσの比率(Lσ/L)は、後方散乱電子線回折による方位解析により、隣接する測定点間の方位差が15°以上となる測定点間を結晶粒界として、結晶粒界の全粒界長さLを測定し、隣接する結晶粒の界面が特殊粒界を構成する結晶粒界の位置を決定し、特殊粒界の全特殊粒界長さLσと、測定した結晶粒界の全粒界長さLとから算出した。
この様に、本実施形態の銅合金は、Zn含有量が0.3〜0.7質量%であり、EBSD法にて測定したGOSの全結晶粒における平均値が3.0°〜5.0°であり、EBSD法にて測定した結晶粒界の全粒界長さLに対する特殊粒界の全特殊粒界長さLσの比率(Lσ/L)が15〜30%であり、極めて良好なプロジェクション溶接性を有する。
次に本発明の製造方法の実施形態について説明する。
本実施形態の銅合金は、熱間圧延、第1冷間圧延、中間焼鈍、第2冷間圧延、低温焼鈍をこの順序で含む工程で銅合金を製造するに際して、熱間圧延時の厚み方向の加工速度を13.0〜28.0mm/分とし、冷却開始温度を500〜700℃として、中間焼鈍を500〜700℃にて20〜60秒実施し、低温焼鈍を400〜500℃にて20〜60秒実施して製造される。
通常のコルソン系銅合金は、連続鋳造など適当な方法で鋳塊を作製し、この鋳塊を850〜950℃ 程度に加熱して均質化焼鈍を行い、熱間圧延した後、水冷してNi−Si化合物の析出を抑制し、次いでこの熱延材に対して、冷間圧延→溶体化処理→時効処理→冷間圧延の加工及び熱処理を施し、目標とする最終板厚の板材を製造している。これに対して、本実施形態の製造方法では、化合物粒子を析出させる溶体化処理及び時効処理等を行わずに、熱間圧延と中間焼鈍と低温焼鈍とを最適な条件に選定することにより製造される。
熱間圧延は、厚み方向の加工速度を13.0〜28.0mm/分とし、冷却開始温度を500〜700℃として実施する。
熱間圧延時の加工速度が13.0mm/分未満であると、組織が不均一となり、粗大な析出物も生成され、圧延加工性が悪化し、加工速度が大きいと組織が均一になり、粗大な析出物の成長を抑えられるが、28.0mm/分を超えると設備的に実施できない。
冷却開始温度が500℃未満であると、組織が不均一となり、粗大な析出物も生成され、圧延加工性が悪化し、冷却開始温度が高い方が組織が均一になるが、700℃を超える設定はエネルギーロスが大きくなり、経済的ではない。
中間焼鈍は、500〜700℃にて20〜60秒実施する。
中間焼鈍時の温度が500℃未満であり、時間が20秒未満であると、Lσ/Lが上昇して粒界割れが発生しやすくなり、圧延加工性が悪く、生産性が低下する。また、析出時効が起こって導電率が上昇し、溶接性が低下する。
中間焼鈍時の温度が700℃を超え、時間が60秒を超えると、組織が溶体化して導電率は低下するが、GOSの全結晶粒における平均値が低下し、微細組織の異方性が強まり、加工性が低下する。
低温焼鈍は、400〜500℃にて20〜60秒実施する。
低温焼鈍時の温度が400℃未満であり、時間が20秒未満であると、Lσ/Lが上昇して粒界割れが発生しやすくなるため、加工性が低下する。
低温焼鈍時の温度が500℃を超え、時間が60秒を超えると、GOSの全結晶粒における平均値が低下し、異方性が強まり加工性が低下する。
この様な製造方法により製造された銅合金は、Zn含有量が0.3〜0.7質量%であり、EBSD法にて測定したGOSの全結晶粒における平均値が3.0°〜5.0°であり、EBSD法にて測定した結晶粒界の全粒界長さLに対する特殊粒界の全特殊粒界長さLσの比率(Lσ/L)が15〜30%であり、極めて良好なプロジェクション溶接性を有する。
以下、本発明の実施例について比較例を含めて詳細に説明する。
下記表1に示す組成の銅合金(添加元素以外の成分はCu及び不可避不純物)を、電気炉により溶解し、厚さが175mm、幅が500mm、長さが4mの鋳塊を作製した。この鋳塊を950℃に加熱した後、厚み方向の加工速度を13.6〜27.2mm/分にて熱間圧延を行い、500〜700℃から急水冷して、板厚を12mmの圧延材を得た。次に、その表面の酸化膜をフライスで面削した後、第1冷間圧延を行い、500〜700℃にて20〜60秒の中間焼鈍を行った。さらに、第2冷間圧延を行い厚さ0.25mmに仕上げ、400〜500℃にて20〜60秒の低温焼鈍を行い、表1の実施例1〜9に示す銅合金薄板を得た。なお、比較例1〜9は、成分組成、熱間圧延条件、中間焼鈍条件、低温焼鈍条件を変えて作製した。比較例9の低温焼鈍の欄「−」は低温焼鈍を実施しなかったことを示す。
Figure 0004976521
得られた銅合金薄板から組織観察用の試験片を採取し、機械研磨およびバフ研磨を行った後、イオンミリング(日立ハイテク製フラットミリング:試料に対する入射角90°、加速電圧6kV、10分)して表面を調整し、日立ハイテク社製のSEM(型番「S−3400N」) と、TSL社製のEBSD測定・解析システムOIM(Orientation Imaging Micrograph)を用いて、300μm×300μmの領域を0.5μmの間隔で各測定ピクセルの方位を測定した。その後、同システムの解析ソフト(ソフト名「OIM Analysis」)を用いて、測定ピクセル間の方位差が15°以上を結晶粒界とみなし、結晶粒内のあるピクセルと残りの全てのピクセル間の方位差の平均値を計算し、全結晶粒のGOSを求め、GOSの全結晶粒における平均値を算出した。
また、イオンミリングして表面を調整した各試験片について、上述の機器を用いて、300μm×300μmの領域に対して、隣接する測定点間の方位差が15°以上となる測定点間を結晶粒界とし、測定領域における結晶粒界の全粒界長さLを測定し、隣接する結晶粒の界面が特殊粒界を構成する結晶粒界の位置を決定するとともに、特殊粒界の全特殊粒界長さLσと、上記測定した結晶粒界の全粒界長さLとの粒界長比率Lσ/Lを求めた。
これらの銅合金薄板のEBSD測定に基づき求められた、GOSの全結晶粒における平均値とLσ/Lの値を表2に示す。
また、これらの試料の深絞り加工性、導電率、溶接性の測定結果を表2に示す。
絞り加工性は、エリクセン社製試験機を用い、ポンチ径:Φ10mm、潤滑剤:グリスの条件で、カップを作製し、外観を観察し、良好なものを○、耳部にかけ、ワレが生じていたもの×とした。
導電率は、25mm×150mmの短冊状の試験片を加工し、4端子法により電気抵抗を測定し、平均断面法により算出した。
溶接性は、25mm×150mmの短冊状の試験片を2枚用意し、長手方向に2枚を25mmオーバーラップさせ、日本アビオニクス社製の溶接電源(NT―8A)、溶接タイマー(NRW−25A)及び溶接ヘッド(NA―72)を使用し、電極は材質がクロム銅、直径16mm、先端平型のものにより、試験片のオーバーラップ部分の中心を加圧力294N(30kgf)、通電量80%、60サイクル(1.2s)の条件でスポット溶接を施し、試験片が接合したものを○、接合しなかったものを×とした。
Figure 0004976521
表2より、実施例のZnを0.3〜0.7質量%含有するCu−Ni−Si系銅合金は、比較例に比べて、優れた深絞り加工性と溶接性を有していることから、両特性が必要とされるプロジェクション溶接性に優れていることが推察される。特に、Zr、Crを所定量含有するものは、溶接性が優れており、車載用の駆動回路やモータ装置内部の回路基板等に適していることがわかる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの記載に限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。

Claims (4)

  1. Ni:1.0〜4.0質量%、Si:0.1〜1.0質量%、Zn:0.3〜0.7質量%、Sn:0.4〜0.8質量%を含有し、残りがCuおよび不可避不純物からなる組成を有し、結晶組織内のEBSD法にて測定したGOSの全結晶粒における平均値が3.0°〜5.0°であり、EBSD法にて測定した結晶粒界の全粒界長さLに対する特殊粒界の全特殊粒界長さLσの比率(Lσ/L)が15〜30%であることを特徴とする銅合金。
  2. Zr、Crからなる元素のうち少なくとも一種を0.01〜0.3質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の銅合金。
  3. Mgを0.001〜0.2質量%含有することを特徴とする請求項1に記載の銅合金。
  4. 請求項1からのいずれか1項に記載の銅合金の製造方法であって、熱間圧延、第1冷間圧延、中間焼鈍、第2冷間圧延、低温焼鈍をこの順序で行い、前記熱間圧延時の厚み方向の加工速度を13.0〜28.0mm/分とし、冷却開始温度を500〜700℃として、前記中間焼鈍を500〜700℃にて20〜60秒実施し、前記低温焼鈍を400〜500℃にて20〜60秒実施することを特徴とする銅合金の製造方法。
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