以下、本発明に係るセキュリティ装置の実施の形態を図面に基づいて説明する。図2は、実施の形態(1)に係るセキュリティ装置を含む車載システムの要部を概略的に示したブロック図である。
図中10は、セキュリティ装置を示しており、セキュリティ装置10は、セキュリティ制御部11と、超音波センサ12とを含んで構成されており、超音波センサ12には、携帯電話203との接続が可能なハンズフリー装置200が接続されている。
マイクロコンピュータを含んで構成されたセキュリティ制御部11は、音響映像装置300に接続されており、音響映像装置300には、各種音源(CD、ラジオ、テレビ、DVD等)の音声を出力するためのフロント右側(FR)スピーカ301、フロント左側(FL)スピーカ302、リア右側(RR)スピーカ303、リア左側(RL)スピーカ304が接続されている。
また、セキュリティ制御部11には、車両ホーン107とサイレン108とが接続されており、超音波センサ12により車室内への不正な侵入行為が検知された場合に、車両ホーン107やサイレン108に駆動信号が出力されるようになっている。また、電源となるバッテリ106が、セキュリティ制御部11に接続されており、セキュリティ装置10を介して、超音波センサ12やハンズフリー装置200に電源が供給されるようになっている。
また、セキュリティ制御部11は、送信機13から送信されてくる無線信号、すなわち車両のドアを施錠するロック信号又は解錠するアンロック信号を受信し、該受信信号に応じて、セキュリティ状態を警戒モードに設定する処理や警戒モードを解除する処理等を行うようになっている。
超音波センサ12は、侵入検知手段20、音声入力手段30、音声出力手段40、切替手段50、超音波送波器61、及び超音波受波器62を含んで構成されている。
侵入検知手段20は、超音波発振回路21、超音波発振回路21の出力信号と超音波受波器62で受波した信号とを混合する混合回路22、混合回路22の出力からドップラ信号を抽出するフィルタ部23、フィルタ部23の出力を増幅する増幅器24、増幅器24の出力を包絡線検波する検波回路25、及び検波回路25の出力レベルが、不正な侵入行為を示す閾値以上となった場合に、異常を知らせる侵入検知信号をセキュリティ制御部11へ出力する検知出力回路26を含んで構成されている。
音声入力手段30は、超音波発振回路21から供給される20KHz以上の超音波帯(例えば、40KHz)の搬送波を、ハンズフリー装置200から音声入力ラインL1を介して入力した音声信号で周波数変調する変調器31、及び変調器31の出力を増幅する増幅器32を含んで構成され、増幅器32で増幅された信号が、切替手段50を介して超音波送波器61へ供給され、超音波送波器61から指向性を有する超音波として放射されるようになっている。
音声出力手段40は、超音波受波器62で集音された可聴帯域の信号を抽出するフィルタ部41、及びフィルタ部41の出力を増幅する増幅器42を含み、増幅器42は音声出力ラインL2に接続され、超音波受波器62で集音された音声がハンズフリー装置200へ出力されるようになっている。
切替手段50は、音声入力手段30から超音波送波器61への信号出力経路Aと侵入検知手段20の超音波発振回路21から超音波送波器61への信号出力経路Bとを切り替えるためのスイッチ回路51、及び超音波受波器62から侵入検知手段20の混合回路22への信号入力経路Cと超音波受波器62から音声出力手段40のフィルタ部41への信号入力経路Dとを切り替えるためのスイッチ回路52を含んで構成されており、これらスイッチ回路51、52は、セキュリティ制御部11からの切替制御信号に基づいて作動する構成となっている。
すなわち、セキュリティ制御部11で、送信機13からのロック信号が検知された場合、セキュリティ制御部11から、スイッチ回路51、52に対して、信号経路を信号出力経路B側、信号入力経路C側(図2に示した状態)に切り替える制御信号が出力され、切替手段50では、該制御信号に基づいて、スイッチ回路51により信号出力経路B側、スイッチ回路52により信号入力経路C側に信号経路が切り替えられて、侵入検知手段20と接続され、超音波源信号の送受信が可能な状態(侵入検知状態)に設定される。
一方、セキュリティ制御部11で、送信機13からのアンロック信号が検知された場合、セキュリティ制御部11から、スイッチ回路51、52に対して、信号経路を信号出力経路A側、信号入力経路D側に切り替える制御信号が出力され、切替手段50では、該制御信号に基づいて、スイッチ回路51により信号出力経路A側、スイッチ回路52により信号入力経路D側に信号経路が切り替えられて、ハンズフリー装置200と接続され、ハンズフリー利用可能状態(音声入出力状態)に設定される。
これらセキュリティ制御部11、侵入検知手段20、音声入力手段30、音声出力手段40、及び切替手段50を含んでセキュリティ制御ユニット10Aが構成されている。 また、超音波送波器61、超音波受波器62には、例えば、振動子として圧電セラミック等が採用された小型の超音波スピーカやマイクロホンが採用され、超音波送波器61、超音波受波器62は、所定の指向特性(例えば、音圧半減角8〜30°程度)を有しており、超音波を指向性を持って放出することができる。
超音波送波器61及び超音波受波器62は、例えば、図3に示したように、車両前席上部のルームミラー近傍位置(マップランプやメガネホルダの位置)に、運転席の方向に向けて配設するのが好ましい。
図3(a)は、侵入検知状態、すなわち、超音波送波器61から超音波信号が放出され、その反射波を超音波受波器62で受信する状態(セキュリティ状態が警戒モードの状態)を示している。なお、図3(a)では、超音波送波器61が運転席方向と助手席方向とに向けて配設された形態を示しており、図中の破線は、超音波送波器61から放出される超音波の放射領域を模式的に示している。
また、図3(b)は、音声入出力状態、すなわち、超音波送波器61から超音波で変調された携帯電話203の音声が指向性を持って出力され、運転者の音声を超音波受波器62で集音する状態(ハンズフリー利用状態)を示している。なお、音声入出力状態では、携帯電話203の音声が超音波の搬送波で変調されて、超音波送波器61から出力されるので、その出力音声が指向性を有しており、携帯電話203の音声が運転席乗員によく聞こえ、秘話性が確保されるようになっている。なお、図中の破線は、超音波送波器61から放出される音声の放射領域、波線は、運転者の音声が超音波受波器62で集音される様子を模式的に示したものである。
次に実施の形態(1)に係るセキュリティ装置10におけるセキュリティ制御部11の行う処理動作を図4に示したフロ−チャ−トに基づいて説明する。なお、本処理動作は、送信機13から送信されてきたロック/アンロック信号を検知した場合に実行される。
まず、送信機13から送信されてきた信号が、車両のドアを施錠するロック信号か、解錠するアンロック信号かを判断し(ステップS1)、ロック信号であると判断すれば、侵入検知状態への切替処理、すなわち、切替制御信号を切替手段50に出力し、スイッチ回路51、52を作動させて、信号経路を信号出力経路B側、信号入力経路C側に切り替えて、超音波信号の送受信が可能な状態に設定する(ステップS2)。
次に、超音波発振回路21の駆動開始処理、すなわち駆動信号を超音波発振回路21に出力し(ステップS3)、超音波発振回路21を駆動させて、その後、侵入検知処理、すなわち、超音波発振回路21で発生させた超音波を超音波送波器61から放射し、その反射波を超音波受波器62で受信し、侵入検知手段20の検知出力回路26から出力される検知信号を取り込む処理を行う(ステップS4)。
そして、検知出力回路26の出力から侵入検知信号を検出したか否かを判断し(ステップS5)、侵入検知信号を検出していない、すなわち、不正な侵入行為が検知されていないと判断すれば、ステップS4に戻り、処理を繰り返す一方、侵入検知信号を検出した、すなわち、不正な侵入行為が検知されたと判断すれば、車両ホーン107やサイレン108に警報駆動信号を出力し、車両ホーン107やサイレン108から警報音を発生させる処理を行い(ステップS6)、その後処理を終える。
一方、ステップS1において、送信機13から送信されてきた信号がアンロック信号であると判断すれば、超音波発振回路21の駆動停止処理、すなわち、駆動停止信号を超音波発振回路21に出力し(ステップS7)、超音波発振回路21の駆動を停止させる。
次に、音声入出力状態への切替処理、すなわち切替制御信号を切替手段50に出力し、スイッチ回路51、52を作動させて、信号経路を信号出力経路A側、信号入力経路D側に切り替えて、ハンズフリー利用可能状態に設定する(ステップS8)。
その後、携帯電話203の発着信信号を検出したか否かを判断し(ステップS9)、携帯電話203の発着信信号が検出されてないと判断すれば、その後処理を終える一方、携帯電話203の発着信信号が検出されたと判断すれば、超音波発振回路21を駆動させる処理、すなわち駆動信号を超音波発振回路21に出力する処理を行い(ステップS10)、超音波発振回路21を駆動させる。
その後、音声入出力処理、すなわち、超音波発振回路21から供給される超音波帯(例えば、40KHz)の搬送波を、ハンズフリー装置200から入力した音声信号で周波数変調し、増幅した変調信号を超音波送波器61から指向性を持って放出する一方、運転者の音声を超音波受波器62で集音し、音声出力手段40を介してハンズフリー装置200に出力する処理を行う(ステップS11)。
その後、携帯電話203の通話状態が切断されたか否かを判断し(ステップS12)、通話状態が切断されていないと判断すればステップS11に戻り処理を繰り返す一方、通話状態が切断されたと判断すれば、超音波発振回路21の駆動停止処理、すなわち駆動停止信号を超音波発振回路21に出力する処理を行い(ステップS12)、その後処理を終える。
上記実施の形態(1)に係るセキュリティ装置10によれば、セキュリティ制御部11により制御される切替手段50によって、侵入検知手段20により侵入検知を行う侵入検知状態と、音声入力手段30及び/又は音声出力手段40による音声入出力状態とが、セキュリティ状態に応じて切り替えられるので、送信機13からのロック信号を検知して侵入検知状態に切り替えられた場合は、侵入検知手段20による超音波を利用した車室内等への不正な侵入行為等の検知を行うことができる。
また、送信機13からアンロック信号を検知して音声入出力状態に切り替えられた場合は、ハンズフリー装置200からの入力音声信号を音声入力手段30を介して超音波送波器61から指向性を持った超音波として放出することができ、超音波送波器61が向けられた方向にいる者(運転者)に、その音声信号に対応した音を秘話性を持たせて聴取させることができる。また、同時に超音波受波器62で受信した運転者が発した音声を、音声出力手段40を介してハンズフリー装置200へ出力することができる。
したがって、従来のハンズフリー装置に装備されていた専用のスピーカとマイクロホンとを超音波送波器61と超音波受波器62とで代用することができ、ハンズフリー装置200の構成部品を削減することができ、また、通話時の音声を超音波送波器61から指向性を持って放出することができ、通話の秘話性を確保することが可能なハンズフリーシステムを安価に構築することができる。
また、侵入検知手段20を構成する超音波発振回路21が、侵入検知手段20と音声入力手段30とで兼用されているので、さらに、部品数とコストを削減することができる。
このように、侵入検知状態と音声入出力状態とで、超音波送波器61と超音波受波器62とを無駄なく利用することができ、すなわち、セキュリティ装置10の本来の機能(侵入検知機能)を損なうことなく、侵入検知を行う必要がない場合(解錠時)には、セキュリティ装置10の構成をハンズフリー機能に利用することができ、部品の共有化を図ることができ、コストをかけずに高機能なシステムを構築することができ、セキュリティ装置10の付加価値を高めることができる。
図5は、実施の形態(2)に係るセキュリティ装置を含む車載システムの概略構成を示したブロック図である。但し、図2に示した車載システムと同一機能を有する構成部品には同一符号を付し、その説明を省略することとする。
実施の形態(1)に係るセキュリティ装置10では、侵入検知状態と、超音波センサ12の超音波送波器61と超音波受波器62とを利用した音声入出力状態との切替が可能に構成されているが、実施の形態(2)に係るセキュリティ装置では、音響映像装置用のスピーカを、超音波センサ用の超音波送波器や超音波受波器として兼用するように構成されており、セキュリティ装置が音響映像装置と組み合わされた構成となっている点が、実施の形態(1)に係るセキュリティ装置と大きく相違している。
図中300Aは、音響映像装置を示しており、音響映像装置300Aは、音源部310、音声処理部320(音声入力手段)、音響映像制御部330、操作部340、表示部350、セキュリティ制御部11A、侵入検知手段20A、音声出力手段40A、及び切替手段50Aを含んで構成されている。
音響映像装置300Aには、携帯電話203と接続可能なハンズフリー装置200が接続されており、また、音源部310やハンズフリー装置200からの音声を出力したり、侵入検知用の超音波を送受信するためのフロント右側(FR)スピーカ301a、フロント左側(FL)スピーカ302a、リア右側(RR)スピーカ303a、リア左側(RL)スピーカ304aが接続されている。なお、これらスピーカは、指向性スピーカ(パラメトリックアレイスピーカ)として機能するように構成されている。
音源部310は、ラジオ・TVチューナ、CD・DVDドライブ、HD(ハードディスク)ドライブ等の音源を含んで構成されており、これら音源は、音響映像制御部330からの音源切替信号に基づいて切り替えられるようになっている。なお、HDドライブには、目的地までの経路等を案内するナビゲーション機能に必要な各種情報の他、テレビゲーム等のプログラム情報も記憶可能となっており、音響映像装置300Aは、ナビゲーション装置やテレビゲームとしての機能も備えている。
音声処理部320は、音源部310からの音声信号やハンズフリー装置200からの通話音声信号の音声処理を行うDSP(ディジタルシグナルプロセッサ)321、不正な侵入行為が検知された場合に出力する警告音声データが記憶された警告音声記憶部322、超音波発振回路21から供給される超音波帯(例えば、40KHz)の搬送波を、音源部310やハンズフリー装置200から入力した音声信号で周波数変調する変調器323、及びDSP321の出力を増幅する増幅器324を含み、増幅器324で増幅された信号が、切替手段50Aを介して各スピーカ301a〜304aに供給されるようになっている。
マイクロコンピュータを含んで構成された音響映像制御部330は、音源部310、音声処理部320、表示部350などの各部の制御を行うとともに、セキュリティ制御部11Aとも接続されており、セキュリティ制御部11Aとの間で、制御に必要な情報や信号のやり取りが可能となっている。
また、侵入検知手段20Aは、超音波発振回路21a、超音波発振回路21aの出力信号と、FLスピーカ302a、RRスピーカ303aで受波した各信号とを混合する混合回路22a、混合回路22aの各出力からドップラ信号を抽出するフィルタ部23a、フィルタ部23aの各出力を増幅する増幅器24a、増幅器24aの各出力を包絡線検波する検波回路25a、及び検波回路25aのいずれかの出力レベルが、不正な侵入行為を示す閾値以上となった場合に、異常を知らせる侵入検知信号をセキュリティ制御部11Aへ出力する検知出力回路26aを含んで構成されている。
音声出力手段40Aは、FLスピーカ302aで受波した信号から可聴帯域の信号を抽出するフィルタ部41、及びフィルタ部41の出力を増幅する増幅器42を含み、増幅器42は音声出力ラインL2に接続され、FLスピーカ302aで集音された音声がハンズフリー装置200に出力可能に構成されている。
切替手段50Aは、セキュリティ制御部11A及び侵入検知手段20Aにより侵入検知を行う侵入検知状態と、音源部310やハンズフリー装置200からの音声の入出力を行う音声入出力状態とを、セキュリティ制御部11Aからの切替制御信号に基づいて切り替えるものであり、FRスピーカ用のスイッチ回路53、FLスピーカ用のスイッチ回路54、RRスピーカ用のスイッチ回路55、及びRLスピーカ用のスイッチ回路56を含んで構成されている。
スイッチ回路53は、音声処理部320からFRスピーカ301aへの信号出力経路aと侵入検知手段20Aの超音波発振回路21aからFRスピーカ301aへの信号出力経路bとを切り替えるものであり、スイッチ回路54は、FLスピーカ302aから音声出力手段40Aのフィルタ部41への信号入力経路cと、音声処理部320からFLスピーカ302aへの信号出力経路dと、FLスピーカ302aから侵入検知手段20Aの混合回路22aへの信号入力経路eとを切り替えるものであり、スイッチ回路55は、音声処理部320からRRスピーカ303aへの信号出力経路fと、RRスピーカ303aから侵入検知手段20Aの混合回路22aへの信号入力経路gとを切り替えるものであり、スイッチ回路56は、音声処理部320からRLスピーカ304aへの信号出力経路hと侵入検知手段20Aの超音波発振回路21aからRLスピーカ304aへの信号出力経路iとを切り替えるものである。
したがって、セキュリティ制御部11Aで、送信機13からのロック信号が検知された場合、セキュリティ制御部11Aから、スイッチ回路53を信号出力経路b側、スイッチ回路54を信号入力経路e側、スイッチ回路55を信号入力経路g側、スイッチ回路56を信号出力経路i側に切り替える制御信号が出力され、切替手段50Aでは、該制御信号に基づいて、スイッチ回路53により信号出力経路b側、スイッチ回路54により信号入力経路e側、スイッチ回路55により信号入力経路g側、スイッチ回路55により信号出力経路i側にそれぞれ信号経路が切り替えられて、侵入検知手段20Aと接続され、超音波源信号の送受信が可能な状態(侵入検知状態)に設定される(図5に示した状態)。 これらセキュリティ制御部11A、侵入検知手段20A、音声出力手段40A、及び切替手段50Aを含んでセキュリティ制御ユニット10Bが構成されている。
図6は、本実施の形態における車室内での超音波信号の送受信の形態を示しており、前席右側ドアに設けられたFRスピーカ301aと後席左側ドアに設けられたRLスピーカ304aとから超音波信号が放出され、前記左側ドアに設けられたFLスピーカ302aと後席右側ドアに設けられたRRスピーカ303aとで超音波信号が受波される配置、すなわち、障害物を介さずに対向配置することにより、従来のように車室内に乱反射した信号を受波する場合よりも、侵入検知性能を高めることが可能となっている。また、前席と後席とで超音波信号の放出方向を互い違いとすることにより、不正な侵入行為の検知エリアの無駄(死角となるエリア)をなくすことが可能となっている。なお、図中の破線は、FRスピーカ301aとRLスピーカ304aとから放出される超音波信号の放射状態を模式的に示したものである。
一方、セキュリティ制御部11で、送信機13からのアンロック信号が検知された場合、セキュリティ制御部11Aから、スイッチ回路53を信号出力経路a側、スイッチ回路54を信号入力経路d側、スイッチ回路55を信号入力経路f側、スイッチ回路56を信号出力経路h側に切り替える制御信号が出力され、切替手段50Aでは、該制御信号に基づいて、スイッチ回路53により信号出力経路a側、スイッチ回路54により信号入力経路d側、スイッチ回路55により信号入力経路f側、スイッチ回路56により信号出力経路h側に切り替えられ、音声処理部320を介して音源部310と接続されるようになっている。
なお、音響映像装置300Aでは、異なる音源からの音声信号を各スピーカから個別に出力することが可能に構成されており、また、異なる音源からの映像信号を表示部350に2画面表示(2分割表示や2方向個別表示)させることが可能に構成されており、音源部310の音源が複数選択されている場合、例えば、運転席乗員がナビゲーション(HD)、助手席乗員がDVDを選択している場合、該選択信号が、音響映像制御部330からセキュリティ制御部11Aに送信され、該選択信号を受信したセキュリティ制御部11Aから超音波発振回路21aに駆動信号が出力されるようになっている。
したがって、HDからのナビ音声信号は、音声処理部320において超音波発振回路21から供給される超音波帯(例えば、40KHz)の搬送波で周波数変調され、FRスピーカ301aから指向性を有した音声として出力される一方、DVDからの映像音声信号は、音声処理部320において超音波発振回路21から供給される超音波帯の搬送波で周波数変調され、FLスピーカ302aから指向性を有した音声として出力される。また、音源が1つだけ選択されている場合(例えば、CDのみが選択されている場合)は、超音波発振回路21を駆動させず(すなわち、超音波による変調は行わず)、各スピーカから通常(無指向性)の音声出力が行われるようになっている。
また、セキュリティ制御部11Aでは、携帯電話203の発着信を検知すると、スイッチ回路54を信号出力経路c側に切り替える制御信号を切替手段50Aに出力し、また音響映像制御部330に対して、ハンズフリー装置200から入力信号ラインL1を介して入力した音声信号を、超音波発振回路21から供給される超音波帯の搬送波で周波数変調し、信号入力経路aを介して、FRスピーカ301aから指向性を持った超音波として出力するように、音声処理部320や超音波発振手段21aを制御する信号を出力するようになっている。
したがって、携帯電話203の発着信が検知された場合、FRスピーカ301aから携帯電話203の音声が指向性を有して出力されるため、運転者以外の乗員には通話音声が聴こえにくく、また運転者の音声は、FLスピーカ302aで受信されて、音声出力手段40A、ハンズフリー装置200を介して携帯電話203に出力されるようになっている。なお、RRスピーカ303a、RLスピーカ304aからは、選択されている音源からの音声が指向性をもって出力されるため、音源からの音声がFLスピーカ302aから取り込まれることはなく、通話品質を確保することが可能となっている。
次に実施の形態(2)に係る音響映像装置300Aにおけるセキュリティ制御部11の行う処理動作を図7に示したフロ−チャ−トに基づいて説明する。なお、本処理動作は、送信機13から送信されてきたロック/アンロック信号を検知した場合に実行される。
まず、送信機13から送信されてきた信号が、ロック信号かアンロック信号かを判断し(ステップS21)、ロック信号であると判断すれば、侵入検知状態への切替処理、すなわち、切替制御信号を切替手段50Aに出力し、切替手段50Aのスイッチ回路53〜56を作動させて、信号経路を信号出力経路b側、信号入力経路e側、信号入力経路g側、信号出力経路i側(図5に示した状態)に切り替えて、超音波信号の送受信が可能な状態に設定する(ステップS22)。
次に、超音波発振回路21の駆動開始処理、すなわち駆動信号を超音波発振回路21aに出力し(ステップS23)、超音波発振回路21aを駆動させて、その後、侵入検知処理、すなわち、超音波発振回路21aで発生させた超音波をFRスピーカ301aとRLスピーカ304aとから放出し、その反射波をFLスピーカ302aとRRスピーカ303aとでそれぞれ受信し(図6に示した状態)、侵入検知手段20Aの検知出力回路26aから出力される検知信号を取り込む処理を行う(ステップS24)。
そして、検知出力回路26の出力から侵入検知信号を検出したか否かを判断し(ステップS25)、侵入検知信号を検出していないと判断すればステップS24に戻り、処理を繰り返す。一方、侵入検知信号を検出したと判断すれば、音声出力状態への切替処理、すなわち、切替制御信号を切替手段50Aに出力し、切替手段50Aのスイッチ回路53〜56を作動させて、信号経路を信号出力経路a側、信号入力経路d側、信号入力経路f側、信号出力経路h側に切り替えて、音声処理部320を介して警告音声記憶部322に記憶された警告音声データの出力が可能な状態に設定する(ステップS26)。
その後、警告音声の出力処理、すなわち、音響映像制御部330に対して、警告音声記憶部322に記憶された警告音声データを出力させる制御信号を出力し(ステップS27)、音響映像制御部330を介して警告音声の出力制御が実施され、その後処理を終える。
一方、ステップS21において、送信機13から送信されてきた信号がアンロック信号であると判断すれば、超音波発振回路21aの駆動停止処理、すなわち、駆動停止信号を超音波発振回路21aに出力し(ステップS28)、超音波発振回路21aの駆動を停止させる。
次に音声出力状態への切替処理、すなわち、切替制御信号を切替手段50Aに出力しスイッチ回路53〜56を作動させて、信号経路を信号出力経路a側、信号入力経路d側、信号入力経路f側、信号出力経路h側に切り替えて、音源部310からの入力音声信号を音声処理部320を介して各スピーカに供給可能な状態(音声出力状態)に設定する(ステップS29)。
その後、音響映像制御部330から音源の選択信号を取り込み(ステップS30)、複数の音源が選択されているか否かを判断し(ステップS31)、複数の音源が選択されていると判断すれば、超音波発振回路21aの駆動開始処理、すなわち、駆動信号を超音波発振回路21aに出力して、超音波発振回路21aを駆動させて(ステップS32)、各音源からの音声信号を超音波帯の搬送波で周波数変調し、増幅した変調信号を各スピーカ301a〜304aから指向性を持って放出する制御(指向性音声個別出力制御)を行い(ステップS33)、その後ステップS35に進む。
例えば、FRスピーカ301aからはCDの音声を出力し、FLスピーカ302aからはDVDの音声を出力し、RRスピーカ303aからは音声を出力せず、RLスピーカ304aからは後部座席用モニター(図示せず)のゲーム音声を出力する制御を行うことが可能、なお、これら音源の選択は、表示部350に表示された音源選択メニュー画面を通じて任意に設定することが可能となっている。
一方、ステップS31において、複数の音源が選択されていない、すなわち選択音源が1つであると判断すれば、超音波発振回路21aを駆動させずに、各スピーカ301a〜304aから無指向性の音声を出力する制御を行い(ステップS34)、その後ステップS35に進む。
ステップS35では、携帯電話203の発着信信号を検出したか否かを判断し、携帯電話203の発着信信号を検出していないと判断すれば、その後処理を終える一方、携帯電話203の発着信信号を検出したと判断すれば、ハンズフリー利用状態への切替制御、すなわち、スイッチ回路54を作動させて信号出力経路c側に切り替える制御信号を切替手段50Aに出力し、FLスピーカ302a、音声出力手段40Aを介してハンズフリー装置200への音声出力が可能な状態に設定する(ステップS36)。
次に超音波発振回路21aが駆動しているか否かを判断し(ステップS37)、駆動していると判断すればステップS39に進む一方、駆動していないと判断すれば、超音波発振回路21aの駆動開始処理を行い(ステップS38)、超音波発振回路21aを駆動させて、その後ステップS39に進む。
ステップS39では、音声入出力処理、すなわち、音声処理部320において、超音波発振回路21aから供給される超音波帯の搬送波を、ハンズフリー装置200から入力した音声信号で周波数変調し、増幅した信号をFRスピーカ301aから指向性を持って放出する一方、運転者の音声をFLスピーカ302aから取り込み、音声出力手段40Aを介してハンズフリー装置200に出力する処理を行う。
その後、携帯電話203の通話状態が切断されたか否かを判断し(ステップS40)、通話状態が切断されていないと判断すればステップS39に戻る一方、通話状態が切断されたと判断すれば、元の音声出力状態への切替処理、すなわち、スイッチ回路54を作動させて信号出力経路d側に切り替える制御信号を切替手段50Aに出力し(ステップS41)、その後処理を終える。
上記実施の形態(2)に係るセキュリティ装置が組み込まれた音響映像装置300Aによれば、セキュリティ制御部11Aにより制御される切替手段50Aによって、侵入検知手段20Aにより侵入検知を行う侵入検知状態と、音声処理部320及び/又は音声出力手段40による音声入出力状態とが、セキュリティ状態に応じて切り替えられるので、送信機13からのロック信号を検知して侵入検知状態に切り替えられた場合は、侵入検知手段20Aによる超音波を利用した車室内等への不正な侵入行為等の検知を行うことができる。
また、セキュリティ状態が警戒モードに設定されて、侵入検知状態に切り替えられた後、侵入検知手段20Aを通じて不正な侵入行為が検知された場合に、音声入出力状態に切り替えられるので、警告音声記憶部322に記憶された警告音声を各スピーカ301a〜304aから出力することができ、侵入者に対する威嚇効果を高めることができる。
また、送信機13からのアンロック信号を検知して音声入出力状態に切り替えられた場合は、音源部310からの入力音声信号を音声処理部320を介して各スピーカ301a〜304aから出力することができ、さらに複数の音源が選択されている場合は、各音源からの入力音声信号を超音波で変調して指向性を持った信号として出力することができ、各座席の乗員に対して個別に音声出力を行うことができる。
さらに、携帯電話302の発着信が検出された場合は、ハンズフリー装置200からの入力音声信号をFRスピーカ301aから指向性を持った超音波にのせて放出することができ、FRスピーカ301aが向けられた方向にいる者(運転者)に、その音声信号に対応した音を秘話性を持たせて聴取させることができ、また、同時にFLスピーカ302aで受信した運転者が発した音声を、音声出力手段40Aを介してハンズフリー装置200へ出力することができ、通話の秘話性を確保することが可能なハンズフリーシステムとすることができ、従来のハンズフリー装置に装備されていた専用のスピーカとマイクロホンとを音響映像装置用のスピーカで代用することができ、ハンズフリー装置200の構成部品を減らすことができる。
したがって、音響映像装置300Aのスピーカ301a〜304aを、音響映像装置用のスピーカとして、また侵入検知手段20Aから供給される超音波を出力する超音波送波器、その反射波を受信する超音波受波器として、さらにハンズフリー装置200のスピーカ及びマイクロホンとして利用することができ、音響映像装置300Aとセキュリティ装置とハンズフリー装置200とで、スピーカ301a〜304aを兼用することができ、部品の共有化を図ることができ、コストをかけずに高機能なシステムを構築することができる。
なお、上記実施の形態(2)では、スピーカ301a〜304aが前席、後席の各ドアに配設された場合について説明したが、別の実施の形態では、図8に示したように、前席用の表示部350Aの両側方部と後席用の表示部350Bの両側方部とに、各座席方向に向けて超音波式スピーカ301b〜304bを配設した構成としてもよい。なお、図中の破線は、各超音波式スピーカ301b〜304bから放出される超音波信号(原信号、又は音声を含む信号)の放出形態を模式的に示したものである。
係る構成によれば、セキュリティ状態が警戒モードに設定されて、侵入検知状態に切り替えられると、各座席方向に対する侵入検知を個別に行うことができ、また警戒モードが解除されて、音声入出力状態に切り替えられた場合、各超音波式スピーカ301b〜304bから各座席方向に対して指向性を持った音声を個別に出力することができる。
したがって、表示部350Aや表示部350Bで、左右の座席から異なる映像を見る場合には、各映像に対応した音声を各座席方向に個別に出力することができ、各座席の乗員は、映し出される映像に対応する音声を聴取することができる。