JP4975533B2 - キャピラリー可動器具およびこれを用いたキャピラリー電気泳動装置 - Google Patents

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Description

本発明は、生体試料中の物質を分離し、検出するためのキャピラリーを移動させるキャピラリー可動器具、および当該キャピラリー可動器具を備えたキャピラリー電気泳動装置に関する。
近年、生体試料に含まれる様々な種類のタンパク質や核酸などを、その性質の違いにより分離し、検出する技術が注目を集めている。質量分析などの精密な分析に先立って、この分離技術によりタンパク質を前分画したり、また、この分離技術を免疫反応など他の分析手法と組み合わせたりすることにより、その生体試料中にどのような種類のタンパク質が存在するのかを知ることが可能である。たとえば、体液中の病気に関わる特定のタンパク質の量を測定し病気の診断および予防に用いることや、環境や食品中の特定の有害タンパク質を測定し、環境測定および食品測定に用いることなどが可能である。
分離手法としては、電気泳動、液体クロマトグラフィーなどがあるが、分離能の高さから電気泳動に注目が集まっている。電気泳動の手法としては、分離媒体にポリアクリルアミドなどのゲルを用いて、ゲルのふるい効果によりタンパク質を分子量に応じて分離する分子量分画ゲル電気泳動や、分離媒体に液体を用いて、液体をキャピラリー内に充填して分離をおこなうキャピラリー電気泳動などがある。中でも、キャピラリー電気泳動は、内径5〜500μmのキャピラリーを用いるため電圧印加に伴うジュール熱の放熱性が高く、高電圧の印加が可能である。したがって、わずかな量の試料しか必要とせず、かつ高速に分離が可能な優れた手法である。
キャピラリー電気泳動の分離モードとしては、等電点電気泳動、ゾーン電気泳動、ミセル動電クロマトグラフィー、分子量分画電気泳動などがある。等電点電気泳動は、様々な等電点をもつ両性電解質とタンパク質などのサンプルとをキャピラリー内に導入し、電圧印加により試料成分の等電点の違いにより分離をおこなう手法である。ゾーン電気泳動は、緩衝液を満たしたキャピラリーの一端からサンプルを導入し、試料成分の電荷とサイズとの比の違いにより分離をおこなう手法である。ミセル動電クロマトグラフィーは、界面活性剤のミセルをキャピラリーに導入し、試料成分の界面活性剤への分配比の違いにより分離をおこなう手法である。分子量分画電気泳動は、分子ふるい効果を有する高分子溶液もしくはゲルをキャピラリーに充填し、試料成分のサイズにより分離をおこなう手法である。分子量分画電気泳動はたとえばDNAシーケンサーに用いられている。キャピラリー等電点電気泳動またはキャピラリーゾーン電気泳動と免疫反応とを組み合わせることにより、試料タンパク質中の特定タンパク質を分離検出する技術が特許文献1に開示されている。特許文献1に開示された手法を用いることにより、試料中の特定タンパク質がキャピラリー電気泳動によって検出可能となる。
キャピラリー電気泳動における検出手段には、主として吸光検出、蛍光検出など光学的な検出手段が用いられる。ゾーン電気泳動など、試料成分の移動度の差に基づいた分離モードにおいては、たとえば特許文献2に示すように、キャピラリーの終端部において定点検出をおこなうのが一般的である。等電点電気泳動においては、試料成分は自身の等電点に従いキャピラリー中の等電点位置に収束する。そのため終端部において定点検出をおこなう場合には、収束した試料成分を検出点まで移動させる必要がある。試料成分を検出点まで移動させる方法として、分離した試料成分を含む媒体を、送液ポンプを用いて検出点まで移動させる方法がある。あるいは特許文献3に示すように、陽極もしくは陰極の電極液の交換をおこない、試料各成分を電気泳動によって検出点まで移動させる方法がある。
特表平8−506182号公報(平成8年7月2日公表) 特開2005−274365号公報(平成17年10月6日公開) 特開平4−363655号公報(平成4年12月16日公開)
しかしながら、キャピラリー電気泳動により分離した試料成分をキャピラリーの終端部において定点検出する方法には、以下のような問題がある。たとえば電気泳動のモードとして等電点電気泳動を用いた場合、分離した試料成分を検出点まで移動させる必要がある。分離した試料成分を送液ポンプを用いて検出点まで移動させる方法では、拡散により試料成分の分離能が低下するという問題がある。また、等電点電気泳動後に陽極もしくは陰極の電極液の交換をおこない、試料各成分を電気泳動によって検出点まで移動させる方法では、移動の電気泳動において等電点電気泳動による収束または濃縮が維持されないので、等電点電気泳動の分離能、試料成分の濃縮効果が低下するという問題がある。
さらに、キャピラリーの終端部において定点検出する方式では、試料成分の分離後の状態のみしか検出できない。したがって、試料成分の分離過程の測定、すなわち分離状態のリアルタイムでの測定をすることができず、電気泳動により得られる情報が少ないという問題がある。
また、全ての試料成分がキャピラリーの終端部の検出点を通過するまで電圧を印加する必要があるため、分離および検出に時間を要するという問題がある。
本発明は、前記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、電気泳動の分離能低下を伴わず、試料成分を分離した後または試料成分の分離中に試料成分の走査検出を実現するキャピラリー電気泳動装置に搭載することが可能なキャピラリー可動器具と、これを搭載した走査検出型のキャピラリー電気泳動装置を提供することにある。
本発明にかかるキャピラリー可動器具は、前記の課題を解決するために、キャピラリーを、該キャピラリーの長手方向と平行な方向へ移動させる可動手段を備えていることを特徴とする。
前記構成によれば、本発明のキャピラリー可動器具を、前記可動手段を電気泳動装置に組み込むことにより、電気泳動中または電気泳動終了後に、キャピラリーを走査検出することが可能なキャピラリー電気泳動装置を提供することができる。すなわち、このような電気泳動装置を用いることにより、従来構成のように分離した試料成分を終端部に移動させる必要はなくなるため、電気泳動の分解能を低下させることなく、分離した試料成分の検出が可能となる。
また、本発明にかかるキャピラリー可動器具では、前記可動手段は、キャピラリーを保持するキャピラリー保持部と、ステージと、前記ステージの上で前記キャピラリー保持部を一軸方向に移動させる可動部とを有しており、前記キャピラリー保持部は、キャピラリーの長手方向が前記一軸方向と平行になるように、前記キャピラリーを保持することが好ましい。
前記構成によれば、キャピラリーと保持するキャピラリー保持部は、キャピラリーの長手方向と平行な方向へ移動することになる。したがって、キャピラリー保持部は、キャピラリーに対して、その長手方向と平行な方向へ力を加えることが可能となるため、キャピラリーを、該キャピラリーの長手方向と平行な方向へ移動させることができる。
また、本発明にかかるキャピラリー可動器具では、前記キャピラリーと部分的に接触することによって該キャピラリーを支持する支持手段と、前記支持手段及び前記ステージを一表面上に配設した基台とを、さらに備えていることが好ましい。
前記構成によれば、キャピラリーを支持する支持手段と、可動手段のステージとが基台に固定されているので、キャピラリーの移動中においても、支持手段と可動手段との相対的な位置関係を保持することができる。キャピラリーの移動中に、支持手段と可動手段との相対的な位置関係が変化すると、キャピラリーが振動し、分離中もしくは分離後の試料成分がキャピラリー内で不都合に移動するおそれがある。しかしながら、前記のように相対的な位置関係を保持することができれば、分離中もしくは分離後の試料成分を移動させることなく、高精度な検出を実現することができる。
また、本発明にかかるキャピラリー可動器具では、前記可動手段は、前記キャピラリーを前記長手方向と平行な方向へ移動させるための力を、前記キャピラリーの一端に加えることが好ましい。
前記構成によれば、移動させる力はキャピラリーの一端にしか加わらないため、キャピラリーに対する負荷が少なくなり、キャピラリーの破損を防ぐことができる。
また、本発明にかかるキャピラリー可動器具では、前記支持手段には、前記キャピラリーがその長手方向以外へ動くことを制限するための構造体が形成されていることが好ましく、より具体的には、前記構造体は、前記キャピラリーの長手方向に沿って延設され、前記キャピラリーの少なくとも一部が嵌まる溝であることが好ましい。
前記構成によれば、支持手段において、キャピラリーがキャピラリーの長手方向以外へ振動することを防止できる。また、構造体は、キャピラリーを支持手段にセットする際の位置決め部としても機能するので、支持手段の所定位置へのキャピラリーのセッティングを容易に実現できる。特に、溝であれば、キャピラリーを溝に落とし込むという簡易な手法で支持手段の所定位置へのキャピラリーのセッティングを実現できる。
また、本発明にかかるキャピラリー可動器具では、前記支持手段は、前記キャピラリーを前記溝に固定するための蓋を備えていることが好ましい。
前記構成によれば、支持手段が振動した場合でも、キャピラリーがキャピラリーの長手方向以外へ振動することを防止できる。
また、本発明にかかるキャピラリー可動器具では、前記溝は、前記キャピラリーと、前記キャピラリーの長手方向に沿った少なくとも2本の接線において接しており、前記蓋は、前記キャピラリーと、前記キャピラリーの長手方向に沿った少なくとも1本の接線において接していることが好ましい。
前記構成によれば、キャピラリーと溝とはキャピラリーの長手方向の接線において接することとなる。また、キャピラリーと蓋とはキャピラリーの長手方向の接線において接することとなる。したがって、キャピラリーと支持手段との接触面積が、面において接する場合よりも小さくなる。これにより、キャピラリーと支持手段との間の摩擦が小さくなり、キャピラリーの移動をスムーズにおこなうことができる。さらに、摩擦が小さくなることにより、キャピラリーの破損を低減させる効果も奏する。
また、本発明にかかるキャピラリー可動器具では、前記可動手段が、前記キャピラリーの両端に取り付けることによって、該両端における前記キャピラリーの外径を前記キャピラリーの両端以外の部分よりも大きくさせるためのストッパーを有しており、前記キャピラリー保持部には、前記キャピラリーの両端に取り付けられた前記ストッパーを各々収納する収納部が設けられており、前記支持手段は、前記収納部に前記ストッパーが収納された状態の前記キャピラリーの両端以外の部分を支持するように配置されていることが好ましい。
前記構成によれば、キャピラリーの外径よりも大きい部分がキャピラリーに生じることとなり、この領域がキャピラリー保持部に収まっている。したがって、キャピラリーの外径の大きい部分を利用して、キャピラリー保持部は、キャピラリーに力を加えることが容易になる。
また、本発明にかかるキャピラリー可動器具では、各前記収納部には、前記支持手段に対向する側の壁に、前記キャピラリーの外径よりも大きく、かつ、前記ストッパーの幅よりも小さい幅を有する開口部が設けられていることが好ましい。
前記構成によれば、開口部にキャピラリーを通して、ストッパーを収納部に収めることが可能である。またストッパーが開口部を通過することを防止できる。
また、本発明にかかるキャピラリー可動器具では、或る前記収納部における前記開口部が設けられている前記壁が、該或る収納部に収納された前記ストッパーと接触し、前記ストッパーを前記一軸方向に押すことにより、キャピラリーはその長手方向の一方向へ移動することができる。
前記構成によれば、キャピラリー保持部は、キャピラリーの歪みを防いで、キャピラリーを移動させることができる。また、前記構成では、ストッパーはそれぞれ一つずつ収納部に納まっている。キャピラリー保持部が移動すると、キャピラリー保持部に設けられた収納部がストッパーを押して、キャピラリーをその長手方向の一方へ移動させる。反対に、キャピラリー保持部を先ほどとは逆の方向へ移動させるだけで、キャピラリーを先ほどとは反対の方向へ移動させることが可能となる。すなわち、キャピラリーの移動方向を変更させる(反対方向にする)際に、キャピラリーを取り外して再びセットするという手間を省くことができる。
また、本発明にかかるキャピラリー可動器具では、各前記収納部の前記壁における前記ストッパーとの接触面どうしの間の距離が、前記キャピラリーに取り付けられた各前記ストッパーにおける前記壁との接触面どうしの間の距離よりも短いことが好ましい。
前記構成によれば、キャピラリーが移動している間は一方のストッパーにしか力が加わらない。したがってキャピラリーに過度の負荷がかからず、移動をスムーズにおこなうことができる。
また、本発明にかかるキャピラリー可動器具では、前記溝と前記開口部とが一直線上に位置するように、前記支持手段と、前記キャピラリー保持部とが配置されていることが好ましい。
前記構成によれば、キャピラリーは直線の状態でキャピラリー可動器具に配置することができる。したがって、キャピラリーに対してその長手方向以外の方向の負荷がかからずにキャピラリーを移動させることができる。
なお、ここで一直線とは、完全な一直線の場合のほかに、完全な一直線の場合に奏する効果と同等の効果を奏することができれば、実質的に一直線である場合も含むこととする。
また、本発明にかかるキャピラリー可動器具では、前記溝の底部と、前記基台の前記一表面との距離は、前記開口部における前記基台の前記一表面に最も近い面と、前記基台の前記一表面との距離よりも長いことが好ましい。
前記構成によれば、キャピラリーは高さ方向ではキャピラリー保持部に接しておらず、キャピラリー保持部はストッパーを介してのみ、キャピラリーに力を加えることができる。
本発明にかかるキャピラリー電気泳動装置は、前記キャピラリー可動器具と、前記キャピラリー内部の試料成分を電気泳動させるために、前記キャピラリーに電圧を印加する電源と、前記キャピラリー内部の試料成分を、前記キャピラリーの壁を通して検出する検出部とを備えていることを特徴とする。
前記構成によれば、電圧を加えてキャピラリー中の試料成分を分離した後もしくは分離している間、キャピラリーをその長手方向に移動させて、分離させた試料成分を走査検出することができる。したがって、検出部をキャピラリーの長手方向に沿って移動させることなく、電気泳動中の試料成分の分離状態をリアルタイムに測定することが可能となる。
また、本発明にかかるキャピラリー電気泳動装置は、前記検出部は、前記試料成分に光を照射する光照射部と、前記試料成分に前記光照射部から光が照射されたことによって生じる検出光を受光する受光部とを有しており、前記光照射部および前記受光部は、検出中は、前記可動手段以外の箇所に固定されていることが好ましい。
前記構成によれば、前記光照射部及び前記受光部を有したいわゆる光学検出系を用いていることから、分離した試料成分を感度よく検出することが可能となる。さらに、キャピラリー走査時において、内径の小さなキャピラリーを用いても、精度よく試料成分を検出することが可能となる。
また、本発明にかかるキャピラリー電気泳動装置は、前記キャピラリー可動器具は、前記キャピラリーと部分的に接触することによって該キャピラリーを支持する支持手段を備えており、前記光照射部は、前記キャピラリーと前記支持手段との重畳部分に、光を照射することが好ましい。
前記構成によれば、支持手段によって支持されている箇所に光が照射されるので、検出時に位置ずれを抑えることができ、高い検出感度を実現することが可能となる。
また、本発明にかかるキャピラリー電気泳動装置は、前記キャピラリー可動器具によるキャピラリーの移動と、前記検出部による検出と、前記電源による電圧印加とを制御する制御部を備えていることが好ましい。
前記構成によれば、キャピラリーの移動、試料成分の検出、キャピラリー電気泳動を、制御部を通しておこなうことができる。したがって、さまざまな条件における走査検出が可能となる。
また、本発明にかかるキャピラリー電気泳動装置は、前記キャピラリー可動器具は、前記支持手段と、前記可動手段とを一表面上に配設した基台を備えており、前記支持手段には、前記キャピラリーがその長手方向以外の方向へ動くことを制限するための、前記キャピラリーの長手方向に沿って延設され、かつ、前記キャピラリーの少なくとも一部が嵌まる溝と、前記キャピラリーを前記溝に固定するための蓋とが設けられており、前記支持手段は、前記キャピラリーとの重畳部分が光透過性を有しており、前記基台における前記重畳部分と対向する箇所も、光透過性を有していることが好ましい。
前記構成によれば、迷光の発生を抑制し、感度よく試料成分の検出をおこなうことができる。
また、本発明にかかるキャピラリー電気泳動装置は、前記支持手段には、前記キャピラリーとの重畳部分に貫通孔が設けられており、前記基台における前記重畳部分と対向する箇所にも貫通孔が設けられていることが好ましい。
前記構成によれば、キャピラリー支持部、基台あるいは蓋を形成する材料によることなく、照射部から照射した光および試料成分からの光を透過させることができる。
また、本発明にかかるキャピラリー電気泳動装置は、前記制御部は、前記キャピラリー可動器具によるキャピラリーの移動と、前記受光部による受光とを連動させることが好ましい。
前記構成によれば、キャピラリーを移動させた場合でも、キャピラリーの検出位置と光の受光とを対応させることができる。したがって検出部の受光部が、一度の検出においてキャピラリーの長手方向の微小領域の試料の分離状態を検出するものであっても、試料の分離状態をキャピラリーの全体もしくは一定の領域にわたって、検出することができる。
以上のように本発明にかかるキャピラリー可動器具は、キャピラリーを、該キャピラリーの長手方向と平行な方向へ移動させる可動手段を備えているので、たとえば本発明のキャピラリー可動器具を電気泳動装置に組み込むことにより、キャピラリーを走査検出することが可能なキャピラリー電気泳動装置を提供することができる効果を奏する。
〔キャピラリー可動器具〕
本発明のキャピラリー可動器具に関する一実施形態について、図1から図4に基づき説明する。なお、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。また、以下の実施形態において、本発明のキャピラリー可動器具を用いて走査検出型のキャピラリー電気泳動装置を構築する方法について説明をおこなうが、本発明のキャピラリー可動器具の使用方法はこれに限定されない。
(キャピラリー可動器具の構成)
図1は、キャピラリー可動器具の構成を示した斜視図である。図1に示すように、キャピラリー可動器具は、基台1と、基台1上に固定され、キャピラリーの長手方向の一部領域を用いてキャピラリーを支持するキャピラリー支持部(支持手段)2と、キャピラリー支持部2にキャピラリーが支持された状態で、キャピラリーをキャピラリーの長手方向と平行な方向へ移動させる可動手段9とを備えており、この可動手段9は、キャピラリーと保持するキャピラリー可動部(キャピラリー保持部)3と、基台1上に固定された可動ステージ4と、可動ステージ4上でキャピラリー可動部3を一軸方向に移動させる可動部4aとを備えている。
基台1はキャピラリー支持部2、可動ステージ4、キャピラリー可動部3を構成するための土台となるものである。基台1の材料としては、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのプラスチック材料、アルミなどの金属材料が挙げられる。
図2は、本発明のキャピラリー可動器具に使用する分析用キャピラリーの概略図である。キャピラリー5cとしては、一般に市販されている、たとえば、フューズドシリカ製の中空キャピラリーを用いることができる。キャピラリー5cの内径は1〜500μm、外径は100〜1000μmのものが一般的である。キャピラリー5cの長さ(紙面水平方向)は分析に応じて選択可能であり、10〜1000mm程度である。
分析用キャピラリー5には、キャピラリーの両端にストッパー5a、5bが配設される。ストッパー5a、5bは、キャピラリー可動部3に設けられた後述する収納部3a、3b(図4(a))に着脱可能な状態で配設され、キャピラリーをセッティングする際に収納部3a、3bから取り出して、キャピラリーの両端に取り付ければよい。
ストッパー5bに対向するストッパー5aの面と、ストッパー5aに対向するストッパー5bの面との距離がaとなるよう設けていることが好ましい。距離aは、キャピラリー5cの全長に対して可能な限り長く確保することが好ましい。距離aを長く確保することにより、分析(検出)できる領域が拡大するという利点がある。キャピラリーの端は、ストッパー5a、5bの外部に露出していることが好ましい。ストッパー5a、5bから露出したキャピラリーの端部は、後述する電極液に浸漬させるときに用いることができる。キャピラリー端部においてストッパー5a、5bから露出している部分のキャピラリーの長さは、両端それぞれ1〜10mm程度でよい。
ストッパー5a、5bの材料としては、たとえば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)チューブ、フッ素樹脂チューブなどの中空のチューブを用いることが可能である。ストッパー5a、5bに用いるチューブは、内径がキャピラリー5cの外径よりやや大きいものであり、長さ(紙面水平方向)は1〜5mm程度のものである。ストッパーの幅b(中空のチューブを用いる場合はチューブの外径)は、0.5〜5mm程度である。ストッパー5a、5bは、キャピラリー5cに通した後、ストッパー内側間距離aを隔てて接着剤などを用いてキャピラリーに固定する。この分析用キャピラリー5を用いて、キャピラリー可動器具による移動をおこなう。
(キャピラリー支持部)
図3(a)はキャピラリー支持部2の構成を示した斜視図である。図3(a)に示すように、キャピラリー支持部2は、分析用キャピラリー5の一部領域を用いて分析用キャピラリー5を支持し、かつ、キャピラリーをその長手方向にのみ移動可能とする支持構造を有している。
具体的には、キャピラリー支持部2には、分析用キャピラリー5を支持する面に、分析用キャピラリー5の長手方向に沿って溝2aが延設されている。分析用キャピラリー5を、この溝2aに落とし込むことによって、キャピラリー支持部2に支持させる。キャピラリー支持部2には、さらに、溝2aにセットされた分析用キャピラリー5を、分析用キャピラリー5が溝2aから離脱しないように押さえるための蓋2bが設けられている。そのため、分析用キャピラリー5は、溝2aと蓋2bとによって挟み込みこまれた状態となって、キャピラリー支持部2に確実に支持される。
溝2aのキャピラリー長手方向の長さは、5mm〜20mm程度であることが好ましい。溝2aの長さを下限値以上とすることにより、キャピラリーを安定して支持することができ、上限値以下とすることにより、キャピラリーとの摩擦が少なくなり、キャピラリーの移動がスムーズにおこなわれる。なお、本発明における溝2aの長さは、前記の数値範囲に限定されるものではなく、キャピラリーの大きさ(長さ、径など)、およびキャピラリー支持部2の大きさに応じて、前記の効果を奏する範囲内において設定すればよい。
溝2aの構造は、支持されたキャピラリーが、キャピラリー長手方向にのみ移動可能で、長手方向とは異なる方向へは移動しない(即ち、長手方向以外の方向へは振動しない)構造を有することが好ましい。この目的を達成させるために、たとえば、溝2aはその断面形状がV字形状であることが好ましい。なお、溝の断面(形状)とは、溝が延びている方向と直交する方向の断面(形状)を示している。V字の頂点の角度は30〜120度であることが好ましい。角度をこの範囲にすることによって、キャピラリー5cを溝2aに安定した状態で収納できるという利点、およびキャピラリー支持部2の大きさを小さくすることができるという利点がある。すなわち、角度が120度よりも大きい場合、キャピラリー5cは、キャピラリー表面の非常に近い2点において溝2aに接するため、不安定な状態で溝2aに収納されることになる。また角度が30度よりも小さい場合、キャピラリー5cを安定な状態で溝2aに収納するためには、溝2aの深さを大きくとる必要があり、キャピラリー支持部2が大きくなってしまう。溝2aの断面形状をV字形状とすることにより、キャピラリーのセットが容易になり、キャピラリーはセルフアライメント的に同一位置に支持され、長手方向と直行する二方向のセット位置に関する再現性が確保される。尚、上記した角度の範囲に、本発明が限定されるものではない。
図3(b)は、分析用キャピラリー5をセットしたときのキャピラリー5cとキャピラリー支持部2との位置関係を、キャピラリーの長手方向から表した図である。図3(b)に示すように、分析用キャピラリー5をセットしたときにキャピラリー5cの上面が、キャピラリー支持部2の溝2a上面よりも上方に位置することが好ましい。キャピラリー5cが溝2aに完全に収まる構造だと、分析用キャピラリー5がその長手方向へ移動するときに、長手方向とは異なる方向への振動が生じてしまう可能性がある。したがって、蓋2bによって分析用キャピラリー5の長手方向以外への振動を抑える構造であることが好ましい。たとえば前記溝2aの断面形状がV字形状である場合、溝の深さをc、V字の頂点の角度を2θ、分析用キャピラリー5のキャピラリー5cの外径を2rとすると、溝2aの底部からキャピラリー5cの中心の距離は
r/sinθ
である。したがって、溝2aの底部とキャピラリー5cの上面との距離は
(r/sinθ)+r
である。よって
0<c<r{(1/sinθ)+1}
の関係を満たす溝の深さおよび角度を設計すると、キャピラリー5cの上面が溝2aの上面より上方に位置する構造となる。キャピラリー5cが溝2aより上方に出る領域はキャピラリー外径の1/2以下であることが好ましく、1/4以下であることがより好ましく、1/8以下であることがさらに好ましい。キャピラリー5cが溝2aより上方に出る領域をキャピラリー外径の1/2以下とすることにより、キャピラリー5cの重心が溝2aの中に収まり、キャピラリー5cを溝2aに安定した状態で収納させることができる。1/N(N≧2)以下になるには、以下の条件を満たす。つまり、溝2aの底部とキャピラリー5cの上面との距離は
(r/sinθ)+r
なので、キャピラリー5cの溝2aより上方に出る領域の半径方向の最大距離は
(r/sinθ)+r−c
である。これがキャピラリー外径の1/N(N≧2)以下になる条件は
(r/sinθ)+r−c≦2r/N
である。よって
r{(1/sinθ)+1}−(2r/N)≦c<r{(1/sinθ)+1}、N≧2
となるように深さcおよび角度2θを規定すると、キャピラリー5cが溝2aより上方に出る領域を、キャピラリー外径の1/N(N≧2)以下とすることができる。
また、分析用キャピラリー5を溝2aにセットした時、キャピラリー5cと溝2aは図の黒点によって示すように2つの接点(キャピラリー長手方向の2本の接線)において接するよう支持されることが好ましく、前記V字形状の溝はこの目的を満たす構造である。蓋2bは、キャピラリー5cの上面を抑える役割を果たし、キャピラリー5cと蓋2bは、図の黒点によって示すように1つの接点(キャピラリーの長手方向の1つの接線)において接するよう支持されることが好ましい。この目的を達成させるために蓋2bのキャピラリー5cに接する方の面は平坦な構造とすることが好ましい。この位置関係において分析用キャピラリー5がキャピラリー支持部2に支持されることにより、キャピラリー長手方向への移動時に長手方向とは異なる方向へは分析用キャピラリー5が振動しない効果を発揮する。さらに、キャピラリー5cとキャピラリー支持部2との接触面積が小さいため、摩擦が小さく、分析用キャピラリー5の移動がスムーズにおこなわれ、キャピラリー5cの破損を防ぐ効果がある。
図3(c)は、蓋2bを、閉じた状態で保持する手段の一実施形態を示した断面図である。蓋2bを閉じる手段は、磁力、接着、スイッチなどを利用したものが可能である。図3(c)に示すように、重り2dの鉛直下方への重力を利用して蓋2bを閉じる方法を用いてもよい。
キャピラリー支持部2の材料としては、たとえばフッ素樹脂などの摩擦係数の低い材料が好ましい。摩擦係数の低い材料を用いることにより、キャピラリー5cの移動がスムーズにおこなえる、移動時にキャピラリー5cの破損を防げるなどの効果がある。蓋2bの材料としては、フッ素樹脂、PMMAなどを用いることができる。
図3(d)は、キャピラリー支持部の一実施形態を示した斜視図である。キャピラリー支持部2の基台1への固定は、たとえば接着剤を用いておこなってもよいし、基台1裏面よりネジ固定してもよい。図3(d)に示すように、キャピラリー支持部2の底面にはみ出し部分を設けて作製し、キャピラリー支持部2底面のはみ出し部分を用いて基台1上へネジ固定してもよい。キャピラリー支持部2の各形状は、たとえば切削加工機を用いて作製可能であり、一体成型されていなくてもよい。
尚、本実施形態では、溝2aを形成したキャピラリー支持部について説明したが、本発明は溝に限定されるものではなく、キャピラリー支持部2の所定の位置に分析用キャピラリー5が配置された際に、配置された分析用キャピラリー5の外面と接触することによって、分析用キャピラリー5の長手方向以外の方向へ移動(振動)することを抑える(長手方向以外の方向への動きの自由度を無くす)構造であればよい。よって、例えば、キャピラリー支持部が水平面を有していて、この水平面に分析用キャピラリー5を載置させる構成の場合は、該水平面に、複数の突起を形成し、この突起を用いて、分析用キャピラリー5を所定の位置に位置決めするとともに、該長手方向以外の方向への振動を抑制する構成としてもよい。また、キャピラリー支持部の一表面に開閉可能な環構造を1つまたは複数取り付けて、開環させた状態の環構造に分析用キャピラリー5をセットし、これを閉環させることによって、分析用キャピラリー5を、分析用キャピラリー5の長手方向以外の方向へ移動(振動)することを抑えるものであってもよい。この環構造の場合は、上記蓋2bの機能も具備しているため、蓋2bを別途設ける必要がない。
(可動手段)
可動手段9は、キャピラリー支持部2において一軸方向(キャピラリー長手方向)のみへ移動可能なように支持された分析用キャピラリー5(図3(a))を、キャピラリー長手方向へ移動させるために設けられており、上述したように、図1に示すように、可動部4aを有する可動ステージ4と、キャピラリー可動部3とを備えている。
(可動ステージ)
可動ステージ4は、基台1に接着もしくはネジ等を用いて固定されている。可動ステージ4は、たとえばステッピングモーター駆動ステージなどの一軸方向に移動することが可能な可動部4aを駆動して、可動部4aを、可動ステージ4の上で一軸方向(一方向もしくは双方向)に移動させる。
可動部4aには、キャピラリー可動部3が連結している。そのため、可動部4aが可動ステージ4による駆動によって一軸方向に移動するのに併せて、キャピラリー可動部3も一軸方向に移動する。
可動部4aとしては、ステッピングモーター駆動ステージのほかにも、自動制御および精密駆動が可能なものとしては、サーボモーター駆動ステージ、シャフトモーター駆動ステージ、電動スライダーなどを用いることが可能である。また手動で駆動をおこなう場合には、直動ステージ、アリ式ステージ、ラックピニオンステージ、ネジ式ステージなどを用いることが可能である。
(キャピラリー可動部)
キャピラリー可動部3は、キャピラリー支持部2において一軸方向(キャピラリー長手方向)のみへ移動可能なよう支持された分析用キャピラリー5を、その長手方向へ移動させる構造を有する。具体的には、キャピラリー可動部3は、可動部4aの移動方向と、キャピラリーの長手方向とが平行になるように分析用キャピラリー5を保持することができる。そのため、キャピラリー可動部3は、分析用キャピラリー5を、キャピラリー長手方向と平行な方向(一方向もしくは双方向)に移動させることが可能となる。
キャピラリー可動部3は、図1に示すように、可動ステージ4の可動部4aに直接もしくは高さなどを調整するスペーサーなどを介して、接着もしくはネジ等を用いて固定される。
図4(a)は、キャピラリー可動器具の上面概略図である。キャピラリー可動部3は、分析用キャピラリー5のストッパー幅bよりも広い幅(紙面垂直方向)をもつ二つの収納部3a、3bを有し、各収納部は、キャピラリー支持部側に、開口部3c、3dを有する。各開口部3c、3dのキャピラリー支持部側(入口)の幅f1がキャピラリー幅2rよりも大きく、キャピラリー支持部2と反対側(出口)の幅f2がキャピラリー幅2rよりも大きくかつストッパー幅bよりも小さいことが好ましい。なお、収納部3a、3bのキャピラリー支持部2と反対側の一端は開口状態でもよいし閉口状態でもよい。図1では、開口状態のものを示している。
キャピラリー支持部2とキャピラリー可動部3は、図のようにキャピラリー支持部2の溝2aとキャピラリー可動部3の開口部3c、3dとが一直線上に位置するよう基台1上に構成されていることが好ましい。なお、ここで一直線上とは、完全な一直線の場合のほかに、完全な一直線の場合に奏する効果と同等の効果を奏することができれば、実質的に一直線である場合も含むこととする。
分析用キャピラリー5は、キャピラリー支持部2の溝2aにキャピラリーの一部領域を用いて、キャピラリーがその長手方向に移動できるように支持されている。開口部3cを通して、ストッパー5aがキャピラリー可動部3の収納部3aに位置するよう上方から配置され、開口部3dを通して、ストッパー5bが収納部3bに位置するよう上方から配置されている。キャピラリー可動部3の開口部出口間の距離gは、キャピラリー支持部2の溝2aの長さ(紙面水平方向)よりも大きく、分析用キャピラリー5のストッパー内側間の距離aよりも小さいことが好ましい。
図4(b)は、図4(a)のA−A’切断線においてキャピラリー可動器具を切断した状態を示した矢視断面図である。キャピラリー可動部3の開口部底面と基台1上面との距離hは、キャピラリー支持部2の溝2aの底面と基台1上面の距離(図3(b)のd)よりも小さいことが好ましい。前記構成により、分析用キャピラリー5は高さ方向(図4(a)の紙面を貫く方向)において、キャピラリー支持部2にのみ支持され、キャピラリー可動部3とは高さ方向においては接しない。すなわち、分析用キャピラリー5とキャピラリー可動部3はストッパーを介して移動方向のみの面において接する構造である。
図4(c)および図4(d)は、分析用キャピラリー5を移動させる場合のキャピラリー可動部3、キャピラリー支持部2、および分析用キャピラリー5の位置関係を示した図である。図4(c)に示すように、分析用キャピラリー5を紙面左方向に移動させる場合、可動ステージ4が可動部4aを介してキャピラリー可動部3を左方向に移動させる。このとき、図4(c)に示すように、キャピラリー可動部3の収納部3aと分析用キャピラリー5のストッパー5aが、収納部3aの開口部出口の面とストッパー5aの内側面が接し、収納部3aがストッパー5aを引くことにより、分析用キャピラリー5を左方向へ移動させる。キャピラリー可動部3の開口部出口間の距離(図4(a)のg)は、分析用キャピラリー5のストッパー内側間の距離(図2のa)よりも小さいため、左方向への移動時に右側のストッパー5bはフリーの状態であり、負荷がかかっていない状況にある。図4(d)に示すように、同様に右方向への移動時には、収納部3bがストッパー5bを引くことにより、分析用キャピラリー5は右方向へ移動する。いずれの場合も、分析用キャピラリー5はキャピラリー支持部2による進行方向以外の位置ずれを起こすことはない。また、キャピラリー可動部の進行方向の収納部とストッパーとが一つの面でのみ接する状態で移動がおこなわれる。したがって、キャピラリーに過度の負荷がかからずスムーズに移動できるという効果がある。また、キャピラリーの破損を防ぐという効果もある。
キャピラリー可動部3の材料は、絶縁性であることが好ましい。たとえば、PMMAなどのプラスチック材料を切削加工することにより作製可能である。キャピラリー可動部3に絶縁性の材料を用いることにより、キャピラリー可動器具をキャピラリー電気泳動装置に組み込んで使用するときに、キャピラリー中の試料に効率よく電圧印加することができるという利点がある。またキャピラリー可動部への漏電による感電、および装置の破損を防ぐことができるという利点がある。
図4(e)はキャピラリー可動部3の一実施形態の図である。キャピラリー可動部3は一体成型される必要はなく、複数の部位からつくられてもよい。たとえばPMMA基台を接着剤、ネジなどを用いて固定することにより構成されていてもよい。可動ステージ4の可動部4aに連結する連結部3e、収納部を有する引張部3f、連結部3e、および引張部3fを繋ぐスペーサー3gによりキャピラリー可動部3を構成してもよい。スペーサー3gおよび引張部3fの取付位置を変えることにより、キャピラリー可動部3の開口部底面と基台1上面の距離hを自由に変更することができる。
以上のように、本発明のキャピラリー可動器具を用いることにより、キャピラリーの長手方向と直交する二つの方向に関する位置再現性よく、キャピラリーを容易にセットすることが可能となる。また、移動時においては、その長手方向以外の方向への位置ずれがなく、また過度の負荷がキャピラリーにかからないため、キャピラリーの破損を引き起こすことなくスムーズにキャピラリーの一軸方向(一方向もしくは双方向)への移動が可能となる。
〔キャピラリー電気泳動装置〕
本発明のキャピラリー電気泳動装置に関する一実施形態について、図2、図5、図6および図7に基づき説明する。なお、本発明は、以下の記載に限定されるものではない。また、本発明は、キャピラリー電気泳動により分離されたもしくは分離中のキャピラリーの一定領域にわたる試料の状態を固定の光学検出系を用いて検出する場合に、特に効果を発揮するため、固定光学検出系を用いたキャピラリー走査検出型電気泳動装置について説明をおこなうが、用途は特にこれに限定されない。
(キャピラリー電気泳動装置の構成)
図5は、キャピラリー可動器具を用いたキャピラリー電気泳動装置の構成を示した図である。キャピラリー電気泳動装置は、検出部と、キャピラリー可動器具と、高電圧電源と、制御部とを備えている。検出部は、キャピラリー電気泳動により分離されたもしくは分離過程の試料の状態を検出するための固定光学系を有するものである。キャピラリー可動器具は、上述したように、キャピラリーを移動させるものであり、これにより、固定光学系がキャピラリーの一定領域を走査検出することを可能にさせるものである。高電圧電源は、キャピラリー電気泳動をおこなうためのものである。制御部は、検出部と、キャピラリー可動器具と、高電圧電源とを制御するためのものである。制御部としてはパソコンなどのコンピューターを用いることが可能であり、制御部に作成したプログラムにより各種制御をおこなう。
キャピラリーの移動は、制御部のプログラムの駆動命令によって、キャピラリー電気泳動装置のステージ駆動部を介して、キャピラリー可動器具の可動ステージの可動部を移動させることによりおこなわれる。可動ステージとステージ駆動部が一体化したステージを用いる場合は、ステージ駆動部はキャピラリー可動器具に組み込まれる。制御プログラムにより、移動(走査)位置および範囲、移動(走査)速度、移動(走査)方向などを制御することが可能である。
(キャピラリー電気泳動部)
図6(a)から図6(c)はキャピラリー電気泳動装置の電極、電極液、電極液槽の構成図である。電極はキャピラリーに電圧を印加するためのものである。電極液槽には電極液が満たされている。電極液槽6a、6bには絶縁性の容器を用いることが可能である。電極液槽6a、6bには電気泳動をおこなうための電極液7a、7bが満たされている。また電圧を印加するための電極8a、8bが外部から挿入もしくは固定されている。二つの電極液槽6a、6bの間に分析用キャピラリー5を配置し、電極液7a、7bを通して電圧を印加することによりキャピラリー電気泳動が可能である。たとえば、図6(a)に示すように、プラスチック製の容器を電極液槽6a、6bとして用い、底部に穴をあけ、白金線などの電極8a、8bを通し加熱により融着固定することにより、電気泳動装置を作製することが可能である。このとき、電極液槽6a、6bの開放部は横方向を向くが、表面張力により、電極液7a、7bがこぼれることはない。必要であれば、キャピラリー外径より大きな孔をもつ蓋やゴムパッキングなどを電極液槽6a、6bに備えてもよい。また、図6(b)に示すように、電極8a、8bは外部から電極液槽6a、6bに挿入する構成としてもよい。さらに、図6(c)に示すように、キャピラリーの両端を折り曲げ電極液槽6a、6bの開放部が上を向く構成としてもよい。
電極液槽6a、6bを格納する場所として、キャピラリー可動器具のキャピラリー可動部3の収納部3a、3bを用いることが可能である。収納部3aに電極液槽6aを、収納部3bに電極液槽6bを配置することにより、図6(a)〜(c)の構成を本発明のキャピラリー電気泳動装置上に構築することが可能である。
電気泳動をおこなうための電圧印加は、高電圧電源から前記電極液槽6a、6bに配置した電極8a、8bを通しておこなう。制御部に作成したプログラムにより印加電圧値、印加時間などを制御することが可能であり、必要に応じて電圧および電流のモニタをおこなうことも可能である。
(検出部)
検出部では、キャピラリー電気泳動により分離されたもしくは分離中の試料成分の検出を、キャピラリーの一定領域にわたっておこなう。本発明では、固定の検出系を用い、キャピラリー可動器具によりキャピラリーを移動させる。それにより、固定検出系に対してキャピラリーの検出領域を移動させ、キャピラリーの一定領域にわたる検出をおこなうことが可能である。図2に示す本発明の分析用キャピラリー5を用いる場合、ストッパー5aとストッパー5bとの間の領域(距離aの領域)の走査検出が可能である。キャピラリーがポリイミドなどの被覆を有する場合は、検出領域の被覆を除去しておくことが好ましい。被覆を除去することにより、分離した成分を感度よく検出できる利点を有する。ストッパー部およびストッパーより外側の領域は被覆を残しておいてもよい。
固定の検出系には、主に吸光検出や蛍光検出などの光学検出系を用いることが可能である。蛍光検出では、一般に、まず試料成分(もしくは試料成分に標識した蛍光色素)に、試料成分(もしくは標識蛍光色素)の蛍光励起波長に対応する照射光を照射する。そして試料成分(もしくは標識蛍光色素)から発せられる蛍光(励起波長より長い蛍光波長をもつ検出光)を受光し測定することにより、試料成分の存在(濃度)を検出する。吸光検出では、一般に、まず試料成分(もしくは試料成分に標識した色素)に、試料成分(もしくは標識色素)の吸収波長に対応する照射光を照射する。そして試料成分(もしくは標識色素)の吸収により強度が減少した照射光(検出光)を受光し測定することにより、試料成分の存在(濃度)を検出する。いずれの手法においても、特定の波長を取り出す目的においてバンドパスフィルタや干渉フィルタなどのフィルタ類を光学系に組みこむのが一般的である。
図7(a)から図7(c)は、蛍光もしくは吸光検出を目的とした検出系の配置位置を、分析用キャピラリー5との位置関係から示した図である。キャピラリー可動器具は、便宜上、基台1およびキャピラリー支持部2のみ図示している。また、光軸上の点線は照射光の経路を表し、実線は検出光(蛍光もしくは吸光)を表す。
図7(a)は、主に蛍光検出を目的とした場合の位置関係を示している。この場合の蛍光検出は、(i)まず光照射部10aより発せられた照射光を、レンズ11aを用いて平行光に変換し、励起用フィルタ12a(光照射部に励起波長を有するレーザ、LEDを用いる場合は必ずしも必要ではない)を用いて、特定の波長を有する照射光を取り出し、(ii)ダイクロイックミラー13aを経てレンズ11cに入射させ、(iii)レンズ11cにより照射光をキャピラリー中の試料に集光し励起をおこない、(iv)試料成分(もしくは標識蛍光色素)から発せられる蛍光をレンズ11cにより集光し平行光に変換し、(v)ダイクロイックミラー13aを透過させて蛍光フィルタ12bにより特定の蛍光波長の検出光を取り出し、(vi)レンズ11bにより検出光を受光部10bに集光し検出をおこなう、という構成である。
図7(b)は、主に吸光検出を目的とした場合の位置関係を示している。この場合の吸光検出は、(i)まず光照射部10aからの照射光を、レンズ11aを用いて平行光に変換し、励起用フィルタ12a(必ずしも必要ではない)を用いて、特定の波長を有する照射光を取り出し、(ii)レンズ11dに入射させ、レンズ11dによって照射光をキャピラリー中の試料に集光し、(iii)試料成分(もしくは標識色素)の吸収により強度が減少した検出光をレンズ11cで集光して平行光に変換し、(iv)蛍光フィルタ12bにより特定の吸収波長の検出光を取り出し、(v)レンズ11bで検出光を受光部10bに集光し検出をおこなう、という構成である。
図7(c)は、主に蛍光検出を目的とした場合の位置関係を示している。この場合の蛍光検出は、(i)光照射部10aより発せられた照射光を、レンズ11aを用いて平行光に変換し、励起用フィルタ12a(必ずしも必要ではない)を用いて特定の波長を有する照射光を取り出し、(ii)レンズ11dにより照射光をキャピラリー中の試料に集光し励起をおこない、(iii)試料成分(もしくは標識蛍光色素)から発せられる蛍光をレンズ11cにより集光し、かつ平行光に変換し、(iv)蛍光フィルタ12bにより特定の蛍光波長の検出光を取り出し、(v)レンズ11bにより検出光を受光部10bに集光し検出をおこなう、という構成である。
光照射部10aを設ける位置は前記形態に限定されず、たとえば紙面を貫く方向の位置に設けても良いし(図示せず)、光照射部10aと受光部10bの位置関係を逆にしてもよい。光軸位置調整用のミラーを用いて光照射部10aや受光部10bの位置を変更してもよく、その他あらゆる既知の光学系を本発明のキャピラリー可動器具を用いた電気泳動装置に用いることが可能である。いずれの構成においても、光照射部10aからの光をレンズ11d(図7(a)の場合11c)を通してキャピラリー中の試料に集光し、キャピラリー中試料成分からの検出光をレンズ11cにより集光し、受光部10bにより受光する。
またいずれの構成においても、受光した光は、電気信号に変換された後、A/Dコンバータなどを用いて信号データとして制御部に取り込まれる。
光照射部10aとしては、レーザ、LED、ランプ光源等を用いることが可能である。キャピラリー電気泳動によるサンプルの分離を高感度に検出する目的において、特にレーザを用いることが好ましい。
また、受光部10bとして、光電子増倍管(PMT)、CCDカメラ、CMOSイメージャなどを用いることが可能であり、キャピラリー電気泳動によるサンプルの分離を高感度に検出する目的において、特にPMTを用いることが好ましい。
キャピラリー内の試料成分を光学的に検出する場合、試料が充填されている領域(試料が充填されていない状態におけるキャピラリーの中空部)以外(特にキャピラリー外面と空気の界面およびキャピラリー内壁と試料充填領域の界面)に、光照射部10aからの光が当たると光の散乱が生じる。このような光の散乱は、受光部10bにおけるバックグラウンドの上昇(検出感度の低下)の原因となる。そのため、光照射部10aからの光をキャピラリー中の試料に集光するレンズ11d(図7(a)の場合11c)の位置およびキャピラリーの検出位置を高精度に一定に保つことが好ましい。また、キャピラリー中の試料成分からの信号光を効率的に受光部10bに集光させるため、集光の目的において配置したレンズ11cの位置およびキャピラリーの検出位置を高精度に一定に保つことが好ましい。
図7(d)は、キャピラリー可動器具と分析用キャピラリー5およびレンズ11cの位置関係を図3(b)に対応する形にして表した図である。便宜上、基台1およびキャピラリー支持部2のみ図示してあり、蓋2bは図示していない。キャピラリーの内径は、一般に1〜500μm程度と非常に小さいため、キャピラリー走査検出時のキャピラリー移動方向以外の方向への振動は極力抑え、レンズ11cの位置、レンズ11dおよびキャピラリーの検出位置を高精度に一定に保つことが好ましい。本発明のキャピラリー可動器具を用いると、キャピラリーの移動(走査)をおこなっても、キャピラリーの長手方向(紙面を貫く方向)以外の方向(紙面水平方向)への振動が抑えられる。そのためレンズ11cに対する分析用キャピラリー5の試料充填領域の位置ずれが起こらず、高精度にサンプルの分離状態を検出することが可能である。
照射光をキャピラリー支持部2を通しておこなう場合、キャピラリー支持部2および基台1は照射光を透過する材料を用いるか、光軸上に貫通孔を設ける構成とすることが好ましい。照射光がキャピラリーを透過すると、キャピラリー支持部にて反射して迷光となる。この迷光は受光部でのバックグラウンド上昇を招く可能性がある。そのため、キャピラリー支持部2および基台1に関して、照射光を透過する材料もしくは吸収する材料を用いるか、または光軸上に貫通孔を設ける構成とすることが好ましい。また、キャピラリー支持部2の蓋2bの材料は、検出の妨害とならないように、照射光(上方入射の場合)および検出光を透過する材料が好ましい。可視域の照射光および検出光を用いる場合、たとえば、PMMAを蓋の材料として用いることが可能である。また、紫外領域の照射光および検出光を用いる場合、蓋の材料としては紫外光を透過する、たとえば石英を用いることが可能である。また、蓋の光軸対応位置にも貫通孔を設けることが好ましい。
(制御部)
以上のキャピラリー可動器具、検出部、高電圧電源、およびそれらを制御する制御部をもちいて、キャピラリー電気泳動によるサンプルの分離状態の走査検出をおこなうことができる。以下、その手順について説明をおこなう。
まず、分析用キャピラリーをキャピラリー可動器具にセットした後、サンプルの導入、電極液槽の配置をおこなう。この操作は手動でおこなっても良いし、別途キャピラリーセット機構、サンプル導入機構、電極液槽配置機構を設けて自動でおこなっても良い。
この後、キャピラリー電気泳動によるサンプルの分離および走査検出をおこなう。制御部から高電圧電源に電圧印加の指令を送り、電気泳動を開始する。電気泳動の開始とともに、あるいは泳動を開始してから所定時間経過後に、キャピラリー可動器具のステージ駆動部へ指令を送り、キャピラリーをその長手方向(一方向もしくは双方向)へ移動させる。移動と同時に、光照射部への光照射命令をおこない、検出光の信号をA/Dコンバータなどを介して制御部へ取り込み、走査検出をおこなう。ステージ駆動部への命令は位置の指定とともに移動速度の指定も可能なため、検出データを経時的に取り込むことによりキャピラリーの検出位置との対応付けが可能である。取り込んだデータは、横軸が時間、縦軸が検出信号となるが、データ取得中もしくは取得後に演算により横軸をキャピラリーの位置に変換可能である。また、制御部はステージの現在位置を検出しながら、検出信号を取得することが可能である。それにより横軸がキャピラリーの位置、縦軸が検出信号のデータを直接取得することが可能である。
また、信号検出とステージ駆動を繰り返しおこなうプログラムを制御部に組み込むことによって、電気泳動中に、走査検出を繰り返しおこなうことも可能である。キャピラリーを一方向にのみ走査検出する場合は、キャピラリーの一方のストッパーから他方のストッパーまでステージ駆動および信号取得による走査検出をおこなった後、まず信号の取得を停止して、ステージを最初のストッパー位置まで戻す。その後、最初と同様にステージ駆動および信号の取得をおこなうことにより、繰り返しの走査検出が可能である。キャピラリーの双方向を走査検出する場合は、まずキャピラリーの一方のストッパーから他方のストッパーまでステージ駆動および信号取得による走査検出をおこなう。そして続いて、先ほどとは逆方向へのステージ駆動および信号の取得をおこなうことにより繰り返しの走査検出が可能である。電気泳動をおこないながら走査検出を繰り返しおこなうことにより、試料成分の分離過程をリアルタイムに検出することが可能である。
制御部から高電圧電源に電圧停止の命令をおこない、ステージ駆動および信号の取得も停止することにより、キャピラリー電気泳動による試料の走査検出を終了する。また、走査検出は所定のタイミングまたは電気泳動終了間際に1度おこなうだけでもよいし、電気泳動終了後におこなうことも可能である。
以上のように、本実施形態に係るキャピラリー電気泳動装置は、キャピラリーと部分的に接触することによって、該キャピラリーを支持するキャピラリー支持部2と、キャピラリー支持部2に支持されたキャピラリーを、キャピラリーの長手方向と平行な方向へ移動させる可動手段9とを備えたキャピラリー可動器具を備えている。これにより、電気泳動中または電気泳動終了後に、キャピラリーを走査検出することが可能なキャピラリー電気泳動装置を提供することができる。すなわち、このような電気泳動装置を用いることにより、従来構成のように分離した試料成分を終端部に移動させる必要はなくなるため、電気泳動の分解能を低下させることなく、分離した試料成分の検出が可能となる。
また、上述したように、キャピラリー可動器具は、キャピラリー支持部2と、可動手段9とが、基台1に取り付けられている。これにより、キャピラリーの移動中においても、キャピラリー支持部2と可動手段9との相対的な位置関係を保持することができる。キャピラリーの移動中に、キャピラリー支持部2と可動手段9との相対的な位置関係が変化すると、キャピラリーが振動し、分離中もしくは分離後の試料成分がキャピラリー内で不都合に移動するおそれがある。しかしながら、前記のように相対的な位置関係を保持することができれば、分離中もしくは分離後の試料成分を移動させることなく、高精度な検出を実現することができる。
また、上述したように、可動手段9は、キャピラリーと連結するキャピラリー可動部3と、キャピラリー可動部3を該長手方向に沿って一軸移動させる可動部4aを有した、キャピラリー可動部3を支持するキャピラリー可動ステージ4とを有している。これにより、キャピラリーと連結するキャピラリー可動部3は、キャピラリーの長手方向と平行な方向へ移動することになる。したがってキャピラリーに対して、その長手方向と平行な方向へ力を加えることが可能となる。
また、上述したように、可動手段9は、キャピラリーを前記長手方向へ移動させるための力を、キャピラリーの一端に加えるように構成されている。これにより、移動させる力はキャピラリーの一端にしか加わらないため、キャピラリーに対する負荷が少なくなり、キャピラリーの破損を防ぐことができる。
また、上述したように、キャピラリー可動器具のキャピラリー支持部2には、溝2aが形成されている。これにより、キャピラリー支持部2において、キャピラリーがキャピラリーの長手方向以外へ振動することを防止できる。また、溝は、キャピラリーをキャピラリー支持部2にセットする際の位置決め部としても機能するので、キャピラリー支持部2の所定位置へのキャピラリーのセッティングを容易に実現できる。特に、溝構造とすることで、キャピラリーを落とし込むという簡易な手法でキャピラリー支持部2の所定位置へのキャピラリーのセッティングを実現できる。さらに、検出光学系とキャピラリーの位置関係が一義的に決定されるので、予め使用するキャピラリー(サイズ)と、レンズ11c、11dの焦点位置との関係を制御部に記憶させておけば、装置使用者は使用するキャピラリーの情報を入力するだけで、制御部が自動的に焦点を合わせることが可能である。したがって、オートフォーカスなどの特別な機構を搭載することなく、再現性の高い検出および高感度の検出を実現できる。
また、キャピラリー支持部2は、キャピラリーを溝2aに固定するための蓋2bを備えている。これにより、キャピラリー支持部2が溝2aから離脱する方向へ振動しようとした場合でも、この動きを抑制することができる。
また、キャピラリー支持部2に設けられた溝2aは、キャピラリーと、キャピラリーの長手方向に沿った少なくとも2本の接線において接しており、蓋2bは、前記キャピラリーと、キャピラリーの長手方向に沿った少なくとも1本の接線において接している。これにより、キャピラリーとキャピラリー支持部2との接触面積は、面において接する場合よりも小さくなるので、キャピラリーとキャピラリー支持部2との間の摩擦が小さくなり、キャピラリーの移動をスムーズにおこなうことができる。さらに、摩擦が小さくなることにより、キャピラリーの破損を低減させる効果も奏する。
また、上述したように、キャピラリー可動器具の可動手段9は、キャピラリーの両端に取り付けることによって、該両端におけるキャピラリーの外径を前記キャピラリーの両端以外の部分よりも大きくさせるためのストッパー5a、5bを有しており、前記キャピラリー可動部3には、キャピラリーの両端に取り付けられたストッパー5a、5bを各々収納する収納部3a、3bが設けられており、キャピラリー支持部2は、収納部3a、3bにストッパー5a、5bが収納された状態のキャピラリーの両端以外の部分を支持するように配置されている。これにより、キャピラリーの外径よりも大きい部分がキャピラリーに生じることとなり、この領域がキャピラリー可動部3に収まっている。したがって、キャピラリーの外径の大きい部分を利用して、キャピラリー可動部3は、キャピラリーに力を加えることが容易になる。
また、各収納部3a、3bには、キャピラリー支持部2に対向する側の壁に、キャピラリーの外径よりも大きく、かつ、ストッパー5a、5bの幅(径)よりも小さい幅を有する開口部3c、3dが設けられている。これにより、開口部3c、3dにキャピラリーを通して、ストッパー5a、5bを収納部3a、3bに収めることが可能である。またストッパー5a、5bが開口部3c、3dを通過することを防止できる。
また、一方の収納部における、開口部が設けられている壁が、この収納部に収納されたストッパーと接触して、このストッパーを移動方向へ押すことにより、キャピラリーはその長手方向の一方向へ移動するように構成されている。これにより、キャピラリー可動部3は、キャピラリーの歪みを防いで、キャピラリーを移動させることができる。また、キャピラリー可動部3に設けられた収納部がストッパーを押して、キャピラリーをその長手方向の一方へ移動させた後、キャピラリー可動部3を先ほどとは反対の方向へ移動させるだけで、キャピラリーを先ほどとは反対の方向へ移動させることが可能となる。すなわち、キャピラリーを反対の方向へ移動させる際に、キャピラリーを取り外して再びセットするという手間を省くことができる。
また、一方の収納部の壁におけるストッパーとの接触面と、他方の収納部の壁におけるストッパーとの接触面との間の距離が、キャピラリーに取り付けられた各ストッパーにおける前記壁との接触面どうしの間の距離よりも短くなるように構成されていることから、キャピラリーが移動している間は一方のストッパーにしか力が加わらないので、キャピラリーに過度の負荷がかからず、移動をスムーズにおこなうことができる。
また、キャピラリー支持部2の溝2aと、キャピラリー可動部3の開口部3c、3dとが一直線上に位置するように配置されている。これにより、キャピラリーは直線の状態でキャピラリー可動器具3に配置することができ、キャピラリーに対してその長手方向以外の負荷がかからずにキャピラリーを移動させることができる。
また、溝2aの底部(V字の頂点)と、基台1の表面との間の距離d(図3(b))は、開口部3c、3dにおける基台1の表面に最も近い面と、基台1の表面との距離h(図4(b))よりも長いことから、キャピラリーは高さ方向ではキャピラリー可動部3に接しておらず、キャピラリー可動部3はストッパー5a、5bを介してのみ、キャピラリーに力を加えることができる。
このように、本発明のキャピラリー電気泳動装置を用いることにより、試料成分を分離した後または分離中に、キャピラリーの破損を引き起こすことなく、試料を高感度、高精度に走査検出することが可能である。本発明のキャピラリー電気泳動装置は、特にキャピラリー等電点電気泳動において絶大な効果を奏する。またキャピラリー検出位置へのキャピラリーのセッティングおよび取り外しが容易なため、ハイスループットに分析することが可能となる。
次に、上述した実施形態にかかるキャピラリー電気泳動装置の具体的な数値実施例について説明する。分析用キャピラリー中において等電点マーカーの等電点電気泳動をおこない、分離初期から分離終了まで走査検出をおこなった。なお本発明は以下に記載する実施例に限定されるものではない。
幅60mm、奥行20mm、厚さ11mmのフッ素樹脂材料を切削加工し、図3(d)に示すキャピラリー支持部2を作製した。キャピラリー支持部2の溝2a部分は、60度テーパー型のエンドミルを使用して切削加工し、長さ10mm、深さ0.5mm、V字頂点角60度とした。また、キャピラリー支持部2の中央位置に直径4mmの貫通孔を作製し、キャピラリー支持部2の厚さの薄いはみ出し部分(3mm厚)に基台へ固定するためのネジ穴を二つ設けた。幅10mm、奥行40mm、厚さ0.8mmのPMMA基板を蓋2bとした。蓋2bには、照射光あるいは検出光が通過する領域に直径4mmの貫通孔を設け、また重りを固定するための直径3mmの貫通孔を設けた。蓋2bは、開閉できるように、キャピラリー支持部2に対して一端をテープにより固定した。蓋2bを閉じたときに、キャピラリー支持部2の貫通孔2cと蓋2bの検出用貫通孔2cとが重なる構成とした。
次に、図4(a)および図4(e)に示すようなキャピラリー可動部3を作製した。幅190mm、奥行85mm、厚さ6mmのPMMA基板を切削加工し、キャピラリー可動部と可動ステージの可動部を繋ぐ連結部3eを作製した。さらに、幅190mm、奥行35mm、厚さ8mmのPMMA基板を切削加工し、電極液槽収納部、開口部を含む引張部3fを作製した。電極液槽は、幅43mm、奥行7mm、深さ6mmの槽を二つ切削加工し、開口部として、開口部幅1mm、深さ3.8mmの溝を二つ加工し、開口部間距離は、104mmとした。前記連結部3eの下方に前記引張部3fを高さ調整用のスペーサー3gを介してネジ固定し、キャピラリー可動部とした。
キャピラリー支持部2の貫通孔2cに対応する位置に貫通孔2cを設けたPMMA基台上に、キャピラリー長手方向に移動可能なステッピングモーター駆動の可動ステージ4を固定した。可動ステージ4の駆動部上に前記キャピラリー可動部3を固定した。さらに、基台1上に前記キャピラリー支持部2を前記キャピラリー支持部2の溝2aと前記キャピラリー可動部3の二つの開口部3c、3dが一直線上に位置するよう配置し、キャピラリー可動器具とした。
検出部としては蛍光検出を目的として図7(a)に示す光学系をキャピラリー可動器具に対して構築した。光照射部としてはレーザを用いた。試料からの蛍光を検出する検出部は以下のようにしておこなわれる構成にした。(i)まずレーザからの光をレンズ11a、励起用フィルタ12a、ダイクロイックミラー13aを通して集光レンズ11cに導入し、キャピラリー内の試料に励起光を集光する。(ii)ついで、試料からの蛍光をレンズ11cにより集光した後、ダイクロイックミラー13a、蛍光フィルタ12b、レンズ11bを介して受光部10bであるPMTにて蛍光を検出する。PMTからのデータは、A/Dコンバータにおいてデジタル値に変換し、制御部であるパソコンに構築したプログラムに取り込ませる構成とした。
また、電気泳動用の高電圧電源と制御部であるパソコンとを連結し、電圧印加の制御がパソコン上のプログラムから可能となる構成とした。さらに、可動ステージの駆動をおこなうステージコントローラ(ステージ駆動部)とパソコンとを連結し、パソコン上のプログラムからステージの移動(走査駆動)が可能となる構成とした。前記、キャピラリー可動器具、高電圧電源、検出部およびステージ駆動部を配置し、制御部であるパソコンと連結することにより本発明のキャピラリー電気泳動装置を作製した。
次に、図2に示す分析用キャピラリー5を作製した。内径50μm、外径375μmのポリイミド被覆を有するキャピラリー(電気浸透流防止の内壁コーティングをおこなったもの)を120mmの長さに切断し、両端10mmずつを残してポリイミドの被覆を剃刀により除去した。内径400μm、外径1.6mmのPEEKチューブを長さ2mmに切断したものを二つ用意し、ストッパーとしてキャピラリーの両端から7mmの位置に接着固定し、分析用キャピラリー5を作製した。この場合、ストッパー間の距離aは、106mmとなる。また、図6(a)に示すように、幅6.7mm、深さ30mmに切断したプラスチック製シリンジに電極材料の白金線を熱溶着して電極液槽を二つ作製した。
上述した構成のキャピラリー電気泳動装置を用いて、蛍光標識を施した等電点マーカーの等電点電気泳動を分析用キャピラリー中でおこない、分離初期から分離終了までの走査検出をおこなった。キャピラリー支持部2の蓋2bを開き支持部2の溝2aに、分析用キャピラリー5を両ストッパー5aと5bがそれぞれキャピラリー可動部の開口部の外側3aと3bに位置するようセットし、蓋を閉じた。このとき、各ストッパー5aおよび5bはそれぞれ各収納部3aおよび3bに底面を接しないように位置している。試料である蛍光標識を施した等電点マーカーと種々の等電点をもちpH勾配を形成する両性電解質を混合したものを毛細管現象によりキャピラリーに導入した。その後、電極液である陽極液および陰極液を満たした前記電極液槽6aおよび6bを、キャピラリー可動部の収納部3aおよび3bにそれぞれ配置し、分析用キャピラリー5の両端を各電極液7aおよび7bに浸漬した。陽極液としては、20mMのリン酸水溶液を、陰極液としては20mMの水酸化ナトリウム水溶液を使用した。
キャピラリー5の陽極液側のストッパーの内側が検出系の真下にくる位置(初期位置)に可動ステージを移動したのち、陽極液槽と陰極液槽に形成した電極間に高電圧電源を用いて、キャピラリーに6000Vの電圧を印加して等電点電気泳動を開始した。電気泳動開始後、励起用レーザをキャピラリー5中の試料に照射し、キャピラリー5の陰極液側のストッパーの内側位置(終端位置)まで一定速度においてキャピラリーを移動させるとともに、試料成分から発せられる蛍光をPMTにより検出し、変換したデータをパソコンに取り込んだ。
図8は、キャピラリー等電点電気泳動をおこないながら、一方向(片方向)に走査検出を3回おこなったデータを図にしたものである。ただし走査戻り時はデータを取得していない。キャピラリーの走査検出がスムーズにおこなわれ、等電点電気泳動により分離中の、および分離された試料成分を検出することができた。
本発明のキャピラリー可動器具を用いたキャピラリー電気泳動装置を用いて、キャピラリー電気泳動の走査検出を繰り返しおこなったが、キャピラリーの破損を招くことなく高感度、高精度な検出が可能であり本発明の有用性が示された。
なお、本発明を以下のように表現することも可能である。
(第1の構成)
キャピラリーを該キャピラリーの長さ方向の一方向に、片方向もしくは双方向に、長さ方向とは異なる方向に振動することなく移動させるための器具であって、該器具が、基台と、該基台上に固定され、キャピラリーの長さ方向の一部領域を用いてキャピラリーを保持し、かつ、キャピラリーを長さ方向の一方向にのみ移動可能となる収納構造を有するキャピラリー支持部と、該基台上に固定されキャピラリーの長さ方向に移動可能な可動ステージと、該可動ステージの可動部に固定され、キャピラリーを長さ方向の移動進行方向に引っ張るための構造を有するキャピラリー可動部からなることを特徴とするキャピラリー可動器具。
(第2の構成)
前記キャピラリー支持部の前記収納構造が、キャピラリーを保持するための溝とキャピラリーを押さえるための蓋を有し、該溝とキャピラリーとが収納時および移動時にキャピラリー長さ方向の二つの接線のみで接し、該蓋とキャピラリーが収納時および移動時にキャピラリー長さ方向の一つの接線のみで接することを特徴とする第1の構成に記載のキャピラリー可動器具。
(第3の構成)
前記キャピラリーがキャピラリーの概両端位置にストッパーを有し、前記キャピラリーの進行方向への可動が、前記キャピラリー可動部の引っ張り構造がキャピラリーに設けた進行方向の片方のストッパーを引っ張ることにより実現されることを特徴とする第1の構成に記載のキャピラリー可動器具。
(第4の構成)
前記キャピラリー可動部の前記引っ張り構造が、前記キャピラリー可動部に設けられた二つの収納部と、該収納部の内側に設けられた二つの開口部であり、該開口部入口側の幅が該キャピラリーの外径よりも大きく、該開口部外側の幅が該キャピラリーの外径よりも大きく、かつ、該ストッパーの幅よりも小さく、該収納部の幅が、概ストッパーの幅よりも大きく、さらに、該開口部出口間の距離が該ストッパーの内側面の間の距離よりも小さいことを特徴とする第3の構成に記載のキャピラリー可動器具。
(第5の構成)
前記キャピラリー支持部の溝と前記キャピラリー可動部の二つの開口部が概直線上に位置するよう、前記キャピラリー支持部と前記キャピラリー可動部が前記基台上に配置されることを特徴とする第1の構成から第4の構成に記載のキャピラリー可動器具。
(第6の構成)
前記キャピラリー支持部の溝底面と前記基台の上面との距離が、前記キャピラリー可動部の開口部の底面と前記基台の上面との距離よりも大きくなるよう、前記キャピラリー支持部および前記キャピラリー可動部が前記基台上に配置されることを特徴とする第1の構成から第5の構成に記載のキャピラリー可動器具。
(第7の構成)
第1の構成から第6の構成に記載のキャピラリー可動器具、電気泳動をおこなうための高電圧電源、キャピラリー電気泳動により分離されたサンプルを検出するための検出部、および前記キャピラリー可動器具、高電圧電源、検出部を制御するための制御部からなることを特徴とするキャピラリー電気泳動装置。
(第8の構成)
前記検出部がサンプルの分離状態を光学的に検出する光学検出部を有し、該光学検出部が、サンプルに光を照射するための光照射部と、サンプルからの光を受光する受光部とを少なくとも含み、該光照射部および該受光部が、サンプルの検出中において固定されていることを特徴とする第7の構成に記載のキャピラリー電気泳動装置。
(第9の構成)
前記検出部の受光部が、一度の検出においてキャピラリーの長さ方向の微小領域のサンプルの分離状態を検出するものであって、サンプルの分離状態をキャピラリーの全体もしくは一定の領域に亘って検出をおこなうために、前記キャピラリー可動部の可動と前記受光部によるサンプルの検出を前記制御部において連動させておこなうことを特徴とする第8の構成に記載のキャピラリー電気泳動装置。
(第10の構成)
前記キャピラリー支持部および前記基台が、前記光照射部および/または前記受光部の光軸上に貫通孔を有することを特徴とする第8の構成または第9の構成に記載のキャピラリー電気泳動装置。
本発明にかかるキャピラリー可動器具は、タンパク質、核酸などの、生体試料の成分をキャピラリー電気泳動により分離して、目的の物質を検出するキャピラリー電気泳動装置に好適に利用することができる。
本発明の一実施形態に係るキャピラリー可動器具の構成を示した斜視図である。 図1に示すキャピラリー可動器具に配備される分析用キャピラリーの構成を示した図である。 (a)は、図1に示すキャピラリー可動器具に配備されたキャピラリー支持部の構成を示した斜視図であり、(b)および(c)は、(a)に示したキャピラリー支持部の断面図であり、(d)は、キャピラリー支持部のほかの形態を示した斜視図である。 (a)は、図1に示したキャピラリー可動器具の上面図であり、(b)は、(a)に示すキャピラリー可動器具の切断線A−A’で切断した状態を示した矢視断面図であり、(c)は、(a)に示すキャピラリー可動器具を用いてキャピラリーを紙面左方向へ移動させる場合のキャピラリー可動部と、キャピラリー支持部と、分析用キャピラリーとの位置関係を示した図であり、(d)は、(a)に示すキャピラリー可動器具を用いてキャピラリーを紙面右方向へ移動させる場合のキャピラリー可動部と、キャピラリー支持部と、分析用キャピラリーとの位置関係を示した図であり、(e)は、キャピラリー可動器具の別の形態を示した断面図である。 本発明の一実施形態に係るキャピラリー可動器具を用いたキャピラリー電気泳動装置の構成を示した図である。 (a)〜(c)は、それぞれ異なる本発明の一実施形態に係る分析用キャピラリー、および電極液槽を示した図である。 (a)〜(c)は、本発明における、分析用キャピラリー、キャピラリー可動器具、および検出部の位置関係をそれぞれ示した図であり、(d)は、本発明に係るキャピラリー可動器具と、分析用キャピラリーと、検出部の固定光学検出系のレンズとの位置関係を示す断面図である。 本発明の一実施形態に係るキャピラリー可動器具を用いたキャピラリー電気泳動装置を用いて、走査検出をおこなった結果である。
符号の説明
1 基台
2 キャピラリー支持部(支持手段)
2a 溝(構造体)
2b 蓋
2c 貫通孔
2d 重り
3 キャピラリー可動部(キャピラリー保持部、可動手段)
3a 収納部
3b 収納部
3c 開口部
3d 開口部
3e 連結部
3f 引張部
3g スペーサー
4 可動ステージ(可動手段)
4a 可動部(可動手段)
5 分析用キャピラリー
5a ストッパー
5b ストッパー
5c キャピラリー
6a 電極液槽
6b 電極液槽
7a 電極液
7b 電極液
8a 電極
8b 電極
9 可動手段
10a 光照射部(検出部)
10b 受光部(検出部)
11a レンズ(検出部)
11b レンズ(検出部)
11c レンズ(検出部)
11d レンズ(検出部)
12a 励起用フィルタ(検出部)
12b 蛍光フィルタ(検出部)
13a ダイクロイックミラー(検出部)
a 二つのストッパーに挟まれた領域の距離
b ストッパー幅
c 溝の深さ
d 基台上面と溝底部との距離
f1 キャピラリー支持部側の開口部幅
f2 収納部側の開口部幅
g 収納部側開口部間の距離
h 基台上面とキャピラリー支持部側の開口部底面との距離
2θ 溝の頂点角度
2r キャピラリー外径

Claims (20)

  1. キャピラリーを、該キャピラリーの長手方向と平行な方向へ移動させる可動手段を備えており、
    前記可動手段は、前記キャピラリーを保持するキャピラリー保持部と、ステージと、前記ステージの上で前記キャピラリー保持部を一軸方向に移動させる可動部とを有しており、
    前記キャピラリー保持部は、キャピラリーの長手方向が前記一軸方向と平行になるように、前記キャピラリーを保持することを特徴とする電気泳動用キャピラリー可動器具。
  2. 前記キャピラリーと部分的に接触することによって該キャピラリーを支持する支持手段と、
    前記支持手段及び前記ステージを一表面上に配設した基台とを、さらに備えていることを特徴とする請求項に記載の電気泳動用キャピラリー可動器具。
  3. 前記可動手段は、前記キャピラリーを前記長手方向と平行な方向へ移動させるための力を、前記キャピラリーの一端に加えることを特徴とする請求項1または2に記載の電気泳動用キャピラリー可動器具。
  4. 前記支持手段には、前記キャピラリーがその長手方向以外の方向へ動くことを制限するための構造体が形成されていることを特徴とする請求項に記載の電気泳動用キャピラリー可動器具。
  5. 前記構造体は、前記キャピラリーの長手方向に沿って延設され、前記キャピラリーの少なくとも一部が嵌まる溝であることを特徴とする請求項に記載の電気泳動用キャピラリー可動器具。
  6. 前記支持手段は、前記キャピラリーを前記溝に固定するための蓋を備えていることを特徴とする請求項に記載の電気泳動用キャピラリー可動器具。
  7. 前記溝は、前記キャピラリーと、前記キャピラリーの長手方向に沿った少なくとも2本の接線において接しており、前記蓋は、前記キャピラリーと、前記キャピラリーの長手方向に沿った少なくとも1本の接線において接していることを特徴とする請求項に記載の電気泳動用キャピラリー可動器具。
  8. 前記キャピラリーの両端に取り付けることによって、該両端における前記キャピラリーの外径を前記キャピラリーの両端以外の部分よりも大きくさせるためのストッパーを、前記可動手段は有しており、
    前記キャピラリー保持部には、前記キャピラリーの両端に取り付けられた前記ストッパーを各々収納する収納部が設けられており、
    前記支持手段は、前記収納部に前記ストッパーが収納された状態の前記キャピラリーの両端以外の部分を支持するように配置されていることを特徴とする請求項に記載の電気泳動用キャピラリー可動器具。
  9. 各前記収納部には、前記支持手段に対向する側の壁に、前記キャピラリーの外径よりも大きく、かつ、前記ストッパーの幅よりも小さい幅を有する開口部が設けられていることを特徴とする請求項に記載の電気泳動用キャピラリー可動器具。
  10. 或る前記収納部における前記開口部が設けられている前記壁が、該或る収納部に収納された前記ストッパーと接触し、前記ストッパーを前記一軸方向に押すことを特徴とする請求項に記載の電気泳動用キャピラリー可動器具。
  11. 各前記収納部の前記壁における前記ストッパーとの接触面どうしの間の距離が、前記キャピラリーに取り付けられた各前記ストッパーにおける前記壁との接触面どうしの間の距離よりも短いことを特徴とする請求項10に記載の電気泳動用キャピラリー可動器具。
  12. 前記溝と前記開口部とが一直線上に位置するように、前記支持手段と、前記キャピラリー保持部とが配置されていることを特徴とする請求項から11のいずれか1項に記載の電気泳動用キャピラリー可動器具。
  13. 前記溝の底部と、前記基台の前記一表面との距離は、前記開口部における前記基台の前記一表面に最も近い面と、前記基台の前記一表面との距離よりも長いことを特徴とする請求項から12のいずれか1項に記載の電気泳動用キャピラリー可動器具。
  14. 請求項1から13のいずれか1項に記載の電気泳動用キャピラリー可動器具と、
    前記キャピラリー内部の試料成分を電気泳動させるために、前記キャピラリーに電圧を印加する電源と、
    前記キャピラリー内部の試料成分を、前記キャピラリーの壁を通して検出する検出部とを備えていることを特徴とするキャピラリー電気泳動装置。
  15. 前記検出部は、前記試料成分に光を照射する光照射部と、前記試料成分に前記光照射部から光が照射されたことによって生じる検出光を受光する受光部とを有しており、
    前記光照射部および前記受光部は、検出中は、前記可動手段以外の箇所に固定されていることを特徴とする請求項14に記載のキャピラリー電気泳動装置。
  16. 前記キャピラリー可動器具は、前記キャピラリーと部分的に接触することによって該キャピラリーを支持する支持手段を備えており、
    前記光照射部は、前記キャピラリーと前記支持手段との重畳部分に、光を照射することを特徴とする請求項15に記載のキャピラリー電気泳動装置。
  17. 前記キャピラリー可動器具によるキャピラリーの移動と、前記検出部による検出と、前記電源による電圧印加とを制御する制御部を備えていることを特徴とする請求項14から16のいずれか1項に記載のキャピラリー電気泳動装置。
  18. 前記キャピラリー可動器具は、前記支持手段と、前記可動手段とを一表面上に配設した基台を備えており、
    前記支持手段には、前記キャピラリーがその長手方向以外の方向へ動くことを制限するための、前記キャピラリーの長手方向に沿って延設され、かつ、前記キャピラリーの少なくとも一部が嵌まる溝と、
    前記キャピラリーを前記溝に固定するための蓋とが設けられており、
    前記支持手段は、前記キャピラリーとの重畳部分が光透過性を有しており、
    前記基台における前記重畳部分と対向する箇所も、光透過性を有していることを特徴とする請求項16に記載のキャピラリー電気泳動装置。
  19. 前記支持手段には、前記キャピラリーとの重畳部分に貫通孔が設けられており、
    前記基台における前記重畳部分と対向する箇所にも貫通孔が設けられていることを特徴とする請求項18に記載のキャピラリー電気泳動装置。
  20. 前記制御部は、前記キャピラリー可動器具によるキャピラリーの移動と、前記受光部による受光とを連動させることを特徴とする請求項17に記載のキャピラリー電気泳動装置。
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