JP3896739B2 - キャピラリー電気泳動装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、DNA、RNA、蛋白質等の分離分析装置に関する。特に、DNA、RNAの塩基配列決定、あるいは個体の塩基配列の多様性に基づく多型性の計測に有効なキャピラリー電気泳動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
DNA、RNA等の分析技術は、遺伝子解析や遺伝子診断を含む医学、生物学の分野でますます重要になってきている。特に最近では、ゲノム解析計画に関連して、高速、高スループットのDNA解析装置の開発が進んでいる。キャピラリー電気泳動は、スラブゲル電気泳動と比較して、電気抵抗の高さ、及び放熱効果の高さにより、大きな電界を印加できるため、高速、高分離が可能な方法である(Anal.Chem.、62、900(1990)(従来技術1))。
【0003】
図16に示すように、1本のキャピラリーを用いる電気泳動装置が知られている(従来技術2:WO95/21378)。従来技術2に記載の図1に関する以下の説明がある。核酸断片は、電気泳動分離媒体として、流動性のポリマー溶液が充填されたキャピラリー134内で電気泳動分離される。電気泳動の間、キャピラリーの温度は、試料の変性の程度、及び断片の泳動速度の双方に影響を与える重要なパラメータである。上昇させた温度を、キャピラリーに分離媒体を導入する間に、分離媒体の粘度を減少させるために使用でき、これにより充填時間を減少できる。温度制御手段130が、泳動分離媒体が充填されたキャピラリー134を予め定められた温度に保持するために使用される。分解能及び泳動時間はキャピラリーの長さにより部分的に決定されるため、温度制御手段はキャピラリーの30から35cmの長さ部分を収納する。キャピラリーの温度は、絶縁された圧力板を使用して、熱的に制御された表面にキャピラリーを接触させることにより、制御される。
【0004】
泳動分離媒体が充填されたキャピラリー134に試料が導入される。キャピラリー134の試料注入端142と陰極150とを、オートサンプラー166に配置された試料容器126に収納された試料158に浸漬し、キャピラリー134の試料溶出端138と陽極146とを、電極槽118に収納された電気泳動用緩衝液154に浸漬して、電界注入により試料をキャピラリーに導入する。陽極146及び陰極150に接続された電力供給手段122により、注入電圧をキャピラリーに印加する。注入電圧及び注入時間は計算機174により制御される。キャピラリーへの試料注入の後、電気泳動分離が実行される。
【0005】
オートサンプラー166は、キャピラリー134の試料注入端142と陰極150との位置を、試料158を収納する容器126から電気泳動用緩衝液182を収納する容器170へ変更する。陽極146及び陰極150に接続された電力供給手段122により、キャピラリー134に電圧が印加され、試料成分はそのサイズに応じて電気泳動してキャピラリーを通過する。電気泳動媒体のサイフォニング(siphoning)による断片泳動の異常を避けるために、電気泳動分離の間、容器170及び容器118内の緩衝液の液面を同じにすることが重要である。
【0006】
断片は分離された後に検出手段162により検出される。検出器として、(1)放出光を分光的に分離する手段(回折格子、プリズム等)、(2)光の照射に感応する複数の検出素子のアレイ(ダイオードアレイ、CCD、光電増倍管等)、(3)励起光源(白熱管、アークランプ、レーザ、レーザダイオード等)、(4)励起光及び放出光の双方の指向付け条件付けを可能とする光学系を使用する、分光アレイ蛍光検出器が使用される。
【0007】
次の試料の電気泳動分離に先立って、キャピラリー内を新しい電気泳動媒体に置き換える。キャピラリー内を新しい電気泳動媒体に置き換える2つの方法の記載がある。1つの方法では以下の手順により電気泳動媒体に置き換える。ポンプ104からの正圧を、新しい電気泳動媒体を収納する容器108に印加して、容器108からT字管(tee)111に押し出す。この時、バルブ112は閉鎖されいるので、新しい電気泳動媒体は主として試料注入端142の方向に流れる。試料注入端142とT字管111との間でキャピラリーが新しい電気泳動媒体で充填された後に、バルブ112は開放され、新しい電気泳動媒体は容器108から緩衝溶液を収納する容器118に流れる。この結果、試料注入端142と試料溶出端138との間でキャピラリーが新しい電気泳動媒体で完全に充填される。試料溶出端138とT字管111との間のキャピラリーの長さは、試料注入端142とT字管111との間のキャピラリーの長さよりも短いので、バルブ112が開放され容器108に圧力が印加されると、新しい電気泳動媒体は主として試料溶出端138の方向に流れる。試料注入端142と試料溶出端138との間でキャピラリーが新しい電気泳動媒体で充填された後に、試料注入端142と試料溶出端138との間を接続し、電極146、150の間に電流路を形成するように、バルブ112が開放される。以上が、従来技術2に記載の図1に関する説明である。
【0008】
なお、1本のキャピラリーを用いるDNAの電気泳動装置がパーキン・エルマー社から製品化されている(製品名ABI Prism 310)。また、96本のキャピラリーをアレイ化し、複数の試料を同時に分析できる高スループット装置が、パーキン・エルマー社から製品化されている(製品名ABI Prism 3700)。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ゲノム解析では、大きなサイズのDNAを細かくランダムに断片化したDNA断片を解読し、解読結果ををつなぎ合せて元のDNAを解読している。1回の電気泳動で解読できるDNA長が長いほど全体の解析の効率及び速度が大となる。従って、キャピラリー電気泳動装置では、長いDNAを解読できるように有効長を長くしたキャピラリーを使用している。例えば、ABI Prism 310、ABI Prism 3700では、電気泳動の分離有効長を50cmとして、パーキン・エルマー社から製品化されているポリマー溶液POP6を用いて標準条件(200V/cm、50°C)で電気泳動すると、約2時間で600塩基長を解読できる。
【0010】
キャピラリー電気泳動装置の高速化、高スループット化、長解読塩基長化に伴い、現在世界規模で進められているヒトゲノムの全塩基配列決定は2001年にはほぼ終了すると予測されている。ゲノム全体の塩基配列が分った後は、長いDNAを解読する必要性が少なくなる。今後はゲノム上の特定の領域を狙い撃ちして解読する必要が出てくる。
【0011】
例えば、ゲノム上に存在する1塩基多型を複数の個人毎に調べ、疾病や薬剤反応性との関連を調べることが国のプロジェクトとして大規模に進められつつある。1塩基多型に限らず、特定の配列と病気や様々な表現型とを関連づけることは今後の医療や新しい産業にとって重要である。ゲノムだけでなく、各個人の各臓器、各状態での発現状態をcDNAの塩基配列決定によって調べることも可能である。 様々な個人、様々な疾病、様々な臓器、…のように非常に多数の試料を分析する必要があるため、装置の解析スループットを飛躍的に向上させる必要がある。これらのDNA解析では、長い塩基長を解読する必要がなく、比較的短い塩基長をより高速に、より高スループットに解読することが要求される。
【0012】
しかし、市販されている製品では、比較的短いDNAを大量に解析するための装置構成について考慮がなされておらず、50cmという長い分離有効長が使用されていた。ポリマー溶液にPOP6を用いて標準条件(200V/cm、50°C)で電気泳動すると、約50分間で200塩基長を解読できる。ポリマー溶液の充填や予備泳動に15分間の時間を要するので、65分間のサイクルでシリアルに複数の試料を電気泳動できる。ABI Prism 3700で96本のキャピラリーを同時に用いても、24時間で2127試料を解析するのが上限であった。
【0013】
本発明の目的は、短い分離有効長のキャピラリー電気泳動を安定して実行でき、高スループットで超高速の電気泳動が可能であり、核酸、蛋白質等の分離分析、核酸の塩基配列決定、更に個体の塩基配列の多様性に基づく多型性解析の計測に適用可能な高性能なキャピラリー電気泳動装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
以下の説明で使用する、用語、記号の定義を次に示す。「試料注入端」は試料を導入するキャピラリーの一方の端を意味する。「試料溶出端」は試料が溶出するキャピラリーの他方の端を意味する。「泳動分離部」は試料注入端20と蛍光検出位置19の間の区間のキャピラリーの部分を意味する。「試料溶出部2」は蛍光検出位置19と試料溶出端21の間の区間のキャピラリーの部分を意味する。「泳動分離有効長L1」は泳動分離部1のキャピラリーの長さを意味する。「試料溶出長L2」は試料溶出部2のキャピラリーの長さを意味する。「キャピラリーの全長」は(L1+L2)である。「基準水平面W」は水平の基準面を意味する。「E1」は基準水平面Wから試料注入端20までの高さを示す。「E2」は基準水平面Wから試料溶出端21までの高さを示す。「D」は蛍光検出位置19の基準水平面Wからの高さを示す。「T」はキャピラリーの最も位置が高くなる点の基準水平面Wからの高さをす。「B1」は基準水平面Wから陰極緩衝液23の液面までの高さを示す。「B2」は基準水平面Wから陽極緩衝液24の液面までの高さを示す。「S」は耐圧バルブ4がポンプブロック11又は接続管3を密封する位置の基準水平面から高さを示す。
【0015】
本発明では、従来技術2のキャピラリー電気泳動装置と同等の部品とポリマー溶液を用い、短い有効長のキャピラリーをアレイ化した電気泳動装置を提供する。発明者は、短い有効長のキャピラリーで高速泳動分析を実現するための構成を種々検討した結果、以下の構成を見出した。
【0016】
ポリマー溶液が充填された複数のキャピラリーの試料注入端を鉛直下方に向け、試料溶出端を鉛直上方に向け、各キャピラリーの軸が鉛直線と平行になるように配置する。試料注入端を鉛直下方に向ける理由は、従来技術2と同等の理由であり、試料注入端をオートサンプラーの作動により陰極緩衝液及び試料溶液に浸漬できるようにするためである。
【0017】
試料注入端と試料溶出端の間に蛍光検出位置を設ける。即ち、試料注入端から導入された試料が、キャピラリー内を電気泳動によって鉛直上方に泳動している状態で、各キャピラリーにレーザを照射し、同時に蛍光検出を行なう。このような配置によりキャピラリーの泳動分離の有効長を10cm以下にできる。
【0018】
各キャピラリーの試料溶出端をポリマー溶液を充填したポリマー溶液保持容器に接続する。ポリマー溶液保持容器には、内部のポリマー溶液に圧力を印加できるポンプが接続されている。また、ポリマー溶液保持容器には、ポリマー溶液が充填された1本の接続管の一端が接続され、接続管の他端には耐圧バルブが設置されている。接続管の内径はキャピラリーの内径よりも大とする。
【0019】
各キャピラリーの試料注入端を陰極緩衝液に浸漬し、接続管の耐圧バルブの付いた端を陽極緩衝液に浸漬する。耐圧バルブを開状態にすれば、陰極緩衝液、各キャピラリー内のポリマー溶液、ポリマー溶液保持容器内のポリマー溶液、接続管内のポリマー溶液、陽極緩衝液は電気的に接続し、流路を形成する。電気泳動時には、両緩衝液の液面の高さを等しくすることにより、各キャピラリー内に於けるポリマー溶液の流れを防止できる。
【0020】
電気泳動の手順は従来技術2と同等である。耐圧バルブを開状態とし、陰極緩衝液槽、複数の試料溶液槽をもつマイクロタイタープレートが保持されたオートサンプラーを作動させ、各キャピラリーの試料注入端をそれぞれ異なる試料溶液に浸漬する。各試料溶液と陽極緩衝液の間に一定電圧を一定時間印加することにより、各キャピラリー内に各試料を電気泳動的に注入する。試料注入後、オートサンプラーを作動させ、各試料注入端を陰極緩衝液に浸漬する。陰極緩衝液と陽極緩衝液の間に一定電圧を印加して電気泳動を開始する。
【0021】
各キャピラリーの蛍光検出位置にレーザを照射し、通過する試料の発光蛍光をそれぞれ検出し、コンピュータにより解析を行なう。電気泳動終了後、次の試料群の電気泳動を行なうため、各キャピラリー内のポリマー溶液の交換を行なう。耐圧バルブを閉状態とし、ポンプを作動させてポリマー溶液保持容器内のポリマー溶液に圧力を印加する。これにより、ポリマー溶液は試料溶出端から試料注入端に向かって各キャピラリー内に充填され、内部のポリマー溶液を交換できる。ポリマー溶液充填後、耐圧バルブを開状態にし、次の試料群の注入、電気泳動を繰り返す。
【0022】
本発明の代表的な構成を図2を参照して簡単に説明すると次の通りである。複数のキャピラリーを鉛直線と平行に等間隔に平面上に配置し、陰極緩衝液23に浸漬される試料注入端20を鉛直下方に向け、陰極緩衝液23及び試料溶液との接続を容易にする。試料溶出端21はポンプブロック11、接続管3を介して陽極緩衝液24に接続される。両緩衝液23、24の液面の高さを揃えて、キャピラリー内の分離媒体の移動を防止する。試料注入端20から導入された試料は、電気泳動により試料溶出端21に向かって鉛直上方にキャピラリー内を移動し、蛍光検出位置19を通過して検出される。分離有効長を10cm以下とし、高スループットを可能とするキャピラリー電気泳動装置を実現できる。
【0023】
比較的短いDNAを大量に解析するDNA解析では、ゲノム上の目的とする領域だけを増幅して塩基配列決定する。解析すべき領域を小さく絞り込むことができれば、それだけ配列決定すべき塩基長も短くて良くなる。特定の位置に存在することが予め分かっている1塩基多型の解析であれば10塩基長の配列決定で可能な場合もある。多くの用途の場合、100塩基長の塩基配列決定ができれば十分である。
【0024】
例えば、電気泳動の分離有効長を10cmとし、ポリマー溶液にPOP6を用いて標準条件(200V/cm、50°C)で電気泳動すると、約10分間で200塩基長を解読できる。ポリマー溶液の充填や予備泳動に5分間の時間を要するとしても、15分間のサイクルでシリアルに複数の試料を電気泳動できる。キャピラリーを96本アレイ化してパラレルに電気泳動すれば、1時間に384試料、24時間に9216試料もの分析が可能になり、従来技術のDNA解析のスループットをはるかに上回る。
【0025】
【発明の実施の形態】
(実施例1)
図1は、本発明の実施例1の第1の装置の全体の構成例を示す斜視図である。実施例1では、ポリマー溶液を分離媒体に用い、有効長の短い複数のキャピラリーをアレイ化して同時に電気泳動できる装置を示す。図2は、本発明の実施例1の第1の装置の正面図(図1の左側から見た図)であり、各キャピラリーが配列する平面に対して垂直方向から見た図である。図3は、本発明の実施例1の第1の装置の側面図(図2の右側から見た図)であり、各キャピラリーが配列する平面に対して側方向から見た図である。図4は、本発明の実施例1の第1の装置の蛍光検出位置に於ける断面図である。
【0026】
図1に示すように、各キャピラリーの軸は鉛直方向と平行かつ同一平面上に互いに等間隔に配列される。各キャピラリーの長手方向の中間部分は石英セル18に収納され、各キャピラリーの軸が配列する面に平行にレーザビーム10が照射される。レーザビーム10が照射される各キャピラリーの位置(蛍光検出位置19)を境目として、各キャピラリーは、泳動分離部1と試料溶出部2に分けられる。
【0027】
泳動分離部1の下端(試料注入端20)は、陰極緩衝液23が収納される陰極緩衝液槽5に浸漬される。試料溶出部2の上端(試料溶出端21)は、各キャピラリーに電気泳動分離媒体であるポリマー溶液を充填する際に使用され、ポリマー溶液25が充填される内部空間をもつポンプブロック11に接続される。陽極緩衝液24が収納される陽極緩衝液槽6とポンプブロック11は、ポリマー溶液27が充填された接続管3により接続される。更に、ポンプブロック11には、ポリマー溶液の充填に使用するガスタイトシリンジ12が接続される。接続管3の先端に、各キャピラリーにポリマー溶液を充填する際に使用される耐圧バルブ4が接続されている。
【0028】
レーザビーム10が照射される各キャピラリーの位置(蛍光検出位置)を泳動する試料から発する蛍光を、第一カメラレンズ13で平行光束とし、レーザ光カットフィルター14を通し、透過型回折格子15を通して波長分散させ、第2カメラレンズ16で結像させ、2次元CCDカメラ17で検出する。波長分散させる方向は蛍光検出位置が並ぶ直線方向と垂直であるため、各キャピラリーからの蛍光の波長分散像は互いに干渉せず、各キャピラリーを泳動する試料から発する蛍光を同時に検出できる。蛍光信号はコンピュータ(図示せず)に転送され、解析される。
【0029】
格子状に等間隔で並ぶ試料溶液槽(穴)8をもつマイクロタイタープレート7の各試料溶液槽8に異なる試料溶液が収納される。陰極緩衝液槽5、マイクロタイタープレート7が上面に設置されるオートサンプラー9は水平保持板42に固定される。石英セル18、ポンプブロック11は、鉛直保持板43に固定され、鉛直保持板43は鉛直方向と平行に水平保持板42に固定される。水平保持板42の面が基準面となる。
【0030】
キャピラリーは溶融石英製で、外径360μm、内径50μm、全長20cmである。各試料注入端20を鉛直下方に向けほぼ揃え、各試料溶出端21を鉛直上方に向けほぼ揃え、等間隔(間隔9mm)で並べる。
【0031】
本発明では、アレイ化するキャピラリーの本数や配列間隔に制限はないが、キャピラリーの試料注入端の配列間隔とマイクロタイタープレート7の穴(試料溶液槽8)の配置を適合させておくと実用上便利である。
【0032】
一般に試料調製では、12×8=96穴のマイクロタイタープレートや24×16=384穴のマイクロタイタープレートを用いて、複数の試料が一括処理される。従って、これらのマイクロタイタープレートから直接キャピラリーに試料注入できれば大変都合が良い。そのために、キャピラリーの試料注入端の配列間隔を、マイクロタイタープレートの穴(試料溶液槽)の配列間隔と同じくする。
【0033】
実施例1では、12本のキャピラリーの試料注入端の配列間隔を、96穴のマイクロタイタープレートの穴の配列間隔9mmと同じにする。なお、384穴のマイクロタイタープレートを用いる場合は、試料注入端の配列間隔を4.5mmとする。以下に示す各図では、簡単のため5本のキャピラリーのみを示す。
【0034】
格子状に9mm間隔で並ぶ12×8=96個の各試料溶液槽(穴)8に異なる試料溶液が収納される。12個の試料溶液槽8が配列する方向を試料注入端20が配列する方向と平行にする。図1では、簡単のためにマイクロタイタープレート7の格子状に並ぶ試料溶液槽8は5×5=25個のみ示す。
【0035】
オートサンプラー9は、2軸の駆動機構を持つ駆動ステージで構成され、水平方向、鉛直方向の2方向に移動できる。オートサンプラー9を2方向に駆動して、各試料注入端20を12個の試料溶液槽8内の試料溶液に浸漬させて、各キャピラリーの料注入端20に試料を注入した後、料注入端20を陰極緩衝液槽5の陰極緩衝液23に浸漬できる。電気泳動の開始に先立って、高さが調整して水平保持板42に固定された陽極緩衝液槽6内の陽極緩衝液24の液面と、陰極緩衝液槽5内の陰極緩衝液23の液面とが同じ高さとなるように、駆動ステージの高さを調整する。陽極緩衝液槽6は陽極緩衝液槽台44上に設置され、陽極緩衝液槽台44は水平保持板42に固定されている。
【0036】
図2、図3に示すように、試料注入端20、試料溶出端21は、それぞれ9mm間隔でキャピラリーの軸と垂直な同一直線上に並ぶ。試料注入端20から10cmの距離、試料溶出端21から10cmの距離で、各キャピラリーに検出窓を予め設け、蛍光検出位置19とする。検出窓はキャピラリーの外面を覆うポリイミド被覆を熱により除去して作製する。蛍光検出位置19は、各キャピラリーの軸と垂直な、同一の直線上に9mm間隔で並ぶ。試料注入端20、蛍光検出位置19、試料溶出端21はそれぞれ、ほぼ等間隔(9mm間隔)で同一平面上に並ぶ。泳動分離有効長L1=10cm、試料溶出長L2=10cmとする。L1≦L2として、電気泳動分離に要する時間を短縮すると共に、装置全体の大きさを小さくできる。
【0037】
図4は、レーザビーム10を含み、各キャピラリーの軸に垂直な断面図を示す。蛍光検出位置19の近傍は石英セル18に収納されている。蛍光励起用のレーザビーム10を、レンズ(図示せず)で50μm程度に集光し、キャピラリーが配列する平面の側方向より、蛍光検出位置19が配列する直線に沿って照射する。
【0038】
石英セル18内にグリセリン溶液35を充填し、蛍光検出位置19のキャピラリーの外面でのレーザビーム10の反射を押さえる。グリセリン溶液35の屈折率は石英の屈折率とほぼ等しい。キャピラリーを透過したレーザビームはキャピラリーの凹レンズ作用により広がるので、集光レンズ34を用いて再集光する(Electrophoresis 20、539−546(1999)(従来技術3))。
【0039】
キャピラリーの蛍光検出位置19の間には集光レンズ34が3個ずつ配置され、各集光レンズ34の中心軸が蛍光検出位置19が並ぶ直線、及びレーザビームの照射軸と一致するようにする。集光レンズ34の材質は、集光レンズ34がグリセリン溶液に浸漬されているので、集光作用を持たせるために石英よりも高い屈折率の材質を用いる。以上の構成により、レーザビームの強度を減衰させずに、各蛍光検出位置19にレーザ照射できる。試料注入端20から導入された試料は電気泳動により試料溶出端21に向かって鉛直上方に移動し、移動途中でレーザ照射を受け、蛍光を発する。
【0040】
図2、図3に示すように、試料溶出端21は、ポリマー溶液25で充填された内部空間をもつアクリル製のポンプブロック11の内部空間に配置される。ポンプブロック11に、各キャピラリー、接続管3、ガスタイトシリンジ12を耐圧接続することにより、各キャピラリーにポリマー溶液25を導入する手段が構成される。ポンプブロック11には、各キャピラリーの試料溶出端21と試料注入端20を結ぶ方向で上記の内部空間に貫通する第1の細孔と、上記の内部空間とガスタイトシリンジ12とを結ぶ第2の細孔が形成されている。各試料溶出端21の位置を結ぶ線は第2の細孔の中心軸を通る。
【0041】
ここで、耐圧接続とは、ポンプブロック11内のポリマー溶液25に高圧力を印加した際に、ポリマー溶液25が各接続部分からポンプブロック11の外部に漏れないことを意味する。
【0042】
接続管3、ガスタイトシリンジ12内にはそれぞれポリマー溶液26、27が充填されている。ポンプブロック11、接続管3、ガスタイトシリンジ12内に殆ど空気が混入しないようにする。
【0043】
図2、図3に示すように、試料溶出端21は接続治具22によりポンプブロック11に耐圧接続される。接続治具22は、キャピラリーがちょうど貫通できる小さな穴を中心にもち、先が円錐状に尖ったプラスチック製のオスネジである。ポンプブロック11には、接続治具22と適合するテーパー状のメスネジ穴が形成されている。メスネジ穴の先はポンプブロック11内のポリマー溶液25が充填される内部空間に通じている。
【0044】
キャピラリーを試料溶出端21から接続治具22の中心穴を貫通させた後、テーパー状のメスネジ穴を貫通させ、オスネジをテーパー状のメスネジ穴に締め付けると、オスネジの先端が変形する。この結果、接続治具22とキャピラリーの間の隙間、及び、接続治具22とポンプブロック11の間の隙間は密封される。この密封はネジにより固定されているため、ポンプブロック11内が数十気圧の高圧状態になっても、ポリマー溶液25がこれらの隙間から漏れ出ることがない。
【0045】
接続管3は耐圧性のチューブで、自由に屈曲できる四ふっ化エチレン樹脂等の材質からなる。ポンプブロック11と反対側の接続管3の先端を下方に伸ばし、陽極緩衝液槽6内の陽極緩衝液24に浸漬する。接続管3の先端には耐圧バルブ4が接続されている。耐圧バルブ4を閉状態にすると接続管3の先端が封印される。封印される位置は陽極緩衝液内にある。陽極緩衝液槽6は陽極緩衝液槽台44上に設置されており、陰極緩衝液23の液面と陽極緩衝液24の液面の高さが等しくなるように設置する。
【0046】
耐圧バルブ4を閉状態とし、ガスタイトシリンジ12のピストンを外部モーター(図示せず)を用いて、図1に示す矢印の方向に駆動すると、ポリマー溶液25、26、27の圧力が高くなる。この結果、ポリマー溶液25はキャピラリー内で試料溶出端21から試料注入端20に向かって充填される。
【0047】
キャピラリーの温度を制御するために、キャピラリーが配列する平面に垂直な方向(図2の手前方向)から各キャピラリーに対して、予め所定の温度に制御された空気を吹き付ける(図1では温度調節された空気を吹き付けるための装置は図示せず)。
【0048】
実際の電気泳動の手順を以下に説明する。ゲノム上の特定の位置に既に存在が分かっている一塩基多型と各種疾病との相関を統計的に調べることを目的とする。8種類の疾病につき12人の患者から血液を採取し、ゲノムを抽出する。各試料につき、一塩基多型の位置を含む近傍の領域の200塩基長だけを増幅し、DNAシーケンス反応を行ない、12×8の試料溶液槽8を持つマイクロタイタープレート7の12×8個の試料溶液槽8内に保持する。
【0049】
DNAシーケンス反応はパーキン・エルマー社から販売されているBigDye Terminator Cycle Sequencing FS Ready Reaction Kitを用いる。ポリマー溶液、緩衝液はそれぞれ同社から販売されているPOP6、310 Genetic Analyzer Buffer with EDTAを用いる。
【0050】
各キャピラリーに吹き付ける空気の温度を50°Cに設定し、各キャピラリーの温度を50°Cに制御する。
【0051】
耐圧バルブ4を閉状態とし、ガスタイトシリンジ12のピストンを駆動して、ポンプブロック11内のポリマー溶液25に25気圧の圧力を印加し、各キャピラリー内にポリマー溶液を充填する。高圧力状態を5分間保持した後、ピストンの駆動を停止し、耐圧バルブ4を開状態に戻して高圧力状態を開放する。この結果、各キャピラリーで、各キャピラリーの内部体積の約2倍量のポリマー溶液が置換される。
【0052】
各試料注入端20を陰極緩衝液23に浸漬し、陰極緩衝液23を負の高圧、陽極緩衝液24をアースとして、キャピラリーの両端に4kVの高電圧を5分間印加して予備泳動を行なう。接続管3の内断面積はキャピラリーの内断面積と比較して十分大きいため、両緩衝液に印加された電圧はそのままキャピラリーの両端に印加される。キャピラリーの全長は20cmであり、電界強度は200V/cmである。
【0053】
予備泳動終了後、オートサンプラー9を駆動させ、マイクロタイタープレート7の12個の試料溶液槽8の試料溶液に各試料注入端20がそれぞれ浸漬される。各試料溶液を負の高圧、陽極緩衝液24をアースとして、キャピラリーの両端に0.8kVの高電圧を30秒間印加して試料注入を行なう。この時、電界強度は40V/cmになる。
【0054】
試料注入後再び、オートサンプラー9を駆動し、試料注入端20を陰極緩衝液23に浸漬し、陰極緩衝液23を負の高圧、陽極緩衝液24をアースとして、キャピラリーの両端に0.5kVの高電圧を5分間印加して初期泳動を行なう。この後、印加電圧を4kVに上昇させて電気泳動を開始する。
【0055】
レーザビーム10としてArイオンレーザ(488nm及び515nmを発振、出力20mW)を用い、Arイオンレーザを各キャピラリーの蛍光検出位置19に照射する。コンピュータにより2次元CCDカメラ17を制御し、各キャピラリーを泳動する試料から発する蛍光を、0.1秒のサンプリング間隔で連続的に検出して、記録する。電気泳動を10分間継続した後、蛍光検出及び電圧印加を停止する。電気泳動結果は、コンピュータで解析し、表示、記録する。
【0056】
引き続き、次の12個の試料の分析を行なうため、上記と同様のポリマー溶液の充填、予備泳動、試料注入、初期泳動、電気泳動の手順を繰り返す。一回のサイクルで、12個の試料を20分間で電気泳動できるため、96個の試料の電気泳動は160分間で終了する。
【0057】
実施例1では、特定のサイズのキャピラリーを使用したが、これ以外のサイズのキャピラリーを用いても同様の効果を得られる。また、キャピラリーを12本使用する例を示したが、1本以上の任意の本数でも実施例1と同様の構成が可能であり、同様の効果が得られる。
【0058】
また、分離媒体にポリマー溶液としてPOP6を用いているが、これ以外の種類のポリマー溶液を用いても良い。架橋ゲルを分離媒体に用いて、実施例1と同等の装置構成で電気泳動分離してももちろん良い。ポリマーを含まない溶液をキャピラリーに充填して電気泳動を行っても良い。
【0059】
実施例1の装置構成の特徴は、以下の(条件1)〜(条件5)を同時に満足する点にある。(条件1)ポリマー溶液又は水溶液をキャピラリーに充填して電気泳動を行なう。(条件2)陽極緩衝液槽内の陽極緩衝液の液面の高さと、陰極緩衝液槽内の陰極緩衝液の液面の高さとがほぼ同じ等しい。(条件3)キャピラリーの試料注入端がほぼ鉛直下方を向いている。(条件4)キャピラリーの試料注入端より注入された試料は電気泳動により少なくとも最初はキャピラリー内を鉛直上方に移動する。(条件5)試料がキャピラリー内を鉛直上方に移動中にレーザ照射を受け、蛍光が検出される。
【0060】
先に定義した、W、E1、E2、D、T(図2、図3に示す例では、T=E2である)、B1、B2、Sを用いると、(条件2)は(数1)、(条件5)は(数2)となる。
【0061】
【数1】
B1=B2 …(数1)
【0062】
【数2】
T−E1>L1 …(数2)試料溶出端が蛍光検出位置より高い位置にある条件は(数3)、試料溶出端が最高位置である条件は(数4)、耐圧バルブが接続管を密閉する位置が陽極緩衝液内にある条件は(数5)となる。
【0063】
【数3】
E2>D …(数3)
【0064】
【数4】
T=E2 …(数4)
【0065】
【数5】
S<B2 …(数5)
実施例1の第1の装置では、中央に配置されたキャピラリーに関する集光効率及び分光精度と比較して、両端部に配置されたキャピラリーに関する集光効率及び分光精度が、低下する難点がある。また、レーザビームを一括照射するために図4に示す石英セルが必要になり、装置がやや複雑になる。
【0066】
図5は、本発明の実施例1の第2の装置の全体の構成例を示す斜視図である。実施例1の第2の装置では、実施例1の第1の装置の構成に於いて、レーザ照射系、及び蛍光検出系を変更する。図5に示すように、キャピラリー毎にレーザ照射系、及び蛍光検出系をパラレルに設置すれば、各キャピラリーからの蛍光を同一条件で計測することが可能になり、石英セルが不要になる。また、図5に示す構成では、キャピラリーの配列間隔が任意で広くなっても良いし、キャピラリーが任意の複数の本数でも良い。
【0067】
図6は、本発明の実施例1の第2の装置の光学系の構成例を示す断面図(キャピラリーが配列する平面に垂直で、1本のキャピラリー軸を含む断面図)であり、単一のレーザ照射系、及び蛍光検出系を表わしている。鉛直上方から入射したレーザビーム10はダイクロイックミラー36で反射し、対物レンズ37で集光され、キャピラリーの蛍光検出位置19に照射される。
【0068】
蛍光検出位置19から発光する蛍光は、対物レンズ37で集光され、平行光束にされ、ダイクロイックミラー36を透過し、レーザ光カットフィルター14を透過した後、結像型の回折格子38で反射し、反射光は波長分散を受けながら一次元CCDカメラ39上に結像する。一次元CCDカメラ39の画素が配列する方向と波長分散の方向とを一致させる。レーザビーム照射系、及び蛍光検出系をキャピラリー1本につき1個を対応させて、蛍光検出位置19が配列する直線と平行に、同一間隔(9mm)で並べる。1個のレーザビーム系、及び蛍光検出系の、蛍光検出位置が配列する直線方向での幅を9mm以下にする。
【0069】
実施例1の第2の装置では、レーザビームがキャピラリーの本数と同じだけ、即ち、12本のレーザビームが必要であるが、12個のレーザ光源を用いても良いし、1本のレーザビームを12本に分割して使用しても良い。また、図1と同様にして、1本のレーザビームを用いて全キャピラリーを一括照射して、蛍光検出を、図5に示すようにキャピラリー毎に行なう構成としても良い。
【0070】
図7は、本発明の実施例1の第3の装置の側面図である。図1〜図3、図5に示す構成では、耐圧バルブ4が接続管3の先端に配置されていたが、図1〜図3、図5に示す構成に代えて、図7に示すように、耐圧バルブ4をポンプブロック11と接続管3の接続部分に設置する。図7に示す構成により、接続管3に耐圧性能を持たせる必要がなくなり、簡便な装置構成にできる。
【0071】
(実施例2)
図8は、本発明の実施例2の第1の装置の構成例を示す側面図(図3と同じ方向から見た図)である。キャピラリーサイズ、複数のキャピラリーとポンプブロック11の配置は図1〜図3と同じであり、(数2)から(数4)は満足されている。図8に示すように、接続管3を用いず、耐圧バルブ4を用いて、ポンプブロック11と陽極緩衝液槽6を直接接続している。この結果、陽極緩衝液24の液面は陰極緩衝液23の液面より高くなり、(数1)の条件が満足されていない。 この条件で、陽極緩衝液24の液面と陰極緩衝液23の液面が大気圧に曝される状態にしていると、陽極緩衝液24、ポンプブロック内のポリマー溶液25、キャピラリー内のポリマー溶液、陰極緩衝液23で形成される閉流路の中を、各溶液が高い方から低い方に落下してしまう。キャピラリー内では試料溶出端21から試料注入端20に向かってポリマー溶液が移動する。試料注入端20に向かうポリマー溶液の移動は、電気泳動分離性能に悪影響を与えるため、この移動を回避することが必要である。
【0072】
図8に示す構成では、陽極緩衝液槽6を密閉することで溶液の落下を防止している。溶液が落下すると陽極緩衝液槽6内の空気が膨張して圧力が陰極緩衝液23の液面近傍の常圧よりも低下することを利用している。従って、陽極緩衝液槽6内の初期の空気体積が小さいほど落下防止効果が大きい。しかし、どんなに初期の空気体積を小さくしても、電気泳動に伴い、陽電極からガスが発生し、陽極緩衝液槽6内の空気(気体)体積が増大してしまう。
【0073】
図9は、本発明の実施例2の第2の装置の構成例を示す側面図ある。図9に示す例では、図8に示す構成の陽極緩衝液槽6内の空気を積極的に除去する。密閉された陽極緩衝液槽6に空気抜き用の穴を設け、四ふっ化エチレン樹脂膜フィルター28、吸引チューブ29を介して、ポンプ(図示せず)を用いて吸引する。
【0074】
四ふっ化エチレン樹脂膜フィルター28は気体を通し、液体を通さない性質があるため、陽極緩衝液そのものは除去しないで、電気泳動により発生したガスだけを選択的に除去できる。四ふっ化エチレン樹脂膜以外でも同様の性質を有する高分子膜(ガス透過膜)を用いても良い。圧力変化に対する液体の体積変化は無視できるので、上記の構成により溶液落下を抑止できる。
【0075】
試料注入端が置かれる陰極緩衝液槽5を密閉しても同様の溶液落下防止効果があり、四ふっ化エチレン樹脂膜フィルターを用いて、陰極緩衝液槽5内の気体除去を行なえば更に効果がある。更に、陽極緩衝液槽16の密閉と同時に行なっても良い。
【0076】
図10は、本発明の実施例2の第3の装置の構成例を示す側面図である。図10に示す構成では、図8に示す装置構成で、陰極緩衝液23の液面に常圧(大気圧)以上の高圧力を印加している。試料注入端が置かれる陰極緩衝液槽5とその近傍を密閉容器内に配置して、あるいは図10に示すように装置全体を密閉された加圧容器40内に配置しても良い。
【0077】
陰極緩衝液槽5とその近傍が置かれる加圧容器40内に加圧チューブ41を介してポンプ(図示せず)を用いて、空気を送り込むことにより、加圧容器40内の圧力を高め、陰極緩衝液23の液面に大気圧以上の圧力を印加する。大気圧以上の圧力は、陰極緩衝液23、キャピラリー内のポリマー溶液、ポンプブロック11の内のポリマー溶液25、陽極緩衝液24に到達し、これらの溶液全体が高圧力状態になる。この結果、溶液内のガスの発生が押さえらると同時に、溶液の落下がより効率的に阻止でき、安定して高分解能の電気泳動が可能になる。レーザ照射系、及び蛍光検出系の構成は実施例1と同等で良い。
【0078】
(実施例3)
ポリマー溶液を用いたキャピラリー電気泳動では、キャピラリーの発熱や環境温度の変動によって、キャピラリーそのもののが温度変化し、内部のポリマー溶液の体積が増減し得る。この結果、ポリマー溶液がキャピラリー内を移動し、電気泳動分離性能が劣化することがある。従って、キャピラリーを温度調節することは、電気泳動分離性能の劣化の防止に非常に有効である。また、所定の温度に調節することによって、分離能、速度といった電気泳動分離性能を最大限に発揮させることができる。
【0079】
実施例1では、温度調節された空気をキャピラリーに吹き付けて、キャピラリーの温度調節を行なっている。空気流による温度調節はキャピラリーの位置によって空気の温度や風速にばらつきが生じるためその制御が困難である。実施例3では実施例1異なる他の温度調節について説明する。
【0080】
図11は、本発明の実施例3の第1の装置の構成例を示す側面図(図3と同じ方向から見た図)である。図11は、図1〜図3の構成に、実施例1とは異なるキャピラリーの温度調節の構成を加えた。
【0081】
キャピラリーの泳動分離部1、試料溶出部2を、それぞれ2枚の熱伝導性の高い温度調節板30で挟み、温度調節板30とキャピラリーを接触させる。温度調節板30にはヒーター及びクーラーが接続しており(図示せず)、温度調節板30及び温度調節板30と接触する部分のキャピラリーを所定の温度に制御する。
【0082】
キャピラリーの全長(L1+L2)に対して、キャピラリーの温度調節される領域の長さの割合(温度調節カバー率)が高いほど、電気泳動分離の安定性、分解能も高くなる。図11に示す構成では、泳動分離部1と試料溶出部2を分けて温度調節板30で挟んでいる。
【0083】
蛍光検出位置19の近傍は、温度調節板30で挟むと蛍光計測が実行できなくなるため、図11に示す構成では、蛍光検出位置19の近傍の部分を温度調節できない。また、試料注入端20の近傍も、陰極緩衝液23や試料溶液に浸漬する必要から、試料注入端20から少なくとも数cmの区間は温度調節できない。泳動分離有効長L1が小さくなると、温度調節カバー率が低下し、電気泳動分離性能の低下を招くことがあり得る。
【0084】
図12は、本発明の実施例3の第2の装置の構成例を示す側面図(図3と同じ方向から見た図)である。図12に示す構成では、図11の構成と異なる温度調節の構成を採用している。図12に示す例では、キャピラリーのサイズ、複数のキャピラリーの配置は、図1〜図3の構成と同じでである。陰極緩衝液槽を深い槽にして、陰極緩衝液を温度調節できる温度調節型陰極緩衝液槽31にする。
【0085】
温度調節型陰極緩衝液槽31内の温度調節型陰極緩衝液32は、内蔵しているヒーター兼クーラー33により循環され温度調節される。キャピラリーの泳動分離部1の全体、及び試料溶出部2の一部を温度調節型陰極緩衝液32に浸漬し、浸漬している部分のキャピラリーを温度調節する。この時、キャピラリーの蛍光検出位置19は、温度調節型陰極緩衝液32に完全に浸漬している。
【0086】
図12に示す構成を用いれば、短い泳動分離有効長L1であっても、温度調節カバー率を高くすることができ、高分離性能の電気泳動を安定して実行できる。温度調節型陰極緩衝液32の液面と陽極緩衝液24の液面の高さを揃えるため、図3に示す構成と比較して、接続管3の長さを短くして、陽極緩衝液槽6の高さを高い位置に置く。
【0087】
キャピラリーの蛍光検出位置19が、温度調節型陰極緩衝液32内にあるため(B1>D)、蛍光計測は温度調節型陰極緩衝液32及び温度調節型陰極緩衝液槽31の壁を通して行なう。温度調節型陰極緩衝液槽31の壁の材質は、無色透明であり可能な限り蛍光を発しない材質、例えば、石英ガラスが望ましい。
【0088】
実施例3の第2の装置に於ける、レーザ照射系、及び蛍光検出系の基本的な構成は図5、図6と同等で良い。図6の構成と異なり、対物レンズ37と蛍光検出位置19の間に温度調節型陰極緩衝液槽31の壁、温度調節型陰極緩衝液32が存在するため、対物レンズ37の位置を調節して焦点を合わせる必要がある。
【0089】
なお、図12に示す温度調節型陰極緩衝液32を収納する温度調節型陰極緩衝液槽31を、図8、図9、図10に示す構成に適用して、図12に示す構成と同様に、短い泳動分離有効長L1であっても、温度調節カバー率を高くでき、高分離性能の電気泳動を安定して実行できる。温度調節型陰極緩衝液槽31を用いるこれらの構成では、温度調節型陰極緩衝液32の液面と陽極緩衝液24の液面の高さを揃える必要がなく、電気泳動分離する試料の変更毎に、ポリマー溶液の劣化や異なる試料の混在を避けるために行なう、複数のキャピラリー内のポリマー溶液の交換の際に必要なポリマー溶液の量が少ないという利点がある。
【0090】
以上説明した実施例1〜実施例3では、複数のキャピラリーを互いに平行に、同一間隔で、同一平面上に等間隔で配置している。以上説明した実施例1〜実施例3で、1本のキャピラリーを用いる構成としも良いことは言うまでもない。
【0091】
(実施例4)
図13は、本発明の実施例4の装置の構成例を示す正面図(図2と同じ方向から見た図)である。キャピラリーの配列間隔を試料注入端20と蛍光検出位置19で変化させる。キャピラリーのサイズ、キャピラリーの本数は、実施例1と同等である。但し、簡単のために、図2と同様に、キャピラリーは5本のみ示している。各蛍光検出位置19をレーザビーム10上の同一線上に揃え、互いに密着するように揃え、各キャピラリーの軸が鉛直線とほぼ平行になるように並べる。
【0092】
キャピラリーの蛍光検出位置19に於ける配列ピッチは0.36mm、配列全幅は5.4mmである。各キャピラリーの試料注入端20は、配列ピッチ4.5mm、配列全幅49.5mmで同一線上に並べる。各キャピラリーの泳動分離部1及び蛍光検出位置19近傍の試料溶出部2は、図13の紙面に平行な平面上に乗るように配置する。従って、図13を紙面上で右側から見た図は図3とほぼ同一になる。
【0093】
各キャピラリーの試料溶出端21は、接続治具22’を用いてポンプブロック11と耐圧接続される。接続治具22’は、キャピラリー12本ががちょうど貫通できる小さな穴を中心にもち、先が円錐状に尖ったプラスチック製のオスネジである。12本のキャピラリーを試料溶出端21からオスネジの穴に所定長挿入し、オスネジの穴の内壁と各キャピラリーの間の隙間をアラルダイト等の接着剤で充填して硬化する。この結果、オスネジの穴の内壁と各キャピラリーの間の隙間は密封される。
【0094】
ポンプブロック11には、オスネジと適合するようにテーパー状になったメスネジ穴が開いており、メスネジ穴の先はポンプブロック11内のポリマー溶液25が充填される内部空間に通じている。12本のキャピラリーを試料溶出端21からテーパー状のメスネジ穴に貫通させた状態で、オスネジをテーパー状のメスネジ穴に締め付けると、オスネジの先端が変形する。この結果、接続治具22’とポンプブロック11の間の隙間が密封される。
【0095】
各キャピラリーの蛍光検出位置19から試料注入端20までの区間は、全て同一平面上に配置されているため、図11に示す構成と同様にして温度調節ができる。即ち、12本のキャピラリーを同時に2枚の温度調節板で挟み、12本のキャピラリーの温度調節を実行できる。
【0096】
各キャピラリーの泳動分離部1は同一平面上に配置されているため、中央に配置されているキャピラリーの分離有効長は両端に配置されているキャピラリーのやや短くなる。4.5mmの配列ピッチは、試料溶液槽が32×24の格子状に並ぶ384穴のマイクロタイタープレートの配列ピッチと等しい。従って、12本のキャピラリーの試料注入端20を、マイクロタイタープレートのそれぞれ異なる試料溶液槽に一度に挿入し、同時に試料注入できる。
【0097】
図13に示す構成では、図2の構成と異なり、各キャピラリーの蛍光検出位置19が密着して配列しているため、レーザ照射及び蛍光検出が容易かつ効率的になる。
【0098】
図14は、本発明の実施例4の装置に於ける蛍光検出装置の光学系の構成例を示す断面図(蛍光検出位置19を含み、キャピラリーの軸に垂直な断面図)である。レーザビーム10をレンズ(図示せず)で集光した後、各キャピラリーが配列する平面の側面方向より、蛍光検出位置19が並ぶ線に沿って照射して、12本全てのキャピラリーの蛍光検出位置19を同時にレーザ照射できる(Anal.Chem.、68、2699−2704(1996)(従来技術4))。
【0099】
各キャピラリーを泳動する試料から発する蛍光の検出は、各キャピラリーが配列する平面に対して垂直方向より同時に行なう。蛍光検出は、図1に示す構成と同様の構成で実行されるが、蛍光検出位置19が密着しているため、各キャピラリーからの蛍光を効率良く検出できる。
【0100】
また、レーザ照射法として以下の手法を用いても良い。蛍光検出位置19の配列した線方向にレーザビームをシリンドリカルレンズを用いて拡大し、12本のキャピラリーを同時に照射する(Anal.Chem.、66、1424−1431(1994)(従来技術5))。更に、レーザビームをレンズで集光し、ビームを走査して各キャピラリーの蛍光検出位置19を順番に照射する(Anal.Chem.、64、2149−2154(1992)従来技術6)。
【0101】
(実施例5)
図15は、本発明の実施例5の装置の構成例を示す側面図(図3と同じ方向から見た図)である。実施例5の構成では、実施例1〜実施例4に示す、各キャピラリーの全領域が鉛直線と平行に配置される構成とは異なるキャピラリーの配置をとる。
【0102】
キャピラリーは、外径360μm、内径50μm、全長60cmであり、キャピラリーの試料注入端20から10cm(試料溶出端4から50cm)の位置に検出窓を設け、蛍光検出位置19とする(L1=10cm、L2=50cm)。L1<L2であることが、実施例5の装置の構成の特徴である。
【0103】
このキャピラリー1本を、キャピラリーの試料注入端20を鉛直下方に向け、泳動分離部1、蛍光検出位置19近傍の試料溶出部2の一部のキャピラリーの軸が、鉛直線とほぼ平行になるように配置する。キャピラリーの試料溶出部2の中腹が上方に凸のループをなし、キャピラリーの最も位置が高くなる点(頂点)の基準水平面Wからの高さがTとなるように配置する。
【0104】
キャピラリーの試料溶出端21は、図2に示す構成と同様にして、接続治具22を用いてポンプブロック11に耐圧接続される。ポンプブロック11にはガスタイトシリンジ12が耐圧接続され、陽極緩衝液槽6とは耐圧バルブ4を介して接続されている。
【0105】
試料溶出長L2が十分に大きいため、陰極緩衝液23と陽極緩衝液24の液面の高さが揃うように、ポンプブロック11、陽極緩衝液槽6の高さを調節できる。この結果、(数1)に示す条件が満足され、ポリマー溶液のキャピラリー内での移動が防止できる。実施例5の構成では、(数1)、(数2)、(数5)に示す各条件が満足される。実施例5では1本のキャピラリーを扱ったが、実施例5の構成に於いて、複数のキャピラリーを不等間隔、又は等間隔で配列しても良い。
【0106】
【発明の効果】
本発明の装置の構成によれば、従来技術より短い分離有効長のキャピラリー電気泳動が安定して可能になり、超高速の電気泳動を実行でき、複数のキャピラリーをアレイ化して高スループットで高性能な電気泳動も可能となる。
【0107】
キャピラリーに充填されたポリマー溶液を安定した状態に保持して、試料注入端から導入された試料がキャピラリー内を鉛直下方から上方に向かって移動中にレーザ照射し、試料から発する蛍光を検出する構成により、短い分離有効長の電気泳動が可能となる。
【0108】
キャピラリー電気泳動の分離有効長を10cm以下に短くして、200塩基長を10分程度で配列決定でき超高速の電気泳動が可能になり、複数のキャピラリーをアレイ化して超ハイスループットも実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1の第1の装置の全体の構成例を示す斜視図。
【図2】本発明の実施例1の第1の装置の正面図。
【図3】本発明の実施例1の第1の装置の側面図。
【図4】本発明の実施例1の第1の装置の蛍光検出位置に於ける断面図。
【図5】本発明の実施例1の第2の装置の全体の構成例を示す斜視図。
【図6】本発明の実施例1の第2の装置の光学系の構成例を示す断面図。
【図7】本発明の実施例1の第3の装置の側面図。
【図8】本発明の実施例2の第1の装置の構成例を示す側面図。
【図9】本発明の実施例2の第2の装置の構成例を示す側面図。
【図10】本発明の実施例2の第3の装置の構成例を示す側面図。
【図11】本発明の実施例3の第1の装置の構成例を示す側面図。
【図12】本発明の実施例3の第2の装置の構成例を示す側面図。
【図13】本発明の実施例4の装置の構成例を示す正面図。
【図14】本発明の実施例4の装置の光学系の構成例を示す図。
【図15】本発明の実施例5の装置の構成例を示す側面図。
【図16】1本のキャピラリーを用いる従来技術の電気泳動装置の構成を説明する図。
【符号の説明】
1…泳動分離部、2…試料溶出部、3…接続管、4…耐圧バルブ、5…陰極緩衝液槽、6…陽極緩衝液槽、7…マイクロタイタープレート、8…試料溶液槽、9…オートサンプラー、10…レーザビーム、11…ポンプブロック、12…ガスタイトシリンジ、13…第一カメラレンズ、14…レーザ光カットフィルター、15…透過型回折格子、16…第2カメラレンズ、17…2次元CCDカメラ、18…石英セル、19…蛍光検出位置、20…試料注入端、21…試料溶出端、22、22’…接続治具、23…陰極緩衝液、24…陽極緩衝液、25…ポンプブロック内のポリマー溶液、26…ガスタイトシリンジ内のポリマー溶液、27…接続管内のポリマー溶液、28…四ふっ化エチレン樹脂膜フィルター、29…吸引チューブ、30…温度調節板、31…温度調節型陰極緩衝液槽、32…温度調節型陰極緩衝液、33…ヒーター兼クーラー、34…集光レンズ、35…グリセリン溶液、36…ダイクロイックミラー、37…対物レンズ、38…結像型の回折格子、39…一次元CCDカメラ、40…加圧容器、41…加圧チューブ、42…水平保持板、43…鉛直保持板、44…陽極緩衝液槽台。
Claims (10)
- 少なくとも一部がキャピラリーであり、前記キャピラリーの両端の間に電圧印加して標識された試料を電気泳動により分離するための泳動路と、
前記キャピラリーに光を照射する照射部と、
前記電気泳動で分離される前記試料の標識を検出する検出部と、
前記泳動路の一方の端部と他方の端部とを、前記電気泳動の際に各々浸漬させる第1の緩衝液槽と第2の緩衝液槽とを有し、
前記キャピラリーは、前記キャピラリーの鉛直方向での基準水平面からの最高位置の高さをT、前記キャピラリーの試料注入端の基準水平面からの高さをE1、前記試料注入端と前記光が前記キャピラリー上に照射される標識検出位置との間の区間のキャピラリー長をL1とするとき、T-E1>L1の関係を満足し、かつ前記電気泳動の際はポリマー溶液で充填され、
前記第1の緩衝液槽と前記第2の緩衝液槽とは、前記電気泳動の際に液面の高さが実質的に同一であることを特徴とするキャピラリー電気泳動システム。 - 少なくとも一部がキャピラリーであり、前記キャピラリーの両端の間に電圧印加して標識された試料を電気泳動により分離するための泳動路と、
前記キャピラリーに光を照射する照射部と、
前記電気泳動で分離される前記試料の標識を検出する検出部と、
前記泳動路の一方の端部と他方の端部とを、前記電気泳動の際に各々浸漬させる第1の緩衝液槽と第2の緩衝液槽とを有し、
前記キャピラリーは、前記光を照射される標識検出位置を有し、前記標識検出位置における前記試料の泳動方向は実質的に鉛直上向であり、
前記キャピラリーは前記電気泳動の際はポリマー溶液で充填され、
前記第1の緩衝液槽と前記前記第2の緩衝液槽とは、液面の高さが前記電気泳動の際に実質的に同一であることを特徴とするキャピラリー電気泳動システム。 - 前記試料注入端は実質的に鉛直下向きであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキャピラリー電気泳動システム。
- 前記標識検出位置から前記キャピラリーの試料溶出端までのキャピラリー長をL2としたとき、前記キャピラリーはL1≦L2の関係を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキャピラリー電気泳動システム。
- 前記キャピラリーの試料溶出端の前記基準水平面からの高さをE2とし、前記標識検出位置の前記基準水平面からの高さをDとしたとき、前記キャピラリーはE2≦Dの関係を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキャピラリー電気泳動システム。
- 前記ポリマー溶液の前記キャピラリーへの導入及び除去を行うポリマー溶液制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキャピラリー電気泳動システム。
- 前記キャピラリーは複数であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のキャピラリー電気泳動システム。
- 前記照射部と前記検出部は前記キャピラリーの各々に対応して設置される請求項7に記載のキャピラリー電気泳動システム。
- 前記キャピラリーは、前記標識検出位置が実質的に一の直線上にあるように設置される請求項7に記載のキャピラリー電気泳動システム。
- 電気泳動分離媒体を納め、標識された試料を両端への電圧印加による電気泳動で分離するための複数のキャピラリーと、
前記キャピラリーに光を照射する照射部と、
前記電気泳動で分離される前記試料の標識を検出する検出部とを有し、
複数の前記キャピラリーは、各々試料注入端と試料溶出端と前記光を照射される標識検出位置とを有し、前記試料注入端と前記試料溶出端と前記標識検出位置との各々の位置において実質的に一の直線上に実質的に同じ間隔で配置されるものであり、
前記試料は、前記標識検出位置における泳動方向が実質的に鉛直上向であることを特徴とするキャピラリー電気泳動システム。
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