JP4975202B2 - 非水電解質電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解質電池において、電池ケースの一部を構成する金属外装部材の開口孔にセラミック材を介して負極端子を絶縁封止固定した気密端子に関する。
【0002】
【従来の技術】
電池は、電池ケース内部に密閉した発電要素の正負極を外部回路と接続するために気密端子が設けられる。このような電池としては、図3に示すように、正極端子1と負極端子2をそれぞれセラミック材3を介して電池ケースに絶縁固定したものがある。これらの正極端子1と負極端子2は、それぞれリング状のセラミック材3を外嵌して外環金属部材5の開口孔に挿入され、これら正負極端子1,2とセラミック材3との間、及び、セラミック材3と外環金属部材5の開口孔との間を金属ロウ4,4でロウ付け固定される。そして、外環金属部材5,5は、金属蓋部6の2箇所の開口孔に挿入して溶接により封止固定され、この金属蓋部6は、発電要素7を収納した金属容器部8の上端開口部に嵌め込み溶接により封止固定される。また、正極端子1と負極端子2は、下端部がそれぞれ発電要素7の正負極に接続される。従って、これらの正負極端子1,2は、金属容器部8と金属蓋部6と外環金属部材5とからなる密閉された電池ケース内の発電要素7の正負極をセラミック材3によって絶縁されて外部に引き出すことができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、Ni−Cd電池やNi−MH電池の場合には、上記セラミック材3をロウ付けするための金属ロウ4として銀ロウや銀−銅ロウ(銅成分が15〜40%)が用いられていた。しかしながら、非水電解質電池でこのような銀ロウや銀−銅ロウを用いると、負極端子2とセラミック材3との間をロウ付けする金属ロウ4が非水電解液と接触することによりリチウム等のアルカリ金属との合金化反応の溶解反応によって腐食が生じ、気密漏れを起こしてサイクル寿命及びカレンダ−寿命が短くなるという問題があった。
【0004】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、負極端子に接する金属ロウに銅を主成分とするロウ材を用いることにより、この金属ロウの腐食を防止することができる非水電解質電池を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、負極端子に絶縁性のセラミック材を外嵌し、このセラミック材を金属外装部材の開口孔に挿入して封止固定した非水電解質電池において、非水電解液がリチウム等のアルカリ金属を含み、セラミック材と負極端子との間が銅成分50%以上である金属ロウによってロウ付けされ封止固定されたことを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、負極端子と接する金属ロウが銅を主成分とするロウ材であるため、この金属ロウがリチウム等と合金化反応を起こしにくく腐食を生じにくくなる。
【0007】
なお、金属外装部材とは、非水電解質電池の電池ケースの一部を構成する部材であり、金属容器部や金属蓋部、又は、これらの開口孔に嵌め込み固定する外環金属部材等を意味する。
【0009】
また、本発明によれば、銅の含有率が高い金属ロウを用いるので、リチウム等との合金化反応に起因する気密漏れを防止することができるようになる。
【0010】
本発明においては、負極端子が銅又は銅合金から成ることが好ましい。
【0011】
本発明においては、負極端子がニッケル又はニッケル合金から成ることが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明が好適に用いられるアルカリ金属を内部に有する非水電解液電池についての実施形態について図面を参照して説明する。尚、本発明は特にアルカリ金属を活物質とする非水電解質二次電池、特にはリチウム非水電解質二次電池に適したものであるが、非水電解質電池に広く適用することができるものである。
【0013】
図1〜図2は本発明の一実施形態を示すものであって、図1は非水電解質二次電池の負極端子部分の一部拡大縦断面図、図2は非水電解質二次電池の分解斜視図である。なお、図3に示した従来例と同様の機能を有する構成部材には同じ番号を付記する。
【0014】
本実施形態は、図3に示した従来例と同様に、電池ケースの金属蓋部6の開口孔に挿入固定した外環金属部材5,5にそれぞれセラミック材3,3を介して正極端子1と負極端子2を絶縁封止固定した非水電解質二次電池について説明する。
【0015】
負極端子2は、銅又は銅合金のピンである。また、セラミック材3は、アルミナやこのアルミナを主成分とするものを用いる。この負極端子2は、図1に示すように、リング状のセラミック材3を外嵌して外環金属部材5の開口孔に挿入される。そして、この負極端子2とセラミック材3との間、及び、このセラミック材3と開口孔との間をそれぞれ金属ロウ4,4でロウ付けすることにより絶縁封止固定する。この際、少なくとも負極端子2とセラミック材3との間の金属ロウ4は、銅を主成分とするロウ材を用いる。銅を主成分とするロウ材としては、銅成分が50%以上であることが好ましく、より好ましくは60%以上、さらに好ましくは85%以上であることが望まれる。また、銅以外の第2成分としては、金、銀又は亜鉛が好ましく、特に銅の含有量を減らすことができるという意味では亜鉛が好ましい。セラミック材3と外環金属部材5の開口孔との間は、他の金属のロウ材を用いてもよく、本実施形態のように多環金属部材5をアルミニウム、或いはアルミニウム合金とする場合には、アルミロウを用いるのが好ましい。
【0016】
正極端子1は、アルミニウム又はアルミニウム合金のピンである。この正極端子1も、正極端子1と同様に、リング状のセラミック材3を外嵌して外環金属部材5の開口孔に挿入される。そして、この正極端子1とセラミック材3との間、及び、このセラミック材3と開口孔との間をそれぞれ金属ロウ4,4でロウ付けすることにより絶縁封止固定する。ここでの金属ロウ4のロウ材は特に限定しないが、アルミニウム合金ロウを用いるのが好ましい。
【0017】
本実施形態の非水電解質二次電池は、図3に示したように、発電要素7を金属容器部8内に収納し、この金属容器部8の上端開口部に金属蓋部6を嵌め込んで溶接により封止固定する。そして、図2に示すように、上記正極端子1と負極端子2を絶縁封止固定した外環金属部材5,5をこの金属蓋部6の2箇所の開口孔にそれぞれ挿入して溶接により封止固定する。この際、これら正極端子1と負極端子2は、下端部をそれぞれ発電要素7の正負極に接続する。また、金属容器部8内には、非水電解液を注入する。これら金属蓋部6と金属容器部8は、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることにより軽量化を図ることができる。また、外環金属部材5も、ここではアルミニウム又はアルミニウム合金等を用いる。
【0018】
上記構成の非水電解質二次電池によれば、負極端子2と接する金属ロウ4が銅を主成分とするロウ材であるため、非水電解液と接触した際に、リチウムと合金化反応を起こしにくくなり、致命的な気密漏れを生じるような金属からの腐食を防止することができる。
【0019】
ここで、ロウ材として、JIS規格のBCu−1(ほぼ純銅ロウ)とBAu−1(銅成分が約63%の金ロウ)とBAg−8(銅成分が約28%の銀−銅ロウ)とBAu−4(銅成分が約18%の金ロウ)について、サイクリックボルタンメトリーによって、リチウム電位における腐食電流の有無を測定した。この結果、BCu−1では、腐食電流が認められなかったが、他のロウ材では腐食電流が認められた。そして、この腐食電流は、BAu−1<BAg−8<BAu−4の関係で大きくなるので、銅の含有量が大きくなるほど腐食電流が小さくなることが分かった。また、これらのロウ材の棒状体をリチウムと短絡させて60°Cの温度環境で一週間保持した後に、棒状体の表面を観察したところ、銅の含有量の少ないBAg−8とBAu−4では、腐食や亀裂の発生が激しく実使用に耐えないと判断されたが、ほぼ純銅のBCu−1では腐食は見られず、銅の含有量の大きいBAu−1でもわずかな腐食は見られたものの亀裂の発生はなく、これらは実使用可能であると判断できた。そこで、これら実使用が可能と判断されたBCu−1とBAu−1を金属ロウ4のロウ材として用いてセラミック材3をロウ付けした非水電解質二次電池を作製し、充放電を繰り返したところ、いずれも実用上問題が生じるような腐食は発生しなかった。尚、サイクリックボルタンメトリ−は、EC:DMC:DEC=2:2:1の混合溶媒に、Lipf6 を1モル濃度溶解させたもので行った。また、電池等上記においてはすべて同じ電解液を用いた。更に、電池の正極活物質はLiCo2 、負極活物質は黒鉛で、その構造は図1〜図3に示す長円筒型のうず巻き型の非水電解液リチウム二次電池である。
【0020】
なお、上記実施形態では、負極端子2をセラミック材3を介して外環金属部材5に絶縁封止固定する場合について説明したが、電池ケースを構成する金属外装部材であれば、いずれの部材に絶縁封止固定してもよい。
【0021】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の非水電解質電池によれば、負極端子と接する金属ロウに銅を主成分とするロウ材を用いるので、リチウム等のアルカリ金属との合金化反応によって腐食を生じるようなことがなくなり、気密漏れによるサイクル寿命及びカレンダ−寿命の短縮を防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態を示すものであって、非水電解質二次電池の負極端子部分の一部拡大縦断面図である。
【図2】 本発明の一実施形態を示すものであって、非水電解質二次電池の分解斜視図である。
【図3】 従来例を示すものであって、非水電解質電池の構造を示す縦断面図である。
【符号の説明】
1 正極端子
2 負極端子
3 セラミック材
4 金属ロウ
5 外環金属部材
Claims (1)
- 負極端子に絶縁性のセラミック材を外嵌し、このセラミック材を金属外装部材の開口孔に挿入して封止固定した非水電解質電池において、
非水電解液がリチウム等のアルカリ金属を含み、セラミック材と負極端子との間が銅成分50%以上である金属ロウによってロウ付けされ封止固定されたことを特徴とする非水電解質電池。
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