JP2585726Y2 - 角型密閉式電池 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は気密端子を用いて電池内
を密封した角型密閉式電池に関するもので、安全性に優
れた電池構造を提供するものである。

【０００２】

【従来の技術】近年、ラップトップコンピューター，ワ
ープロ等の携帯情報機器、カメラ一体型ＶＴＲ，液晶テ
レビ等のＡＶ機器や携帯電話等の移動通信機器等々のよ
うに、電源としての電池に対し大電流、大出力を要求す
る機器が多種多様に発達し、より高エネルギー密度の電
池が要望されている。さらに、機器が薄形化、小型化す
るにつれ電池も薄形化、小型化が要求される。

【０００３】一般に機器の形状は角型であり、機器の空
間部分を有効に利用するためには電池の形状も角型が望
ましい。

【０００４】そして、その要望に応えるべく、種々の新
しい電池が提案されている。

【０００５】しかしながら、電池が長期に渡って安定に
使用されるためには、電解液の漏出や大気中の水分の電
池内への侵入による電池活物質や電解質等との反応が原
因で生じる電池性能の低下を防止するため、気密性、液
密性の両面から電池を完全密封する必要があり、極めて
密閉性の高い封口が必要である。

【０００６】従来からこの種の電池においては、図５に
示すようにガラスシール或はセラミックシールなどの絶
縁部材（２３）を用いたハーメチック構造を採用し、一
極性端子を兼ねる外装缶（２１）と金属封口蓋（２２）
とをレーザー溶接等により溶着すると共に、他極性端子
ピン（２４）を絶縁部材（２３）中に貫通固定する構造
を採用している。

【０００７】

【考案が解決しようとする課題】一方、この種の電池が
高温に晒されたり、外部短絡又は電極やセパレータの劣
化、形状変化等による内部短絡、或は外部電源による強
制的な過大電流放電の発生により急激な温度上昇があっ
た場合や、さらに、二次電池においては過大電圧による
過充電がなされた場合に、電解液が揮発或は分解してガ
スが発生し、このガスが電池内に閉じ込められ、電池内
圧が著しく上昇するため、電池の外装缶が膨張変形し、
電池を搭載している機器を破損し、時として電池が破裂
し、安全上重大な問題となる。

【０００８】また、電池破裂を防ぐ目的で電池内圧上昇
時に絶縁部材（２３）が破壊される構造なるものにしよ
うとすると、絶縁部材（２３）と金属封口蓋（２２）或
は、絶縁部材（２３）と端子ピン（２４）との密着性を
弱めなければならないが、そうすると電解液の漏液が発
生する。

【０００９】そこで、本考案は上述の実状に鑑みて提案
されたものであって、電池内圧上昇の際に生ずる電池の
外装缶の膨れ及び破裂を防止できる電池を提供すること
を目的とするものである。

【００１０】

【課題を解決するための手段】本考案は、外装缶の膨れ
や破裂を防止できる安全性機構を具備した角型密閉式電
池を得ることを目的とするもので、角型形状をした金属
封口蓋に電池の幅方向に沿って薄肉溝部を設けることを
特徴とするものである。

【００１１】

【作用】一般に角型電池において、電池内圧上昇時に外
装缶は図４に示す如く厚み方向、即ち、（Ｅ）及び
（Ｆ）の方向に膨れる。

【００１２】従って、本考案にかかわる角型密閉式電池
によれば、金属封口蓋に電池の幅方向に沿って薄肉溝部
が設置されているため、電池内圧上昇時に外装缶が僅か
に膨れることにより、薄肉溝部に亀裂が入り電池内のガ
スが容易に外部に放出され、電池の破裂が防止でき安全
性の向上が図れる。

【００１３】さらに、電池の膨れが僅かなため電池を搭
載している機器を破損する恐れがない。

【００１４】

【実施例】以下、本考案の実施例につき図面に基づき詳
述する。

【００１５】図１は一実施例による角型密閉式電池の上
部外形図を示し、図２は図１に示したＡ−Ａ’線に沿う
要部断面図を示す。図１及び図２において（１）は一極
性端子を兼ねる外装缶で発電要素（図示せず）が内蔵さ
れている。

【００１６】上記外装缶（１）は、導電性に優れた材
料、例えば鉄等が使用され、プレス等により絞り加工さ
れて角型形状とされたものである。なお、通常はこの外
装缶（１）の表面にニッケルメッキが施される。

【００１７】また、本実施例ではこの外装缶（１）の外
形寸法を厚み６．４mm，幅２２．２mm，高さ７７．５m
m，板厚み０．４mmとした。（２）は板厚みが０．４mm
の鉄よりプレス加工された、透孔を有している金属封口
蓋で外装缶（１）の内側に挿入し、レーザー溶接により
溶着されている。（３）は該金属封口蓋の透孔に充填さ
れたガラスシールの絶縁部材である。（４）は他極性端
子ピンで、絶縁部材（３）中に貫通固定されている。該
端子ピン（４）は本実施例では、ガラスの絶縁部材
（３）との密着性が良好なステンレスのＳＵＳ４４７を
用いた。（５）は金属封口蓋（２）に設置した電池の幅
方向に沿ったＶ字型の薄肉溝部である。該薄肉溝部
（５）はプレス加工により設けたものである。

【００１８】尚、本実施例では、上記薄肉溝部（５）の
寸法を図３に示す如く、長さ１５mm，Ｖ字の角度（Ｃ）
は６０゜、溝の深さ（Ｄ）は０．３１mmとした。

【００１９】次に、薄肉溝部（５）の切裂開放圧を測定
した。測定方法を次に示す。

【００２０】まず、発電要素を内蔵せずに、空の外装缶
（１）と金属封口蓋（２）とをレーザー溶接した後、外
装缶側面に細い銅管を銀ロウ付けして内部に窒素ガスを
圧入し、薄肉溝部が切裂開放する時の圧力を計測した。
このときの切裂開放圧は２２．４kg／cm² であった。

【００２１】また、薄肉溝部の亀裂発生時の外装缶の膨
れは、最も厚い部分で７．９mmで、その膨れ量は１．５
mmであった。

【００２２】図５は従来の角型密閉式電池の要部断面図
を示す。

【００２３】比較例として、従来の角型密閉式電池にお
いて、実施例と同様に、発電要素が内蔵されていない外
装缶側面に細い銅管を銀ロウ付けして内部に窒素ガスを
圧入し、破壊する時の圧力を計測したところ、圧力が５
１．３kg／cm² に達したときに外装缶と金属封口蓋との
レーザー溶接部に亀裂が入り破裂に至った。この時の外
装缶のふくれは最も厚い部分で１２．７mmであった。

【００２４】尚、本実施例で、薄肉溝部はＶ字型とした
がＵ字型としても同様の効果が得られる。

【００２５】

【考案の効果】以上の説明からも明らかなように、本考
案の角型密閉式電池によれば、電池内圧上昇時におい
て、僅かの電池の膨れにより薄肉溝部に亀裂が入り、該
亀裂より電池内のガスを外部に放出するので、電池が破
裂に至る危険はなく安全性に優れ、さらに、電池の膨れ
が僅かであるため、電池搭載のポータブル機器を破損す
ることがなく、その工業的価値は極めて大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の実施例における角型密閉式電池の上部
外形図。

【図２】本考案の実施例における図１に示すＡ−Ａ’線
に沿う要部断面図。

【図３】本考案の薄肉溝部の断面図。

【図４】従来の角型密閉式電池における電池内圧上昇時
の電池の膨れの模式図。

【図５】従来の角型密閉式電池の要部断面図。

【符号の説明】

１ 外装缶 ２ 金属封口蓋 ３ ガラスシールの絶縁部材 ４ 端子ピン ５ 薄肉溝部 ２１ 外装缶 ２２ 金属封口蓋 ２３ ガラスシール或はセラミックシールなどの絶縁
部材 ２４ 端子ピン Ａ−Ａ’厚み方向の断面 Ｃ 薄肉溝部のＶ字の角度 Ｄ 薄肉溝部の深さ Ｅ 外装缶の膨れる方向 Ｆ 外装缶の膨れる方向

Claims (1)

(57)【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】外装缶（１）と金属封口蓋（２）とを有
   し、 外装缶は発電要素を内蔵し、一極性端子を兼ね、形状が
   角型であり、 金属封口蓋（２）は該外装缶（１）の開口部に溶接され
   導電的に固着され、該封口蓋に形設せる透孔に絶縁部材
   （３）を介して貫通固定された他極性端子ピン（４）を
   具備し、該封口蓋に幅方向に沿って薄肉溝部（５）を設
   けること特徴とする角型密閉式電池。