JP4973980B2 - 薄型フットケアパッド - Google Patents

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Description

本発明は、ミュール等のヒールの高い靴を履いたときに良好な履き心地を達成するための薄型フットケアパッドに関する。
ヒトの足は、片足で28個の骨があり、そのうち足根骨と呼ばれる踵部の丈夫な7個の骨で体重の9割を受け止めている。しかし、ヒールの高い靴を履くと、本来体重を受け止める構造になっていない華奢な爪先の足趾骨に過度の体重がかかってしまうこと等により、靴擦れ、タコ、ウオノメ、巻き爪、外反母趾のような足の疾患を引き起こすことがあるだけでなく、歩く姿勢が不自然になることにより骨盤や背骨の形状のゆがみ、更には骨や神経に重大な障害を引き起こす場合があることが知られている。
そこで、上記の問題を解消するために、従来の技術においては、ヒールの高い靴を履いたときにヒトの足裏にかかる過度の負荷をなるべく分散するべく、土踏まず部を支持する靴用の中敷パッドとして、例えば図6に示すように硬度40ないし60度の弾力性樹部材からなり、土踏まずに対応する部分20を厚く、かつパッドの前端側21及び後端側22を薄く形成したものが提案されている(特許文献1)。この文献1では、パッド19は、足の骨格に応じた土踏まずの位置に合わせてパッド部分を貼着することにより、安定歩行を図り、角質化や骨格の変形などの足裏の悩みを軽減するものと述べられている。
また、硬度25ないし35度のシリコンゴムからなり、土踏まずアーチ形頂点を最大肉厚とし該最大肉厚から周辺に向かうに伴って肉薄となる靴用の中敷パッドも提案されている(特許文献2)。文献2では、該パッドは、硬度25ないし35度のシリコンゴムを使用することにより、パッド本体を硬くし、土踏まず・中足骨・小指側アーチに対する支持力を向上して刺激を強くしたものであると説明されている。
特開2003−116603号公報 特開2004−105457号公報
しかしながら、これら従来のパッドは、パッド本体が硬いので、自己の足の形状が盛り上がり部分の形状にうまく合わない人等が該パッドが装着された靴を履用したとき、違和感があって、良好な履き心地が得られず、また従来のパッドは土踏まずに対応する部分が極端に急に盛り上がっており、かつその盛り上がり部分が厚いことにより、靴内部の空間が減少しているので、例えば足の甲の高い人がパッドを装着した靴を履用したとき、また甲の低い人であっても先端が狭いミュール、サンダル、パンプス等の靴に該パッドを装着して靴を履用したとき、足の甲が靴の甲材に擦れ当たって痛みを感じ、良好な履き心地が得られないことが意外と多い。
そこで、本発明は上記の問題を解決するべくなされたもので、靴の中の土踏まず付近に装着するフットケアパッドとして、様々な足の形状及び多様な靴のデザインにも柔軟に適応することで足への負担を軽減し、かつ見た目の美しさも損なわなず意匠性にも優れたフットケアパッドを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために種々検討した結果、ヒトの足裏を爪先部後端付近から土踏まず部を経て踵部前端付近にわたって支持し、良好な履き心地を達成する製品としては、土踏まず部付近に厚い盛り上がりを有する硬めのフットケアパッドではなく、パッドの材料としてより柔軟な透明エラストマーからなり、そしてパッド前部及び中央部に平らな面を設け、かつ土踏まず部付近に対応するパッド中央部の盛り上がりを小さな
ものとしその周辺も緩やかな傾斜からなるフットケアパッドとすることにより様々な足の形状及び多様な靴のデザインにもうまく適応でき従来には無い良好な履き心地が得られることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、第1観点として、ヒトの足裏を爪先部後端付近から土踏まず部を経て踵部前端付近にわたって支持し、良好な履き心地を達成するためのフットケアパッドであって、
5度以上20度未満の硬度を有する柔軟な透明エラストマーからなり、
爪先部後端に対応するパッド前部に平坦な爪先平面部を形成し、
且つ、土踏まず部付近に対応するパッド中央部に平坦な土踏まず平面部を形成するとともに、
該土踏まず平面部の内側端からパッドの内側縁にかけて内側傾斜面を形成し、
また該土踏まず平面部の後側端からパッドの後側縁にかけて後側傾斜面を形成し、
また該土踏まず平面部の外側端からパッドの外側縁にかけて外側傾斜面を形成し、さらに該土踏まず平面部の前側端から前記爪先平面部の後側縁にかけて前側傾斜面を形成してなり、
そして、前記爪先平面部は1mmないし2mmの最小の高さを有するとともに、前記土踏まず平面部は4mmないし6mmの最大の高さを有し、
また前記内側傾斜面は6°ないし9°の勾配(α)を有し、前記後側傾斜面は8°ないし11°の勾配(β)を有し、前記外側傾斜面は7°ないし10°の勾配(γ)を有し、前記前側傾斜面は7°ないし10°の勾配(δ)を有することを特徴とする、薄型フットケアパッド、及び
第2観点として、パッドの前端部及び後端部の裏面にそれぞれ、靴内面に張り付けるための粘着フィルムを設けたことを特徴とする第1観点に記載のフットケアパッドに関する。
本発明のフットケアパッドは、土踏まずを支持する部分の盛り上がりを形成する傾斜を従来のものより緩やかにし、その盛り上がり部を含めパッド全体の厚みを従来のものより薄くし、更にパッドの前部及び中央部に平らな面を設け、また更に従来のものより低い硬度のエラストマーを材料として使用する構成としたので、ヒトの足への負担軽減の効果を様々な形状の足に対して、また色々なデザインの靴を履用する場合にもそれぞれ十分満足に発揮することができる。すなわち、足の形状及び靴のデザインの多様さに対して柔軟に適応できる範囲が大変広いものとなる。ミュール、サンダル、パンプス等を履いたときに生じる足裏の爪先側にかかる過度の負荷を土踏まずを中心とする足裏全体に分散させることができることはもとより、例えば靴内部の空間が広がることによって、たとえ足の甲の高い人が本発明のフットケアパッドが装着された靴を履用したときも靴の甲皮が擦れ当たって、きつく感じることがない。また本発明のフットケアパッドは、甲の部分がストラップのみで構成されるミュールや甲の部分にリボンなどのような装飾品を有するサンダル等に装着してそれらを履用したときも、靴の内部空間が狭くなることでストラップ又は装飾品が足の甲に当たって食い込むといった履き心地の悪さを与えることがなく、多様なデザインの靴に装着するときも満足に足への負担を軽減することができる。
さらに本発明のフットケアパッドは、本体の厚みを薄くし、かつ透明な材料からなるものとしたことにより、一般的な靴とは違い靴の中底が丸見えとなるミュール、サンダル等の靴に装着しても目立たず見た目の美しさを損なわない意匠性にも優れたものである。
図1ないし図4に示される本発明の薄型フットケアパッド1は、図5に示すように靴、特にミュール、サンダル、パンプス等のヒール靴に装着される。
本発明の薄型フットケアパッド1は、ヒトの足裏のうち爪先後端付近から土踏まず部を経て踵部付近まで、例えば図1及び図5に示すように足の骨格でいうところの第1中足骨
ないし第5中足骨の骨頭に対応する部分から、楔状骨、立方骨、舟状骨を経て、距骨後端に対応する部分までの範囲を支持するものである。パッドの前部を足指にかかる程度にまで長くすると歩行の際の足指の動きによってパッドがずれたり、捲れあがってしまうため、少なくともパッドが足指にかからないように、例えば中足骨骨頭より後方に対応する部分の足裏を支持する構造のものとする必要がある。
フットケアパッド1は、柔軟なエラストマー、例えばSBS(スチレンブタジエンスチレントリブロックコポリマー)、SIS(スチレンイソプレンスチレントリブロックコポリマー)等のスチレン系熱可塑性エラストマーから構成されるものである。パッド1の硬度は、パッド1に十分な柔軟性を与える観点から、5度以上20度未満の範囲から選択される。5度未満の硬度ではパッドを装着した靴を履く際に足裏へのべたつきが感じられ、装用に適さず、また20度以上の硬度では様々な足の形状に柔軟に適応させることが難しく、靴内に装着されたパッドに対して異物感、違和感を覚えるものとなる。この硬度は、以下に具体的に述べるようにJIS K6253に準じてタイプA又はEデュロメータにより測定される。また本発明の薄型フットケアパッド1は、無色透明のエラストマーからなり、中底が丸見えになるミュール、サンダル等の靴に装着しても目立たず、該靴そのもののデザイン性を損なわないものであるが、その透明エラストマーの光透過率は、80ないし99%程度が好ましい。この透過率は、以下に具体的に述べるようにJIS K7105に従い求められる。また、デザイン性を更に高めるために所望により該パッド表面に花柄模様2を描く等の装飾を施してもよい。
図1ないし図3に示すようにフットケアパッド1の前部、例えば第1中足骨ないし第5中足骨骨頭付近からそれら中足骨半ば付近までの部分に対応する部位は、傾斜及び凹凸の無い平らな面の爪先平面部5を有する。この平面部5は、パッド1において最小の厚さを有する部分であって、その厚さは1mmないし2mmの範囲から選択される。爪先平面部5の厚さを1mm未満に薄くすると、パッドの強度が弱くなり破れる可能性があり得、その厚さを2mmより厚くすると靴の内部空間がかなり減少し、きつくなる等の履き心地が悪くなる原因になる。
また、フットケアパッド1の中央部には、土踏まず平面部4を有する。この平面部4は、土踏まず部分に対応し、パッド1において最大の厚さを有する部分であって、その厚さは4mmないし6mmの範囲から選択される。土踏まず平面部4の厚さが4mm未満になると、エラストマーが有する衝撃吸収性が弱まり、ヒールの高い靴を履いたときに生じる足裏の爪先側にかかる過度の負荷を土踏まずを中心とする足裏全体に分散させるという効果が薄れることによって足への負担を大きくしてしまう。また、土踏まずの支持が弱くなり、特にヒールの高い靴では前滑りが起き易くなることにより足の痛みの発生の原因となる。更に、土踏まず平面部4の厚さを6mmより厚くすると、爪先平面部5を厚くした場合と同様に、靴の内部空間が減少し、履用の際、足が靴の甲皮に擦れ当たってきつくなる等の履き心地が悪くなる原因になり、また足裏にパッド装着による異物感、違和感を覚えるようにもなる。土踏まず平面部4は、その四方から緩やかな傾斜にて僅かに盛り上げられており、その盛り上がり部分は、図3に示すように、パッド1の内側縁10から土踏まず平面部4の内側端11にかけて形成される内側傾斜面16、及びパッド1の外側縁13から土踏まず平面部4の外側端12にかけて形成される外側傾斜面14からなり、また図2に示すように、爪先平面部5の後側縁6から土踏まず平面部4の前側端7にかけて形成される前側傾斜面17、及びパッド1の後側縁9から土踏まず平面部4の後側端8にかけて形成される後側傾斜面15からなる。そして、内側傾斜面16は6°ないし9°の範囲から選択される勾配(α)を有し、後側傾斜面15は7°ないし10°の範囲から選択される勾配(β)を有し、外側傾斜面14は8°ないし11°の範囲から選択される勾配(γ)を有し、前側傾斜面17は7°ないし10°の範囲から選択される勾配(δ)を有する。各傾斜面14ないし17の勾配を定められた上記の範囲よりも小さく傾斜を緩やかなものにすると、人の足の土踏まずに対する支持が弱まることにより、前滑りが起き易くなり、またヒールの高い靴を履いたときに生じる足裏の爪先側にかかる過度の負荷を土踏まずを中心とする足裏全体に分散させるという作用が弱いものとなり、従って足への負担を
軽減するという効果が薄れてしまう。反対に、各傾斜面14ないし17の勾配を定められた上記の範囲よりも大きく傾斜を急なものにすると、土踏まず部の盛り上がりが大きなものになることで、そのような盛り上がりとぴったりと一致する形状の足の人にとっては問題ないが、多くの人にとって自分の足の形状にはうまく合わないものとなるので、歩行時に足形状との不適応による違和感を与え、それだけでなく、足裏に加わる体重の均衡がくずれ、足への負担を増大する原因にもなり得る。
またフットケアパッド1は、その裏面の前端部及び後端部に靴の中底に張り付けるための粘着フィルム3を設けてもよい。粘着フィルム3は、パッド1の裏面の一部ではなく全面に設けられてもよい。
以上のように、本発明の薄型フットケアパッド1は、人の足の土踏まずを支持する部分が緩やかな傾斜とともに僅かに盛り上げられパッド本体の厚さを全体的に薄くすることによって、またパッド1の前部及び中央部に平らな面を設けたことによって、更にパッド1の材料として従来品より柔軟なエラストマーを用いたことにより、多くの人の様々な足の形状にうまく適応し、ヒールの高い靴を装用するときの足への負担を軽減する効果を十分満足なものとすることができる。そして、この効果は、靴のデザインが多様であっても、十分満足に得られる。
以下の例で本発明をより詳細に説明するが、これらの例は本発明をある特定の態様に制限することを意図しない。

以下の例に示される次の物性値は次の方法により求められた。
硬度:平滑な表面を有する厚さ8mmの試験片に対してJIS K6253に準じてタイ
プA又はEデュロメータを用いて硬度(デュロメータA又はE硬さ)を測定した。
透過率:JIS K7105(測定法A)に従い積分球式光線透過率測定装置を用いて平行光線透過率を求めた。

<実施例>
実施例1:
本実施例の薄型フットケアパッド1は、硬度8度の透明なSIS系エラストマーからなり、長さが図1の(II)で表されるA−A’切断線において117mmであり、幅が図1の(III)で表されるB−B’切断線において54mmである大きさのパッドであって、爪先部後端に対応するパッド前部に平坦な爪先平面部5を形成し、かつ土踏まず部付近に対応するパッド中央部に平坦な土踏まず平面部4を形成するとともに、該土踏まず平面部の内側端11からパッドの内側縁10にかけて内側傾斜面16を形成し、また該土踏まず平面部の後側端8からパッドの後側縁9にかけて後側傾斜面15を形成し、また該土踏まず平面部の外側端12からパッドの外側縁13にかけて外側傾斜面14を形成し、更に該土踏まず平面部の前側端7から前記爪先平面部の後側縁6にかけて前側傾斜面17を形成してなり、そして、爪先平面部5の厚さ1mm、土踏まず平面部4の厚さ5mm、内側傾斜面16の勾配(α)8°、後側傾斜面15の勾配(β)10°、外側傾斜面14の勾配(γ)8°、前側傾斜面17の勾配(δ)7°の寸法規格を有するフットケアパッドである。また本実施例の薄型フットケアパッド1は、その裏面の前端部及び後端部に靴の中底に張り付けるための粘着フィルム3が設けられ、更にその表面の前方部には花柄模様2を有するフットケアパッドである。
<比較例>
比較例1:
本例のパッドは、硬度35度の透明なエラストマーからなり爪先平面部の厚さ1mm、土踏まず平面部の厚さ4mm、内側傾斜面の勾配(α)8°、後側傾斜面の勾配(β)10°、外側傾斜面の勾配(γ)8°、前側傾斜面の勾配(δ)6°を有し、前記以外の構
成は実施例1のフットケアパッドと同様な構成を有する。

比較例2:
本例のパッドは、硬度25度の透明なエラストマーからなり爪先平面部の厚さ3mm、土踏まず平面部の厚さ8mm、内側傾斜面の勾配(α)16°、後側傾斜面の勾配(β)15°、外側傾斜面の勾配(γ)17°、前側傾斜面の勾配(δ)16°を有し、前記以外の構成は実施例1のフットケアパッドと同様な構成を有する。

比較例3:
本例のパッドは、硬度25度の透明なエラストマーからなり平らな面は爪先平面部のみであり(つまり土踏まず平面部に相当する部位はなく、土踏まず部は山頂のごとく盛り上がっている)、爪先平面部の厚さ支持部厚さ3mm、土踏まず部の厚さ8mm、内側傾斜面の勾配(α)21°、後側傾斜面の勾配(β)13°、外側傾斜面の勾配(γ)20°、前側傾斜面の勾配(δ)7°を有し、前記以外の構成は実施例1のフットケアパッドと同様な構成を有する。

比較例4:
本例のパッドは、硬度25度の透明なエラストマーからなり爪先平面部の厚さ1mm、土踏まず平面部の厚さ2mm、内側傾斜面の勾配(α)10°、後側傾斜面の勾配(β)10°、外側傾斜面の勾配(γ)8°、前側傾斜面の勾配(δ)6°を有し、前記以外の構成は実施例1のフットケアパッドと同様な構成を有する。

比較例5:
本例のパッドは、ヒトの足裏の足指付け根部分から踵部前方端にわたって土踏まず部を支持するパッドであって、図6の(ii)に示すようにパッド19の土踏まずに対応する部分20は盛り上がるように設けられ、その盛り上がり部分は、パッド前端側及び後端側から中央部に向かって極端な傾斜とともに盛り上げられており、また図6の(iii)に示すように該パッドの幅方向において外側端から内側に向かって右肩上がりの傾斜を有し、かつパッドの前部及び中央部に平らな面を有さない構成からなる。そして、このパッドは硬度20度の透明なエラストマーからなり、土踏まずを支持する部分の厚みが9mmである。

比較例6:
本例のパッドは、ヒトの足裏の土踏まずから足指付け根の全幅にわたって土踏まず部を支持するパッドであって、パッド中央部に急な傾斜によって形成される盛り上がり部を有し、その盛り上がり部が最大の肉厚を有し、その最大肉厚部からその周辺に向かって肉薄となり、パッドの外表面はアーチ形またはウエーブ状の表面であり、ゆえにパッドの前部及び中央部に平らな面を有さない構成からなる。このパッドは、硬度30度のシリコンゴムからなり、最大肉厚部の厚みが8mmである。
<試験例>
試験例1:
実施例1において作成したフットケアパッドを、7人の女性を対象にミュール、サンダル、パンプス等のヒール靴に3日間装着して頂き、その装着感を評価してもらうこととした。
試験例2ないし試験例7:
比較例1ないし比較例6において作成したフットケアパッドを、試験例1と同じ対象者に対し実施例1と同様に靴に3日間装着して頂き、その装着感を評価してもらうことにした。

試験例1ないし7の結果を表1に示す。
Figure 0004973980
注) ○履き心地良好
△足の痛み多少有り
×足の痛み有り
表1に示す結果から明らかなように、試験例1では実施例1に基づき作成された本発明の薄型フットケアパッドを履用した全ての被験者から履き心地良好の評価を得た。一方、試験例2では、短時間の履用では特に問題は無かったものの履用時間が長時間に及ぶと、足の痛みが次第に増すとの評価を受けた。これは、パッドが硬いため、足の形状に柔軟に適応せず、時間とともにその影響が顕著に現れ足の痛みを訴えたものと考えられる。試験例3では、被験者のうち外反母趾の人、甲が高い人が特に足の痛みを訴える結果となった。これはパッド本体が厚くなったことにより、靴の内部空間が狭くなり、靴がきつくなったことが原因で被験者のうち外反母趾の人、甲が高い人に特に大きな影響が現れたものと考えられる。試験例4では、試験例3と同様な評価を得た。これは、急勾配の傾斜とともに土踏まず部が盛り上がっており、その本体も厚いことから靴の内部空間が狭くなり、靴がきつくなったことが原因だと考えられる。試験例5では、ヒールの高い靴に装着した被験者が足の痛みを訴える傾向があった。これはパッドの土踏まず部の厚さを薄くしたことにより、土踏まずに対する支持が弱くなり、特にヒールの高い靴では前滑りが起き易くなり、その結果足の痛みを訴えたものと考えられる。試験例6では、全般に足の痛みを訴える結果となった。パッドの土踏まず部の極端な盛り上がりにより、装着により足裏に異物感、違和感を与えたこと、及びパッド本体が厚いことにより靴がきつくなったことが原因と考えられる。試験例7では、長時間の装着において足の痛み訴える結果となった。シリコンゴムからなるパッドであったため、足裏の形状に柔軟に適応しないだけではなく、パッド土踏まず部の極端な盛り上がりにより足裏に異物感、違和感を与えるためと考えられる。
以上の結果より、比較例のフットケアパッドを靴に装着し履用したとき、各対象者によって訴える足の痛みの程度に違いはみられたものの、多くの場合において、何らかの履き
心地の悪さを与えることが分かった。これに対し、実施例1の薄型フットケアパッド1が、ヒトの足への負担軽減の効果を様々な形状の足に対して、また色々なデザインの靴を履用する場合にもそれぞれ十分満足に発揮することができることが実証された。
本発明の実施例の薄型フットケアパッドを示す図である。(I)は実施例の薄型フットケアパッドの正面図であり、(II)はパッド1のA−A’切断線における端面図であり、及び(III)はB−B’切断線における端面図である。 図1に示す実施例のA−A’切断線における薄型フットケアパッドの端面図であり、内側傾斜面及び外側傾斜面の勾配を示す図である。 図1に示す実施例のB−B’切断線における薄型フットケアパッドの端面図であり、前側傾斜面及び後側傾斜面の勾配を示す図である。 図1の薄型フットケアパッドを示す斜視図である。 図1の薄型フットケアパッドをサンダルに装着したときの使用状態を示した図である。 従来のフットケアパッドを示す図である。(i)は従来のパッドの平面図であり、(ii)は該パッドのa−a’切断線における端面図であり、及び(iii)はb−b’切断線における端面図である。
符号の説明
1 パッド本体
2 絵模様
3 粘着フィルム
4 土踏まず平面部
5 爪先平面部
6 爪先平面部の後側縁
7 土踏まず平面部の前側端
8 土踏まず平面部の後側端
9 パッドの後側縁
10 パッドの内側縁
11 土踏まず平面部の内側端
12 土踏まず平面部の外側端
13 パッドの外側縁
14 外側傾斜面
15 後側傾斜面
16 内側傾斜面
17 前側傾斜面
18 サンダル
19 パッド本体
20 土踏まず対応部
21 パッド前端部
22 パッド後端部
α 内側傾斜面の勾配
β 後側傾斜面の勾配
γ 外側傾斜面の勾配
δ 前側傾斜面の勾配

Claims (2)

  1. ヒトの足裏を爪先部後端付近から土踏まず部を経て踵部前端付近にわたって支持し、良好な履き心地を達成するためのフットケアパッドであって、
    5度以上20度未満の硬度を有する柔軟な透明エラストマーからなり、
    爪先部後端に対応するパッド前部に平坦な爪先平面部を形成し、
    且つ、土踏まず部付近に対応するパッド中央部に平坦な土踏まず平面部を形成するとともに、
    該土踏まず平面部の内側端からパッドの内側縁にかけて内側傾斜面を形成し、
    また該土踏まず平面部の後側端からパッドの後側縁にかけて後側傾斜面を形成し、
    また該土踏まず平面部の外側端からパッドの外側縁にかけて外側傾斜面を形成し、さらに該土踏まず平面分の前側端から前記爪先平面部の後側縁にかけて前側傾斜面を形成してなり、
    そして、前記爪先平面部は1mmないし2mmの最小の高さを有するとともに、前記土踏まず平面部は4mmないし6mmの最大の高さを有し、
    また前記内側傾斜面は6°ないし9°の勾配を有し、前記後側傾斜面は8°ないし11°の勾配を有し、前記外側傾斜面は7°ないし10°の勾配を有し、前記前側傾斜面は7°ないし10°の勾配を有することを特徴とする、薄型フットケアパッド。
  2. パッドの前端部及び後端部の裏面にそれぞれ、靴内面に張り付けるための粘着フィルムを設けたことを特徴とする、請求項1記載のフットケアパッド。
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