本発明に係る1実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は下記の実施形態及び図面によって限定されるものではない。下記の実施形態及び図面に変更(構成要素の削除も含む)を加えることができるのはもちろんである。また、以下の説明では、本発明の理解を容易にするために、重要でない公知の技術的事項の説明を適宜省略する。
まず、本実施形態に係るクロック信号生成装置100の構成を、図1を参照して説明する。
クロック信号生成装置100には、予め決められている複数の目標周波数のうちの1つの目標周波数が設定され、クロック信号生成装置100は、設定された目標周波数のクロック信号を生成して出力するように動作する。
目標周波数の設定は、例えば、クロック信号生成装置100に、予め決められている複数の目標周波数のうちの1つの目標周波数を特定する特定信号(後述の第1信号及び第2信号)が供給されることによって行われる。クロック信号生成装置100は、クロック信号生成装置100に供給された特定信号が特定する目標周波数(クロック信号生成装置100に設定された目標周波数)のクロック信号を生成して出力するように動作する。
クロック信号は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の所定の処理を行う処理装置等の供給先に供給される。目標周波数は、クロック信号生成装置100が生成するクロック信号の周波数として要求される周波数であり、供給先が必要とする周波数である。
供給先は、供給されたクロック信号をそのまま使用するか、このクロック信号の周波数を整数倍し、整数倍した後の信号を使用する。このようにして、供給先は、クロック信号を動作クロック信号として使用する。
クロック信号生成装置100は、クロック信号生成部110と、電圧印加部120と、基準信号生成部130と、第1制御部140と、第2制御部150と、を備える。これら構成要素は、所定の電子回路によって構成される。
クロック信号生成部110には、電圧印加部120によって所定の電圧が印加される。クロック信号生成部110は、印加された電圧に応じた周波数のクロック信号(クロック−パルス)を生成する。クロック信号生成部110は、生成したクロック信号を出力する。クロック信号生成部110は、印加される電圧が大きくなるに従って、生成するクロック信号の周波数を大きくする(比例関係になくてもよい)。なお、下記では、クロック信号生成部110に印加される電圧を、適宜、印加電圧という。
電圧印加部120には、設定可能な複数の制御値のうちの1つの制御値が設定される。設定可能な複数の制御値は、例えば、0〜255(16進数では、0〜FF)である。電圧印加部120は、設定された制御値に応じた電圧をクロック信号生成部110に印加する。電圧印加部120は、設定される制御値が大きくなると、印加電圧を大きくする(比例関係になくてもよい)。制御値が大きくなれば、新たに生成されるクロック信号の周波数も大きくなる。
電圧印加部120は、設定された制御値を保持し、第1制御部140又は第2制御部150からの指示に従って保持している制御値を1ずつ増減させる。この増減によって、印加電圧が増減する。電圧印加部120は、例えば、設定された制御値(デジタル)に応じた電圧(アナログ)を生成するD/A(digital-to-analog)コンバータを含んで構成される。
基準信号生成部130は、基準となる周波数を有する基準クロック信号である基準信号(クロック−パルス)を生成する。基準信号生成部130は、生成した基準信号を出力する。基準信号生成部130は、例えば、水晶振動子と発振回路とを含んで構成される基準クロック発生器によって構成される。基準信号の周波数は、ここでは、32.768KHzであるものとして説明するが、基準信号は、他の周波数の信号であってもよい。
基準信号生成部130は、生成した基準信号を、第2分周器143と周波数比較部144と第2制御部150と電圧印加部120とに供給する。周波数比較部144と第2制御部150と電圧印加部120とは、基準信号に基づいたタイミング(例えば、1又は複数のパルス毎のタイミング)で動作する。基準信号によって、周波数比較部144と第2制御部150と電圧印加部120とは同期する。なお、1のパルス毎のタイミングとは、例えば、1のパルスの立ち上がり毎のタイミングであり、複数のパルス毎のタイミングとは、例えば、複数のパルスの最初の立ち上がり毎のタイミングである。
第1制御部140は、分周値設定部141と、第1分周器142と、第2分周器143と、周波数比較部144と、を備える。
分周値設定部141には、第1特定信号が供給される。この第1特定信号は、例えば、クロック信号の供給先である処理装置から供給される。第1特定信号は、目標周波数を特定する信号である。分周値設定部141は、供給された第1特定信号に応じた分周値を第1分周器142に設定する。
ここでは、分周値設定部141に第1特定信号が供給されることで、この第1特定信号が特定する目標周波数が第1制御部140に設定され、第1制御部140は、設定された目標周波数(供給された第1特定信号が特定する目標周波数)に応じた処理を行う。
第1分周器142には、クロック信号生成部110が出力したクロック信号が供給される。第1分周器142は、供給されたクロック信号を分周値設定部141によって設定された分周値で分周する。この分周によって、クロック信号のパルスがカウントされることになる。分周された分周後のクロック信号は、第1分周器142から周波数比較部144に供給される。
第1分周器142は、例えば、予め決められた複数の分周値の中の1つの分周値でクロック信号を分周する。予め決められた複数の分周値は、目標周波数に応じた複数の分周値(分周値設定部141が設定する複数の分周値)である。分周値設定部141は、第1特定信号に応じた分周値を予め決められた複数の分周値の中から指定する。第1分周器142は、この指定された分周値でクロック信号を分周する。このようにして、分周値設定部141は第1特定信号に応じた分周値を第1分周器142に設定し、第1分周器142は設定された分周値でクロック信号を分周する。
第2分周器143には、基準信号生成部130が出力した基準信号が供給される。第2分周器143は、供給された基準信号を、予め設定された分周値で分周する。この分周によって、基準信号のパルスがカウントされる。分周された分周後のクロック信号は、第2分周器143から周波数比較部144に供給される。
本実施形態では、目標周波数は、10MHz又は50MHzである。この時、第1特定信号は、50MHzを目標周波数と特定する場合にHigh信号になり、10MHzを目標周波数と特定する場合にLow信号になるものとする。
また、本実施形態では、第1分周器142における予め決められた複数の分周値は、312,500と、1,562,500とである。312,500は、目標周波数が10MHzのときの分周値である。1,562,500は、目標周波数が50MHzのときの分周値である。
例えば、第1特定信号としてLow信号が分周値設定部141に供給されるとすると、分周値設定部141は、このLow信号(10MHzを特定する信号)に応じた分周値である312,500を予め決められた複数の分周値(312,500と1,562,500)の中から指定する。この指定によって、312,500という分周値が第1分周器142に設定され、第1分周器142は312,500分周をクロック信号に対して行う。
また、本実施形態では、第2分周器143に設定されている分周値は、1,000である。第2分周器143は、基準信号を1,000分周する。
なお、目標周波数は、前記の周波数に限るものではなく、また、目標周波数は、3つ以上あってもよい。この場合には、第1特定信号も各周波数を特定できる信号になる。また、第1分周器142の分周値及び第2分周器143の分周値も上記に限られるものではない。これらの分周値は、目標周波数を有するクロック信号と基準信号とをそれぞれ各分周値で分周したときに、同じ周期のクロック信号に分周されるような値にする。
周波数比較部144は、第1分周器142と第2分周器143とを制御し、同時に分周を開始させ、どちらが先に分周を終了するか(どちらから先に、分周後のクロック信号における1周期分のクロック信号が供給されるか)を判別する。上記のように、分周値は目標周波数に応じた値であるので、前記の判別によって、周波数比較部144は、クロック信号の周波数と目標周波数とを比較する。そして、周波数比較部144は、この比較の比較結果に応じて電圧印加部120に設定されている制御値を制御する。これによって、周波数比較部144は印加電圧を制御する。
この制御を図2を参照して説明する。
分周値は、上記のように目標周波数に応じた値であるので、例えば、両者について同時に分周し終えれば、クロック信号の周波数は目標周波数になっている。このときは、クロック信号の周波数を変更する必要がないため、周波数比較部144は、電圧印加部120に設定された制御値を変更しない。このため、印加電圧は変化しない。
例えば、第1分周器142の方が早く分周し終われば、クロック信号の周波数は目標周波数よりも高い。このとき、周波数比較部144は、クロック信号の周波数を下げるために、電圧印加部120を制御し、電圧印加部120に設定された制御値を一つ下げる。上述のように、制御値が下がれば、印加電圧が下がり、クロック信号生成部110が新たに生成するクロック信号の周波数が下がる。
例えば、第2分周器143の方が早く分周し終われば、クロック信号の周波数は目標周波数よりも低い。このとき、周波数比較部144は、クロック信号の周波数を上げるために、電圧印加部120を制御し、電圧印加部120に設定された制御値を一つ上げる。上述のように、制御値が上がれば、印加電圧が上がり、クロック信号生成部110が新たに生成するクロック信号の周波数が上がる。
第1制御部140は、上述した、周波数の比較及び印加電圧の制御を繰り返し行う。これによって、クロック信号生成部110によって順次生成されるクロック信号の周波数は、目標周波数に徐々に近づいたり、目標周波数となるように調整されたりする。第1制御部140は、クロック信号の周波数と目標周波数とを比較してから印加電圧の制御を行うので、クロック信号生成部110によって順次生成されるクロック信号の周波数は、目標周波数を大きく上回ったり、下回ったりしない。このため、第1制御部140による印加電圧の制御によって、クロック信号の周波数は、大きくぶれることがなくなる。
第1制御部140とクロック信号生成部110と電圧印加部120とは、例えば、目標周波数と、クロック信号との周波数を一致させるように動作する電子回路であるPLL(Phase Locked Loop)の少なくとも一部によって構成される。クロック信号生成部110は、例えば、VCO(Voltage Controlled Oscillator)によって構成される。これによって、クロック信号生成装置100は、既存のPLL等を利用して容易に構成できる。
第2制御部150には、第2特定信号が供給される。この第2特定信号は、第1特定信号と同じ所から供給される。第2特定信号は、クロック信号の目標周波数を特定する信号である。第1特定信号と第2特定信号とは、ここでは、同じ信号であるが、両者は、同じタイミングでクロック信号の目標周波数を特定する信号であればよい。
ここで、第2制御部150の動作について説明する(図3及び図4も参照)。
第2制御部150は、供給された第2特定信号に基づいて第2特定信号が特定する目標周波数の変更(増加変更又は減少変更)を検出する。なお、後述のように、第2制御部150は、この変更に応じた処理を行う。つまり、第2制御部150に第2特定信号が供給されることで、目標周波数が第2制御部150に設定され、第2制御部150は、第2制御部150に設定される目標周波数(第2制御部150に供給された第2特定信号が特定する目標周波数)の変更に応じた処理を行う。
第2制御部150は、第2特定信号の切り替わり等によって目標周波数の変更を検出する。例えば、第2特定信号がLow信号からHigh信号になったときは、目標周波数が10MHzから50MHzになるため、第2制御部150は目標周波数の増加変更を検出する。例えば、第2特定信号がHigh信号からLow信号になったときは、目標周波数が50MHzから10MHzになるため、第2制御部150は目標周波数の減少変更を検出する。
第2制御部150は、目標周波数の変更を検出すると、周波数比較部144と電圧印加部120とを制御し、第1制御部140の代わりに、電圧印加部120の制御を開始する。例えば、第2制御部150は、周波数比較部144と電圧印加部120とを制御し、周波数比較部144を待機させ、電圧印加部120に第2制御部150からの制御を受け付けさせる。
なお、クロック信号生成装置100が動作を開始するとき(例えば、電源投入時)は、第1制御部140が動作し、電圧印加部120を制御する。また、クロック信号生成装置100が動作を開始するとき、第1特定信号及び第2特定信号が、それぞれ、第1制御部140と第2制御部150とに供給される。
第2制御部150が第1制御部140の代わりに電圧印加部120の制御を開始するとき、第1制御部140は動作してもよいし、少なくとも一部が待機(比較動作の待機)してもよいし、少なくとも一部が動作(比較動作)しなくてもよい。第2制御部150が電圧印加部120を制御するときに、第1制御部140の少なくとも一部が待機するか、動作しないことによって、クロック信号生成装置100の消費電力が軽減される。
第2制御部150は、増加変更を検出した場合、第1期間内において、電圧印加部120(制御値)を制御し、第1時間間隔で、制御値を1ずつ増加させる。これによって、第2制御部150は、印加電圧を第1変化値で順次増加させ、クロック信号生成部110によって生成されるクロック信号の周波数を順次増加させる。これによって、クロック信号生成部110によって順次生成されるクロック信号の周波数は増加変更された目標周波数(ここでは、50MHz)に順次近づく。
第2制御部150は、減少変更を検出した場合、第2期間内において、電圧印加部120(制御値)を制御し、第2時間間隔で、制御値を1ずつ減少させる。これによって、第2制御部150は、印加電圧を第2変化値で順次減少させ、クロック信号生成部110によって生成されるクロック信号の周波数を順次減少させる。これによって、クロック信号生成部110によって順次生成されるクロック信号の周波数は減少変更された目標周波数(ここでは、10MHz)に順次近づく。
第2制御部150は、第1期間又は第2期間の終期が到来すると、周波数比較部144と電圧印加部120とを制御し、第1制御部140に電圧印加部120の制御を再開させる。例えば、第2制御部150は、周波数比較部144に動作を再開させ、第1制御部140に電圧印加部120を制御させる。第1制御部140の電圧印加部120への制御が再開すると、第2制御部150は電圧印加部120の制御を中断する。これによって、第2制御部150が第1期間又は第2期間に電圧印加部120の制御を行った後、今度は第1制御部140が第2制御部150の代わりに電圧印加部120を制御する。
上記のように、目標周波数が変更された場合、第2制御部150が、ある程度強制的に印加電圧を変化させ、順次生成されるクロック信号を目標周波数にある程度近づけた後、第1制御部140が再び電圧印加部120の制御を行うことによって、クロック信号の周波数は、大きくぶれることなく、目標周波数に到達する。
上記のように、第2制御部150には、基準信号生成部130から基準信号が供給される。第2制御部150は、上述のように、例えば、基準信号の1又は複数のパルス毎に、制御値を変化(1ずつ増加又は減少)させる。前記の第1時間間隔及び第2時間間隔は、この1又は複数のパルスの間隔(1のパルス毎の立ち上がりの間隔又は複数個のパルスの最初の立ち上がり毎の間隔)となる。この第1時間間隔及び第2時間間隔は、予め設定される。
また、第1期間及び第2期間は、予め設定される。第1期間及び第2期間は、目標周波数が変更されたことを検出してから制御値を1ずつ減少又は増加させた場合に、クロック信号の周波数が目標周波数に到達する前に終了する期間とするとよい(実験等によって算出できる。)。これによって、制御値を変化させすぎて、クロック信号の周波数が目標周波数を上回る又は下回ることを防止できる。また、この期間は、制御値を1ずつ変化させる回数によって規定できる。つまり、第2制御部150は、所定回数、制御値を変化させることによって、前記の所定の期間の間、制御値を変化させる。
ここでは、第1期間と第2期間とは同じ期間であるとして説明するが、両者は異なる期間であってもよい。また、ここでは、第1時間間隔と第2時間間隔とは同じ時間間隔であるとして説明するが、両者は異なる期間であってもよい。
ここで、第2制御部150が増加変更を検出したときに行う電圧印加部120の制御等を、図3を参照して詳しく説明する。
なお、ここでは、第1特定信号がLow信号からHigh信号に切り替わる前、クロック信号の周波数は、Low信号が特定する10MHz(目標周波数)と同じ又は略同じ(誤差を含む場合、以下略について同じ。)になっており、このときに、電圧印加部120に設定されている制御値は1Aと1Bとの間を変化しているものとする。制御値が変化するのは、誤差等の理由による。また、この制御値は、第1制御部140によって制御されている。なお、第1特定信号がLow信号からHigh信号に切り替わる直前の制御値は、1Bであるとする。また、第1期間は、制御値を207回変化させる期間とする。
さらに、第1特定信号がHigh信号になって、クロック信号の周波数が50MHz(目標周波数)になる(又は略50MHzになる)ときの制御値は、F0であるとする。なお、この制御値は、実際には誤差等もあり、例えば、F0とF1との間を変化する場合もあるが、ここでは、F0であるとする。
第2制御部150は、増加変更を検出した後、第1時間間隔(基準信号のパルス)毎に制御値を207回、1ずつ増加させる。これによって、制御値は、1Bから、1C、D・・・E9、EAと増加する。このような増加によって、クロック信号生成部110によって順次生成されるクロック信号の周波数は、徐々に増加し、目標周波数である50MHzに近づく。
第1期間の終期が到来すると(制御値が207回変化すると)、電圧印加部120は第2制御部150の代わりに第1制御部140によって再び制御される。そして、第1制御部140による制御によって、制御値はEAから1ずつ変化しF0となる。これによって、クロック信号の周波数は、目標周波数である50MHzになる(又は略50MHzになる)。このように、第1制御部140が再び電圧印加部120を制御することによって、クロック信号生成部110によって順次生成されるクロック信号の周波数は、大きくぶれることなく、目標周波数に到達する。
次に、第2制御部150が減少変更を検出したときに行う電圧印加部120の制御等を、図4を参照して詳しく説明する。
なお、ここでは、第1特定信号がHigh信号からLow信号に切り替わる前、クロック信号の周波数は、High信号が特定する50MHz(目標周波数)と同じ又は略同じになっており、このときに、電圧印加部120に設定されている制御値はEFとF0との間を変化しているものとする。制御値が変化するのは、誤差等の理由による。また、この制御値は、第1制御部140によって制御されている。なお、第1特定信号がHigh信号からLow信号に切り替わる直前の制御値は、F0であるとする。また、第2期間は、制御値を207回変化させる期間とする。
さらに、第1特定信号がLow信号になって、クロック信号の周波数が10MHz(目標周波数)になる(又は略10MHzになる)ときの制御値は、1Bであるとする。なお、この制御値は、実際には誤差等もあり、例えば、1Bと1Aとの間を変化する場合もあるが、ここでは、1Bであるとする。
第2制御部150は、減少変更を検出した後、第2時間間隔(基準信号のパルス)毎に制御値を207回、1ずつ減少させる。これによって、制御値は、F0から、F1、F2・・・22、21と減少する。このような減少によって、クロック信号生成部110によって順次生成されるクロック信号の周波数は、徐々に減少し、目標周波数である10MHzに近づく。
第2期間の終期が到来すると(制御値が207回変化すると)、電圧印加部120は第2制御部150の代わりに第1制御部140によって再び制御される。そして、第1制御部140による制御によって、制御値は21から1ずつ変化し1Bとなる。これによって、クロック信号の周波数は、目標周波数である10MHzになる(又は略10MHzになる)。このように、第1制御部140が再び電圧印加部120を制御することによって、クロック信号生成部110によって順次生成されるクロック信号の周波数は、大きくぶれることなく、目標周波数に到達する。
次に、クロック信号生成装置100の動作の詳細を説明する。なお、下記の動作は、電源のオフ等によって適宜終了する。
まず、図5を参照して、周波数比較部144の動作を説明する。上述のように、周波数比較部144には基準信号生成部130から基準信号が供給される。また、周波数比較部144の動作は、クロック信号生成装置100が動作を開始するときに、例えばステップS102から始まる。
周波数比較部144は、比較イネーブルについて判別する(ステップS101)。例えば、周波数比較部144に、この比較に関しての設定値(以下、比較設定値という。)として「1」が設定されていれば、ここでの判別はYESとする(ステップS101;YES)。例えば、周波数比較部144に、比較設定値として「0」が設定されていれば、ここでの判別はNOとする(ステップS101;NO)。
上記のように、第2制御部150が目標周波数の変更を検知すると、第2制御部150は、周波数比較部144に比較設定値として「0」を設定し、周波数比較部144を待機させる。これによって、第2制御部150は、周波数比較部144の代わりに印加電圧の制御を行うことになる。周波数比較部144には、通常、比較設定値として「1」が設定されており、第1制御部140が電圧印加部120を制御する。
周波数比較部144は、ステップS101の処理での判別でNOと判定した場合(ステップS101;NO)、基準信号の次のパルスが周波数比較部144に供給されるまで待機し(ステップS102)、次のパルスが供給されたらステップS101の処理を再度行う。なお、次のパルスが供給されるまでとは、例えば、次のパルスの立ち上がりがあるまで、をいう(以下、基準信号のパルスの供給について同じ。)。ステップS101;NOの処理及びステップS102の処理の繰り返しによって、周波数比較部144は、比較設定値として「0」が設定されている限り(「1」が設定されるまで)、待機する。なお、周波数比較部144は、ステップS101の処理での判別でNOと判別した場合に、第1分周器142と第2分周器143とのいずれか少なくとも一方が分周中であった場合には、これらを制御して分周を中止させる。
周波数比較部144は、ステップS101の処理での判別でYESと判定した場合(ステップS101;YES)、第1分周器142又は第2分周器143が分周中であるかを判別する(ステップS103)。例えば、周波数比較部144は、ステップS104の処理で分周を開始させた後、ステップS105、ステップS106でNOと判別したときに(このときは分周が終了していない。)、第1分周器142又は第2分周器143が分周中であると判別する(ステップS103;YES)。周波数比較部144は、第1分周器142及び第2分周器143を制御するとともに、分周の終わりを比較するので、第1分周器142又は第2分周器143が分周中であるかを判別できる。
周波数比較部144は、第1分周器142又は第2分周器143が分周中でないと判別すると(ステップS103;NO)、基準信号の次のパルスが基準信号生成部130から周波数比較部144に供給されたタイミングで、第1分周器142と第2分周器143とを制御し、両者に分周を同時に開始させ(ステップS104)、ステップS105の処理を行う。
周波数比較部144は、第1分周器142又は第2分周器143が分周中であると判別すると(ステップS103;YES)、ステップS105の処理を行う。
周波数比較部144は、ステップS105の処理において、第2分周器143の分周が終了したかを判別する。この判別は、例えば、第2分周器143から1周期分のクロック信号(分周後の信号である。)が供給されたか(例えば、次のパルスの立ち上がりがあったか)によって行う。周波数比較部144は、例えば、1周期分のクロック信号が供給された場合に、第2分周器143の分周が終了していると判別し(ステップS105;YES)、1周期分のクロック信号が供給されない場合に、第2分周器143の分周が終了していないと判別する(ステップS105;NO)。
周波数比較部144は、第2分周器143の分周の分周が終了していないと判別すると(ステップS105;NO)、第1分周器142の分周が終了しているかを判別する(ステップS106)。この判別は、第2分周器143のときと同様、例えば、第1分周器142から1周期分のクロック信号(分周後の信号である。)が供給されたか(例えば、次のパルスの立ち上がりがあるか)によって行う。周波数比較部144は、例えば、1周期分のクロック信号が供給された場合に、第1分周器142の分周が終了していると判別し(ステップS106;YES)、1周期分のクロック信号が供給されない場合に、第1分周器142の分周が終了していないと判別する(ステップS106;NO)。
周波数比較部144は、第1分周器142の分周が終了していないと判別すると(ステップS106;NO)、ステップS102の処理に戻る。第1分周器142の分周の分周が終了していないと判別する場合、第1分周器142及び第2分周器143による分周開始後(ステップS104)、第1分周器142及び第2分周器143いずれも分周が終了していないことになる。このため、周波数比較部144は、分周開始後、第1分周器142と第2分周器143とのうちの少なくとも一方の分周が終了するか、比較設定値が変更されるまで、ステップS102、ステップS101、ステップS103;YES、ステップS105;NO、ステップS106;NOの処理を繰り返す。
一方、周波数比較部144は、第1分周器142の分周が終了したと判別すると(ステップS106;YES)、基準信号の次のパルスが基準信号生成部130から周波数比較部144に供給されたタイミングで、制御値を1下げる指示を電圧印加部120に出し、電圧印加部120に設定されている制御値を1下げる(ステップS107)。これによって、印加電圧を下げる。第2分周器143の分周が終了せずに(ステップS105;NO)、第1分周器142の分周が終了した場合(ステップS106;YES)、クロック信号の分周が基準信号の分周よりも早く終わったことになる。この場合、上述のように、クロック信号の周波数が目標周波数よりも高い。このため、周波数比較部144は、クロック信号の周波数を下げるために、制御値を1下げる。
また、周波数比較部144は、第2分周器143の分周の分周が終了していると判別すると(ステップS105;YES)、第1分周器142の分周が終了しているかを判別する(ステップS108)。この判別の説明は、ステップS106における説明と同じである。
周波数比較部144は、第1分周器142の分周が終了したと判別すると(ステップS108;YES)、ステップS102の処理を行う。第2分周器143の分周が終了し(ステップS105;YES)、第1分周器142の分周が終了していれば(ステップS108;YES)、クロック信号の分周と基準信号の分周とが同時に終了したことになる。この場合には、クロック信号の周波数が目標周波数と同じ又は略同じになっているので、周波数比較部144は、印加電圧を変更する必要がないので、比較設定値がそのままである限り、ステップS103、ステップS104、ステップS105等の処理を行い、分周を開始し、目標周波数とクロック信号の周波数とを再度比較する。
一方、周波数比較部144は、第1分周器142の分周が終了していないと判別すると(ステップS108;NO)、基準信号の次のパルスが基準信号生成部130から周波数比較部144に供給されたタイミングで、制御値を1上げる指示を電圧印加部120に出し、電圧印加部120に設定されている制御値を1上げる。これによって、印加電圧を上げる。第2分周器143の分周が終了し(ステップS105;YES)、第1分周器142の分周が終了していない場合(ステップS108;NO)、基準信号の分周がクロック信号の分周よりも早く終わったことになる。この場合、上述のように、クロック信号の周波数が目標周波数よりも低い。このため、周波数比較部144は、クロック信号の周波数を上げるために、制御値を1上げる。
以上のようにして、周波数比較部144は、比較設定値として「1」が設定されているときに、順次、目標周波数とクロック信号の周波数とを比較し、比較結果に応じて印加電圧を制御する。これによって、順次生成されるクロック信号の周波数が目標周波数と同じ又は略同じになるように調整される。なお、上記での、第1分周器142と第2分周器143とは、それぞれ、第1分周器142と第2分周器143とに設定されている各分周値で分周を行う。
次に、図6を参照して、第2制御部150の動作を説明する。クロック信号生成装置100が動作を開始するとともに、第2制御部150は下記の処理を開始する。上述のように、第2制御部150には基準信号生成部130から基準信号が供給される。
第2制御部150は、まず、第2制御部150に供給される第2特定信号がHigh信号であるかを判別する(ステップS201)。第2特定信号がHigh信号でなければ(ステップS201;NO)、第2制御部150はステップS202の処理を行う。第2特定信号がHigh信号であれば(ステップS201;YES)、第2制御部150はステップS209の処理を行う。このように、第2制御部150は、クロック信号生成装置100が動作を開始すると、第2特定信号によって特定される目標周波数に応じて動作する。
第2制御部150は、ステップS202において、基準信号の次のパルスが第2制御部150に供給されるまで待機し、次のパルスが供給されたらステップS203の処理を行う。なお、このときの周波数比較部144に設定される比較設定値が1となっており、また、第2特定信号がHigh信号であり、第1特定信号もHigh信号であるので、第1分周器142に設定された分周値は、1,562,500になっている。
第2制御部150は、ステップS203において周波数を順次減少させる処理を開始するかを判別する。第2制御部150は、減少変更を検出しなければ、減少させる処理をまだ開始しないと判別し(ステップS203;NO)、ステップS202で待機し、再度ステップS203の判別処理を行う。これによって、第2制御部150は、ステップS203で第2制御部150が減少させる処理を開始すると判別する(ステップS203;YES)まで、待機する。第2制御部150が待機中、第1制御部140が印加電圧(つまり、クロック信号の周波数)の制御を行う。この制御の内容については上記参照。第1分周器142の分周値は1,562,500である。
第2制御部150は、減少変更を検出することによって、減少させる処理を開始すると判別すると(ステップS203;YES)、基準信号の次のパルスが基準信号生成部130から周波数比較部144に供給されたタイミングで、周波数比較部144に比較設定値として「0」を設定し(なお、後述のように、電圧印加部120にも比較設定値として「0」を設定する。)、周波数比較部144を待機させるとともに、制御値を1下げる指示を電圧印加部120に出し、電圧印加部120に設定されている制御値を1下げる(ステップS204)。これによって、クロック信号生成部110が新たに生成するクロック信号の周波数が下がる。このようにして、第2制御部150は、減少変更を検出すると、第1制御部140の代わりに電圧印加部120を制御して、クロック信号の周波数を下げる。
第2制御値は、ステップS204の処理の後、基準信号の次のパルスが第2制御部150に供給されるまで待機し(ステップS205)、次のパルスが供給されたらステップS206の処理を行う。なお、このとき、制御値は変化せずに、電圧印加部120に保持される。
第2制御部150は、ステップS206において、待機を終了するかを判別する。第2制御部150は、例えば、ステップS205の処理を所定回数繰り返した場合に待機を終了すると判別する(ステップS206;YES)。第2制御部150は、例えば、ステップS205の処理の繰り返しが所定回数未満の場合に待機を終了しないと判別する(ステップS206;NO)。
第2制御部150は、待機を終了しないと判別すると(ステップS206;NO)、ステップS205の処理を再び行う。このように、第2制御部150は、所定数のパルスが供給されるまで、待機する。このような待機によって、クロック信号の周波数を下げる時間間隔を十分に取ることができ、クロック信号の周波数が順次変化した場合に周波数の変化が早すぎてクロック信号の供給先がクロック信号の周波数の変化に追いつけなくなるといったことが防止又は軽減される。なお、基準信号の1パルス毎にクロック信号の周波数が順次下げられても供給先がこの周波数の変化に対応できるのであれば、ステップS205及びステップS206の処理は省略してもよい。この場合には、クロック信号の周波数を目標周波数に素早く近づけることができる。
第2制御部150は、待機を終了すると判別すると(ステップS206;YES)、第2期間が終了したかを判別する(ステップS207)。第2期間は、上記のように、減少変更が検出されてからの予め定められた期間であり、制御値を1下げる回数によって規定することができる。第2制御部150は、例えば、ステップS204の処理を所定回数(207回)繰り返し行った場合に第2期間が終了したと判別し(ステップS207;YES)、ステップS207の処理回数が所定回数未満であれば第2期間が終了していないと判別する(ステップS207;NO)。
第2制御部150は、第2期間が終了していないと判別すると(ステップS207;NO)、ステップS204の処理を再び行う。このようにして、第2制御部150は、第2期間の間、所定の時間間隔で、クロック信号の周波数を所定の変化値で下げる。
第2制御部150は、第2期間が終了したと判別すると(ステップS207;YES)、周波数比較部144(及び電圧印加部120)に、比較設定値として「1」を設定する(ステップS208)。これによって、第2制御部150は、第2期間の経過後、第1制御部140に印加電圧の制御を行わせる。第2制御部150は、ステップS208の処理の後に、ステップS209の処理を行う。
第2制御部150は、ステップS209において、基準信号の次のパルスが第2制御部150に供給されるまで待機し、次のパルスが供給されたらステップS210の処理を行う。なお、このときの周波数比較部144に設定される比較設定値が1となっており、また、第2特定信号がLow信号であり、第1特定信号もLow信号であるので、第1分周器142に設定された分周値は、312,500になっている。
第2制御部150は、ステップS210において周波数を順次増加させる処理を開始するかを判別する。第2制御部150は、増加変更を検出しなければ、増加させる処理をまだ開始しないと判別し(ステップS210;NO)、ステップS209で待機し、再度ステップS210の判別処理を行う。これによって、第2制御部150は、ステップS210で第2制御部150が減少させる処理を開始すると判別する(ステップS210;YES)まで、待機する。第2制御部150が待機中、第1制御部140が印加電圧(つまり、クロック信号の周波数)の制御を行う。この制御の内容については上記参照。第1分周器142の分周値は312,500である。
第2制御部150は、増加変更を検出することによって、増加させる処理を開始すると判別すると(ステップS210;YES)、基準信号の次のパルスが基準信号生成部130から周波数比較部144に供給されたタイミングで、周波数比較部144に比較設定値として「0」を設定し(なお、後述のように、電圧印加部120にも比較設定値として「0」を設定する。)、周波数比較部144を待機させるとともに、制御値を1上げる指示を電圧印加部120に出し、電圧印加部120に設定されている制御値を1上げる(ステップS211)。これによって、クロック信号生成部110が新たに生成するクロック信号の周波数が上がる。このようにして、第2制御部150は、増加変更を検出すると、第1制御部140の代わりに電圧印加部120を制御して、クロック信号の周波数を上げる。
第2制御値は、ステップS211の処理の後、基準信号の次のパルスが第2制御部150に供給されるまで待機し(ステップS212)、次のパルスが供給されたらステップS213の処理を行う。なお、このとき、制御値は変化せずに、電圧印加部120に保持される。
第2制御部150は、ステップS213において、待機を終了するかを判別する。第2制御部150は、例えば、ステップS212の処理を所定回数繰り返した場合に待機を終了すると判別する(ステップS213;YES)。第2制御部150は、例えば、ステップS212の処理の繰り返しが所定回数未満の場合に待機を終了しないと判別する(ステップS213;NO)。
第2制御部150は、待機を終了しないと判別すると(ステップS213;NO)、ステップS212の処理を再び行う。このように、第2制御部150は、所定数のパルスが供給されるまで、待機する。このような待機によって、クロック信号の周波数を下げる時間間隔を十分に取ることが出来、クロック信号の周波数が順次変化した場合に周波数の変化が早すぎてクロック信号の供給先がクロック信号の周波数の変化に追いつけなくなるといったことが防止又は軽減される。なお、基準信号の1パルス毎にクロック信号の周波数が順次上げられても供給先がこの周波数の変化に対応できるのであれば、ステップS212及びステップS213の処理は省略してもよい。この場合には、クロック信号の周波数を目標周波数に素早く近づけることができる。
第2制御部150は、待機を終了すると判別すると(ステップS213;YES)、第1期間が終了したかを判別する(ステップS214)。第1期間は、上記のように、増加変更が検出されてからの予め定められた期間であり、制御値の1上げる回数によって規定することができる。第2制御部150は、例えば、ステップS211の処理を所定回数(207回)繰り返し行った場合に第1期間が終了したと判別し(ステップS214;YES)、ステップS207の処理回数が所定回数未満であれば第1期間が終了していないと判別する(ステップS214;NO)。
第2制御部150は、第1期間が終了していないと判別すると(ステップS214;NO)、ステップS211の処理を再び行う。このようにして、第2制御部150は、第1期間の間、所定の時間間隔で、クロック信号の周波数を所定の変化値で下げる。
第2制御部150は、第1期間が終了したと判別すると(ステップS214;YES)、周波数比較部144(及び電圧印加部120)に、比較設定値として「1」を設定する(ステップS208)。これによって、第2制御部150は、第1期間の経過後、第1制御部140に印加電圧の制御を行わせる。第2制御部150は、ステップS215の処理の後に、ステップS202の処理を行う。
次に、図7を参照して、電圧印加部120の動作を説明する。信号生成装置が動作を開始するとともに、電圧印加部120は下記の動作を開始する。上述のように、第2制御部150には基準信号生成部130から基準信号が供給される。また、電圧印加部120の動作は、クロック信号生成装置100が動作を開始するときに、例えばステップS301から始まる。
電圧印加部120は、比較イネーブルについて判別する(ステップS301)。例えば、電圧印加部120に、比較設定値として「1」が設定されていれば、ここでの判別はYESとする(ステップS301;YES)。例えば、電圧印加部120に、比較設定値として「0」が設定されていれば、ここでの判別はNOとする(ステップS301;NO)。
電圧印加部120は、比較イネーブルについてYESと判別した場合(ステップS301;YES)、つまり、比較設定値として「1」が設定されている場合には、周波数比較部144に制御される。そして、この場合、周波数比較部144から制御値を1下げる指示(印加電圧を下げる指示)があるかを判別する(ステップS302)。
電圧印加部120は、周波数比較部144から制御値を1下げる指示があった場合(ステップS302;YES)、ステップS303の処理を行う。
電圧印加部120は、ステップS303の処理において、基準信号の次のパルスが供給されるタイミングで、制御値を1下げ、クロック信号生成部110に印加する電圧を下げる。これによって、新たに生成されるクロック信号の周波数が下がる。電圧印加部120は、この後に、ステップS301の処理を行う。
電圧印加部120は、周波数比較部144から制御値を1下げる指示がない場合(ステップS302;NO)、周波数比較部144から制御値を1上げる指示(印加電圧を上げる指示)があるかを判別する(ステップS304)。
電圧印加部120は、周波数比較部144から制御値を1上げる指示があった場合(ステップS304;YES)、ステップS305の処理を行う。
電圧印加部120は、ステップS305の処理において、基準信号の次のパルスが供給されるタイミングで、制御値を1上げ、クロック信号生成部110に印加する電圧を上げる。これによって、新たに生成されるクロック信号の周波数が上がる。電圧印加部120は、この後に、ステップS301の処理を行う。
電圧印加部120は、周波数比較部144から制御値を1上げる指示がなかった場合(ステップS304;NO)、ステップS306の処理を行う。このときは、制御値を変化させる指示が周波数比較部144から来ていない。
電圧印加部120は、ステップS306の処理において、基準信号の次のパルスが電圧印加部120に供給されるまで待機し、次のパルスが供給されたらステップS301の処理を再度行う。
電圧印加部120は、比較イネーブルについてNOと判別した場合(ステップS301;NO)、つまり、比較設定値として「0」が設定されている場合には、第2制御部150に制御される。そして、この場合、第2制御部150から制御値を1下げる指示(印加電圧を下げる指示)があるかを判別する(ステップS307)。
電圧印加部120は、第2制御部150から制御値を1下げる指示があった場合(ステップS307;YES)、ステップS303の処理を行う。
電圧印加部120は、第2制御部150から制御値を1下げる指示がない場合(ステップS307;NO)、第2制御部150から制御値を1上げる指示(印加電圧を上げる指示)があるかを判別する(ステップS308)。
電圧印加部120は、第2制御部150から制御値を1上げる指示があった場合(ステップS308;YES)、ステップS305の処理を行う。
電圧印加部120は、第2制御部150から制御値を1上げる指示がなかった場合(ステップS308;NO)、ステップS309の処理を行う。このときは、制御値を変化させる指示が第2制御部150から来ていない。
電圧印加部120は、ステップS309の処理において、基準信号の次のパルスが電圧印加部120に供給されるまで待機し、次のパルスが供給されたらステップS301の処理を再度行う。
このように、電圧印加部120は、周波数比較部144(第1制御部140)と第2制御部150とによって制御され、クロック信号の周波数を適宜増減させる。
以上のように、本実施形態に係るクロック信号生成装置100は、目標周波数が設定される(本実施形態では第1特定信号及び第2特定信号が供給される)。
また、本実施形態に係るクロック信号生成装置100は、電圧が順次印加されるとともに、順次印加される電圧に応じた周波数を有するクロック信号を順次生成するクロック信号生成部110を備える。
また、本実施形態に係るクロック信号生成装置100は、目標周波数とクロック信号生成部110が生成したクロック信号の周波数とを比較し、比較した結果(比較結果)に基づいて、クロック信号生成手段が新たに生成するクロック信号の周波数が目標周波数となるように印加電圧を制御する第1制御部140を備える。
また、本実施形態に係るクロック信号生成装置100は、目標周波数が変更されると、第1制御部140の代わりに、予め設定されている期間(ここでは、第1期間又は第2期間)内に予め設定されている間隔(ここでは、基準信号の周波数に応じた期間)かつ予め設定されている変更値(ここでは、制御値の変化に応じた印加電圧の変更値。なお、この変更値は印加電圧を順次一定に変化させていくものでなくてもよい。)で、印加電圧を順次変更し、クロック信号生成部110が新たに生成するクロック信号の周波数を目標周波数に近づかせる第2制御部150を備える。
以上の構成によって、本実施形態に係るクロック信号生成装置100は、目標周波数が変更されたときに、第2制御部150が強制的にクロック信号の周波数を変化させるので、クロック信号の周波数を目標周波数に強制的に近づかせることができ、クロック信号の周波数を変更後の目標周波数に近づかせる期間が短い。
仮に、このような処理を第1制御部140が行うとすると、クロック信号の周波数と目標周波数との比較を行ってから印加電圧を制御するので、前記の比較分余計に時間がかかってしまう。例えば、第2制御部150が、上記のように、基準信号の1周期毎に制御値を207変化させることによって、印加電圧を変更してクロック信号の周波数を変化させる場合の所要時間は、1/32.768KHz×207=6.3msになる。このような処理を第1制御部140が行うと、制御値を1変化させる毎に、目標周波数とクロック信号の周波数とを比較する必要があり、つまり、基準信号を1000分周する必要あるため、その所要時間は、1/32.768KHz×1000×207=6.3sになる。
このように、本実施形態に係るクロック信号生成装置100によれば、短時間でクロック信号の周波数を変更後の目標周波数に近づかせることができる。
また、予め設定された条件で印加電圧を順次変更するので、クロック信号の周波数が急激に変化することを防止又は軽減でき、クロック信号の供給先の動作が不安定になることを防ぐことができる。
以上のように、本実施形態に係るクロック信号生成装置100によれば、所定のクロック信号の周波数を短時間で変更でき、クロック信号の周波数の変更時にクロック信号の供給先の動作が不安定(停止も含む)になることが防止又は軽減される。また、本実施形態に係るクロック信号生成装置100によれば、供給先の動作の停止が無くなるか少なくなり、供給先のリセット等をしなくてよいか、回数が少なくてすむ。
なお、第2制御部150の動作タイミングは、基準信号に依存するが、上記のように、本実施形態に係るクロック信号生成装置100によれば、クロック信号の周波数を変更後の目標周波数に近づけることを短時間で出来るため、基準信号の周波数を低くできる。このため、基準信号として周波数の低い信号を使用できる。このため、基準信号生成部130の消費電力を低く抑えることができる。基準信号生成部130は、生成する基準信号の周波数が高くなれば消費電力が増える。
また、第1制御部140は、第2制御部150が予め設定された期間内に印加電圧を順次変更する処理を行った後に、変更後の目標周波数を用いて印加電圧の制御をさらに行うので、順次生成されるクロック信号の周波数が目標周波数に近づいたあとに、クロック信号の周波数が大きくぶれることがなくなる。第1制御部140は、クロック信号の周波数と目標周波数とを比較して、クロック信号の周波数を制御するからである。
本実施形態に係るクロック信号生成装置100は、例えば、この装置が生成したクロック信号が供給され、供給されたクロック信号を動作クロック信号として使用する処理装置とともに、電子装置を構成する。電子装置は、例えば、コンピュータ等の制御部、各種コンピュータ、各種プリンタ900(印刷装置)である。
電子装置の一例として、図8にプリンタ900の構成を示す。
プリンタ900は、例えば、クロック信号生成装置100と、CPU901と、メモリ902と、データ転送制御部904と、印刷装置エンジン905と、オペレーションパネル903と、受信部906と、を備え、LAN907(Local Area Network)に接続されている。
CPU901は、プリンタ900の各構成要素を制御する。CPU901は、メモリ902内のプログラムの指示に基づいて動作する。
メモリ902には、前記のプログラム、印刷データ等の各種データが保存される。
データ転送制御部904は、印刷開始を契機に、CPU901に印刷データの一部(例えば、画像における画素一列分のデータ)を順次要求する。CPU901は、この要求に従って、メモリ902から印刷データの一部を読み出し、データ転送制御部904に供給する。データ転送制御部904は、印刷データの一部を所定の制御信号に順次変換し、印刷エンジン905に順次供給する。
印刷エンジン905は、各種プリンタヘッド、印刷ドラム等を備え、データ転送制御部904から供給された制御信号に基づいて、前記印刷データが表す画像を用紙等に印刷する。
オペレーションパネル903は、操作画面を表示するとともに、ユーザからの操作を受け付け、受け付けた操作に応じた操作信号をCPU901に供給する。CPU901は、供給された操作信号に応じて所定の処理を行う。
LAN907からは、所定の印刷データが供給される。LAN907から供給される印刷データは、受信部906を介してプリンタ900に供給され、CPU901がメモリ902に格納する。
クロック信号生成装置100は、クロック信号を生成し、生成したクロック信号をCPU901に供給する。CPU901は、このクロック信号を動作クロックとして使用する。CPU901は、目標周波数を特定する第1特定信号及び第2特定信号をクロック信号生成装置100に供給する。クロック信号生成装置100に第1特定信号及び第2特定信号が供給されることで、クロック信号生成装置100に目標周波数が設定される。クロック信号生成装置100は、設定された目標周波数のクロック信号を生成して出力するように動作する。このようにして、CPU901は、クロック信号の周波数を指定する。
印刷等が行われていないとき、プリンタ900はスリープ状態(印刷待機状態)にある。このとき、CPU901は、データ転送制御部904等の動作を停止し、プリンタ900の消費電力を軽減する。このときのCPU901の動作クロックの周波数は高くなくてもよいので、CPU901は、低い目標周波数(例えば、上記では10MHz)をクロック信号生成装置100に要求する。つまり、CPU901は、10MHzを特定する第1特定信号及び第2特定信号をクロック信号生成装置100に供給する。これによって、クロック信号生成装置100は、10MHzのクロック信号を生成して出力するように動作する。
なお、プリンタ900がスリープ状態にあるとき、CPU901は、例えば、オペレーションパネル903への操作又は受信部906を介してLAN907から供給される印刷データを常に受け付ける。
オペレーションパネル903が操作されるか、LAN907から印刷データが供給されると、プリンタ900は動作状態になり、印刷を開始する。このとき、CPU901は、データ転送制御部904等を動作させるので、動作クロックの周波数は高い必要があり、CPU901は、高い目標周波数(例えば、上記では50MHz)をクロック信号生成装置100に要求する。つまり、CPU901は、50MHzを特定する第1特定信号及び第2特定信号をクロック信号生成装置100に供給する。これによって、クロック信号生成装置100は、50MHzのクロック信号を生成して出力するように動作する。
プリンタ900は動作状態になると、CPU901はデータ転送制御部904に印刷開始を指示し、データ転送制御部904はこの印刷開始を契機にCPU901に印刷データの一部を順次要求する。これによって、印刷が開始される。
ここで、プリンタ900におけるスリープ状態から動作状態への移行は、短時間行われることが望ましい。さらに、CPU901等の動作が不安定(停止等も含む。)になることは当然避けたい。印刷において、CPU901が不安定になると、再起動等の必要性が生じる。この再起動によって印刷時の印刷データの取りこぼし等が発生し、印刷がうまくいかない場合がある。
プリンタ900に本実施形態におけるクロック信号生成装置100を使用することで、上述のように、このクロック信号生成装置100は目標周波数が変更されたときに、CPU901等の動作を不安定にせずに、又は不安定になることを少なくし、かつ、短時間でクロック信号の周波数を目標周波数にする又は近づけることができる。このため、このプリンタ900によれば、印刷時の印刷データの取りこぼし等の発生が防止又は軽減される。また、短時間でクロック信号の周波数を目標周波数にする又は近づけることができるため、CPU901はスリープ状態のときに、低い周波数のクロック信号で動作しても、すぐに、動作状態に復帰できる。このため、スリープ状態のときのクロック信号の目標周波数として、低い周波数を採用でき、これによって、スリープ状態におけるプリンタ900の消費電力をより低減できる。
なお、本実施形態におけるクロック信号生成装置100は、プリンタ900に限らず、動作状態、待機状態等の異なる状態を持つことが出来るコンピュータ等の電子装置に用いられる。本実施形態におけるクロック信号生成装置100を採用した電子装置によれば、上記と同様の効果(データの取りこぼし、CPU901等が不安定になることの解消又は軽減、動作状態等への素早い復帰、消費電力の低減等)が得られる。
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく様々な変形が可能である。その例を下記に例示する。下記の変形を行っても適宜上記で説明した効果が得られる。
(1)クロック信号生成部110は、印加される電圧が小さくなるに従って、生成するクロック信号の周波数を大きくするものであってもよい。この場合、印加される電圧の増減の扱いが逆になる。
(2)電圧印加部120は、設定される制御値が大きくなると、クロック信号生成部110に印加する電圧を小さくしてもよい。この場合、制御値と印加する電圧との扱いが逆になる。
(3)上記実施形態では、第1制御部140は電圧印加部120を介してクロック信号生成部110に印加される電圧を制御しているが、第1制御部140はクロック信号生成部110に印加される電圧を直接制御してもよい。
(4)上記実施形態では、第2制御部150は電圧印加部120を介してクロック信号生成部110に印加される電圧を制御しているが、第2制御部150はクロック信号生成部110に印加される電圧を直接制御してもよい。
(5)第2制御部150は、制御値を1ずつ変化させているが、制御値を2以上の値(制御値が取り得る最小単位の値よりも大きい値)で変化させてもよい(図9参照)。これによって、第2制御部150は、より早く、クロック信号の周波数を目標周波数に近づけることができる。但し、制御値の変化値を大きくとると、クロック信号の周波数の変化も大きくなるが、周波数の変化が大きくなると、クロック信号の供給先に悪影響を及ぼす場合がある。このため、制御値を2以上の値で変化させる場合に制御値をどの値で変化させるかは、クロック信号の供給先によって決定する。
(6)第1制御部140が行う目標周波数とクロック信号生成部110が生成したクロック信号の周波数とを比較する方法等は、他の方法によってもよい。
(7)第2制御部150が、目標周波数が変更されると、第1制御部140の代わりに、予め設定されている期間内に予め設定されている間隔かつ予め設定されている変更値で、印加電圧を順次変更する方法等は、他の方法によってもよい。