JP4973269B2 - 活物質の処理方法及び処理済活物質を含むペーストの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、活物質を処理して得られる処理済活物質と、活物質の処理方法に関する。特に、二次電池に使用される処理済活物質と、その処理方法に関する。本発明は、処理済活物質を含むペーストと、その製造方法にも関する。
活物質と水と有機系分子鎖とを混練して活物質スラリーを調整し、得られた活物質スラリーを集電体の表面に塗布することによって電池用電極を製造する技術がある。
特許文献1では、負極活物質と水と有機系分子鎖(特許文献1では、増粘効果を有する有機物と称している)とを混練して活物質スラリーを調整する。粒ゲージ法を利用してその活物質スラリーの粒子径を計測したときに、最大分散粒子径が50μm以下になる活物質スラリーを使用している。活物質スラリーの最大分散粒子径を50μm以下にすることによって、その活物質スラリーを集電体の表面に塗布して二次電池の電極を製造したときに、電極に流れる電流密度に疎密が生じることを防止している。
特許文献2では、活物質と水と水溶性セルロースとゴム系バインダとを混練して活物質スラリーを調整する。特許文献2では、まず活物質と水と水溶性セルロースとを混合して第1スラリーを調整する。その後、第1スラリーにゴム系バインダを混合して第2スラリーを製造する。その第2スラリーを集電体の表面に塗布して二次電池の電極を製造する。第1スラリーを調整するときに、第1スラリーを容器の内壁に押し付けながら混合することによって、第1スラリー内で活物質が凝集することを防止している。
特開2004−273424号公報 特開2005−129482号公報
二次電池では、充放電を繰り返すうちに、充放電特性が低下することがある。充放電を繰り返すうちに、集電体の表面から活物質が剥離してしまうからである。特許文献1に記載されているように、最大分散粒子径を50μm以下にすることによって、電極に流れる電流密度の疎密が抑制され、集電体の表面から活物質が剥離することを抑制できると期待される。しかしながら、特許文献1の技術では、活物質と有機系分子鎖との結合力が小さいため、充放電を繰り返すうちに、集電体の表面から活物質が剥離することを避けられない。同様に、特許文献2の技術でも、活物質と水溶性セルロースの結合力が弱いために、集電体の表面から活物質が剥離することを避けられない。
従来の技術では、活物質と有機系分子鎖がファンデルワールス(van der Waals)力で吸着しており、その結合力は10kJ/mol以下である。特許文献2に記載されているように、第1スラリーを容器の内壁に押し付けながら混合すると、第1スラリー内の活物質に有機系分子鎖(この場合は水溶性セルロース)が強く押し付けられる。しかしながら、活物質と有機系分子鎖の結合力を高くすることはできない。集電体の表面に塗布するのに必要な流動性が得られる量の水を第1スラリーに加えて混練すると、活物質と有機系分子鎖が結合したとしても、ファンデルワールス力によって結合するに留まるからである。
明細書で開示する技術では、活物質の表面に有機系分子鎖が強固に結合している処理済活物質を得る。本明細書では、その処理済活物質を含むペーストを提供する。本明細書では、その処理済活物質を使用している二次電池を提供する。また、本明細書では、活物質の処理方法、ペーストの製造方法、ペーストの製造装置を提供する。本明細書で開示する処理済活物質を使用して二次電池を製造すると、充放電を繰り返しても、集電体の表面から処理済活物質が剥離しない。ひいては、その処理済活物質を使用して二次電池を製造したときに、その二次電池の充放電特性を長期間に亘って良好なレベルに維持することができる。
明細書で開示する処理済活物質は、活物質の表面に有機系分子鎖が化学吸着している。
上記の処理済活物質では、活物質と有機系分子鎖が強固に結合している。処理済活物質を集電体の表面に塗布したときに、活物質と有機系分子鎖が分離しにくいため、活物質が集電体の表面から剥離しにくい。この現象は、活物質の表面に有機系分子鎖が化学吸着しているために起る。化学吸着の結合力は40〜400kJ/molと強固であり、ファンデルワールス力よりも格段に大きい。ファンデルワールス力の結合力は、10kJ/mol以下である。すなわち、処理済活物質では、活物質の表面に有機系分子鎖が化学吸着しているため、活物質と有機系分子鎖に分離しにくい。集電体の表面で有機系分子鎖同士が絡み合うことによって、活物質が電極体から剥離することを抑制できる。
明細書で開示するペーストは、活物質と溶媒と結着剤とその結着剤のSP値に対して±10の範囲内のSP値を有する有機系分子鎖を含んでおり、活物質の表面に有機系分子鎖が化学吸着している。
上記のペーストでは、結着剤のSP値に対して±10の範囲内のSP値を有する有機系分子鎖を利用するために、結着剤と有機系分子鎖の親和性が高い。すなわち、結着剤がペースト内で分散しやすくなる。そのペーストを集電体の表面に塗布すると、活物質が集電体の表面から剥離しにくくなる。結着剤と有機系分子鎖がよく混ざっており、有機系分子鎖が活物質と強固に結合しているからである。ここでいう結着剤とは、活物質同士の密着性を高めたり、活物質と集電体の表面との密着性を高めたり、有機系分子鎖同士の密着性を高めたり、有機系分子鎖と集電体の表面との密着性を高めたりする性質を有する材料のことをいう。
ここで、SP値について説明する。SP値とは溶解パラメータ−(Solubility Parameter)のことをいうものであり、物質の溶解度の指標として利用される。SP値が近い物質は混ざり易い傾向を示し、溶質と溶媒の混ざり易さを判断することができる。SP値は計算によって算出することができる。物質のモル蒸発熱を△Hとし、モル体積をVとすると、SP値δは下記式(4)で表すことができる。
δ=((△H/V)−(R×T))1/2 (4)
ここでRは気体定数を示し、Tは温度を示している。
すなわち、結着剤の種類を決定すると、上記式(4)から有機系分子鎖のSP値を計算することによって、有機系分子鎖のSP値が結着剤のSP値に対して±10の範囲内か否かを判断することができる。
明細書で開示する二次電池は、活物質の表面に有機系分子鎖が化学吸着している処理済活物質を使用している。
上記の二次電池では、充放電を繰り返しても、充放電特性を長期間に亘って良好なレベルに維持することができる。充放電を繰り返しても、集電体の表面から処理済活物質が剥離しにくいからである。例えば高密度の電流が流れるリチウムイオン二次電池においても、処理済活物質を使用することによって充放電特性を長期間に亘って良好なレベルに維持することができる。
明細書では、活物質の処理方法をも提供する。
その処理方法は、活物質のタップ密度をDt、活物質の真密度をDr、溶媒の密度をDsとしたときに、下記式(1)で計算される値Nと、
N=100/(1+(1/Dt−1/Dr)×Ds) (1)
活物質と有機系分子鎖と溶媒を含む混合物中の混合物の固形分濃度Aの間に、下記式(2)が成立する条件で混合物を混練する。
N−10≦A≦N (2)
上記の処理方法によると、活物質の表面に有機系分子鎖を化学吸着させることができる。すなわち、活物質の表面に有機系分子鎖が化学吸着している処理済活物質を得ることができる。以下で式(1)について説明する。
活物質の質量をW、活物質のタップ密度をDt、活物質の真密度をDr、溶媒の密度をDsとすると、質量Wの活物質をタップして充填したときの体積V1は下記式(5)で表される。
V1=W/Dt (5)
活物質が存在する空間の中で、実際に活物質が占めている体積V2は下記式(6)で表される。
V2=W/Dr (6)
式(5)、(6)より、活物質をタップして充填した空間の中で、活物質が占めていない(すなわち、活物質同士の隙間)体積V3は下記式(7)で表される。
V3=V1−V2=(W/Dt)−(W/Dr) (7)
体積V3の全てを溶媒が占めている場合、固形分濃度(活物質の質量/(活物質の質量+溶媒の質量))Nは下記式(8)で表される。
N=W/(W+(V3×Ds))×100 (8)
式(8)に、式(5)、(6)、(7)を代入することによって、上記式(1)が得られる。
固形分濃度が値Nよりも大きい場合、活物質同士の隙間の一部に溶媒が存在しない。ドライな活物質同士が接触している部位が存在する。
固形分濃度が値Nよりも小さい場合、活物質が十分に充填されていない。溶媒中において活物質同士が離れて存在している。
固形分濃度が値Nと等しい場合、活物質同士の隙間の全てを溶媒が占めており、活物質同士が遊離せずに接触している。
電極用ペーストの場合、一般的に、活物質の重量に対して有機系分子鎖の重量は非常に小さい。すなわち、活物質と有機系分子鎖と溶媒を含む混合物の固形分濃度((活物質の質量+有機系分子鎖の質量)/(活物質の質量+有機系分子鎖の質量+溶媒の質量))Aは、実質的に、活物質と溶媒を含む混合物の固形分濃度(活物質の質量/(活物質の質量+溶媒の質量))と等しいとみなすことができる。
固形分濃度Aが値Nと等しい場合、活物質同士の隙間、有機系分子鎖同士の隙間、活物質と有機系分子鎖の隙間の全てを溶媒が占めており、活物質同士は遊離していない。
固形分濃度Aが値Nよりも大きい場合、活物質同士の隙間、有機系分子鎖同士の隙間、活物質と有機系分子鎖の隙間の一部に溶媒が存在しない。
固形分濃度Aが値Nよりも小さい場合、溶媒中で活物質と有機系分子鎖が遊離している。
本発明者の研究によって、固形分濃度Aが値Nと等しい場合、活物質の表面に最も大きな力で有機系分子鎖を結合させることができることが判明した。すなわち、活物質の表面に有機系分子鎖を化学吸着させることができる。固形分濃度Aが値Nよりも大きい場合、一部の活物質の表面では溶媒が存在しない状態となっており、活物質の表面に有機系分子鎖を化学吸着させることができない。また、固形分濃度Aが値Nより小さくなりすぎると、混合物の流動性が大きくなりすぎるために、混合物を混練しても活物質の表面に有機系分子鎖を化学吸着させることができない。本発明者の研究によって、固形分濃度Aが(N−10)よりも小さくなると、活物質の表面に有機系分子鎖を化学吸着させることができないことが判明した。上記式(2)が成立する条件で混合物を混練すると、活物質の表面に有機系分子鎖が化学吸着することが確立された。
明細書では、活物質の他の処理方法をも提供する。
その処理方法は、活物質と有機系分子鎖を含む混合物に継続的に溶媒を加えながら混練し、混合物を混練するのに要する力が最大となるタイミングの到来を検出する工程と、そのタイミングにおける混合物に対して所定量の溶媒を追加して混合物をさらに混練する工程を有する。
上記の処理方法によると、活物質と有機系分子鎖と溶媒を含む混合物を混練する力を小さく抑えながら、活物質の表面に有機系分子鎖を化学吸着させることができる。混合物を混練するのに要する力が最大のとなるタイミングで混合物を混練すると、活物質の表面に有機系分子鎖を確実に化学吸着させることができるが、混練に要するエネルギーが大きくなる。上記の処理方法によると、混合物を混練するのに要する力が最大のとなるタイミングの混合物に対して所定量の溶媒を追加するため、混練に要するエネルギーを小さくすることができる。
上記の処理方法では、活物質と有機系分子鎖を含む混合物を混練するのに要する力が最大となるタイミングを実際に計測する。すなわち、活物質の種類や有機系分子鎖の種類によって、その混合物を混練するのに要する力が最大となる溶媒量が異なる場合でも、その混合物を混練するのに要する力が最大となるタイミングを正確に知ることができる。また、上記の処理方法では、活物質と有機系分子鎖と溶媒以外に、他の材料が混合していてもよく、その場合でも混合物を混練するのに要する力が最大となるタイミングを正確に知ることができる。
明細書では、活物質の他のもう一つの処理方法をも提供する。
その処理方法は、活物質と有機系分子鎖を含む混合物に継続的に溶媒を加えながら混練し、混合物を混練するのに要する力が上昇傾向から下降傾向に転じて所定力に減少したタイミングの到来を検出する工程と、そのタイミングの到来が検出された時に溶媒の供給を停止し、混合物をさらに混練する工程を有する。
上記の処理方法でも、活物質と有機系分子鎖と溶媒を含む混合物を混練する力を小さく抑えながら、活物質の表面に有機系分子鎖を化学吸着させることができる。溶媒を加えながら混練する場合、混練に要する力は除々に増大し、混合物の空隙が溶媒に完全に満たされた時に、混練するのに要する力が最大となる。混合物を混練するのに要する力が最大となった後、さらに溶媒を加えるとその力が下降する。混合物中の溶媒の量が増えて、固形分濃度が小さくなるからである。
上記の処理方法では、混合物を混練するのに要する力が上昇傾向から下降傾向に転じて所定力に減少したタイミングで溶媒の供給を停止する。その所定力を、活物質の表面に有機系分子鎖が化学吸着可能な力に設定することによって、混練に要するエネルギーを小さくすることができる。上記の処理方法でも、活物質と有機系分子鎖と溶媒以外の材料が混合していてもよく、その場合でも、活物質の表面に有機系分子鎖を化学吸着させることができる。
明細書では、活物質のさらに他の処理方法をも提供する。
その処理方法は、活物質と有機系分子鎖を含む混合物に継続的に溶媒を加えながら混練し、混練中の混合物の温度が上昇傾向から下降傾向に転じて所定温度に低下したタイミングの到来を検出する工程と、そのタイミングの到来が検出された時に溶媒の供給を停止し、混合物をさらに混練する工程を有する。
上記の処理方法でも、活物質と有機系分子鎖と溶媒を含む混合物を混練する力を小さく抑えながら、活物質の表面に有機系分子鎖を化学吸着させることができる。混合物を混練するのに要する力と混合物の温度は比例関係にある。混合物に供給されるエネルギーが高くなると、混合物が熱エネルギーを蓄えるからである。すなわち、その所定温度を活物質の表面に有機系分子鎖が化学吸着することが可能な温度に設定すればよい。混合物を混練するのに要する力は、混合物の状態を直接監視するものではなく、混合物を混練する機器の状態等によって変化する虞がある。上記の処理方法では、混合物の状態を直接監視することができるため、より正確に活物質の表面に有機系分子鎖を化学吸着させることができる。上記の処理方法でも、活物質と有機系分子鎖と溶媒以外の材料が混合していてもよく、その場合でも、活物質の表面に有機系分子鎖を化学吸着させることができる。
明細書で開示する処理方法では、混練に要する力または混合物の温度が最大となった時の固形分濃度をA1とし、さらに混練する工程における固形分濃度をA2としたときに、両者が下記式(3)、
A1−10≦A2 (3)
を満足することが好ましい。
上記の処理方法によると、活物質の表面に有機系分子鎖を確実に化学吸着させることができる。
固形分濃度A2が(A1−10)よりも小さくなると、混合物中の溶媒の量が多すぎるため、混合物に大きな力を加えることができず、活物質の表面に有機系分子鎖を化学吸着させることができない。
明細書では、活物質のさらに他の処理方法をも提供する。
その処理方法では溶媒を使用しない。すなわち、活物質と有機系分子鎖からなる混合物を混練して、活物質の表面に有機系分子鎖を化学吸着させる。
上記の処理方法によると、活物質と有機系分子鎖のみを混練するため、他の材料から不純物等が混入することを防止できる。活物質の表面にその不純物が吸着することを防止できる。活物質の表面に不純物が吸着しないため、活物質の表面に化学吸着できる有機系分子鎖の量を増やすことができる。
明細書で開示する処理方法では、混練工程に先立って、活物質を、真空中または不活性ガス雰囲気中で、1000℃以上で1500℃以下の温度に加熱することが好ましい。
上記の処理方法によると、活物質に付着している不純物や、活物質の表面に吸着している官能基を除去することができる。活物質の表面に露出する不対電子が増加し、活物質の表面に有機系分子鎖が化学吸着しやすくなる。真空中または不活性ガス雰囲気中で加熱しない場合、例えば大気中で加熱を行うと、加熱する間に活物質が酸化してしまうことがある。また、1000℃よりも低い温度で活物質を加熱しても、活物質の表面に付着している不純物や、活物質の表面に吸着している官能基を除去することができないことがある。一方、1500℃よりも高い温度で活物質を加熱すると、活物質の結晶構造が変化してしまい、活物質の表面に露出する不対電子が減少してしまうことがある。活物質を1000℃以上で1500℃以下の温度に加熱することによって、不対電子の数を減少させることなく、活物質の表面に付着している不純物や、活物質の表面に吸着している官能基を除去することができる。
明細書では、ペーストの製造方法をも提供することができる。
上述のいずれかの活物質の処理方法を実施した後に、溶媒を追加して混練する工程を継続する。すなわち、活物質の表面に有機系分子鎖が化学吸着している処理済活物質を含む混合物に、溶媒を追加して混練を継続することによって、ペーストを製造することができる。活物質を処理した後に、溶媒のみならず他の材料、例えば結着剤等を溶媒とともに追加することもできる。
明細書では、ペーストの製造装置をも提供することができる。
その製造装置は、活物質と有機系分子鎖を含む混合物に溶媒を供給する溶媒供給装置と、活物質と有機系分子鎖と溶媒を含む混合物を混練する装置と、混合物を混練するのに要する力を計測する装置と、溶媒供給装置を制御し、混合物を混練するのに要する力が最大となるタイミングまでは溶媒供給装置から継続的に溶媒を供給し、混合物を混練するのに要する力が最大となったタイミングで溶媒供給装置からの継続的な溶媒の供給を停止させるとともに所定量の溶媒を追加して供給させる制御装置を備えている
上記の製造装置によると、活物質の表面に有機系分子鎖が化学吸着している処理済活物質を含むペーストを製造することができる。混合物を混練するのに要する力が最大となったタイミングで継続的な溶媒の供給を停止させるとともに所定量の溶媒を追加するため、混合物を混練する装置にかかる負荷を小さくすることができる。装置にかかる負荷が小さい状態で、活物質の表面に有機系分子鎖を化学吸着させることができる。なお、活物質と有機系分子鎖と溶媒以外に、他の材料が混合されていてもよい。また、所定量の溶媒を追加して供給して所定時間混練した後に、さらに溶媒を追加してペーストの粘度を調整することもできる。
明細書では、ペーストの他の製造装置をも提供することができる。
その製造装置は、活物質と有機系分子鎖を含む混合物に溶媒を供給する溶媒供給装置と、活物質と有機系分子鎖と溶媒を含む混合物を混練する装置と、混合物を混練するのに要する力を計測する装置と、溶媒供給装置を制御し、混合物を混練するのに要する力が上昇傾向から下降傾向に転じて所定力に減少するまでは溶媒供給装置から継続的に溶媒を供給させる制御装置を備えている。
上記の製造装置でも、活物質の表面に有機系分子鎖が化学吸着している処理済活物質を含むペーストを製造することができる。所定力を、活物質の表面に有機系分子鎖を化学吸着させることが可能な力に設定すればよい。なお上記の製造方法でも、活物質と有機系分子鎖と溶媒以外の材料が混合されていてもよい。また、さらに溶媒を追加してペーストの粘度を調整することもできる。
明細書では、ペーストの他のもう一つの製造装置をも提供することができる。
その製造装置は、活物質と有機系分子鎖を含む混合物に溶媒を供給する溶媒供給装置と、活物質と有機系分子鎖と溶媒を含む混合物を混練する装置と、混合物の温度を計測する装置と、溶媒供給装置を制御し、混合物の温度が上昇傾向から下降傾向に転じて所定温度に低下するまでは溶媒供給装置から継続的に溶媒を供給させる制御装置を備えている。
上記の製造装置でも、活物質の表面に有機系分子鎖が化学吸着している処理済活物質を含むペーストを製造することができる。所定温度を、活物質の表面に有機系分子鎖を化学吸着させることが可能な力に設定すればよい。なお上記の製造方法でも、活物質と有機系分子鎖と溶媒以外の材料が混合されていてもよい。また、さらに溶媒を追加してペーストの粘度を調整することもできる。
明細書で開示する技術によると、活物質の表面に有機系分子鎖が化学吸着している処理済活物質を得ることができる。その処理済活物質を含むペーストを製造することができる。その処理済活物質を使用している二次電池を製造することができる。その処理済活物質を使用した二次電池によると、充放電特性を長期間に亘って良好なレベルに維持することができる。
以下に本発明の好適な実施形態を説明する。
図1は、活物質3の表面に有機系分子鎖5が化学吸着している処理済活物質1を模式的に示している。後述するが、有機系分子鎖5は、活物質3の表面の不対電子に化学吸着している。すなわち、活物質3と有機系分子鎖5が40〜400kJ/molの力で結合している。活物質3と有機系分子鎖5の結合力が強いため、処理済活物質1に圧力や振動が加わっても、活物質3と有機系分子鎖5は分離しにくい。なお、活物質3と有機系分子鎖5の結合力は、IR(Infrared Spectroscopy :赤外分光光度計)による測定や、熱振動の様子をTEM(Transmission Electron Microscopy:透過電子顕微鏡)で観察して算出する方法等で計測することができる。すなわち、活物質3と有機系分子鎖5が化学吸着しているか否かを判断することができる。処理済活物質1を、活物質3と有機系分子鎖5がファンデルワールス力で結合しているものから区別することができる。
処理済活物質1を、二次電池の電極用の活物質として使用することができる。処理済活物質1を負極電極の活物質として使用する場合、活物質3は炭素材料であることが好ましく、特に非晶質の炭素材料であることが好ましい。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、非晶質炭素被覆黒鉛等が好適な材料としてあげられる。二次電池では、充電の際に正極活物質から放出されるリチウムイオンを、負極活物質内に吸蔵する。活物質3が炭素材料であれば、多くのリチウムイオンを吸蔵することができる。
二次電池では、充放電を繰り返すうちに充放電特性が低下するという現象がおこる。この現象は、二次電池が充放電を繰り返すと、負極電極が膨張と収縮を繰り返し、負極電極の集電体の表面から活物質が剥離することに起因する。処理済活物質1は、処理済活物質1の表面に有機系分子鎖5が化学吸着しているため、負極電極が膨張と収縮を繰り返しても、集電体の表面から剥離しない。よって、処理済活物質1を負極電極の活物質として利用した二次電池では、充放電を繰り返しても充放電特性の低下が抑制される。
有機系分子鎖5は、鎖状高分子であることが好ましく、例えば、セルロース、デンプン等の多糖、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミド、フェノール樹脂等が好適な材料としてあげられる。
処理済活物質1を電極活物質として使用する場合、集電体の表面に処理済活物質1を塗布する。その場合、処理済活物質1と集電体の表面との密着性を高めるために、結着剤を加えることがある。その結着剤のSP値に対して有機系分子鎖5のSP値が±10の範囲内であることが好ましく、結着剤のSP値に対して有機系分子鎖5のSP値が±5の範囲内であることが特に好ましい。必ずしも結着剤のSP値を基準として有機系分子鎖5の材料を選択するする必要はない。有機系分子鎖5のSP値を基準として、有機系分子鎖5のSP値に対して±10の範囲内のSP値を有する結着剤を選定してもよい。SP値が近い物質同士は混ざり易い傾向を有している。すなわち、結着剤のSP値に対して有機系分子鎖5のSP値を±10の範囲内にすることで、処理済活物質1と結着剤を混合したペースト内で、結着剤が分散しやすくなる。そのペーストを集電体の表面に塗布したときに、集電体の表面から処理済活物質1が剥離しにくくなる。
結着剤は、処理済活物質1と集電体の表面との密着性を高めることができる材料であれば特に制限はないが、有機系ポリマーであることが好ましい。特にゴムが好ましく、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブチルゴム、ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム等が好適な材料としてあげられる。有機系分子鎖5の材料に応じて適宜選択することができる。例えば有機系分子鎖5がCMCの場合、結着剤の好適な例としてSBRがあげられる。CMCのSP値はSBRのSP値の±5の範囲内である。
活物質3を処理して、処理済活物質1を得る方法について説明する。
処理済活物質1は、活物質3の表面に有機系分子鎖5を化学吸着させることによって得ることができる。活物質3の表面に有機系分子鎖5を化学吸着させるためには、活物質3と有機系分子鎖5の混合物に強固な力を加えて混練することが必要である。集電体の表面に塗布するために流動性を得るために必要な量の溶媒を、活物質3と有機系分子鎖5に加えて混練すると、活物質3の表面に有機系分子鎖5を化学吸着させることができない。活物質3の表面に有機系分子鎖5を化学吸着させるためには、適切な量の溶媒を両者の混合物に加える必要がある。両者を混練して活物質3を処理する方法には、湿式方法(混合物に溶媒を加えて混練する方法)と乾式方法(混合物に溶媒を加えないで混練する方法)がある。まず湿式の処理方法について説明する。
湿式の処理方法では、活物質3の表面に有機系分子鎖5を化学吸着させるために、両者の混合物にかかる力が大きくなるように、混合物に加える溶媒の量をコントロールする。湿式の処理方法では、加える溶媒の量を決定する方法の違いによって、以下の4つの処理方法があげられる。
(a)活物質3のタップ密度Dtと、活物質3の真密度Drと、溶媒の密度Dsから溶媒の添加量を決定する方法。
(b)活物質3と有機系分子鎖5を有する混合物を用意して、その混合物に対して溶媒を加えながら混練し、その混合物を混練するのに要する力が最大となるタイミングにおける混合物に対して所定量の溶媒を追加する方法。
(c)活物質3と有機系分子鎖5を有する混合物を用意して、その混合物に対して溶媒を加えながら混練し、その混合物を混練するのに要する力が上昇傾向から下降傾向に転じて所定力に減少するタイミングまで溶媒を供給する方法。
(d)活物質3と有機系分子鎖5を有する混合物を用意して、その混合物に対して溶媒を加えながら混練し、その混合物の温度が上昇傾向から下降傾向に転じて所定温度に低下するタイミングまで溶媒を供給する方法。
まず(a)の方法について説明する。
活物質3のタップ密度Dtを計測する。活物質3のタップ密度DtはJIS規格に準拠して計測する。すなわち、タップ密度Dtは、ホソカワミクロン社製のPT−N型を使用し、タップ回数500のときの密度を計測する。
活物質3のタップ密度Dtと、活物質3の真密度Drと、溶媒の密度Dsとしたときに、下記式(1)で計算される値Nと、
N=100/(1+(1/Dt−1/Dr)×Ds) (1)
活物質3と有機系分子鎖5と溶媒を含む混合物の固形分濃度Aとの間に、下記式(2)が成立する条件で混合物を混練する。
N−10≦A≦N (2)
混合物を混練機で混練して、活物質3の表面に有機系分子鎖5を化学吸着させる。次に混合物を、真空中または不活性雰囲気中で乾燥させることによって、処理済活物質1を得ることができる。
次に(b)の方法について説明する。
活物質3と有機系分子鎖5を含む混合物を用意する。このとき、活物質3のタップ密度や、活物質3の真密度等は計測する必要はない。次に、混練機に混合物を収容し、混合物を混練しながら混合物に対して溶媒を加える。混合物に溶媒を加えていくと、混合物を混練するために要する混練機の負荷が上昇する。図2に、活物質3と有機系分子鎖5を含む混合物を混練しながら溶媒を加えたときに、混練機にかかる負荷と混合物の固形分濃度の関係を例示している。縦軸は混練機のモータの負荷電力を示しており、横軸は混合物の固形分濃度を示している。すなわち、図2の例では、混合物を混練するのに要する力をモータの負荷電力で示している。図2の曲線が示すように、混合物に溶媒を加えていくと(混合物の固形分濃度を小さくしていくと)、混練機のモータの負荷電力が変化していく。固形分濃度がおよそ61%でモータにかかる負荷電力が最大になる。すなわち、図2の例では、活物質3と有機系分子鎖5を含む混合物の固形分濃度が61%のときに、その混合物を混練するのに要する力が最大(以下、その固形分濃度を最大固形分濃度A1と称することがある)となる。
混合物を最大固形分濃度A1のままで混練を継続することもできる。しかしながら、最大固形分濃度A1の状態で混練を継続すると、混練機にかかる負荷が大きくなりすぎる。そこで最大固形分濃度A1の混合物に、さらに所定量の溶媒を追加する。追加する溶媒の量は、活物質3と有機系分子鎖5と溶媒の固形分濃度をA2としたときに、固形分濃度A1と固形分濃度A2の両者が下記式(3)を満足することが好ましい。
A1−10≦A2 (3)
式(3)を満足する固形分濃度A2で混練すると、活物質3の表面に有機系分子鎖5を確実に化学吸着させることができる。次に混合物を、真空中または不活性雰囲気中で乾燥させることによって、処理済活物質1を得ることができる。
次に(c)の方法について説明する。
活物質3と有機系分子鎖5を含む混合物を用意する。次に、混練機に混合物を収容し、混合物を混練しながら混合物に対して溶媒を加える。図3に、活物質3と有機系分子鎖5を含む混合物を混練しながら溶媒を加えたときに、混練機にかかる負荷と経時変化の関係を示している。図3に示すように、混合物に対して溶媒を加えていくと、混合物を混練するために要する混練機の負荷が上昇傾向(A〜Bの間)から下降傾向(B〜C間)に転じる。本処理方法では、混合物を混練するのに要する力が所定力に減少したタイミング(図3のCのタイミング)の到来を検出すると、混合物に対する溶媒の供給を停止する。その後、混合物をさらに混練することによって、活物質3の表面に有機系分子鎖5を化学吸着させることができる。次に混合物を、真空中または不活性雰囲気中で乾燥させることによって、処理済活物質1を得ることができる。
次に(d)の方法について説明する。
活物質3と有機系分子鎖5を有する混合物を用意する。次に、混練機に混合物を収容し、混合物を混練しながら混合物に対して溶媒を加える。図3に、混練機にかかる負荷と経時変化の関係を示しているが、混練機にかかる負荷と混合物の温度はほぼ比例関係にある。すなわち、混合物を混練するための負荷が上昇傾向のときは、混合物の温度が上昇傾向となり、混合物を混練するための負荷が下降傾向のときは、混合物の温度が下降傾向となる。本処理方法では、混合物の温度が上昇傾向から下降傾向に転じて所定温度にまで低下したタイミング(図3のCのタイミング)の到来を検出すると、混合物に対する溶媒の供給を停止する。その後、混合物をさらに混練することによって、活物質3の表面に有機系分子鎖5を化学吸着させることができる。次に混合物を、真空中または不活性雰囲気中で乾燥させることによって、処理済活物質1を得ることができる。
上記(b)〜(c)の処理においても、混練に要する力または混合物の温度が最大になった時の固形分濃度をA1(図3のBのタイミング)とし、さらに混練する工程における固形分濃度をA2としたときに、上記式(3)を満足することが好ましい。
上記(a)〜(d)の処理方法において、活物質3の表面に有機系分子鎖5を化学吸着させた後、その混合物を乾燥させないで、さらに溶媒を追加して混練することによって、活物質3の表面に有機系分子鎖5が化学吸着しているペーストを製造することができる。ペーストを製造する場合、活物質3と有機系分子鎖5と結着剤の混合物を用意して、その混合物に対して溶媒を加えながら混練してもよい。又は、活物質3の表面に有機系分子鎖5を化学吸着させた後、溶媒と結着剤を同時に加えてもよい。結着剤の種類によっては、混練している間に結着能力が落ちてしまうものがある。好ましくは、活物質3の表面に有機系分子鎖5を化学吸着させた後に、溶媒と結着剤を同時に加えることがよい。ペーストを製造する場合、結着剤のSP値に対して±10の範囲内のSP値を有する有機系分子鎖5を使用することが好ましい。
次に乾式方法について説明する。
活物質3と有機系分子鎖5からなる混合物を用意してする。次に、混練機に混合物を収容し、その混合物を所定時間混練する。混練機としてはボールミル等が好ましい。本処理方法では、混合物の流動性を高めるために溶媒等は加えない。混合物を混練する時間や、混合物に加える力は、使用する材料に応じて適宜調整することができる。使用する材料に応じて複数の条件で混練を実施し、上述した活物質3と有機系分子鎖5の結合力を計測する方法を実施して混練する条件を決定してもよい。
乾式の処理方法で処理済活物質1を得ると、以下の特長が得られる。
(特長1)活物質3の表面に不純物が吸着することを抑制できる。
乾式方法では、混練するときに溶媒を使用しない。そのため、溶媒中のイオンや不純物が活物質3の表面に付着することを防止できる。活物質3の表面に、有機系分子鎖5が化学吸着できる領域を多く確保することができる。
(特長2)短時間で製造することができる。
活物質3と有機系分子鎖5からなる混合物を混練した後に、その混合物を、真空中または不活性雰囲気中で乾燥させることを省略できる。さらに、混合物を混練した直後に、処理済活物質1が得られているか否かを確認することができる。
有機系分子鎖5を活物質3の表面に化学吸着させることに先立って、活物質3を、真空中または不活性ガス雰囲気で、1000℃以上で1500℃以下の温度に加熱することが好ましい。図8(a)に活物質3の表面を拡大した図を示している。図8(a)では、活物質3が炭素材料の場合について示している。図8(a)に示すように、活物質3にヒドロキシ基(−OH)が吸着している。この状態では、活物質3の表面に有機系分子鎖5を化学吸着させにくい。
図8(b)は、図8(a)の活物質3を、1100℃のアルゴン(Ar)雰囲気中で2時間加熱したものである。図8(b)から明らかなように、活物質3に吸着していたヒドロキシ基が脱離し、活物質3に不対電子7が生じている。図8(c)は、活物質3の表面に有機系分子鎖5が化学吸着している様子を示している。活物質3の不対電子7に、有機系分子鎖5が化学吸着している。
ペーストの製造装置について説明する。
図4にペーストの製造装置10を示している。製造装置10は、活物質3と有機系分子鎖5を含む混合物8を収容する容器6と、混合物8に溶媒を供給する溶媒供給装置16と、混合物8を混練する攪拌ブレード4と、溶媒供給装置16を制御する制御装置20を備えている。攪拌ブレード4は、モータ2に接続しており、モータ2内には攪拌ブレード4を動作させるために要する負荷電力を計測する装置が配置されている。溶媒供給装置16は、溶媒供給管14を通じて容器6内に溶媒を供給することができる。モータ2と制御装置20が信号線22によって接続されており、モータ2の負荷電力を制御装置20に入力することができる。溶媒供給装置16と制御装置20が信号線18によって接続されており、溶媒供給装置16から容器6内に供給される溶媒量を調節することができる。容器6内に熱電対11が配置されており、混合物8の温度を計測することができる。熱電対11で計測した温度は、信号線12によって制御装置20に入力することができる。
製造装置10は、容器6内供給する溶媒量を決定する方法として、3つの制御方法を有している。その1つの制御方法では、混合物8を混練するのに要する力が最大となるタイミングまでは溶媒供給装置16から容器6内に溶媒を供給し、混合物8を混練するのに要する力が最大となったタイミングで溶媒供給装置16からの継続的な溶媒の供給を停止する。制御装置20は、溶媒供給装置16からの継続的な溶媒の供給を停止するとともに所定量の溶媒を容器6内に供給する。
ペーストを製造する工程は、大まかにいって、モータ2の負荷が最大となるタイミングまで溶媒供給する工程と、活物質3の表面に有機系分子鎖5を化学吸着させる工程と、ペーストの粘度を調整する工程を有している。図5に、本制御方法における混練時のフローチャートを示している。
まず、混合物8を容器6内に収容した後、モータ2をオンしてモータ2にかかる負荷電力を監視しつつ攪拌ブレード4を動作させる。次に、溶媒供給装置16の供給弁を開放する(S1)。混合物8中の溶媒が所定量に達するまでの間は、モータ2の電力負荷は変化しない(図3のAの状態)。混合物8を混練するのに要する力が最大になるタイミングでは、モータ2の負荷電力を時間で微分した値が0になる(図3のBの状態)。すなわち、モータ2の負荷電力を時間で微分した値が0になるタイミングが、混合物8を混練するのに要する力が最大になるタイミングである。モータ2の負荷を時間で微分した値が0になったことを検知した場合(S2:YES)、供給弁を開けてつづけ(S3)所定量の溶媒を追加する。次に、混合物8に所定量の溶媒を加えたことを検知すると(S4:YES)、溶媒供給装置16の供給弁を閉じる(S5)。モータ2の負荷の微分値が0を検知しない間は、混合物8に溶媒を供給し続ける(S2:NO)。
混合物8に所定量の溶媒を加えると、モータ2の負荷が減少する(図3のCの状態)。この状態で混合物8を所定時間混練し、活物質3の表面に有機系分子鎖5を化学吸着させる。工程S2において、混合物8に加えた溶媒の量を記憶して、そのときの混合物8の固形分濃度をA1とし、工程S4において混合物8に所定量の溶媒を加えたときの混合物8の固形分濃度をA2としたときに、固形分濃度A1と固形分濃度A2が、上記式(3)を満足する範囲内になるように所定量の溶媒を計算し、混合物8に所定量の溶媒を加えることが好ましい。
次に、モータ2の負荷が所定値M2であるか否かを検知し(S6)、モータ2の負荷が所定値M2に達していない場合(S6:NO)は、溶媒供給装置16の供給弁を開ける(S7)。所定値M2は、工程S5の実施直後のモータ負荷よりも小さく、集電体に塗布できる流動性が得られるまで溶媒を加えたときのペーストを混練する力に設定されている。モータ2の負荷が所定値M2に減少すると(S8:YES)と、溶媒供給装置16の供給弁を閉じて、混合物8を所定時間混練することによって、ペーストを製造することができる。モータ2の負荷が所定値M2を検知しない(S8:NO)場合は、溶媒供給装置16の供給弁を開け続ける。また、混合物8を所定時間混練した後に、結着剤や溶媒等を追加することによって、S6工程でモータの負荷が所定値M2にまで減少した場合(S6:YES)は、操作を終了する。所定値M2の値を変化させることによって、ペーストの粘度を所望する値にすることができる。
製造装置10の他の制御方法では、混合物8を混練するのに要する力が上昇傾向から下降傾向に転じて所定力に減少するまで、溶媒供給装置16から溶媒を供給する。図6に、本制御方法における混練時のフローチャートを示している。
まず、混合物8を容器6内に収容した後、モータ2をオンしてモータ2にかかる負荷電力を監視しつつ攪拌ブレード4を動作させる。次に、溶媒供給装置16の供給弁を開放する(S21)。モータ2の負荷電力が上昇傾向から下降傾向に転じて所定力M1に達したこと(図3のAからCに達した状態)を検知する(S24:YES)と、溶媒供給装置16の供給弁を閉じる(S25)。所定力M1を検知しない場合(S24:NO)は、溶媒供給装置16の供給弁を開け続ける。この状態で混合物8を所定時間混練し、活物質3の表面に有機系分子鎖5を化学吸着させる。その後の工程は、図5のフローチャートで説明した工程と同じであるため説明を省略する。図5のフローチャートと実質的に同じ工程には、下1桁の数字に同じ工程番号を付している。なお、この場合、M1>M2の関係に設定されている。
製造装置10の他のもう一つの制御方法では、混合物8の温度が上昇傾向から下降傾向に転じて所定温度に低下するまで、溶媒供給装置16から溶媒を供給する。図7に、本制御方法における混練時のフローチャートを示している。
まず、混合物8を容器6内に収容した後、モータ2をオンして混合物8の温度を制御部20で監視しつつ攪拌ブレード4を動作させる。次に、溶媒供給装置16の供給弁を開放する(S11)。混合物8の温度が上昇傾向から下降傾向に転じて所定温度T1に低下したことを検知する(S14:YES)と、溶媒供給装置16の供給弁を閉じる(S15)。所定温度T1を検知しない場合(S14:NO)は、溶媒供給装置16の供給弁を開け続ける。この状態で混合物8を所定時間混練し、活物質3の表面に有機系分子鎖5を化学吸着させる。
次に、混合物8の温度が所定温度T2であるか否かを検知し(S16)、混合物8の温度が所定温度T2まで低下していない場合(S16:NO)は、溶媒供給装置16の供給弁を開ける(S17)。その後、混合物8の温度が所定温度T2まで低下していることを検知する(S18:YES)と、溶媒供給装置16の供給弁を閉じて、混合物8を所定時間混練することによって、ペーストを製造することができる。混合物8の温度が所定温度T2まで低下していることを検知しない(S8:NO)場合は、溶媒供給装置16の供給弁を開け続ける。また、S16工程で混合物8の温度が所定温度T2まで低下している場合(S16:YES)は、操作を終了する。ここでT1>T2であり、T2はペーストに必要な流動性が得られるまで溶媒を加えて混練するときの温度に設定されている。
以下に実施例について説明する。
実施例では図1に示している処理済活物質1を負極活物質として使用した二次電池を製造した。
(第1実施例)
本実施例の二次電池の製造方法について説明する。まず、正極の製造方法について説明する。
コバルト酸リチウム93質量部と、黒鉛5質量部と、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)1質量部と、カルボキシメチルセルロース(CMC)1質量部を秤量し、その混合物に水100質量部を添加してペースト状の正極ペーストを作製した。次いで10μmのアルミニウム箔(集電体)を用意して、その両面に正極ペーストを塗布した後、正極ペーストを乾燥させて正極電極を完成した。正極電極は矩形状であり、長尺方向の長さは1.9mである。
次に負極の製造方法について説明する。
タップ密度0.94g/cc,真密度2.20g/ccの天然黒鉛(活物質)3を500g、CMC(有機系分子鎖)5を5g、水を333g秤量して混合物8を用意した。次いで直径200mmの2軸プラネタリ混練機10を利用して、その混合物8を、毎分50回転で、30分間混練した。本実施例の混合物8は、上記式(1)を満足する。すなわち、混合物8の固形分濃度Aは60wt%であり、天然黒鉛3の物性を上記式(1)に代入したときの値Nは62wt%であり、N−10≦A≦Nを満足する。
その後、得られた混合物8を、120℃の窒素(N2)雰囲気中で3時間乾燥させる。この段階で、天然黒鉛3の表面にCMC5が化学吸着している。
次に、処理後の天然黒鉛(処理済活物質)1を98質量部と、CMCを1質量部と、SBRを1質量部秤量し、その混合物に水100質量部を添加してペースト状の負極ペーストを作製した。次いで10μmの銅(Cu)箔(集電体)を用意して、その両面に負極ペーストを塗布した後、負極ペーストを乾燥させて負極電極を完成させた。負極電極は矩形状であり、長尺方向の長さは2.1mである。
次に、30μmのポリプロピレン(PP)フィルムを用意して、正極電極と負極電極をPPフィルムを介して対向させて、捲回機を利用して捲回体を作製した。PPフィルムは矩形状であり、長尺方向の長さは2.1mである。捲回体を捲回軸に直交する方向につぶした後、正極電極に正極端子を接続し、負極電極に負極端子を接続した。次いで捲回体と電解液を容器に収容した後、容器を密閉して二次電池を製造した。電解液の溶媒は、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の体積比が1:1の混合液を使用した。電解液の溶質は、LiPFを使用し、溶媒に対して1mol/L混合した。なお、容器に収容した電解液の量は50mlとした。
本実施例の二次電池について電気容量維持率の測定を実施した。電気容量維持率の測定方法について説明する。
二次電池のSOC(State Of Charge:電池の容量に対する充電深度)を0%の状態から100%の状態に変化させる操作を1サイクルとして、その操作を1000サイクル実施する。二次電池の充放電は2C(C:1時間で満充電できる通電量)で実施した。なお、電気容量維持率の測定は25℃で実施した。
電気容量維持率は、充放電3サイクル目の電気容量に対して、充放電を1000サイクル目の電気容量を表している。結果を表1に示す。
Figure 0004973269
(第2実施例)
本実施例の二次電池は、負極活物質の製造方法以外は、第1実施例と同様の構成である。ここでは、第1実施例と相違する部分のみ説明し、第1実施例と同様の構成については説明を省略する。
第1実施例と同じ物性の天然黒鉛3を500gと、CMC5を5gと、SBR(固形分濃度40%)を12.5g秤量して混合物8を用意した。その混合物8を、直径200mmの2軸プラネタリ混練機10を利用して、毎分50回転で混練しながら、混合物8に10mlずつ水を加えた。混合物8の固形分濃度と、2軸プラネタリ混練機10のモータ2の負荷電圧の関係について計測を実施した。結果を図2に示している。図2に示すグラフは、縦軸にモータ2の負荷電力を示し、横軸の混合物8の固形分濃度を示している。図2に示すように、モータ2に加わる電力が最大になる固形分濃度は、61%であることが判明した。
本実施例では、第1実施例と同じ物性の天然黒鉛3を500gと、CMC5を5gと、SBRを12.5g秤量して混合物8を複数個用意した。その混合物8に水の量を変えて、下記(A)〜(C)に示す3種類の固形分濃度の混合物8を用意した。また、比較例2として、下記(D),(E)に示す2種類の固形分濃度の混合物8も用意した。
(A)固形分濃度61%
(B)固形分濃度56%
(C)固形分濃度51%
(D)固形分濃度65%
(E)固形分濃度46%
上記(A)〜(E)の混合物8を、直径200mmの2軸プラネタリ混練機10を利用して、毎分50回転で混練し、さらに所定量の水を加えてペーストを製造した。
本実施例の二次電池について、第1実施例と同様の方法で電気容量維持率の測定を行った。結果を表1に示す。
(第3実施例)
本実施例の二次電池は、混合物8に加える水の量を決定する方法以外は、第2実施例と同様の構成である。第2実施例と相違する部分のみ説明し、第2実施例と同様の構成については説明を省略する。
タップ密度0.94g/cc,真密度2.20g/ccの天然黒鉛3を500gと、CMC5を5gと、SBRを12.5g秤量して混合物8を用意した。その混合物8に水を加えながら、混合物8の固形分濃度と、混合物8の温度の関係について計測した。その結果、混合物8の温度が最大になる固形分濃度は、61%であることが判明した。第2実施例のモータ2に加わる電力が最大になる固形分濃度と、混合物8の温度が最大になる固形分濃度が一致することが確認できた。
(第4実施例)
本実施例の二次電池は、負極活物質の製造方法以外は、第1実施例と同様の構成である。ここでは、第1実施例と相違する部分のみ説明し、第1実施例と同様の構成については説明を省略する。
第1実施例と同じ物性の天然黒鉛3を500gと、CMC5を5g秤量して混合物8を用意した。その混合物8を、常温(25℃)の窒素雰囲気(不活性ガス雰囲気)中で、ボールミルを利用して、毎分120回転で150分間混練した。ボールミルは、内径50mmの円筒状の容器を利用し、ボールの大きさは5mmとした。その後、第1実施例と同様の方法で二次電池を製造した。なお、本実施例では、天然黒鉛とCMCを混練した後、負極ペーストを製造するに先立って、混合物8を乾燥する工程を省略している。電気容量維持率の測定の結果を表1に示す。
(第5実施例)
本実施例の二次電池は、負極活物質の製造方法以外は、第1実施例と同様の構成である。ここでは、第1実施例と相違する部分のみを説明し、第1実施例と同様の構成については説明を省略する。
本発明では、天然黒鉛とCMCを混練することに先立って、天然黒鉛を不活性ガス雰囲気中で熱処理を行った。すなわち、天然黒鉛500gをアルゴン(Ar)雰囲気中で2時間加熱した後、熱処理後の天然黒鉛500gを利用して第1実施例と同様の二次電池を製造した。天然黒鉛を熱処理する温度は、(F)1100℃、(G)1400℃の2条件とした。また、比較例3として、(H)800℃、(I)1700℃で天然黒鉛を熱処理したものについても二次電池を製造した。
得られた二次電池について、第1実施例と同様の電気容量維持率の測定を実施した。結果を表2に示す。
Figure 0004973269
(比較例1)
本比較例の二次電池は、負極活物質の製造方法以外は、第1実施例と同様の構成である。第1実施例と同じ物性の天然黒鉛98質量部と、CMC1質量部と、SBR1質量部を混合して負極ペーストを作製した。混合するときに混練機等は使用しなかった。その後の工程は、第1実施例と同じである。電気容量維持率の測定の結果を表1に示す。
第1実施例の二次電池は、比較例1の二次電池よりも容量維持率が高い。すなわち、活物質(炭素材料)のタップ密度と、活物質の真密度と、溶媒の密度から導かれる上記式(1)で計算される値Nと、活物質と有機系分子鎖(CMC)と溶媒を混練するときの固形分濃度Aの関係が、N−10≦A≦Nを満足することによって、二次電池の容量維持率を高くすることができる。すなわち、長期間充放電を繰り返しても、負極電極から活物質が剥離しないことを示している。この現象は、活物質の表面に有機系分子鎖が化学結合していることを示している。
第2実施例の(A)〜(C)から明らかなように、活物質3と有機系分子鎖5を含む混合物8を混練するときに、その混合物8にかかる力が最大になるときの固形分濃度をA1とし、活物質3と有機系分子鎖5を含む混合物を混練するときの固形分濃度をA2としたときに、A1−10≦A2にすることによって、活物質3の表面に有機系分子鎖5を化学吸着させることができる。比較例2(E)に示すように、A1−10≦A2の範囲外にすると、二次電池の容量維持率が低下する。活物質3の表面に有機系分子鎖5が化学吸着していないため、充放電を繰り返す間に、集電体の表面から活物質3が剥離したからである。また、混合物8にかかる力が最大のときの固形分濃度A1と値Nは等しい。すなわち、第2実施例(A)〜(C)と比較例2(D),(E)からも、炭素材料(活物質)のタップ密度と、炭素材料の真密度と、溶媒の密度から導かれる値Nと、炭素材料と有機系分子鎖と溶媒を混練するときの固形分濃度Aの関係が、N−10≦A≦Nを満足することによって、二次電池の容量維持率を高くすることができることを示している。
第4実施例の二次電池は、比較例1の二次電池よりも容量維持率が高い。すなわち、活物質(炭素材料)3と有機系分子鎖(CMC)5からなる混合物8を混練することによって、活物質3の表面に有機系分子鎖5を化学吸着させることができることを示している。
表2から明らかなように、活物質3の表面に有機系分子鎖5を化学吸着させるに先立って、熱処理1000℃以上で1500℃以下の温度で熱処理を実施することによって、容量維持率を高くすることができる。実施例1と比較して、実施例5(F),(G)の容量維持率は高くなっている。すなわち、活物質3の表面に有機系分子鎖5がより多く化学吸着していることを示している。比較例3(H)の容量維持率は、実施例1とほぼ同じである。これは、1000℃よりも低い温度で活物質3の熱処理を実施しても、活物質3の表面に吸着する有機系分子鎖5の量は増加しないことを示している。比較例3(I)では、実施例1よりも容量維持率が低くなっている。この現象は、活物質3が結晶化することによって、活物質3の表面に、有機系分子鎖5が化学吸着するための不対電子7が減少したことを示している。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時の請求項に記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数の目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
実施例の活物質を模式的に示す。 モータの負荷と混合物の固形分濃度の関係を示すグラフ。 モータの負荷と混合物の混練時間の関係を示すグラフ。 ペースト製造装置を示す。 モータの負荷を計測し、所定量の溶媒を追加してペーストを製造するフローチャートを示す。 モータの負荷を計測してペーストを製造するフローチャートを示す。 混合物の温度を計測してペーストを製造するフローチャートを示す。 活物質の表面を拡大した図を示す。図8(a)は活物質の熱処理前を示し、図8(b)は活物質の熱処理後を示し、図8(c)は有機系分子鎖が活物質に化学吸着している様子を示す。
符号の説明
1:処理済活物質
3:活物質
5:有機系分子鎖
7:不対電子
8:混合物
10:製造装置
11:熱電対
16:溶媒供給装置
20:制御装置

Claims (3)

  1. 活物質のタップ密度をDt、活物質の真密度をDr、溶媒の密度をDsとしたときに、下記式(1)で計算される値Nと、
    N=100/(1+(1/Dt−1/Dr)×Ds) (1)
    活物質と有機系分子鎖と溶媒を含む混合物中の固形分濃度Aとの間に、下記式(2)、
    N−10≦A≦N (2)
    が成立する条件で前記混合物を混練することを特徴とする活物質の処理方法。
  2. 混練工程に先立って、活物質を、真空中または不活性ガス雰囲気中で、1000℃以上で1500℃以下の温度に加熱することを特徴とする請求項1に記載の活物質の処理方法。
  3. 請求項1又は2の活物質の処理方法を実施した後に、溶媒を追加して混練する工程を継続することを特徴とするペーストの製造方法。
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