JP4971518B1 - 無機繊維ブロック - Google Patents

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Abstract

【課題】無機繊維ブロック間に生じる目地開きを抑制できる無機繊維ブロックを提供する。
【解決手段】無機繊維からなるブランケット状物を積層して形成される無機繊維ブロック1において、無機繊維の組成が下記の条件を満たす無機繊維ブロック。SiO:66〜82重量%、CaO:10〜34重量%、MgO:3重量%以下、Al:5重量%以下、他の酸化物:2重量%未満
【選択図】図1

Description

本発明は、無機繊維ブロックに関する。さらに詳しくは、各種工業炉の耐火断熱材等として使用される、無機繊維ブロックに関する。
無機繊維ブロックは耐熱性に優れるため、例えば、工業炉の内張用耐火断熱材として使用されている。無機繊維ブロックは、無機繊維からなるブランケットの積層体を圧縮し、バンド締めや縫製によってブロック状にしたものである。無機繊維ブロックは、炉壁や炉ケーシングに取り付けて断熱構造体として使用される。無機繊維ブロックは、施工しやすいように支持金具や冶具等が組み込まれている場合がある。
ブランケットの材料である無機繊維としては、セラミックファイバーが多く使用されている。例えば、特許文献1にはセラミックファイバーブランケットとアルミナファイバーブランケットを積層した無機繊維ブロックが開示されている。
ところで、セラミックファイバーのブランケットから作製したブロックは、熱収縮のため、高温下で使用するとブロック間に目地開きを生じることがある。目地開きは、炉壁を損傷する原因になる場合がある。
目地開きを防止するために、特許文献1、2等ではセラミックファイバーブランケットとアルミナファイバーブランケットを組み合わせた無機繊維ブロックを提案している。しかしながら、アルミナファイバーは非常に高価であるという問題がある。
特開平09−156989号公報 特開2006−76015号公報
本発明の目的は、無機繊維ブロック間に生じる目地開きを抑制できる無機繊維ブロックを提供することである。
本発明者らは鋭意研究の結果、無機繊維を構成する、SiO、CaO、MgO、Alの各酸化物の含有率を所定の値とすることにより、無機繊維ブロック間に生じる目地開きを抑制できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下の無機繊維ブロック等が提供される。
1.無機繊維からなるブランケット状物を積層して形成される無機繊維ブロックにおいて、前記無機繊維の組成が下記の条件を満たす無機繊維ブロック。
SiO :66〜82質量
CaO :10〜34質量
MgO :3質量%以下
Al:5質量%以下
他の酸化物 2質量%未満
2.前記無機繊維が以下の組成を有する、1に記載の無機繊維ブロック。
SiO 71〜80質量
CaO 18〜27質量
MgO 0〜3質量
Al 1.1〜3.4質量
但し、ZrO、R(RはSc,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Y又はこれらの混合物から選択される)はそれぞれ0.1質量%以下であり、アルカリ金属酸化物は0.2質量%以下であり、
SiO、CaO、MgO、Alの合計は99質量%以上である。
3.前記無機繊維が以下の組成を有する、1に記載の無機繊維ブロック。
SiO 71質量%〜80質量
CaO 18質量%〜27質量
MgO 0〜3質量
Al 2.0質量%〜3.4質量
但し、ZrO、R(RはSc,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Y又はこれらの混合物から選択される)はそれぞれ0.1質量%以下であり、
SiO、CaO、MgO、Alの合計は99質量%以上である。
4.少なくとも1000℃で8時間加熱した後でも形状を維持する1〜3のいずれかに記載の無機繊維ブロック。
5.少なくとも1300℃で8時間加熱した後でも形状を維持する1〜3のいずれかに記載の無機繊維ブロック。
6.上記1〜5のいずれかに記載の無機繊維ブロックを2つ以上隣接して配置してなる断熱構造体。
7.前記断熱構造体を構成する無機繊維ブロック間又は前記無機繊維ブロックを構成するブランケット間の目地開きが、1300℃で24時間加熱後において、7.5mm以下である6に記載の断熱構造体。
本発明によれば、無機繊維ブロック間に生じる目地開きを抑制できる無機繊維ブロックを提供できる。また、本発明の無機繊維ブロックは生体溶解性無機繊維から製造されている。従って、無機繊維ブロックからなる断熱構造体の施工時や解体時に、作業者の健康を損なうおそれが少ない。
本発明の一実施形態の無機繊維ブロックの概略斜視図である。 本発明の他の実施形態の無機繊維ブロックの概略斜視図である。 加熱試験で形成した断熱構造体の概略側面図であり、(a)は加熱試験前の状態を、(b)は加熱試験後の状態を示す。 (a)は実施例2で作製した無機繊維ブロックからなる断熱構造体の、加熱前の写真であり、(b)は該断熱構造体を1300℃で24時間加熱した後の写真である。 (a)は比較例1で作製した無機繊維ブロックからなる断熱構造体の、加熱前の写真であり、(b)は該断熱構造体を1300℃で24時間加熱した後の写真である。 (a)は実施例3で作製した無機繊維ブロックからなる断熱構造体の、加熱前の写真であり、(b)は該断熱構造体を1300℃で24時間加熱した後の写真である。 (a)は比較例2で作製した無機繊維ブロックからなる断熱構造体の、加熱前の写真であり、(b)は該断熱構造体を1300℃で24時間加熱した後の写真である。
本発明の無機繊維ブロックは、無機繊維からなるブランケット状物を積層して形成され、無機繊維の組成が下記の条件を満たすことを特徴とする。
SiO:66〜82質量%(例えば、68〜80質量%、70〜80質量%、71〜80質量%又は71〜76質量%とできる)
CaO:10〜34質量%(例えば、20〜30質量%又は21〜26質量%とできる)
MgO:3質量%以下(例えば、1質量%以下とできる)
Al:5質量%以下(例えば3.5質量%以下又は3質量%以下とできる。また、1質量%以上又は2質量%以上とできる)
他の酸化物:2質量%未満
SiOが上記範囲であると耐熱性に優れる。CaOとMgOが上記範囲であると加熱前後の生体溶解性に優れる。Alが上記範囲であると耐熱性に優れる。
他の酸化物としては、アルカリ金属酸化物(KO、NaO等)、Fe、ZrO、P、B、R(RはSc,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Y又はこれらの混合物から選択される)等が挙げられる。これら酸化物を1以上含んでもよく、含まなくてもよい。他の酸化物は、それぞれ、0.2質量%以下又は0.1質量%以下としてよい。好ましくは、すべてのアルカリ金属酸化物の合計が0.2質量%以下又は0.1質量%以下である。
また、SiO、CaO、MgO、Alの合計を98質量%超又は99質量%超としてよい。
本発明では、特に、無機繊維の組成が下記の条件を満たすことが好ましい。
SiO 71〜80質量
CaO 18〜27質量
MgO 0〜3質量
Al 1.1〜3.4質量
上記繊維は、通常、ZrOを含まない。ZrOは0.1質量%以下又は0.1質量%未満である。
また、通常、R(RはSc,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Y又はこれらの混合物から選択される)を含まない。Rは0.1質量%以下又は0.1質量%未満である。
アルカリ金属酸化物は含まれても含まれなくてもよく、各々0.2質量%以下、0.15質量%以下又は0.1質量%以下とすることができる。好ましくは、すべてのアルカリ金属酸化物の合計が0.2質量%以下である。アルカリ金属酸化物は各々0.01質量%超、0.05質量%以上又は0.08質量%以上含まれていてもよい。
Oは含まれても含まれなくてもよく、0.2質量%以下、0.15質量%以下又は0.1質量%以下とすることができる。KOは0.01質量%超、0.05質量%以上又は0.08質量%以上含まれていてもよい。
NaOは含まれても含まれなくてよく、0.2質量%以下、0.15質量%以下又は0.1質量%以下とすることができる。NaOは0.01質量%超、0.05質量%以上又は0.08質量%以上含まれていてもよい。
上記繊維は、通常、TiOを含まない。また、ZnO、B、P、SrOの各々を含まない。SrO、Pは0.1質量%以下又は0.1質量%未満含まれる場合がある。
Feは0.1〜0.3質量%含まれていてもよい。
SiO、CaO、MgO、Alの合計は、99質量%以上であり、99.5質量%以上又は99.7質量%以上とすることができる。
Feを含むとき、SiO、CaO、MgO、Al、Feの合計は、99.7質量%以上、99.8質量%以上、99.9質量%以上、又は100質量%とすることができる。
SiOが71〜80質量%であると耐熱性に優れる。SiOが多すぎると加熱後に生成する発癌性物質であるクリストバライトの生成量が増す恐れがある。好ましくは71〜77質量%、より好ましくは71〜76質量%である。
CaOが18〜27質量%であると生体溶解性に優れ、製品引張強度も高くなる。好ましくは20〜27質量%であり、より好ましくは21〜26質量%、さらに好ましくは23〜26質量%である。
MgOが0〜3質量%であると生体溶解性に優れる。MgOが多すぎると加熱後生体溶解性が悪化するおそれがある。好ましくは0〜1質量%である。好ましくは0質量%であるが、通常不純物が混入するため0質量%を超えて存在する。
Alが1.1〜3.4質量%であると、加熱収縮率が低くなり耐熱性が増す。また、繊維品質を損なうことなく、繊維が適度な水溶性を有するようになり、加工しやすくなる。好ましくは、1.3〜3.0質量%である。
Alの量を1.3〜1.95質量%又は1.4〜1.7質量%とすることができる。また、Alの量を1.5〜3又は2〜3質量%とすることができる。Alの量が2.0質量%以上のとき、アルカリ金属酸化物を各々0.2質量%以上(例えば0.2〜1.5質量%)含んでもよい。
上記の繊維は、上記の組成を有することにより、生体溶解性に優れ、特に加熱後に生体溶解性が高まる。加熱前に生体溶解性を有することは、製造、設置等の際に作業者の健康を損なう恐れが少ない。加熱後に生体溶解性を有することは、加熱環境下での使用後の分解、解体等の際に作業者の健康を損なう恐れが少ない。
尚、生体溶解性無機繊維は、例えば、40℃における生理食塩水溶解率が1%以上の無機繊維である。
生理食塩水溶解率は、例えば、次のようにして測定される。すなわち、先ず、無機繊維を200メッシュ以下に粉砕して調製された試料1g及び生理食塩水150mLを三角フラスコ(容積300mL)に入れ、40℃のインキュベーターに設置する。次に、三角フラスコに、毎分120回転の水平振動を50時間継続して加える。その後、ろ過により得られた濾液に含有されている各元素の濃度(mg/L)をICP発光分析装置により測定する。そして、測定された各元素の濃度と、溶解前の無機繊維における各元素の含有量(重量%)と、に基づいて、生理食塩水溶解率(%)を算出する。すなわち、例えば、測定元素が、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)及びアルミニウム(Al)である場合には、次の式により、生理食塩水溶解率C(%)を算出する;C(%)=[ろ液量(L)×(a1+a2+a3+a4)×100]/[溶解前の無機繊維の重量(mg)×(b1+b2+b3+b4)/100]。この式において、a1、a2、a3及びa4は、それぞれ測定されたケイ素、マグネシウム、カルシウム及びアルミニウムの濃度(mg/L)であり、b1、b2、b3及びb4は、それぞれ溶解前の無機繊維におけるケイ素、マグネシウム、カルシウム及びアルミニウムの含有量(重量%)である。
上記の無機繊維からなるブランケット状物から製造したブロックは、加熱収縮率が小さい。その結果、複数の無機繊維ブロックからなる断熱構造体において、断熱構造体が使用時に被る熱により生じる、無機繊維ブロック間の目地開きを抑制できる。
上記組成を有する無機繊維は、本技術分野における通常の方法により製造できる。具体的に、SiO、CaO、MgO、Al等の原料酸化物を、上記組成を満たすように含む溶融物を作製し、溶融物を繊維化して製造する。繊維化するには、例えば、高速回転しているホイール上に熔解した原料を流し当てることで繊維化するスピニング法及び熔解した原料に圧縮空気を当てることで繊維化するブロー法等がある。
尚、上述した無機繊維の組成では、通常の製造方法により繊維品質の良い繊維を得ることができる。さらに、この繊維を製造するための溶融物は、粘度が低いため、低い温度で細い繊維ができる。製造の際、高温で高速で紡糸することにより繊維径を細くできる。平均繊維径は通常2〜6μmであり、好ましくは2〜4μmである。
繊維径が細いと、手触りが滑らかであり、チクチク感が生じない。繊維径が細いことは、生体内に入っても容易に溶解しやすいことの他に、製品単位体積当たりの繊維本数が増えることを意味しており、これにより熱伝導率が低くなり断熱効果が高まる。また、加工の際も、密度の高い加工品が得られ、このことにより断熱効果が高まる。更に、繊維本数が多いと引張強度(ブランケット引張強度)も大きくなり、繊維径が細いことの利点は多い。
無機繊維の評価については、特願2011−59354を参照できる。
上述した無機繊維からなるブランケット状物を積層して、本発明の無機繊維ブロックを製造する。尚、無機繊維ブランケット状物には、市販されている一般的なブランケットの他に、フェルト状やシート状のボード状の形態を含む。以下、これらの形態を纏めてブランケットということがある。
ブランケットは、本技術分野における通常の方法により製造できる。例えば、無機繊維を連続的に積層してブランケット状に成形し、ニードルパンチ処理することにより製造できる。
尚、ブランケットは、上記の無機繊維の他、有機バインダー、無機バインダー、無機化合物等を含むことができる。これらは、本発明の効果を損なわない限り、通常使用されているものを使用できる。有機バインダーとして、澱粉、アクリルエマルジョン、パルプ、紙力増強剤、有機繊維、凝集剤等が、無機バインダーとして、コロイダルシリカ、アルミナゾル、粘土鉱物、アルミニウム塩等が例示できる。
本発明で使用するブランケットは、上述した無機繊維、及び任意に有機バインダー、無機バインダー、無機化合物から実質的になっていてもよく、また、これらの成分のみからなっていてもよい。「実質的になる」とは、上記組成物が、主に無機繊維、及び任意に有機バインダー、無機バインダー、無機化合物からなることである。ブランケットにおける無機繊維の含有率は90重量%以上であってもよく、95重量%以上であってもよい。
ブランケットは加熱処理を施されていてもよい。加熱処理温度は、ブランケットの最高使用温度以下であれば特に制限はないが、好ましくは、300℃〜1300℃、より好ましくは600℃〜1200℃、さらに好ましくは700℃〜1100℃である。
無機繊維ブランケットの厚さは特に制限はないが、通常3mm〜60mm程度である。
本発明の無機繊維ブロックは、耐熱性に優れている。具体的には、1000℃で8時間加熱処理しても、溶融することなく、また、形状を維持できる。より好ましくは、1300℃で8時間加熱処理しても、溶融することなく形状を維持できる。
尚、形状を維持するかはブロックに使用する無機繊維ブロック状物の加熱収縮率にて判断することができる。本願において形状を維持しているとは、加熱後の試料において、加熱前後の寸法変化が10%以内、好ましくは5%以内であることを意味する。
ブランケットを積層してブロックを製造する方法は、特に制限はなく、本技術分野において公知の方法が採用できる。例えば、同じ大きさに切断したブランケットを、複数枚積層する方法や、帯状に細長いブランケットを葛折り(アコーディオン状)に積み重ねることにより積層する方法が挙げられる。
尚、各ブランケット間に接着剤を使用してもよい。接着剤はアクリル樹脂の他、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂等の市販されている有機系接着剤等でもよく、また、コロイダルシリカ、アルミナゾル、水ガラス、無機系接着剤等でもよい。これらから1種又は2種以上選定すればよい。
図1は、本発明の一実施形態の無機繊維ブロックの概略斜視図である。
本実施形態の無機繊維ブロック1は、略正方形状に切断したブランケット11を6枚積層することによりブロック状に成形したものである。尚、各ブランケット11は接着剤によって互いに接着していてもよく、また、タックピン等により縫製し固定してもよい。
本実施形態では、ブランケット11を結束バンド13により結束してあり、また、側板12を使用している。さらに、無機繊維ブロックの略中央には支持金具14が設置されている。
図2は、本発明の他の実施形態の無機繊維ブロックの概略斜視図である。
本実施形態の無機繊維ブロック2は、帯状に細長いブランケット11をアコーディオン状に積み重ねることによりブロック状に成形したものである。本実施形態においても、無機繊維ブロック1と同様に、ブランケット11を結束バンド13により結束してあり、また、側板12を使用している。さらに、無機繊維ブロックの略中央には支持金具14が設置されている。
ブランケットの積層枚数は、特に制限はなく、要求されるブロックの形状となるように調整することができるが、一般には、1枚〜30枚程度、好ましくは3枚〜20枚、さらに好ましくは5枚〜15枚である。
また、ブロックの形状や大きさについても特に限定はないが、略直方体や略正方体であることが好ましい。大きさについては、1辺が約2.5cm〜150cm、好ましくは5.0cm〜100cm、さらに好ましくは5.0cm〜90cmであることが一般的である。
無機繊維ブロックの密度は、用途により適宜調整すればよいが、通常、80kg/m〜300kg/m、好ましくは100kg/m〜250kg/m、さらに好ましくは100kg/m〜200kg/mである。尚、密度はブランケットの密度や、ブランケットの積層体を圧縮することにより調整できる。
尚、本発明の無機繊維ブロックでは、上述した実施形態のように、支持金具、結束バンド(PPバンド等)、側板(強化段ボール等)等、本技術分野で通常使用される部材等を使用してもよい。
無機繊維ブロックは、例えば、2つ以上隣接して設置することで断熱構造体を形成する。断熱構造体は、各種工業炉の内張用耐火断熱材として使用できる。
隣接するブロック間には、目地材を充填してもよく、また、しなくてもよい。目地材としては、上述した本願記載の無機繊維や、アルミナ繊維、ムライト繊維、不定形材料、無機系接着剤等から1種又は2種以上を適宜選定すればよい。
本発明の断熱構造体は、無機繊維ブロック間又は前記無機繊維ブロックを構成するブランケット間の目地開きを抑制できる。具体的に、一辺が約300mmの立方体上のブロックを3行3列に積み重ねた断熱構造体において、1300℃で24時間加熱した前後における目地開きが7.5mm以下である。尚、目地開きの測定の詳細は実施例に示す。
実施例1[積層接着型の無機繊維ブロックの作製]
SiO含有量が72質量%、CaO含有量が25質量%、MgO含有量が0.3質量%、Al含有量が2質量%である無機繊維を製造した。
この無機繊維からなるブランケットを製造した。無機繊維ブランケットの密度は160kg/m、厚さを50mmとした。
得られたブランケットの加熱収縮率は、1000℃で8時間の加熱後では−0.1%、1300℃で8時間の加熱後では3.4%であった。
上記無機繊維ブランケットを280mm×300mmの長方形に切断し、これを6枚積層した。各ブランケット間は接着剤(アクリル樹脂)で固定した。
ブランケットの積層体を積層方向から圧縮して、全体の厚さを275mmとして無機繊維ブロックを作製した。
尚、SiO含有量が66質量%、CaO含有量が30質量%、MgO含有量が3質量%、Al含有量が1質量%である無機繊維を実施例1と同様にして作製しブランケットとしたものについて、加熱収縮率を測定した。その結果、1000℃で8時間の加熱後では−0.3%、1300℃で8時間の加熱後では21.9%であった。1300℃の試験では、ブランケットはほぼ溶融していた。
実施例2[積層縫製型の無機繊維ブロックの作製]
無機繊維ブランケットの密度を136kg/m、厚さを30mmに変更した他は、実施例1と同様にして無機繊維ブランケットを作製した。
無機繊維ブランケットを300mm角に切り出し、12枚積層した。各ブランケット間は、タックピン、支持金具、バンドにより固定した。
ブランケットの積層体を積層方向から圧縮して、全体の厚さを275mmとして無機繊維ブロックを作製した。
比較例1
無機繊維として、SiO含有量が52質量%、Al含有量が48質量%であるセラミック繊維を使用した他は、実施例2と同様にして無機繊維ブロックを作製した。
尚、セラミック繊維ブランケットの加熱収縮率は、1000℃で8時間の加熱後では1.7%、1300℃で8時間の加熱後では4.1%であった。

実施例3[アコーディオン型の無機繊維ブロックの作製]
無機繊維ブランケットの密度を100kg/m、厚さを25mmに変更した他は、実施例1と同様にして無機繊維ブランケットを作製した。
無機繊維ブランケットを300mm幅の帯状とし、図2に示すようにアコーディオン状に16折にして積層した。各ブランケット間は、支持金具、バンドにより固定した。
ブランケットの積層体を積層方向から圧縮して、全体の厚さを275mmとして無機繊維ブロックを作製した。
比較例2
無機繊維に比較例1と同じセラミック繊維を使用した他は、実施例3と同様にして無機繊維ブロックを作製した。
上記実施例及び比較例で作製した無機繊維ブロックについて以下の加熱試験を実施した。
図3(a)に示すように、各例で作製した無機繊維ブロック1を9つ使用し、3行3列に、ブロック間の隙間(目地)がなるべく生じないように組み合わせることにより断熱構造体とした。ブロックは無機繊維ブランケットの積層方向が縦向きになるように使用した。図3において、無機繊維ブロック1中の縦線は各無機繊維ブランケットの界面を示している。
この断熱構造体を1000℃、1200℃及び1300℃の各温度で24時間加熱し、加熱前後における各ブロックの加熱収縮率を測定した。加熱収縮率は、加熱前のブロックの長さをXmm、加熱後の長さをYmmとし、次式により求めた。
加熱収縮率(%)={(X−Y)/X}×100
測定方向は無機繊維ブランケットの積層方向及び該積層方向に直交する方向(長手方向という)とした。9つのブロックについて測定し、その平均値を加熱収縮率とした。結果を表1及び表2に示す。
また、断熱構造体を加熱することにより、図3(b)に示すような目地21が生じる。この目地の発生について評価した。具体的に、断熱構造体を1000℃、1200℃及び1300℃の各温度で24時間加熱し、加熱前後における各ブロックの目地21の寸法を測定した。目地21の寸法は、上下に積み込んだブロック間目地の垂直方向でもっとも大きい箇所を金尺により読み取った。目地は6箇所にてそれぞれ測定し平均値を目地の寸法とした。
加熱後の目地の長さをXmm、加熱前の長さをYmmとし、次式により求めた。
目地の寸法(mm)=X−Y
実施例2で作製した無機繊維ブロックからなる断熱構造体について、加熱前の写真を図4(a)に、1300℃で24時間加熱した後の写真を図4(b)に示す。
比較例1で作製した無機繊維ブロックからなる断熱構造体について、加熱前の写真を図5(a)に、1300℃で24時間加熱した後の写真を図5(b)に示す。
実施例3で作製した無機繊維ブロックからなる断熱構造体について、加熱前の写真を図6(a)に、1300℃で24時間加熱した後の写真を図6(b)に示す。
比較例2で作製した無機繊維ブロックからなる断熱構造体について、加熱前の写真を図7(a)に、1300℃で24時間加熱した後の写真を図7(b)に示す。
図4〜図7に示す写真から、本発明の無機繊維ブロックからなる断熱構造体では、比較例と比べて加熱後の目地開きが生じにくいことが確認できた。
本発明の無機繊維ブロックは、各種工業炉の内張用耐火断熱材等として使用できる。
1,2 無機繊維ブロック
11 無機繊維ブランケット
12 側板
13 結束バンド
14 支持金具
21 目地

Claims (5)

  1. 無機繊維からなるブランケット状物を積層して形成される無機繊維ブロックにおいて、
    前記無機繊維が以下の組成を有する、無機繊維ブロック。
    SiO 71〜80質量%
    CaO 18〜27質量%
    MgO 0〜3質量%
    Al 1.1〜3.4質量%
    但し、ZrO 、R (RはSc,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Y又はこれらの混合物から選択される)はそれぞれ0.1質量%以下であり、アルカリ金属酸化物は0.2質量%以下であり、
    SiO 、CaO、MgO、Al の合計は99質量%以上である。
  2. 少なくとも1000℃で8時間加熱した後でも形状を維持する請求項に記載の無機繊維ブロック。
  3. 少なくとも1300℃で8時間加熱した後でも形状を維持する請求項1又は2に記載の無機繊維ブロック。
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の無機繊維ブロックを2つ以上隣接して配置してなる断熱構造体。
  5. 前記断熱構造体を構成する無機繊維ブロック間又は前記無機繊維ブロックを構成するブランケット間の目地開きが、1300℃で24時間加熱後において、7.5mm以下である請求項に記載の断熱構造体。
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