JP5113301B1 - 無機繊維ブロック - Google Patents
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Abstract
【解決手段】無機繊維からなるブランケット状物を積層して形成される無機繊維ブロック1において、無機繊維の組成が下記の条件を満たす無機繊維ブロック1。SiO2:66〜82質量%、CaO:10〜34質量%、MgO:3質量%以下、Al2O3:5質量%以下、他の酸化物2質量%未満
【選択図】図1
Description
ブランケットの材料である無機繊維としては、セラミックファイバーが多く使用されている。例えば、特許文献1にはセラミックファイバーブランケットとアルミナファイバーブランケットを積層した無機繊維ブロックが開示されている。
目地開きを防止するために、特許文献1、2等ではセラミックファイバーブランケットとアルミナファイバーブランケットを組み合わせた無機繊維ブロックを提案している。しかしながら、アルミナファイバーは非常に高価であるという問題がある。
1.無機繊維からなるブランケット状物を積層して形成される無機繊維ブロックにおいて、前記無機繊維の組成が下記の条件を満たす無機繊維ブロック。
SiO2 :66〜82質量%
CaO :10〜34質量%
MgO :3質量%以下
Al2O3:5質量%以下
他の酸化物 2質量%未満
2.前記無機繊維が以下の組成を有する、1に記載の無機繊維ブロック。
SiO2 71〜80質量%
CaO 18〜27質量%
MgO 0〜3質量%
Al2O3 1.1〜3.4質量%
但し、ZrO2、R2O3(RはSc,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Y又はこれらの混合物から選択される)はそれぞれ0.1質量%以下であり、アルカリ金属酸化物は0.2質量%以下であり、
SiO2、CaO、MgO、Al2O3の合計は99質量%以上である。
3.前記無機繊維が以下の組成を有する、1に記載の無機繊維ブロック。
SiO2 71質量%〜80質量%
CaO 18質量%〜27質量%
MgO 0〜3質量%
Al2O3 2.0質量%〜3.4質量%
但し、ZrO2、R2O3(RはSc,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Y又はこれらの混合物から選択される)はそれぞれ0.1質量%以下であり、
SiO2、CaO、MgO、Al2O3の合計は99質量%以上である。
4.少なくとも1000℃で8時間加熱した後でも形状を維持する1〜3のいずれかに記載の無機繊維ブロック。
5.少なくとも1300℃で8時間加熱した後でも形状を維持する1〜3のいずれかに記載の無機繊維ブロック。
6.上記1〜5のいずれかに記載の無機繊維ブロックを2つ以上隣接して配置してなる断熱構造体。
7.前記断熱構造体を構成する無機繊維ブロック間又は前記無機繊維ブロックを構成するブランケット間の目地開きが、1300℃で24時間加熱後において、7.5mm以下である6に記載の断熱構造体。
SiO2:66〜82質量%(例えば、68〜80質量%、70〜80質量%、71〜80質量%又は71〜76質量%とできる)
CaO:10〜34質量%(例えば、20〜30質量%又は21〜26質量%とできる)
MgO:3質量%以下(例えば、1質量%以下とできる)
Al2O3:5質量%以下(例えば3.5質量%以下又は3質量%以下とできる。また、1質量%以上又は2質量%以上とできる)
他の酸化物:2質量%未満
また、SiO2、CaO、MgO、Al2O3の合計を98wt%超又は99wt%超としてよい。
SiO2 71〜80質量%
CaO 18〜27質量%
MgO 0〜3質量%
Al2O3 1.1〜3.4質量%
また、通常、R2O3(RはSc,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Y又はこれらの混合物から選択される)を含まない。R2O3は0.1質量%以下又は0.1質量%未満である。
K2Oは含まれても含まれなくてもよく、0.2質量%以下、0.15質量%以下又は0.1質量%以下とすることができる。K2Oは0.01質量%超、0.05質量%以上又は0.08質量%以上含まれていてもよい。
Na2Oは含まれても含まれなくてよく、0.2質量%以下、0.15質量%以下又は0.1質量%以下とすることができる。Na2Oは0.01質量%超、0.05質量%以上又は0.08質量%以上含まれていてもよい。
Fe2O3は0.1〜0.3質量%含まれていてもよい。
Fe2O3を含むとき、SiO2、CaO、MgO、Al2O3、Fe2O3の合計は、99.7質量%以上、99.8質量%以上、99.9質量%以上、又は100質量%とすることができる。
CaOが18〜27質量%であると生体溶解性に優れ、製品引張強度も高くなる。好ましくは20〜27質量%であり、より好ましくは21〜26質量%、さらに好ましくは23〜26質量%である。
MgOが0〜3質量%であると生体溶解性に優れる。MgOが多すぎると加熱後生体溶解性が悪化するおそれがある。好ましくは0〜1質量%である。好ましくは0質量%であるが、通常不純物が混入するため0質量%を超えて存在する。
Al2O3の量を1.3〜1.95質量%又は1.4〜1.7質量%とすることができる。また、Al2O3の量を1.5〜3又は2〜3質量%とすることができる。Al2O3の量が2.0質量%以上のとき、アルカリ金属酸化物を各々0.2質量%以上(例えば0.2〜1.5質量%)含んでもよい。
生理食塩水溶解率は、例えば、次のようにして測定される。すなわち、先ず、無機繊維を200メッシュ以下に粉砕して調製された試料1g及び生理食塩水150mLを三角フラスコ(容積300mL)に入れ、40℃のインキュベーターに設置する。次に、三角フラスコに、毎分120回転の水平振動を50時間継続して加える。その後、ろ過により得られた濾液に含有されている各元素の濃度(mg/L)をICP発光分析装置により測定する。そして、測定された各元素の濃度と、溶解前の無機繊維における各元素の含有量(質量%)と、に基づいて、生理食塩水溶解率(%)を算出する。すなわち、例えば、測定元素が、ケイ素(Si)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)及びアルミニウム(Al)である場合には、次の式により、生理食塩水溶解率C(%)を算出する;C(%)=[ろ液量(L)×(a1+a2+a3+a4)×100]/[溶解前の無機繊維の重量(mg)×(b1+b2+b3+b4)/100]。この式において、a1、a2、a3及びa4は、それぞれ測定されたケイ素、マグネシウム、カルシウム及びアルミニウムの濃度(mg/L)であり、b1、b2、b3及びb4は、それぞれ溶解前の無機繊維におけるケイ素、マグネシウム、カルシウム及びアルミニウムの含有量(質量%)である。
無機繊維の評価については、特願2011−59354を参照できる。
ブランケットは、本技術分野における通常の方法により製造できる。例えば、無機繊維を連続的に積層してブランケット状に成形し、ニードルパンチ処理することにより製造できる。
本発明で使用するブランケットは、上述した無機繊維、及び任意に有機バインダー、無機バインダー、無機化合物から実質的になっていてもよく、また、これらの成分のみからなっていてもよい。「実質的になる」とは、上記組成物が、主に無機繊維、及び任意に有機バインダー、無機バインダー、無機化合物からなることである。ブランケットにおける無機繊維の含有率は90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。
尚、形状を維持するかはブロックに使用する無機繊維ブロック状物の加熱収縮率にて判断することができる。本願において形状を維持しているとは、加熱後の試料において、加熱前後の寸法変化が10%以内、好ましくは5%以内であることを意味する。
尚、各ブランケット間に接着剤を使用してもよい。接着剤はアクリル樹脂の他、スチレン樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、イミド樹脂等の市販されている有機系接着剤等でもよく、また、コロイダルシリカ、アルミナゾル、水ガラス、無機系接着剤等でもよい。これらから1種又は2種以上選定すればよい。
本実施形態の無機繊維ブロック1は、略正方形状に切断したブランケット11を6枚積層することによりブロック状に成形したものである。尚、各ブランケット11は接着剤によって互いに接着していてもよく、また、タックピン等により縫製し固定してもよい。
本実施形態では、ブランケット11を結束バンド13により結束してあり、また、側板12を使用している。さらに、無機繊維ブロックの略中央には支持金具14が設置されている。
本実施形態の無機繊維ブロック2は、帯状に細長いブランケット11をアコーディオン状に積み重ねることによりブロック状に成形したものである。本実施形態においても、無機繊維ブロック1と同様に、ブランケット11を結束バンド13により結束してあり、また、側板12を使用している。さらに、無機繊維ブロックの略中央には支持金具14が設置されている。
また、ブロックの形状や大きさについても特に限定はないが、略直方体や略正方体であることが好ましい。大きさについては、1辺が約2.5cm〜150cm、好ましくは5.0cm〜100cm、さらに好ましくは5.0cm〜90cmであることが一般的である。
無機繊維ブロックの密度は、用途により適宜調整すればよいが、通常、80kg/m3〜300kg/m3、好ましくは100kg/m3〜250kg/m3、さらに好ましくは100kg/m3〜200kg/m3である。尚、密度はブランケットの密度や、ブランケットの積層体を圧縮することにより調整できる。
無機繊維ブロックは、例えば、2つ以上隣接して設置することで断熱構造体を形成する。断熱構造体は、各種工業炉の内張用耐火断熱材として使用できる。
隣接するブロック間には、目地材を充填してもよく、また、しなくてもよい。目地材としては、上述した本願記載の無機繊維や、アルミナ繊維、ムライト繊維、不定形材料、無機系接着剤等から1種又は2種以上を適宜選定すればよい。
SiO2含有量が72質量%、CaO含有量が25質量%、MgO含有量が0.3質量%、Al2O3含有量が2質量%である無機繊維を製造した。
この無機繊維からなるブランケットを製造した。無機繊維ブランケットの密度は160kg/m3、厚さを50mmとした。
得られたブランケットの加熱収縮率は、1000℃で8時間の加熱後では−0.1%、1300℃で8時間の加熱後では3.4%であった。
上記無機繊維ブランケットを280mm×300mmの長方形に切断し、これを6枚積層した。各ブランケット間は接着剤(アクリル樹脂)で固定した。
ブランケットの積層体を積層方向から圧縮して、全体の厚さを275mmとして無機繊維ブロックを作製した。
無機繊維ブランケットの密度を136kg/m3、厚さを30mmに変更した他は、実施例1と同様にして無機繊維ブランケットを作製した。
無機繊維ブランケットを300mm角に切り出し、12枚積層した。各ブランケット間は、タックピン、支持金具、バンドにより固定した。
ブランケットの積層体を積層方向から圧縮して、全体の厚さを275mmとして無機繊維ブロックを作製した。
無機繊維として、SiO2含有量が52質量%、Al2O3含有量が48質量%であるセラミック繊維を使用した他は、実施例2と同様にして無機繊維ブロックを作製した。
尚、セラミック繊維ブランケットの加熱収縮率は、1000℃で8時間の加熱後では1.7%、1300℃で8時間の加熱後では4.1%であった。
無機繊維ブランケットの密度を100kg/m3、厚さを25mmに変更した他は、実施例1と同様にして無機繊維ブランケットを作製した。
無機繊維ブランケットを300mm幅の帯状とし、図2に示すようにアコーディオン状に16折にして積層した。各ブランケット間は、支持金具、バンドにより固定した。
ブランケットの積層体を積層方向から圧縮して、全体の厚さを275mmとして無機繊維ブロックを作製した。
無機繊維に比較例1と同じセラミック繊維を使用した他は、実施例3と同様にして無機繊維ブロックを作製した。
図3(a)に示すように、各例で作製した無機繊維ブロック1を9つ使用し、3行3列に、ブロック間の隙間(目地)がなるべく生じないように組み合わせることにより断熱構造体とした。ブロックは無機繊維ブランケットの積層方向が縦向きになるように使用した。図3において、無機繊維ブロック1中の縦線は各無機繊維ブランケットの界面を示している。
この断熱構造体を1000℃、1200℃及び1300℃の各温度で24時間加熱し、加熱前後における各ブロックの加熱収縮率を測定した。加熱収縮率は、加熱前のブロックの長さをXmm、加熱後の長さをYmmとし、次式により求めた。
加熱収縮率(%)={(X−Y)/X}×100
測定方向は無機繊維ブランケットの積層方向及び該積層方向に直交する方向(長手方向という)とした。9つのブロックについて測定し、その平均値を加熱収縮率とした。結果を表1及び表2に示す。
加熱後の目地の長さをXmm、加熱前の長さをYmmとし、次式により求めた。
目地の寸法(mm)=X−Y
比較例1で作製した無機繊維ブロックからなる断熱構造体について、加熱前の写真を図5(a)に、1300℃で24時間加熱した後の写真を図5(b)に示す。
実施例3で作製した無機繊維ブロックからなる断熱構造体について、加熱前の写真を図6(a)に、1300℃で24時間加熱した後の写真を図6(b)に示す。
比較例2で作製した無機繊維ブロックからなる断熱構造体について、加熱前の写真を図7(a)に、1300℃で24時間加熱した後の写真を図7(b)に示す。
11 無機繊維ブランケット
12 側板
13 結束バンド
14 支持金具
21 目地
Claims (8)
- 無機繊維からなるブランケット状物を積層して形成される無機繊維ブロックにおいて、
前記無機繊維の組成が下記の条件を満たす無機繊維ブロック。
SiO 2 70質量%〜80質量%
CaO 18質量%〜27質量%
MgO 0〜3質量%
Al 2 O 3 1質量%〜3.5質量%
但し、ZrO 2 、R 2 O 3 (RはSc,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Y又はこれらの混合物から選択される)はそれぞれ0.1質量%以下であり、
SiO 2 、CaO、MgO、Al 2 O 3 の合計は98質量%以上である。 - Al 2 O 3 が1.1質量%以上である請求項1に記載の無機繊維ブロック。
- Al 2 O 3 が2質量%以上である請求項1に記載の無機繊維ブロック。
- 前記無機繊維が以下の組成を有する、請求項1に記載の無機繊維ブロック。
SiO2 71質量%〜80質量%
CaO 18質量%〜27質量%
MgO 0〜3質量%
Al2O3 2.0質量%〜3.4質量%
但し、ZrO2、R2O3(RはSc,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,Y又はこれらの混合物から選択される)はそれぞれ0.1質量%以下であり、
SiO2、CaO、MgO、Al2O3の合計は99質量%以上である。 - 少なくとも1000℃で8時間加熱した後でも形状を維持する請求項1〜4のいずれかに記載の無機繊維ブロック。
- 少なくとも1300℃で8時間加熱した後でも形状を維持する請求項1〜4のいずれかに記載の無機繊維ブロック。
- 請求項1〜6のいずれかに記載の無機繊維ブロックを2つ以上隣接して配置してなる断熱構造体。
- 前記断熱構造体を構成する無機繊維ブロック間又は前記無機繊維ブロックを構成するブランケット間の目地開きが、1300℃で24時間加熱後において、7.5mm以下である請求項7に記載の断熱構造体。
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