JP4971452B2 - 生物学的組織を高周波治療するための軟質可撓性のカテーテル - Google Patents

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Description

本発明は、遠位の端部に取り付けられた、生物学的組織を高周波治療するための少なくとも1つの電極を備えた、有利には生体適合性のプラスチックから成る軟質可撓性のカテーテルに関する。
高周波治療のためのカテーテルは、広く知られている。高周波治療中、2つの電極の間に高周波交流電圧を印加することによって、電極の間に位置する体組織に電流が形成され、その結果電流によって、電極を包囲する体組織が加熱される。本発明に関する構成のカテーテルでは、電極は、患者の体腔(たとえば血管または胆管)に挿入したあとで、体組織と導電接続される。体組織のオーム抵抗によって、電極を介して供給される交流がジュール熱に変換される。50度〜100度の温度では、体固有のタンパク質の変性(凝固)が生じ、その結果として該当する組織領域の収縮もしくは壊死が生じる。活性電極における比較的高い電流密度に基づいて、主に電極の領域で加熱が行われるので、局所的に制限された熱供給利用が実現されている。
米国特許第5782760号明細書および国際公開第2006/017754号パンフレットから、中腔性器官を高周波治療するためのカテーテルが公知である。
冒頭で述べた構成の、中腔性器官を高周波治療するか、または中空器官内で高周波治療するためのカテーテルは、
−生体適合性のプラスチックから成る軟質可能性のシャフト管を備え、シャフト管の内周面は管腔を包囲しており、その外周面は、カテーテルシャフトの外周面を成しており、
−処置に際してカテーテルを包囲する組織に高周波交流を出力するための少なくとも1つの電極を備えた遠位のシャフト区分を備え、
−電極と導電接続された電気線路を備え、電気線路は、カテーテルの近位の端部まで延びており、
−軟質可撓性のシャフト管の遠位の端部に取り付けられた遠位の端部部材を備えている。
したがって本発明の課題は、一部において液体で満たされた体腔に高周波治療を行うためのカテーテルを改良して、確実な機能性と簡単な構造とを有するカテーテルを提供することである。
この課題を解決するために、本発明によれば、遠位の端部部材が設けられており、遠位の端部部材は、近位の端部区分で、軟質可撓性のシャフト管の管腔に突入しており、突入箇所において、近位の端部区分は、シャフト管の遠位の端部とクランプ結合部を形成している。クランプ結合部は、中空円筒形のスリーブによって、スリーブが半径方向に作用するクランプ力をクランプ結合部に及ぼすように固定されている。有利には、スリーブは、軟質可撓性のシャフト管の外周面に被せ嵌められており、これによってクランプ結合部は、半径方向内向きに作用する力によって外側から固定される。端部部材が中央の貫通孔を有している場合、スリーブは、別の形態によれば、端部部材に差し込むことができ、そうしてクランプ結合部は半径方向外向きに作用する力によって内側から固定される。
スリーブが軟質可撓性のシャフト管に被せ嵌められている場合、特に有利な形態によれば、スリーブは、電極として形成することができる。
有利には、遠位の端部部材は、外周面に少なくとも1つの横断面変化を有する近位の区分を有しており、横断面変化部によって、軸方向の端部部材の摺動が困難になる。横断面変化部は、有利には半径方向外向きの突起として形成されている。
カテーテルシャフトは、2つの主形態に応じて、シャフトの遠位の端部で閉じられているか、またはシャフトの遠位の端部で開口を有している。第2の主形態では、カテーテルシャフトは、カテーテルの、遠位の端部から近位の端部に向かって連続的に延びる内腔を有しており、内腔は、有利には、誘導線が近位の開口を通って腔に進入して、遠位の開口を通って延びるように形成されている。第1の形態によれば、カテーテルは、遠位の端部で閉じられており、第2の形態によれば、カテーテルは、冷却系を有しており、冷却系は、冷媒の近位の流入部および流出部と接続されていて、カテーテルの、遠位の端部で閉じられた管腔の内側で循環する。
電極は、有利には導電性で生体適合性の材料から成っている。特に有利な形態では、少なくとも遠位の電極は、完全にまたは部分的に外科用の特殊鋼から成っている。電極は、別の形態では、白金、チタン、イリジウムまたは金から製作することもできる。有利な形態では、少なくとも遠位の電極は、0.1mmの壁厚を有していて、カテーテルの軸線に沿って約5.4mmの拡がりを有している。別の有利な形態では、カテーテルは、2つのリング電極を備えており、近位の電極と遠位の電極とは、それぞれ同じ寸法を有している。
両主形態では、有利には、別の電極が近位の電極としてシャフト管に被せ嵌められている。別の電極は、遠位の電極と同じ材料から形成して、同形に形成することができる。また螺旋コイルなどの構成をしたたとえば網状の線材、スリーブ状のセグメントも考えられ、これによってカテーテルシャフト全体の可撓性が保証されるか、もしくは複数の堅固な電極を有するシャフト管に対して高められる。
別の1形態によれば、3つ以上の電極がシャフト管に被せ嵌められている。カテーテルの双極性または多極性の構成では、電極の間に、有利には絶縁体がシャフト管に被せ嵌められており、絶縁体は、有利な形態では、同様に0.1mmの壁厚を有しており、カテーテルシャフトの軸線に沿って、電極の軸方向の活性長さの約10%の拡がりを有している。有利には、絶縁体は、PEEKから製作されている。
電極は、高周波発生器のための、カテーテルシャフトの近位の端部に配置された接続部と導電接続されている。有利な形態では、有利にはシャフト管の周面に埋め込んで延びている線路は、銅から成っていて、有利には0.15mmの直径を有している。
別の有利な形態によれば、線路は、周面に埋め込んで延びているのではなく、シャフト管の内周面に沿って延びており、開いた遠位の端部を有するカテーテルの特別な1形態では、線路を、流入する液体に対して絶縁する必要がある。カテーテルは、誘導線に被せ嵌められるように設けられている場合、さらに線路を誘導線による機械負荷に対して保護する必要がある。特に両方の場合、別の形態によれば、フレキシブルなシャフト管の管腔にプラスチックチューブが差し込まれている。
1形態によれば、線路がチューブの外周面とシャフト管の内周面との間で延びている。有利には、プラスチックチューブの外径とシャフト管の内径とは、次のように選択されていて、つまり、プラスチックチューブをシャフト管の管腔に差し込んだあとで、プラスチックチューブがシャフト管の周面と液密に結合されているので、シャフト管とプラスチックチューブとの間に液体が浸入しないように選択されている。液密の構造は、接着または溶接によっても達成される。線路の相互的な電気コンタクトひいては短絡を回避するために、電極とカテーテルの近位の端部との間で線路に個別的に電気絶縁性材料を被覆することができる。プラスチックチューブとシャフト管との間の結合は、必ずしも液密に形成する必要はない。
シャフト管の遠位の端部で、線路は、有利にはクランプコンタクトによって電極と結合されている。この場合線路は、電極の半径方向内向きに作用するクランプ力によって、電極とシャフト管との間で挟み込まれるので、電気コンタクトが形成される。電気線路を、シャフト管の内周面とプラスチックチューブの外周面との間の中間室から、シャフト管の周面を通って、シャフト管の外周面にガイドするために、シャフト管の周面に、半径方向に向いた貫通孔が設けられている。貫通孔を通って線路の遠位の端部区分が延びていて、線路の遠位の端部区分は、シャフト管の長手方向でシャフト管の外周面と各電極との間に延びて、そこで挟み付けられるように曲げられている。
シャフト管の管腔に挿入されたプラスチックチューブは、生体適合性の重合体、有利にはポリイミド(PI)から製作されている。プラスチックチューブは、有利には0.025インチまたは0.035インチの外径を有する誘導線を収容するのに適した内径を有している。有利な形態では、プラスチックチューブは、0.65mm〜1.0mmの内径を有しており、特に有利な形態では、0.81mmの内径を有している。プラスチックチューブの内周面に、付着防止被覆を設けてもよい。したがってシャフト管の別の形態では、プラスチックチューブを挿入せずに、シャフト管の内周面に付着防止被覆を設けてもよい。
軟質可撓性のシャフト管は、有利な形態では、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から成形されていて、有利には5mmより小さな、特に有利には1.8mm以下の外径を有している。シャフト管の外周面に、付着防止被覆を設けてもよい。
通常一部材から製作される遠位の端部は、別の形態によれば、2分割することができ、近位の端部片と遠位の端部片とから成っていてよく、この場合端部部材の近位の端部片と遠位の端部片とは、摩擦結合(部材相互の摩擦力に基づく結合)、形状結合(嵌合または噛合などの部材相互の形状的関係に基づく結合)または材料結合によって相互に結合されている。有利には、近位の端部片の遠位の区分は、遠位の端部片の近位の区分を包囲しているが、別の形態では、両端部片を逆に配置してもよい。
端部部材が2分割されている場合、スリーブは、有利には遠位の端部部材の両端部片を少なくとも部分長さで、近位の端部片の遠位の区分が遠位の端部片の近位の区分を包囲する箇所で、包囲している。
遠位の端部片の近位の区分の外周面に設けられた適切な凹所は、接着剤貯蔵部として働き、これによって遠位の端部片と近位の端部片との間の確実な接着結合が得られる。
別の形態では、端部部材の遠位の区分は、先端部として形成されている。遠位の開口を有するカテーテルの主形態によれば、先端部は、管腔の遠位の開口を形成する軸方向の貫通孔を有して適切に形成されている。先端部は、有利にはポリフェニレンスルホン(PPSU)またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から成っていて、場合によっては付着防止被覆を設けてもよい。
有利には円錐台形に形成された先端部の最大直径は、有利には遠位のリング電極の外径と同じ直径を有している。先端部の円錐形の外面は、先端部の外径が円錐周面の傾斜とカテーテル長手軸線に対する平行線との間で測定して5°〜85°、特に有利には15°の角度を成してカテーテルの遠位の端部に向かって先細に延びるように、形成されている。特に有利な形態では、先端部の遠位の開口が、先端部の遠位の端部と近位の端部との間の1点から遠位のカテーテル端部に向かって拡張している。このことは、特に誘導線を簡単に導入するのに役立つ。開口の拡張から生じる傾斜は、カテーテル長手軸線に対して有利には20°〜45°の角度を成して延びている。
形態に応じて、遠位の端部部材は、遠位の端部で、0.65mm〜2mmの開口直径を有している。遠位の端部部材の、円錐台形に形成された遠位の区分は、とりわけカテーテルの腔内への進入を簡単にするよう働く。
別の形態では、電極は、頭形、円錐形、トロカール形または球形の端面を有して形成してもよく、そうして同時に遠位の端部部材を形成する。
別の形態では、カテーテルは、遠位の領域で、少なくとも1つの温度センサを備えており、温度センサは、電極、カテーテルおよび/または周りに位置する組織の温度を検出して、後続処置のために測定値検出部に適切な温度測定値を供給する。
有利な形態では、シャフト管の長さは、600mm〜2000mmである。このようなカテーテルは、中空状の解剖学的な構造、たとえば静脈または輸胆管を高周波治療するための公知の使用に適しているが、このことに制限されるものではなく、新たな治療法および使用分野にも適用される。このような治療法に関して、カテーテルがどの程度中空状の解剖学的な構造に挿入されるのか認識しておくと有利である。別の形態では、シャフト管の外周面は、距離マークを備えることができる。
カテーテルの腔内の使用:
先ず誘導線が中腔性器官の腔内に位置決めされる。そのあとで高周波カテーテルが誘導線に沿って挿入され、その間誘導線は位置を維持する。高周波カテーテルの電極が所望の区分に到達すると、高周波交流電圧が電極に印加される。送りおよび戻しもしくは前進運動および後退運動によって、中腔性器官内で電極の位置を変化させることができる。
腔内の使用に際して、処理しようとする中腔性器官および場合によっては腫瘍組織が通電され、加熱され、凝固される。
たとえば静脈瘤性の静脈の処置経過:
処置しようとする血管が、先ず有利にはたとえばくるぶし付近で開かれる。次いで誘導線が場合によっては内視鏡を用いて、開いた静脈に導入される。第2のステップとして、高周波カテーテルが、遠位の端部を先にして、誘導線を介して、開いた静脈に導入されて、静脈の端部まで挿入される。この場合高周波の、凝固させることになる交流電圧は、高周波カテーテルの単数または複数の電極に未だ印加されない。
高周波カテーテルの遠位の端部が正確に位置決めされたあとで、処置するために設けられた電極に、高周波交流電圧が印加され、高周波交流電圧は、静脈を収縮させる。単極の配置構造では、処置するために設けられた電極は、高周波カテーテルの遠位の端部に配置されている。対向電極は、予め大面積で中立の電極として患者の体に置かれる。有利な形態によれば、双極性の高周波カテーテルが用いられ、この場合高周波交流電圧は、近位に配置された電極と遠位の配置された電極との間で印加される。
血管を凝固ごとのに所望の長さに狭窄するために、高周波カテーテルは、誘導線に対して相対的に、または誘導線と共に、ゆっくりと近位の方向に引き戻される。この場合作業速度は、処置しようとする血管の幾何学形状ならびに印加される高周波交流電圧に適合される。
治療効果を高めるために、高周波交流電圧を印加するまえに、静脈内に存在する血液は、スリーブによって、静脈の全長にわたって押し出される。
処置中に高周波カテーテルの遠位の端部における電極頭部の位置を推測するために、有利には、高周波カテーテルに対して平行に適応装置の結合要素から出発して、コードが緊締され、それもコードの端部またはコードのマーク箇所が患者の体の外側で大体において患者の内部の頭部電極と同じ位置に存在するように緊締される。このようにして高周波カテーテルは、特に感覚的に等速に近位方向に引き戻すことができる。位置制御の別の構成は、ソノグラフの画像形成、血管撮影の画像形成、触診またはカテーテルシャフトのマークである。
電極が、血管の、処置しようとする区分から離間すると、直ちに電極は高周波交流電圧から分離され、高周波カテーテルは、完全に患者の体から引き抜かれる。
適用装置が適切な制御装置に接続されている場合、高周波交流電圧は、凝固中、各要求に適合させることができる。たとえば遠位の電極と対向電極との間でインピーダンスに応じた音響的または視覚的な信号を送信するように制御装置が形成されている場合、高周波カテーテルの引き戻し速度も高周波交流電圧の大きさも特に簡単に各要求に適合させることができる。
たとえば輸卵管の処置経過:
内腔に関する適応装置の別の使用分野は、滅菌目的で輸卵管の狭窄もしくは閉塞にある。子宮鏡(産婦人科用の内視鏡)を用いて、先ず誘導線が、次いで高周波カテーテルが、子宮から、閉じようとする輸卵管に導入される。後続の進行は、静脈の狭窄と同様である(上記参照)。輸卵管の内部で電極を正確に位置決めしたあとで、高周波電流が出力され、電極は、規定の距離区間を引き戻され、その結果凝固した領域は、直径に関して収縮され、これによって閉じられる。
たとえば輸胆管付近における腫瘍の処置経過:
内視鏡に関する適応装置の別の使用分野は、輸胆管(ductus choledochus)付近の閉塞腫瘍の処置である。輸胆管付近の腫瘍(たとえば胆管癌)は、輸胆管を圧迫する性質を有しており、これによって輸胆管は部分的または完全に閉塞される。
適応症を処置するために、フレキシブルな内視鏡(胃鏡または十二指腸鏡)が、口腔、食道および胃を通って導入され、遠位の端部で、十二指腸乳頭の手前に位置決めされる。誘導線は、乳頭を通って輸胆管に導入され、輸胆管の、処置しようとする区分を越えて押し込まれる。次いで高周波カテーテルは、誘導線を介して内視鏡の作業通路を通って送り込まれ、それも高周波カテーテルの電極配置構造が、輸胆管の、処置しようとする領域に位置するまで送り込まれる。高周波交流電圧を電極に印加することによって、周囲に位置する組織(たとえば胆管癌)が凝固される。処置しようとする区分の拡がりに応じて、凝固過程は、別の箇所で繰り返される。閉塞を除去するために、電極は、個々の凝固過程が終了するまで各位置に留まる。これによって電極の外径に相当する内径を有する、凝固された組織から成る腔が生じる。
次いでその箇所で、必要な場合、ステント(腔が閉塞しないように確保することのできる管状の要素)が輸胆管に挿入され、これによって繊維素分泌による新たな閉塞が防止される。
以下に、図面に基づいて本発明を詳説する。
可動のシャフト管と、連続的に延びる内腔と、シャフト管の管腔に引き込まれたプラスチックチューブと、プラスチック先端部と、2つのリング電極と、電気線路と、絶縁体とを備えた、生物学的組織を高周波治療するためのカテーテルの遠位の端部区分を示す図である。 図1に示したカテーテルの構成部材としてプラスチックチューブと円錐形のプラスチック先端部とを個別的に示す図である。 図1に示したカテーテルの構成部材として軟質可撓性のシャフト管を個別的に示す図である。 図1に示したカテーテルの電極と電気線路とを個別的に示す図である。 図1に示したカテーテルの構成部材として電極の間に配置された絶縁体を個別的に示す図である。 軟質可能性のシャフト管と、連続的に延びる内腔と、2分割された遠位の端部部材と、2つのリング電極と、絶縁体とを備えた、第2形態によるカテーテルの遠位の端部区分を示す断面図である。 可撓性のシャフト管と、遠位の端部で閉じられた内腔と、2分割された遠位の端部部材と、冷却系とを備えた、第3形態によるカテーテルの遠位の端部区分を示す断面図である。 図3に示した形態のカテーテルの斜視図である。
図1には、双極性の形態で、誘導線(ガイド針)をガイドするための連続的に延びる管腔1を有する、本発明の特に有利な形態による高周波カテーテルの遠位の端部区分10を示した。
管腔1は、0.81mmの直径を有していて、したがって0.025インチの直径を有する誘導線を収容するのに適している。図示していない選択的な形態では、管腔1は、0.035インチの直径を有する誘導線を収容するのに適した比較的大きな直径を有してもよい。
カテーテルの遠位の端部は、遠位の端部部材14を備えている。端部部材14の遠位の区分14.dは、プラスチック先端部材として形成されており、端部部材14の、円筒形の近位の区分14.pは、シャフト管16の遠位の端部に突入しており、近位の区分14.pは、軟質可撓性のシャフト管16の遠位の端部とクランプ結合を成している。
端部部材14は、中央の孔を有しており、孔は、カテーテルの近位の端部まで達する管腔1に通じている。円錐台形のプラスチック先端部材として形成された、遠位の端部部材14の遠位の区分14.dの外周面は、円錐形の外周面とカテーテル軸線の平行線との間で測定して15°の角度を成して延びており、プラスチック先端部材の外径は、遠位のリング電極18の外径にスムーズに移行する。遠位の端部部材14の遠位の区分14.dと近位の区分14.pとの間の移行部で、プラスチック先端部材として成形された遠位の区分14.dの外径は、遠位のリング電極18の外径に相当する。
図示した形態では、遠位のリング電極18の他に、近位のリング電極20が、カテーテルのシャフト管16に被せ嵌められている。両リング電極18,20は、有利には生体適合性の特殊鋼から製作されている。遠位の電極18は、本形態では、スリーブ18の機能を有しており、スリーブ18は、シャフト管16と端部部材14の近位の区分14.pとの間のクランプ結合を保証し、スリーブ18は、半径方向内向きのクランプ力を、シャフト管16の、スリーブ18によって包囲される区分に及ぼし、これによってシャフト管16と遠位の端部部材14との間のクランプ力を高める。
図1から看取されないが、端部部材14の近位の区分14.pは、たとえばリング状に延びる突起としての比較的大きな直径の横断面変化部を有することができ、横断面変化部は、シャフト管16の内側で端部部材14の軸方向摺動を困難にし、したがってシャフト管16上の遠位の電極18の比較的強い保持を保証する。
可撓性のシャフト管16は、有利にはポリエーテルエーテルケトンPEEKから成形されている。
軸方向で両電極18,20の間に絶縁体26が配置されており、絶縁体26は、縦端部で、両電極18,20の一方にそれぞれ隣接しており、絶縁体26は、電極18,20と同様にカテーテルのシャフト管16の外側に被せ嵌められている。絶縁体26は、有利にはPEEKから成形されている。電極18,20ならびに絶縁体26は、2.0mmの同じ外径と、有利には1.8mmの同一の内径を有している。
遠位の電極18は、遠位のカテーテル端部に対して有利には1.8mmの間隔を有していて、かつカテーテルの縦方向で測定して約5.4mmの長さを有している。絶縁体26は、遠位の電極18と絶縁体26と近位の電極20とから成る有利には12mmの長さを有する能動部分の約10%の長さを有しており、したがって1.2mmの長さを有している。近位の電極20は、有利には遠位の電極18と同じ長さを有している。
遠位の電極18および近位の電極20と、2本の線路22,24が、有利にはクランプコンタクトによって接続されている。両線路22,24は、有利には銅から成っていて、有利には0.15mmの直径をそれぞれ有している。両線路22,24は、シャフト管16の両貫通孔28,30を通ってガイドされていて、遠位の電極18もしくは近位の電極20から、シャフト管16の内周面に沿って、カテーテルの、看取されない近位の端部に向かって延びており、そこでは線路22,24は、高周波発生器に接続するためのプラグまたはアダプタと接続されている。
貫通孔28,30は、有利にはシャフト管16の、それぞれ反対側に位置している。
線路28,30を絶縁して、シャフト管16の周面に固定するために、シャフト管16の管腔1にプラスチックチューブ12が挿入されており、プラスチックチューブ12は、カテーテルの、看取されない近位の端部から、端部部材14の、近位の区分14.pと遠位の区分14.dとの間の移行箇所まで延びている。
したがって線路22,24は、貫通孔28、30とカテーテルの近位の端部との間で、シャフト管16と内側のプラスチックチューブ12との間の中間室内で延びている。
カテーテル管腔1の直径は、本形態では、プラスチックチューブの内径1に相当する。
図1a〜図1dには、図1に示したカテーテルの構成部材を個別的に示した。図1aには、端部部材14の、プラスチック先端部として形成された遠位の区分14.dを備えたプラスチックチューブ12を示した。プラスチック先端部の遠位の端部で看取されるように、中央の孔に通じる入口がホッパ状に形成されており、この場合内周面は、ホッパ状の箇所で、円錐形の内周面とカテーテル軸線に対する平行線との間で約45°の角度を成している。ホッパ状の構成によって、誘導線の収容が簡単になる。
プラスチックチューブ12は、端部部材14の中央の孔において、端部部材14の近位の区分14.pと遠位の区分14.dとの間の移行箇所まで挿入されている。プラスチックチューブ12と端部部材14とは、本形態では、プレス嵌めまたは溶接もしくは接着結合によって相互に結合することができる。
図1bには、可撓性のシャフト管16を断面図で示した。ここでは線路22,24のための両貫通孔28,30が良好に看取される。
図1cには、所属の電気線路22,24を有する遠位の電極18および近位の電極20を断面図で示した。電気線路22,24は、カテーテルの近位の端部から、電気線路のためにそれぞれ設けられた貫通孔28,30まで、カテーテル軸線に対して平行に延びている。シャフト管16の周面における各貫通孔を通過したあとで(通過するために線路22,24は貫通孔28,30の半径方向に対応する90°の第1の折曲部を有している)、線路22,24は、またシャフト管16の周面を通過したあとでも、有利には軸方向で遠位に向かって、または軸方向で近位に向かって延びていて、適切に90°の第2の折曲部を有している。シャフト管16にリング電極18,20を被せ嵌めることによって、線路22,24は、電極18,20の、半径方向内向きに作用するクランプ力によって、各電極18,20とシャフト管16との間で挟み込まれ、これによって線路22,24と電極18,20との間のクランプコンタクトが得られる。選択的な形態では、線路と各電極との間の接続は、追加的に、または専ら材料結合、たとえば接着またはろう接によって形成することもできる。
図1dには、絶縁体26を断面図で示した。
図2には、双極性の構成をした、誘導線を貫通ガイドするための連続的に延びる管腔1を備えた、本発明による高周波カテーテルの遠位の区分10の別の形態を示した。
図1に示した形態との相違点によれば、特に遠位の端部部材14が2部分から成っていて、遠位の端部片14.1と近位の端部片14.2とから成っている。
近位の端部片14.2の、近位の円筒区分14.pは、シャフト管16の遠位の端部に突入していて、軟質可撓性のシャフト管16の遠位の端部とクランプ結合を成している。図1からは看取されないが、本形態では、近位の端部片14.2の近位の区分14.pの外周面における横断面変化がみられる。既に記載したように、横断面変化によって、クランプ結合部の耐久性が改善され、近位の端部片14.2の軸方向運動が困難になる。
近位の端部片14.2は、有利には金属から製作されており、これによってスリーブもしくは遠位のリング電極18による比較的大きな半径方向の力作用を吸収することができ、クランプ結合部の耐久性を高めることができる。
近位の端部片14.2がシャフト管16から突出する箇所で、端部片14.2の外径は、シャフト管16の外径に拡張し、かつ端部片14.2を、遠位に向かう軸方向運動に関して固定する。
遠位のリング電極18の外径への、近位の端部片14.2の外径の別の横断面拡張部は、近位の端部片14.2の遠位の端部にフランジを形成し、遠位のリング電極18の、遠位方向への軸方向運動を防止する。
遠位の端部片14.1と近位の端部片14.2とを結合するために、近位の端部片14.2の遠位の区分14.zは、遠位の端部片14.1の近位の区分14.zを包囲する。遠位の端部片14.1の外周面において、近位の区分14.zに、横断面変化部が設けられており、横断面変化部は、近位の端部片14.2の遠位の区分14.zにおける内周面の横断面変化部に対して補完的であり、そうして両端部片14.1,14.2の間の係止結合が実現される。クランプ結合もしくは係止結合を確保するために、本形態では、遠位のリング電極18が役立ち、遠位のリング電極18は、区分14.zおよび区分14.pに掛かる半径方向の力作用によって結合を保証する。
遠位の端部片14.1は、本形態でも、先端部として成形された遠位の区分を有していて、かつ有利にはプラスチックから製作されている。図2について説明した、2分割された遠位の端部部材14の形態は、図1について説明した形態と比べて有利であり、遠位の端部部材14の両端部片14.1,14.2は、異なる材料から製作することができる。
図3には、第3形態のカテーテルの遠位の端部を断面図で示した。
カテーテルの全形態と同様に、本形態でも、管腔1を包囲する軟質可撓性のシャフト管16が設けられている。両形態とは異なって、図3に示したカテーテルの管腔1は、遠位の端部で閉じられている。
第2形態と同様に、図3に示した形態でも、管腔1の直径は、軟質可撓性のシャフト管16の内径から、2分割された遠位の端部片14.1,14.2の管腔に移行する。この場合遠位の端部部材の近位の端部片14.2のは、貫通孔を有している。図2までに示した形態とは異なって、2分割された遠位の端部部材の遠位の端部片14.1は、袋孔を有している。したがってカテーテルの管腔は、第1形態および第2形態とは異なって、2分割された端部部材の遠位の端部片14.1の袋孔で終了している。したがってカテーテルの内室は包囲されているので、流体がカテーテルの内部から外部に流れることはなく、また外部から内部に流れることもない。
さらに図3に示したカテーテルは、冷媒のための、図示していない近位の流入部および流出部を備えた冷却系を有している。図3に示した冷却系は、流入管32によって形成されており、流入管32は、カテーテルの、図示していない近位の端部で保持されていて、遠位の端部は、カテーテルの遠位の端部内で比較的自由であり、図示したように遠位の端部部材14.1,14.2の孔内で運動することができる。流入管32は、シャフト管16と同様に、軟質可撓性のプラスチック、たとえばPEEKから製作されている。この場合本形態によるカテーテルは、冷却液で洗浄することができる。このために流入管32に、近位の流入部を介して冷媒が供給され、冷媒は、流入管32の遠位の開口33から流出して、とりわけカテーテルの遠位の端部を冷却する。したがって閉じた遠位のシャフト端部に基づいて、冷媒は、流入管32の外径と軟質可撓性のシャフト管16の内径との間の中間室34を通ってシャフトの近位の端部に通流して戻り、近位の流出部でカテーテルから流出する。
図4には、図3に示した形態のカテーテルを斜視図で示した。図3の説明は、完全に図4にも適用される。

Claims (31)

  1. 体腔を処置するためのカテーテルであって、
    生体適合性のプラスチックから成る軟質可能性のシャフト管(16)を備え、該シャフト管(16)は、管腔(1)を包囲しており、
    処置に際してカテーテルを包囲する体組織に高周波交流を出力するための少なくとも1つの電極(18,20)を備えた軟質可撓性の前記シャフト管(16)の遠位の区分(10)を備え、
    前記電極(18,20)と導電接続された電気線路(22,24)を備え、該電気線路(22,24)は、カテーテルの近位の端部まで延びており、
    軟質可撓性の前記シャフト管(16)の遠位の端部に取り付けられた遠位の端部部材(14)を備えている形式のものにおいて、
    前記遠位の端部部材(14)の近位の端部(14.p)が、軟質可撓性の前記シャフト管(16)の管腔に突入しており、突入箇所において、前記近位の端部(14.p)は、軟質可撓性の前記シャフト管(16)の遠位の端部とクランプ結合部を成しており、該クランプ結合部は、中空円筒形のスリーブ(18)によって、該スリーブ(18)が半径方向に作用するクランプ力を前記クランプ結合部に及ぼすように固定されていることを特徴とする、カテーテル。
  2. 前記スリーブ(18)は、導電性であり、かつ遠位の電極(18)を成している、請求項1記載のカテーテル。
  3. 前記遠位の端部部材(14)は、導電性であり、かつ遠位の電極を成している、請求項1または2記載のカテーテル。
  4. 前記遠位の端部部材(14)は、外径の少なくとも1つの横断面変化部を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載のカテーテル。
  5. 前記スリーブ(18)は、内径の少なくとも1つの横断面変化部を有している、請求項1から4までのいずれか1項記載のカテーテル。
  6. 前記遠位の端部部材(14)は、2分割されていて、かつ近位の端部片(14.2)と遠位の端部片(14.1)とから成っており、前記遠位の端部片(14.1)の近位の端部(14.z)が、部分長さ(14.z)にわたって、前記近位の端部片(14.2)の遠位の端部(14.z)に突入しているか、またはその逆であり、かつ前記両端部片(14.1,14.2)のうちの一方の端部片の前記部分長さ(14.z)にわたって、摩擦力結合、形状結合または材料結合によって、他方の端部片とそれぞれ結合されている、請求項1から5までのいずれか1項記載のカテーテル。
  7. 前記スリーブ(18)は、前記遠位の端部部材(14)の両端部片を少なくとも部分長さにわたって、前記近位の端部片(14.2)の遠位の区分(14.z)が前記遠位の端部片(14.1)の近位の区分(14.z)を包囲する箇所で、包囲している、請求項6記載のカテーテル。
  8. 前記遠位の端部部材(14)は、遠位の端部(14.d)で、当該カテーテルの遠位の端部の先端部を成す先端部として形成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載のカテーテル。
  9. 前記先端部(14.d)は、ポリフェニレンスルホン(PPSU)またはポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から成っている、請求項1から8までのいずれか1項記載のカテーテル。
  10. 前記先端部(14.d)は、付着防止被覆を備えている、請求項1から9までのいずれか1項記載のカテーテル。
  11. 前記先端部(14.d)は、円錐形、トロカール形、円筒形または球形の端面を有している、請求項8から10までのいずれか1項記載のカテーテル。
  12. 前記先端部(14.d)の外径は、軟質可撓性の前記シャフト管(16)の外径から、カテーテル長手方向に対して10°〜20°の角度で遠位の端部に向かって先細に延びている、請求項1から11までのいずれか1項記載のカテーテル。
  13. 軟質可撓性の前記シャフト管(16)の前記管腔(1)に、プラスチックチューブ(12)が嵌め込まれており、前記カテーテル管腔(1)の直径が前記プラスチックチューブの内径に減少している、請求項1から12までのいずれか1項記載のカテーテル。
  14. 前記管腔(1)は、0.65mm〜1.6mmの直径を有している、請求項1から13までのいずれか1項記載のカテーテル。
  15. 前記プラスチックチューブ(12)および軟質可撓性の前記シャフト管(16)は、電気絶縁材料から成っている、請求項1から14までのいずれか1項記載のカテーテル。
  16. 前記プラスチックチューブ(12)は、ポリイミド(PI)から成っている、請求項1から15までのいずれか1項記載のカテーテル。
  17. 軟質可撓性の前記シャフト管(16)は、溶接、接着またはプレス嵌めによって前記プラスチックチューブ(12)と液密に結合されている、請求項13から16までのいずれか1項記載のカテーテル。
  18. 軟質可撓性の前記シャフト管(16)は、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)から成っている、請求項1から17までのいずれか1項記載のカテーテル。
  19. 軟質可撓性の前記シャフト管(16)は、前記電気線路(22,24)を貫通ガイドするための少なくとも2つの貫通孔(28,30)を有している、請求項1から18までのいずれか1項記載のカテーテル。
  20. 軟質可撓性の前記シャフト管(16)に、少なくとも2つのリング電極(18,20)が被せ嵌められている、請求項1から19までのいずれか1項記載のカテーテル。
  21. 前記電極(18,20)の間に、リング状の絶縁体(26)が取り付けられている、請求項1から20までのいずれか1項記載のカテーテル。
  22. 前記リング状の絶縁体(26)は、PEEKから成っている、請求項21記載のカテーテル。
  23. 軟質可撓性の前記シャフト管(16)の長さは、600mm〜2000mmである、請求項1から22までのいずれか1項記載のカテーテル。
  24. 当該カテーテルの軟質可撓性の前記シャフト管(16)の外径は、5mm以下であり、有利には1.8mmである、請求項1から23までのいずれか1項記載のカテーテル。
  25. 当該カテーテルは、遠位の端部に、カテーテル温度もしくはカテーテル付近の組織温度を検出するための温度センサを有している、請求項1から24までのいずれか1項記載のカテーテル。
  26. 前記遠位の端部部材(14)は、中央の軸方向貫通孔を備えており、該貫通孔は、前記管腔(1)の遠位の端部区分ならびに該管腔(1)の遠位の開口を形成している、請求項1から25までのいずれか1項記載のカテーテル。
  27. 当該カテーテルの前記管腔(1)は、近位の端部から遠位の端部に向かって連続的に延びていて、かつ近位の開口と遠位の開口とを備えており、当該カテーテルは、誘導線が前記近位の開口を介して導入され、連続的に延びる前記管腔(1)を通って前記遠位の端部に向かって延びて、前記遠位の開口を通って再び導出されるように、形成されている、請求項1から26までのいずれか1項記載のカテーテル。
  28. 前記遠位の端部部材(14)は、0.65mm〜2mmの遠位の開口直径を有している、請求項26または27記載のカテーテル。
  29. 前記端部部材(14)の内径は、前記管腔(1)の内径から、前記端部部材の近位の端部と遠位の端部との間の1点で、前記端部部材(14)の遠位の端部に向かって15°〜85°の角度で拡張している、請求項26から28までのいずれか1項記載のカテーテル。
  30. 当該カテーテルは、遠位の端部で閉じられている、請求項1から26までのいずれか1項記載のカテーテル。
  31. 当該カテーテルは、冷媒のための近位の流入部と流出部とを備えた冷却系を備えている、請求項30記載のカテーテル。
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