以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。図1〜図4は、実施例に係るスロットマシンSLを図示したものである。本スロットマシンSLは、矩形箱状の本体ケース1と、各種の遊技部材を装着した前面パネル2とが、ヒンジ3を介して連結され、前面パネル2が本体ケース1に対して開閉可能に構成されている(図2)。そして、図1は前面パネル2の正面図、図2はスロットマシンSLの右側面図(a)と平面図(b)、図3は前面パネル2の背面図、図4は本体ケース1の内部正面図を示している。
図4に示す通り、本体ケース1の略中央には、3つの回転リール4a〜4cを備える図柄回転ユニット4が配置され、その下側に、メダル払出装置5が配置されている。各回転リール4a〜4cには、BB図柄、RB図柄、各種のフルーツ図柄、及びリプレイ図柄などが描かれている。メダル払出装置5には、メダルを貯留するメダルホッパー5aと、払出モータMOと、メダル払出制御基板55と、払出中継基板63と、払出センサSE(図5)などが設けられている。ここで、メダルは、払出モータMOの回転に基づいて、払出口5bから図面手前に向けて導出される。なお、限界量を越えて貯留されたメダルは、オーバーフロー部5cを通して、補助タンク6に落下するよう構成されている。
上記のメダル払出装置5に隣接して電源基板62が配置され、また、図柄回転ユニット4の上部に主制御基板50が配置され、主制御基板50に隣接して回胴設定基板54が配置されている。なお、図柄回転ユニット4の内部には、回胴LED中継基板58と回胴中継基板57とが設けられ、図柄回転ユニット4に隣接して外部集中端子板56が配置されている。
図1に示すように、前面パネル2の上部には液晶表示ユニット7が配置され、その下部には、回転リール4a〜4cに対応する3つの表示窓8a〜8cが配置されている。表示窓8a〜8cを通して、各回転リール4a〜4cの回転方向に、各々3個程度の図柄が見えるようになっており、合計9個の図柄の水平方向の三本と、対角線方向の二本が仮想的な停止ラインとなる。このような表示窓8aの左側には、遊技状態を示すLED群9が設けられ、その下方には、遊技成果として払出されるメダル数を表示する払出表示部10や、クレジット状態のメダル数を表示する貯留数表示部11が設けられている。
前面パネル2の垂直方向中央には、メダルを投入するメダル投入口12が設けられ、これに隣接して、メダル投入口12に詰まったメダルを返却させるための返却ボタン13が設けられている。また、クレジット状態のメダルを払出すクレジット精算ボタン14と、メダル投入口12へのメダル投入に代えてクレジット状態のメダルを擬似的に一枚投入する投入ボタン15と、クレジット状態のメダルを擬似的に三枚投入するマックス投入ボタン16とが設けられている。
これらの遊技部材の下方には、回転リール4a〜4cの回転を開始させるスタートレバー17と、回転中の回転リール4a〜4cを停止させるためのストップボタン18a〜18cが設けられている。その他、前面パネル2の下方には、メダルを蓄える横長の受け皿19と、払出装置5の払出口5bに連通するメダル導出口20とが設けられている。なお、メダル導出口20の左右にはスピーカSPが配置されている。
図3に示すように、前面パネル3の裏側には、メダル投入口12に投入されたメダルの選別を行うメダル選別装置21と、メダル選別装置21により不適正と判別されたメダルをメダル導出口20に案内する返却通路22とが設けられている。また、前面パネル3の裏側上部には、演出制御基板51、演出インタフェイス基板52、及び液晶制御基板61などを収容する基板ケース23が配置されている。そして、メダル選別装置21の上部には、図1に示す各種の遊技部材と主制御基板50との間の信号を中継する遊技中継基板53が設けられている。
図5は、実施例に係るスロットマシンSLの回路構成を示すブロック図である。図示の通り、このスロットマシンSLは、回転リール4a〜4cを含む各種の遊技部材の動作を制御する主制御基板50と、主制御基板50から受けた制御コマンドに基づいて演出動作を実現する演出制御基板51と、交流電圧(24V)を直流電圧(5V,12V,24V)に変換して装置各部に供給する電源基板62とを中心に構成されている。
主制御基板50は、演出制御基板51に対して、スピーカSPによる音声演出、LEDランプや冷陰極線管放電管によるランプ演出、及び、液晶表示ユニット7による図柄演出を実現するための制御コマンドを出力している。そして、演出制御基板51は、演出インタフェイス基板52を通して、液晶制御基板61に接続されており、液晶制御基板61は、液晶表示(LCD)ユニット7における図柄演出を実現している。
演出制御基板51は、演出インタフェイス基板52と共に、LED基板59やインバータ基板60や回胴LEDドライブ基板58を経由して、各種のLEDや冷陰極線管放電管におけるランプ演出を実現している。また、演出制御基板51は、演出インタフェイス基板52を通してスピーカSPを駆動して音声演出を実現している。
主制御基板50は、遊技中継基板53を通して、スロットマシンの各種遊技部材に接続されている。具体的には、スタートレバー17の始動スイッチ、ストップボタン18a〜18cの停止スイッチ、投入ボタン15,16の投入スイッチ、清算ボタン14の清算スイッチ、投入枚数判定部21dを構成するフォトインタラプタPH1,PH2、投入メダル返却部21cを構成するブロッカーソレノイド31、及び、各種LED素子9〜11などに接続されている。
また、主制御基板50は、回胴中継基板57を経由して、回転リール4a〜4cを回転させる3つのステッピングモータ、及び、回転リール4a〜4cの基準位置を検出するためのインデックスセンサに接続されている。そして、ステッピングモータを駆動又は停止させることによって、回転リール4a〜4cの回転動作と、目的位置での停止動作を実現している。
主制御基板50は、払出中継基板63を通してメダル払出装置5にも接続されている。メダル払出装置5には、メダル払出制御基板55と、メダル払出センサSEと、払出モータMOとが設けられており、メダル払出制御基板55は、主制御基板50からのメダル払出信号PAYに基づいて払出モータMOを回転させて、所定量のメダルを払出している。なお、払出モータMOは、ブラシモータなどのDCモータであり、DC24Vを受けている限り回転を継続する。
その他、主制御基板50は、外部集中端子板56と、回胴設定基板54にも接続されている。外部集中端子板56は、例えばホールコンピュータHCに接続されており、主制御基板50は、外部集中端子板56を通して、メダルの投入枚数やメダルの払出枚数などを出力している。また、回胴設定基板54は、係員が設定した確率的なメダル払出枚数のランク設定値を示す設定キー信号などを出力している。
図6(a)は、主制御基板50と、払出中継基板63と、メダル払出制御基板55との接続関係を図示した概略図である。図示の通り、メダル払出制御基板55は、払出中継基板63を経由して、主制御基板50から、メダル払出信号PAYと、DC5Vと、DC24Vとを受けている。なお、当然ながら、メダル払出制御基板55のグランドラインGNDは、主制御基板50と共通している。
図6(a)に示す通り、主制御基板50の出力部は、メダル払出信号PAYを出力する制御信号回路70と、DC5Vを出力する直流出力回路80とを有して構成されている。そして、メダル払出信号PAYとDC5Vとは、DC24V及びグランド信号を含んだ他の信号と共に、接続コネクタCN1から出力されている。
制御信号回路70は、メダルの払出枚数に対応するパルス幅τを有する駆動パルスSGを受けるNOTゲートG1と、NOTゲートG1の出力を受けるNチャンネルMOSトランジスタQaと、トランジスタQaのプルアップ抵抗Raと、で構成されている。図示の通り、トランジスタQaのゲート端子は、NOTゲートG1の出力端子に接続され、ソース端子はグランドに接続されている。また、トランジスタQaのドレイン端子は、プルアップ抵抗Raを通して主制御基板50のDC5Vの電源ラインに接続されると共に、メダル払出信号PAYの出力端子として、コネクタCN1に接続されている。
駆動パルスSGは、払出動作時にだけHレベルとなり、それ以外の定常状態では、Lレベルを維持する(図6(b)参照)。本実施例では、駆動パルスSGは、論理反転されてトランジスタQaのゲート端子に供給されるので、トランジスタQaは、払出動作時にだけOFF動作し、それ以外の定常時にはON状態となる。したがって、この実施例では、メダル払出信号PAYは、駆動パルスSGがHレベルとなる払出動作時にだけ、Hレベルとなり、それ以外の定常状態ではLレベルを維持することになる。
直流出力回路80は、DC5Vより高い入力電圧Vin(例えばDC12V)を受けてDC5Vを出力する三端子レギュレータRGで構成されている。なお、三端子レギュレータは、7805などの汎用のレギュレータICで構成され、負荷短絡時の短絡電流を抑制する過電流制限回路と、IC過熱時に出力を遮断してICチップを保護する過熱保護回路とが内蔵されている。
図6(c)は、7805の内部回路を例示したものである。この三端子レギュレータRGでは、その出力電流は、ダーリントン接続されたトランジスタQ10,Q11から流出し、トランジスタQ12が電流制限機能を果たしている。すなわち、過電流によって電流制限抵抗Rsの両端電圧が増加すると、トランジスタQ12の動作によってトランジスタQ10のベース電位が降下して過大電流が抑制される。
図6(d)は、三端子レギュレータ(7805)RGの出力電圧Voと出力電流Ioとの関係を示す特性図である。図示の通り、Vo−Io特性は、いわゆる「フの字垂下特性」を示しており、三端子レギュレータRGの出力端子が、ON状態のトランジスタQaのドレイン端子に接続された場合でも、最大短絡電流が所定レベル(例えば200mA〜300mA程度)に制限される。そこで、この実施例では、この最大短絡電流に対応する電流容量のトランジスタQaが選択されている。
図7は、メダル払出制御基板55の回路構成を具体的に図示したものである。なお、払出中継基板63は、各種の信号を分配して伝送するだけであるので図示を省略している。
図6に関して説明した通り、メダル払出制御基板55は、コネクタCN4を通して払出中継基板63に接続され、主制御基板50から、DC24V、DC5V、及びメダル払出信号PAYを受けている。そして、メダル払出制御基板55のコネクタCN5には、払出モータMOが接続されて、メダル払出信号PAYがアクティブレベル(Hレベル)であれば、払出モータMOがDC24Vを受けて連続して回転するようになっている。
メダル払出制御基板55には、フォトカプラPCによる信号伝送回路81と、バイポーラトランジスタQ3,Q4による電流制限回路82と、MOSトランジスタQ5による駆動制御回路83と、MOSトランジスタQ6による制動回路84とが設けられている。
信号伝送回路81は、主制御基板50の三端子レギュレータRGから出力されるDC5Vを受けて機能し、電流制限抵抗R1と、フォトカプラPCの発光ダイオードDと、バイポーラトランジスタQ1との直列回路で構成されている。そして、発光ダイオードDが発光してフォトカプラPCのフォトトランジスタTrがON動作すると、DC24Vが給電されて、電流制限回路82や駆動制御回路83が動作可能となる。
図示の通り、トランジスタQ1のベース端子には、ベース抵抗R2を通してメダル払出信号PAYが供給され、エミッタ端子は、グランドに接続されている。また、トランジスタQ1のコレクタ端子は、発光ダイオードDのカソード端子に接続されている。したがって、メダル払出信号PAYがHレベルになると、トランジスタQ1がON動作して、フォトカプラPCがON動作することになる。
電流制限回路82は、PNP型トランジスタQ3と、コレクタ抵抗R4、バイアス抵抗R10と、払出モータMOの電流検出抵抗R13と、バイアス抵抗R5と、コンデンサC1と、NPN型トランジスタQ4と、電流制限抵抗R8と、逆方向電流阻止用のダイオードD2とで構成されている。
トランジスタQ3のエミッタ端子は、フォトカプラのトランジスタTrのエミッタ端子と、電流制限抵抗R8とに接続されている。そして、トランジスタQ3のエミッタ端子とベース端子の間には、電流制限抵抗R8とダイオードD2とが直列接続され、ダイオードD2のカソード端子が、トランジスタQ3のベース端子に接続されている。また、ダイオードD2のカソード端子は、トランジスタQ4のコレクタ端子に接続され、そのエミッタ端子はグランドに接続されている。トランジスタQ4のベース端子は、並列接続されたコンデンサC1及び抵抗R5を通して、グランドに接続されている。
また、トランジスタQ4のベース端子は、抵抗R10を通して、NチャンネルMOSトランジスタQ5のソース端子に接続されている。NチャンネルMOSトランジスタQ5のソース端子とグランドとの間に、抵抗R13が接続されて、払出モータMOの駆動電流を監視している。なお、電流検出抵抗R13は、0.51Ω程度である。
駆動制御回路83は、NチャンネルMOSトランジスタQ5と、バイアス抵抗R9と、コンデンサC3とで構成されている。ここで、MOSトランジスタQ5のドレイン端子は、払出モータMOの(−)端子に接続されている。そして、ベース端子とソース端子との間には、並列接続された抵抗R9及びコンデンサC3が接続されている。
制動回路84は、PチャンネルMOSトランジスタQ6と、分圧用のバイアス抵抗R11,R12,R6,R7と、コンデンサC2と、逆方向電流阻止用のダイオードD1と、ポリスイッチRTとで構成されている。PチャンネルMOSトランジスタQ6のソース端子とドレイン端子は、各々、払出モータMOの(+)端子と(−)端子に接続されている。したがって、PチャンネルMOSトランジスタQ6がON動作すると払出モータMOの駆動が禁止されることになる。
一方、MOSトランジスタQ6のソース端子とゲート端子間には抵抗R11が接続され、ゲート端子とグラントとの間には、バイアス抵抗R12,R6,R7が直列接続されている。そして、抵抗R12と抵抗R6の接続点には、ダイオードD1のカソード端子が接続されている。一方、ダイオードD1のアノード端子は、フォトカプラPCのトランジスタTrのエミッタ端子と、抵抗R8とに接続されている。
ポリスイッチRTは、PチャンネルMOSトランジスタQ2のドレイン端子と払出モータMOの(+)端子との間に接続されている。ここでポリスイッチとは、ポリマー系のPTC(Positive Temperature Coefficient)サーミスタであり、素子温度が所定値より上昇すると、正常状態では1Ω以下の抵抗値が、急激に増加して104Ω〜106Ω程度になる特性を有している。したがって、例えば、払出モータMOの配線の短絡などによって過大電流が流れる場合には、DC24Vの電源ラインを開放状態にする役目を果たす。なお、このポリスイッチRTは、電流制限回路82が機能しないようなトラブル時に大きな意義がある。
続いて、主制御部50において実行されるメダル払出処理について図8のフローチャートに基づいて説明する。先ず、遊技者に払出すべきメダル払出枚数が0か否か判定され(ST10)、メダル払出枚数≠0であれば、クレジット数が上限値(例えば50枚)に達するまでは、クレジット数を増加させることで払出処理を実行する(ST11〜ST13)。
一方、このようにしてクレジット数が上限値に達するか、或いは、もともと上限値に達している場合には、メダル払出信号PAYをONレベル(Hレベル)にする(ST15)。具体的には、主制御部50の出力トランジスタQaをOFF動作させることで、メダル払出制御基板55のトランジスタQ1をON動作させて、メダル払出制御基板55のフォトカプラPCをON動作させる。その結果、払出モータMOが回転を開始してメダルの払出が開始される。
なお、このメダル払出動作時には、それまでON動作していた出力トランジスタQaがOFF状態となるので、主制御部50のDC5Vライン→プルアップ抵抗Ra→ベース抵抗R2の経路で、トランジスタQ1のベース電流が流れる。
メダル払出動作が開始されると、次に、払出センサSE(図5)がメダル払出を検出したか否か判定され(ST16)、所定の待機時間、メダルの払出が検出されるのを待つ(ST18)。そして、メダルの払出が検出されれば、払出枚数を減算し(ST17)、残余払出枚数が0になるまで同じ動作を繰返す。一方、所定の待機時間を超えても、払出センサSEがメダルの払出を検出しない場合は、メダルホッパー5aが空であると思われるので、その旨の異常報知処理を実行する(ST19)。そして、ドアセンサの開閉が検出されたら、係員による補給処理が完了したと想定して、エラー報知処理を解除してステップST15の処理に戻る。
このような処理を繰返していると、やがて、残余払出枚数が0になるので(ST13)、メダル払出信号PAYをOFF状態にして処理を終える(ST14)。具体的には、主制御部50の出力トランジスタQaをON動作させることで、メダル払出制御基板55のトランジスタQ1をOFF動作させ、メダル払出制御基板55のフォトカプラPCをOFF動作させる。この結果、払出モータMOの回転が停止される。
図9〜図10は、メダル払出動作を説明するための図面である。先ず、主制御部50の出力トランジスタQaがOFF状態となった場合(ST15)について、図9に基づいて説明する。
出力トランジスタQaがOFF状態である場合には、三端子レギュレータRG(DC5V)→抵抗R1→フォトカプラの発光ダイオードD→出力トランジスタQaの経路でON電流が流れ、フォトカプラPCがON状態となる。そして、ON状態のフォトカプラPCのトランジスタTrを通過する直流電流は、ダイオードD1→抵抗R6→R7の経路に流れる。また、トランジスタTrを通過する直流電流は、抵抗R8→抵抗R9→抵抗R13の経路と、抵抗R8→抵抗R9→抵抗R10→R5の経路にも流れる。その結果、トランジスタQ5はON状態となり、ポリスイッチRT→払出モータMO→トランジスタQ5の経路でモータ駆動電流が流れ、払出モータMOが回転する。
この時、電流制限回路82は、過大なモータ駆動電流が流れることを防止する負帰還回路として機能する。すなわち、モータ駆動電流は、電流検出抵抗R13に流れるので、仮に、モータ駆動電流が大きく増加すると、トランジスタQ4のベース電位が増加して、抵抗R8→ダイオードD2経路でコレクタ電流が流れる。
すると、トランジスタQ4とトランジスタQ3とは、サイリスタ構造を有して接続されているので、トランジスタQ4のコレクタ電流の増加が、トランジスタQ3のコレクタ電流の増加をもたらし、抵抗R5を経由してトランジスタQ4のコレクタ電流を益々増加させることで、2つのトランジスタQ3,Q4は、ON動作に向けた正帰還ループを形成する。
一方、トランジスタQ4のコレクタ電流が飽和電流に向けて増加すると、ダイオードD2のアノード端子の電位が降下するので、トランジスタQ5をOFF動作させる向きの負帰還ループが形成される。したがって、トランジスタQ5の動作に基づいて、過大なモータ駆動電流が流れることが防止され、モータ駆動電流が所定範囲に維持される。
ところで、払出モータMOが駆動されているタイミングでは、トランジスタQ6は、OFF状態である。それは、抵抗R11→抵抗R12→抵抗R6→抵抗R18の経路で電流が流れると共に、ダイオードD1→抵抗R6→抵抗R18の経路でも電流が流れるので、抵抗R11と抵抗R12の両端電圧が、トランジスタTrの飽和電圧VCEとダイオードの順方向電圧降下VFからVCE+VF≒1Vに抑制されるからである。
次に、図10に基づいて、主制御部50の出力トランジスタQaがON状態となった場合(ST13)の動作を説明する。
この場合には出力トランジスタQaがON状態であり、トランジスタQ1はOFF状態となることから、フォトカプラPCはOFF状態となり、トランジスタQ3,Q4,Q5はON状態とならない。但し、抵抗R11→抵抗R12→抵抗R6→抵抗R7→グランドの経路では電流が流れる。ここで、抵抗R11の両端電圧は、24*R11/(R11+R12+R6+R7)≒3Vとなるよう設定されているので、このソース端子とゲート端子間の電圧によってトランジスタQ6はON状態となる。
このトランジスタQ6のON動作は、フォトカプラPCのONからOFFへの遷移時に実行されるので、発電機として機能する払出モータMOの出力電流がトランジスタQ6の短絡電流として吸収され、払出モータMOの回転にブレーキがかかる。そのため、本実施例の構成によれば、慣性力によるメダルの過払いが防止される。
次に、図10に基づいて、違法行為時について説明する。トランジスタQ1をON動作させてメダル払出動作を開始させるため、例えば、コネクタCN4のメダル払出信号PAYの信号線を、DC5Vの電源ラインに接触させる違法行為が想定される。しかし、この実施例では、メダル払出時以外の定常状態では、主制御部50の出力トランジスタQaがON状態であるので、前記の違法行為によっても、三端子レギュレータRG→トランジスタQaの経路で短絡電流が流れるだけで(破線部参照)、メダル払出動作を開始させることはできない。
なお、メダル払出信号PAYの信号線を、DC24Vの電源ラインに接触させた行為もあり得ることを想定すると、DC24Vの電源ラインにも、過電流に対応して出力電流を遮断するシャットダウン回路PRTか、或いは、短絡電流を制限する図6(c)と同様の電流制限回路を設けておくのが好ましい。なお、簡易的には、シャットダウン回路PRTや電流制限回路に代えて、DC24Vの電源ラインに溶断ヒューズを配置したのでも良い。この点は、DC5Vの電源ラインについても同様であり、三端子レギュレータRGを使用することなく、シャットダウン回路PRTか、溶断ヒューズを配置しても良い。
図11(a)は、三端子レギュレータRGを使用することなく、DC5Vラインにシャットダウン回路PRTを設けた回路例である。このシャットダウン回路PRTは、過電流検出回路90と、異常検出回路91と、異常記憶回路92と、電源遮断回路93とを有して構成されている。
過電流検出回路90は、シャント抵抗Rsと、電流シャントモニタAPと、負荷抵抗RLとで構成されている。電流シャントモニタAPとして、この実施例ではTexas Instrument社のINA139(CURRENT SHUNT MONITOR)を使用している。このICは、増幅部と出力トランジスタとを有し、シャント抵抗Rsの両端電圧に比例する電流を出力トランジスタから出力するよう構成されている。そして、負荷抵抗RLの両端には、DC5Vラインの電源電流値Iに比例した検出電圧Eo(Eo∝Rs*RL*I)が得られる。
異常検出回路91は、具体的にはコンパレータCPで構成されており、正入力端子(+)には負荷抵抗RLの両端電圧が供給され、負入力端子(−)には、分圧抵抗R20,R21によって分圧された基準電圧Erが供給されている。なお、基準電圧Erは、5*R21/(R20+R21)であって、正常な電源電流Iが流れている状態における検出電圧Eoより十分に高い値に設定されている(Er>Eo)。
異常記憶回路92は、2つのNORゲートG2,G3をたすき状に接続したRSフリップフロップで構成されている。図11(b)に真理値表を示す通り、R入力端子がLレベルの状態で、S入力端子がHレベルに立ち上がるとQ出力端子がHレベルとなり、その後、S入力端子がLレベルに戻ってもQ出力端子は、Hレベルを維持する。一方、S入力端子がLレベルの状態で、R入力端子がHレベルに立ち上がるとQ出力端子がLレベルとなり、その後、R入力端子がLレベルに戻ってもQ出力端子は、Lレベルを維持する。
異常記憶回路92のS入力端子は、コンパレータCPの出力端子に接続され、R入力端子には、主制御部50が出力するリセット信号RSTが供給されるようになっている。なお、遊技機の電源投入時に一回だけ、リセット信号RSTを出力するのでも良いが、ノイズなどによる異常記憶回路92の誤動作の可能性を考慮すると、メダル払出動作に先立って、毎回、リセット信号RSTを出力するのが好ましい。
電源遮断回路93は、この実施例では、PチャンネルMOSトランジスタQbで構成されている。図示の通り、トランジスタQbのゲート端子には、異常記憶回路92のQ出力端子が接続されている。また、トランジスタQbのソース端子にはシャント抵抗Rsを経由してDC5Vが供給されている。
そのため、異常記憶回路92のQ出力端子がLレベルとなると、トランジスタQbがON動作して、トランジスタQbのドレイン端子からDC5Vの直流電圧が出力される。そして、この時、払出制御基板55のトランジスタQ1がON状態であれば、DC5V→シャント抵抗Rs→トランジスタQb→電流制限抵抗R1→フォトカプラPC→トランジスタQ1の経路で電流が流れてフォトカプラPCがON動作する。
なお、この実施例では、主制御部50の出力トランジスタQaのゲート端子には、NOTゲートを経由することなく、直接、負論理の駆動パルスSGが供給されている。但し、動作内容は、実施例1の場合と同じであり、メダルを払出さない定常状態では、主制御部50トランジスタQaがON状態であって、払出制御基板55のトランジスタQ1をOFF状態に維持している。
続いて、上記の構成を有する図11(a)のシャットダウン回路PRTの動作内容を確認的に説明する。トランジスタQ1が、ON状態であるかOFF状態であるかに限らず、遊技機が正常に動作している限り、過電流検出回路90の検出電圧Eoは、基準電圧Erより十分に低い(Eo<Er)。そのため、異常記憶回路92のS入力端子は、定常的にLレベルとなる。
この定常状態で、異常記憶回路92のR入力端子にリセット信号RSTが供給されると、異常記憶回路92のQ出力端子はLレベルとなる。すると、トランジスタQbがON動作して、トランジスタQbのドレイン端子から、払出制御基板55にDC5Vが供給されるので、トランジスタQ1のON/OFF状態に対応して、メダル払出動作(図9)か払出停止動作(図10)が正常に実行される。
ところで、出力トランジスタQaがON状態である払出禁止状態(定常状態)において、メダル払出信号PAYの信号線を、DC5Vの電源ラインに接触させる違法行為もあり得る。しかし、このような場合には、シャント抵抗Rsに過大な電流が流れることで、過電流検出回路90の検出電圧Eoが、基準電圧Erを上回る(Eo>Er)。そのため、異常記憶回路92のS入力端子がHレベルに立上ることで、異常記憶回路92のQ出力端子がHレベルとなる。すると、トランジスタQbがOFF状態となって、メダル払出制御基板55への給電が途絶え、メダル払出動作が開始されることはない。
なお、給電が途絶え、シャント抵抗Rsの両端電圧が降下して、Eo<Erの状態に戻ることで、異常記憶回路92のS入力端子がLレベルに戻るが、Q出力端子はHレベルに維持される。そのため、図11の回路構成によっても違法行為を有効に排除することができる。
なお、DC24Vの電源ラインにも同様のシャットダウン回路を設けておくと、メダル払出信号PAYの信号線を、DC24Vの電源ラインに接触させる違法行為にも有効に対処できる。図11(c)は、その回路例であり、電源電圧5Vで動作する異常記憶回路92と、DC24Vを通電させる電源開閉回路93の電圧レベルの相違を考慮してNチャンネルMOSトランジスタQcと、トランジスタQbのソース端子とゲート端子間にバイアス抵抗R22を設けている。
トランジスタQcは、異常記憶回路92のQバー出力端子の出力電圧を受けてON/OFF動作する。そして、トランジスタQcがON動作したときだけ、トランジスタQbがON動作して、払出モータMOに対するDC24Vの給電が実現される。
以上、本発明の実施例について具体的に説明したが、具体的な記載内容は特に本発明を限定する趣旨ではなく、適宜に変更可能である。例えば、先の実施例ではスロットマシンについて説明したが、遊技球の払出処理をDCモータで実現する弾球遊技機においては、本発明が好適に適用される。