JP4969471B2 - 熱交換器用アルミ円管の製造方法及び熱交換器 - Google Patents
熱交換器用アルミ円管の製造方法及び熱交換器 Download PDFInfo
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Description
また、アルミ管体表面への犠牲陽極合金の溶射は、全周ではなく、設備や材料コストが低く工業的に有用な上下方向のみの配置の溶射ノズルで処理していた(特許文献2参照)。
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものである。
また、この発明の製造方法によるアルミ円管を用いた熱交換器によれば、その管壁に生じる孔食を防止できるので長期間の使用に耐え信頼性の高い熱交換器を提供できる。
なお、各図間において、同一符号は同一あるいは相当部分を示す。
この発明の実施の形態1にかかるフィンアンドチューブ式熱交換器は、この発明の実施の形態2にかかるに製造方法によって製造された中空状アルミ円管15を熱交換器用冷媒管として用いたものである。
図1は、この発明の実施の形態1にかかる熱交換器用アルミ円管(以下「中空状アルミ円管」という)15(2、3)を用いたフィンアンドチューブ式熱交換器を示す外観図で、(a)は正面図、(b)は側面図、図2は、ヘアピン状主円管2と放熱フィン1の固着前の状態を示す断面図、図3はフィンアンドチューブ式熱交換器の中空状アルミ円管15の断面図である。
ヘアピン状主円管2は、互いに隣接する両端部2aがU字状接続円管3により連結され、ろう付などの方法で結合して蛇行状の管路を形成する共にその外周面に後述するように複数の薄板状放熱フィン1が配列されている。
一般にアルミニウムチューブを構成するAlまたはAl合金より電位が卑な金属被膜を外面に形成し、この被膜の犠牲腐食により、チューブの孔食を抑制することは、すでによく知られているが、図3に示すアルミ円管15(2、3)では、その円管外表面が、亜鉛などの犠牲陽極効果を有する一方の亜鉛拡散層(合金層)15aと他方の亜鉛拡散層(合金層)15bで覆われ、一方の合金層15aと他方の合金層15bの境界に合金層が無い未溶射部40で構成されている。フィンアンドチューブ式熱交換器の動作時に、中空状アルミ円管2、3の外表面に水などの電解質物質が付着した場合に、中空状アルミ円管2、3の側面で合金層の無い部分40が卑となり、合金層が存在する部分が貴となって、中空状アルミ円管2、3の表面上で局部電池が形成される。この局部電池で生じた電流は、中空状アルミ円管2、3の表面上に流れるのでアルミ円管肉厚方向への孔食が抑制される。
この発明の実施の形態2にかかる中空状アルミ円管15の製造方法は、アルミ円管材を扁平中空形状に押出成形し、上下の溶射ノズルから亜鉛溶射を施し、高周波誘導加熱で扁平管の平坦両表面に亜鉛などの金属を拡散させ、その後、ビレット、形状修正ダイスでアルミ扁平管を円管に整形する一貫生産に関するものである。
以下、この発明の実施の形態2にかかる中空状アルミ円管15の製造方法を図4〜図5に基づき説明する。
(1)扁平管形成工程:500℃程度まで加熱したアルミ円管材を押出しシリンダー10で加圧し、併設した押出しダイス9で径方向の断面が扁平状となるよう整形し、扁平中空状のアルミ扁平管14を形成する(図5(b)参照)。
(2)送り工程:扁平中空状に形成されたアルミ扁平管14は、その直後に設置された溶射装置4に送り出される。
(3)溶射工程:溶射装置4に互いに対向して設けられた一対の溶射ノズル5a、5bから、亜鉛などの犠牲陽極効果を有する金属の溶融液6を、中空状アルミ扁平管14の上下両平坦面に向かってそれぞれ溶射(霧状に噴霧)し溶射被膜を形成する。
(4)拡散層形成工程:溶射被膜を形成した中空状アルミ扁平管14を、高周波誘導コイル11で加熱すると共に中空状アルミ扁平管14の母材部へ亜鉛を拡散させ上下両平坦面の近傍に亜鉛拡散層15a、15bを形成する。
(5)矯正工程:その後、図5に示すように、あらかじめ管内に挿入しておいた形状矯正用ビレット13で中空状アルミ扁平管14を円形に矯正する。
(6)修正工程:円形に矯正された中空状アルミ円管15は、形状修正ダイス12に送出され図3に示すように真円状に修正整形される。
(7)真円状に修正整形された中空状アルミ円管15は、巻き取りコイル16に巻き取られ一貫生産を完了する。
この発明の実施の形態3は、実施の形態1の矯正工程(5)、修正工程(6)において用いた形状矯正用ビレット12や形状修正ダイス13の代わりに、管内に圧縮空気(図示せず)を送り込んで中空状アルミ扁平管を真円状の中空状アルミ円管15に修正整形するものである。
この実施の形態3の場合、亜鉛などの犠牲陽極層処理を施したアルミ扁平管14は、巻き取りコイル16に一旦巻き取ったあと、巻き戻しながら圧縮した乾燥空気を送り込み中空状アルミ円管15を形成するものである。
この発明の実施の形態4は、生産性向上のため複数の中空状アルミ円管15を同時に製造する場合の溶射工程に係わるものである。すなわち、実施の形態4のかかる溶射工程は、複数の中空状アルミ扁平管13を、所定の間隔をおいて配列すると共に、複数の溶射ノズル5a、5b、5c、5dから、金属溶融液6を中空状アルミ扁平管の表面に溶射し溶射被膜を形成するものである。
図6における溶射装置4は、上下左右方向から中空状アルミ扁平管14に向いて配置された複数の溶射ノズル5a、5b、5c、5dを備え、複数の中空状アルミ扁平管14は、互いに重なり合わないよう所定の間隔をおいて階段状に配列され、すなわち水平方向に偏芯し正面からみると斜めに配列された状態で、押出しダイス20の扁平管排出口から押出される。なお、扁平管排出口は、図示しないが互いに重なり合わないよう所定の間隔をおいて階段状に配列されている。
このようにして押出された複数のアルミ扁平管14は、その表面に溶射ノズル5a、5b、5c、5dの上下左右から犠牲陽極効果を有する金属溶融液6が溶射されるので死角が無く、未溶射部が生じない。
また、図7に示すように、円管排出口(図示せず)を互いに重なり合わないよう所定の間隔をおいて階段状に配列した円管押し出しダイス2oaから押し出された円管14aに、直交に配置された複数の溶射ノズル5a、5b、5c、5dから金属溶融液6を溶射することで、円管14aを押し出し、溶射することでも未溶射部が少ない溶射が可能である。但し、円管表面の溶射皮膜は偏平管の場合と比べて均一になり難い。
1a ヘアピン状主円管貫通用バーリング穴
1b 膨出筒部
2 ヘアピン状主円管
3 U字状接続円管
4 溶射装置
40 未溶射部
5a 上方の溶射ノズル
5b 下方の溶射ノズル
5c 左方の溶射ノズル
5d 右方の溶射ノズル
6 金属の溶融液
6a 金属の溶融液(上)
6b 金属の溶融液(下)
6c 金属の溶融液(左)
6d 金属の溶融液(右)
9 押出しダイス
10 押出しシリンダー
11 高周波誘導コイル
12 形状修正ダイス
13 形状矯正用ビレット
14 中空状アルミ扁平管
14a 円管
15 熱交換器用アルミ円管(中空状アルミ円管)
15a、15b 亜鉛拡散層(合金層)
16 巻き取りコイル
20、20a 押出しダイス。
Claims (6)
- 加熱したアルミ円管材を、押出しダイスで径方向の断面が扁平状となるよう整形し、中空状アルミ扁平管を形成する第1工程、
溶射ノズルから、犠牲陽極効果を有する金属の溶融液を、上記中空状アルミ扁平管の表面に溶射し被膜を形成する第2工程、
上記被膜を形成した上記中空状アルミ扁平管を加熱して上記中空状アルミ扁平管の母材部に、犠牲陽極効果を有する上記金属を拡散させた金属拡散層を形成する第3工程、及び
上記中空状アルミ扁平管を、円形の中空状アルミ円管に整形する第4工程を含む熱交換器用アルミ円管の製造方法。 - 上記第4工程は、管内に挿入された形状矯正用ビレットを用いて上記中空状アルミ扁平管を円形の中空状アルミ円管に整形することを特徴とする請求項1記載の熱交換器用アルミ円管の製造方法。
- 上記第4工程は、管内に圧縮空気を送り込んで上記中空状アルミ扁平管を円形の中空状アルミ円管に整形することを特徴とする請求項1記載の熱交換器用アルミ円管の製造方法。
- 複数の熱交換器用アルミ円管を同時に製造する場合の上記第2工程は、複数の上記中空状アルミ扁平管を、互いに重なり合わないよう所定の間隔をおいて階段状に配列すると共に、上記中空状アルミ扁平管に向いて配置された複数の溶射ノズルから、上記金属溶融液を上記中空状アルミ扁平管の表面に溶射し被膜を形成することを特徴とする請求項1記載の熱交換器用アルミ円管の製造方法。
- 請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の熱交換器用アルミ円管の製造方法で製造された熱交換器用アルミ円管によって形成されたヘアピン状主円管とU字型接続円管とを備え、上記U字型接続円管により互いに隣接する上記ヘアピン状主円管を連結して蛇行状の管路を形成する共に上記ヘアピン状主円管に複数の薄板状放熱フィンを配列したことを特徴とする熱交換器。
- 上記薄板状放熱フィンに所定の間隔をおいて配設された複数のバーリング穴、このバーリング穴部に形成された膨出筒部、及びこの膨出筒部に挿通され且つ拡管された上記ヘアピン状主円管を備え、
上記ヘアピン状主円管と上記膨出筒部とを密着固定させたことを特徴とする請求項5記載の熱交換器。
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