JP4969132B2 - 固体電解質フィルム及びその製造方法、製造設備、並びに電極膜複合体、燃料電池 - Google Patents

固体電解質フィルム及びその製造方法、製造設備、並びに電極膜複合体、燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、固体電解質フィルム及びその製造方法、製造設備、並びに固体電解質フィルムを用いた電極膜複合体、燃料電池に関するものである。
近年、携帯機器等の電源として利用できるリチウムイオン電池や燃料電池が注目されており、その主流部材である固体電解質についても活発な研究が行われている。固体電解質は、例えば、リチウムイオン伝導材料やプロトン伝導材料であり、また、燃料電池等に用いる場合、通常は、フィルム状の固体電解質、すなわち固体電解質フィルムとされる。
固体電解質としては、水酸化カリウムやリン酸等の無機化合物や、ポリマー等が知られている。一般に、無機化合物からなる固体電解質フィルムは、作動温度は高いが、発電出力が高い。一方で、ポリマーからなる高分子形固体電解質フィルムは、発電出力は低いが、気温と同じ温度でも作動を開始することができる等の特徴を有する。したがって、最近では、家庭用や車載用、或いは携帯用の固体電解質フィルムとして、高分子形固体電解質フィルムが注目されている。
一般に、高分子形固体電解質フィルムは、溶液製膜方法により製造される。溶液製膜方法とは、ポリマーと有機溶媒とを含むドープを調製した後、このドープを走行する支持体上に流延して流延膜を形成してから、これを乾燥することによりフィルムを得る方法である。また、今までは、プロトン伝導度が高い高分子形固体電解質フィルムを製造することを目的として、ドープを調製する際には、プロトン以外のカチオン種がプロトンに置換された(以降では、プロトン化された、と表現する)ポリマー、すなわちプロトン化ポリマーが使用されている。しかし、プロトン化ポリマーは化学的に不安定であるため、製膜時の温度や湿度に影響を受けやすい。そのため、上記のようにプロトン化ポリマーから製膜する方法では、プロトン伝導度が高い高分子形固体電解質フィルムを安定かつ連続的に製造することが難しい。
今までに、プロトン伝導度をはじめとして、機械強度等の特性に優れる高分子形固体電解質フィルムの製造方法としては、例えば、酸性基含有ポリマーを含むドープを用いて溶液製膜方法により高分子形固体電解質フィルムを製造する方法(例えば、特許文献1参照)や、溶液製膜方法により酸性基含有ポリマーを含むドープからゲル状膜を形成した後、これを水洗し、更に乾燥させて高分子形固体電解質フィルムとする方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。また、溶液製膜方法によりドープをフィルム状にした後、これを水溶性であり、かつ沸点が100℃以上の有機化合物水溶液に浸漬させてから乾燥させることにより熱安定性に優れる高分子形固体電解質フィルムを製造することができる方法も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
その他にも、溶液製膜方法によりイオン導電性成分を含むドープをフィルム状とした後、これを溶媒に浸漬して水溶性化合物を除去してから乾燥させることによりプロトン伝導度が高い高分子形固体電解質フィルムを製造することができる方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。更に、特許文献5〜7には、溶液製膜方法により所定のポリアリーレンを含むドープから高分子形固体電解質フィルムを製造する方法が記載されている。
また、特許文献8には、所定のスルホン酸基含有ポリマーを含むドープをフィルム状にした後、これを酸処理する方法が記載されており、特許文献9には、溶液製膜方法によりイオン性基を有するポリマーを含むドープから形成したフィルムを酸処理する方法が記載されている。
特開2005−232240号公報 特開2005−235466号公報 特開2004−079378号公報 特開2005−146018号公報 特開2005−248128号公報 特開2005−310643号公報 特開2005−239833号公報 特開2005−268144号公報 特開2005−268145号公報
特許文献8、9はいずれも、カチオン種であるスルホン酸基やイオン性基を有するポリマーを含むドープから形成したフィルムを酸に浸漬させて酸処理を行う。これにより、カチオン種をプロトンに置換することができるので、プロトン伝導度の高い高分子形固体電解質フィルムを得ることができるとされる。しかし、特許文献8、9に記載の方法は、いずれも製膜工程と酸処理工程とがオフラインで実施、すなわち、両工程が連続していない。そのため、ドープを流延してからプロトン伝導度が高い高分子形固体電解質フィルムを製造するまでの一連の工程を連続的に行なうこと、また、上記のような固体電解質フィルムを大量生産することは難しい。
また、特許文献8、9に係らず特許文献1〜7に提案されている方法は、いずれも小規模での製造方法であり、大量生産を意識した方法とはいえない。更に、特許文献5〜7に関しては、高分子形固体電解質フィルムを製造することができると記載されているが、具体的な方法の記載はない。
本発明は、上記問題を解決することを目的とし、プロトン伝導度が高い固体電解質フィルムを、連続して、かつ大量に生産することができる製造方法の提供を目的とする。また、連続して高分子形固体電解質フィルムを製造しても、温度や湿度の影響によるプロトン伝導度の変動が抑制される製造方法の提供を目的とする。
そこで、本発明での固体電解質フィルムの製造方法は、走行する支持体上に、有機溶媒とカチオン種を有し固体電解質の前駆体であるポリマーとを含むドープを流延ダイから流延して流延膜を連続的に形成する第1工程と、流延膜を支持体から剥ぎ取って前駆体よりなる前駆体フィルムとする第2工程と、温度を30℃以上120℃以下としたプロトン供与体である酸の溶液に前駆体フィルムを搬送しながら接触させて、カチオン種が水素原子に置換された固体電解質からなる固体電解質フィルムとする第3工程と、固体電解質フィルムを洗浄する第4工程と、固体電解質フィルムを乾燥する第5工程とを有し、第1工程から第5工程は連続することを特徴とする。
接触は、前駆体フィルムの溶液に対する浸漬、前駆体フィルムに対する溶液の吹き付け、前駆体フィルムへの溶液の塗布の少なくともいずれかひとつであることが好ましい。
固体電解質フィルムを水に接触させることにより洗浄がなされることが好ましい。また、水の温度を30℃以上100℃以下とすることが好ましい。
酸は、電離したときのアニオンの式量が40以上1000以下の化合物であることが好ましい
ポリマーは、炭化水素系ポリマーであることが好ましい。また、炭化水素系ポリマーは、芳香族系ポリマーであることが好ましい。そして、芳香族系ポリマーは、化3の一般式(I)〜(III)で示される各構造単位からなる共重合体であることが好ましい。
Figure 0004969132
(ただし、Xはプロトン以外のカチオン種であり、YはSOであり、Zは化4の(I)または(II)に示す構造であり、nとmとは0.1≦n/(m+n)≦0.5を満たす。)
Figure 0004969132
有機溶媒よりも沸点が低く、かつポリマーの貧溶媒である液体を流延膜に接触させることが好ましい。
本発明の固体電解質フィルムの製造設備は、連続搬送されるウェブ状の固体電解質フィルムの製造設備であって、走行する支持体と、有機溶媒及びカチオン種を有し固体電解質の前駆体であるポリマーを含むドープを支持体に流延する流延ダイとを有する流延膜形成装置と、支持体から剥ぎ取られた流延膜である前駆体フィルムを搬送する搬送装置と、搬送装置により搬送されている前駆体フィルムに、プロトン供与体である酸の溶液を接触させて、カチオン種が水素原子に置換された固体電解質からなる固体電解質フィルムを形成する酸接触装置と、固体電解質フィルムを洗浄して置換に関与しかなった酸を除去する洗浄装置と、洗浄された固体電解質フィルムを乾燥する乾燥装置とを備えることを特徴とする。
本発明の固体電解質フィルムは、上記いずれかひとつの製造方法により製造されたことを特徴とする。
また、本発明の電極膜複合体は、上記の固体電解質フィルムと、この固体電解質フィルムの一方の面に密着して備えられ、外部から供給される水素含有物質からプロトンを発生するためのアノード電極と、固体電解質フィルムの他方の面に密着して備えられ、固体電解質フィルムを通過したプロトン及び外部から供給される気体中に含まれる酸素からなる水を合成するカソード電極とを有することを特徴とする。
さらに、本発明は、上記の電極膜複合体と、この電極膜複合体の電極に接触して備えられ、アノード電極及びカソード電極と外部との電子の受け渡しをする集電体とを有することを特徴とする燃料電池を含んで構成されている。
本発明では、固体電解質の前駆体となるカチオン種を含むポリマーと有機溶媒とを混合して調製したドープを走行する支持体上に流延して流延膜を形成後、これをゲル状にして前駆体フィルムとし、続けて、このフィルムを酸処理するようにしたので、製造途中での温度や湿度の影響を受けてプロトン化が低下するおそれを回避して、プロトン伝導度の高い固体電解質フィルムを連続して製造することができる。なお、この固体電解質フィルムを用いた電極膜接合体は、燃料電池に用いると優れた起電力を発現する。
以下に、本発明の実施様態について詳細に説明する。ただし、本発明はここに挙げる実施様態に限定されるものではない。まず、本発明に係る固体電解質フィルムについて説明し、その後、その製造方法について説明する。なお、以下の説明では、固体電解質フィルムを単にフィルムと称する場合もある。
本発明では、ドープを調製する際に、カチオン種を有し固体電解質の前駆体であるポリマーを用いる。このポリマーは、炭化水素系ポリマーであることが好ましく、中でも、炭化水素系ポリマーは芳香族系ポリマーであることが好ましい。また、芳香族系ポリマーは、化3の一般式(I)〜(III)で示される各構造単位からなる共重合体であることが好ましい。ただし、Xはプロトン以外のカチオン種であり、YはSOであり、Zは化4の(I)または(II)に示す構造であり、nとmとは0.1≦n/(m+n)≦0.5を満たす。
特に、化3に示す物質のフィルムは、吸湿膨張率とプロトン伝導度とを両立させる。n/(m+n)<0.1である場合には、スルホン酸基が少なすぎて、プロトン伝導路、いわゆるプロトンチャンネルを十分に形成することができないことがある。そのため、得られるフィルムは実用に十分なプロトン伝導度を発現しないことがある。また、n/(m+n)>0.5である場合には、フィルムの水分吸収性が高くなってしまうため、吸水による膨張率、つまり吸水膨張率が大きくなり、フィルムが劣化しやすくなる。
上記のように、本発明では化3のXがプロトン以外のカチオン種であるポリマー(以降、前駆体と称する)を含むドープを調製後、これを支持体上に流延して前駆体を含むフィルム(以降、前駆体フィルムと称する)として剥ぎ取り、この前駆体フィルムを酸と接触させる酸処理を行うことで、Xをプロトン置換してHとすることにより、プロトン伝導度の高い固体電解質フィルムを製造することができる。なお、酸処理に関しては、後で詳細に説明する。
本発明においてカチオン種とは、電離したときにカチオンを生成する原子または原子団を意味する。このカチオン種は1価である必要はない。ただし、本発明では、プロトン以外のカチオン、例えば、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、アンモニウムカチオンが好ましく、カルシウムイオン、バリウムイオン、四級アンモニウムイオン、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオンを生成するものが好ましい。そして、固体電解質フィルムのプロトン伝導度は、Xのカチオン種のうちHに置換された割合が多いほど高くなる。なお、本発明では、固体電解質フィルムでのプロトンの伝導指標としてプロトン伝導度を使用しており、高い値を示すほど固体電解質フィルムとして優れるといえる。
固体電解質の前駆体であるポリマーを後述する酸処理によりプロトン置換して生成させた固体電解質について説明する。この固体電解質は、以下の諸性能をもつものが好ましい。イオン伝導度は、例えば25℃、相対湿度70%において、0.005S/cm以上であることが好ましく、0.01S/cm以上であるものがより好ましい。さらに、50%メタノール水溶液に18℃で一日浸漬した後のイオン伝導度が0.003S/cm以上であることが好ましく、0.008S/cm以上であるものがより好ましく、特に、浸漬前に対する浸漬後のイオン伝導度の低下率が20%以内であるものが好ましい。そして、メタノール拡散係数が4×10−7cm/s以下であることが好ましく、2×10−7cm/s以下であるものが特に好ましい。
固体電解質の強度については、弾性率が10MPa以上であるものが好ましく、20MPa以上であるものが特に好ましい。なお、弾性率の測定方法については、特開2005−104148号公報の段落[0138]に詳細に記されており、弾性率の上記値は、東洋ボールドウィン社製の引っ張り試験機による値である。したがって、他の試験方法や試験機を用いて弾性率を求める場合には、上記試験方法や試験機による値との相関性を予め求めておくとよい。
固体電解質の耐久性については、50%メタノール中に一定温度で浸漬する経時試験の前後で、質量、イオン交換容量、メタノール拡散係数の各変化率が、それぞれ20%以下であるものが好ましく、15%以下であるものが特に好ましい。さらに過酸化水素中における経時試験の前後でも、同様に質量、イオン交換容量、メタノール拡散係数の各変化率が20%以下であるものが好ましく、10%以下であるものが特に好ましい。また、50%メタノール中、一定温度での体積膨潤率が10%以下であるものが好ましく、5%以下であるものが特に好ましい。
さらに、安定した吸水率および含水率をもつ固体電解質が好ましい。そして、アルコール類、水、アルコールと水との混合溶媒に対し、溶解度が実質的に無視できる程に小さいものであることが好ましい。また上記液に浸漬した時の質量減少、形態変化についても実質的に無視できる程小さいものであることが好ましい。
固体電解質フィルムのイオン伝導性能は、イオン伝導度とメタノール透過係数との比であるいわゆる指数により表される。そして、ある方向における指数が大きいほど、その方向におけるイオン伝導性能が高いといえる。また、固体電解質フィルムの厚み方向においては、イオン伝導度は厚みに比例し、メタノール透過係数は厚みに反比例するので、厚みを変えることにより固体電解質フィルムのイオン伝導性能を制御することができる。燃料電池に用いる固体電解質フィルムでは、一方の面側にアノード電極、他方の面側にカソード電極が設けられることになるので、固体電解質フィルムの厚み方向における指数が他の方向における指数よりも大きいことが好ましい。固体電解質フィルムの厚みは10〜300μmが好ましい。例えば、イオン伝導度とメタノール拡散係数とが共に高い固体電解質の場合には、厚みが50〜200μmとなるようにフィルムを製造することが特に好ましく、イオン伝導度とメタノール拡散係数とが共に低い固体電解質の場合には、厚みが20〜100μmとなるようにフィルムをする製造することが特に好ましい。
耐熱温度については、200℃以上であるものが好ましく、250℃以上のものがさらに好ましく、300℃以上のものが特に好ましい。ここでの耐熱温度は、1℃/分の測度で加熱していったときの質量減少5%に達した温度を意味する。なお、この質量減少は、水分等の蒸発分を除いて計算される。
さらに、固体電解質をフィルムとしてこれを燃料電池に用いる場合には、その最大出力密度が10mW/cm以上である固体電解質であることが好ましい。
以上の固体電解質を用いることにより、フィルムの製造に好適な溶液(ドープ)を製造することができるとともに、燃料電池として好適な固体電解質フィルムを製造することができる。フィルムの製造に好適な溶液とは、例えば、粘度が比較的低く、濾過により異物を予め除去しやすい溶液である。
ドープに用いる有機溶媒(単に溶媒と称する場合もある)としては、ドープの調製に用いるポリマーを溶解させることができる有機化合物であればよい。例としては、芳香族炭化水素(例えば、ベンゼン,トルエンなど)、ハロゲン化炭化水素(例えば、ジクロロメタン、クロロベンゼンなど)、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、ジエチレングリコールなど)、ケトン(例えば、アセトン、メチルエチルケトンなど)、エステル(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピルなど)、エーテル(例えば、テトラヒドロフラン、メチルセロソルブなど)、及び窒素を含有する化合物(N−メチルピロリドン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc)など)、ジメチルスルホキシド(DMSO)などが挙げられる。
ドープ調製用の有機溶媒は、複数の物質を混合した混合物であってもよい。溶媒を混合物とする場合には、ポリマーの良溶媒と貧溶媒との混合物とすることが好ましい。ポリマーに対して良溶媒であるか貧溶媒であるかの判断は、ポリマーが全質量の5質量%となるように溶剤とポリマーとを混合した際に確認される不溶解物の有無により判断することができる。すなわち、ポリマーが溶解していればその溶剤は良溶媒であり、一方で、ポリマーが溶け残っていれば、その溶剤は貧溶媒である。ポリマーの良溶媒は、溶媒として一般的に用いられる化合物の中でも沸点が比較的高い方であり、一方、貧溶媒は溶媒として一般的に用いられる化合物の中でも沸点が比較的低い方である。したがって、貧溶媒を良溶媒に混合することにより、フィルム製造工程における溶媒除去の効率及び効果を高めることができ、特に、流延膜の乾燥効率について大きく向上することができる。
良溶媒と貧溶媒との混合物においては、貧溶媒の質量比率が大きいほど好ましく、具体的には10%以上100%未満であること好ましい。より好ましくは、(良溶媒の質量):(貧溶媒の質量)が90:10〜10:90であることが好ましい。これにより、全溶媒の質量における低沸点成分の割合が大きくなるので、固体電解質フィルムの製造工程における乾燥効率及び乾燥効果をより向上させることができる。
良溶媒成分としてはDMF、DMAc、DMSO、NMPが好ましく、中でも、安全性や沸点が比較的低いという点からDMSOが特に好ましい。貧溶媒成分としては、炭素数が1以上5以下であるいわゆる低級アルコール、酢酸メチル、アセトンが好ましく、中でも炭素数が1以上3以下の低級アルコールがより好ましく、良溶媒としてDMSOを用いた場合にはこれとの相溶性が最も優れる点からメチルアルコールが特に好ましい。
上記のようなポリマーと溶媒とを混合して調製したドープから固体電解質フィルムを形成する場合に、各種フィルムの特性を向上させるためには、添加剤をドープに加えることができる。添加剤としては、酸化防止剤、繊維、微粒子、吸水剤、可塑剤、相溶剤等が挙げられる。これら添加剤の添加率は、ドープ中の固形分全体を100質量%としたときに1質量%以上30質量%以下の範囲とすることが好ましい。ただし、添加率及び物質の種類は、イオン伝導性に悪影響を与えないものとする。以下に添加剤について具体的に説明する。
酸化防止剤としては、(ヒンダード)フェノール系、一価または二価のイオウ系、三価のリン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、ヒンダードアミン系、シアノアクリレート系、サリチレート系、オキザリックアシッドアニリド系の各化合物が好ましい例として挙げられる。具体的には、特開平8−53614号公報、特開平10−101873号公報、特開平11−114430号公報、特開2003−151346号の各公報に記載の化合物が挙げられる。
繊維としては、パーフルオロカーボン繊維、セルロース繊維、ガラス繊維、ポリエチレン繊維等が好ましい例として挙げられ、具体的には、特開平10−312815号公報、特開2000−231938号公報、特開2001−307545号公報、特開2003−317748号公報、特開2004−63430号公報、特開2004−107461号の各公報に記載の繊維が挙げられる。
微粒子としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム等が好ましい例として挙げられ、具体的には、特開2003−178777号、特開2004−217931号の各公報に記載の各種微粒子が挙げられる。
吸水剤、つまり親水性物質としては、架橋ポリアクリル酸塩、デンプン−アクリル酸塩、ポバール、ポリアクリロニトリル、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリグリコールジアルキルエーテル、ポリグリコールジアルキルエステル、合成ゼオライト、チタニアゲル、ジルコニアゲル、イットリアゲルが好ましい例として挙げられ、具体的には、特開平7−135003号、特開平8−20716号、特開平9−251857号の各公報に記載の吸水剤が挙げられる。
可塑剤としては、リン酸エステル系化合物、塩素化パラフィン、アルキルナフタレン系化合物、スルホンアルキルアミド系化合物、オリゴエーテル類、芳香族ニトリル類が好ましい例として挙げられ、具体的には、特開2003−288916号、特開2003−317539号の各公報に記載の可塑剤が挙げられる。
相溶剤としては、沸点または昇華点が250℃以上の物が好ましく、300℃以上のものがさらに好ましい。
ドープにはさらに、(1)フィルムの機械的強度を高める目的、(2)膜中の酸濃度を高める目的で、固体電解質の前駆体となるポリマー以外のポリマーを含有させてもよい。
上記の目的のうち(1)には、分子量が10000〜1000000程度であり、固体電解質と相溶性のよいポリマーが適する。例えば、パーフッ素化ポリマー、ポリスチレン、ポリエチレングリコール、ポリオキセタン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、およびこれらのうち2以上のポリマーの繰り返し単位を含むポリマーが好ましい。また、フィルムとしたときの全質量に対し1質量%〜30質量%の範囲となるようにこれらの物質をドープに含有させることが好ましい。なお、相溶剤を用いることにより固体電解質との相溶性を向上させてもよい。相溶剤としては、沸点または昇華点が250℃以上であるものが好ましく、300℃以上のものがさらに好ましい。
上記目的のうち(2)には、プロトン酸部位を有するポリマー等が好ましい。このようなポリマーとしては、ナフィオン(登録商標)等のパーフルオロスルホン酸ポリマー、側鎖にリン酸基を有するスルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリエーテルスルホン、スルホン化ポリスルホン、スルホン化ポリベンズイミダゾールなどの耐熱芳香族高分子化合物のスルホン化物等を例示することができる。また、フィルムとしたときの全質量に対し1質量%〜30質量%の範囲となるようにこれらの物質をドープに含有させることが好ましい。
さらに、得られる固体電解質フィルムを燃料電池に用いる場合には、アノード燃料とカソード燃料の酸化還元反応を促進させる活性金属触媒をドープに添加してもよい。これにより、固体電解質フィルムの中に一方の極から浸透した燃料が他方の極に到達することなく固体電解質中で消費されるので、クロスオーバー現象を防止することができる。活性金属触媒は、電極触媒として機能するものであれば特に限定されないが、白金または白金を基にした合金が特に適している。
[ドープ製造]
以下に、本発明のフィルムの製造に用いるドープについて説明する。図1は、本発明に係るドープ製造設備である。ただし、本発明はここに示すドープ製造装置及び方法に限定されない。
ドープ製造設備10は、溶媒を貯留するための溶媒タンク11と、固体電解質の前駆体であるポリマーを供給するためのホッパ12と、添加剤を貯留するための添加剤タンク15と、溶媒とポリマーと添加剤とを混合して混合液16とする混合タンク17と、混合液16を加熱するための加熱装置18と、加熱された混合液16の温度を調整するための温度調整器21と、温度調整器21を出た混合液16を濾過してドープ24とする第1濾過装置22と、ドープ24の濃度を調整するためのフラッシュ装置26と、濃度調整されたドープ24を濾過するための第2濾過装置27とを備える。
その他にもドープ製造設備10には、フラッシュ装置26内で発生する溶媒を回収するための回収装置28と、回収された溶媒を再生するための再生装置29とが備えられている。また、ドープ製造設備10は、ストックタンク32を介してフィルム製造設備33に接続されている。なお、送液量を調節するためのバルブ36〜38と、送液用のポンプ41,42とがドープ製造設備10には設けられているが、これらが配される位置及び数の増減については適宜変更される。
ドープ製造設備10を用いてドープ24を製造する際の流れを以下に説明する。バルブ37を開とすることにより溶媒が溶媒タンク11から混合タンク17に送られ、更に、ホッパ12からは適量のポリマーが混合タンク17に送られる。そして、添加剤タンク15からは、予め添加剤を所望の溶媒と混合して調製した添加剤溶液が、バルブ36の開閉操作により混合タンク17に送り込まれる。なお、ポリマーは、計量と送出とを連続的に行う送出手段により混合タンク17に連続的に送りこまれてもよいし、計量して所定量を送出するような送出手段により混合タンク17に断続的に送り込まれてもよい。また、添加剤溶液を調製する際に使用する溶媒は、ドープ中の相溶性等の観点からドープの調製に用いる溶媒とすることが好ましい。
添加剤は、溶液として送り込む方法の他に、例えば添加剤が常温で液体である場合には、その液体状態のままで混合タンク17に送り込むことができる。また、添加剤が固体の場合には、ホッパ等を用いて混合タンク17に送り込む方法も可能である。添加剤を複数種類添加する場合には、添加剤タンク15の中に複数種類の添加剤を溶解させた溶液を入れておくこともできる。または、複数の添加剤タンクを用いて、それぞれに添加剤が溶解している溶液を入れ、それぞれ独立した配管により混合タンク17に送り込むこともできる。
前述した説明では、混合タンク17に入れる順番が、溶媒、ポリマー、添加剤であったが、この順番に限定されるものではない。例えば、ポリマーを混合タンク17に送り込んだ後に、好ましい量の溶媒を送液することもできる。また、添加剤は、必ずしも混合タンク17の中でポリマーと溶媒とに混合する必要はなく、先ず、ポリマーと溶媒との混合物を調製後、後の工程でインライン混合方式等によりこの混合物に添加しても良い。
混合タンク17には、その外表を包み込み、混合タンク17との間に伝熱媒体が供給されるジャケット46と、モータ47により回転する第1攪拌機48と、モータ51により回転する第2攪拌機52とを備えている。混合タンク17は、ジャケット46の内側に伝熱媒体を供給し、これを循環させることにより内部の温度が調整される。混合タンク17の内部温度は、−10℃〜55℃の範囲であることが好ましい。また、第1攪拌機48、第2攪拌機52を適宜選択して使用することにより、ポリマーが溶媒により膨潤した混合液16が得られる。なお、ポリマーや溶媒を効率よくかつ効果的に混合することができるように、第1攪拌機48はアンカー翼を有するものであることが好ましく、第2攪拌機52はディゾルバータイプの偏芯型攪拌機であることが好ましい。
混合液16は、ポンプ41により加熱装置18に送られる。加熱装置18は、管本体(図示しない)とこの管本体との間に伝熱媒体を通すためのジャケット(図示しない)とを有するジャケット付き管であることが好ましく、さらに、混合液16を加圧する加圧部(図示しない)を有することが好ましい。このような加熱装置18を用いると、加熱条件下または加圧加熱条件下で混合液16中の固形分を効果的かつ効率的に溶解させることができる。以下、上記のように加熱によりポリマー等の固形成分を溶媒に溶解させる方法を加熱溶解法と称する。なお、加熱溶解法では、混合液16を60℃〜250℃となるように加熱することが好ましい。
また、加熱溶解法に代えて冷却溶解法により固形成分を溶媒に溶解させてもよい。冷却溶解法とは、混合液16を温度保持した状態またはさらに低温となるように冷却しながら溶解を進める方法である。冷却溶解法では、混合液16を−100℃〜−10℃の温度に冷却することが好ましい。以上のような加熱溶解法または冷却溶解法により固体電解質を溶媒に十分溶解させることが可能となる。
混合液16を温度調整器21により略室温とした後に、第1濾過装置22により濾過する。これにより、不純物や凝集物等の異物が取り除かれたドープ24を得ることができる。なお、第1濾過装置22に使用されるフィルタは、微小な異物を除去することができるように、その平均孔径が10μm以下であることが好ましい。ただし、孔径が小さすぎる場合には、ドープを濾過する際に要する時間が長くなるため、フィルタの平均孔径は、製造時間等を考慮して適宜選択する。
濾過後のドープ24は、バルブ38によりストックタンク32に送られて一旦貯留された後、フィルムの製造に用いられる。
ところで、上記のように、固形成分を一旦膨潤させてから、溶解して溶液とする方法は、固体電解質の溶液における濃度を上昇させる場合ほど、ドープ製造に要する時間が長くなり、製造効率の点で問題となる場合がある。そのような場合には、目的とする濃度よりも低濃度のドープを一旦つくり、その後に目的の濃度とする濃縮工程を実施することが好ましい。例えば、バルブ38により、第1濾過装置22で濾過されたドープ24をフラッシュ装置26に送り、このフラッシュ装置26でドープ24の溶媒の一部を蒸発させることによりドープ24を濃縮することができる。濃縮されたドープ24はポンプ42によりフラッシュ装置26から抜き出されて第2濾過装置27へ送られる。濾過の際のドープ24の温度は、0℃〜200℃であることが好ましい。第2濾過装置27で異物を除去されたドープ24は、ストックタンク32へ送られ一旦貯留されてからフィルム製造に用いられる。なお、濃縮されたドープ24には気泡が含まれていることがあるので、第2濾過装置27に送る前に予め泡抜き処理を実施することが好ましい。泡抜き方法としては、例えばドープ24に超音波を照射する超音波照射法等の、公知の種々の方法が適用される。
また、フラッシュ装置26でのフラッシュ蒸発により発生した溶媒ガスは、凝縮器(図示しない)を備える回収装置28により凝縮されて液体となり回収される。回収された溶媒は、再生装置29によりドープ製造用の溶媒として再生されて再利用される。このような回収及び再生利用により、製造コストの点での利点があるとともに、閉鎖系で実施されるために人体及び環境への悪影響を防ぐ効果がある。
また、ドープ中に粗大な微粒子や異物等の不純物が含まれていると、このドープを用いてフィルムとした場合、プロトン伝導度が低下したり、フィルム自体が劣化したりするおそれがある。そのため、ドープを製造する途中の段階で、少なくとも1回以上は濾過装置を用いてドープを濾過することが好ましい。なお、ドープ製造設備内での濾過装置の設置個数や設置箇所及びドープを濾過する回数は特に限定されるものではなく、必要に応じて決定すれば良い。
以上の製造方法により、前駆体濃度が5質量%以上50質量%以下であるドープ24を製造することができる。前駆体濃度は10質量%以上40質量%以下の範囲とすることがより好ましい。また、添加剤の濃度は、ドープ中の固形分全体を100質量%とすると1質量%以上30質量%以下の範囲とすることが好ましい。なお、ドープ24中において、溶媒に固形分が溶解しているかどうかは、濾過した後のドープ24を蛍光灯に照らすことで確認することができる。
次に、本発明の固体電解質フィルムの製造方法について説明する。図2に、本発明に係る固体電解質フィルム製造工程の流れを示す。図2では、工程の流れのみを簡単に説明するものとし、各工程の詳細は図3を用いて説明する。
固体電解質フィルム製造工程60は、ドープ24から流延膜61を形成する流延膜形成工程63と、支持体から流延膜61を剥ぎ取って前駆体を主たる成分とする前駆体フィルム65を形成する剥取工程64と、前駆体フィルム65を乾燥する第1乾燥工程67と、前駆体フィルム65に酸処理を施して固体電解質フィルム70とする酸処理工程68と、酸処理後の固体電解質フィルム70を洗浄する洗浄工程69と、洗浄後の固体電解質フィルム70を乾燥する第2乾燥工程72とを有する。
図3は、本実施形態において固体電解質フィルム製造工程60に従いフィルムを製造する際に用いるフィルム製造設備33である。なお、フィルム製造設備33は本発明の一例であり、本発明を限定するものではない。以下、フィルム製造設備33を構成する各装置の詳細を記しながら、フィルムを製造する際の流れを説明する。
フィルム製造設備33は、支持体上にドープ24を流延して流延膜61を形成する流延室80と、支持体の走行に伴い流延膜61を搬送する間に乾燥手段により流延膜61を乾燥する搬送室81と、支持体から流延膜61を剥ぎ取って形成した前駆体フィルム65を乾燥させるテンタ83とが備えられ、更にテンタ83の下流には、浴槽84と水槽85とが備えられている。その他にも、水槽85の下流には、乾燥室86と調湿室87と巻取室88とが備えられている。
フィルム製造設備33は、ストックタンク32を介してドープ製造設備10と接続されており、適宜適量のドープ24をフィルム製造設備33に送り込むことが可能とされる。ストックタンク32には、モータ90により回転する攪拌機91が備えられており、調製後から流延に供されるまでの間、貯留するドープ24を、常時攪拌機91を回転させて攪拌させることにより、ドープ24の中に固形分の析出や凝集が発生するのを抑制して均一な状態を保持している。
流延室80は、ドープ24を流出する流延ダイ93と、走行する支持体としての流延バンド94とを備える。この流延バンド94は、回転ローラ97,98に掛け渡されており、各回転ローラ97,98のうち少なくともいずれか一方を駆動回転させることにより連続的に走行している。フィルムを製造する際には、先ず、流延室80において、流延ダイ93から走行する流延バンド94の上にドープ24を流延する。なお、流延時のドープ24は、ストックタンク32から濾過装置96に送り込まれ濾過されることにより、所定粒径よりも大きい微粒子や異物及びゲル状の異物等が取り除かれたものである。
流延ダイ93の材質としては、析出硬化型のステンレス鋼が好ましく、その熱膨張率は2×10−5(℃−1)以下であることが好ましい。そして、電解質水溶液での強制腐食試験でSUS316と略同等の耐腐食性を有し、さらに、ジクロロメタン、メタノール、水の混合液に3ヵ月浸漬しても気液界面にピッティング(孔開き)が生じないような耐腐食性を有するものが好ましい。なお、流延ダイ93は、鋳造後1ヶ月以上経過した素材を研削加工することにより作製されることが好ましく、これにより、流延ダイ93の内部をドープ24が一様に流れ、後述する流延膜61にスジなどが生じることが防止される。流延ダイ93のドープ24と接するいわゆる接液面は、その仕上げ精度が表面粗さで1μm以下、真直度がいずれの方向にも1μm/m以下であることが好ましい。流延ダイ93のスリットのクリアランスは、自動調整により0.5mm〜3.5mmの範囲で調整可能とされている。流延ダイ93のリップ先端の接液部の角部分について、その面取り半径Rは、流延ダイ93の全巾にわたり一定かつ50μm以下とされている。流延ダイ93はコートハンガー型のダイが好ましい。
流延ダイ93の幅は特に限定されるものではないが、最終製品となる固体電解質フィルム70の幅の1.1倍〜2.0倍程度であることが好ましい。また、製膜の際のドープ24の温度が所定温度に保持されるように、流延ダイ93の温度を制御する温度コントローラが流延ダイ93に取り付けられることが好ましい。さらに、流延ダイ93には、幅方向に所定の間隔で複数備えられた厚み調整ボルト(ヒートボルト)と、このヒートボルトによりスリットの隙間を調整する自動厚み調整機構が備えられることがより好ましい。ヒートボルトは予め設定されるプログラムによりポンプ(高精度ギアポンプが好ましい)95の送液量に応じてプロファイルを設定し製膜を行うことが好ましい。ドープの送り量を精緻に制御するために、ポンプ95は高精度ギアポンプであることが好ましい。また、フィルム製造設備33中には、例えば赤外線厚み計のような厚み測定機を設け、厚みプロファイルに基づく調整プログラムと厚み測定機による検知結果とにより、自動厚み調整機構へのフィードバック制御を行ってもよい。製品としての固体電解質フィルム70の両側端を除く任意の2つの位置での厚み差が1μm以内となるように、先端リップのスリット間隔を±50μm以下に調整できる流延ダイ93を用いることが好ましい。
流延ダイ93のリップ先端には硬化膜が形成されていることがより好ましい。硬化膜の形成方法は、特に限定されるものではないが、セラミックスコーティング、ハードクロムめっき、窒化処理方法などが挙げられる。硬化膜としてセラミックスを用いる場合には、研削することができ気孔率が低く脆くなく耐腐食性が良く、かつドープ24との親和性や密着性がないものが好ましい。具体的には、タングステン・カーバイド(WC)、Al、TiN、Crなどが挙げられるが、中でも特に好ましくはWCである。WCコーティングは、溶射法で行うことができる。
ドープ24が流延ダイ93のリップ先端で局所的に乾燥固化することを防止するために、リップ先端に溶媒を供給するための溶媒供給装置(図示しない)をリップ先端近傍に取り付けることが好ましい。溶媒が供給される位置は、流延ビードの両端部とリップ先端の両端部と外気とにより形成される三相接触線の周辺部が好ましい。供給される溶媒の流量は、片側それぞれに対し0.1mL/分〜1.0mL/分とすることが好ましい。これにより、異物、例えばドープ24から析出した固形成分や外部から流延ビードに混入したものが流延膜61中に混合してしまうことを防止することができる。なお、溶媒を供給するポンプとしては、脈動率が5%以下のものを用いることが好ましい。
流延バンド94の幅は特に限定されるものではないが、ドープ24の流延幅の1.1倍〜2.0倍の範囲のものを用いることが好ましい。また、長さは20m〜200m、厚みは0.5mm〜2.5mmであり、表面粗さは0.05μm以下となるように研磨されていることが好ましい。
流延バンド94の素材は特に限定されるものではなく、例えば、ステンレス等の無機材料であっても良いし、有機材料からなるプラスチックフィルムでも良い。プラスチックフィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、ナイロン6フィルム、ナイロン6,6フィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム等の不織布のプラスチックフィルムが挙げられる。使用する溶剤、製膜温度に対応できるような化学的安定性と耐熱性とをもつ長尺物であることが好ましい。
回転ローラ97,98は、その内部に伝熱媒体が取り付けられているものを用いて、流延バンド94の表面温度を調整することが好ましい。本実施形態では、内部に伝熱媒体流路(図示しない)が形成されている回転ローラ97,98を用いて、その流路中に温度を調整した伝熱媒体を循環させることにより、回転ローラ97,98の表面温度を調整する。ただし、流延バンド94の表面温度は、特に限定されるものではなく、溶媒の種類、固形成分の種類、ドープ24の濃度等に応じて適宜設定すれば良い。
回転ローラ97,98、及び流延バンド94に代えて回転ドラム(図示しない)を支持体として用いることもできる。この場合には、回転速度ムラが0.2%以下となるように高精度で回転できるものであることが好ましい。回転ドラムは、表面の平均粗さが0.01μm以下であることが好ましく、表面がハードクロムめっき処理等を施されているものが好ましい。これにより、十分な硬度と耐久性とを向上させることができる。なお、回転ドラム、流延バンド94、回転ローラ97,98は、表面欠陥が最小限に抑制されていることが好ましい。具体的には、30μm以上のピンホールが無く、10μm以上30μm未満のピンホールは1個/m以下であり、10μm未満のピンホールは2個/m以下であることが好ましい。
流延ダイ93の近傍には、流延ダイ93から流延バンド94にかけて形成されるリボン状のドープ24、すなわち流延ビードの流延バンド94走行方向における上流側を圧力制御するために減圧チャンバ(図示しない)を設けることが好ましい。また、流延バンド94の近傍には送風装置(図示しない)を設けて、流延膜61の溶媒を蒸発させるために風を吹き付けることが好ましい。なお、上記の送風装置には遮風板を設けて、流延膜61の形状を乱すような風が流延膜61にあたるのを抑制することが好ましい。その他に、流延室80には、その内部温度を所定の値に保つための温度コントローラと、揮発している有機溶媒を凝縮回収するための凝縮器(コンデンサ)(共に図示しない)とが設けられる。このコンデンサは、凝縮液化した有機溶媒を回収するための回収装置が備えられている形態であることが好ましい。
ドープ24を流延ダイ93から流延バンド94上に流延する場合には、流延バンド94に生じるテンションが10N/m10N/mとなるように、回転ローラ97,98の相対位置、及び少なくともいずれか一方の回転速度調整する。また、流延バンド94と回転ローラ97,98との相対速度差は、0.01m/分以下となるように調整する。なお、流延時においては、使用するドープ24の濃度及び所望のフィルム製品の厚みを考慮して、ドープ24の流延量を決定する。
流延バンド94の速度変動を0.5%以下とし、流延バンド94が一周する際に生じる幅方向における蛇行は1.5mm以下とすることが好ましい。なお、この蛇行を抑制するためには、流延バンド94の両端の位置を検出する検出器(図示しない)と、この検出器による検出データに応じて流延バンド94の位置を調整する位置調整機(図示しない)とを設けて、流延バンド94の位置をフィードバック制御することがより好ましい。その他にも、流延ダイ93の直下における流延バンド94について、回転ローラ97,98の回転に伴う上下方向の位置変動が200μm以内となるようにすることが好ましい。流延室80には温度コントローラ(図示しない)を設けて、これにより−10℃〜57℃とされることが好ましい。流延室80の内部で蒸発した溶媒は回収装置(図示しない)により回収した後、再生させてドープ製造用の溶媒として再利用すると、製造コスト低減を実現できる等の効果を得る上でも好ましい。
流延ビードの様態を安定させるために、このビードに関し上流側のエリアが所定の圧力値となるように減圧チャンバで制御することが好ましい。減圧チャンバによる減圧値は、ビードに関し下流側のエリアよりも−2500Pa〜−10Paとすることが好ましい。なお、減圧チャンバにジャケット(図示しない)を取り付けて、内部温度が所定の温度を保つようにすることが好ましい。また、流延ビードの形状を所望のものに保つために、流延ダイ93のエッジ部に吸引装置(図示しない)を取り付けてビードの両側を吸引することが好ましい。このエッジ吸引風量は、1L/分〜100L/分の範囲であることが好ましい。
流延室80の内部では、回転ローラ97,98により流延バンド94を走行させることにより流延バンド94上の流延膜61を搬送し、同様にして、搬送室81内を搬送する。流延室80或いは搬送室81の内部には、流延バンド94の搬送路近傍に加熱機や乾燥風を供給することができる乾燥手段設けられており、この乾燥手段により乾燥風を供給する等して流延バンド94上の流延膜61の乾燥を促進させる。
搬送室81の内部は複数に区画化し、各区画内の乾燥温度が異なるように乾燥手段を設ける等して調整することが好ましい。これにより、流延膜61を搬送する間に、徐々に乾燥させることができるので、流延膜61中の溶媒が急激に揮発することにより発生するしわやつれなどの形状変化を低減することができる。ただし、区画の個数は特に限定されるものではない。搬送室81の内部での乾燥温度は、30℃以上60℃以下とすることが好ましい。なお、上記のように流延膜61の乾燥が進行すると、その内部から揮発した溶媒が搬送室81に浮遊する。この浮遊溶媒が液化して流延膜61の表面に付着すると、平面性が低下するため好ましくない。そこで、本実施形態では、搬送室81内に凝縮器(コンデンサ)120を設けて、浮遊する溶媒を凝縮回収している。
搬送室81の下流には、剥取ローラ100を備えかつ所定の溶液を貯留するタンク101が設けられている。本実施形態では、溶液として水を使用する。搬送室81から送り出した流延膜61を搭載したままの流延バンド94をタンク101の中に送り込む。溶液は、流延膜61に含まれる溶媒よりも沸点が低く、かつ固体電解質に対して貧溶媒である液体とすることが好ましい。この貧溶媒の基準は既に説明したので、ここでの説明は割愛する。なお、溶液としては、上記の水の他に、例えば、有機溶媒と水との混合物が挙げられる。ここでいう有機溶媒としては、ドープ調製用に使用した溶媒を用いることが好ましい。これにより膜内の溶媒抽出速度を制御することが可能となる。このように流延膜61を溶液に浸漬させると、流延膜61をゲル状にして自己支持性をもたせる効果が得られる。この流延膜61は、溶媒の一部が浸漬させた溶液に置き換わっているため、その後の工程で効率的かつ効果的に乾燥させることができ、結果としてフィルムの製造時間を短縮することができる。
タンク101内で流延膜61を溶液に浸漬させる時間は特に限定されるものではなく、例えば、溶液に浸漬させた後の流延膜61中に含まれる残留溶媒量に応じて適宜調整すれば良い。また、流延膜を溶液に接触させる方法も特に限定されるものではない。上記の浸漬以外の方法としては、例えば、流延膜の表面に溶液を吹き付ける方法が挙げられ、これらの方法でも同様の効果を得ることができる。
自己支持性をもたせた流延膜61を、タンク101に設置されている剥取ローラ100により支持しながら流延バンド94から剥ぎ取って前駆体フィルム65とする。形成された前駆体フィルム65は下流へと搬送され、テンタ83の上流に設けられているエアシャワー103により、その表面に付着している余分な水分が除去される。なお、流延膜61が剥ぎ取られた後の流延バンド94は、回転ローラ97,98の駆動に伴い無端で走行し、再度流延室80内に送り込まれる。
余分な水分を除去した前駆体フィルム65をテンタ83に送り込む。テンタ83には、乾燥風を送り出す乾燥装置と、チェーン(図示しない)の走行に伴い走行する多数の把持手段であるクリップ104とが備えられている。そして、クリップ104により前駆体フィルム65の両側端部を保持した後、テンタ83の内部を搬送する間に、上記の乾燥装置から乾燥風を供給して前駆体フィルム65の乾燥を促進させる。
ただし、テンタ83では、クリップをピンに代えて、このピンを前駆体フィルムの両側端部に突き刺すことにより固定してから搬送させても良い。このとき、乾燥風の温度を調整することにより、テンタ83の内部の温度を80℃以上140℃以下とすることが好ましい。本実施形態では、その内部の温度を約120℃となるように調整する。また、本実施形態ではテンタ83の内部を異なった温度ゾーンとして4分割して、その区画毎に乾燥条件を適宜調整することが好ましい。
テンタ83では、前駆体フィルム65を幅方向に延伸させることが可能とされている。テンタ83に送り込む前の前駆体フィルム65を搬送する間において、前駆体フィルム65の搬送張力を調整することにより、搬送方向に延伸させることも可能である。前駆体フィルム65を延伸させる場合には、前駆体フィルム65の流延方向と幅方向との少なくとも1方向を、延伸前の寸法に対し100.5%〜300%の寸法となるように延伸することが好ましい。これにより、搬送する前駆体フィルム65の分子配向を調整することができる。なお、前駆体フィルムの延伸は、本実施形態のようにテンタを用いても良いし、この他にも、前駆体フィルムを形成した後に多数のローラを配した渡り部を設けて、前駆体フィルムを搬送する間に搬送速度を調整することにより搬送方向に延伸させても良い。
テンタ83の下流には、耳切装置105が設けられている。この耳切装置105により先ほどクリップ104で把持された前駆体フィルム65の両側端部を切り落とす。このように耳切装置105を用いて、前駆体フィルム65の両側端部を切除すると、クリップ等の把持手段により生じた裂傷を除去することができるので、平面性に優れるフィルムを製造することが可能となる。なお、切断された両側端部は、カッターブロワ(図示しない)によりクラッシャ105aに送り込まれ、粉砕されてチップとなる。このチップを、ドープ製造用のポリマー原料として再利用すると、原料の有効利用或いは製造コストの低減を図ることが出来る。前駆体フィルム65の両側端部を切断する工程は省略することもできるが、前駆体フィルム65として支持体から剥ぎ取った後、フィルムを巻き取るまでのいずれかで行うことが好ましい。
耳切装置105の下流には、浴槽84と水槽85とが配されている。浴槽84には、酸を含む溶液が貯留されており、水槽85には、所定の温度に調整された水が貯留されている。そして、耳きりした後の前駆体フィルム65を浴槽84に送り込み、酸を含む溶液に浸漬する。これにより前駆体フィルム65を構成するポリマー中のカチオン種を水素原子に置換することができる。なお、使用する酸を含む溶液の温度は、30℃以上120℃以下とすることが好ましい。ただし、溶液の温度は、室温からその液が沸騰するまでの温度範囲であれば、特に限定されるものではないが、高温であるほど短時間でプロトン置換率の高い前駆体フィルム65を得ることができる。
上記の酸は、電離したときのアニオンの式量が40以上1000以下の化合物とすることが好ましい。酸の具体的例示としては、硫酸、リン酸、硝酸、有機スルホン酸を挙げることができるが、中でも、硫酸を使用することが好ましい。本実施形態では、酸として0.5モル/Lの硫酸を使用し、これを含む溶液を30℃に加熱保温している。
固体電解質の前駆体であるポリマー中のカチオン種の総数をxとし、カチオン種を置換した水素原子の総数をyとして(y/x)×100で表される値をプロトン置換率と称するとき、本発明では、上記のような酸を含む溶液に前駆体フィルム65を浸漬させるようにしたので、効率良くかつ効果的にプロトン置換率を高めることができる。なお、プロトン置換率は、カチオン種全量に対して80%以上とすることが好ましい。より好ましくは、90%以上とすることである。
酸を含む溶液は、前駆体フィルム65に対して出来る限り均一に接触させることが好ましい。本実施形態のように酸を含む溶液に浸漬させる方法は、前駆体フィルム65の全面に接触させることができる。ただし、接触方法は特に限定されるものではなく、前駆体フィルムの表面に所望の溶液を塗布しても良いし、その表面に溶液を吹き付ける方法も好適に用いることができる。
前駆体フィルム65は浴槽84内でプロトン置換率が高められ、固体電解質フィルム70として水槽85に送り出される。このように水槽85に貯留される水に固体電解質フィルム70を浸漬させると、カチオン種と水素原子との置換に使用されず残留している酸を含む溶液を除去して洗浄することができる。この場合、酸により固体電解質フィルム70を構成するポリマー等が汚染されるのを防止することもできる。
なお、水により固体電解質フィルムを洗浄する際には、必ずしも浸漬させる必要はなく、フィルムから酸を除去することができる水の接触方法であれば特に限定されるものではない。例えば、固体電解質フィルムに対して水を塗布する方法、水を吹き付ける方法等が挙げられる。このように固体電解質フィルムに対して水を塗布したり、吹き付けたりする方法では、フィルムを連続的に搬送しながら実施することができるので好ましい。
上記のうち、水を吹き付ける方法の具体的例としては、エクトルージョンあるいは、ファウンテンコーター、フロッグマウスコーター等の塗布ヘッドを用いる方法、空気の加湿や塗装、タンクの自動洗浄などに利用されるスプレーノズルを用いる方法が挙げられる。これらの塗布方式に関しては、「コーティングのすべて」(荒木正義編集、(株)加工技術研究会(1999年))にまとめられており、この記載も本発明に適用することができる。また、スプレーノズルについては、(株)いけうち、スプレーイングシステムズ社の円錐状、扇状などのスプレーノズルを透明樹脂フィルムの幅方向に配列して、全幅に水流が衝突する様に設置することができる。
水の吹き付け速度は大きいほど、高い洗浄効果を得ることができるが、固体電解質フィルムを連続的に搬送しながら洗浄処理を行なう場合には、搬送安定性が損なわれるおそれがある。そのため、水の吹き付け速度は、50〜1000cm/秒であることが好ましく、好ましくは100〜700cm/秒であり、より好ましくは100〜500cm/秒である。
洗浄に使用する水の量は、少なくとも下記に定義される理論希釈率を上回る量を用いることが好ましい。この理論希釈倍率とは、洗浄水の塗布量[ml/m]÷酸を含む溶液の接触量[ml/m]で算出される値であり、すなわち、洗浄に使用される水の全てが接触させた酸を含む溶液の希釈混合に寄与したという仮定の理論希釈率を定義する。実際には、完全混合は起こらないので、理論希釈率を上回る洗浄水量を使用することとなる。用いた酸を含む溶液の酸濃度や副次添加物、溶媒の種類にもよるが、少なくとも100〜1000倍、好ましくは500〜1万倍、さらに好ましくは1000〜十万倍の希釈が得られる洗浄水を使用する。
洗浄方法としてある決まった水の量を用いる場合には、一度に全量適用するよりも数回に分割して洗浄することが好ましい。この場合、一つの洗浄手段と次の洗浄手段との間に、時間や距離を調整することにより適当な間を設けるようにすると、水を拡散させて酸を含む溶液を希釈させることができるので好ましい。更には、搬送される固体電解質フィルムに傾斜を設けるなどして、フィルム上の水がフィルム面に沿って流れる様にすれば、拡散に加えて、流動による混合希釈効果が得られるので好ましい。最も好ましい方法としては、洗浄手段と洗浄手段の間に水切り手段を設けて固体電解質フィルム上の水切りを行なうことである。この方法は、酸を含む溶液の希釈効率を高めることもできる。なお、具体的な水切り手段としては、ブレード、エアナイフ、或いはロール等が挙げられる。洗浄手段の数は、多いほうが洗浄効果を高める上で好ましいが、設置スペース並びに設備コストの観点より、通常は2〜10段、好ましくは2〜5段が使用される。
上記の水切り手段の中では、最も水切り効果を得ることができるためにエアナイフを用いることが好ましい。エアナイフを用いる場合、固体電解質フィルムに対して送り出すエアの風量と風圧とを調整することにより、表面に残存する水分量をゼロに近づけることが出来る。ただし、エアの風量が大きすぎると、ばたつきや寄り等が生じてフィルムの搬送安定性に影響を及ぼすことがある。そのため、エアの風量は10〜500m/秒であることが好ましく、好ましくは20〜300m/秒であり、より好ましくは30〜200m/秒である。なお、上記のエアの風量は、特に限定されるものではなく、フィルム上に元々あった水分量やフィルムの搬送速度等により決定すれば良い。
また、均一に水分の除去を行うためには、固体電解質フィルムの幅方向の風速分布を、通常は10%以内、好ましくは5%以内になる様、エアナイフの吹出し口やエアナイフへの給気方法を調整する。搬送する固体電解質フィルム表面とエアナイフ吹出し口との間隙が狭い方ほど水切り能は増すが、固体電解質フィルムと接触して傷付ける可能性が高くなるため、適当な範囲がある。通常は、10μm〜10cm、好ましくは100μm〜5cm、さらに好ましくは500μm〜1cmの間隙をもって、エアナイフを設置する。さらに、エアナイフと対向する様に、固体電解質フィルムの洗浄面と反対側とにバックアップロールを設置することで、間隙の設定が安定するとともに、フィルムのバタツキやシワ、変形などの影響を緩和することができるために好ましい。
洗浄を行う際には、純水を用いることが好ましい。本発明に用いられる純水とは、比電気抵抗が少なくとも1MΩ以上であり、特にナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの金属イオンは1ppm未満、クロル、硝酸などのアニオンは0.1ppm未満を指す。純水は、逆浸透膜、イオン交換樹脂、蒸留などの単体、あるいは組み合わせによって、容易に得ることができる。中でも、溶存酸素がほとんどなく理論上HOに近い超純水であることが好ましい。また、酸をフィルムから除去する高い効果を得るために、使用する水の温度は30℃以上100℃以下とすることが好ましい。つまり、水の温度は、略室温から水が沸騰するまでの温度範囲であれば特に限定されるものではない。本実施形態では、30℃に調整した温水に浸漬させて、固体電解質フィルム70の酸を除去する。
上記のように酸処理と洗浄処理とを行なうと、流延膜を形成する時点でその中に含まれていた無機塩等の不純物を除去する効果も得られる。そのため、得られるフィルムは不純物による劣化等が抑制される。なお、酸処理及び洗浄をした後のフィルムに含まれる金属含有量は、1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは100ppm以下である。なお、対象となる金属としては、Na、K、Ca、Fe、Ni、Cr、Zn等が挙げられ、これらの金属含有量は、例えば、市販の原子吸光光度計により測定することで把握することができる。
乾燥室86には、多数のパスローラ107と、乾燥室86の内部に浮遊する揮発溶媒を回収するために吸着回収装置108と、乾燥風を供給する乾燥装置(図示しない)とが備えられている。そして、この乾燥室86に洗浄後の固体電解質フィルム70を乾燥室86に送り込み、パスローラ107で支持しながら搬送する間に、上記の乾燥装置から乾燥風を供給して固体電解質フィルム70を乾燥する。
乾燥室86の内部は、複数に区画され、その区画ごとに乾燥温度を変更することが好ましい。これにより乾燥が急激に進行することがないので、平面性に優れる固体電解質フィルム70を得ることができる。乾燥室86の内部温度は、特に限定されるものではないが、ポリマーの耐熱性(ガラス転移点Tg、熱変形温度、融点Tm、連続使用温度等)に応じて決定され、Tg以下とすることが好ましく、本発明では、乾燥室86の内部温度は120℃以上185℃以下とすることが好ましく、固体電解質フィルム70の残留溶媒量が10質量%未満となるまで乾燥することが好ましい。なお、固体電解質フィルム70から蒸発して発生した溶媒ガスは、吸着回収装置108により吸着回収してから、溶媒成分を除去した後、再度、乾燥風として乾燥室86の内部に送りこむ。
フィルム70を調湿室87に搬入する。調湿室87には、乾燥室86と同じ複数のパスローラ107と温度制御装置と湿度制御装置(共に図示しない)とが備えられている。そして、パスローラ107に巻き掛けながら固体電解質フィルム70を搬送する間に、上記の温度制御装置及び湿度制御装置により所望の温度及び湿度となるように調整する。このように固体電解質フィルム70を調湿すると、その含水量を制御することができるため、固体電解質フィルム70の表面にカールが発生したり、巻き取る際に巻取り不良が発生したりするのを抑制することができる。なお、調湿室87内の温度及び湿度は特に限定されるものではないが、温度は20℃以上30℃以下であることが好ましく、湿度は40RH%以上70RH%以下であることが好ましい。
乾燥室86と調湿室87との間に冷却室(図示しない)を設けてフィルム70を略室温まで冷却すると、温度変化によりフィルム70が形状変化するのを抑制することができるので好ましい。また、調湿室87の下流には、除電バー等の除電装置(図示しない)を設けて、固体電解質フィルム70の帯電圧を所定の範囲(例えば、−3kV〜+3kV)となるように調整することが好ましく、更には、ナーリング付与ローラ対(図示しない)を設けて、固体電解質フィルム70の両側端部にエンボス加工でナーリングを付与することが好ましい。なお、ナーリングを付与した箇所の凹凸の高さが1μm〜200μmであることが好ましい。
最後に、固体電解質フィルム70を巻取室88に送り込む。巻取室88には、巻取ロール110と、巻き取り時のテンションを制御するためのプレスローラ111とが備えられており、固体電解質フィルム70に対してプレスローラ111で張力を付与しながら巻取ロール110に巻き取る。これにより、しわやつれ等の発生を抑制しながらロール状の固体電解質フィルム70を得ることができる。なお、フィルムロールにおける過度な巻き締めを防止するために、上記のテンションは巻取開始時から終了時まで徐々に変化させることがより好ましい。また、巻き取られる固体電解質フィルム70の幅は100mm以上であることが好ましいが、本発明は、固体電解質フィルム70の厚みが5μm以上300μm以下の薄いフィルムを製造する際にも本発明は適用される。
溶液製膜方法では、支持体から剥ぎ取られたフィルム(固体電解質フィルム)を巻き取るまでの間に、乾燥工程や側端部の切除除去工程などの様々な工程が行われている。これらの各工程内、あるいは各工程間では、フィルムは主にローラにより支持または搬送されている。これらのローラには、駆動ローラと非駆動ローラとがあり、非駆動ローラは、主に、フィルムの搬送路を決定するとともに搬送安定性を向上させるために使用される。
本実施形態では、1種類のドープを流延する場合を示したが、本発明では、2種類以上のドープを同時に共流延して複層の流延膜を形成しても良いし、逐次に共流延させて複層の流延膜を形成させても良い。なお、2種類以上のドープを同時に共流延する場合には、フィードブロックを取り付けた流延ダイを用いても良いし、マルチマニホールド型流延ダイを用いても良い。ただし、共流延により多層からなるフィルムは、表面に露出する2層のうちいずれか一層が、フィルム全体の厚みの0.5%〜30%であることが好ましい。また、同時に共流延をする場合には、ダイスリットから支持体にドープを流延する際に、高粘度ドープが低粘度ドープにより包み込まれて流延されるように各ドープの濃度を予め調整しておくことが好ましく、ダイスリットから支持体にかけて形成されるビードのうち、外界と接する、つまり露出するドープが内部のドープよりも貧溶媒の比率が大きい処方とされることが好ましい。
なお、固体電解質の前駆体からなるポリマーをフィルム化する上記方法に代えて、細孔が複数形成されているいわゆる多孔質基材の細孔に固体電解質を保持させて、固体電解質が細孔に入ったフィルムを製造しても、上記実施形態とは異なる固体電解質フィルムを製造することができる。このような固体電解質フィルムの製造方法としては、固体電解質が含まれるゾル−ゲル反応液を多孔質基材上に塗布して細孔に固体電解質を入れる方法、多孔質基材を固体電解質が含まれるゾル−ゲル反応液に浸漬し、細孔内に固体電解質を満たす方法等がある。多孔質基材の好ましい例としては、多孔性ポリプロピレン、多孔性ポリテトラフルオロエチレン、多孔性架橋型耐熱性ポリエチレン、多孔性ポリイミドなどが挙げられる。また、固体電解質を繊維状に加工し、繊維中の空隙を他の高分子化合物等で満たし、その繊維を用いてフィルム状とすることにより固体電解質フィルムを形成することもできる。この場合には、空隙を満たすための他の高分子化合物の例としては、本明細書における添加剤として挙げた物質を挙げることができる。
本発明の固体電解質フィルムは、燃料電池用、特に特に直接メタノール型燃料電池用のプロトン伝導膜として好適に利用することができる他に、燃料電池の2つの電極に挟まれる固体電解質フィルムとして用いることができる。さらに、各種電池(レドックスフロー電池、リチウム電池等)における電解質、表示素子、電気化学センサー、信号伝達媒体、コンデンサ、電気透析、電気分解用電解質膜、ゲルアクチュエーター、塩電解膜、プロトン交換樹脂としても本発明の固体電解質フィルムを用いることができる。
(燃料電池)
以下に、固体電解質フィルムを電極膜複合体(Membrane and Electrode Assembly,以下、MEAと称する)に使用する例と、この電極膜複合体を燃料電池に用いる例とを説明する。ただし、ここに示すMEA及び燃料電池の様態は本発明の一例であり、本発明はこれに限定されない。図4は、MEAの断面概略図である。MEA131は、フィルム70と、このフィルム70を挟んで対向するアノード電極132及びカソード電極133とを備える。
アノード電極132は多孔質導電シート132aとフィルム70に接する触媒層132bとを有し、カソード電極133は多孔質導電シート133aとフィルム70に接する触媒層133bとを有する。多孔質導電シート132a,133aとしては、カーボンペーパー等がある。触媒層132b,133bは、白金粒子等の触媒金属を担持したカーボン粒子をプロトン伝導材料に分散させた分散物からなる。カーボン粒子としては、例えばケッチェンブラック、アセチレンブラック、カーボンナノチューブ等があり、プロトン伝導材料としては、例えば、ナフィオン(登録商標)等がある。
MEA131の製造方法としては、次の4つの方法が好ましい。
(1)プロトン伝導材料塗布法:活性金属担持カーボン、プロトン伝導材料、溶媒を含む触媒ペースト(インク)をフィルム70の両面に直接塗布し、多孔質導電シート132a,133aを(熱)塗布層に圧着して5層構成のMEAを作製する。
(2)多孔質導電シート塗布法:触媒層132b,133bの材料を含んだ液、例えば触媒ペーストを、多孔質導電シート132a,133aの表面に塗布し、触媒層132b,133bを形成させた後、フィルム70と圧着し、5層構成のMEA131を作製する。
(3)Decal法:触媒ペーストをPTFE上に塗布し、触媒層132b,133bを形成させた後、フィルム70に触媒層132b,133bのみをうつし、3層構造を形成し、これに多孔質導電シート132a,133aを圧着し、5層構成のMEA131を作製する。
(4)触媒後担持法:白金未担持カーボン材料をプロトン伝導材料とともに混合したインクをフィルム70、多孔質導電シート132a,133aあるいはPTFE上に塗布・製膜した後、白金イオンを含む液にフィルム70を含浸させ、白金粒子をフィルム中で還元析出させて触媒層132b,133bを形成させる。触媒層132b,133bを形成させた後は、上記(1)〜(3)の方法にてMEA131を作製する。
ただし、MEAの作り方としては、上記の方法には限定されず、公知の各種方法を適用することができる。例えば、上記の(1)〜(4)の方法の他に次の方法がある。触媒層132b,133bの材料を含んだ塗布液を予めつくり、この塗布液を支持体に塗布して乾燥する。触媒層132b,133bが形成された支持体を、触媒層132b,133bがフィルム70に接するようにフィルム70の両面にそれぞれ重ねて圧着する。そして支持体を剥がしてから、触媒層132b,133bが両面に形成されたフィルム70を多孔質導電シート132a,133aで挟み込む。そして、多孔質導電シート132a,133aと触媒層132b,133bとを密着させてMEAを製造することができる。
図5は、燃料電池の概略図である。燃料電池141は、MEA131と、MEA131を挟持する一対のセパレータ142,143と、これらのセパレータ142,143に取り付けられたステンレスネットからなる集電体146と、パッキン147とを有する。アノード極側のセパレータ142にはアノード極側開口部151が設けられ、カソード極側のセパレータ143にはカソード極側開口部152が設けられている。アノード極側開口部151からは、水素、アルコール類(メタノール等)等のガス燃料またはアルコール水溶液等の液体燃料が供給され、カソード極側開口部152からは、酸素ガス、空気等の酸化剤ガスが供給される。
アノード電極132およびカソード電極133には、カーボン材料に白金などの活性金属粒子が担持された触媒が用いられる。通常用いられる活性金属の粒子サイズは、2〜10nmの範囲である。ただし、粒子サイズが小さいほど単位質量当りの表面積が大きくなるので活性が高まり有利であるが小さすぎると凝集させることなく分散させることが難しくなるために、2nm程度が小ささの限度といわれている。
水素−酸素系燃料電池における活性分極はアノード極、つまり水素極に比べ、カソード極、つまり空気極の方が大きい。これは、カソード極の反応、つまり酸素の還元反応の速度がアノード極に比べて遅いためである。酸素極の活性向上を目的として、Pt−Cr、Pt−Ni、Pt−Co、Pt−Cu、Pt−Feなどのさまざまな白金基二元金属を用いることができる。アノード燃料にメタノール水溶液を用いる直接メタノール燃料電池においては、メタノールの酸化過程で生じるCOによる触媒被毒を抑制するために、Pt−Ru、Pt−Fe、Pt−Ni、Pt−Co、Pt−Moなどの白金基二元金属、Pt−Ru−Mo、Pt−Ru−W、Pt−Ru−Co、Pt−Ru−Fe、Pt−Ru−Ni、Pt−Ru−Cu、Pt−Ru−Sn、Pt−Ru−Auなどの白金基三元金属を用いることができる。活性金属を担持させるカーボン材料としては、アセチレンブラック、Vulcan XC−72、ケチェンブラック、カーボンナノホーン(CNH)、カーボンナノチューブ(CNT)が好ましく用いられる。
触媒層132b,133bは、(1)燃料を活性金属に輸送すること、(2)燃料の酸化(アノード極)、還元(カソード極)反応の場を提供すること、(3)酸化還元により生じた電子を集電体146に伝達すること、(4)反応により生じたプロトンを固体電解質、つまりフィルム70に輸送すること、という機能をもつ。(1)のために触媒層132b,133bは、液体および気体燃料が奥まで透過できる多孔質性とされる。(2)についてはカーボン材料に担持される活性金属触媒が担い、(3)は同じくカーボン材料が担う。そして、(4)の機能を果たすために、触媒層132b,133bにプロトン伝導材料を混在させる。触媒層のプロトン伝導材料としては、プロトン供与基を持った固体であれば制限はないが、フィルム70に用いられるような酸残基を有する高分子化合物、例えばナフィオン(登録商標)に代表されるパーフルオロスルホン酸、側鎖リン酸基ポリ(メタ)アクリレート、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリベンズイミダゾールなどの耐熱性芳香族高分子のスルホン化物等が好ましく用いられる。フィルム70の材料とされる固体電解質を触媒層132b,133bに用いると、触媒層132b,133bとフィルム70とが同種の材料となるため、固体電解質と触媒層との電気化学的密着性が高まり、イオン伝導の点でより有利である。活性金属の使用量を0.03〜10mg/cmの範囲とすることが、電池出力と経済性との観点から適する。活性金属を担持するカーボン材料の量は、活性金属の質量に対して1〜10倍であることが好ましい。プロトン伝導材料の量は、活性金属担持カーボンの質量に対して、0.1〜0.7倍が好ましい。
触媒層132b,133bは、電極基材、透過層、あるいは裏打ち材とも呼ばれ、集電機能および水がたまりガスの透過が悪化するのを防ぐ役割を担う。通常は、カーボンペーパーやカーボン布を使用し、撥水化のためにポリテトラフルオロエチレン(PTFE)処理を施したものを使用することもできる。
MEAは電池に組み込み、燃料を充填した状態での交流インピーダンス法による面積抵抗値が3Ωcm以下のものが好ましく、1Ωcm以下のものがさらに好ましく、0.5Ωcm以下のものが最も好ましい。面積抵抗値は実測の抵抗値とサンプルの面積の積から得られる。
燃料電池の燃料として用いることのできるものを説明する。アノード燃料としては、水素、アルコール類(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、エーテル類(ジメチルエーテル、ジメトキシメタン、トリメトキシメタンなど)、ギ酸、水素化ホウ素錯体、アスコルビン酸などが挙げられる。カソード燃料としては、酸素(大気中の酸素も含む)、過酸化水素などが挙げられる。
直接メタノール型燃料電池では、アノード燃料として、メタノール濃度が3質量%〜64質量%のメタノール水溶液が使用される。アノード反応式(CHOH+HO→CO+6H+6e)により、1モルのメタノールに対し、1モルの水が必要であり、この時のメタノール濃度は64質量%に相当する。メタノール濃度が高い程、同エネルギー容量での燃料タンクを含めた電池の質量および体積が小さくできる利点がある。しかしながら、メタノール濃度が高い程、メタノールが固体電解質を透過しカソード側で酸素と反応し電圧を低下させる、いわゆるクロスオーバー現象が顕著となり、出力が低下する傾向にある。そこで、用いる固体電解質のメタノール透過性により、最適濃度が決められる。直接メタノール型燃料電池のカソード反応式は、(3/2)O+6H+6eOであり、燃料として酸素(通常は空気中の酸素)が用いられる。
上記アノード燃料およびカソード燃料を、それぞれの触媒層132b,133bに供給する方法としては、(1)ポンプ等の補助機器を用いて強制的に送りこむ方法(アクティブ型)と、(2)補助機器を用いない方法、例えば、燃料が液体である場合には毛管現象や自然落下により、気体である場合には大気に触媒層をさらして供給するパッシブ型との2通りの方法があり、また、(1)と(2)とを組み合わせることも可能である。(1)は、カソード側で生成する水を抜き出すことにより、燃料として高濃度のメタノールを使用することができ、空気供給による高出力化ができる等の利点がある反面、燃料供給系を備える事により小型化がし難い欠点がある。(2)は、小型化が可能な利点がある反面、燃料供給が律速となり易く高い出力が出にくい欠点がある。
燃料電池の単セル電圧は一般的に1V以下であるので、負荷の必要電圧に合わせて、単セルを直列スタッキングして用いる。スタッキングの方法としては、単セルを平面上に並べる「平面スタッキング」および、単セルを、両側に燃料流路の形成されたセパレータを介して積み重ねる「バイポーラースタッキング」が用いられる。前者は、カソード極(空気極)が表面に出るため、空気を取り入れ易く、薄型にできることから小型燃料電池に適している。この他にも、MEMS技術を応用し、シリコンウェハー上に微細加工を施し、スタッキングする方法も提案されている。
燃料電池は、自動車用、家庭用、携帯機器用など様々な利用が考えられているが、特に、直接メタノール型燃料電池は、小型、軽量化が可能であり充電が不要である利点を活かし、様々な携帯機器やポータブル機器用エネルギー源としての利用が期待されている。例えば、好ましく適用できる携帯機器としては、携帯電話、モバイルノートパソコン、電子スチルカメラ、PDA、ビデオカメラ、携帯ゲーム機、モバイルサーバー、ウエラブルパソコン、モバイルディスプレイなどが挙げられる。好ましく適用できるポータブル機器としては、ポータブル発電機、野外照明機器、懐中電灯、電動(アシスト)自転車などが挙げられる。また、産業用や家庭用などのロボットあるいはその他の玩具の電源としても好ましく用いることができる。さらには、これらの機器に搭載された2次電池の充電用電源としても有用である。
次に、本発明の実施例を説明する。なお、以下の各実施例において、実施例1〜3は本発明の実施様態の例であり、実施例4〜9は、実施例1〜3に対する比較実験である。
図1に示すドープ製造設備10によりドープAを調製した。なお、ドープAは、先に示した化3で示される化合物のうち、X=Naであり、Y=SOであり、Zが、化4の(I)に示される構造であり、n=0.33、m=0.67、数平均分子量Mnが約61000、質量平均分子量Mwが約159000である化合物Aを100質量部と、化合物Aに対して良溶媒であるジメチルスルホキシドを256質量部と、化合物Aに対して貧溶媒であるメタノールを171質量部とを混合して調製した。
[固体電解質フィルムの製造]
走行する流延バンド94の上へ流延ダイ93からドープAを流延して流延膜61とし、流延膜61に対して送風機から45℃/10%RHの乾燥風を30分間吹き付けて乾燥した。なお、流延バンド94は、PETフィルムからなるものを使用した。次に、流延バンド94に載せたままの流延膜61を、30℃に調整した水(温水)が貯留されているタンク101に浸漬させた後、剥取ローラ100により流延バンド94から流延膜61を前駆体フィルム65として剥ぎ取った。この間、剥離時間も含めてタンク101内における流延膜61及び前駆体フィルム65の浸漬時間総計を5分間とした。
続いて、エアシャワー103を用いて、タンク101から送り出したゲル状の前駆体フィルム65の表面に付着している水分を水切りした後、前駆体フィルム65をテンタ83に送り込んだ。テンタ83では、前駆体フィルム65の両側端部をクリップ104で把持しながら搬送する間に、120℃の乾燥風を乾燥装置から供給して前駆体フィルム65の残留溶媒量が10質量%未満となるまで乾燥した。なお、テンタ83での乾燥時間は10分間であった。そして、クリップ104を解放してテンタ83から送り出した前駆体フィルム65の両側端部を耳切装置105により切断した。
両側端部を切断した前駆体フィルム65を、70℃に保持した0.5モル/Lの硫酸水溶液が貯留されている浴槽84に送り込み、酸処理を行った。これにより、前駆体フィルム65中に含まれるカチオン種を水素原子に置換して固体電解質フィルム70を得た。また、固体電解質フィルム70は、70℃の水が貯留されている水槽85に送り込むことで酸を除去した。
また、実施例1では、水槽85の下流に別の水槽を設けて固体電解質フィルム70を洗浄した。2つ目の水槽には70℃に加温保持した温水を貯留したものを用いた。その後、乾燥室86との間にエアシャワー(図示しない)を設けて、固体電解質フィルム70の表面に付着する水分を吹き飛ばした。その後、固体電解質フィルム70を乾燥室86に送り込み、乾燥した。乾燥室86では、多数のパスローラ107で巻き掛けながら搬送する間に、乾燥室86内部に備えられている乾燥装置から乾燥風を供給して、その内部温度が60〜120℃となるように調整した。そして、乾燥した固体電解質フィルム70を調湿室87に送り込み調湿した後、巻取室88の巻取りローラ110に巻き取ってロール状のフィルムとした。
製造した固体電解質フィルム70に関して、以下の各項目を測定し、その特性を評価した。なお、以下の測定は、実施例1〜9全てに共通であり、各実施例での評価結果を纏めて表1に示す。
〔プロトン置換率〕
製造した固体電解質フィルム70の質量を測定後、0.1モル/LのNaOH水溶液に2時間浸漬させてアルカリ処理を施した。浸漬させている間は、NaOH水溶液を攪拌した。次に、固体電解質フィルムを取り出したNaOH水溶液に関して、塩酸水溶液による逆滴定を行なうことにより、固体電解質フィルム70のイオン交換容量(ICE)を求めた。そして、このイオン交換容量と理論値とを比較して、固体電解質の前駆体であるポリマーが有するカチオン種が酸処理においてプロトンに置換された量を算出し、これをプロトン置換率として評価した。なお、上記の理論値とは、NMR測定等により構造解析から導かれたスルホン酸基導入量のことである。
〔プロトン伝導度〕
プロトン伝導度の測定は、Journal of the Electrochemical Society 143巻4号1254−1259項(1996年)に従い、4端子交流法を用いて行なった。
先ず、製造した固体電解質フィルム70から長さ2cm、幅1cmに切り抜いて、これをサンプルとした。次に、PTFE板に5mm間隔で白金線を4本固定したものに上記のサンプルを載せて、更にその上にPTFE板を載せた後、これらをビスで固定して試験セルとした。そして、この試験セルと、インピーダンスアナライザーとしてソーラトロン製1480型及び1225B型を組合せたものとを用いて、80℃の温水中で交流インピーダンス法によりプロトン伝導度の測定を行なった。
〔燃料電池の出力密度〕
製造した固体電解質フィルム70を用いて作製した燃料電池141の出力密度を下記方法により測定した。
(1)触媒層132b,133bとされる触媒シートAの作製
VulcanXC72に白金50wt%が担持された白金担持カーボン2g及びナフィオン(登録商標)を含む5%アルコール溶液15gを混合した後、この混合物を超音波分散器で30分間分散させて分散物Aを得た。分散物A中に含まれる粒子の平均粒径は約500nmであった。次に、補強材入りのポリテトラフルオロエチレンフィルム(サンゴバン(株)製)の上に分散物Aを塗設し乾燥させた物を直径9mmの円形に打ち抜き、これを触媒シートAとした。
(2)MEA131の作製
固体電解質フィルム70の両面に分散物Aからなる塗膜が固体電解質フィルム70に接するように触媒シートAを張り合わせた後、210℃、3MPaで10分間の熱圧着を行った。そして、圧力をかけた状態で210℃から降温させた後、触媒シートAの支持体を剥離して、順々にMEAを作製した。
(3)燃料電池141の出力密度
電極と同じサイズにカットしたガス拡散電極(E−TEK製)を(2)で得られたMEAに積層した後、これを標準燃料電池試験セル(エレクトロケム社製)にセットした。そして、この試験セルを燃料電池評価システム((株)エヌエフ回路設計ブロック製 As−510)に接続し、アノード側に加湿した水素ガスを流すと共に、一方のカソード側には加湿した模擬大気を流して電圧が安定するまで運転させた。次に、アノード電極とカソード電極との間に負荷をかけた時に生じる電流−電圧特性を記録して、これを出力密度(W/cm)として測定した。
実施例2では、下記の原料を混合して調製したドープBを用いて固体電解質フィルム70を製造した。化合物Bとは、化3で示される化合物のうち、X=Naであり、Y=SOであり、Zは化4において(I)が0.7モル%、(II)が0.3モル%含まれる化合物である。なお、化合物Bは、n=0.33、m=0.67であり、数平均分子量Mnは約68000、質量平均分子量Mwは約200000である。
化合物B 100質量
ジメチルスルホキシド 200質量部メタノール 135質量
実施例1の条件及び製造方法によりドープBを用いて固体電解質フィルム70を製造した。ただし、流延バンド94上の流延膜61を45℃/10%RHの風を20分間供給することにより乾燥した。
浴槽84に貯留する0.5モル/Lの硫酸水溶液を80℃に保持した以外は、全て実施例2と同様にしてフィルム70を製造した。
実施例2と同様の製造条件及び製造方法ながら、酸処理及び洗浄処理を実施せずに固体電解質フィルム70を製造した。また、フィルムに関する測定を行う際には、下記の方法に形成したフィルムをサンプルとして使用した。
サンプルを作製する手順として、先ず、製造した固体電解質フィルム70の一部を切り出したフィルム切断片を0.5モル/Lの硫酸水溶液に浸漬させて2時間煮沸した。次に、硫酸水溶液から取り出したフィルムの切断片を超純水により2回リンスした後、フィルム切断片を2時間煮沸した。
浴槽84に貯留する0.5モル/Lの硫酸水溶液を20℃に保持した以外は、全て実施例2と同様にしてフィルム70を製造した。
水槽85に貯留する水の温度を20℃にする以外は、全て実施例2と同様にしてフィルム70を製造した。
水槽85の下流に新規に設けた水槽に貯留する水の温度を20℃にする以外は、全て実施例2と同様にしてフィルム70を製造した。
70℃に保温された1モル/Lの塩酸水溶液が貯留される浴槽84を用いた以外は、全て実施例2と同様にしてフィルム70を製造した。
実施例9では、下記の原料を混合して調製したドープCを用いて固体電解質フィルム70を製造した。化合物Cとは、化3で示される化合物のX=Hであり、Y=SOであり、Zは化4において(I)が0.7モル%、(II)が0.3モル%含まれる化合物である。なお、化合物Bは、n=0.33、m=0.67、数平均分子量Mnは約68000、質量平均分子量Mwは約200000である。
化合物C 100質量
ジメチルスルホキシド 200質量
メタノール 135質量
そして、実施例2の条件及び製造方法によりドープを用いて固体電解質フィルム70を製造した。ただし、乾燥室86の内部の温度を120〜185℃になるよう調整して、耳きりした後の固体電解質フィルム70を乾燥した。
Figure 0004969132
各実施例の結果から、本発明に係る実施例1〜3では、プロトン置換率、プロトン伝導度及び出力密度のいずれにおいても、固体電解質フィルム製品として使用する上で非常に優れた値であることが分かる。なお、実施例1〜3の結果は、酸処理と洗浄処理とを組み込んでフィルム製造工程を連続して行なえるにも係らず、従来法として酸処理と洗浄処理とをフィルム製造工程とは切り離して行なった実施例4の結果と比べても遜色はない。また、実施例9は、プロトン伝導度の高いフィルムを得るためにプロトン置換したポリマーからなるドープを使用する従来法であるが、この方法により得られる固体電解質フィルムは、プロトン置換率は高いが、プロトン伝導度や出力密度が劣る。これは、フィルム製造工程の途中で、ポリマーが温度や湿度の影響を受けたことに起因すると考えられる。
また、実施例5、8の結果から、酸処理時に使用する酸の溶液の温度や式量がプロトン置換率やプロトン伝導度に影響を与えることが分かる。更に、実施例6、7の結果からは、酸処理後の固体電解質フィルムを洗浄する際の水の温度によっては、プロトン置換率は高いが、プロトン伝導度に影響を及ぼすこと等も確認することができる。
以上の結果から、本発明は、流延膜の形成から固体電解質フィルムを製造するまでの一連の工程の中に酸処理と洗浄処理とを組み込んでいるにも係らず、連続してプロトン置換率やプロトン伝導度の高い固体電解質フィルムを製造することができることが分かる。また、本発明により得られる固体電解質フィルムは、燃料電池の固体電解質層として使用する場合、優れた出力密度を実現させることができる。
本実施形態で使用するドープ製造設備の一例の概略図である。 本発明に係るフィルムの製造工程図である。 本発明に係るフィルム製造設備の一例の概略図である。 電極膜複合体の断面図である。 燃料電池の断面図である。
符号の説明
10 ドープ製造設備
24 ドープ
33 フィルム製造設備
61 流延膜
65 前駆体フィルム
70 固体電解質フィルム
84 浴槽
85 水槽

Claims (13)

  1. 走行する支持体上に、有機溶媒とカチオン種を有し固体電解質の前駆体であるポリマーとを含むドープを流延ダイから流延して流延膜を連続的に形成する第1工程と、
    前記流延膜を前記支持体から剥ぎ取って前記前駆体よりなる前駆体フィルムとする第2工程と、
    温度を30℃以上120℃以下としたプロトン供与体である酸の溶液に前記前駆体フィルムを搬送しながら接触させて、前記カチオン種が水素原子に置換された前記固体電解質からなる固体電解質フィルムとする第3工程と、
    前記固体電解質フィルムを洗浄する第4工程と、
    前記固体電解質フィルムを乾燥する第5工程とを有し、
    前記第1工程から第5工程は連続することを特徴とする固体電解質フィルムの製造方法。
  2. 前記接触は、前記前駆体フィルムの前記溶液に対する浸漬、前記前駆体フィルムに対する前記溶液の吹き付け、前記前駆体フィルムへの前記溶液の塗布の少なくともいずれかひとつであることを特徴とする請求項1記載の固体電解質フィルムの製造方法。
  3. 前記固体電解質フィルムを水に接触させることにより前記洗浄がなされることを特徴とする請求項1または2記載の固体電解質フィルムの製造方法。
  4. 前記水の温度を30℃以上100℃以下とすることを特徴とする請求項3記載の固体電解質フィルムの製造方法。
  5. 前記酸は、電離したときのアニオンの式量が40以上1000以下の化合物であることを特徴とする請求項1ないしいずれかひとつ記載の固体電解質フィルムの製造方法。
  6. 前記ポリマーは、炭化水素系ポリマーであることを特徴とする請求項1ないしいずれかひとつ記載の固体電解質フィルムの製造方法。
  7. 前記炭化水素系ポリマーは、芳香族系ポリマーであることを特徴とする請求項記載の固体電解質フィルムの製造方法。
  8. 前記芳香族系ポリマーは、化1の一般式(I)〜(III)で示される各構造単位からなる共重合体であることを特徴とする請求項記載の固体電解質フィルムの製造方法。
    Figure 0004969132
    (ただし、Xはプロトン以外のカチオン種であり、YはSOであり、Zは化2の(I)または(II)に示す構造であり、nとmとは0.1≦n/(m+n)≦0.5を満たす)
    Figure 0004969132
  9. 前記有機溶媒よりも沸点が低く、かつ前記ポリマーの貧溶媒である液体を前記流延膜に接触させることを特徴とする請求項1ないしいずれかひとつ記載の固体電解質フィルムの製造方法。
  10. 連続搬送されるウェブ状の固体電解質フィルムの製造設備であって、
    走行する支持体と、有機溶媒及びカチオン種を有し固体電解質の前駆体であるポリマーを含むドープを前記支持体に流延する流延ダイとを有する流延膜形成装置と、
    前記支持体から剥ぎ取られた前記流延膜である前駆体フィルムを搬送する搬送装置と、前記搬送装置により搬送されている前記前駆体フィルムに、プロトン供与体である酸の溶液を接触させて、前記カチオン種が水素原子に置換された前記固体電解質からなる固体電解質フィルムを形成する酸接触装置と、
    前記固体電解質フィルムを洗浄して前記置換に関与しかなった前記酸を除去する洗浄装置と、
    洗浄された前記固体電解質フィルムを乾燥する乾燥装置とを備えることを特徴とする固体電解質フィルムの製造設備。
  11. 請求項1ないしいずれかひとつに記載の製造方法により製造されたことを特徴とする固体電解質フィルム。
  12. 請求項11記載の固体電解質フィルムと、前記固体電解質フィルムの一方の面に密着して備えられ、外部から供給される水素含有物質からプロトンを発生するためのアノード電極と、前記固体電解質フィルムの他方の面に密着して備えられ、前記固体電解質フィルムを通過した前記プロトン及び外部から供給される気体中に含まれる酸素からなる水を合成するカソード電極とを有することを特徴とする電極膜複合体。
  13. 請求項12記載の電極膜複合体と、前記電極膜複合体の電極に接触して備えられ前記アノード電極及び前記カソード電極と外部との電子の受け渡しをする集電体とを有することを特徴とする燃料電池。
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