JP4967671B2 - ハイブリッド車両のエンジン失火検出制御装置 - Google Patents
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Description
エンジンにトルク指令を与えてもエンジントルクが生じない失火状態や、エンジンに始動指令を与えても実際にはエンジンが始動していないという未始動状態を正確に検出する技術に関するものである。
特許文献1に記載のハイブリッド車両の故障診断装置は、以前にエンジンの燃焼運転が実行されたときのエンジン始動後のトルク又は回転数の変動状態に基づいて、エンジンが再始動された後に失火判定状況を変更するようにして、冷間始動時であっても温間始動時であっても、正確に失火判定を行うものである。
特許文献2に記載のハイブリッド自動車のパワートレーンの故障判断装置は、エンジン出力軸のトルク又は回転数の変動が検出された場合に、この検出されたトルク又は回転数の変動に基づいてエンジンの失火状態を判定する。これによりエンジンの失火判定と発電機/電動機の異常判定とを区別して判定し、失火の誤判定を防止するようにしたものである。
特許文献3に記載の内燃機関の失火検出装置は、現在の走行モードがエンジンおよびモータからの動力により走行するエンジンモータ走行モードのときには、エンジンの回転変動ΔNeと閾値N1とを比較することにより失火の可能性につき判定を行い、エンジンに失火の可能性があると判断すれば次に走行モードをエンジンからの動力だけで走行するエンジン走行モードに切り替えさせるためにモータの運転を禁止し、その後、エンジン回転変動ΔNeと閾値N2とを比較することにより本失火判定を行い、回転変動ΔNeと閾値N2未満のときにエンジンに失火が生じていると判定する。
特許文献4に記載のハイブリッド車両の制御装置は、エンジン出力軸に連結された発電機/電動機によりエンジンのトルク変動を打ち消すよう制振制御を実施する制御装置において、前記制振制御を行う際にエンジンのトルク変動を打ち消すための電動機/発電機のトルク補正量を算出するトルク補正量算出手段と、前記算出した電動機/発電機のトルク補正量に基づいてエンジンの失火状態を検出する失火検出手段と、を具えるものである。
特許文献5に記載のハイブリッド型車両の多気筒内燃機関失火検出装置は、発電機の負荷が多気筒エンジンの各気筒における爆発タイミングに同期して周期的に変動することにより多気筒エンジンの制振制御を行う構成において、制振制御を実行する際に発電機に出力する発電機負荷に関する信号、又は、発電機から検出した発電機負荷に関する信号に基づいて失火を検出するようにしたものである。
つまり特許文献1〜3にあっては、実際のトルクに変動が生じたことをもってエンジンの失火を検出することから、駆動源全体としての出力変動が車輪に伝達され、運転者がショックを感じてしまうという不都合が生じる。
動力源としてエンジンおよびモータ/ジェネレータを具え、これらエンジンおよびモータ/ジェネレータの双方からの動力を車輪側へ伝達して走行可能なハイブリッド車両において、
これらモータ/ジェネレータとエンジンとによって駆動される動力軸の回転数を、モータ/ジェネレータトルクの増減により制御する目標回転数制御手段と、
前記エンジンにトルク変動を与えるよう指令するトルク変動指令手段とを具え、
エンジンにトルク変動を与えるよう指令した際に、エンジンのトルク変動による前記動力軸の回転数変動を打ち消すよう前記目標回転数制御手段が前記モータ/ジェネレータに打消トルクを指令しなかったときをもってエンジンの失火または未始動を検出するよう構成したことを特徴とするものである。
これに対しエンジンが失火していれば、前記トルク変動指令に反してエンジントルクが変動しない。そうすると目標回転数制御手段も打消トルクを前記モータ/ジェネレータに指令しないため、打消トルク指令がないことをもってエンジンの失火を検出することができる。しかも、動力軸に回転数変動は生じず、いずれにせよ、運転者がショックを感じることがなく、乗り心地性能を損なうことがない。
図1は、本発明のモータ/ジェネレータ制御装置を適用可能なハイブリッド駆動装置を具えたフロントエンジン・リヤホイールドライブ式ハイブリッド車両のパワートレーンを示し、1はエンジン、2は駆動車輪(後輪)である。
図1に示すハイブリッド車両のパワートレーンにおいては、通常の後輪駆動車と同様に
エンジン1の車両前後方向後方に自動変速機3をタンデムに配置し、エンジン1(クランクシャフト1a)からの回転を自動変速機3の入力軸3aへ伝達する軸4に結合してモータ/ジェネレータ5を設ける。
用したりするもので、エンジン1および自動変速機3間に配置する。
このモータ/ジェネレータ5およびエンジン1間に、より詳しくは、軸4とエンジンクランクシャフト1aとの間に第1クラッチ6を介挿し、この第1クラッチ6によりエンジン1およびモータ/ジェネレータ5間を切り離し可能に結合する。
ここで第1クラッチ6は、伝達トルク容量を連続的に変更可能なものとし、例えば、比例ソレノイドでクラッチ作動油流量およびクラッチ作動油圧を連続的に制御して伝達トルク容量を変更可能な湿式多板クラッチで構成する。
第2クラッチ7も第1クラッチ6と同様、伝達トルク容量を連続的に変更可能なものとし、例えば、比例ソレノイドでクラッチ作動油流量およびクラッチ作動油圧を連続的に制御して伝達トルク容量を変更可能な湿式多板クラッチで構成する。
従って自動変速機3は、入力軸3aからの回転を選択変速段に応じたギヤ比で変速して出力軸3bに出力する。
この出力回転は、ディファレンシャルギヤ装置8により左右後輪2へ分配して伝達され、
車両の走行に供される。
但し自動変速機3は、上記したような有段式のものに限られず、現在の変速段から目標変速段へ無段階にさせることができる変速機であってもよいのは言うまでもない。
低車速時に用いられる電気走行(EV)モードが要求される場合、第1クラッチ6を解放し、第2クラッチ7を締結し、自動変速機3を動力伝達状態にする。
変速機出力軸3bからの回転はその後、ディファレンシャルギヤ装置8を経て後輪2に至り、車両をモータ/ジェネレータ5のみによって電気走行(EV走行)させることができる。
この状態では、エンジン1からの出力回転、または、エンジン1からの出力回転およびモータ/ジェネレータ5からの出力回転の双方が変速機入力軸3aに達することとなり、自動変速機3が当該入力軸3aへの回転を、選択中の変速段に応じ変速して、変速機出力軸3bより出力する。
変速機出力軸3bからの回転はその後、ディファレンシャルギヤ装置8を経て後輪2に至り、車両をエンジン1およびモータ/ジェネレータ5の双方によってハイブリッド走行(HEV走行)させることができる。
図2に示すように、第2クラッチ7を自動変速機3およびディファレンシャルギヤ装置8間に介在させても、同様に機能させることができる。
この代わりに第2クラッチ7として、図3に示すごとく自動変速機3内に既存する前進変速段選択用の摩擦要素または後退変速段選択用の摩擦要素を流用するようにしてもよい。
この場合、第2クラッチ7が前記したモード選択機能を果たすのに加えて、この機能を果たすよう締結される時に自動変速機を動力伝達状態にすることとなり、専用の第2クラッチが不要でコスト上大いに有利である。
エンジン回転数Neを検出するエンジン回転センサ11からの信号と、
モータ/ジェネレータ回転数Nmを検出するモータ/ジェネレータ回転センサ12からの信号と、
変速機入力回転数Niを検出する入力回転センサ13からの信号と、
変速機出力回転数Noを検出する出力回転センサ14からの信号と、
エンジン1の要求負荷状態を表すアクセルペダル踏み込み量(アクセル開度APO)を検出するアクセル開度センサ15からの信号と、
モータ/ジェネレータ5用の電力を蓄電しておくバッテリ9の蓄電状態SOC(持ち出し可能電力)を検出する蓄電状態センサ16からの信号とを入力する。
サ12、入力回転センサ13、および出力回転センサ14はそれぞれ、図1〜3に示すように配置することができる。
および変速機出力回転数No(車速VSP)から、運転者が希望している車両の駆動力を実現可能な運転モード(EVモード、HEVモード)を選択すると共に、目標エンジントルクtTe、目標モータ/ジェネレータトルクtTm、目標第1クラッチ伝達トルク容量tTc1、および目標第2クラッチ伝達トルク容量tTc2をそれぞれ演算して駆動力制御を行う。
エンジンコントローラ21は、エンジントルクTeが目標エンジントルクtTeとなるようエンジン1を制御し、
モータ/ジェネレータコントローラ22はモータ/ジェネレータ5のトルクTm(または回転数Nm)が目標モータ/ジェネレータトルクtTmとなるよう、バッテリ9およびインバータ10を介してモータ/ジェネレータ5を制御する。
統合コントローラ20は、演算した目標第1クラッチ伝達トルク容量tTc1および目標第2クラッチ伝達トルク容量tTc2に対応するソレノイド電流を第1クラッチ6および第2クラッチ7の締結制御ソレノイド(図示せず)に供給し、第1クラッチ6の伝達トルク容量Tc1が目標伝達トルク容量tTc1に一致するよう、また、第2クラッチ7の伝達トルク容量Tc2が目標第2クラッチ伝達トルク容量tTc2に一致するよう、第1クラッチ6および第2クラッチ7を個々に締結力制御する。
これに対し、蓄電状態SOCが目標蓄電状態tSOCよりも小さい場合は、図8に示すようにモータ/ジェネレータ5は発電機として回生し、モータ/ジェネレータ5からバッテリ9に電力を供給して、バッテリ9を充電する。このため、バッテリ9の蓄電状態SOCは目標蓄電状態tSOCに向かって増加する。
なおHEV走行モードを選択する以上、バッテリ9の蓄電状態SOCは目標蓄電状態tSOCと一致しないことが通常であるから、図8に例示するマップに基づき蓄電状態を目標蓄電状態tSOCに近づけるよう制御すると理解されたい。
別ないい方をすれば、モータ/ジェネレータ5は発電機として回生トルクを入力される。
一方、エンジン1は瞬時t6以降で初爆トルクを発生し、エンジントルクが瞬時t6で急増する。この結果、ジェネレータ回生トルクはエンジン初爆トルクを打ち消して、出力軸3bの回転数(軸4の回転数でもある)は目標モータ/ジェネレータ回転数に一致するよう漸近する。そして、第2クラッチ6を締結し第2クラッチ7の目標伝達トルク容量tTc2をスリップ制御しながら走行する場合、車輪側にtTc2以上のトルクが伝達することがないので、車両の駆動力の変動により運転者の乗り心地性能を損なうことがない。
したがって、この打消トルク指令が無ければ、エンジン1がトルク変動またはクランキングしておらずエンジン1の失火または未始動を検出することができる。しかも、エンジン1およびモータ/ジェネレータ5によって駆動される軸4の回転数を安定させるトルク制御であるため、運転者が失火または未始動検出時にショックを感じることがなく、乗り心地性能を損なうことがない。
あるいはバッテリ9とモータ/ジェネレータ5とエンジン1との温度が動作のために適した温度よりも低い場合に、エンジン1のトルクをα増大させるようトルク変動を指令することにより、短時間で暖機運転を完了することができる。
あるいはバッテリ9とモータ/ジェネレータ5とエンジン1との温度が動作適温よりも高い場合に、これら1,5,9の温度が更に高くなることを回避することができる。
この打消トルクγが無ければ、エンジン1の未始動を検出することができる。
2 駆動車輪(後輪)
3 自動変速機
4 伝動軸
5 モータ/ジェネレータ
6 第1クラッチ
7 第2クラッチ
8 ディファレンシャルギヤ装置
9 バッテリ
10 インバータ
11 エンジン回転センサ
12 モータ/ジェネレータ回転センサ
13 変速機入力回転センサ
14 変速機出力回転センサ
15 アクセル開度センサ
16 バッテリ蓄電状態センサ
20 統合コントローラ
21 エンジンコントローラ
22 モータ/ジェネレータコントローラ
Claims (5)
- 動力源としてエンジンおよびモータ/ジェネレータを具え、これらエンジンおよびモータ/ジェネレータの双方からの動力を車輪側へ伝達して走行可能なハイブリッド車両において、
これらモータ/ジェネレータとエンジンとによって駆動される動力軸の回転数を、モータ/ジェネレータトルクの増減により制御する目標回転数制御手段と、
前記エンジンにトルク変動を与えるよう指令するトルク変動指令手段とを具え、
エンジンにトルク変動を与えるよう指令した際に、エンジンのトルク変動による前記動力軸の回転数変動を打ち消すよう前記目標回転数制御手段が前記モータ/ジェネレータに打消トルクを指令しなかったときをもってエンジンの失火または未始動を検出するよう構成したことを特徴とするハイブリッド車両のエンジン失火検出制御装置。 - 請求項1に記載のハイブリッド車両のエンジン失火検出制御装置において、
前記トルク変動指令手段は、前記モータ/ジェネレータが低回転の状態で走行している場合、モータ/ジェネレータと電力を授受するバッテリの蓄電状態が低い場合、該バッテリとモータ/ジェネレータと前記エンジンの温度が各々の動作適温よりも低い場合、のうちの少なくとも1つの場合であると判定すると、前記エンジンのトルクを増大させるようトルク変動を与えるよう指令することを特徴とするハイブリッド車両のエンジン失火検出制御装置。 - 請求項1に記載のハイブリッド車両のエンジン失火検出制御装置において、
前記トルク変動指令手段は、前記モータ/ジェネレータが高回転の状態で走行している場合、モータ/ジェネレータと電力を授受するバッテリの蓄電状態が高い場合、該バッテリとモータ/ジェネレータと前記エンジンの温度が各々の動作適温よりも高い場合、のうちの少なくとも1つの場合であると判定すると、前記エンジンのトルクを減少させるようトルク変動を与えるよう指令することを特徴とするハイブリッド車両のエンジン失火検出制御装置。 - 請求項1または2に記載のハイブリッド車両のエンジン失火検出制御装置において、
前記トルク変動指令手段は、前記エンジンへの始動指令をもってエンジンにトルク変動を与えるよう指令することを特徴とするハイブリッド車両のエンジン失火検出制御装置。 - 請求項4に記載のハイブリッド車両のエンジン失火検出制御装置において、
前記ハイブリッド車両は前記エンジンおよび前記モータ/ジェネレータからの動力を車輪側に伝達する経路に動力を断接可能なクラッチを具え、
前記エンジンへの始動指令を行う際には前記クラッチを、所定値以上のトルクを伝達しないようスリップ制御することを特徴とするハイブリッド車両のエンジン失火検出制御装置。
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