JP5231747B2 - ハイブリッド車両の制動制御装置 - Google Patents
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Description
このハイブリッド駆動装置は、動力源としてエンジンおよびモータ/ジェネレータを具え、エンジンとモータとを第1クラッチを介して駆動結合し、モータと車輪側とを第2クラッチを介して駆動結合するものである。そしてエンジンが停止状態であってハイブリッド車両がコースト走行中にエンジンを始動するにあたり、第1クラッチのモータ側回転数がエンジン始動可能回転数以下であるときには、第2クラッチを解放して第1クラッチを締結した待機状態とする制御を行うものである。
動力源としてエンジンおよびモータ/ジェネレータを具え、エンジンとモータとを第1摩擦要素を介して駆動結合し、モータと車輪側とを第2摩擦要素を介して駆動結合し、
第1摩擦要素を解放しエンジンを停止させ第2摩擦要素を締結しモータ/ジェネレータからの動力のみによる電気走行モードと、少なくとも第2摩擦要素を締結しエンジンおよびモータ/ジェネレータの双方からの動力によるハイブリッド走行モードとを選択可能で、
第1摩擦要素を締結しモータ/ジェネレータでエンジンをクランキングするようにしたハイブリッド車両において、
電気走行モードを選択しモータ/ジェネレータの回生トルクにより車輪を制動するコースト走行中にエンジンをクランキングする際には、第2摩擦要素を一旦解放し、車輪を制動する機械ブレーキで前記回生トルクによる制動を補償するよう構成した。
請求項1では、前記第2摩擦要素は、解放指令に対し決められた減少率で伝達トルク容量値が減少するものであって、
前記一旦解放に係る解放指令に基づき第2摩擦要素の伝達トルク容量値を減少させるに際し、前記機械ブレーキの制動トルクを制御する機械ブレーキ制御手段が、前記伝達トルク容量値の減少率と絶対値で等しい増大率で機械ブレーキの制動トルクを増大させて、前記回生トルクによる制動を補償することを特徴としたものである。
請求項2では、前記第2摩擦要素は、締結指令に対し決められた増大率で伝達トルク容量値が変化するものであって、
前記一旦解放後の再締結指令に基づき第2摩擦要素の伝達トルク容量値を増大させるに際し、前記機械ブレーキの制動トルクを制御する機械ブレーキ制御手段が、前記伝達トルク容量値の増大率と絶対値で等しい減少率で機械ブレーキの制動トルクを減少させて、前記回生トルクによる制動を補償する特徴としたものである。
図1は、本発明の制動制御装置を適用可能なハイブリッド駆動装置を具えたフロントエンジン・リヤホイールドライブ式ハイブリッド車両のパワートレーンを示し、1はエンジン、2は駆動車輪(後輪)である。
図1に示すハイブリッド車両のパワートレーンにおいては、通常の後輪駆動車と同様にエンジン1の車両前後方向後方に自動変速機3をタンデムに配置し、エンジン1(クランクシャフト1a)からの回転を自動変速機3の入力軸3aへ伝達する軸4に結合してモータ/ジェネレータ5を設ける。
このモータ/ジェネレータ5およびエンジン1間に、より詳しくは、軸4とエンジンクランクシャフト1aとの間に第1クラッチ6を介挿し、この第1クラッチ6によりエンジン1およびモータ/ジェネレータ5間を切り離し可能に結合する。
ここで第1クラッチ6は、伝達トルク容量を連続的に変更可能なものとし、例えば、比例ソレノイドでクラッチ作動油流量およびクラッチ作動油圧を連続的に制御して伝達トルク容量を変更可能な湿式多板クラッチなどの摩擦要素で構成する。
第2クラッチ7も第1クラッチ6と同様、伝達トルク容量を連続的に変更可能なものとし、例えば、比例ソレノイドでクラッチ作動油流量およびクラッチ作動油圧を連続的に制御して伝達トルク容量を変更可能な湿式多板クラッチなどの摩擦要素で構成する。
従って自動変速機3は、入力軸3aからの回転を選択変速段に応じたギヤ比で変速して出力軸3bに出力する。
この出力回転は、ディファレンシャルギヤ装置8により左右後輪2へ分配して伝達され、車両の走行に供される。
但し自動変速機3は、上記したような有段式のものに限られず、現在の変速段から目標変速段へ無段階にさせることができる変速機であってもよいのは言うまでもない。
変速機出力軸3bからの回転はその後、ディファレンシャルギヤ装置8を経て後輪2に至り、車両をモータ/ジェネレータ5のみによって電気走行(EV走行)させることができる。
この状態では、エンジン1からの出力回転、または、エンジン1からの出力回転およびモータ/ジェネレータ5からの出力回転の双方が変速機入力軸3aに達することとなり、自動変速機3が当該入力軸3aへの回転を、選択中の変速段に応じ変速して、変速機出力軸3bより出力する。
変速機出力軸3bからの回転はその後、ディファレンシャルギヤ装置8を経て後輪2に至り、車両をエンジン1およびモータ/ジェネレータ5の双方によってハイブリッド走行(HEV走行)させることができる。
図2に示すように、第2クラッチ7を自動変速機3およびディファレンシャルギヤ装置8間に介在させても、同様に機能させることができる。
この代わりに第2クラッチ7として、図3に示すごとく自動変速機3内に既存する前進変速段選択用の摩擦要素または後退変速段選択用の摩擦要素を流用するようにしてもよい。
この場合、第2クラッチ7が前記したモード選択機能を果たすのに加えて、この機能を果たすよう締結される時に自動変速機を動力伝達状態にすることとなり、専用の第2クラッチが不要でコスト上大いに有利である。
エンジン回転数Neを検出するエンジン回転センサ11からの信号と、
モータ/ジェネレータ回転数Nmを検出するモータ/ジェネレータ回転センサ12からの信号と、
変速機入力回転数Niを検出する入力回転センサ13からの信号と、
変速機出力回転数Noを検出する出力回転センサ14からの信号と、
エンジン1の要求負荷状態を表すアクセルペダル踏み込み量(アクセル開度APO)を検出するアクセル開度センサ15からの信号と、
モータ/ジェネレータ5用の電力を蓄電しておくバッテリ9の蓄電状態SOC(持ち出し可能電力、充電率ともいう)を検出する蓄電状態センサ16からの信号と、を入力する。
エンジンコントローラ21は、エンジントルクTeが目標エンジントルクtTeとなるようエンジン1を制御し、
モータ/ジェネレータコントローラ22はモータ/ジェネレータ5のトルクTm(または回転数Nm)が目標モータ/ジェネレータトルクtTmとなるよう、バッテリ9およびインバータ10を介してモータ/ジェネレータ5を制御する。
統合コントローラ20は、演算した目標第1クラッチ伝達トルク容量tTc1および目標第2クラッチ伝達トルク容量tTc2に対応するソレノイド電流を第1クラッチ6および第2クラッチ7の締結制御ソレノイド(図示せず)に供給し、第1クラッチ6の伝達トルク容量Tc1が目標伝達トルク容量tTc1に一致するよう、また、第2クラッチ7の伝達トルク容量Tc2が目標第2クラッチ伝達トルク容量tTc2に一致するよう、第1クラッチ6および第2クラッチ7を個々に締結力制御する。
統合コントローラ20は、演算した目標制動トルクtTsに対応するソレノイド電流を機械ブレーキ23の油圧制御ソレノイド(図示せず)に供給し、機械ブレーキ23の制動トルクTsが目標制動トルクにtTs一致するよう、機械ブレーキ23を制動制御する。
そして、過渡モード2306を経てモード切替を終了する場合、続くHEV走行モードでもエンジン1にエンジン発電のためのエンジントルクを指令する。ここでいうエンジン発電のための目標エンジントルクtTeは以下の(1)式より決定する。
tTe=Tm_limit−tTm_coast ・・・(1)
なおTm_limitはモータ/ジェネレータ5の回生可能トルク(上限値)であり、tTm_coastはコースト走行のための目標回生トルクである。過渡モード2306を経るモード切替にあっては、SOC条件によるものではないことから、モータ/ジェネレータ5においてモード切替終了後にコースト走行のための目標トルクtTm_coastを優先して確保する。このため過渡モード2306はHEV走行モードの開始前にエンジン発電を実行するものである。
なお、このエンジン発電に係るエンジンの運転は、上述したようにSOC条件によるものではないことから、上記のコースト走行目標トルクtTm_coastを最低限確保すればよい。すなわち、もしコースト走行目標トルクtTm_coast 以上にモータ/ジェネレータ5が発電可能なら、余裕分tTeもエンジン駆動により発電すると理解されたい。この余裕分tTeの発電の結果、バッテリ9への充電量が増えるというメリットを享受でき、バッテリ9を充電する発電電力としてコーストトルクに係る回生発電にエンジン発電が加わる。
また第2クラッチ7(CL2)の伝達トルク容量増大に伴いモータ/ジェネレータ5(MG)の回生トルクも増大させて、コースト走行のための車輪2の制動を実現するための目標回生トルクtTm_coastを確保する。この際モータ/ジェネレータ5の回生可能トルクTm_limitに一致させ、前述した(1)式により、目標エンジントルクtTeを大きくしてエンジン発電に資することができる。
したがって、モータ/ジェネレータ5の回生可能トルクTm_limitのみでは、コースト走行に必要な制動トルクである目標回生トルクtTm_coastをまかないきれない。
このため瞬時t7以後も、機械ブレーキによる制動トルクを発生させて、目標回生トルクtTm_coastを確保するのである。
tTe+tTm_coast=tTm≦Tm_limit ・・・(2)
なおtTm は目標充電電力に対応するモータ/ジェネレータトルクであり、Tm_limitはモータ/ジェネレータ5の回生可能トルクであり、tTm_coastはコースト走行のための目標回生トルクであり、tTeは目標エンジントルクである。
コースト走行中にエンジン始動する場合であっても、ハイブリッド車両の制動力が抜けてしまうという不都合を回避して、エンジンのみを動力源とする従前の車両におけるエンジンブレーキと同様な制動力を得ることができる。したがって、長い下り勾配の走行路をコースト走行中であっても一定速度で走行することができる。
モード切替の初期で車輪2の制動力を一定にすることが可能となり、コースト走行において制動力が変動することを回避することができる。
モード切替の終期で車輪2の制動力を一定にすることが可能となり、コースト走行において制動力が変動することを回避することができる。
エンジン1の暖機運転およびバッテリ9への充電を可能にする。
バッテリ9を充電することなくエンジン1の暖機運転を可能にする。
バッテリ9の充放電量を目標どおりとすることが可能になり、コースト走行中のエンジン始動においてハイブリッド車両のエネルギーマネジメントを好適に実現することができる。
2 駆動車輪(後輪)
3 自動変速機
4 伝動軸
5 モータ/ジェネレータ(MG)
6 第1クラッチ(CL1)
7 第2クラッチ(CL2)
8 ディファレンシャルギヤ装置
9 バッテリ
10 インバータ
11 エンジン回転センサ
12 モータ/ジェネレータ回転センサ
13 変速機入力回転センサ
14 変速機出力回転センサ
15 アクセル開度センサ
16 バッテリ蓄電状態センサ
20 統合コントローラ
21 エンジンコントローラ
22 モータ/ジェネレータコントローラ
23 機械ブレーキ
Claims (5)
- 動力源としてエンジンおよびモータ/ジェネレータを具え、エンジンとモータとを第1摩擦要素を介して駆動結合し、モータと車輪側とを第2摩擦要素を介して駆動結合し、
第1摩擦要素を解放しエンジンを停止させ第2摩擦要素を締結しモータ/ジェネレータからの動力のみによる電気走行モードと、少なくとも第2摩擦要素を締結しエンジンおよびモータ/ジェネレータの双方からの動力によるハイブリッド走行モードとを選択可能で、
第1摩擦要素を締結しモータ/ジェネレータでエンジンをクランキングするようにしたハイブリッド車両において、
電気走行モードを選択しモータ/ジェネレータの回生トルクにより車輪を制動するコースト走行中にエンジンをクランキングする際には、第2摩擦要素を一旦解放し、車輪を制動する機械ブレーキで前記回生トルクによる制動を補償するよう構成し、
前記第2摩擦要素は、解放指令に対し決められた減少率で伝達トルク容量値が減少するものであって、
前記一旦解放に係る解放指令に基づき第2摩擦要素の伝達トルク容量値を減少させるに際し、
前記機械ブレーキの制動トルクを制御する機械ブレーキ制御手段が、前記伝達トルク容量値の減少率と絶対値で等しい増大率で機械ブレーキの制動トルクを増大させて、前記回生トルクによる制動を補償する
ことを特徴とするハイブリッド車両の制動制御装置。 - 動力源としてエンジンおよびモータ/ジェネレータを具え、エンジンとモータとを第1摩擦要素を介して駆動結合し、モータと車輪側とを第2摩擦要素を介して駆動結合し、
第1摩擦要素を解放しエンジンを停止させ第2摩擦要素を締結しモータ/ジェネレータからの動力のみによる電気走行モードと、少なくとも第2摩擦要素を締結しエンジンおよびモータ/ジェネレータの双方からの動力によるハイブリッド走行モードとを選択可能で、
第1摩擦要素を締結しモータ/ジェネレータでエンジンをクランキングするようにしたハイブリッド車両において、
電気走行モードを選択しモータ/ジェネレータの回生トルクにより車輪を制動するコースト走行中にエンジンをクランキングする際には、第2摩擦要素を一旦解放し、車輪を制動する機械ブレーキで前記回生トルクによる制動を補償するよう構成し、
前記第2摩擦要素は、締結指令に対し決められた増大率で伝達トルク容量値が変化するものであって、
前記一旦解放後の再締結指令に基づき第2摩擦要素の伝達トルク容量値を増大させるに際し、
前記機械ブレーキの制動トルクを制御する機械ブレーキ制御手段が、前記伝達トルク容量値の増大率と絶対値で等しい減少率で機械ブレーキの制動トルクを減少させて、前記回生トルクによる制動を補償する
ことを特徴とするハイブリッド車両の制動制御装置。 - 請求項1または2に記載のハイブリッド車両の制動制御装置において、
エンジントルクをモータ/ジェネレータに入力して発電するようエンジン発電要求がある場合は、前記クランキングによるエンジン完爆後にエンジントルクをモータ/ジェネレータに入力する
ことを特徴とするハイブリッド車両の制動制御装置。 - 請求項1または2に記載のハイブリッド車両の制動制御装置において、
エンジントルクをモータ/ジェネレータに入力して発電するようエンジン発電要求がない場合は、前記クランキングによるエンジン完爆後に第1摩擦要素を解放してエンジンを自立運転させる
ことを特徴とするハイブリッド車両の制動制御装置。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載のハイブリッド車両の制動制御装置において、
車載バッテリの蓄電状態に応じて該バッテリを充電するようモータ/ジェネレータトルクを制御する
ことを特徴とするハイブリッド車両の制動制御装置。
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