以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1は本発明が適用されるフルカラーの画像形成装置の構成例を示す概略図である。図示した画像形成装置は、電子写真プロセスにしたがって記録媒体にカラー又は白黒の画像を形成するものである。ここでは、記録媒体の一例として、普通紙、コート紙などの用紙(シートと同義)に画像を形成するものとする。画像形成装置は、記録媒体となる用紙の両面(第1面と第2面)に画像を形成する両面画像形成機能(両面プリント機能、両面コピー機能等)を有するもので、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色に対応する4つの画像形成ユニット1,2,3,4を備えた4連タンデム式のマシン構成となっている。
各々の画像形成ユニット1,2,3,4は、感光体ドラム、帯電器、露光器、現像器、転写器、ドラムクリーナ、除電器などを用いて構成されるものである。帯電器は、感光体ドラムの表面を一様な電位レベルに帯電するものである。露光器は、帯電器によって帯電された感光体ドラムの表面をレーザービームで露光走査することにより、感光体ドラムの表面に静電潜像を形成するものである。現像器は、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて、感光体ドラムの表面に形成された静電潜像をトナー像に現像するものである。転写器は、現像器で現像されたトナー像を中間転写ベルト5に転写(一次転写)するものである。ドラムクリーナは、中間転写ベルト5に転写されずに感光体ドラムの表面に残った不要なトナーを除去するものである。除電器は、感光体ドラム表面の不要な電荷を取り除くものである。
中間転写ベルト5は、用紙に転写されるトナー像を担持する像担持体となるもので、図例では反時計廻り方向に回転駆動される構成となっている。中間転写ベルト5は、無端状のベルト部材であって、複数のベルト支持ロールによってループ状に張架されている。中間転写ベルト5の上側ループ部は水平に張架され、この水平張架部分に4つの画像形成ユニット1,2,3,4が所定の間隔で配置されている。中間転写ベルト5のループの途中には、上述した4つの画像形成ユニット1,2,3,4の他に、パッチ濃度検出センサ6と転写ロール7が配置されている。
パッチ濃度検出センサ6は、中間転写ベルト5の回転方向(走行方向)において、最終段の画像形成ユニット4よりも下流側に配置されている。パッチ濃度検出センサ6は、中間転写ベルト5上に形成されたトナーパッチの濃度を検出するものである。パッチ濃度検出センサ6は、例えば発光素子と受光素子を備える反射型の光学センサからなるもので、発光素子で発光させたセンサ光を中間転写ベルト5の表面に向けて照射し、そこからの反射光(正反射光又は拡散反射光)を受光素子で受光することにより、トナーパッチの濃度を検出する。トナーパッチとは、最終的に用紙に出力される画像の濃度を適切に制御するために、各々の画像形成ユニット1〜4を用いて中間転写ベルト5上に形成されるパッチ画像である。
図2は中間転写ベルト5とパッチ濃度検出センサ6の位置関係を示すもので、(A)はその側面図、(B)はその平面図である。なお、図2では中間転写ベルト5の水平張架部分だけを抜き出して表示している。パッチ濃度検出センサ6は、中間転写ベルト5の水平張架部分に対向するように、センサの検出面を下方(中間転写ベルト5の表面)に向けた状態で配置されている。パッチ濃度検出センサ6は、画像形成中でも画像濃度を適切に制御できるように、中間転写ベルト5上に形成される複数のイメージIm1〜Im4のうち、例えばイメージIm2とイメージIm3の間(インターイメージ部)に形成されたトナーパッチPtの濃度を検出する。
中間転写ベルト5上でトナーパッチPtが形成される位置は、中間転写ベルト5の回転方向(副走査方向)ではインターイメージ部となり、中間転写ベルト5の回転方向と直交する方向(主走査方向)では、パッチ濃度検出センサ6がトナーパッチの濃度検出を行なう位置(以下、「パッチ濃度検出位置」とも記す)と同じ位置になる。パッチ濃度検出位置は、上述のようにパッチ濃度検出センサ6を光学センサで構成した場合、発光素子で発光させたセンサ光が照射される位置となる。図例では、パッチ濃度検出位置が、中間転写ベルト5の幅方向(主走査方向)の中央部に設定されている。なお、画像濃度制御部22が画像濃度を制御するうえで、画像形成中にトナーパッチの濃度を検出する必要がない場合は、中間転写ベルト5の回転方向で任意の位置にトナーパッチを形成してもよい。
転写ロール7は、中間転写ベルト5の回転方向において、上述したパッチ濃度検出センサ6よりも下流側に配置されている。転写ロール7は、中間転写ベルト5に担持されたトナー像を用紙に転写(二次転写)するものである。バキューム搬送部8は、転写ロール7によってトナー像が転写された用紙を裏面側(トナー像の転写面と反対側)から真空吸着しつつ定着器9へと搬送するものである。定着器9は、転写ロール7で用紙に転写されたトナー像を当該用紙に定着させるものである。この定着器9では、加熱ロールとこれに圧接する加圧ベルト(加圧ロールでも可)によって用紙をニップしつつ搬送することにより、そのニップ部に加わる加熱作用と加圧作用によって用紙にトナー像を定着させる構成となっている。また、定着器9の加熱ロールには、アミンオイルやシリコーンオイルなどの定着オイル(離型剤)が塗布される構成となっている。
複数の用紙トレイ10,11,12,13は、それぞれ所定サイズの用紙を積載状態で収容するものである。各々の用紙トレイ10,11,12,13に収容された用紙は、複数の搬送ロールを有する用紙搬送装置によって搬送される。また、用紙トレイ10,11,12,13に収容された用紙は、それぞれに対応する給紙機構によって用紙搬送路に供給されるとともに、この用紙搬送路に沿って用紙搬送装置により搬送される。用紙搬送路の途中には用紙整合部14が設けられている。用紙整合部14は、例えば、用紙搬送方向に対する用紙の傾きを補正するスキュー補正、用紙搬送方向(副走査方向)の用紙の位置ずれを補正するリードレジ補正、用紙搬送方向と直交する方向(主走査方向)の用紙の位置ずれを補正するサイドレジ補正など、用紙搬送中に生じる用紙の位置ずれを補正するものである。
一方、定着器9の用紙排出側では、用紙搬送路が、排出トレイ15に通じる搬送路と、反転部16及び再搬送部17に通じる搬送路に分岐している。排出トレイ15は、片面又は両面に画像が形成された用紙を最終的に排出するためのトレイである。反転部16は、用紙搬送路上で用紙を反転させるためのものである。再搬送部17は、反転部16で反転させた用紙を再び画像転写位置に向けて搬送するためのものである。排出トレイ15に通じる搬送路の途中にはカール補正部18が設けられている。カール補正部18は、定着器9でトナー像を定着させるときに生じる用紙のカールを補正するものである。
また、画像形成装置本体の上部には操作パネル19が設けられている。操作パネル19は、画像形成装置を使用するユーザーが各種の情報(例えば、出力画像の濃度、出力枚数、出力部数、用紙サイズなどの設定情報)を入力したり、ユーザーに対して各種の情報(例えば、操作案内メッセージや警告メッセージなど)を表示したりする、いわゆるユーザーインタフェースとなるものである。操作パネル19は、例えば、タッチパネル式のディスプレイからなる表示部と、各種の操作ボタン、キーなどを有する操作部とを用いて構成されるものである。
続いて、上記構成からなる画像形成装置を用いて用紙にフルカラーの画像を形成する場合の手順について説明する。まず、操作パネル19上でユーザーが画像形成の開始を指示(スターボタンを押下)すると、4つの画像形成ユニット1,2,3,4の感光体ドラムと中間転写ベルト5がそれぞれ回転を開始するとともに、各々の画像形成ユニット1,2,3,4の駆動により中間転写ベルト5にイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が順に重ねて転写される。ちなみに、白黒の画像を用紙に形成する場合は、画像形成ユニット4によってブラックのトナー像だけが中間転写ベルト5に転写される。こうして中間転写ベルト5に形成されたトナー像は、当該中間転写ベルト5の回転によって画像転写位置(転写ロール7が配置された位置)へと送り込まれる。
一方、画像形成に使用される用紙は、操作パネル19上でユーザーが選択した用紙トレイ、あるいは画像形成装置が備える自動トレイ選択機能によって選択された用紙トレイから給紙される。したがって、例えば、ユーザーが用紙トレイ11を選択したとすると、この用紙トレイ11に収容された用紙が用紙搬送路に送り出される。こうして用紙搬送路に送り出された用紙は、用紙整合部14で位置ずれを補正した状態で画像転写位置へと送り込まれる。このとき、用紙は画像転写位置にトナー像が到達するタイミングに合わせて送り込まれる。
画像転写位置では中間転写ベルト5と転写ロール7によって用紙をニップし、そのニップ位置を通過するときに、中間転写ベルト5上のトナー像が用紙の第1面に転写される。その後、用紙は定着器9に送り込まれ、そこでトナー像の定着が行われた後、カール補正部18を通して排出トレイ15に排出される。また、両面画像形成処理(両面プリント、両面コピー等)の対象となる用紙は、定着部9から反転部16、再搬送部17及び用紙整合部14を通して再び画像転写位置へと送り込まれ、そこで用紙の第2面にトナー像が転写された後、当該用紙が定着器9及びカール補正部18を通して排出トレイ15に排出される。
[第1実施形態]
図3は本発明の第1実施形態に係る画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。図において、主制御部21は、画像濃度制御部22と、センサ制御部23と、トナー補給制御部24と、画像処理部25と、画像形成制御部26と、トナー情報取得部27と、メモリ制御部28と、パネル制御部29とを備えるものである。主制御部21には、上述したパッチ濃度検出センサ6、定着器9、操作パネル19の他に、トナー濃度検出センサ(TCセンサ)30、電位センサ31、メモリ32、トナー補給モータ33、帯電器34、露光器35、現像器36、転写器37が電気的に接続されている。このうち、トナー濃度検出センサ30、電位センサ31、トナー補給モータ33、帯電器34、露光器35、現像器36、転写器37は、上述した画像形成ユニット1,2,3,4ごとに個別に設けられるものである。
画像濃度制御部22は、像担持体となる中間転写ベルト5から用紙(記録媒体)に転写される画像の濃度を制御するものである。画像濃度制御部22は、中間転写ベルト5に形成されたトナーパッチの濃度をパッチ濃度検出センサ6で検出したときに得られるパッチ濃度検出値が、メモリ32に記憶されたパッチ濃度目標値38に一致するように、画像形成条件(現像バイアスや現像器36へのトナー補給量など)を補正することにより、画像濃度を制御する。
センサ制御部23は、上述したパッチ濃度検出センサ6やトナー濃度検出センサ30、電位センサ31を制御するものである。トナー濃度検出センサ30は、現像器36内のトナー濃度(TC:トナー混合比)を検出するものである。電位センサ31は、感光体ドラムの表面電位を検出するものである。
トナー補給制御部24は、トナー補給モータ33を駆動することにより、現像器36へのトナー補給を制御するものである。さらに詳述すると、トナー補給制御部24は、トナー濃度検出センサ30で検出されたトナー濃度の検出値がトナー濃度目標値39に一致するようにトナー補給モータ33を駆動することにより、単位時間あたりのトナー補給量を制御するものである。
画像処理部25は、画像形成の対象となる画像データに所定の画像処理(例えば、色空間変換、色補正、変倍、階調補正、γ変換、スクリーン生成などの処理)を施すものである。画像処理部25は、画像データのドット数をカウントするピクセルカウンタを有している。画像データのドット数は、露光器35によって感光ドラムに照射されるレーザービームのドット数に対応(一致)するものである。ピクセルカウンタは、YMCKの各色の画像データのドット数を個別にカウントするために複数(4つ)設けられている。
画像形成制御部26は、帯電器34、露光器35、現像器36、転写器37、定着器9を制御対象として、電子写真プロセスに基づく画像形成動作を制御するものである。
トナー情報取得部27は、中間転写ベルト5上にトナーを用いて画像(トナー像)を形成する際に、中間転写ベルト5の回転駆動によってパッチ濃度検出位置(所定の位置)を通過するトナーの状態情報を取得するものである。トナーの状態情報とは、画像形成時に各々の画像形成ユニット1〜4によって中間転写ベルト5に転写されるトナーの状態を示す情報をいう。具体的には、トナーの量、トナーの層数、トナーの像密度のうちの少なくとも1つをトナーの状態情報としてトナー情報取得部27が取得することになる。
トナーの量は、上述したピクセルカウンタによる画像データのピクセルカウント情報にしたがって算出されるものである。トナーの層数は、画像形成に使用されるトナーの色数(1色、2色、3色、4色)にしたがって判別されるものである。トナーの像密度は、画像データの全ドット数に対する有効ドット数の割合を示すもので、上述したピクセルカウンタによる画像データのピクセルカウント情報にしたがって算出されるものである。有効ドットとは、露光器35で露光されるドット(現像時にトナーが吸着されるドット)をいう。
メモリ制御部28は、メモリ32に対してデータ(情報)の読み書きを行うものである。メモリ32は、例えばEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等の不揮発性メモリを用いて構成されるものである。メモリ32には、画像形成に係る各種の制御用データが記憶され、その中にパッチ濃度目標値38、トナー濃度目標値39、電位目標値40、LUTデータ41が含まれている。
パッチ濃度目標値38は、パッチ濃度検出センサ6で検出されたトナーパッチの濃度に基づいて、中間転写ベルト5上のトナー濃度を制御する際に目標となるパッチ濃度の値を示すものである。トナー濃度目標値39は、トナー濃度検出センサ30で検出されたトナー濃度に基づいて、トナー補給制御部24でトナー補給を制御する際に目標となるトナー濃度の値を示すものである。電位目標値40は、電位センサ31で検出された感光体ドラムの表面電位に基づいて、感光体電位を制御する際に目標となる感光体電位の値を示すものである。LUTデータ41は、入力画像濃度と出力画像濃度の相関を示すLUTのデータを示すものである。LUTデータ41は、画像処理部25が画像データを処理するときに参照される。
パネル制御部29は、操作パネル19を制御するもので、さらに詳しくは操作パネル19での入力処理や操作パネル19への表示処理を制御するものである。
図4は画像形成時に主制御部21で行われる制御処理の一例を示すフローチャートである。まず、画像形成の対象となる画像データを入力する(ステップS1)。画像形成の対象となる画像データは、原稿の画像を光学的に読み取って得られた画像データでもよいし、外部の端末装置からプリント指示された画像データでもよい。入力された画像データは画像処理部25で画像処理される。
次に、トナー情報取得部27は、画像処理部25で画像処理された画像データのピクセルカウント情報にしたがって、中間転写ベルト5にトナー像を形成する際に、当該中間転写ベルト5の回転駆動によってパッチ濃度検出位置を通過するトナーの状態情報を取得する(ステップS2)。ここでは、トナーの状態情報として、トナーの量、トナーの層数及びトナーの像密度を画像処理部25から取得するものとする。
例えば、上記ステップS1で入力された画像データを画像処理部25で画像処理した結果、図5に示すように、中間転写ベルト5上に4つのイメージIm1〜Im4を表すトナー像がベルト回転方向Xに所定の間隔で並んで形成されるものとすると、トナーの状態情報として取得すべき対象エリアは、中間転写ベルト5の回転駆動によってパッチ濃度検出位置を通過する各々のイメージIm1〜Im4の一部分となる。そうした場合、トナー情報取得部27では、各イメージIm1〜Im4の対象エリア(2本の破線で挟まれたエリア)にトナー像を形成するために使用されるトナーの状態情報を取得する。
すなわち、イメージIm1については、当該イメージIm1の対象エリアでカウントされたピクセルカウント値Pix1と、トナーの層数と、トナーの像密度(%)を取得する。ピクセルカウント値Pix1は、イメージIm1の対象エリアで各色の画像データのピクセルカウント値を加算したもので、トナーの量として取得される情報である。トナーの層数は、イメージIm1の対象エリアで重ね合わせられるトナーの色数に応じて、当該色数が1色であれば1層、2色であれば2層、3色であれば3層、4色であれば4層といった具合に取得されるものである。トナーの像密度Gy1,Gm1,Gc1,Gk1は、イメージIm1の対象エリアで各色の画像データごとに0〜100%の数値範囲で取得されるものである。このため、イメージIm1の対象エリアにおいて、トナーの像密度の総和Gz1(=Gy1+Gm1+Gc1+Gk1)は、理論上は最大400%となるが、実用上は最大でも300%に達することはない。これと同様に、他のイメージIm2〜Im4の対象エリアについても、トナーの状態情報を取得する。
続いて、トナー情報取得部27は、上記ステップS2で取得したトナーの状態情報のうち、各々のイメージIm1〜Im4ごとに、トナーの量として取得したピクセルカウント値を、トナーの層数に応じた第1の重み係数と、トナーの像密度(総和)に応じた第2の重み係数で補正する(ステップS3)。
ここで、トナーの飛び散りやクラウドによるパッチ濃度検出センサ6の汚れ度合いは、パッチ濃度検出位置を通過するトナーの層数が多くなるほど大きくなる傾向にある。このため、本実施形態においては、トナーの層数と第1の重み係数の関係を、例えば図6(A)のように設定してある。この設定条件にしたがい、トナーの層数が1層の場合は第1の重み係数に0(零)が適用され、2層の場合は第1の重み係数に1.0が適用され、3層の場合は第1の重み係数に1.1が適用され、4層の場合は第1の重み係数に1.2が適用される。
また、トナーの飛び散りやクラウドによるパッチ濃度検出センサ6の汚れ度合いは、パッチ濃度検出位置を通過するトナーの像密度が高くなるほど大きくなる傾向にある。このため、本実施形態においては、トナーの像密度(総和)と第2の重み係数の関係を、例えば図6(B)のように設定してある。この設定条件にしたがい、トナーの像密度が100%未満の場合は第2の重み係数に0(零)が適用され、100%以上200%未満の場合は第2の重み係数に1.0が適用され、200%以上300%未満の場合は第2の重み係数に1.5が適用される。
このため、例えば、あるイメージの対象エリアで取得したトナーの状態情報に関して、ピクセルカウント値が1000個、トナーの層数が4層、トナーの像密度(総和)が120%であったとすると、第1の重み係数には1.2が適用され、第2の重み係数には1.0が適用される。このため、当該対象エリアに関して、トナーの量は、元のピクセルカウント値(=1000)に第1の重み係数と第2の重み係数を掛け合わせた値、すなわち1200に補正される。
続いて、トナー情報取得部27は、上記ステップS3で補正したトナーの量を、例えば累積カウンタを用いて累積する(ステップS4)。この場合、累積カウンタで累積されるトナー量の累積値は、トナーの付着によるパッチ濃度検出センサ6の汚れ量を示す値となる。
次に、画像濃度制御部22は、上記ステップS4でトナー情報取得部27が累積したトナー量の累積値と予め設定された閾値とを比較することにより、トナー量の累積値が閾値を超えていないかどうかを判断する(ステップS5)。そして、トナー量の累積値が閾値を超えていない場合は、そのまま処理を終了し、トナー量の累積値が閾値を超えていた場合は、パッチ濃度検出センサ6を用いたトナーパッチの濃度検出を適正化するための適正化処理を実行する(ステップS6)。
適正化処理としては、同じ画像形成条件で形成されたトナーパッチの濃度を検出したときに、パッチ濃度検出センサ6の検出面がトナーの付着で汚れる前と汚れた後で同じセンサ出力が得られるように、例えば、パッチ濃度検出センサ6を構成する光学センサの発光量をゲイン調整等によって補正することにより、パッチ濃度検出センサ6の出力を補正する処理が考えられる。
また、他の適正化処理として、パッチ濃度検出センサ6の検出面に付着したトナーを取り除くために、例えば、パネル制御部29が操作パネル19の表示部に「濃度制御用センサの清掃時期になりましたのでサポートセンターに連絡してください。」といったメッセージや、「濃度制御用センサの清掃時期になりましたのでメンテナンスマニュアルにしたがって清掃してください。」などのメッセージを表示することにより、ユーザー(カスタマーエンジニア)に対してパッチ濃度検出センサ6の清掃を促す処理が考えられる。また、パッチ濃度検出センサ6の清掃(付着トナーの除去)を行なう清掃機構(不図示)を備える場合は、当該清掃機構を動作させる処理を適正化処理として適用してもよい。
このように本発明の第1実施形態に係る画像形成装置は、中間転写ベルト5にトナー像を形成する場合に、実際にパッチ濃度検出センサ6によってトナーパッチの濃度検出が行なわれる位置(パッチ濃度検出位置)を通過するトナーの状態情報を取得し、この取得情報に基づいてパッチ濃度検出センサ6の汚れ度合いを予測するものである。その場合、パッチ濃度検出センサ6がトナーの付着によってどの程度汚れたかは、予め設定された閾値との比較によって予測する。パッチ濃度検出センサ6の汚れ度合いを予測するための閾値は、1つに限らず、複数設定可能である。これにより、トナーの飛び散りやクラウドによるパッチ濃度検出センサ6の汚れ度合いを精度良く予測することができる。このため、閾値との比較結果に基づいて、適正化処理の実行タイミングを制御することにより、最適なタイミングで適正化処理を実行させることができる。
また、トナーの状態情報として、トナーの量を取得する場合は、パッチ濃度検出位置を通過するトナーの量が多くなるほどパッチ濃度検出センサ6がトナーの付着で汚れやすくなる。このため、取得したトナーの量に基づいて、パッチ濃度検出センサ6の汚れ度合いを精度良く予測することができる。また、トナーの状態情報として、トナーの層数を取得する場合は、パッチ濃度検出位置を通過するトナーの層数が多層になるほどパッチ濃度検出センサ6がトナーの付着で汚れやすくなる。このため、取得したトナーの層数に基づいて、パッチ濃度検出センサ6の汚れ度合いを精度良く予測することができる。また、トナーの状態情報として、トナーの像密度を取得する場合は、パッチ濃度検出位置を通過するトナーの像密度が高くなるほどパッチ濃度検出センサ6がトナーの付着で汚れやすくなる。このため、取得したトナーの像密度に基づいて、パッチ濃度検出センサ6の汚れ度合いを精度良く予測することができる。
さらに、トナー情報取得部27において、例えば、トナー濃度検出センサ30で検出される現像器36のトナー濃度情報や、画像形成装置の経時情報(画像形成サイクル数、画像形成枚数など)、あるいは画像形成装置の環境情報(温度、湿度など)のうち、少なくとも1つをパラメータとして、トナーの状態情報を補正することにより、パッチ濃度検出センサ6の汚れ度合いの予測精度を向上させることができる。
また、上述したように、トナーの状態情報として、トナーの量、トナーの層数及びトナーの像密度を取得する場合に、トナーの量として取得したピクセルカウント値を、トナーの層数に応じた第1の重み係数で補正したり、トナーの像密度に応じた第2の重み係数で補正したり、両方の重み係数で補正したりすることにより、パッチ濃度検出センサ6の汚れ度合いをより正確に把握することができる。
[第2実施形態]
図7は本発明の第2実施形態に係る画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。この第2実施形態に係る画像形成装置は、上記第1実施形態の画像形成装置(図3)と同様の構成要素に加えて、センサ移動制御部42とセンサ移動用モータ43とを備えた構成となっている。
センサ移動制御部42は、センサ移動用モータ43を駆動することにより、パッチ濃度検出センサ6の移動を制御するものである。パッチ濃度検出センサ6は、図8に示すように、中間転写ベルト5の回転方向Xと直交する方向(主走査方向)Yに移動可能に設けられている。センサ移動機構としては、例えば、図示しない直動ガイドユニットとボールネジユニットを組み合わせた構成を採用することが可能である。
また、中間転写ベルト5の回転方向Xと直交する方向Yでは、中間転写ベルト5の画像形成エリアEmが複数のエリアE1,E2,E3に区分されている。中間転写ベルト5の画像形成エリアEmは、画像形成装置で取り扱われる最大幅の用紙サイズに合わせて設定されるものである。また、複数のエリアE1,E2,E3は、トナーパッチのサイズに合わせて画像形成リアEmをY方向で等分することにより区分されるものである。なお、図例では画像形成エリアEmを3つのエリアE1,E2,E3に区分しているが、2つのエリアに区分してもよいし、4つ以上のエリアに区分してもよい。
パッチ濃度検出センサ6の移動範囲内には、当該パッチ濃度検出センサ6のホームポジションが設定されている。ホームポジションは、中間転写ベルト5の回転方向Xと直交する方向Yで、中間転写ベルト5の画像形成エリアEm(図例ではベルト表面)から外れた位置に設定されている。このホームポジションは、例えば、パッチ濃度検出センサ6の移動範囲内に、当該パッチ濃度検出センサ6との接触によってオンオフする接触式センサや、パッチ濃度検出センサ6の近接によってオンオフする非接触式センサをホームポジションセンサとして設け、このホームポジションセンサがオンからオフ、又はオフからオンに切り替わったタイミングを基準にセンサ移動用モータ43の回転方向及び回転量を規定することにより設定されるものである。
ただし、ホームポジションセンサは、パッチ濃度検出センサ6で兼用することも可能である。すなわち、前述のようにパッチ濃度検出センサ6を光学センサで構成した場合は、パッチ濃度検出センサ6が中間転写ベルト5のエッジ部分を横切るときに、パッチ濃度検出センサ6の出力が大きく変化するため、この変化するタイミング(例えば、所定量以上に出力が変化したタイミング)を基準にセンサ移動用モータ43の回転方向及び回転量を規定することでホームポジションを設定することも可能である。ホームポジションは、中間転写ベルト5に形成されたトナーパッチの濃度を検出するためにパッチ濃度検出センサ6が移動を開始する位置であり、またパッチ濃度検出センサ6がトナーパッチの濃度検出を終えた後に戻る位置でもある。
センサ移動用モータ43は、パッチ濃度検出センサ6を移動させるための駆動源となるものである。すなわち、センサ移動用モータ43を一方向に回転させると、その回転量にしたがってパッチ濃度検出センサ6がY方向の一方側に移動し、センサ移動用モータ43を他方向に回転させると、その回転量にしたがってパッチ濃度検出センサ6がY方向の他方側に移動する。センサ移動用モータ43としては、例えばステッピングモータを用いることができる。
センサ移動制御部42は、中間転写ベルト5にトナーパッチを形成して画像濃度を制御するときに、予め中間転写ベルト5上で区分された複数のエリアE1,E2,E3のうち、いずれか1つのエリアをパッチ形成エリアに決定し、この決定に応じてパッチ濃度検出センサ6の移動位置を切り替える、つまり、決定したパッチ形成エリアにパッチ濃度検出センサ6を移動させるように、センサ移動用モータ43の駆動を制御するものである。パッチ形成エリアとは、中間転写ベルト5の回転方向と直交する方向で、複数の画像形成ユニット1〜4によりトナーパッチが形成(転写)されるエリアをいう。
センサ移動制御部42は、パッチ形成エリアを決定するにあたって、トナー情報取得部27が画像処理部25から取得するトナーの状態情報を参照する。また、センサ移動制御部42は、パッチ濃度検出センサ6をホームポジションからパッチ形成エリアに移動させるときに、例えば上記ホームポジションセンサのオンオフ切り替わりタイミングを基準にセンサ移動用モータ43の回転量を、そのときに決定したパッチ形成エリアに適合する制御量をもって制御することにより、狙いとするパッチ形成エリアにパッチ濃度検出センサ6を移動して停止させる。複数のエリアE1,E2,E3とモータ制御量の対応関係は、予め制御テーブル等を用いて設定しておけばよい。
トナー情報取得部27は、上記第1実施形態と同様にトナーの状態情報を取得するものであるが、上記第1実施形態とは情報取得の対象となるエリアが異なる。すなわち、第2実施形態の画像形成装置が備えるトナー情報取得部27は、上記図8に示すように、Y方向で中間転写ベルト5の画像形成エリアEmを複数のエリアE1,E2,E3に区分し、これら複数のエリアE1,E2,E3ごとに、各々のイメージIm1,Im2,Im3の位置でトナー像の形成に使用されるトナーの状態情報を取得する。また、トナー情報取得部27では、例えば、任意の画像形成ジョブを実行するときに、イメージIm2とイメージIm3の間(インターイメージ部)にトナーパッチPtを形成する場合、ジョブ単位又は画像のページ単位でトナーの状態情報を取得する。
ジョブ単位で取得する場合は、画像形成ジョブで指定された全てのイメージについて、各々のエリアE1,E2,E3ごとにトナーの状態情報を取得する。また、画像のページ単位で取得する場合は、中間転写ベルト5の回転方向XでトナーパッチPtが形成されるインターイメージ部を介して隣り合うイメージIm2とイメージIm3について、各々のエリアE1,E2,E3ごとにトナーの状態情報を取得する。ただし、ページ単位で取得する場合は、トナーパッチPtの形成位置を中心として、これに隣り合うイメージのさらに外側のイメージについても、トナーの状態情報を取得してもよい。トナーの状態情報は、画像処理部25が画像データを画像処理した段階で取得可能となる。
トナーの状態情報をジョブ単位で取得するか、画像のページ単位で取得するかは、パッチ濃度検出センサ6の移動制御方式に合わせて選択することが望ましい。すなわち、画像形成中にトナーパッチを形成して、その濃度をパッチ濃度検出センサ6で検出する場合は、1回の画像形成ジョブで中間転写ベルト5にトナー像の形成(転写)を開始する前に、
センサ移動用モータ43の駆動によってパッチ濃度検出センサ6をホームポジションからパッチ形成エリアに移動させ、画像形成ジョブが終了したらパッチ濃度検出センサ6をホームポジションに戻すように制御する方式と、ベルト回転方向Xでパッチ濃度検出センサ6が配置されている位置にトナーパッチPtが到達するタイミングに合わせて、その都度、パッチ濃度検出センサ6をホームポジションからパッチ形成エリアに移動させ、トナーパッチの濃度検出を終えたらパッチ濃度検出センサ6をホームポジションに戻すように制御する方式が考えられる。そうした場合、前者の移動制御方式では、ジョブ単位でトナーの状態情報を取得することが好ましい。また、後者の移動制御方式では、画像のページ単位でトナーの状態情報を取得することが好ましい。
また、パッチ濃度検出センサ6をホームポジションからパッチ形成エリアに移動させるにあたっては、中間転写ベルト5の回転方向Xにおいて、少なくとも中間転写ベルト5に形成されたトナーパッチPtが、パッチ濃度検出センサ6で濃度検出可能な位置(パッチ濃度検出センサ6が配置されている位置)に到達する前に、パッチ濃度検出センサ6の移動を完了する必要がある。このため、トナー情報取得部27は、画像形成の対象となる画像データに関して、画像処理部25が画像処理を行ない、この画像処理済みの画像データにしたがって画像形成制御部26が画像形成動作の制御を開始する前に、トナーの状態情報を取得する構成となっている。ただし、パッチ濃度検出センサ6の移動が間に合うようであれば、画像形成動作が開始された後に、トナー情報取得部27がトナーの状態情報を取得する構成としてもかまわない。
図9は画像形成時に主制御部21で行われるトナーパッチの濃度検出に係る制御処理の一例を示すフローチャートである。まず、画像形成の対象となる画像データを入力する(ステップS21)。画像形成の対象となる画像データは、原稿の画像を光学的に読み取って得られた画像データでもよいし、外部の端末装置からプリント指示された画像データでもよい。入力された画像データは画像処理部25で画像処理される。
次に、トナー情報取得部27は、画像処理部25で画像処理された画像データのピクセルカウント情報にしたがって、上記複数のエリアE1,E2,E3ごとにトナー像の形成に使用されるトナーの状態情報を取得する(ステップS22)。ここでは、トナーの状態情報として、トナーの量、トナーの層数及びトナーの像密度を画像処理部25から取得するものとする。また、トナー情報取得部27では、ジョブ単位でトナーの状態情報を取得するものとする。
例えば、上記ステップS21で入力された画像データを画像処理部25で画像処理した結果、1回の画像形成ジョブで上記図8に示すように、中間転写ベルト5上に3つのイメージIm1〜Im3を表すトナー像がベルト回転方向Xに所定の間隔で並んで形成されるものとすると、各々のイメージIm1〜Im3を上記複数のエリアE1〜E3に合わせてY方向に区分する。すなわち、イメージIm1を3つのエリアIm1-1〜Im1-3に、イメージIm2を3つのエリアIm2-1〜Im2-3に、イメージIm3を3つのエリアIm3-1〜Im3-3に、それぞれ区分する。そして、エリアE1に対応するイメージ部分Im1-1,Im2-1,Im3-1にトナー像を形成するために使用されるトナーの状態情報と、エリアE2に対応するイメージ部分Im1-2,Im2-2,Im3-2にトナー像を形成するために使用されるトナーの状態情報と、エリアE3に対応するイメージ部分Im1-3,Im2-3,Im3-3にトナー像を形成するために使用されるトナーの状態情報を取得する。
さらに詳述すると、イメージIm1については、各々のエリアIm1-1,Im1-2,Im1-3を対象にカウントされたピクセルカウント値と、トナーの層数と、トナーの像密度を取得する。ピクセルカウント値は、対象エリアで各色の画像データのピクセルカウント値を加算したもので、トナーの量として取得される情報である。トナーの層数は、対象エリアで重ね合わせられるトナーの色数に応じて、当該色数が1色であれば1層、2色であれば2層、3色であれば3層、4色であれば4層といった具合に取得されるものである。トナーの像密度は、対象エリアで各色の画像データごとに0〜100%の数値範囲で取得されるものである。同様に、イメージIm2については、各々のエリアIm2-1,Im2-2,Im2-3を対象にカウントされたピクセルカウント値と、トナーの層数と、トナーの像密度を取得し、イメージIm3については、各々のエリアIm3-1,Im3-2,Im3-3を対象にカウントされたピクセルカウント値と、トナーの層数と、トナーの像密度を取得する。
続いて、トナー情報取得部27は、上記ステップS22で取得したトナーの状態情報のうち、各々のイメージIm1〜Im3の対象エリアごとに、トナーの量として取得したピクセルカウント値を、トナーの層数に応じた第1の重み係数と、トナーの像密度(総和)に応じた第2の重み係数で補正する(ステップS23)。トナーの層数と第1の重み係数の関係は、例えば上記図6(A)のように設定し、トナーの像密度(総和)層数と第2の重み係数の関係は、例えば上記図6(B)のように設定すればよい。
続いて、トナー情報取得部27は、上記ステップS23で補正したトナーの量を、複数のエリアE1,E2,E3ごとに、例えば累積カウンタを用いて累積する(ステップS24)。すなわち、エリアE1に含まれる各イメージの対象エリアIm1-1,Im2-1,Im3-1に関して、上記ステップS23で補正したトナーの量(ピクセルカウント値)が、例えば、エリアIm1-1では1000個、エリアIm2-1では1200個、エリアIm3-1では900個であったとすると、それらのトナー量を累積カウンタで累積した場合の累積値は3100個となる。同様に、他のエリアE2,E3についても、それぞれに対応する累積カウンタでトナーの量を累積する。この場合、各々のエリアE1,E2,E3ごとに累積カウンタで累積されるトナー量の累積値は、それぞれのエリアエリアE1,E2,E3にトナーパッチを形成して、その濃度をパッチ濃度検出センサ6で検出したと仮定したときのセンサ汚れ度合いを示す値となる。
次に、画像濃度制御部22は、上記ステップS24でトナー情報取得部27がエリアE1,E2,E3ごとに累積したトナー量の累積値を相互に比較することにより、トナー量の累積値が最も少ないエリア(パッチ濃度検出センサ6の汚れ度合いが最も小さいと予測されるエリア)をパッチ形成エリアに決定する(ステップS25)。例えば、エリアE2に対応するトナー量の累積値が、他のエリアE1,E3に対応するトナーの累積値よりも小さかった場合は、複数のエリアE1,E2,E3の中でエリアE2をパッチ形成エリアに決定する。これにより、画像形成中に画像濃度を制御する場合は、上記図8に示すように、エリアE2にトナーパッチPtが形成されることになる。
続いて、センサ移動制御部42は、センサ移動用モータ43を駆動することにより、上記ステップS25で決定したパッチ形成エリアに向けてパッチ濃度検出センサ6を移動させる(ステップS26)。これにより、パッチ形成エリアがエリアE2で決定された場合は、この決定にしたがってパッチ濃度検出センサ6がホームポジションからエリアE2へと移動し、そこでトナーパッチの濃度を検出するために待機することになる。
次いで、センサ制御部23は、各々の画像形成ユニット1〜4によって中間転写ベルト5に形成されたトナーパッチが、パッチ濃度検出センサ6の待機位置(パッチ濃度検出位置)に到達するタイミングに合わせて、パッチ濃度検出センサ6を動作(発光及び受光動作)させることにより、トナーパッチの濃度をパッチ濃度検出センサ6で検出する(ステップS27)。
その後、中間転写ベルト5に形成された全てのトナーパッチの濃度検出を終えると、センサ移動制御部42は、センサ移動用モータ43を駆動することにより、パッチ濃度検出センサ6をパッチ形成エリアからホームポジションへと戻す(ステップS28)。
このように本発明の第2実施形態に係る画像形成装置は、中間転写ベルト5の画像形成エリアを複数のエリアに区分して、各々のエリアごとにトナー像の形成に使用されるトナーの状態情報を取得し、この取得情報に基づいて、各々のエリアごとに濃度検出時のパッチ濃度検出センサ6の汚れ度合いを予測するものである。このため、トナーの飛び散りやクラウドによるパッチ濃度検出センサ6の汚れ度合いをエリア別に精度良く予測することができる。したがって、画像形成中に画像濃度を制御する場合は、パッチ濃度検出センサ6の汚れ度合いが最も小さいと予測されるエリアをパッチ形成エリアに決定し、この決定にしたがってパッチ濃度検出センサ6を移動させてトナーパッチの濃度検出を行なうことにより、常に同じ位置(エリア)でトナーパッチの濃度検出を行なう場合に比較して、トナーの付着によるパッチ濃度検出センサ6の汚れを低減することができる。
また、上記第1実施形態と同様に、トナーの状態情報として、トナーの量を取得する場合は、取得したトナーの量に基づいて、各々のエリアE1,E2,E3ごとにパッチ濃度検出センサ6の汚れ度合いを精度良く予測することができる。また、トナーの状態情報として、トナーの層数を取得する場合は、取得したトナーの層数に基づいて、各々のエリアE1,E2,E3ごとにパッチ濃度検出センサ6の汚れ度合いを精度良く予測することができる。また、トナーの状態情報として、トナーの像密度を取得する場合は、取得したトナーの像密度に基づいて、各々のエリアE1,E2,E3ごとにパッチ濃度検出センサ6の汚れ度合いを精度良く予測することができる。
また、トナーの状態情報として、トナーの量、トナーの層数及びトナーの像密度を取得する場合に、トナーの量として取得したピクセルカウント値を、トナーの層数に応じた第1の重み係数で補正したり、トナーの像密度に応じた第2の重み係数で補正したり、両方の重み係数で補正したりすることにより、各々のエリアE1,E2,E3ごとにパッチ濃度検出センサ6の汚れ度合いをより正確に把握することができる。
さらに、トナーの状態情報をジョブ単位で取得した場合は、各々のエリアE1,E2,E3ごとにパッチ濃度検出センサ6の汚れ度合いをジョブ単位で予測することができ、画像のページ単位で取得した場合は、各々のエリアE1,E2,E3ごとにパッチ濃度検出センサ6の汚れ度合いをページ単位で予測することができる。
また、パッチ濃度検出センサ6のホームポジションを中間転写ベルト5の画像形成エリア外に設定し、トナーパッチの濃度を検出する必要がないときは、パッチ濃度検出センサ6をホームポジションに退避させることにより、無用なトナーの付着を防止することができる。
また、図示はしないが、パッチ濃度検出センサ6の検出面を覆うシャッター部材を設け、上述のようにパッチ濃度検出センサ6をパッチ形成エリアに移動してトナーパッチの濃度を検出する際に、パッチ濃度検出位置へのトナーパッチの到達に先立ってシャッター部材を開くようにシャッター部材を動作させることにより、無用なトナーの付着をより確実に防止することができる。
[第3実施形態]
図10は本発明の第3実施形態に係る画像形成装置の制御系の構成を示すブロック図である。この第3実施形態に係る画像形成装置は、上記第1実施形態の画像形成装置(図3)と比較して、パッチ濃度検出を構成するパッチ濃度検出センサの個数が異なっている。すなわち、第1実施形態の画像形成装置は1個のパッチ濃度検出センサ6を備えた構成となっているが、第3実施形態の画像形成装置は複数(図例では3個)のパッチ濃度検出センサ61,62,63を備えた構成となっている。
上記複数のパッチ濃度検出センサ61,62,63は、図11に示すように、中間転写ベルト5の回転方向Xと直交する方向(主走査方向)Yに一定の間隔で並べて設けられている。中間転写ベルト5の回転方向Xと直交する方向Yでは、上記第2実施形態と同様に、中間転写ベルト5の画像形成エリアEmが複数のエリアE1,E2,E3に区分されている。これに対して、パッチ濃度検出センサ61はエリアE1に対応して当該エリアE1内に配置されている。また、パッチ濃度検出センサ62はエリアE2に対応して当該エリアE2内に配置され、パッチ濃度検出センサ63はエリアE3に対応して当該エリアE3内に配置されている。
また、第3実施形態の画像形成装置は、図示はしないが、トナー汚れ防止のための退避手段として、パッチ濃度検出センサ61の検出面を覆うシャッター部材と、パッチ濃度検出センサ62の検出面を覆うシャッター部材と、パッチ濃度検出センサ63の検出面を覆うシャッター部材を備えた構成となっている。各々のシャッター部材は、図示しないシャッター駆動により個別に開閉動作するものである。
トナー情報取得部27は、上記第2実施形態と同様に、Y方向で中間転写ベルト5の画像形成エリアEmを複数のエリアE1,E2,E3に区分し、これら複数のエリアE1,E2,E3ごとに、各々のイメージIm1,Im2,Im3の位置でトナー像の形成に使用されるトナーの状態情報を取得するものである。また、トナー情報取得部27は、例えば、任意の画像形成ジョブを実行するときに、上記図11に示すように、イメージIm2とイメージIm3の間(インターイメージ部)にトナーパッチPtを形成する場合、ジョブ単位又は画像のページ単位でトナーの状態情報を取得するものである。
図12は画像形成時に主制御部21で行われるトナーパッチの濃度検出に係る制御処理の一例を示すフローチャートである。まず、画像形成の対象となる画像データを入力する(ステップS31)。画像形成の対象となる画像データは、原稿の画像を光学的に読み取って得られた画像データでもよいし、外部の端末装置からプリント指示された画像データでもよい。入力された画像データは画像処理部25で画像処理される。
次に、トナー情報取得部27は、画像処理部25で画像処理された画像データのピクセルカウント情報にしたがって、上記複数のエリアE1,E2,E3ごとにトナー像の形成に使用されるトナーの状態情報を取得する(ステップS32)。続いて、トナー情報取得部27は、ステップS32で取得したトナーの状態情報のうち、各々のイメージIm1〜Im3の対象エリアごとに、トナーの量として取得したピクセルカウント値を、トナーの層数に応じた第1の重み係数と、トナーの像密度(総和)に応じた第2の重み係数で補正する(ステップS33)。続いて、トナー情報取得部27は、ステップS33で補正したトナーの量を、複数のエリアE1,E2,E3ごとに、例えば累積カウンタを用いて累積する(ステップS34)。
次に、画像濃度制御部22は、上記ステップS34でトナー情報取得部27がエリアE1,E2,E3ごとに累積したトナー量の累積値を相互に比較することにより、トナー量の累積値が最も少ないエリア(パッチ濃度検出センサの汚れ度合いが最も小さいと予測されるエリア)をパッチ形成エリアに決定する(ステップS35)。これまでの処理は、上記第2実施形態(図9)のステップS21〜S25の処理と同様である。
続いて、センサ制御部23は、複数のパッチ濃度検出センサ61〜63の中からトナーパッチの濃度検出に使用するセンサを、上記ステップS35で決定したパッチ形成エリアに応じて選択する(ステップS36)。例えば、パッチ形成エリアがエリアE2で決定された場合は、この決定にしたがってパッチ濃度検出センサ62を選択する。これにより、図示しないシャッター駆動部は、パッチ濃度検出センサ62の検出面を覆っているシャッター部材を開く。
次いで、センサ制御部23は、各々の画像形成ユニット1〜4によって中間転写ベルト5に形成されたトナーパッチが、パッチ濃度検出センサ62の待機位置(パッチ濃度検出位置)に到達するタイミングに合わせて、パッチ濃度検出センサ62を動作(発光及び受光動作)させることにより、トナーパッチの濃度をパッチ濃度検出センサ62で検出する(ステップS37)。その際、中間転写ベルト5に形成された全てのトナーパッチの濃度検出を終えると、図示しないシャッター駆動部により、パッチ濃度検出センサ62の検出面が再びシャッター部材で覆われた状態となる。
このように本発明の第3実施形態に係る画像形成装置は、中間転写ベルト5の画像形成エリアを複数のエリアに区分して、各々のエリアごとにトナー像の形成に使用されるトナーの状態情報を取得し、この取得情報に基づいて、各々のエリアごとに濃度検出時のパッチ濃度検出センサ61,62,63の汚れ度合いを予測するものである。このため、トナーの飛び散りやクラウドによるパッチ濃度検出センサ61,62,63の汚れ度合いをエリア別に精度良く予測することができる。したがって、画像形成中に画像濃度を制御する場合は、パッチ濃度検出センサの汚れ度合いが最も小さいと予測されるエリアをパッチ形成エリアに決定し、この決定にしたがって、複数のパッチ濃度検出センサ61〜63の中からトナーパッチの濃度検出に使用するセンサを選択することにより、トナー汚れが発生しにくいエリアでトナーパッチの濃度検出を行なうことができる。このため、常に同じ位置(エリア)でトナーパッチの濃度検出を行なう場合に比較して、トナーの付着によるパッチ濃度検出センサの汚れを低減することができる。
また、上記第1実施形態と同様に、トナーの状態情報として、トナーの量を取得する場合は、取得したトナーの量に基づいて、各々のエリアE1,E2,E3ごとにパッチ濃度検出センサ61,62,63の汚れ度合いを精度良く予測することができる。また、トナーの状態情報として、トナーの層数を取得する場合は、取得したトナーの層数に基づいて、各々のエリアE1,E2,E3ごとにパッチ濃度検出センサ61,62,63の汚れ度合いを精度良く予測することができる。また、トナーの状態情報として、トナーの像密度を取得する場合は、取得したトナーの像密度に基づいて、各々のエリアE1,E2,E3ごとにパッチ濃度検出センサ61,62,63の汚れ度合いを精度良く予測することができる。
また、トナーの状態情報として、トナーの量、トナーの層数及びトナーの像密度を取得する場合に、トナーの量として取得したピクセルカウント値を、トナーの層数に応じた第1の重み係数で補正したり、トナーの像密度に応じた第2の重み係数で補正したり、両方の重み係数で補正したりすることにより、各々のエリアE1,E2,E3ごとにパッチ濃度検出センサ61,62,63の汚れ度合いをより正確に把握することができる。
さらに、トナーの状態情報をジョブ単位で取得した場合は、各々のエリアE1,E2,E3ごとにパッチ濃度検出センサ61,62,63の汚れ度合いをジョブ単位で予測することができ、画像のページ単位で取得した場合は、各々のエリアE1,E2,E3ごとにパッチ濃度検出センサ61,62,63の汚れ度合いをページ単位で予測することができる。
また、トナーパッチの濃度検出に使用しないパッチ濃度検出センサについては、各々のセンサの検出面をシャッター部材で覆うことにより、無用なトナーの付着を防止することができる。ただし、退避手段としては、シャッター部材に限らず、例えば、パッチ濃度検出センサを中間転写ベルト5から離間する方向に後退させる手段であってもよい。
1,2,3,4…画像形成ユニット、5…中間転写ベルト、6,61,62,63…パッチ濃度検出センサ、19…操作パネル、22…画像濃度制御部、23…センサ制御部、24…トナー補給制御部、25…画像処理部、26…画像形成制御部、27…トナー情報取得部、28…メモリ制御部、29…パネル制御部、42…センサ移動制御部、43…センサ移動用モータ