JP4967196B2 - カチオン性固相担体を用いる核酸回収方法 - Google Patents

カチオン性固相担体を用いる核酸回収方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、核酸の回収方法に関し、試料中の核酸の分離、回収、濃縮、精製等に有用である回収方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
核酸を含有する液体試料から核酸を回収する方法としては、フェノールにより夾雑物を変性させて沈殿させた後、水相中の核酸を回収するフェノール-クロロホルム抽出法、カオトロピックイオン溶液を利用して夾雑物を水相に可溶化した後、核酸をシリカビーズに吸着させて固相に回収し、その後核酸の吸着した固相に水を加えて核酸を固相から水相に分離し回収するブーム(Boom)法などが知られている。しかし、それらの方法では、核酸をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)やリガーゼ、制限酵素等の酵素反応に供する場合、核酸溶液にフェノールやカオトロピックイオンが混入すると酵素反応を阻害するため、エタノール沈殿や限外ろ過、カラムクロマトグラフィー等より核酸の精製操作を施す必要があった。
【0003】
また、フェノールや、カオトロピックイオン溶液を用いない核酸の調製法として、特開平8−173159に示された様に、核酸を含有する溶液にカチオン性の高分子であるポリエチレンイミンを添加して、核酸との水不溶性の塩を形成させ、沈殿物を回収する方法が提案されている。しかし、この方法で得られた沈殿物から核酸を回収する方法として、水酸化ナトリウム溶液などの強塩基性溶液を沈殿に加えてポリエチレンイミンと核酸とを解離させる操作、ポリエチレンイミンと核酸との再結合を防ぐためにアニオン界面活性剤の溶液を添加する操作、溶液のpHを中和する操作が必要であり、簡便であるとは言い難い。また、水酸化ナトリウム溶液などのアルカリの添加は核酸の加水分解を招く危険がある。さらに、混在するポリエチレンイミン、アニオン界面活性剤はPCR反応などの酵素反応を阻害するが、これらを除去することは困難であるので、PCR反応に供する場合にはその阻害効果が無視できるまで希釈する必要がある。しかし、核酸含量が少ない場合は希釈により検出が困難になることがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の課題は、試料中の核酸を高純度でしかも効率的且つ簡便に回収することができ、得られた核酸を核酸増幅、酵素反応、ハイブリダイゼーション法などによる核酸の分析等の後工程に供しても何らの問題も生じない核酸回収方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記の課題の解決手段として、
カチオン性固相担体を核酸が含まれる試料と接触させて核酸を該カチオン性固相担体に捕捉させる段階、
核酸を捕捉したカチオン性固相担体を前記試料から分離する段階、
こうして分離された固相担体をアニオン性物質で処理し、捕捉された前記核酸を前記カチオン性固相担体から分離する段階、
を有し、
前記アニオン性物質が、硫酸化多糖類;スルホン酸基を表面に有する物質;もしくはカルボキシル基を表面に有する物質;またはこれらの二種以上の組み合わせであることを特徴とする核酸回収方法を提供する。
【0006】
本発明は、後段階で、ハイブリダイゼーションアッセイ又は増幅法のようなさらなる処理に供される核酸を単離して提供するための迅速、簡便且つ効果的な核酸回収方法を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の方法では、第一に、カチオン性固相担体を核酸が含まれる試料と接触させて核酸を該カチオン性固相担体に捕捉させる。
−核酸を含む試料−
ここで核酸とは、DNA、RNA、またはこれらのハイブリッド結合物である。その長さに特に制限されるものではない。試料を予め酵素等で処理したものでも良い。
【0008】
また試料は核酸を含んでいさえすれば特に制限されず、本発明の方法を適用することができる。例えば、通常の生物、細菌等の微生物、培養細胞由来の生物学的試料、具体的には、血液、全血、血漿、血清等の体液、組織の溶解液が挙げられる。これらはライセットして、核酸溶出させた状態であれば、本発明の対象試料となる。勿論、人工的に化学合成、または酵素合成より得られた核酸も対象となる。
−カチオン性固相担体−
本発明の方法に用いられるカチオン性固相担体とは、固相担体にカチオン性基が結合したものである。
【0009】
カチオン性基:
本明細書においてカチオン性基とは、それ自体カチオンを形成している基及びそれ自体カチオンを形成していないが中性付近(約pH6〜8)においてプロトンの結合により容易にカチオンを形成するアミン系及びイミン系の基を意味する。例えば1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基、4級アンモニウム基、並びにイミノ基(−NH−基及び=NH基)があげられる。これらのカチオン性基の存在形態は多様であって何ら制限されず、例えば化合物中に、アミジノ基、イミジノ基、ヒドラジノ基、ピリジル基などの状態で存在していてもよい。
【0010】
カチオン性基を固相担体に結合させるには、カチオン性基を有する物質(カチオン性物質という)を固相担体に結合させることにより行う。このようなカチオン性物質としては、例えば生物試料由来の、プトレッシン、カダベリン、スペルミジン、スペルミン、1,3-ジアミノプロパン、カルジン、ホモスペルミン、3-アミノプロピルカダベリン、ノルスペルミン、テルモスペルミン、カルドペンタミン等のポリアミンおよびそれらの重合生成物、ヒストンおよびプロタミンに分類される塩基性タンパク質とそれらの重合体、ポリリシン、ポリアルギニン、ポリヒスチジン、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリジエチルアミノエチルメタクリレート、ポリジメチルアミノエチルメタクリレート、ポリピニルピリジン4級化物、ポリブレン、キトサン、グリコールキトサン、メチルグリコールキトサン、ポリジアリルジメチルアンモニウム等の合成、天然、半合成(発酵、遺伝子組み替えを含む)高分子、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のジアミン類;3-アミノプロピルトリエトキシシランなどのシランカップリング剤が挙げられる。
【0011】
これらのカチオン性物質は通常の状態では水溶性であり、試料中の核酸とイオン結合を含む相互作用することができる。また、水溶解性が低い場合でも、pH、温度、塩濃度を適切に調整することにより、水溶化することができる。
−固相担体−
固相担体はカチオン性基の担体として用いられる。また、上記したアニオン性物質も固相担体に担持させて用いることもできる。
【0012】
固相担体にカチオン性基を導入するには、固相担体に対して、上記カチオン性物質またはカチオン性物質を練り込む、コーティング、プラズマ処理、共重合、グラフト重合、カップリング等の操作によって、物理的、化学的に導入することができる。導入効率等を考えれば、化学的に導入することが好ましい。
【0013】
固相担体としては、膜、フィルター、プレート、粒子、繊維状、チュ−ブ等の形状が挙げられる。固相担体の使い易さ、単位質量当たりの表面積を考えれば、粒子状であることが好ましい。
【0014】
固相担体の材質は特に限定するものではない。ポリエステル、ポリオレフィン、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミド等の有機材料、ガラス、シリカ、金属等の無機材料が挙げられ、またはこれらの複合体であってもよい。通常の使用状態において、水不溶性である必要がある。カチオン性基を担体に導入するには、一つの方法として、上述のようにカチオン性物質を担体に結合する方法が挙げられる。この場合、カチオン性物質と担体との結合性を良好にするには、少なくとも担体物質の表面の一部が有機ポリマーであることが好ましい。
【0015】
該有機ポリマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル等の不飽和ニトリル;メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル;ブタジエン等のジオレフィン;酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;塩化ビニル、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールブロパントリ(メタ)アクリレート、トリビニル系モノマー及びテトラビニル系モノマーの重合体を挙げることができる。
【0016】
上記のモノマーには必要に応じて他の官能基含有モノマーをコモノマーとして共重合させることができる。このようなコモノマーの例としては、例えばアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸フマル酸、マレイン酸等を挙げる事ができる。
【0017】
これらモノマーの重合(共重合を含む)は、所要のモノマーを含む重合成分を水系分散媒中で重合開始剤の存在下、乳化重合、懸濁重合などにより重合させればよい。
【0018】
重合開始剤としては、過硫酸塩類、あるいは過酸化水素−塩化第一鉄、クメンヒドロペルオキシド−アスコルビン酸ナトリウム等のレドックス系の水溶性重合開始剤、ベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、アゾビスイソブチロニトリル、ビス(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイドなどの油溶性重合開始剤が例示される。
重合系には必要に応じて界面活性剤、分散安定剤などを添加することもできる。
【0019】
本発明に用いられる固相担体は必要に応じて、粒子の内部および/または表面に磁性体を含有している。この磁性体は該粒子の内部のみに含有され、表面に露出していないことが好ましい。粒子に磁性体を含有させることにより、磁気作用で粒子の固液分離することが可能となる。磁性体としては、例えば四三酸化鉄(Fe34)、γ−重三二酸化鉄(γ−Fe23)等の各種フェライト、鉄、マンガン、コバルト、クロムなどの金属またはこれら金属の合金などを用いることができる。磁性体の粒径は30nm以下、好ましくは20nm以下である。これら磁性体の使用により、固相担体は実質的に超常磁性を有するものとなる。
【0020】
粒子中の磁性体の含有量は、粒子全体に占める割合は良好な磁気分離性が得られる点で10重量%以上、特に20〜80重量%であることが好ましい。磁気分離性が悪いと、分離に相当に長い時間を要するので好ましくない。また、磁性体の含有量が多すぎると粒子表面に磁性体の露出が多くなることがある。
【0021】
本発明の方法に用いられるカチオン性固相担体が粒子状である場合、粒子の粒径は、特に制限されるものではないが、例えば血液、体液等由来の試料から核酸を分離、回収する際の磁気分離力がより良好となる点で、通常0.5μm〜300μm、好ましくは1μm〜100μm、より好ましくは1μm〜80μmである。粒径が小さくなるほど分離に時間がかかる。また、粒径が過大であると、単位質量当りの表面積が低下し、核酸抽出の効率が低下する。また、粒子の形状は球状である必要はなく、異形粒子であってもかまわない。なお球状でない粒子の粒径としては、それぞれの粒子の最長径と最短径との平均値をとるものとする。
【0022】
本発明の方法では、第二に、核酸を捕捉したカチオン性固相担体を試料から分離する。この分離は通常この種の分離に用いられる公知の方法を利用することができ何ら限定されない。例えば通常の遠心分離による固液分離を利用することができる。使用されるカチオン性固相担体が磁性体を含有するものである場合は、永久磁石、電磁石による磁気的に分離で実施することもできる。固相担体の状態等に応じて選択すればよい。
【0023】
本発明の方法では、第三に、試料から分離され、核酸を捕捉しているカチオン性担体をアニオン性基物質で処理する。該処理により、捕捉された前記核酸を前記カチオン性固相担体から分離する。
【0024】
−アニオン性物質−
アニオン性物質とはアニオン性基を表面に有する物質である。
アニオン性基としては、硫酸基、スルホン酸基、カルボキシル基等が挙げられる。
【0025】
アニオン性物質としては、例えばドデシル硫酸ナトリウム、N-ラウロイルサルコシン酸ナトリウム等のアニオン性界面活性剤、ヘパリン、デキストラン硫酸、セルロース硫酸、ガードラン硫酸、コンドロイチン硫酸、ヘパラン硫酸、キチン硫酸、キトサン硫酸、デルマタン硫酸、アミロペクチン硫酸、ケタラン硫酸、キシラン硫酸、カロニン硫酸、ペクチン硫酸、イヌリン硫酸、アルギン酸硫酸、グリコーゲン硫酸、ポリラクトース硫酸、カラゲニン硫酸、デンプン硫酸、ポリグルコース硫酸、ラミナリン硫酸、ガラクタン硫酸、レバン硫酸、メペサルフェート、フコイダンなどの硫酸化多糖類;エチレンスルホン酸、イソプレンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニル硫酸、スルホエチルアクリレート、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スルホン化ジシクロペンタジエン、グルコシルオキシエチルメタクリレート等のスルホン化モノマー単位を有する(共)重合体;ポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタンなどの主鎖または側鎖にスルホン化可能な官能基を持つ高分子化合物をスルホン化した高分子化合物;アスパラギン酸、グルタミン酸などのアミノ酸の(共)重合体;メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、クロトン酸などのカルボキシル基を分子中に有する重合性単量体の(共)重合体を挙げることができる。これらは一種単独でも二種以上を組合わせてもしようすることができる。
【0026】
この段階では試料から分離された核酸を捕捉しているカチオン性固相担体をアニオン性基物質で処理するが、そのときアニオン性物質は遊離の状態で使用することもできるし、固相担体に結合させて使用することもできる。いずれの場合でも水性液中において両者を接触させることにより処理を行う。アニオン性物質を遊離の状態で用いるか固相担体に結合させて使用するかのその使い分けは、回収した核酸の使用方法ないしは目的により選定することができる。例えば、精製される核酸をPCR等の用途に供する場合に、回収核酸の量をわずかで良いので、固相担体に結合されているカチオン性基に比べて少ないアニオン性物質を遊離の状態で系に添加し使用することができる。また、回収核酸量を重視する場合、アニオン性物質を固相担体に結合させ、固相担体に結合されているカチオン性基に比べて過剰のアニオン性基固相担体を添加し、核酸の解離を行い、固液分離により核酸を分離精製することができる。いずれの場合にも、回収される核酸にアニオン性基物質の混入がなく、そうまま再度の精製なしに次のステップに使用できる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、「部」は特記しない限り「重量部」を意味する。
【0028】
実施例1:
−−カチオン性基水不溶担体粒子-1の調製−−
油性磁性流体「マーポマグナFV−55」[松本油脂製薬(株)製]にアセトンを加えて粒子を析出沈殿させた後、これを乾燥することにより、親油化処理された表面を有するフェライト系の超常磁性体(粒子径:15nm)を得た。
【0029】
ついで、超常磁性体40部にシクロヘキシルメタクリレート90部、トリメチルアミノエチルメタクリレートの塩化物10部およびビス(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド(重合開始剤)3部を添加し、この系を混合攪拌することにより超常磁性体を均一に分散させてモノマー組成物を調製した。
【0030】
一方、ポリビニルアルコール10部、およびポリエチレンオキシドノニルフェニルエーテル0.1部を水1000部に溶解して水分散体を調製した。
得られた水性媒体(水相)中に上記のモノマー組成物を添加し、超音波分散機で分散処理することにより平均粒子径が1μmの油滴(油相)が水性媒体に分散されてなる懸濁液(油滴分散体)を調製した。
【0031】
次に、得られた懸濁液を容量2リットルの攪拌機付き三つ口フラスコに仕込み、この系を75℃に昇温し、窒素雰囲気下において攪拌しながら5時間にわたり油滴中のモノマーを重合(懸濁重合)させることにより、本発明のカチオン性基水不溶担体粒子-1を得た。このように得られた磁性ポリマー粒子の大きさは1μmで、固定化されたアミノ基量は40μmol/gであった。
【0032】
実施例2
−−カチオン性基水不溶担体粒子-2の調製−−
(1)実施例1においてシクロヘキシルメタクリレートの使用量を75部とし、トリメチルアミノエチルメタクリレートの塩化物10部の代わりにメタクリル酸25部を使用した以外は実施例1と同様にして磁性ポリマー粒子を製造した。
(2)得られたカルボキシ変性磁性ポリマー粒子1g(乾燥重量)を20mlの10mM PBS緩衝溶液(pH7.3)に添加し、ポリエチレンイミン(数平均分子量7万)の30%水溶性0.1mLおよびカルボジイミド試薬であるEDC・塩酸塩(1−エチル−3(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドヒドロクロライド)0.02gを添加し、20℃、2時間反応させ、本発明のカチオン性基水不溶担体粒子-2を得た。このように得られた磁性ポリマー粒子の大きさは3μmに結合した総アミノ基量は30μmol/gであった。
【0033】
実施例3:
−−核酸の抽出−−
pBR322プラスミドDNAをウシ胎児血清(FBS,SIGMA社製 F2442)に溶解し、 pBR322プラスミドDNAの10μg/mL FBS溶液を調製した。この溶液1mLを1.5mL用のマイクロテストチューブに取り分け、それぞれに固形分濃度5%に調整した実施例1、2で得られた粒子の生理食塩水溶液20μLを添加し、ボルテックスで攪拌してDNAを粒子に吸着させた。チューブを磁気分離スタンドにセットし、粒子と上清を分離し、上清を捨てた。粒子を洗浄する操作として、1mLの Tris-HCl緩衝液(pH7.4)を加え、ボルテックスで攪拌したあと、再度チューブを磁気分離スタンドにセットして粒子と上清を分離し、上清を捨てる操作を行い、これを2回繰り返した後、 濃度17.6μg/mLのデキストラン硫酸ナトリウム(分子量50万、和光純薬工業)のTris-HCl緩衝液溶液を100μL加えて、30分間、室温で穏やかに振とうして粒子に吸着したDNAを脱吸着させた。磁気分離スタンドにチューブをセットして粒子と上清を分離し、100μLの上清を回収した。 pBR322プラスミドDNAの回収量を、260nmの紫外吸光度(A260)から算出し、純度の目安として260nmと280nmの吸光度の比(A260/A280)を測定した。結果を表1に示した。
【0034】
【表1】
Figure 0004967196
【0035】
【発明の効果】
本発明の核酸回収方法によれば、試料中の核酸を高純度でしかも効率的且つ簡便に回収することができ、しかも、有機溶媒、カオトロピックイオン溶液、あるいは核酸と結合するポリエチレンイミンなどの核酸の回収後のさらなる処理の妨げとなる成分を一切含まない形で核酸を回収することができる。

Claims (5)

  1. カチオン性固相担体を核酸が含まれる試料と接触させて核酸を該カチオン性固相担体に捕捉させる段階、
    核酸を捕捉したカチオン性固相担体を前記試料から分離する段階、
    こうして分離された固相担体をアニオン性物質で処理し、捕捉された前記核酸を前記カチオン性固相担体から分離する段階、
    を有し、
    前記アニオン性物質が、硫酸化多糖類;スルホン化モノマー単位を有する(共)重合体;主鎖または側鎖にスルホン化可能な官能基を持つ高分子化合物をスルホン化した高分子化合物;アスパラギン酸およびグルタミン酸からなる群より選択されるアミノ酸の(共)重合体;もしくはカルボキシル基を分子中に有する重合性単量体の(共)重合体;またはこれらの二種以上の組み合わせであることを特徴とする核酸回収方法。
  2. 前記固相担体が磁性体を含有する、請求項1記載の方法。
  3. 前記アニオン性物質が水溶性である請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記アニオン性物質が水溶性であり、かつ前記カチオン性固相担体とは別の固相担体に結合されている請求項1または2に記載の方法。
  5. 前記アニオン性物質が結合されている前記固相担体が磁性体を含有する、請求項4に記載の方法。
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