JP5540467B2 - 上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーで表面修飾された磁性微粒子による電荷物質の回収方法及びキット - Google Patents

上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーで表面修飾された磁性微粒子による電荷物質の回収方法及びキット Download PDF

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Description

本発明は、上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーで表面修飾された磁性微粒子による電荷物質の回収方法及びこれを用いた電荷物質を回収するためのキットに関する。
核酸等の電荷物質を、上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーで表面修飾された磁性微粒子を用いて回収を行うと、電荷物質が存在することから、磁性微粒子の凝集が阻害される。したがって、回収するのに時間がかかり、回収率が低く、改良が望まれている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開WO2008/001868パンフレット
本発明の課題は、核酸等の電荷物質を、上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーで表面修飾された磁性微粒子を用いて回収する場合において、回収する時間を短縮し、回収率を高める方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、以下の構成を採用することにより、本発明の課題を解決することができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
本発明は以下の構成を有する。
[1]検体中の電荷物質を回収する方法であって、
上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーで表面修飾された磁性微粒子と、電荷物質に対する親和性物質とが結合した吸着剤と、電荷物質を含む検体とを混合し、吸着剤に電荷物質を吸着させ、さらにポリアルキレングリコールと混合する工程、
前記工程で得られた混合物を上限臨界溶液温度未満にし、吸着剤を凝集させる工程、及び、
磁力により吸着剤を回収する工程、
を含む、検体中の電荷物質を回収する方法。
[2]前記上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーが、アクリロイルグリシンアミド、メタクリロイルグリシンアミド、アクリロイルアスパラギンアミド、メタクリロイルアスパラギンアミド、アクリロイルグルタミンアミド及びメタクリロイルグルタミンアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種類のモノマーを重合して得られるポリマーである、[1]に記載の方法。
[3]前記上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーが、少なくとも2種類のモノマーを共重合して得られるコポリマーである、[2]に記載の方法。
[4]前記上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーが、アクリロイルグリシンアミドとアクリロイルアスパラギンアミドとを共重合して得られるコポリマーである、[3]に記載の方法。
[5]前記ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールランダムコポリマー及びポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種である、[1]〜[4]のいずれかに記載の方法。
[6]前記ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコールである、[5]に記載の方法。
[7]前記電荷物質が、核酸である、[1]〜[6]のいずれかに記載の方法。
[8]前記核酸が、DNA又はmRNAである、[7]に記載の方法。
[9]上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーで表面修飾された磁性微粒子と、電荷物質に対する親和性物質とが結合した吸着剤と、ポリアルキレングリコールを含む、検体中の電荷物質を回収するためのキット。
本発明の回収方法を用いることで、核酸等の電荷物質を、上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーで表面修飾された磁性微粒子を用いて回収する場合に、回収する時間を大幅に短縮することができ、また、回収率を高くすることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
1.電荷物質を回収する方法
本発明の方法は、検体中の電荷物質を回収する方法であって、上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーで表面修飾された磁性微粒子(以下、単に「温度応答性磁性微粒子」ということがある。)と電荷物質に対する親和性物質(以下、単に「リガンド」ということがある。)とが結合した吸着剤とを混合し、吸着剤に電荷物質を吸着させ、さらにポリアルキレングリコールと混合し、得られた混合物を温度応答性ポリマーが凝集する温度(上限臨界溶液温度)未満にすることにより、吸着剤を凝集させ、磁力により吸着剤を回収し、検体中の電荷物質を回収する方法である。
本発明の方法は、電荷物質を吸着させた吸着剤とポリアルキレングリコールとを混合する工程を含む。通常、電荷物質が存在すると、吸着剤の凝集が阻害されるが、吸着剤とポリアルキレングリコールとを混合することにより、吸着剤の凝集能が強化され、温度応答性ポリマーの上限臨界溶液温度が上昇することにより、電荷物質が存在しても吸着剤の凝集が可能又は容易となる。
2.温度応答性磁性微粒子
本発明に用いる温度応答性磁性微粒子は、磁性微粒子に上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーが表面修飾された粒子である。表面修飾とは、前記ポリマーが、磁性微粒子の表面に直接又は間接に化学的に固定されている状態や、磁性微粒子の表面に直接又は間接に絡まった状態も含む。ここで、間接とは、磁性微粒子と温度応答性ポリマーとが、他の物質を介していることをいう。温度応答性磁性微粒子の平均粒径は、1〜1000nmであることが好ましく、より好ましくは3〜200nmである。
2−1.上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマー
温度応答性ポリマーとは、溶液中で温度変化により可逆的に凝集状態と溶解状態とに変化するポリマーをいう。温度応答性ポリマーとしては、下限臨界溶液温度(以下、「LCST」ということがある。)を有する温度応答性ポリマーと、上限臨界溶液温度(以下、「UCST」ということがある。)を有する温度応答性ポリマーとが知られているが、本発明には、上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーを用いる。
本発明に用いる上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーは特に限定されないが、分散状態では回収困難な磁性微粒子に前記温度応答性ポリマーを表面修飾することで、UCST未満に温度を低下させることにより、回収可能な大きさの塊に温度応答性磁性微粒子を凝集させる能力を有していることが必要である。逆に、UCST以上に温度を上昇させることにより、凝集した温度応答性磁性微粒子を分散させることができる。
上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーとしては、アクリロイルグリシンアミド、メタクリロイルグリシンアミド、アクリロイルアスパラギンアミド、メタクリロイルアスパラギンアミド、アクリロイルニペコタミド、アクリロイルグルタミンアミド、メタクリロイルグルタミンアミド等から選ばれるモノマーを単独で重合して得られるホモポリマー又は少なくとも2種類のモノマーを共重合して得られるコポリマーを挙げることができる。また、上記モノマーとアクリルアミド、アセチルアクリルアミド、ビオチノールアクリレート、N−ビオチニル−N′−メタクロイルトリメチレンアミド、アクリロイルザルコシンアミド、メタクリロイルザルコシンアミド及びアクリロイルメチルウラシル等から選ばれる少なくとも1種類のモノマーとを共重合して得られるコポリマーを挙げることができる。同コポリマー中、温度応答性ポリマーを構成するモノマー含量は、通常、コポリマーを構成する全モノマー含有量の95mol%以上である。
上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーのうち、ホモポリマーとしては、例えば、ポリ(アクリロイルグリシンアミド)、ポリ(アクリロイルアスパラギンアミド)、又はポリ(アクリロイルグルタミンアミド)等が好ましく利用できる。また、コポリマーとしては、例えば、アクリロイルグリシンアミドとアクリロイルアスパラギンアミドとのコポリマー等が好ましく利用できる。
上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーのUCSTは、このポリマーを構成するモノマーの種類及びモノマー成分の比率により様々に変化させることができる。
本発明に好適に用いることができる温度応答性ポリマーの重合度は、通常50〜10000である。
温度応答性ポリマーは、例えば、上記モノマーを有機溶媒又は水に溶解し、不活性ガスで系中を置換した後、重合温度まで昇温し、有機溶媒中であればアゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系開始剤、過酸化ベンゾイル等の過酸化物、水系であれば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)等の重合開始剤を添加し、攪拌下加熱を続けることにより得ることができる。その後、貧溶媒中で再沈殿を行い、析出したポリマーをろ取することで、製造したポリマーを精製することができる。
2−2.磁性微粒子
磁性微粒子は、多価アルコールとマグネタイトとから製造することができる。例えば、特開2005−082538号公報に、デキストランを用いた磁性微粒子の製造方法が開示されており、この方法によって製造することができる。
磁性微粒子は特に制限はないが、平均粒径が、0.9nm以上、1000nm未満であることが好ましい。この範囲であれば、温度応答性ポリマーで表面修飾を行った後で良好な分散性を有する。さらに、目的物である電荷物質の認識性を高め、親和性物質との吸着速度を高めるためには、平均粒径が、2.9nm以上、200nm未満であることが特に好ましい。また、特に、吸着剤の回収において、磁集速度を速めるためには、30nm以上が好ましく、40nm以上がより好ましい。
磁性微粒子の素材としては、例えば、マグネタイト、酸化ニッケル、フェライト、コバルト鉄酸化物、バリウムフェライト、炭素鋼、タングステン鋼、KS鋼、希土類コバルト磁石及びヘマタイト等の微粒子が挙げられる。
2−3.温度応答性ポリマーと磁性微粒子との結合
磁性微粒子を温度応答性ポリマーの表面に固定するためには、例えば、多価アルコール
(以下、多価アルコール誘導体を含めて、「多価アルコール等」という。)等を介して行うことができる。磁性微粒子と、多価アルコール等との結合体は、当技術分野における周知の方法によって調製することができる。例えば、米国特許第4452773号に記載されているように、デキストラン50重量%水溶液(10ml)中に、塩化第二鉄・六水和物(1.51g)及び塩化第一鉄・四水和物(0.64g)混合水溶液(10ml)を加えて攪拌し、7.4(V/V)%アンモニア水溶液をpH10〜11程度になるように滴下しながら、60〜65℃に水浴中で加熱し、15分反応させる方法で得ることができる。
磁性微粒子において、磁性微粒子上の鉄イオンと、多価アルコール等の有する水酸基、カルボキシル、リン酸基等の基との結合により、磁性微粒子と多価アルコール等とが結合される。多価アルコール等の有する水酸基は、温度応答性ポリマーとの結合に利用されるだけでなく、電荷物質に対する親和性物質(リガンド)又はリガンドと結合した物質に対する親和性物質の有する反応性官能基との結合に利用され、更に磁性微粒子の水溶液中での分散性の向上に効果がある。そのため、本発明に用いる多価アルコールは、構成単位に水酸基を少なくとも2個有し、鉄イオンと結合可能なアルコール構造体であれば、特に制限なく使用することができる。例えば、デキストラン、ポリビニルアルコール、マンニトール、ソルビトール等が挙げられる。また、グリシジルメタクリレート重合体のようにエポキシを有し、開環後多価アルコール構造体を形成する化合物も使用できる。多価アルコール誘導体としては、修飾により、カルボキシル、アミノ、エポキシ、チオール、メタクリル又はアクリル等の反応性官能基や重合性基が導入された多価アルコールが使用できる。
温度応答性磁性微粒子は、磁性微粒子存在下で温度応答性ポリマーを反応性の官能基を介して結合する方法、又は磁性微粒子中の多価アルコール上の活性水素と、又は多価アルコールに重合性不飽和結合を導入し、磁性微粒子にグラフト重合する方法等の当技術分野で周知の方法で得ることができる(ADV.Polym.Sci.,Vol.4、p111、1965や、J.Polymer Sci.,Part−A,3,p1031,1965に記載されている)。
3.検体
本発明の方法に用いられる検体とは、本発明の方法の検出対象物質である電荷物質を含有するものであれば特に限定されない。例えば、微生物や細胞の培養破砕懸濁液、遺伝子増幅装置(例えば、PCR(Polymerase chain reaction)等)で増幅されたDNAを含有する溶液等が挙げられる。
4.電荷物質
本発明の方法における検出対象物質である電荷物質としては、電荷を有する核酸、タンパク質等が挙げられ、好ましくは、核酸(DNA、mRNA)等である。
5.吸着剤
本発明の方法においては、電荷物質を回収するために、温度応答性磁性微粒子の表面又は温度応答性ポリマーに、電荷物質に対する親和性物質が結合されている吸着剤を用いる。例えば、電荷物質がssDNAの場合には、それの相補鎖となるアンチセンスDNAが親和性物質であり、mRNAの場合には、mRNAのポリA配列と相補鎖となるオリゴdTが親和性物質である。アンチセンスDNAやオリゴdTを温度応答性磁性微粒子の表面又は温度応答性ポリマーに固定することで、それらに対する特異的吸着作用を有するssDNA又はmRNAを特異的に結合できる。電荷物質に対する親和性物質とは、上記に例示したような電荷物質と親和性を有する物質だけでなく、電荷物質に結合した他の物質と親和性を有する物質であってもよい。具体的には、ビオチン−アビジンの特異的な結合を
介して、親和性物質と温度応答性磁性微粒子とを結合することもできる。すなわち、ビオチン化した親和性物質を、ビオチンに対する親和性物質であるアビジンを介してビオチン化した温度応答性磁性微粒子と結合することができる。本発明では、市販されているアビジン化温度応答性磁性微粒子が利用でき、あるいはアビジン化、ビオチン化は、当技術分野で周知の方法に従えばよい。遺伝子増幅装置(例えば、PCR等)で増幅されたDNAの場合には、増幅の開始の起点となるプライマーにビオチンやヒスチジンタグ等のタグを結合させておき、ビオチンの親和性物質であるアビジンやヒスチジンタグの親和性物質であるイミノジ酢酸ニッケルを結合させた温度応答性磁性微粒子で回収する方法がある。
電荷物質がタンパク質の場合には、電荷物質に対する親和性物質として、ビオチン、アビジン、グルタチオン、レクチン及び抗体等を温度応答性磁性微粒子に表面修飾することで、それらに対する特異的吸着作用を有するタンパク質と特異的に結合できる。ビオチンの場合は、アビジンとの特異的な結合を介してビオチン化された検出対象のタンパク質と、またビオチン化された抗体を用いてそれらの抗原である種々のタンパク質と更に結合することが可能である。本発明では、市販されているアビジン、ビオチン化タンパク質が利用でき、ビオチン化は、当技術分野で周知の方法に従えばよい。グルタチオンの場合は、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(以下、「GST」という。)を含有するタンパク質と特異的に結合できる。このようなGST含有タンパク質の調製は当技術分野で周知の方法に従えばよい。
温度応答性ポリマーとリガンドとの結合の例として、温度応答性ポリマーと抗体の結合方法を示す。国際公開第01/009141号パンフレットに記載されているように、ビオチンを、メタクリルやアクリル等の重合性官能基と結合させて付加重合性モノマーとし、他のモノマーと共重合することにより温度応答性ポリマーにビオチンを結合させることができる。一方、リガンドとしての抗体にアビジンを結合させ、ビオチン結合温度応答性ポリマーと混合することにより、アビジンとビオチンの結合を利用して、温度応答性ポリマーに抗体を結合させることができる。なお、ビオチンの代わりにグルタチオンを用いた場合は、アビジンではなく、グルタチオンSトランスフェラーゼを用いればよい。また、ポリマーの製造時にカルボキシル、アミノ又はエポキシ等の官能基を持つモノマーを他のモノマーと共重合させ、当技術分野で周知の方法に従い、この官能基を介して、抗体親和性物質(例えば、メロンゲル、プロテインA、プロテインG等)をポリマー上に結合させる方法も利用できる。このようにして得られた抗体親和性物質にリガンドとしての抗体を結合させることにより、温度応答性ポリマーに抗体を結合させることができる。
このようにして、リガンドと結合した温度応答性ポリマーを得ることができる。リガンドと結合した温度応答性ポリマーは、温度応答性ポリマーが凝集する条件にし、遠心分離、磁石での磁集等により、精製することができる。
6.ポリアルキレングリコール(凝集促進剤)
本発明の方法において、ポリアルキレングリコールは凝集促進剤として機能し、温度応答性磁性微粒子又は吸着剤の凝集を促進する。本発明の方法では、温度応答性磁性微粒子又は吸着剤の回収において、温度応答性磁性微粒子又は吸着剤の凝集促進剤としてポリアルキレングリコールを添加することで、UCSTを有する温度応答性ポリマーの上限臨界溶液温度を変化(上昇)させることにより、温度応答性磁性微粒子又は吸着剤を回収する時間を短縮し、また、回収率を高めることができる。ポリアルキレングリコールとしては、本発明の効果を発揮するものであれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールランダムコポリマー、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマー等が挙げられる。これらのポリアルキレングリコールを単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、少量で温度応答性磁性微粒子を凝集させること
ができる点で、好ましくはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールであり、より好ましくは、ポリエチレングリコールである。ポリエチレングリコールは、実験により最適な分子量を持つものを選んで使用することができ、例えば、約200〜25,000の範囲の数平均分子量を持つもの、好ましくは約3,000〜20,000、より好ましくは約6,000〜15,000の範囲の数平均分子量を持つものが挙げられる。これらは、例えば、シグマ社、和光純薬社等から入手できる。
本発明の方法においては、温度応答性磁性微粒子又は吸着剤が所望の温度で容易に凝集する程度まで、温度応答性磁性微粒子又は吸着剤の分散液中にポリアルキレングリコールを添加すればよい。
例えば、ポリエチレングリコールによる温度応答性ポリマーのUCSTの上昇は、以下のとおりである。アクリロイルグリシンアミドであれば通常1〜10℃であり、アクリロイルアスパラギンアミドであれば通常1〜10℃である。
コポリマーのUCSTの変化は、コポリマーを構成するモノマーの種類及びモノマー成分の比率に応じて決定される。
ポリアルキレングリコールは、粉末のまま使用することもできるが、水溶液として用いることが好ましい。この場合、ポリアルキレングリコールの濃度は、好ましくは30重量%以下である。この濃度範囲内であれば、粘度が高くなり過ぎることがなく、扱い易く、特に少量を分取する際にも問題が生じることがない。
ポリアルキレングリコールの添加量は、温度応答性磁性微粒子又は吸着剤の凝集を促進する効果を指標に当業者が適宜決定することができる。例えば、最終濃度として通常10〜0.5重量%、好ましくは2〜0.5重量%とすることができる。また、温度応答性磁性微粒子又は吸着剤に使用される温度応答性ポリマーのUCSTの上昇として、通常1〜10℃、好ましくは2〜5℃とすることができる。
例えば、4mg/mlの温度応答性磁性微粒子又は吸着剤、及び0.5mg/mlの電荷物質を含む溶液は、ポリエチレングリコール等のポリアルキレングリコール溶液を添加することで、温度応答性磁性微粒子又は吸着剤濃度4mg/ml、ポリエチレングリコール濃度1重量%の条件下、容易に凝集状態にすることができる。
一方、凝集させた吸着剤を再び分散させるには、溶液を上昇後のUCST以上の温度にするか、精製水等でポリアルキレングリコール濃度を希釈すればよい。
7.温度応答性磁性微粒子の製造方法
本発明の方法に用いる温度応答性磁性微粒子は、例えば、下記手順を有する1〜3のいずれかの製造方法を用いることで得ることができる。
7−1.温度応答性磁性微粒子の製造方法1
1)多価アルコール等を磁性微粒子の表面に固定するか、又は多価アルコール等の溶液中で磁性微粒子を調製する。
2)上限臨界溶液温度を有するポリマーが得られるモノマーと、前記多価アルコール等が固定された磁性微粒子とを混合し、ラジカル重合法で重合を行う。
3)重合未反応物を除去し、温度応答性磁性微粒子を分離する。
7−2.温度応答性磁性微粒子の製造方法2
1)多価アルコール等と、上限臨界溶液温度を有するポリマーが得られるモノマーとを混合し、ラジカル重合法でグラフト重合を行うか、又は上限臨界溶液温度を有するポリマー
上の官能基を介してグラフト重合法で結合を行う。
2)多価アルコール等を固定した温度応答性ポリマーの溶液中で磁性微粒子を調製する。3)多価アルコール等の未反応物を除去し、温度応答性磁性微粒子を分離する。
7−3.温度応答性磁性微粒子の製造方法3
1)多価アルコール等を磁性微粒子の表面に固定するか、又は多価アルコール等の溶液中で磁性微粒子を調製する。
2)温度応答性ポリマーの末端又はポリマーの側鎖に反応性の官能基を導入したポリマーを調製、精製する。
3)磁性微粒子表面に官能基を介して温度応答性ポリマーを結合する。
4)未結合の温度応答性ポリマーを除去し、温度応答性磁性微粒子を分離する。
8.吸着剤の製造方法
本発明の方法に用いる吸着剤は、温度応答性磁性微粒子にリガンドが固定された粒子である。温度応答性磁性微粒子へのリガンドの固定は、例えば、共有結合、水素結合、イオン結合又は疎水結合等から適切な結合手段を選択することによって行うことができる。また、温度応答性磁性微粒子とリガンドとの結合に、リガンドに対する親和性を有する他の物質を介させてもよい。例えば、ビオチン/アビジンの結合を介して温度応答性磁性微粒子とオリゴdTとを結合させることができる。この場合、温度応答性磁性微粒子−ビオチン/アビジン/ビオチン化されたオリゴdTの組み合わせが結合に介することになる。
9.温度応答性磁性微粒子又は吸着剤の回収方法
本発明においては、温度応答性磁性微粒子又は吸着剤を含む溶液を、温度応答性ポリマーのUCST未満の温度にして、温度応答性磁性微粒子又は吸着剤を回収する。
この場合、UCSTと冷却温度の差が大きければ大きいほど回収速度(操作性)及び回収率がよい。凝集促進剤を添加するとUCSTが上昇するため、一定の冷却温度を設定する場合において、UCSTと冷却温度の差が大きくなり、温度応答性ポリマーの凝集が促進され、温度応答性磁性微粒子又は吸着剤の回収速度及び回収率が向上する。なお、本発明の方法においては、UCSTが、溶液が凍結する温度を上回らなければならないため、UCSTが溶液の凝固点に近く、冷却温度を下げられない場合において、凝集促進剤を添加するとUCSTが上昇し、温度応答性微粒子の回収が可能となる。
溶液(凝集促進剤添加後)中の温度応答性磁性微粒子又は吸着剤の濃度は、検出対象物質(電荷物質)、温度応答性磁性微粒子の種類等によって異なるが、操作性等の点から、通常1〜4mg/mlが好ましい。
温度応答性磁性微粒子又は吸着剤の回収に用いる磁石等の磁力は、用いる磁性微粒子の有する磁力の大きさによって異なる。磁力は、目的の磁性微粒子を磁集可能な程度の磁力を適宜使用できる。磁石の素材としては、例えば、上述した磁性微粒子の素材で構成されたものを使用することができる。例えば、マグナ社製ネオジ磁石等が利用できる。このように本発明では、磁石等の磁力によって、温度応答性磁性微粒子又は吸着剤を回収できるが、磁性微粒子の表面に温度応答性ポリマーが固定されていることで、分散状態では回収困難なナノサイズの磁性微粒子を意図的に凝集させて、回収率を高めることが可能になる。なお、本発明は、このような温度応答性磁性微粒子又は吸着剤を、溶液中で凝集促進剤濃度を変化させることにより凝集又は分散させることが可能である。したがって、短時間で、効率よく、核酸等の電荷物質を回収することが可能である。また、UCSTが溶液の凝固点に近く、冷却温度を下げられない場合において、電荷物質の回収を可能にすることができる。
本発明の方法による電荷物質の回収方法の具体例を示す。
アビジン固定温度応答性磁性微粒子とビオチン化されたオリゴdTの複合物を用いて、mRNAを濃縮する方法は下記のとおりである。
1)目的mRNAを含有する細胞破砕懸濁液(検体)を調製する。
2)ビオチン化されたオリゴdTを温度応答性磁性微粒子に結合させる。
3)オリゴdTを結合した温度応答性磁性微粒子(吸着剤)とmRNAを含む細胞破砕懸濁液を混ぜて、ハイブリダイズさせ、mRNA/オリゴdT−温度応答性磁性微粒子の結合体を生成させる。
4)前記混合液に凝集促進剤を加え、冷却後、攪拌もしくはピペッティングを行い、mRNA/オリゴdT−温度応答性磁性微粒子/凝集促進剤の複合体を凝集させる。
5)磁気分離装置を用いて、凝集物を回収し、上澄をピペット等により注意深く除去する。
6)mRNAはオリゴdT−温度応答性磁性微粒子に結合したままでRT−PCRを行ってもよいし、目的によっては、オリゴdT−温度応答性磁性微粒子からmRNAを分離した後、RT−PCRを行ってもよい。RT−PCR後にアガロース電気泳動にてcDNAのバンドを確認する。
本発明の検体中の電荷物質を回収するためのキットは、例えば、以下の試薬から構成される。
試薬A:吸着剤(温度応答性磁性微粒子にリガンド又はリガンドに対する親和性物質が結合した粒子)の分散液
試薬B:凝集促進剤溶液
試薬C:希釈用バッファー(上記試薬A及びBの希釈、並びに検体の希釈に使用可能な緩衝液である。一例として、トリス塩酸緩衝液、リン酸緩衝液等が挙げられる。)
試薬D:検出対象物質(電荷物質)の標準品(一例として、精製したDNAが挙げられる。)。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されることはない。また、実施例及び比較例中における物性の測定方法、用いた吸着剤(ストレプトアビジン固定化温度応答性磁性微粒子)の製造方法は以下の通りである。
[物性の測定方法1]SDSポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)
アクリルアミド、ビスアクリルアミドから作られた12.5重量%のポリアクリルアミドゲルを備えた電気泳動装置を用いて、20mAの電流で電気泳動を行った。なお、マーカーは、アトー社製タンパク質電気泳動用有色分子量マーカーを使用した。電気泳動を行った後、ポリアクリルアミドゲルを0.5重量%のクーマシーブリリアントブルー溶液に浸すことによって、該ゲル中のタンパク質の染色を行った。
[物性の測定方法2]温度応答性磁性微粒子の平均粒径の測定
大塚電子社製ELS−8000SD型「光散乱光度計」によって測定した。
測定数は、N=100である。
[物性の測定方法3]アガロース電気泳動
2重量%のアガロースから作られたゲルを備えたサブマリン電気泳動装置を用いて、125mAの電流で電気泳動を行った。なお、マーカーはタカラバイオ社製DNA電気泳動用分子量マーカーを使用した。電気泳動を行った後、アガロースゲルを0.05重量%のエチジウムブロマイド溶液に浸すことによって、該ゲル中のDNAの染色を行った。
[製造例1]磁性微粒子の調製
磁性微粒子(平均粒径40nm)は、以下の方法で製造した。
100mlのフラスコに、塩化第二鉄・六水和物(1.0mol)及び塩化第一鉄・四水和物(0.5mol)混合水溶液を3ml、多価アルコールであるデキストラン(和光純薬社製、分子量32000〜40000)の10重量%水溶液60mlを入れ、メカニカルスターラーで攪拌し、この混合溶液を50℃に昇温した後、これに25重量%アンモニア水溶液5.0mlを滴下し、1時間程度攪拌した。この操作で、デキストランが固定された、平均粒径が約40nmの磁性微粒子が得られた。
[製造例2]ビオチンモノマー〔N−ビオチニル−N′−メタクロイルトリメチレンアミド〕の調製
ビオチンモノマーは、以下の方法で製造した。
N−(3−アミノプロピル)メタクリルアミド塩酸塩18g、ビオチン24g及びトリエチルアミン30gを300mlのN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解し、0℃に冷却し、ジフェニルホスフォニルアジド28gを50mlのDMFに溶解させた溶液を1時間かけて、この混合物中に滴下した。滴下終了後、0℃で3時間攪拌し、更に室温で12時間攪拌した。この後、減圧下で、溶媒を留去し、展開溶媒としてクロロホルム−メタノール混合溶媒を用いて、カラムクロマトグラフィーに残留物をかけることで目的物であるN−ビオチニル−N′−メタクロイルトリメチレンアミドを得た。
[製造例3]ビオチン固定化温度応答性磁性微粒子の調製
温度応答性磁性微粒子は、以下の方法で製造した。
10mM 炭酸ナトリウム溶液15mlに前記方法で調製した磁性微粒子(平均粒径40nm)1mlを添加し、2時間攪拌後、グリシジルメタクリレート100mgを添加し、72時間反応させた。透析後に濃縮し、メタクリル化磁性微粒子を得た。50mlの三口フラスコに、N−アクリロイルグリシンアミド200mg、前記メタクリル化磁性微粒子2mg及びビオチンモノマー3mgを入れ、蒸留水で20mlに調整した。この溶液を窒素置換した後、過硫酸アンモニウム30mgを添加し、50℃で2時間反応させることで、温度応答性磁性微粒子が得られた。この温度応答性磁性微粒子の平均粒径は、約100nmであった(光散乱光度計による測定)。また、この温度応答性磁性微粒子はUCSTを10℃に有し、UCST未満の水溶液中では凝集し、磁石で容易に回収できる。溶液をUCST以上にすると直ちに分散し、磁石では容易に回収できなかった。
[製造例4]ストレプトアビジン固定化温度応答性磁性微粒子の調製
ストレプトアビジン固定化温度応答性磁性微粒子は、以下の方法で製造した。
前記ビオチン固定化温度応答性磁性微粒子溶液の0.1重量%水溶液50μlを1.5mlエッペンドルフチューブにとり、さらに1g/lのストレプトアビジン溶液50μlをチューブに加え、室温で、20分混合した。その後、チューブを2℃に冷却し、磁性微粒子を凝集させ、磁石で回収し、上清部分と分離した。凝集部分にバッファー(20mM
Tris−HCl(pH7.5),150mM NaCl,0.05%TWEEN20)200μlを加え、磁性微粒子を加温して分散させ、再度冷却して凝集させ、凝集塊に混入した成分を洗浄し取り除いた。この操作を4回繰り返した。各操作で凝集後に回収した磁性微粒子にそれぞれ2×SDS サンプルバッファー(20重量%グリセリン、250mM Tris−HCl、4重量%SDS、10重量%メルカプトエタノール、8M 尿素、0.004重量%ブロモフェノールブルー、pH6.8)を20μl加え、95℃で、10分間加熱し、磁性微粒子に結合したタンパク質を抽出し、この抽出液を用いてSDS−PAGEを行い、SDSポリアクリルアミドゲルをクーマシーブリリアントブルー染色液で染色、脱色した後、バンドの濃度を確認し、ストレプトアビジンの固定化を確認した。
なお、上記製造例で製造した温度応答性磁性微粒子以外に、Therma−Max(登録商標)USA Streptavidin(以下、「TM−USA」と略す。)として
、マグナビート社から温度応答性磁性微粒子を入手することができる。実施例ではマグナビートから入手したTM−USAを使用した。このTM−USAは、約2℃で十分に凝集が完了する。このTM−USAはミリポア製マイレスクGV(孔径0.22μm)で濾過滅菌した後に実験に使用し、Total−RNAからのmRNAの分離操作に関してはクリーンベンチ内で行い、使用する試薬も滅菌したものを使用した。
[実施例1]
ポリエチレングリコール(PEG)によるTM−USAの凝集促進効果の確認
TM−USA(4mg/ml) 50μlと1×Binding buffer(20mM Tris−HCl、2mM EDTA、1M LiCl、pH8.0) 40μlと、重量均分子量6000のポリエチレングリコール10%(w/v)水溶液 10μlを添加し、混合したサンプルをサンプル2とした。
[比較例1]
TM−USA(4mg/ml) 50μlと1×Binding buffer 40μlと超純水(ミリポア社製Direct−Qで精製した水) 10μlを添加し、混合したサンプルをサンプル1とした。
調製したサンプル1及び2を、氷水中で1分間冷却し、凝集させ、磁石で1分間回収した後、上清を回収し、上清の透過率(550nm)を測定した。コントロールとして、磁気回収を行っていないサンプルの透過率(吸光度)を測定した。測定した結果を表1に示す。
Figure 0005540467
比較例1はコントロールの透過率(吸光度)とほとんど数値が変わらず、TM−USAを回収できていないことが確認できた。実施例1はコントロールの透過率(吸光度)と比べ、数値が大きく減少していることからTM-USAを回収できていることが確認できた。
[実施例2]
TM−USAを用いたTotal−RNAからのmRNAの分離
(TM−USAへのビオチン−オリゴdTの固定)
TM−USA(16mg/ml)25μlとTE Buffer(10mM Tris−HCl、1mM EDTA、pH8.0)75μlを1.5mlエッペンドルフチューブに採取し、よく混合し、氷水中で冷却し、凝集させ、磁石で回収し、上清部分を取り除いた。1×Binding buffer(20mM Tris−HCl、2mM EDTA、1M LiCl、pH8.0)50μl、重量平均分子量6000のポリエチレングリコール10%(w/v)水溶液10μlを加え、分散させた。再度チューブを氷水中で冷却し、凝集させ、磁石で回収し、上清部分を取り除いた。凝集部分に1×Binding buffer 24μl、ビオチン化オリゴdT(0.75 pmol/μl)1
μlを加え、分散させ、室温で500rpm、5分間、振とうし、反応させた。
このようにして、ビオチン化オリゴdT固定化TM−USAを調製した。
(ビオチン化オリゴdT固定化TM−USAによるTotal RNAからのmRNAの分離)
Human Tissue Total RNA 5μlと、Nuclease free water 35μlとを1.5mlエッペンドルフチューブに取り、混合し、70℃で15分加熱し、氷上に2分静置後に5×Binding buffer(100mM Tris−HCl、10mM EDTA、5M LiCl、pH8.0)10μlを加え、調製したビオチン化オリゴdT固定化TM−USA(4mg/ml)100μlと混合し、室温で500rpm、10分間、振とうし、反応させた。その後、10重量%PEG(MW.6000) 10μlを加えて氷水中で冷却し、凝集させ、磁石で回収し、上清部分を取り除いた。凝集部分にWashing buffer(10mM Tris−HCl、0.15M EDTA、0.15M LiCl、pH7.5)50μlと10重量%PEG(MW.6000) 10μlを加え、溶液中に分散させた。再度チューブを氷水中で冷却し、凝集させ、磁石で回収し、上清部分を取り除いた。この洗浄の操作を2回繰り返した。洗浄後、凝集部分にNuclease free water 50μlを加え、分散させ、1.5mlエッペンドルフチューブに20μl分注し(1)、残りの溶液を37℃で5分間加熱後、氷水中で2分冷却し、凝集させ、磁石で回収し、上清部分を1.5mlエッペンドルフチューブに移し(2)、Reverse transcription polymerase chain reaction(以下、「RT−PCR」と略す。)を行った。
(mRNAを用いたRT−PCRによるcomplementary DNA(以下、「cDNA」と略す。)の増幅の確認)
ビオチン化オリゴdT固定化TM−USAを用いて分離したmRNA(上記(1),(2))をOne step RT−PCR kit(QIAGEN社製)、β−Actin primer pair(Promega社製)を用いてRT−PCRを行った(反応液組成及び反応条件については、表2を参照)。PCR産物5μlとTaKaRa 6×Loading buffer(30重量%Glycerol、30mM EDTA、0.03重量%Bromophenol Blue、0.03重量%Xylene Cyanol)1μlを混合し、アガロースゲル電気泳動を行った。エチジウムブロマイド染色液で染色し、脱色後、PCR産物のバンド(285bp)を確認した。
ビオチン化オリゴdT固定化TM−USAにmRNAを結合させた後にPEGを添加し、冷却磁気回収したmRNAに基づいて、RT−PCRで増幅したcDNAの目的産物のバンドを図1のレーン1、2に示す。レーン1は、TM−USAとmRNAが結合した状態でRT−PCRにかけ、増幅したPCR産物をアガロース電気泳動で確認した結果である。レーン2は、TM−USAとmRNAの結合を外し、TM−USAを除去した後にサンプルをRT−PCRにかけ、増幅したPCR産物をアガロース電気泳動で確認した結果である。レーン3は、対象例として、mRNA分離キット(mRNAdembeads Purification Mini kit、ademtech社製)を用いて分離したmRNAからcDNAを増幅させたPCR産物をアガロース電気泳動で確認した結果である。レーン4は、100bp LadderのDNA分子量マーカーである。
TM−USAと結合したmRNAについてPCRを行った場合、及びTM−USAから分離したmRNAについてPCRを行った場合ともに、cDNAが増幅されており、検体からmRNAが回収されたことが確認できた。
RT−PCRの条件を以下に示す。
Figure 0005540467
実施例2のアガロースゲル電気泳動の結果を示す図(写真)である。

Claims (8)

  1. 検体中の電荷物質を回収する方法であって、
    平均粒径が1〜1000nmである、上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーで表面修飾された磁性微粒子と、電荷物質に対する親和性物質とが結合した吸着剤と、電荷物質を含む検体とを混合し、吸着剤に電荷物質を吸着させ、さらに数平均分子量が200〜25,000の範囲のポリアルキレングリコールと混合する工程、
    前記工程で得られた混合物を上限臨界溶液温度未満にし、吸着剤を凝集させる工程、及び、
    磁力により吸着剤を回収する工程、
    を含
    前記上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーが、アクリロイルグリシンアミド、メタクリロイルグリシンアミド、アクリロイルアスパラギンアミド、メタクリロイルアスパラギンアミド、アクリロイルグルタミンアミド及びメタクリロイルグルタミンアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種類のモノマーを重合して得られるポリマーである、
    検体中の電荷物質を回収する方法。
  2. 前記上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーが、少なくとも2種類のモノマーを共重合して得られるコポリマーである、請求項記載の方法。
  3. 前記上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーが、アクリロイルグリシンアミドとアクリロイルアスパラギンアミドとを共重合して得られるコポリマーである、請求項記載の方法。
  4. 前記ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールランダムコポリマー及びポリエチレングリコールポリプロピレングリコールブロックコポリマーからなる群から選ばれる少なくとも1種である、請求項1〜のいずれか1項記載の方法。
  5. 前記ポリアルキレングリコールが、ポリエチレングリコールである、請求項記載の方法。
  6. 前記電荷物質が、核酸である、請求項1〜のいずれか1項記載の方法。
  7. 前記核酸が、DNA又はmRNAである、請求項記載の方法。
  8. 上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーで表面修飾された磁性微粒子と、電荷物質に対する親和性物質とが結合した吸着剤と、数平均分子量が200〜25,000の範囲のポリアルキレングリコールを含
    前記上限臨界溶液温度を有する温度応答性ポリマーが、アクリロイルグリシンアミド、メタクリロイルグリシンアミド、アクリロイルアスパラギンアミド、メタクリロイルアスパラギンアミド、アクリロイルグルタミンアミド及びメタクリロイルグルタミンアミドからなる群から選ばれる少なくとも1種類のモノマーを重合して得られるポリマーである、
    検体中の電荷物質を回収するためのキット。
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