JP4965852B2 - Ptfe多孔体及びバルクフィルタ - Google Patents

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Description

本発明は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEと記す。)多孔体、及び、このPTFE多孔体を使用したバルクフィルタに係るものであり、特に、強度に優れたバルク型の形状でありながらも、優れた透過性能及び分離性能が得られるものに関する。
PTFE多孔体は、耐熱性、耐薬品性、機械的特性、電気的特性に優れるため、電線被覆材、同軸ケーブルの誘電体、フィルタ、ガスケット、など多くの用途に使用されている。これらの中でも、フィルタ用途として、電子部品を収容するケースなどにおいて、温度変化によって生じるケース内外の圧力差を解消するための通気孔に設けられる用途が注目されている。このようなフィルタは、優れた通気性(透過特性)を有するとともに、水などの液体や微細な塵埃の進入を防ぐ分離特性を有するという、所謂、気−液分離フィルタとしての特性が要求される。そのため、微多孔構造を安価に実現でき、濡れ性の低い素材であるPTFEは、このようなフィルタの材料として非常に有力なものである。
PTFE多孔体の製造方法としては、PTFE粉末と結着剤との混合物を微粉砕した後、公知の方法にて成形し、この成形体を焼成する製造方法が広く一般的に知られている。又、他の製造方法として、PTFE粉末と造孔剤との混合物を所定形状に成形した後、上記造孔剤を除去し、更に延伸することによって気孔を設ける製造方法が広く一般的に知られている。
例えば、特許文献1には、未焼成PTFEをPTFEの融点以上の温度で焼成し、この焼成したPTFEを粉砕して焼成PTFE粉末とし、次いで、この粉末を1g/cm〜800kg/cmの圧力で所定形状に成形し、再度PTFEの融点以上の温度で焼成することでPTFE多孔体を製造する方法が開示されている。
例えば、特許文献2には、PTFE粉末と、融点がPTFEよりも低く且つ分解温度がPTFEの焼成温度よりも高い結着剤とを混合する工程、この混合物をゲル化した後に微粉砕する工程、微粉砕された粉末をラム押出成形して予備成形体を作成する工程、予備成形体を無拘束下で焼成する工程からなるPTFE多孔体の製造方法が開示されている。
例えば、特許文献3には、厚さ約20〜30ミル以上の割合に厚いPTFEの押出された潤滑剤入りフィルムを使用し、それを3倍未満で横方向に延伸し、乾燥し、次いで長手方向に10〜100倍で延伸し、次いで長手方向に1:1〜1.5:1倍で再度延伸し、フィルムの収縮を防ぎながら横方向に再度延伸することによって加工するPTFE多孔質フィルムの製造方法が開示されている。
又、特許文献4には、PTFEシートを、所定方向に、所定速度で延伸を開始した後に前記所定速度よりも遅い速度で延伸を継続するPTFE多孔質膜の製造方法が記載されている。
又、本願発明に関連して、当該出願人より特許文献5が出願されている。
特開昭61−66730号公報 特開平5−93086号公報 特表平11−501961号公報 特開2002−35558号公報 特願2005−77885号
しかしながら、特許文献1,2で開示されたような、微粉砕したPTFE粉末を再度成形する製造方法では、粗大で方向性を有さない気孔が低密度で分散した状態になる。そのため、例えば、気−液分離のフィルタとして使用した際には、充分な透過性能を確保することが困難である。又、気孔率の高い成形体を得ることや、気孔率を制御することも非常に困難である。
又、特許文献3、4のように延伸された膜又はシートをフィルタとして使用した場合は、機械的強度に問題が生じてしまい、フィルタ自身やフィルタ周囲に圧力が加わったり、フィルタにエッジ等が触れたりすると、容易にフィルタが破損してしまうことになる。この問題を解消するために、膜又はシートからなるフィルタを積層して機械的強度を高めようとすると、透過特性が非常に悪いものとなってしまい、使用することが困難になるという別の問題が発生することになる。又、延伸には特殊な装置が必要になり、工程が増加するため生産性が低下してしまうとともに、気孔率の制御も困難である。
本発明はこのような従来技術の問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、強度に優れたバルク型の形状でありながらも、優れた透過性能及び分離性能が得られるPTFE多孔体、及び、このPTFE多孔体を使用したバルクフィルタを提供することにある。
上記目的を達成するべく、本発明によるPTFE多孔体の製造方法は、PTFE粉末に、造孔剤を混合し、これらを所定の方向にせん断応力を加えながらバルク型の形状に成形した後、上記造孔剤を除去することによって、特定の一方向に対して長い形状である気孔を設けるものである。また、上記造孔剤が、ショウノウ、安息香酸の内の少なくとも一種を含むことが考えられる。
また、本発明によるPTFE多孔体は、気孔の形状が方向性を有し、該気孔が特定の一方向に対して長い形状であるバルク型のものである。
また、本発明によるバルクフィルタは、上記PTFE多孔体からなり、上記バルクフィルタを物質が透過する方向の気孔径をX、Xに直行する方向の気孔径をYとしたとき、それぞれの気孔においてのX/Yを平均すると1を超えるものである。また、気−液分離をすることが可能であるものが考えられる。
本発明で得られるPTFE多孔体によれば、気孔の形状が方向性を有することで、強度に優れたバルク型の形状でありながらも、優れた透過性能及び分離性能を得ることができる。
このPTFE多孔体を使用したバルクフィルタであれば、優れた透過性能及び分離性能を得られることになる。気−液分離フィルタへの適用を例にとると、気孔の形状の方向性が、バルクフィルタを気体が透過する方向と同方向になるように配置することで、フィルタ内を気体が通過する際の気孔間の障壁が少なくなるため、通気量が増加することになる。又、フィルタの表面では気孔径が小さくなるため、PTFEが元来有する濡れ性の低さと相俟って、液体の透過を効果的に防止することができ、優れた分離性能を得ることができる。勿論、気孔径や気孔率を調整することで、気−固分離フィルタや液−固分離フィルタとして使用することも可能である。
本発明による、PTFE多孔体は、PTFE粉末に、所定の造孔剤と、所望により有機溶剤を混合してPTFE混合体とし、このPTFE混合体を所定の方向にせん断応力を加えながらバルク型の形状に成形した後、上記造孔剤(及び有機溶剤)を除去することによって気孔を設けることが考えられる。
PTFE粉末と混合される造孔剤の一態様としては、粘性を有しているものが挙げられる。造孔剤が粘性を発現するケースとしては種々のものがあるが、例えば、造孔剤成分が部分的に溶融して粘性を発現するケース、造孔剤自体が組成変形可能な粘性体であるケース、造孔剤がコロイド、即ち液体に固体が分散して粘性を発現するケースなどが考えられる。
粘性を有している造孔剤としては、例えば、PTFE粉末と造孔剤とを混合するとき、及び、PTFE混合体をバルク型の形状に成形するとき、の環境条件における粘度が5mPa・s以上の粘性体を含有するものが挙げられる。粘性体の粘度は、例えば、回転粘度計などを用いて測定することができる。この際、測定条件の設定は、混合時及び成形時の温度や圧力などの環境条件を考慮して行えば良い。
このような粘性体を含んでいるものであれば、造孔剤は、圧力を加えることによって容易にその形状を変えて流動し、PTFE粉末などの粉体の粒子間に容易且つ均等に侵入して保持され、更に、一旦浸透した後はその粘性により保持される。これらの造孔剤は、粉体の粒子間に一旦保持されれば、従来一般的なナフサ、トルエンといった低粘度の流体をそのまま造孔剤として使用したときとは異なり、所定形状に成形する際の圧力が加わっても造孔剤のみが滲み出て、PTFE粉末と造孔剤とが分離するようなことは起こらない。又、粉体粒子が凝集して継粉となることを防ぎ、且つ、そのような微小な状態の粉体粒子を分散して保持されることができるため、微細且つ均一な気孔を形成することができる。尚、造孔剤として複数の成分を混合して使用する場合、造孔剤を構成する各成分は、単体で存在している状態では粉体や低粘度の液体のものであっても良い。要は、造孔剤を構成する各成分を混合した状態で、粘性体を含むようになっていれば良い。
又、造孔剤が上記した特定粘度の粘性体であれば、粉体粒子の形状に起因した気孔が発生することがなくなることから、より微細且つ均一な気孔を形成することができため、より好ましい。
又、造孔剤は、空気中での加熱により気化する性質を有するものであれば、加熱によって造孔剤を気化させて除去することが容易であるため、好ましい。造孔剤を気化させて除去する場合、例えば、造孔剤を熱分解させて除去する場合に比べて、PTFE中に造孔剤の残渣を残しにくく、残渣による電気諸特性への悪影響を防止することができる。このような空気中での加熱により気化する性質を有する造孔剤として、例えば、沸点が300℃以下のものであれば、特別な装置を必要とせず、通常用いられる加熱炉などにより容易に造孔剤を除去することができるため、好ましい。又、造孔剤の沸点が300℃以下のものであれば、PTFEの焼成の温度(370〜400℃)より低い温度で造孔剤が除去されるため、造孔剤成分が焼成中に引火するような事故を防ぐことができる。
上記のような条件を満足する好ましい造孔剤としては、例えば、テルペン類を主成分としたものが使用できる。テルペン類としては、例えば、ショウノウ、メントール、カンフェン、ボルネオールなどが挙げられる。これらの中でも、ショウノウ、メントールから選択された少なくとも1種を主成分とすることが好ましい。
造孔剤が特定粘度の粘性体を含んでいるようにするため、有機溶剤を造孔剤の一成分として使用しても良い。例えば、メントールやショウノウは、常温で固体の物質であるが、有機溶剤と混合することで特定粘度の粘性体とすることができる。又、有機溶剤の混合量により、造孔剤の粘度を調整できるため、PTFE粉末への造孔剤の混合量や、PTFE混合体を成形する際の成形方法などに応じて、適宜に有機溶剤の混合量を設定することができる。
有機溶剤としては、例えば、流動パラフィン、ナフサ、ホワイトオイル、灯油等の炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類などの溶剤が挙げられ、これらの中でも、PTFEとの浸透性からナフサなどの石油系溶剤を使うことが好ましい。但し、PTFEを焼成させる場合、通常370〜400℃程度の温度で焼成させるので、焼成時の高温まで溶剤が残っていると引火する危険性があり、焼成前に完全に溶剤が蒸発していることが必要になるため、有機溶剤の沸点は300℃以下のものが好ましい。
尚、ショウノウとメントール両方を含有する場合は、これらを混合することにより液化するため、有機溶剤がなくても特定粘度の粘性体とすることが可能である。勿論、ショウノウとメントールの混合物に有機溶剤を加えても構わない。
上記のような造孔剤は、PTFE粉末100重量部に対し、7重量部以上を混合することが好ましい。造孔剤の混合量が7重量部未満であると、造孔剤を除去しても充分な気孔の量を得ることが困難となる。特に、PTFEを焼成した際には、僅かに気孔が残っていても全て潰れてしまい、気孔が全く残らなくなってしまう可能性が高い。
又、PTFE粉末と混合される造孔剤の他の態様として、上記したショウノウなどのテルペン類をそのまま粉末として使用しても良い。ショウノウなどのテルペン類は、それ自身が塑性変形しやすい柔軟性を有しているため、粘性体を含有していない粉末のまま造孔剤として使用しても、PTFE粉末の粒子間に容易且つ均等に侵入して保持され、更に、その後も塑性変形した状態で保持されることになる。そのため、このような造孔剤を混合したPTFE混合体であれば、微細且つ均一な気孔が形成されたPTFE多孔体を得ることができる。勿論、テルペン類が粉末ではなく、粘性体の状態であっても構わない。
上記のような造孔剤とPTFE粉末を、タンブラーなどで攪拌して混合し、PTFE混合体を得る。この際、造孔剤の混合量を変えることにより、気孔率を容易に制御することができる。尚、造孔剤として複数の成分を混合して使用する場合、予め造孔剤を構成する各成分を混合しておけば、造孔剤が均質となるため、より肌理の細かいPTFE多孔体を作製することができ好ましいが、造孔剤を構成する各成分をPTFE粉末に別に加えた後、攪拌などによりこれらを一括して混合しても良い。
又、PTFE混合体の他の態様としては、PTFE粉末と粉末又は粘性体の造孔剤とが一体化した粒子となるように混合したものがある。このように、PTFE粉末と造孔剤とが一体化した粒子となるように混合すれば、例え造孔剤が粉末のものであっても、気孔が粗大になってしまうことがないため、肌理の細かいPTFE多孔体を得ることができる。又、管壁抵抗が大きくなることもなく、押出成形性も良好なものとなる。ここで「一体化した粒子」とは、PTFE粉末の粒子と造孔剤の粒子とが、別々の粒子としてはほぼ観察されず、容易にそれぞれの粒子に分離しない状態となっていることを示す。
上記のように、PTFE粉末と造孔剤とが一体化した粒子となるように混合した場合、造孔剤としては特に限定はない。例えば、上記したテルペン類、ナフタレン、アニリン、安息香酸、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウムなどが挙げられ、これらの中でも、PTFE粉末の焼成温度未満で気化するものであれば、残渣を残しにくいため好ましい。更に、上記したテルペン類、特にショウノウは、残渣を残しにくいだけでなく、PTFE粉末と一体化させ易いため特に好ましい。又、安息香酸を使用すると、方向性を有さない形状の気孔が一部に残ることになる。これにより、得られるPTFE多孔体の機械的強度を向上させることができる。勿論、これらの造孔剤に上記したような有機溶剤を混合しても構わない。
PTFE粉末と造孔剤とが一体化した粒子となるように混合する方法としては、PTFE粉末と造孔剤を混合した後、あるいは混合しながら、PTFE粉末と造孔剤との間にせん断応力を加えることにより一体化する方法が挙げられる。具体的には、例えば、PTFE粉末と造孔剤とをロール等で練ってせん断応力を加えることにより一体化させた後、粉砕して微粉末化させることや、ミキサー等の高速回転する刃でPTFE粉末と造孔剤との間にせん断応力を加えることにより一体化することが挙げられる。この内の後者は、一体化と粉砕微粉末化が同時工程でできるため好ましい。尚、上記した有機溶剤等を添加する場合には、一体化する前に添加しても良いし、一体化した後に添加しても良い。又、一部の量を一体化する前に添加し、残りを一体化した後に添加しても良い。
尚、上記したPTFE混合体には、必要に応じて他の成分を混合しても構わない。例えば、シリカ、タルク、ゼオライトといった無機物粉体を適宜に混合することで、成形性、機械的強度、及び、透過特性を向上させることが考えられる。
上記のPTFE混合体をバルク型の形状に成形し、造孔剤を除去することにより、PTFEに気孔が設けられ、バルク型のPTFE多孔体が作製される。ここで、「バルク型」とは、例えば、円柱形状や直方体形状といった太物や肉厚の成形体のことを指し示す。PTFE混合体の成形に際して、本発明では、一般に知られている種々の成形方法により成形をすることができる。例えば、金型成形などにより成形してバルク状の素材に仕上げても良いし、管壁抵抗が大きくなることがないことから押出成形を行うこともできる。又、造孔剤を除去する方法としては、設備の簡便さから加熱により造孔剤を気化させること好ましいが、減圧により造孔剤を気化させることも考えられる。
尚、PTFE混合体を成形する際、PTFE混合体にせん断応力を加えることで、気孔の形状が方向性を有することになる。上記した成形方法の中でも、押出成形は効果的にせん断応力を加えることができるため好ましい。
尚、本発明によるPTFE多孔体は、200℃程度の加熱処理などにより造孔剤を除去し、その後に焼成を行わず、未焼成PTFE多孔体として使用しても良い。又、造孔剤を除去した後、更に370℃以上の焼成を行い、完全焼成PTFEとして使用しても良い。又、焼成温度を調節することで未焼成と完全焼成が混在したPTFE多孔体としても良い。尚、一般に未焼成PTFEの微細構成は、ノード(結節)とフィブリル(繊維)からなる構成となっており、ノードやフィブリルの間には空間が存在しているが、この空間は、微細過ぎるため空気などの気体の透過が非常に小さいものとなる。本発明における気孔は、この空間とは異なるものである。
このようにして得られたPTFE多孔体は、完全焼成で且つ非延伸であっても、気孔率が5%以上、平均気孔径が300μm以下、硬度がA95未満のものとすることができる。このようなPTFE多孔体であれば、例えば、優れた比誘電率を有する同軸ケーブルの誘電体や、バルクフィルタとしても好適に使用することができる。特に、平均気孔径が100μm以下であれば、気体(空気、水蒸気など)と液体(水など)分離する気−液分離フィルタ、あるいは、気体(空気、水蒸気など)と固体(粉体など)を分離する気−固分離フィルタとして、高い分離機能を発現するため好ましい。又、造孔剤の混合量を増加させることにより、例えば気孔率80%以上のPTFE多孔体を得ることも可能である。
又、上記のようにして得られたPTFE多孔体は、気孔状態を制御することも可能であり、例えば、気孔率5%以上40%未満では独立気孔を主体とし、気孔率40%以上50%未満では独立気孔と連続気孔をともに有し、気孔率50%以上では連続気孔を主体とする、というような気孔状態とすることができる。
尚、本発明によるバルクフィルタは、図1に示すように、気孔2の形状の方向性が、バルクフィルタ1を物質が透過する方向Pと同方向になるように配置する。即ち、バルクフィルタ1を物質が透過する方向Pの気孔径をX、Xに直行する方向の気孔径をYとしたとき、それぞれの気孔2においてのX/Yを平均すると1を超えるものとなる。これにより、気−液分離用のフィルタを例にとると、気体が透過する方向Pに対して、気孔2が長い形状になることから、フィルタ内を気体が通過する際の気孔間の障壁が少なくなるため、通気量が増加、即ち、透過特性が向上することになる。更に、フィルタの表面では気孔径が小さくなるため、PTFEが元来有する濡れ性の低さと相俟って、液体の透過を効果的に防止することができ、優れた分離性能を得ることができる。
又、一部にスキン層が形成されたPTFE多孔体をバルクフィルタとして使用すれば、特定部位からのみ気体等を通過させることができるフィルタとすることができる。スキン層の形成は、PTFE混合体の成形時又は成形後に、PTFE混合体の表面にせん断応力を加えることによってなされる。例えば、上記した押出成形によりPTFE混合体を成形すれば、効率的にスキン層を形成することができる。
上記のようにして得られたバルクフィルタは、フッ素ゴム成形体に保持して複合体とすることも考えられる。
以下、本発明の実施例と、比較例を説明する。
実施例1
PTFE粉末100重量部とショウノウ137.5重量部を、回転刃を有するミキサーにてせん断応力を加えながら一体化処理を約6分間行った後、ナフサ12.5重量部を添加して上記ミキサーにて更に1分間混合し、PTFE混合体を得た。このPTFE混合体を内径20mmの円筒状のシリンダー内で約40kgf/cmで30秒間圧縮して仮成形した後、押出機にて外径約5mmに押出成形した。この成形体を250℃で約5分間加熱処理してショウノウとナフサを気化させて除去した後、400℃で約5分間の加熱焼成処理をして外径約5mmのサンプル片を作製した。
実施例2
PTFE粉末100重量部と安息香酸125重量部を、回転刃を有するミキサーにてせん断応力を加えながら一体化処理を約6分間行った後、ナフサ25重量部を添加して上記ミキサーにて更に1分間混合し、PTFE混合体を得た。このPTFE混合体を内径20mmの円筒状のシリンダー内で約40kgf/cmで30秒間圧縮して仮成形した後、押出機にて外径5mmに押出成形した。この成形体を250℃で約5分間加熱処理して安息香酸とナフサを気化させて除去した後、400℃で約5分間の加熱焼成処理をして外径約5mmのサンプル片を作製した。
比較例1
PTFE粉末100重量部とショウノウ137.5重量部を、回転刃を有するミキサーにてせん断応力を加えながら一体化処理を約6分間行った後、ナフサ12.5重量部を添加して上記ミキサーにて更に1分間混合し、PTFE混合体を得た。このPTFE混合体を内径5mmの円筒状のシリンダー内で約40kgf/cmで30秒間圧縮成形した。この成形体を250℃で約5分間加熱処理してショウノウとナフサを気化させて除去した後、400℃で約5分間の加熱焼成処理をして外径約5mmのサンプル片を作製した。
比較例2
PTFE粉末100重量部と安息香酸125重量部を、回転刃を有するミキサーにてせん断応力を加えながら一体化処理を約6分間行った後、ナフサ25重量部を添加しさらに1分間の混合上記ミキサーにて更に1分間混合し、PTFE混合体を得た。このPTFE混合体を内径5mmの円筒状のシリンダー内で約40kgf/cmで30秒間圧縮成形した。この成形体を250℃で約5分間加熱処理して安息香酸とナフサを気化させて除去した後、400℃で約5分間の加熱焼成処理をして外径約5mmのサンプルを作製した。
ここで、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2によるサンプル片について、サンプル片をナイフでカットした面を顕微鏡で観察し、気孔状態を確認した。図2に実施例1の顕微鏡写真、図3に実施例2の顕微鏡写真、図4に比較例1の顕微鏡写真、図5に比較例2の顕微鏡写真を示す。これら図2〜5において、空気が透過する方向は、写真の上下方向となる。又、表1に気孔状態として、フィルタを空気が透過する方向の気孔径をX、Xに直行する方向の気孔径をYとしたときの、それぞれの気孔においてのX/Yの平均値を示す。
併せて、これらサンプル片について、通気量、及び、耐水圧を測定した。通気量は、長さ5mmのサンプル片に側面からの漏れ防止のためのシールテープを巻いた後、チューブを被せ、サンプル片の片側から0.3kgf/cmの気圧をかけ、透過空気を水上置換法にてメスシリンダー内に収集し単位時間内に貯まった体積を計測した。耐水圧は、0.1kgf/cmから0.1kgf/cmずつ水圧を上げていき、30秒間水もれの観察されない最大水圧とした。表1に通気量及び耐水圧の測定結果を示す。
実施例1,2においては、図2,3から明らかなように、気孔が方向性を有しており、X/Yの平均値も1を超えることが観察される。これに対して、比較例1,2においては、図4,5から明らかなように、気孔に方向性がなく、X/Yの平均値もほぼ1であった。そのため、耐水圧(分離特性)については、実施例、比較例ともに優れた結果となったが、通気量(透過特性)については、実施例は比較例の10倍以上の値となる結果となった。
本発明によれば、特に、強度に優れたバルク型の形状でありながらも、優れた透過性能及び分離性能を得ることができる。このようなPTFE多孔体は、バルクフィルタのみならず、例えば、電線被覆材、同軸ケーブルの誘電体、シール材、ガスケット、断熱材、分離膜、培養器、スピーカー振動板、防音用や保温用の建築材料、通気筐体、気泡発生器(バブラー)、研磨材料、触媒担体、電池材料、人工血管やカテーテル等の生体適合材料、など多くの用途に対して応用が可能である。又、このようなPTFE多孔体を使用したバルクフィルタをフッ素ゴム成形体に保持した複合体は、高温環境での使用が可能なため、耐熱性フィルタとしての用途を更に広げるものである。
本発明による実施の形態を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を模式的に示す断面図である。 実施例1を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す顕微鏡写真である。 実施例2を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す顕微鏡写真図である。 比較例1を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す顕微鏡写真である。 比較例2を表わす図で、PTFE多孔体の気孔状態を示す顕微鏡写真である。
符号の説明
1 バルクフィルタ
2 気孔
P バルクフィルタを物質が透過する方向

Claims (5)

  1. ポリテトラフルオロエチレン粉末に、造孔剤を混合し、これらを所定の方向にせん断応力を加えながらバルク型の形状に成形した後、上記造孔剤を除去することによって、特定の一方向に対して長い形状である気孔を設けるポリテトラフルオロエチレン多孔体の製造方法。
  2. 請求項記載のポリテトラフルオロエチレン多孔体の製造方法において、上記造孔剤が、ショウノウ、安息香酸の内の少なくとも一種を含むことを特徴とするポリテトラフルオロエチレン多孔体の製造方法。
  3. 気孔の形状が方向性を有し、該気孔が特定の一方向に対して長い形状であるバルク型のポリテトラフルオロエチレン多孔体。
  4. 請求項記載のポリテトラフルオロエチレン多孔体からなるバルクフィルタにおいて、該バルクフィルタを物質が透過する方向の気孔径をX、Xに直行する方向の気孔径をYとしたとき、それぞれの気孔においてのX/Yを平均すると1を超えることを特徴とするバルクフィルタ。
  5. 請求項記載のポリテトラフルオロエチレン多孔体からなるバルクフィルタにおいて、気−液分離をすることが可能であることを特徴とするバルクフィルタ。
JP2005348551A 2005-12-02 2005-12-02 Ptfe多孔体及びバルクフィルタ Active JP4965852B2 (ja)

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