JP4961703B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、プリンタ、複写機などの画像形成装置に係り、特に、放電による帯電方式にて感光体などの像担持体を帯電する態様に有効な画像形成装置の改良に関する。
従来における画像形成装置として、例えば電子写真方式や静電記録方式等を採用する態様にあっては、コロトロンやバイアスが印加される導電性ロールなどの放電帯電部材にて感光体などの像担持体を帯電することが広く行われる。
このような放電帯電方式では、放電により生成される放電生成物が感光体などの像担持体に付着する事態は回避することができない。このような放電生成物が像担持体に多量に付着した場合には、これらの放電生成物は吸湿性であることから、高湿環境下では放電生成物付着部分の像担持体の表面層(感光体層など)の電気特性が変化してしまい、画像の白抜け現象が発生する懸念がある。特に、高湿環境下で長時間おかれた状況では、より放電生成物の吸湿現象が多くなり、その分、画像の白抜け現象が顕著に現れ易い。
このような技術的課題に対し、像担持体のクリーナを利用し、電源投入時にて像担持体の表面にクリーナのクリーニング部材(例えばクリーニングブラシやクリーニングブレード)を当接させたまま、一定時間像担持体を回転させ、像担持体表面を研磨し、白抜けの原因となる放電生成物を除去する技術は既に提案されている(例えば特許文献1,2参照)。
特開昭63−235974号公報(実施例,第1図) 特開昭63−261380号公報(実施例,第1図)
しかしながら、このような先行技術にあっては、通常のクリーニング部材を利用する態様であるため、残留トナー除去性能を考慮したものではあるが、放電生成物除去性能を考慮したものとは言えず、必然的に放電生成物除去性能自体はあまり高いものではない。このため、像担持体表面に付着した放電生成物を確実に除去するには、像担持体の回転数を多く設定せざるを得ず、その分、生産性の低下につながるという技術的課題が新たに見出された。
ここで、放電生成物を除去するために、例えば高先端力のブラシ状クリーニング部材を用いると放電生成物を除去することは可能かも知れないが、像担持体上の感光体層をブラシが削り、その削りかすが像担持体上に再付着されてしまい、それを核としてトナーの外添剤が付着していき、雨だれ状のフィルミング(以下必要に応じて雨だれフィルミングという)現象が発生し易くなるばかりか、ブラシの先端力が強いために像担持体のスクラッチも顕著に現れ易いという懸念がある。また、ブレード状クリーニング部材で放電生成物を除去しようとすると、ブレードのパラメータを最適化することで放電生成物を除去することは可能であるが、当接圧力が大きくなってしまうために、摩擦に伴うブレードのめくれや鳴き、更には像担持体の摩耗やブレード自体の摩耗(ブレードエッジの欠けや局部的な摩耗)が問題になり、寿命が短くなるという不具合が生じてしまう。
本発明は、以上の技術的課題を解決するために、生産性の低下を極力抑えながら、像担持体表面に付着した放電生成物の除去性能を向上させることが可能な画像形成装置を提供するものである。
すなわち、本発明は、図1に示すように、トナー像が担持可能で所定方向に循環移動する像担持体1と、放電作用にて像担持体1を帯電する帯電部材2と、前記像担持体1に対向して固定設置されると共に前記像担持体1に接触配置され、トナーの帯電極性と同極性の帯電調整バイアスを印加することにより前記像担持体1との接触部に残存するトナーの一部が保持可能で且つ像担持体1上に生成された放電生成物を除去するトナー保持部材3と、このトナー保持部材3のトナー保持量を調整する保持量調整手段4とを備えた画像形成装置であって、保持量調整手段4には、トナー保持部材3の現トナー保持量を予測する予測手段5と、この予測手段5による予測結果に基づいて前記トナー保持部材3のトナー保持量を補正し、トナー保持部材3のトナー保持量補正のためのトナーによる補正画像を前記像担持体1上に作製し、像担持体1を介してトナー保持部材3に前記補正画像を摺擦する補正手段6とを具備させたことを特徴とする。
尚、図1に示す画像形成装置は一つのモデル例を示すものであり、同図において、符号7は像担持体1上に静電潜像を書き込む潜像書込手段、8は像担持体1上の静電潜像をトナーにて可視像化する現像手段、9は像担持体1上のトナー像を記録材に転写する転写帯電部材である。
このような技術的手段において、像担持体1としては、トナー像が担持可能なものであればよく、感光体、誘電体など適宜選定して差し支えない。また、像担持体1の形態についてもドラム状、ベルト状など任意であり、また、トナー像が形成且つ担持可能な像形成担持体のみからなる態様は勿論、像形成担持体上のトナー像を記録材10に転写する前に中間転写体に一次転写する態様など適宜選定して差し支えない。
また、帯電部材2としては像担持体1を放電作用にて帯電する機能部材を広く含むものであり、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電器は勿論、バイアスが印加されるバイアスロール等が含まれる。また、この帯電部材2には例えば像担持体上に静電潜像を形成する際に用いられるデバイスは勿論であるが、例えば像担持体1のトナー像を記録材10に転写する転写帯電部材9や像担持体1が複数の要素に分かれた態様では一方の像担持体要素(例えば像形成担持体)から他の像担持体要素(例えば中間転写体)にトナー像を転移させる転写帯電部材などのデバイスも含む。
更に、トナー保持部材3は像担持体1との接触部でトナーが保持可能であればよく、例えば像担持体1に接触する導電性の不織布やブラシ等が用いられる。そして、このトナー保持部材3はクリーニング装置の一要素であってもよいし、クリーニング装置とは別要素であってもよい。
ここで、トナー保持部材3の接触圧の設定については放電生成物の除去性を考慮して適宜選定して差し支えないが、実施の形態で詳述するように、水接触角の低下度合い、雨だれ状のフィルミンググレードを考慮して設定することが好ましい。
また、このトナー保持部材3へ保持されるトナー保持量についても放電生成物の除去性を考慮して適宜選定して差し支えなく、例えば像担持体1上に所定のトナー画像を形成し、これをトナー保持部材3の先端部に供給するようにすればよい。
更に、このトナー保持部材3を用いる態様にあっては、トナー保持部材3に保持されているトナー保持量が所定量以上ある場合には、放電生成物の除去性能は確保されるが、このトナー保持部材へのトナー保持量が不均一になり、トナー保持量が少ない部分が生ずると、その少ない部分に対応した箇所につき画像白抜けが生ずるという不具合が新たに見出された。この現象は、特に、高湿環境下に長時間おかれた状況で顕著に発生する。この場合、画像白抜け部分は、画像白抜け未発生部分に比べて像担持体1の摩耗量が少なく、例えば像担持体1を均一回転させた場合には、像担持体1の膜厚が不均一になってしまうと不具合につながる。
そこで、本発明にあっては、トナー保持部材3のトナー保持量が調整可能な保持量調整手段4を備えるようにしたものである。
この保持量調整手段4は、少なくともトナー保持量の調整を必要とする場合に働くようにしておけばよく、自動的な調整モードあるいは人為的な調整モードのいずれでもよい。
また、予測手段5としては、トナー保持部材3の現トナー保持量を予測する態様を広く含む。例えば初期トナー保持量と入力画像情報とに基づいて現トナー保持量を予想するようにしたり、トナー保持部材3のトナーすり抜け量に基づいて現トナー保持量を予想する等適宜選定して差し支えない。
更に、補正手段6としては、トナー保持部材3のトナー保持量分布を補正するものであればよく、少なくとも画像白抜けが生じない程度のトナー保持量を補充するものであればよい。
また、保持量調整手段4の代表的動作タイミング例としては、トナー保持量の調整を必要とするタイミング信号をトリガーとして実行されるものがある。ここでいう‘トナー保持量の調整を必要とする場合’としては、電源投入時、高温高湿環境時、長時間未使用時、定期メンテナンス時、スリープモード解除時などが挙げられる。
そして、タイミング信号としては、例えば電源投入時又はスリープモード解除時(スタンバイモードからの回復時)などの際に発せられる信号が用いられる。
更に、予測手段5の代表的態様としては、入力画像情報を利用し、トナー保持部材3の現トナー保持量を入力画像情報に基づいて予測更新するものが挙げられる。これは、トナー保持部材3のトナー保持量変化を予測するものである。
また、予測手段5の他の代表的態様としては、トナー保持部材3をすり抜けるトナー量情報を利用し、トナー保持部材3をすり抜けたトナー量に基づいてトナー保持部材3の現トナー保持量を予測するものが挙げられる。
ここで、後者の態様としては、像担持体1の周囲のうちトナー保持部材3の下流側にすり抜け量測定部材を有するものがある。このとき、すり抜け量測定部材としては別個独立の機能部材として構成して差し支えないが、部品点数を低減するという観点からすれば、像担持体1を帯電する帯電部材2にてすり抜け量測定部材を兼用するようにしてもよい。
更に、予測手段5の他の代表的態様としては、トナー保持部材3の長さ方向に沿う領域で複数のブロック毎に現トナー保持量を予測するものが挙げられる。本態様によれば、ブロック毎に現トナー保持量を予測することにより、現トナー保持量分布傾向をブロック毎に特定することができる。
また、補正手段6についても適宜選定して差し支えないが、その代表的態様としては、像担持体1を所定回転数回転させ、トナー保持部材3のトナー保持量補正のための補正画像を像担持体1上に1回若しくは複数回作製し、像担持体1を介してトナー保持部材3に補正画像を摺擦させる方式(補正画像摺擦方式)が挙げられる。
更に、補正手段6の別の代表的態様としては、トナー保持部材の長さ方向に沿う領域を複数に分割したブロック毎に対応する補正画像を作製するものが挙げられる。この場合、ブロック毎に補正画像を作製し、トナー保持量分布を補正することが可能である。
更にまた、補正手段6の別の代表的態様としては、トナー保持部材3の単位長さ当たりのトナー保持量が予め規定された許容量以上になるようにトナー保持量を補正するものがある。この場合、トナー保持量が全域に亘って所定の許容量以上であるから、トナー保持量が少ない部位による画像白抜け現象は有効に防止される。
また、補正手段6の別の代表的態様としては、トナー保持部材3の単位長さ当たりのトナー保持量が予め規定された許容量以上で且つトナー保持部材3の長さ方向に沿って略均一になるようにトナー保持量を補正するものがある。この場合、トナー保持量が全域に亘って所定の許容量以上で且つ略均一であるから、像担持体1に対する放電生成物の除去作用を安定且つ均一にさせることが可能である。
更に、補正手段6の別の代表的態様としては、予測手段5からの予測結果情報を一若しくは複数の閾値にて区分し、区分毎の現トナー保持量傾向と逆傾向の濃度分布の補正画像を作製するものが挙げられる。本態様によれば、予測手段5の予測結果情報を一若しくは複数の閾値で区分し、区分毎に補正画像を作製しているため、区分毎に最適なトナー保持量補正を行うことができる。
ここで、「区分毎の現トナー保持量傾向と逆傾向の濃度分布の補正画像」とは、高トナー保持量部に対しては低濃度傾向の補正画像を、低トナー保持量部に対しては高濃度傾向の補正画像を形成する。この場合、低濃度傾向の補正画像としては濃度0の補正画像(ノーイメージ)をも含む。但し、高トナー保持量部に対して0でない低濃度補正画像を与えることで、像担持体の回転動作時における像担持体の無駄な摩耗を回避することができる。
また、補正手段6の他の代表的態様としては、予測手段5による予測結果に基づいてトナー保持部材3の現トナー保持量が許容値未満である条件下では、トナー保持部材3に保持されているトナーを吐き出した後トナーを許容値以上に再付着させるものが挙げられる(トナー吐き出し・再付着方式)。
以上説明したように、本発明によれば、像担持体に対向して固定設置されると共に像担持体に接触配置され、トナーの帯電極性と同極性の帯電調整バイアスを印加することにより像担持体との接触部に残存するトナーの一部が保持可能で且つ像担持体上に生成された放電生成物を除去するトナー保持部材を備えているので、帯電部材の放電作用にて像担持体を帯電する態様の画像形成装置において、像担持体に放電生成物が付着したとしても、トナー保持部材にて放電生成物の除去性能を良好に保つことができる。
特に、本発明にあっては、トナー保持部材のトナー保持量が調整可能な保持量調整手段を備え、この保持量調整手段として、トナー保持部材の現トナー保持量を予測する予測手段と、この予測手段による予測結果に基づいてトナー保持部材のトナー保持量を補正し、トナー保持部材のトナー保持量補正のためのトナーによる補正画像を像担持体上に作製し、像担持体を介してトナー保持部材に前記補正画像を摺擦する補正手段とを具備させたので、トナー保持部材のトナー保持量を所望の状態に保持することが可能になり、トナー保持量が局部的に低下することに伴う画像白抜け現象並びに像担持体の不均一な摩耗現象を有効に回避しながら、放電生成物の除去性能を良好に保つことができる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
◎実施の形態1
図2は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1の全体構成を示す説明図である。
同図において、画像形成装置20は、中間転写方式のタンデム型画像形成装置であり、例えばイエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の作像ユニット21(具体的には21a〜21d)を横方向に配列し、各作像ユニット21に対向した部位に例えばベルト状の中間転写体30を配設したものである。
本実施の形態において、作像ユニット21(21a〜21d)は、図2及び図3(a)に示すように、所定方向に回転する感光体ドラム22を有し、この感光体ドラム22の周囲には、感光体ドラム22を帯電する例えばバイアスが印加される帯電ロールからなる帯電器23と、帯電された感光体ドラム22上に静電潜像を書き込む例えば露光装置からなる画像書込装置24と、感光体ドラム22上に書き込まれた静電潜像を各色成分トナーにて可視像化する現像装置25と、感光体ドラム22上の残留トナーを清掃するクリーナ26とを順次配設したものである。
尚、本実施の形態では、画像書込装置24は各作像ユニット21に共通のデバイスであるが、作像ユニット毎に別個に設けても差し支えない。
また、中間転写体30は複数の張架ロール31〜33に掛け渡され、例えば張架ロール31を駆動ロールとして循環移動するものである。そして、この中間転写体30の各感光体ドラム22に対向した背面側には一次転写帯電器(本例では一次転写ロール)27が夫々配設されており、所定の一次転写バイアスが印加されるようになっている。そしてまた、中間転写体30のうち張架ロール33の対向部位には二次転写帯電器(本例では二次転写ロール)40が配設されており、この二次転写帯電器40とバックアップロールとして機能する張架ロール33との間には所定の二次転写バイアスが印加されるようになっている。
更に、中間転写体30の二次転写部位の下流側、例えば張架ロール31に対向した部位には中間転写クリーナ35が配設されており、中間転写体30上の残留トナーが清掃されるようになっている。
尚、符号41は二次転写帯電器40を通過した記録材45を搬送する搬送ベルト、42は記録材45上に転写された未定着トナー像を定着する定着器である。
また、本実施の形態において、クリーナ26は、例えば図3(a)及び図4に示すように、感光体ドラム22に対向して開口するクリーナハウジング51を有し、このクリーナハウジング51の開口に面した部位に清掃用の回転ブラシ52を配設すると共に、この回転ブラシ52の背面側には回収ロール53を配設し、この回収ロール53には掻き取り用のスクレーパ54を接触配置したものである。
本実施の形態において、回転ブラシ52は芯材の周囲に導電性ブラシ材を植設したものであり、所定のクリーニングバイアス(DC成分が0Vも含む)を印加可能なクリーニングバイアス電源61に接続されている。一方、回収ロール53には回収バイアス電源62が接続されており、回収バイアス電源62とクリーニングバイアス電源61との間の電位差である回収バイアスが回収ロール53に印加されるようになっている。更に、クリーナハウジング51の底部には図示外の回収ボックスへ廃トナーを搬送するための回収搬送オーガー55が配設されている。
尚、本実施の形態では、回転ブラシ52に回収ロール53及びスクレーパ54を用いているが、例えば残留トナーやリトランスファートナーが少ないシステムにあっては、フリッキングバーのみを設ける等簡易な回収系を採用してもよい。
また、本実施の形態において、クリーナ26は、回転ブラシ52の上流側にトナー保持部材70を配設したものである。
このトナー保持部材70は感光体ドラム22に接触配置されるものであり、例えば図4(b)に示すように、板金等の支持板71上にウレタンスポンジ等の弾性体72を接着固定し、この弾性体72上に導電性の不織布73を接着固定したものである。そして、この不織布73には、例えばトナーの帯電極性と同極性(例えば負極性)の帯電調整バイアスを印加する帯電調整バイアス電源75が接続されている。
ここで、不織布73としては、導電性を付与できるものであれば適宜選定して差し支えないが、例えば直径約15μmの導電性毛(例えば導電性ナイロン:登録商標、以下同様)と直径約5μmの絶縁性毛(例えば絶縁性ナイロン)とポリエステル微細繊維とを混ぜたものが用いられる。このように不織布73として導電性毛と絶縁性毛とを混ぜた構成にしたのは、現在のところ、導電性毛で最も微細なものは直径約10〜15μmのものが一般的であることを考慮し、絶縁性毛であるが約5μm程度の微細な繊維の方がトナーを高密度に保持することができ、放電生成物の掻き取り能力を高めることができることに基づく。尚、導電性毛で細いものがあればそれのみを用いて不織布73を形成しても何ら問題なく、また、それ程掻き取り能力が高くなくてもよいシステムにあっては、例えば約15μm程度の導電性毛のみで不織布を形成してもよい。
また、トナー保持部材70としては、不織布73を用いた態様に限られるものではなく、例えば図4(c)に示すように、板金等の支持板71に導電性の固定ブラシ74を植毛したものが挙げられる。この固定ブラシ74は適宜選定して差し支えないが、例えば直径約15μm程度の導電性毛(導電性ナイロン)と直径約5μm程度の微細な絶縁性毛(例えば絶縁性ナイロン)とを混紡したものが用いられる。このような混紡構成としたのは先の不織布73構成の好ましい態様と同様の理由に基づく。
更に、これらのトナー保持部材70には所定量以上のトナー保持量が保持されていることが必要であるが、通常使用しているうちに十分にトナーが保持されるようになることから、使用初期時にトナーを予め保持させなくてもよい。但し、システムによってはより高い掻き取り能力を必要とするとき等は、最初から十分な掻き取り能力を付与するために、不織布73や固定ブラシ74をトナーで最初から汚しておく等することも可能である。
そして更に、トナー保持部材70の放電生成物除去性能を長さ方向に均一化するために、長さ方向に沿ってオシレーションを入れる等してもよい。
また、本実施の形態においては、制御装置100はCPU、ROM、RAM及びI/Oポートを有するマイクロコンピュータシステムであり、トナー保持部材70に対するトナー保持量の調整処理のための保持量調整プログラム(図6〜図9参照)をROMに内蔵し、例えばトナー保持量を調整するためのタイミング信号をトリガーとして前記保持量調整プログラムを実行し、図5に示すように、入力画像情報に基づいてトナー保持量を補正するようになっている。
ここで、使用可能なタイミング信号としては、電源投入時、高温高湿環境時、長時間未使用時、定期メンテナンス時、スリープモード解除時(スタンバイモードからの回復時)などの際に発せられる動作信号が挙げられる。
尚、図2中、符号80は中間転写体30のうち最下流側作像ユニット21dの下流側に配設された濃度コントロール用のラインセンサであり、このラインセンサ80は中間転写体30の移動方向に直交する幅方向に沿って延びるもので、所定ピッチ毎にセンサ素子が配列されたアレイ構成になっている。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作動について、基本作像過程及び保持量調整過程に分けて説明する。尚、以下の説明ではトナー保持部材70として固定ブラシを用いた態様を例に挙げる。
−基本作像過程−
各作像ユニット21では、図2及び図3に示すように、感光体ドラム22は帯電器23にて所望の表面電位に帯電された後、帯電された感光体ドラム22に画像書込装置24により静電潜像が形成される。この静電潜像は各現像装置25の色成分トナーにより可視像化されてトナー像として形成される。しかる後、各色成分トナー像は中間転写体30上に一次転写帯電器27により順次転写され、二次転写帯電器40にて記録材45に一括転写される。この後、各色成分トナー像が転写された記録材45は定着器42を通過し、記録材45上の未定着トナー像が定着される。
また、一次転写工程後の感光体ドラム22上の残留トナー及び中間転写体30から感光体ドラム22上に再転写された逆極性トナー(リトランスファトナーという)は、クリーナ26のトナー保持部材70を通過した後回転ブラシ52にて清掃される。
このとき、トナー保持部材70の不織布73には帯電調整バイアス電源75からの帯電調整バイアス(ここでは負極性バイアスとして例えば−850V)が印加されることから、このトナー保持部材70を通過する残留トナー、リトランスファトナーは負極性に帯電調整される。このように負極性に帯電調整されたトナーは回転ブラシ52により清掃される。
つまり、導電性を有する固定ブラシ74通過後の感光体ドラム22の電位が所定電位(例えば約−400V程度)になり、回転ブラシ52の電位を例えば0Vとすることで、負極性トナーを静電的にクリーニングすることが可能である。このようにクリーニングされたトナーは回収ロール53に静電的に移された後スクレーパ54にて掻き落とされて回収される。
尚、中間転写体30上の残留トナーなどは中間転写クリーナ35にて清掃される。
−保持量調整過程−
本実施の形態では、制御装置100は、所定の入力画像情報を取り込み、この取り込みタイミング信号をトリガーとしてトナー保持部材70のトナー保持量につき保持量調整処理を行う。
つまり、制御装置100は、図6に示すように、メモリ1〜メモリ4をクリアした後、入力画像情報につき、主走査方向200ピクセル毎の平均濃度を副走査方向200ライン(エンドライン)分記録し平均し、メモリ(I)に加算記録し、更に、メモリ(I)に記録されている加算濃度を平均した後例えば10%毎にクラス分けし、メモリ2(K,I)に記録する。
次いで、制御装置100は、図7に示すように、メモリ2(K,I)に記録されている入力画像の位置毎の平均濃度と、メモリ3(I)に記録されている位置毎の現在ブラシ内トナー重量、および、トナー突入前ブラシ内トナー重量とトナー突入後ブラシ内トナー重量との補正テーブル1により、トナー突入後ブラシ内トナー重量を算出し、メモリ3(I)に記録する。
例えば図10(a)に示す補正テーブル1によれば、200×200ピクセル内の平均濃度が60%、トナー突入前ブラシ内トナー重量が5mg/cmの時、トナー突入後ブラシ内トナー重量は5.2mg/cmとして算出される。
この後、制御装置100は、図8に示すように、例えばA4判1枚換算毎に補正画像を生成する。具体的には、メモリ3(I)に記録されている位置毎の現在ブラシ内トナー重量と、トナー突入前ブラシ内トナー重量とトナー突入後ブラシ内トナー重量との補正テーブル2、および最低ブラシ内トナー重量より補正画像の出力濃度(200×200ピクセル内の平均濃度)を算出し、メモリ4(I)に補正画像として記録する。
例えば図10(b)に示すように、トナー突入前ブラシ内トナー重量が5mg/cmの時、最低ブラシ内トナー重量(例えば8mg/cm)にするためには、200×200ピクセル内の平均濃度が60%として算出される。
この後、画像書込装置24に補正画像を送り、例えばインターイメージ領域を利用して前記補正画像を作製する。
例えば図11(a)に示すように、200×200ピクセルのブロックB(B(1)、B(2)……B(n))毎に現保持トナー量予測データDt(具体的にはDt(1)、Dt(2)……Dt(n))が求められると、これに対応した補正画像データDh(Dh(1)、Dh(2)……Dh(n))が生成される。
このような動作過程において、補正画像はブロック毎の現トナー保持量予測傾向と逆傾向の濃度分布を持つ画像として作製されることから、この補正画像がトナー保持部材70に摺擦する。この結果、図11(b)に示すように、トナー保持部材70のトナー保持量の一部が許容レベル以下(出力画像濃度の低い部分に相当)であったところ、補正後には、トナー保持部材70のトナー保持量が略全域に亘って許容レベル以上で均一に保たれる。
このため、トナー保持部材70のトナー保持量が局部的に少なくなる事態は抑制されることになり、その分、感光体ドラム22の摩耗量が不均一になることはなく、摩耗量が局部的に少ない箇所に対応して発生する画像白抜け現象を有効に抑制することができる。
◎実施の形態2
図12は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態2の全体構成を示す説明図である。
同図において、画像形成装置20の基本的構成は、実施の形態1と略同様に、中間転写方式を採用したものであるが、実施の形態1と異なり、クリーナレス方式の一つの作像ユニット121を用いた4サイクル型マシンとして構成されている。
同図において、作像ユニット121は、所定方向に回転する感光体ドラム122を有し、この感光体ドラム122の周囲には、感光体ドラム122を帯電する帯電器123、帯電された感光体ドラム122に静電潜像を書き込む画像書込装置124、感光体ドラム122上の静電潜像を対応する色トナーにて可視像化するロータリー型現像装置125(各色成分トナーが収容される現像器125a〜125dを搭載)、感光体ドラム122に接触配置されるトナー保持部材170及びすり抜け量測定器180を順次配設したものである。
尚、実施の形態1と略同様な構成要素については実施の形態1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態において、トナー保持部材170は、例えば図13に示すように、支持板171上に固定ブラシ174を接着固定したものであり、例えば所定の帯電調整バイアス(通常トナー極性と同バイアス)が印加可能な帯電バイアス調整電源175と接続されている。尚、トナー保持部材170はこれに限定されるものではなく、例えば実施の形態1と同様に不織布を用いたものであってもよい。
また、すり抜け量測定器180は、例えば図12及び図13に示すように、感光体ドラム122に接離する樹脂又はゴム製の測定ロール(すり抜け量測定ロール)181を有し、感光体ドラム122と測定ロール181とを接触配置した際には感光体ドラム122に追従して測定ロール181を回動させ、この測定ロール181をリトラクト機構182にて接離可能に進退させると共に、この測定ロール181には転移用バイアスが印加可能な転移バイアス電源183を接続したものである。
そして、測定ロール181に対向した部位にはラインセンサからなる濃度センサ185が測定ロール181の軸方向に沿って配設され、この測定ロール181の濃度センサ185よりも下流側には残留トナー清掃用のスクレーパ186が接触配置されている。
更に、制御装置100は、所定のタイミング信号Tgをトリガーとして働き、図14に示すように、濃度センサ185からのトナーすり抜け量情報に基づいてトナー保持部材170へのトナー保持量につき保持量調整処理を行う。
次に、本実施の形態に係る画像形成装置の作動について説明する。
今、制御装置100は、図13ないし図15に示すように、例えばA4判画像10枚出力毎にタイミング信号Tgを受け、例えば補正用検出画像として所定サイズのテストパターン画像TP(例えばCin=50%、29cm幅×3.1cm長さのハーフトーン画像)をインターイメージ部に出力する
このとき、一次転写帯電器27の転写電流をオフに設定すると共に、感光体ドラム122にすり抜け量測定ロール181を当接させ、転移バイアス電源183による転移バイアスをオンにする。
しかる後、トナー保持部材170を通過したテストパターン画像TP’はすり抜け量測定ロール181側にTP”で示すように静電的に転移する。この状態において、制御装置100は、図13ないし図15に示すように、すり抜け量測定ロール181からの濃度情報に基づいてすり抜け量を測定する。
すなわち、制御装置100は、画像主走査方向の200ピクセル間のすり抜け量測定ロール181上のトナー濃度を濃度センサ185にて測定し、これをすり抜け量に変換する。
すり抜け量データDt(単位:mg)は、例えば図17(a)に示すように、Dt(1)=0.8、Dt(2)=0.72、Dt(3)=0.56、Dt(n-2)=0.43、Dt(n-1)=0.69、Dt(n)=0.70の如くである。
そして、制御装置100は、全てのブロックにつき、トナー突入前ブラシ内トナー重量とブラシすり抜けトナー量のテーブルより、現在ブラシ内トナー量を計算し、メモリ(I)に記録する。
尚、すり抜け量測定器180による測定処理が終了すると、測定ロール181は感光体ドラム122から離間する。
この後、制御装置100は、図13ないし図16に示すように、副走査ラインJ(1〜エンドまで)順に、主走査ブロックI(1〜エンドまで)毎にメモリ(I)が設定された最低ブラシ内トナー重量(例えば10mg:すり抜け量0.68mgに相当)より多いか否かを判断し、多い場合には、低濃度(例えばDat=20%)の補正画像Dh(L)を、最低ブラシ内トナー重量以下である場合には、高濃度(例えばDat=100%)の補正画像Dh(H)を生成する。つまり、各ブロックの((I−1)×200、J)〜((I−1)×200+200,J)ピクセルの濃度をDatとし、補正画像を生成する。
例えば図17(b)に示すように、ブロック毎に補正画像Dh(1)=Dh(L)、Dh(2)=Dh(L)、Dh(3)=Dh(H)……Dh(n-2)=Dh(H)、Dh(n-1)=Dh(L)、Dh(n)=Dh(L)の如くである。
この後、画像書込装置124に補正画像を送り、所定サイズの補正画像を作製する。
この補正画像は感光体ドラム122上で可視像化され、転写部位を通過した後にトナー保持部材170に供給される。
尚、補正画像が転写部位を通過した後、一次転写帯電器27の転写電流がONされることから、トナー保持部材170を通過した補正画像の残留トナーは一次転写帯電器27により中間転写体30へ転移し、しかる後、中間転写クリーナ35にて回収される。
◎実施の形態3
図18は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態3の要部を示す説明図である。
同図において、画像形成装置20の基本的構成は、実施の形態2と略同様であるが、実施の形態2と異なる保持量調整処理を行うものである。
すなわち、本実施の形態においては、トナー保持部材170の帯電調整バイアス電源175は、トナーと同極性の負極性電源176と、トナーと逆極性の正極性電源177と、これらを適宜タイミングにて切り替える切替スイッチ178とを備えている。
そして、本実施の形態における保持量調整処理(トナー保持部材へのトナー保持量調整処理)は、図19〜図21に示すように、先ず補正用検出画像を出力し、これに基づいてすり抜け量を測定すると共に、現保持トナー量を予測する。これらの処理内容は実施の形態2と略同様である。
次に、現保持トナー量の予測処理が終了すると、図示外の制御装置は、一次転写帯電器27の転写電流をONすると共に、すり抜け量測定ロール181を感光体ドラム122から離間する。
この後、制御装置100は、図19及び図21に示すように、メモリ(I)に記録されたブラシ内トナー量につき予め設定した最低ブラシ内トナー重量より少ない領域があるか否かを判断し、少ない領域がある条件下では、トナー保持部材170に正負のバイアスを交互に印加し、トナー保持部材170内のトナーを吐き出し、一次転写帯電器27を経て中間転写体30へと転移させ、中間転写クリーナ35にて清掃される(図12参照)。
この後、帯電器123をオフ、現像バイアスを通常よりも低く、転写バイアスをオフした状態で、再付着用の画像(最低ブラシ内トナー重量以上であることを満たす画像)を形成し、トナー保持部材170へトナーを再付着させる。
尚、制御装置100は、メモリ(I)に記録されたブラシ内トナー量のいずれもが予め設定した最低ブラシ内トナー重量以上であると判断された場合には、トナー保持部材170に対してトナーを補充する必要がないため、保持量調整処理を直ちに終了する。
◎実施の形態4
図22は本発明が適用された画像形成装置の実施の形態4の全体構成を示す。
同図において、画像形成装置の基本的構成は、実施の形態2と略同様であるが、実施の形態2と異なり、すり抜け量測定器180を独立に備えておらず、帯電器123を兼用してすり抜け量測定器190を構築するようにしたものである。尚、実施の形態2と同様な構成要素については実施の形態2と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本実施の形態において、図23に示すように、すり抜け量測定器190は帯電器123の構成要素である帯電ロールを測定ロール191として利用したものであり、この測定ロール(帯電ロール)191には帯電バイアス及び転移バイアスが印加可能なバイアス電源192を接続したものである。本例では、バイアス電源192は負極性電源193と正極性電源194とを切替スイッチ195にて切り替え可能に構成されている。
更に、測定ロール191の周囲には測定ロール191の軸方向に延びる例えばラインセンサからなる濃度センサ196が配設されており、測定ロール191の濃度センサ196の下流側にはスクレーパ197が接触配置されている。
従って、本実施の形態によれば、帯電器123を利用したすり抜け量測定器190は以下のように作動する。
つまり、トナー保持部材170に対して実施の形態2と同様なテストパターン画像TPを通過させると、これをすり抜けたテストパターン画像TP’が帯電器123に到達する。
このとき、測定ロール191側にテストパターン画像TP”を転移させ、濃度センサ196にてその濃度を測定することにより、すり抜け量を測定することが可能である。
尚、測定ロール191に付着したテストパターン画像TP”はスクレーパ197にて清掃される。また、測定ロール191の表面性を更に良好に保つという観点からすれば、バイアス電源192にて正負のバイアスを交互に印加させ、測定ロール191表面のトナーを吐き出すようにしてもよい。
これにより、すり抜け量測定器180を別個独立に設けなくても、帯電器123を兼用する簡易な構成にて、トナー保持部材170のトナー保持量の調整処理を行うことが可能である。
◎実施例1
本実施例は実施の形態1に係る画像形成装置モデルを以下の実施条件にて具現化したものである。また、比較例1は実施例1のトナー保持部材に対してトナーを保持させない態様を示す。
実施例1及び比較例1において、トナー保持部材である不織布の食込み量を変化させ、例えば28℃、85%の高温高湿環境下で1時間、感光体ドラムを約4000サイクル回転させ、その後の感光体ドラムの水接触角が何度低下したか(放電生成物除去の指標)及び雨だれフィルミングがどの程度発生したかを調べたところ、図24及び図25に示す結果が得られた。
本実施例における画像形成装置の実施条件は以下の通りである。
感光体ドラム:OPC(φ30mm)
中間転写体:ポリイミド樹脂
プロセス速度:104mm/sec.
帯電ロール:AC印加、Iac=0.65mA、Vdc=−520V、f=614Hz
露光装置:レーザー780nm
潜像電位:背景部=−500V、画像部=−200V
現像装置:
現像方式:二成分現像
現像ロール:スリーブ径=φ16mm、スリーブ回転速度=208mm/sec.
感光体ドラムと現像ロールとのギャップ:0.3mm
現像バイアス:DC成分=−400V、AC成分=−1.5kVp-p(6kHz)
転写条件:
一次転写バイアス:+500〜1000V
二次転写バイアス:+1600V
クリーニング装置:
回転ブラシ:導電性ナイロン、印加電圧=0V
トナー保持部材:直径約15μmの絶縁性ナイロン(登録商標、以下同じ)と直径約5μmの絶縁性ナイロンとポリエステル微細繊維とを混ぜたもので、厚みは500ミクロンであり、3mm厚のウレタンスポンジ上に接着されている。また、印加電圧=−850Vである。
トナー保持量:約10mg/cm
図24、図25において、水接触角は初期は90度であり、10度を超えて低下すると画像白抜けが発生することから、水接触角の低下度数にて放電生成物除去の指標として用いられる。また、雨だれ状のフィルミングは光学顕微鏡で観察し、その発生程度により以下のようにグレード分けし、G1以下を問題無しと判断した。
G0:未発生
G1:ほとんど発生せず、画像白抜けは未発生
G2:若干発生し、プリント状に白抜けも若干発生
G3:発生し、プリント上に白抜けが部分的に筋状に発生
G4:かなり発生し、プリントの半分が白抜け
G5:ほぼ全面にひどく発生し、プリントのほぼ全面が白抜け
図24によれば、実施例1ではトナー保持部材の不織布の食込み量がおよそ0.15〜1.0mmの範囲がOK領域(水接触角低下が10度以下で且つ雨だれフィルミンググレードG1以下を両立させる領域)であり、トナー保持により大きく放電生成物除去性能が上がり、そのOK範囲のレンジが広いことが理解される。
これに対し、図25によれば、比較例1ではトナー保持部材の不織布の食込み量がおよそ0.8〜1.0mmの範囲がOK領域であるものの、非常に狭い範囲であることが理解される。
◎実施例2
本実施例はトナー保持部材として不織布に代えて固定ブラシ(直径約15μmの導電性ナイロンと直径約5μmの絶縁性微細ナイロンとを混紡したブラシ)を用い、これにトナーを保持させたものである。また、比較例2は実施例2のトナー保持部材に対してトナーを保持させない態様を示す。
実施例2及び比較例2において、トナー保持部材である固定ブラシの先端力を変化させ、例えば28℃、85%の高温高湿環境下で1時間、感光体ドラムを約4000サイクル回転させ、その後の感光体ドラムの水接触角が何度低下したか(放電生成物除去の指標)及び雨だれフィルミングがどの程度発生したかを調べたところ、図26及び図27に示す結果が得られた。
図26によれば、実施例2は、約1g/cm以上の先端力があれば、水接触角を10度以下にでき、放電生成物除去と雨だれフィルミングの防止とを両立できることが理解される。
これに対し、図27によれば、比較例2は、水接触角の低下を10度以下に抑制するには、約4g/cm以上の先端力が必要になるが、雨だれフィルミングをG1以下にするには約1.5g/cm以下であることが必要である。従って、放電生成物による白抜け防止と雨だれフィルミングによる画質ディフェクトの防止とを両立させることは困難であることが理解される。
◎実施例3
本実施例は実施の形態1に係る画像形成装置モデルのうちトナー保持部材として固定ブラシを用いた態様である。
本実施例において、固定ブラシは導電性毛の繊維径が2d(直径約15μm)、繊維長さが4mm、幅寸法が6mmであり、残トナー突入前ブラシ内トナー重量と、残トナー突入後ブラシ内トナー重量との関係を調べたところ、図28に示す結果が得られた。尚、同図において、トナー突入長さは264mm(感光体ドラム1回転に相当)であり、●は突入トナー量が5.0g/m、▲は突入トナー量が0.5g/mである。
図28によれば、ブラシに保持されるトナー量は、トナーが突入する前のブラシ内トナー量が少ないと多く、ブラシ内トナー量が多いと少なくなることが理解される。
このことからすれば、突入前のブラシ内トナー重量と突入量から突入後のブラシ内トナー量が予測できることが理解される。
また、本実施例において、感光体ドラムの回転数と残トナー突入後ブラシ内トナー重量との関係を調べたところ、図29に示す結果が得られた。
同図によれば、ブラシに保持されるトナー量は、突入長さ(感光体ドラムの回転数に相当)に従って増加し、あるところで飽和する傾向が確認される。その変化は指数関数で回帰することが可能である。
よって、短い突入長さの時のブラシ内トナー重量は図29中の回帰式から予測することができる。
更に、実施例3及び比較例3(トナー保持部材を使用しないモデル)において、画像白抜けの評価テストを行ったところ、図30に示す結果が得られた。
同図において、テストチャート1は同一の画像パターン、テストチャート2は3種類の画像パターンを100枚毎にランダムに交換するものである。また、実施例、比較例でのプロセス速度は168mm/sec.であり、実施例における画像パターン検出面積は8.4mm×8.4mm(600dpi:200×200pixels)、その補正周期はA4判1枚毎のジョブエンドである。
図30によれば、実施例3は、50K枚使用したとしても画像白抜けが発生する懸念がなく、比較例3に比べて、画像ディフェクトの発生を有効に回避することができる。
◎実施例4
本実施例は実施の形態2に係る画像形成装置モデルを具現化したものである。
本実施例において、トナー保持部材としての固定ブラシは導電性毛の繊維径が2d(直径約15μm)、繊維長さが4mm、幅寸法が6mmであり、突入トナー量を0.8mg(1cm幅×42cm長さ)とし、ブラシ内トナー重量とブラシすり抜けトナー量との関係を調べたところ、図31に示す結果が得られた。
同図によれば、ブラシをすり抜けるトナー量は、トナーが突入する前のブラシ内トナー量に比例することが理解される。このため、ブラシをすり抜けるトナー量から突入前のブラシ内トナー重量を予測することが可能である。
更に、本実施例4及び比較例4(トナー保持部材無し)において、白抜け画像評価を行ったところ、図32に示す結果が得られた。
同図において、実施条件としては、補正用検出画像は、Cin50%で29cm幅×3.1cm長さ、すり抜け量検出幅は約8.4mm(600dpi:200pixels)、すり抜け用検出周期はA4判100枚毎のジョブエンドで行った。
図32によれば、比較例では、20K枚くらいから画像白抜けがうっすらと見られたのに対し、実施例では50K枚使用したとしても、画像白抜けが見られないことが確認された。
尚、実施の形態3モデルについても、同様の実験を行ったところ、実施例4と略同様な傾向が見られた。
本発明に係る画像形成装置の概要を示す説明図である。 本発明が適用された画像形成装置の実施の形態1の全体構成を示す説明図である。 (a)は実施の形態で用いられる作像ユニットの一例の詳細を示す説明図、(b)は実施の形態で用いられるトナー保持部材の詳細を示す説明図、(c)はトナー保持部材の変形形態を示す説明図である。 実施の形態で用いられるクリーニング装置の詳細を示す説明図である。 実施の形態に係る画像形成装置で行われる保持量調整処理の流れを示す説明図である。 図5の保持量調整処理の詳細を示すフローチャート(1)である。 図5の保持量調整処理の詳細を示すフローチャート(2)である。 図5の保持量調整処理の詳細を示すフローチャート(3)である。 図5の保持量調整処理の詳細を示すフローチャート(4)である。 (a)は現トナー保持量の予測原理を示す説明図、(b)は補正画像の生成原理を示す説明図である。 (a)はすり抜け量測定用のラインセンサによる測定部、現保持トナー量予測データ、補正画像データとの関係を示す説明図、(b)はトナー保持量分布の補正前後の状態を模式的に示す説明図である。 本発明が適用された画像形成装置の実施の形態2の全体構成を示す説明図である。 本実施の形態に係るトナー保持部材及びすり抜け量測定器の詳細を示す説明図である。 実施の形態2に係る画像形成装置で行われる保持量調整処理の流れを示す説明図である。 図14の保持量調整処理の詳細を示すフローチャート(1)である。 図14の保持量調整処理の詳細を示すフローチャート(2)である。 (a)は現トナー保持量データの一例を示す説明図、(b)は補正画像データの一例を示す説明図である。 本発明が適用された画像形成装置の実施の形態3の要部説明図(図13に相当)である。 実施の形態3に係る画像形成装置で行われる保持量調整処理の流れを示す説明図である。 図19の保持量調整処理の詳細を示すフローチャート(1)である。 図19の保持量調整処理の詳細を示すフローチャート(2)である。 本発明が適用された画像形成装置の実施の形態4を示す説明図である。 実施の形態4に係る画像形成装置の要部説明図(図13に相当)である。 実施例1に係るトナー保持部材の基本性能を示す説明図である。 比較例1に係るトナー保持部材の性能を示す説明図である。 実施例2に係るトナー保持部材の基本性能を示す説明図である。 比較例2に係るトナー保持部材の性能を示す説明図である。 実施例3に係るトナー保持部材の残トナー突入前ブラシ内トナー重量と残トナー突入後ブラシ内トナー重量との関係を示すグラフ図である。 実施例3において、感光体ドラム回転数と残トナー突入後ブラシ内トナー重量との関係を示すグラフ図である。 実施例3及び比較例3における画像白抜け評価を示す説明図である。 実施例4におけるブラシ内トナー重量とブラシすり抜けトナー量との関係を示すグラフ図である。 実施例4及び比較例4における画像白抜け評価を示す説明図である。
符号の説明
1…像担持体,2…帯電部材,3…トナー保持部材,4…保持量調整手段,5…予測手段,6…補正手段,7…潜像書込手段,8…現像手段,9…転写帯電部材,10…記録材

Claims (14)

  1. トナー像が担持可能で所定方向に循環移動する像担持体と、
    放電作用にて前記像担持体を帯電する帯電部材と、
    前記像担持体に対向して固定設置されると共に前記像担持体に接触配置され、トナーの帯電極性と同極性の帯電調整バイアスを印加することにより前記像担持体との接触部に残存するトナーの一部が保持可能で且つ像担持体上に生成された放電生成物を除去するトナー保持部材と、
    このトナー保持部材のトナー保持量を調整する保持量調整手段とを備えた画像形成装置であって、
    前記保持量調整手段は、トナー保持部材の現トナー保持量を予測する予測手段と、
    この予測手段による予測結果に基づいて前記トナー保持部材のトナー保持量を補正し、トナー保持部材のトナー保持量補正のためのトナーによる補正画像を前記像担持体上に作製し、像担持体を介してトナー保持部材に前記補正画像を摺擦する補正手段とを有することを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1記載の画像形成装置において、
    前記トナー保持部材は、像担持体との接触面に導電性の不織布を有するものであることを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1記載の画像形成装置において、
    保持量調整手段は、トナー保持量の調整を必要とするタイミング信号をトリガーとして実行されることを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1記載の画像形成装置において、
    予測手段は、トナー保持部材の現トナー保持量を入力画像情報に基づいて予測更新するものであることを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1記載の画像形成装置において、
    予測手段は、トナー保持部材をすり抜けたトナー量基づいてトナー保持部材の現トナー保持量を予測するものであることを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項記載の画像形成装置において、
    予測手段は、像担持体の周囲のうちトナー保持部材の下流側にすり抜け量測定部材を有するものであることを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項記載の画像形成装置において、
    像担持体を帯電する帯電部材がすり抜け量測定部材を兼用することを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項1記載の画像形成装置において、
    予測手段は、トナー保持部材の長さ方向に沿う領域で複数のブロック毎に現トナー保持量を予測するものであることを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項1記載の画像形成装置において、
    補正手段は、像担持体を所定回転数回転させ、トナー保持部材のトナー保持量補正のための補正画像を像担持体上に1回若しくは複数回作製し、像担持体を介してトナー保持部材に補正画像を摺擦させることを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項1記載の画像形成装置において、
    補正手段は、トナー保持部材の長さ方向に沿う領域を複数に分割したブロック毎に対応する補正画像を作製するものであることを特徴とする画像形成装置。
  11. 請求項1記載の画像形成装置において、
    補正手段は、トナー保持部材の単位長さ当たりのトナー保持量が予め規定された許容量以上になるようにトナー保持量を補正するものであることを特徴とする画像形成装置。
  12. 請求項1記載の画像形成装置において、
    補正手段は、トナー保持部材の単位長さ当たりのトナー保持量が予め規定された許容量以上で且つトナー保持部材の長さ方向に沿って略均一になるようにトナー保持量を補正するものであることを特徴とする画像形成装置。
  13. 請求項1記載の画像形成装置において、
    補正手段は、予測手段からの予測結果情報を一若しくは複数の閾値にて区分し、区分毎の現トナー保持量傾向と逆傾向の濃度分布の補正画像を作製することを特徴とする画像形成装置。
  14. 請求項1記載の画像形成装置において、
    補正手段は、予測手段による予測結果に基づいてトナー保持部材の現トナー保持量が許容値未満である条件下では、トナー保持部材に保持されているトナーを吐き出した後トナーを許容値以上に再付着させるものであることを特徴とする画像形成装置。
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