この特許文献2に記載された技術を応用し、残留トナー粒子や外添剤粒子を回転繊維体の繊維に捕獲させるとともに保持させて、トナー粒子等を保持した繊維と感光体表面との摺擦によって感光体表面から放電生成物を除去することが考えられる。
図1は、特許文献2に記載された技術を応用したクリーニング装置を示す図である。
図1に示すクリーニング装置91は、時計方向に回転する感光体ドラム92の、所定の被転写面に転写を終えた表面921に接するクリーニングブラシ911とロール体912とを備えている。また、このクリーニング装置91は、回収ロール913、スクレーパ部材914、および搬送用オーガ915も備えている。
図1に示すクリーニングブラシ911は、感光体ドラム92の回転軸と平行に延在した中心軸9111から放射状に延びた毛(ブラシ繊維)9112を有する。クリーニングブラシ911は、この毛9112の先端が感光体ドラム表面921および回収ロール913の周面の双方に食い込んだ状態で中心軸9111を中心にして回転し、感光体ドラム表面921上の残留トナー粒子tはこの毛9112によって掻き取られる。クリーニングブラシ911の毛9112によって掻き取られた残留トナー粒子tは回収ロール913によってクリーニングブラシ911から回収される。さらに、回収ロール913に回収された残留トナー粒子tはスクレーパ部材914によって回収ロール913から掻き落とされ、掻き落とされた残留トナー粒子tは搬送用オーガ915によって不図示の排出口まで搬送される。
ロール体912は、残留トナー粒子tを除去するクリーニングブラシ911よりも、感光体回転方向上流側に配置されている。このため、感光体ドラム92が回転することでこのロール体912に向けて残留トナー粒子tが運ばれてくる。図1に示すロール体912は、周面に複数の繊維9121を有する回転体であり、運ばれてきた残留トナー粒子tは、このロール体912の繊維9121によって捕捉され、その繊維9121に保持される。感光体ドラム表面921に付着した放電生成物は、ロール体912に保持された残留トナー粒子tによって感光体ドラム表面921から掻き取られる。
ここで、画像密度が高いトナー像が形成されると、ロール体912には、大量の残留トナー粒子tが運ばれてくるため、ロール体912に残留トナー粒子が塊状に堆積しやすい。また、図1に示すように下流側のクリーニングブラシ911と上流側のロール体912の位置関係が、クリーニングブラシ911によって除去した残留トナー粒子tがロール体912の上に落下してくる(図1中の2点鎖線で囲んだ部分A参照)位置関係にあると、ロール体912に残留トナー粒子tが塊状に堆積しやすい。
図2は、ロール体に塊状に堆積していた残留トナー粒子がそのロール体から離脱した様子を示す図である。
ロール体912に残留トナー粒子tが塊状に堆積し、その塊状の残留トナー粒子tが感光体ドラム表面921へ戻ると、塊状の残留トナー粒子t(図2中の2点鎖線で囲んだ部分B参照)がクリーニングブラシ911へ到達し、クリーニングブラシ911によるクリーニング不良が生じる場合がある。
図3は、クリーニングブラシの毛に、トナー粒子の帯電極性とは逆極性のバイアスを印加した態様を示す図である。
感光体ドラム92の、所定の被転写面に転写を終えた表面921には両極性の残留トナー粒子tが存在していることから、正極に帯電した残留トナー粒子tがロール体912の繊維9121に塊状に堆積することがある。この図3に示すように、クリーニングブラシ911の毛9112に、トナー粒子の帯電極性(ここでは負極性とする)とは逆極性のバイアス(正極のバイアス)を印加し、その毛9112によって残留トナー粒子tを電気的に引きつけるようしておくと、正極に帯電した残留トナー粒子tの塊と、正極のバイアスが印加されたクリーニングブラシ911とは反発し合い、結局、この塊はクリーニングブラシ911よって除去されず、クリーニングブラシ911を通過して(図3中の2点鎖線で囲んだ部分C参照)画質欠陥を生じさせる。
本発明は上記事情に鑑み、残留トナー粒子を繊維に好適な量だけ保持して放電生成物を除去するクリーニング装置、およびそのクリーニング装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とするものである。
上記目的を解決する本発明のクリーニング装置は、トナー像を表面に担持して中心軸の周りを循環移動することで、そのトナー像を被転写面に転写する転写領域までそのトナー像を搬送する像担持体の、その被転写面にトナー像が転写された後の表面に残留した残留物をその表面から除去するクリーニング装置において、
上記像担持体の、上記被転写面にトナー像が転写された後の表面に残留した残留トナーをその表面から除去するクリーニング手段と、
上記像担持体の、上記被転写面にトナー像が転写された後の表面に、上記クリーニング手段よりもその像担持体の循環移動方向上流側で接した複数の繊維を上記中心軸に平行な回転軸の周りに有し、その回転軸を中心にして回転する回転繊維体と、
上記回転繊維体の複数の繊維に当接した当接部材とを備えたことを特徴とする。
ここにいう像担持体とは、一様に帯電された後に露光を受け静電潜像が形成される感光体であってもよいし、その感光体からトナー像が1次転写され、記録媒体への2次転写の際に剥離放電が生じる中間転写体であってもよい。すなわち、本発明のクリーニング装置は、感光体表面のクリーニング装置としても、中間転写体表面のクリーニング装置としても適用することができる。
本発明のクリーニング装置によれば、残留トナー粒子が、上記回転繊維体の複数の繊維に像担持体表面から捕捉されて繊維と繊維の間に保持されるが、それら複数の繊維には上記当接部材が当接している。このため、上記回転繊維体に保持された残留トナー粒子は、上記回転繊維体が回転することで上記当接部材によってこそげ落とされるが、残留トナー粒子総てがこそげ落とされることはなく、繊維と繊維の間に入り込んだ残留トナー粒子は残り、上記回転繊維体の複数の繊維には、像担持体表面から放電生成物を掻き取るのに好適な量の残留トナー粒子が保持される。したがって、本発明のクリーニング装置は、残留トナー粒子を繊維に好適な量だけ保持して放電生成物を除去することができる。
なお、ここにいうクリーニング手段は、上記像担持体表面に先端を圧接させたクリーニングブレードであってもよいし、あるいは上記像担持体表面に毛の先端を接触させながら回転するクリーニングブラシであってもよいが、これらのブレードやブラシに限定されるものではない。また、上記回転繊維体は、複数の繊維からなる布を上記回転軸の周りに巻き付けてなるロール状のものであってもよいし、あるいは上記回転軸から放射状に延びた毛(ブラシ繊維)を有するブラシ状のものであってもよい。さらに、上記当接部材は、先端を上記回転繊維体の複数の繊維に接触させたスクレーパ状のものであってもよいし、毛の先端を上記複数の繊維に接触させたブラシ状のものであってもよい。また、上記複数の繊維に接した発泡層を有するものであってもよい。
また、本発明のクリーニング装置において、上記回転繊維体は、上記複数の繊維として太さが10μm以下の複数の繊維を有するものであることが好ましい。
こうすることで、上記回転繊維体の、上記像担持体表面に接した面がポーラス状になり、像担持体表面が、このポーラス状の面で摺擦される。その結果、上記回転軸の延在方向に均一に残留トナー粒子が保持され、像担持体表面から、放電生成物が像担持体の中心軸の延在方向に均一に除去される。加えて、上記繊維体が、上記像担持体表面の循環移動方向に1.5mm以上の幅をもったものであることがより好ましい。
上記目的を解決する本発明の画像形成装置は、中心軸の周りを所定方向に回転する感光体の表面を帯電し帯電後の感光体表面に露光光を照射することによりその感光体表面に静電潜像を形成し、その静電潜像をトナーで現像してその感光体表面にトナー像を得、そのトナー像を、所定の被転写面に転写し最終的に記録媒体上に定着することによりその記録媒体上に定着トナー像からなる画像を形成する画像形成装置において、
上記感光体の、上記被転写面にトナー像が転写された後の表面に残留した残留トナーをその表面から除去するクリーニング手段と、
上記感光体の、上記被転写面にトナー像が転写された後の表面に、上記クリーニング手段よりも上記感光体の回転方向上流側で接した複数の繊維を上記中心軸に平行な回転軸の周りに有し、その回転軸を中心にして回転する回転繊維体と、
上記回転繊維体の複数の繊維に当接した当接部材とを備えたことを特徴とする。
ここにいう被転写面とは、中間転写体の、上記感光体表面に接する面であってもよいし、あるいは記録媒体の記録面であってもよい。
本発明の画像形成装置によれば、上記本発明のクリーニング装置を備えているため、残留トナー粒子を繊維に好適な量だけ保持して放電生成物を除去することができる。
また、本発明の画像形成装置において、トナー粒子よりも小さな潤滑剤粒子とそのトナー粒子とを含む現像剤を収容し、上記感光体表面に形成された静電潜像をその現像剤中のトナー粒子によって現像する現像器を備えた態様や、あるいは、
トナー粒子よりも小さな研磨剤粒子とそのトナー粒子とを含む現像剤を収容し、上記感光体表面に形成された静電潜像をその現像剤中のトナー粒子によって現像する現像器を備えた態様が好ましい。
上記クリーニング手段が上記感光体の表面に先端を圧接させたクリーニングブレードである場合には、その先端の磨耗やカケを抑えるために潤滑剤粒子を含む前者の態様が好ましく、その潤滑剤粒子としてはステアリン酸亜鉛等があげられる。また、研磨剤粒子を含む後者の態様によれば、上記回転繊維体に、上記トナー粒子よりも研磨力が高い研磨剤粒子もトナー粒子とともに保持され、放電生成物の、感光体表面からの掻取力が高まり、好ましい。
また、本発明の画像形成装置において、上記感光体の回転速度と上記回転繊維体の回転速度との速度差を制御する制御部や、あるいは、
上記感光体表面と上記回転繊維体の複数の繊維との接触圧を制御する制御部を備えたことも好ましい。
上記速度差を制御する制御部によれば、上記速度差を広げれば放電生成物の掻取力が高められ、上記接触圧を制御する制御部によれば、上記接触圧を高めれば放電生成物の掻取力も高められる。したがって、上記いずれの制御部を備えることで、上記回転繊維体による掻取力が調整される。
さらに、この画像形成装置内の湿度もしくは温度、または湿度および温度を検知する環境検知センサを備え、
上記制御部が、上記環境検知センサの検知結果に基づいて上記速度差やあるいは上記接触圧を制御するものであることがより好ましく、より具体的には、
上記制御部が、上記環境検知センサの検知結果を用いて算出された画像形成装置内の絶対水分量、その環境検知センサの検知結果に基づく温度、およびその環境検知センサの検知結果に基づく湿度のいずれかが所定値を越えているか否かを判定し、越えていれば、上記速度差を広げるものであることや、あるいは上記接触圧を高めるものであることが好ましい。
放電生成物に起因した画像流れは高湿条件で発生しやすく、高湿条件下で高い掻取力が必要になる。このため、上記制御部は、上記絶対水分量、検知結果に基づく温度、および検知結果に基づく湿度のいずれかのパラメータを用いて、放電生成物の掻取力を高める必要があることを検知し対応する。
一方、低温低湿下では、高湿条件下ほど高い掻取力は必要なく、掻取力が必要以上に高いと、過剰な掻き取りによって感光体表面が必要以上に磨耗したり傷ついたり、さらには上記回転繊維体自身の劣化も進んでしまうため、上記制御部に、上記回転繊維体の掻取力を低下させる必要があることを、上記いずれかのパラメータを用いて検知させ対応させるようにしてもよい。
さらに、上記制御部が、上記所定値を越えているか否かの判定を、この画像形成装置の主電源がオンされたときに行うものであってもよい。
また、この画像形成装置が、記録媒体に転写したトナー像に熱を加えることによりその記録媒体にトナー像を定着させる定着器を備えたものであれば、
上記制御部が、上記所定値を越えているか否かの判定を、上記定着器のスリープ状態が所定時間続いた場合に行うものであってもよい。
高温高湿の環境下に長時間置かれた後に主電源がオンされた画像形成装置では、装置内の湿度が高湿であることや、あるいは、トナー像に熱を加える加熱動作が行われない定着器のスリープ状態が所定時間続くと、装置内の湿度は高湿になることがあるが、上記のような制御部であれば、放電生成物の掻取力を高める必要があることを検知し対応することができる。
さらに、上記制御部が、上記所定値を越えているか否かの判定を、この画像形成装置の主電源がオンされたときや、あるいは上記定着器のスリープ状態が所定時間続いた場合に行い、その結果、上記速度差を広げる場合や、あるいは上記接触圧を高める場合に、上記感光体表面に、上記中心軸の延在方向に延びるトナーバンドを形成させるものであることがより好ましい。
この画像形成装置の主電源がオンされたときや、あるいは上記定着器のスリープ状態が所定時間続いた場合には、上記回転繊維体には残留トナー粒子が十分に供給されておらず、上記回転繊維体の繊維に残留トナー粒子が十分に保持されていない可能性がある。そこで、いわゆるトナー像形成サイクルに入る前に上記制御部が上記トナーバンドを形成させ、このトナーバンドを未転写のまま上記回転繊維体まで到達させ、上記回転繊維体の繊維に残留トナー粒子を十分に保持させることで、放電生成物を十分に除去することができる。
本発明によれば、残留トナー粒子を繊維に好適な量だけ保持して放電生成物を除去するクリーニング装置、およびそのクリーニング装置を備えた画像形成装置を提供することができる。
以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図4は、本発明の一実施形態である画像形成装置の概略構成を示す図である。
図4に示す画像形成装置1は、フルカラータンデム方式を採用した画像形成装置であって、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色のトナーそれぞれに対応した、4つのトナー像形成ユニットを用いて、中間転写ベルトの送りに同期させて各トナー像形成ユニットでそれぞれの色のトナー像を形成し、それらトナー像を中間媒体としての中間転写ベルト上に重ね合わせ(1次転写)、中間転写ベルト上に重ね合わせたトナー像を記録媒体である用紙に転写(2次転写)し、定着するものである。
図4に示す画像形成装置1は、4つのトナー像形成ユニット10、4つの1次転写ロール20、3つの支持ロール31に支持されて反時計回りの方向に循環移動する半導電性の中間転写ベルト30、2次転写を行う一括転写装置40、および未定着トナー像を用紙に定着させる定着装置50を備えている。
4つのトナー像形成ユニット10は、中間転写ベルト30の循環方向に並んで配置されており、各トナー像形成ユニット10には、時計回りに回転する感光体ドラム11が配備されている。各感光体ドラム11は、円筒状の導電性支持体の上に、下引層、電荷発生層、電荷輸送層、保護層を積層してなるものであって、保護層の表面は、この感光体ドラム11の表面に相当する。保護層は、架橋構造を有する化合物を含む層であり、図4に示す感光体ドラム11は対摩耗性が非常に高いものである。これらの感光体ドラム11の表面は、中間転写ベルト30に接している。中間転写ベルト30が感光体ドラム11に接する領域には、中間転写ベルト30を感光体ドラム11と挟み込むように1次転写ロール20が配備されており、この領域が1次転写領域である。1次転写ロール20には1次転写バイアスが印加される。
ここで、図4とともに図5も用いて、本実施形態の画像形成装置の説明をさらに進める。
図5は、図4に示す4つのトナー像形成ユニットのうちの一つのトナー像形成ユニットの概略構成を中心に示した図である。
図5に示すトナー像形成ユニット10は、感光体ドラム11の他に、帯電器12、露光器13、現像器14、クリーニング前帯電器15、クリーニング前除電器16、クリーニング装置17、および除電器18を備えている。また、図5には、感光体ドラム11の保護層111が模式的に示されている。図5に示す感光体ドラム11は回転軸11aを中心にして回転することで、保護層(感光体ドラム表面11b)は、回転軸11aの周りを循環移動する。
帯電器12は、非接触帯電方式のコロトロン帯電器である。この帯電器12には、帯電器制御部121による制御のもと、帯電器高圧電源122から帯電バイアスが印加される。露光器13は、感光体ドラム表面11bに向けて、画像情報に基づくレーザ光を照射するものである。現像器14は、トナー粒子およびトナー粒子よりも微粒子の研磨微粒子や潤滑剤微粒子を含む現像剤を収容した現像剤収容体141と、現像剤収容体141中のトナー粒子を担持して感光体ドラム11の表面に対向した状態で回転する現像ロール142を有する。現像剤収容体141に収容された現像剤中のトナー粒子は負極に帯電する負極帯電型のトナー粒子である。また、研磨微粒子はトナー粒子よりも研磨力が高いものであり、潤滑剤微粒子はステアリン酸亜鉛である。トナー粒子は、現像器14内で負極性に帯電され、感光体ドラム11の表面11bに静電的に移行する。
ここで、図5に示すトナー像形成ユニット10で実施されるトナー像形成サイクルについて簡単に説明する。
図5に示すトナー像形成ユニット10においてトナー像形成サイクルが行われる際には、矢印R方向に回転する感光体ドラム表面11bは、まず、帯電器12によって一様に帯電される。次に、露光器13によって画像情報に基づくレーザ光が照射され、感光体ドラム表面11bに静電潜像が形成される。この静電潜像は、現像器14によって現像され、感光体ドラム表面11bにはトナー像が形成される。こうして形成されたトナー像は、1次転写領域において感光体ドラム表面11bから、矢印C方向に移動する中間転写ベルト30の表面に1次転写バイアスの作用によって転写される。感光体ドラム11の、1次転写領域を通過した表面11bは、後述するクリーニング装置17が配備された領域を経由した後、除電器18によって除電され、一連のトナー像形成サイクルが終了する。こうしたトナー像形成サイクルが各トナー像形成ユニット10ごとに実施され、各トナー像形成ユニット10で形成されたトナー像は、中間転写ベルト30上で1つに重なり合ったトナー像となる。
また、図4に示す一括転写装置40は、中間転写ベルト30のトナー像担持面側に圧接配置された2次転写ロール41と、中間転写ベルト30の裏面側に配置されたバックアップロール42を備えており、これら2つのロール41,42で中間転写ベルト30を挟みこんでいる。これら2つのロール41,42の間が2次転写領域になる。
さらに、図4に示す画像形成装置1には、用紙トレイ60が配備されており、用紙トレイ60に収容された用紙Pは、フィードロール61によって用紙トレイ60から送り出され、所定のタイミングで2次転写領域へと送り込まれる。2次転写領域では、中間転写ベルト30上で1つに重なり合ったトナー像が、送り込まれてきた用紙P上に転写される。定着装置50は、加熱機構511を有する定着ロール51、および定着ロール51に対向するように設けられた圧力ロール52を備えている。互いに対向する定着ロール51と圧力ロール52との間には、2次転写位置を通過した用紙Pが搬送されてくる。用紙P上のトナー像を構成するトナーは、定着ロール51の加熱機構511により溶融され用紙Pに定着する。
また、一括転写装置40の下流側にはベルトクリーナ70が設けられており、中間転写ベルト30上の残留トナーは、このベルトクリーナ70によって中間転写ベルト30上から除去される。
一方、図5示す感光体ドラム11の、1次転写領域を通過した表面11bには、1次転写領域において中間転写ベルト30表面へ移行することができなかった残留トナーや、その残留トナーに付着していた研磨剤微粒子や潤滑剤微粒子、さらには、帯電において生じた放電生成物など、複数種類の異物が残留している。図4および図5に示すクリーニング装置17は、これら複数種類の異物を除去するための装置であって、1次転写領域よりも感光体ドラム回転方向下流側であって帯電領域よりも感光体ドラム回転方向上流側の位置に配備されたものである。また、このクリーニング装置17の手前には、クリーニング前帯電器15とクリーニング前除電器16が配備されている。感光体ドラム11の、1次転写領域を通過した表面111には両極性の残留トナーが存在するため、これら両極性の残留トナーをクリーニング前帯電器15によって一方の極性に揃え、クリーニング前除電器16によって感光体表面上の残留電位レベルを落とし、残留トナーが、クリーニング装置17によって除去されやすいようにする。ここでは、クリーニング前帯電器15によって、残留トナー粒子は、帯電極性と同じ極性の負極性に揃えられる。
図5に示すクリーニング装置17は、本発明のうちのクリーニング装置の一実施形態に相当し、クリーニングブラシ171、回収ロール172、スクレーパ部材173、廃トナー搬送オーガ174、ロール体175、および当接部材176を備えている。クリーニングブラシ171は、感光体ドラム11の回転軸11aと平行に延在した中心軸1711から放射状に延びた導電性の毛1712を有するものである。このクリーニングブラシ171は、毛1712の先端が感光体ドラム表面11bおよび回収ロール172の周面の双方に食い込んだ状態で中心軸1711を中心にして回転する。クリーニングブラシ171の毛1712には、クリーニング前帯電器15によって残留トナー粒子が揃えられる極性(負極性)とは逆極性である正極性のクリーニングバイアスが印加されており、残留トナー粒子は、このクリーニングバイアスの作用によってクリーニングブラシ171の毛1712に引き寄せられるとともにこの毛1712によって掻き取られる。すなわち、クリーニングブラシ171は、感光体ドラム11の、1次転写領域を通過した表面11bに残留した残留トナー粒子をその表面11bから除去するものであり、本発明にいうクリーニング手段の一例に相当する。また、トナー粒子から離脱して感光体ドラム表面11bに残留した研磨効果等を発揮する外添剤粒子も、このクリーニングブラシ171によってその表面11bから除去される。クリーニングブラシ171は、クリーニング性能の経時劣化が少なく、板状のクリーニングブレードを用いるよりも、特に高速機においては有利である。また図5に示すクリーニングブラシ171は積極的に電界を利用するクリーニング方式であるため、電気的作用を利用せず機械的に掻き取るクリーニングブレードでは困難である球状トナーのクリーニングに対しても優位性をがある。クリーニングブラシ171の毛1712に移行した残留トナー粒子や外添剤粒子(以下、これらを総称して残留トナー成分と称する)はクリーニングバイアスの作用によってその毛1712に保持される。回収ロール172も、感光体ドラム11の回転軸11aと平行に延びた中心軸を中心にして回転するものであり、クリーニングブラシ171の毛1712に保持された残留トナー成分を回収する。スクレーパ部材173は、回収ロール172によって回収された残留トナー成分を回収ロール172から掻き落とす。スクレーパ部材173によって掻き落とされた残留トナー成分は、廃トナー搬送オーガ174によってクリーニング装置17の外まで搬送される。
ロール体175は、クリーニングブラシ171よりも、感光体ドラム回転方向上流側に配備されたものである。このロール体175は、感光体ドラム11の回転軸11aに平行な回転軸1751の周りに多数の微細繊維からなる不織布1752を巻き付けてなるロール状のものであって、その不織布1752の多数の微細繊維は、感光体ドラム11の表面11bに接している。すなわち、図5に示すロール体175は、感光体ドラム11の、1次転写領域を通過した表面11bに接した多数の微細繊維を、感光体ドラム11の回転軸11aに平行な回転軸1751の周りに有し、その回転軸1751を中心にして回転する回転繊維体である。多数の微細繊維それぞれは、太さが10μm以下でのものであり、このロール体175の、感光体ドラム表面11bに接する周面はポーラス状になっている。またロール体175は、感光体ドラム11の回転方向に1.5mm以上の当接幅をもって接するように、ある程度の押付圧で感光体ドラム表面11bに押し付けられている。このロール体175は、残留トナー成分を除去するクリーニングブラシ171よりも上流側に配置されているため、感光体ドラム11が回転することでこのロール体175に向けて残留トナー成分が運ばれてくる。残留トナー成分は、ロール体175の微細繊維によって捕捉されて繊維と繊維の間に保持される。感光体ドラム表面11bに付着した放電生成物等の付着物や、放電に伴う感光体10の表面劣化層は、微細繊維に保持された残留トナー成分によって感光体ドラム表面11bから掻き取られる。こうして掻き取られた放電生成物等は、微細繊維に捕捉された残留トナー成分に付着する。従来の一般的なクリーナであるクリーニングブレードでは、感光体表面への接触が線接触であるため残留トナー成分が接触部(ブレードエッジ先端部)より離脱しやすく研磨効果は向上しないが、このロール体175は感光体ドラム表面11bに対して、感光体回転方向に1.5mm以上にわたって接触し、しかもロール体175の、感光体ドラム表面11bに接した周面はポーラス状になっているため、ロール体175に、回転軸1751の延在方向に均一に残留トナー成分が保持され、感光体ドラム表面11bから、放電生成物が感光体ドラム11の回転軸11aの延在方向に均一に除去される。
新たな残留トナー成分がロール体175に運ばれてくると、ロール体175に保持されている残留トナー成分と、新たに運ばれてきた感光体ドラム表面11b上の残留トナー成分との間で入れ替わりが起こり、ロール体175に保持されている残留トナー成分の一部が感光体ドラム表面11bに戻る。感光体ドラム表面11bに戻った残留トナー成分は、感光体ドラム11が回転することで下流側のクリーニングブラシ171に向かい、そのクリーニングブラシ171によって感光体ドラム表面11bから除去される。すなわち、ロール体175に一旦捕捉され、感光体ドラム表面11bから掻き取られた放電生成物等が付着した残留トナー成分は、最終的にクリーニングブラシ171によって感光体ドラム表面11bから除去される。
当接部材176は、ロール体175の回転軸1751の延在方向に延びたウレタンスポンジ製の柱状のものである。この当接部材176は、ロール体175の周面の複数の微細繊維に接した発泡層1761を有するものである。
図6は、図5に示すロール体に残留トナー粒子が塊状に堆積した様子を示す図である。
図6に示す感光体ドラム11には画像密度が高いトナー像が形成された結果、図6に示すロール体175には、大量の残留トナー成分t’(図6中の2点鎖線で囲んだ部分D参照)が運ばれてきている。また、図6に示すロール体175の、当接部材176よりも回転方向上流側の部分には残留トナー成分t’が塊状に堆積している様子(図6中の2点鎖線で囲んだ部分E参照)が示されている。
図7は、図6に示すロール体が回転した様子を示す図であり、図8は、図7中の2点鎖線で囲んだ部分Fの拡大図である。
当接部材176よりも回転方向上流側の部分に塊状に堆積した残留トナー成分t’は、ロール体175が回転することで当接部材176によってこそげ落とされるが、当接部材176に保持された残留トナー成分の中には、繊維と繊維の間に入り込んだものもあり、繊維と繊維の間に入り込んだ残留トナー成分までもがこそげ落とされることはなく、ロール体175周面の多数の微細繊維には、感光体ドラム表面11bから放電生成物等を掻き取るのに好適な量の残留トナー成分t’が残る(図8参照)。当接部材176によってこそげ落とされた残留トナー成分t’は、図7に示す廃トナー搬送オーガ174によってクリーニング装置17の外まで搬送される。
図9は、図7に示すロール体に保持された残留トナー成分と新たな残留トナー成分との入れ替えが行われた様子を示す図である。
当接部材176によって残留トナー成分t’の保持量が調整されたロール体175からは、感光体ドラム表面11b上に残留トナー成分T’の塊が戻ることはなく、そのロール体175からは、クリーニングブラシ171で十分に除去することができる量の残留トナー成分t’(図9中の2点鎖線で囲んだ部分G参照)が感光体ドラム表面11b上に戻る。この結果、感光体ドラム表面11bに戻った残留トナー成分t’は、クリーニングブラシ171によって感光体ドラム表面11bから確実に除去される。
さらに、図4に示す画像形成装置1は環境検知センサ81と制御部82も備えている。図4に示す環境検知センサ81は、この画像形成装置1内の湿度もしくは温度、または湿度および温度を検知するものである。また、図4に示す制御部82は、この画像形成装置1全体の制御を司るものであるが、ここでは、感光体ドラム11の残留物をクリーニングする制御について説明する。感光体ドラム11の回転速度やロール体175の回転速度は可変である。また、ロール体175の、感光体ドラム表面11bへの押付圧も可変である。制御部82は、感光体ドラム表面11bに存在する残留物のクリーニングを制御するにあたり、これらの回転速度や押付圧を制御する。すなわち、制御部82は、感光体ドラム11の回転速度とロール体175の回転速度との速度差を制御したり、あるいは感光体ドラム表面11bとロール体175の複数の微細繊維との接触圧を制御する。制御部82によって、上記速度差が広げられればロール体175による放電生成物の掻取力が高められ、反対に上記速度差が縮められればロール体175による放電生成物の掻取力が弱められる。また、制御部82によって、上記接触圧が高められればロール体175による放電生成物の掻取力も高められ、反対に上記接触圧が弱められればロール体175による放電生成物の掻取力も弱められる。したがって、図5に示す制御部82によって、ロール体175による掻取力が調整される。
制御部82は、環境検知センサ81の検知結果に基づいて上記速度差やあるいは上記接触圧を制御する。例えば、制御部82は、環境検知センサ81で検知した湿度または湿度および温度に対して上記速度差があらかじめ設定した速度差になるようにした設定値を少なくとも1つ以上有する。このことは上記接触圧についても同じであり、制御部82は、環境検知センサ81で検知した湿度または湿度および温度に対して上記接触圧があらかじめ設定した接触圧になるようにした設定値を少なくとも1つ以上有する。また、制御部82は、環境検知センサ81の検知結果を用いて算出されたこの画像形成装置1内の絶対水分量、環境検知センサ81の検知結果に基づく湿度または湿度および温度が、あらかじめ定めた規定値以上の条件下においては、この画像形成装置1の主電源がOFF状態からON状態になったときもしくは、図4に示す定着装置50のスリープ状態が規定時間以上続いた場合の立ち上がり時に、上記速度差を規定値以上に設定し、規定時間もしくは感光体ドラム11の回転数が規定数に達した後は、その速度差を上記規定値未満にしたり、あるいは、上記速度差に代えて上記接触圧を規定値以上に設定し、規定時間もしくは感光体ドラム11の回転数が規定数に達した後は、その接触圧を上記規定値未満にする。放電生成物に起因した画像流れは高湿条件で発生しやすく、高湿条件下で高い掻取力が必要になる。高温高湿の環境下に長時間置かれた後に主電源がオンされた画像形成装置では、装置内の湿度が高湿であることや、あるいは、定着ロール51に内臓された加熱機構511による加熱が行われないスリープ状態が所定時間続くと、装置内の湿度は高湿になることがある。そこで、制御部82は、この画像形成装置の主電源がオンされたタイミングや、定着装置50のスリープ状態が所定時間続いたタイミングで、環境検知センサ81の検知結果に基づくいずれかのパラメータを用いて、放電生成物の掻取力を高める必要があることを検知し対応する。一方、掻取力が必要以上に高いと、過剰な掻き取りによって感光体ドラム表面11bが必要以上に磨耗したり傷ついたり、さらにはロール体の微細繊維自身の劣化も進んでしまうため、規定時間もしくは感光体ドラム11の回転数が規定数に達した後は、上記速度差や上記接触圧をそれぞれの規定値未満にする。
さらに、制御部82は、環境検知センサ81の検知結果に基づくいずれかのパラメータの値が規定値以上で主電源がOFF状態からON状態なったとき、もしくは、定着装置のスリープ状態が規定時間以上続いた場合に、トナー像形成サイクルに入る前に感光体ドラム表面11bにトナーバンドを形成させる。画像形成装置1の主電源がオンされたときや、あるいは定着装置50のスリープ状態が所定時間続いた場合には、ロール体175には残留トナー成分が十分に供給されておらず、ロール体175の微細繊維に残留トナー成分が十分に保持されていない可能性がある。そこで、トナー像形成サイクルに入る前に制御部82が、感光体ドラム11の回転軸11aの延在方向に延びるトナーバンドを形成させ、このトナーバンドを未転写のままロール体175まで到達させ、ロール体175の微細繊維に残留トナー成分を十分に保持させることで、放電生成物を十分に除去することができる。
続いて、これまで説明したクリーニング装置17の変形例について説明する。以下、図1に示す画像形成装置の構成要素の名称と同じ名称の構成要素には、これまで用いた符号と同じ符号を付して説明し、重複した説明は省略する。
図10は、当接部材をスクレーパ部材に変更したクリーニング装置を示す図であり、図11は、当接部材をブラシ部材に変更したクリーニング装置を示す図である。
図5に示す当接部材176は、ウレタンスポンジ製の柱状のものであったが、図10に示す当接部材176は、先端176aをロール体175の微細繊維に接触させたスクレーパ部材である。また、図11に示す当接部材176は、一方向に延びる毛1765の先端をロール体175の微細繊維に接触させた歯ブラシ状のブラシ部材である。図10及び図11に示すいずれの当接部材176であっても、ロール体175の微細繊維に塊状に堆積した残留トナー成分は、感光体ドラム表面11bから放電生成物等を掻き取るのに好適な量の残留トナー成分t’を残してこそげ落とされ、感光体ドラム表面11b上に残留トナー成分の塊が戻ることはなく、クリーニングブラシ171によって感光体ドラム表面11bはしっかりとクリーニングされる。
図12は、クリーニングブラシの代わりにクリーニングブレードを配備したクリーニング装置を示す図である。
これまでの説明では、感光体ドラム11の、1次転写領域を通過した表面11bに残留した残留トナー成分をその表面11bから除去するクリーニング手段としてブラシ部材であるクリーニングブラシを用いて説明してきたが、弾性を有する板状のクリーニングブレード179であってもよい。図12に示すクリーニングブレード179は、感光体ドラム表面11bに先端エッジ部1791を圧接させた状態で、感光体ドラム11の回転軸の延在方向に延びるものである。このクリーニングブレード179は、感光体ドラム表面11bに残留した残留トナー成分を感光体ドラム11が回転することで、電気的作用を利用せず機械的に掻き取る。
現像剤中のステアリン酸亜鉛である潤滑剤微粒子は、残留トナー成分中に含まれており、クリーニングブレード179の先端エッジ部1791に磨耗やカケが発生するのを抑える。
なお、これまでは、本発明のうちのクリーニング装置の発明を、感光体ドラム11の、1次転写領域を通過した表面11bをクリーニングするクリーニング装置17に適用した例を説明してきたが、用紙Pへの2次転写の際に剥離放電が生じ、その結果放電生成物が中間転写ベルト30にも付着することがあることから、この発明は、図4に示す中間転写ベルト30をクリーニングするベルトクリーナ70にも適用することができる。
(実施例)
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」はすべて「重量部」を意味する。
(実施例1)
試験機として、図1に示す画像形成装置の基本的構成と同じ基本的構成の画像形成装置を用いた。以下、詳細を示す。
[感光体ドラム]
先ず、ホーニング処理を施した外径84mmφの円筒状アルミニウム基材を準備した。次に、ジルコニウム化合物(商品名:オルガチックスZC540、マツモト製薬社製)を100部、シラン化合物(商品名:A1100、日本ユニカー社製)を10部、イソプロパノールを400部、及びブタノールを200部混合し、下引層形成用塗布液を得た。この塗布液をアルミニウム基材上に浸漬塗布し、150℃で10分間加熱乾燥し、膜厚0.1μmの下引層を形成した。
次に、X線回折スペクトルにおけるブラッグ角(2θ±0.2°)が、7.5°、9.9°、12.5°、16.3°、18.6°、25.1°及び28.3°に強い回折ピークを持つヒドロキシガリウムフタロシアニンを1部、ポリビニルブチラール(エスレックBM−S、積水化学社製)を1部、及び酢酸n−ブチルを100部混合し、さらにガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散し、電荷発生層形成用塗布液を得た。この塗布液を下引層上に浸漬塗布し100℃で10分間加熱乾燥し、膜厚約0.15μmの電荷発生層を形成した。
次に、下記式(I)で示される電荷輸送材料を2部、下記式(II)で示される構造単位を有する高分子化合物(粘度平均分子量39,000)を3部、及びクロロベンゼンを20部混合し、電荷輸送層形成用塗布液を得た。
この電荷輸送層形成用塗布液を、上記電荷発生層上に浸漬コーティング法で塗布して110℃で40分加熱し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
次に、下記式(III)で示される化合物を2部、レジトップPL4852(群栄化学製)を3部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(AO−80:旭電化製)を0.1部、フッ素グラフトポリマー(ZX007C:富士化成製)を0.2部、及びフッ素カップリング剤(KBM−7803:信越化学製)を0.1部混合し、イソプロピルアルコール10部に溶解させ、保護層形成用塗布液を得た。
この保護層形成用塗布液を、上記電荷輸送層上にリング型浸漬塗布法により塗布し、室温で30分風乾した後、135℃で1時間加熱処理して硬化させ、膜厚約5μmの保護層を形成した。こうして得られた感光体ドラムを組み込んだ。感光体ドラムの回転速度(周速)は、264mm/sとした。
[現像剤/トナー]
FujiXerox製DocuCenterColor450使用のトナーと現像剤をそのまま使用した。
[帯電器]
FujiXerox製Color DocuTech 60Vそのもののコロトロン帯電器を使用した。印加電流は直流−900μAの定電流制御で印加した。
[現像器]
FujiXerox製Color DocuTech 60V使用のハウジングに、現像剤とトナーは前記DocuCenterColor450のものと入れ替え使用した。
[クリーニング前帯電器]
FujiXerox製Color DocuTech 60Vそのもののコロトロン帯電器を使用した、印加電流は直流−82μAの定電流制御で印加した。
[クリーニング前除電器]
発光ダイオードを用いた。
[クリーニング装置]
<ロール体>
外径(直径)17.0mmの発泡ウレタン製のロール(イノアックコーポレーション製 材質型番RR26 F硬度58°厚さ3.5mm)の周面に、日本バイリーン社製(材質型番WP8085)の不織布(繊維太さ:3〜5μm、厚さ0.42mm)を巻き付けたものを用いた。
このロール体の、感光体ドラムへの食い込み量は約1.2mmとし、回転方向は、感光体ドラムと接する領域で感光体ドラムの回転方向と同方向とした。また、ロール体の回転速度(周速)/感光体ドラムの回転速度(周速)は、0.7とした。
<当接部材>
発泡ウレタン製の柱状のものを用いた。
<クリーニングブラシ>
外径(直径)15.0mmのロール状のブラシ部材を用いた。
ブラシ材質(原糸ユニチカ製UUN):12ナイロン、繊維太さ:2デニール、電気抵抗:1×105Ω、毛足長さ:1.5mm、繊維密度:120×103本/6.45cm2、感光体ドラムへの食い込み量:約0.5mm、周速:60mm/s、回転方向:感光体ドラムと接する領域で感光体ドラムの回転方向とは逆方向、ブラシ印加バイアス:+250V
<回収ロール>
材質:導電性カーボンを分散したフェノール樹脂、電気抵抗:1×106Ω、曲げ弾性率(JIS K7171:94):100MPa、磨耗量(JIS K6902):2mg、ロックウェル硬度(JIS K7202:95、Mスケール):120、クリーニングブラシへの食い込み量:1.0mm、周速:70mm/s、印加バイアス:−800V
<スクレーパ部材>
材質:SUS304、厚み:80μm、回収ロールへの食い込み量:1.3mm、フリーレングス(自由長):8.0mm
以上説明した構成の画像形成装置を用いて、濃度cin50%の帯状画像を持ったA4横送りチャートを約12000枚プリントし、約12時間放置後、装置起動直後の画像サンプル(全面ハーフトーン等)にて画質評価を行った。又、環境は画像流れの多発条件である高温高湿条件(28℃、85%RH)にて行った。ここでの評価では、代表的な画質不良である「画像流れ」、「クリーニング不良」の2点について評価を行った。評価結果を表1に示す。
表1中の○印は、画質不良の末発生を表し、×印は画質不良の発生を表す。
(実施例2)
クリーニング装置に配備されたロール体の回転速度(周速)を30mm/s以上250mm/s以下の範囲で可変とし、ロール体の回転速度(周速)と感光体ドラムの回転速度(周速)との速度差を変更できるようにした以外は、実施例1と同じ画像形成装置を用いた。ここでは、ロール体の回転速度(周速)と感光体ドラムの回転速度(周速)との速度差を、ロール体の回転速度(周速)/感光体ドラムの回転速度(周速)という速度比SRとして捉え、各色トナー像形成ユニットのクリーニング装置ごとに速度比SRを異ならせた。すなわち、イエロー色(単にY色という場合がある)のトナー像形成ユニットのクリーニング装置では速度比SRを0.9とし、マゼンタ色(単にM色という場合がある)のトナー像形成ユニットのクリーニング装置では速度比SRを0.7とし、シアン色(単にC色という場合がある)のトナー像形成ユニットのクリーニング装置では速度比SRを0.4とし、黒色(単にK色という場合がある)のトナー像形成ユニットのクリーニング装置では速度比SRを0.1とした。
ここでは、感光体ドラムの磨耗Rateを測定するため、下記表2に示す、温度と湿度の組合せを異ならせた条件1〜16までの各環境下で、感光体ドラムを50000回転させた。
また、50000回転後、実験環境にて8時間放置後、朝一番にて、画像密度30%のハーフトーン(A3サイズ)を採取し、そのときの画像抜けや画像流れがあるかを確認した。結果を速度比SRごとにまとめて表3から表6までに示す。
上記表3から表6までのDeletion(ディレッション)の欄における○印は、画像抜け、画像流れのない画質が得られた場合を表し、×印は、一部でも白抜けもしくは画像流れが発生していた場合を表している。また、磨耗Rate(単位:nm/kcy)は、感光体ドラム1000回転(kcy)あたりの感光体ドラムの磨耗量(単位:nm)をあらわしている。この磨耗量は、渦電流方式フィッシャー社製フィッシャースコープMMSを使用して測定した。
(実施例3)
試験機として実施例2で用いた画像形成装置を用いて、以下の実験を行った。
感光体の磨耗Rateが一番少なくなるように速度比SRを0.9に設定し、温度30℃,湿度90%の環境下において感光体ドラムを15000回転走行させた後、試験機の主電源をオフにし8時間放置させた後、前記ディレッション抽出画像のサンプリングを行った。この際、画像形成動作に入る前に、感光体ドラムとロール体それぞれを空回転させる空回しサイクルを行わない場合と、感光体ドラムの回転数を20回転、40回転、60回転と代えて空回しサイクルを実施した場合とで試験を行った。空回しサイクルでは、感光体ドラムの回転速度とロール体の回転速度は画像形成時と同じにし、帯電器は動作させず、クリーニング前帯電器は動作させた。またここでも、各色トナー像形成ユニットのクリーニング装置ごとに速度比SRを異ならせ、Y色のトナー像形成ユニットのクリーニング装置では速度比SRを0.9とし、M色のトナー像形成ユニットのクリーニング装置では速度比SRを0.7とし、C色のトナー像形成ユニットのクリーニング装置では速度比SRを0.4とし、K色のトナー像形成ユニットのクリーニング装置では速度比SRを0.1とした。さらに、Test3−1〜Test3−4では、空回しサイクルを実施する前に、感光体ドラム1周分のトナーバンドを形成し、そのトナーバンドを未転写のままクリーニング装置に送り込み、Test3−5〜Test3−8では、空回しサイクル実施前のトナーバンド形成は行わなかった。画像抜けや画像流れがあるかを確認したので、結果をトナーバンド形成の有無で分けて、表7及び表8に示す。
上記表7が、トナーバンド形成を行ったTest3−1〜Test3−4の結果を示し、上記表8が、トナーバンド形成を行わなかったTest3−5〜Test3−8の結果を示す。表7及び表8中の○印は、画像抜け、画像流れのない画質が得られた場合を表し、×印は、一部でも白抜けもしくは画像流れが発生していた場合を表す。
(実施例4)
各色トナー像形成ユニットのクリーニング装置ごとに、ロール体の、感光体ドラム表面への押付圧を異ならせた以外は、実施例1と同じ画像形成装置を用いた。ここでは、Y色のトナー像形成ユニットのクリーニング装置におけるロール体の押付圧を9.8mN/mmとし、M色のトナー像形成ユニットのクリーニング装置におけるロール体の押付圧を19.6mN/mmとし、C色のトナー像形成ユニットのクリーニング装置におけるロール体の押付圧を29.4mN/mmとし、K色のトナー像形成ユニットのクリーニング装置でにおけるロール体の押付圧を39.2mN/mmとした。
また、この実施例4でも、実施例2と同様に感光体ドラムの磨耗Rateを測定し、さらに、実施例2と同様にして画像抜けや画像流れがあるかを確認した。結果を押付圧ごとにまとめて表9から表12までに示す。
上記表9から表12までのDeletion(ディレッション)の欄における○印は、画像抜け、画像流れのない画質が得られた場合を表し、×印は、一部でも白抜けもしくは画像流れが発生していた場合を表している。また、磨耗Rate(単位:nm/kcy)は、感光体ドラム1000回転あたりの感光体ドラムの磨耗量(nm)をあらわしている。この磨耗量は、渦電流方式フィッシャー社製フィッシャースコープMMSを使用して測定した。
(実施例5)
試験機として実施例4で用いた画像形成装置を用いて、以下の実験を行った。
感光体の磨耗Rateが一番少なくなるようにロール体の、感光体ドラム表面への押付圧を9.8mN/mmに設定し、温度30℃,湿度90%の環境下において感光体ドラムを15000回転走行させた後、試験機の主電源をオフにし8時間放置させた後、前記ディレッション抽出画像のサンプリングを行った。この際、画像形成動作に入る前に、感光体ドラムとロール体それぞれを空回転させる空回しサイクルを行わない場合と、感光体ドラムの回転数を20回転、40回転、60回転と代えて実施例3と同じように空回しサイクルを実施した場合とで試験を行った。ここでは、各色トナー像形成ユニットのクリーニング装置ごとに上記押付圧を異ならせ、Y色のトナー像形成ユニットのクリーニング装置では上記押付圧を9.8mN/mmとし、M色のトナー像形成ユニットのクリーニング装置では上記押付圧を19.6mN/mmとし、C色のトナー像形成ユニットのクリーニング装置では上記押付圧を29.4mN/mmとし、K色のトナー像形成ユニットのクリーニング装置では上記押付圧を39.2mN/mmとした。さらに、Test5−1〜Test5−4では、空回しサイクルを実施する前に、感光体ドラム1周分のトナーバンドを形成し、そのトナーバンドを未転写のままクリーニング装置に送り込み、Test5−5〜Test5−8では、空回しサイクル実施前のトナーバンド形成は行わなかった。画像抜けや画像流れがあるかを確認したので、結果をトナーバンド形成の有無で分けて、表13及び表14に示す。
上記表13が、トナーバンド形成を行ったTest5−1〜Test5−4の結果を示し、上記表14が、トナーバンド形成を行わなかったTest5−5〜Test5−8の結果を示す。表13及び表14中の○印は、画像抜け、画像流れのない画質が得られた場合を表し、×印は、一部でも白抜けもしくは画像流れが発生していた場合を表す。
(比較例1)
実施例1で用いた画像形成装置のクリーニング装置から、ロール体と当接部材との双方を取り外した以外は実施例1と同じ画像形成装置を用いて、実施例1と同様な試験および評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1で用いた画像形成装置のクリーニング装置から、当接部材のみを取り外した以外は実施例1と同じ画像形成装置を用いて、実施例1と同様な試験および評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1では、ロール体を取り外したことから感光体ドラム表面から放電生成物を十分に除去することができず、感光体ドラム表面に付着した放電生成物が吸湿して画像流れが発生したと考える。また、ロール体を残して当接部材を取り外した比較例2では、ロール体に残留トナー成分が塊状になって堆積し、クリーニングブラシで除去することができずにクリーニング不良が発生したと考える。これに対して、実施例1では、画像流れもクリーニング不良も発生しておらず良好な結果を得た。この良好な結果は、ロール体が微細繊維に残留トナー粒子を好適な量だけ保持して放電生成物をしっかりと除去したことによるものと考える。
また、表3〜表6、および表9〜表12では、一部でも白抜けや画像流れが発生した場合は×印を記したが、これらの表におけるいずれの試験においても、ロール体と当接部材は備えられていることから、実使用上は問題になることはない。以下、相対的な比較を行いながらこれらの表に示される結果を分析すると、高温高湿条件になればなるほどディレッションは悪化してゆき、感光体の磨耗Rateは減少することがわかる。逆に低温低湿状態になればなるほど感光体の磨耗Rateは大きくなり感光体のライフを短くすることもわかる。さらに、今回使用した感光体ドラムにおいては、磨耗Rateを、5.0nm/kcy以上になるよう設定すればディレッションを完全に回避できることがわかった。
また、感光体ドラムとロール体との速度差を大きくすればするほど、あるいは感光体ドラムとロール体との押付圧を大きくすればするほど感光体ドラムの磨耗Rateは大きくなり、ディレッションの抑制効果も大きいことが確認された。
図13は、代表的な環境下における速度比SRと今回使用した感光体ドラムにおける磨耗Rateの関係を示すグラフであり、図14は、代表的な環境下における押付圧と今回使用した感光体ドラムにおける磨耗Rateの関係を示すグラフである。
ここにいう代表的な環境下とは、10℃,15%Rh、20℃,50%Rh、30℃,90%Rhの3環境下のことをいう。また、いずれのグラフの縦軸も感光体ドラムの磨耗Rateを示し、図13のグラフの横軸は、ロール体の回転速度(周速)/感光体ドラムの回転速度(周速)という速度比SRを示し、図14のグラフの横軸は、ロール体の、感光体ドラム表面への押付圧をしめす。なお、図13では速度比SRをもって表しているが、この速度比SRが1から小さくなればなるほど感光体ドラムとロール体との速度差は大きくなる。
ここで、実施例2で用いた画像形成装置の制御部に、温度と湿度の組合せに対する速度比SRを予め規定した下記表15に示すようなテーブルを持たせておき、その画像形成装置内に設置してある環境検知センサからの出力に対して、上記テーブルに従ってロール体の回転速度を可変させ同様の実験を実施した。
ここでは、10℃,15%Rh、20℃,50%Rh、30℃,90%Rhの3環境下それぞれで感光体ドラムを35000回転ずつさせ、最終的には105000回転させる走行実験を行った。その結果、実験終了まで、ディレッションは一度も発生することなく、感光体の磨耗Rateも5.5nm/kcyとなり環境が変化しても磨耗Rateの上昇を抑制することができた。今回用いた感光体ドラムは、表面の保護層が5μmあることから、感光体ドラムとして900000回転の寿命の見通しを得ることができた。
また、実施例4で用いた画像形成装置の制御部に、温度と湿度の組合せに対する上記押付力(単位:mN/mm)を予め規定した下記表16に示すようなテーブルを持たせておき、その画像形成装置内に設置してある環境検知センサからの出力に対して、上記テーブルに従って上記押付圧を可変させ同様の実験を実施した。
ここでも、10℃,15%Rh、20℃,50%Rh、30℃,90%Rhの3環境下それぞれで感光体ドラムを35000回転ずつさせ、最終的には105000回転させる走行実験を行った。その結果、実験終了まで、ディレッションは一度も発生することなく、感光体の磨耗Rateも5.5nm/kcyとなり環境が変化しても磨耗Rateの上昇を抑制することができた。今回用いた感光体ドラムは、表面の保護層が5μmあることから、感光体ドラムとして900000回転の寿命の見通しを得ることができた。
さらに、表7と8、および表13と14でも、一部でも白抜けや画像流れが発生した場合は×印を記したが、これらの表におけるいずれの試験においても、ロール体と当接部材は備えられていることから、実使用上は問題になることはない。以下、相対的な比較を行いながらこれらの表に示される結果を分析すると、画像形成動作中は感光体ドラムの磨耗を低下させた状態においても、次の画像動作前における感光体ドラムのリフレッシュ動作において、感光体ドラムとロール体との速度差を広げることでも、あるいはロール体の押付圧を大きくすることでも、劣化した感光体ドラムの保護層が研磨されて画像欠陥をより確実に抑えることができることが確認された。このときは、リフレッシュ動作の前にトナーバンドをロール体に供給することで,リフレッシュ効果は大きくなり、空回しサイクルは短くてすむ。さらにトナーバンド形成時には1次転写ロールを退避させたり、1次転写バイアスをONさせなかったり、出力を下げるなどしてロール体に供給するトナー量を実質増加させることでトナーの消費が抑えられ、トナーバンドの長さも短くできるので効率的である。このリフレッシュサイクルの導入で、通常の画像形成時の感光体ドラムの磨耗は抑制しつつ高温高湿条件下でのディレッション抑制が実現できる。