JP4960971B2 - 磁気焼鈍装置の熱切換えシステム - Google Patents

磁気焼鈍装置の熱切換えシステム Download PDF

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Description

本発明は、その内部で加工されるワークピースの製造サイクルを短縮する磁気焼鈍装置の熱切換えシステムに関するものである。このシステムは、行われるプロセスに応じてシステムの様々な構成要素を独立して制御することができるので、効率的な加熱及び冷却サイクル、並びに自由度を提供する。
磁気焼鈍は、標準の相補型金属酸化物半導体(CMOS)上に磁気抵抗ランダム・アクセス・メモリ(MRAM)チップを製造するのに必要とされる3つのプロセスのうちの1つである。MRAMウェハを正常に磁気焼鈍するには、冷却時に結晶が共通方向に向くために、十分に長い期間にわたって強磁性層を磁場中で所定の温度に保たなければならない。所定の温度で保たれた状態でウェハの酸化を防止するために、「ソーク」(ソーキング)とも呼ばれるプロセスが、不活性、還元、又は真空環境内で実施される。磁気焼鈍装置は通常、バッチ式で動作し、いくつかのステップを行う。それらは、加熱、ソーキング、及び冷却ステップを含み、これらのステップは、典型的には0.02〜7.0テスラの磁場中で実施される。MRAMチップ製造のコストは、磁気焼鈍装置に関連付けられ、生産性(1時間当たりに製造される合格デバイス)は、密度(ウェハ当たりのデバイスの数)と、スループット(1時間当たりのウェハ)と、熱/アニール・サイクル全体によって示される歩留まり(加工されたデバイスの総数に対する合格デバイスの比)との積である。
いくつかの磁気焼鈍システムが、従来技術で提案されている。いくつかのシステムでは、磁気焼鈍プロセスに関する加熱時間又は冷却時間が短縮される。しかし、これらのプロセスの加熱ステップと冷却ステップは、相容れないものであり、したがって焼鈍サイクルに悪影響を及ぼす。例えば、Yamaga他への米国特許第6303908号は、磁場中で熱処理を行う熱処理装置を開示する。装置は、真空容器と磁場発生器との間に配置される加熱器を有する。電気加熱器は、真空容器の外周面を取り囲むように配置され、流体冷却領域は、電気加熱器と磁場発生器との間に配置される。
Mack他への米国特許第6741804号(B2)は、電子デバイスの加工、及び基板を急速に加熱するための方法に関するものである。特に、この特許文献は、円筒形プロセス管を取り囲む円筒形ランプ配列構造体を開示する。ランプは、ランプの側面が長手方向中心軸線の方向に光エネルギーを集束させるように、円筒形プロセス管に対して位置決めされる。円筒形プロセス管内の基板は、長手方向中心軸線を有する。基板は、円筒形プロセス管内部で、基板の主面が長手方向中心軸線に対して実質的に垂直であるように向けられる。
Kawaseへの米国特許第6769908号(B2)は、ウェハ熱処理システムに関し、より詳細には、被膜形成プロセスによって単一ウェハを加工するランプ加熱単一ウェハ加工熱処理方法に関するものである。この特許文献は、加熱器とウェハとの間に中空空間を有する装置を開示する。加熱中、中空空間が排気され、それにより、ウェハ・チャンバをわたる外部への伝導による伝熱を防止する。冷却中、中空空間は、気体で急速に充填され、温度の降下及び後続の冷却をもたらす。
Melgaardの米国出願公開第2004/0218913号(A1)は、ワークピースの磁気及び非磁気熱処理のためのアニーリング・オーブンと、伝熱技法とを対象とする。オーブンは、着脱可能なラックが配置されるシェルを含む。ラックは、少なくとも1つのプレートを有し、このプレートは、プレートと接触し、加熱又は冷却流体を通すことができるプレート流体導管によって、加熱又は冷却することができる。内部にあるワークピースは、主に伝導及び放射伝熱によって加熱又は冷却される。
米国特許第6303908号明細書 米国特許第6741804号明細書 米国特許第6769908号明細書 米国出願公開第2004/0218913号明細書
従来技術システムに関する欠点のいくつかは、それらが、加熱及び冷却ステップを独立して且つ効率的に制御及び変更するのに十分な自由度をもたないことである。
従来技術の欠点を克服するために、本発明の目的は、磁気焼鈍装置内に配設されるプロセス・チャンバの効率的な加熱及び急速な冷却によって磁気焼鈍装置の熱切換えサイクルを短縮することである。
本発明の別の目的は、磁気焼鈍装置のプロセス・チャンバに影響を及ぼすプロセス・パラメータの個別及び独立制御を提供することである。
本発明のさらなる目的は、磁気焼鈍装置の要素チャンバに供給される気体の流量、温度、圧力、及び組成の独立制御を行なうシステム及びプロセスを提供することである。
本発明の他の目的及び態様は、本明細書、並びに本明細書に添付された図面及び特許請求の範囲を検討すれば当業者に理解されよう。
上記の目的は、本発明のシステム及び方法によって達成される。本発明の第1の観点によれば、磁気焼鈍装置のための熱切換えシステムが提供される。このシステムは、
(a)加工すべきワークピースを収容するためのプロセス・チャンバと、
(b)ワークピースを少なくとも部分的に取り囲む要素チャンバであって、1つ又は複数の電気抵抗加熱要素を含む要素チャンバと、
(c)要素チャンバ内の気体伝導を低減させるように要素チャンバを真空にするために、要素チャンバと流体連絡して真空引きを行なうための手段と、
(d)要素チャンバ内の気体伝導を増加させるために、要素チャンバと流体連絡する1つ又は複数の気体源と、
(e)要素チャンバを少なくとも部分的に取り囲むように配置された冷却チャンバと、
(f)冷却チャンバの外周部に配置された磁場を発生させるための手段と
を含む。
本発明の別の観点によれば、磁気焼鈍装置内で所定数のウェハを磁気焼鈍する方法が提供される。この方法は、
(a)磁気焼鈍装置のプロセス・チャンバ内にワークピースを装填するステップと、
(b)プロセス・チャンバを密閉し、それとは別に、プロセス・チャンバの周辺を少なくとも部分的に取り囲む要素チャンバを密閉し、任意選択で、一方又は両方のチャンバから真空引きを行なうステップと、
(c)ワークピースを周囲温度から焼鈍温度に急速に加熱するために、ステップ(b)の前、ステップ(b)の間、又はステップ(b)の後に、電気抵抗加熱要素の1つ又は複数の配列に通電するステップと、
(d)所定の期間にわたって焼鈍温度を保つステップと、
(e)冷却流体への伝熱によるワークピースの冷却を容易にするために、ステップ(d)での所定の期間の終了後に、要素チャンバ内の圧力を低(ソフト)真空又は粗(ラフ)真空まで上昇させるステップと、
(f)プロセス・チャンバを再加圧して、プロセス・チャンバからワークピースを取り出すステップと
を有する。
本発明の目的及び利点は、添付図面に関連付けた本発明の好ましい実施例の以下の詳細な説明から明らかになる。図面中、同じ符号は同じ機構を表す。
磁気焼鈍プロセスは、本質的には、磁場中で行われる熱サイクルである。加熱及び冷却ステップが、総サイクル時間の約50パーセント(%)以上を占める。本発明は、要素チャンバ(本明細書で説明する)に提供される気体の流量、温度、圧力、及び組成を、磁気焼鈍装置のプロセス・チャンバ又は冷却チャンバ内部の条件とは別個に制御できるようにすることにより、ワークピースの加熱および冷却の両方に関するサイクル時間を短縮する熱切換えシステムを提供する。例えば、要素チャンバ内を高真空に引くことによって、気体伝導による伝熱が小さくなるように低減され、それにより、冷却材への熱流の総流量が70〜95%減少できる。すなわち、要素チャンバ内の気体の圧力、流量、及び組成を制御することによって、冷却チャンバへの伝熱速度を制御することが可能である。これは、要素チャンバ内に熱スイッチ機構を提供し、この熱スイッチ機構は、主に気体伝導による冷却と、主に輻射による加熱との切換えを可能にし、それにより、加熱と冷却との両方に関する設計を実施できる。
図1を参照すると、磁気焼鈍装置100のための熱切換えシステムが例示される。プロセス・チャンバ101が、焼鈍装置100内に配置されており、熱サイクル/焼鈍サイクル中に複数のワークピース104を受け取って保持する。ワークピースは、ウェハ、MRAMチップ、巨大磁気抵抗ヘッド、ハード・ディスク・ドライブ、及び磁場中で焼鈍され得る任意の他のデバイスであってよいことが当業者には理解できる。ワークピースは、例えば、MRAMデバイスの製造で使用される半導体ウェハ、磁気トンネル接合デバイスの製造で使用されるウェハ、巨大磁気抵抗(GMR)センサ、高温での金属物体の磁化、磁性薄膜の消磁、及び磁場の影響下での焼鈍を必要とする他の物体を含むことができる。ワークピースは、ラック又は同様のデバイスに保持される。ワークピースが半導体ウェハである場合、それらは、ウェハが加工される際に、熱サイクルを効果的に行うために、好ましくは約3mm〜10mmの可変ピッチで配置される。プロセス・チャンバ101は、内部を高真空に引くための手段に接続される。この手段は、10−7〜10Torrの範囲の真空引きが可能な高真空若しくは高真空ポンプ及び/又は粗引きポンプを含む。例示の実施例では、粗引きポンプが、高真空又はハード真空ポンプと直列に利用される。粗引きポンプは、約10−3までの真空引きを行なうために採用され、高真空又はハード真空ポンプは、その後さらに10−7Torrまでの真空引きを行なうために採用される。粗引きポンプは、オイルシール・ポンプ又はドライ・ポンプから選択することができ、高真空又はハード真空ポンプは、ターボ・ポンプ、拡散ポンプ、低温ポンプ、又は所要の真空引きを行なうことが可能な任意の他のデバイスから選択することができる。
内部にいくつかの加熱組立部領域(106a〜106c)を有する要素チャンバ102が、プロセス・チャンバ101を少なくとも部分的に取り囲んでおり、加熱組立部領域は、個別に監視及び制御することができる。特定の実施例では、要素チャンバ102は、プロセス・チャンバ101のチャンバ壁118a及び118bの内部に密封することができる。要素チャンバ102は、密封されていてもそれにも関わらず、要素チャンバ内を高真空引きするための手段に流体接続される。この手段は、プロセス・チャンバ101に関して、上記のものを含むことができる。それとは別に、気体を要素チャンバ内に導入することができる。壁118bの外周に、冷却チャンバ/ジャケット103が配設されて、アニール・サイクル/プロセスで実施される加熱ステップの任意の1つの終了後にプロセス・チャンバからの熱の除去を可能にする。
磁場109を発生させるための手段が、約0.02〜7.0テスラの範囲の磁場を得るために、冷却チャンバ103の外周部に配置される。これらの手段は、永久磁石、超伝導磁石、又は横型超伝導磁石、及び電磁石を含む。
図1を再び参照すると、例示の実施例では、要素チャンバ102は、ターボ・ポンプ(図示せず)などのポンプに接続され、このポンプは、ライン112を通して高真空引きを行なうことが可能であり、気体伝導、すなわち気体媒体の熱伝導率を効果的に減少させるのに十分に低い圧力にして、それにより、熱要素から冷却チャンバの内壁への伝導を低減させる。熱伝導率の減少は、気体分子が、気体分子同士よりも要素チャンバの様々な壁と頻繁に衝突し始める圧力に一致する。任意の特定の理論によって束縛されることは望まないが、圧力が低下するにつれて、粒子間衝突の頻度が少なくなり、熱伝導率が減少すると考えられる。気体媒体の熱伝導率の減少が観察される圧力は一定値ではなく、要素チャンバ102内での、様々な表面間の平均距離に対する気体分子の平均自由行程の関数である。分子の平均自由経路は温度に依存する。要素チャンバ内で、加熱中の気体伝導を低減させるのに適した例示の圧力値は、10−4Torr程度である。また、要素チャンバは、ライン113を介して冷却気体の供給源に流体接続される。冷却気体が要素チャンバに供給されると、要素チャンバ内の圧力が増加し、それにより気体伝導伝熱が増加され、また、いくらかは対流伝熱が増加される。冷却チャンバへの伝熱速度は、要素チャンバが高真空中に保持される際の伝熱速度よりも約3〜20倍に増加される。
さらなる例示実施例では、真空の導入及び冷却気体の引込みは、単一のラインを通して達成することができる。供給される気体は、ヘリウム、窒素、アルゴン、圧縮乾燥空気、及びそれらの混合物から選択することができる。冷却気体は、その比較的高い熱伝導率および比熱容量により、ヘリウムが好ましい。要素チャンバ内の気体の圧力、流量、及び組成はそれぞれ、プロセス・チャンバから独立して変えることができる。冷却速度は、約1〜100slpmの範囲の気体流量、及び1〜1000Torrの気体圧力から独立している。組成は、要素チャンバと流体連絡する1つ又は複数の気体源を利用して、マニホールドを通して要素チャンバ又はプロセス・チャンバ内に前記気体を導入することによって変えられる。
要素チャンバ内、及びそれとは別にプロセス・チャンバ内での圧力(真空レベル)を制御するための適切な手段は、様々な気体流量(負荷)を使用する上流圧力制御によるもの、又はチャンバに送られる実効ポンピング速度を変えるために真空フォアラインでスロットル弁を使用する下流圧力制御によるものである。典型的な圧力制御システムは、圧力センサ、PID制御装置、流量制御弁などの制御要素を含む。上流圧力制御は、気体入口流量又はチャンバ圧力を測定するために使用されるBARATRON(商標)などの気体流量キャパシタンス・マノメータ又は質量流量計によって実現できる。測定デバイスからの信号は、PID制御装置に供給され、PID制御装置は、測定圧力又は流量を所望の設定値と比較し、それに従って気体流量制御弁を調節する。下流圧力制御は、チャンバに送られる実効ポンピング速度を変えるために真空フォアラインでスロットル弁を使用して実現される。複数の気体源を用いた圧力制御では、複数の質量流量制御装置が、圧力又は流量を調整するマスタPID制御装置の制御下におかれる。マスタPID制御装置は、所望の圧力を実現するように総流量を調節し、質量流量制御装置は、個々の気体それぞれの流量を調節して所望の混合物を得るか、又は気体源を選択する。
したがって、プロセス・チャンバ101が高真空状態に保たれたままで、粗真空又は低真空に相当する圧力で要素チャンバ102に気体を供給することが可能である。逆に、要素チャンバ102内を高真空に保ちながら、粗真空又は低真空に相当する圧力でヘリウムなどの気体をプロセス・チャンバ101内に導入することも可能である。
より具体的には、プロセス・チャンバ101は、要素チャンバ102から独立して制御される。プロセス・チャンバ101は、ライン110を介して、ターボ・ポンプなどの真空ポンプに接続される。熱サイクル/焼鈍サイクルの特定のプロセス・ステップ中にプロセス・チャンバが真空引きされ、気体は、ライン111を通して導入できる。要素チャンバ102と同様に、真空引き及び気体の引込みは、単一のラインを通して達成できることが企図されている。
要素チャンバ102と磁石手段109との間に配設される冷却チャンバ又はジャケットに、毎分約5〜10リットルの流量で、約20℃の温度で、チャンバを通して循環される冷却流体121が提供される。冷却チャンバは、要素チャンバ又は要素チャンバとプロセス・チャンバとの両方が伝導モードで作動している際(すなわち熱/アニール・サイクルの冷却段階中)に最大伝熱効率となるように構成され、35℃未満の外部温度を保つことによって磁石手段109の過熱を防止する。冷却チャンバ内で採用される冷却流体は、水、水とエチレングリコールとの50/50溶液、又は所要の冷却温度を提供する任意の流体を含むが、それらに限定されない。エチレングリコールが使用される場合、20℃よりも低い冷却温度を得ることができる。強制空冷を使用することもできる。この場合、冷却チャンバの外壁と磁場発生器との間に別の絶縁層が必要となる。
本発明の別の例示実施例では、図1を引き続き参照すると、プロセス・チャンバ101は、上部熱シールド114及び底部熱シールド115を、ワークピース積層体のそれぞれ上下に含む。好ましくは、焼鈍プロセスにおいて、ワークピースは、プロセス・チャンバの上部及び底部からほぼ等距離のプロセス・チャンバの中央に配設される。熱シールドにより、ワークピース積層体と、プロセス・チャンバの上部及び底部との間の軸線方向の伝熱が防止される。これらのシールドは、非磁性であるべきであり、好ましくは0.5以下の放射率を有する熱反射面を有する。特に、熱シールドは、主に半径方向でのワークピースからの熱の除去の助けとなる。半径方向伝熱は、積層体の均一な冷却を促進するので好ましい。他方、積層体内の連続するワークピース間の伝熱は、単一ワークピースに沿った伝導よりもはるかに効率が低い。例えば、熱が積層体の上部及び底部から軸線方向に除去される際、真空又は気体で充填された空間によって各ワークピースが分離されているので、冷却は不均一である。これらの媒質は、上部及び底部ワークピースよりも中央ワークピースからの熱流に対して熱抵抗を有するので、上部ワークピースが中央ワークピースよりも速い速度で冷却される。
ワークピースの均一な加熱は、要素チャンバ内の様々な加熱器要素のエネルギー及び制御を独立して提供することによって達成できる。特定の実施例では、加熱器要素は、3つの異なる領域(106a〜106c)に軸線方向に分割され、中央領域加熱器106(b)が、ワークピース・スタックと整列される。2つの端部領域加熱器106(a)及び106(c)は、それぞれ中央加熱器の上下に提供されて、独立して制御される。別の構成では、加熱器は、半径方向で別々の領域に分割することができ、例えばそれぞれ120°をカバーする3つの加熱器である。各加熱される領域へのパワー入力は、均一な加熱を実現するように別個に変えることができる。一般に、加熱器要素、熱流束プレート、及び内壁118(a)の熱質量は、所与の温度上昇のためのパワー入力、及び所与の温度降下のための熱除去を低減するように最小にすべきである。すなわち、ワークピースがシステム内での最大の熱質量体であることが望ましい。このようにすると、温度が不均一になる可能性が大幅に低減される。同様に、118(a)と118(b)との間のギャップが最小に保たれる。この理由は、これが、磁気手段に必要な穴(ボア)を最小にする働きをし、伝導モードの間、プロセス・チャンバと、加熱器要素と、冷却チャンバの内壁との間の伝導伝熱を最大にするからである。好ましくは、加熱器要素は、焼鈍温度を提供及び保守するのに十分な電気抵抗加熱器の配列から選択される。本明細書で用いられる場合、焼鈍温度は、製造されるデバイスに応じて、約200〜1000℃の範囲を取る。加熱器要素は、それらが中に置かれる強い磁場によって発生する力を打ち消すように巻かれる。
プロセス・チャンバ101は、壁118aを含み、壁118aは、加工されるワークピースを要素チャンバ102から分離する。チャンバ壁のために採用される材料は、半導体製造で使用するのに適した任意のタイプの材料とできる。好ましい材料は、高放射率、高熱伝導率、又は低熱容量、或いはそれらの組合せを有する材料である。典型的には、壁は、透明な214溶融シリカ・ガラス(すなわち石英)から製造され、これは0.78〜1000μmの電磁スペクトル波長(例えば赤外)に対して部分的に透明であり、或いは炭化珪素から製造され、これは高放射率及び熱伝導率を有する。例えば、100〜400℃の温度範囲でシリコン・ウェハを製造する際、石英壁又は管の透過率は、5〜12パーセントの範囲である。キルヒホッフの法則によれば、石英の放射率は、88〜95パーセントの範囲の値を取る。また、チャンバ壁は、ステンレス鋼材料であってもよい。ステンレス鋼は、石英又は炭化珪素よりも低い放射率を有するが、より薄くすることができ、それにより、磁石の穴を減少することに加えて総熱容量を減少する。さらに、ステンレス鋼は、石英又は炭化珪素では不可能な他の方法で溶接又は封止することができる。
チャンバ壁118aは、ワークピースを取り囲み、プロセス・チャンバ101と要素チャンバ102との間に障壁を形成する。チャンバ壁118aは、チャンバの上部及び底部でOリングを使用する着脱可能なガスケット・シールによって両端で封止された石英管の形態であってよく、それにより別個のプロセス・チャンバと要素チャンバとを形成する。さらに、石英管は、プロセス・チャンバの汚染を防止する働きをし、洗浄を容易にする。
加熱器要素106(a〜c)は、多くの方法で支持できる。例えば、要素チャンバは、熱流束プレート間に位置決めすることもでき、又はプロセス・チャンバの壁によって直接支持することもできる。本明細書の定義によれば、熱流束プレートは、それぞれ加熱器とプロセス・チャンバ及び冷却チャンバとの間の放射熱交換を促進する又は妨げるように、加熱器要素から発せられる熱流束を修正するプレートを表す。図2を参照すると、要素チャンバは、熱流束プレート119(a)及び119(b)を含み、熱流束プレート119(a)が、プロセス・チャンバ101、さらにその中に配設されたワークピースに面し、冷却チャンバ103に面する熱流束プレート119(b)よりも高い放射率を有する。熱流束プレート119(b)は、冷却チャンバ103を通って循環する冷却流体の過熱を防止し、熱流束プレート119(a)は、プロセス・チャンバ内に配設されたワークピースの均一な放射加熱を高める。熱流束プレートは、ステンレス鋼、又は熱サイクルに必要な放射率特性を与える任意の他の材料から製造できることを理解されたい。
冷却チャンバに面する熱流束プレート119(b)は、光沢のある反射面を提供するように研磨することができる。他方、プロセス・チャンバに面する熱流束プレート119(a)は、加熱サイクル中にそれ自体とプロセス・チャンバの壁との間の放射熱交換を促進するために、反射面を有するべきではない。冷却チャンバ103の内壁も研磨されることが好ましく、熱サイクルの加熱ステップ中に、それ自体と熱流束プレート119(b)との間の放射伝熱を妨げる。上述した措置の一方又は両方の結果、加熱器への所与のパワー入力に関して、放射モードでは、冷却ガスケットに伝達される供給エネルギー分が減少され、ワークピースに伝達されるエネルギー分が増加される。
別の実施例では、加熱要素は、プロセス・チャンバ101を取り囲むように位置決めされた自立構造体に配設される。この例では、図2を参照すると、加熱器要素は、熱流束プレート119(a)及び119(b)を有するステンレス鋼組立体内に密閉され、これらは、プロセス・チャンバ101から独立して気体を排気又はパージすることができる。プロセス・チャンバ101の雰囲気は、冷却チャンバ103の内壁と接触する。
加熱器支持体は、本発明の目的を実現するために多くの様式で修正することができる。一実施例では、内向きの熱流束プレート119(a)の放射率は、外向きの熱流束プレート119(b)に比べて大きくされる。別の実施例では、冷却チャンバ103の内面は、より低い放射率を提供するように研磨することができる。別法として、さらに別の実施例では、円筒形構成を有する研磨ステンレス鋼などのシートを、熱流束プレート119(b)と冷却チャンバ103の内面との間に配置することができる。さらなる例示実施例では、研磨アルミニウムなど反射材料の複数のシートを、熱流束プレート119(b)と冷却チャンバ103の内面との間に採用することができる。他の例示実施例も想定され、熱流束プレート119(a)が省かれ、要素チャンバ102又は加熱器106(a)〜(c)が、プロセス・チャンバ壁と接触して位置決めされる。熱流束プレート119(b)が、要素チャンバ102の支持体と組み合わされない自立熱シールドである。熱流束プレート119(b)が、多層絶縁体からなることができる。冷却チャンバ103の研磨内面が、熱流束プレート119(b)により置き換えられる。
また、本発明は、ワークピースの磁気焼鈍及び非磁気焼鈍のための方法を対象とする。本発明のプロセスの例示実施例は、結晶をある方向に向けるようにある温度で、ウェハなどワークピースの磁気焼鈍を実施することを含む。ワークピース110は、ある環境下でプロセス・チャンバ101内のラック上に配置され、要素チャンバ102は、伝熱の気体伝導モードが低減されるように高真空引きされる。一般に、要素チャンバの圧力は、10−4〜10−2Torrである。ワークピースは所定の温度に保たれ、磁場が手段109によって印加される。このステップは、ソーキングステップとも呼ばれる。冷却流体の流れが要素チャンバ内に導入され、それにより、絶対圧が低真空まで上昇される。要素チャンバ102内への気体の流れが開始されて、所望の冷却効果(すなわち、ワークピースから要素チャンバを通って冷却流体への伝熱)を実現する。さらに、要素チャンバ102の冷却により、ワークピースは、ワークピースを取り外しできるのに十分に低い温度になる。磁気ツールに関するプロセス条件のいくつかは、300℃での約45分の加熱、300℃で2時間のソーキング、約70分を超える100℃への冷却を必要とする。
加熱ステップ中、要素チャンバ102は、「真空絶縁体」として作用する。この熱遮蔽効果は、冷却チャンバ103に面する熱流束プレート119(b)よりも高い放射率を有する熱流束プレート119(a)を提供することによって促進される。冷却段階/ステップでは、要素チャンバ102の圧力は、ヘリウムなどの冷却気体の流れを導入することによって上昇される。圧力を上昇させると、真空絶縁効果が失われる。これは、気体熱伝導率が上昇して、それにより、プロセス・チャンバ101の内壁118aと冷却チャンバ103の内壁との間の対流及び伝導伝熱が大きくなるからである。したがって、ワークピースからプロセス・チャンバ壁118aを通って冷却チャンバ103内の流体に進むエネルギー伝達の速度は速い。このようにすると、冷却チャンバ103への伝熱は、加熱中に最小にされ、しかし冷却中に最大にされる。
熱サイクルを最小にする別の例示実施例では、図3を参照すると、いくつかのウェハ104が、ロボット・アームによってウェハ・カセットから取り外され、プロセス・チャンバ101内に配置される。プロセス・チャンバ101及び要素チャンバ102が密閉され、内部の雰囲気がポンプ・ダウンされる(すなわち、真空引きされる)。プロセス・チャンバは、加工されるワークピースに関する要件に応じて、約10−7〜約10−2Torrの範囲の高真空、約10−3〜10Torrの粗真空、又は約10Torr〜760Torrの低真空まで引くことができる。
要素チャンバ102は、10−1Torr未満、好ましくは10−2Torr未満の真空まで引かれる。この圧力は、気体伝導が低減されるのに十分に低い。その後、ウェハは、抵抗加熱器106(a)〜106(c)の配列によって、周囲温度から所望の焼鈍温度まで急速に加熱される。
次いで、ウェハ104は、約2時間の期間にわたって約150〜500℃の範囲内で焼鈍温度を保つことによってソーキングされる。ソーキングステップの終了後、加熱器へのパワーが切断され、要素チャンバ102内の圧力が、要素チャンバ102を通して気体を流すことによって上昇される。他方、プロセス・チャンバ101は、焼鈍プロセスの特定の性質に応じて、不活性又は還元雰囲気内で真空に保たれることができ、或いは不活性又は還元気体の流れでパージされることができる。次いで、ウェハが、プロセス・チャンバから取り外されるのに十分に低い温度まで冷却される。この温度を達成すると、プロセス・チャンバが再加圧され、ウェハが取り外される。
本発明の様々なプロセスを、以下の例を参照しながらさらに詳細に説明する。しかし、以下の例は、本発明を限定するものとみなされるべきでない。
「実施例」
本明細書で説明する特定のプロセスは、本発明のシステムの利用に関わり、不活性又は還元(すなわち非酸化)雰囲気が、焼鈍サイクル/プロセスにおける任意の段階でプロセス・チャンバに導入されることができる。例えば、加熱及びソーキングプロセスは、高真空中で実施でき、冷却ステップは、低真空中、粗真空中、或いは不活性又は還元雰囲気を導入することによって正圧(すなわち760Torrよりも高い圧力)中で実施できる。プロセス条件は、焼鈍サイクル/プロセスに応じて変わる。プロセス・チャンバ内の温度は、200〜1000℃の範囲を取り、圧力は、高真空(例えば10−7Torr)から雰囲気条件(例えば760Torr)の範囲を取る。ワークピースは、不活性雰囲気、還元雰囲気、又は真空中で処理できる。採用される気体は、水素、ヘリウム、窒素、アルゴン、又はそれらからの任意の混合物であってよい。冷却ステップ内に含まれる(すなわち、要素チャンバ内に導入される)気体は、圧縮気体及びそれらの混合物を含む。
図4を参照すると、15個のプロセス・サイクル/方策が示される。全てのプロセスで、ウェハは、プロセス・チャンバ内に装填され、その中に密閉される。図4Aに示されるように、5つのプロセス・サイクルが示される。加熱及びソーキングステップ中にプロセス・チャンバが高真空に引かれ、冷却ステップ中に低真空又は正圧が導入される。他方、要素チャンバは独立して制御され、焼鈍されるワークピースに依存する所定の期間の後、ヘリウム気体が利用されて、要素チャンバ内の圧力を高真空から低真空、粗真空、又は正圧に上昇させ、それによりウェハと冷却流体との間の伝熱を容易にする。図4Aを検討すると、ヘリウム気体は、(a)ソーキングステップの前、(b)ソーキングステップの開始時、(c)ソーキングステップ中、(d)冷却ステップの開始時、及び冷却ステップ中に導入できることに留意されたい。
図4Bを参照すると、5つのサイクルの各1つにわたってプロセス・チャンバが高真空に引かれる。これらのプロセス・サイクルでは、ヘリウムは、(a)ソーキングステップの前、(b)ソーキングステップの開始時、(c)ソーキングステップ中、(d)冷却ステップの開始時、及び冷却ステップ中にプロセス・チャンバ内に導入される。
第3のプロセス・サイクルでは、プロセス・チャンバ内に低真空又は正圧気体が導入され、それとは別に、要素チャンバが高真空に引かれる。その後、図4Cに示されるように、低真空又は正圧ヘリウムが、(a)ソーキングステップの前、(b)ソーキングステップの開始時、(c)ソーキングステップ中、(d)冷却ステップの開始時、及び冷却ステップ中に要素チャンバ内に導入される。
前述のプロセスの任意の1つの終了後、プロセス・チャンバは再加圧されて、ウェハの装填が解除される。
本発明のシステムでの上述したプロセスの実施により、全体のサイクルは、10〜30パーセント短縮される。
本発明を、本発明の具体的な実施例を参照して詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な変形及び修正を施すことができ、等価な形態を採用することができることを当業者は理解されよう。
磁気焼鈍装置のための熱切換えシステムの概略図。 切換えシステムの上部断面斜視図。 熱プロセス/焼鈍プロセスと、プロセス温度及び圧力プロファイルとを順次に示す図。 本発明の熱切換えシステムを用いて実施される5つの別個の熱プロセス/焼鈍プロセス/方策を示す図。 本発明の熱切換えシステムを用いて実施される5つの別個の熱プロセス/焼鈍プロセス/方策を示す図。 本発明の熱切換えシステムを用いて実施される5つの別個の熱プロセス/焼鈍プロセス/方策を示す図。

Claims (7)

  1. 磁気焼鈍装置のための熱切換えシステムにおいて、
    (a)加工すべきワークピースを収容するためのプロセス・チャンバと、
    (b)前記ワークピースを取り囲む要素チャンバであって、1つ又は複数の電気抵抗加熱要素を含む要素チャンバと、
    (c)前記要素チャンバ内の気体伝導を低減させるように前記要素チャンバを真空にするために、前記要素チャンバと流体連絡して真空引きを行なうための手段と、
    (d)前記要素チャンバと流体連絡する1つ又は複数の気体源と、前記要素チャンバ内の気体伝導を増加させるために前記要素チャンバ内に気体を導入するための手段と、
    (e)前記要素チャンバを取り囲むように配置された冷却チャンバと、
    (f)前記冷却チャンバの外周部に配置された、磁場を発生させるための手段と
    (g)第1の熱流束プレートおよび第2の熱流束プレートと
    備え、前記要素チャンバが、前記プロセス・チャンバを取り囲み、前記第1の熱流束プレートが、前記プロセス・チャンバと前記電気抵抗加熱要素との間に配置され、前記第2の熱流束プレートが、前記冷却チャンバと前記電気抵抗加熱要素との間に配置されており、前記第1の熱流束プレートが、前記第2の熱流束プレートよりも高い放射率を有する、熱切換えシステム。
  2. 前記ワークピースの放射加熱の促進と伝導冷却の促進とを切り換えるために、前記要素チャンバと流体連絡して、異なる気体流量、異なる気体の組成、及び異なる気体圧力を制御する少なくとも1つの手段をさらに備える請求項1に記載された熱切換えシステム。
  3. 前記プロセス・チャンバと流体連絡して、異なる気体流量、異なる気体の組成、及び異なる気体圧力を制御する少なくとも1つの手段をさらに備える請求項1に記載された熱切換えシステム。
  4. 前記プロセス・チャンバを真空にするために、前記プロセス・チャンバと流体連絡して真空引きを行なうための手段をさらに備える請求項1に記載された熱切換えシステム。
  5. 前記要素チャンバの真空引きを行なうための手段と、前記プロセス・チャンバの真空引きを行なうための手段とが同じである請求項4に記載された熱切換えシステム。
  6. 前記プロセス・チャンバと流体連絡する気体源と、前記プロセス・チャンバ内の気体伝導を増加させるために前記プロセス・チャンバ内に気体を導入するための手段とをさらに備える請求項4に記載された熱切換えシステム。
  7. 前記プロセス・チャンバ内に導入すべき気体が、前記要素チャンバ内に導入すべき気体と同じである請求項6に記載された熱切換えシステム。
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