JP4959455B2 - 建物の機器制御システム - Google Patents

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Description

本発明は、建物内に構築された通信ネットワークに設備機器を接続し、その設備機器の運転制御を実行する建物の機器制御システムに関するものである。
従来から、携帯通信デバイスを用いて建物内の設備機器の運転制御を実行しようとする技術が各種提案されている。例えば、建物内に敷設されたホームネットワーク上に複数の中継装置を設けるとともに、その中継装置に双方向通信可能にネットワーク機器を接続したホームネットワークシステムにおいて、ユーザにより携帯され個人識別情報を保持する携帯通信デバイスから、個人識別情報等を中継装置が受信し、その受信結果に基づいてネットワーク機器の制御を実行するようにした技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−244776号公報
しかしながら、上述した従来技術では、建物内において携帯通信デバイスを持ち歩くことを条件に、移動先の部屋でネットワーク機器の自動運転が可能となる。したがって、建物内においてユーザが携帯通信デバイスを常に携帯しなければならず、面倒であるという不都合が生じる。
本発明は、携帯通信デバイスを持ち歩かなくても、建物内の設備機器をユーザに合わせて運転させることができ、利便性を大いに向上させることができる建物の機器制御システムを提供することを主たる目的とするものである。
以下、上記課題を解決するのに有効な手段等につき、必要に応じて作用、効果等を示しつつ説明する。なお以下では、理解を容易にするため、発明の実施形態において対応する構成例を括弧書き等で適宜示すが、この括弧書き等で示した具体的構成に限定されるものではない。
手段1.建物内に構築された通信ネットワークに設備機器(機器A1〜A3等)が接続され、その設備機器の運転制御を実行する建物の機器制御システムにおいて、
ユーザ識別情報(スマートユーザID)を記憶する携帯通信デバイス(スマートキー30)がデバイス装着装置(スマートキーステーション40)に装着された状態で、前記携帯通信デバイスから前記ユーザ識別情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段から取得したユーザ識別情報を基にユーザを特定するとともに、その特定したユーザについて、前記通信ネットワーク上で使用可能となるネットワークユーザ情報(ネットワークユーザID)を生成する情報生成手段と、
を備え、
前記情報生成手段により生成したネットワークユーザ情報を基に、前記設備機器の運転制御を実行することを特徴とする建物の機器制御システム。
手段1によれば、携帯通信デバイスがデバイス装着装置に装着された状態で、携帯通信デバイスに記憶されているユーザ識別情報を基にネットワークユーザ情報が生成され、そのネットワークユーザ情報を基に設備機器の運転制御が実行される。この場合、建物内において携帯通信デバイスをユーザが持ち歩かなくても、通信ネットワークを通じて設備機器の運転制御を実行することができる。ネットワークユーザ情報は、ユーザ識別情報と同様に、ユーザ個人を特定するものであり、当該ユーザに合わせた機器制御が実現できる。また、携帯通信デバイスを利用して建物内の設備機器の運転制御を実行しようとする場合、設備機器ごとに、携帯通信デバイスとの無線通信を可能とする無線通信機能を付加する等の必要が生じるが、本発明によれば、こうした付加的な構成を設けなくとも、所望とする設備機器の運転制御が実現できる。その結果、携帯通信デバイスを持ち歩かなくても、建物内の設備機器をユーザに合わせて運転させることができ、利便性を大いに向上させることができる。
手段2.前記情報生成手段は、前記ネットワークユーザ情報を生成する際、前記携帯通信デバイスに記憶されているユーザ識別情報を無効化する手段1に記載の建物の機器制御システム。
手段2によれば、ネットワークユーザ情報が生成された場合に、携帯通信デバイスに記憶されているユーザ識別情報が無効化され、これに伴い、携帯通信デバイスによる対応機器の無線操作等が不可となる。
要するに、携帯通信デバイスに記憶されるユーザ識別情報と、通信ネットワーク上で生成されるネットワークユーザ情報とはいずれも同一ユーザに関する情報であるが、それら各情報が同時に有効化されることが許容されると、情報管理が不十分になり、セキュリティ上の不都合が生じるおそれがある。例えば、仮にユーザ識別情報が有効なまま携帯通信デバイスが紛失したりしても、ネットワークユーザ情報が有効であればユーザがそれに気付かない可能性もある。この点、手段2によれば、ネットワークユーザ情報が生成される場合に携帯通信デバイスのユーザ識別情報が無効化されるため、同一ユーザを特定する2つの情報(ユーザ識別情報、ネットワークユーザ情報)が同時に有効になることはなく、情報管理が不十分になるといった不都合が解消される。
手段3.前記携帯通信デバイスを前記デバイス装着装置から離脱させる際に、前記ネットワークユーザ情報を無効化するとともに、その無効化するネットワークユーザ情報に対応するユーザ識別情報を前記携帯通信デバイスに再登録する再登録手段を備える手段2に記載の建物の機器制御システム。
手段3によれば、ネットワークユーザ情報が一旦生成された後に、再び携帯通信デバイスのユーザ識別情報を有効化する場合において、同一ユーザを特定する2つの情報(ユーザ識別情報、ネットワークユーザ情報)が同時に有効にならないようにすることができる。これにより、上記のとおり情報管理が不十分になるといった不都合が解消される。また、ユーザ識別情報を再登録する際、そのユーザ識別情報はネットワークユーザ情報に対応するものであるため、再登録後のユーザ識別情報を同一ユーザで不変(同一情報)にすることができる。これにより、ユーザ識別情報に付随する各種情報(ユーザが使用した機器の運転履歴等)を適正に使い回すことができる。例えば、ユーザが外出しようとしている場合には、携帯通信デバイスがデバイス装着装置から離脱され、上記のとおりユーザ識別情報の再登録(ダウンロード)が行われる。
手段4.複数の携帯通信デバイスを使用可能とするシステムであり、
前記再登録手段は、前記複数の携帯通信デバイスから1つの携帯通信デバイスを選択し、その選択した携帯通信デバイスに対して前記ユーザ識別情報の再登録を実行する手段3に記載の建物の機器制御システム。
手段4によれば、複数の携帯通信デバイスからユーザが望むものを選択して使用することが可能となる。例えば、形状、色、機能等が異なる複数の携帯通信デバイスが存在する場合に、ユーザ識別情報を変えることなく(すなわち、同一のユーザ識別情報を使いながら)、各携帯通信デバイスを都度使い分けることができる。このとき、入力操作装置へのユーザの選択操作に伴い携帯通信デバイスが選択されるとよい。
手段5.建物内において前記デバイス装着装置とは異なる場所に設置される複数の中継装置(中継操作盤50)を前記通信ネットワークに接続し、その中継装置により、同一の部屋又は同一エリア内に存在する設備機器の運転状態を制御する機器制御システムであり、
前記中継装置が設けられた部屋又はエリアのいずれかをユーザの移動先であると指定する移動先指定手段と、
前記移動先指定手段により指定された部屋又はエリアの中継装置に対して、前記設備機器の運転に関する現時点以前の履歴情報を送信する履歴情報送信手段と、
を備え、
前記中継装置は、前記ネットワークユーザ情報が有効となっている状態で、前記履歴情報送信手段により送信される履歴情報に基づいて設備機器の運転状態を制御する手段1乃至4のいずれか1つに記載の建物の機器制御システム。
手段5によれば、ユーザが携帯通信デバイスをデバイス装着装置に装着した後に建物内を移動する場合において、移動先の部屋又はエリアに設けられた中継装置を使って、その移動先の部屋又はエリアの設備機器を好適に運転させることができる。この場合、移動先の部屋又はエリアでは、現時点以前の履歴情報に基づいて設備機器の運転状態が制御されるため、移動先でも移動元と同様の状態で設備機器を運転させることができる。例えば、照明器具の明るさを同じ明るさに調整したり、エアコン(空調装置)を同じ設定温度で運転させたり、テレビを同じ番組チャンネルとしたりすることができる。これにより、ユーザにとっての利便性を大いに向上させることができる。
なお、移動先指定手段は、入力操作装置へのユーザの選択操作に伴い移動先の部屋又はエリアを指定するとよい。又は、移動先指定手段は、あらかじめ定められたユーザの行動パターンに基づいて移動先の部屋又はエリアを指定するとよい。
手段6.前記中継装置は、ユーザの移動先である指定を受けた後、同一の部屋又は同一エリア内に存在する設備機器を待機運転させる手段5に記載の建物の機器制御システム。
手段6によれば、指定した部屋又はエリアにユーザが実際に移動する前に設備機器を待機状態で運転させることができる。これにより、移動先の部屋又はエリアにユーザが到着した時点で、すぐさま設備機器を所望の状態で運転させることが可能となり、快適性が高められる。例えば、待機運転として、移動先の部屋又はエリアの照明器具を低照度で点灯させたり、エアコンを準備運転させたりするとよい。
手段7.前記携帯通信デバイスは、前記デバイス装着装置に対して未装着の状態で、前記設備機器の運転に関する情報を記憶保持可能であり、
前記履歴情報は、前記携帯通信デバイスが前記デバイス装着装置に装着された状態で、前記携帯通信デバイスから取得される情報である手段5又は6に記載の建物の機器制御システム。
手段7によれば、デバイス装着装置に未装着の状態で、携帯通信デバイスによって設備機器の運転に関する情報が記憶保持される。そして、その情報が、移動先の部屋又はエリアの設備機器の運転に関する履歴情報として利用される。つまりこれにより、ユーザが携帯通信デバイスを携帯して使用し、その後、同携帯通信デバイスをデバイス装着装置に装着する場合において、デバイス携帯時と同じ状況で設備機器を運転させることが可能となる。
なお、例えば、自動車内に携帯通信デバイスを持ち込んでいる場合に車載エアコンの設定温度や、視聴していた楽曲を記憶し、その後、前記記憶した情報を携帯通信デバイスからデバイス装着装置や中継装置に送信する。これにより、自動車内から建物内などへユーザが移動しても、設備機器を好適に運転させることができる。
手段8.前記履歴情報は、ユーザの移動元の部屋又はエリアに設けられた前記中継装置から取得される情報である手段5乃至7のいずれか1つに記載の建物の機器制御システム。
手段8によれば、移動元の部屋又はエリアの中継装置から移動先の部屋又はエリアの中継装置に対して、その移動元の部屋又はエリアの設備機器についての運転状態を履歴情報として送信ことが可能となる。したがって、ユーザが建物内の部屋間を移動したりする場合に、移動先の部屋等で移動元の部屋等と同じ状況で設備機器を運転させることが可能となる。
手段9.前記移動先指定手段により指定した部屋又はエリアに既に他のユーザがいる場合には、前記他のユーザを優先して前記設備機器の制御を実行する手段5乃至8のいずれか1つに記載の建物の機器制御システム。
手段9によれば、複数のユーザが同じ部屋又はエリアにいる場合にも、設備機器を混乱無く制御することができる。上記構成では、該当する部屋等に先にいるユーザが優先されるため、その先のユーザが望む状態を維持することができる。
手段10.前記移動先指定手段により指定した部屋又はエリアに既に他のユーザがいる場合には、あらかじめ定めたユーザごとの優先順位に基づいて前記設備機器の制御を実行する手段5乃至8のいずれか1つに記載の建物の機器制御システム。
手段10によれば、複数のユーザが同じ部屋又はエリアにいる場合にも、設備機器を混乱無く制御することができる。上記構成では、優先上位のユーザを優先して設備機器を運転させることができ、その優先上位のユーザが望む状態を維持することができる。
手段11.前記中継装置は、ユーザの生体情報を取得し、同生体情報に基づいてユーザの認証を行う生体認証手段を具備する手段5乃至10のいずれかに記載の建物の機器制御システム。
手段11によれば、中継装置が生体認証手段を具備する構成では、携帯通信デバイスを使わなくてもユーザの認証が可能となる。これにより、例えば移動先の部屋又はエリアにおいて中継装置を誰が操作したかを容易に特定できる。
手段12.前記設備機器は、前記携帯通信デバイスの持ち込みが不適な環境の空間内に設けられた機器である手段1乃至11のいずれか1つに記載の建物の機器制御システム。
例えば浴室やサウナルームは、高温多湿な環境であり、携帯通信デバイスの持ち込みが不適な環境の空間であると言える。ゆえに、携帯通信デバイスが例えば防水構造となっていなければ、浴室やサウナルームに同デバイスを持って入ることができない。この点、上記のとおり携帯通信デバイスをデバイス装着装置に装着した状態で設備機器の運転制御を実行できれば、携帯通信デバイスの持ち込みが不適な環境の空間であっても、同空間内の設備機器を好適に運転させることができる。
手段13.前記携帯通信デバイスを前記デバイス装着装置から離脱させる際に、前記デバイス装着装置側から前記携帯通信デバイスに対して、前記設備機器の運転に関する履歴情報を送信する手段1乃至12のいずれか1つに記載の建物の機器制御システム。
手段13によれば、携帯通信デバイスをデバイス装着装置に装着した状態で使用した後に、これに代えて、ユーザが携帯通信デバイスを携帯して使用する場合において、建物内の設備機器の運転に関する履歴情報を建物外に持ち出すことができる。これにより、例えば、ユーザが携帯通信デバイスを自動車で使う場合に、前記履歴情報を当該自動車において利用することができる。
(第1の実施形態)
以下、本発明を具体化した第1の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態では、住宅の玄関ドアや自動車のドア等を遠隔操作により施解錠できるスマートキーシステムにおいて、同システムで使用されるスマートキーデバイス(携帯装置)を住宅内のネットワークシステムでも有効に使用し、住宅内機器等の運転状態等を好適に制御できるものとしている。図1は本システムの概要を示す構成図である。
図1のシステム構成図において、玄関ドアロック装置10は、玄関ドアの施解錠制御を行う装置であり、アンテナや無線通信回路を有してなる無線部11と、マイクロコンピュータ等を有してなる制御部12と、電気錠装置を有してなる駆動部13とを備えている。無線部11は、ユーザにより携帯されるスマートキー30との間で無線通信を可能とするものであり、玄関ドアを中心とする所定距離範囲内が通信エリアとなっている。制御部12は、無線部11により受信された受信情報に基づいてユーザ認証を行い、そのユーザ認証の結果に応じて駆動部13を駆動させて玄関ドアの施解錠を実行する。
具体的には、玄関ドアロック装置10は、無線部11から定期的にリクエスト信号を送信し、これに対し、スマートキー30は、リクエスト信号の受信エリアに進入した際にリクエスト信号に応答してスマートID信号(後述するデバイスIDやスマートユーザID)を送信する。そして、玄関ドアロック装置10は、スマートキー30から送信されるスマートID信号を受信すると、そのスマートIDが正規IDかどうかを判定し、正規IDであれば駆動部13を駆動させて自動で玄関ドアの施錠又は解錠を実行する。
また、車両ドアロック装置20は、車両ドアの施解錠制御を行う装置であり、アンテナや無線通信回路を有してなる無線部21と、マイクロコンピュータ等を有してなる制御部22と、電気錠装置を有してなる駆動部23とを備えている。無線部21は、ユーザにより携帯されるスマートキー30との間で無線通信を可能とするものであり、車両ドアを中心とする所定距離範囲内が通信エリアとなっている。制御部22は、無線部21により受信された受信情報に基づいてユーザ認証を行い、そのユーザ認証の結果に応じて駆動部23を駆動させて車両ドアの施解錠を実行する。
具体的には、車両ドアロック装置20は、無線部21から定期的にリクエスト信号を送信し、これに対し、スマートキー30は、リクエスト信号の受信エリアに進入した際にリクエスト信号に応答してスマートID信号を送信する。そして、車両ドアロック装置20は、スマートキー30から送信されるスマートID信号を受信すると、そのスマートIDが正規IDかどうかを判定し、正規IDであれば駆動部23を駆動させて自動で車両ドアの施錠又は解錠を実行する。
本実施形態では、上述した玄関ドアロック装置10と車両ドアロック装置20とがスマートキー対応機器に該当する。
スマートキー30は、ユーザ(住宅の住人)ごとに所持されるキー型の携帯通信デバイス(小型携帯装置)であり、アンテナや無線通信回路を有してなる無線部31と、各種情報を記憶するメモリ32とを備えている。メモリ32には、スマートキー30ごとに設定されるキー固有情報(以下、「デバイスID」という)と、スマートキー30を使用するユーザに合わせて設定されるユーザ識別情報(以下、「スマートユーザID」という)とが記憶されている。スマートキーIDは書き換え不可の固定IDであるのに対し、スマートユーザIDは書き換え可能な可変IDとなっている。すなわち、スマートユーザIDは、後述するスマートキーステーション40からの書き換え要求に伴い適宜書き換えられるものとなっている。
また、スマートキー30のメモリ32には、同スマートキー30を携帯して使用する最中に各種の情報が記憶されるようになっている。例えば、自動車内にスマートキー30を持ち込んでいる場合に車載エアコンの設定温度や、視聴していた楽曲がスマートキー30のメモリ32に記憶される。これらの情報は、住宅内の設備機器を運転する際に利用される情報であり、「建物内機器の運転に関する情報」に相当する。
住宅内にはホームネットワークが構築されており、同ネットワークによるホームネットワークシステムとして、スマートキーステーション40と、複数の中継操作盤50と、各中継操作盤50に接続される機器群A,B,C等とが設けられている。スマートキーステーション40と複数の中継操作盤50とはネットワーク線L1により双方向に通信可能に接続され、中継操作盤50と機器群A〜Cの各機器とはネットワーク線L2により双方向に通信可能に接続されている。
スマートキーステーション40は、スマートキー30が装着(セット)されることで同スマートキー30に対して電気的に接続され、その接続状態にて本ネットワークシステム上で使用するネットワークユーザ情報(以下、「ネットワークユーザID」という)の生成や、各種機器の自動制御等を実行するものとなっている。スマートキーステーション40は、スマートキー30との電気的な接続を行う接続端子部41と、マイクロコンピュータ等を有してなる制御部42と、タッチパネル等よりなる操作表示部43と、スマートキー30の電源部に対して充電を行う充電部44とを備えている。
接続端子部41は、スマートキーステーション40のキー装着部にスマートキー30が装着(セット)されることでスマートキー30側の端子部に電気的に接続されるものであり、この端子部41を通じてスマートユーザID等、各種情報の授受が行われる。制御部42は、スマートキー30や中継操作盤50との間で行われる各種情報の授受や、中継操作盤50に対する制御指令信号の出力などを実行する。
操作表示部43は、タッチパネルディスプレイに操作メニューや住宅内の間取り図を表示するとともに、そのタッチパネルディスプレイの画面タッチに伴いユーザによる入力操作を受け付けるものとなっている。この操作表示部が入力操作装置に相当する。
充電部44は、スマートキー30が接続端子部41に電気的に接続されている状態で、スマートキー30の電源部に対して充電を実行する。
図3にはスマートキーステーション40の概略構成を示す。図3に示すように、スマートキーステーション40は、直方体状の筐体101を有し、その筐体101の上面には複数の挿入スロット102(キー装着部に相当)が形成されている。各挿入スロット102にはスマートキー30が挿入可能となっており、挿入スロット102にスマートキー30が挿入(装着)されることで、スマートキー30とスマートキーステーション40との電気的な接続がされるようになっている。各挿入スロット102には「1,2,3,4」等のスロット番号が付されている。挿入スロット102内に接続端子部41が設けられている。なお、各挿入スロット102は、住宅内におけるスマートキー30の保管場所にもなっている。
筐体101の前面には、上述した操作表示部43を構成するタッチパネルディスプレイ103が設けられている。
図1の説明に戻り、中継操作盤50は、マイクロコンピュータ等を有してなる制御部51と、タッチパネル等よりなる操作表示部52とを備えている。中継操作盤50は、例えば各部屋に設けられる照明スイッチパネルに一体に設けられる。制御部51は、スマートキーステーション40の制御部42からの制御指令信号に基づいて各種制御を行うものであり、同指令信号に基づいて、当該中継操作盤50に接続されているそれぞれの機器群A〜Cを対象として運転制御を実行する。
また、操作表示部52は、タッチパネルディスプレイに操作メニューや住宅内の間取り図を表示するとともに、そのタッチパネルディスプレイの画面タッチに伴いユーザによる入力操作を受け付けるものとなっている。
機器群A〜Cは、いずれか1つの中継操作盤50と同じ部屋、又は同中継操作盤50を含む同一エリアに設置される機器を同一群として分類される制御対象機器であり、例えば機器群Aには機器A1,A2,A3が含まれ、機器群Bには機器B1,B2,B3が含まれ、機器群Cには機器C1,C2,C3が含まれる。
図2には、住宅内におけるホームネットワークシステムの具体的構成例を示す。図2において、住宅の玄関部R1には、スマートキーステーション40が設置されており、部屋R2,R3にはそれぞれ中継操作盤50が設置されている。また、部屋R2には、機器A1〜A3として、照明機器(A1)、エアコン(A2)、テレビ(A3)が設置され、部屋R3には、機器B1〜B3として、照明機器(B1)、エアコン(B2)、テレビ(B3)が設置されている。その他、機器としてオーディオ機器等が設置されていてもよい。なお、1つの中継操作盤50で統括管理される機器群は、同じ部屋内に存在する機器だけでなく、周辺エリア内に存在する機器を含んでもよい。
各部屋の機器は、ユーザが他の部屋から移動してくるまでの待機期間においてスマートキーステーション40からの指令に従い待機運転状態とされるとともに、ユーザが到着した後は同スマートキーステーション40からの指令に基づいて運転状態が制御される。具体的には、照明機器に関しては明るさが自動調整される。エアコン(空調装置)に関しては、冷房、暖房、除湿等の運転モードや、室内温度、風量等が自動調整される。テレビに関しては、電源のオン/オフや音量、番組チャンネル等が自動調整される。
次に、スマートキーステーション40の機能について詳細に説明する。
(1)ネットワークユーザIDの生成機能
ユーザがスマートキー30を携帯して使用する場合には、同スマートキー30のメモリ32に記憶されている「スマートユーザID」が有効化されるのに対し、スマートキーステーション40にスマートキー30を装着した場合には、同スマートキー30のスマートユーザIDが無効化され、その代わりにスマートキーステーション40において「ネットワークユーザID」が有効化される。
例えば、ユーザが外出先から帰宅してスマートキー30をスマートキーステーション40に装着した場合に、ネットワークユーザIDが生成される。そのネットワークユーザIDの生成に関する具体的動作を図4に基づいて説明する。図4には、スマートキー30側の動作とスマートキーステーション40側の動作とを左右に分けて図示している。
図4に示すように、スマートキー30がスマートキーステーション40に装着されると(S11)、それをスマートキーステーション40側で認識し、スマートキー30のメモリ32に記憶されているデバイスIDとスマートユーザIDとを読み取る(S12)。
その後、それらデバイスIDとスマートユーザIDとに基づいてスマートキー30の認証を行う(S13)。このとき、デバイスID及びスマートユーザIDがスマートキーステーション40側で登録されている正規IDであるか否かを判定し、正規IDであれば、スマートユーザIDに基づいてユーザを特定する(S14)。また、その特定したユーザに対応づけてネットワークユーザIDを生成する(S15)。これにより、ホームネットワーク上においてネットワークユーザIDが有効化される。
これに引き続き、スマートキーステーション40からスマートキー30への指令により、スマートキー30においてメモリ32に記憶されているスマートユーザIDを消去する(S17)。これにより、スマートユーザIDが無効化され、スマートキー30による対応機器の無線操作が不可の状態となる。
デバイスID及びスマートユーザIDが正規IDでない場合には、処理を中断し、その旨をユーザに通知する(S16)。具体的には、操作表示部43にエラーメッセージを表示する。
なお、上記図4に示すスマートキーステーション40の各動作(S12〜S16)は、同スマートキーステーション40の制御部42により実現される。
(2)機器制御機能
上記のごとくネットワークユーザIDが生成された状態では、スマートキーステーション40を中枢として、各中継操作盤50を介して住宅内の各機器の自動制御が実行される。その詳細を説明する。
例えば、ユーザが、玄関部R1でスマートキー30をスマートキーステーション40に装着した直後に部屋R2,R3等に移動する場合を想定する。かかる場合、スマートキーステーション40の表示操作部43に対するユーザの入力操作によりユーザの移動先指定が行われると、スマートキーステーション40が、その移動先(例えば部屋R2又はR3)の中継操作盤50に対して制御指令信号を送信する。このとき、制御指令信号には、スマートキー30においてスマートキーステーション40に装着する以前に取得された情報、特に部屋R2,R3等の機器の運転に関する現時点以前の履歴情報が含まれる。例えば、部屋R2,R3等にエアコンやオーディオ機器が設置されている場合に、自動車内のエアコンの設定温度や、自動車内で視聴していた楽曲などの情報が送信される。なお、表示操作部43には住宅の間取り図が表示され、その間取り図上の所定の部屋をタッチすることで、移動先が選択指定される。
そして、中継操作盤50は、スマートキーステーション40からの制御指令信号に基づいて各機器を制御する。このとき、中継操作盤50は、ユーザが到着するまでの間において各機器を待機状態にしたり、ユーザの到着後、そのユーザに合わせた運転制御を実行したりする。
スマートキー30から送信される情報(例えば自動車内で取得した運転履歴情報)を各機器の運転制御に利用することにより、ユーザがスマートキー30を携帯して使用し、その後、同スマートキー30をスマートキーステーション40に装着する場合において、スマートキー携帯時と同じ状況で設備機器を運転させることが可能となる。
なお、ユーザごとに行動パターンに登録しておき、その行動パターンに合わせて移動先の部屋を自動で(すなわち、ユーザの入力操作無しで)指定することも可能である。例えば、行動パターンとして時間帯に応じて移動先を定めておき、帰宅時間であれば、自分の部屋を移動先として指定する。
一方、ユーザが、ある部屋(移動元の部屋)から他の部屋(移動先の部屋)へ移動する場合を想定する。かかる場合、移動元の部屋内において中継操作盤50の表示操作部52に対するユーザの入力操作によりユーザの移動先指定が行われると、その移動先指定がスマートキーステーション40の制御部42にて認識され、スマートキーステーション40は、移動元の部屋における各機器の運転状態等を取得し履歴情報として記憶する。なお、表示操作部52には住宅の間取り図が表示され、その間取り図上の所定の部屋をタッチすることで、移動先が選択指定される。中継操作盤50が各部屋の照明スイッチパネルに一体化されている場合には、その照明スイッチパネルで部屋の照明を操作する際に今後の移動先が指定される。
そして、同スマートキーステーション40が、移動先の部屋の中継操作盤50に対して制御指令信号を送信する。このとき、制御指令信号には、移動元の部屋における機器(照明器具やエアコン等)の運転状態に関する履歴情報が含まれる。移動先の中継操作盤50では、スマートキーステーション40からの制御指令信号(移動元の部屋における機器運転状態を含む)に応じて各機器を制御する。このとき、中継操作盤50は、ユーザが到着するまでの間において各機器を待機状態にしたり、ユーザの到着後、そのユーザに合わせた運転制御を実行したりする。
移動元の部屋における機器運転状態に関する履歴情報を、移動先の部屋における機器の運転制御に利用することにより、ユーザが住宅内の部屋間を移動したりする場合に、移動先の部屋等で移動元の部屋等と同じ状況で設備機器を運転させることが可能となる。
図5は、スマートキーステーション40の制御部42により実行される機器制御の手順を示すフローチャートである。
図5では、まずスマートキーステーション40の操作表示部43又は中継操作盤50の操作表示部52のいずれかにおいて、ユーザの部屋移動に伴う移動先指定が行われたか否かを判定する(S21)。また、ホームネットワーク上でネットワークユーザIDが有効となっているユーザ(特定ユーザ)からの指示であるか否かを判定する(S22)。このとき、例えば、ネットワークユーザIDに対応するユーザがいる筈の部屋からの指示であれば、特定ユーザからの指示である旨判定する。
そして、移動先指定が行われており、かつ特定ユーザからの指示であると判定された場合には、ユーザが現在いる部屋(移動元の部屋)の機器運転情報を記憶する(S23)。例えば、照明器具が使用されている場合には、照明の明るさが記憶される。エアコンが使用されている場合には、運転モード(冷房、暖房、除湿等)や設定温度等が記憶される。テレビが使用されている場合には、受信チャンネルや音量等が記憶される。
その後、移動先の部屋の中継操作盤50に対して、移動元の部屋の機器についての履歴情報を送信する(S24)。
上記のようにスマートキーステーション40から移動先の部屋の中継操作盤50に対して、移動元の部屋の機器についての履歴情報が送信されると、その中継操作盤50は、スマートキーステーション40からの同履歴情報に基づいて機器制御を実行する。これにより、例えば、移動先の部屋の機器運転状態が移動元の部屋の機器運転状態と同じ状態に調整される。固有の機器については、待機状態への移行などあらかじめ設定された状態に調整される。例えば、照明器具の明るさが同じ明るさに調整されたり、エアコンが同じ設定温度で運転されたり、テレビが同じ番組チャンネルとされたりする。なお、移動元の部屋については、一定時間後に照明や待機電力を切断する。
(3)優先順序判定機能
ユーザの移動先として指定された部屋(又はエリア)に既に他のユーザがいることも考えられる。かかる場合、既に部屋内にいる他のユーザを優先して各機器の制御を実行する。これにより、該当する部屋等に先にいるユーザが優先されるため、その先のユーザが望む状態を維持することができる。
また、ユーザの移動先として指定された部屋(又はエリア)に既に他のユーザがいる場合に、あらかじめ定めたユーザごとの優先順位に基づいて設備機器の制御を実行する。これにより、優先上位のユーザを優先して設備機器を運転させることができ、その優先上位のユーザが望む状態を維持することができる。
上記のように優先順位を都度判定することにより、複数のユーザが同じ部屋又はエリアにいる場合にも、設備機器を混乱無く制御することができる。
(4)スマートユーザIDの再登録
例えば、ユーザが外出する際にスマートキー30をスマートキーステーション40から持ち出す場合には、スマートキー30のメモリ32にスマートユーザIDが再登録(ダウンロード)される。そのスマートユーザIDの再登録に関する具体的動作を図6に基づいて説明する。図6には、スマートキー30側の動作とスマートキーステーション40側の動作とを左右に分けて図示している。
図6において、スマートキーステーション40の操作表示部43に対するユーザの入力操作により移動先が「外出」に指定されると(S31がYES)、ユーザが現在いる部屋(移動元の部屋)の機器運転情報を履歴情報として記憶する(S32)。例えば、照明器具が使用されている場合には、照明の明るさが記憶される。エアコンが使用されている場合には、運転モード(冷房、暖房、除湿等)や設定温度等が記憶される。テレビが使用されている場合には、受信チャンネルや音量等が記憶される。
その後、ネットワークユーザIDを消去する(S33)。これにより、ホームネットワーク上においてネットワークユーザIDが無効化される。また、そのネットワークユーザIDに対応づけられていたスマートユーザIDを特定する(S34)。
その後、ユーザがこれから使おうとしているスマートキー30を指定する(S35)。これは、例えばスマートキーステーション40の複数の挿入スロット102(図3参照)について、ユーザがスロット番号を指定することで行われる。つまり、スマートキー30の指定機能を有することで、ユーザの好み等に応じて、使用するスマートキー30を都度変更することが可能となっている。
そして、スマートキーステーション40からスマートキー30(今回使用するスマートキー30)に対して、スマートユーザID(S34で特定したスマートユーザID)のダウンロードが指令される。この指令に伴い、スマートキー30ではメモリ32にスマートユーザIDが新たに書き込まれる(S36)。これにより、スマートユーザIDが有効化され、そのスマートキー30が使用可能となる。
上記のように複数のスマートキー30から1つを選択できる構成では、例えば、形状、色、機能等が異なる複数のスマートキー30が存在する場合において、スマートユーザIDを変えることなく(すなわち、同一のスマートユーザIDを使いながら)、各スマートキー30を都度使い分けることができる。
上記のように機器の運転履歴がスマートキーステーション40に記憶されることにより、例えば、ユーザが外出先から帰宅した後に、部屋内の機器を外出前と同じ状況で運転させることが可能となる。
ここで、スマートキー30にスマートユーザIDをダウンロードする際、それに合わせて、スマートキーステーション40で記憶された機器の履歴情報を、スマートキー30に送信する構成としてもよい。これにより、スマートキー30を使って住宅内の機器の履歴情報を外部に持ち出すことができ、自動車などのスマートキー対応機器において、住宅内の部屋と同じ状況で機器を運転させることができる。
また、スマートキーステーション40に無線通信機能を持たせ、スマートキー30からの要求(無線要求)に応じて、スマートキーステーション40からスマートキー30に対して、スマートキーステーション40で記憶された機器の履歴情報を送信する構成としてもよい。本構成においても、自動車などのスマートキー対応機器において、住宅内の部屋と同じ状況で機器を運転させることができる。
(5)スマートキー充電機能
スマートキーステーション40にスマートキー30が接続されている状態で、スマートキーステーション40側でスマートキー30の電源部の残存電気量を検出し、その残存電気量が所定レベル以下であれば、スマートキー30の電源部に対して充電を実行する。なお、ユーザの入力操作により「充電」が選択された場合にも、同様にスマートキー30の電源部に対して充電が行われる。
(6)新規購入時のID登録機能
携帯通信デバイスとしてのスマートキー30を新規に購入した場合には、そのスマートキー30のメモリ32に、キー固有情報としてのデバイスIDと、ユーザ識別情報としてのスマートユーザIDとがいずれも記憶されていない。以下に、デバイスIDとスマートユーザIDとの登録手順を示す。
(6−1)デバイスIDの登録
スマートキー30を購入後、そのスマートキー30をスマートキーステーション40の挿入スロット102に装着する。そして、表示操作部43(タッチパネルディスプレイ103)への入力操作に伴いスマートキーステーション40をID登録モードとし、その状態でスマートキー30のメモリ32にデバイスIDを登録する(書き込む)。デバイスIDは、ユーザの入力操作に伴い登録され、以後更新されない。
また、スマートキー対応機器に対して、新たに登録したデバイスIDを展開する。具体的には、スマートキーステーション40に設けられた展開ボタンの押下により、デバイスIDをスマートキー対応機器に展開する。そしてその後、スマートキーステーション40のID登録モードを終了する。
(6−2)スマートユーザIDの登録
スマートユーザIDは、インターネットを通じての登録操作、又はID販売店での登録操作によりID管理センタから必要数購入される。
インターネット接続環境がある場合、スマートキー30をスマートキーステーション40の挿入スロット102に装着するとともに、インターネットを通じてID管理センタに通信回線を接続し、その状態で、表示操作部43(タッチパネルディスプレイ103)への入力操作に伴いスマートキーステーション40をID登録モードとする。そして、ID購入代金の支払いなどを行った上で、スマートキー30のメモリ32にスマートユーザIDを登録する(書き込む)。このとき、複数のスマートユーザIDを購入することが可能である。スマートユーザIDは、メモリ32の書き換え可能領域に書き込まれる。
また、スマートキー対応機器に対して、新たに登録したスマートユーザIDを展開する。具体的には、スマートキーステーション40に設けられた展開ボタンの押下により、スマートユーザIDをスマートキー対応機器に展開する。そしてその後、スマートキーステーション40のID登録モードを終了する。
なお、デバイスID及びスマートユーザIDを追加する場合にも上記と同様の処置が行われる。デバイスIDとスマートユーザIDについて、購入、登録、スマートキー対応機器への展開をまとめて行うことも可能である。
また、インターネット接続環境がない場合は、販売店にて上記と同様の操作を行い、デバイスIDとスマートユーザIDとを登録する。
スマートキーステーション40では、デバイスID及びスマートユーザIDをいずれも管理し、両IDが正規IDであると認識される場合のみ使用可能とする。
以上詳述した本実施形態によれば、以下の優れた効果が得られる。
スマートキー30がスマートキーステーション40に装着されてこれら両者が電気的に接続された状態で、スマートキー30に記憶されているスマートユーザIDを基にネットワークユーザIDを生成し、そのネットワークユーザIDを基に各機器の運転制御を実行する構成としたため、住宅内においてスマートキー30をユーザが持ち歩かなくても、通信ネットワークを通じて各機器の運転制御を実行することができる。これにより、住宅内の各機器を使用する際において、利便性を大いに向上させることができる。ネットワークユーザIDは、スマートユーザIDと同様に、ユーザ個人を特定するものであり、当該ユーザに合わせた機器制御が実現できる。
また、スマートキー30を利用して住宅内の各機器の運転制御を実行しようとする場合、機器ごとに、スマートキー30との無線通信を可能とする無線通信機能を付加する必要が生じるが、本実施形態の構成によれば、こうした付加的な構成を設けなくとも、所望とする設備機器の運転制御が実現できる。
スマートキーステーション40においてネットワークユーザIDを生成する際、スマートキー30に記憶されているスマートユーザIDを無効化する構成としたため、ネットワークユーザIDの生成後において同一ユーザを特定する2つの情報(スマートユーザID、ネットワークユーザID)が同時に有効になることはなく、情報管理が不十分になるといった不都合が解消される。例えば、仮にスマートユーザIDが有効なままスマートキー30が紛失したりしても、そのスマートキー30の悪用や情報の漏洩を抑制できる。
スマートユーザIDの再登録時には、ネットワークユーザIDを無効化するとともに、その無効化するネットワークユーザIDに対応するスマートユーザIDをスマートキー30に再登録(ダウンロード)する構成としたため、スマートユーザIDの再登録後において同一ユーザを特定する2つの情報(スマートユーザID、ネットワークユーザID)が同時に有効になることはなく、情報管理が不十分になるといった不都合が解消される。また、スマートユーザIDを再登録する際、同ユーザIDはネットワークユーザIDに対応するものであるため、再登録後のスマートユーザIDを同一ユーザで不変(同一ID)にすることができる。これにより、スマートユーザIDに付随する各種情報(ユーザが使用した機器の運転履歴等)を適正に使い回すことができる。
スマートユーザIDの再登録時において、複数のスマートキー30から1つを指定(選択)し、その指定したスマートキー30に対してスマートユーザIDを再登録する構成としたため、複数のスマートキー30からユーザが望むものを都度選択して使用することが可能となる。
ユーザが移動先を指定して部屋間を移動する際、移動先の部屋の中継操作盤50に対して機器の運転に関する履歴情報を送信し、移動先の部屋ではその履歴情報に基づいて機器制御を実行する構成としたため、移動先の部屋において移動元の部屋と同様の状態で設備機器を運転させることができる。これにより、ユーザにとっての利便性を大いに向上させることができる。
移動先の部屋では、ユーザが到着するまで機器が待機運転状態とされるため、移動先の部屋にユーザが到着した時点で、すぐさま機器を所望の状態で運転させることが可能となり、快適性が大いに高められる。
(第2の実施形態)
例えば浴室やサウナルームは、高温多湿であってスマートキー30の持ち込みが不適な環境であると言える。したがって、これら浴室やサウナルームでは、防水構造等を有していないスマートキー30を持ち込むことができず、そのスマートキー30を用いた機器の自動制御が実行できない。この点、上記のホームネットワークシステムを使えば、浴室やサウナルームなどにスマートキー30を持ち込む必要が無く、スマートキー30を使わなくても所望とする機器制御を実現できる。図7は、浴室内の設備機器を制御対象とした場合のシステム構成図である。
図7において、スマートキーステーション40には、浴室用の中継操作盤80がネットワーク線L1により接続されており、その中継操作盤80には、浴室内に設置された各種の設備機器がネットワーク線L2により接続されている。浴室内の設備機器としては、照明器具Y1、給湯設備Y2、テレビY3、暖房設備Y4、換気扇Y5、可動式の手摺り設備(補助具)Y6、昇降式のカウンタ設備Y7などがある。
上記構成において、スマートキー30がスマートキーステーション40に装着されてネットワークユーザIDが生成され、かつユーザの移動先が「浴室」と指定された場合に、浴室用の中継操作盤80を通じて、浴室内の設備機器について運転制御が実行される。以下、本実施形態における各機能を説明する。
(1)ユーザ個別制御機能
浴室を利用しようとするユーザに合わせて各機器を制御する。つまり、スマートキーステーション40の制御部42に、ユーザごとに身体情報や嗜好情報を記憶しておき、それらの情報に基づいて各機器の運転状態を制御する。より具体的には、浴室用の中継操作盤80に、身体情報として、身長、体重、障害の有無などを登録するとともに、嗜好情報として、好みの湯温、好みの湯量、好みのテレビ番組、好みの手摺り位置、好みのカウンタ高さなどを登録しておく。そして、ユーザの移動先が「浴室」と指定された場合には、ユーザごとの身体情報や嗜好情報に基づいて各機器の運転状態を制御する。なお、各機器を作動させる際には、音声アナウンス等の案内を行うとよい。
かかる場合、ユーザ(ネットワークユーザIDから特定されるユーザ)の身体情報や嗜好情報に基づいて、照明の明るさ、湯温、湯量、手摺り高さ、カウンタ高さ等が自動で調整される。
特に、ユーザが車椅子利用者である場合には、手摺り設備Y6を自動で作動させ、当該ユーザにとって最適な位置まで手摺りを移動させる、又は、カウンタ設備Y7を自動で作動させ、当該ユーザにとって最適な高さまでカウンタを昇降させる。その他、車椅子利用スペースを確保すべく、浴室の間仕切り壁を移動させる構成とすることも可能である(介助人が一緒の場合にはその分広めにすることも可能)。
ユーザが高齢者である場合には、脱衣室と浴室との温度差を減らすよう温度調整を行ったり、手足を滑らせないよう手摺りや床を乾燥させたりする。また、高齢者が浴室に入ってからの経過時間(移動先が浴室に指定されてからの経過時間でも可)を計測し、その経過時間(入浴時間)が一定時間を超えると、他の部屋で音声等による通知が行われる構成でもよい。なお、入室は浴室出入り口に設けた人感センサにより検出するとよい。
その他、ユーザが子供、高齢者である場合には、浴室ドアを自動で施錠したり、浴槽蓋を閉じたままにしたりしてもよい。又は、一定温度以上の湯が出なくなる等の制御を行ってもよい。
なお、ユーザごとの身体情報や嗜好情報に加えて、時間帯情報、天候情報、使用頻度情報に基づいて各機器の運転状態を制御することも可能である。
(2)複数ユーザの重複利用時の調停機能
複数のユーザの移動先が「浴室」と重複指定されることも考えられる。例えば、幼児と親とが一緒に入浴する場合や、障害を有するユーザが介助者と一緒に入浴する場合などが考えられる。かかる場合、同じ移動先を指定した状態で複数のネットワークユーザIDが共存することになるが、所定の調停ルールに従い機器制御が実行される。かかる場合の調停機能について以下に例示する。
(2−1)あらかじめ定められた優先順序に基づいて各機器の運転状態を制御する。この場合、優先上位者の設定(ユーザごとの、各機器の運転状態に関する要求)に合わせて制御を実行する。優先順位は、高齢者や車椅子利用者等が優先上位とされることが望ましい。なお、優先順位はユーザの入力操作等により適宜変更が可能である。
(2−2)浴室の先の利用者を優先して各機器の運転状態を制御する。この場合、既に他のユーザが浴室を利用している場合には、移動先として浴室が指定できないようにしてもよい。ただし、緊急の事態(浴室内のある部位に強い衝撃が与えられた場合、機器の故障が発生した場合等)が発生した場合、又は所定の入浴目安時間よりも長い時間継続して浴室内に人がいる場合は、後のユーザの利用を可能とする。入浴目安時間をユーザごとにあらかじめ登録しておくとともに、その入浴目安時間を逐次学習する構成としてもよい。
(2−3)複数のユーザの設定(ユーザごとの、各機器の運転状態に関する要求)の平均値を求め、その平均値により各機器の運転状態を制御する。又は、一方のユーザの設定(例えば優先下位者の設定)から他方のユーザの設定(例えば優先上位者の設定)に、各機器の運転状態を徐々に変更することも可能である。
(3)各種運転モードの設定機能
複数の運転モードを定めておき、ユーザによるモード設定(スマートキーステーション40又は中継操作盤80の入力操作)に応じて各機器の運転状態を制御する。なお、以下の各運転モードで使用する機器であって図7に図示していない機器も、図7に示す機器Y1〜Y7と同じく、中継操作盤80を介して運転状態が制御される。
「掃除モード」…各機器を掃除しやすい状態に制御する。また、前日に計測した入浴人数、利用時間に基づいて掃除に使う水や洗剤の量を設定する。長期的な管理により、シャンプーや石けんなどの補充時期、換気扇、テレビ等の掃除やメンテナンスの必要性等を知らせるようにしてもよい。
「省エネモード」…ユーザごとに入浴時に使った湯の量や、湯沸かし等で使ったガス・電気等の燃料の量を計測・管理する。この場合、ユーザ(住人)単位でエネルギ消費が管理できる。そして、ユーザごとにエネルギ消費が過剰な場合には警告をしたり、エネルギ効率が最も良い入浴順序を求め、その入浴順序で各ユーザに入浴させるようにしたりしてもよい。
「美容モード」…ミスト発生器からミストを出したり、半身浴やトリートメント、パックに適した室温・湯温・湯量に調整したりする。
「リラックスモード」…音響装置から音楽を流したり、ミスト発生器からミストを出したり、照明器具の照度を低照度に調整したりする。
「疲労回復モード」…噴流発生装置を作動させて浴槽内に噴流を発生させたり、気泡発生装置を作動させて浴槽内に気泡を発生させたり、マッサージ装置を作動させてマッサージを行わせたりする。また、入浴剤投入装置を作動させて入浴剤を適宜投入する。
「読書モード」…照明器具の照度を読書に適した照度に調整したり、読書台移動装置を駆動させて読書台を浴槽上方に移動させたりする。
「健康管理モード」…身体情報計測装置を用い、ユーザの身体に触れる部分から身長、体重、体脂肪、脈拍、体温、骨密度等の計測を行い、その時の体調を記憶するとともにユーザに通知する。浴室はほぼ毎日使用するため、日々の変化を記録し、長期的な健康管理を行うことができるというメリットがある。
なお、健康管理モードで計測された情報は、他の部屋等の機器制御において利用されるとよい。例えば、キッチン内の機器に送信し、制限カロリやメニュー等を知らせる。居室でエアコンの制御や睡眠のための照明制御を行う。運動機器に必要時間や負荷のデータ等を与える。また、住宅外機器の使用例として、歩数計で身体情報・摂取カロリに合わせて距離を設定する。走行距離計測機能付きの自転車においてその走行距離を設定する。
上記の各運転モードをユーザごとにあらかじめ対応づけておき、特定のユーザであれば自動でその運転モードに移行する構成であってもよい。
(他の実施形態)
本発明は上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施されても良い。
上記実施形態では、スマートキーステーション40を住宅の玄関部に設置したが、これを変更し、例えばリビング等、家族全員が集まりやすい場所に設置してもよい。また、浴室の入口(脱衣室)など、スマートキー30の持ち込みが不適な部屋又はエリアの入口部にスマートキーステーション40を設置してもよい。スマートキーステーション40を住宅内において複数箇所に設置することも可能である。
スマートキーステーション40又は中継操作盤50の少なくとも一方に、ユーザの生体情報を取得し、同生体情報に基づいてユーザの認証を行う生体認証手段を設ける構成であってもよい。かかる構成では、スマートキー30(携帯通信デバイス)を使わなくてもユーザの認証が可能となるため、例えば移動先の部屋又はエリアにおいて、移動先の指定操作を誰が操作したかを容易にかつ確実に特定できる。
スマートキー30がスマートキーステーション40に装着されてネットワークユーザIDが生成され、かつユーザの移動先が「キッチン」と指定された場合において、ユーザが大人であれば、ガスコンロ等の加熱調理器を使用可能とし、ユーザが子供であれば、同加熱調理器を使用不可とすることも可能である。
上記実施形態では、スマートキーステーション40の挿入スロットにスマートキー30を挿入することでスマートキーステーション40とスマートキー30とを電気的に接続し、その状態でネットワークユーザIDの生成や住宅内機器の運転制御等を実行する構成としたが、これを変更する。例えば、スマートキーステーション40に近距離通信装置を設け、スマートキー30をその近距離通信装置の装着プレート上に装着(設置)することでスマートキーステーション40とスマートキー30との通信を可能とする。そして、かかる状態で、ネットワークユーザIDの生成や住宅内機器の運転制御等を実行する。
携帯通信デバイスとして、スマートキー30以外に他のデバイスを用いることが可能である。例えば、日常的に使用される携帯電話を携帯通信デバイスとして用いたり、通信機能を有するICカードを携帯通信デバイスとして用いたりすることも可能である。
本発明を戸建て住宅用のホームネットワークシステムに適用する以外に、マンションなどの集合住宅のネットワークシステムに適用することも可能である。また、住宅以外の建物にも適用可能である。
住宅内のネットワークシステムの概要を示す図。 ネットワークシステムの具体的構成例を示す図。 スマートキーステーションの概略構成を示す図。 ネットワークユーザIDの生成に関する具体的動作を説明するための図。 スマートキーステーションの制御部により実行される機器制御の手順を示すフローチャート。 スマートユーザIDの再登録に関する具体的動作を説明するための図。 浴室内の設備機器を制御対象とした場合のシステム構成図。
符号の説明
10…玄関ドアロック装置、20…車両ドアロック装置、30…スマートキー(携帯通信デバイス)、32…メモリ、40…スマートキーステーション(デバイス装着装置、情報取得手段、情報生成手段、再登録手段)、50…中継操作盤(中継装置)、A1〜A3等…機器、L1,L2…ネットワーク線。

Claims (13)

  1. 建物内に構築された通信ネットワークに設備機器が接続され、その設備機器の運転制御を実行する建物の機器制御システムにおいて、
    ユーザ識別情報を記憶する携帯通信デバイスがデバイス装着装置に装着された状態で、前記携帯通信デバイスから前記ユーザ識別情報を取得する情報取得手段と、
    前記情報取得手段から取得したユーザ識別情報を基にユーザを特定するとともに、その特定したユーザについて、前記通信ネットワーク上で使用可能となるネットワークユーザ情報を生成する情報生成手段と、
    を備え、
    前記情報生成手段により生成したネットワークユーザ情報を基に、前記設備機器の運転制御を実行することを特徴とする建物の機器制御システム。
  2. 前記情報生成手段は、前記ネットワークユーザ情報を生成する際、前記携帯通信デバイスに記憶されているユーザ識別情報を無効化する請求項1に記載の建物の機器制御システム。
  3. 前記携帯通信デバイスを前記デバイス装着装置から離脱させる際に、前記ネットワークユーザ情報を無効化するとともに、その無効化するネットワークユーザ情報に対応するユーザ識別情報を前記携帯通信デバイスに再登録する再登録手段を備える請求項2に記載の建物の機器制御システム。
  4. 複数の携帯通信デバイスを使用可能とするシステムであり、
    前記再登録手段は、前記複数の携帯通信デバイスから1つの携帯通信デバイスを選択し、その選択した携帯通信デバイスに対して前記ユーザ識別情報の再登録を実行する請求項3に記載の建物の機器制御システム。
  5. 建物内において前記デバイス装着装置とは異なる場所に設置される複数の中継装置を前記通信ネットワークに接続し、その中継装置により、同一の部屋又は同一エリア内に存在する設備機器の運転状態を制御する機器制御システムであり、
    前記中継装置が設けられた部屋又はエリアのいずれかをユーザの移動先であると指定する移動先指定手段と、
    前記移動先指定手段により指定された部屋又はエリアの中継装置に対して、前記設備機器の運転に関する現時点以前の履歴情報を送信する履歴情報送信手段と、
    を備え、
    前記中継装置は、前記ネットワークユーザ情報が有効となっている状態で、前記履歴情報送信手段により送信される履歴情報に基づいて設備機器の運転状態を制御する請求項1乃至4のいずれか1つに記載の建物の機器制御システム。
  6. 前記中継装置は、ユーザの移動先である指定を受けた後、同一の部屋又は同一エリア内に存在する設備機器を待機運転させる請求項5に記載の建物の機器制御システム。
  7. 前記携帯通信デバイスは、前記デバイス装着装置に対して未装着の状態で、前記設備機器の運転に関する情報を記憶保持可能であり、
    前記履歴情報は、前記携帯通信デバイスが前記デバイス装着装置に装着された状態で、前記携帯通信デバイスから取得される情報である請求項5又は6に記載の建物の機器制御システム。
  8. 前記履歴情報は、ユーザの移動元の部屋又はエリアに設けられた前記中継装置から取得される情報である請求項5乃至7のいずれか1つに記載の建物の機器制御システム。
  9. 前記移動先指定手段により指定した部屋又はエリアに既に他のユーザがいる場合には、前記他のユーザを優先して前記設備機器の制御を実行する請求項5乃至8のいずれか1つに記載の建物の機器制御システム。
  10. 前記移動先指定手段により指定した部屋又はエリアに既に他のユーザがいる場合には、あらかじめ定めたユーザごとの優先順位に基づいて前記設備機器の制御を実行する請求項5乃至8のいずれか1つに記載の建物の機器制御システム。
  11. 前記中継装置は、ユーザの生体情報を取得し、同生体情報に基づいてユーザの認証を行う生体認証手段を具備する請求項5乃至10のいずれか1つに記載の建物の機器制御システム。
  12. 前記設備機器は、前記携帯通信デバイスの持ち込みが不適な環境の空間内に設けられた機器である請求項1乃至11のいずれか1つに記載の建物の機器制御システム。
  13. 前記携帯通信デバイスを前記デバイス装着装置から離脱させる際に、前記デバイス装着装置側から前記携帯通信デバイスに対して、前記設備機器の運転に関する履歴情報を送信する請求項1乃至12のいずれか1つに記載の建物の機器制御システム。
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