実施の形態1.
図1〜図65は、本発明の実施の形態1に係るものであり、図1は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムを適用した1つの家庭の概要図。図2は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムが接続される外部通信回路構成を示す概念図。図3は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムの電力指令装置と各種家電機器の構成図。図4は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムの電力指令装置とTV受像機の構成を示すブロック図1。図5は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムの電力指令装置とTV受像機の構成を示すブロック図2。図6は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムの構成を示すブロック図。図7は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムの電力指令装置主要部分の構成を一部縦断面で示すブロック図。図8は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムにおける電力指令装置の健康管理処理部と各種の健康管理機器の構成を示すブロック図。図9は、本発明の実施の形態1に係る電力指令装置の健康管理処理部と各種の室内運動機器、電気掃除機及び携帯電話の構成を示すブロック図。図10は、本発明の実施の形態1に係る電力制御装置に使用される1つの健康管理機器の内部構成例を示すブロック図。図11は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムのTV受像機の画面例とリモコンの概要図1。図12は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムのTV受像機の画面例の概要図1。図13は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムに使用される健康管理機器で取得した血圧データと付帯データの構成を示す説明図。図14は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムのTV受像機の画面例の概要図2。図15は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムのTV受像機の画面例の概要図3。図16は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムのTV受像機の画面例の概要図4。図17は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムのTV受像機の画面例とその操作説明図1。図18は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムの使用限度設定器の表示画面例とその操作説明図。図19は、図1〜図18の電力制御システムの中核を構成する電力指令装置の使用限度設定器の表示画面正面図1。図20は、図1〜図18の電力制御システムの電力指令装置の電力を削減する対象機器と、緊急地震速報受信による電力を遮断する対象機器とを示す説明図。図21は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムで電力が制御される電気掃除機の全体説明図。図22は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムの、健康管理機器を除いた全体構成を示すブロック図。図23は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムに使用されるキッチン内家電機器の外観図。図24は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムに使用される誘導加熱調理器の外観図。図25は、図24の誘導加熱調理器の平面図。図26は、図24の誘導加熱調理器の制御回路の構成を示すブロック図。図27は、図24の誘導加熱調理器における表示手段の駆動回路構成を示すブロック図。図28は、図24の誘導加熱調理器の基本的な動作を示す制御ステップ説明図。図29は、図24の誘導加熱調理器の調理メニューの選択工程を示す制御ステップ説明図1。図30は、図24の誘導加熱調理器の調理メニューの選択工程を示す制御ステップ説明図2。図31は、図24の誘導加熱調理器における表示手段を示す平面図1。図32は、図24の誘導加熱調理器における表示手段を示す平面図2。図33は、図24の誘導加熱調理器における表示手段を示す平面図3。図34は、図24の誘導加熱調理器における表示手段を示す平面図4。図35は、図24の誘導加熱調理器における表示手段を示す平面図5。図36は、図24の誘導加熱調理器における表示手段を示す平面図6。図37は、図24の誘導加熱調理器における表示手段を示す平面図7。図38は、図24の誘導加熱調理器における表示手段を示す平面図8。図39は、本発明の実施形態1の炊飯器の蓋体を開けた状態の斜視図。図40は、本発明の実施の形態1の炊飯器蓋体の平面図。図41は、本発明の実施の形態1の炊飯器蓋体の一部を示す拡大平面図1。図42は、本発明の実施の形態1の炊飯器蓋体の一部を示す拡大平面図2。図43は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムに使用される炊飯器の制御回路構成を示すブロック図。図44は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムに使用される食器洗い乾燥機の基本的な構成を示す中央部縦断面図。図45は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムに使用される自走式電気掃除機の基本的な構成を示す斜視図。図46は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムに使用される空気調和機の基本的な構成を示すブロック図。図47は、本発明の実施の形態1に係る電力制御システムにおける電力指令装置の使用限度設定器の表示画面正面図2。図48は、図47の使用限度設定器の表示画面正面図3。図49は、図47の使用限度設定器の表示画面正面図4。図50は、本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器の揚げ物調理における基本的な工程説明図。図51は、本発明の実施の形態1に係る炊飯器の炊飯工程説明図。図52は、本発明の実施の形態1に係る電力指令装置の電力制御動作を示す説明図1。図53は、本発明の実施の形態1に係る電力指令装置の電力制御動作を示す説明図2。図54は、本発明の実施の形態1に係る誘導加熱調理器からの動作情報と加熱工程の関係を示す説明図1。図55は、その誘導加熱調理器からの動作情報と加熱工程の関係を示す説明図2。図56は、その誘導加熱調理器からの動作情報と加熱工程の関係を示す説明図3。図57は、その加熱調理器からの動作情報と加熱工程の関係を示す説明図4。図58は、家電機器の予約時間の変更処理を示すフローチャート図1。図59は、家電機器の予約時間の変更処理を示すフローチャート図2。図60は、家電機器の各種予約状況の例と環境検知部の許可条件の対応関係の例を示す一覧表。図61は、居住者の帰宅と本発明の実施の形態1に係る電力指令装置の制御動作を示す説明図1。図62は、居住者の帰宅と本発明の実施の形態1に係る電力指令装置の制御動作を示す説明図2。図63は、居住者の帰宅と本発明の実施の形態1に係る電力指令装置の制御動作を示す説明図3。図64は、居住者の帰宅と本発明の実施の形態1に係る電力指令装置の制御動作を示す説明図4。図65は、本発明の電力指令装置において、その使用限度設定器の表示画面で在宅管理メニューを表示した状態を示す正面図。図66は、本発明の実施の形態2に係る電力制御システムを示す1つの家庭と携帯電話端末器の通信経路を説明する概念図。図67は、その電力制御システムで利用している到着時間推定・予告システムの動作と電力指令装置及び家電機器の関係を示す時系列動作説明図1。図68は、同じくその時系列動作説明図2。図69は、その電力指令装置の使用限度設定器の表示画面で在宅管理メニューを表示した状態を示す正面図1。図70は、その電力指令装置の使用限度設定器の表示画面で在宅管理メニューを表示した状態を示す正面図2。図71は、その電力指令装置の使用限度設定器の表示画面で在宅管理メニューを表示した状態を示す正面図3。図72は、その電力制御システムで電力が制御される誘導加熱調理器における表示手段と操作部の一部を示す平面図1。図73は、図72の誘導加熱調理器の表示手段と操作部の一部を示す平面図2。図74は、図72の誘導加熱調理器の表示手段と操作部の一部を示す平面図3。図75は、図72の誘導加熱調理器の表示手段と操作部の一部を示す平面図4。図76は、その電力指令装置の表示盤を示す正面図。図77は、図72の誘導加熱調理器における動作情報と加熱工程の関係を示す説明図。図78は、図72の誘導加熱調理器からの動作情報と加熱工程の関係を時系列で示す説明図。図79は、その電力指令装置の制御部がTV受像機を制御する動作プログラムを示したフローチャート図。図80は、本発明の実施の形態3に係る電力制御システムの全体構成図。図81は、図80の電力制御装置の主要部分の構成を一部縦断面で示すブロック図。図82は、図80の電力制御システムと健康管理システムの主要構成部分相互の信号伝達を時系列で示す説明図。図83は、本発明の実施の形態4に係る電力指令装置と、それに使用したTV受像機の表示画面とリモコン外観図。図84は、図83のTV受像機で調理レシピを一覧表示した状態を示す表示画面とリモコンの外観図。図85は、図83のTV受像機で調理レシピの検索を実施した結果を示す表示画面とリモコンの外観図。図86は、図83のTV受像機の表示画面起動後の動作を示すフローチャート図。図87は、図83のTV受像機で調理レシピの検索を行う場合の動作を示すフローチャート図。図88は、家屋の外部から電力指令装置が調理レシピを受信した場合の動作を示すフローチャート図。図89は、本発明の実施の形態5に係る電力制御システムと電力指令装置を適用した1つの家庭の家屋全体を示す構成図。図90は、図89の電力制御システムにおける電力指令装置の表示盤の主要部正面図1。図91は、図89の電力制御システムにおける電力指令装置の表示盤の主要部正面図2。図92は、その電力制御システムにおける電力指令装置の表示盤の主要部正面図3。図93は、その電力指令装置で留守指定キーを押した場合の、制御部の動作フローチャート図。図94は、その電力指令装置において、帰宅時の制御部の動作フローチャート図。図95は、その家庭内の環境変化を監視するための、電力指令装置の制御部の動作フローチャート図2。図96は、その家庭内の環境変化を監視するための、電力指令装置の制御部の動作フローチャート図2である。
本実施の形態1では、「環境情報」とは、後述する環境検知部202で検出する情報をいい、家屋の居住快適性に影響する以下のような情報を含む。
(1)温度情報
(2)湿度情報
(3)塵埃飛散度(単位容積あたり)情報
(4)花粉飛散量情報
(5)光量(可視光線量)情報・・言い換えると居住空間の明るさの情報である。
(6)騒音情報・・・言い換えると、居住空間の静けさの情報である。
また本実施の形態1では、「環境情報」の利用とは、後述する各種家電機器EEが前記環境情報をその家電機器EEの、効率的運転又は効果的運転又は環境に配慮した運転に利用することをいい、以下のような例を含む。
(1)温度高い場合、炊飯器の保温機能を炊飯工程の終了に連続して動作させる。
(2)湿度の場合、家電機器EEの1種である除湿機を動作させる。または換気扇を運転開始する。
(3)空中を浮遊するような微細な塵埃が飛量している場合、空気清浄機を動作させる。または換気扇を運転開始する。
(4)花粉飛散量の場合、空気清浄機の運転を開始する。
(5)比較的直径や長さが大きく、床に落下する土埃や衣類の埃等の場合、自走式電気掃除機を運転開始させる。
(6)光量(可視光線量)の場合、照明器具を点灯させる。
(7)騒音の場合は、騒音がない状態から、深夜などの静寂な時間帯と判断し、ブロワーモーターの運転音や走行音が発生する自走式電気掃除機の運転や、洗濯乾燥用ドラムを回転させる電気モーターの運転音が発生する洗濯乾燥機の運転を避ける。
なお、気温と湿度の関係で、いわゆる「不快指数」を算出し、空気調和機の運転を開始することも含む。
さらにまた本実施の形態1では、環境情報の利用により、以下のように居住者の利便性が向上する。
(1)居住環境を良くするために家電機器EEの使用について、アドバイス情報が出る(例えば、換気扇や空気清浄機など)。
(2)現在、運転中の家電機器EEが分かる。
(3)離れた居住空間の人の存在・不存在が分かる。
(4)高い温度で、かつ湿度も高い、快適ではない居住空間が分かる。
(5)室内運動器具を使用する際に、運動に不向きな居住空間が分かる。
(6)電力指令装置から、警報を出すために、室温の上限値を設定しておけば、その設定値を超えた部屋があることを知ることが分かるので、離れた部屋の環境も知ることができる。
また居住空間内の空気に良い影響を与え、改善することができる家電機器EEを「第1の特定家電機器」(「環境改善機器」)SP1という場合がある。室内空間の快適性を維持、向上させるために、暖房用の熱を発生する電気ヒーター式ストーブや空気調和機は環境改善機器の1種である。一方、室内空間の快適性維持・向上が本来の目的ではなく、室内空間に熱を与えてしまう電熱加熱調理器等のような家電機器EEを「第2の特定家電機器SP2」という場合がある。
さらにまた、複数の家電機器EEの中の特定のものを「第1の家電機器」いう場合があり、またその第1の家電機器と区別するために別の家電機器を「第2の家電機器」という場合がある。
本発明でいう「環境改善機器」SP1は、居住空間内の空気の温度、湿度、質を改善する効果のあるものをいう。空気の質を向上させると有害物質や塵埃の含有量が少なく、清浄な空気となる。
本実施の形態1では、「在宅検知手段」とは、以下のような手段を含むが、以下の説明では全ての手段については詳しく説明せず、代表的な手段についてのみ詳しく説明する。
(1)住宅の入口(玄関)の外側に設置された電子錠とその電子錠に入力された暗証番号や生体情報(例えば指紋情報)から、居住者が帰宅したことを検知する手段。
(2)居住者が保持している固有の身分証やIDカード等に記録された個人特定情報を、磁気的又は光学的手段で、あるいは近距離通信やその他通信手段で電力指令装置に直接読み込ませ、その読み込ませた情報を解読してその本人が在宅していると判定する手段。
(3)居住者が保持している携帯用電話等の情報端末機器等に記録された個人特定情報を、近距離通信やその他通信手段で直接電力指令装置に読み込ませ、その読み込ませた情報を解読してその本人が在宅していると判定する手段。
(4)個人が固有している身分証やIDカード等、情報端末機器等に記録された個人特定情報を、特定の家電機器に読み込ませ、又は個人だけが知っているID番号やパスワードを家電機器に読み込ませたり、入力キーによって入力したりして、その個人特定情報やパスワードを電力指令装置側にて解読し、読み込ませた本人が在宅していると判定する手段。
本実施の形態1では、「居住者」とは、後述する1つの家屋に居住する者をいい、血縁関係にある親子、兄弟、姉妹等を含むが、後述する居住空間HAに所定期間だけ臨時で宿泊する訪問者や、生活を共にするその他の者を含んでいる。1つ又は複数の居住空間を1人又は数人で借用している者も含む。本実施の形態1では、典型的な家族として、4名の居住者が生活している例で説明する。居住者Aは父親、居住者Bは母親、居住者Cは子供(10歳)、居住者子供(7歳)を想定している。なお、家電機器を使用する場面においては、居住者を「使用者」と呼ぶ場合があり、また4名の居住者を特定する必要がない場合は「人」又は「家族」と呼ぶ場合がある。また後述する健康管理機器410によって血圧等を測定した居住者は「被測定者」と呼ぶ。
図1は、本実施形態1の電力制御システムが適用された1つの家屋の例を示している。このような戸建ての家庭ではなく、マンション等の集合住宅であっても本発明は適用できる。
図1において、HA1は1つの家屋の居住空間を示す。HA2は前記居住空間HA1と壁SBで仕切られた隣の居住空間を示す。なお、居住空間を総称する場合にはHAを符号として使用する。なお、居住空間はこの図1には示していないが、そのほかに「寝室」や「居間」、「浴室」等があり、またトイレのある部屋もある。これ以外の部屋があっても良い。
全ての居住空間HAには、家屋の外部にある電力会社の商用電源EPから例えば200Vの電力が供給されている。その電力は、電力量計300を介して家屋の内部に引き込まれている。27は前記200Vの商用電源EPにブレーカーBKを介して接続された電源線(主幹線)である。前記電源線には、テレビジョンの受像機(以下、「TV受像機」という)75、空気調和機7、照明器具76、台所用電気機器(以下、「キッチン内家電機器」という)KPがそれぞれ接続されている。なお、図1においては、TV受像機75、空気調和機7、照明器具76、キッチン内家電機器KPは、それぞれ1つしか示されていないが、複数個あっても良い。
9はブレーカーBKを介して電力が供給される電力指令装置であり、居住空間HA2(キッチン)の壁面等のように、家族が容易に接近できる場所に壁掛け状態で設置されているか、又は床面の上に置いてある。なお、その他の家電機器として、食器洗い乾燥機6や自動洗濯衣類乾燥機(図示せず)、その他の家電機器も複数あるが、これらは後で説明する。
前記キッチン内家電機器KPと前記空気調和機7等、家庭内で使用する家電機器を総称して「家電機器」EEという。
また以下の説明で、「第1の家電機器」とは、前記食器洗い乾燥機6を除いたキッチン内家電機器KPをいう。これらは、電気エネルギーを消費する加熱部があり、また互いに独立して電源が投入・遮断可能であり、後述する電力指令装置9から電力削減指令を受け取る構成になっている。
図1において、SLは居住空間HAの天井を構成する壁面を示す。204は、居住空間HA2の室内の気温と湿度を検出する複合センサー(温度・湿度センサー)であり、環境センサーの1種である。205は、居住空間HA1の室内気温と室内湿度を検出する温度・湿度センサーであり、環境センサーの1種である。206は、家屋の外部空間に設置された温度センサーであり、環境センサーの1種である。なお、これら温度センサーや湿度センサーは、測定された温度や湿度を無線又は電気信号で後述する電力指令装置9の環境検知部202に送信する機能を有している。またその電源は充電された電池でも良いし、前記電源線27からの電力でも良い。またこれらセンサーの消費電力は1W(ワット)程度の小さいものであるため、前記電源線27からの電力で運転する場合でも、電力指令装置9の電力制限対象にはしていないので、所定のタイミングで電力指令装置9へ計測データを継続的に送信している。なお、図示していないが、この他に、環境センサーの1種として、空気中の花粉の飛散量を測定する花粉センサーと、室内の騒音の大きさを検知する騒音センサーと、室内の明るさを検知する照度センサーとが、各居住空間内のそれぞれ適当な位置に設けてある。また前記環境センサー205の他に、室外の気温と湿度を検知する温度センサーや湿度センサーを設けても良く、花粉センサーを室内だけではなく室外(例えば家屋の外壁表面や窓の外枠、ベランダ等)にも設置しても良い。
図1及び図6において、207は、人間が自然に発する赤外線を検知して居住空間HA1の中に人間が居るかどうかを検知できる人感知センサーである。208は、同じく人間が自然に発する赤外線を検知して居住空間HA2の中に人間が居るかどうかを検知できる人感知センサーである。なお、この他の居住空間HAにもこのような人感知センサーを設置しても良い。これら人感センサー207、208は、人が居るかどうかを検出した結果を、無線又は電気信号で後述する電力指令装置9の人検知部203に送信する機能を有している。またその電源は事前に充電された電池でも良いし、前記電源線27から分岐して供給される電力でも良い。またこれらセンサーの消費電力は1W〜数W程度の小さいものであるため、前記電源線27からの電力で運転する場合でも、電力指令装置9の電力制限対象にはしていないので、所定のタイミング(例えば10秒毎)で電力指令装置9へ計測データを継続的に送信している。
引き続いて図1を説明する。77は、前記TV受像機のチューナ(図示せず)に接続されている屋外アンテナ、99Aは、前記電力指令装置9に接続されたルーターAであり、このルーターAは、電力指令装置9を電力会社やその家屋の地域に情報を発信する地域地震情報提供機関等の外部機関78Aにインターネット等の広域の通信回路網(「通信ネットワーク」又は「インターネット」と称する場合がある)98を介して接続している。99Bは、前記TV受像機75に接続されたルーターBであり、このルーターBは、前記TV受像機75を、前記広域通信回路網98を介して外部機関78Bに接続している。この外部機関78Bは、例えば放送番組を提供する放送局や、医療・健康情報を提供する公的機関や民間会社等であるが、これら以外であっても良い。前記2つの外部機関78A、78Bは別々のものも、また同じ機関であっても良い。
次に図2を参照しながら、この家庭の外部の通信環境を説明する。なお、この実施の形態1の電力指令装置9は、ルーターA99Aを介して外部機関78Aにネットワークで接続されているが、一般にホーム・ゲートウエイと呼ばれる機器を使用しても良い。この場合のホーム・ゲートウエイとは、インターネット接続やデジタル放送,IP電話などの各種デジタル情報メディアと,電力指令装置9やデジタル家電機器などの端末の間に設置する家庭内用機器をいい、それら電力指令装置9等をネットワーク化して制御したり,通信・放送メディアから受け取ったりした情報をそれら電力指令装置9やデジタル家電機器に伝達する役割を担うものである。常時接続型のブロードバンド・サービスで,インターネット接続に加えてIP電話やコンテンツ配信サービスを提供している際に,事業者がこのような家庭の居住者(使用者)に貸し出すルーターを「ホーム・ゲートウエイ」と称する場合が多い。
前記電力指令装置9は、図1では広域通信回路網98を介して外部機関78Aに接続されていたが、実際にはこの図2に示すように、広域通信回路網98は、98Aと98Bの2つから構成されており、また中継サーバー88と、それぞれの広域通信回路網98A、98Bを介して外部機関78AのASP(「アプリケーション・サービス・プロバイダー」のことをいう)サーバー89Aにアクセスする。このASPサーバー89Aには、データベース89Bが設けられており、多数の住宅に対応して後述する各種情報を記憶するように構成されている。
前記ASPサーバー89Aは、制御手段として機能するもので、家電機器EEの販売業者あるいは情報サービス提供業者が設置しており、家電機器EEに関する各種サービスを、広域通信回路網98A、98Bを介して利用者に提供するものである。また、データベース89Bには、使用者を特定する利用者特定用データベースや家電機器EEの制御動作を決定するアプリケーション・ソフトウェアを記憶保持しているアプリケーション用データベースが設けられている。
前記利用者特定用データベースには、利用者からの、所謂ユーザー登録により受け付けた情報として例えばASPサーバー89AへのログインIDやパスワードなどの利用者固有情報、ルーターA99Aのネットワークアドレス(MACアドレス)などの設定情報、家電機器EEのネットワークアドレスや種類、型名といった設定情報が記憶されている。
前記アプリケーションデータベースには、居住空間の外部、例えば居住者の勤務先や外出先等の遠隔地から、電力指令装置9又は家電機器EEを遠隔制御することができるようにした制御用アプリケーション・ソフトウェアが格納・記憶されている。これにより、後述する情報通信端末機器の1種である携帯電話端末器87からASPサーバー89Aにアクセスして制御用アプリケーション・ソフトウェアをダウンロード(読み込み)することにより、前記遠隔制御を実現することができる。ここでいう携帯電話端末器87とは、使用者が気軽に携帯して屋内や屋外、その他外出先等で通話やデータ(メール情報を含む)の通信を行える端末機器のことである。電話はできないが、インターネットで情報をダウンロードしたり、メール送信したり、遠隔操作信号を発信できる機器は「携帯用通信機器」と呼び、これら「携帯電話端末器」87と「携帯用通信機器」を総称して「情報通信端末機器」と呼ぶ。
広域通信回路網98Bには、中継サーバー88、広域通信回路網98Aを介して携帯電話端末器87の基地局80が接続されており、携帯電話端末器87から基地局80を介してASPサーバー89AやルーターA99Aにアクセスすることができるようになっている。つまり、この家庭の居住者が所有している携帯電話端末器87を、図2に示すように離れた場所にある勤務先の施設79の中のように外出先から広域通信回路網98Aに接続すれば、ASPサーバー89Aにアクセスすることができ、電力指令装置9又は家電機器EEの制御用アプリケーション・ソフトウェアをダウンロードすることにより、家庭から離れた施設79から遠隔制御することができる。但し、この実施の形態1においては、携帯電話端末器87から家電機器EEに対する直接的な遠隔操作はできないようにしてある。これは家電機器EEの中には、電熱調理器等のように高熱を発するもの(第2の特定家電機器SP2)もあるため、家屋の外から多くの人が利用する通信回路を経由して遠隔操作することは、安全面を考慮して採用せず、その代わり、全て電力指令装置9を経由した操作となるようにしている。なお、家屋の内部では、携帯電話端末器87はTV受像機75のみを操作できるように制限してある。遠隔制御の内容は後で詳しく説明する。
図3は、本実施形態1の電力制御システムが適用された電力指令装置や健康管理機器等のハードウエアの構成例を示している。この図3において、9Aは、前記電力指令装置9の本体で、外形は箱形状をしている。この本体9Aの内部には、後述する使用限度設定器96や、比較器92、優先順位設定手段95など、図21に示す電力指令装置9の構成要素が全て格納されている。但し、使用限度設定器96の表示盤100は、図3に示すように本体9Aから取り外し自在に構成してあり、装着時には本体9Aの前面に形成した凹部9Cの中に格納されるようになっている。100Aはその表示盤100の表示画面、109はTV受像機75に内蔵された記憶装置(大容量メモリー)で、例えばDVDや各種半導体メモリー、又はハードディスクドライブ装置(HDD)等である。また、表示盤100は、例えばタッチパネルからなっており、情報を表示する表示部としての機能と、画面に触れることにより使用者からの入力が行われる操作部としての機能とを有している。後述するように、前記表示盤100には、電力指令装置9における使用限度設定器96の操作入力部117(図76参照)が設けてある。
図3において、75RはTV受像機75を操作するリモコン、410Aは前記健康管理機器410の一種である血圧測定器(以下、「血圧計」という)である。87は小型のマイクロコンピューターを内蔵した高速デジタル通信のできる高機能の携帯電話端末器であり、通信回線を介して電話できることは勿論、電話会社等の通信サービス業者78Cが提供しているサーバーや前記ASPサーバー89Aにそれぞれ接続でき、また他人との電子メール交換も可能であり、また各種の映像や音楽、コンテンツ、情報等をダウンロードすることもできる。この携帯電話端末器87は歩数計を内蔵しており、使用者がこの携帯電話端末器87を携帯して歩くことで、その歩数をカウントすることができる。またその歩数情報は内蔵された赤外線等の送信手段を介して前記電力指令装置9の健康管理処理部116にインプットすることができる。これについては後で詳しく述べる。
118は、前記電力指令装置9の本体9Aの前面で、凹部9Cの上部に設置した確認ボタンである。表示盤100を本体9Aから取り外した状態で、確認ボタンを押すと、本体9A側から所在確認信号が無線で発信され、これを受信した表示盤100の受信回路(図示せず)が起動し、電子ブザー(図示せず)にて特定の音を発するようになっており、仮に表示盤100の所在が居住空間HMの中で不明でも、前記確認ボタン118によって容易に探し出すことができる。
119Aは緊急遮断ボタンであり、緊急遮断ボタン119Aが押されると、ルーターA99A、ルーターB99B、電力指令装置9、照明器具76及び前記TV受像機75以外の全ての(使用中の)家電機器(キッチン内家電機器KPを含む)の電源を速やかに遮断できる。従って表示盤100が本体9Aに取り付けられていない場合に、TV受像機75などの電気機器で緊急地震情報等の発令を知り、直ぐに電気を切りたい場合に便利である。なお、表示盤100自体には、内部に充電池(図示せず)が内蔵されている。その充電池は、前記電力指令装置9の本体9A前面の凹部9C壁面に対応して、その本体9Aの内部に非接触充電装置(図示せず)が設置されているので、前記表示盤100を電力指令装置9の本体9A前面の凹部9Cに挿入して保持させておけば、その状態で充電が自動的に行われる。
119Bは、使用限度設定器96の表示画面(表示盤)100側に設けた緊急遮断ボタンであり、前記緊急遮断ボタン119Aと同じ機能を有し、これを押すと、電力指令装置9、照明器具及び前記TV受像機75以外の全ての(使用中の)家電機器(キッチン内家電機器KPを含む)の電源を速やかに遮断できる。
図4及び図5は、前記TV受像機75と電力指令装置9の内部構成を示すブロック図である。
TV受像機75は、ROM(Read Only Memory)75Aと、RAM(Random Access Memory)75Bと、画像処理部75Cと、液晶表示画面75Dと、マイクロコンピューターで構成されたシステム制御部75Eと、商用電源EPに前記ブレーカーBKを介して接続された電源供給部75Gと、4つの入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mと、これら入出力機能デバイスと電源供給部75Gとの間へ介挿される電力制御用半導体素子の1種としての、パワーFET(Field Effect Transistor)75Sと、外部ネットワーク通信デバイス75N、とで構成されている。
前記システム制御部75Eは、前記ROM75AとRAM75Bに格納された制御プログラムに従って、TV受像機各部分の信号処理演算及び前記した4つの入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mの制御を行う。
前記4つの入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mについて説明する。
75Jは、前記室外アンテナ77から地上波、衛星波等の放送波を受信するチューナー・デバイスである。75Kはビデオ再生・録画のためのビデオ・デバイスである。
75Lは、LAN接続した機器からの情報を処理するLAN接続デバイスである。75Mは、パーソナルコンピュータ(以下「パソコン」という)が接続されるPC接続デバイスである。なお、この他の種類の入出力機能デバイスをさらに設けても良い。例えばSDカード等の半導体記録媒体であるカード型メモリーが使用される場合に備えて、カードデバイスを設けても良い。
前述したように、電源供給部75Gの出力端子と4つの入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mの各電源入力端子との間に、パワーFET75Sがそれぞれ挿入されている。そして、パワーFET75SのON・OFF制御をシステム制御部75Eの出力信号で制御する構成となっている。前記4つの入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mの各電源を使用者が任意に遮断できるようになっている。具体的にはTV受像機75の特定部分に、各入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mを個別に電源遮断できる選択スイッチ(図示せず)を設けるか、又は液晶表示画面75Dに、いわゆるオンスクリーン・スイッチを設けて、前記したリモコン75Rで選択できるようになっている。
前記外部ネットワーク通信デバイス75Nと電源供給部75Gとの間には、前記したパワーFET75Sは介在していない。つまり、システム制御部75Eが、使用者の操作によって前記外部ネットワーク通信デバイス75Nの電源供給を任意に遮断できないよう制御しており、TV受像機75の主電源が入れられている場合は、仮に液晶表示画面75Dが駆動されずに、何も映像が表示されない状態においても常にTV受像機75は前記外部ネットワーク通信デバイス75Nによって、家屋の外部にある広域通信回路網98を介して外部機関78Bに接続されていることになる。これにより外部機関78Bから緊急的な情報、例えば夏場の日中において、この家庭の総電力量を早急に削減(ピークカット)して欲しいという要請情報がTV受像機75に届いた場合、あるいは緊急地震情報が気象庁や居住地域を担当する地域の防災センターや地震警報センター等から届いた場合等に、それら情報をこの居住空間HMにいる居住者が早期に知ることができる。なお、TV受像機75を視聴していない場合であっても、緊急遮断情報が発信された場合、当該情報で起動され、情報を報知するようにしたTV受像機は従来から色々提案されているので、ここでは具体的な説明を省略する。
前記した4つの入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mのように、入出力信号の機能毎に、最新のデジタル信号処理技術や半導体技術を適用して専用回路がLSIで構成されるようにして、高機能でありながらも比較的安価にTV受像機75を構成できるようにしているが、高機能を搭載したLSIを多用しているため、TV受像機75が消費する電力も大きくなるという懸念がある。そこで、この実施の形態1においては、使用者がTV受像機75に搭載された入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mを常にすべて使用することはないとの観点から、使用せずに電力供給が不要な入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mの電源をOFFにすることができるようにしている。つまり使用者が各入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mの電源供給のON/OFF制御を行うことができるため、使用者で積極的な消費電力削減が可能となる。その電源ON/OFF制御をするために前記パワーFET75Sを各入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mの電源回路に挿入している。
この構成であるから、電力指令装置9の電力関連情報、例えばその時点における家庭内の総電力使用量や、外部から電力削減要請を受けていることを示す情報等を、前記電力指令装置9の表示画面部(表示盤)100で表示するのではなく、家族が集まっている居間等にあるTV受像機75で表示させる場合も、TV受像機75では入出力機能デバイス75Jや入出力機能デバイス75K等の入出力機能デバイスへの電源はOFFにしたままで良い。このためTV受像機75を電力制御に利用する場合でもTV受像機75の消費電力を最小限度に抑制できるという利点がある。
図4及び図5において、124Aは、TV受像機75のPC接続デバイス75Mに電力指令装置9を接続する入出力部、125は電力指令装置9の制御部であり、電力指令装置9の使用限度設定器96(その他、図22に示す比較器92、優先順位設定手段95など各構成要素)を集中的に制御し、家電機器に対して電力削減指令信号AS3の送信を指令する。149は記憶装置であり、電力制御のための後述する2つの半導体メモリー95A、96Aを含んだものであり、電力制御関係情報と健康管理情報、運動管理情報は、それぞれ固有のアドレスで別々の記憶エリアに記憶されている。なお、前記記憶装置149は、各種のRAM(ランダム・アクセス・メモリー)や、ハードディスクでも良い。また、USBメモリー、CD、DVD、光カードなどでも良く、電源を切った場合でも記憶内容が保持される不揮発性のものであれば、他の方式のメモリーでも良い。前記メモリー96Aには、ブレーカーBKに設定された電力上限値の情報や、各種家電機器EEの消費電力量を制限するための電力量上限値のデータ、さらには居住者毎に設定された電力上限値等の情報が、それぞれ記憶されている。図6において、124Bは、前記ルーターA99Aから通信を受け取り、またそのルーター99Aを介して広域通信回路網98Aに電力指令装置9からの情報を発信する入出力部である。
図5、図6において、202は、前記環境センサー204、205,206で測定された温度や湿度の情報を受け取る環境検知部である。203は人感センサー207、208の人感知情報を受け取る人感知部である。なお、図示していないが、前記した各居住区間には、その空間における塵埃飛散度を検知するセンサーと、花粉飛散量のセンサーと、光量(可視光線量)を検知する照度センサーと、騒音センサーとを、それぞれ設置しており、それら各種環境センサーの検知情報を前記環境検知部202が受け取る構成になっている。なお、照度センサーは、居住空間が明るいか暗いかを見分けるためのものであり、例えば前記人検知部203がある居住空間に人がいないと判断している状況で、照度センサーが明るい状態であることを示している場合、居住者が照明器具76を点灯したままの状態であることを忘れている可能性が考えられる。そこでこのような場合は、電力指令装置9の制御部125は、その時点での総電力使用量が使用限度設定器96で設定された上限値よりも十分に余裕のある少ない量であったとしても、電気エネルギーの無駄を無くすという観点から照明器具76の消灯を使用者に(表示盤100やTV受像機75の液晶表示画面75Dを通じて)勧告する。その後、電力指令装置9の制御部125は消灯指令信号を当該照明器具に発する(但し、当該照明器具を電力指令装置9の電力削減対象機器になるように、接続しておくことが必要)。
図6において、10は在宅検知手段(在宅検知部ともいう)であり、前記人検知部203からの人の存在を検知しているかどうかの検知信号を受ける構成になっている。
また居住空間HAの共通した出入口である玄関(図示せず)の外側には、玄関電子錠19が設置されており、その電子錠に入力された暗証番号や生体情報(例えば指紋情報)に基づいて、居住者が帰宅したことを検知する個人認証装置29を備えている。この個人認証装置29では居住者からのパスワードの入力に基づいて、居住者であるかどうかを判定するが、その判定結果を前記在宅検知手段10に送信する構成になっている。なお、玄関のドアを電子的にロックしている前記電子錠と個人認証手段については、既に多くの構成例が提案されているので詳しく説明しないが、本実施の形態1においては、各居住者A〜Dの4名にそれぞれ固有のパスワードが割り当てられている。例えば、全ての居住者には「4桁の(共通の)数字の後に数字2文字」というルールでパスワードを決めるように指示されている。居住者Aのパスワードは「123401」、居住者Bのパスワードは「123402」、居住者Aのパスワードは「123403」となっている。なお、このパスワードは、玄関ドアの電子錠の所に設置してある10個の入力キー(テン・キー)で入力する。
なお、前記パスワード入力して居住空間の中に入った後、玄関から逆に外に出る際には、パスワード入力は必要ないが、前記人検知部203が、所定の時間(例えば30分間)に亘って全ての居住空間HAから人の存在を検知できない場合は、在宅検知手段10が、全ての居住者が外出しているものと判断し、それまでに入力した全ての居住者のパスワード入力記録を取り消し、在宅状態から留守状態へ検知情報を変更する。このため、この後で居住者が帰宅した場合は、再度パスワード入力が必要となる。なお、玄関から外出する際に、各居住者が外出することを前記個人認証装置にインプットするようにすれば、更に在宅状態の検知は正確になる。また前記したように、パスワードの入力を省略するため、生体情報(例えば指紋情報)から、居住者が帰宅したことを検知する手段に変えたり、居住者が保持している固有の身分証やIDカード等に記録された個人特定情報を、磁気的又は光学的手段で個人認証装置に直接読み込ませたりするという方法でも良いが、詳しい説明は省略する。
図7は、図1〜図5の電力指令装置9の主要部分の構成を一部縦断面図で示すブロック図である。
図7において、9Aは前記した前記電力指令装置9の本体。148Aは、凹部9Cの中の上部と下部にそれぞれ2個以上形成した凸部、148Bは、その凸部148Aと対向する位置にそれぞれ設けた凹部であり、前記表示盤100が凹部9Cの中の所定位置に挿入されると、これら凸部148Aと凹部148Bが嵌り合い、表示盤100を簡単には抜けないように保持される。またこの凸部148Aと凹部148Bが嵌り合ったことは、凸部148Aと凹部148Bに設けた感知スイッチ(例えば磁石と、その磁力を感知して信号が出るスイッチの組み合わせ)によって、前記制御部125によって検知される。
前記制御部125は、表示盤100の表示画面にて表示すべき表示信号と、表示盤100に内蔵した音声ガイド装置(図示せず)に対する音声指令信号を、それぞれ無線によって表示盤100側へ出しているので、表示盤100が前記電力指令装置9の本体から離れたとしても、居住空間HMの内部であれば、十分に表示信号と音声指令信号が到達する。また逆に表示盤100側からも入力信号が無線で電力指令装置9の本体側へ送信され、その信号は前記制御部125によって認識される。これら無線信号の授受は、図示していない入出力部を介して行われる。なお、図6及び図7に示すように、この電力指令装置9の本体9Aに対して、電力会社等の外部機関78Aから広域通信回路網98と前記ルーター99Aを介して当該家屋のある地域の電力使用状態、特に電力が逼迫している情報等が提供される。つまり、電力指令装置9の本体9Aは、電力会社やその他公共機関からの電力削減要請の信号等を自動的に受信できるようになっている。
図8及び図9は、電力指令装置9の健康管理処理部116と各種の健康管理機器410の構成を示すブロック図である。図8及び図9において、126は、前記健康管理処理部116に対して使用者が各種情報や指令を入力する操作部である。例えば、後述する健康管理機器の計測データを読み込ませる場面では、図19に示すように表示画面100Aにオンスクリーン・スイッチ(後述する「アイコン」と同じ)を表示し、このオンスクリーン・スイッチを選択することで入力操作を行えるようにしている。つまり、前記表示画面100Aは、電力指令装置9の使用限度設定器96の操作入力部117のように、使用者が前記健康管理処理部116に対して、各種情報や指令を入力するために使用できる。なお、オンスクリーン・スイッチは、表示画面に使用者が触れることで入力ができる、例えば静電容量検知型のタッチ式のキーに代えても良い。
図8及び図9において127は、後述する健康管理機器410の計測データを処理するデータ処理部であり、被測定者別にメモリー(RAM)139に記憶し、またメモリー139から読み出した計測データを処理して所定値以上の計測値がある場合には、注意情報などを付加し、またその計測データを、表やグラフ等の図形変換用信号にする。ROM138には計測データの処理形式や統計のための計算プログラム等の処理プログラムが格納されている。なお、データ処理部127では、図13に示すように、使用された健康管理機器を特定するコードや、計測した計測データの種類(例えば血圧)、被測定者を特定する情報、測定日時、計測値、異常有無等の情報がマトリックス状のデータになるように処理し、メモリー139に一時的に保存し、また電力指令装置9の記憶装置149にも計測データを移して記憶させておける。なお、データ処理部127において、例えば血圧計のデータの場合は、正常域を135〜85mmHgと規定しておき、この範囲を超えた血圧データが健康管理機器410側から提供された場合は、そのデータに注意情報(注意コード)を付帯情報として付ける方法であるが、健康管理機器410側で同様に使用者が正常域や正常値を設定しておき、それを超えた場合又はそれ以下である場合には、健康管理機器410側から何らかの付帯情報を付けてデータ処理部127に送信しても良い。これらは事前にデータ処理部127と健康管理機器側のデータ処理の方法を統一しておけば良いので詳しい説明は省略する。
136は、電力指令装置9本体9Aとの入出力部、137は健康管理機器の計測データを受信する情報受信部である。図8において、健康管理機器は、例えば血圧計410A、心電計410B、心拍数計410C、体温計410D、体重計410E、体脂肪計410F、尿検査機器410Gの7つの計測機器からなっており、血圧計410A〜尿検査機器410Gにより以下の7つの計測データを測定するものである。
図10は、健康管理機器410の代表例として血圧計410Aの構成を示したブロック図である。図10において、214は血圧の測定部、213は測定された血圧を数字等で表示する表示部、215は血圧の測定開始等を指令する操作部で、被測定者を特定できるように、測定前に被測定者の識別データ(例えば3桁の数字)をインプットする入力キー(図示せず)を備えている。血圧計410Aは、使用者の手首や腕等に計測帯を巻いたり、計測筒の中に腕を挿入したりして動脈の血圧を測るものであって、測定部214、時計回路147、表示部213、操作部215、メモリー216、制御部217、発信部314A、受信部314Bを有している。血圧とは、心臓の収縮期と拡張期の血圧をいい、それぞれ収縮期血圧(または最高血圧)、拡張期血圧(または最低血圧)と呼ぶ。そして測定結果は、140mmHg(水銀柱ミリメートル)のように表示される。なお、単位の「mmHg」を省略し、最高血圧値と最低血圧値を同時に表示し、140−80のように表示するものでも良い。また血圧の測定結果を数字で表示する液晶表示部などの表示部(図10参照)213が備えられている。
図8の410Bは心電計である。心電図は心臓の電気的な活動の様子をグラフの形に記録することで、心疾患の診断と治療に役立てることができ、医療機関等の日常診療で広く利用されている。この心電計にも測定結果をグラフで表示する液晶表示部などの表示部が備えられている。
図8の410Cは心拍数計である。心拍数は、一定の時間内に心臓が拍動する回数をいう。通常は1分間の拍動の数をいう。心臓が血液を送り出す際に、動脈に脈拍が生じるので、この回数を数えると脈拍数あるいは単に脈拍と呼ぶ場合がある。前記血圧計で同時に測定できるので、実際には血圧計と一体構造になっている場合が多い。またこの心拍数計にも測定結果を数字で表示する液晶表示部などの表示部が備えられている。
図8の410Dは体温計である。この体温計にも測定結果を数字で表示する液晶表示部などの表示部が備えられている。
410Eは体重計である。この体重計にも測定結果を数字で表示する液晶表示部などの表示部が備えられている。
図8の410Fは体脂肪計である。この体脂肪計にも測定結果を数字で表示する液晶表示部などの表示部が備えられている。なお、体脂肪計は、人体に占める脂肪の割合(体脂肪率)を測定する計器であり、体内の脂肪の量(あるいは体重にしめる脂肪の比率)を測定する機器であり、脂肪とそれ以外の人体構成成分ではインピーダンスが異なることを用いた測定法で手軽に体脂肪率を測ることができるものが市場に提供されているなお、人体のインピーダンスを求めるための電極板に体重を検知する素子を取り付けて体重も同時に測定できるようにしたものも知られている。なお、またこの体脂肪計にも測定結果を数字で表示する液晶表示部などの表示部が備えられている。
図8の410Gは、尿検査機器である。一般に尿検査では、大きく、色や比重など尿をそのまま調べる尿検査法と尿中の成分を調べる方法があるが、この実施の形態1においては、尿の成分検査の内、酸性であるかアルカリ性であるかどうかを測定する。尿が酸性・アルカリ性のどちらに偏っていてもよくないと言われているためである。なお、食生活で、野菜不足の人の尿は酸性になりやすいと言われているが、本発明によれば、このような健康管理情報を家庭で調理する主婦等が電力指令装置9を通じて知ることができる。なお、この尿検査機器410Gは、例えばトイレの便器に予め一体に組み込んでおくと便利である。なお、またこの尿検査機器にも測定結果を数字で表示する液晶表示部などの表示部が備えられている。
健康管理機器410は、前記7つの血圧計410A〜尿検査機器410G以外の計測機器を利用しても良い。各機器は複数のものが合体し、複合機能を有する形態であっても良い。なお、この尿検査機器410Gは前記したようにトイレの便器に取り付けられているため、血圧計410Aのように使用者が自由に持ち運びできないので、計測データを電力指令装置9の表示盤100に内蔵された健康管理処理部116に向けて無線で伝送する発信部(図示せず)を内蔵している。
図9において、運動機器145は、室内ランニングマシン145Aと、走行カロリー消費計測器145Bの2つから構成されている。室内ランニングマシン145Aは、居住空間HMに置かれてあり、被測定者(使用者)がランニングした時間と、被測定者の体重との積によって計算されるようになっている。例えば体重65kgの人が毎分120mの速度で1時間ジョギングした場合は、約480キロ・カロリーを運動によって消費すると言われているので、このようなカロリー消費計算プログラムが内蔵されており、体重データを被測定者が入力して運動開始すると、運動終了後に自動的に消費カロリーを算出するものである。
走行カロリー消費計測器145Bも、室内ランニングマシン145Aと同様の原理を使って被測定者の消費カロリーを算出する。なお、体重測定機能を有している場合には、被測定者が体重の数値をインプットしなくとも自動的にカロリーを計算できる。なお、これら室内ランニングマシン145Aと、走行カロリー消費計測器145Bにも、運動した結果で消費したカロリーを数字で表示する液晶表示部などの表示部がそれぞれ備えられている。
図9において、312は(手動式の)電気掃除機であり、この掃除機には本来の吸塵機能の他に、移動計測機能があり、結果的に消費カロリーを算出できるようになっている。この掃除機は、図21に詳細を示している。
図21において、前記電気掃除機312は、掃除機本体312Aと、ホース体312Bと、床面吸込具312Cとにより構成され、被清掃面FLから床面吸込具312Cを、矢印で示す進行方向に進めたり、逆に後退させたりすることによって塵埃を吸引して掃除をする。掃除機本体312A内には被清掃面FLから塵埃を吸引するための吸引風を発生させるための電動送風機(「ブロワーモーター」ともいう)312Dが設けられている。
さらに掃除機本体312A内には吸引した塵埃を捕集するための集塵室312Eが設けられている。電気掃除機の塵埃の捕集方法については、集塵室に紙パックと呼ばれる袋状フィルターを装着して捕集する紙パック式のものや、旋回流にて塵埃を分離して捕集するサイクロン式のものがあるが、本実施の形態1においては、何れの捕集方法であっても良い。
ホース体312Bは例えば蛇腹のような可撓性を有する軟質管部312Fと、電気掃除機312を操作するための入力を行う操作部(図示せず)を備えた持ち手部312Gと、伸縮構造を有する硬質延長管部312Hとで構成されていて軟質管部312Fの持ち手部312Gと接続されている反対側の端部が掃除機本体312Aの吸込口に着脱自在に接続されるようになっている。
ホース体312Bの硬質延長管部312Hの持ち手部312Gと接続されている反対側の端部には、床面吸込具312Cが着脱自在に接続されるようになっている。
前記掃除機本体312Aの天井部には、この本体を持ち運びするときに使用者が掴むハンドル312Jが一体に形成されている。また掃除機本体312Aの後部左右には、1対の走行車輪312Kがそれぞれ取り付けられている。また掃除機本体312Aの前方底面には、水平方向に360度回転自在に取り付けられた補助車輪312Lがある。これら補助車輪312Lと走行車輪312Kで掃除機本体312Aは前後方向に自由に移動可能であり、また左右一方の走行車輪312Kを中心として旋回できるようにもなっている。
前記掃除機本体312Aの内部には、前記走行車輪312Kの前方への回転数と、後方への回転数を積算する移動量計測計312Mと、この計測計による移動距離と前記掃除機本体312Aの重量との情報に基づいて運動によって消費されるカロリーを算出する演算部(図示せず)と、がそれぞれ内蔵されている。
前記移動量計測計は、電気掃除機の主電源を入れ、電動送風機312Dが運転開始された時点から計測が開始される。使用者が電気掃除機を掃除のために使用すると、通常はホース体312Bによって掃除機本体312Aを牽引する形になり、居住空間HMの中の床面上を掃除機本体312Aが移動することになる。そこで前記演算部は、この掃除機本体312Aを移動させる運動エネルギーを求めるために、前記走行車輪312Kの前方への回転数と、後方への回転数を積算したデータを利用して、掃除をする使用者の消費カロリーを算出するものである。
掃除機本体312Aの内部には、電動送風機312Dの運転が止められた時点で、前記演算部で算出した消費カロリーのデータを、前記電力指令装置9の健康管理処理部116に対し、自動的に無線で送信する機能がある。なお、電気掃除機の掃除機本体312Aにも、消費カロリーのデータを数字で示すような液晶表示部等の表示部が備えられているが、その表示部は電気掃除機本来の機能や運転状態も表示するものであり、集塵室312Eに塵埃が溜まったことを示すことにも利用されている。
図10において、217は、前記測定部214で測定された血圧データに、前記識別データ(コード)と、時計回路147から送られた血圧測定日時のデータとをセットにしてメモリー216に記録する制御部である。314Aは、例えば赤外線信号や特定小電力無線信号等によって外部に対して、前記メモリー216内部に蓄積した血圧測定データを送信する受信部である。314Bは、同様に他の機器から赤外線又は無線で送信された血圧測定データを受信する受信部であり、この受信した測定データは前記操作部215で、被測定者の識別データを付けてから前記メモリー216に記憶される。なお、メモリーは電源を切った場合でも記憶内容が消えないタイプの半導体メモリーである。以下、メモリーとは特に明記しない限り、このように電源を切った場合でも記憶内容が消えないタイプの半導体製メモリーを指すものとする。
健康管理機器410の代表例として血圧計410Aの構成を説明したが、前記した心電計410B、心拍数計410C、体温計410D、体重計410E、体脂肪計410F、尿検査機器410Gも基本的な構成は同じである。なお、これら各種健康管理機器の測定データをUSBコードやUSBメモリー、SDカードなどのような相互接続性の良い接続手段や記録カードで外部に情報を伝達するようにしても良い。図19に示した表示画面100Aでは、健康管理計測データの新規データ登録を行う場合、赤外線と、USBメモリーと、無線で測定データを読み込めることを示している。つまり、健康管理機器410の計測データを、電力指令装置9の内部にある健康管理処理部116に読み込ませる場面では、前記した操作入力部117を表示盤100の表示画面100Aに用意することができる。
図11は、TV受像機75の画面例とリモコンの概要図である。図11において、TV受像機75にはテレビ用ポータルサイトが表示された状態であって、リモコン75Rに設けられた特定の電源ON用ボタンを1回押圧すると、TV受像機75が起動され、システム制御部75Eは液晶表示画面75DにTV用ポータルサイトを表示する。ここで、TV用ポータルサイトとは、主にインターネットへの接続機能を持ったTV向けに様々なサービスを提供することを目的としたポータルサイトのことをいう。
図11に示したように、TV用ポータルサイトには、例えば「ニュース」、「天気予報」、「交通情報」、「地震・津波情報」などの略方形の枠で囲まれたアイコン(オンスクリーン型の入力スイッチ)411によるポータルサイトのメニューが表示される。また、別のアイコンとして、「健康管理情報」と表示された特別アイコン412と、「電気エネルギー管理」と表示された特別アイコン413と、「すまいの環境情報」と表示されたアイコン419が、それぞれ表示されている。これら3つの特別アイコンは、他の通常のアイコンよりも特別に目立つように大きく、また目立つ色で表示しても良い。なお、ここでいうアイコンとは、表示画面上に表示され、特定の機能の選択が行われるものであり、図形だけではなく、文字でその特定機能を表現している場合も含む。また図12の例のように、「健康管理情報」というように、文字で目的・機能を表示しただけの入力表示部(「タブ」又は「見出し」と呼ばれる場合もある)もアイコンに含むものとする。
ここで、図11に示したように、TV受像機75の液晶表示画面75Dに「電気エネルギー管理」と表示された特別アイコン413方向に向けて、リモコン75Rの特定のボタン(入力決定ボタン)を押すと、図11に示すように、リモコン75Rが赤外線信号を発信し、それをTV受像機75が検知して「電気エネルギー管理」の画面を選択したことになるので、液晶表示画面75Dには「電気エネルギー管理」と表示された専用の画面が表示される。なお、リモコンからの赤外線信号が特定のアイコンのみに照射されて入力信号が発生するのではなく、リモコンで特定のアイコンを選択した上で、リモコンが赤外線信号を発したことが検知され、その選択されていたアイコンが選択されたことになる。このようなアイコン自体は周知であるので、詳しい動作原理の説明は省略する。
一方、液晶表示画面75Dに「健康管理情報」と表示された特別アイコン412に向けて、リモコン75Rの特定のボタン(入力決定ボタン)を押すと、図12に示す液晶表示画面75Dには、「健康管理情報」と表示された専用の画面が表示される。そこでさらにリモコン75Rを操作すると、図12に示したような特別アイコン412の一種として、被測定者のある日時の血圧測定データが表示される。被測定者が事前に設定した目標範囲を超えていた場合、あるいは最高血圧値が135mmHgを超過し、又は最低血圧値が85mmHgを下回った場合には、注意喚起のために、血圧を改善するためのアドバイスや注意文が同時に表示される。この注意文やアドバイスは、健康管理処理部116のROM138に事前に格納されている場合と、健康管理機器410側のメモリー216に事前に格納されている場合の何れでも良い。なお、前記携帯電話端末器87で外部の医療専門機関の参考情報などを入手し、携帯電話端末器87から電力指令装置9に向けて広域通信回路網98Aを経由して情報を伝え、その情報を健康管理処理部116に格納し、当該情報を必要な都度読み出すように設定しておいても良い。
さらに、リモコン75Rを操作すると、図13に示したように、特定の期間中に測定した家族全員(家族は、被測定者AとBの2名以外にも2名居るが、図13では2名分だけ表示)の測定結果が一覧表形式で液晶表示画面75Dに表示される。なお、ここで被測定者Aとは後述する居住者Aのことをいい、被測定者Bとは後述する居住者Bのことをいう。
図13において、LS1は、健康管理機器410を特定するための機器コードを表示した欄、LS2は、測定の種類を示す欄、LS3は被測定者を特定する欄であり、アルファベットや数字、あるいは愛称など被測定者が特定できればどういう形式でも良い。LS4は健康管理機器で代謝データを測定した日時の欄、LS5とLS6は計測値の欄であり、これは代謝データの種類によっては1つ又は3つ以上になる場合がある。LS7は、測定データが正常範囲を超えるような異常値、あるいは異常値に近い注意段階にある場合、それに応じて所定記号が付けられる欄である。
図13に示しているように、計測結果で異常範囲にある場合には、「異常有無」の欄(LS7)に「E」という記号の注意データが示される。この記号が付された情報は、本発明では、以下「注意データ」と呼ぶ。なお、リモコン75Rを操作して特定の被測定者だけの計測データを表示させることも可能である。特別アイコン412は、例えば計測データを含むこれらLS1〜LS7に示す情報を意味する。
一方、図12に示した液晶表示画面75Dに「すまいの環境情報」と表示されたアイコン419側に向けて、リモコン75Rの特定のボタン(入力決定ボタン)を押すと、液晶表示画面75Dには、図14に示したような環境情報専用の画面が表示される。
図17、図18では、TV受像機75のリモコン75Rで、各種アイコン411,414,417,418等の選択を行っているが、家屋の中では、前記携帯電話端末器87でも行えるようになる。携帯電話端末器87から基地局80を介してASPサーバー89Aにアクセスすることができるようになっているから、前記ASPサーバー89AにあるTV受像機75の制御用アプリケーション・ソフトウェアをダウンロードすれば、居住空間(家屋)の内部においてTV受像機75の制御に使用することができる。また前述したように、この実施の形態1においては、外出先等から携帯電話端末器87によって家電機器EEに対する直接的な遠隔操作はできないようにしてあるが、家屋の内部では、TV受像機75以外の他の家電機器EEの操作をできるようにしても良い。なお、各家電機器EEの入出力部に携帯電話端末器87を接近させ(接触させても良い)、近接通信で信号の授受をさせることでも良い。この近距離通信とは、Near Field Communication(略称:NFC)としてとして知られている無線通信の国際規格技術のことである。
この図14において、470は、居間の環境情報を表示するエリア、471は、キッチンの環境情報を表示するエリア、472は、寝室の環境情報を表示するエリア、473は、浴室の環境情報を表示するエリアであり、このすまいの環境情報の表示画面を表示した際に、TV受像機75のシステム制御部75Eによって仮想的に形成される。仮想的とはエリア個々が物理的に独立したものではなく、システム制御部75Eの制御プログラムによって液晶表示画面75Dの画像表示エリアが、区分けされた状態をいう。なお、各表示エリア470〜473には、対応する居住空間の名称が「居間」、「キッチン」等の文字で表示される。
474は、室内の気温または湿度の少なくも何れか一方を文字で表示した温度・湿度表示部、475は、居住空間が使用者の予め定めた室温と気温の範囲にある場合に現れる快適マークで、星型マークの3つが最高、2つが中程度の快適、1つは3段階の快適度の内の最も低い場合を示す。このマークに代えて文字で表示しても良い。この快適マーク475は快適性を示す情報の一種である。なお、この快適度は、使用者が何時での変更可能であり、例えば冬と夏、あるいは居住している地方の実情に合せて居住者が自由に決めることができる。なお、初期設定では気温26℃、湿度50%未満に快適(3段階)の範囲のデフォルト値が設定してある。
476は、前記快適条件を外れるような気温と湿度であって、不快状態又はそれに近い状態にある場合に表示される注意マーク(表示情報)である。三角形のマーク1つは、「やや不快」、三角形のマーク2つは「不快」を意味する。この注意マーク476も快適性を示す情報の一種である。なお、日本では、気温と湿度で算出する不快指数を用いる場合がある。例えば、気温29℃、湿度70%で不快指数80である。この不快指数が75を越えると人口の10%が不快に感じ、80を越えると全員が不快になると言われているが、注意マーク476を1つ表示する場合は不快指数75未満、2つ表示する場合は不快指数75以上、と定義して表示させるようにしても良い。
前記三角形の注意マーク476が1つの場合は、「やや不快」、2つの場合は「不快マーク」であるとしているが、室温が30度以上で、湿度75%を超えた場合、不快指数は80を超え、室内に居ても熱中症になる危険性がある。特に、熱中症の発症現場を見ると、65歳以上の男性、女性とも室内が圧倒的に多いということが分かっている(参考文献:日本の環境省の「熱中症環境保健マニュアル」:2011年5月改訂版)。
そこで、環境検知部202は、気温29℃で、湿度70%になった時点で「第1次警報」レベルの信号を前記制御部125に送り、室温が30度以上で、湿度75%を超えた場合時点で「第2次警報」レベルの信号を制御部125に対して送る。制御部125は、人検知部203が何らかの居住者等の人の存在を検知している居住空間が、前記「第1次警報」を出された場合は、以下に示す「第1次警報」を出すための処理を行う。
対策1:電力指令装置9の表示盤100の表示画面100Aで警報出す。
対策2:TV受像機75を視聴している状態であれば、その液晶表示画面75Dに文字で警報出す。
前記対策1、対策2の動作指令を出してから5分以内に、気温29℃未満か、湿度70%未満に改善されない場合は、当該居住空間にいる人が暑さを体感していない場合も想定されるので、この場合は、制御部125は次に示す「第2次警報」を出すための処理をする。
対策3:当該居住空間にある環境改善機器の内、冷房能力(気温上昇抑制効果)のある空気調和機7を強制的に運転開始する(例えば、その時の室内目標温度は27℃)。
本発明で、空気調和機7が居住空間にある場合とは、居住空間の内部に装置自体があることは勿論含む。また居住空間の外部に装置自体があっても良いが、処理された空気が居住空間内へ供給される場合も含むものである。空気調和機7が居住空間に無い場合又は電源コードのプラグが接続口から抜かれている等、運転不能であることが分かった場合は、他の環境改善機器(後述するが、例えば換気装置や空気清浄機等)を運転開始する。
熱中症を防止するために室内の空気を対流させることも効果があることは知られている。そこで本発明の実施の形態では、居住空間の外にいる居住者(例えば、居住者AやB)に対して、環境状態が健康上で危険であることを報知する。具体的には報知情報は、電力指令装置9の入出力部124B(図6参照)からルーター99Aを介して屋外の通信回路網(通信ネットワーク)98に通信で送られ、居住者Bの携帯電話端末器87に届くようにする。居住者Bが遠隔操作で電力指令装置9を経由して空気調和機7の運転を行うようにするが、これが出来ない場合には、近親者や介護ヘルパー派遣事務所などに連絡して直接居住空間に出向いて貰うこともできる(この場合、玄関の電子錠の開錠方法は、居住者Bがその訪問者に伝える)。つまり、前記制御部125は、前記第2次警報信号を受けてから所定時間内に気温と湿度が第1の所定値未満の状態に改善しない場合、居住空間の外にいる居住者に対して、環境状態が危険であることを報知する。この構成であるから、環境改善機器の使用に不慣れな高齢者や子供が1人で部屋にいる場合でも、その環境を前記環境検知部202が見守り、屋内居住空間での安全性を高めることが期待できる。
また、環境検知部202は、「第1次警報」を出したかどうかに関係なく、室温が30度以上で、湿度75%を超えた場合時点で直ちに「第2次警報」を制御部125に対して出す。制御部125は、人検知部203が何らかの居住者等の人の存在を検知している居住空間が、前記「第2次警報」を出された場合は、前記した対策3の処理を指令する。対策3を指令してから以後1分経過毎に環境検知部202は、当該警報を出した居住空間の最新環境条件を計測して監視する。
上記のように強制的に運転開始された空気調和機7等の環境改善機器は、居住空間の環境条件が、居住者の定めた所定の条件になった場合には、制御部125が前記使用限度設定器96に指令を出し、環境改善機器の運転を自動停止させる。あるいは環境改善機器の運転を30分継続したら、自動停止させることでも良い。必要以上に運転すると省エネの観点から好ましくないからである。
477は、前記注意マーク476の近傍に文字で暑さ又は寒さを表示する寒暖表示部である。図13では、寝室と浴室には、それぞれこの寒暖表示部として「暑い」と表示されている。
478は、前記電力指令装置9の人検知部203によって人がいないと判定された場合に表示される不在マーク(不在表示情報)である。図14では、寝室と浴室には誰も居ないことがこの液晶表示画面75Dによって容易に分かる。
479は、居住空間の空気に影響を与え、快適性を維持・改善できる機能を備えた家電機器EE、例えば空気調和機7や、空気清浄機(図示せず)、換気装置(図示せず)等の「環境改善機器」の運転状況を示す第1の特定家電機器SP1の運転表示部である。なお、空気清浄機と換気装置は図示していないが、空気清浄機は、一般的に、吸気口と排気口を備えた箱状の本体と、この本体の内部に設置され、前記吸気口から室内の空気を吸引し、前記排気口から排出する電動送風機(電動ファン)と、前記吸気口から排気口に至る通風路を横切るように設置された塵埃除去用のフィルターとから構成されている。通風路を通過する空気に、マイナスイオンを放出したり、水の粒子から作られ、カビ菌やアレル物質、臭いの抑制に効果があると言われる微粒子イオンを放出したりする機能を備えたものなら、さらに好適である。換気装置は、キッチンの誘導加熱調理器2の真上の位置に設置されるフード付換気扇が代表的なものである。
480は、居住空間が快適性高く、室内の運動に適しているかどうかを文字で表示する運動注意マーク(運動注意表示情報)である。このマークは全ての居住空間の表示エリア470〜474に表示させても良いが、少なくとも居住空間に前記電力指令装置9の健康管理処理部116に無線又は有線で情報を送信した健康計測機器、例えば前記室内運動計測機器311A、311Bがある場合には、その機器のある居住空間の表示エリアには、前記運動注意マーク480が表示される。なお、この場合、運動計測機器も兼ねている電気掃除機312も対象であるので、寝室では電気掃除機312を運転することは適当でないことを図14では示している。
前記図12〜図16に示したTV受像機75の液晶表示画面75Dの構成、つまり表示される情報とその配置等は、表示盤100の表示画面100Aでも同様に表示される。但し、20〜60インチの画面サイズの液晶表示画面75Dの有効表示面積に比較して、10〜15インチの画面サイズの表示画面100Aでは、数分の1以下と狭いので、全く同じ内容が同じ大きさで表示される訳ではない。当然ながら表示される文字のサイズは小さくなるが、前記した温度・湿度表示部474、快適マーク475、注意マーク476、運動注意マーク480、後述する変動表示部483、不適環境表示部484、花粉飛散量表示部485、運転表示部482は、何れも表示される。これによりTV受像機75の液晶表示画面75Dと表示盤100の表示画面100Aとの間で、表示される情報の格差が生じないようにして、キッチンでも居間でも同じ情報を確認できるようにしている。なお、これら各種情報の表示画面100Aでの表示は、前記制御部125の表示用制御プログラムによって実行される。
図15は、図14に示した環境情報の画面構成の変形例である。
図15において、特徴的な構成は、詳細な情報を見るためのアイコン481A〜481Dを、各表示エリア470〜473毎に設けていることにある。また前記第1の特定家電機器SP1の運転表示部479に加え、居住空間の空気に放熱してそれを高温化する可能性があるなどの悪影響を及ぼす可能性のある第2の特定家電機器SP2、例えば炊飯器3の運転の状況を示す運転表示部482を設けたことである。
483は、温度又は湿度が所定の変化率以上変化(上昇又は下降)していることを示す変動表示部である。例えば2分間に気温が1℃以上上昇している場合、又は下降している場合には「上昇中」又は「下降中」とそれぞれ表示される。
484は、居住者の健康に適当ではなく、前記第1の特定家電機器SP1、つまり環境改善機器の運転によって改善できるような物理的環境にあることを示す不適環境表示部である。図15では、空気中1リットル中に含まれる所定直径以上の塵埃が所定数以上ある場合を示している。例えば、起床後に寝具を移動させたり、叩いたりした場合には一時的に埃が空気中に舞い上がって滞留している状態になるので、このような場合にはこの不適環境表示部に何らかの文字や記号等が現れる。この花粉飛散量表示部485も、特定の居住空間の快適性を示す情報の一種である。
485は、家屋の外の空気中に飛散している花粉の量が多いかどうかを表示する花粉飛散量表示部であり、花粉アレルギーの人達にとっては外出を控えたりする判断材料にもなり、有益な情報である。なお、この花粉飛散量表示部の基礎データは、日本の気象庁やその他気象専門機関、TV放送局などから提供されるので、前記した花粉センサーの情報に加え、あるいはその花粉センサーを設ける代わりに、それら外部機関からの情報を利用しても良い。そのような外部情報は外部機関78A、78Bから電力指令装置9又はTV受像機75が取得する。
次に、図15の表示画面の状態で、さらにリモコン75Rを操作して、例えば前記アイコン481Bを選択すると、図16に示すように画面構成が切り替わる。
図16において、486は、キッチンに設置された換気扇(図示せず)が運転されているかどうかを示す表示部、487は、同じくキッチンに設置された電気冷蔵庫(図示せず)の冷蔵運転モードが「強」、「中」、「弱」の3段階の何れにセットされているかどうかを示す運転強度表示部である。この運転強度は、冷蔵庫の消費電力量に大きく影響を与えることは既に周知であるので、詳しい説明は省略する。
図16に示すように、前記キッチン用の表示エリア471は、その面積が自動的に最大限度まで拡大される。このような拡大表示は前記システム制御部75Eの制御プログラムによって液晶表示画面75Dの表示形態が変更された結果である。488は、前記表示エリア471の右側周辺に確保した余白部であり、ここには、居間の環境情報を見ることを選択するアイコン490、寝室の環境情報を見ることを選択するアイコン491、は及び浴室の環境情報を見ることを選択するアイコン492が、それぞれ表示されているので、それらアイコンのどれか1つを選択すれば、居間や寝室、浴室の環境情報も詳しく液晶表示画面75Dに表示させることができる。
489は、アドバイス情報を表示するアドバイス部であり、ここには家電機器、特に第1の特定家電機器SP1の運転可否やその運転条件に関するアドバイス情報などが、居住空間の現在の状況に応じて文字で表示されるので、居住空間の環境をより適切に管理できるという効果が期待できる。図16は、キッチンの湿度が上昇している事態を改善するアドバイスとして、換気扇の運転を勧めている例である。つまり環境改善機器の1つである換気扇でキッチン内の空気の浄化を勧告している。
これらのアドバイスの基礎データは、前記健康管理処理部116の記憶手段である記憶装置149に格納されている。またTV受像機75の記憶装置(大容量メモリー)109にも同じものが格納されているので、TV受像機75で環境情報を見る場合には、記憶装置109からシステム制御部75Eが情報を引き出して液晶表示画面75Dに送り、表示させる。この際に、電力指令装置9の制御部125が、各種家電機器EEの運転情報を一括してリアルタイムで収集しているので、この制御部からの情報が液晶表示画面75Dの表示に利用される。
一方、電力指令装置9の表示盤100で環境情報を見る場合には、記憶装置149から制御部125が情報を引き出して表示盤100に送り、表示させる。なお、各種家電機器EEの運転状態の情報は、電力指令装置9の制御部125が一括してリアルタイムで収集しているので、この制御部からの情報が表示画面100Aの表示に利用される。
図11に示したように、TV用ポータルサイトに「地震・津波情報」のアイコン411が表示されている場合、及び一般のテレビ番組を視聴している場合に、突然に前記「地震・津波情報」のアイコン411が表示された場合、リモコン75Rでそのアイコンを選択すると、図17に示すように、「電気緊急遮断」という特別アイコン414と、「緊急地震・津波情報受信」という特別アイコン415が表示される。この場合、「電気緊急遮断」の特別アイコン414を選択すると、電力指令装置9の本体9Aの場所まで使用者が行かなくとも、緊急遮断指令がTV受像機75から電力指令装置9に送信され、数秒以内に所定範囲の各種家電機器EEの電力供給は遮断される。後述する「専用電気機器」であっても同様に、数秒以内に電力供給は遮断される
なお、前述したように、この電気緊急遮断では、避難通路になる廊下や各部屋、浴槽などの照明器具76と、TV受像機75、及び電力指令装置9、ルーターA99A、ルーターB99Bの電力遮断は行われない。また、2つの特別アイコン414、415は、特別アイコン412,413、419と同様に、他の通常のアイコンよりも特別に目立つように大きく、また目立つ色で表示しても良い。
図18は、TV受像機75で、一般のテレビ番組を視聴している場合の液晶表示画面75Dの正面図を示したものである。この図18のように、一般の番組視聴中でも、液晶表示画面の右下隅には、「電気エネルギー管理」というアイコン418が常に表示される。なお、この表示を使用者が消すこともできる。
図12、図14、図15、図16、図18において、417は健康管理情報の専用画面に切り替えるためのアイコンであり、タブ形状で示されている。418は前記したように、電気エネルギー管理の専用画面に切り替えるためのアイコンであり、四角形な枠形状で示されている。
図16において、232は、図11に示したTV用ポータルサイトの初期画面に戻るためのアイコンである。
図19は、電力指令装置9における表示盤100の表示画面100Aとその周辺部を正面から見た図である。この図19の場面で、420は、インフォーメーション・キーであり、使用者がこれに触れると、その場面で使用者に参考になる健康関連情報や、健康管理を効果的に進めるための情報がこの表示画面100Aの中にその都度表示される。その場合、表示面積を確保するため、前記血圧計410Aなどの計測データは表示しないようになっている。
421は、ヘルプモードキーであり、使用者がこれに触れると、その場面で使用者の操作に参考になる情報が表示されるとともに、別途設けた音声ガイド装置(図示せず)によって、正しい操作方法が音声で報知される。例えば血圧データが表示されている場合も、その周辺位置にこのキーが表示されるので、そのキーを押した場合、血圧データの見方や、正常な範囲の解説などが模式図や文字で表示画面100Aに表示される。
図19において、425は、既存データを表示させるためのアイコン(既存データ表示指令キー)であり、これは電力指令装置9の表示盤100に、血圧計410Aや心電計410B、心拍数計410C、体温計410D、体重計410E等の健康管理機器410や運動機器(室内ランニングマシン145A、走行カロリー消費計測器145B)、電気掃除機146、携帯電話端末器87等の各種機器から、健康管理の計測データや運動データ、消費カロリーデータ等を読み込ませる際に選択操作される。同じく図19において、57は、図48の説明の際に詳しく述べる在宅管理メニュー選択キーである。
図14、図16、図18におけるアイコン417を選択し、健康管理の画面を表示させた上で、「登録」というアイコン(図示せず)を選択すると、図19に示すように、新規データ登録というアイコン(入力キー)426と、既存の計測データを読み出して表示させるというアイコン(入力キー)425が表示される。
そこで新規登録のアイコン426を選択して、例えば血圧計410Aを表示盤100に接近させて、血圧計410Aの方の送信ボタンを押すと、血圧計410Aのメモリー216に格納されていた計測データが、健康管理処理部116の受信部129からRAM139に移され、記憶される。なお、前に述べたように、これら各種健康機器の測定データは、図19に示しているように、赤外線送信と、USBメモリーと、無線送信の何れでも健康管理処理部116は読み込める。なお、USBメモリーを挿入するための接続口(図示せず)が、電力指令装置9の本体9Aの前面や側面に設けてある。
この際、健康管理処理部116は、健康管理機器410から計測データが送り込まれた場合、その都度、データ全体を電力指令装置9に送信する。その際に計測結果で異常範囲にある場合には、健康管理処理部116は、異常のあったデータ(例えば最高血圧値)と被測定者、測定日時等の(図13に一例を示している)データ全体を電力指令装置9に送信する際に、特別のコード(以下、「異常値コード」という)を追加して電力指令装置9に送信する。これにより前記「注意データ」は、途中で消えることなく、その後も保存される。なお、異常値コードは、健康管理機器410の種類に応じて異なっており、また1つの健康管理機器410、例えば血圧計410Aで、最高血圧値と最低血圧値の両方に別々のコードを付すなど、健康管理機器410の計測対象に応じて複数個用意してある。
なお、健康管理処理部116は、計測データと異常値コードとを、前記PC接続デバイス75Mを介してシステム制御部75Eに送付し、最後にはTV受像機75の記憶装置(大容量メモリー)109(図5参照)に格納される。大容量メモリーは、計測された健康管理データが毎日10件以上送信されても、最低1年間のデータを十分格納できるように例えば数十ギガ程度の記憶容量を有している。なお、この大容量メモリーにはTV受像機75で受信した放送番組の記録映像・音声も格納されるが、TV受像機75の側からの情報と、健康管理処理部116からの情報は明確に区分けされて格納してあり、双方は独立して記録更新したり、削除したりすることが可能になっている。またこの大容量メモリーを物理的に分離できる2つの部分から構成し、第1の部分にはTV受像機75の側からの映像情報を、また第2の部分には健康管理処理部116からの情報を格納するようにしても良い。このようにすれば、第1、第2の部分を修理や交換する場合に、他方への影響を最小限度にでき、便利である。
次に、誘導加熱調理器2や炊飯器3を含む家電機器EEの電力制御システムについて説明する。最初に、図23に示した、1つのキッチン内にて使用されるシステムキッチン(流し台)1を中心に説明する。
前記システムキッチン(「流し台」、「厨房家具」ともいう)1の外殻を構成する筐体1Aの内部には、以下に説明する5つの家電機器を組み込んで構成されている。すなわち、そのキッチン内家電機器として、左右2つの加熱口(第1の加熱口2L及び第2の加熱口2R)を有する誘導加熱調理器2と、炊飯器3と、グリル調理器(電気魚焼き器)4と、電気ヒーター付きの電子レンジ(以下「オーブンレンジ」という)5と、食器洗い乾燥機6を備えている。なお、前記した「キッチン内家電機器」KPは、これらキッチン内にある複数の炊飯器3、グリル調理器4、オーブンレンジ5を総称したものである。また炊飯器3は、以下では単に「炊飯器」と呼ぶことがある。グリル調理器4は単独で構成されている場合もあるが、この実施の形態1では前記誘導加熱調理器2の中に一体的に組み込まれ、電熱と誘導加熱方式を併用した複合式の誘導加熱調理器の1つの加熱部として構成されている。従って、誘導加熱調理器2の主電源回路を遮断すると、前記グリル調理器4に対する電源供給も同時に遮断される構成になっている。なお、ここでは、冷蔵庫や換気扇等のその他のキッチン内家電機器は記載していない。
本発明の実施の形態1でいう「時間帯別の電気料金区分情報」について説明するが、その前に、家庭用電気料金制度について実例を説明する。
2012年6月1日時点の、東京電力株式会社の個人向け(家庭用)電気料金制度では、電力量料金単価を2つの季節と3つの時間帯に分けて設定している。これにより、季節や時間帯によって料金単価が異なるため、熱効率の高い家電機器を朝晩時間に使用することや、昼間に使用する家電機器を夜間時間や朝晩時間に移して使用するという工夫で、電気料金の低減が可能になると推奨している。
ここで、「季節料金」とは、「夏季」と、「その他の季節」とに分けてあり、「夏季」は毎年7月1日から9月30日、「その他の季節」は毎年10月1日から翌年6月30日までである。
一方、3つの時間帯に分けた「時間帯別料金」制度は、次の通りの時間帯で区分されている。
「昼間時間」:毎日午前10時から午後5時まで。1kWhあたりの電力量料金単価(税込)は、「夏季」で33.37円、「その他季節」で28.28円。
「朝晩時間」:毎日午前7時から午前10時までと毎日午後5時から午後11時までの2つ。1kWhあたりの電力量料金単価(税込)は23.13円。
「夜間時間」:毎日午後11時から翌朝の午前7時まで。1kWhあたりの電力量料金単価(税込)は9.17円。
つまり、電気料金単価を見ると、夜間時間が最も安く、その次に朝晩時間が安い。最も高いのは昼間時間であることが分かる。
本発明でいう「時間帯別の電気料金区分情報」とは、上記のような「時間帯別別料金」制度の情報であり、その一種としては、上記のような1kWhあたりの電力量料金単価である。また他の一種としては、「夜間時間が最も安い、その次に朝晩時間が安い。最も高いのは昼間時間である」という情報である。つまり、例えば上記電気料金制度で言えば、「毎日午後11時から翌朝の午前7時までの夜間時間までは、1日の内で最も安い」という情報が時間帯別の電気料金区分情報になる。必ずしも1時間あたりの電気料金自体を具体的に示したものでなくとも良く、一定の基準(たとえば昼間時間の料金)と比較して、安い時間帯であるのか高い時間帯であるのかが使用者に容易に判断できる情報で良い。
また、この実施の形態1で説明する誘導加熱調理器2では、加熱手段が通電される開始時間を使用者が設定するが、通電終了時間を設定しない場合があるので、厳密にいうと時間帯を設定しない場合がある。しかしながら、この実施の形態1で説明する誘導加熱調理器2では、
(1)最大連続加熱時間を60分に自動設定してあり、調理の途中で特定の操作をしない限り60分経過すると、自動的に加熱動作終了するという制御を採用しているので、加熱開始時刻を設定すれば、時間帯を設定したことになる。
(2)誘導加熱の調理メニュー(例えば、「揚げ物」、「茹で」、「煮込み」、「湯沸し」など)の中には、経験上、15分〜30分未満で終わるもの(例えば「湯沸し」)と、そうではなく1時間以上も加熱継続するものがあり、また使用する電力も大小色々あるので、使用される電力値が500W以上で、かつ30分以上加熱継続されると推定される調理メニュー(以下、「特定メニュー」という)を事前に選定し、その特定メニューを実施する場合に、上記した時間帯別電気料金の情報が表示されるようにしている。
前記のように構成している理由は、短時間で、かつ使用する電力が小さい調理メニューの場合には、その都度時間帯別電気料金の情報を表示させても、実際にそれを利用する頻度は少なく、表示させる意義が小さいからである。これによって、加熱調理器の制御プログラムを簡略化し、使用者の操作も複雑化しないという利点が期待できる。なお、特定メニューとしては「茹で」や「煮込み」、「炊飯」が選定されているが、本発明はこれに何ら限定されるものではない。
7は、家庭用の空気調和機で、上記キッチン内家電機器KPが設置された台所に設置される場合もあるが、この実施の形態1では、他の部屋(例えば居間)に設置されている例で説明する。なお、空気調和機は1台であるとは限らず、複数の部屋にそれぞれ設置され、合計数台の場合もあるが、以下の説明では1台の場合で説明する。なお、この空気調和機には、電力指令装置9の使用電力制御手段8Eが組み込まれている。これにより電力指令装置9との間で、要求電力、各調理器の調理状況や使用許可電力等の情報伝達が行われ、電力指令装置9が許可した使用電力内で使用電力制御手段8Eが空気調和機7の電力を制御するようになっている。
また、前記空気調和機7と、食器洗い乾燥機6及び電気ヒーターによる温風を供給して衣類を強制的に回転させながら乾燥させる洗濯乾燥機(乾燥機と洗濯機が一体になったもの)又は衣類乾燥機(何れも図示せず)は、以下の説明では「第2の家電機器」という。これらは、それぞれ電気エネルギーを消費するモーター部を有し、かつ互いに独立して電源が投入・遮断可能であり、後述する電力指令装置9から電力削減指令を受け取る構成になっている。なお、「第2の家電機器」には、消費電力を消費するモーターと、電気エネルギーを消費する加熱部とを備え、その加熱部によって温風を発生させる機器も含む。例えば電気式の衣類乾燥機や洗濯機と兼用した洗濯乾燥機があり、洗濯乾燥機では、洗濯してまだ乾燥していない衣類を収容する通気性のある籠状の容器(「ドラム」ともいう)と、この容器を回転駆動するモーターと、前記容器に供給される温風の熱源となる電気ヒーターとを備えている。なお電動圧縮機を備えたヒートポンプ方式で空気中の熱を回収して温風にする方式もある。
前記キッチン内家電機器KPは1つのブレーカーBKを介して交流200V電源EPと接続されている。各キッチン内家電機器1〜3、5と電力指令装置9は、赤外線又は無線信号を送信・受信する関係に接続されており、各キッチン内家電機器1〜3、5の各使用電力制御手段8A,8B,8C,8Dと電力指令装置9との間で、要求電力、各調理器の調理状況や使用許可電力等の情報伝達が行われ、電力指令装置9が許可した使用電力内で各使用電力制御手段8A〜8Dが各キッチン内家電機器1〜3、5の電力を制御するようになっている。
また、キッチン内家電機器KPには、他にオーブントースターや卓上のホットプレート、湯沸し器(電気ポット)など、何れも最大定格電力が1000W程度の機器があるが、説明を簡略化するため、具体的には図示しない。また各キッチン内家電機器1〜3、5と前記電力指令装置9との間は、電力線搬送技術を利用して電力線を兼ねた信号線で接続し、制御するようにしても良い。
(誘導加熱調理器2)
前記誘導加熱調理器2は、図24と図25に示すように、互いに独立して動作可能な誘導加熱部が左右に2つある、いわゆる2口のビルトイン式調理器であり、正面右側にある操作パネル13には、主電源スイッチ11の操作ボタン11Aと、左側にある第1の加熱口2L、右側にある第2の加熱口2Rの、それぞれの電力調整用ダイヤル12L、12Rとが設けられており、使用者は、主電源スイッチ11を投入して調理状況にあわせて電力調整用ダイヤル12L、12Rを操作して調理を行うようになっている。つまり、この電力調整用ダイヤル12L、12Rによって第1の加熱口2Lと第2の加熱口2Rにおける誘導加熱時の火力調節が、互いに独立して行える。なお、この誘導加熱調理器2の定格消費電力(最大消費電力)は5800Wである。
前記第1の加熱口2L及び第2の加熱口2Rの上方は耐熱強化ガラス板で形成されたトッププレート14で覆われ、このトッププレートの下方空間には、前記第1の加熱口2L及び第2の加熱口2Rの加熱源となる円環状の加熱手段(誘導加熱コイル2LC、2RC)が設置されている。
2Cは、誘導加熱調理器2の本体2A外郭を構成する箱状の本体ケースで、前記トッププレート14は、その周囲が額縁状の金属製フレーム15で覆われて、このフレームによって本体ケース2Cの上面部に固定されている。
前記本体2Aの上面前部には、各種の調理条件の設定値、警報や異常情報を表示する表示手段としての液晶表示基板を備えた等の中央表示部16、同様に誘導加熱時の火力値や火力レベル(強、中、弱など)等を表示する液晶表示基板を備えた左表示パネル17L及び右表示パネル17R、第1の加熱口2Lの加熱時間や油調理時の油温度を液晶文字や複数の発光ダイオード(発光体)などで表示する左表示部18L、同じく第1の加熱口2Lの加熱時間や油調理時の油温度を表示する右表示部18R、並びに、加熱動作の開始等の操作をするための上面操作部26が設置されている。
前記トッププレート14の下面に近接して前記中央表示部16、右表示パネル17R、左表示パネル17L、左表示部18L及び右表示部18Rがそれぞれ設置されている。
前記中央表示部16、左表示パネル17L及び右表示パネル17R、左表示部18L、右表示部18Rは、図27に示す表示部駆動回路35によって表示動作が制御される。
次に図27に基づいて前記表示部駆動回路35について説明する。なお、この図27では、表示手段としては前記中央表示部16だけを図示しているが、左表示パネル17L及び右表示パネル17R、左表示部18L、右表示部18Rも、それぞれ中央表示部16と同様に制御される。
この実施の形態1において、前記中央表示部16は、全ての加熱源に共通で用いられるものであるため、統合表示手段とも呼ばれる。全ての加熱源とは、第1の加熱口2L、第2の加熱口2Rと、前記グリル調理器4のグリル庫22内部に複数個設置した輻射式電気ヒーター、例えばヒーター34Hである。
前記中央表示部16を構成している表示画面129は、周知のドットマトリックス型液晶表示画面である。また高精細(320×240ピクセルの解像度を備えているQVGAや640×480ドット、16色の表示が可能なVGA相当)の画面を実現でき、文字を表示する場合でも多数の文字を表示することができる。液晶表示画面は1層だけではなく、表示情報を増やすために上下2層以上で表示するものを使用しても良い。また、単純マトリクス駆動方式を用いたSTN(SUPER TWISTED NEMATIC)液晶によって構成しても良い。
この実施の形態1において、表示画面129の表示領域は、縦(前後方向)約40mm(又は約80mm)、横約100mm(又は約120mm)の大きさの長方形である。
図27において、35は表示部駆動回路である。この表示部駆動回路は前記制御装置32と接続されている。
表示部駆動回路35は、表示用メモリー35A、表示コントローラー35B、インターフェース35C、電源35D、コモンドライバー35E、およびセグメントドライバー35Fを備えている。
表示部駆動回路35は、電源35Dからの電力により動作し、インターフェース35Cにより制御装置32の内蔵メモリー(図示せず)からの画像情報を取得する。
表示用メモリー35Aは、制御装置32から取得した画像情報を記憶する。
表示コントローラー35Bは、表示用メモリー35Aに記憶された画像情報を読み出し、この画像情報に基づいて、コモンドライバー35Eおよびセグメントドライバー35Fを継続的に駆動する。コモンドライバー35Eおよびセグメントドライバー35Fは、表示画面129の各画素に対応して設けられた互いに交差する電極に電圧を印加することで液晶を駆動する。このように、表示部駆動回路35は、表示用メモリー35Aに記憶された画像情報を、必要な都度表示画面129に表示させる。また右表示パネル17R、左表示パネル17L、左表示部18L及び右表示部18Rについても表示用の画像情報や発光用の駆動電流が供給される。
後述する図31において、電力指令装置9に登録した居住者以外の居住者が、誘導加熱調理器2を使用しようとした場合、「使用不可」という文字による表示PUは、この表示用メモリー35Aに記憶されているものであり、電力指令装置9からの所定の信号を制御装置32が受けた場合、その制御装置32からの指令で表示コントローラー35Bが、当該表示PUを表示画面129に表示させる。さらに、後述するヘルプモードキー111の操作時に、前記表示画面129の正しい見方や操作方法が、模式図と文字で表示画面129全体に表示される際の表示や、電力削減が強制的に行われたことを文字で示す削減表示部36C(図35参照)等も、前記「使用不可」の表示PUと同様な処理で表示画面129に表示されるものである。
表示部駆動回路35は、制御装置32を構成するマイクロコンピューターとは別の、専用のマイクロコンピューターによって構成されているが、同じマイクロコンピューターで構成しても良い。
(誘導加熱調理器2の基本動作)
次に、本実施の形態1に係る誘導加熱調理器2の誘導加熱動作について、図28〜図30を参照しながら説明する。
図28に示したフローチャートは、誘導加熱調理器2の基本的な動作ステップを示すものである。図28において、主電源スイッチ11の操作ボタン11Aを使用者がタッチして、電源を入れる(ST1)。すると制御装置32に電源が印加され、制御装置32は、温度検出回路150から温度情報を得て、調理器の主要な部分が異常な高温度になっていないかどうかを自己チェックする(ST2)。
異常が発見されない場合、制御装置32は、中央表示部16等の表示部駆動回路35を起動し、中央表示部16には異常がないので、調理を開始できること、またこれと同時に、音声合成装置38によって、中央表示部16で表示した内容と同様な内容を音声で報知する(ST3)。また、健康管理情報の内、特定の注意情報(例えば、最高血圧値が上限値を超えている)があるか場合には、中央表示部16等の表示手段でも良いが、図25に示しているように、専用の注意情報ランプ430を点灯させて使用者へ報知する。なお、図26ではこの注意情報ランプ430は図示していない。
健康管理情報に前記した特定の要注意データが加わった時点、すなわち、健康管理処理部116から電力指令装置9に当該要注意データが移された時点から一定期間内は、誘導加熱調理器2の主電源を入れる度に、上記のように専用の注意情報ランプ430を点灯させて使用者へ報知する。これにより要注意データの存在を測定者に確実に伝えることができるという効果が期待できる。例えば前日に血圧を測定し、最高血圧が上限値を超える状態であった場合、その当日から7日間は、専用の注意情報ランプ430を点灯させて使用者へ要注意データのあること報知するというように設定してあるが、この注意喚起期間は使用者が適宜長く、あるいは短く設定できることでも良い。前記注意情報ランプ430は、押しボタン式のスイッチと、そのスイッチの押しボタン部を下方から光で照らす発光ダイオード(LED)等の光源とから構成されており、点灯している状態から、さらに押しボタン部が使用者で押されると、前記中央表示部16には、注意情報の概要が示される。例えば、被測定者Aで、最高血圧値が140mmHgを超えた計測結果が、昨夜と一昨日の2日連続していることが表示される。この表示は一定時間(例えば10秒以内)で自動的に消え、次のステップST4に進む。
その後、中央表示部16は、金属製鍋等の被加熱物Nを使用したい第1の加熱口2L、第2の加熱口2Rの上に置くように、使用者に動作を促す文字を表示する(ST4)。
この状態で、中央表示部16の表示画面には、前記した第1の表示情報210Aが現れ、「電力削減対象」という文字が表示され、この誘導加熱調理器2の運転中に後述する電力削減要求信号を受ける可能性のある対象機器であること示す。
ここで使用者が、左加熱口用操作部81における、入/切ボタン81cを押すと、左側の第1の加熱口2Lを選択したことになる。
また右側にある入/切ボタン82cを押すと、右側の第2の加熱口2Rを選択したことになる(ST6)。そこで誘導加熱のメニューを選択するステップ(ST7)に進むことになる。例えばその後揚げ物ボタン81aを押せば揚げ物調理を選択したことになり、また3kWボタン81bを押せば、最大火力(3kW)で湯沸しを行うことができる。
一方、中央部にあるスタート/停止ボタン83bを押すと、グリル調理器4を選択したことになる(ST5)。つまり、電気輻射熱の加熱源を利用した加熱調理を選択したことになる。電気輻射熱の加熱源を利用した加熱調理を選択したあとは、ロースター調理、グリル調理又はオーブン調理の何れかを選択するステップ(ST9A、ST9B、ST9C)に進む。
また、使用者が本体2Aの蓋体42に設置された左加熱口の電力調整用ダイヤル12Lを回転操作させることによって、その回転操作信号が、制御装置32に送信される。制御装置32は、受信した回転操作信号に基づいて、インバーター回路33Lの出力を調節し、使用している第1の加熱口2Lの誘導加熱コイル2LCによる誘導加熱の火力を調整させる。その際、制御装置32は、その火力の強弱を、第1の加熱口2L用の左表示パネル17Lに例えば火力値をそのまま示して表示させる。
そして、使用者は、加熱調理終了後、再び入/切ボタン81cを押下することによって、誘導加熱動作を終了させることができる。スタート/停止ボタン83bを押せばグリル調理器4の電気輻射熱による加熱動作を終了させることができる。
また、使用者によって、被加熱物Nが第2の加熱口2Rの上方に設置された場合も、同様に、第2の加熱口2Rの下部の本体ケース2C内部に設置された加熱手段(誘導加熱コイル2RC)によって誘導加熱を実施することができる。その際、使用者による入/切ボタン82c及び電力調整用ダイヤル12Rの操作、並びに、左表示パネル17Lの表示動作については、前述の入/切ボタン81c及び電力調整用ダイヤル12Lの操作、並びに、前記第1の加熱口2L用の左表示パネル17Lの表示動作と同様である。
図29に示したフローチャートは、誘導加熱調理を行う場合の基本的な動作ステップを示すものである。図29において、ST7は誘導加熱のメニューを選択するステップで、図28で説明したとおりである。
誘導加熱調理では、最初に加熱調理メニューの選択が行われる。加熱調理メニューとしては前記したように例えば、「揚げ物」、「茹で」、「煮込み」、「湯沸し」などである。ここで調理メニューの選択が行われると、後述する電力指令装置9に対して、所定の起動情報が送信され、電力指令装置9では誘導加熱調理器2によって誘導加熱調理が開始される段階にあることが分かる(ST10)。すると誘導加熱調理器2は電力指令装置9から時間帯別電気料金の情報を取得し(ST11)、その情報を内部のメモリーに格納する。なお、このような時間帯別電気料金は、毎日変更されるものではないので、数日置きに取得しても良く、その数日間は内蔵メモリーに記憶した情報をその都度利用するようにしても良い。
次に誘導加熱調理器2は、中央表示部16の表示画面に時間帯別電気料金の情報を表示し、また後述する音声合成装置38によって、次の操作方法が音声で報知される。具体的には加熱調理器を使用する時間に変更がなければ、後述するスタートキー212を押すように音声でガイドされる(ST12)。
次に誘導加熱調理器2で使用時間帯に変更がなければ、その後、設定取消操作があったかどうかのチェックが行われ(ST15)、取消の入力操作が無ければ誘導加熱動作開始のステップ(ST16)に進む。使用時間帯の変更があった場合は、電力指令装置9に対して、新たな使用時間帯の情報が送信される(ST14)。そしてその変更後の使用時間帯に対応した電気料金情報が中央表示部16の表示画面に表示される。なお、前記ステップ(ST10)では、例えば「茹で」調理の場合は45分間というように、予め定めた標準時間が電力指令装置9に送信されるが、使用者が使用開始時刻と終了時刻の両方を入力し、例えば特定の時間帯(30分間)に設定した場合は、前記ステップ(ST14)で電力指令装置9に使用予定の時間帯情報が送信される。
図30に示したフローチャートは、誘導加熱調理を行う場合の基本的な動作ステップを示すものである。図30において、ST20は誘導加熱のメニューを選択する最初のステップで、図28で説明した選択ステップST7と同じである。前記したように「茹で」や「煮込み」などの「特定メニュー」を選択した場合は、次に中央表示部16の表示画面に時間帯別電気料金の情報が表示される(ST22)。次に加熱開始時間又は加熱終了時間の設定が行われ(ST23)、火力や温度が必要な場合はそれらを設定し(ST24)、使用する時間帯に適用される時間帯別電気料金の情報を最終的に確認し(ST25)、それで良ければスタートキー212を押すことで調理条件の確定が行われ、誘導加熱動作が開始される(ST26)。
一方、図30に示したフローチャートのように、非特定メニューを実施する場合には、上記した時間帯別電気料金の情報が表示されないようになっており、具体的には火力や温度が必要な場合はそれらを設定し(ST28)、それで良ければスタートキー212を押すことで調理条件の確定が行われ、誘導加熱動作が開始される(ST29)。なお、誘導加熱動作が開始される前に、誘導加熱の終了時間を予約しても良い。これは一般にタイマー調理と呼ばれており、調理開始前にタイマーを設定(例えば15分間)すると、誘導加熱開始時点から上記15分間が減算され、15分経過時点で自動的に誘導加熱が終了する。
図31〜図37は、前記表示画面129の表示例を示したものである。
主電源スイッチの操作ボタン11Aを押した場合、最初に図31の画面が表示される。つまり、誘導加熱とグリル庫22による調理メニューの選択用として、左の誘導加熱選択キー128N1L、右の誘導加熱選択キー128N1R、グリル調理選択キー128N2、オーブン調理選択キー128N3の各キーが一斉に(一覧状態に)表示される。オーブン調理とは前記グリル庫22内部の雰囲気温度を所定温度に高め、調理することをいう。例えばケーキを焼くことが一例である。この後、左側の誘導加熱選択キー128N1Rを押せば誘導加熱が、グリル調理選択キー128N2を押せばグリル調理のメニュー画面に切り替わる。なお、左側の誘導加熱選択キー128N1Rを押す代わりに、左加熱口用操作部81の、揚げ物ボタン81aや3kWボタン81bを押しても良い。
図31において、前記4つのキー128N1(L、R)、128N2〜N3は、使用者が指などを触れることで静電容量が変化する接触式の入力キーを採用しており、使用者がキー表面に対応した位置の、表示画面129の上面を覆うガラス製のトッププレート14の上面に軽く触れることで制御装置32に対する有効な入力信号が発生するものである。図10等に示したアイコン411〜413とは異なったものである。なお、キー128N1Lと128N1Rの2つを指す場合、符号として128N1を用いる。
すなわち、前記各種入力キー128N1〜128N3の部分(区域)を構成する前記トッププレート14表面には、キーの入力機能を示す文字や図形などが印刷や刻印等で何ら表示されていないが、これらキーの下方の表示画面129には、それら入力キーの操作場面毎に、キーの入力機能を示す文字や図形をその都度表示する構成し、その表示画面129に触れた場合、その触れた位置にあるキーが選択されたことになる。
36Aは、メニュー選択表示部、36Bは、使用者にメニューの選択を促すことを文字で知らせる表示部である。これらメニュー選択表示部36A、表示部36Bは、入力キー機能は有していないので、これら表示部にタッチしても制御装置32には何の入力もされない。
111は、ヘルプモードキーであり、使用者がこれに触れると、その場面で使用者の操作に参考になる情報が表示されるとともに、別途設けた音声合成装置38(図26参照)によって、正しい操作方法が音声で報知される。なお、何度もこのキーを押した場合、この表示画面129の見方や操作方法が、模式図と文字で表示画面129全体に表示される。112は、インフォーメーション・キーであり、これにタッチした場合、その都度、使用する被加熱物Nの情報や調理方法、上手に調理する注意点などを詳しく表示画面129に文字で表示する。36Cは、図35に示すように、電力削減が強制的に行われたことを表示画面129の上に文字で示す削減表示部である。
図31において、210Aは、誘導加熱調理器2が電力削減要求信号を受ける可能性のある対象機器であること示す第1の表示情報であり、図31の例では表示画面129の中に長方形の枠で、白抜き文字等によって「電力削減対象」と表示されているが、この表示は非特定メニューの一種である「湯沸し」を選択した直後に表示され、「湯沸し」を選択する前は表示されていない。その後、この「湯沸し」を実行中に、実際に電力が削減された場合には後述する第3の表示情報210Cとなり、「電力削減中」と表示しても良い。何れにしても使用者がこの第1の表示情報210Aを見ることによって、この誘導加熱調理器は電力が強制的に削減される可能性のあることを知ることができる。
図31において、PUは、後述する「専用使用者」として電力指令装置9に登録した居住者以外の居住者が、誘導加熱調理器2を使用した場合、最初に表示される「使用不可」の表示情報である。この表示は、図28の表示画面129等の表示手段の起動ステップ(ST2)で表示される。この「専用使用者」による使用制限表示が出た場合、図28に示した動作ステップは、それ以後に進まない。つまり、使用者が使用制限表示が出た場合は、その表示画面129に示された、前記4つのキー128N1(L、R)、128N2〜N3の何れに触れても入力は無効になる(制御装置32に入力信号として認識されない)。但し、後述する図64の動作説明図の居住者Cのように、専用使用者(居住者B)に対して、この誘導加熱調理器2を自分に使用させて欲しいと許可を求める場合、そのような許可を求めるかどうかを選択する「許可申請用キー」(図示せず)を、この表示画面129に表示させても良い。そのような「許可申請用キー」(図示せず)を専用使用者でない居住者が操作すると、誘導加熱調理器2から特定の信号が電力指令装置9に送信され、電力指令装置9から携帯電話端末器87が接続される外部の広域通信回路網98に照会情報が発信される。
図32は、誘導加熱調理器2で「湯沸し」を開始する直前の前記表示画面129の表示例を示したものである。210Bはこの湯沸しの実行中、その外部から所定の電力削減要請信号を受けている状態を示すための第2の表示情報である。図32の例では前記表示画面129の中に図31のように表示されていた第1の表示情報210Aが消え、代わりにそれと同一位置に「電力削減要請受信中」と白抜きの文字で第2の表示情報210Bが表示されたことを示している。
図32において、211Rは、前記表示画面129の上面を覆うガラス製のトッププレート14に形成された入力キーであり、これを押すと図31の表示画面129の表示状態まで戻る。211Nは、同じく入力キーであり、この部分にタッチすると図33の表示状態まで進む。
図33において、212は、前記表示画面129の上面を覆うガラス製のトッププレート14に形成された入力キー(「スタートキー」とも言う)であり、これにタッチすると第1の加熱口2Lにて誘導加熱調理が開始される。図34は湯沸し動作が開始されたあとの表示画面129の表示状態を示している。213は(湯沸し動作の)停止用の入力キーである。
前記各種入力キー211R、211N、212、213は、使用者が指などを触れることで静電容量が変化する接触式の入力キーを採用しており、使用者がキー表面に対応した位置の、表示画面129の上面を覆うガラス製のトッププレート14の上面に軽く触れることで制御装置32に対する有効な入力信号が発生するものである。すなわち、前記各種入力キー211R、211N、212、213の部分(区域)を構成する前記トッププレート14表面には、キーの入力機能を示す文字や図形などが印刷や刻印等で何ら表示されていないが、これらキーの下方の表示画面129には、それら入力キーの操作場面毎に、キーの入力機能を示す文字や図形をその都度表示する構成になっている。
図35において、210Cは、誘導加熱調理器2で「湯沸し」の誘導加熱調理メニューを実行している運転中に、その誘導加熱調理器2の外部から所定の電力削減要求信号を受けて実際に電力が削減された状態であること示す第3の表示情報であり、この図35の例では前記表示画面129の中に表示された第1の表示情報210A(図31参照)又は第2の表示情報210B(図32、図33参照)が消え、代わりにそれと同一位置に「電力削減」と白抜きの文字で表示されたものである。
図36において、210Dは、電力削減が回避されていることを示す第4の表示情報であり、前記第1の表示情報210Aが消えた後、ほぼ同じ位置に「電力優先」と白抜きの文字で表示されるものである。使用者がこの第4の表示情報210Dを見ることによって、この誘導加熱調理器では現在行なっている加熱調理中に電力が強制的に削減されることなく、電力量が維持されていることを知ることができる。つまり、この誘導加熱調理器には、後述する優先加熱工程としての「優先調理メニューの実行時間帯」があるので、その時間帯にある場合、「電力優先」という第4の表示情報210Dが表示画面129の右側位置に現れる。図36では「茹で」の調理メニューが実施されている場合である。
図32〜図34において、128A2は前記表示画面129に表示される「湯沸し」動作を選択するキー、128A3は「茹で」動作を選択するキー、128B1は「予熱」動作を選択するキー、128B3は「煮込み」動作を選択するキー、128C2は「揚げ物」動作を選択するキーである。これら5つのキーは、使用者が指などを触れることで静電容量が変化する接触式の入力キーを採用しており、表示画面129の上面を覆うガラス製のトッププレート14の上面に軽く触れることで、前記制御装置32に対する有効な入力信号が発生するものである。言い換えると、前記5つのキー128A2,128A3、128B1、128B3、128C2は、表示画面129の所定位置に「湯沸し」等のようなキーの入力機能を示す文字の真上の前記トッププレート14の下面に接着又は蒸着された透明電極等で入力電極が形成されている。前記5つのキーに対応した表示画面129の所定位置に「湯沸し」等のようなキーの入力機能を示す文字が表示されていない場合は、そのキーは入力機能が無効になっているので、仮に使用者がその部分に触れても入力動作は全く行えない。なお、図35や図36のように、加熱動作が開始されたあとも、その選択された調理メニューの入力キー128A2、128A3は表示されたままになっているが、この時に再度これらキーに触れても、表示画面が不用意に別の画面に変化しないよう、前記制御装置32で制御される。
次に、時間帯別電気料金情報と誘導加熱調理器の使用時間帯の情報の表示例について、図36〜図38を参照して説明する。
図36において、215は茹で調理メニューを選択した場合に中央表示部16の表示画面129に現れる加熱開始時刻表示部である。この時刻は後述する時計回路240からの現在時刻を前記制御装置32が読み出して表示する。216は茹で調理を開始する時間を表示する時刻表示部であり、特に使用者が変更しない限り、その時点の時刻が選択されて表示されるようになっている。この時刻も後述する時計回路240からの情報に基づいて前記制御装置32が表示画面129に表示する。217は、時間帯別電気料金区分の表示情報である。この図36の例では、適用される電気料金が中程度の時間は23時までという表示部218Mと、適用される電気料金が安い(低い)の時間は23時以降という表示部218Lと、の2つが表示されている。
三角形のマーク219は、現在使用開始した場合に、前記電気料金区分のどこが適用されるのかを表示したものであり、この図36の例では、現在22時50分であるので、23時からの「夜間時間」に近いが、まだ夜間時間に入っていないので、1kWhあたりの電力量料金単価(税込)は相対的に高い(23.13円)が、23時になると「朝晩時間」が適用されて1kWhあたりの電力量料金単価(税込)は安くなる(9.17円)ことが、直感的に理解できる。なお、1kWhあたりの電気料金単価自体を表示しても良いが、実際に使用している電力量が正確でないと、誤解を招くおそれがあるので、この実施の形態1では、「高」、「中」、「低」の3段階表示にしている。
図36において、211Rは1つ前の表示画面に戻る場合にタッチする戻りキー、230は加熱時間を1分単位で遅らせる(後ろへシフトさせる)キーであり、231は加熱時間を30分単位で遅らせる(後ろへシフトさせる)キーである。
これら2つのキーも表示画面129を覆うガラス製のトッププレート14に形成された静電式接触感知式の入力キーである。キーの機能を示す文字(1分シフト、30分シフト)は表示画面で表示される。図36において、例えば加熱開始時刻(22時50分)を23時にしたい場合は、前記時間シフト用キー230に10回タッチすれば良い。その次に、入力キー211Nにタッチすれば図37に示す表示に切り替わり、調理条件を確定させて加熱動作開始したい場合は、スタートキー212にタッチすれば良い。図36の画面に戻る場合は入力キー211Rに触れれば良い。
図24において、本体2Aの上面後部には、後述するグリル調理器4のグリル庫22内に空気を取り込むための吸気口20、及び、グリル庫22内の被調理物から発生する煙等を排出するための排気口21が形成されている。吸気口20は、本体2Aの内部空間に送風機(図示せず)で室内空気を取り込むものであるが、その取り込まれた空気の一部は、前記誘導加熱コイル2LC、2RCの冷却用に使用され、冷却後の空気は前記排気口21から室内へ放出される。また、図25で示されるように、本体2Aの内部空間には、誘導加熱調理器2の動作全般を制御する制御装置32が備えられている。
(グリル調理器4の構成)
次に、図24、図25を参照しながら、グリル調理器4の構成について説明する。
誘導加熱調理器2の本体2Aの左下側内部にグリル調理器4が収容されている。このグリル調理器4は、少なくとも、本体2Aの前面部の左側に開閉可能に設置されたグリル扉28、そのグリル扉28で前面開口部が開閉自在に閉鎖された調理空間であるグリル庫22、そのグリル庫22の底部に載置された受け皿23、その受け皿23の上に置かれ、上側に魚等の被調理物25を載置するグリル網24によって構成されている。グリル扉28には、そのグリル扉を開閉するためにユーザーが手を掛けるための取っ手28Aが設置されている。
また、グリル庫22と排気口21とを連通させ、吸気口20から取り込まれた空気を被調理物25から発生する煙と共に、グリル庫22から排気口21を介して外部に排気するための排気ダクト(図示せず)が、グリル庫22の後方に接続されている。
(上面操作部26の構成)
次に、図25を参照しながら、上面操作部26の構成について説明する。
図25で示される誘導加熱調理器2の平面視において、上面操作部26は誘導加熱調理器2の上面の手前側に、横方向に長く帯状に配置されている。つまり前記トッププレート14の前方端部よりも更に手前側で額縁状の金属製フレーム15の前方辺の直後位置に配置されている。
上面操作部26は、左側から、第1の加熱口2Lの加熱動作を操作するための左側の第1の加熱口2Lの加熱動作を操作するための左加熱口用操作部81、グリル加熱動作を操作するためのグリル庫用操作部83、及び、右側の第2の加熱口2Rの加熱動作を操作するための右加熱口用操作部82を備えている。この上面操作部26に、前記注意情報ランプ430が一対設けてある。
前記左加熱口用操作部81は、揚げ物ボタン81a、3kWボタン81b及び入/切ボタン81cによって構成されている。また、右加熱口用操作部82は、揚げ物ボタン82a、3kWボタン82b及び入/切ボタン82cによって構成されている。そして、グリル庫用操作部83は、グリルメニューボタン83a、スタート/停止ボタン83b、左矢印ボタン83c、右矢印ボタン83d、時間マイナスボタン83e及び時間プラスボタン83fによって構成されている。
また、スタート/停止ボタン83bには、スタート/停止ボタンLED84が備えられている。また、左矢印ボタン83c及び右矢印ボタン83dには、矢印ボタンLED85が備えられている。そして、時間マイナスボタン83e及び時間プラスボタン83fには、時間ボタンLED86が備えられている。
上記の各ボタン及び各LEDの機能についての詳細については後述する。
なお、図25で示される上面操作部26を構成する各ボタンの種類及び配置は、一例を示すものであり、これに限定されるものではない。
(誘導加熱調理器2の制御部)
図26において、27は200Vの商用電源EPにブレーカーBK介して接続された電源線、11は使用者によって開閉操作される主電源スイッチ、31はこの主電源スイッチを介して電気エネルギーが供給される電源回路、32はこの電源回路から所定の定圧電流が供給されるマイクロコンピューターを中心に構成される制御装置である。前記マイクロコンピューターは、入力部と、出力部と、記憶部と、CPU(演算制御部)の4つの部分から構成され、その記憶部には、各種調理メニューに対応した通電制御プログラムが予め記憶(格納)されている。
33Lは、前記左側の誘導加熱コイル2LCに高周波電流を供給するためのインバーター回路である。誘導加熱コイル2LCは共振コンデンサー等が接続された周知の共振回路の中に接続されている。
33Rは、前記右側の加熱手段(誘導加熱コイル2RC)に高周波電流を供給するためのインバーター回路である。加熱手段(誘導加熱コイル2RC)は共振コンデンサー等が接続された周知の共振回路の中に接続されている。
そしてこれら2つのインバーター回路33L、33Rは、前記制御装置32によって互いに独立して駆動されるようになっている。
34は前記グリル調理器4のグリル庫22内部に複数個設置した輻射式電気ヒーター、例えばヒーター34Hを駆動する駆動回路である。前記ヒーター34Hは例えばグリル庫22の内部の天井付近と底面付近にそれぞれ水平に設置されており、前記グリル網24を上方と下方から加熱できるように構成されている。
37は、前記グリル庫22から排気口21に至る排気ダクト(図示せず)の入口部又はその途中に設置された触媒(図示せず)を加熱することによって、グリル庫22から放出される煙の除去作用を促進するための触媒ヒーターであり、触媒(図示せず)を加熱することで酸化還元作用を促進する。
38は、電子的に作成した音声を合成する音声合成装置であり、使用者に対する操作の案内や、異常発生時の報知などをスピーカー39から音声でその都度報知する。
150は温度検出回路である。この温度検出回路は、前記誘導加熱コイル2LC、2RCによって加熱されるトッププレート14上の被加熱物Nの温度や、そのトッププレート14の温度、グリル庫22内部の雰囲気温度等を検知するための複数個の温度センサー(図示せず)から温度検知情報を受け取り、温度検出結果を制御装置32に送る。前記温度センサー(図示せず)は赤外線センサーのような非接触型、あるいはサーミスタのような接触型の何れであっても良く、それらを単独で、又は組み合わせて使用している。
41は、前記グリル庫22の内部に高温蒸気を供給する蒸気供給装置であり、高温蒸気によってグリル庫22で蒸し調理ができる。42は前記操作パネル13に設けた前面操作部であり、前記主電源スイッチ11の操作ボタン11Aと、2つの電力調整用ダイヤル12L、12Rとをそれぞれ有している。
240は、リアルタイム・クロックとも呼ばれている時計回路であり、制御装置32とは電源(内蔵電池)から電源が駆動されている。これは例えば電波時計でも良く、常に制御装置32から求めがあれば、現在時刻を秒単位で知らせるものであり、この誘導加熱調理器の製造段階で正しい日時にセットされている。従って、誘導加熱調理器2の主電源を切り、その後再度主電源を投入しても、この時計回路の時刻情報を影響受けず、常に最新の正しい時刻を制御装置32に伝える機能がある。
241は地震発生時の揺れを検知する感振機器であり、所定の震度(加速度)以上を感知した場合、振動感知信号を前記制御装置32に送り、制御装置32ではその信号を受けて地震発生と判断し、使用中の全ての加熱手段の電源を瞬時に遮断する動作を行う。なお、この緊急遮断情報は、後述する電力指令装置9にも瞬時に発信され、運転中の他の家電機器(特に、電気熱源を内蔵しているもの)がある場合、電力指令装置9が、それら家電機器の電源も一斉に緊急遮断する。
次に、図24及び図25に示す誘導加熱調理器2による油調理について説明する。油調理とは天ぷら等の揚げ物調理のことである。なお、この揚げ物調理は、前記した特定調理メニューとして選定されていない。
使用者は、食用油が入れられた油鍋を第1の加熱口2Lに置く。そして、使用者が上面操作部26に配置された入/切ボタン81cを押下することによって、前述の誘導加熱動作と同様に、油鍋の加熱動作が開始される。次に、使用者は揚げ物ボタン81aを所定回数押下することによって、油鍋に入れられた油の量を制御装置32にインプットし記憶させる。そして、左側の電力調整用ダイヤル12Lを回転操作することによって、目標とする油温度を設定する。この際、設定された油の量及び油温度は、例えば、左表示部18Lに数字で表示させるものとすればよい。そして、使用者は、油調理終了後、再び入/切ボタン81cを押下することによって、油調理を終了させることができる。なお、揚げ物調理は、前記したように目標となる油温度まで自動的に温度上昇するように、制御装置32によって火力が調節されるが、これを調理メニューでは「自動揚げ物」と呼ぶ。また手動で火力を調節しながら揚げ物を調理することもできるが、それは「手動揚げ物」という。以下の説明では特に明示しない限り、揚げ物調理とはこの「自動揚げ物」のことを指す。
また、使用者によって、油鍋が右側の第2の加熱口2Rに設置された場合も、同様に、油鍋の誘導加熱を実施することができる。その際、使用者による入/切ボタン82c、揚げ物ボタン82a及び右側の電力調整用ダイヤル12Rの操作、並びに、右表示部18Rの表示動作については、前述の入/切ボタン81c、揚げ物ボタン81a及び左側にある電力調整用ダイヤル12Lの操作、並びに、左表示部18Lの表示動作と同様である。
なお、揚げ物調理の開始時点では、中央表示部16の表示画面には、前記した第1の表示情報210Aが現れていて、「電力削減対象」という文字が表示されている。
次に、揚げ物調理における通電制御パターンについて説明する。なお、第1の加熱口2Lの場合で以下説明するが、右側にある第2の加熱口2Rでも同じ制御パターンで実行される。
(自動)揚げ物調理の調理メニューを使用者が選択すると、制御装置32は、図50に示すように、予熱工程、揚げ物調理工程、火力アップ工程を順次実行する。また前記中央表示部16の表示画面には、前記した第4の表示情報210Dが現れ、「電力優先」という文字が表示される。このため、この揚げ物調理中には、後述する電力削減要求信号を受けても電力を優先的に確保する調理器であることが使用者に認識できる。
予熱工程では、使用者が設定した目標の油温度が180℃である場合、予熱工程では所定の火力値(最大1500W)でインバーター回路33Lが駆動開始され、急速に油の温度は室温(例えば20℃)から目標温度T1の180℃まで上昇する。
この温度上昇は、前記した温度検出回路150によってリアルタイムで監視されているので、目標温度T1(第1の温度)の180℃になったことが温度検出回路150によって検出されると、制御装置32は、誘導加熱量、つまりインバーター出力を調節して、目標温度をそのまま維持しようとする(このような温度検出情報に基づいて、目標温度に近づけようと高周波火力を自動的に調節する動作を以下、「温度フィードバック制御」という)。
またこの「温度フィードバック制御」の工程に入ると、前記中央表示部16の表示画面では、前記した第1の表示情報210Aによる「電力削減対象」の文字が消え、代わりに第4の表示情報210Dが現れ、「電力優先」という文字が表示される。このため、表示画面129を使用者が見れば、この揚げ物調理の重要な「揚げ物調理工程」は、後述する電力削減要求信号を受けても電力を優先的に確保する動作が行われることを容易に認識できる。
また音声合成装置38を介して使用者に「油の温度が適温になりました。具材を投入してください」というような音声ガイドを行う。
使用者が具材、例えば冷凍されていたコロッケを油の中に入れると、その油は冷たい具材によってその投入時点から急速に冷やされるので、図50に示すように温度が急降下する。しかし、温度検出回路150はこのような温度降下の動きを監視しているので、直ちにインバーター回路33Lの火力を所定の火力1500W又は1800Wに上げて駆動するので、油の温度は再び上昇する(温度フィードバック制御)。このようにしてして再び目標温度T1に至った段階で直ちに(または所定時間経過したら)揚げ物工程から火力アップ工程に移行する。
図50の火力アップ工程では、前記目標温度T1よりも高い第2の温度T2の225℃と、これより更に高い上限温度(第3の温度)T3の230℃間に油の温度が維持されるように制御装置32はインバーター回路33Lを制御する。図50に示すように火力値は900W程度で間欠駆動される。この第3の温度T3になった以降の工程を「揚げ物仕上げ工程」と呼び、揚げ物をカラッと仕上げるために重要な工程である。このような火力アップ工程で十分な火力を投入して調理しないと、揚げ物がうまくできないことになる。なお、揚げ物工程は所定の時間内に制限されていないので、使用者が入/切ボタン81cを押下すれば、揚げ物調理は全て終了する。
図50に示すように(自動)揚げ物調理の調理メニューにおいて、前記揚げ物調理工程から火力アップ工程までを「優先調理メニューの実行時間帯」と定義しており、この実行時間帯には外部からの操作や指令によって電力の削減が行われないようにしている。つまり、この誘導加熱調理器2の制御装置32は、実行中の調理メニューが、前記「優先調理メニューの実行時間帯」にあるかどうかを常に把握し、もしその実行時間帯にある場合には、その旨を外部に報知する機能を有している。また、前記中央表示部16の表示画面では、第3の表示情報210Cが「電力優先」という文字を表示し続け、電力を優先的に確保する動作が制御装置32によって自動的に行われることが分かる。
次に、お湯沸かし動作について説明する。この「湯沸し」のメニューも前述したように前記特定調理メニューとして選定されていない。
使用者は、水が入れられた鍋や、やかん等の被加熱物Nを第1の加熱口(左加熱口)2Lに載置する。そして、使用者が上面操作部26に設置された入/切ボタン81cを押下することによって、前述の誘導加熱動作と同様に、加熱動作が開始される。次に、使用者は3kWボタン81bを所定回数押下することによって、加熱時間を設定する。この際、設定された加熱時間は、例えば、左表示部18Lに表示させるものとすればよい。そして、加熱動作開始後、設定された加熱時間が経過した後、自動的に加熱動作が終了する。
また、使用者によって、水の入れられた鍋又はやかん等の被加熱物Nが右側の第2の加熱口2Rに置かれた場合も、同様に、誘導加熱を実施することができる。その際、使用者による入/切ボタン82c及び3kWボタン82bの操作、並びに、右表示部18Rの表示動作については、前述の入/切ボタン81c及び3kWボタン81bの操作、並びに、左表示部18Lの表示動作と同様である。
(誘導加熱調理器2のグリル調理器4における加熱動作)
次に、図24〜図26を参照しながら、本実施の形態1に係る誘導加熱調理器2のグリル庫22における加熱調理動作について説明する。
使用者は、まず、グリル扉28の取っ手28Aを掴んで手前に引っ張り、受け皿23及びグリル網24をグリル庫22内から外側に引き出す。次に、使用者は引き出したグリル網24の上に魚等の被調理物25を載置する。次に、使用者は、再び、取っ手28Aを掴んで本体2Aのグリル庫22奥側に押し込み、受け皿23及びグリル網24をグリル庫22内に引き込んで、グリル扉28を閉める。そして、使用者は、上面操作部26に配置されたグリルメニューボタン83aを所定回数押下することによって「姿焼き」、「グリル」及び「オーブン」等のグリルメニューを選択する。
次に使用者によって「姿焼き」のグリルメニューが選択された場合のグリル加熱動作について説明する。
使用者は、左矢印ボタン83c及び右矢印ボタン83dを所定回数押下することによって、被調理物25の焼き色を設定する。この焼き色の設定操作信号は、制御装置32に送信され、制御装置32は、その設定操作信号に基づいて、中央表示部16にその設定された焼き色を表示させる。そして、使用者は、スタート/停止ボタン83bを押下することによって、「姿焼き」メニューのグリル加熱動作が実施される。具体的には、使用者によるスタート/停止ボタン83bの押下操作信号が、制御装置32に送信され、制御装置32は、その押下操作信号を受信すると、先程受信した焼き色の設定操作信号に基づいて、被調理物25の調理時間を計算する。次に、制御装置32は、ヒーター駆動回路34(図26参照)に対し、グリル庫22内に設置されたヒーター34Hに通電させ、そのヒーターによって、設定された焼き色となるように被調理物25を加熱させる。そして、制御装置32は、加熱動作を開始してから、計算した調理時間経過後に、加熱動作を終了させる。
次に、使用者によって「グリル」のグリルメニューが選択された場合のグリル加熱動作について説明する。
使用者は、左矢印ボタン83c及び右矢印ボタン83dを所定回数押下することによって、被調理物25に対する加熱動作の火力を設定する。この火力の設定操作信号は、制御装置32に送信され、制御装置32は、その設定操作信号に基づいて、中央表示部16にその設定された火力を表示させる。
次に、使用者は、時間マイナスボタン83e及び時間プラスボタン83fを所定回数押下することによって、被調理物25に対する加熱時間を設定する。この加熱時間の設定操作信号は、制御装置32に送信され、制御装置32は、その設定操作信号に基づいて、中央表示部16にその設定された加熱時間を表示させる。そして、使用者は、スタート/停止ボタン83bを押下することによって、「グリル」メニューのグリル加熱動作が実施される。具体的には、ユーザーによるスタート/停止ボタン83bの押下操作信号が、制御装置32に送信され、制御装置32は、その押下操作信号を受信すると、ヒーター駆動回路34に対し、グリル庫22内に設置されたヒーター34Hに通電させ、そのヒーターによって被調理物25を加熱させる。そして、制御装置32は、加熱動作を開始してから、設定された加熱時間経過後に、加熱動作を終了させる。
次に、使用者によって「オーブン」のグリルメニューが選択された場合のグリル加熱動作について説明する。
使用者は、左矢印ボタン83c及び右矢印ボタン83dを所定回数押下することによって、被調理物25に対する加熱動作の加熱温度を設定する。この加熱温度の設定操作信号は、制御装置32に送信され、制御装置32は、その設定操作信号に基づいて、中央表示部16にその設定された加熱温度を表示させる。
次に、使用者は、時間マイナスボタン83e及び時間プラスボタン83fを所定回数押下することによって、被調理物25に対する加熱時間を設定する。この加熱時間の設定操作信号は、制御装置32に送信され、制御装置32は、その設定操作信号に基づいて、中央表示部16にその設定された加熱時間を表示させる。そして、使用者は、スタート/停止ボタン83bを押下することによって、「オーブン」メニューのグリル加熱動作が実施される。具体的には、使用者によるスタート/停止ボタン83bの押下操作信号が、制御装置32に送信され、制御装置32は、その押下操作信号を受信すると、ヒーター駆動回路34に対し、グリル庫22内に設置されたヒーター34Hに通電させ、設定された加熱温度の下に、ヒーター34Hによって被調理物25を加熱させる。そして、制御装置32は、加熱動作を開始してから、設定された加熱時間経過後に、加熱動作を終了させる。なお、この「オーブン」のグリルメニューでは、前記グリル庫22の内部雰囲気温度が使用者の設定した加熱温度になるように制御装置32はヒーター34Hの火力を自動的に制御する(温度フィードバック制御)。
(炊飯器3の構成)
この実施の形態1における炊飯器3は、図22、図23、図39、図40、図41、図42に示すように、箱型の本体ケース41と、蓋体42と、蒸気処理装置50から構成されている。その蓋体42又は前記本体ケース41の表面には、使用者が操作する操作部43があり、その操作部には、炊飯開始ボタン44を有しており、周知のように炊飯開始ボタン44が押されると自動的に炊飯をスタートし、吸水工程を経て沸騰工程で一気に炊き上げ、ご飯を炊ける調理器である。なお、炊飯後は一定の時間(例えば7時間)は保温ヒーター(図示せず)によってご飯は所定の温度(例えば70℃)を維持するように保温される。炊飯器3は、使用者が自由に持ち運びできるので、システムキッチン1以外の場所で使用することも可能である。
前記炊飯器3の本体ケース41は平面形状が縦長の長方形又は正方形を有している。本体ケース41の内部には、上面が開口した平面形状円形の磁性金属製の内釜40と、この内釜の上面開口を開閉自在に閉塞するよう前記本体ケース41の後部の一側縁部にヒンジ機構で支持された前記蓋体42と、前記内釜40を加熱する加熱手段45を備えている。この加熱手段は、誘導加熱方式のヒーターが用いられ、線径が数十ミクロン程度の細い銅線を多数束ねて撚り線構造にし、円板(環状)形状にした誘導加熱コイルが実際の加熱体となる。この加熱コイルは前記内釜40の外側底面に広い範囲で密着又は微小間隙を置いて対面するように設置されている。
前記蓋体42の内側には、その蓋体42を閉塞した時、内釜40の上面と蓋体42の間から蒸気が外部に漏れなくする為の環状のゴム製蓋シール材を具備した良熱伝導性金属からなる円形の内蓋46が着脱自在に固定されている。この内蓋46の一部には、内釜40で発生した蒸気を外部に排出するための蒸気発生口47が形成されている。
前記蓋体42には、その上面に臨むように液晶表示部49(図40〜図42参照)が収納されている。この液晶表示部の表示画面には、炊飯開始前の各種条件設定情報や、実行されている炊飯工程の情報などが視覚的に認識できるよう、文字や記号、イラストなどで表示される。また加熱手段45の動作状態や炊飯に参考となる関連情報(異常使用を注意する目的や異常運転状態の発生を知らせる目的のものを含む)も前記液晶表示部49の表示画面にて適宜表示される。
図40において、54Aは、後述する「炊飯工程」の中の「強火」工程を実行している状態であることを表示する第6の表示情報であり、文字で「沸騰中」と表示される。54Cは第7の表示情報であり、前記した第4の表示情報210Dと同様に、不用意な電力削減は問題があるので、電力を優先的に確保する(炊飯工程の強火加熱)工程に入っていることを示すためである。なお、誘導加熱調理器2の第1の表示情報210Aと同様に、電力が削減される可能性のあることを示す第5の表示情報54B(図示せず),また同じく第3の表示情報210Cと同様に、電力が削減されたことを示す第8の表示情報54D(図示せず)が液晶表示部49に表示される場合もある。
43は、図40に示すように炊飯器の操作部であり、炊飯動作を開始したり予約を確定したりする「炊飯開始ボタン」44、炊き上がった米飯を一定の所定の温度で保温するモードを開始する「保温キー」55B、通常の炊飯やおかゆや炊き込みご飯などの各種炊飯メニューの選択を行う「メニューキー」55C、白米や玄米など炊飯するお米の種類を選択して入力する「お米キー」55D、炊飯器3の状態と次に必要な操作を音声にて報知したり報知する音量を調整したり音声モードの入り切りを行う「音声ナビゲージョン用キー」55E、予約炊飯機能の設定を行う「予約キー」55F、各種入力操作やモードを取り消し又は切る「切/取消キー」55G、炊き方(炊き加減)の「ふつう」、「かため」、通常炊飯とは異なる「おかゆ」をそれぞれ選択できる「炊き方キー」55Hを、それぞれ備えている。これら各キーは、使用者が押すことによって内蔵された電気接点が閉じられ、入力信号が発生するような機械的スイッチ又は前記した誘導加熱調理器2の静電容量式のタッチ式スイッチの何れでも良く、また組合せて使用しても良い。
56は、一度押すことによって消費電力を所定量だけ減らすことができる節電スイッチである。例えば、予熱工程でこの節電スイッチを押すと、最初の数分間だけ消費電力が減らせるが、その分予熱工程の所要時間が長くなるので、液晶表示部49の表示画面にはその旨注意事項が表示され、また前記音声ガイド(ナビゲージョン)用キー55Eをその都度押さなくても「節電モードを選択しました。予熱工程の時間が数分間延びます」というような案内が行なわれる。
48は、一端が前記蒸気発生口47に接続され、終端部に蒸気排出口53が形成された蒸気ダクトであり、蓋体42の中を貫通するように設置されている。
前記蒸気処理装置50は、蒸気発生口47から排出される蒸気を復水する処理を行うための水が貯蔵できる上面が開口した水タンク(図示せず)と、その水タンクの上面開口部を開閉自在に覆うタンク蓋51とを有している。
52は、前記タンク蓋51に、前記蒸気排出口53に対応する位置に設けた蒸気導入口である。この導入口の下方には、その導入口に連通した連通管(後述する)を設けている。前記蓋体42を閉じた状態では、前記内蓋46によって内釜40の上面開口部が密閉されるとともに、前記蒸気導入口52が前記蒸気排出口53に密着状態に接触する。
前記連通管(図示せず)は、前記タンク蓋51の下面に上端部が固定され、水タンク(図示せず)の中の水中に大部分が没するように垂直に設置されている。その連通管の下端は、水タンクの中に溜めた水の水面から一定深さ位置(H)位置に位置するように、その垂直方向の長さと水タンクの大きさ(高さ)との関係が考慮されている。これにより前記連通管の下端開口から放出された蒸気が、水タンク内の水に十分に接触し、水に戻るようにしている。
従って、前記一定の深さ位置(H)は、最大火力で加熱手段45が通電された場合でも、蒸気発生口47から発生する蒸気の全てを復水できるように設定されており、高温の蒸気が前記連通管の下端開口から水中に出た段階で、蒸気気泡が水中を吹き上がる速さと、蒸気が冷えて水に戻る速さとから決定される。ここでいう「蒸気」とは、後述する「炊飯工程」と「むらし工程」において内釜40内部で発生し、連通管に導かれる蒸気のことをいうが、この実施の形態では、「吸水工程」〜「保温工程」までの蒸気は全て回収可能である。なお、保温工程とは、この実施の形態では、「むらし工程」の終了後7時間までをいうが、この時間の長短は適宜変更可能である。
なお、前記蓋体42を閉じた状態では、前記蒸気ダクト48の末端部にある蒸気排出口53のシール材が、前記タンク蓋51の蒸気導入口52に密着状態に接触し、蓋体42の内部を通過する高温の蒸気が途中で外部に連通することなく水タンク(図示せず)の連通管の内部まで確実に連通するようにしている。
予約炊飯機能の設定を行う前記予約キー55Fを押した場合は、図41に示すように予約設定用の操作部に変化する。
この炊飯器は、炊飯動作の完了時間を設定する第1の電気機器の1つである。つまり、この炊飯器で炊飯動作終了時刻(終了予約時刻A)を設定することができる。
250,251は、図41に示すように炊飯動作の終了時間の予約(以下、「予約炊飯」という)の時に蓋体42の上面で、前記液晶表示部49の左隣に表示される一対の時間設定キーであり、静電式タッチスイッチである。このスイッチは入力機能が有効である場合に、その下方に設けた発光ダイオードの光でキーの輪郭部と三角図形が浮かび上がって目視できるようになっている。一方の時間設定キー250は時間を遅らせるもので、他方の時間設定キー251は時間を遡らせるためのものである。
上矢印のマーク219は、図36、図37に示したものと同様に、現在使用開始した場合に、前記電気料金区分のどこが適用されるのかを表示したものである。この近傍には「現在」という文字が一緒に(液晶表示部49の画面に)表示される。また253は、前記マーク219を基点として所定時間後の位置に表示される炊飯完了時刻表示マークであり、その近傍には「炊飯完了」という文字が液晶表示部49の画面に表示される。現在時点のマーク219で炊飯を開始すると、炊飯完了時刻表示マーク253は約40分後の位置に表示される。但し、これは3合のお米を炊いた場合であり、炊飯量の大小によって時間は変化する。254は電気料金区分が変化する境界の時刻表示である。つまり17時から23時までは前記したように「朝晩時間」の料金が適用され、23時を過ぎると翌朝7時までは「夜間時間」の料金になり、「低料金」になることが、この時刻表示と電気料金区分情報218Mとによって使用者には容易に理解できる。なお、最大で10時間まで後の予約炊飯をセットできるようになっている。
前記一対の時間設定キー250,251の内、例えば一方の時間設定キー250にタッチすると、炊飯開始時刻を30分単位で遅らせることができ、それに伴って前記炊飯完了時刻表示マーク253は図42に示すように右側へ移動する。253Aはそのマークの位置に応じた時刻表示である。例えば現在午後10時(22時)の時刻表示253Aが出ている状態から、時間設定キー250を何回かタッチすると、30分ずつ炊飯完了時間を30分ずつ遅らせることができ、午前6時という時刻表示が出るところまで移動させれば、炊飯開始時刻は明らかではないものの、使用者が求める時刻(午前6時)までに炊飯を終えるような予約ができる。なお、55Kは予約を確定させるキーであり、前記予約キー55Fと同じ位置に入力機能が「予約確定」に切り替えられて形成される。(炊飯動作の完了時刻の)予約確定後はこのキー55Kは炊飯完了までの間、ずっと継続して光った状態になる(下方に設置した発光ダイオードの光で照らされるため)。
次に炊飯器3の制御手段60について図43を中心に説明する。
制御手段60は、電源部61と制御部62とから構成されている。制御部62は1つ又は複数のマイクロコンピューターを中心に構成されている。マイクロコンピューターは、入力部と、出力部と、記憶部と、CPU(演算制御部)の4つの部分から構成され、前記電源部61を介して直流電源が供給され、加熱手段45と液晶表示部49とを制御する中心的な役目を果たすものである。
前記制御部62には、加熱手段45の動作条件として内釜40底面の温度と米飯の温度との相関テーブル、各炊飯メニュー(白米、無洗米の選択、炊き加減の「ふつう」、「かため」、通常炊飯とは異なる「おかゆ」)、がそれぞれ記憶されている。さらに炊飯を行う工程として「予熱工程」、「炊飯工程」、「むらし工程」及び「保温工程」という4つの工程を順次実行するような制御プログラムが記憶されている。なお、ここでいう「動作条件」の一つとして通電条件があり、この通電条件とは、加熱手段45の電気的、物理的な条件を言い、加熱手段45の通電時間、通電量、通電パターン(連続通電、断続通電、通電率等)等を総称したものである。
図43において、温度検知手段63は、圧縮バネ等により内釜40の底面に下方から圧接され、内釜40底面の温度を検知しその検知信号を出力するもので、サーミスタ式温度センサーを使用している。43は前記本体ケース41の蓋体42上面前方部に設けた操作部で、図40に示しているように、蓋体42の表面に形成された複数個の前記押圧式のキー55D、55H等を操作することにより、加熱手段45の動作条件を設定することができる。また前記した操作部43(図40の操作部43)は、液晶表示部49の手前に配置されている。前記炊飯開始ボタン44は、その液晶表示部49の斜め右前方位置に設けてある。
図43において、65はタイマー等で構成される計時手段(時計回路)で、これが出力する計時信号が前記制御部62に入力されるとともに、前記液晶表示部49に対して現在時刻や設置時刻情報が出力されるので、それら時刻が液晶表示部49の表示画面上に表示される。なお、この計時手段は、炊飯器の電源コードを引き抜いても、炊飯器に内蔵された電池によって長期間稼動するようになっている。なお稼動時に電波時計のように外部からの時刻情報を得て、現在時刻にズレが無いように自己修正する機能を持たせても良い。
図43において、66は前記水タンクの中に貯められた水の量を水位で検知する水位センサーで、水タンクの水位を、光や重量その他の物理条件で把握するものであり、本体ケース41の前方部の水タンクと対向する部分に設けるか、または水タンクが乗せられる底板67の前方部上面に設置してある。
図43において、68は前記水タンクの中に貯められた水の温度を検知する水温センサーで、水タンクの側壁を介して水温を検知するように、本体ケース41の前方部の水タンクと対向する部分に設けるか、または図39に示すように水タンクが乗せられる底板67の前方部上面に設置してある。
次に、炊飯器3の炊飯動作について説明するが、予約炊飯ではなく、使用者が直ぐに炊飯を始める場合について説明する。
この実施の形態1の炊飯器は、図51に示すように、予熱工程、炊飯工程、むらし工程及び保温工程という4つの工程を順次実行するように前記制御部62に制御プログラムを持っている。
まず、本体ケース41から取り外した水タンクのタンク蓋51を取外し、水タンクの中に外部から水を入れる。そして、内釜40内に米と水を規定量入れ、本体ケース41の蓋体42上面にある炊飯開始ボタン44を押圧して炊飯を開始する。これにより、加熱手段45が加熱され炊飯を行う。この最初の段階では、まだ吸水工程であるので、電力が削減される可能性のあることを示す第5の表示情報54B(図示せず)が液晶表示部49に表示されている。これによりこの炊飯器を使用する最初の段階で外部からの指令によって電力削減動作が行われる家電機器であることが使用者には分かる。
図51において、予熱工程H1において加熱手段45は最初強火力となるよう連続通電パターンで通電が開始されるが、内釜40内部の温度が所定の温度(55℃)に達したことを温度検知手段63が検知すると、この情報が制御部62に入力され、55℃を維持するように通電量が抑制され、また通電が間欠的になるので、ほぼ蒸気は発生せず、水タンクにおける蒸気処理(復水処理)も行われていない。この55℃維持の状態を一定時間以上続ける。55℃になった時点からの経過時間を計時手段65が計測し、この計時信号が前記制御部62に入力されて予熱工程の終了時間が制御される。
次に、炊飯工程H2に入ると、最初の強火工程H2Aでは、加熱手段45の火力が強くなり徐々に内釜40内の水温が上昇し内釜40内の水が沸騰に達する。沸騰が激しくなり蒸気量が増すと、内釜40の中は大気圧よりも圧力が上昇し、内釜40内で発生した蒸気は、その圧力により押出されて蒸気発生口47から蓋体42の内部の蒸気ダクト48で構成された密閉空間に入る。その後蒸気ダクト48から蒸気処理装置となる水タンクへ蒸気が噴出する。つまり炊飯工程H2は、最大火力、例えば1300Wで加熱される強火工程H2Aと、その後の、弱火工程H2Bの2つから構成されている。
前記炊飯工程に入ると、第5の表示情報54B(図示せず)が液晶表示部49から消え、代わりに第7の表示情報54Cが液晶表示部49に表示される。これにより電力が優先的に確保されて炊飯動作が行われていることが使用者には分かる。なお、音声合成装置等の音声ガイド(ナビゲージョン)手段によって同じ趣旨を音声で報知しても良い。また前記第5の表示情報54B(図示せず)、第6の表示情報54A、第7の表示情報54C、あるいは電力削減要請を受けていることを示す第9の表示情報54E(図示せず)を、例えば前記液晶表示部49の周囲近傍位置に「発光するボタン」のような表示物で表示し、液晶表示部49の中には表示しないようにしても良い。
そして、蒸気処理装置となる水タンク内に流れ込んだ蒸気は、連通管(図示せず)の下端開口から水中へと噴出し、そこで水タンクの中の水と接触して熱を水に奪われ結露して水に戻る。
このようにして、蒸気が処理されることにより、内釜40から発生した蒸気が外部に漏れるのを防止し、炊飯時の蒸気が直接室内空間に放出され、不快な湿気の増加を防ぐことが可能となる。
そして、炊飯工程の途中の時点(これは沸騰状態に至った時点からの経過時間を前記制御部62が見ていることで実現している)からは加熱手段45の火力は弱火工程H2Bになり、終わりになると水蒸気化して放出されてしまっている内釜40内部にあった水分が少なくなり、内釜40内部温度はそれまで100度強であった状態から130℃程度まで急上昇する。するとこのような急激な温度上昇を前記温度検知手段63が検知し、制御部62に温度検知情報を入力するから制御部62は炊飯完了と判断する。
また前記弱火工程H2Bに入った時点で、液晶表示部49に表示されていた第7の表示情報54Cは消える。なお、この弱火工程や前記予熱工程で、電力指令装置9から電力削減要請信号を受けた場合は、そのことを表示するための第9の表示情報54E(図示せず)が前記液晶表示部49に表示される。
するとこの段階からむらし工程H3に入り、炊飯が進行していくと、時間の経過に伴い蒸気発生量が徐々に少なくなり、炊飯が終了すると、内釜40内が冷えて圧力が低下する。なお、これにより、蒸気ダクト48内部の圧力が低下するが、タンク蓋51の下方にあって、水タンク(図示せず)の中の水中に大部分が没している連通管(図示せず)の上部には、逆止弁(図示せず)があるので、その逆止弁から外部の空気が吸い込まれ、内釜40内の圧力は元の大気圧に近い状態まで戻るので、水タンク内の水が蓋体42側に吸い上げられて蓋体42の側に流れるという事態を防止できる。
なお、炊飯中に発生する蒸気量は、米の種類(白米、無洗米等)、炊き方(かたさ、粘り)、メニュー(通常の炊飯や、おかゆ)等の組合せにより異なるが、いずれの場合においても、確実にその調理メニューを終了するまでの過程で蒸気処理を行い、炊飯完了後の水タンク内の水温も、やけどしない温度、例えば55℃以下となるように、水タンク内の水容量は設定されている。
炊飯完了後は保温工程H4に移行し、前記加熱手段45とは別に設けた保温ヒーター(図示せず)によって内釜40の温度は所定温度、例えば70℃に維持される。
前記したように、蒸気は炊飯工程H2とむらし工程H3で主に発生するので、本発明の実施の形態1では、これら工程における放出される蒸気量を計算や実験等で確かめ、また水タンクの水量と水位を設定した。仮に十分な水量があっても、水中の浅い位置で蒸気を水中に噴出させると、十分に蒸気と水とが接触できない状態のまま蒸気が泡状のまま上昇して水面から大気に放出されてしまうということが分かった。そこで、この実施の形態1では水位センサー66により、炊飯工程の最初の吸水工程開始前に前記制御部62は水位センサー66の検知情報から水タンク内部の水量が十分であるかどうかの判定を行っている。
さらに、前記タンクに貯められた水の温度を検知する水温センサー68を有しているから、当該水温センサーの出力により前記制御部62は水タンク内の水の温度が所定温度よりも高いかどうかを判断できる。もし異常に高い場合には、前記制御部62は加熱手段45に通電開始の動作を実行しないので、予熱工程さえ実行しない。
さらに一旦炊飯工程に入ってしまった後では、炊飯完了時まで前記水タンクの水温が所定の温度範囲になるように設定されているが、何らかの原因(例えば調理器の設置空間の室温が急激に上昇した場合)で前記水タンクの水温が所定温度よりも高くなってしまった場合でも、それを水温センサーが検知できるようになっており、そのような場合には、前記制御部62は加熱手段45の通電条件を変え、実質的な火力を弱める動作を実行するように前記制御部62の制御プログラムは設定されている。但し、この火力抑制の程度は本来の炊飯動作、炊き上がりに支障が出ない範囲で行われる。また火力を弱める手段として供給電力量自体を減らすことや通電率を下げることなど適当な手段を用いれば良い。なお、この実施の形態1では、炊飯開始時に水温35℃以下の場合は炊飯動作開始され、35℃超の場合は炊飯操作に入らないようになっている。これは炊飯終了時に水タンクの水温の温度が異常高温領域にならないように考慮したものである。
前記炊飯器で、炊飯性能に最も大きな影響を与えるのは、炊飯工程H2の最初の強火工程H2Aである。そこでこの炊飯器3では、制御部62は、この強火工程H2Aを「優先調理メニューの実行時間帯」に指定している。つまり実行中の調理メニューが、この「優先調理メニューの実行時間帯」にあるかどうかを常に把握し、もしその実行時間帯にある場合には、その旨を使用電力制御手段8Bを通じて電力指令装置9に報知する機能を有している。これによって不用意に電力削減が行われることを防止している。またこの強火工程H2Aに入ると、第7の表示情報54Cが液晶表示部49に表示され、電力が優先的に確保されて炊飯動作が行われていることが使用者には分かる。
なお、この実施の形態1の炊飯器は、炊飯中に発生する蒸気を、前記蒸気処理装置50によって回収するタイプのものであったが、そのような蒸気処理装置50を備えず、炊飯中に蒸気を室内空間に放出するタイプのものであっても良い。
(オーブンレンジ5)
図23において、オーブンレンジ(前記電気ヒーター付きの電子レンジ)5は、例えば2450メガヘルツの周波数の電波が導入される金属製加熱室(図示せず)と、この加熱室を収容した電子レンジ本体ケース(図示せず)と、前記加熱室の取り出し口を開閉自在に密閉するドア70とから構成されている。70Aはドア70の取っ手である。
前記オーブンレンジ5の本体ケースの右部前面には、使用者が操作する操作部71があり、その操作部には電源スイッチ72と、スタートボタン73と、加熱時間設定用ダイヤル(タイマー設定用)74とを有しており、加熱時間設定用ダイヤル74で加熱時間を設定し、スタートボタン73を押すと、設定されたパワーを設定時間出力して調理を完了する調理器である。なお、加熱室内に置いた被加熱物の温度を赤外線センサーなどの感熱素子(図示せず)で検知し、被加熱物の温度が目標の温度まで上昇したら電波の発振源の駆動を自動的に停止するように構成したものでも良い。
(食器洗い乾燥機6)
本発明の実施の形態1に係る食器洗い乾燥機の基本構成について説明する。
図44において、食器洗い乾燥機6は、外郭を形成する本体160と、この本体内部に収納される洗浄部161から構成されている。
本体160は箱形状であり、前面には前面開口部160Aが形成されており、内部から外側にかけて、洗浄部161に洗浄水となる水道水を給水する本体側給水管162と、洗浄部161の洗浄水を排水する本体側排水管163が設けられている。
この本体側給水管162の本体内部側に位置する端部には、接続部162Aが設けられ、本体外側に位置する端部は上水道管と接続される。また、この接続部162Aの上流側には、洗浄部161に流入する水道水の流れをコントロールする為の給水弁162Bが設けられる。
本体側排水管163の本体内部側に位置する端部には、接続部163Aが設けられ、本体外側に位置する端部には外部の排水管が接続されている。なお、本体側給水管162及び本体側排水管163は、後述する洗浄部161の前後の動きに追従できるように、形状が柔軟に変化できるホース等が用いられている。
本体160の内部両側面160Cの対向する位置に、それぞれ前後方向に長手方向を向けて第1のレール164がネジ止め等により固定されている。
また、本体160の底部160Bの前面開口部160A側近傍には、ストッパー165がネジ止め等により固定されている。
このストッパー165は、本体160の後部側の面が底部160Bと略垂直であり、前側は前面開口部160A側に向かって傾斜する斜面が形成されている。
洗浄部161は、洗浄槽166と、洗浄槽166の前面に一体的に取付けられる前扉167と、洗浄槽166の外側に取付けられ、後述する各種機能部品の外側を被うカバー168から構成されている。
この前扉167の前面には、使用者が洗浄部161を本体160から引き出すときに手をかける取っ手167Cや、食器洗い乾燥機6の各種操作を行う操作部179が備えられている。
洗浄槽166は、上方に食器を収納する為の開口部166Aが形成された上面全体が開放された箱状であり、食器洗浄中は本体160の内部に収納され、本体160から前面に引き出すことにより、開口部166Aから食器等を出し入れ可能に構成されている。
この洗浄槽166の内部166Bには、洗浄水を噴射・循環させるための回転する洗浄ノズル169と、洗浄水を加熱するためのヒーター170と、洗浄する食器類を所定の位置に並べる食器かご171が設けられている。
洗浄槽166と前扉167の間には、制御部172と水位検知装置173が設けられている。
この制御部172は、操作部179からのユーザーの指示や各検知装置からの信号により、後述する洗浄ポンプ174や排出ポンプ175、電動送風部176、前記ヒーター170、前記給水弁162B等の制御を行う。
また、水位検知装置173は、洗浄槽166内部の洗浄水の水位を検出し、検出情報を制御部172に送っている。前記操作部179には、食器洗い乾燥機の基本的な運転モードを選択する運転モード選択キー190と、その選択キーによる選択結果を表示する表示部191と、運転の開始と停止を指令する運転スイッチ192が、それぞれ配置されている。前記運転モードとは、「洗浄モード」、「すすぎモード」、「乾燥モード」の動作を指定するものである。これら各種運転モードは、前記制御部172に格納された半導体記憶素子の中の運転プログラムによって実行されるようになっている。
洗浄槽166の後部には、給水口166Cと送風口166Dが開口している。
給水口166Cには、洗浄部側給水管177が接続されている。そして、洗浄部側給水管177の端部には、本体側給水管162の接続部162Aと着脱自在に接続可能な接続部177Aが設けられている。
送風口166Dには、食器等の被洗浄物を乾燥させる「乾燥モード」のための空気を送る前記電動送風部176が接続されている。この電動送風部176は、空気を流す為の送風ファン176Aと、流れてきた空気を暖めるヒーター176Bと、送風ファンの回転駆動源となるモーター176Mとを有する。前記ヒーター176Bは前記「乾燥モード」時に通電される。
洗浄槽166の下部には、前記洗浄ポンプ174と排出ポンプ175が設けられ、更にこの洗浄ポンプ174と排出ポンプ175を被うカバー168が取付けられている。
この洗浄ポンプ174は、「洗浄モード」と時において、洗浄槽内部から洗浄水を取り込み、洗浄ノズル169に所定の圧力で送り込むことにより、洗浄ノズル169の回転力付与と洗浄水の循環を行っている。「すすぎモード」時にも同様に洗浄ポンプ174は運転され、洗剤の含まれていない清浄な湯や水を洗浄ノズル169から噴射する。
また、排出ポンプ175は、洗浄部側排水管180と接続することで、洗浄槽内部から洗浄水を吸い上げ、食器洗い乾燥機6の外部に洗浄した後の汚れた水を排水する。そして、洗浄部側排水管180の端部には、本体側排水管163の接続部163Bと着脱自在に接続可能な接続部180Aが取付けられている。
なお、この食器洗い乾燥機6の定格最大消費電力は900W〜1000W程度であり、その内訳として、前記洗浄ポンプ174が100W、洗浄液を加熱するヒーター170が800W、乾燥用のヒーター176Bが200W、送風ファン176Aが10Wである。これら部品が全て同時に通電される訳ではないので、前記した定格最大消費電力の範囲に収まっている。
洗浄槽166の下面166Eと対向するカバー168の底部168Aの後側には、開口部168Bが形成されている。
この開口部168Bを臨む位置には、可動係止部181が設けられている。可動係止部181は、底部168Aに固定される基部182(図示せず)と、この基部に設けられた軸183(図示せず)と、この軸に回動自在に軸支された係止部184(図示せず)と、この係止部を一方向に付勢するように弾性支持する弾性部材185からなる。この弾性部材185は、例えば、ヒンジバネなどである。
前記係止部184は、軸183を中心に回転することにより、開口部168Bを出入り可能に設けられている。また、係止部184は、外力が加わらないときは、開口部168Bから一部が突出した状態で、弾性部材185に弾性支持されている。
カバー168の底部168Aの前側には、連動部186Aによって前記可動係止部181と接続された解除操作部186が取付けられている。この解除操作部186の解除動作が、連動部186Aを連動させて、前記係止部184(図示せず)を弾性部材185(図示せず)の弾性力に抗して回動させることができる。
この解除操作部186は、例えば、カバー168に対して前後に移動可能に設けられた操作レバーであり、この操作レバーに連動可能に取付けられた連動部186Aが、可動係止部181に連結する形態である。
前扉167には、解除操作部186が臨む位置に点検用開口部167Aが形成されている。この点検用開口部は、通常は蓋167Bにより閉鎖されているが、本体160と洗浄部161を分離するときに蓋167Bを外すことで、解除操作部186を食器洗い乾燥機6の前側から操作可能にする。
洗浄部161の側面と重なるカバー168の(左右)両側面には、それぞれ前後方向に向かって第2のレール187がネジ止め等により固定されている。
以上のように構成された本体160と洗浄部161は、本体160の内部(左右)両側面160Cに固定された第1のレール164に、洗浄槽166の(左右)両側面に固定された第2のレール187が、スライド自在に組み合わされる。
このように構成することで、本体160の前面開口部160Aから洗浄部161が前後方向に出入りできるように、本体160と洗浄部161が組み合わされている。なお、前記使用電力制御手段8Dは、前記制御部172の中に内蔵されている。
図45は本発明の実施の形態1の自走式電気掃除機320の全体構成を示す。
ここでいう「自走式電気掃除機」とは、清掃機能として本体底部に吸い込み口と電動のブラシ等を備え、移動機能としては走行輪(駆動輪)と自在車輪等の操舵手段、走行時の障害物を検知する超音波センサー等の障害物検知手段、位置を認識する位置認識手段とを備え、この障害物検知手段によって居住空間内の清掃場所の周囲の壁などに沿って移動しつつ、位置認識手段によって清掃区域を認識し、その清掃区域内を、例えば直進移動と進行方向の反転の組合せにより往復移動を繰り返して、居住空間内の清掃すべき床面全体を清掃するものである。
図45において、321は、自走式電気掃除機320の本体で、平面視が円形の本体ケース321Aを有している。322L、322Rは、本体321の平面視の中心より後方側で、左右に1対設けた駆動輪である。この2つの駆動輪は、それぞれその近傍に設置した駆動モーター323R、323Lにより左右独立に駆動されるようになっている。324は、前記本体321の前方側で左右の中心部を下方向から支えるキャスターで、これは本体321の底壁に固定された支え軸(図示せず)を回転中心として、360度の方向に自在に回るようになっている(自在車輪)。このため、このキャスター324と前記2つの駆動輪322R、323Lの3つの部品によって、駆動兼操舵装置を構成している。つまり、前記2つの駆動輪322L、322Rの両方を、前記駆動モーター323R、323Lにより同時に同じ量回動させれば本体321は前方へ直線的に前進するが、例えば右側の駆動モーター323Rだけをある量だけ回動させれば本体321は左方向へ曲がって進む。
325は、本体ケース321Aの下面(底面)に横に長く開口した吸い込み口であり、この吸い込み口は、中心軸が水平に設置され、その軸を中心として回転駆動される柔軟性、弾力性に富んだブラシ(図示せず)が設置されており、掃除をする場合には、そのブラシは、その先端が床面を叩くようにしながら電動モーター(図示せず)により高速で回転される。
326は、前記下端開口が前記吸い込み口の真上にあり、その吸い込み口から塵埃を導入する集塵室である。この集塵室の上部にはブロワーモーター(図示せず)が内蔵されている。前記ブロワーモーターの運転によって、前記吸い込み口325から強く吸引された床上の空気が排出される排気口(図示せず)が前記本体ケース321Aの後部又は天井面に形成されている。
前記吸い込み口325から強く吸引導入された、塵埃を含んだ床上の空気は、集塵室326内部に設置された1つ又は複数のフィルターによって捕集される。
327は、本体ケース321Aの中で前記集塵室326の外部に設置された電気回路基板であり、この基板上には、前記入出力部124Bと同様な、電力指令装置9の入出力部(図示せず)との間で通信を行う無線通信部328を有している。前記基板上には制御回路(図示せず)が実装されており、前記無線通信部328からの信号を受けて、ブロワーモーターの運転開始・停止が制御されるようになっている。
329は、本体ケース321Aの天井面に形成した表示部、330はこの表示部の周囲に設けた手動操作部であり、使用者がこの自走式電気掃除機320の運転開始や停止、運転条件等を入力するための複数のスイッチが配置されている。
331は、自走式電気掃除機320の前面中央部と左右側面部にそれぞれ設置された超音波センサー等からなる測距センサーで、本体ケース321A前方及び左右側方の物体までの距離を計測して障害物を検出する障害物検知装置を構成している。332は、小型CCDカメラ等の撮影装置で、前記本体321の前方中央で、前記前方の測距センサーの真下位置にあって、前方に向けて設置されている。この撮影装置の撮影情報(画像データ)は、前記回路基板327の上に実装された画像記録用メモリー(図示せず)に格納され、図示していない制御部によって適宜読み出される。333は、本体321に電力を供給する蓄電池である。この蓄電池は、この自走式電気掃除機320の運転停止時に、所定の充電スタンド部に近づけると、非接触給電によって充電可能になっている。このため、この自走式電気掃除機320は、電力指令装置9からの電力指令を受けることがなく、蓄電池からの電力によって運転される。但し、前記無線通信部328を介して運転開始・停止、及び運転時のパワー(「強」運転や「弱」運転など)が指令されると、その指令に応じて運転される。また、この自走式電気掃除機320は、部屋の壁際の所定の位置においてある充電スタンド部(図示せず)に向かって、自動的に移動し、最後にはその充電スタンドに接触又は近接した状態で運転を停止するから、この停止期間中に充電が行われ、次の掃除に備える。
また自走式電気掃除機320は、内蔵したタイマー(図示せず)を利用して、運転開始時刻を設定できる第1の電気機器の1つであるので、掃除動作の動作開始時刻(開始予約時刻A)を使用者が設定できるようになっている。このため、居住者が留守中に、自動的に掃除を始めて、掃除を完了することができる。
またこの自走式電気掃除機320では、運転開始時から運転終了時に本体321が移動した経路、すなわち走行した軌跡を二次元データとして内部の半導体メモリー(図示せず)に記憶させており、その記憶内容は、掃除の終了時に電力指令装置9に無線通信部328を介して送信される。このため、電力指令装置9の表示盤100やTV受像機75では、前記軌跡データを読み出し、居住空間の平面的な模式図等の上に軌跡を重ねて表示させることもできる。このため、居住者は、自走式電気掃除機320が居住空間の中をどのように移動して掃除を行ったのかを確認でき、自走式電気掃除機320が床置き家具や物品等の障害物を避け、迂回したことによって掃除が出来ていないエリアを、使用者が事後的に探す手間を軽減できる。また前方への進行動作が何度も妨げられた際には、前記撮影装置332が制御部(図示せず)により前方の景色の撮影を行うので、この進行障害情報を再生すれば、電力指令装置9の表示盤100(表示画面100A)やTV受像機75の液晶表示画面75Dにおいて、掃除に障害となった箇所や家具等を確認できる。
(空気調和機7)
本発明の実施の形態1に係る空気調和機の基本構成について説明する。
図46において、7は、家庭用の空気調和機である。この空気調和機7は、上記キッチン内家電機器KPが設置された台所に設置される場合もあるが、この実施の形態1では他の部屋(例えば居間)に設置されている。なお、この空気調和機には、電力指令装置9の使用電力制御手段8Eが組み込まれている。これにより電力指令装置9との間で、要求電力、各調理器の調理状況や使用許可電力等の情報伝達が行われ、電力指令装置9が許可した使用電力内で使用電力制御手段8Eが空気調和機7の電力を制御するようになっている。
前記空気調和機7は、部屋の内部に設置される室内機220と、室外機200とから構成されている。室内機220と室外機200を閉ループ状に連結している冷媒配管によって密閉状態の環状の冷媒回路KCが構成されている。
室外機200側の冷媒回路KCの中には、圧縮駆動源となるモーター(図示せず)によって圧縮動作が行われる電動圧縮機193と、四方弁194と、室外熱交換器195と、電動膨張弁196が設けてある。
197A、197Bは、室内機220側の冷媒配管と室外機200側の冷媒配管をそれぞれ連結した接続部である。
198は、室外熱交換器195へ送風する室外ファンで、モーター198Mにより回転駆動される。199は、室外気温を検出する外気温度検出手段である。
201は、室外制御部であり、前記外気温度検出手段199や室外制御部201からの温度検出情報に基づき前記モーター198Mや電動圧縮機193、四方弁194と、電動膨張弁196等を制御する。
室内機220は、室内熱交換器221の近傍に配置された室内ファン222と、この室内ファン222を駆動させるモーター222Mと、部屋の空気や壁の温度を検出する室内温度検出手段224と、室内制御部225と、室内制御部225と室外制御部201に200Vの商用電源を供給する電源部226とをそれぞれ有している。
前記室外制御部201には、コントロール回路基板(図示せず)がある。この回路基板には、前記200Vの商用電源を直流に変換するコンバーター部(図示せず)と、このコンバーター部で整流により直流電源化された電源を基にして動作するインバーター部(図示せず)とを有し、前記インバーター部では前記室外制御部201からの駆動信号を受けて周波数が制御された交流電源が前記電動圧縮機193に出力されるので、電動圧縮機193はその回転数が変更されるようになっている。
前記インバーター部は前記室外制御部201に内蔵されたマイクロコンピューター201Mを中核とする制御回路の制御下に置かれている。なお、前記マイクロコンピューター201Mは、室外制御部201に配され、前記電源部226から電源が供給される定電圧回路(図示せず)から駆動用の電源を供給されている。前記マイクロコンピューター201Mの内部又は外部には、制御プログラムを書込んだリードオンリーメモリー(ROM。図示せず)があり、またマイクロコンピューター201Mの外部には電気消去書込み可能な不揮発性メモリー(図示せず)に空気調和機7全体の制御用データが書込まれている。
室外制御部201は、そのマイクロコンピューター201Mが、リードオンリーメモリーに書込まれた制御プログラムと、前記不揮発性メモリー(図示せず)に書込まれた制御用データの内容を参照しながら前記インバーター部を通じて電動圧縮機193の運転を制御する。
227は、室内機220の本体外殻ケース等に設けた操作部であり、その近傍には操作結果を表示したり、室内温度や冷房・暖房の設定温度を表示したりする液晶表示画面を備えた表示部228を備えている。なお、この空気調和機7では、冷房、暖房、除湿、送風の、少なくとも4つの運転モードを選択できるように、モード選択スイッチ(図示せず)が前記操作部227に設けてある。
この空気調和機7の室外制御部201には、最大負荷時に定格の冷房能力を確保するよう、電流容量が設定されている。最大負荷未満の負荷状況においては、その負荷状況に応じて電動圧縮機193の運転電流の上限値を下げる。
空調負荷の1つの検出方法として、室外制御部201には外気温度検出手段199からの温度検出情報が供給され、検出した室外気温で負荷状況を判定する。これにより、例えば冷房時においては、室外の気温が低い状態、つまり運転負荷が低い場合には、室温の安定性や、省エネルギーの観点から、その負荷に応じた冷房能力になるので、消費電力を少なくして運転することができる。なお、前記外気温度検出手段199は、図1に示した環境センサー(室外気温センサー)206の情報を用いても良い。この場合、室外気温は室外気温センサー206から電力指令装置9の環境検知部202に送られるので、この空気調和機7は、その環境検知部202からの温度情報を用い、その室外気温値に基づいて負荷状況を判定する。
また室内制御部225には、室内温度検出手段224からの温度検出情報が供給され、検出した室内気温で負荷状況を判定する。これにより、例えば冷房時においては、室内の気温が低くい場合、あるいは室内温度が低いことに加え、冷房目標温度も低い場合、つまり運転負荷が低い場合には、室温の安定性や、省エネルギーの観点から、その負荷に応じた冷房能力になるので、消費電力を少なくして運転することができる。つまり、一般にこの種の空気調和機7の消費電力の大半は、前記電動圧縮機193が消費するので、その電動圧縮機の運転速度を落とせば消費電力が少なくなる。例えば冷房時において、室外温度35度、室内温度31度の状態から、26度の(室内)目標温度を使用者が設定した場合と28度の温度を設定した場合、前者の場合が冷房負荷は大きいので、電動圧縮機193の運転速度は大きくなる。
またこの空気調和機7は、内蔵したタイマー(図示せず)を利用して、運転開始時刻を設定できる第1の電気機器の1つであるので、例えば冷房動作の動作開始時刻(開始予約時刻A)を使用者が設定できるようになっている。このため、居住者が留守中に、自動的に冷房を始めることができる。
さらに、この空気調和機7は、内蔵したタイマー(図示せず)を利用して、運転終了時刻を設定できる第1の電気機器の1つであるので、例えば冷房動作の動作終了時刻(終了予約時刻A)を使用者が設定できるようになっている。このため、居住者が在宅中に冷房開始し、その後居住者が外出している間に、終了予約時刻を迎えると、自動的にその冷房運転を停止させることができる。
(電力指令装置9)
本発明の中核装置である前記電力指令装置9について、以下図22を参照しながら説明する。
電力指令装置9は、キッチン内家電機器KPの各使用電力制御手段8A,8B,8C,8Dと、各家電機器の調理状況や使用許可電力等の情報伝達が行われる構成になっている。そして、電力指令装置9が許可した使用電力内で各使用電力制御手段8A〜8Dが各キッチン内家電機器KPの電力を制御するようになっている。なお、各使用電力制御手段8A,8B,8C,8Dは、キッチン内家電機器KPに内蔵されたものでも良いし、アダプター形式でキッチン内家電機器KPの電源回路部にそれぞれ取り付けたものでも良いが、この実施の形態1では、前記したように電力指令装置9の外郭を構成する箱形状の1つの本体9Aに全て内蔵させている。
前記したように空気調和機7や食器洗い乾燥機6の電力も電力指令装置9によって一括して制御されるようになっている。また、前記「アダプター」とは、個々の家電機器とその電源との間に設けられる制御機器をいう。例えばここでいうアダプターとは、特開2012−83453号公報に示されるようなアダプターをいい、電源プラグとコンセントを有し、そのコンセントに通電を制御すべき電気機器を接続する。そして電力指令信号をアダプターが無線や有線通信手段によって受け取ると、制御すべき家電機器の電源供給を制限し、又は遮断する。このように既存の家電機器にアダプターを接続し、そのアダプターに電力指令装置9から電力指令信号を送り、その信号によってアダプターが家電機器を制御するので、既存の家電機器にもアダプターを電源側に介在させることで、電力指令装置9によって電力を集中制御できる利点が得られる。
前記電力指令装置9は、各キッチン内家電機器KPの各使用電力制御手段8A〜8Dからの要求電力と、空気調和機7の使用電力制御手段8Eからの要求電力とを合計する要求電力加算器91と、要求電力加算器91が加算した合計電力とブレーカーBKの第1の上限容量(例えば、8000W)とを比較する比較器92と、比較器92の比較結果から合計電力の超過量を判定し、合計電力が8000W以下であれば出力せず、合計電力が8000Wを超えれば、その超過量を出力する要求電力超過量判定手段93と、要求電力超過量判定手段93からの出力がなければ(すなわち、超過量が0)、要求電力と同じ使用可能電力を各キッチン内家電機器KPの使用電力制御手段8A〜8Dと、空気調和機7の使用電力制御手段8Eとに対しそれぞれ返信し、また超過量の出力があれば、この合計電力の超過量と予め定めた優先順位に従って、各キッチン内家電機器KPと空気調和機7に対する使用電力の削減幅を決定し、これら各キッチン内家電機器KPと空気調和機7の使用電力制御手段8A〜8Eに返信する使用電力削減幅決定手段94と、内蔵した半導体メモリー95Aに予め登録されている「優先順位」を読み出し、使用電力削減幅決定手段94に電力削減の「優先順位」情報を送信する優先順位設定手段95と、前記健康管理処理部116と前記使用限度設定器96とを制御する制御部125と、から構成されている。
なお、健康管理機器410は、電池式のものもあるが、仮に前記商用電源EPで駆動されるものであってもこの電力指令装置9によって、消費電力を制限されたり、遮断されたりしない構成である。
図1及び図3の300は、電力会社の交流200V電力が単相3線式の電力線301(図22参照)で供給される電力量計である。前記電力線301は、第1相、第2相及び第3相の3本から構成されているが、その第1相と第2相には、電流クランプ302がそれぞれ挿入され、ブレーカーBKの電源側(上流側)で電流値を検出している。なお、電流クランプ302は、電力量計300とブレーカーBKの間に設置している。
313は、前記電流クランプ302からの電流から消費電力を計算する電力検出器であり、この出力は電力指令装置9の比較器92に入力される。
315は、前記キッチン内家電機器KP、空気調和機7及び食器洗い乾燥機6以外の、家庭内で使用される移動可能な小型電気機器である。例えばヘヤードライヤー、電気アイロン、電気掃除機など1000W程度を内蔵するヒーターやモーターによって電気エネルギーを消費するものであり、前記した使用電力制御手段8A〜8Eのような自己電力制限手段を有していないものである。図22では、電力指令装置9に定格最大電力情報や名称などが登録できない機器ということから「未登録機器」と表示している。この未登録機器は1台だけが使用されるものではなく、同時に複数台が使用される場合もある。この未登録機器315は、電力指令装置9によって直接電力量が減少させられたり、増加されたりする制御対象機器になっていないので、前記ブレーカーBKを経由して供給される電力をそのまま使用する。前記した健康管理機器410もこの「未登録機器」の一種になる。なお、在宅医療や介護のために酸素吸入器やその他電気式医療器具を使用する場合は、それらも「未登録機器」にして、電力量が不意に制限されたりしないようにする。
前記使用電力削減幅決定手段94は、ブレーカーBKの容量(8000W)を超えないようにかつ「優先順位」の低いキッチン内家電機器KPと空気調和機7の使用電力制御手段8A〜8Eへは使用電力を減らすように電力要求のあった各キッチン内家電機器KP、空気調和機7に対する使用電力の削減幅を決定するものである。なお、ブレーカーBK自体に最初から設定されている定格容量(前記したように例えば8000W)は、「第1の上限容量」と呼ぶ場合がある。
前記「優先順位」とは、限られたブレーカーBKの第1の上限容量(8000W)内で、調理性能、調理作業性を維持するための電力を必要とするキッチン内家電機器KPに優先して供給するための順位であり、電力を削減しても使用者への影響が少ないキッチン内家電機器ほど順位が低くなるように予め登録したもので、「第1の家電機器」の中では炊飯器3、誘導加熱調理器2、オーブンレンジ5の順で電力確保の優先度が定められており、これによって使用者の作業性が損なわれるのを防止している。但し、この優先度を決定する過程では、前記した「優先調理メニューの実行時間帯」を持ったキッチン内家電機器KPでは、その「優先調理メニューの実行時間帯」が現実に行われている場合、その実行時間帯が経過するまでの間は、当該キッチン内家電機器KPの電力を前記電力指令装置9が削減することはない。
なお、電力削減が回避されていることを示す第4の表示情報210D、第7の表示情報54Cのような表示情報を、「第1の家電機器」全部に個々に設けても良い。同様に電力削減対象機器であることを示す第1の表示情報210Aや第4の表示情報210Dを、「第1の家電機器」全部にそれぞれ設けても良い。さらに、空気調和機7を始めとする「第2の家電機器」にも、同様に電力削減対象機器であることを示す表示情報と、実際に電力が削減されていることを示す表示情報をそれぞれ設けても良い。さらに電力削減要請を受けていることを示す第2の表示情報210Bに対応するような表示手段を、誘導加熱調理器2以外の第1の家電機器や第2の家電機器に設けても良い。空気調和機7では、室内機220の表面に見えるように設けることや、それを制御する室内リモコンの表示画面(室内温度や運転モード名が表示される画面)に設けると良い。
単一のキッチン内家電機器KPにおいて、複数個の加熱手段(加熱口)があり、その1つが「優先調理メニューの実行時間帯」にあって現実に調理実行中であり、他の加熱手段では、「優先調理メニューの実行時間帯」にない場合、前記「優先調理メニューの実行時間帯」にある加熱手段については電力が維持され、前記他の加熱手段の電力が削減対象になるものである。
また「第2の家電機器」の中では電力確保の優先度は、空気調和機7、食器洗い乾燥機6の順で電力確保の優先度が定められており、これによって使用者の作業性が損なわれるのを防止している
空気調和機7は、キッチン内には設置していないが、同じブレーカーBKを介して電力が遮断される構成になっているので、「第1の家電機器」の炊飯器3、誘導加熱調理器2よりは低い順位に設定されている。そして同じ第2の家電機器の分類である前記食器洗い乾燥機6よりも優先度は高く設定されている。なお、「第2の家電機器」として衣類の洗濯乾燥機を含んでいるが、説明を簡略化するため、以下では詳しい説明は割愛する。
96は、前記比較器92の比較基準となる合計電力値を、指定電力値に変更するように指令する電力の使用限度設定器である。これは使用者が任意で、8000Wよりも小さい第2の上限容量を設定するものであって、例えば7500W、7000W、6500Wの中の1つの電力値を選択できるようになっている。なお、図22では前記指定電力値を「指定容量」と記載してある。この指定容量は「第2の容量」と呼ぶ場合がある。なお、指定容量は、本発明でいう「第2の上限容量」(例えば、7500W)に相当するが、本発明では必ずしも「第2の容量」の絶対値を使用者が認識できることは必須の条件ではない。例えば前記定格容量(第1の上限容量)の「98%相当」(言い換えると2%減)のように、「第2の上限容量」を「第1の上限容量」に対して、希望する比率に設定することでも良い。
99Aは、図1で説明したルーターAである。これにより電力指令装置9は家屋の外部の電力会社やその他の外部機関78Aのサーバーに接続される。このため、例えば官公庁やその地域の電力会社などから、電力逼迫情報などが送信された場合、その情報は使用限度設定器96の表示盤100に表示される。なお、使用限度設定器96とその表示画面100Aについては後で詳しく説明する。電力逼迫情報とは、各家庭の使用電力を強制的に下げる指令と、強制的ではなく任意で下げて欲しいという要請レベルの指令の少なくとも2種類がある。なお、通信手段97は、電力指令装置9側の情報を外部の前記広域通信回路網等へ送信する送信機能も有している。従って、この家庭の居住者が、住宅の外部において広域通信回路網98に携帯電話端末器87やその他の情報通信端末機器でアクセスし、この家庭の電力使用状態を知ることができ、また逆に外部から前記使用限度設定器96に対して、電力の上限値をインプットすることができる。
図47、図48は、前記使用限度設定器96の表示画面100Aの詳細を示すものである。これら図において、101はその家庭で使用が許されているブレーカーBKの定格容量(第1の上限容量:8000W)の値を数字で示す最大許容電力情報、102は現在使用しているその家庭の使用電力量を数字で示す現在使用電力表示情報である。103は、最大許容電力値に対して現在使用している電力値との余裕度を示す電力余裕値表示情報である。なお、この図47に示すように、余裕値を「600W」のように数字でそのまま示す方法の他に、例えば、「余裕度 大」、「余裕度 小」のように余裕の程度を文字で示す方法でも良い。
104は、広域通信回路網98から電力逼迫情報などを、ルーター99Aを介して受信した場合、ランプが点灯する電力削減要請報知部、105は現在時刻の表示情報、106は、前記比較器92の比較基準となる合計電力値を、指定電力値に変更するように指令する使用限度設定器96の設定キー及び各設定キーの内容を示す表示情報である。図47、図48の状態では、8000Wキーのみが白抜き文字で表示されているので、電力使用限度はブレーカーBKの既定容量と同じ8000Wである。図47に示すように、設定キーは全部で4つあり、8000W用の設定キー106A,7500W用の設定キー106B、7000W用のキー106C、6500W用のキー106Dから構成されている。なお、これら設定キーは、静電容量式などのタッチ式キーで構成されており、タッチして入力可能な場合のみ、そのキーの輪郭と機能の一部を示す文字(例:6500W)が目視できるように表示されるものである。言い換えると入力ができない状態では、入力キー自体が表示されないか、あるいは殆ど目視で確認できない程度薄く表示される。実際には、表示画面100Aの表面を覆うガラス板に、静電容量式の入力キーが形成されており、所定位置のキーをタッチすれば、そのキーに対応した入力信号が使用限度設定器96に与えられる。
107は、前記電力指令装置9が制御対象にしている家庭内の電気機器を表示する使用状態表示情報であり、誘導加熱調理器2の名称107Aや炊飯器3の名称107Bなどが一覧形式で表示される。この使用状態表示情報107においては、左側に表示されたものほど、電力確保の面で、優先度が高い機器になっている。108は電力が使用されている場合、つまり現在使用されている場合は、点灯する使用表示部である。図47では、誘導加熱調理器2、炊飯器3、空気調和機7、照明器具が使用されていることが分かる。なお、使用表示情報108の近傍に表示された数値は、使用されている電力量であり、例えば1分毎に、過去1分間における平均電力値が表示される。なお、家電機器EEの優先度を設定すると、その優先度が最も高い順に左から右に、その設定された各家電機器の名称が表示されるような画面表示構成にしても良い。そうすれば使用者は優先順位の高い家電機器を直ぐに認識できる。
110は、インフォーメーション・キーであり、使用者がこれに触れると、その場面で使用者に参考になる電力関連情報や、電力を効率的に使用する調理方法や空調機の温度設定方法などの情報がこの表示画面100Aの中にその都度表示される。その場合、表示面積を確保するため、前記現在時刻の表示情報105や電力余裕値表示情報103は表示しないようになっている。
111は、ヘルプモードキーであり、使用者がこれに触れると、その場面で使用者の操作に参考になる情報が表示されるとともに、別途設けた音声ガイド装置(図示せず)によって、正しい操作方法が音声で報知される。なお、何度もこのキーを押した場合、この表示画面100Aの見方や使用限度設定方法などが、模式図と文字で表示画面100A全体に表示される。
図48において、57は、在宅管理メニュー選択キーであり、前記使用限度設定器96の表示画面100Aに設けられる。この在宅管理メニュー選択キーは、前記すまいの環境情報の画面選択入力部となるアイコン419と同じように、使用者が表示画面を切り替える際にタッチする部分である。この在宅管理メニュー選択キーをタッチすると、居住者全員の現時点での在宅又は不在の状況が一覧表で示された専用の表示画面に切り替わる(図65参照)。従って、この表示画面の前で家族全員の在宅状況を知ることができる。
図65において、58Aは、在宅している居住者の入力画面に切り替える選択キーで、これにタッチすると、居住者毎に、その在宅や留守状況の修正や、事前に留守となる時間、帰宅予定時刻、不在期間(月日)等を入力することができる入力画面に切り替わる。58Bは、居住者が動作開始時刻や終了を事前に予約できる家電機器(例えば、炊飯器)の設定や、居住者の専用電気機器を設定するための入力画面に切り替える選択キーで、これにタッチすると、居住者毎に、その居住者の予約電気機器や専用電気機器を指定して入力することができる入力画面に切り替わる。
図65において、59Aは、家族全員を特定する氏名や愛称等が表示される家族名欄、59Bは、居住者毎に現在在宅しているかどうかを記号や文字で表示する在宅状況表示欄であり、図65の例では、在宅の場合は「○」印、不在の場合は「△」印で表示されている。59Cは、居住者毎に帰宅予定時刻を表示する帰宅予定時刻表示欄、59Dは、居住者毎に、予約時刻(動作開始時刻又は動作終了時刻)の設定がある家電機器を特定できるように、文字や記号、イラストなどで専用電気機器を表示する予約機器表示欄である。これらの構成によれば、家族全体の在宅状況や帰宅予定時刻を電力指令装置9の表示画面100Aで容易に確認することができるという効果が得られる。
図65において、59Eは、居住者毎に、専用家電機器の設定がある場合、その家電機器を特定できるように、文字や記号、イラストなどで専用家電機器を表示する専用機器表示欄である。59Fは、居住者毎に、使用している専用家電機器の使用電力値と上限電力値とを表示する電力値表示欄である。なお、ここでいう電力とは瞬間的な最高電力ではなく、例えば1分間の平均電力値でも良い。また、居住者毎の上限電力量とは、別の入力画面において、居住者A又は居住者Bのみが設定できるようになっている。またキッチンの照明器具や、リビングの家電器具、リビングの空気調和機などのように、色々な居住者が使用する可能性のある家電機器は、共用家電機器であるので、そのような共用家電機器を居住者A〜Bの誰が使用しても、その居住者の電力使用量にはカウントしないようにしている。仮に居住者Aが、居住者Aの寝室の空気調和機を専用家電機器に指定すれば、当該空気調和機を居住者Aが使用した場合は、当該居住者Aの上限電力量(2500W)が適用され、2500Wを超える使用はできない(電力指令装置9によって、上限電力量を超えないように制限される)。なお、前記制御部125によって、前記居住者毎に専用家電機器の月間電力量(kWh)が集計され、その結果は適時TV受像機の液晶表示画面75Dや電力指令装置9の表示画面100Aで数字又は図形などで表示できるようになっている。これらの構成によれば、居住者毎に、専用電気機器の有無やその使用電力値を容易に知ることができるという効果が得られる。
図48は、図47の状態で誘導加熱調理器2の名称107Bに使用者が触れた場合、最初に現れる画面の状態を示したものである。図48に示しているように、誘導加熱調理器2が現在煮込み加熱動作を行っており、使用終了する推定時刻が12時50分であることが分かる。つまり現時点からさらに15分間調理が継続することが分かる。113Sは使用開始時刻表示情報、113Eは終了予測時刻表示情報である。
このように使用限度設定器96の表示画面100Aでは、個々の家庭内家電機器の設置場所まで行って確認しなくとも、この表示画面で使用している家電機器の状態の概要が分かる。
図49は、図48の画面に切り替わってから自動的に所定時間後、例えば10秒後に現れる画面の状態を示したものである。図49のように、誘導加熱調理器2が現在煮込み加熱動作を行っており、進行度を示すマーク114、115が表示されることによって、現在まだ途中段階であることが分かる。なお、調理の進行に伴って前記マーク114が右側に順次増えて行き、最終的には終了予測時刻表示情報113の左側端位置まで、全てこのマーク114が並んだ状態になる。
この実施の形態1の特徴は、ブレーカーBKの第1の上限容量(8000W)を超えるかどうかに関係なく、使用者が前記使用限度設定器96の表示画面100Aを見て自発的に家庭内の電力消費量を一括して削減するように制限を設けることができる点である。
すなわち、使用者は任意の時点で電力制限値を複数の中から選択できる。例えば、広域通信回路網98から電力逼迫情報などを受信した場合、電力削減要請報知部104のランプが点灯するので、これを見て自発的に設定することができる。あるいは使用者は別の情報源からの情報によって電力削減を思い立った場合、何時でも使用限度設定器96によって使用電力量の上限値を設定できる。例えば前記したように、7500W、7000W、6500Wの中の1つの電力値を選択できる(前記「第2の上限容量」に任意に設定できる)。
このため、仮にブレーカーBKの第1の上限容量(例えば8000W)まで相当の余裕がある状態でも、第2の上限容量を任意に設定できる。例えば自発的に7500Wに上限値を設定し、それを超えないように電力指令装置9によって自動的に家庭内の家電機器の使用電力量を抑制することができる。なお、広域通信回路網98から受信した信号の中を自動的に選別し、特定の信号の場合は、自動的に電力指令装置9が、その時点の使用電力を5%カットするように電力削減動作を開始し、あるいは8000WのブレーカーBKの容量であった場合は、それよりも1段階下として決めてある容量、例えば7500Wに上限値を変更し、電力使用制限動作をするようにしても良い。
以上の構成を有する本実施形態1の電気機器の電力制御システムの動作について、図52に基づき説明する。まず、キッチン内家電機器KPとして数種類の家電機器EEが使用者の操作により動作を開始している状態であるとする。具体的には、炊飯器3と誘導加熱調理器2以外のキッチン内家電機器KPが先に動作開始していて、その次に炊飯器3が使用開始され、次に誘導加熱調理器2が使用開始される場合を想定する。
誘導加熱調理器2が加熱開始される直前の状態では、電力指令装置9は、既に各キッチン内家電機器KPから、所定の操作、例えば運転開始に必要とする電力の情報を受信しており、また誘導加熱調理器2からも必要な電力の要求情報を受けるので、電力指令装置9では、各キッチン内家電機器KPからの要求のあった電力値を要求電力加算器91にて集計し、集計された合計電力が比較器92にてブレーカー容量(例えば、8000W)と比較され、比較結果が要求電力超過量判定手段93に対し出力される。
要求電力超過量判定手段93では合計電力が8000W以内(=超過量が0)であれば出力せず、合計電力が8000W以上であれば超過量が使用電力削減幅決定手段94に対して出力される。使用電力削減幅決定手段94では、要求電力超過量判定手段93からの出力がなければ、要求電力と同じ使用可能電力を各キッチン内家電機器KPの使用電力制御手段8A〜8Dに対し返信し、超過量の出力があれば、この合計電力の超過量と優先順位設定手段95により設定された優先順位に従って、各キッチン内家電機器KPに対する使用電力の削減幅を決定し、これら各キッチン内電気機器の使用電力制御手段8A〜8Dに対し返信する。
なお、電力指令装置9が、各キッチン内家電機器KPからの電力要求を受ける最初の時点は、何らかのキッチン内家電機器KPの主電源が投入された時点又は動作開始指令が行われた時点である。例えば、炊飯器3の電源コードの先端にあるプラグが電源供給口(所謂、コンセント又はレセプタクル)に挿入された後、所定の操作(例えば炊飯開始キーを押す)があった時点では、その炊飯器3の定格最高電力が要求される。またビルトイン型の誘導加熱調理器2では、主電源スイッチが押されて、主電源が入った後、加熱口が選定され、火力が設定された時点(又は遅くともその火力設定が確定して加熱動作開始された時点)である。なお、誘導加熱調理器2は、加熱口を最初に選定した時点で、自動的にデフォルト値(初期設定値)として例えば1000Wのような特定の火力がセットされる場合もあるが、この場合はその火力1000Wに加えて誘導加熱調理器2内部電気部品(例えば、冷却用ファンのモーターの定格最高電力)の運転用電力などが加味された電力(例えば、1050W)が、電力指令装置9への要求電力になる。要求電力を送信した結果に対し、結局電力指令装置9からOKの返信がなければ、その要求電力での運転は開始されない。これは各使用電力制御手段8A〜8Dによって個々のキッチン内家電機器KPへの通電が制限されるからである。
言い換えると、使用電力制御手段8A〜8Dでは、電力指令装置9が許可した使用電力内で各キッチン内家電機器KPの個々の電力を制御し、また電力指令装置9から使用電力削減指令があると、これに従って使用電力を削減し、この削減した使用電力内で各キッチン内家電機器KPの電力を制御する。なお、複数のキッチン内家電機器KPに対して電力指令装置9は、総電力量を指示するのではなく、予め総電力量を考慮して個々のキッチン内家電機器KPに対し上限の電力量を許可する方法を採用している。このため、例えば誘導加熱調理器2には、要求電力4800Wに対し4000Wのように具体的な電力上限値が指令される。
また、同様に空気調和機7を使用していた場合には、使用電力制御手段8Eは電力指令装置9に対して電力要求信号を発信し、またその結果、電力指令装置9から使用電力削減指令があると、それに従って空気調和機7の使用電力を削減する。食器洗い乾燥機6でも同様である。
このように、本実施形態1の電気機器の電力制御システムにおいては、各キッチン内家電機器KPの使用電力制御手段8A〜8Dからの要求電力の合計電力がブレーカーBKの容量を超えないように、電力指令装置9によって、予め定めた優先順位に従って各キッチン内家電機器KPに対する使用電力の削減幅を決定して各キッチン内家電機器の使用電力制御手段8A〜8Dに指令するようにしているので、使用電力がブレーカー容量を超えないように制御することができる。そして、従来のような機械的に電力制限する場合と異なり、調理性能、調理作業性を維持するための電力を必要とするキッチン内家電機器KPに優先して供給することができる。
また、電力指令装置9によって、優先順位の低いキッチン内家電機器KPへは使用電力を減らすように指令しているので、調理性能、調理作業性を維持することができる。
前記したように、キッチン内家電機器KPには優先順位が付けてある。前記したように、電力を削減しても使用者への影響が少ないキッチン内家電機器ほど順位が低くなるように、炊飯器3、誘導加熱調理器2、オーブンレンジ5の順で電力確保の優先度が定められている。言い換えると、電力を削減する場合は、オーブンレンジ5、誘導加熱調理器2、炊飯器3の順になっている。しかし、これらの家電機器毎の優先度に従って、オーブンレンジ5だけでは電力削減量が確保できない場合は、前記した「優先調理メニューの実行時間帯」を持ったキッチン内の特定のキッチン内家電機器KPの中で誘導加熱調理器2が電力削減対象になる。しかしこの場合でも、その「優先調理メニューの実行時間帯」が経過するまでの間は、当該キッチン内家電機器KPの、当該優先調理メニューを実行する加熱源の電力に限っては、例外的に前記電力指令装置9が削減することはない。この場合は、次の優先度になっている炊飯器3に電力削減指令が発せられる。なお、空気調和機7と食器洗い乾燥機が使用されている場合は、誘導加熱調理器2の前に、当該食器洗い乾燥機6が電力削減対象になる。食器洗い乾燥機6だけでも不十分な場合は、空気調和機7が電力削減対象になり得る。
ここで、各キッチン内家電機器KPからの電力要求結果を、要求電力加算器91にて集計した結果、合計電力がブレーカー容量(例えば、8000W)を超えていない場合で、電力削減指令が出されない場合であった状態から、使用者が使用限度設定器96の表示画面100Aを見て自発的に使用電力上限値を下げた場合について説明する。つまり使用者が「第2の上限容量」を設定した場合について説明する。
この場合、図52のように電力指令装置9は、最初のステップ1(以下、ステップを「S」と省略する)で、総電力下げの指令が外部から与えられたもの判断する(S1)。
そして、新しい上限値(例えば7000W)と、各キッチン内家電機器KPからの電力要求結果とを比較器92で比較し(S2)、上限値を超えている場合は、電力削減幅を、使用電力削減幅決定手段94によって決定する(S3)。
そして使用中のキッチン内家電機器KPに電力削減指令を発する。この指令を受けて、前記ステップS1の時点よりも前に加熱調理を開始していた前記誘導加熱調理器2は使用電力を削減する。前記電力削減幅が1000Wであった場合には、誘導加熱調理器2は合計4200Wの消費電力であった場合、例えば第1の加熱口2L単独火力は3000W、第2の加熱口2Rの単独火力は1000Wの火力で、それぞれ湯沸しメニュー(非優先調理メニューの1つ)を実行していた場合は、合計3000Wの火力まで火力を下げる(S4)ことで、消費電力を3200Wまで下げる。なお、ここで200Wは内蔵されている送風機などの電気部品の消費電力とする。その後、誘導加熱調理器2は使用電力を1000Wだけ下げたことを電力指令装置9に報知する。
電力指令装置9ではその後、各キッチン内家電機器KPからの電力要求結果を再度集計した結果(S5)、その電力要求合計値が小さく、電力削減幅1000Wを超えるような余裕がある場合、例えば、上記した新しい上限値(7000W)に対し、その時点の電力要求合計値が5900Wを超えていない場合は、1100Wの余裕があることになるから、以前に削減した誘導加熱調理器2の使用電力を元のレベルまで戻すことを誘導加熱調理器2に事前に提案(報知)する。誘導加熱調理器2では、その報知から所定時間内に特に火力を上げるような操作をしない場合、火力を安全上の観点から自動復帰させないが、使用者が復帰に同意する操作をした場合、例えば火力上げる操作をした場合、元の4000Wの(合計)火力まで復帰させる(S6)。この場合の火力を上げる操作を省略するため、誘導加熱調理器2の上面操作部26に「復帰」というキーを設け、これを1回押せば、電力に余裕がある場合、元の火力レベルに簡単に復帰するようにしても良い。
仮に、前記単一の誘導加熱調理器2において、第1の加熱口2Lが「揚げ物」調理を行っており、1800Wの最大電力を消費する「優先調理メニューの実行時間帯」にあり、一方、第2の加熱口2Rが最大2000Wの消費電力を消費する「湯沸し」(非優先調理メニュー)を行っていた場合、前記電力指令装置9から指令された前記電力削減幅が1000Wであったときには、前記湯沸しの方の第2の加熱口2Rが電力削減の対象になり、湯沸しの火力を下げて、誘導加熱調理器2としての消費電力を1000W減らす動作を行うものである。
なお、図52の場合で、誘導加熱調理器2が使用されていない場合は、その誘導加熱調理器2による使用電力削減はできないので、優先度に従って、炊飯器3が電力削減対象になるが、電力削減幅を、使用電力削減幅決定手段94によって決定した(S3)時点で、図52に示すように、炊飯器3が「優先調理メニューの実行時間帯」にある場合は、炊飯器3は電力削減の対象にならない。
また、キッチン内には同じブレーカーBKを使用する、電気ポットやホットプレート、オーブントースターなどのような1000W程度を10分〜60分程度使用する比較的小型の電熱機器類が他にもあり、また電気冷蔵庫もあるので、上記のようにキッチン内で誘導加熱調理器2を4000Wで使用していた場合でも、例えば7000Wまで総電力下げるという設定(第2の上限容量を設定すること)を、使用者が前記使用限度設定器96で行った場合には、上記のように誘導加熱調理器2の使用電力が制限される場合があり得る。
次に、1台の空気調和機7、誘導加熱調理器2と炊飯器3が同時に使用されている場合で、電力指令装置9から総電力量を下げるという指令が発せられた場合について説明する。
図53において、各キッチン内家電機器KPと空気調和機7からの電力要求結果を、要求電力加算器91にて集計した結果、合計電力がブレーカー容量(例えば、8000W)を超えていない場合ではあるが、使用者が前記使用限度設定器96の表示画面100Aを見て自発的に使用電力上限値を下げた場合について説明する。
この場合、図53のように電力指令装置9は、最初のステップ1で、総電力下げの指令が外部から与えられたもの判断する(S1)。
そして、新しい上限値(第2の上限容量。例えば7000W)と、各キッチン内家電機器KP及び空気調和機7からの電力要求結果とを比較器92で比較し(S2)、上限値を超えている場合は、電力削減幅を、使用電力削減幅決定手段94によって決定する(S3)。
そして優先度に従って、使用中の空気調和機7に電力削減指令を発する。この指令を受けて空気調和機7は使用電力を削減する(S4)。前記電力削減幅が300Wであった場合には、空気調和機7は冷房の目標温度が26℃であったものを28℃に変更することにより、空気調和機7で最も電力を消費する電動圧縮機193の回転速度を落として、電力消費量を少なくした省エネ運転に変更される。なお、目標温度と現在の室内温度との相関関係から、電動圧縮機193の回転速度を低下された場合の使用電力量は予め実験などで求めてあり、そのデータは空気調和機7側に記憶されてあるので、電力指令装置9からの電力削減要求に従って瞬時に電力削減運転のための電動圧縮機193の運転条件が決定される。
仮に、前記空気調和機7が使用されていない場合、炊飯器3と誘導加熱調理器2は、何れも直ちに電力削減対象にはならない。何故ならば、炊飯器3は強火工程(沸騰工程)H2Aを実行中であり、また誘導加熱調理器2は揚げ物調理を実行中であり、これら両者とも「優先調理メニューの実行時間帯」にあるからである。
なお、その後、空気調和機7は使用電力を300Wだけ下げたことを電力指令装置9に報知する。電力指令装置9ではその後、各キッチン内家電機器KPや空気調和機7からの電力要求結果を再度集計した結果(S5)、その電力要求合計値が小さく、電力削減幅300Wを超えるような余裕がある場合、例えば、上記した新しい上限値(7000W)に対し、その時点の電力要求合計値が6500Wを超えていない場合は、500Wの余裕があることになるから、以前に300Wだけ削減した空気調和機7の使用電力を元のレベルまで戻すことを空気調和機7に事前に提案(報知)する。空気調和機7では、その報知から所定時間内に自動的に目標温度を26℃に下げる運転に復帰する(S6)。なお、空気調和機7は図53に示すように、使用電力を削減する動作を行った場合及び電力を増やす動作を行った場合、その直後にそれぞれ電力指令装置9に使用電力の情報を送信する。
このように、各キッチン内家電機器KPは、その電源投入から電源遮断までの全工程において、運転情報(調理メニューの実行や、火力の設定など)が随時電力指令装置9に送信されている。また空気調和機7でも、その電源投入から電源遮断までの全工程において、運転情報(冷房・暖房運転メニューの実行や、目標温度の設定など)が随時電力指令装置9に送信されているので、常に複数の家電機器EEの電力使用状況を把握することができる。これについて以下詳しく説明する。
図54は、誘導加熱調理器2を代表的な例として、その調理器の電源投入から電源遮断までの全工程において、運転情報(調理メニューの実行や、火力の設定など)が随時電力指令装置9に送信されている状況を示したタイムテーブルである。他のキッチン内家電機器KPや空気調和機7においても基本的に同じように運転情報を随時電力指令装置9に送信している。
図54において、L1〜L7が、誘導加熱調理器2から電力指令装置9に送信される運転情報信号である。L1は、主電源投入(ON)を示す信号、L2は、加熱口を選択した情報で、図54では第1の加熱口2Lを選択した場合である。L3は、調理メニューを選択した情報であり、湯沸しや煮込み、揚げ物調理などの各種調理メニューの中から「揚げ物」を選択した場合を示す。なお、誘導加熱調理器2は、前記したように時間帯別電気料金情報を取得するが、この取得は誘導加熱調理器2に主電源を投入した度に毎回行われる必要はない。また図54に示すように特定メニューではない「揚げ物」の場合は、時間帯別電気料金情報を使用者には報知しない。しかし、仮に取得する場合、そのタイミングは図54でいう信号L3とL4の間である。誘導加熱調理器2は電力指令装置9に情報提供を求める信号を送信し、電力指令装置9から送信された信号を分析し、時間帯別電気料金情報を取得する。
L4は、実際にインバーター回路33Lが駆動され、誘導加熱動作が開始された情報を示す。L5は、揚げ物工程が開始された情報を示す。前記したように、揚げ物調理工程から火力アップ工程までを「優先調理メニューの実行時間帯」と定義しており、この実行時間帯には外部からの操作や指令によって電力の削減が行われないようにしている。つまり、この誘導加熱調理器2が実際に「優先調理メニューの実行時間帯」にあるかどうかは、この情報L5以後であるか(但し、次の情報L6を受信していない)どうかで判定される。L6は、実際にインバーター回路33Lの駆動が停止され、誘導加熱動作が終了した情報を示す。L7は、主電源遮断(OFF)を示す情報である。これら各情報L1〜L7には、その現在時刻が秒単位まで含まれている。
図54から明らかなように、誘導加熱調理器2の電源投入から電源遮断までの全工程においては、信号L1〜L4の間及び「優先調理メニューの実行時間帯」を除いた時間帯では、前記電力指令装置9からの電力削減要求に従って電力削減運転に対応することが可能である。信号L1〜L4の間は、調理メニューが確定していない段階であり、この直後に「揚げ物」調理が選択される可能性もあるので、電力削減を行わないに予備期間として指定している。但し、このL1〜L4の期間は、実質的に加熱動作が開始されておらず、使用電力も小さいので、このL1〜L4の期間を電力削減対象期間にしても良いが、電力削減効果は殆ど期待できない。
従って、例えば前記したように「優先調理メニューの実行時間帯」に定義されていない「湯沸し」の工程では、何時でも電力削減要求に応じて電力を削減できる。具体的には図54に示すように、調理メニューとして「湯沸し」を実行する工程で、加熱動作が開始されていても何時でも電力削減は可能である。
図56は、別の「優先調理メニューの実行時間帯」のある調理メニューを実行している状態を示したタイムテーブルである。この図56は、誘導加熱調理器2において「予熱」という調理メニューを実行した例である。情報L3は、調理メニューを選択した情報であり、この場合は各種調理メニューの中から「予熱」を選択した場合を示す。L4は、実際にインバーター回路33Lが駆動され、誘導加熱動作が開始された情報を示す。なお、「予熱」は、火力が最大で1500W程度必要とするが、時間をずらせて行う調理メニューではないので、特定メニューではない。
L5は、温度検出回路(温度検知装置)150が、被加熱物N、例えばフライパンの温度が使用者の設定した予熱温度(例えば160℃)を検知した情報を示す。この予熱温度を検知するとインバーター回路33Lは、制御装置32によって火力が自動調節され、その予熱温度を維持するような動作を行う。
この情報L5の時点から「優先調理メニューの実行時間帯」が開始される。従って、この実行時間帯には外部からの操作や指令によって電力の削減が行われないようにしている。仮に、この「優先調理メニューの実行時間帯」において不意に火力が落とされた場合、予熱温度を維持できず、使用者が所望の温度になっていると考えて調理(例えば卵焼き)を開始した場合、フライパンの温度が例えば140℃にあると、温度が低くて調理が出来ない、という事態を招く可能性がある。
L6は、実際にインバーター回路33Lの駆動が停止され、誘導加熱動作が終了した情報を示す。L7は、主電源遮断(OFF)を示す信号である。
図56から明らかなように、誘導加熱調理器2の電源投入から電源遮断までの全工程においては、信号L1〜L4の間及び「優先調理メニューの実行時間帯」を除いた時間帯では、前記電力指令装置9からの電力削減要求に従って電力削減運転に対応することが可能である。信号L1〜L4の間は、調理メニューが確定していない段階であり、この直後に「自動煮込み」調理が選択される可能性もあるので、電力削減を行わないに予備期間として指定している。但し、このL1〜L4の期間は、実質的に加熱動作が開始されておらず、使用電力も小さいので、このL1〜L4の期間を電力削減対象期間にしても良いが、電力削減効果は殆ど期待できない。
なお、詳しくは述べなかったが、本実施の形態1の電力制御システムにおいては、電力指令装置9が炊飯器3の要求電力に対して優先順位を最も高くして、炊飯器3の要求電力を最優先で確保するようにしているので、ブレーカーBKの容量が8000Wを超えそうになっても、あるいは使用者が指定した上限の電力容量(例えば、7000W)を超えそうになっても、沸騰工程において電力が削減されることがなく、美味しいご飯を炊くことができる。
一方、前記食器洗い乾燥機6は、洗い工程中に電力が削減されると、洗浄ポンプ174を駆動するモーターの回転力が落ち、水やお湯の供給能力が大きく低下するので、洗浄ノズル169から噴射される水流が弱くなり、米粒等の汚れが落ちにくくなる。そこで本実施形態1においては、洗い工程に必要な電力量を下回らないように電力を維持するので、この洗い工程の時間帯は、誘導加熱調理器2や炊飯器3でいう「優先調理メニューの実行時間帯」に相当しており、電力指令装置9からの電力削減要求の対象にならない。従って、この洗い工程中は洗浄ノズル169からの噴射水流を確保でき、汚れ落ち性能を損なわない。但し、誘導加熱調理器2や炊飯器3に比較して電力確保の優先度が低いので、ブレーカーBKの容量を超えるような事態における電力削減要請には応じることになっている。また、ヒーター170は消費電力が前記したように800Wと大きく、またこの電力を削減した場合は、洗浄液の温度を上げるまでの時間が延びるという影響が出るが、洗浄効果それ自体に大きな影響はないので、誘導加熱調理器2や炊飯器3でいう「優先調理メニューの実行時間帯」には相当しないように制御部172に事前に設定されている。
なお、電力削減された場合、洗浄工程は一時的に停止するので、その停止によって再度電力が復帰し、洗浄工程が開始されたとしても洗浄のための洗浄水の温度が下がっている場合は、所定の温度まで洗浄液の温度を上げるように加熱する時間も要し、トータルでの運転時間は延びる。そこで洗浄工程が停止した時点で、前記表示部191には洗浄を一時的に停止することを表示し、また洗浄が開始されても、所定の洗浄を完了するまでの所要時間が延びることを、具体的に時間を示して使用者に報知する。
また、「優先調理メニューの実行時間帯」以外において電力削減した分、調理時間等の運転は延長する必要があるので、例えば誘導加熱調理器2では電力削減量に応じて、設定調理時間を延長するとともに、その旨使用者に報知する。なお、電力指令装置9側では、電力削減前から信号L1〜L4等によって加熱工程の進捗を把握しているので、加熱動作終了時点を誤って判断し、電力量を誤って増大させるようなことはない。
図57は、誘導加熱調理器2等の家電機器が、電力指令装置9によって電力調整対象になっているかどうかを家電機器側において知ることができるようにした動作を時系列に説明する説明図であり、図57において、L1〜L7が前述したように、誘導加熱調理器2から電力指令装置9に送信される運転情報信号である。LMは、健康管理情報が電力指令装置9側にあるかどうかを照会する信号である。
AS1は、誘導加熱調理器2からの運転情報信号L1を受けた場合に、電力指令装置9から当該誘導加熱調理器2に対して送られる対象機器登録信号である。なお、前記運転情報信号L1には、当該誘導加熱調理器2を特定する機器コードを含んでいるので、電力指令装置9は当該誘導加熱調理器2のみに前記対象機器登録信号AS1を送信する。
対象機器登録信号AS1は、誘導加熱調理器2が電力指令装置9に電気的に接続されており、電力指令装置9からの電力指令信号を受けて供給される電力量が削減されることが有り得る機器であることを示す信号である。
電力指令装置9から発せられた前記対象機器登録信号AS1は、誘導加熱調理器2の使用電力制御手段8Aが受け、これは制御装置32を介して、図27に示す前記表示部駆動回路35のインターフェース部に入る。そして対象機器登録信号AS1が来たことが表示コントローラー35Bで判別され、図31に示したような「電力削減対象」という文字が前記第1の表示情報210Aとして中央表示部16の表示画面129の中に表示される。なお、この対象機器登録信号AS1が来る前には、主電源が投入されているので、前記表示部駆動回路35は前記制御装置32によって起動され、表示画面は図31に示したように必要な情報を先に表示している。このため、図25に示しているように、表示指令スイッチを兼ねている専用の注意情報ランプ430が点灯している場合は、これを押せば、電力指令装置9にある健康管理データの内の、特に注意データが、誘導加熱調理器2の側に読み出され、表示コントローラー35Bによってこの起動済みの表示画面を利用して使用者へ報知される。なお、図57に示すLMの信号発生時点以後であっても、前記注意情報ランプ430を押せば、表示画面129に注意データを表示できる。
その後、実際にインバーター回路33Lが駆動され、誘導加熱動作が開始された運転情報信号L4が使用電力制御手段8Aを経由して電力指令装置9に送られ、さらにその後、その電力指令装置9から、その電力指令装置9に接続された全ての家電機器の総電力量を下げる要請信号(予告信号)AS2が誘導加熱調理器2に届いた場合、前記表示部駆動回路35は前記中央表示部16の表示内容を変更する。前記要請信号を受けた場合は、誘導加熱調理器2の中央表示部16には、電力を下げて欲しいことを使用者に伝えるため、前記第1の表示情報210Aを消し、その部分に第2の表示情報210Bを表示する。例えば「電力削減要請あり」又は「電力削減の要請を受けています」等のメッセージを、白抜きの文字で表示する。
ここで、電力削減要請信号AS2とは、速やかに電力を下げて欲しいと電力指令装置9が促す信号であり、この信号から所定時間以内に総電力量が下がらない場合には強制的に電力を下げる。そのため、前記した電力削減要請信号AS2を発してから所定時間内(例えば、数秒〜10秒以内)に使用電力制御手段8Aに電力削減指令信号AS3が発せられる。所定時間内に家電機器の何れかが電力を自発的に下げ、使用者が前記使用限度設定器96によって例えば7000Wまで総電力下げるという設定をしていたことに対し、十分な余裕電力が確保された場合、前記電力削減要請信号AS2は撤回され、他の家電機器の使用電力量はそのまま維持される場合があり得る。電力削減要請信号AS2は撤回された場合でも、それ以前に対象機器登録信号AS1を受信している全ての電気機器では、前記第1の表示情報210Aにより「電力削減対象」という文字が再び表示され、この状態が続く。
前記電力削減指令信号AS3が発せられた場合、前記表示部駆動回路35は前記中央表示部16の表示内容を変更し、「電力削減」等のような第3の表示情報210Cを表示画面129の中に表示させる(図35参照)。
なお、図57に示すように、総電力量を下げる電力削減要請信号AS2が届いてから実際に電力削減動作が実行されるまでの期間は「猶予期間」TSという。この猶予期間は家電機器の使用者に自発的な電力削減動作を期待し、その実行に必要な最小時間を考えて設定されている。なお、この猶予期間を例えば1秒間隔で表示するようにしても良い。例えば前記表示画面129の中に、カウントダウン形式で、10秒、9秒、8秒と残り時間を表示しても良い。また棒グラフのような図形を表示させ、それが1秒置きに短くなっていくことで猶予期間が終わりに近づいていることを使用者に視覚的に訴えても良い。
また、以上の説明では、前記した第1の表示情報210A、第2の表示情報210Bが誘導加熱調理器2の中央表示部16に表示される事例を示したが、他の部分に表示させても良い。また炊飯器3などの他の家電機器EEに固有の表示部に同様に表示させても良い。
以上の説明から明らかなように、実施の形態1においては、例えば誘導加熱調理器2において、その電源投入から電源遮断までの全工程においては、「優先調理メニューの実行時間帯」以外では、前記電力指令装置9からの電力削減要求に従って電力削減運転に対応することが可能であるため、誘導加熱調理器2の運転中に電力削減要求信号を受ける可能性のある対象機器であること示す文字「電力削減対象」が、前記第1の表示情報210Aとして中央表示部16の表示画面129の中に表示されている。また、電力削減要請を受けた状態にある場合は、第2の表示情報210Bが表示画面に表示される。実際に電力が削減された場合には第3の表示情報210Cが表示画面129に表示される。
さらに、「優先調理メニューの実行時間帯」においては、誘導加熱調理器2の外部から指令があっても電力削減が回避されていることが第4の表示情報210Dで表示される。このため使用者がこれら第1〜第4の表示情報を見ることによって、使用しているこの加熱調理器への電力制限指令の影響を知ることができる。言い換えると、例えば、前記対象機器登録信号AS1を、誘導加熱調理器2が受け、最初は図31に示すように、「電力削減対象」という文字が前記第1の表示情報210Aとして中央表示部16の表示画面129の中に表示されるが、誘導加熱調理器2が茹で調理を開始して「優先調理メニューの実行時間帯」の加熱動作をしている場合は、この時間帯では前記電力削減要請信号AS2が誘導加熱調理器2に届いても表示画面129には表示されず、その他音声ガイドによっても報知されない。従って茹で工程の中で慌てて火力を下げるという使用者の操作を誘発することもない。
なお、「優先調理メニューの実行時間帯」の加熱動作をしている場合は「電力削減の要請を受けていますが、重要な調理工程に入っていますので、自動的に電力を維持しております。現在の工程が終わった段階で、電力削減する場合もあります」のように音声ガイドで報知し、使用者の理解を更に深めることを併用しても良い。もちろん、このようなガイド内容を文字によって前記表示画面129に表示しても良い。
また、以上の説明では、時間帯別の電気料金区分情報と、加熱手段が通電される時間情報とを同時に表示する、と述べたが、ここでいう「同時」とは、電気料金区分情報と時間情報を使用者が見比べることができるように、ある時間以上に亘って同時に表示していることを意味しており、電気料金区分情報と、加熱手段が通電される時間情報とが、全く同時に表示開始されるということではない。
次にこの実施の形態1の特徴の一つである第1の家電機器の「動作開始時刻(開始予約時刻A)」の予約時刻を変更する場合と、第1の家電機器の「動作終了時刻(終了予約時刻A)」の予約時刻を変更する場合、の2つについて説明する。
図58に示すものは、電力指令装置9の制御部125の動作を示すフローチャート図である。このフローチャート図に示す基本動作プログラム(情報処理プログラム)は、電力指令装置9の制御部125を構成するマイクロコンピュータ(図示せず)の内部にある半導体メモリー(ROM)に格納されている。
例えば、前記炊飯器3について居住者B(使用者B)が事前に炊飯予約をし、「動作終了時刻」として20:00(午後8時)を予約してあった場合を例にして説明する。
前記居住者Bが炊飯予約後に外出し、図2に示すような遠隔地の施設79から居住者B専用の携帯電話端末器87で帰宅する予想時刻を22:00に変更した場合、その帰宅予定(予想)時間の情報が、携帯電話端末器87から発信され、広域通信回路網(通信ネットワーク)98を介して電力指令装置9に届く。具体的には入出力部124Bを経由して制御部125に届く(ステップ1。以下、「ステップ」は「SU」と記載する)。
すると、電力指令装置9の制御部125は、各家電機器EEから事前に取得していた予約時刻(動作開始時刻と、動作終了時刻)のある家電機器EEを特定し、その予約時刻と前記帰宅予定時刻を比較する(SU2)。
その比較結果で30分以上のズレがあるかどうかの判断が行われ(SU3)、30分以上の時間のズレがある場合には、当該家電機器に対して、その予約時刻を、前記帰宅予定(予想)時間に合せるように変更指令を出す(SU4)。そのため、前記した炊飯器3の事例では、炊飯完了予約時間は22:00に変更される。
なお、ここで30分以上のズレを閾値として設けたのは、これよりも短い時間の変更にその都度対応すると、家電機器側で無理な操作をする可能性もあるためである。例えば、炊飯器は前記したように炊飯開始から沸騰工程が終わるまで30分程度要するので、急に20分程度帰宅時間を早めたことで、「動作終了時刻」を20分繰り上げても、帰宅予定時刻前には炊飯は完了できないことになる。SU3の比較結果で30分以上のズレがない場合には、SU4はスキップし、予約時間の変更指令は発しない。
図59に示すものは、前記電力指令装置9の制御部125の実際の動作を示すフローチャート図である。このフローチャート図に示す基本動作プログラム(情報処理プログラム)は、前記制御部125を構成するマイクロコンピュータ(図示せず)の内部にある半導体メモリー(ROM)に格納されている。
例えば、前記炊飯器3について居住者B(使用者B)が事前に炊飯予約をし、「動作終了時刻」として20:00(午後8時)を予約してあった場合を例にして説明する。
前記居住者Bが炊飯予約後に外出し、前記したように携帯電話端末器87で帰宅する予想時刻を22:00に変更した場合、その帰宅予定(予想)時間の情報が電力指令装置9の制御部125に届く(SU1)。
すると、電力指令装置9の制御部125は、各家電機器EEから事前に取得していた予約時刻(動作開始時刻と、動作終了時刻)のある家電機器EEを特定し、その予約時刻と前記帰宅予定時刻を比較する(SU2)。具体的には炊飯器3だけが予約炊飯をセットされていた状態であれば、その炊飯器3の予約時刻(炊飯器の場合は、動作終了時刻)20:00と、前記帰宅予定時刻22:00とを比較する(SU2)。
その比較結果で30分以上のズレがあるかどうかの判断が行われ(SU3)、30分以上の時間のズレがある場合には、当該炊飯器3に対して、その予約時刻を、前記帰宅予定(予想)時刻の22:00に合せるように変更指令を出す前に、変更後の時刻に適用される電気料金単価と変更前の時刻で適用される電気料金単価を比較する(SU4)。なお、この比較時に、電気料金そのものではなく、時間帯別料金単価を基準にして「安い」「高い」という指標を用意し、その指標で比較しても良い。
前記比較結果で、料金単価が上がる方向になる場合(経済的に不利な場合)には、前記制御部125は、前記した帰宅予定(予想)時間の情報(22:00)の送信者の携帯電話端末器87に対して、電気料金上で不利な時間帯になることを報知する。例えば、「帰宅時間が遅れますので、それに合わせて炊飯器の炊飯予約時間を繰り下げますが、電気料金は「安い」から「中レベル」に上がります」というような、規定のメールを送信(SU6)し、携帯電話端末器87にそのメールが届くようにする。居住者Bがそのメールを見て、新たな帰宅予定時刻を送信してくる場合もある。
なお、前記した炊飯器3の事例では、炊飯完了予約時間は20:00から22:00に変更されるが、20時以前も22時以前も前記した「朝晩時間」であるので、変更によって電気料金上で不利にも有利にもならない。
次に、予約時刻(動作開始時刻又は動作終了時刻)のある電気機器を、帰宅予定時刻に変更した場合、特定の家電機器に設定してある「運転回避時間帯」に入るかどうかの判断が行われる(SU7)。ここでいう「運転回避時間帯」とは、例えば、前記自走式電気掃除機320の場合は、深夜10時(22時)から翌朝6時までの間をいう。これは使用者(居住者)によって、前記電力指令装置9で、対象となる家電機器と時間帯を個々に設定できるが、自走式電気掃除機320の場合は、運転によってブロワーモーターの運転音等が発生し、居住者の睡眠は勿論、集合住宅の場合は、隣の部屋の住民に騒音で迷惑掛ける懸念があるからである。
前記した炊飯器3の事例では、「運転回避時間帯」を設定していないので、この判断ステップ(SU7)は、イエスとなり、次のステップSU8に進む。このSU8は、対象となる電気機器が、その変更後の時刻で運転される場合に、各種の環境条件に適合するかどうかの判断が行われるステップである。例えば、前記炊飯器3の場合は、図60に示すように、環境検知部202の情報に基づき、前記制御部125では、室温が2℃〜35℃の場合が「適合」と判断される。つまり、この図60に示した例のように、仮に炊飯開始時刻(例えば、21:20)の段階で、キッチンの気温が4℃であった場合、21:20から炊飯動作が開始される(最初は吸水工程が21:20から始まる)。仮に0℃であった場合、炊飯器の蒸気回収装置の水が凍結し、発生した蒸気を回収できない事態が想定されるので、このような温度帯で、炊飯開始可否を決定している。なお、図60に示しているように、炊飯完了から通常は保温工程に自動的に移行し、最大で7時間保温動作が継続されるが、前記した炊飯器3では、その保温工程への移行を炊飯開始前に選択でき、保温工程を止めれば保温ヒーターの通電分だけ電気消費量も減る。しかし、室温が高いと炊き上がったご飯が腐敗する懸念もあるので、図60に示すように、環境検知部202の情報に基づき、前記制御部125では、室温が2℃〜23℃の場合が「適合」と判断される。つまり例えば沸騰工程が終わって保温工程が始まる前の時点でのキッチンの室温が仮に30℃の場合は、「保温切り」のモードを選択していても、保温動作は停止されず、自動的に保温工程に移行する動作になる。
図59のSU9は、各種の家電機器が設置されている居住空間の室温やその他の環境条件から、予約時刻を変更すべきかどうかを判断する「環境条件適合可否」を判断する処理である。この判断の基礎となる「許可条件」は、電力指令装置9の制御部125で設定され、記憶装置149に予め格納されている。
図59のSU10は、補正可能性のチェック処理である。ここでは、例えば空気調和機7に関して、環境条件に適合しない場合(例えば、冷房するには室温が低すぎる場合)、目標とする室内気温を高くしたり、冷房能力を落としたりする省エネ制御に移行すれば良いので、このような運転条件(加熱量やモーターの出力、冷房能力など)を補正可能であるかどうかの判断がされる。そして補正処理可能な場合は、補正処理が行われ(SU10)、電力指令装置9の制御部125から関係する家電機器(この場合は、空気調和機7)へ運転条件の変更指令が出される。
前記ステップSU8で環境条件適合する、と判断された場合、及び省エネ制御への変更処理SU10を行った後は、予約時刻(動作開始時刻又は動作終了時刻)の変更処理が行われる。具体的には、電力指令装置9の制御部125から関係する家電機器へ動作開始時刻又は動作終了時刻の変更指令が出され(SU11)、当該電気機器は、その変更指令の通り、動作開始又は終了の時刻を変更する処理を行う。前記炊飯器3の場合、22:00に炊飯完了するように予約内容が書き換えられる。
図59のSU9は、家電機器の設置されている居住空間の室温やその他の環境条件から、予約時刻を変更すべきかどうかを判断する「環境条件適合可否」を判断する処理である。この判断の基礎となる「許可条件」は、電力指令装置9の制御部125で設定され、記憶装置149に予め格納されている。
一方、予約時刻(動作開始時刻又は動作終了時刻)の変更処理を行うと、運転回避時間帯での運転になってしまう場合には、そのような予約時刻の変更は許可できないので、不許可の回答処理SU12が行われる。実際には、電力指令装置9の制御部125から、前記不許可理由が明示された情報が発信され、この発信された情報は広域通信回路網(通信ネットワーク)98を介して携帯電話端末器87に届くことになる。従って自走式電気掃除機320を使用する予定の居住者は、自分の帰宅時間では、既に深夜に近く、騒音防止の観点で自走式電気掃除機320の運転を開始することはできないことが電力指令装置9からの情報で理解できる。
また、前記「環境条件適合可否」を判断する処理SU8で「不適合」となり、変更処理SU10も不可能である場合も、同じステップSU12に進み、前記不許可理由が明示された情報を電力指令装置9が発信して一連の処理は終了する。なお、不許可の回答処理SU12では、電気機器の種類や環境条件によって色々な回答内容が考えられるが、それらの回答は、事前にパターン化されて記憶装置149に格納されており、適当な回答内容が制御部125でその都度選択されて、送信される。なお、その回答内容は、例えば運転回避時間帯を理由にする場合は「深夜時間帯になるため運転禁止」とか、「室内気温が低いので、運転できません」など簡潔で良い。このような不許可理由を送信する目的は、居住者(使用者)の誤解を避けるためである。すなわち、帰宅時間の通知によって自動的に家電機器の予約時刻(動作開始時刻又は動作終了時刻)の変更できない場合は、そのことを報知するので、居住者(使用者)は帰宅する前の段階で不許可通知が来たことを知り、家電機器の運転状況を予測できるようになる。場合によっては不許可通知が来たことを知って帰宅時間を早め、又は電気機器の予約内容を変更する行動に繋がる。
以上述べたステップによっても、予約時刻を変更すべきという結果になった場合、制御部125は、対象となる家電機器に事前に取得していた予約時刻(動作開始時刻又は動作終了時刻)を、通知されて来た帰宅予定時刻に変更する指令を発する(図59のSU10)。
以上の説明では、動作開始時刻(開始予約時刻A)が予約できる家電機器(「動作予約機器」ともいう)として、自走式電気掃除機320と空気調和機7を例にして説明したが、これ以外に以下のものが該当する。
(1)食器洗い乾燥機6
(2)照明器具76
(3)空気清浄機(図示せず)
(4)電気暖房機(電気式温風暖房機、床暖房用電気暖房機など)(図示せず)
また、以上の説明では、動作終了時刻(終了予約時刻A)が予約できる第1の家電機器として、炊飯器3を例にして説明したが、これ以外に以下のものが該当する。
(1)空気調和機7
(2)食器洗い乾燥機6
つまり、空気調和機7と食器洗い乾燥機6は、動作開始時刻も、動作終了時刻も予約設定できる電気機器である。
図61〜図64は、第1の発明になる家庭用電力制御装置とその電力制御システムに関係する構成を説明するための図である。
この図61〜図64で示した電力指令装置9は、居住者の在宅を検知する在宅検知手段10と、家電機器EEの中で、前記居住者B専用の特定の家電機器(以下、「専用家電機器」という)と当該居住者Bを特定する情報とを関連付けた専用者情報を記憶した専用者情報記憶部(記憶装置149)と、前記各家電機器EEの個々の電力使用量を制限する使用限度設定器96と、前記家電機器に対して運転の可否を指令する制御部125と、を備え、
前記制御部125は、前記専用家電機器から使用許可を求める信号を受信した場合、前記専用者情報記憶部の専用者情報と、前記在宅検知手段で検知した居住者情報とに基づいて、当該専用者と帰宅している居住者Bとが同一であるかどうかを判定し、同一である場合に当該専用家電機器(例えば誘導加熱調理器2)の運転開始を許可する信号を発するものである。
図61〜図64の事例は、居住者Aと居住者Bと居住者Cと居住者Dの全員が外出している状況を前提にしている。前記したように、居住者Aは父親、居住者Bは母親、居住者Cは子供(10歳)、居住者子供(7歳)である。居住者Bは外出時に前記携帯電話端末器87を携帯しているものとする。またキッチンには電気ポット(図示せず)があり、これも誘導加熱調理器2のように電力指令装置9によって消費電力量が制限される構成になっているものとする(図22でも電気ポットは図示していない)。
前記した前提条件の下で、図61について説明する。この図61は、居住者Bが最初に帰宅する状況を示したものである。電力指令装置9が実行する各種処理は、S61〜S67の符号で示している。図61〜図64において、矢印は各種報知や指令等が発せられたことを示している。その報知や指令のタイミングを、図61〜図64において、発生順にM1、M2、M3・・というように符号を付けている。
まず、居住者Bが最初に帰宅し、玄関の電子錠で開錠操作をする(パスワード入力や生体情報認証など)と、玄関電子錠19から個人認証装置29に開錠操作信号が送られ(M1)、居住者Bであるかどうかの判定結果の信号が在宅検知部10に入力される。すると、在宅検知部10は、制御部125に対して居住者Bの帰宅信号を送り、記憶装置149の中の在宅者情報を更新する(この場合、全員留守状態から、居住者Bだけが在宅、という変更処理になる)(S61)。
すると、制御部125は、予め設定された共用の電気機器の内、居住空間が暗い場合には、玄関外側と内側の照明を点灯して、居住者Bが室内へ安心して進めるようにする。なお、居住空間が暗いかどうかは前記環境検知部202で検知させても良いが、帰宅時間に応じて制御部125が自動的に点灯指示しても良い。
次に、居住者Bがキッチンに行き、例えば共用の家電機器であり、定格最大電力が1000Wである電気ポット(図示せず)を使用したいと思って、そのポットの操作部を操作するか、電源コードを接続すると、最初にその電気ポットからは運転開始許可申請の信号が発せられ(M2)、電力指令装置9の制御部125がその申請を許可するかどうかを判断する。この判断は図61の処理(S62)で行われる。その処理では、要求電力超過量判定手段93で電力の超過量を判定する処理が行われる。そして総電力使用量に余裕があれば、共用の家電機器側に運転開始許可の指令信号を送信する(M3)。この場合、上限の電力値を1000Wに設定している。その後、これに答える形で家電機器(電気ポット)側から運転開始情報が届き、最大電力値は850Wであることを電力指令装置9の制御部125に送信してくる(M4)。そこで電力指令装置9の制御部125は、共用の家電機器の消費電力量を、照明器具(50W)から電気ポットの消費量が加算された900Wに更新処理する(S63)。
次に電気ポットの使用が終了した後(この時点で共用家電機器の使用電力量は総計で50Wだけに戻る)で、居住者Bが専用家電機器として事前に登録してある誘導加熱調理器2を使用しようとした場合、居住者Bが図26、図28で説明したように、最初に主電源スイッチ11の操作ボタン11Aを使用者がタッチして、電源を入れると、異常がなければ、制御装置32が中央表示部16等の表示手段を起動するが、これと同時に、誘導加熱調理器2は運転許可申請を電力指令装置9に行う(M5)。つまり、図54において説明したように、誘導加熱調理器2が最初に運転情報信号L1を送信するので、この最初の運転情報信号L1は、主電源投入(ON)を示す信号である。
すると、電力指令装置9の制御部125がその申請を許可するかどうかを判断する。この判断は図61の処理(S63)、(S64)で行われる。その処理(S63)では、誘導加熱調理器2が専用家電機器であることから、制御部125は在宅者Bの使用権限を事前の記憶データから照合し、居住者Bに使用権があることが分かると次の処理S64に進み、前記した処理(S62)のように、要求電力超過量判定手段93で電力の超過量を判定する処理が行われる。そして総電力使用量に余裕があれば、専用の家電機器(この場合、誘導加熱調理器2)側に運転開始許可の指令信号を送信する。この場合、誘導加熱調理器2は、最大消費電力が3000Wであるし、また居住者Bに消費電力の最大値として許可されている上限電力値が3000Wであるので、上限値は3000Wで運転許可の信号が発信される(M6)。
その後、実際に居住者Bは誘導加熱調理器2の消費電力を2000Wにして使用開始した場合、その2000Wという情報が電力指令装置9に送られ(M7)、これ以後の要求電力超過量判定手段93で利用される。そして居住者Bが誘導加熱調理器2の使用を止めると、誘導加熱調理器2側から運転終了の報知信号が電力指令装置9に送られる(M8)。そこで、制御部125は、居住者Bに関する専用家電機器の電力使用情報を更新(2000Wから0Wへ)し、この情報を記憶装置149に書き込む。
次に、居住者Bが帰宅している状態で、居住者C(子供)が帰宅した場合について、図62を参照しながら説明する。
まず居住者C(子供)が玄関の電子錠で開錠操作をする(パスワード入力や生体情報認証など)と、居住者Bの時と同様に個人認証判定結果の信号が在宅検知部10に入力され、在宅検知部10は、制御部125に対して居住者Cの帰宅信号を送り(M9)、記憶装置149の中の在宅者情報を更新する。この場合、帰宅者Bだけの状態から、居住者BとCの2名だけが在宅、という変更処理になる(S68)。
居住者Cが、何らかの共用家電機器(例えば照明器具)を使用しようとすると、その家電機器からは運転開始許可申請の信号が発せられ(M10)、電力指令装置9の制御部125がその申請を許可するかどうかを判断する。この判断は図62の処理(S69)で行われる。その処理では、要求電力超過量判定手段93で電力の超過量を判定する処理が行われる。そして総電力使用量に余裕があれば、共用の家電機器側に運転開始許可の指令信号を即時送信する(M11)。この場合、上限の電力値を照明器具の定格最大電力の300Wに設定している。その後、これに答える形で家電機器(照明器具)側から点灯情報が届き、消費電力値は250Wであることを電力指令装置9の制御部125に送信してくる(M12)。そこで電力指令装置9の制御部125は、共用の家電機器の総電力量を、照明器具の電力消費量(50W)が加算された300W(照明250W+照明50W)に更新処理する(S70)。
次に、居住者Cが、専用家電機器として事前に居住者Bの名前が登録してある誘導加熱調理器2を使用しようとした場合、居住者Cが図26、図28で説明したように、最初に主電源スイッチ11の操作ボタン11Aを使用者がタッチして、電源を入れると、異常がなければ、制御装置32が中央表示部16等の表示手段を起動するが、これと同時に、誘導加熱調理器2は運転許可申請を電力指令装置9に行う(M13)。
すると、電力指令装置9の制御部125がその申請を許可するかどうかを判断する。この判断は図62の処理S71で行われる。その処理S71では、誘導加熱調理器2が専用家電機器であることから、制御部125は現在在宅している在宅者Bと居住者Cの双方の使用権限を事前の記憶データから照合し、居住者Bに使用権があることが分かると、前記した処理S69のように、要求電力超過量判定手段93で電力の超過量を判定する処理(S72)を行い、総電力使用量に所定以上(例えば、1000W)余裕があれば、専用の家電機器(この場合、誘導加熱調理器2)側に、その余裕電力(1000W)を上限にして、運転開始許可の指令信号を送信する(M14)。なお、この場合、居住者B自身が使用できる最大電力量は前記したように3000Wであるので、最大でも3000W以下の使用しか許可されない。この例では、総電力使用量に2500Wの余裕があることが判明したので、制御部125は、誘導加熱調理器2に対し、上限電力値を2500Wに設定して運転許可の信号を出す。
その後、実際に居住者B(又は居住者Bの監督の下で居住者C)は、調理の内容や加熱される調理物の量等から、誘導加熱調理器2の消費電力を2000Wにして使用開始した場合、その2000Wという情報が電力指令装置9に送られ(M15)、この情報が、これ以後の要求電力超過量判定手段93で利用される。そして居住者Bが誘導加熱調理器2の使用を止めると、誘導加熱調理器2側から運転終了の報知信号が電力指令装置9に送られる。そこで、制御部125は、居住者Bに関する専用家電機器の電力使用情報を更新(0Wから2000Wへ)し、この情報を記憶装置149に書き込む(S73)。なお、途中で火力を下げれば(例えば1000Wに)、その情報は即座に電力指令装置9に送られ、要求電力超過量判定手段93の判定処理に利用される。
次に、居住者Bが帰宅していない状態で、居住者C(子供)が帰宅した場合について、図63を参照しながら説明する。なお、この図63、図64では符号M20〜M31を使用するが、その符号M20は、前記した符号M1〜M15の一連の動作と連続していることを意味していない。
まず居住者C(子供)が玄関の電子錠で開錠操作をする(パスワード入力や生体情報認証など)と、居住者Bの時と同様に個人認証判定結果の信号が在宅検知部10に入力され、在宅検知部10は、制御部125に対して居住者Cの帰宅信号を送り(M20)、記憶装置149の中の在宅者情報を更新する(この場合、全員が留守の状態から、居住者Cだけが在宅、という変更処理になる)(S80)。
制御部125は、予め設定された共用の家電機器の内、居住空間が暗い場合には、玄関外側と内側の照明を点灯して、居住者Cが室内へ安心して進めるようにする。なお、居住空間が暗いかどうかは前記環境検知部202で検知させても良いが、帰宅時間に応じて制御部125が自動的に点灯指示しても良い。この居住者Cは明るい日中に帰宅したものとし、照明器具は何ら点灯しない。以下の説明では、最初に共用の照明器具の点灯が行われ、消費電力は200Wであるとする。
次に、居住者Cがキッチンに行き、例えば共用の家電機器である電気ポット(図示せず)を使用したいと思って、そのポットの操作部を操作するか、電源コードを接続すると、最初にその電気ポットからは運転開始許可申請の信号が発せられ(M21)、電力指令装置9の制御部125がその申請を許可するかどうかを判断する(S81)。その処理(S81)では、要求電力超過量判定手段93で電力の超過量を判定する処理が行われる。そして総電力使用量に余裕があれば、共用の家電機器側に運転開始許可の指令信号を送信する(M22)。この場合、上限の電力値を1000Wに設定している。その後、これに答える形で家電機器(電気ポット)側から運転開始情報が届き(M23)、その時の最大電力値は850Wであることを電力指令装置9の制御部125に送信してくる。そこで電力指令装置9の制御部125は、共用の家電機器の消費電力量を、前記照明器具250Wから電気ポットの消費量が加算された1050Wに更新処理する(S82)。
次に、前記電気ポットの使用中、さらに居住者Cがキッチンで、居住者B専用の家電機器である誘導加熱調理器2を使用したいと思って、その主電源スイッチ11の操作ボタン11Aをタッチして、電源を入れると、異常がなければ、制御装置32が中央表示部16等の表示手段を起動するが、これと同時に、誘導加熱調理器2は運転許可申請を電力指令装置9に行う(M24)。
すると、電力指令装置9の制御部125がその申請を許可するかどうかを判断する。この判断は図63の処理(S83)で行われる。その処理(S83)では、誘導加熱調理器2が専用家電機器であることから、制御部125は現在在宅している居住者Cの使用権限を事前の記憶データから照合し、在宅していない居住者Bに使用権があることが分かると、次の処理84に進み、居住者Cの使用許可申請を不許可にした事実を前記記憶装置149に書き込んで記録する(S84)。そして専用の家電機器(この場合、誘導加熱調理器2)側に運転開始の「不許可」の指令信号を送信する(S85)。この信号を受けると、誘導加熱調理器2は、そのような不許可の理由を前記表示画面129によって表示する。この表示はエラーコードでも良いが、使用者(この場合は、居住者C)が容易に理解できるように、文字で簡潔に表示する方が好ましい。もちろん、音声合成装置38で報知しても良い。
前記運転開始の「不許可」の送信処理(S85)を受けて不許可の通知(M25)をする際に、電力指令装置9の制御部125が、誘導加熱調理器2の表示画面129に、不許可理由を表示するときに、居住者Bに対する許可申請を必要とする場合は、誘導加熱調理器2で特定の操作、例えば、特定の入力キーやボタンを1つ又は複数同時に押すように助言する構成にし、そのような操作が行われたことを電力指令装置9の制御部125が検知した場合、あるいは前記「不許可」の送信処理(S85)の直後又は同時に、外出している居住者Bに対して、上記のような不許可処理を行ったことと、居住者Cからの使用許可申請を同意するかどうかの2点について照会する(M26)。
そしてそのような照会は、電力指令装置9の入出力部124Bからルーター99Aを介して屋外の広域通信回路網(通信ネットワーク)98に通信で送られ、居住者Bの携帯電話端末器87に届くようになっているので、居住者Bが電力指令装置9から送信された照会メール等の内容を見て、専用使用者を居住者Cに一時的に変更して良いとの回答を行った場合(M27)には、電力指令装置9では、その記憶装置149の中の専用使用者の記録が一時的に書き換えられ、また使用限度設定器96の表示画面100Aで、居住者Cへの使用権限付与が報知される(S86)。
そこで、この使用権限変更の許可信号の到着を待っていた居住者Cが、再度誘導加熱調理器2の使用開始の申請(M28)を行うと、電力指令装置9の制御部125がその申請を許可するかどうかを判断する(S87)。その処理(S87)では、要求電力超過量判定手段93で電力の超過量を判定する処理が行われる。そして総電力使用量に余裕(例えば2500W)があれば、誘導加熱調理器2側に運転開始許可の指令信号を送信する。但し、この場合、居住者C自身の上限の電力値は2000W(1度に使用できる電気機器の総電力値が2000W以下であるということ)であるので、前記余裕電力量(2500W)の使用は許可させず、居住者C個人に設定されている最大電力値(2000W)が「上限」であることを電力指令装置9の制御部125は誘導加熱調理器2に送信する(M29)。その後、実際に居住者Cは誘導加熱調理器2の消費電力を2000Wにして使用開始した場合、その2000Wという情報が電力指令装置9に送られ(M30)、これ以後、要求電力超過量判定手段93の判定処理で利用される。そしてまだ帰宅していない居住者B専用の電気機器の電力使用情報が、0Wから2000Wに更新される(S88)。まだ帰宅していない居住者Bではあるが、使用許可したので、居住者Bの電力量としてカウントされる。
こうして居住者Cが誘導加熱調理器2を使用して調理を終え、その使用を止めると、誘導加熱調理器2側から運転終了の報知信号が電力指令装置9に送られる(M31)。そこで、制御部125は、居住者Bに関する専用家電機器の電力使用情報を更新(2000Wから0Wへ)し、この情報を記憶装置149に書き込む(S89)。そして制御部125は、専用家電機器である誘導加熱調理器2に関する専用使用者を、再び居住者Bに戻す処理を自動的に行い(S90)、そのような経緯を記憶装置149に書き込む(S91)。
以上の説明から明らかなように、実施の形態1に示した誘導加熱調理器2は、誘導加熱コイル2RC、2LCと、前記加熱手段の通電条件を設定し電気エネルギー量を調整できる上面操作部26と、前記加熱手段を制御し、所定の加熱プログラムを有した制御装置32と、を備え、前記上面操作部26は、通電条件を表示する中央表示部16(表示画面129)と、この表示部16の表示内容を変更し、かつ通電条件を確定させる入力手段(時間シフト用キー230,231、212など)とを備え、
前記制御装置32は、前記誘導加熱コイル2RC、2LCが通電されている途中で誘導加熱調理器の外部から所定の電力削減要請信号AS2、電力削減指令信号AS3を受けたときに、削減可能条件を満たせば電力削減動作を行うものであり、
前記制御装置32は、前記入力手段によって前記通電条件を確定させる前の段階で、前記誘導加熱コイル2RC、2LCが通電されるメモリー216、マーク219と、その時間に適用される時間帯別の電気料金区分情報218L、218Mとを前記中央表示部16において同時に表示させる構成である。
この誘導加熱調理器2によれば、外部からの電力削減要求信号に応じて加熱調理器の電力削減が行われる場合があり、加熱運転の開始前に、電気料金の安い時間帯での使用になるのかどうかを表示手段によって使用者が知ることができる。このため外部からの電力削減要請が無い状態でも使用者は電気料金のことを意識した使用をすることができ、結果的に個々の家庭において特に日中の電力需要時間帯での使用を減らすことができる。言い換えると使用者が加熱調理条件を設定する場合に、表示手段によって電気料金の安い時間帯を知り、その時間帯への変更を容易に行うことができるので、使用者の利便性を向上させることができるものである。
また実施の形態1に示した電力制御システムでは、家屋内に設置され第1の上限容量を超えた場合に電路遮断動作をするブレーカーBKと、このブレーカーを介して電力が供給され、使用電力量計測部をそれぞれ具備した複数個の家電機器EEと、それら家電機器トータルの電力使用量を制御する電力指令装置9で構成する電力制御システムにおいて、前記電力指令装置9は、通信手段を介して家屋の外部から電力削減要請情報を受信するものであり、前記家電機器EEは、誘導加熱コイル2RC、2LC、45と、前記電力指令装置9から対象機器登録信号と電力削減要請情報とを受け取る受信部8A、8Bと、この受信結果を使用者に報知する表示部(中央表示部16、液晶表示部49)と、を備え、前記家電機器EEには、前記誘導加熱コイル2RC、2LC、45の通電時間帯を設定できる上面操作部26、操作部43と、時間帯別の電気料金区分情報218L、218Mを当該家電機器2、炊飯器3の外部に向けて表示する表示手段(16、49)を設け、前記上面操作部26、操作部43によって前記電気エネルギー消費部の通電時間帯を確定させる以前に、前記表示手段(中央表示部16、液晶表示部49)には、当該通電時間帯で使用した場合に適用される前記時間帯別の電気料金区分情報218L、218Mを表示させていた。
この電力制御システムによれば、電力指令装置9は、通信手段を介して家屋の外部から電力削減要請情報を受信して家電機器EEの電力を削減するとともに、家電機器側では誘導加熱コイル2RC、2LC、45の通電時間帯を設定でき、また時間帯別の電気料金区分情報が表示されるので、電気エネルギー消費部の通電時間帯を確定させる以前に、適用される前記時間帯別の電気料金区分情報218L、218Mを使用者が知ることができる。このため、電気機器の側において、電気料金の安い時間での使用に変更するような操作を使用者に促すことができる。また通信手段を介して家屋の外部から電力指令装置9が時間帯別の電気料金区分情報を入手し、家電機器側へ提供するので、使用者がそのような情報を入手したり、家電機器や電力指令装置9に個々に入力したりする面倒な作業を必要としない。
またこの実施の形態1における健康管理機器410は、人体の代謝データ(生体を計測した計測データ)を測定して計測データを取得する測定部214と、測定部で取得した計測データを一時的に保存するメモリー216と、前記メモリー内に蓄積した計測データを外部に送信する送信部314と、測定動作と送信動作を指令する操作部215と、前記メモリー内に格納された計測データを読み出して表示する表示部213と、前記計測データを処理する制御部217と、を備え、
前記送信部314は、家庭内の複数の電気機器の電力を個々に制御して家庭内の総電力量を制限する電力指令装置9の表示手段(表示盤)100によって表示されるため、前記計測データを送信するものである。
この健康管理機器410によれば、電力指令装置9に送信した計測データで、健康管理の関連情報も電力指令装置9の表示盤100において表示させることができるので、1つの装置で電気エネルギー管理と健康管理を図ることができる。
またこの実施の形態1における家庭用電力制御システムでは、家庭内の複数の家電機器EEの電力を個々に制御して家庭内の総電力量を制限する電力指令装置9と、その電力指令装置と有線又は無線通信で接続され、その動作内容を表示する表示手段(表示盤)100及びTV受像機75の液晶表示画面75Dとを備え、前記電力指令装置9には、健康管理機器410で測定された代謝データ(健康管理情報)を処理する健康管理処理部116を有し、前記表示盤100は、前記電力指令装置9の動作情報と、前記健康管理処理部116で処理した代謝データ(生体データ)と、を使用者の動作に応じて切り替えて表示させるものである。またTV受像機75の液晶表示画面75Dでも、健康管理機器410で測定された計測データ(健康管理情報)と電力指令装置9の動作情報とを、使用者の動作に応じて切り替えて表示させるものである
そのため、この実施の形態1の家庭用電力制御システムによれば、1つの電力指令装置9の情報伝達システムを利用して、健康管理の関連情報も表示させることができるので、省エネ意識の向上と健康管理意識の向上を図ることが期待できる。
実施の形態1における家庭用電力指令装置は、複数の家電機器EEに対する電力使用量を個々に制御して家庭内の総電力量を制限するため、前記家電機器から動作情報を受け取り、また当該家電機器に電力制御信号を発信する使用限度設定器96と、健康管理機器410からの人体の計測データを受け取る健康管理処理部116と、前記健康管理処理部116と前記使用限度設定器96とを制御する制御部125と、室内気温等の環境データを収集する環境検知部202と、電力使用情報と前記健康管理処理部116にて受け取った前記健康管理機器からの計測データの情報と、環境検知部202で取得した環境データと、をそれぞれ表示する表示手段(表示盤)100と、を備えている構成である。
この家庭用電力指令装置によれば、複数の家電電気機器のトータルの電力使用量を一元的に管理できるとともに、健康管理機器から血圧等の計測データの計測結果と居住空間の環境データも表示させることができるので、省エネ意識の向上と健康管理意識の向上を図り、快適な居住空間にすることが期待できる。
以上の説明から明らかなように、実施の形態1における家庭用電力指令装置は、複数の家電機器EEから動作情報を受け取り、当該家電機器EEの個々に電力制御信号を発信する使用限度設定器96と、健康管理機器410から人体の計測データを受け取る健康管理処理部116と、前記家電機器EEの設置された居住空間の物理的環境を計測する環境センサーから計測された環境データを受け取る環境検知部202と、前記環境検知部、前記健康管理処理部116及び前記使用限度設定器96とをそれぞれ制御する制御部125と、前記電力の使用量情報、環境データ、人体の計測データの情報と、をそれぞれ表示する表示画面100Aと、を備えたものである。
この電力制御装置によれば、電気エネルギー管理と健康管理を実行することができる。また室内温度や湿度等の環境データも表示させて確認できるので、居住空間の環境をリアルタイムで確認でき、健康な生活空間を提供できる。さらに、健康管理機器410を使用する居住空間の状況を、その居住空間(部屋)に行かないでも、電力指令装置9の表示手段である表示盤100によって確認できるので、利便性が向上する。
また、誘導加熱調理器2や空気調和機7、空気清浄機(図示せず)等のような室内空気に影響を与える可能性のある家電機器の使用環境を電力指令装置9の表示盤100で知ることができる。
またこの家庭用電力指令装置は、空気調和機能又は空気浄化機能の少なくとも何れか一方を備えた第1の特定家電機器SP1と、他の電気機器(家電機器EE、第2の特定家電機器SP2)とに対する電力使用量を個々に制御するため、第1の特定家電機器SP1と他の家電機器から動作情報を受け取り、また当該第1の特定家電機器SP1と、他の電気機器からなる家電機器群に電力制御信号を発信する使用限度設定器96と、健康管理機器410からの人体の計測データを受け取る健康管理処理部116と、居住空間の物理的環境を計測する環境センサーから環境データを受け取る環境検知部202と、前記環境検知部202、前記健康管理処理部116及び前記使用限度設定器96と、を制御する制御部125と、前記家電機器の電力使用量情報、前記環境データ及び前記計測データの情報と、をそれぞれ表示する表示手段としての表示盤100と、を備え、前記表示盤100は、前記第1の特定家電機器SP1と、他の電気機器に対する電力量の上限を設定するための前記制御部125の入力操作部としての機能を備えており、かつ前記第1の特定家電機器SP1の設置空間(例えば寝室)とは別の居住空間(例えば、キッチン)にあり、かつその入力操作部の操作によって前記第1の特定家電機器SP1の動作情報と環境データを遠隔で表示させることができるものである。
これによれば、1つの電力指令装置9の表示盤100で、健康管理の関連情報も表示させることができるので、省エネ意識の向上と健康管理意識の向上を図ることが期待できる。
また使用者が、室内温度や湿度、塵埃飛散等の環境データもその表示盤100で表示させて確認できるので、居住空間の環境をリアルタイムで確認でき、健康な生活空間を提供できる。
さらに、健康管理機器を使用する居住空間(例えば、居間や寝室)の状況を、その個々の居住空間(部屋)に行かないでも、電力指令装置9の表示盤100によって一元的に確認できるので、利便性が向上する。
さらにまた、特定の居住空間に行かなくても第1の特定家電機器SP1(空気調和機7や空気清浄機)の運転開始やその条件の設定が遠隔で制御できるので、家族の1人がインフルエンザ等のような他の家族へ感染させる病気の罹患者になってしまった場合には、別の部屋(例えば、キッチン)から空気質(空気の温度、湿度や、清浄度等の総称)を改善し、より快適な空間になるよう遠隔調整し、その家族を見守ることができる。
また前記した家庭用電力指令装置は、家庭内にある複数の居住空間に、それぞれ設置された家電機器EEに対して、その電力使用量を個々に制御して家庭内の総電力使用量を制限する電力指令装置9の本体9Aを備え、この本体の内部には、前記家電機器に電力制御信号を発信して総電力量を制限する使用限度設定器96と、健康管理機器410からの人体の計測データを受け取る健康管理処理部116と、前記家電機器EEが設置されている居住空間毎に設置され、その居住空間の物理的環境を計測する環境センサーから環境データを受け取る環境検知部202と、前記家電機器が設置されている居住空間内に人がいるかどうかを検知する人検知部203と、前記環境検知部202、前記人検知部203、前記健康管理処理部116及び前記使用限度設定器96とを制御する制御部125と、電力使用量情報と、前記環境データと、前記計測データの情報と、をそれぞれ表示する表示盤100と、を備え、前記制御部125は、前記複数の居住空間の内、前記人検知部203が人の存在を検知しないと判断した居住空間については、当該空間内にある前記家電機器の電力使用量を制限するものである。
この電力制御装置によれば、電気エネルギー管理と健康管理を実行することができる。また室内温度や湿度等の環境データも表示させて確認できるので、居住空間の環境をリアルタイムで確認でき、健康な生活空間を提供でき、家族の健康管理意識を向上させることが期待できる。
さらに、人の居ない居住空間については、電力使用量を制限するので、不要な電力消費を抑制して省エネ効果を高めることができる。
実施の形態1における健康管理機器410では、人体から得られた計測データの測定日時を確定するための時計回路147を有し、その健康管理機器410の操作部215には、計測データをメモリー216に格納する際に、当該計測データの被測定者を特定する個人識別データと当該計測データを紐付けするための識別情報(識別コード)を入力する入力キー(図示しないが、例えば2桁の数字入力できれば良い)を備え、前記操作部215によって、前記メモリーに格納された計測データの中から、特定の個人の計測データを読み出して発信部314aから健康管理処理部116に送信するようにしても良い。
このようにすれば、健康管理機器410側で、人体から取得した計測データを健康管理処理部へ送信したあとで、健康管理処理部116側で同様に個人別(被測定者別)に計測データを集計・蓄積処理する場合に便利であり、電力指令装置の健康管理処理部116の統計処理作業やプログラム構成を簡略化できる。
また前記健康管理処理部116は、複数の異なる種類の計測データ(健康管理情報:例えば血圧と血糖値)を、被測定者別に蓄積するメモリー216を有し、前記表示盤100では、前記健康管理処理部116で被測定者別に集計処理した計測データ(生体データ)を被測定者毎に纏めて表示させることができるので、電力制御装置の表示手段を兼ねている表示盤100によって、各種の健康管理機器で取得した計測データを被測定者毎に纏めて表示させることができ、省エネ意識の向上と健康管理意識の向上を図ることができる。
さらにまた、前記表示盤100で表示される計測データは、図13に示した例のように、文字で示され、かつ被測定者を特定できる情報と、測定時期を特定できる日時情報とを有しているので、被測定者毎に計測データを確認でき、家族全体で健康管理情報を見て食事療法や生活環境改善に配慮、協力することができる。
また、前記表示盤100で表示される計測データは、前記健康管理処理部116への入力によって、被測定者を特定できる情報と、測定時期を特定できる日時情報と、特定の計測データの内、所定の範囲を超えたもの(以下「要注意データ」という。例えば高血圧値、尿酸値)だけを抽出して、これらを同時に(一覧形式で)見ることができるので、被測定者毎に注意すべき計測データを確認でき、家族全体で健康管理情報を見て食事療法や生活環境改善に配慮、協力することができる。
さらに、電力制御システムの表示手段は、電力指令装置9に設けた表示盤100とTV受像機75の複数あり、その表示手段の内、少なくとも1つは、前記電力指令装置とは別個に液晶表示画面75Dの電源が投入・遮断できるTV受像機75であり、他の1つは前記TV受像機75とは別個に形成され、家庭内の総電力量を一括して表示する表示盤100であるから、健康管理機器410で測定された計測データ(健康管理情報)を、電力指令装置9の本体9Aが設置された台所等の場所とは離れた場所(例えば、居間)にあるTV受像機75に移送して表示することができる。このため、家族全員が揃った居間でTV受像機75を視聴している場面で、電力使用量の情報や健康管理情報などの情報を家族で共有・確認でき、省エネ意識の向上と健康管理意識の向上を図ることができる。なお、家庭で使用されているTV受像機75の液晶表示画面75Dは、20〜60インチ程度の大きさであるから、表示盤100の表示画面(通常10〜数インチ程度)に比較して遥かに大きく、その分だけ詳細な電力使用状況データや代謝データ、これらのグラフ等を大きく、一覧形式で表示できるので、使用者に正確に、かつ容易に状況を知らせることが可能である。
またTV受像機75を、家庭内電力制御システムの表示手段に兼用するものにおいて、TV受像機75は、液晶表示画面75D、画像処理部75C、複数の入出力機能デバイス75J、75K、75L、75M及び電源供給部75Gの4つを具備し、電力指令装置9を前記入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mの1つにコネクタ等を介して着脱可能に接続している。これによって、TV受像機75が故障、修理のため使用できない場合は、接続した前記入出力機能デバイスとの接続を解消し、別の(新規)TV受像機との接続換えで対応できる。この場合、記憶装置(大容量メモリー)109では、TV用の音声・画像記録部分のメモリーと、電力管理・健康管理データのメモリーを別々にしてあり、かつ分離できるようにしてあれば、古いTV受像機を廃棄する場合にも、手元には電力管理・健康管理データを残すことができるので、便利である。
さらに、前記複数の入出力機能デバイス75J、75K、75L、75Mと、前記電源供給部75Gとの間には、それぞれ回路を接続・遮断するスイッチング手段となるパワーFET75Sを具備し、使用者によって使用しない入出力機能デバイスは、その通電を任意に遮断できるようにしているので、電力制御システムにTV受像機75を利用している場合に、使用していない入出力機能デバイス(例えばビデオ用デバイス)に対応して設けられている専用LSI(半導体集積回路)の電源供給をカットできし、TV受像機75の省エネが期待できる。
また、入出力機能デバイスの1つは、外部ネットワーク通信デバイス75Nであり、当該通信デバイスは、前記液晶表示画面75Dの通電を遮断した状態においても動作するように、前記電源供給部75Gから電源供給を可能としている。このため、TV受像機75の表示画面75を使用していない時においても電力指令装置9や健康管理処理部116を家庭外部の広域通信ネットワーク等を介して外部機関78Bに接続が継続できる。このため、当該外部機関からの緊急性のある情報、例えば緊急地震速報等の入手にも支障がない。
また、健康管理処理部116では、人の運動量(走行距離、歩数等)に基づいて消費カロリーを推測できる運動計測機器211A、211Bからの当該カロリーデータ等が入力可能に構成され、前記健康管理処理部116には、前記カロリーデータを蓄積する記憶部を備え、前記カロリーデータの蓄積結果を前記表示盤100及びTV受像機75にて個々に表示するようにしているので、電力使用量の情報や健康管理情報などの情報に加えて、運動情報も家族で確認でき、省エネ意識の向上と健康管理意識の向上も同時に図ることができる。
なお、電力指令装置9で通電量が制御される家電機器の1つとして、使用者が人力で移動させながら塵埃を吸引させる電気掃除機312あり、当該電気掃除機には、当該使用時の作業時間(例:床ブラシの移動累積時間計測)に応じた消費カロリー算出部があり、前記健康管理処理部は、前記電気掃除機の運転終了段階で、前記消費カロリー算出部から、消費カロリーデータを取得している。すなわち、電気掃除機312の移動量計測計312Mを内蔵しており、この移動量データに基づいて消費カロリーを算出している。前記健康管理処理部116は、算出されたカロリーデータを、内部の記憶部に記憶している。このため、使用者は通常と同様の掃除動作をしているだけで自然に消費カロリーの算出が行われ、掃除の終了後に、その消費エネルギーを表示させて確認できる。
また、前記TV受像機75は、液晶表示画面75Dの電源が投入された場合、当該液晶表示画面75Dにはポータルサイトが9に示すように表示され、当該ポータルサイトには、前記電力指令装置9用の画面選択入力部となる特別アイコン413、健康管理処理部用の画面選択入力部となる特別アイコン412、すまいの環境情報の画面選択入力部となるアイコン419、の3つを同時に表示させている。このため、TV画面起動後、ポータルサイト画面にて、電力指令装置9の画面と、健康管理情報関係の画面、環境情報の画面を一覧状態から容易に選択することができる。
さらに、前記TV受像機75は、液晶表示画面75Dの電源が投入され、当該表示画面部で通常のTV放送番組等を視聴している場合、そのTV放送画面(内側又は外側)の周辺位置には、図16に示すように、前記電力指令装置9用の画面選択入力部となるアイコン423が常に見えるように同時に表示させている。このため、TV画面起動後、通常のTV放送画面を見ているときに、電力指令装置9の画面に切り替える選択用のアイコンが視聴者から見えるので、TV放送視聴を優先しながら、電力使用量監視などの様子も随時選択できる。
なお、電力指令装置9の本体9Aには、緊急遮断ボタン119を設けていたが、このような緊急遮断用スイッチをTV受像機75に設けても良い。例えばTV受像機75の前面で液晶表示画面75Dの周辺部に、押しボタン式又はタッチ式の選択キーを設けることである。但し、この場合、TV受像機75の主電源スイッチが切られていると、緊急遮断動作が行えないものの、電力指令装置9にも設ける方が安心である。
また、前記複数の家電機器EEの内、1つは誘導加熱調理器2のような加熱調理器であり、当該加熱調理器の表示部では、その主電源投入後、代謝データの中で要注意データ(例:高血圧値、尿酸値)の被測定者があることを表示させていたので、調理開始前に、要注意データのある家族のことを考慮して調理方法、味付け等を工夫した調理を促すことができ、健康増進に寄与できる。
また、電力指令装置9の表示盤100においても、家族の代謝データ(計測データ)を読み出して、要注意データ(例:高血圧値、尿酸値)と、その被測定者を特定できるので、家族の健康上の注意点(高血圧など)を確認でき、調理の仕方や味付け等において、例えば塩分濃度を低減する工夫を促すことができる。
さらにまた、電力指令装置9と接続された家電機器の一種である誘導加熱調理器2には、少なくとも1つ以上の振動感知機器を備え、当該振動感知機器が所定値以上の震度を感知していない状況で、家庭の外部から前記電力指令装置9が緊急地震情報を受信した場合、
(1)前記電力指令装置9の所定のキー操作で使用中の家電機器の内、特定の機器の電力供給を遮断可能とし、かつ
(2)TV受像機75の液晶表示画面75Dにも、使用中の家電機器の内、特定の機器電源供給を緊急停止用する特別アイコン412を表示する。
このため、地震発生前に電力指令装置9側と、TV受像機75側双方で緊急に電源遮断動作を行える(なお、照明などの特定機器は、避難路確保や安全確認のため、電源供給のままとする)。
なお、個々の健康管理機器410で測定された計測データ(健康管理情報)を、一旦は携帯電話端末器87に移し、そのデータを健康管理処理部116に移しても良い。また宅外で測定したデータを携帯電話端末器87で宅内に持ち込み、そのデータを健康管理処理部116に移しても良い。何れも、健康管理処理部116へのデータの持込みの変形例である。
実施の形態1で示した家庭用電力指令装置は、家庭内にある第1の家電機器と第2の家電機器に対する電力使用量を個々に制御して家庭内の総電力量を制限するものである。そして具体的には、前記第1、第2の家電機器が設置された居住空間の物理的環境を計測する環境センサーから計測された環境情報を受け取る環境検知部202と、居住者からの帰宅予定時刻(帰宅予想時刻を含む)情報を受信するとともに、前記環境検知部からの情報と前記帰宅時間の情報を処理する制御部125と、電力使用情報と、前記環境検知部からの環境情報と、をそれぞれ表示する表示画面100Aと、を備え、
前記第1の家電機器(例えば、炊飯器3)は、居住者の直接操作によって動作終了時刻を入力することで動作の開始が予約できる機能を備え、
前記制御部125は、前記居住者から受信した通信情報に示された帰宅予定時刻が、前記動作終了時刻が予約された第1の家電機器(例えば、炊飯器3)の、当該動作終了時刻(終了予約時刻A)よりも早い場合、当該第1の家電機器の動作終了時刻を、前記帰宅予定時刻より所定の時間だけ早い時刻(終了予約時刻B)に変更する指令を前記制御部125で定めた条件を満たす場合に、前記第1の家電機器に対して出力するものである。
この実施の形態1によれば、電力情報に加えて環境関連情報も表示させることができるので、省エネ意識の向上と環境意識の向上を図ることが期待できる。
また室内温度や湿度、塵埃飛散等の環境データも表示させて確認できるので、居住空間の環境をリアルタイムで確認でき、健康な生活空間を提供できる。
さらに、居住空間の状況を、その居住空間(部屋)に行かないでも、電力指令装置9の表示画面100Aによって確認できるので、利便性が向上する。
さらにまた、また、動作終了時刻を入力することで予約設定した第1の家電機器(炊飯器3など)の動作終了時刻を、居住者からの帰宅予定時刻を示す通信情報によって変更し、居住者が帰宅する前に動作開始させ、終了させることができる。
また、そのような第1の家電機器の使用環境を電力指令装置9の表示手段(表示盤)100で知ることができる。
さらに制御部125で定めた条件を満たさない限り、第1の家電機器の動作終了時刻(終了予約時刻A)を、遠隔操作で変更して運転開始しないので、第1の家電機器(例えば、炊飯器3)の無駄な電気エネルギー消費となる運転を避け、第1の家電機器本来の機能を損なわず、あるいは他の家電機器や周囲の環境にも配慮した運転をすることができる。
また実施の形態1で示した家庭用電力制御装置は、
家庭内にある第1の家電機器と第2の家電機器に対する電力使用量を個々に制御して家庭内の総電力量を制限する電力指令装置9と、前記第1、第2の家電機器が設置された居住空間の物理的環境を計測する環境センサーから計測された環境情報を受け取る環境検知部202と、居住者からの帰宅予定時刻(帰宅予想時刻を含む)情報を受信するとともに、前記環境検知部からの情報と前記帰宅時間の情報とを処理する制御部125と、電力使用情報と、前記環境検知部からの環境情報と、をそれぞれ表示する表示盤100と、を備え、
前記第1の家電機器(例えば、炊飯器3)は、居住者の直接操作によって動作終了時刻を入力することで動作の開始が予約できる機能を備え、
前記制御部125は、前記居住者から受信した通信情報に示された帰宅予定時刻が、前記動作終了時刻が予約された第1の家電機器の、当該動作終了時刻(終了予約時刻A)よりも早い場合、当該第1の家電機器の動作終了時刻を、前記帰宅予定時刻より所定の時間だけ早い時刻(終了予約時刻B)に変更する指令を前記制御部125で定めた環境条件を満たす場合に、前記第1の家電機器に対して出力するものである。
この実施の形態によれば、居住者からの帰宅予定時刻に合わせて、第1の家電機器の動作終了時刻を変更できるので、使用者の利便性が向上する。
また実施の形態1で示した家庭用電力制御システムは、第1の上限容量を超えた場合に電路遮断動作をするブレーカーBKと、このブレーカーを介して電力が供給される第1の家電機器及び第2の家電機器と、前記第1の家電機器及び第2の家電機器の総電力使用量を制御する電力指令装置9と、前記第1、第2の家電機器が設置された居住空間の物理的環境を計測する環境センサーから環境情報を受け取る環境検知部202と、電力に関する情報と前記環境情報を表示する表示手段(TV受像機75、表示盤100)と、を備え、
前記電力指令装置9は、使用者によって電力上限値が、前記第1の上限容量よりも小さい第2の上限容量に設定可能であり、
前記第1の家電機器(例えば、炊飯器3)は、居住者の直接操作によって動作開始時刻が予約できる機能を有し、
前記電力指令装置9には、家屋の外部から帰宅予定時刻の情報を通信回線経由で受け取る入出力部124Bと、前記動作開始時刻になった場合に、第1の家電機器の動作開始を許可する制御部125と、を備え、
前記制御部125は、前記居住者から受信した通信情報に示された帰宅予定時刻と、前記動作開始時刻が予約された第1の家電機器の当該動作開始時刻とを比較し、その2つの時刻が所定以上離れている場合、前記第1の家電機器に関する前記環境情報に基づき前記制御部が定めた所定の環境条件を満たした場合に、前記第1の家電機器の前記動作開始時刻を前記帰宅予定時刻に合せる動作を実行するように指令するものである。
この実施の形態1によれば、電力情報に加えて環境関連情報も表示させることができるので、省エネ意識の向上と環境意識の向上を図ることが期待できる。つまり、例えば室内温度や湿度、塵埃飛散等の環境データも表示させて確認できるので、居住空間の環境をリアルタイムで確認でき、健康な生活空間を提供できる。
さらに、居住空間の状況を、その居住空間(部屋)に行かないでも、電力指令装置9の表示盤100やTV受像機75の液晶表示画面75Dによって確認できるので、利便性が向上する。
さらにまた、また、動作終了時刻を入力することで予約設定した第1の家電機器(炊飯器など)の動作終了時刻を、居住者からの帰宅予定時刻を示す通信情報によって変更し、居住者が帰宅する前に動作開始させ、終了させることができる。
また、そのような第1の家電機器の使用環境を電力指令装置の表示盤100やTV受像機75の液晶表示画面75Dで知ることができる。
さらに制御部125で定めた条件を満たさない限り、第1の家電機器の動作終了時刻(終了予約時刻A)又は動作開始時刻(開始予約時刻A)を、遠隔操作で変更しないので、第1の家電機器の無駄な電気エネルギー消費となる運転を避け、また第1の家電機器本来の機能を損なわず、あるいは他の家電機器や周囲の環境にも配慮した運転をすることができる。
(実施の形態1の総括)
以上説明した通り、実施の形態1で示した第1の発明になる家庭用電力指令装置は、
居住者の在宅を検知する在宅検知手段10と、電力制御の対象となる複数の家電機器EEの中で、特定の居住者(居住者B)専用の特定の家電機器(誘導加熱調理器2)と当該居住者Bを特定する情報とを関連付けた専用者情報を記憶した記憶装置149と、前記家電機器EEに対して運転の可否を指令する制御部125と、を備えていた。
そして前記制御部125は、前記専用家電機器(誘導加熱調理器2)から使用許可を求める信号を受信した場合、前記記憶装置149の専用者情報と、前記在宅検知手段10で検知した居住者(居住者B在宅)情報とに基づいて、当該専用者と帰宅している居住者Bとが同一であるかどうかを判定し、同一である場合に当該専用家電機器(誘導加熱調理器2)の運転開始を許可する信号を発する構成であった。
この実施の形態1で示した第1の発明を実施した電力指令装置によれば、特定の家電機器(誘導加熱調理器2)について特定の居住者Bの情報を登録しておけば、その登録した電気機器は前記居住者Bの専用家電機器となるから、居住者Bが帰宅していない状態で、別の居住者だけが帰宅して、前記専用家電機器(誘導加熱調理器2)を使用しようとしても、その段階で使用が自動的に制限される。
さらに以上説明した通り、実施の形態1で示した第2の発明になる家庭用電力指令装置は、居住者の在宅を検知する在宅検知手段10と、電力制御の対象となる複数の家電機器EEの中で、特定の居住者(居住者B)専用の特定の家電機器(誘導加熱調理器2)と当該居住者Bを特定する情報とを関連付けた専用者情報を記憶した記憶装置149と、前記家電機器EEに対して運転の可否を指令する制御部125と、前記複数の家電機器EEが設置された各居住空間の物理的環境を計測する環境センサー204、205、206から計測された環境情報を受け取る環境検知部202と、居住空間に設置した人の存在を示す人感センサー207、208の検知情報から人の存在を検知する人検知部203と、を具備していた。
さらに前記家電機器EEの内、少なくとも1つは居住空間の快適性を維持又は向上させる環境改善機器(空気調和機7)であり、
前記制御部125は、前記専用家電機器(誘導加熱調理器2)から使用許可を求める信号を受信した場合、前記専用者情報記憶部の専用者情報と、前記在宅検知手段10で検知した居住者情報とに基づいて、当該専用者と帰宅している居住者(居住者B)とが同一であるかどうかを判定し、同一である場合に当該専用家電機器(誘導加熱調理器2)の運転開始を許可する信号を発するものであり、
前記環境改善機器(空気調和機7)の設置されている特定の居住空間に人がいることを前記人検知部203が検知した状態において、当該特定の居住空間が所定の環境条件(例えば、室温30度未満、湿度75%未満)を満たしていないことを前記環境検知部202からの環境情報に基づいて前記制御部125が判定した場合、当該制御部125は当該環境改善機器を強制的に運転制御して環境条件を改善する構成であった。
この構成によれば、実施の形態1の上記電力指令装置における効果に加え、1つの電力指令装置で電気エネルギー管理と居住者が居る居住空間の温度や湿度等の環境条件の維持又は改善を図ることができる。環境条件の内、乾球室温と湿度を適当(例えば、室温30度未満、湿度75%未満)に設定すれば、屋内の居住空間における熱中症の予防効果もあり、両親が日中外出しているときに、老人や子供だけが屋内に居るような家庭であっても、安心感を高めることができる。
また実施の形態1で示した第3の発明になる家庭用電力指令装置は、
複数の家電機器EEを個々に制御して家庭内の総電力量を制御するものにおいて、居住者の在宅を検知する在宅検知手段10と、前記家電機器EEの中で、前記居住者専用の特定の家電機器(専用家電機器。例えば、誘導加熱調理器2)と当該居住者を特定する情報とを関連付けた専用者情報を記憶した記憶装置149と、前記家電機器EEに対して運転の可否を指令する制御部125と、を具備していた。
さらに前記制御部125は、前記専用家電機器(例えば、誘導加熱調理器2)から使用許可を求める信号を受信した場合、前記専用者情報記憶部の専用者情報と、前記在宅検知手段で検知した居住者情報とに基づいて、当該専用者(居住者B)と帰宅している居住者(居住者B)とが同一であるかどうかを判定し、同一である場合に当該専用家電機器(例えば、誘導加熱調理器2)の運転開始を許可する信号を発し、
前記制御部125は、使用許可を求める信号を受信した専用家電機器(例えば、誘導加熱調理器2)の前記専用者情報と、前記在宅検知装置で検知した居住者識別情報と比較した結果、当該専用者(居住者B)と帰宅している居住者(居住者C)が同一でない場合、前記専用家電機器(例えば、誘導加熱調理器2)の運転開始が許可されないことを示す情報を当該専用家電機器(例えば、誘導加熱調理器2)固有の表示部16(129)、38で報知する構成であった。
この構成によれば、実施の形態1の上記電力指令装置における効果に加え、使用が許可されない当該専用家電機器固有の報知手段を通じて使用許可されない旨を報知するので、居住者が専用家電機器の付近において、専用家電機器が故障で動作しないというような誤解を招くことがない。
この実施の形態1で示した第4の発明に係る家庭用電力制御システムは、
所定の上限容量を超えた場合に電路遮断動作をするブレーカーBKと、
このブレーカーを介して電力が供給される第1の家電機器(例えば、炊飯器3)及び第2の家電機器と、
前記第1の家電機器及び第2の家電機器の総電力使用量を制御する電力指令装置9と、
前記第1、第2の家電機器が設置された居住空間の物理的環境を計測する環境センサーから環境情報を受け取る環境検知部202と、
電力に関する情報と前記環境情報とを表示する液晶表示画面75D、表示画面100Aと、
居住者の在宅を検知する在宅検知手段10と、
前記複数の家電機器の中で、前記居住者が専用する特定の家電機器(専用電気機器。例えば、誘導加熱調理器2)と当該居住者を特定する情報とを関連付けた専用者情報を記憶した専用者情報記憶手段と、
前記複数の家電機器に対して電力量の上限を指定して運転の可否を指令する制御部125と、を具備していた。
さらに前記制御部125は、前記専用家電機器から使用許可を求める信号を受信した場合、前記記憶装置149にアクセスして当該記憶装置149の中に記憶されている専用者情報と、前記在宅検知手段10で検知した居住者情報とに基づいて、当該専用者(居住者B)と帰宅している居住者(居住者B)とが同一であるかどうかを判定し、同一である場合には、当該専用家電機器(例えば、誘導加熱調理器2)の運転開始を許可する信号を発する構成であった。
この構成によれば、電力情報に加えて室温等の環境関連情報も表示させることができるので、省エネ意識の向上と環境意識の向上を図ることが期待できる。また室内温度や湿度、塵埃飛散等の環境データも表示させて確認できるので、居住空間の環境をリアルタイムで確認でき、健康な生活空間を提供できる。
またこの第4の発明によれば、特定の家電機器について特定の居住者Bの情報を登録しておけば、その登録した家電機器は前記居住者Bの専用家電機器となるから、居住者Bが帰宅していない状態で、別の居住者Cだけが帰宅して、前記専用家電機器を使用しようとしても、その段階で使用が制限され、居住者B以外の(例えば)居住者Bによる間違った操作方法での使用によって、予期しないトラブルが発生することを防止できる。
また、この実施の形態1で示した第5の発明になる家庭用電力制御システムは、
第1の上限容量を超えた場合に電路遮断動作をするブレーカーBKと、
このブレーカーを介して電力が供給される第1の家電機器及び第2の家電機器と、
前記第1の家電機器及び第2の家電機器の総電力使用量を制御する電力指令装置9と、を備え、
前記電力指令装置には、電力に関する情報と前記環境情報を表示する液晶表示画面75D、100Aと、居住者の在宅を検知する在宅検知手段10と、
前記家電機器の中で、前記居住者が専用する特定の家電機器(専用電気機器、例えば誘導加熱調理器2)と当該居住者を特定する情報とを関連付けた専用者情報を記憶した記憶装置149と、を備え、
前記前記電力指令装置9は、前記専用者情報記憶手段の専用者情報を更新するかどうかを確認するための情報を通信回線(通信回路網)98経由で居住空間の外部に居る居住者の携帯電話端末器87へ届くように送信する送信部(入出力部)124Bと、当該居住者からの返信を受信する受信部124Bとを備え、
前記制御部125は、前記専用家電機器(例えば誘導加熱調理器2)から使用許可を求める信号を受信した場合、前記記憶装置149にアクセスして当該記憶手段の中に記憶されている専用者情報と、前記在宅検知手段10で検知した居住者情報とに基づいて、当該専用者と帰宅している居住者とが同一であるかどうかを判定し、同一である場合には、当該専用家電電気機器の運転開始を許可する信号を発するものであり、同一でない場合は、当該専用者情報記憶手段の専用者に対して当該家電機器の使用を許可して良いかどうかを照会するための情報を前記送信部(入出力部)124Bから送信し、この送信後に、前記専用家電機器の運転開始を許可する信号を受信した場合、専用家電電気機器(例えば誘導加熱調理器2の運転開始を許可する信号を発する構成であった。
この構成によれば、特定の家電機器について特定の居住者Bが自身の専用であることを登録しておけば、その登録した家電機器は前記居住者Bの専用家電機器となるから、居住者Bが帰宅していない状態で、別の居住者Cだけが帰宅して、前記専用家電機器を使用しようとしても、その段階で使用が制限され、居住者B以外の居住者による間違った使用方法等による予期しないトラブルを防止できる。また帰宅した居住者Cが、帰宅していない居住者Bの専用家電機器を使用したい場合、一旦は、使用は許可されないが、外出先の居住者Bへこの不許可通知が送信され、外出先の居住者Bから受信した通信内容に、使用を許可する指示があった場合、前記制御部が専用家電機器の居住者Bによる運転開始を許可するものであり、利便性を更に向上させることができる。なお、外出先の居住者Bへ不許可通知が送信された後、外出先の居住者Bから専用使用者を「居住者Bから居住者Cに変更する」という情報が送信され、これを受けて制御部125が記憶装置149の中に新しい専用者情報を記憶させ、この記憶させた新しい専用者情報と、前記在宅検知手段10で検知した居住者情報とに基づいて、当該専用者と帰宅している居住者とが同一であるかどうかを判定するようにしても良い。つまり居住者Bから電力指令装置9側へ送信される信号の中身は実施の形態1で述べたもの以外に適宜変更できる。
なお、前記第2の発明の電力指令装置9を更に改良し、特定の居住空間に居る居住者に応じて、その居住者に適合した室温や湿度等の環境条件を設定すれば良い。例えば、高齢者では自分自身で環境の変化や悪化に気がつかず、例えば夏の日中に、屋内にいても熱中症になるという危険性が指摘されているので、高齢者が居住空間に居る場合には、その居住空間にある環境改善機器、特に夏の場合は、室内気温が上昇したら早めに空気調和機の運転を開始するように設定すれば、更に家族の安心感を高めることができる。
実施の形態2.
図66〜図79は、本発明の実施の形態2に係る電力制御システムを示すものであり、図66はその1つの家庭と携帯電話端末器の通信経路を説明する概念図、図67は、その電力制御システムで利用している到着時間推定・予告システムの動作と電力指令装置及び家電機器の関係を示す時系列動作説明図1、図68は同じくその時系列動作説明図2、図69は、電力指令装置の使用限度設定器の表示画面で在宅管理メニューを表示した状態を示す正面図1。図70は、電力指令装置の使用限度設定器の表示画面で在宅管理メニューを表示した状態を示す正面図2で、伝言を記録する場面を示している。図71は、電力指令装置の使用限度設定器の表示画面で在宅管理メニューを表示した状態を示す正面図3で、在宅・留守設定の入力をする場面を示している。図72は、その電力制御システムで電力が制御される誘導加熱調理器における表示手段と操作部の一部を示す平面図1、図73は、同じく、その表示手段と操作部の一部を示す平面図2、図74は、同じく表示手段と操作部の一部を示す平面図3、図75は、同じく表示手段と操作部の一部を示す平面図4、図76は、電力指令装置の表示盤を示す正面図、図77は、その誘導加熱調理器における動作情報と加熱工程の関係を示す説明図、図78は、その誘導加熱調理器からの動作情報と加熱工程の関係を時系列で示す説明図、図79は、電力指令装置9の制御部125がTV受像機75を制御する動作プログラムを示したフローチャート図である。各図中、前述の実施の形態1のものと同一部分には同一符号を付してある。また前記誘導加熱調理器2、炊飯器3、オーブンレンジ5、食器洗い乾燥機6及び空気調和機7等の家電機器と、健康管理機器410は、何れも前記実施の形態1のものと同じである。但し、電力指令装置9には、「お好み情報」という個人的な食事内容の評価情報や室温、入浴温度等の情報を個人別に記録できることが異なっている。
この実施の形態2は、第6の発明を実施した例を示しており、電力指令装置において、居住者は別の居住者に対して所望の情報を記憶させることができる個人情報記憶部を備えたことを最大の特徴としている。また専用家電機器の少なくとも1つはTV受像機であり、当該TV受像機が起動された場合、居住者個人に有益な情報をTV受像機で表示させ、あるいは更に音声で報知するものである。
この実施の形態2の特徴は、家電機器の使用者が外出先から自宅へ帰る時間を推定し、その推定結果の時刻に合せて家電機器EEの運転の開始又は終了のタイミングを、遠隔で操作できるようにしたものである。なお、図67、図68においてP1〜P22は、携帯電話端末器87や電力指令装置9に内蔵された制御プログラムの処理タイミングや、外部からの信号受信タイミングを示しており、P1から時間経過に伴って、順次P2、P3、P4、・・P22と発生する。
この実施の形態2では、TV受像機75は複数あり、その1台は居住者Aが寝室においてあって、居住者Aの専用家電機器として設定している。また居住者Bは、炊飯器3と誘導加熱調理器2を自己の専用家電機器として電力指令装置9に登録しているものと仮定する。
図66において、270はグローバル・ポジショニング・システム(略称:GPS)と呼ばれる全地球測位システムを実現するための人工衛星であり、通常は3つ以上の衛星を利用することで地球上の現在位置を正確に測定することができる。
図66において、271は、通信サービスや交通情報を提供する事業機関(外部機関)、272は、この外部機関が設置している到着時刻検索用のサーバーであり、前記衛星270によって求められた位置情報と、使用者が入力した目的地の情報等から、目的地までの所要時間を検索して提供する。273は、地図情報と、各種交通機関(鉄道等)の経路や運行情報、平均所要時間等の情報を保有した交通情報データベースである。
電力指令装置9は、広域通信回路網98を介して前記外部機関271に接続されている。なお、電力指令装置9は、図示していないが実施の形態1の図2に示したような、ASPサーバー89Aにもアクセス可能になっている。なお、87は、居住者が自由に携帯できる携帯電話端末器、275は、その携帯電話端末器と通信を行う基地局である。
次に、図66と図67を参照しながら、帰宅時刻の推定過程について説明する。なお、以下の説明では、前記携帯電話端末器87を居住者Bが携帯しながら、自宅(家庭)から遠くの地域に出掛け、その外出先でその携帯電話端末器87を使用して家電機器EEを遠隔操作しようとした場合を例にしたものである。
最初に外出先で居住者Bが携帯電話端末器87の、出発地登録をする(P1。時刻は17:25)。ここで、その登録は、住所を携帯電話端末器87にキー等で入力しなくとも、携帯電話端末器87に「現在位置登録」という入力キーを設け(あるいは必要な時点で表示させ)、それを押すことによって、携帯電話端末器87は衛星270に対して、自分(携帯電話端末器)の位置を求めるための情報を要求する(P2)。すると衛星270は、携帯電話端末器87のある位置を示す情報(緯度、経度等)を通知する(P3)。
次に、携帯電話端末器87では、目的地を入力する(P4)。ここでも、その都度住所を携帯電話端末器87にキー等で入力しなくとも、携帯電話端末器87に「目的地」という入力キーを設け(あるいは必要な時点で表示させ)、それを押すことによって、例えば事前に入力しておいた自宅の住所の情報が入力されるようにしても良い。
次に、携帯電話端末器87は、自分の位置を示す情報と、前記目的地を示す情報をセットにして到着時刻検索用のサーバー272に送信し、交通手段や経路の検索を要求する(P5)。これに応答して、サーバー272からは交通手段と経路の情報を携帯電話端末器87に回答する。なお、交通手段と経路は最適と思われる1つが示される場合もあるが、通常は幾つかの候補が示され、その中から居住者Bが1つを選択するという方法でも良い。
次に、携帯電話端末器87では、交通手段(例えば、乗車する列車の駅、降車する列車の駅、バスの停留所等)を登録し(P6)、また目的地を示す情報と、経路も登録する(P7)。なお、このP6、P7の順序は逆でも良いし、また同時に一括して登録処理しても良い。
次に、携帯電話端末器87では、到着時刻検索用のサーバー272に対して、これまでに登録した各種情報を基にして、現在移動開始した場合、目的地に到着する時刻を計算するように求める(検索要求。P8)。これに応答して、サーバー272からは到着予想時刻が回答される(P9)。なお、以後、ここで示された到着予想時刻をTKという符号で表す。
居住者が、出発地を直ぐに出発しない場合があるが、前記到着予想時刻を求めた時点(P9)から仮に5分後に出発した場合、ここで携帯電話端末器87に「出発」を入力すると、これに応答して、携帯電話端末器87は、前記到着予想時刻に5分間を加えた時刻を、通信回路網(通信ネットワーク)98に送信するので、5分加えられた到着予想時刻が、電力指令装置9に到着する(P11)。
電力指令装置9の制御部125は、前記到着予想時刻(以下、この時刻は、前記5分が加えられた結果で、20:30だとする)を受信したことが分かると、家庭内部にある各種家電機器EEの内で、既に動作開始予約又は動作終了予約が行われている家電機器EEを探す動作を行う(P12)。例えば、個々の家電機器にそれぞれ現在の状況を問い合わせても良いし、あるいは各家電機器から電力指令装置9に送られた最新の運転情報信号(実施の形態1で説明したL1〜L7の運転情報信号と同様なもので良い)を検索して、運転動作の予約状態にある家電機器を探し出す(P13)。図66に示した例では、特定の家電機器(例えば、空気調和機7)が応答した例である。
次に、電力指令装置9の制御部125は、前記到着予想時刻(20:30)と、既に動作開始予約又は動作終了予約が行われている家電機器EEの予約時刻(動作開始又は動作終了)(仮に、18:30だとする)との比較を行い(P14)、30分以上の乖離がある場合には、当該家電機器の動作終了時刻(終了予約時刻A)又は動作開始時刻(開始予約時刻A)を、前記到着予想時刻(20:30)に変更する指示信号を当該家電機器に向けて送信する(P15)。
そして到着予想時刻(20:30)の30分前(20:00)になった場合(ここは30分に限定されず、5分前でも良いが)、動作開始予約されていた家電機器が、空気調和機7の冷房運転であった場合、部屋が冷えるまで少し時間を要することを考慮して、前記制御部125は予約動作、すなわち冷房運転を開始する。
ところで前記制御部125は、「第1の特定家電機器」(「環境改善機器」)SP1の1つである空気調和機7の運転開始条件(例えば、室温28℃以上)を記憶装置149に記憶しているので、この空気調和機7に対する居住者Bから受信した所定の指令情報で、運転開始する場合、前記したように到着予想時刻の30分前の20:00時点で運転開始条件(例えば、室温28℃以上)を、満たすかどうかを判断する。
そして、20:00時点で運転開始条件を満たした場合は、前記制御部125は予約動作、すなわち冷房運転を開始する。しかし、前記空気調和機7の運転開始の許可条件(室温28℃以上)を満たさない場合、前記制御部125は、前記指令情報に基づく空気調和機7の運転開始を許可しない。またこの場合は、許可しない理由として、例えば室温が低い、という情報を前記携帯電話端末器87宛に送信する。
次に、電力指令装置9の制御部125は、記憶装置149に記憶させた前記到着予想時刻(20:30)を基準に、10分前の段階になるかどうかをチェックしており、10分前になった段階で、携帯電話端末器87宛に、予約されていた家電機器(この例では、第1の特定家電機器SP1である空気調和機7)の動作開始予約又は動作終了の準備をしたことを通知する(P17)。なお、前記した例では、空気調和機7は、部屋が冷えるまで少し時間を要するという特殊事情があるため、この通知前に冷房動作を開始した。
また仮に、到着予想時刻が電力指令装置9に到着した時点(P11)で、既に運転が行われていた家電機器がある場合は、このP17の時点までに運転(動作)停止の準備が開始される。なお、家電機器の種類によっては、運転を停止しても、それ以前に高熱を発する処理(例えば加熱調理や加熱乾燥)を行っていた場合、直ぐには電気機器が平常状態まで冷えないので、このような電気機器の場合は、その冷却所要時間まで考慮して運転停止時間を定めると良い。このような時間の調整は、電力指令装置9の表示盤100に示される各種入力キーを居住者が操作して適宜設定できる。
携帯電話端末器87は、衛星270に対して自分(携帯電話端末器)の最新位置の情報を求めるための情報を要求する(P18)。すると衛星270は、携帯電話端末器87のある位置を示す情報(緯度、経度等)を通知する(P20)。そして目的地の近くを示す情報が届くまで、携帯電話端末器87は、衛星270に対して自分(携帯電話端末器)の最新の位置情報を求める処理を繰り返す(例えば10秒毎)。
一方、空気調和機7は、冷房を開始してから時間経過し、部屋の気温や外気の温度も夜間になって下がったことから、そのまま冷房する必要がないと判断すると、自ら省エネ運転に切り替わる。また制御部125も、環境検知部202の室温情報から、同様の判断がされると、空気調和機7に対して省エネ運転(例えば、冷房の目標温度を上げたり、冷房を一時的に停止したりして送風モードに切り替え)を指令する(P19)。
携帯電話端末器87は、衛星270に対して自分(携帯電話端末器)の最新位置の情報を求めた結果、最新の位置情報が、目的地の近くを示す情報である場合、例えば、図66に示した自宅の近くの駅(中継地)であることが分かると、自宅付近に到着したという通知を発信し、電力指令装置9に自宅付近まで来たことを報知する(P21)。なお、この自宅付近に到着したという報知があると、制御部125は、TV受像機75が既に視聴されている状態にある場合、その液晶表示画面75Dに、家族(この場合は、居住者B)が到着するという表示を行っても良い。その場合、具体的に家族は誰であり、何時何分に到着するのかという情報を示した方が良いが、電力指令装置9から見た場合、携帯電話端末器87が特定されており、また到着予想時刻も分かっているので、それら情報をTV受像機75に送信して表示させることは容易である。
次に電力指令装置9では、自宅付近まで来たことを示す前記信号が届くと、予め設定してある家電機器(この場合は、玄関の照明器具等)を点灯させ、居住者が玄関まで明るい通路で到達するようにする(P22)。居住者が目的地の自宅に到着した時点では、予約していたように、空気調和機7は既に運転されているので、最初から快適な居住空間に帰宅することが可能となる。
図69は、図65と同様に電力指令装置9の使用限度設定器96の表示画面100Aで在宅管理メニューを表示した状態を示す正面図である。
この図69において、58Aは、在宅している居住者の入力画面に切り替える選択キーで、これにタッチすると、居住者毎に、その在宅や留守状況の修正や、事前に留守となる時間、帰宅予定時刻、不在期間(月日)等を入力することができる入力画面に切り替わる。58Bは、居住者が動作開始時刻や終了を事前に予約できる家電機器(例えば、炊飯器)の設定や、居住者の専用家電機器を設定するための入力画面に切り替える選択キーで、これにタッチすると、居住者毎に、その居住者の予約家電機器や専用家電機器を指定して入力することができる入力画面に切り替わる。
同じく図69において、58Cは、伝言設定選択キーであり、これにタッチすると、居住者毎に、その居住者の予約家電機器や専用家電機器を指定して入力することができる入力画面(図70に示したもの)に切り替わる。59Gは、特定の居住者(図69では、居住者A)に対する伝言がこの電力指令装置9に記録されていることを示すマークである。
図69において、59Aは、家族全員を特定する氏名や愛称等が表示される家族名欄、59Bは、居住者毎に現在在宅しているかどうかを記号や文字で表示する在宅状況表示欄であり、図65の例では、在宅の場合は「○」印、不在の場合は「△」印で表示されている。59Cは、居住者毎に帰宅予定時刻を表示する帰宅予定時刻表示欄、59Dは、居住者毎に、予約時刻(動作開始時刻又は動作終了時刻)の設定がある家電機器を特定できるように、文字や記号、イラストなどで専用家電機器を表示する予約機器表示欄である。
図69において、59Eは、居住者毎に、専用家電機器の設定がある場合、その家電機器を特定できるように、文字や記号、イラストなどで専用家電機器を表示する専用家電機器表示欄である。59Fは、居住者毎に、使用している専用家電機器の使用電力値と上限電力値とを表示する電力値表示欄である。図69の図から分かる状況は、現在居住者Bは既に帰宅しており、居住者Aは帰宅予定時刻が22時30分、居住者C(子供)は帰宅予定時刻が17時30分、居住者C(子供)は帰宅予定時刻が16時ということである。つまり、現在は居住者Bだけ家に居る状況である。また居住者Aには伝言が残された状態である。
次に居住者が図69の状態において、伝言設定選択キー58Cを指で触れると、この表示画面100Aの表示内容は図70に示されるように、伝言と登録することと、伝言を確認するための画面に切り替わる。図70において、69Aは、伝言登録指令キー、69Bは伝言再生指令キーである。ここでいう伝言は、電力指令装置9の記憶装置149に実際の肉声で記録されているものである。
図70において、69Cは全ての居住者別の伝言が録音されているかどうかを示す個人別表示部兼居住者選択キー、69Dは、伝言が録音されている場合には「録音済」という文字が表示される表示部である。図70の例からは、居住者Aに対してだけ伝言が録音されていることが分かる。69Eは、伝言を残す際に、伝言をする人が伝言を吹き込むためのマイク(図示せず)の集音部であり、表示盤100の表示画面100Aの下側に配置されている。
図70において、伝言を残す場合は、最初に目的の個人別表示部兼居住者選択キー69Cに触れ、次に集音部69Eに向かって伝言を述べる。そして伝言終わったら、最後に伝言登録指令キー69Aにタッチすれば良い。
図70において、69Fは、10個の独立した数字入力キー(テン・キー)であり、また69Gは、前記テン・キー69Gで入力したことを取り消す取消キー、69Hは、前記テン・キー69Gで入力したことを確定させる入力確定キーであり、これらテン・キー69Fや入力確定キーも、適時表示画面100Aの表面から見えるように表示される表示キーを兼ねた静電容量式のタッチキーである。
図70において、自分の伝言を確認したい場合は、最初に伝言の再生指令キー69Bにタッチし、次に数字入力キー(テン・キー)69Fで、所定のパスワード、暗証番号を押し、最後に入力確定キー69Hにタッチすれば良い。すると表示盤100に設けた小型スピーカ(図示せず)から伝言内容が報知される。なお、居住者Bが、他の居住者(例えば居住者A)のために伝言を録音している際には、前記したような暗証番号を入力せずとも図70の状態で伝言の再生指令キー69Bにタッチすれば、その都度何度も伝言を確認できる。またこの図70には伝言内容を消去する取消用のキーは図示していないが、そのようなキーを備えている。
次に居住者が図69の状態において、在宅している居住者Bが居住者の入力画面に切り替える選択キー58Aを指で触れた場合は、この表示画面100Aの表示内容は図71に示される画面に切り替わる。図71において、69Jは、各居住者が現在在宅しているか不在であるかどうかを示す在宅表示部で、在宅している場合は「在宅」と表示し、留守の場合は「不在」と文字で表示される。69L、69M、69Nは、各居住者の帰宅時間や外出(不在)予定を入力するための日にちを選択する日選択キーであり、69Lは当日を選択するキー、69Mは明日を選択するキー、69Nは明後日以降を選択するキーである。
69Kは、帰宅予定時刻の入力指令キー、69Tは、前記数字入力キー(テン・キー)69Fによって入力された予定時刻が表示される時刻表示部である。
図70において、自分の帰宅予定時刻を入力したい場合は、最初に入力指令キー69Kにタッチし、次に数字入力キー(テン・キー)69Fで、時刻を示す数字のきーを順次押し、最後に入力確定キー69Hにタッチすれば良い。なお、最初に明日の帰宅時刻を入力する場合は、最初に明日を選択するキー69Mにタッチしてから上記したような時刻入力操作をすれば良い。なお、この図71には時刻を消去する取消用のキーは図示していないが、そのようなキーを備えている。また居住者Bだけが帰宅して居る状態では、居住者Bだけの在宅や帰宅時間等を入力でき、他の居住者の予定は入力できない。複数の居住者が在宅している状態では、最初には個人別表示部兼居住者選択キー69Cにて入力する居住者を特定し、その後で帰宅時間等を入力する必要がある。
次に誘導加熱調理器2の表示画面129について図72〜図75を参照して説明する。
129は、前記実施の形態1で説明したように、電力指令装置9が制御対象にしている誘導加熱調理器2の表示手段である液晶表示画面等の表示画面である。誘導加熱調理器2は、実施の形態1で示したように、左右に並んだ2つの誘導加熱源による加熱口を備えている。
左側の第1の加熱口2L(図示せず)を最初に選択した場合、液晶表示画面等の表示画面129には、図72に示すように、茹で調理を選択するキー128A3、煮込み調理を選択するキー128B3等がそれぞれ一覧形式で表示される。図72は煮込み調理を選択するキー128B3にタッチした後の状態であり、煮込み調理は優先調理メニューではないことから、加熱調理中に電力指令装置9から電力削減指令を受けた場合には、電力使用量が制限されることがあることを、「電力削減対象」という第1の表示部210Aが、表示画面129の右手前隅に表示される。
図72で、最初に煮込み調理を選択するキー128B3にタッチすると、表示画面129の表示内容は図73のように大きく変化する。図73において、440は、健康管理情報選択キー、450は、お好み情報選択キーであり、460は、おすすめレシピを選択するキーであり、これら3つのキーは、調理メニューを選択する各種キー128A2,128A3、128B1、128B3等と同様に、タッチ式入力キーであり、入力可能な状態ではキー部分の輪郭が長方形の枠で示され、その中に名称が文字で表示される。ここでいう「レシピ」とは料理の調理方法を解説した情報をいうが、素材名とその量、作成途中や完成状態の料理外観の写真、料理に含まれる塩分量や消費カロリー値等の付属情報が含まれる場合もある。
図73で、健康管理情報を選択するキー440にタッチすると、表示画面129の表示内容は図74のように大きく変化する。図74において、441は、健康管理情報表示エリアであり、ここには健康管理機器410で計測された家族の健康関連データ(例えば、血圧値)の中で、正常範囲を外れた測定データ(要注意データ)がある場合に、その旨が表示される。具体的には「血圧の高いご家族がいます」という文字で表示される。なお、血圧データには、被測定者である家族を特定する識別コードが付けられて電力指令装置9の中の記憶装置149に格納されているので、個人を特定するような情報も表示できるが、家族全員で同じ調理を食するという前提であり、特定の家族だけの専用調理を作る場面ではないので、この例では個人特定情報は表示させていない。
図74の状態において、お好み情報選択キー450にタッチした場合は、図75のように表示画面129の表示内容は大きく変化する。図75において、451は、お好み情報表示エリアであり、ここには家族が電力指令装置9の表示盤100に読み込ませた色々な個人的な好み、食事後の感想、居住空間での感想・好みなどの情報が、表示される。
図76は、電力指令装置9の使用限度設定器96の操作入力部117となっている表示盤100の表示画面を示すものであり、お好み情報登録用のアイコン450が、電気エネルギー管理の専用画面に切り替えるためのアイコン418や次の表示画面に進めるための入力キー211Nと同様に表示されている。
図76は前記アイコン450を選んだことによって表示された「お好み情報登録用」の画面である。この図76に示しているように、お好み情報は最近の家庭における食事の感想や、ご飯の炊き方(お米の硬さ)の感想、お風呂に入る場合のお湯の温度、例えば40℃を普通として、それよりも熱めが良いか、温めが好みかという設問に対し、感想を記入するようになっている。図76では、昨夜の夕食の感想は「良い」になっている。
図77は、おすすめレシピを選択するキー460(図73参照)にタッチした場合の、表示画面129の状態を示すものである。図77に示しているように、表示画面129の中央部には、「おすすめレシピ一覧」という文字が表示され、その下方には、素材系で3つに分類されたレシピ選択キー460A、460B、460Cが表示される、
すなわち、野菜中心のレシピを選択するレシピ選択キー460Aと、肉と野菜を合わせたレシピを選択するレシピ選択キー460Bと、魚中心のレシピ選択キー460Cがそれぞれ表示される。
またスープ系のレシピ選択キー460Dと、素材からレシピを捜すためのレシピ選択キー460Eも同時に表示される。例えば前記したような高血圧の場合は、塩分の過剰摂取が主な原因になるが、これを改善するためには、塩分使用量を減らしたレシピを考えることと、塩分を体内から排出しやすくするレシピを探す、という2つの改善方法がある。そこでこの改善方法を誘導加熱調理器2が提案するが、誘導加熱調理器2の表示用メモリー35A(図27参照)に予め前記2つの改善方法毎に、レシピが記憶されている。例えば塩分を体内から排出しやすくするという改善の方法では、食材を探すというレシピ選択キー460Eを選択すると、例えばレンコンを使った料理のレシピ(数種類あり)がこの(調理器)表示画面129に表示される。但し、前記表示用メモリー35Aの記憶容量の制限から、材料から調理の仕方まで順次画像付きで解説しているような詳しいレシピは予め十分格納できない場合がある。そこで、この場合は、おすすめレシピを選択するための選択キー460を押した後で、更にレシピを探すというキー(図示せず)を押せば、TV受像機75の記憶装置(大容量メモリー)109の中や、外部機関78Aが提供している料理紹介データベースにアクセスし、外部からレシピを探してダウンロードする。TV受像機75を視聴している間に見た料理番組や健康食品紹介番組などをTV受像機75で録画する場合、記憶装置(大容量メモリー)109に索引、キーワード等を付けて記憶させておくと検索時に探す時間が短縮できて良い。なお、1回のダウンロードの容量を自動的に制限し、例えば1メガ・バイト以下のコンテンツ(画像や文章など)に制限しても良い。
なお、図74の健康管理情報画面において、「もっと詳しくは次へを押す」と表示されているので、次の画面を選択する入力キー211Nを押すと、図77に示したような「おすすめレシピ」の中で、特に高血圧者向けの塩分使用量を減らしたレシピと、塩分を体内から排出しやすくするレシピの2種類に絞って推薦のレシピを表示する。
同様に、体脂肪率が高い被測定者がいる場合には、図74において、無理なく体脂肪を減らすためには運動に加えて、食事の内容を改善した方が良く、1ケ月につき体脂肪を1kgずつ減らすために、日常生活の中で毎日約200〜250キロ・カロリーのエネルギーを減らす対処法がアドバイスされる。さらにおすすめのレシピ(1人前分の素材と作り方)、と、そのレシピのカロリー値、塩分使用量の実例が表示される。
図78は、誘導加熱調理器2等の家電機器が、電力指令装置9によって電力調整対象になっているかどうかを家電機器側において知ることができるようにした動作を時系列に説明する説明図であり、図78に示したものは誘導加熱調理器2の場合を示している。図78において、L1〜L7が実施の形態1で説明したように、誘導加熱調理器2から電力指令装置9に送信される運転情報信号である。
この図78において、調理メニューを「煮込み」に設定した場合、そのメニュー選択情報信号L3が誘導加熱調理器2から発せられるが、その後、誘導加熱調理器2では、表示画面129に図73のように、健康管理の選択キー440と、お好み情報の選択キー450と、おすすめレシピを表示させる選択キー460、の3つが同時に表示される。その後、そのおすすめレシピを表示させるキー460にタッチすれば、その指令信号は電力指令装置9に送られ、電力指令装置9側から各種レシピの情報を当該誘導加熱調理器2が入手する。
なお、このような健康管理の選択キー440と、お好み情報の選択キー450と、おすすめレシピを表示させる選択キー460、の3つの中の何れか1つにタッチした段階で、誘導加熱動作を開始することは可能である。例えば図74に示したように、健康管理情報を表示させた後、スタートキー212にタッチすれば誘導加熱動作が直ぐに開始される。なお、この図78において、誘導加熱調理器2が健康管理情報を入手するための照会信号LMを電力指令装置9に対して発したが、照会した日を基準にしてそれ以前の「所定データ収集期間」(高血圧では7日間)の計測データの中から注意データを抽出しており、注意データがない場合には、健康管理情報は「無し」として扱い、健康管理の選択キー440を表示させないか、データ無しと表示させる設定になっている。但し、健康管理情報の種類によっては長期間に亘って改善すべきもの(例えば、体脂肪率)があるので、健康管理情報の種類によって前記不使用期間を長く(例えば1ケ月)するようになっている。高血圧でも「所定データ収集期間」を1ケ月に延長する変更は可能にしてある。また、調理メニューの選択段階で、健康管理の選択キー440を使用した場合は、上記のように所定データ収集期間」内の注意データだけ抽出するが、図19における既存データ表示指令キー425を使用した場合は、過去の全ての計測データ(注意データ以外も含めて)を表示させることができる。
なお、図76に示しているように、評価者別のページが用意されているので、評価者選択用アイコン452から自分のものを選び、評価記入すれば、即座に入力結果は、健康管理処理部116の計測データ(代謝データや運動データ等)と同様に、電力指令装置9の記憶装置109に格納される。その後データが蓄積されると1月以上古いデータはTV受像機75の記憶装置109に自動的に移しておくようにしても良いし、自動的に削除(消去)しても良い。なお、入浴温度の好みは、図示していないが、自動給湯器を使用して自動的に浴槽に湯を満たす場合に、その給湯器のリモコン部で評価者コードを入れて、お好みの湯温にセットするという活用方法がある。この他に子供(居住者C、居住者D)の部屋等のように使用者が固定化されている部屋の空気調和の目標温度もこのお好み情報を利用してセットし、電力指令装置9で特定の部屋の温度をお好みの温度に遠隔制御するという利用の仕方もある。
このような構成の電力制御システム及び電力制御装置であるので、前記実施の形態1と同様の効果を奏することができる。さらに家族等のお好み情報が電力指令装置9によって集約され、その情報を電力指令装置9の表示盤100や誘導加熱調理器2や炊飯器3等によって適宜引き出して、調理の場面で参考にすることが出来るという追加的な効果が得られる。
次に、電力指令装置9に記録しておいた伝言を、目的とする居住者へ報知する方法について説明する。図79は、電力指令装置9の制御部125がTV受像機75を制御する動作プログラムを示したフローチャート図である。なお、この図で各処理ステップは、以下、SNという記号で表示する。
居住者Aが帰宅すると、在宅検知手段10の信号によって制御部125は、居住者が帰宅したことを検知する(SN1)。すると帰宅した居住者Aと記憶装置149に残されている伝言対象者リストの情報を照合し(SN2)、対象者の中に居住者Aが入っているかどうかを判定する(SN3)。もし対象者になっている場合は、その後、当該居住者Aの専用家電機器の内で、TV受像機75がある場合は、そのTV受像機75が起動されたかどうかを所定時間の間定期的に(例えば1分置きに)チェックする。そしてTV受像機75が起動された場合(TV受像機ON)、制御部125は記憶装置149の所定の記憶エリアに格納した伝言情報を読み出し、それを文字情報にしてTV受像機75の液晶表示画面75Dで表示する。又は伝言情報を自動読上げ回路で音声に変換して合成音声で報知する。これによって例えば深夜に帰宅した居住者Aは、他の居住者(この実施の形態2では、前記したように居住者B)の伝言内容を、当該居住者が就寝していても知ることができる。また居住者Aが帰宅して、前記表示画面100Aを見れば、自分に対して、伝言が記録されていることを示すマーク59G(図69参照)が表示されていることから、伝言のあることが容易に理解できる。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態2に示した電力指令装置9は、家庭内にある第1の家電機器と第2の家電機器に対する電力使用量を個々に制御して家庭内の総電力量を制御するものにおいて、
居住者が家庭の外部から携帯電話端末器87で送信された前記第1の家電機器又は第2の家電機器の運転開始又は終了の指令情報を外部通信回路から受信し、かつそれを記憶装置149にて記憶させる制御部125と、
当該制御部125の前記記憶内容と前記第1、第2の家電機器の電力情報とをそれぞれ表示する表示手段と、
を備え、
前記制御部125は、前記第1の家電機器又は第2の家電機器の少なくとも何れか1つに対する前記指令情報を受信した場合、前記記憶装置149に記憶させてあり、対象となる前記第1の家電機器又は第2の家電機器の少なくとも何れか1つの運転開始又は終了を許可する許可条件と比較し、
前記制御部125は、居住者から受信した前記指令情報に基づく、所定タイミングでの前記第1の家電機器又は第2の家電機器の少なくとも何れか1つの運転開始又は終了が、前記許可条件を満たさない場合、前記指令情報に基づく前記第1、第2の家電機器の運転開始又は終了を許可しない理由を示す情報を前記通信端末機器用に送信するものである。
この電力指令装置によれば、電気機器の電力使用状況や、通信端末機器で送信された前記第1の家電機器又は第2の家電機器の運転開始又は終了の指令情報を(表示手段である)表示盤100で表示させて知ることができるので、居住者は家庭の内部で、電力使用情報だけでなく、外部からの遠隔操作の有無も知ることができる。
また、家庭の外部から携帯電話端末器78によって遠隔操作のための指令情報を受信した場合、制御部125によって設定されている許可条件を満たさない場合、指定された第1の家電機器又は第2の家電機器の遠隔操作を許可しないので、居住空間の環境や電力状況等に適合しない家電機器の使用を回避でき、非効率的な運転を避けたり、家電機器本来の機能を損なったりせず、他の家電機器や周囲の環境にも配慮した運転をすることができる。
また、この実施の形態2に示した電力制御システムによれば、
居住者(家電機器の使用者)が携帯電話端末器87によってGPS用の衛星から現在位置の情報を取得し、またその情報に基づいて専用の到着時刻検索用のサーバー272から目的地までの到着時刻の情報を取得し、この到着予想時刻の情報を電力指令装置9に送信する構成であり、その電力指令装置9が、所定の許可条件を満たした場合には、携帯電話端末器87によって指定された家電機器の運転開始等の遠隔操作を許可しているので、家庭内の家電機器は、居住者の帰宅時間の変動に合せて運転開始又は運転終了時間が変更されるよう電力指令装置9で制御される。このため、居住者の現実の帰宅時刻に近いタイミングで所定の家電機器の運転を開始又は停止できるという追加的な効果を奏するものである。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態2に示した第6の発明になる家庭用電力指令装置は、複数の家電機器EEを個々に制御して家庭内の総電力量を制御するものであり、居住者の在宅を検知する在宅検知手段10と、前記複数の家電機器の中で、前記居住者A専用の特定の家電機器(例えば、TV受像機75)と当該居住者Aを特定する情報とを関連付けた専用者情報を記憶した記憶装置149と、前記家電機器EEに対して運転の可否を指令する制御部125と、前記居住者別に有益な情報を記憶させることができる記憶装置149と、を備え、
前記制御部125は、前記専用家電機器(例えば、TV受像機75)から使用許可を求める信号を受信した場合、前記専用者情報記憶部の専用者情報と、前記在宅検知手段で検知した居住者情報とに基づいて、当該専用者と帰宅している居住者とが同一であるかどうかを判定し、同一である場合に当該専用家電機器(例えば、TV受像機75)の運転開始を許可する信号を発し、
前記専用家電機器の少なくとも1つは液晶表示画面75Dを有するTV受像機75であり、
前記制御部125は、前記TV受像機75の専用使用者である居住者Aが帰宅したことを前記在宅検知手段10が検知し、かつ当該TV受像機75が起動された場合、当該居住者Aに有益な情報(伝言)を前記記憶装置149に蓄積した情報の中から当該TV受像機75で表示又は報知させるような指令を発するものである。
この実施の形態2に示した電力指令装置によれば、第1の発明における効果に加え、TV受像機75の専用者に登録してある特定の個人(居住者A)が帰宅してTV受像機75を起動させた場合、その個人に有益な情報(例えば、他の家族が外出中に書き残していったメッセージや、帰宅後に日課となっている重要な作業など)が、そのTV受像機75の表示画面75で表示されたり、TV受像機75から音声で報知されたりするので、有益な情報を伝達でき、同居している者同士のコミュニケーションが良好になるという効果が期待できる。
なお、以上の実施の形態2の説明では、前記制御部125は、前記TV受像機75の専用使用者である居住者Aが帰宅したことを前記在宅検知手段10が検知し、かつ当該TV受像機75が起動された場合、当該居住者Aに有益な情報(伝言)を前記記憶装置149に蓄積した情報の中から当該TV受像機75で速やかに自動的に表示させ、又は報知させるようにしていたが、そのような伝言があることだけを文字や記号等で表示させ、対象の居住者が別途再生を指令したタイミングで伝言内容が報知されるという形態であっても良い。つまり、伝言が録音されている場合には「録音済」という文字が表示される前記表示部69Dのような情報がTV受像機75に表示され、または音声で報知され、その時点ですぐに再生するか、あるいはその後希望の時点で再生するかどうかを居住者に確認し、居住者の応答に従って再生する、というステップを設けるようにしても良い。
また、以上の実施の形態2の説明では、特定の居住者の専用の家電機器としてTV受像機である場合について述べた。これは当該居住者向けの伝言の内容にもよるが、他の居住者がTV受像機を起動した際に、その伝言の内容が自動的に報知され、それを知ってしまうことはプライバイーの配慮が必要であると考えたからである。しかし、居住者全員に対する伝言であると指定された場合、家庭内の全てのTV受像機で伝言を報知させ、家族全員に広く周知させた方が良いので、この場合は、特定居住者の専用家電機器が指定されておらず、全てのTV受像機を居住者全員が自由に見ることができる状況の家庭であっても本発明は実施可能である。
実施の形態3.
図80は、本発明の実施の形態3に係る家電機器の電力制御システムの全体構成図、図81は、その電力指令装置の主要部分の構成を一部縦断面で示すブロック図、図82は、その電力制御システムと健康管理システムの主要構成部分相互の信号伝達を時系列で示す説明図である。各図中、前記実施の形態1のものと同一又は相当部分には同一符号を付してある。
この実施の形態3の特徴は、特定の居住者(居住者A)に伝言を報知する映像情報機器であるTV受像機と、その設置場所の対応データが電力指令装置9の記憶装置149のデータベースに格納されており、前記居住者Aが、電力指令装置9の使用限度設定器96の操作入力部117を介して、寝室に居ると指定するだけで(その解除をしない限り)寝室のTV受像機75は居住者Aの専用家電機器として取り扱われるものである。
この実施の形態2では、TV受像機75は複数あり、その1台は居住者Aが寝室においてあって、日常的に居住者Aの専用家電機器として設定している。また他の1台のTV受像機は共用の家電機器として居間に設置してある。詳しくは後で述べる。
図80において、HA1は1つの家屋の居住空間1を示す。HA2は、同じく居住空間であり、実際には浴室である。500は、この浴室に設置された浴槽であり、屋外に設置してある電気式給湯設備502から温水が供給されるようになっている。501は、居住空間HA2の内側壁面に取り付けられている給湯用リモコンであり、給湯開始や湯の温度設定等を使用者が行うものである。
前記リモコン501は電気式給湯設備502に電気的に接続され、また電気式給湯設備502は、主幹回路(電源供給路)27に接続され、電力が供給されるようになっている。
750は、浴室HA2内部に置かれており、主幹回路(電源供給路)27に接続されている浴室用のTV受像機であり、居間に設置された(メイン)TV受像機75とは所定の信号ケーブル751で接続されている。また居住者Aの寝室にも別のTV受像機75が設置されている。なお、信号ケーブルは、放送信号や電力指令装置9からの信号を送るものであるが、このような専用の有線接続ではなく、電源線を利用した電力線搬送技術で信号送・受信したり、赤外線信号など無線方式によって通信で制御したりするものでも良い。760は浴室用の照明器具である。
前記(メイン)TV受像機75と浴室用のTV受像機750は、何れの居住者の専用家電機器としては登録されていないので、共用の家電機器であるが、例えば居住者Aが電力指令装置9の操作入力部117で、寝室に居ると指定すると、その解除をしない限り寝室のTV受像機75は居住者Aの専用家電機器として取り扱われる。また居住者Aがこれから入浴すると電力指令装置9の操作入力部117で設定すると、それ以後は浴室のTV受像機750は居住者Aの専用家電機器の取り扱いを受けるので、居住者Aに有益な伝言やその他情報が優先的にその専用家電機器を通じて提供される。
この実施の形態3で示す浴室用のTV受像機750は、主に映像や音声、情報等を浴室側で受信する目的で設置してあり、居間のTV受像機75の機能を全て具備していないが、TV受像機75で放映している内容や電力指令装置9から送信された情報は全て受信し、TV受像機75の稼働中も独立して稼動され映像等を表示できるようになっている。但し、TV受像機75のような大容量メモリーは具備しておらず、短時間の動画を蓄積できる程度の記憶手段しか保有していないし、健康管理機器410で取得した代謝データも蓄積されていない。またこの浴室用のTV受像機750は、TV受像機75が外部機関78Bから緊急地震速報を受信したり、また電力指令装置9を経由して緊急地震速報や、あるいは地震感知機器(図示していないが、電力指令装置9やキッチン内家電機器KPの中に設置してある)が震度を感知したりするという事態が発生すると、TV受像機75と同時に起動され、表示画面にそのような情報が表示される。
図81に示すように、電力指令装置9の本体9A内部には、キッチン内家電機器KPを含む家電機器EEの電力使用量を設定する使用限度設定器96、マイクロコンピューターを主体に電子回路で構成された制御部125、この制御部で制御される健康管理処理部116が収納されており、その本体9Aの正面には、10〜15インチ程度の画面サイズを有する表示画面100Aが取り付けられている。この電力指令装置9の本体9Aは、図81では厚みのある箱形状であるが、実際には厚さ寸法が2〜3cm程度の平板形状であり、また重要も2kg程度であるので、通常はキッチンの壁に掛けて使用するが、必要に応じ、食卓の上に移動したり、あるいは別の部屋に持って行ったりすることも容易である。
電力指令装置9は、電源線27に接続自在な電源コード(図示せず)を有しているが、仮にその電源線27から切り離して使用することも出来るように、本体9A内部には、高性能の蓄電池(図示していない)が内蔵されている。前記電源コードから電力が供給されない場合は、瞬時に前記蓄電池からの電源に自動的に切り替わる構成になっている。前記使用限度設定器96と、家庭内部の各家電機器EEとの相互通信は、赤外線又は無線によって行うようになっている。
また電力指令装置9の本体9Aには、インターネットを利用した各種情報やコンテンツ等を提供する専用のサーバーを備えた外部機関78Aが、ルーター(図示せず)等の機器を介して接続される。なお、外部機関78A側から情報が送信された場合、電力指令装置9側で直ぐにその情報の内容を確認するようになって設定してある。なお、この電力指令装置9の本体9A内部にある健康管理処理部116は、実施の形態1で説明したように、血圧計410Aのような各種健康管理機器410からの発信情報を読み込むための情報受信部137を有しており、この受信部では、携帯電話端末器87で入手した情報や、その他の運動機器類(室内運動計測機器311A等)で取得した運動情報、消費カロリー情報等を受信できるようになっている。
503は、少なくともキッチン空間の内側壁面と、TV受像機75のある居間などの部屋、浴室の内部空間等のそれぞれ設置された温度計と湿度計の複合測定器であり、前記した実施の形態1の環境検知部202に無線又は有線で接続される。このような3つの離れた場所にある複合測定器503も、前記電力指令装置9の本体9Aに内蔵された環境検知部202と、赤外線や無線通信する。そのため、環境検知部202から電力指令装置9の制御部125に対して、所定にタイミングで測定した気温や湿度を随時送信する。または一定時間(例えば1分間)毎に温度と湿度の測定結果を電力指令装置9の制御部125に送信する。さらに、この実施の形態3においては、制御部125の指令により、環境検知部202が複合測定器503に対して、最新の計測データを送信するように指令する機能がある。
そのような温度と湿度の送信にあたり、各複合測定器503には、設置場所によって別々の識別コードが付され、温度。湿度計測データの送信時にその識別コードを先頭にして送信しているので、電力指令装置9の環境検知部202側では、どの場所の環境測定データであるか識別できる。
図82は、電力制御システムと電力制御装置の主要構成部分相互の信号伝達を時系列に示す説明図であるが、家電機器EEの代表としてTV受像機75と炊飯器3を示している。なお、炊飯器3はキッチン内で前日の夜にタイマー設定され、翌朝の午前6時35分に炊飯が完了するように設定されていた場合を示す。
次に、図82を参照しながら、起床時点からの電力制御システムと健康管理システムの動作について説明する。
ます居住者Aが午前6時に起床し、その寝室にあるTV受像機75(就寝前の段階で、居住者Aの専用家電機器に設定されている)でTV放映を見ようと所定のスイッチを入れた場合、この液晶表示画面75Dの起動信号が直ぐにTV受像機75から電力指令装置9に送信される(時刻:午前6時10分)。すると、電力指令装置9は、図82に破線の矢印770Aで示すように、TV受像機75のある居間の(温度計と湿度計の)複合測定器503に向けて測定指令信号を発し、当該複合測定器503は、気温と湿度の測定結果を電力指令装置9に送信する(時刻:午前6時11分)。
電力指令装置9は、環境検知部202で取得した温度や湿度のデータから、TV受像機75のある寝室の気温と湿度が、居住者に不快な気温や湿度でない限り、健康管理機器410を使って起床後30分以内に血圧等を計測するように推奨する。また計測後に、ラジオ体操やリラックス体操等を軽く行うように運動も推奨する。このような推奨(行為のすすめ)は、TV受像機75の画面に文字や映像を表示させて音声とともに視聴者に知らせる。なお、TV受像機75が居間と、2階の寝室にあるので、起床した人が寝室のTV受像機75を起動した場合には、居間のTV受像機75は何ら起動されず、2階の寝室のTV受像機75の表示画面75によって、前記したような健康管理のための計測と、運動のすすめが行われる(時刻:午前6時12分)。これは居住者Aが事前に寝室にいることを電力指令装置9に指令し、2階の寝室にあるTV受像機75を自己の専用家電機器に指定しているからである。
居住者が、その後血圧を計測した場合は、その計測後に血圧計410Aから自動的に電力指令装置9の健康管理処理部116に向けて血圧計測データの送信が行われる(時刻:午前6時20分)。また居住者が、その後トイレに行き、尿検査機器で尿の成分を計測した場合は、その計測後に尿検査機器410Gから自動的に電力指令装置9の健康管理処理部116に向けて尿検査結果のデータ送信が速やかに行われる。
電力指令装置9の健康管理処理部116は、血圧と尿検査の結果を示すデータを、既に起動されているTV受像機75に速やかに送信する。つまり、起床した居住者が、例えば2階の寝室でTV受像機を起動した場合、2階のTV受像機75にて自動的に健康管理データの表示が行われる。なお、この場合、2階ではなく、1階の居間のTV受像機75を起動させて健康管理データを見ることも可能である。この場合、1階TV受像機75を自己の専用家電機器として電力指令装置9に登録する必要があるが、血圧データを他の居住者に見られても支障がないと居住者A自身が考えるならば、電力指令装置9の健康管理処理部116に対して「健康データの開示可能」という特別の入力をすれば良いようになっている。このようにして起床している被測定者Aの健康管理データは、電力指令装置9の健康管理処理部116に一時的に記憶され、その後居間にあるTV受像機75の記憶装置(大容量メモリー)109にデータが記録。蓄積される(時刻:午前6時31分)。
その後、6時35分になって炊飯器3が炊飯完了・保温動作に入る旨を電力指令装置9に向けて情報を送ると、電力指令装置9は、図82に破線の矢印770Bで示すように、炊飯器3が置かれているキッチンの室内温度と湿度の複合測定器503に対し、最新の測定結果を報告するように指令を出す。
複合測定器503は、キッチンの室内空間の気温・湿度を電力指令装置9に伝える。一方、TV受像機75側では、電力指令装置9からの炊飯完了・保温動作開始の報知を受け、さらに矢印770Cで示すように、温度と湿度の情報が環境検知部202から届いたあとで、保温動作が不要であると判断した場合は、保温動作停止指令を電力指令装置9に向けて発信する(時刻:午前6時40分)。すると電力指令装置9は炊飯器3に対して保温動作の停止を指令する(午前6時41分)。
この後、炊飯器3は保温動作停止を電力指令装置9に伝え、電力指令装置9は、保温動作の停止指令を発したTV受像機75に対して、保温動作は停止した旨を報知する。このため当該TV受像機75では、炊飯は完了したが、保温されていないことが液晶表示画面75Dの文字やイラストでの表示から分かる。炊飯完了情報は、特定の居住者だけの伝言情報ではないため、このように誰でも知ることができるように広く報知される。
なお、保温動作を止めるとそれだけ炊飯器3の省エネ効果は高くなるが、一方、せっかく炊いたご飯が時間経過とともに異臭を発する懸念もある。そこで炊飯器3の周囲の室温が低い場合(冬場など)には保温停止ができる場合があるので、電力指令装置9では、環境検知部202によって把握した室温の状況と、炊飯器3からの保温停止可能条件とを比較し、炊飯器3で禁止されていない環境にある場合に、保温停止指令を炊飯器3に向けて発する。つまり、使用者が直接炊飯器3の場所に行って保温動作を停止する場合と異なり、TV受像機75と電力指令装置9を介して離れた場所から保温動作を停止する場合には、使用者の誤った操作を誘発しないように、電力指令装置9では炊飯器3で想定されている使用禁止形態や条件を参照し、安全側にある場合に限り、保温停止等の制御動作を発令するようになっている。
また、この炊飯器3では、炊飯動作が完了すると自動的に保温モードに移行するようになっているため、TV受像機75を介して居住者の1人が保温動作を停止すると、当人が忘れる場合もあるが、他の居住者(家族)は、保温動作の停止を知らず、炊飯完了してから相当時間が経過して、保温停止を知ることになり、混乱が起こる(故障ではないかとの誤解も招く可能性もある)。そこで、念のため家族に広く周知する意味で、TV受像機75にて保温停止を報知するようにしている。なお、保温動作の指令を入力したTV受像機以外のTV受像機75でも、家電機器の電気エネルギー管理の表示内容にて、保温停止していることが分かり、また電力指令装置9の表示画面100Aでも同様に、保温動作停止中であることが表示されるので、それによっても保温停止を知ることができる。もちろん、使用者が炊飯器3の液晶表示部49や保温用スイッチ55の点灯状態等を見れば、保温していないことは直接目視で確認できる。
この実施の形態3によれば、例えば入浴中に、外部機関78Bが緊急地震速報を発信し、あるいはこの家屋自体が地震によって揺れた場合、入浴者はそのことを浴室用のTV受像機で速やかに知ることができ、予期せぬ突然の地震発生でパニックになり、浴室から脱出しようとして転倒事故を起こすというような事態を回避できる。なお、この浴室用のTV受像機750を利用して、自分の健康管理データを浴室の内部でリラックスした気分で確認したり、お好み情報を登録したりすることもできる。なお、浴室外に居る住人が、緊急遮断ボタン119Aを押して電源を一斉遮断しても、この浴室の照明器具760の点灯状態は維持される。
さらに入浴中の温度をリモコン501で確認し、自分の好みのお湯の温度を確認し、快適な入浴温度になるように設定する等の便利な使い方ができる。この浴室用のTV受像機750に、図17のTV受像機75で示したように、「電気緊急遮断」という特別アイコン414と、「緊急地震・津波情報受信」という特別アイコン415を表示させるようにすれば、「電気緊急遮断」の特別アイコン414を選択して、電力指令装置9の本体9Aの場所まで使用者が行かなくとも、家屋内の所定範囲の電気機器の電力供給を遮断できたり、津波襲来に備えて避難開始できたりするから、さらに安全性を高めることができる。
この実施の形態3に示した電力指令装置9でも、実施の形態1と同様に、各種家電機器EEの電力使用状況や、携帯電話端末器78で家庭の外部から電力指令装置9宛に送信された前記第1の家電機器又は第2の家電機器の運転開始又は終了の指令情報を、表示画面100Aで表示させて知ることができるので、居住者は家庭の内部で、電力使用情報だけでなく、外部からの遠隔操作の有無も知ることができる。
また、家庭の外部から携帯電話端末器78によって遠隔操作のための指令情報を受信した場合、制御部125によって設定され、記憶装置149に格納されている所定の許可条件を満たさない場合、指定された第1の家電機器又は第2の家電機器の遠隔操作を許可しないので、居住空間の環境や電力状況等に適合しない家電機器の使用を回避でき、非効率的な運転を避け、また家電機器本来の機能を損なわず、あるいは他の家電機器や周囲の環境にも配慮した運転をすることができる。
この実施の形態3に示した電力制御システムでも、実施の形態1と同様に、第1の家電機器及び第2の家電機器の総電力使用量を制御する電力指令装置9と、前記第1、第2の家電機器が設置された居住空間の物理的環境を計測する環境センサーから環境情報を受け取る環境検知部202と、電力に関する情報と前記環境情報を表示する表示手段(表示盤)100と、を備え、
前記電力指令装置9に、家屋の外部から帰宅予定時刻の情報を通信回線経由で受け取る入出力部124Bと、予約された動作開始時刻又は終了時刻になった場合に、第1の家電機器の動作開始又は終了を許可する制御部125と、を備え、
前記制御部125は、前記居住者から受信した通信情報に示された帰宅予定時刻と、前記動作開始時刻が予約された第1の家電機器(例えば、空気調和機7)の当該動作開始時刻とを比較し、その2つの時刻が所定以上離れている場合、前記第1の家電機器に関する前記環境情報に基づき前記制御部が定めた所定の環境条件(例えば、室温)を満たした場合に、前記第1の家電機器の前記動作開始又は動作終了時刻を前記帰宅予定時刻に合せる動作を実行させる家庭用電力制御システムである。
このため、電力情報に加えて環境関連情報も電力指令装置9の表示画面100AやTV受像機75に表示させることができるので、省エネ意識の向上と環境意識の向上を図ることが期待できる。つまり、例えば室内温度や湿度、塵埃飛散等の環境データも表示させて確認できるので、居住空間の環境をリアルタイムで確認でき、健康な生活空間を提供できる。
さらに、居住空間の状況を、その居住空間(部屋)に行かないでも、各種家電機器の電気使用状態を表示するために設けた電力指令装置9の表示手段によって確認できるので、利便性が向上する。
さらにまた、また、動作終了時刻を入力することで予約設定した第1の家電機器(炊飯器など)の動作終了時刻を、居住者からの帰宅予定時刻を示す通信情報によって変更し、居住者が帰宅する前に動作開始させ、終了させることができる。
また、そのような第1の家電機器の使用環境を電力指令装置9の表示画面100AやTV受像機75で知ることができる。
さらに制御部125で定めた条件を満たさない限り、第1の家電機器の動作終了時刻(終了予約時刻A)又は動作開始時刻(開始予約時刻A)を、遠隔操作で変更しないので、第1の家電機器の無駄な電気エネルギー消費となる運転を避け、又は第1の家電機器本来の機能を損なわず、あるいは他の家電機器や周囲の環境にも配慮した運転をすることができる。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態3に示した第6の発明になる電力指令装置9は、
複数の家電機器EEを個々に制御して家庭内の総電力量を制御するものであり、居住者の在宅を検知する在宅検知手段10と、前記複数の家電機器の中で、前記居住者専用の特定の家電機器(例えば、TV受像機75)と当該居住者を特定する情報とを関連付けた専用者情報を記憶した記憶装置149と、前記複数の家電機器EEに対して運転の可否を指令する制御部125と、前記居住者別に有益な情報を記憶させることができる記憶装置149と、を備え、
前記制御部125は、前記専用家電機器から使用許可を求める信号を受信した場合、前記専用者情報記憶部の専用者情報と、前記在宅検知手段で検知した居住者情報とに基づいて、当該専用者と帰宅している居住者(例えば、居住者A)とが同一であるかどうかを判定し、同一である場合に当該専用家電機器の運転開始を許可する信号を発し、
前記専用家電機器の少なくとも1つは表示画面を有するTV受像機75であり、
前記制御部125は、前記TV受像機の専用使用者である居住者(例えば、居住者A)が帰宅したことを前記在宅検知手段10が検知し、かつ当該居住者(例えば、居住者A)専用の前記TV受像機75が起動された場合、当該居住者個人に有益な情報を前記記憶装置149に蓄積した情報の中から当該TV受像機75で表示又は報知させるような指令を発するものである。
この第6の発明によれば、第1の発明における効果に加え、TV受像機の専用者に登録してある特定の個人が帰宅してTV受像機を起動させた場合、その個人に有益な情報(例えば、他の家族が外出中に書き残していったメッセージや、帰宅後に日課となっている重要な作業など)が、そのTV受像機の表示画面で表示され、有益な情報を視覚的に伝達できるという効果が期待できる。
実施の形態4.
図83は、本発明の実施の形態4に係る電力指令装置と、電力制御システムに使用したTV受像機の表示画面とリモコン外観図である。図84は、そのTV受像機で調理レシピを一覧表示した状態を示す表示画面とリモコンの外観図である。図85は、そのTV受像機で調理レシピの検索を実施した結果を示す表示画面とリモコンの外観図である。図86は、そのTV受像機の表示画面起動後の動作を示すフローチャート図である。図87は、そのTV受像機で調理レシピの検索を行う場合の動作を示すフローチャート図である。図88は、家屋の外部から電力指令装置が調理レシピを受信した場合の動作を示すフローチャート図である。各図中、前記実施の形態1のものと同一又は相当部分には同一符号を付してある。
この実施の形態4では、誘導加熱調理器2や炊飯器3、グリル調理器4、オーブンレンジ5等の各種調理機器が希望する料理のレシピをより簡単に決定できるように改善したものである。また家屋の外部から携帯電話端末器等で送信された調理レシピを、電力指令装置が受信した場合、TV受像機での記憶動作や電力指令装置での記憶動作を改善したものである。
図83は、テレビ用ポータルサイトをTV受像機に表示した状態を示す正面図である。前記リモコン75Rに設けられた特定の電源ON用ボタンを1回押圧すると、TV受像機75が起動され、システム制御部75Eは液晶表示画面75Dに通常の放送番組を表示し、その次にリモコンRに設けたポータルサイト選択用ボタン(図示せず)を押すと、システム制御部75Eは液晶表示画面75DにTV用ポータルサイトを表示する。
図83に示しているように、TV用ポータルサイトには、例えば「ニュース」、「天気予報」、「交通情報」、「地震・津波情報」などの略方形の枠で囲まれたアイコン(オンスクリーン型の入力スイッチ)411によるポータルサイトのメニューが表示される。また、別のアイコンとして、「健康管理情報」と表示された特別アイコン412と、「電気エネルギー管理」と表示された特別アイコン413と、「おすすめ調理」と表示された特別アイコン601と、「すまいの環境情報」と表示されたアイコン419とが、それぞれ表示されている。これら4つの特別アイコンは、他の通常のアイコンよりも特別に目立つように大きく、また目立つ色で表示しても良い。
図83において、「おすすめ調理」と表示された特別アイコン601をリモコン75Rで選択すると、液晶表示画面75Dの表示内容は図74に示しているように大きく変化する。図84は、TV受像機75の記憶装置109に格納された料理のレシピを示している。図84に示しているように、野菜中心のレシピ群を示すための「野菜系」という表示情報602から、右横に一列状態で具体的なおすすめのレシピが3つ並んで表示される。1番左のレシピには番号が付けられており、図84では「#1」となっている。これより右には順次「#2」、「#3」というレシピの表示情報が表示される。602Aは表示情報で、「#1」は筆頭のレシピを示している。この表示情報は、以後順次2番目は「#2」という表示情報602B、3番目は「#3」という表示情報602Cの符号を付けてレシピを区別している。
603は、肉と野菜を中心にしたレシピ群を示す「肉+野菜系」という表示情報であり、その表示位置から、右横に一列状態で具体的なおすすめのレシピが4つ並んで表示される。1番左のレシピ情報603Aは、「#1」という番号が付けられている。
604は、魚を中心にしたレシピ群を示す「魚中心」という表示情報であり、その表示位置から、右横に一列状態で具体的なおすすめのレシピが4つ並んで表示される。1番左のレシピ情報604Aは、「#1」という番号が付けられている。
605は、スープやシチュー等の液状料理のレシピ群を示す「スープ・シチュー」という表示情報であり、その表示位置から、右横に一列状態で具体的なおすすめのレシピが4つ並んで表示される。1番左のレシピ情報605Aは、「#1」という番号が付けられている。
各レシピは、左側が最も優先度が高く、例えば誘導加熱調理器2において表示画面129に、野菜系のレシピを表示させた場合、最初は602Aのレシピの表示情報が表示され、次のおすすめレシピを呼び出すと、表示情報602Bが表示されるというように、図84に示すレシピ群を順次右に進んで行き、個別のレシピが順次表示される。
また誘導加熱調理器2や炊飯器3、グリル調理器4、オーブンレンジ5等の各種調理機器において、一度選択されると、そのレシピの優先度は最優先に変更され、次に液晶表示画面75Dに表示される場合は、最も左側位置になる。当然ながら、誘導加熱調理器2等でレシピを呼び出した場合も、最優先に変更されたレシピが最初に読み出されてそれら調理機器において表示される。
図84において、606は、図77に示した実施の形態2のレシピ選択キー460Eと同様に、素材からレシピを探すための選択キー(アイコン)である。418は、実施の形態1の図14、図15、図16で示したように、電気エネルギー管理の専用画面に切り替えるためのアイコンである。
607は、レシピを検索するためのアイコン、608は新規なレシピを追加したり、既存のレシピを一部修正したりするためのアイコンである。
609は、図83のTV用ポータルサイトの画面に戻るためのアイコンである。
図84において、野菜系のレシピ(#1)と表示されたレシピ602Aをリモコン75Rで選択すると、液晶表示画面75Dの表示内容は図85に示しているように大きく変化する。図85は、具体的なレシピの全体が、TV受像機75の液晶表示画面75Dに表示された状態を示している。図85において、602Tは1つのレシピ602Aに関する情報が表示されるエリアであり、602Gはレシピに関する完成状態又は作成途中段階の写真やイラスト等の部分である。
602Pは、料理の作り方やその材料について詳しく文章で説明した説明文、602Kは、そのレシピ602Aの料理の1人前あたりの食品カロリー値を示した部分、603は、同じくその料理1人前あたりに含まれる塩分の量(重さ)を表示した部分である。
602Xは、その料理1人前あたりを作るために必要となる加熱調理機器側の電力量(単位:kwh)を示した部分である。なお、この電力量は、加熱調理機器側の種類や性能にも影響するので、あくまでも参考程度のものである。
602Mは、その料理について、過去に家族の誰かが記入した評価コメントであり、実施の形態2の図76に示す「お好み情報記録」のページから記入された評価、あるいはこの図85の「評価追加」というアイコン611を選択して書き込んだ評価、の少なくとも何れか1つ又はその両方である(評価は複数記録できる)。
610は、この図85に示されたレシピ602Aを、例えば誘導加熱調理器2に送るためのアイコンである。なおレシピを送信すると説明したが、実際はレシピ602Aを特定する情報が、電力指令装置9に送信され、誘導加熱調理器2がレシピを探しているという情報が、その誘導加熱調理器2から電力指令装置9に伝達された場合に、TV受像機75の記憶装置109からレシピ情報を読み出して誘導加熱調理器2に提供する方式を採用している。これはレシピの内容によっては、写真・画像情報等を含み、情報量が大きくなっているレシピをそのまま調理機器側に送信すると、調理機器側の内蔵メモリーの格納容量を超える場合もあるためである。調理機器側に十分な記憶容量があれば、実施の形態1で説明したように、調理機器側へ事前に送信しておいても良いし、あるいは電力指令装置9の内蔵メモリーで一時保存しておくという方法でも良い。
また、レシピの内容によって、例えば「グラタン」というレシピは炊飯器3には送信できないが、「炊き込みご飯」というレシピは炊飯器3に送信できる。このように各レシピの属性情報の中には、対応可能な調理機器のコードが記録されており、そのコードはキッチン内家電機器KPを構成する各種調理器のコードと合致させてある。
なお、例えば誘導加熱調理器2に送られたレシピ602Aは、送付記録が電力指令装置9に残っており、誘導加熱調理器2からのレシピ提供要請時に、その送付記録を参照して、レシピを特定するから、その後誘導加熱調理器2で、野菜系のレシピを検索しようとした場合(実施の形態2の図77参照)に、他のレシピに優先して最初に表示画面129に表示される。
図86は、希望のレシピを選択するまでのTV受像機75の動作を示したフローチャート図である。なお、このTV受像機は、主電源が既に投入されているものとして説明する。
まず、TV受像機75の液晶表示画面75Dを起動するため、リモコン75Rの所定のボタンを押す(ステップ1。以下、「ステップ」は「SS」と記載する)。すると、システム制御部75Eが液晶表示画面75Dと電源供給部75Gとの間へ介挿しているパワーFET75SをONにして液晶表示画面75Dが起動される(SS2)。
そのため液晶表示画面75Dは、図83に示したようなポータルサイト画面を最初に表示する(SS3)。ここで、おすすめ調理のレシピを選択する特別アイコン601を選択すると(SS4)、システム制御部75Eは大容量メモリー109に格納されている各種料理のレシピを読み出す指令を発し、レシピが図84に示した形態で一覧できるように表示される(SS5)。
一方、おすすめ調理のレシピを選択する特別アイコン601は選択されず、電気エネルギー管理を選択するための特別アイコン413が選択(SS6)されると、電気エネルギー管理の画面に切り替わる(SS7)。
75Jは、前記室外アンテナ77から地上波、衛星波等の放送波を受信するチューナー・デバイスである
そして、図84に示されたレシピの中から、それか1つを選択すれば、図85に示されるように当該選択されたレシピの内容が、広い面積の液晶表示画面75Dに表示される。そこで、この図85のレシピを選択して調理器機器側に送信するにはアイコン610を選択すれば良い。
一方、図85に示されたレシピの数が多く(図85では、紙面の都合上、合計15のレシピしか記載していないが)、好みのレシピが簡単に見つけられない場合には、検索用のアイコン607を選択すると(SS8)、液晶表示画面75には、検索条件をインプットする画面が表示される。検索条件は例えば図87に示すように合計6つある。例えば「4 健康管理」の項では、例えば「高血圧」と条件を入れる(各種インプット項目が列挙されているので、その中から1つ又は複数を選択する)。その他検索条件としてインプットできる5つは、「レシピの名称」、「カロリー値」、「電力消費エネルギー」、「調理器具名称」、「過去に選択したことの有無」である。
このようにして健康管理情報も検索対象にして検索する(SS12)と、高血圧の人向きの料理のレシピが図85に示したように、液晶表示画面75Dに表示(SS12)されるので、これをアイコン610で選択して調理器機器側に送信すれば良い。
なお、検索せずに、別の素材系(例えば野菜系)の範囲でレシピを探す場合は、表示情報602を選択すれば(SS10)、野菜系に属する各種レシピ602A〜602Cの内容が液晶表示画面75に表示され(SS11)、以後は、この野菜系に属する各種レシピ602A〜602Cの中で1つ又は複数を選択すれば良い。
次に図88を参照しながら、家屋の外部から携帯電話端末器等で送信された調理レシピを、電力指令装置9が受信した場合に動作について説明する。
携帯電話端末器87を携帯し、外出先の場所から家屋の内部にある電力指令装置9に対して調理レシピを送信すると、これが電力指令装置9に広域通信回路網(通信ネットワーク)98を介して届く(SS21)。
すると、電力指令装置9の制御部125は、受信した調理レシピの情報を解析する(SS22)。次に、送信された調理レシピの情報には、調理の仕方や素材などのレシピ固有の情報の他に、携帯電話端末器87から送信して来た居住者B特定する名前や文字記号、コード等が含まれている。またその調理レシピについて送信者は、評価情報と、家庭内にある加熱調理器のどれを使用する意図であるのか、という2種類の情報も付帯データで含まれている。
そこで、これら各種情報を制御部125が分析し、所定のデータ形式に変換する。その際、このデータ処理の現在日時(例えば、2012年10月10分15:00)のデータも自動的にその調理レシピの情報の一部に追加する(SS23)。
次に、制御部125は、人検知部203は、居住者(家族4人で生活している場合、居住者A、B、C、Dと呼ぶ)が各居住空間にいるかどうかを判定(SS24)し、人の存在を示す感知データが得られない場合は、全ての居住者は不在で現在は留守中と判定し、その判定結果を制御部125が入手するので、制御部125は、前記所定の形式に変換した記憶用の調理レシピのデータを、電力指令装置9の記憶装置149に対して送り、それを一時的に記憶させておく指令を発し、記憶装置149において記憶動作が実行される(SS30)。
なお、この一時記憶データは、その後居住者(例えば、居住者B)が帰宅したことが前記在宅検知手段10で検知され、その後誘導加熱調理器2のように、前記調理レシピの情報を利用できる調理機器の操作を開始した場合(この場合も、人検知部203が、人がいることを判定して制御部125に人検知信号を送信している)、次のステップSS25に進み、外部から調理レシピのデータを受信したことが、電力指令装置9の表示画面100Aによって報知される。例えば、外部から調理レシピのデータを受信したことを表示画面100Aに文字で表示し、また送信者を特定できる名前や記号、数字も表示する。また調理レシピのデータの受信を、音声ガイド装置(図示せず)で同時に案内をしても良い。
次に電力指令装置9の制御部125は、TV受像機75が既に主電源投入されて表示画面75で、表示動作が行われているかどうかを判断する(SS26)。この場合、TV受像機75に信号を発して、液晶表示画面75Dでの表示有無を照会しても良いが、通常はTV受像機75の液晶表示画面75Dが起動された段階で運転情報信号が電力指令装置9に送信されているので、その都度、電力指令装置9側から確認する必要はない。なお、ここで運転情報信号とは、実施の形態1において、例えば誘導加熱調理器2から出される運転情報信号L1〜L7と同じように、TV受像機の起動や主な動作モードの変化の都度送信される信号をいう。
次にTV受像機75の液晶表示画面75Dで、外部から調理レシピのデータを受信したことを表示する(SS27)。また調理レシピのデータの受信を、音声ガイド装置(図示せず)で同時に案内をしても良い。
次に前記したようなTV受像機75の液晶表示画面75Dでの、調理レシピのデータの受信と、電力指令装置9での調理レシピデータの受信を居住者(この場合、帰宅している居住者が、全ての居住者A、B、C、Dであれば、その居住者全員)知り得る状況となり、在宅している居住者(例えば、居住者Bが、自分が外出先から送信したが、撤回する場合には)所定の記憶禁止意志を示した場合は、調理レシピのデータは、TV受像機75の記憶装置109にも、また電力指令装置9の記憶装置149にも記憶されない(一旦、記憶装置149に記憶された調理レシピのデータは、自動的に消去される)。つまり、外部からの送信者の意志よりも、現在在宅している居住者の意志を優先するシステムになっている。なお、調理レシピのデータは、電力指令装置9に対して家屋の外部から通信回路を介して送信した居住者別に記憶装置149の所定エリアに一時的に記憶される。居住者Bが主婦であり、居住者C、居住者Dが共に子供であった場合でも、居住者CとDからそれぞれ送信された場合は、子供の好物の調理レシピの可能性があり、前記電力指令装置9はそのような調理レシピでも受け付けるようになっている。
TV受像機75で調理レシピのデータの受信を報知してから、所定時間(例えば30秒)以内に、TV受像機75、又は電力指令装置9(の表示画面100Aの)操作入力部117で、所定の禁止操作が行われない場合、調理レシピのデータは記憶装置149に一旦記憶し、その後、自動的にTV受像機75の記憶装置(大容量メモリー)109に移し変えて記憶される(SS29)。
なお、記憶装置109に記憶されている調理レシピのデータは、前記したように、その1つずつが、調理の仕方や素材などのレシピ固有の情報と、携帯電話端末器87から送信して来た居住者を特定する名前や文字記号、コード等が含まれているため、これらの何れの情報からも検索可能であり、例えば、1人の送信者が、帰宅した後に、TV受像機75の液晶表示画面75Dに、自分の名前の調理レシピだけを表示させることが容易にできる。
また、帰宅した居住者が、外出先から携帯電話端末器87で調理レシピの情報を自宅の電力指令装置9に送信し、またその後、その居住者Bが帰宅したことが前記在宅検知手段10で検知されるので、この場合においてTV受像機75が起動された場合、TV受像機75を視聴する居住者は、居住者B以外は有り得ないので、居間や寝室などの複数の居住空間HA1、HA2のどこに設置されているTV受像機75が起動されても、その起動直後の表示画面には、居住者Bから送信された調理レシピの情報を受信済みである旨の報知を行うことで、当該情報の送信者が、仮に送信を忘れていても、その送信事実を伝達して、家庭内で利用するかどうかの判断を求めることができる。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態4で示した家庭用電力制御システム及び家庭用電力制御装置は、その電力指令装置9の表示画面100Aに、おすすめ調理のレシピを呼び出して表示させることができる。また調理の評価情報も記憶回路に蓄積し、前記表示画面にて表示させることができる。このため、電力指令装置9の表示画面100Aを有効に活用し、電気の使用状況と調理に役立つ情報とを表示させることができる。
またこの実施の形態4で示した家庭用電力制御システム及び家庭用電力制御装置は、家屋の外部から携帯電話端末器等で送信された調理レシピを、電力指令装置9で受信し、それを所定の処理によってTV受像機75の大容量メモリー109や電力指令装置9に蓄積しておくことができる。
しかも、調理レシピを送信すると、電力指令装置9は、居住者が各居住空間にいるかどうかを判定し、人の存在を示す感知データが得られない場合は、居住者は不在で現在は留守中と判定し、その判定結果を制御部125が自動的に取得して電力指令装置9の記憶装置149に対して送り、それを一時的に記憶させておく。
またその後に、人がいることが判定されると、電力指令装置9の表示画面100AやTV受像機75の液晶表示画面75Dによって、調理レシピのデータを外部から受信したことを報知するので、調理レシピのデータを屋外から送信した家族以外の家族でも、そのような調理レシピの受信を容易に知ることができる。これにより、家庭の外部から携帯電話端末器78で取得した調理レシピの情報を、家族全体で共有し、利用することが可能となる。なお、在宅者が、調理レシピの保存は必要ないと判断した場合、その調理レシピのデータは、消去操作して積極的に消すこともできるので、家庭の外部から不用意に大量の調理レシピのデータが送信されても、居住空間にいる家族が不要なデータの蓄積を阻止できる。
なお、図88に示した実施の形態4では、調理レシピを送信した居住者Bが帰宅する前に、電力指令装置9の記憶装置149に当該調理レシピの情報が到達し、そこで一時的に保管されているというものであったため、居住者Bが帰宅した直後に、電力指令装置9の表示画面100AやTV受像機75の液晶表示画面75Dによって、料理レシピを確認することができたが、本発明はこのような構成に限定されない。例えば通信業者等によって家屋の外に設置されている情報サーバーに、居住者が外出先から調理レシピの情報を送信し、そのサーバーに調理レシピの情報が保管されていることを自宅の電力指令装置9に送信すれば良い。
そして居住者Bが帰宅した際、電力指令装置9によってTV受像機75等により、調理レシピの情報の保管事実が報知され、その報知時に表示されたURL(インターネット上のリソースを示すために用いられる、アドレス)コード等に電力指令装置9からアクセスし、保存されている調理レシピの情報を始めて取得するという方法でも良い。なお、調理レシピ等の有益情報は、TV受像機75等の液晶表示画面75Dが起動された直後に、最初に表示されることが望ましいが、必ずしも最初に表示されなくとも良い。例えば最初にTV受像機75を起動し、そのTV受像機のポータルサイト画面に切り替えた際、そのポータルサイト画面への表示や、最初に通常の番組を視聴しようとした際に、その画面の一部への表示という形でも良い。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態4に示した第7の発明に係る家庭用電力制御システムは、複数の家電機器を個々に制御して家庭内の総電力量を制御する制御部125を備えた電力指令装置9と、居住者の在宅を検知する在宅検知手段10と、前記家電機器の中で、前記居住者専用の特定の家電機器と当該居住者を特定する情報とを関連付けた専用者情報を記憶した記憶装置149と、外部から通信回路を経由して送信された調理レシピ等の有益データを記憶させることができる記憶装置149と、を備え、前記制御部125は、前記専用家電機器から使用許可を求める信号を受信した場合、前記専用者情報記憶部の専用者情報と、前記在宅検知手段で検知した居住者情報とに基づいて、当該専用者と帰宅している居住者とが同一であるかどうかを判定し、同一である場合に当該専用電気機器の運転開始を許可する信号を発し、前記専用家電機器の少なくとも1つは表示画面を有するTV受像機75であり、前記制御部125は、前記有益データの送信者である居住者が帰宅したことを前記在宅検知手段10が検知し、かつ当該居住者用の有益データを受信している場合、又はそのような有益データが外部の記憶媒体(サーバー等)に存在している場合は、当該居住者が前記TV受像機75を帰宅後に起動させた際に、当該TV受像機において、前記有益データを受信していることを優先して表示又は報知させるための指令を発することを特徴とするものである。
この第7の発明によれば、第1の発明における効果に加え、外部から送信した調理レシピ等の有益データを、電力指令装置9によって一旦記憶保持させることができ、またその有益データの送信者個人が帰宅してTV受像機75を起動させた場合、その送信された調理レシピ等の有益データが一時的に記録媒体に保管されていることや、既に電力指令装置が受け取っていることが、そのTV受像機の表示画面で報知されるので、有益なデータの受け取りやその利用を、帰宅してから行うことができるという効果が期待できる。
また実施の形態4では説明しなかったが、料理教室等で作った調理の出来上がり写真を携帯電話端末器78で撮影し、これを電力指令装置9に送信しても良い。この場合、電力指令装置9側で、調理レシピの固有情報や付帯情報を分析した結果、不足したデータがある場合には、一旦記憶装置149やTV受像機75の記憶装置109に記憶させた後、再度その調理レシピのデータを読み出して、付帯データや、調理についての評価情報を書き加えて、再度保存処理することでも良い。
また実施の形態4では説明しなかったが、実施の形態1では、電力指令装置9の健康管理処理部116で取得した血圧等の健康管理データを、その電力指令装置9に移して保存しておく構成を説明したが、調理レシピの情報と同様に、外出先の運動施設や病院等で取得した健康管理データ、運動データ等をその外出先から携帯電話端末器87等で自宅の電力指令装置9に送信しても良い。このようにすれば実施の形態4で説明したものと同様に、そのような健康管理データ等が電力指令装置9に届いた際に、その電力指令装置9によって報知される。すなわち、前記制御部125は、人検知部203が、居住者(家族4人で生活している場合、居住者A、B、C、Dと呼ぶ)が各居住空間にいるかどうかを判定し、人の存在を示す感知データが得られない場合は、全ての居住者は不在で現在は留守中と判定し、その判定結果を制御部125が入手するので、制御部125は、前記健康管理データ等を電力指令装置9の記憶装置149に対して送り、それを一時的に記憶させておく指令を発し、記憶装置149において記憶動作が実行される。このため仮に、居住者Bが外出先の施設にあった健康管理機器で測定した各種健康管理データを、携帯電話端末器87等で自宅の電力指令装置9に送信しておいた場合、その健康管理データは、その後、そのデータの被測定者である居住者Bが帰宅したことが前記在宅検知手段10で検知された場合、居住者Bの専用家電機器の1つにTV受像機75や誘導加熱調理器2が設定されていれば、そのような専用電気機器を使用する際に、当該家電機器によって前記した各種健康管理データが自宅に届いていることが報知される。従って、外出先から自己に有益な情報を自宅に送信し、自宅で測定した健康管理データと同様に、自分専用の固有データとして電力指令装置9又はTV受像機75に蓄積することができる。
実施の形態5.
図89〜図94は、本発明の実施の形態5に係る家庭用電力制御システムと電力指令装置を示すものであり、図89は、電力制御システムと電力指令装置を適用した1つの家庭の家屋全体を示す構成図。図90は、その電力制御システムの中核を構成する電力指令装置の表示盤の主要部正面図1。図91は、その電力制御システムの中核を構成する電力指令装置の表示盤の主要部正面図2。図92は、その電力制御システムの中核を構成する電力指令装置の表示盤の主要部正面図3。図93は、その電力指令装置で留守指定キーを押した場合の、制御部の動作フローチャート図。図94は、その電力指令装置において、帰宅時の制御部の動作フローチャート図。図95は、その家庭内の環境変化を監視するための、電力指令装置の制御部の動作フローチャート図1。図96は、その家庭内の環境変化を監視するための、電力指令装置の制御部の動作フローチャート図2である。各図中、前述の実施の形態1のものと同一部分には同一符号を付してある。また前記誘導加熱調理器2、炊飯器3、オーブンレンジ5、食器洗い乾燥機6及び空気調和機7は、何れも前記実施の形態1のものと同じである。また健康管理処理部116や環境検知部202、人検知部203、各種健康管理機器410も同じである。
この実施の形態5の家庭では、交流200V電源EPに前記キッチン内家電機器KPや空気調和機7等が接続される構成であるが、太陽光発電装置などの自家電源装置を備え、その電源装置からの電力を前記キッチン内家電機器KP等に使用できる設備を備えているところが1つの特徴である。
また、この実施の形態5の家庭では、家庭の外部に持ち出した携帯電話端末器87によって、家庭内の各種家電機器EEの運転開始や、居住空間の環境変化を監視できるという機能を持たせるため、電力指令装置9の環境監視機能を充実させたところも1つの特徴である。
また、この実施の形態5の家庭用電力指令装置は、居住者の在宅を検知する在宅検知手段と、制御すべき各種家電機器に対して運転の可否を指令する制御部と、居住者が居住空間に居ない留守状況であることを前記制御部に入力できる留守状態入力手段と、を備え、
前記制御部は、前記留守状態入力手段で全ての居住者について留守状態に設定した場合、居住者が事前に定めた(例外的な家電機器を除く)全ての家電機器が運転を開始しない留守モードに維持し、その後、前記在宅検知装手段で居住者の帰宅を検知した場合、前記制御部は前記留守モードを解除することも1つの特徴である。
さらにまた、この実施の形態5では、電力指令装置9の使用限度設定器96の正面部分の構成を変更し、その正面部にある表示盤100の表示画面100Aの下方近傍位置には、実施の形態1で説明した緊急遮断ボタン119Aを設けている。そのため、これを押すと電力指令装置9、照明器具及び前記TV受像機75以外の全ての(使用中の)家電機器EE(キッチン内家電機器KPを含む)の電源を速やかに遮断できる。さらにその緊急遮断ボタン119Aの左側、すなわち表示画面100Aの下端部近傍には、表示画面100Aを切り替える画面選択スイッチ(図示せず)を操作するため、4つの押しボタン式キー(操作部)が横一列に配置されている。その1つの押しボタン式キー(操作部)493は、実施の形態1で説明したアイコン417(健康管理情報選択用)の機能を有している。また494は、同じく押しボタン式キー(操作部)であり、実施の形態1で説明したアイコン418(電気エネルギー管理用)の機能を有している。さらに495は、同じく押しボタン式キー(操作部)であり、実施の形態1で説明したアイコン419(すまいの環境情報用)電気エネルギー管理用)の機能を有している。さらにまた、158は、居住者の在宅状況と入力用画面を表示させるための押しボタン式キー(操作部)であり、実施の形態2で説明した在宅管理メニュー選択キー57と同様なものである。
図89に示しているように、この家庭の家屋本体には、蓄電池303と、自動車用の双方向充電器304と、太陽光発電パネル305からの電力と、双方向充電器304からの電力を所定電圧の交流に変換するコントローラー(パワーコンディショナー)306とを備えた自家電源装置307を有している。308は、この自家電源装置からの電力がブレーカー309を介して供給される電源切り替え装置であり、この電源切り替え装置によって前記商用200V電力と自家電源装置307からの電力が切り替えられる。
310は、前記双方向充電器304に任意に接続される車載用蓄電池498を有する電気自動車である。312はその車載用蓄電池498と双方向充電器304を着脱自在に接続する充電ケーブルである。双方向充電器304により蓄電池303から電気自動車310に充電でき、また逆に電気自動車310から蓄電池303に充電することができる。電気自動車はガソリン等を燃料とするエンジンと電気駆動源(モーター)とを併用するハイブリッド型自動車でも良い。
なお、図示していないが、実施の形態1で説明したような電流クランプ302からの電流から消費電力を計算する電力検出器313を有しており、そのこの出力は電力指令装置9の比較器92に入力される。また図示していないが、キッチン内家電機器KPの各使用電力制御手段8A〜8Dからの要求電力と、空気調和機7の使用電力制御手段8Eからの要求電力とを合計する要求電力加算器91も具備している。
電力指令装置9は、前記要求電力超過量判定手段93(図示せず)からの出力がなければ(つまり、超過量が0)、要求電力と同じ使用可能電力を各キッチン内家電機器KPの使用電力制御手段8A〜8Dと、空気調和機7の使用電力制御手段8Eとに対しそれぞれ返信し、また超過量の出力があれば、この合計電力の超過量と予め定めた優先順位に従って、各キッチン内家電機器KPと空気調和機7に対する使用電力の削減幅を決定し、これら各キッチン内家電機器KPと空気調和機7の使用電力制御手段8A〜8Eに返信する使用電力削減幅決定手段94と、内蔵した半導体メモリー95A(図示せず)に予め登録されている「優先順位」を読み出し、使用電力削減幅決定手段94に電力削減の「優先順位」情報を送信する優先順位設定手段95(図示せず)とから構成されている。
図90に示すように、この実施の形態5の電力指令装置9においては、電力量管理や健康管理情報を見たい場合、電力指令装置9の表示盤100の下端部近傍にある、4つの画面選択スイッチ(図示せず)を選択操作する4つの押しボタン式キー(操作部)158、493、494、495の何れかを押せば良い。例えば押しボタン式キー493を押せば、実施の形態1でいうアイコン418(電気エネルギー管理用)が選択されたことと同じになり、家庭内の家電機器EEの使用電力量やこの家庭の現時点での総電力量等を確認することができる。図90は、その押しボタン式キー493を押して電力量管理の表示と入力用画面を選択した状態を示す。
なお、このように表示盤100の外側に4つの押しボタン式キー(操作部)158、493、494、495を設けたことにより、その分だけ表示盤100の有効表示面積が拡大し、新たな表示項目を追加できるというメリットがある。
具体的にはこの実施の形態5においては、表示盤100の表示画面100Aの中に、節電のチェックポイントを表示するアドバイスエリア496を設けることにした。このアドバイスエリア496では、図90に示しているように、環境検知部202が、ある部屋(例えば寝室)において、人が居ないことと、照明器具が点灯していることを検知して、その検知結果を制御部125に伝えることにより、制御部125は、予め定めた節電チェックのプログラムに従って該当項目を探し、その中に該当する点があった場合、その該当結果(無駄に電気を使用している可能性がある)から、使用者にチェックを促すように文章でアドバイスしている。
このように、アドバイスエリア496では、電力の有効利用や無駄な使用の抑制のために、前記環境検知部202の計測結果を常に利用している。その他の利用例としては、例えば人が居ないと検知された部屋が、連続的(例:30分以上)に空気調和機7によって冷房されている場合等がある。またアドバイスエリア496は常に一定の面積が確保されている訳ではなく、アドバイス不要の場合には、このエリアには他の目的の情報を表示させ、限られた面積の表示画面100Aを有効に活用するようにしている。
図90に示した状態で、押しボタン式キー(操作部)158を押した場合は、図91に示したように、在宅管理の表示と入力用画面に切り替わる。この図91において、159は、この実施の形態5の特徴の1つでもある留守指定キーであり、このキーの表示部分に触れることで、所定の留守モードの設定指令が前記制御部125に与えられる。178は、現在時刻表示部であり、電力指令装置9に内蔵した時計回路(図示せず)により、現在の時刻が常に表示されるようになっている。
図91に示した留守指定キー159について説明する。このキーは居住者全員が外出する場合、例えば家族揃って買い物や旅行に出掛ける場合に利用すると便利なキーである。この留守指定キー159を押すと、制御部125は図93に示す動作を実行する。
すなわち、SS40〜SS46は、制御プログラムの各ステップを示すものである。制御部125は、最初に各家電機器EEから届いている最新の運転情報信号(実施の形態1で示した、運転情報信号L1〜L7を参照)を確認し、あるいは各家電機器側に照会の信号を送信し、これに答える形で各家電機器側から運転情報信号を入手し、それを分析することで、各種家電機器EEの最新の運転状況と、その運転条件を把握する。またそのような最新の運転情報を各種家電機器に内蔵された記憶装置で記録するように各家電機器側へ指令する。なお、家電機器側でそのような運転条件の記録ができない場合は、電力指令装置9の記憶装置149で一時的に記録しておくように指示する(SS40)。
次に制御部125は、居住者が事前に設定した例外的家電機器、すなわち外出時も電源供給を継続して運転しておくべき家電機器(例えば、電気冷蔵庫、熱帯魚観賞用の海水保温用電気ヒーターとその照明用電気器具等)を除いた他の家電機器の電源供給を遮断する(なお、完全に遮断せず、待機モードにして小電力だけ供給しておく場合もある)(SS41)。
次に制御部125は、居住者が居住空間の中に残っていないかどうか人感センサーを有する人検知部203でチェックし(SS42)、人が居る反応を検知した場合は、電力指令装置9の本体9Aに内蔵してあるスピーカ(図示せず)で警報を出す(SS43)。例えば、大型のペット(動物)を部屋に置いて外出する場合、そのペットを居住者と誤って人検知部203が検知する場合もあるので、そのような場合、そのようなペットを誤検知しないように特定の人感センサーの感度を変更するなどの入力操作を行う。なお、前記留守指定キー159が押されてから、前記警報を出すまでの所要時間は1分以内が良い。この警報タイミングが遅いと、その警報時には、居住者が全て屋外に出てしまっていて、警報に気が付かない場合が想定されるからである。
次に制御部125は、人検知部203で居住者の存在が検知されず、また玄関の電子錠の施錠が完了したことを在宅検知部10からの信号で確認すると(SS44)、在宅管理のデータベースを保管している記憶装置149の中のデータを一部変更し、居住者全員について、「在宅」から「不在」にデータを変更指令する(SS45)。この時点で制御部125は、「留守モード」に入る。
この「留守モード」では、制御部125は、各種家電機器の電源供給の遮断を維持し、又は最小限度の電源供給は容認する(いわゆる、待機状態にする)が、各種家電機器の本来の機能(加熱や空気調和)を発揮するための本格的な動作の開始入力は受け付けないという強制的保留状態に維持する。
そして、制御部125は、環境検知部202に対して、居住空間に異常がないかどうかを監視するように留守モード実行中に、監視モードの動作指令を出す(SS47)。環境検知部202は、居住空間の気温や湿度等の監視と、所定間隔での測定データの記録動作を行う。なお、環境計測データは、ある量だけは環境検知部202の内部メモリーに一時的に記憶させ、その後、前記記憶装置149の方に自動的に移しても良い。
なお、特に夜間の外出のように、まだ家屋の中から外へ出る途中であるのに、玄関や廊下等の屋内照明器具が先に消されてしまうと、不都合なので、図93にSS46で示しているように、電源を遮断すべき全ての家電機器の内、例えば玄関の内側と外側の照明を消すタイミングを遅らせ、例えば在宅検知部10で玄関電子錠19の施錠が行われてから1分後に電源を遮断するように、前記制御部125の動作プログラムを設定しても良い。
次に、居住者の少なくとも1人が帰宅した場合の制御部125の動作について、図94を参照しながら説明する。
居住者の誰かが帰宅し、玄関電子錠19のロックを解除する操作をすると、この操作入力に基づいて個人認証装置29では、居住者であるかどうかを判定する。そして居住者が帰宅したことが前記在宅検知手段10で検知されると(SS50)、制御部125は、予め定めてある点灯順序に従って玄関の照明を点灯するなど、所定の家電機器に対して動作開始を指令する(SS51)。
次に制御部125は、電力指令装置9の前記表示画面100Aを起動し、図91に示すように在宅管理用のメイン画面が表示されるようにする(SS52)。
次に制御部125は、居住者が居住空間内に居ることと、玄関電子錠19の施錠を確認する(SS53)。その後、制御部125は、在宅管理のデータベースを保管している記憶装置149の中のデータを一部変更し、帰宅した特定の居住者について、「不在」から「在宅」にデータを変更指令する(SS54)。これにより、環境検知部202による居住空間の監視モードは解除され、この時点で制御部125は、「留守モード」を解除して、通常の「在宅モード」の制御に入る。なお前記監視モードは、「留守モード」の解除と同時に解除される。
次に制御部125は、前記表示画面100Aの近くにいるかどうかを人検知部203で検知し、近くに居住者がいることが検知された場合、環境検知部202の環境監視結果を音声等で報知する。また、特定の居住者が外出中に、その特定の居住者に対する伝言を受信し、電力指令装置9に記録されている場合には、そのことを報知する(実施の形態2のマーク59G。図69参照)(SS55)。
図90に示した状態で、押しボタン式キー(操作部)495を押した場合は、図92に示したように、環境管理の表示と入力用画面に切り替わる。この図92に示すように、居住者別に空気調和機7等の環境改善機器の動作条件(空気調和機7の目標室温等)を設定できる。図92において、280Aは、居住者を識別する氏名や愛称等の表示部、280Bは、その居住者(この図92の例では、居住者A)が専用電気機器である寝室の空気調和機7を特定する機器名表示部、280Cと280Dは、その空気調和機7の運転範囲を決める室温目標温度の表示部で、この図92では28℃以上になったら運転開始し、室温が低下して25℃未満になったら運転を停止するように設定されている場合である。なお、空気調和機7等の環境改善機器の前記動作条件は、通常の「在宅モード」と、前記「留守モード」で異なった条件に設定できる。例えば、居住者Aが在宅時の運転条件を、「室温28℃以上で冷房運転開始、25℃未満で冷房運転停止」と設定し、居住者Aが外出時も、所定の居住空間に、ペット用の動物が居るような場合は、そのペット用動物の特性に応じて、例えば「室温30℃以上で冷房運転開始、25℃未満で冷房運転停止」のように設定しておく。このようにしておけば、留守にする場合は、その都度空気調和機7の運転条件を変更しなくても、前記留守指定キー159を押せば、在宅時とは異なった動作条件で電力指令装置9が空気調和機7を制御する。なお、この「留守モード」でも電源供給維持される例外的家電機器として、例えば、居住者Aの専用家電機器である寝室の空気調和機7を登録しておくと、その登録は以後居住者Aが取り消さない限り維持される。その後、在宅モードになっても、前記した例外的電気機器としての登録は取り消されない。このため、居住者Aが毎日在宅・留守を繰り返す生活パターンであっても、一度例外的家電機器として寝室の空気調和機7を登録し、しかも「在宅モード」と、前記「留守モード」の、それぞれにおける運転条件を設定しておけば、繰り返して条件を設定する煩わしい入力動作は不要である。このような「在宅モード」と、「留守モード」のそれぞれで別の運転条件を設定することは、空気調和機7以外の環境改善機器にも適用して良い。
281は、空気調和機を運転する目標温度帯を設定するための入力キー表示部であり、1回触れる度に1度ずつ高い温度を入力できるプラスキー282と、逆に1度ずつ下げることができるマイナスキー283が一対の形で表示されている。
284は、他の居住者の専用家電機器とその動作条件を確認し、入力設定できる表示画面に切り替えるための選択キー、同じく285は、空気調和機等の環境改善機器を一覧状態で示す表示画面に切り替えるための選択キーである。これら2つの選択キー284、285もタッチ式の入力キーである。空気調和機等の環境改善機器を一覧状態で示す表示画面では、その環境改善機器毎に、専用使用者が登録されている場合は、その専用者の名前等が表示されるので、複数の環境改善機器に誰が専用使用者として登録しているかどうかが容易に分かる。
次に、この実施の形態5の特徴の1つでもある、遠隔操作で家電機器EEを運転開始することについて、図95を参照しながら説明する。
図95は、電力指令装置9の制御部125の基本的な環境監視動作プログラムを示すフローチャート図である。
まず、居住者が家屋の外部に持ち出す前の携帯電話端末器87を、電力指令装置9から見た「通報先」として登録する。具体的には図91に示した押しボタン(操作部)493を押す。すると、表示画面100Aは、図90のように電力量監視の表示画面になるので、その表示画面に近づけて、携帯電話端末器87から赤外線信号や近接通信の信号を送ると、以後その携帯電話端末器87は、電力指令装置9から見た通報先として登録されたことになる(SS60)。この場合、携帯電話端末器87には、電力指令装置9側から遠隔操作できる電気機器の名称とその対応コードが自動的に読み込まれるようにしても良いが、別に用意してある電気機器と機器特定コードの対照表を見て、使用者が外出先で携帯電話端末器87に数字やアルファベットで機器特定コードを入力しても良い。
次に、居住者がその携帯電話端末器87を家屋の外部、例えば遠隔地に持ち出し、外出先でその携帯電話端末器87の所定のボタンを押して「遠隔操作開始」の指令を発する(SS61)と、この指令は、広域通信回路網(通信ネットワーク)98を介して電力指令装置9に届く(SS41)。その際の入力情報としては、前記機器特定コードと、運転条件、例えば、空気調和機7であれば、暖房や冷房の区別、運転開始時刻と終了時刻、冷房等の目標室温等である。また加熱調理器であれば、その加熱動作開始時刻と動作終了時刻、火力(加熱量)が必要である。但し、炊飯器3の場合は、希望の炊飯完了時刻を入力すれば、炊飯器側が加熱開始時刻を自動的に判断するので、加熱終了時刻を設定する必要はない。
以上のような前記機器特定コードと、運転条件が電力指令装置9の入出力部124B経由で制御部125に届いた場合、制御部は以下のような動作を行う。
まず、携帯電話端末器87によって指定された家電機器が、遠隔操作対象機器であるかどうかの判定が行われる(SS62)。なお、前記したように、携帯電話端末器87に、電力指令装置9側から遠隔操作できる家電機器の名称とその対応コードが自動的に読み込まれるようにした場合には、当然ながら機器特定コードのインプットを間違っていない限り、使用者が希望した家電機器が指定されるので、このステップSS62では当然、YESという判定になる。
このステップSS62では、遠隔操作の対象となる家電機器EEの条件として、定格最大出力又は消費電力が所定値以下の家電機器に限ることとなっている。制御部125が許可条件を参照する場合のデータベースになっている記憶装置149に、前記した「定格最大出力又は消費電力が所定値以下」という条件が格納されているので、前記制御部125は、この許可条件を満たしているかどうかも合せてチェックする。
次に制御部125は、ステップSS63において、前記環境検知部202が正常に運転されているかどうかをチェックし、その次に、使用者が送信してきた遠隔操作信号に含まれた運転開始時刻や運転終了時刻が、「非回避時間帯」に重なるかどうかを判定する。なお、家電機器の種類によっては、回避時間帯が設定されていない場合があるが、例えば実施の形態1で詳しく説明したような自走式電気掃除機320では、回避時間帯が設定されている。
次に制御部125は、ステップSS64において、前記人検知部203の計測データから、その時点での居住者の有無をチェックする。この場合、例えば使用者が指定された電気機器が、キッチンにある例えば加熱調理器であった場合、居住空間HA1のキッチンに設置された人感センサー207の情報を使用することは勿論、キッチン以外の居住空間、たとえば居間やその他の部屋にある人感センサー208の情報も使用し、家屋の中のどこにも居住者が居ないことを推定する(実際には、居住者が寝室で寝ていることを人感センサーが検知できない場合もある)。
もし、居住者がいると判定されると、ステップSS65に進み、携帯電話端末器87に対し、遠隔操作の受付は許可できないことを報知する。この場合の不許可理由は、「人が部屋の中に居る」ということになる。居住者が在宅中であるにも拘わらず、遠隔操作で電気機器を運転することは、その在宅中の居住者の意思に合致しない場合もあり、またその居住者の意思とは無関係に外部から家電機器の運転を開始すると、居住者に不安感を抱かせ、あるいは不快な居住空間にしてしまうことも懸念されるため、前記したステップSS65を設けている。
次に制御部125は、ステップSS66において、使用者が指定された家電機器が、既に予約動作、例えば、予約炊飯がセットされたり、運転開始時刻が指定されたりしている家電機器でないかどうかのチェックを行う。
以上の4つのステップSS62〜SS66が全てYESであった場合、制御部125は、指定された家電機器への遠隔操作の情報入力を許可し、家電機器へ動作開始又は動作開始する時刻の設定を指令する。遠隔操作の情報入力内容が、即時動作させるものであった場合、直ぐに家電機器の運転動作は開始される(SS67).
次にステップSS68において、制御部125は、携帯電話端末器87にメッセージが届くように、遠隔操作の入力を受け付けたことを報知する。この報知情報はおいて、電力指令装置9から通信回路網(通信ネットワーク)98を介して携帯電話端末器87向けに発信される。なお、前記ステップSS62、63でNOの場合は、前記したステップSS65に進み、携帯電話端末器87に対し、遠隔操作の受付は許可できないことを報知する。この場合の不許可理由は、「遠隔操作の対象機器ではない」、「部屋の環境監視センサーが正常に働いていません」等のようなものになる。
次に、この実施の形態5の特徴の1つでもある、家庭内の環境変化を監視することについて、図96を参照しながら説明する。
図96は、電力指令装置9の制御部125の基本的な環境監視動作プログラムを示すフローチャート図である。
まず、居住者が家屋の外部に持ち出す前の携帯電話端末器87を、電力指令装置9から見た「通報先」として登録する。具体的には図91に示した押しボタン(操作部)495を押す。すると、表示画面100Aは、図92に示したように環境管理の登録画面が出るので、その画面に近づけて、携帯電話端末器87から赤外線信号や近接通信の信号を送ると、以後その携帯電話端末器87は、電力指令装置9から見た通報先として登録されたことになる(SS70)。なお、図91に示した押しボタン(操作部)493を押して、登録を行った携帯電話端末器87は、このステップ(SS70)の作業は不要である。
次に、居住者がその携帯電話端末器87を家屋の外部、例えば遠隔地に持ち出し、外出先でその携帯電話端末器87の所定のボタンを押して「監視操作開始」の指令を発すると、この指令は、通信回路網(通信ネットワーク)98を介して電力指令装置9に届く(SS71)。
以後、携帯電話端末器87によって、家屋内部の家電機器EEの使用開始や環境変化を知ることができる。図96において、破線の枠で示した範囲が、電力指令装置9の制御部125の動作に関する処理ステップである。
次に、ある家電機器EEの運転が開始されたかどうかの監視が行われる(SS72)。運転の開始を検知する方法の1つとしては、実施の形態1において示した、誘導加熱調理器2から出される運転情報信号L1〜L7のような信号の有無を検知する方法がある。
ここで運転開始が検知されないと、次は環境検知部202の各種環境データのチェックが行われる(SS73)。環境監視を中止するという使用者(携帯電話端末器87の保有者)の操作(SS74)が行われない限り、上記ステップSS72、SS73は繰り返し行われる。
上記ステップSS72において、家電機器の運転開始があったことが判明すると、その家電機器は、予め動作開始が予約設定された家電機器(例えば、炊飯器で、所定時間後に炊飯完了させるという予約動作したもの)であるかどうかの判定が行われる(SS75)。もし、事前に予約動作が行われた家電機器であった場合は、前記ステップSS73に進む。
しかし、予約動作した家電機器ではない場合、居住者が不在(家屋の中が無人)の状態で、家電機器に通電がされた可能性もあるので、環境検知部202は、家屋の中の各居住空間に設けた人感センサーの検知情報を収集する。その結果、人がいることが検知された場合は、居住空間に居る人に向けて注意喚起する意味で、電力指令装置9の表示盤(表示画面)100において注意表示を出し、また音声合成装置で、「家電機器の運転開始を検知しました。確認お願いします」というようなガイドを行う。
このような注意報知を受けて、その報知時点から所定時間、例えば20秒以内に、前記電力指令装置9の表示盤(表示画面)100の所定の(確認用)キーが押された場合、居住者が家電機器の使用を開始したことが確認されたと判断し、制御部125はステップSS72の処理に戻る。
ところが、前記ステップSS76で人の存在が検知できない場合、及び前記電力指令装置9の表示盤(表示画面)100で所定の(確認用)キーが押されない場合には、何れも家屋の中で居住者の意図で家電機器が使用開始されたのではなく、何らかの不測の事態(例えば、家屋の内部で動いているペット用の動物が家電機器の操作部を押した場合)が懸念されるので、この場合は、前記電力指令装置9は対象となる家電機器EEに対して通電停止の指令信号を発し、当該家電機器の通電を停止する(SS79)。そして、この一連の動作結果を、電力指令装置9から見た通報先として登録された前記携帯電話端末器87に通報する(SS80)。そして再び、監視ステップSS72に戻る。
以上説明したように、この実施の形態5は、電力会社からの商用電源だけでキッチン内家電機器KPを含む家電機器EEが駆動される訳ではなく、前記蓄電池303とコントローラー306からなる蓄電装置、又は太陽光発電パネル305とコントローラー306とからなる自家電源装置307からの電力が2つのブレーカー309、BKを介して供給され、使用可能となっている。このような自家電源装置307からの電力を併用する場合でも本発明は適用できる。また実施の形態1で説明したような効果を期待できる。
またこの実施の形態5で示した家庭用電力制御システム及び電力指令装置9は、外出先等のように、自宅の家屋と離れた場所に居ても、電力指令装置9の通報先として登録された携帯電話端末器87において、家屋内部の監視をすることができる。具体的には、新たに電力が投入され運転開始された家電機器があることが分かり、またその時点において、家屋内部に人がいるかどうかも分かる。さらに、人が家屋内部にいることが判明した場合でも、その通電開始された家電機器EEが、その居住者の意図で使用開始されたのかどうかの確認を求めるステップがあり、所定の確認結果が得られない場合には、遠隔で家電機器の運転を停止させることもできる。このため、留守中の家庭内部の様子を外出先から容易に監視できるとともに、万一の不適当な(居住者が意図しない)通電があって場合にもそれを遠隔操作で停止でき、家庭用家電機器の安全性を高めることができる。また、単なる通電有無だけで監視しておらず、環境検知部202によって、室温やその他物理的変化を監視して異常有無を予知できるようにしているので、信頼性の高いシステムとすることができる。
またこの実施の形態5で示した家庭用電力制御システムは、所定の電力容量を超えた場合に電路遮断動作をするブレーカーBKと、このブレーカーを介して電力が供給される複数の家電機器EEと、前記複数の家電機器の個々の電力を制御し、家屋の総電力使用量を制御する電力指令装置9と、前記家電機器EEの設置された居住空間の物理的環境を計測する環境センサーから環境情報を受け取る環境検知部202と、前記家電機器の電力に関する情報と前記環境情報を表示する表示手段(表示盤100、液晶表示画面75D)と、前記電力指令装置9に家屋の外部から通信回路網を経由して操作情報を入力する情報通信端末機器(携帯電話端末器)87と、を備え、
前記電力指令装置9には、携帯電話端末器87から前記通信回線経由で前記操作情報の入力信号を受け取る入出力部124Bと、前記家電機器EEの遠隔操作を許可する制御部125と、を備え、
前記制御部125は、携帯電話端末器87からの前記操作情報の入力信号があった場合、前記環境検知部202が稼動している期間中であって、定格最大出力又は消費電力が所定値以下の家電機器EEに限り、携帯電話端末器87からの操作信号による運転を許可するように制御プログラムが設定されている。
従ってこの実施の形態5に示す家庭用電力制御システムによれば、電力情報に加えて環境関連情報も表示させることができるので、省エネ意識の向上と環境意識の向上を図ることが期待できる。
さらにまた、自宅の家屋と離れた場所に居ても、携帯電話端末器87から電力指令装置9に対して家電機器EEの操作情報を入力できるとともの、その操作入力があった場合、電力指令装置の制御部125は、前記環境検知部202が稼動している期間中で、かつ定格最大出力又は消費電力が所定値以下の家電機器EEに限り、遠隔操作を許可するので、家屋内部の環境を考慮し、また小さな加熱能力等に限定した家電機器だけを遠隔操作できる。このため、家屋の外部から遠隔操作する場合の安全性も高めることができる。
さらにこの実施の形態5では、表示画面100Aの中に、節電のチェックポイントを表示するアドバイスエリア496を設けることにし、このアドバイスエリア496では、図90に示しているように、環境検知部202がある部屋(例えば寝室)において、人が居ないことと、照明器具が点灯していることを検知して、その検知結果を制御部125に伝えることにより、無駄に電気を使用している可能性がある場合には、使用者にチェックを促すように電力指令装置9がアドバイスしている。このため、電力の有効利用や無駄な使用の抑制を図ることができる。
なお、前記電力指令装置9は、使用開始された家電機器がある場合当該家電機器に関する情報と、家屋の内部に設置した人の存在を示す人感センサーからの検知情報とを、家庭の外部にある特定の通信機器として携帯電話端末器78用に送信する機能を有していると説明したが、電力指令装置9単体で携帯電話端末器78へ特定の情報を送信する方法に限定する意図ではない。例えば、外部の広域通信回路網(通信ネットワーク)98に接続された特定のサーバー(例えば、民間のセキュリティセンターが設置した専用のもの)を用意し、そのサーバーに電力指令装置9によって、常に最新の情報、すなわち家電機器の運転情報信号(L1等)や、電力環境情報や人検知部203からの検知情報を蓄積しておくことでも良い。
一方、そのサーバーは、電力指令装置9から情報受信があると、この受信事実をメールで携帯電話端末器78に即時知らせ、そのメールを受けて携帯電話端末器87がそのサーバーにアクセスする方法でも良い。この方法でも、携帯電話端末器87が、所定の情報を前記特定のサーバーから読み込むことにより、前記電力指令装置9からの最新情報を入手できる。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態5に示した第8の発明に係る家庭用電力指令装置は、複数の家電機器を個々に制御して家庭内の総電力量を制御する制御部125と、居住者の在宅を検知する在宅検知手段10と、前記複数の家電機器の中で、前記居住者専用の特定の家電機器と当該居住者を特定する情報とを関連付けた専用者情報を記憶した記憶装置149と、居住者が居住空間に居ない留守状況であることを前記制御部125に入力できる留守状態入力手段(留守指定キー)159と、を備え、
前記制御部125は、前記専用家電機器から使用許可を求める信号を受信した場合、前記記憶装置149の専用者情報と、前記在宅検知手段10で検知した居住者情報とに基づいて、当該専用者と帰宅している居住者とが同一であるかどうかを判定し、同一である場合に当該専用家電機器の運転開始を許可する信号を発し、
前記留守指定キー159によって全ての居住者について留守状態に設定した場合、前記制御部125は、居住者が事前に定めた(例外的な家電機器を除く)全ての家電機器が運転を開始しない留守モードに維持し、その後、前記在宅検知手段10で居住者の帰宅を検知した場合、前記制御部125は前記留守モードを解除するものである。
この第8の発明によれば、居住者の全てを留守状態入力手段(留守指定キー)159によって、留守モードに切り替えたあと、帰宅時はそれが自動的に解除される。留守中は、例外的家電機器(例えば、観賞魚の空気供給ポンプとその蛍光灯)を除き電源供給の遮断が維持されるか、又は最小限度の電源は供給されているが動作開始入力は受け付けないという強制的保留状態に維持される。このため、外出時に、ブレーカーBKの摘みを操作して主幹回路の電源を切る、という面倒な操作不要になる。その後、居住者の少なくとも1名が帰宅すると、留守モードは自動的に解除されるので、帰宅した居住者は希望する家電機器(但し、他の居住者の専用家電機器を除く)をすぐに使用できる。
なお、実施の形態1においては、地震発生時の揺れを検知する感振機器241で、所定の震度(加速度)以上を感知した場合、振動感知信号を前記制御装置32に送り、制御装置32で、使用中の全ての加熱手段の電源を瞬時に遮断する動作を行っていたが、電力指令装置9が、家屋の外部から受信した緊急地震速報等を利用して、さらに地震対策を強化しても良い。前記緊急地震速報は、日本の気象庁が提供している予報警報であり、「一般向け」と、基準が低く情報量が多い「高度利用者向け」の2種類があるが、既にマンションの共用部にインターネット回線と緊急地震速報の受信設備を設置し、インターホン等の報知機器に接続することにより、その報知機器・配線を活用して棟内に一斉配信するシステムが既に実用化されている。そこで緊急地震速報を電力指令装置9が常に受信するようにしておくことが重要である。そのため、TV受像機75が放送局等の外部機関78Bの緊急地震速報を受信でき、また並行して電力指令装置9自体も直接外部機関78Aからの緊急地震速報を受信できるようにしておく。一方、電力指令装置9は、緊急地震速報が届いた場合に、加熱動作等の運転(稼働)中の家電機器については、例えば以下のような指令信号を発する。
(1)熱源を保有している加熱調理器、例えば前記誘導加熱調理器2は、その加熱調理器の表示部16(実施の形態1に示した中央表示部16)の表示画面129に緊急地震速報の到来を表示し、加熱調理に臨んでいる使用者に地震の到来に警戒するよう注意喚起を行っても良い。この場合、合成音声装置等の音声ガイド手段も動作させ、音声でも注意喚起すれば更に良い。当然ながらその時の音量は使用者が仮に手動で小さくするように設定してあっても、自動的に最大になって報知される。なお、この「表示手段」16は、表示盤100の表示画面100Aとの混同を避けるために、「調理器表示手段」と呼ぶ場合がある。
(2)電気式又はガス/石油燃焼式の加熱源と、それによって加熱される水を有している電気機器やガス機器等、例えば貯湯式やヒートポンプ式の電気温水器あるいはガス燃焼式の温水器では、そのタンク内の水位を監視する水位センサーを有し、平常時は水位の変動に応じて湯を沸かす加熱動作を自動的に行っているが、地震によって水位が不規則に変動し、水位センサーがその水位を誤って検知し、誤動作を誘発するおそれがあるので、水位センサーの検知動作を所定の短時間、例えば30秒間だけ休止し、時間が経過するまでに実際に地震が起こらなかった場合には、通常の検知動作に復帰させるようにする。
(3)室内照明の内、地震の発生で非難通路となる箇所に配置されたものを緊急時の非常灯と定義し、その非常灯を所定時間(例えば1分間)自動的に点灯させる。その所定時間中に地震が到来しない場合に、その後自動的に消灯させる。
(4)脱水機能付きの電気式洗濯機(電気又はガス燃焼による温風で衣類乾燥させる機能を付加したものを含む)では、洗濯槽に水が入っていて洗濯動作中より、脱水機が高速回転している場合の方が重心の位置が高くなり、不安定であるので、脱水動作している場合は、脱水機の回転駆動モーターを一時停止し、ブレーキ機構を働かせて10秒程度の短時間の内に脱水槽の回転を停止させる。なお、ドラム式の衣類乾燥機についても、同様にそのドラムの回転と電気ヒーター等の加熱源の加熱動作を緊急停止させることが良い。
またその緊急地震速報の到来から所定時間内(例えば30秒以内)は、大火力での加熱動作を抑制するように自動的に火力下げを電力指令装置9が指令し、所定時間経過後に、地震の来なかったことを使用者が確認して復帰指令を加熱調理器にて行い(例えば特定の入力キーやボタンを押すという操作で)、元の火力に復帰させて調理を継続する、という構成にしても良い。これによれば、地震の到来の可能性を知り、地震に備えて使用者が冷静に火力確認や場合によっては調理停止の動作をすることができるとともに、万一、所定の震度以上を感振機器241が感知した場合、(電力会社からの商用電力が緊急遮断されない場合であっても)瞬時に加熱源の停止動作をしてくれるので、地震に対しての安全性も高めることができる。前記表示画面129で緊急地震速報の到来を表示する場合、その表示場所は、前記した第1の表示情報210A、第2の表示情報210B、第3の表示情報210C、第4の表示情報210Dの表示位置で良いし、これ以外の場所でも良い。当然ながら第1の表示情報〜第4の表示情報210A、210B、210C、210Dの表示よりも緊急地震速報の報知を優先させるので、例えば第1の表示情報210Aを瞬時に消し、そこに「地震速報受信」というような文字を表示させても良い。
なお、実施の形態1では、使用限度設定器96に対して電力量の上限値を入力するための入力操作部106と、この入力結果を表示する表示画面100Aと、を具備した本体9Aをさらに有し、2人以上の居住者のそれぞれについて、電力使用量の上限を示す規制情報を前記本体9Aの入力操作部106を通じて入力して前記記憶装置149に記憶させるように構成していた。またそれら各居住者の電力使用状況として少なくとも1日の電力量、1ケ月間の電力量をそれぞれ電力指令装置9の制御部125で集計していたので、電力指令装置9側で各居住者の電力使用状況が毎日把握できていた。そのため、このような電力使用状況を表示画面100AやTV受像機の液晶表示画面75Dで適宜表示させ、家族全体で認識し、お互いの省エネ意識を向上するために利用することができていた。
また前記した図69や図91の形態によれば、電力指令装置9の表示画面100Aにおいて、在宅している居住者と、外出中の居住者の、それぞれに専用家電機器や、各居住空間の気温等の環境条件が表示されるので、家庭の電力量管理を行う電力指令装置の更なる有効活用が図れる。また老人や子供だけが屋内に単独で居るような家庭であっても、環境検知部の監視と外部への通報機能によって、外出中の家族の安心感を高めることができる。
さらに実施の形態5では、電力指令装置9の機能を強化・拡充し、居住者が家屋の家庭の外部に持ち出した携帯電話端末器87によって、家庭内の各種家電機器EEの遠隔操作開始の指令を行えること、また家電機器の新たな動作開始や居住空間の室温変化等を監視する環境監視の指令を行えるものであったが、これら機能は、居住者が前記「留守モード」の設定を忘れて外出してしまった場合でも発揮される。つまり、前記「留守モード」が設定されている期間であっても、設定されていない状態であっても、前記遠隔操作開始と、遠隔での室内環境変化の監視は行えるので、居住者にとって利便性と安全性、安心感のある居住環境を提供できる。
(変形例)
前記各実施の形態では、「在宅検知手段」10は、住宅の入口(玄関)の外側に設置された電子錠とその電子錠に入力された暗証番号や生体情報(例えば指紋情報)から、居住者が帰宅したことを検知する手段であったが、これに加え、又はこれに代えて、各種家電機器に直接操作する使用者が居住者であるという情報を読み込ませても良い。例えば、居住者を特定する情報が記録されたICカード等の媒体を内蔵した携帯用情報端末機器やカードを、例えば近距離通信やその他通信手段で家電機器に直接読み込ませる。又は、電力指令装置9が、居住者が家電機器を操作するときにインプットするように、予め居住者毎に異なる暗証番号を与え、例えば居住者AがリモコンでTV受像機を操作する場合は、リモコンの数字入力キーを操作して、最初にその暗証番号を入力してTV受像機側に居住者Aであることを認識させるという方法でも良い。このようにすれば、玄関電子錠19を居住者Aが開けたときに、その場に居た他の居住者(居住者B、居住者C)が1度に玄関を通過し、居住者Bと居住者Cの帰宅が、在宅検知手段10に検知されないということを防ぐことができる。つまり、より正確に居住空間の中で実施に家電機器を使用している(又は使用しようと考えて操作している)居住者を特定できるという効果がある。
前記各実施の形態では、第1の家電機器の例えば炊飯器3や誘導加熱調理器2、また第2の家電機器の例えば空気調和機7から、それら機器の加熱工程や運転状態を電力指令装置9が把握するため、各家電機器側からその都度、情報を受信していた。例えば実施の形態1では、誘導加熱調理器2が電力指令装置9に対し運転情報信号L1〜L7をその都度送信していたが、電力指令装置9が、要求電力超過量判定手段93で電力の超過量を判定する処理を行う都度、その直前で各家電機器側に照会の信号送信し、これに答える形で各家電機器側から運転情報を送信するようにしても良い。この場合、例えば「優先調理メニューの実行時間帯」にあるかどうかという特定のコードを送信することで情報の簡素化をしても良い。
また、前記電力指令装置9は、通信手段97により家屋の外部のインターネット等の広域通信回路網98へ電力削減情報を発信可能に構成し、電力削減指令を受信後に前記第1、第2の家電機器の総電力を削減した場合、当該削減結果の情報を家屋の外部の特定の受信者宛に前記広域通信回路網98によって送信するように構成しても良い。その場合、前記電力指令装置9が、家屋の外部へ電力削減対応情報を発信する場合、受信者(例えば電力会社や公的機関等)を事前に決定してある当該家屋の所在地域を示すコードを同時に送信するようにしても良い。このようにすれば電力の供給者や関係公共機関が、地域毎の節電状況を把握でき、電力の安定供給などに利用することができる。
さらに、「温度フィードバック制御」の条件を決めるにあたり、加熱調理器においては、その火力を加味するようにしても良い。例えば、鍋等の被加熱物Nの温度検出情報に基づいて、目標温度に近づけようと高周波火力を自動的に調節する制御を行う際に、その火力が最大で100W以上である場合を、本発明でいう「優先加熱工程」として規定しても良い。100W未満の小さな火力を使う加熱は、少量のお湯や被調理液等を低い温度で保温するような場合、あるいは一旦炊いたご飯をその後保温するような場合が想定されるが、このような場合の何れも電力が仮に50%に削減されても調理物に重大な結果を招く懸念は殆どなく、また電力指令装置9から見てもそのような小電力使用機器を電力削減対象にするメリットが殆どないからである。
なお、前記誘導加熱調理器2のような家電機器において、主電源を投入してからその主電源を切る直前までの間に、加熱調理などで使用した電力の量に応じた電気料金を具体的に表示手段、例えば前記表示画面129に表示させるようにしても良い。この場合は、電力使用量を積算してその使用量情報と、時間帯別電気料金の情報との両者から制御装置32が計算しても良いし、電力指令装置9が家電機器からの電力使用量情報を得て計算し、該当する家電機器に送信するようにしても良い。主電源を切る前に、電気ヒーターや誘導加熱コイル等の電気加熱源やモーター等の動力源への電源供給を止めるので、その段階で計算結果を自動的に表示するようにすれば、その後主電源を使用者が切る前に、電気料金を知ることができる。なお、ここでいう電気料金とは、必ずしも電力会社から請求される電気代と完全に合致していなくとも良く、概算金額で良い。例えば「30円」のように円単位で表示すれば良い。更に、再度主電源を投入し、再び家電機器を使用しようとした際に、表示手段が起動され、最初の段階で前回の使用時の電気代を参考までに自動的に表示させるようにしても良い。
また、前記「時間帯別電気料金情報」を前記電力指令装置9が取得する方法は、ルーターA99を介して外部の広域通信回路網(通信ネットワーク)98にアクセスし、外部の電力会社の情報提供装置(サーバー)にアクセスして得ることが便利であるが、その情報取得は夜間に行い、翌朝から更新された新しい電気料金情報を誘導加熱調理器2等の家電機器が利用することでも良い。また時間帯別電気料金情報を家庭で使用されている携帯電話端末器87等の情報端末機やデジタルテレビに読み込ませ(ダウンロードし)、この情報を誘導加熱調理器2や炊飯器3等の家電機器に読み込ませるようにしても良い。
また実施の形態1においては、図5に示したように、前記電力指令装置9は、その本体9Aと、この本体の前面に着脱自在に装着される平板状の表示盤100とによって構成していたが、本体9Aと表示盤100を分離不可能な一体構造物にしても良い。但し、その場合、電力指令装置9全体を居住空間の中で自由に移動させる場合には、電源線27やTV受像機75との接続を有線(ケーブルやコード)で行うよりも、無線にした方が便利である。
さらに、そのように、前記電力指令装置9の本体9Aに表示盤100を一体的に設け、そのような電力指令装置9をキッチンに設置する場合には、そのキッチンで視聴できるTV受像機としても利用できるように、TV放送局等の放送波を受信できるようアンテナやケーブルを電力指令装置9に直接接続すると良い。
また、前記「第2の家電機器」である空気調和機7と、食器洗い乾燥機6や洗濯乾燥機、衣類乾燥機等の本体やそのリモコンに表示画面を設け、ここに「時間帯別電気料金情報」を表示させるようにしても良い。特に空気調和機や洗濯乾燥機は前記誘導加熱調理器2や炊飯器3に比べて、運転時間が長いので、その運転時間帯を、安い電気料金が適用される時間帯にシフトさせて運転するために本発明を適用すれば、使用者に電気料金を安くできるという経済的なメリットがある。
さらに、前記した実施の形態1と2では、ブレーカーBKは1つの家庭に1つ設置していた例を示したが、家屋全体の総電力を制御する主ブレーカーと、複数個の副ブレーカーとを備え、例えば第1の副ブレーカーは、空気調和機を、第2の副ブレーカーは洗濯乾燥機を、第3の副ブレーカーは台所の調理用電熱機器(炊飯器等)を、それぞれ制御するようにしたものでも良い。これによれば、ブレーカーBKは複数個の副ブレーカーの電源を一元的に遮断することになる。このように電力供給系統を複数に分岐したものであっても本発明の実施には何ら支障はない。またその場合、分岐系統毎にその系統に流れる電流を検知し、副ブレーカーの定格容量を超えないように、前記電力指令装置9が監視するようにしても良い。
また実施の形態1においては、地震発生時の揺れを検知する感振機器241は、ビルトイン型の誘導加熱調理器2の内部に設置していた。この理由は、ビルトイン型の誘導加熱調理器2は、流し台等の厨房家具の内部に水平状態で固定されていること、また家族の走行時の床の振動等の影響を受けにくいことから、正確に地震の振動を検知できるからである。しかしながら、感振機器241を、ビルトイン型の誘導加熱調理器2の内部に設置することに代えて、キッチンの壁面に固定状態で設置される電力指令装置9の本体9Aの内部に設けても良い。あるいは、2階建ての家屋である場合、2階の部屋にある家具等と、1階のキッチン内にある誘導加熱調理器2の2箇所にそれぞれ設置しても良い。
また各実施の形態の説明においては、入/切ボタン81cのような押す操作で入力されるスイッチ(入力手段)や、第1の選択部128Aのように、静電容量が変化する接触式の入力キー、あるいは特別アイコン412,417のように、表示画面に現れる選択用のマークや枠、矢印等をリモコン75Rの操作によって選択(指定)することで入力する方式等、色々な入力手段があったが、これらを適宜組み合わせても良く、また他の方式の入力手段、例えば使用者が発する音声を家電機器側で解析し、指令内容を自動的に認識して有効な入力となる音声入力方式を採用しても良い。
また各実施の形態の説明において、電力指令装置9には使用限度設定器96を有していたが、この使用限度設定器96は電力指令装置9の本体9A内部に独立した構造物として設置されている構成に限定されない。例えば、使用限度設定器96の基本的動作を実行するソフトウエアは、他の部分のソフトウエアと同じ回路実装基板の上に取付けた半導体記憶装置の中に組み込むことでも良い。また前記記憶装置149の一部は、居住空間の外部の遠隔地に設置された情報サーバーにて構成し、その情報サーバーと電力指令装置9が通信回路網を経由して情報を授受するようなシステムで構成しても良い。例えば実施の形態3で説明した伝言内容の保存をそのような外部の情報サーバーに記録させる構成でも良い。
さらに、TV受像機75の液晶表示画面75Dにおける、電気エネルギー管理の基本的な画面構成と、電力指令装置9の表示盤100における電気エネルギー管理情報や健康管理情報等を表示の基本的な画面構成を同じデザインにしても良い。このようにすれば、アイコンとタッチ式入力(スイッチ)等との相違が仮にあっても、使用者が情報を見たり、画面操作したり、入力指令操作をする場合、途惑うことが少なくなる。つまり1つの見慣れた画面、使い慣れた画面となるからである。
さらに、前記制御部125は、帰宅予定時刻情報を受信した場合、前記記憶装置149に記憶させてある許可条件と比較し、この許可条件を満たす場合は前記家電機器EEの運転開始又は終了時刻を前記帰宅時間の変更に「適合」させることを許可すると説明したが、この場合の「適合」とは、1分単位まで合致させることを意味していない。例えば、帰宅時間が当初の予定よりも2時間遅れた場合、事前に予約セットした家電機器(例えば炊飯器や空気調和機)の炊飯動作や空気調和運転の動作タイミングを2時間遅らせるという厳密な意味で「適合」と表現していないので、10分程度の変動は適合の範疇である。何故ならば、2時間遅れて帰宅する場合に10分早く又は遅く動作することで当該家電機器の本来機能を損なったり、家電機器利用者、居住者の利便性を損なったりする事態は殆ど想定できないためである。
さらに、電力指令装置9の表示盤100の表示画面100Aを、2つ以上の、異なる居住空間にそれぞれ設置しても良い。その場合、好ましくは2つ以上の表示画面100Aには、実施の形態1で示したように、操作入力部117を設けると良い。例えば1つの表示画面100Aは、キッチンに設置しておいて、その表示画面100Aの操作入力部117からの入力が、他の居住空間(例えば、2階の寝室)に設置した表示画面100Aの操作入力部117からの入力に優先するように電力指令装置9の制御部125で設定しておく。このようにすれば、2つの離れた居住空間で、それぞれ電力指令装置9を操作する入力を行え、また電力情報や家電機器の動作状況、居住空間の環境状況等を確認できる便利さがあり、また2つ以上の表示画面100Aの操作部で同時に、互いに異なる入力を行うような事態になっても、予め定めた一方(前記したように、例えばキッチンの表示盤100の表示画面100A)からの入力が優先し、他の表示画面からの入力は無視されるので、居住者において入力結果を誤解したり、入力結果で混乱を招いたりするという懸念もない。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の実質的な範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。