実施の形態1.
以下、図1〜図26を参照して、実施の形態1を説明する。
(定義)
本発明で「家電機器」EEとは、主に家庭で使用されることを想定して設計された電気機器をいい、後述する電気ジャー炊飯器(以下、「炊飯器」という)3等のキッチン内家電機器KP、テレビジョンの受像機2等の映像機器、空気調和機4、空気清浄機や空気脱臭機等の空気処理機、電気ストーブ等の暖房機器、電気掃除機、電気洗濯機(乾燥機能付きを含む)、お風呂に使用される給湯機器(給湯タンク付きを含む)39を含む。なお、以下の説明では、家電機器EEという場合には、特に断りがない限り、炊飯器3を含む。
「加熱源」とは、電気エネルギーを消費して熱を発する加熱源をいう。輻射式電気ヒータや誘導加熱ヒータ(誘導加熱コイルを含む)等が一例である。
また「動力源」とは、電気モータやそのモータで駆動される電動圧縮機、電動送風機、電動ポンプ等をいう。一般的に、自動洗濯(衣類)乾燥機や食器洗い乾燥機等の家電機器には、そのような動力源が内蔵されている。なお、1つの家電機器が、加熱源と動力源の両方を備えている場合もある。
本発明で家電機器EEの「識別情報」とは、家電機器EEを特定するための情報で、家電機器EEに固有の情報のことであり、的確な修理や点検を行う場合に必要となる重要な情報である。例えば、具体的には、以下のようなものが識別情報に含まれるが、これらには限定されない。なお、家電機器EEについては、あとで詳しく説明する。
(1)家電機器の製造者名
(2)型名
(3)形式番号
(4)製造番号(機体番号)
(5)定格消費電力
(6)購入年月日(製造業者や販売業者の品質保証期間の起算日になる場合が多い)
(7)使用開始年月日(食器洗い乾燥機では、法定点検時期の起算日になる)
(8)品質保証書番号
前記(7)の法定点検とは、2009年4月1日から改正・施行された「消費者生活用製品安全法」で新設された「長期使用製品安全点検制度」による点検をいう。なお、この法律とは別の「電気用品安全法」では、技術基準省令の改正により、長期使用製品安全表示制度が創設されており、消費生活用製品のうち、特定の製品にいついては、設計上の標準使用期間と経年劣化について、消費者に対し適切な保守点検を促すように注意喚起等の表示が義務化されている。そこで、その標準使用期間の参考となるように、消費者に対して表示する「製品の製造日」や製造年月から起算した「経過年数」の情報を、家電機器EEの「識別情報」に含めても良い。
また後述する空気調和機4等の「特定家電機器」(環境改善機器)であるかどうかも識別情報の一部であり、統合管理装置(「電力指令装置」ともいう)6と相互に無線通信を行う場合、その統合管理装置5側にこの識別情報が、特定家電機器(環境改善機器)側から提供される。
本発明で、家電機器「時間予約運転モード」とは、使用者が希望する時刻を指定し、その時刻までに運転動作が開始すること、又は運転動作が完了することを指定する制御形態をいう。例えば、空気調和機(エアコン)を予約した時刻になった段階で自動的に運転開始させることや、炊飯器を予約した時刻までに炊飯動作を自動的に終了させることが該当する。空気調和機(エアコン)を予約した時刻になった段階で自動的に運転停止させることも該当する。これは通常、タイマー運転と呼ばれ、1時間や2時間等の運転時間の長短を指定することが多いが、時刻を指定して運転停止するケースでも良い。
本発明で、炊飯器の「時間予約炊飯モード」とは、タイマー炊飯モードとも呼ばれるものであり、使用者が希望する(炊飯完了)時刻を指定し、その時刻までに炊飯が完了することを指定する制御形態をいう。なお、希望する時刻に炊飯動作を開始した場合、炊飯量の多少により長短はあるが、大凡1時間以内に炊飯は完了するので、この開始時刻を指定することでも良い。また、予約炊飯を確定させる段階で、「今から8時間後」というような経過時間を指定して予約することでも良いので、時刻予約、時間予約の双方を包含する意味で「時間予約」と称している。
また「炊飯時刻」とは、炊飯動作開始する時刻と、炊飯動作を完了する時刻の何れか一方又は双方の意味である。
本発明で、炊飯器の「位置対応予約炊飯モード」とは、予約炊飯実行の照会信号等や炊飯モードの入力信号等を炊飯器に対して送信する情報通信端末機器と、炊飯器自体やその設置場所との距離に応じて、炊飯器側で炊飯動作の開始時刻等を自動的に選択する制御形態をいう。このモードを指定した場合、情報通信端末機器を所持している居住者の帰宅時刻に合わせて炊飯が完了できるように自動調節される。但し、この自動調節は、帰宅の時刻と、炊飯完了時刻が全く同じであるということを保証するものではない。帰宅が20時00分の場合、炊飯完了が19時40分でも良いし、帰宅直後に炊飯動作が完了することでも良い。帰宅時刻にできるだけ近い方が、無駄な電気エネルギー投入が少なく、炊きたての美味しいご飯を賞味できるという意図である。
本発明でいう「統合管理装置」6とは、2つ以上の家電機器EEを連携させるための装置をいう。例えば、本発明の対象となる炊飯器3と、他の家電機器EE、例えば空気調和機4やTV受像機2等の運転とを連携動作させる装置をいう。「連携動作」とは、一方の家電機器の運転状態を示す情報や取得したデータを、他方の家電機器が運転や表示等に利用することをいう。このため、統合管理装置6は、家電機器EEの運転や停止、待機状態等の現在状況に関する情報を、有線又は無線信号で家電機器EEから取得する機能を有する。
本発明でいう「電力指令装置」とは、「統合管理装置」6の内、消費電力の制限機能を有し、1つの家庭における総消費電力の上限を規制する機能を備えたものをいう。1つの家電機器において、「統合管理装置」が「電力指令装置」を兼ねている場合がある。また1つの家電機器の「電力指令装置」6が、他の家電機器についても電力指令装置であるとは限らない。
本発明で環境検知部30の「環境情報」とは、後述する環境検知部30で、それぞれ検出する「環境データ」それ自体と、そのような環境データに基づいて作成した「環境評価情報」を総称したものをいい、家屋の居住快適性に影響する以下のような種類の情報を含むが、これに限定されない。
(1)温度情報
(2)湿度情報
(3)塵埃飛散度(単位空気容積あたりの塵埃量)情報
(4)花粉飛散量情報
(5)光量(可視光線量)情報・・言い換えると居住空間の明るさの情報である。
(6)騒音情報・・・居住空間の静けさの情報である。
本発明で環境検知部30が取得する「環境データ」とは、計測された温度や湿度等の物理的状態を示すデータそれ自体をいう。例えば気温35℃は環境データに該当する。その気温35℃に基づいて、何らかの評価基準や計算処理等を経て分類やランク付け、又はその他加工をされた情報は、前述したように「環境評価情報」に該当する。例えば、「室温は高い」、「標準気温」というような情報が前記「環境評価情報」に該当する。
また本実施の形態1では、「環境情報の利用」とは、後述する各種家電機器EEが前記環境情報をその家電機器EEの、効率的運転又は効果的運転又は環境に配慮した運転に利用することをいい、以下のような例を含む。
(1)温度高い場合、炊飯器3の保温機能を炊飯工程の終了に連続して動作開始させる。
(2)湿度の場合、家電機器EEの1種である除湿機を動作させる。または換気扇を運転開始する。空気調和機4の運転条件(目標とする室温など)を変える。
(3)空中を浮遊するような微細な塵埃が飛量している場合、空気清浄機を動作させる。または換気扇を運転開始する。
(4)花粉飛散量の場合、空気清浄機の運転を開始する。
(5)光量(可視光線量)の場合、照明器具5A、5Bを点灯させる。
(6)騒音の場合は、騒音がない状態から、深夜などの静寂な時間帯と判断し、ブロワーモータの運転音や走行音が発生する自走式電気掃除機の運転や、洗濯乾燥用ドラムを回転させる電気モータの運転音が発生する洗濯乾燥機の運転を避ける。
なお、気温と湿度の関係で、いわゆる「不快指数」を算出し、空気調和機4の運転を開始することも含む。
本実施の形態1では、「在宅検知部」34(「在宅検知手段」ともいう)とは、以下のような手段を含むが、以下の実施の形態の説明では全ての手段については詳しく説明せず、代表的な手段についてのみ詳しく説明する。
(1)住宅の入口(玄関)の外側に設置された電子錠33とその電子錠に入力された暗証番号や生体情報(例えば指紋情報)から、居住者が帰宅したことを検知する手段。
(2)居住者が保持している固有の身分証やIDカード等に記録された個人特定情報を、磁気的又は光学的手段で、あるいは近距離通信やその他通信手段で電力指令装置5に直接読み込ませ、その読み込ませた情報を解読してその本人が在宅していると判定する手段。
(3)居住者が保持している携帯用電話等の情報通信端末機器20等に記録された個人特定情報を、近距離通信やその他通信手段で直接電力指令装置6に読み込ませ、その読み込ませた情報を解読してその本人が在宅していると判定する手段。
(4)個人が固有している身分証やIDカード等、情報通信端末機器20等に記録された個人特定情報を、特定の家電機器EEに読み込ませ、又は個人だけが知っているID番号やパスワードを家電機器EEに読み込ませたり、入力キーによって入力したりして、その個人特定情報やパスワードを電力指令装置6にて解読し、読み込ませた本人が在宅していると判定する手段。
本実施の形態1では、「居住者」とは、後述する1つの家屋に居住する者をいい、血縁関係にある親子、兄弟、姉妹等を含むが、後述する居住空間HAに所定期間だけ臨時で宿泊する訪問者や、生活を共にするその他の者を含んでいる。1つ又は複数の居住空間を1人又は数人で借用している者も含む。なお、炊飯器3やその他家電機器EEを使用した場合には、居住者を「使用者」と呼ぶ。
本実施の形態1では、「家庭」とは、特定の管理者が管理する1つの家屋を意味しており、複数の部屋があり、複数の家族が入居している集合住宅も含む場合がある。すなわち、そのような集合住宅でも、1つの家屋の場合と同様に商用電力の上限が1つの電力遮断機器(1つのブレーカーBK、あるいは複数の電力遮断器等)で、一元管理されている場合は、ここでいう家庭とみなす。
本実施の形態1において、後述する統合管理装置(「電力指令装置」ともいう)6の「動作情報」とは、1つの家庭に設定されている上限の総電力量を示す情報、現在使用している使用電力量を示す情報、前記総電力量と使用電力量の差を表す情報、前記電力指令装置6が制御対象にしている家電機器EEを具体的に特定する名称等の情報、当該家電機器EEの使用状態を示した情報、各家電機器EEで使用されている電力量の情報(例えば1分間の平均電力量)等をいうが、これらに限定されるものではない。
本実施の形態1において、「家電機器側の電力制限情報」とは、電力指令装置6から家電機器が受けた電力消費量に関する何らかの信号に関する情報をいい、後述する電力削減要請信号AS1、電力削減指令信号AS2等のような指令に関する情報を含んだものをいう。それら情報には、その信号の受信時期(年月と秒単位の時刻)と信号の意味を示す情報が含まれる。例えば、後述する誘導加熱調理器51に対するある時点の電力削減指令信号AS2について「受信時刻:2016年4月1日 17時00秒 瞬間最大消費電力量を2%下げ」のような情報である。なお、この家電機器側の電力制限情報は、家電機器、例えば炊飯器3では、その制御装置の記憶装置の中に時系列で記憶されており、主電源をON又はOFFしても消えない。主電源をONし、OFFしたことを1回の調理と考えて、少なくとも数回分は記憶保持されるようになっている。それを超えた分が順次自動的に消去される。
本実施の形態1において、「家電機器側の位置情報」とは、居住空間HAの中のどの部屋に、家電機器が存在しているのかを示す情報(コード)であり、例えば居間はコード001、キッチンはコード002、寝室は003、のように事前に電力指令装置6の中央制御部27によってルール化されており、家電機器EEを使用して電力指令装置6の(電力)制御対象になる場合には、その家電機器の識別情報とともに当該位置情報が電力指令装置6に登録される。なお、電力指令装置6の(電力)制御対象ではない家電機器EEであっても、その設置位置、使用場所を示す最新の位置情報を発信させても良い。
キッチンの厨房家具の中に設置されて使用されるビルトイン式の誘導加熱調理器51や、壁に固定して使用される空気調和機4のように、最初の設置位置が変化しない(非可搬式)家電機器EEの場合は、そのまま永続的に位置情報を利用できる。
しかしながら、使用者が任意の場所に持ち運び容易な(可搬式)家電機器EEの場合には、電力指令装置(統合管理装置)6と、例えば無線通信を行った場合に、その最新の位置が電力指令装置6によって割り出される。電力指令装置(統合管理装置)6が位置を割り出した場合には、その時の、その居住空間の識別コードが、その家電機器EEの運転のデータ(例えば、運転開始時刻と終了時刻)と対になって、統合管理装置6の制御部27の記憶部(後述する第2の記憶部)27Aに記憶されるようになっている。
電力指令装置6と電気的接続又は通信セッションが確立した家電機器について、その位置を電力指令装置6側から特定する技術は色々提案されている。
例えば、日本国特許公開2014−79036号公報には、新規に導入した家電機器と「電源タップ」との関係情報を管理するために、従来では家電機器の使用者が手動で情報を手動登録しなければならないという課題があったことを解決するために、電源タップに家電機器を接続した際、電源タップからは機器接続検知イベントを、また家電機器からは起動完了イベント通知を行い、2つの通知を受信した、家電機器(情報家電)管理装置は、どの家電機器の電源コードの電源プラグが、接続口に挿されたかの候補情報をテーブルに登録するという技術を提案している。
この先行技術では、その後、家電機器管理装置より電源タップに対し、該当接続口に対する電源OFF指示を行い、相関関係を仮定した情報家電との通信状態をモニタするものであり、電源OFF指示の結果、相関関係を仮定した家電機器との通信が切れた場合には、再度、該当接続口に対する電源ON指示を行うとともに、仮定した相関関係が正しいものとして家電機器、及び接続口の登録を行う。
この先行技術の家電機器管理装置では、人手を介さずに自動的に接続口と家電機器との正しい接続関係を検知し、自動登録処理を行うことが可能となる技術を提案している。つまり、接続口を把握することで、家電機器の使用される場所の特定が可能となる。
この実施の形態1の説明では、炊飯器3やその他個々の可搬性家電機器の最新の位置を把握する手段についての詳細な説明は省略する。なお、電源タップからは機器接続検知イベント情報を送信せず、家電機器EE自体から機器接続検知イベント情報を送信しても良い。
(全体構成)
図1は、本実施形態1の炊飯器3を使用した1つの家屋の例を示している。図1において、HA1は1つの家屋の居住空間(寝室)を示す。HA2は前記居住空間HA1と壁SBで仕切られた隣の居住空間(キッチン)を示す。なお、居住空間を総称する場合にはHAを符号として使用する。なお、居住空間はこの図1には示していないが、そのほかに「居間」や「浴室」等があり、またトイレのある部屋もある。これ以外の部屋があっても良い。
全ての居住空間HAには、家屋の外部にある電力会社の商用電源EPから例えば、電圧が200Vの電力が供給されている。その電力は、電力量計16を介して家屋の内部に引き込まれている。1は、電圧が200Vの前記商用電源EPにブレーカーBKを介して接続された電源線(主幹線)である。前記電源線1には、各種放送受信できるテレビジョンの受像機(以下、「TV受像機」という)2、炊飯器3、空気調和機4、照明器具5A、5B、台所用電気機器(以下、「キッチン内家電機器」という)KP、給湯機器39が、それぞれ接続されている。なお、図1においては、TV受像機2、空気調和機4、キッチン内家電機器KPは、それぞれ1つしか示されていないが、複数個あっても良い。また照明器具も5A、5Bの2つだけではないが、他のものは図示を省略している。
6はブレーカーBKを介して電力が供給される電力指令装置(統合管理装置を兼ねている)であり、居住空間HA2(キッチン)の壁面等のように、家族が容易に接近できる場所に壁掛け状態で設置されているか、又は床面の上に置いてある。なお、その他の家電機器として、食器洗い乾燥機54(図4参照)や自動洗濯衣類乾燥機(図示せず)、その他の家電機器も複数あるが、これらは後で説明する。
図1において、ADは、前記した「電源タップ」である。なお、この実施の形態1では、居住空間の各家電機器EE自体から、設置されている居住空間HAを示す位置情報、部屋情報等の識別コードを電力指令装置6に対して送信するため、この電源タップは省略しても良い。
図1において、SLは居住空間HAの天井を構成する壁面を示す。7は、居住空間HA1の室内の気温と湿度を検出する複合センサー(温度・湿度センサー)であり、環境センサーの1種である。8は、居住空間HA2の室内気温と室内湿度を検出する複合センサー(温度・湿度センサー)であり、環境センサーの1種である。9は、家屋の外部空間(外壁の外側面等)に設置された温度センサーであり、環境センサーの1種である。
前記複合センサー7、8や温度センサーは、測定された温度や湿度を無線又は電気信号で、後述する電力指令装置6の環境検知部30に対して送信する機能を有している。またその電源は充電された電池でも良いし、前記電源線1からの電力でも良い。またこれらセンサーの消費電力は1W(ワット)〜数ワット程度の小さいものであるため、前記電源線1からの電力で運転する場合でも、電力指令装置6の電力制限対象にはしていないので、所定のタイミングで電力指令装置6へ計測データを継続的に送信している。
図示していないが、この他に、環境センサーの1種として、空気中の花粉の飛散量を測定する花粉センサーと、室内の騒音の大きさを検知する騒音センサーと、室内の明るさを検知する照度センサーとが、各居住空間内のそれぞれ適当な位置に設けてある。また前記複合センサー7、8の他に、室外の気温と湿度を検知する温度センサーや湿度センサーを設けても良く、花粉センサーを室内だけではなく室外(例えば家屋の外壁表面や窓の外枠、ベランダ等)にも設置しても良い。
前記環境検知部30自体は、前記電力指令装置6の本体6Aと離れた場所、あるいは別の居住空間に設置してあるが、その本体6Aと無線又は有線で接続され、本体6Aに内蔵された中央制御部27の制御を受けて環境検知情報を取得しているので、本発明の実施の形態1では「電力指令装置6の一部分」と定義する。
図1及び図6において、10は、人間が自然に発する赤外線を検知して居住空間HA1の中に人間が居るかどうかを検知できる人感知センサーである。11は、同じく人間が自然に発する赤外線を検知して居住空間HA2の中に人間が居るかどうかを検知できる人感知センサーである。なお、この他の居住空間HAにもこのような人感知センサーを設置しても良い。これら人感知センサー10、11は、人が居るかどうかを検出した結果を、無線又は電気信号で後述する電力指令装置6の人感知部31に送信する機能を有している。またその電源は事前に充電された電池でも良いし、前記電源線1から分岐して供給される電力でも良い。またこれらセンサーの消費電力は1W〜数W程度の小さいものであるため、前記電源線1からの電力で運転する場合でも、電力指令装置6の電力制限対象にはしていないので、所定のタイミング(例えば10秒毎)で電力指令装置6へ計測データを継続的に送信している。
引き続いて図1を説明する。12は、前記TV受像機のチューナ(図示せず)に接続されている屋外アンテナ、13Aは、前記電力指令装置6に接続されたルーターAであり、このルーターAは、電力指令装置6を電力会社やその家屋の地域に情報を発信する地域地震情報提供機関等の外部機関14Aにインターネット等の広域の通信回路網(「通信ネットワーク」又は「インターネット」と称する場合がある)15を介して接続している。
13Bは、前記TV受像機2に接続されたルーターBであり、このルーターBは、前記TV受像機2を、前記広域の通信回路網15を介して前記外部機関14A又はそれとは別の外部機関14B(図示せず)に接続している。
前記外部機関14Bは、例えば放送番組を提供する放送局や、医療・健康情報を提供する公的機関や民間会社等であるが、これら以外であっても良い。前記2つの外部機関14A、14Bは別々のもの、また同じ機関であっても良い。2つのルーターを総称する場合の参照符号は「13」を用い、2つの外部機関を総称する場合の参照は「14」を用いる。
前記給湯機器39は、熱源機39Hと、この熱源機の熱で作られたお湯を蓄えるタンク39Tとを備えている。熱源機39Hは例えばヒートポンプ式のものである。つまり、この実施の形態1の給湯機器は、自然冷媒ヒートポンプ給湯機である。
次に図2を参照しながら、この家庭の外部の通信環境を説明する。なお、この実施の形態1の電力指令装置6は、ルーターA13Aを介して外部機関14Aにネットワークで接続されているが、一般にホーム・ゲートウエイと呼ばれる機器を使用しても良い。この場合のホーム・ゲートウエイとは、インターネット接続やデジタル放送,IP電話などの各種デジタル情報メディアと、電力指令装置6や家電機器EEなどの端末機器との間に設置する家庭内用の機器をいい、それら電力指令装置6等をネットワーク化して制御したり,通信・放送メディアから受け取ったりした情報をそれら電力指令装置6や家電機器に伝達する役割を担うものである。常時接続型のブロードバンド・サービスで,インターネット接続に加えてIP電話やコンテンツ配信サービスを提供している際に,事業者がこのような家庭の居住者(使用者)に貸し出すルーターを「ホーム・ゲートウエイ」と称する場合が多い。
前記電力指令装置6は、図1では広域通信回路網15を介して外部機関14Aに接続されていたが、実際にはこの図2に示すように、広域通信回路網15は、15Aと15Bの2つ、又はそれ以上の数から構成されており、また中継サーバー18と、それぞれの広域通信回路網15A、15Bを介して外部機関の1つであるASP(「アプリケーション・サービス・プロバイダー」のことをいう)サーバー17にアクセスする。このASPサーバー17には、後述するデータベース17M、17Uが設けられており、多数の住宅に対応して後述する各種情報を記憶するように構成されている。
前記ASPサーバー17は、以下、「情報サーバー」と呼ぶ。この情報サーバーは、各種家電機器EEの主に制御手段及び情報提供手段として機能するもので、家電機器EEの製造業者(メーカ)、販売業者、修理業者、あるいは情報サービス提供業者等の組織が、単独で、又は2つ以上の組織が共同で設置しており、家電機器EEに関する各種サービスを、通信回路網15A、15Bを介して利用者に提供するものである。
前記情報サーバー17には、このサーバーのホストコンピュータとして機能する中央演算処理装置17CPと、通信回路網15に接続されて情報の授受を行う通信手段である通信部17IFと、前記家電機器EEのアプリケーション・ソフトウェアを記憶し、また改善ソフトウェアを蓄積している改善ソフトウェア(対策プログラム)提供部17Sと、家電機器EEの使用者を特定する利用者特定用データベース(「使用者情報データベース」ともいう)17Uと、家電機器EEの製造業者(メーカ)が提供した技術情報を蓄積したメーカ側情報データベース17Mと、家電機器EEからの運転時や停止時の物理データを受信して、異常かどうかの判定を行う判定部17Hと、が設けられている。
前記情報サーバー17は、一般に「Webサーバー」(以下「ウェブサーバー」という)と呼ばれているもので良い。ウェブサーバーは、HTTP(HTML文書や画像などのデータをWebサーバーとWebブラウザ間でやり取りするために使われるプロトコル)に則り、後述する各種情報通信端末機器20、各家庭等にあり情報通信機能を備えた前記電力指令装置6、あるはその他パーソナル・コンピュータ等のような、「情報を受け取る側」の情報処理機器(クライアント)側ソフトウェアのウェブ・ブラウザに対して、HTMLやオブジェクト(画像など)の表示情報を提供するサービスプログラム及び、そのサービスが動作するサーバーコンピュータを指す。なお、ウェブ・ブラウザは、「インターネットブラウザ」、又は「WWWブラウザ」ともいい、「World Wide Web」の利用に供するブラウザである。
前記利用者特定用データベース17Uには、炊飯器3等の家電機器EE等の利用者からの、所謂ユーザー登録により受け付けた情報として例えば情報サーバー17へのログインIDやパスワードなどの利用者固有情報、ルーターA13Aのネットワークアドレス(MACアドレス)などの設定情報、特定の家電機器EEのネットワークアドレスや種類、型名といった固有の情報(前記した「識別情報」を含む)が記憶されている。つまり、多数の家庭にある各前記家電機器EEの使用者情報を、検索可能な状態で蓄積する機能を備えている。
前記改善ソフトウェア提供部17Sには、居住空間HAの外部、例えば居住者の勤務先や外出先等の遠隔地から、電力指令装置6又は家電機器EEを遠隔制御することができるようにした制御用アプリケーション・ソフトウェアが格納・記憶されている。これにより、後述する情報通信端末機器の1種である携帯電話端末器(情報通信端末機器)20から情報サーバー17にアクセスして、制御用アプリケーション・ソフトウェアをダウンロード(読み込み)することにより、前記遠隔制御を実現することができる。
前記情報サーバー17には、家電機器EEの特定の機種モデルに対応して、家電機器EEの動作プログラムの内容を改善した「改善ソフトウェア」が保管してあり、それを電力指令装置6が広域通信回路網15を介して入手した場合、当該改善ソフトウェアは、前記入出力部29Aを介して電力指令装置6から家電機器EE側へ提供される。なお、ここでいう「改善ソフトウェア」は、「対策ソフトウェア」ともいう。改善ソフトウェアは、1回作成されるだけではなく、必要に応じ、さらに改善したバージョン・アップ版が用意される場合がある。
この実施の形態1でいう情報通信端末機器20は、使用者が気軽に携帯して屋内や屋外、その他外出先等で通話やデータ(メール情報を含む)の通信を行える端末機器のことである。電話はできないが、インターネットで情報をダウンロードしたり、メールを送信したり、遠隔操作信号を発信できる機器は「携帯用通信機器」と呼ぶ。持ち運びできる小型のパーソナル・コンピュータも、携帯用通信端末機器の1種である。
本実施の形態1における「情報通信端末機器」20は、各家電機器EEの入出力部に数センチメートル程度接近させ(又は接触させても良い)、近距離通信で信号の授受をさせる機能を備えている。なお、この近距離通信とは、Near Field Communication(略称:NFC)としてとして知られている無線通信の国際規格技術のことである。
このNFCの通信では、家電機器EE側に、いわゆる無線タグ(NFCタグ)82(図6参照)が埋め込まれている。当該NFCタグ82は、NFC用の通信制御IC(以下、「NFC制御回路」という)と、この制御回路に接続されていて、外部から所定の周波数の無線を受けると前記制御回路のための電力が発生するアンテナと、前記NFC制御回路に接続されているマイクロチップメモリー(以下、「NFC記憶部」という)とから構成されている。
一方、携帯電話端末器等の情報通信端末機器20側では、そのNFCタグを介して家電機器EEの1つである前記炊飯器3のNFC記憶部(図示せず)からデータを読み取る(ステータス情報を取得する)こと、さらには、逆に情報通信端末機器20側から制御データ(制御コマンド)を前記炊飯器3のNFC記憶部(図示せず)へ送り、炊飯器3の制御装置85が、前記NFC記憶部に記憶された前記制御コマンドに従って制御動作することができる(このような形式のNFCタグを、「アクティブ・タグ」と呼ぶ場合がある)。
炊飯器3以外の家電機器EEでも同様な構成を備えている。つまり、この実施の形態1のNFCは、家電機器EEの内部記憶装置にある情報を、情報通信端末機器20側で読み出す機能(このような機能のNFCタグを、「単純タグ」と呼ぶ場合がある)だけではなく、家電機器EE側の動作も情報通信端末機器20からの制御コマンドによって起動できる機能まで保有している。言い換えると、情報通信端末機器20は、家電機器EEからの各種情報の読み出しだけではなく、NFC記憶部への書き込み機能を有しており、リーダーとライターの2つの機能を保有している。
なお、NFCの利点は、一般的には通信で交換できるデータの形式を制限しておらず、テキストデータは勿論、動画やXMLデータ等を交換できる点にあると言われている。
広域通信回路網15Bには、中継サーバー18、広域通信回路網15Aを介して情報通信端末機器20の基地局21が接続されており、情報通信端末機器20から基地局21を介して情報サーバー15AやルーターA13Aにアクセスすることができるようになっている。
この家庭の居住者が所有している情報通信端末機器20を、図2に示すように離れた場所にある勤務先の施設22の中のように外出先から広域通信回路網15Aに接続すれば、情報サーバー17にアクセスすることができ、電力指令装置6又は電気機器EEの制御用アプリケーション・ソフトウェアをダウンロードすることにより、家庭から離れた施設22から遠隔制御することができる。
この実施の形態1においては、情報通信端末機器20から炊飯器3やその他電気機器EEに対する直接的な遠隔操作はできないようにしてある。これは家電機器EEの中には、電熱調理器等のように室内へ直接放射熱を発するものもあるため、家屋の外から多くの人が利用する通信回路を経由して遠隔操作することは、安全面を考慮して採用せず、その代わり、全て電力指令装置6を経由した操作となるようにしている。なお、この家屋(居住空間HA)の内部では、情報通信端末機器20はTV受像機2と炊飯器3の両者だけを、屋外の遠隔地からでも操作できるように制限してある。遠隔制御の内容は後で詳しく説明する。
図3は、本実施形態1の電力指令装置6の構成例を示している。この図3において、6Aは、前記電力指令装置6の本体で、外観形状は箱形状をしている。この本体6Aの内部には、後述する電力制御部23、家庭の総電力使用量の上限と制御すべき家電機器毎の消費電力使用量の上限値を定めた使用限度設定器(図示せず)や、その上限値と家電機器の使用している電力量との比較を行い、上限値を超えないように監視している比較器(図示せず)、複数の家電機器の中で、電力供給の優先順位を決める設定手段(図示せず)など、電力指令装置6の主要な構成要素が全て格納されている。
前記使用限度設定器に対して、消費電力の上限値を決めるための入力を行う表示盤24は、タッチ式入力機能を備えた入力操作部25と、その入力操作部25の入力結果や、電力指令装置6の「動作情報」を任意で表示できる液晶表示画面26とを、それぞれ備えている。
前記表示盤24は、持ち運びできる箱型形状であり、電力指令装置6の本体6Aとは、装着と取り外しが自在になっている。本体6A内部の後述する中央制御部27との情報の授受は、入出力部(インターフェース部)37を介して行う。そのために本体6A側には、入出力部38がある。
電力指令装置6の本体6A内部にある、後述する前記中央制御部27は、表示盤24の液晶表示画面にて表示すべき表示信号と、表示盤24に内蔵した音声ガイド装置(図示せず)に対する音声指令信号を、それぞれ無線によって表示盤24側へ出しているので、表示盤24が前記電力指令装置6の本体6Aから離れたとしても、居住空間HMの内部であれば、十分に表示信号と音声指令信号が到達する。また逆に表示盤24側からも入力信号が無線で電力指令装置6の本体側へ送信され、その信号は前記中央制御部27によって認識される。これら無線信号の授受は、図3に示した一対の入出力部37、38を介して行われる。
表示盤24は、居住者が帰宅した際に、居住空間HAの中の状況や各種家電機器EEの状況を直ぐに知ることができるよう、玄関の所に置いておくと良い。
電力指令装置6の本体6Aに対して、電力会社等の外部機関14Aから広域通信回路網15と前記ルーターA13Aを介して当該家屋のある地域の電力使用状態、特に電力が逼迫している情報等が提供される。つまり、電力指令装置6の本体6Aは、電力会社やその他公共機関からの電力削減要請の信号等を自動的に受信できるようになっている。
27は、電力指令装置6のホストコンピュータ機能を有する中央制御部(制御装置)であり、前記電力制御部23(及び前述した比較器、優先順位設定手段など各構成要素)を集中的に制御し、電力制限対象とする家電機器に対して、電力削減要請信号AS1、電力削減指令信号AS2の送信を指令するものである。
28は、TV受像機2に内蔵された記憶装置(大容量メモリー)で、例えばDVDや各種半導体メモリー、又はハードディスクドライブ装置(HDD)等である。
図3において、29A、29B、29Cは、有線又は無線信号を授受するための入出力部(「インターフェース部」ともいう)である。
29Aは、各家電機器EE共通に設けた無線通信用の入出力部であり、29Bは、前記ルーターA13A用に設けた無線通信用の入出力部である。また、29Cは、TV受像機2用の入出力部である。
TV受像機2の主電源が入れられている場合は、そのTV用の表示画面が駆動されておらず、何も映像が表示されない状態においても、常にTV受像機2は前記入出力部29Cによって、電力指令装置6に所定の有線(ケーブル)で接続されている。
TV受像機2は、前記入出力部29Cとは別の入出力部(図示せず)を介して前記ルーターB13B、広域通信回路網15を介して外部機関14A、14Bに接続されていることになる。これにより外部機関14A、14Bから緊急的な情報、例えば夏場の日中において、この家庭の総電力量を早急に削減(ピークカット)して欲しいという要請情報がTV受像機2に届いた場合、あるいは緊急地震情報が気象庁や居住地域を担当する地域の防災センターや地震警報センター等から届いた場合等に、それら情報をこの居住空間HAにいる居住者が早期に知ることができる。
TV受像機2を視聴していない場合であっても、緊急遮断情報が発信された場合、当該情報で起動され、情報を報知するようにしたTV受像機は従来から色々提案されているので、ここでは具体的な説明を省略する。
図3において、27Aは、記憶装置であり、電力制御部23関係のデータ、制御プログラムを格納している。炊飯器3や家電機器EEから送信された各種データや後述する「運転情報信号」も、それぞれこの記憶装置27Aの中の固有のアドレスで指定されたエリアに格納される。また、ブレーカーBKに設定された電力上限値の情報や、各種家電機器EEの消費電力量を制限するための電力量上限値のデータ、さらには居住者毎に設定された電力使用(許可)の上限値等の情報が、それぞれ記憶されている。
27Bは、記憶装置であり、後述する環境検知部30からのデータや、居住空間HMの環境の快適性を判断する制御プログラム等を格納している。また、炊飯器3を始めとする加熱調理器(誘導加熱調理器を含む)と空気調和機4等の家電機器EEから送信された異常監視データ、異常判定をするための判定プログラムを保存している。
前記記憶装置27A、27Bは、各種のRAM(ランダム・アクセス・メモリー)や、ハードディスクでも良い。また、その他半導体メモリー、CD、DVD、光カードなどでも良く、電源を切った場合でも記憶内容が保持される不揮発性のものであれば、他の方式のメモリーでも良い。
図3において、30は、前記複合センサー7、8及び屋外の気温を計測する温度センサー9で測定された温度や湿度の情報を受け取る環境検知部である。
図示していないが、前記した各居住区間HA1、HA2には、その空間における塵埃飛散度を検知するセンサーと、花粉飛散量のセンサーと、光量(可視光線量)を検知する照度センサーと、騒音センサーとを、それぞれ設置しており、それら各種環境センサーの検知情報を前記環境検知部30が受け取る構成になっている。
前記照度センサーは、居住空間HAが明るいか暗いかを見分けるためのものであり、例えば後述する人感知部31が、ある居住空間HA2に人がいないと判断している状況で、照度センサーが明るい状態であることを示している場合、居住者が照明器具5Bを点灯したままの状態であることを忘れている可能性が考えられる。そこでこのような場合は、電力指令装置6の中央制御部27は、その時点での総電力使用量が使用限度設定器で設定された上限値よりも十分に余裕のある少ない量であったとしても、電気エネルギーの無駄を無くすという観点から照明器具5Bの消灯を、別の居住空間HA1に居る居住者に(TV受像機2を通じて)報知する。その後、電力指令装置6の中央制御部27は消灯指令信号を当該照明器具5Bに発する(但し、当該照明器具を電力指令装置6の電力削減対象機器になるように、接続しておくことが必要)。
31は、人感知センサー10、11の人感知情報を受け取る人感知部である。32は、在宅検知手段(在宅検知部ともいう)であり、前記人感知部31からの人の存在を検知しているかどうかの検知信号を受ける構成になっている。
前記環境検知部30は、気温29℃で、湿度70%になった時点で「第1次警報」レベルの信号を前記中央制御部27に送り、室温が30度以上で、湿度75%を超えた場合時点で「第2次警報」レベルの信号を中央制御部27に対して送る。中央制御部27は、人感知部31が何らかの居住者等の人の存在を検知している居住空間が、前記「第1次警報」を出された場合は、以下に示す「第1次警報」を出すための処理を行う。
対策1:電力指令装置6の表示盤24の液晶表示画面25で警報出す。
対策2:TV受像機2を視聴している状態であれば、その表示画面に文字で警報出す。
対策3:情報通信端末機器20に対して、前記ルーターA13Aと広域通信回路網15とを経由して警報信号を出す。
前記対策1〜対策3の動作指令を出してから5分以内に、気温29℃未満か、湿度70%未満に改善されない場合は、当該居住空間にいる人が暑さを体感していない場合も想定されるので、この場合は、中央制御部27は次に示す「第2次警報」を出すための処理をする。
対策4:当該居住空間にある環境改善機器の内、冷房能力(気温上昇抑制効果)のある空気調和機4を強制的に運転開始する(例えば、その時の室内目標温度は27℃)。
この実施の形態1で、空気調和機2が居住空間にある場合とは、居住空間の内部に装置自体があることは勿論含む。また居住空間の外部に装置自体があっても良いが、処理された空気が居住空間内へ供給される場合も含むものである。空気調和機2が居住空間に無い場合又は電源コードのプラグが接続口から抜かれている等、運転不能であることが分かった場合は、他の環境改善機器(後述するが、例えば換気装置や空気清浄機等)を運転開始する。
また、環境検知部30は、「第1次警報」を出したかどうかに関係なく、室温が30度以上で、湿度75%を超えた場合時点で直ちに「第2次警報」を中央制御部27に対して出す。中央制御部27は、人感知部31が何らかの居住者等の人の存在を検知している居住空間が、前記「第2次警報」を出された場合は、前記した対策4の処理を指令する。対策4を指令してから以後1分経過毎に環境検知部30は、当該警報を出した居住空間の最新環境条件を計測して監視する。
居住空間HAの共通した出入口である玄関(図示せず)の外側には、電気錠33(図示せず)が設置されており、その電子錠に入力された暗証番号や生体情報(例えば指紋情報)に基づいて、居住者が帰宅したことを検知する個人認証装置34を備えている。この個人認証装置34では居住者からのパスワードの入力に基づいて、居住者であるかどうかを判定するが、その判定結果を前記在宅検知部32に送信する構成になっている。なお、玄関のドアを電子的にロックしている前記電子錠33と個人認証手段については、既に多くの構成例が提案されているので詳しく説明しないが、本実施の形態1においては、各居住者A〜Dの4名にそれぞれ固有のパスワードが割り当てられている。例えば、全ての居住者には「4桁の(共通の)数字の後に数字2文字」というルールでパスワードを決めるように指示されている。居住者Aのパスワードは「123401」、居住者Bのパスワードは「123402」、居住者Aのパスワードは「123403」となっている。なお、このパスワードは、玄関ドアの電子錠の所に設置してある10個の入力キー(テン・キー)で入力する。
居住者が、前記パスワード入力して居住空間HAの中に入った後、玄関から逆に外に出る際には、パスワード入力は必要ないが、前記人感知部31が、所定の時間(例えば30分間)に亘って全ての居住空間HAから人の存在を検知できない場合は、在宅検知部32が、全ての居住者が外出しているものと判断し、それまでに入力した全ての居住者のパスワード入力記録を取り消し、在宅状態から留守状態へ検知情報を変更する。このため、この後で居住者が帰宅した場合は、再度パスワード入力が必要となる。なお、玄関から外出する際に、各居住者が外出することを前記個人認証装置34にインプットするようにすれば、更に在宅状態の検知は正確になる。また前記したように、パスワードの入力を省略するため、生体情報(例えば指紋情報)から、居住者が帰宅したことを検知する手段に変えたり、居住者が保持している固有の身分証やIDカード等に記録された個人特定情報を、磁気的又は光学的手段で個人認証装置34に直接読み込ませたりするという方法でも良いが、詳しい説明は省略する。
図3において、35は、地震が発生したことを判定する地震判定部であり、冷蔵庫やビルトイン(組込み)式の食器洗い乾燥機又は誘導加熱調理器等のように、居住空間の所定位置に設置されて使用される家電機器EEに内蔵した震度センサー36からの震度(加速度)情報を基にして、所定レベルの震度であった場合には、瞬時に中央制御部27に地震感知情報を発信する。なお、震度センサー36は、床上を移動する電気掃除機のような移動性、可搬性の家電機器EEに設置すると、そのような移動時の振動を、地震の振動を誤って検知する可能性があるため、好ましくない。
図3において、40は、NFC入出力部であり、前記情報通信端末機器20の無線通信部(「無線入出力部」ともいう。図示せず)が所定の距離(約10センチメートル)まで接近した場合に、情報の授受が行える通信確立状態となり(1つの通信セッションの開始となる)、情報の授受が行える。
41は、リアルタイム・クロックとも呼ばれている時計回路(以下、「計時部」という)であり、商用電源又は電池(図示せず)から常に電源が供給され、長期間に亘って駆動されるようになっている。これは例えば電波時計でも良く、現在の日にちと正確な時刻を秒単位で知らせるものであり、電力指令装置6の製造段階又は設置段階で正しい日時にセットされている。従って、電力指令装置6の色々な動作(開始と終了のそれぞれ)を事前に所定の日時に予約設定することができる。例えば、外部機関14A、14Bや情報サーバー17から、有益な情報を取得して記憶部27Aの中の古いデータと入れ替え、常に最新の情報を保存する動作が自動的に実行される。
次に、図4について説明する。
図4は、誘導加熱調理器51や炊飯器3等が、居住空間HAの1つであるキッチン内にて使用されている状態を示している。
前記システムキッチン(「流し台」、「厨房家具」ともいう)50の外殻を構成する筐体50Aの内部には、以下に説明する5つの家電機器を組み込んで構成されている。すなわち、そのキッチン内家電機器として、左右2つの加熱口(トッププレートの下方空間に、誘導加熱コイルを備えた、第1の加熱口51L及び第2の加熱口51R)を有する誘導加熱調理器51と、炊飯器3と、グリル調理器(電気魚焼き器)52と、電気ヒーター付きの電子レンジ(以下「オーブンレンジ」という)53と、食器洗い乾燥機54を備えている。グリル調理器52は単独で構成されている場合もあるが、この実施の形態1では前記誘導加熱調理器2の中に一体的に組み込まれ、電熱と誘導加熱方式を併用した複合式の誘導加熱調理器の1つの加熱部として構成されている。従って、誘導加熱調理器2の主電源回路を遮断すると、前記グリル調理器52に対する電源供給も同時に遮断される構成になっている。なお、ここでは、冷蔵庫や換気扇等のその他のキッチン内家電機器は記載していない。
前記キッチン内家電機器KPは1つのブレーカーBKを介して交流200Vの電源EPと接続されている。キッチン内家電機器KPと電力指令装置6は、赤外線又は無線信号を送信・受信する関係に接続されており、キッチン内家電機器KPの各使用電力制御手段19(図8で説明する)と電力指令装置6との間で、要求電力、各調理器の調理状況や使用許可電力等の情報伝達が行われ、電力指令装置6が許可した使用電力内で使用電力制御手段19がキッチン内家電機器KPの個々の電力を、個別に制御するようになっている。
この実施の形態1では、使用電力制御手段19は、中心周波数帯が無線LAN関連規格の一つである「国際標準規格IEEE 802.11b」で定める2.4GHzのISM帯と呼ばれる周波数帯域を利用するものである。なお、炊飯器3を含む、全てのキッチン内家電機器KPでは実際の使用中心周波数は2.412GHz(2412MHz)〜2.472GHzに設定されている。
キッチン内家電機器KPには、他にオーブントースターや卓上のホットプレート、湯沸し器(電気ポット)など、何れも最大定格電力が1000W程度の機器があるが、説明を簡略化するため、具体的には図示しない。なお、キッチン内家電機器KPと前記電力指令装置6との間は、電力線搬送技術を利用して電力線を兼ねた信号線で接続し、制御するようにしても良い。
(炊飯器3の構成)
この実施の形態1における炊飯器3は、図5、図6、図7、図8及び図9に示すように、平面形状が縦長の長方形又は正方形の炊飯器本体ケース55と、蓋体56と、蒸気処理装置57から構成されている。その蓋体56又は前記本体ケース55の表面には、使用者が入力の際に操作する操作部71があり、その操作部には、炊飯開始ボタン59(図6参照)を有しており、周知のように炊飯開始ボタン59が押されると自動的に炊飯をスタートし、吸水工程を経て沸騰工程で一気に炊き上げ、ご飯を炊ける調理器である。なお、炊飯後は一定の時間(例えば7時間)は保温ヒーター(図示せず)によってご飯は所定の温度(例えば70℃)を維持するように保温される。炊飯器3は、使用者が自由に持ち運びできるので、システムキッチン1以外の場所で使用することも可能である。
図5において炊飯器3を説明する。
前記本体ケース55の内部には、上面が開口した平面形状円形の磁性金属製又は炭素製の内釜60と、この内釜の上面開口を開閉自在に閉塞するよう前記本体ケース55の後部の一側縁部にヒンジ機構で支持された前記蓋体56と、前記内釜60を加熱する加熱手段61(図7参照)を備えている。この加熱手段は、誘導加熱方式のヒーター(加熱コイル)が用いられ、そのヒーターは、前記内釜60の外側底面に広い範囲で密着又は微小間隙を置いて対面するように設置されている。
前記蓋体56の内側には、その蓋体56を閉じた時、内釜60の上面と蓋体56の間から蒸気が外部に漏れないように、環状のゴム製蓋シール材を外周縁部に装着した良熱伝導性金属からなる円形の内蓋62が、着脱自在に固定されている。この内蓋62の一部には、内釜60で発生した蒸気を外部に排出するための蒸気発生口63が形成されている。
前記蓋体56には、その上面に臨むように液晶表示部64(図6参照)が収納されている。この液晶表示部の表示画面には、炊飯開始前の各種条件設定情報や、実行されている炊飯工程の情報などが視覚的に認識できるよう、文字や記号、イラストなどで表示される。また加熱手段61の動作状態や炊飯に参考となる関連情報(異常使用を注意する目的や異常運転状態の発生を知らせる目的のものを含む)も前記液晶表示部64の表示画面にて適宜表示される。
65は、一端が前記蒸気発生口63に接続され、終端部に蒸気排出口66が形成された蒸気ダクトであり、蓋体56の中に略水平方向に設置されている。
前記蒸気処理装置57は、蒸気発生口63から排出される蒸気を復水する処理を行うための水が貯蔵できる上面が開口した水タンク(図示せず)と、その水タンクの上面開口部を開閉自在に覆うタンク蓋66とを有している。
67は、前記タンク蓋66に、前記蒸気排出口66に対応する位置に設けた蒸気導入口である。この導入口の下方には、その導入口に連通した連通管(後述する)を設けている。前記蓋体56を閉じた状態では、前記内蓋62によって内釜60の上面開口部が密閉されるとともに、前記蒸気導入口67が前記蒸気排出口66に密着状態に接触する。
前記連通管(図示せず)は、前記タンク蓋66の下面に上端部が固定され、水タンク(図示せず)の中の水中に大部分が没するように垂直に設置されている。その連通管の下端は、水タンクの中に溜めた水の水面から一定深さ位置(H)位置に位置するように、その垂直方向の長さと水タンクの大きさ(高さ)との関係が考慮されている。これにより前記連通管の下端開口から放出された蒸気が、水タンク内の水に十分に接触し、冷却されて水に戻るようにしている。
従って、前記一定の深さ位置(H)は、最大火力で加熱手段61が通電された場合でも、蒸気発生口63から発生する蒸気の全てを復水できるように設定されており、高温の蒸気が前記連通管の下端開口から水中に出た段階で、蒸気気泡が水中を吹き上がる速さと、蒸気が冷えて水に戻る速さとから決定される。ここでいう「蒸気」とは、後述する「炊飯工程」と「むらし工程」において内釜60内部で発生し、連通管に導かれる蒸気のことをいうが、この実施の形態では、「吸水工程」〜「保温工程」までの蒸気は全て回収可能である。なお、保温工程とは、この実施の形態では、「むらし工程」の終了後7時間までをいうが、この時間の長短は適宜変更可能である。
なお、前記蓋体56を閉じた状態では、前記蒸気ダクト65の末端部にある蒸気排出口66のシール材が、前記タンク蓋66の蒸気導入口67に密着状態に接触し、蓋体56の内部を通過する高温の蒸気が途中で外部に連通することなく水タンク(図示せず)の連通管の内部まで確実に到達する。
次に図6において炊飯器3の蓋体56について説明する。図6は、炊飯器3を上面から見た図であり、64が前記液晶表示部である。
68Aは、主電源スイッチ68の操作ボタンである。
69は、後述する「炊飯工程」の中の「強火」工程を実行している状態であることを示した表示情報であり、文字で「沸騰中」と表示される。
70は、この家電機器(炊飯器3)が、この時点では電力を優先的に確保する(炊飯工程の強火加熱)工程に入っていることを示す表示情報である。この表示情報70が表示されている期間中は、電力指令装置6から電力指令削減指令信号が出されず、強制的に電力の供給が制限されることはない。言い換えると、電力指令装置6から電力削減要請信号AS1や電力削減指令信号AS2等のような指令が出されることがないことを、炊飯器3が保証していることを示す情報である。なお、炊飯器3が、電力削減指令信号AS2を受けた場合には、「電力削減中」などの表示に変わり、それは前記した「家電機器側の電力制限情報」の1種である。
71は、炊飯器3の操作部であり、炊飯動作を開始したり予約を確定したりする「炊飯開始ボタン」59、炊き上がった米飯を一定の所定の温度で保温するモードを開始する「保温キー」72、通常の炊飯やおかゆや炊き込みご飯などの各種炊飯メニューの選択を行う「メニューキー」73、白米や玄米など炊飯するお米の種類を選択して入力する「お米キー」74、炊飯器3の状態と次に必要な操作を音声にて報知したり報知する音量を調整したり音声モードの入り切りを行う「音声ナビゲージョン用キー」75、予約炊飯機能の設定を行う「予約キー」76、各種入力操作やモードを取り消し又は切るための「切/取消キー」77、炊き方(炊き加減)の「ふつう」、「かため」、通常炊飯とは異なる「おかゆ」をそれぞれ選択できる「炊き方キー」78を、それぞれ備えている。
これら各キー72〜78は、使用者が押すことによって内蔵された電気接点が閉じられ、入力信号が発生するような機械的スイッチ又は静電容量式のタッチ式スイッチの何れでも良く、また組合せて使用しても良い。
予約炊飯機能の設定を行う予約キー76では、「時間予約炊飯モード」と「位置対応予約炊飯モード」の選択ができる。例えば、予約キー76を1回押すと、「時間予約炊飯モード」の選択になり、次にもう1回押すと「位置対応予約炊飯モード」の選択ができる。さらにもう1回押すと再び「時間予約炊飯モード」の選択ができる。なお、「時間予約炊飯モード」と、「位置対応予約炊飯モード」を選択する前の状態では、液晶表示部64に時間設定用の入力用タッチキーが表示される。
また後述する情報通信端末機器20において「時間予約炊飯モード」と「位置対応予約炊飯モード」の何れかを選択し(「時間予約炊飯モード」では更に希望の炊飯完了時刻まで指定し)、この状態でNFC入出力部81に情報通信端末機器20を接触又は近接させて、炊飯モードの入力を簡単にできるようにしても良い。
79は、一度押すことによって消費電力を所定量だけ減らすことができる節電スイッチである。例えば、予熱工程でこの節電スイッチを押すと、最初の数分間だけ消費電力が減らせるが、その分予熱工程の所要時間が長くなるので、液晶表示部64の表示画面にはその旨注意事項が表示され、また前記音声ガイド(ナビゲージョン)用キー75をその都度押さなくても「節電モードを選択しました。予熱工程の時間が数分間延びます」というような案内が行なわれる。
80は、一度押すことによって、健康的な炊飯に関する情報を液晶表示部64に表示する健康情報表示キーである。なお、このキーを押した場合、電力指令装置6を介して情報サーバー17や外部機関14A、14Bから米や炊飯方法等の情報を入手するようにしても良い。
81は、NFC入出力部を有した情報通信端末機器20を接近させて、近距離無線通信を可能とするためのNFC入出力部であり、蓋体56の上面に接近してその内部に埋め込まれている。さらに蓋体56上面には、NFC入出力部81の無線タグ(NFCタグ)82の位置を使用者が容易に視認できるよう、情報通信端末機器20を接近又は接触する目標位置を「TOUCH」と文字で表示している。
次に図7において、炊飯器3の主要な制御手段の構成について説明する。図7は、炊飯器3を構成する主要な制御手段を示すブロック図である。
83は、炊飯器3の全体の制御機能を担当する制御手段であり、電源部84と制御部85とから構成されている。制御部85は、1つ又は複数のマイクロコンピューターを中心に構成されている。マイクロコンピューターは、入力部と、出力部と、記憶部と、CPU(演算制御部)の4つの部分から構成され、前記電源部84を介して直流電源が供給され、加熱手段61と液晶表示部64とを制御する中心的な役目を果たすものである。
前記制御部85には、加熱手段61の動作条件として内釜60底面の温度と米飯の温度との相関テーブル、各炊飯メニュー(白米、無洗米の選択、炊き加減の「ふつう」、「かため」、通常炊飯とは異なる「おかゆ」)、がそれぞれ不揮発性の半導体記憶部85R(図示せず)の中に記憶されている。
さらに炊飯を行う工程として「予熱工程」、「炊飯工程」、「むらし工程」及び「保温工程」という4つの工程を順次実行するような制御プログラムが前記記憶部85Rに記憶されている。なお、ここでいう「動作条件」の一つとして通電条件があり、この通電条件とは、加熱手段61の電気的、物理的な条件を言い、加熱手段61の通電時間、通電量、通電パターン(連続通電、断続通電、通電率等)等を総称したものである。
図7において、内釜温度検知部86は、圧縮バネ等により内釜60の底面に下方から圧接され、内釜60底面の温度を検知しその検知信号を出力するもので、サーミスタ式温度センサーを使用している。71は、前記本体1の蓋体56上面前方部に設けた操作部である。
図7において、99は、時間を計測する計時手段(時計回路)で、これが出力する計時信号が前記制御部85に入力されるとともに、前記液晶表示部64に対して現在時刻や設置時刻情報が出力されるので、それら時刻が液晶表示部64の表示画面上に表示される。 この計時手段は、炊飯器3の電源コードを電源供給口から引き抜いて(切り離して)も、炊飯器3に内蔵された電池(図示せず)によって長期間稼動するようになっている。なお稼動時に電波時計のように外部からの時刻情報を得て、現在時刻にズレが無いように自己修正する機能を持たせても良い。
図7において、88は、前記水タンクの中に貯められた水の量を水位で検知する水位センサーで、水タンクの水位を、光や重量その他の物理条件で把握するものであり、本体ケース41の前方部の水タンクと対向する部分に設けている。
図7において、89は、前記水タンクの中に貯められた水の温度を検知する水温センサーであり、前記水タンクの側壁を介して水温を検知するように、水タンク壁面と対向する部分に設けてある。
次に図8について説明する。
19は、前記した使用電力制御手段であり、電力指令装置6からの指令信号を受けて炊飯器3の電力を制御する。また後述する運転情報信号L1〜L8(図12参照)を電力指令装置6へ送信するため、無線通信部90(入出力部)を内蔵している。無線通信部90の実際の使用中心周波数は2.412GHz(2412MHz)〜2.472GHzに設定されている。
図8において、91は、温度検出回路であり、前記水温センサー89と、内蓋62の上方に設置され、内釜60の内部温度を検知する温度センサー(図示せず)と、内釜温度検知部86、の3者からそれぞれ温度検出信号を受け、その検出温度を制御部85へ送る。
92は、前記加熱手段(誘導加熱式のヒーター)61に高周波電力を供給するインバーター回路である。なお、この図では直流電源回路は記載を省略してある。
93は、前記内蓋62の上方空間内に設置され、内蓋を加熱する保温用ヒーターであり、94は、その駆動回路である。後述する保温工程でこの保温用ヒーター93は通電される。
95は、前記液晶表示部64を駆動する駆動回路である。96は、前記音声ナビゲージョン用キー75によって操作部71から入力された炊飯条件や、異常発生時の情報等が音声で案内される音声合成装置であり、97は、その音声合成装置からの音声を報知するスピーカである。98は、炊飯器本体ケース55から任意に引き出せる電源コードであり、その先端部には電源プラグを備えている。
図8において、100は、遠隔制御部であり、無線通信部90(入出力部)を介して受信した電力指令装置6からの指令を、制御部85に伝達する。
101は、待機判断部である。これは前記電力指令装置6からの指令内容が、所定時刻で運転開始することであった場合、現在時刻からその指定時刻の所定時間(例えば5分間前)までの間は、待機状態にするため、制御装置85への電源部84を遮断しておく。このような待機状態になると、前記電源部84から制御部85への直流電流の電源供給が一時的に遮断され、液晶表示部64も動作停止する。これにより制御部85側での電力消費を無くし、使用電力制御装置19側だけが、待機判断部101で指定時刻の到来までの時間を計算する処理を継続することになる。
102は、待機判断部101と遠隔制御部100の動作をするために必要なデータ(制御部85から取得した異常発生時のデータ含む)を、少なくとも12時間だけ保存する一時的な記憶部である。記憶内容は、次回の炊飯動作の開始時に、主電源スイッチ68がONされ、電源部84が起動された際に、自動的に消去される。
(炊飯器の基本動作)
次に図9について説明する。炊飯器3の炊飯動作について説明するが、予約炊飯ではなく、使用者が直ぐに炊飯を始める場合について説明する。
この実施の形態1の炊飯器は、図9に示すように、予熱工程、炊飯工程、むらし工程及び保温工程という4つの工程を順次実行するように前記制御部85に制御プログラムが記憶されている。
まず、電源コード98の電源プラグを給電部に接続し、本体ケース55から取り外した水タンクのタンク蓋66を取外し、水タンクの中に外部から水を入れる。そして、内釜60内に米と水を規定量入れる。
主電源スイッチ68の操作ボタン68Aを押すと、液晶表示部64が起動されて必要な表示がされ、また音声ガイド装置の一部であるスピーカ97から、炊飯条件設定に関する情報が音声で案内される。
次に、本体ケース55の蓋体56上面にある炊飯開始ボタン59を押圧して炊飯を開始する。これにより、加熱手段61が加熱され炊飯を行う。この最初の段階では、まだ吸水工程であるので、「電力が削減される可能性がある」ことを文字で示す表示情報(図示せず)が液晶表示部64に表示されている。これによりこの炊飯器3を使用する最初の段階で外部からの指令によって電力削減動作が行われる家電機器であることが使用者には分かる。
図9において、予熱工程H1において加熱手段61は最初強火力となるよう連続通電パターンで通電が開始されるが、内釜60内部の温度が所定の温度(55℃)に達したことを温度検知部86が検知すると、この情報が制御部85に入力され、55℃を維持するように通電量が抑制され、また通電が間欠的になるので、ほぼ蒸気は発生せず、水タンクにおける蒸気処理(復水処理)も行われていない。この55℃維持の状態を一定時間以上続ける。55℃になった時点からの経過時間を時計回路87が計測し、この計時信号が前記制御部85に入力されて予熱工程H1の終了時間が制御される。
次に、炊飯工程H2に入ると、最初の強火工程H2Aでは、加熱手段61の火力が強くなり徐々に内釜60内の水温が上昇し内釜60内の水が沸騰に達する。沸騰が激しくなり蒸気量が増すと、内釜60の中は大気圧よりも圧力が上昇し、内釜60内で発生した蒸気は、その圧力により押出されて蒸気発生口63から蓋体56の内部の蒸気ダクト65で構成された密閉空間に入る。その後蒸気ダクト65から蒸気処理装置57となる水タンクへ蒸気が噴出する。つまり炊飯工程H2は、最大火力、例えば1300Wで加熱される強火工程H2Aと、その後の、弱火工程H2Bの2つから構成されている。
前記炊飯工程に入ると、「電力が削減される可能性のあること」を示す表示情報(図示せず)が液晶表示部64から消え、代わりに図6で示したように、「電力供給が優先されている」ことを示す表示情報70が液晶表示部64に表示される。
これにより電力が優先的に確保されて炊飯動作が行われていることが使用者には分かる。なお、音声合成装置96によって同じ趣旨を音声で報知しても良い。なお、電力指令装置6からは、この最初の強火工程H2Aに入ると、仮に電力指令装置6が使用電力制御手段19に対し、電力削減要請信号AS1又は電力削減指令信号AS2に相当する指令信号を送信しても、制御部85は、そのような指令は無視するため、強火工程H2Aで、使用電力が削減されることはない。言い換えると、制御部85が定めた火力で強火工程H2Aは実行される。
そして、蒸気処理装置57となる水タンク内に流れ込んだ蒸気は、連通管(図示せず)の下端開口から水中へと噴出し、そこで水タンクの中の水と接触して熱を水に奪われ結露して水に戻る。
このようにして、蒸気が処理されることにより、内釜60から発生した蒸気が外部に漏れるのを防止し、炊飯時の蒸気が直接室内空間に放出され、不快な湿気の増加を防ぐことが可能となる。
そして、炊飯工程の途中の時点(これは沸騰状態に至った時点からの経過時間を、前記制御部85が計測していることで実現している)からは加熱手段61の火力は弱火工程H2Bになり、終わりになると水蒸気化して放出されてしまっている内釜60内部にあった水分が少なくなり、内釜60内部温度はそれまで100度強であった状態から130℃程度まで急上昇する。するとこのような急激な温度上昇を前記温度検知手段86が検知し、温度検出回路91から制御部85に温度検知情報を入力するから、制御部85は炊飯完了と判断する。
また前記弱火工程H2Bに入った時点で、液晶表示部64に表示されていた「電力優先」を示す表示情報は消える。なお、この弱火工程や前記予熱工程で、電力制御装置6から電力削減要請信号AS1を受けた場合は、そのことが前記液晶表示部64に表示される。
次に、むらし工程H3に入り、炊飯が進行していくと、時間の経過に伴い蒸気発生量が徐々に少なくなり、炊飯が終了すると、内釜60内が冷えて圧力が低下する。なお、これにより、蒸気ダクト65内部の圧力が低下するが、タンク蓋66の下方にあって、水タンク(図示せず)の中の水中に大部分が没している連通管(図示せず)の上部には、逆止弁(図示せず)があるので、その逆止弁から外部の空気が吸い込まれ、内釜60内の圧力は元の大気圧に近い状態まで戻るので、水タンク内の水が蓋体56側に吸い上げられて、内釜60側へ逆流するという不測の事態を防止できる。
なお、炊飯中に発生する蒸気量は、米の種類(白米、無洗米等)、炊き方(かたさ、粘り)、メニュー(通常の炊飯や、おかゆ)等の組合せにより異なるが、いずれの場合においても、確実にその調理メニューを終了するまでの過程で蒸気処理を行い、炊飯完了後の水タンク内の水温も、やけどしない温度、例えば55℃以下となるように、水タンク内の水容量は設定されている。
炊飯完了後は保温工程H4に移行し、前記加熱手段61とは別に設けた保温ヒーター93によって内釜60の温度は所定温度、例えば70℃に維持される。
前記したように、蒸気は炊飯工程H2とむらし工程H3で主に発生するので、本発明の実施の形態1では、これら工程における放出される蒸気量を計算や実験等で確かめ、また水タンクの水量と水位を設定した。仮に十分な水量があっても、水中の浅い位置で蒸気を水中に噴出させると、十分に蒸気と水とが接触できない状態のまま蒸気が泡状のまま上昇して水面から大気に放出されてしまうということが分かった。そこで、この実施の形態1では水位センサー88により、炊飯工程の最初の吸水工程開始前に前記制御部85は水位センサー88の検知情報から水タンク内部の水量が十分であるかどうかの判定を行っている。
さらに、前記水タンクに貯められた水の温度を検知する水温センサー89を有しているから、当該水温センサーの出力を受けて温度検出回路91から水タンクの温度情報が前記制御部85へ送信され、制御部85は、水タンク内の水の温度が所定温度よりも高いかどうかを判断できる。もし異常に高い場合には、前記制御部85は加熱手段61に通電開始の動作を実行しないので、予熱工程さえ実行しない。
さらに一旦炊飯工程に入ってしまった後では、炊飯完了時まで前記水タンクの水温が所定の温度範囲になるように設定されているが、何らかの原因(例えば調理器の設置空間の室温が急激に上昇した場合)で前記水タンクの水温が所定温度よりも高くなってしまった場合でも、それを水温センサーが検知できるようになっており、そのような場合には、前記制御部85は加熱手段61の通電条件を変え、実質的な火力を弱める動作を実行するように前記制御部85の制御プログラムは設定されている。但し、この火力抑制の程度は本来の炊飯動作、炊き上がりに支障が出ない範囲で行われる。また火力を弱める手段として供給電力量自体を減らすことや通電率を下げることなど適当な手段を用いれば良い。
この実施の形態1では、炊飯開始時に水温35℃以下の場合は炊飯動作開始され、35℃超の場合は炊飯操作に入らないようになっている。これは炊飯終了時に水タンクの水温の温度が異常高温領域にならないように考慮したものである。
前記炊飯器3で、炊飯性能に最も大きな影響を与えるのは、炊飯工程H2の最初の強火工程H2Aである。そこでこの炊飯器3では、制御部85は、この強火工程H2Aを「優先調理メニューの実行時間帯」に指定している。つまり実行中の調理メニューが、この「優先調理メニューの実行時間帯」にあるかどうかを常に把握し、もしその実行時間帯にある場合には、その旨を、使用電力制御手段19を通じて電力指令装置6に報知する機能を有している。これによって不用意に電力削減が行われることを防止している。またこの強火工程H2Aに入ると、表示情報70Cが液晶表示部64に表示され、電力が優先的に確保されて炊飯動作が行われていることが使用者には分かる。
この実施の形態1の炊飯器は、炊飯中に発生する蒸気を、前記蒸気処理装置57によって回収するタイプのものであったが、そのような蒸気処理装置57を備えず、炊飯中に蒸気を室内空間に放出するタイプのものであっても良い。
(情報通信端末機器の構成)
次に、図10を参照しながら、情報通信端末機器20の構成を説明する。
情報通信端末機器20は、スマートフォンと呼ばれる高機能携帯電話や、携帯できるタブレット型のパーソナル・コンピュータ等である。
情報通信端末機器20は、液晶表示画面130Aを有する表示部130と、使用者が操作する複数の入力キーを有する操作入力部(操作部)131と、無線インターフェース部(通信部)132と、姿勢検知部133と、マイクロコンピューターを内蔵した制御部134と、操作場面に応じた複数種類の合成音声を出力し、かつ必要に応じて振動を発生させる小型バイブレータを内蔵した報知部143と、を備えている。このバイブレータが音声を出す(鳴動)するときに、それと同期して振動させることができ、これにより使用者に表示部130だけでは確実に操作状況等を伝えることができない状況でも、音と振動でそれを補うことが期待できる。
前記通信部132は、2つの入出力部から構成され、その1つは、前記広域通信回路網(通信ネットワーク)15との間で所定の通信を行う無線インターフェース部132Aである。、他の1つは、前記電力指令装置6のNFC入出力部40及び炊飯器3のNFC入出力部81との間で近距離無線通信する無線インターフェース部132Bである。
前記表示部130、操作部131と、無線入出力部132、姿勢検知部133、後述する制御部134、報知部143は、信号線(図示せず)で相互に接続されている。前記姿勢検知部133には、ジャイロセンサーを備えており、使用者が情報通信端末機器20を(左右・前後方向に)傾ける際の姿勢を検出して、当該姿勢を示す信号を前記制御部134に出力する。
制御部134は、大きく分けて中央演算処理装置(CPU)135と、半導体記憶素子を主体に形成された記憶部136とを備える。CPU135は、記憶部136の中にあるROM、RAM部137に格納されている制御プログラムに従って、情報通信端末機器20全体の処理を実行するものであり、処理を実行する過程で必要なデータを前記ROM、RAM部137から読み出したり、処理を実行する過程で生成したデータを、前記ROM、RAM部137に格納したりする。
前記記憶部136には、家電機器EE(実施の形態1においては、少なくとも炊飯器3)のためのアプリケーション・ソフトウェアを格納することができるアプリケーション処理部138がある。このアプリケーション処理部138は、また電力指令装置6の表示盤24のためのアプリケーション・ソフトウェアも格納する。アプリケーション処理部138のソフトウェアは、情報通信端末機器20の外部からインストールされたものでもよいし、情報通信端末機器20の製造・出荷時から記憶部136に格納されているものでもよい。
前記情報通信端末機器20は、前記情報サーバー17から、広域通信回路網15を経由して所望のアプリケーション・ソフトウェアをダウンロードし、前記記憶部136のアプリケーション処理部138に格納することができるようになっている。
前記CPU135が上記のアプリケーション処理部138に従って処理を実行することによって、所定の受信処理部139、送信処理部140、通信確立部141、表示制御部142、選択確定部143、の各機能が実現される。これら各部分の動作について後で説明する。
情報通信端末機器20は、この情報通信端末機器20自体の現在位置を検出する位置検出部145と、位置情報記憶部146及び距離情報算出部147を、それぞれ備えている。
前記位置検出部145は、GPS衛星148から送信されているGPS信号を受信し、その受信した信号を解析して、情報通信端末機器20の地球上の現在位置を算出する機能を有している。つまり、この位置検出部145によって、情報通信端末機器20の地球上の現在位置は、リアルタイムで把握される。
距離情報算出部147は、事前に位置情報記憶部146に登録された物体(「目標物」という)の位置情報と、情報通信端末機器20との現在位置の情報とに基づいて、その目標物までの距離を算出する機能を有している。算出した距離の情報は、「距離判定情報信号」として制御部134に出力される。そして、制御部134からその距離判定情報信号が、無線入出力部132を介して外部へ発信される。なお、この実施の形態では、算出した距離の情報とは例えば100m単位であるが、それ以外でも良い。これは入力部131を操作して使用者が一定の単位の中から選択して設定できる。
情報通信端末機器20は、目標物の一種として前記電力指令装置6を登録設定した場合、その電力指令装置6が設置された居住空間HAの中に存在する全ての家電機器EE、例えば炊飯器3までの距離も、数m程度の差しかないので、個々の家電機器EEを目標物に設定登録する必要はない。しかし、この実施の形態1では、個々の家電機器EEに対して、情報通信端末機器20から後述する「予約運転条件を示す遠隔操作信号」、「予約炊飯実行の照会信号」や「予約運転実行の照会信号」を送信するため、個々の家電機器EEを目標物に設定登録している。この設定登録は、情報通信端末機器20を変更したり、居住空間HAが転居により変更したりしない限り、個々の家電機器EE毎に1回行えば良いが、詳細は後で説明する。
電力指令装置(統合管理装置)6を利用する場合、個々の家電機器EEの設置位置の情報を、情報通信端末機器20に個別に登録することは必ずしも必要ではなく、電力指令装置(統合管理装置)6の設置位置情報を1回だけ情報通信端末機器20に読み込ませることで、登録を一括して行うようにしても良い。
前記制御部134は、距離判定情報信号の時間的変化を監視している機能もあり、一定時間毎の変化値から、情報通信端末機器20の移動速度を算出する機能がある。例えば1分間隔で距離判定情報信号が示す距離の変化を算出し、「分速100m」、「分速300m」等の「移動速度情報」を生成し、これを「距離判定情報信号」と同時に送信し、又はその信号送信後に引き続いて送信する動作を行う。このため、情報通信端末機器20から「距離判定情報信号」と「移動速度情報」を受信した電力指令装置6では、電力指令装置6が自分の位置まで情報通信端末機器20が移動して到達する推定時間を計算で求めることができる。
この実施の形態1では、情報通信端末機器20と炊飯器3との間には、電力指令装置6が介在している形であり、直接通信を行う構成になっていないが、直接通信する方法を採用した場合でも、実施の形態1の炊飯器3側では、前記「距離判定情報信号」と「移動速度情報」を受信することにより、炊飯器3の設置位置まで情報通信端末機器20が移動して到達する時間を求めることができる機能を備えている。
(情報通信端末機器と家電機器の初期設定)
特定の情報通信端末機器20から、「予約運転条件を示す遠隔操作信号」、「予約炊飯実行の照会信号」や「予約運転実行の照会信号」を送信した場合、この実施の形態1では、それら各種信号を直接受信するのは、炊飯器3等の家電機器EEではなく、電力指令装置6であるので、最初に情報通信端末機器20を特定する固有情報を、電力指令装置6のNFC入出力部40を通じて中央制御部27に読み込ませ、登録することができる。これにより、以後は広域通信回路網15からルーターA(13A)を通じて電力指令装置6に各種通信を行うことができる。また、情報通信端末機器20も、電力指令装置6側から連携動作をするための制御プログラムがインストールされ、また電力指令装置6の固有情報を取得できる。
この実施の形態1では、個々の家電機器EEに対して、情報通信端末機器20から後述する「予約運転条件を示す遠隔操作信号」、「予約炊飯実行の照会信号」や「予約運転実行の照会信号」を送信するため、炊飯器3を目標物の1つに設定登録している。この場合、最初に情報通信端末機器20を特定する固有情報を、炊飯器3のNFC入出力部81を通じて制御部85に読み込ませ、登録することができる。また情報通信端末機器20側も炊飯器3と連携動作をするための制御プログラムがインストールされ、これにより、以後は広域通信回路網15からルーターA(13A)と電力指令装置6を介して各種通信を行うことができる。情報通信端末機器20も、炊飯器3の固有情報、識別情報を取得できる。
情報通信端末機器20は、図2で説明したように、情報通信端末機器20を情報サーバー17にアクセスして、電力指令装置6や炊飯器3の制御用アプリケーション・ソフトウェアをダウンロードし、電力指令装置6や炊飯器3と連携動作をするための制御プログラムをインストールするようにしても良い。
炊飯器3や電力指令装置6を目標物に設定登録する1つの方法は、居住空間HAの中で情報通信端末機器20を使用して、情報通信端末機器20の現在位置情報検出機能を働かせる。すると情報通信端末機器20で現在位置情報が表示部130に表示されるので、その状態で炊飯器3のNFC入出力部81を通じて制御部85に読み込ませ、登録する。これにより、情報通信端末機器20では、炊飯器3の設置位置情報が登録される。
同様に、情報通信端末機器20で現在位置情報を読み出した状態で、電力指令装置6のNFC入出力部40を通じて中央制御部27にその現在位置情報を読み込ませ、登録する方法である。これにより、情報通信端末機器20の中に、電力指令装置6の設置位置情報が登録される。なお、他の方法としては、実際のその居住空間のある家屋の情報(緯度・経度情報や、正確な住所情報に基づく住所コード等)を、情報通信端末機器20の入力部131によって直接制御部134にインプットする方法がある。
(電力指令装置の基本動作)
次に、図11を参照しながら、電力指令装置6の基本動作を説明する。
1つのキッチン内家電機器KP、例えば前記した炊飯器3には、「優先調理メニューの実行時間帯」があった。
また誘導加熱調理器51においては、複数個の加熱手段(加熱口)51L、51Rがあり、その1つが「優先調理メニューの実行時間帯」にあって現実に調理実行中であり、他の加熱手段では、「優先調理メニューの実行時間帯」にない場合、前記「優先調理メニューの実行時間帯」にある加熱手段については電力が維持され、前記他の加熱手段の電力が削減対象になるものである。
電力確保の優先度は、炊飯器3、誘導加熱調理器51が、高い。これらの次に空気調和機7、給湯機器39、食器洗い乾燥機54の順で電力確保の優先度が定められており、これによって使用者の作業性が損なわれるのを防止している。
空気調和機4は、キッチン内には設置していないが、同じブレーカーBKを介して電力が遮断される構成になっているので、炊飯器3、誘導加熱調理器51よりは低い順位に設定されている。そして食器洗い乾燥機54よりも優先度は高く設定されている。
次に、1台の空気調和機4、誘導加熱調理器51と炊飯器3が同時に使用されている場合で、電力指令装置6から総電力量を下げるという指令が発せられた場合について説明する。
図11において、各キッチン内家電機器KPと空気調和機4からの電力要求結果を、電力指令装置6の要求電力加算器(図示せず)にて集計した結果、合計電力がブレーカー容量(例えば、8000W)を超えていない場合ではあるが、使用者が前記使用限度設定器の表示画面(表示盤24の表示画面26)を見て自発的に使用電力上限値を下げた場合について説明する。
この場合、図11のように電力指令装置6は、最初のステップ1で、総電力下げの指令が外部から与えられたもの判断する(ST1)。
そして、新しい上限値(第2の上限容量。例えば7000W)と、各キッチン内家電機器KP及び空気調和機4からの電力要求結果とを比較器(図示せず)で比較し(ST2)、上限値を超えている場合は、電力削減幅を、使用電力削減幅決定手段(図示せず)によって決定する(ST3)。
そして優先度に従って、使用中の空気調和機4に電力削減指令を発する。この指令を受けて空気調和機4は使用電力を削減する(ST4)。前記電力削減幅が300Wであった場合には、空気調和機4は冷房の目標温度が26℃であったものを28℃に変更することにより、空気調和機4で最も電力を消費する電動圧縮機(図示せず)の回転速度を落として、電力消費量を少なくした省エネ運転に変更される。なお、目標温度と現在の室内温度との相関関係から、電動圧縮機の回転速度を低下された場合の使用電力量は予め実験などで求めてあり、そのデータは空気調和機7側に記憶されてあるので、電力指令装置6からの電力削減要求に従って瞬時に電力削減運転のための電動圧縮機(図示せず)の運転条件が決定される。
仮に、前記空気調和機4が使用されていない場合、炊飯器2と誘導加熱調理器51は、何れも直ちに電力削減対象にはならない。何故ならば、炊飯器3は強火工程(沸騰工程)H2Aを実行中であり、また誘導加熱調理器51も「優先調理メニューの実行時間帯」にあるからである。
その後、空気調和機4は使用電力を300Wだけ下げたことを電力指令装置6に報知する。電力指令装置6ではその後、各キッチン内家電機器KPや空気調和機4からの電力要求結果を再度集計した結果(ST5)、その電力要求合計値が小さく、電力削減幅300Wを超えるような余裕がある場合、例えば、上記した新しい上限値(7000W)に対し、その時点の電力要求合計値が6500Wを超えていない場合は、500Wの余裕があることになるから、以前に300Wだけ削減した空気調和機4の使用電力を元のレベルまで戻すことを空気調和機4に事前に提案(報知)する。空気調和機4では、その報知から所定時間内に自動的に目標温度を26℃に下げる運転に復帰する(ST6)。なお、空気調和機4は図10に示すように、使用電力を削減する動作を行った場合及び電力を増やす動作を行った場合、その直後にそれぞれ電力指令装置6に使用電力の情報を送信する。
このように、各キッチン内家電機器KPは、その電源投入から電源遮断までの全工程において、運転情報(調理メニューの実行や、火力の設定など)が随時電力指令装置6に送信されている。また空気調和機4でも、その電源投入から電源遮断までの全工程において、運転情報(冷房・暖房運転メニューの実行や、目標温度の設定など)が随時電力指令装置6に送信されているので、常に複数の家電機器EEの電力使用状況を把握することができる。これについて以下詳しく説明する。
図12は、炊飯器3を代表的な例として、その電源投入から電源遮断までの全工程において、運転情報(調理メニューの実行や、火力の設定など)が随時電力指令装置6に送信されている状況を示したタイムテーブルである。他のキッチン内家電機器KPや空気調和機4においても基本的に同じように運転情報を随時電力指令装置6に送信している。
図12において、L1〜L8が、炊飯器3から電力指令装置6に送信される運転情報信号である。L1は、主電源投入(ON)を示す信号で、前記主電源スイッチ68の操作ボタン68Aを押した時点で発信される。なお、後述する異常発生報知信号ESも、運転情報信号の1つである。
L2は、予約炊飯モードを選択した情報である。L3は、炊飯開始の予約時刻が接近した場合(例えば、予約炊飯の設定時刻の5分前)、発信される予告情報(「開始要請信号」ともいう)である。なお、時間予約炊飯モードと位置対応予約炊飯モードの何れを指定したかどうかは、このL2の情報の中に識別できるコードが含まれており、そのコードによって、電力指令装置6側で識別できる。このL2情報以外は、時間予約炊飯モードと位置対応予約炊飯モードにおいて、炊飯器3から発信される運転情報信号L1、L3〜L8は同じである。
図12において、KSは、前記開始予告情報(「開始要請信号」ともいう)L3から短時間(通常は数秒以内)の内に、電力指令装置6から発信される「加熱調理開始許可信号」である。この信号が炊飯器3に届かない限り、炊飯器3は、実際の炊飯動作は開始しない。
L4は、運転情報信号の1つであり、実際にインバーター回路92が駆動され、誘導加熱動作を開始し、予熱工程H1が開始されたことを示す。
L5は、炊飯工程H2Aが開始されたことを示す運転情報信号である。L6は、炊飯工程H2Aが終わったことを示す運転情報信号である。この炊飯工程H2Aの実行時間帯には外部からの操作や指令によって電力の削減が行われない。つまり、この炊飯器3が実際に「優先調理メニューの実行時間帯」にあるかどうかは、この情報L5以後であるか(但し、次の情報L6を受信していない)どうかで判定される。
L6は、炊飯工程H2Aが終了した運転情報信号を示す。L7は、むらし工程H3が終了したことを示す。L8は、主電源スイッチ68の遮断(OFF)を示す情報である。これら各情報L1〜L8には、その現在時刻が秒単位まで含まれている。なお、各運転情報信号に対する電力指令装置6側からの応答信号もあるが、詳細な説明は省略する。
電力指令装置6は、炊飯器3の要求電力に対して優先順位を最も高くして、炊飯器3の要求電力を最優先で確保するようにしているので、ブレーカーBKの容量が8000Wを超えそうになっても、あるいは使用者が指定した上限の電力容量(例えば、7000W)を超えそうになっても、沸騰工程H2Aにおいて電力が削減されることがなく、美味しいご飯を炊くことができる。
(炊飯器の予約炊飯動作)
次にこの実施の形態1の特徴の一つである炊飯器3の動作について、図13を参照しながら説明する。
ステップS1〜S8までが予約炊飯の設定までの動作を示しており、炊飯器3の制御部85の動作である。
使用者が、操作部71のボタン68、予約キー76を順次押し、最後に炊飯開始ボタン59を押すと、予約炊飯の設定確定信号が生成され、予約炊飯の設定が確定する(S1)。
この確定信号を受けて予約炊飯モードの設定を示す運転情報信号L2を、無線通信部90から電力指令装置6に発信させる(S2)。その際に、炊飯動作開始時刻情報を、「20:00」のように、24時間表示で併せて送信する。また予約設定者(使用者と推定される)の情報を、例えば「居住者B」を示すコード番号等でそれらデータに含めて送信すると良い。
次に、使用者が設定した炊飯開始時刻と、現在時刻の時間間隔を計算する。なお、使用者が炊飯希望時刻を設定する場合、「炊飯完了時刻」を設定するようになっている。つまり、帰宅時に炊飯完了させておきたいと考えて、設定時刻を「20時00分」と設定するが、制御部85ではこの入力を受けて、炊飯工程(この場合、図9に示した、予熱工程H1、炊飯工程H2、むらし工程H3の3つ)の所要時間を計算し、予熱工程H1の開始時刻を計算する(S3)。
ステップS3の計算結果から、15分以上の時間がある場合には、次のステップS4では、「Yes」となり、次のステップS5に進む。ステップS5の「待機処理」とは、使用電力制御手段19に内蔵されている待機判断部101が、炊飯開始時刻の情報を制御部85から受信した場合、現在時刻からその指定時刻の所定時間(例えば5分前)までの間は、待機状態にするため、制御装置85への電源部84を遮断し、液晶表示部64も動作も停止することである。これにより制御部85側での電力消費を無くすことになる。
前記待機判断部101は、現在時刻から炊飯(開始)の指定時刻の所定時間(例えば5分間)前になるかどうかを、時計回路99からの時刻情報を使用して一定時間(例えば1分間)間隔でチェックしている。これ以降の動作については説明を省略する。
一方、前記ステップS3の計算結果から、15分以上の時間が無い場合には、ステップS6に進む。ステップS6では、指定時刻の所定時間(例えば5分間)前になるかどうかを一定時間間隔でチェックし、このステップで「Yes」となると、次のステップS7に進む。
ステップS7では、予約炊飯モードでの炊飯開始を示す運転情報信号(予告信号)L3を、無線通信部90から電力指令装置6に発信させる。その際に、炊飯動作開始時刻情報を、「20:00」のように、24時間表示で併せて送信する。
次のステップS8では、音声合成装置96と液晶表示部64によって、炊飯動作を開始したことを音声や文字で報知する。これ以降の動作については説明を省略する。
(予約炊飯時刻の遠隔操作)
次にこの実施の形態1の特徴の一つである家電機器EE、例えば炊飯器3の「動作開始時刻(開始予約時刻A)」の予約時刻を変更する場合と、当該家電機器EE(炊飯器3)の「動作終了時刻(終了予約時刻A)」の予約時刻を変更する場合、の2つについて説明する。
図14に示すものは、電力指令装置6の中央制御部27の動作を示すフローチャート図である。このフローチャート図に示す基本動作プログラム(情報処理プログラム)は、電力指令装置6の中央制御部27を構成するマイクロコンピュータ(図示せず)の内部にある半導体メモリー(ROM)に格納されている。
炊飯器3について居住者B(使用者B)が事前に「時間予約炊飯モード」で炊飯予約をし、「動作終了時刻」として20:00(午後8時)を予約してあった場合を例にして説明する。
前記居住者Bが炊飯予約後に外出し、図2に示すような遠隔地の施設22から居住者B専用の携帯電話端末器等の情報通信端末機器20で、帰宅する予想時刻を22:00に変更した場合、その帰宅予定(予想)時間の情報が、情報通信端末機器20から発信され、広域通信回路網15を介して電力指令装置6に届く。具体的にはルーターA13Aと入出力部29Bを経由して中央制御部27に届く(ステップ1。以下、「ステップ」は「SU」と記載する)。なお、帰宅する予想時刻を22:00に変更するような遠隔操作信号も、本発明でいう「家電機器に対する情報通信端末機器からの遠隔操作信号」の1つである。
次に、中央制御部27は、炊飯器3から事前に取得していた予約時刻と前記帰宅予定時刻を比較する(SU2)。
その比較結果で30分以上のズレがあるかどうかの判断が行われ(SU3)、30分以上の時間のズレがある場合には、当該炊飯器3に対して、その予約時刻を、前記帰宅予定(予想)時間に合せるように変更指令を出す(SU4)。そのため、前記した炊飯器3の事例では、炊飯完了予約時間は22:00に変更される。
なお、ここで30分以上のズレを閾値として設けたのは、これよりも短い時間の変更にその都度対応すると、家電機器側で無理な操作をする可能性もあるためである。例えば、炊飯器3は前記したように炊飯開始から沸騰工程が終わるまで30分程度要するので、急に20分程度帰宅時間を早めたことで、「動作終了時刻」を20分繰り上げても、帰宅予定時刻前には炊飯は完了できないことになる。SU3の比較結果で30分以上のズレがない場合には、SU4はスキップし、予約時間の変更指令は発しない。
この実施の形態1では、30分以上の時間のズレがある場合には、当該炊飯器3に対して、その予約時刻を、前記帰宅予定(予想)時刻の22:00に合せるように変更指令を出す前に、変更後の時刻に適用される(電力会社との契約で定まっている)電気料金単価と変更前の時刻で適用される電気料金単価を比較する(SU4)。なお、この比較時に、電気料金そのものではなく、時間帯別料金単価を基準にして「安い」「高い」という指標を用意し、その指標で比較しても良い。なお、電気料金単価の情報は、電力指令装置6が事前に外部機関14A、14Bから取得しておいても良いし、その都度、外部から取得しても良い。
前記比較結果で、料金単価が上がる方向になる場合(経済的に不利な場合)には、前記中央制御部27は、前記した帰宅予定(予想)時間の情報(22:00)の送信者の情報通信端末機器20に対して、電気料金上で不利な時間帯になることを報知する。例えば、「帰宅時間が遅れますので、それに合わせて炊飯器の炊飯予約時間を繰り下げますが、電気料金は「安い」から「中レベル」に上がります」というような、規定のメールを送信(SU6)し、情報通信端末機器20にそのメールが届くようにする。居住者Bがそのメールを見て、新たな帰宅予定時刻を送信してくる場合もある。
前記した炊飯器3の事例では、炊飯完了予約時間は20:00から22:00に変更されるが、20時以前も22時以前も前記した「朝晩時間」であるので、変更によって電気料金上で不利にも有利にもならない。
予約時刻(動作開始時刻又は動作終了時刻)のある電気機器を、帰宅予定時刻に変更した場合、特定の家電機器に設定してある「運転回避時間帯」に入るかどうかの判断が行われる(SU7)。ここでいう「運転回避時間帯」とは、例えば、前記自走式電気掃除機(「掃除ロボット」ともいう。図示せず)のような運転音が出る家電機器の場合は、深夜10時(22時)から翌朝6時までの間をいう。これは使用者(居住者)によって、前記電力指令装置6で、対象となる家電機器と時間帯を個々に設定できるが、前記自走式電気掃除機の場合は、運転によってブロワーモータの運転音等が発生し、居住者の睡眠は勿論、集合住宅の場合は、隣の部屋の住民に騒音で迷惑掛ける懸念があるからである。
前記した炊飯器3の事例では、「運転回避時間帯」を設定していないので、この判断ステップ(SU7)は、イエスとなり、次のステップSU8に進む。このSU8は、対象となる家電機器が、その変更後の時刻で運転される場合に、各種の環境条件に適合するかどうかの判断が行われるステップである。例えば、前記炊飯器3の場合は、環境検知部30の情報に基づき、前記中央制御部27では、室温が2℃〜35℃の場合が「適合」と判断される。つまり、仮に炊飯開始時刻(例えば、21:20)の段階で、キッチンの気温が4℃であった場合、21:20から炊飯動作が開始される(最初は吸水工程が21:20から始まる)。仮に0℃であった場合、炊飯器の蒸気回収装置の水が凍結し、発生した蒸気を回収できない事態が想定されるので、このような温度帯で、炊飯開始可否を決定している。
図9の例で説明したように、炊飯完了から通常は保温工程に自動的に移行し、最大で7時間保温動作が継続されるが、前記した炊飯器3では、その保温工程への移行を炊飯開始前に選択でき、保温工程を止めれば保温ヒーターの通電分だけ電気消費量も減る。しかし、室温が高いと炊き上がったご飯が腐敗する懸念もあるので、環境検知部30の情報に基づき、前記中央制御部27では、室温が2℃〜23℃の場合が「適合」と判断される。つまり例えば沸騰工程が終わって保温工程が始まる前の時点でのキッチンの室温が仮に30℃の場合は、「保温切り」のモードを選択していても、保温動作は停止されず、自動的に保温工程に移行する動作になる。
前述したように、図15のSU8は、各種の家電機器が設置されている居住空間HAの室温やその他の環境条件から、予約時刻を変更すべきかどうかを判断する「環境条件適合可否」を判断する処理である。この判断の基礎となる「許可条件」は、電力指令装置6の中央制御部27で設定され、第2の記憶部27Bに予め格納されている。
図15のSU9は、補正可能性のチェック処理である。ここでは、例えば空気調和機4に関して、環境条件に適合しない場合(例えば、冷房するには室温が低すぎる場合)、目標とする室内気温を高くしたり、冷房能力を落としたりする省エネ制御に移行すれば良いので、このような運転条件(加熱量やモータの出力、冷房能力など)を補正可能であるかどうかの判断がされる。そして補正処理可能な場合は、補正処理が行われ(SU10)、電力指令装置6の中央制御部27から関係する家電機器(この場合は、空気調和機7)へ運転条件の変更指令が出される。今回の炊飯器3の場合には、ステップSU9は「Yes」となる。
前記ステップSU8で環境条件適合する、と判断された場合、及び省エネ制御への変更処理SU10を行った後は、予約時刻(動作開始時刻又は動作終了時刻)の変更処理が行われる。具体的には、電力指令装置6の中央制御部27から関係する家電機器へ動作開始時刻又は動作終了時刻の変更指令が出され(SU11)、当該家電機器EEは、その変更指令の通り、動作開始又は終了の時刻を変更する処理を行う。前記炊飯器2の場合、22:00に炊飯完了するように予約内容が書き換えられる。
一方、予約時刻(動作開始時刻又は動作終了時刻)の変更処理を行うと、運転回避時間帯での運転になってしまう場合には、そのような予約時刻の変更は許可できないので、不許可の回答処理SU12が行われる。実際には、電力指令装置6の中央制御部27から、前記不許可理由が明示された情報が発信され、この発信された情報は広域通信回路網15を介して情報通信端末機器20に届くことになる。従って自走式電気掃除機等の運転音を発する家電機器EEを使用する予定の居住者は、自分の帰宅時間では、深夜時間帯になり、騒音防止の観点で自走式電気掃除機(図示せず)の運転を開始することはできないことが電力指令装置6からの情報で理解できる。
前記「環境条件適合可否」を判断する処理SU8で「不適合」となり、補正処理SU10も不可能である場合も、同じステップSU12に進み、前記不許可理由が明示された情報を電力指令装置9が発信して一連の処理は終了する。なお、不許可の回答処理SU12では、電気機器の種類や環境条件によって色々な回答内容が考えられるが、それらの回答は、事前にパターン化されて第2の記憶装部27Bに格納されており、適当な回答内容が中央制御部27でその都度選択されて、送信される。なお、その回答内容は、例えば運転回避時間帯を理由にする場合は「深夜時間帯になるため運転禁止」とか、「室内気温が低いので、運転できません」など簡潔で良い。このような不許可理由を送信する目的は、居住者(使用者)の誤解を避けるためである。すなわち、帰宅時間の通知によって自動的に家電機器の予約時刻(動作開始時刻又は動作終了時刻)の変更できない場合は、そのことを報知するので、居住者(使用者)は帰宅する前の段階で不許可通知が来たことを知り、家電機器の運転状況を予測できるようになる。場合によっては不許可通知が来たことを知って帰宅時間を早め、又は電気機器の予約内容を変更する行動に繋がる。
以上述べたステップによっても、予約時刻を変更すべきという結果になった場合、中央制御部27は、対象となる家電機器から事前に取得していた予約時刻(動作開始時刻又は動作終了時刻)を、情報通信端末機器20からその後通知されて来た帰宅予定時刻に変更する指令を発する(図15のSU11)。上記の例では、炊飯器2の場合、22:00に炊飯完了するように予約内容が書き換えられる(従って、予熱工程は22時より前からスタートする)。
図16〜図19は、炊飯器3、空気調和機(エアコン)4、電力指令装置6、情報通信端末機器20及びこれらから構成された電力制御システムと家電機器の運転管理システムを説明するための時系列動作説明図である。
図16〜図19において、電力指令装置6や家電機器EE、情報通信端末機器20が実行する各種処理(指令信号発信や報知信号発信等)は、T1、T2、T3のように発生順に付けた連続番号で示している。また図16〜図19において、矢印は各種報知や指令等が発せられたことを示している。
図16〜図19の場面は、居住者Aと居住者Bが在宅の状態において、炊飯器3の予約設定が行われ、その後、居住者Aと居住者Bが、一緒に外出し、居住者Bが情報通信端末機器20を携帯しているものと仮定した事例である。
図16は、空気調和機4が運転されている状態で、炊飯器3の予約炊飯の設定が行われた場合のケースである。
空気調和機4が運転開始されると、運転状態信号が電力指令装置6へ送信される(T1)。電力指令装置6の第1の記憶部27には、電力制御対象の家電機器EEの基本データベースを記録する領域があり、各家電機器EEが実行している運転条件(最大消費電力の情報、運転終了予定時刻等を含む)を示すデータが随時書き込まれ、更新される。
その基本データベースに、空気調和機4の運転情報が追加記録される(T2)。
次に、炊飯器3の予約炊飯を操作部71で設定すると、前記したように炊飯開始ボタン59を押した時点で予約炊飯設定が確定する(T3)。
すると、炊飯器3から、予約炊飯設定情報L2が電力指令装置6に送信される(T4)。電力指令装置6の第1の記憶部27には、予約時刻(動作開始時刻又は動作終了時刻)のある電気機器について、基本データベース(以下、「留守モード設定用データベース」という)がある。この中に、炊飯器3の予約設定条件が記録される(T5)。時間予約炊飯モードと位置対応予約炊飯モードの何れを指定したかどうかの情報は、このT5の時点で、前記留守モード設定用データベースに記録される。つまり、時間予約(タイマー)炊飯モードの場合には、使用者(例えば、居住者Bとする)が希望する炊飯開始時刻(例えば20時00分)の情報が留守モード設定用データベースに記録される。また、位置対応予約炊飯モードの場合には、例えば、帰宅予定時刻が同様に記録される。なお、帰宅予定時刻は大まかなもので良く、午後8時の時間帯(8時1分〜59分の範囲)という指定でも良い。
次に、電力指令装置6は、予約炊飯設定のあったことを情報通信端末機器20へ報知する(「報知A」という。T6)。ここで、時間予約炊飯モードと位置対応予約炊飯モードの何れが設定されているかを特定する情報が情報通信端末機器20へ送信される。但し、情報通信端末機器20の保有者が、まだ居住空間HAのなかに居ることが検知されている場合は、このステップT6は省略しても良い。電力指令装置6では、居住者の在宅状況も把握できる機能があるが、これについては後で述べる。また、電力指令装置6は、予約炊飯設定の内容を留守モード設定用データベースに登録した旨、炊飯器3へ報知する(T7)。その際には、時間予約炊飯モードと位置対応予約炊飯モードの何れを指定して登録されたかどうかも報知される。
炊飯器3においては、報知信号T7を受けたあと、待機判断部101は、制御装置85への電源部84を遮断し、液晶表示部64も動作も停止し、待機状態に入る(T8)。なお、この待機状態は、電力指令装置6又は情報通信端末機器20からの遠隔操作指令によって、運転開始や運転中止等、予約設定内容は変化するので「待ち受け電力遮断状態」ともいう。
上記のように炊飯器3の予約炊飯を設定し、居住者Aと居住者Bが、一緒に外出すると、外出時に居住者A又はBの少なくとも何れか一方が、居住空間HAから出る前の段階で、電力指令装置6の表示盤24において「留守モード」を設定し、留守中の不要な電力消費を抑えるため、家電機器EEの電源を一括で遮断する操作をする。
このような「留守モード」の設定を中央制御部27が感知すると(T9)、中央制御部27は、留守中に完全に電力を遮断する家電機器と、遮断しない電気機器(今回の場合は、炊飯器3が該当)を判別する。そのために、留守モード設定用データベースのデータを利用して対象電気機器を特定する(T10)。
次に、空気調和機4が、その時点で未だ運転中であっても、使用電力制御手段19へ運転停止の指令信号が出され(T11)、留守中に完全に電力を遮断する家電機器の電源を一斉に遮断する(T12)。なお、炊飯器3は、使用電力制御手段19の電源部84の電源供給は継続するが、使用電力制御手段19が、商用電源EPからの電力で駆動されておらず、充電池等別の電源が確保されている場合には、炊飯器3の主電源スイッチ68をOFFにしても良い。
次に、空気調和機4は、運転の停止を示す運転状態信号を、電力指令装置6に送信し(T13)。その運転停止情報は、電力指令装置6から情報通信端末機器20にも送信される(「報知B」、T14)。そして更に、空気調和機4は主電源スイッチ(図示せず)を自らOFFにする(T15)。
図17は、図16の状態から連続している場面を示したものであり、居住者AとBが共に外出しており、自宅(居住空間HA)には誰も居ないという場面から、帰宅後までの状況を示すものである。また、この図17のケースは、予約した炊飯が予約通り行われた例を示したものである。但し、この図17は、時間予約炊飯モードに設定していた場合である。
電力指令装置6は、留守モード設定用データベースのデータを利用して、炊飯器3の予約炊飯開始時刻が近づくかどうかを監視しており、予約炊飯時刻の所定時間(例えば5分間)前になったと判定すると(T16)、炊飯器3に対して待ち受け電力遮断状態から電力を復帰させる指令信号を発信する(T17)。
更に電力指令装置6は、情報通信端末機器20に対して、炊飯器3を復帰させる指令を出したことを報知する(「報知C」、T18)。
炊飯器3では、待機判断部101が待ち受け電力遮断状態から復帰させるため、電源部84から制御部85への電力供給を再開する(T19)。
外出先に居る居住者Bが、保持している情報通信端末機器20に、上記報知Cが届くので、その情報通信端末機器20から、所定の承認情報を返信すれば(T20)、電力指令装置6は、炊飯器3に対して予約炊飯動作の開始を許可する信号(加熱調理開始許可信号KS)を発信する(T21)。なお、この承認情報の返信ステップを省略して、加熱調理開始許可信号KSを自動的に発信しても良いし、一定の短時間だけ待って、その期間中に承認情報が送信されてこない場合には、承認されたとみなして処理を進める方法でも良い。これは、情報通信端末機器20を携帯している居住者が、自動車の運転中等の状況で直ぐに返信できない場面も想定されるからである。承認情報を返信する信号も、本発明でいう「家電機器に対する情報通信端末機器からの遠隔操作信号」の1つである。
炊飯器3は、許可信号KSを受けたあと、制御装置85は予約炊飯開始時刻(TA)になったと判断した段階で(T22)、加熱手段61への通電を開始し(T23)、予約炊飯を予定通り開始したことを示す運転情報信号L5を、電力指令装置6へ送信する(T24)。
電力指令装置6の中央制御部27は、前記信号L5を受けて、炊飯器3の運転状態、電力量を監視するため、炊飯器3を基本データベースの監視対象リストに記憶させる(T25)。
炊飯器3は、炊飯工程が終わり、むらし工程も終わると、保温工程に入る(T26)が、このむらし工程が終わったことを示す運転情報信号L7を、電力指令装置6へ送信する(T27)。
電力指令装置6の中央制御部27は、前記信号L7を受けて、基本データベースの監視対象リストを更新し、炊飯器3は、予約炊飯を終えたことをそのデータベースに反映させる(T28)。
更に電力指令装置6は、情報通信端末機器20に対して、炊飯器3の予約炊飯動作が完了していることを報知する(「報知D」、T29)。
この後、居住者Bが最初に帰宅し、玄関の電子錠で開錠操作をし、玄関の電子錠33を開錠する入力データから、個人認証装置34が開錠操作信号を出し、開錠する。こうして居住空間HAに戻って来た居住者Bが、表示盤24において「留守モード」を解除して「在宅モード」に復帰させる(T30)。
その際、この留守モード解除の信号を受けて中央制御部27は、液晶表示画面26において、留守中に運転を開始した家電機器EEが特定できる情報を表示する。また特に留守中に運転開始することを、設定しておいた家電機器EEが予約通りに運転開始し、終了しているのかどうかも表示する(T31)。なお、この場面の液晶表示画面26の表示内容については、図22〜図26で詳しく説明する。
図16と図17の説明から明らかなように、居住者Bが帰宅時に留守モードを解除する場面では、その居住者Bが留守モードを解除する操作を行う表示盤24の液晶表示画面26において、留守中に運転を開始すべきであった家電機器EE(炊飯器3)を特定できる情報と、その家電機器(炊飯器3)が予約通りに、時間予約(タイマー)炊飯モードで運転開始し、終了しているのかどうかを示した情報と、を一度に視覚的に確認できる。
図18は、図16の状態から連続している場面を示したものであり、居住者AとBが共に外出しており、自宅(居住空間HA)には誰も居ないという場面から、帰宅後までの状況を示すものである。また、この図18のケースは、予約した時間予約炊飯モードでの炊飯が、外出中に予約通り行われなかった例を示したものである。
図18において、T16〜T22は、図17に示したものと同じであるので、重複した説明は省略する。
炊飯器3は、予約炊飯の運転開始許可信号KSを受けたあと、何らかの原因で炊飯動作開始しなかった場合(T23)は、以下のような動作になる。なお、炊飯動作開始しない原因は、例えば、蒸気処理装置57の水タンクに規定量の水を入れて、炊飯予約を確定させたが、居住者が留守中に地震があり、炊飯器3が揺れた際に前記水タンクの位置が異常な位置まで移動してしまい、水タンクの水が外に溢れた場合が想定される。このように、水の量が少なすぎると水位センサー88が働いて、炊飯動作開始されないような安全対策が講じてある。
炊飯器3は、制御装置85は予約炊飯開始時刻(TA)になったと判断した段階で(T22)、加熱手段61への通電を開始して炊飯動作開始する訳であるが、この炊飯動作を開始しなかった場合(T23)、電力指令装置6の中央制御部27は、予約炊飯開始時刻(TA)になった以降、炊飯器3から予約炊飯の開始情報を受信したかどうかを(複数回)チェックする(T24)。
そして、予約炊飯開始時刻(TA)から5分以内に、依然として予約炊飯の開始情報を受信できていない場合には、炊飯器3自身の問題で、予約炊飯を開始していないと推定し、電力指令装置6の中央制御部27は、炊飯器3を基本データベースの監視対象リストに記憶させる(T25)。
そして、電力指令装置6の中央制御部27は、情報通信端末機器20に対して、炊飯器3の予約炊飯動作が完了していないことを報知する(「報知D」、T26)。さらに、中央制御部27は、この後も、複数回に亘り、炊飯器3に対して(炊飯動作)の「実施状況」を確認するため、実施状況の照会信号を送信する(T27、T28)。この照会は、予約炊飯開始時刻(TA)から最大6時間も継続する(例えば、少なくとも30分間隔で繰り返し実施)。
炊飯器3では、通信機能等が故障して通信不能でない場合には、制御部85が、例えば水位センサー89の異常検知で運転開始禁止している等の情報を取得する(T29)。
炊飯器3では、このようにして取得した(炊飯動作)未実施履歴情報を統合し、電力指令装置6へ送信する(T30)。この時の信号を「予約炊飯未実施報知信号」LNという。
この送信結果を受けて、電力指令装置6は情報通信端末機器20に対して、炊飯器3の予約炊飯動作が完了していない原因等の情報を報知する(「報知E」、T31)。
この後、居住者B(他の居住者でも良い)が帰宅し、玄関の電子錠で開錠操作をし、玄関の電子錠33を開錠する入力データから、個人認証装置34が開錠操作信号を出し、開錠する。こうして居住空間HAに戻って来た居住者Bが、表示盤24において「留守モード」を解除して「在宅モード」に復帰させる(T32)。
その際、この留守モード解除の信号を受けて中央制御部27は、液晶表示画面26において、留守中に運転を開始した家電機器EEが特定できる情報を表示する(また、音声ガイド装置でも音声で報知する)。また特に留守中に運転開始することを、設定しておいた家電機器EEが予約通りに運転開始し、終了しているのかどうかも表示する(T33)。この図18の例では、炊飯器3が、予約炊飯したが、炊飯が全く行われていないことを報知する。なお、この場面の液晶表示画面26の表示内容については、図22〜図26で詳しく説明する。
図18の説明から明らかなように、居住者Bが帰宅時に留守モードを解除する場面では、その居住者Bが留守モードを解除する操作を行う表示盤24の液晶表示画面26において、留守中に運転を開始すべきであった家電機器EE(炊飯器3)を特定できる情報と、その家電機器(炊飯器3)が予約通りに運転開始し、終了しているのかどうかを示した情報と、を一度に視覚的に確認できる。また、帰宅する前に、居住者Bには、報知DとEの2回にわたり、炊飯されていないことを報知しているので、炊飯器Bの予約炊飯作業をした居住者Bは、帰宅の前から炊飯器3のことに注意が払え、また帰宅時にも報知されるので、そのまま忘れてしまい、炊飯器3の中に米と水を入れたまま長期間放置してしまうような事態が殆ど起こらない。
この後、居住者Bの情報通信端末機器20に対して、炊飯器3の予約炊飯は、行われていないとの確定情報を再度送信する(「報知F」、T34)。これは、居住者B以外の居住者が先に帰宅した場合も想定した安全策である。この報知Fを受けた居住者Bは、先に帰宅した他の居住者に電話やメールを送り、炊飯器3の様子を見て欲しいと要請したり、水を補給したりして炊飯しておいて欲しい等、適切な確認や改善の指示が可能となり、利便性が高い。
図19は、居住者Aと居住者Bが在宅の状態において、炊飯器3の予約設定が行われ、その後、居住者Aと居住者Bが、一緒に外出し、居住者Bが情報通信端末機器20を携帯しているものと仮定した事例である。
この図19では、空気調和機4が運転されている状態で、炊飯器3の予約炊飯の設定が行われた場合のケースである。但し、この図19は、位置対応予約炊飯モードに設定していた場合である。
図19において、空気調和機4が運転開始されると、運転状態信号が電力指令装置6へ送信される(T41)。電力指令装置6の基本データベースには、炊飯器3の運転条件の1つとして、位置対応予約炊飯モードを選択したことを示すデータも書き込まれる。
その基本データベースに、空気調和機4の運転情報が追加記録される(T42)。
次に、炊飯器3の予約炊飯条件を操作部71で設定する。この場面において、時間予約(タイマー)炊飯モードではなく、位置対応予約炊飯モードに設定するため、使用者は帰宅予定時刻を操作部71で設定する。具体的には予約キー76を押して、帰宅予定時刻TBを入力する(この場合、時刻ではなく、「8時間後」などの時間指定でも良い)。そのあとで、前記したように炊飯開始ボタン59を押せば、この時点で予約炊飯設定が確定する(T43)。例えば、帰宅予定時刻TBは、19時30分と入力した例で、以下説明を続ける。
すると、炊飯器3から、予約炊飯設定情報L2が電力指令装置6に送信される(T44)。電力指令装置6の第1の記憶部27にある留守モード設定用データベースの中に、炊飯器3の予約設定条件が記録される(T45)。位置対応予約炊飯モードを指定したという情報は、このT45の時点で、前記留守モード設定用データベースに記録される。
次に、電力指令装置6は、予約炊飯設定のあったことを情報通信端末機器20へ報知する(「報知A」という。T46)。ここで、時間予約炊飯モードと位置対応予約炊飯モードの何れが設定されているかを特定する情報が情報通信端末機器20へ送信される。但し、情報通信端末機器20の保有者が、まだ居住空間HAのなかに居ることが検知されている場合は、このステップT46は省略しても良い。電力指令装置6では、居住者の在宅状況も把握できる機能があるが、これについては後で述べる。また、電力指令装置6は、予約炊飯設定の内容を留守モード設定用データベースに登録した旨、炊飯器3へ報知する(T47)。その際には、時間予約炊飯モードと位置対応予約炊飯モードの何れを指定して登録されたかどうかも報知される。
炊飯器3においては、報知信号T47を受けたあと、待機判断部101は、制御装置85への電源部84を遮断し、液晶表示部64も動作も停止し、待機状態に入る(T48)。なお、この待機状態は、電力指令装置6又は情報通信端末機器20からの遠隔操作指令によって、運転開始や運転中止等、予約設定内容は変化するので「待ち受け電力遮断状態」ともいう。
上記のように炊飯器3の予約炊飯を設定し、居住者Aと居住者Bが、一緒に外出すると、外出時に居住者A又はBの少なくとも何れか一方が、居住空間HAから出る前の段階で、電力指令装置6の表示盤24において「留守モード」を設定し、留守中の不要な電力消費を抑えるため、家電機器EEの電源を一括で遮断する操作をする。
このような「留守モード」の設定を中央制御部27が感知すると(T49)、中央制御部27は、留守中に完全に電力を遮断する家電機器と、遮断しない電気機器(今回の場合は、炊飯器3が該当)を判別する。そのために、留守モード設定用データベースのデータを利用して対象電気機器を特定する(T50)。
次に、空気調和機4が、その時点で未だ運転中であっても、使用電力制御手段19へ運転停止の指令信号が出され(T51)、留守中に完全に電力を遮断する家電機器の電源を一斉に遮断する(T52)。なお、炊飯器3は、使用電力制御手段19の電源部84の電源供給は継続するが、使用電力制御手段19が、商用電源EPからの電力で駆動されておらず、充電池等別の電源が確保されている場合には、炊飯器3の主電源スイッチ68をOFFにしても良い。
次に、空気調和機4は、運転の停止を示す運転状態信号を、電力指令装置6に送信し(T53)。その運転停止情報は、電力指令装置6から情報通信端末機器20にも送信される(「報知B」、T54)。そして更に、空気調和機4は主電源スイッチ(図示せず)を自らOFFにする(T55)。
図20は、図19の状態から連続している場面を示したものであり、居住者AとBが共に外出しており、自宅(居住空間HA)には誰も居ないという場面から、帰宅後までの状況を示すものである。また、この図20のケースは、予約した炊飯が予約通り行われた例を示したものである。但し、この図20は、位置対応予約炊飯モードに設定していた場合である。
外出時に居住者A又はBの少なくとも何れか一方が、居住空間HAから出る前の段階で、電力指令装置6の表示盤24において「留守モード」を設定する際に、帰宅予定時刻を入力する。例えば帰宅予定時刻を19時30分に設定する。なお、この帰宅予定時刻は、情報通信端末機器20で外出先から設定し、あるいはその設定時刻を変更しても良い。帰宅予定時刻は、電力指令装置6の留守モード設定用データベースに随時反映される。また、毎日同じような時間帯で帰宅する場合、「留守モード」を設定する際に、帰宅予定時刻をその都度(毎日・毎回)入力するのではなく、自動的に1つの時刻に設定するように事前に留守モード設定用データベースに登録するようにしても良い。
炊飯器3の帰宅予定時刻TBは、19時30分と入力したが、この時刻と表示盤24で設定した帰宅予定時刻は合致していなくとも良い。炊飯器3は、炊飯器3に入力した帰宅予定時刻の方のデータを基準に動作する。
電力指令装置6は、留守モード設定用データベースのデータを利用して、帰宅予定時刻TB(19時30分)が近づくかどうかを監視しており、帰宅予定時刻の所定時間(例えば65分間)前になったと判定すると(T56)、炊飯器3に対して待ち受け電力遮断状態から電力を復帰させる指令信号を発信する(T57)。つまりこのT57の発信時刻は、18時25分である。なお、上記65分は、炊飯に要する最大予想時間60分に、「余裕時間」5分間を足して定めた時間である。
更に電力指令装置6は、情報通信端末機器20に対して、炊飯器3を復帰させる指令を出したことを報知する(「報知C」、T58)。このとき、念のため電力指令装置6の設置場所を示す位置情報を示すデータは送信されなくて良い。前述したように情報通信端末機器20に対して初期設定を行っているため、その位置情報は、既に情報通信端末機器20側に登録されているからである。
炊飯器3では、待機判断部101が待ち受け電力遮断状態から復帰させるため、電源部84から制御部85への電力供給を再開する(T59)。
外出先に居る居住者Bが、保持している情報通信端末機器20に、上記報知Cが届くので、その情報通信端末機器20から、所定の承認情報を返信すれば(T60)、電力指令装置6は、炊飯器3に対して予約炊飯動作の開始を許可する信号(加熱調理開始許可信号KS)を発信する(T21)。図20の例は、位置対応予約炊飯モードに設定している場合であるから、仮に予約炊飯動作の開始を許可する信号KSが送信されない場合でも、自動的に情報通信端末機器20と電力指令装置6との距離が情報通信端末機器20の中の距離情報算出部147によって計算され、その算出結果である距離判定情報が電力指令装置6に(距離判定情報信号として)送信される(T60)。
情報通信端末機器20の制御部134は、距離情報算出部147で算出された「距離判定情報信号」の時間的変化を監視している機能もあり、情報通信端末機器20の移動速度を算出する機能があると前に述べた。そのため「距離判定情報信号」と同時に「移動速度情報」も送信する。又はその信号送信直後に引き続いて「移動速度情報」を送信する動作を行う。このため、情報通信端末機器20から「距離判定情報信号」と「移動速度情報」を受信した電力指令装置6では、電力指令装置6が自分の位置まで情報通信端末機器20が移動して到達する推定時間を計算で求めることができる。
電力指令装置6では、留守モード設定用データベースを参照して、位置対応予約炊飯モードに設定している炊飯器3に対し、算出した帰宅までの推定時間の情報を送信する(T61)。
ところで、この実施の形態1では、情報通信端末機器20と炊飯器3との間には、電力指令装置6が介在している形であり、直接通信を行う構成になっていないが、仮に電力指令装置6が存在せず、居住空間に設置された無線LAN設備やルーターA13A経由で直接通信する方法を採用した場合でも、実施の形態1の炊飯器3側では、前記「距離判定情報信号」と「移動速度情報」を受信することにより、炊飯器3の設置位置まで情報通信端末機器20が移動して到達する時間を求めることができる。言い換えると、電力指令装置6に、距離判定情報信号と移動速度情報とに基づいて、居住空間HAまで居住者が帰宅に要する時間(情報通信端末機器20が居住空間まで移動する時間)を算出する機能がない場合には、この所要時間の判定は、炊飯器3において行われる。
炊飯器3では、居住空間HAまで居住者が帰宅に要する時間(情報通信端末機器20が居住空間まで移動する時間)と、現在時刻との関係から、炊飯動作を開始するために適当な時刻を算出する。
例えば、現在時刻が18時30分であり、帰宅に要する時間(推定時間)が3時間30分(つまり帰宅推定時刻は、22時00分)であった場合には、炊飯開始から完了までの時間を(炊飯量を考慮して最大で)1時間と仮定しても、直ぐに(18時30分に)炊飯動作を開始するのは早すぎる。そこで、炊飯開始時刻TNは、上記22時の1時間前である「21時」と、制御部85が決定する。そして予約炊飯の開始時刻は21時00分で、完了予定時刻は21時であるとの情報を電力指令装置6に送信する(このタイミングは、記号TG1で示している)。
前記距離情報算出部147は、居住空間HAの位置情報と、情報通信端末機器20との現在位置の情報とに基づいて、その目標物(この事例では、居住空間HA)までの距離を算出する機能を有していると説明したが、ここで算出する距離の情報(距離判定情報)は、1m〜数m単位で算出される必要はなく、例えば100mや500m程度の精度で算出すれば良い。これは居住者が仮にマイカーやバス等の公共交通機関で移動する場合であっても、又は徒歩で移動する場合であっても、最初の距離が大きければ、それほど精度を必要としないからである。そのため、最初に携帯情報通信機器20から電力指令装置6経由で炊飯器3に送信された距離判定情報信号が示す情報で、例えば10kmのような大きな距離の場合と1kmのような比較的近い距離の場合では、その後の移動速度情報の精度や、把握する距離の単位を炊飯器3の制御部85で自動的に変えても良い。
また電力指令装置6が携帯情報通信機器20から距離判定情報信号と移動速度情報を受信した際に、電力指令装置6の中央制御部27において、距離の大小に応じた指数に変換し、これを炊飯器3側へ転送しても良い。例えば距離区分(距離コード)1は100m〜200m、区分2は201m〜400mを意味すると事前に定義しておき、この区分を炊飯器3に送信する。同様に、単位時間あたりの推定速度もレベル分け(コード化)しておき、2つのコードで、炊飯器3側が到着推定時間を「30〜40分」のように算出することでも良い。また炊飯器3側が到着推定時間を算出する動作は1回だけ行うのではなく、一定の時間間隔でデータ処理してその都度算出し、最後に算出した距離を採用して以後の処理(炊飯開始時刻の適否)を進めることでも良い。
このように、この炊飯器3の制御部85は、前記情報通信端末機器20からの距離判定情報信号が示す距離に応じて変化する(居住者が帰宅に要する)時間(情報通信端末機器20が居住空間まで移動する時間)と、現在時刻との関係から、炊飯開始時刻の適否を判定する機能を有している。
またその判定結果に応じて、炊飯開始時刻を自動的に変更する機能も有している。なお、炊飯器3の実際の運転時間(図9に示した工程H1〜H3まで時間)は、炊飯開始時の米飯を入れた釜の中の水温、水量又は米量等によって変化するので、炊飯開始時刻が同じであっても、常に一定時間後に炊飯を完了できる訳ではない。
例えば、炊飯器3の制御部85は、炊飯量に応じて「吸水工程」から「むらし工程」までの「炊飯所要時間」は、周囲の気温等で多少の変動はあるものの、例えば5.5合(1リットル)炊きは標準的な炊き方で60分等のデータを保有しているので、保温工程開始までの時間が分かる。但し、炊飯所要時間は、むらし工程の前に確定するものではなく、炊飯を実施して初めて確定する。
また、内釜60の中に入っている米と水の量やその水温等によって、ヒーター61の負荷(炊飯量)は変化するため、むらし工程(H1:図9参照)前に、ヒーター61の通電開始以後の水温の上昇カーブを制御部85が予測して、その上昇率の大小から炊飯所要時間を予想することはできない。
そこで、この炊飯器3の制御部85では、炊飯所要時間を決めて炊飯開始時刻を確定する場合には、上記したように「余裕時間」として5分間を事前に加算し、また炊飯所要時間は60分間であると規定して、この合計値(65分間)を前提にして、炊飯開始時刻を決定している。つまり、この65分間は、炊飯量のバラツキ等を考慮したものである。
そこで、前記距離判定情報信号から求めた距離を利用して、居住者の帰宅所要時間を求め、この所要時間(例えば、上述の例では3時間30分=210分)の中で炊飯動作を開始した場合に、炊飯所要時間TQが60分であるとすると、炊飯動作完了のタイミングが帰宅時刻のタイミングに合う炊飯開始時刻は、その時点から150分(=210分−TQ60分)後となる。このように前記距離判定情報信号から求めた距離を利用して、前記制御部85は、情報通信端末機器20を所持している居住者Bが移動して居住空間HAまで到達する推定時間を算出し、これを基にして居住空間まで居住者が戻ってくる「到達時刻」を推定する。そしてこの推定時刻(例えば、午後9時00分)に、むらし工程までを含めての炊飯動作が完了するよう、炊飯動作を開始するタイミング(上述の例では、開始時刻は21時00分)を決定する機能を有するものである。
このように想定される帰宅(到達)時刻までの時間が、できるだけ短くなるように炊飯の開始時刻を設定する処理を行っている。仮に上記のような調整動作を行わなかった場合には、例えば、外出時に設定した帰宅予定時刻TBの19時30分に炊飯動作を炊飯器3が自動的に開始していた場合には、20時30分頃には炊飯動作完了しており、それから22時までの1時間30分程度は炊飯器3が保温工程を継続していることになる。これは省エネの観点からも好ましくないし、ご飯の味にも影響する可能性がある。
電力指令装置6では、そのようにして求めた予約炊飯の開始時刻TN(例えば、20時00分)と、炊飯完了予定時刻(21時00分)の情報を留守モード設定用データベースに反映させる(TG2)。なお、このデータベースへの登録が完了した際に、表示盤24の液晶表示画面26において、炊飯動作開始又は完了の時刻が自動で調整された結果を文字や数字で表示することが望ましい。図24の説明の際に後述するが、液晶表示画面26には、在宅モードの期間中、「予約」という文字で示した第2の予約運転確認情報125が表示されるが、ここで「予約」という文字情報に加え、「炊飯開始時刻20時00分」等のような、予約炊飯条件の一部を表示しても良い。つまり、このようにすれば、予約運転(炊飯)条件を炊飯器3が調整した結果が、報知されるので、使用者の確認も容易に可能となる。なお、この第2の予約運転確認情報125は、予約炊飯条件の変更直後に行われることが望ましい。
電力指令装置6では、その予約炊飯の開始時刻TN(21時)、完了予定時刻(22時00分)の情報を情報通信端末機器20に送信する(報知C1、TG3)。
更に炊飯器3では、予約炊飯の開始時刻TN(21時00分)と、炊飯完了予定時刻(22時00分)の情報を電力指令装置6に送信したあと、待機判断部101が、制御装置85への電源部84を遮断し、液晶表示部64も動作も停止し、待機状態に入る(TG4)。
電力指令装置6は、留守モード設定用データベースのデータを利用して、炊飯器3の予約炊飯の開始時刻TN(21時)が近づくかどうかを監視しており、予約炊飯時刻の所定時間(例えば5分間)前になったと判定すると、炊飯器3に対して待ち受け電力遮断状態から電力を復帰させる指令信号を発信する(TG5)。
炊飯器3では、待機判断部101が待ち受け電力遮断状態から復帰させるため、電源部84から制御部85への電力供給を再開する(TG6)。
炊飯器3は、加熱手段61への通電を開始し(T63)、予約炊飯を予定通り20時に開始したことを示す運転情報信号L5を、電力指令装置6へ送信する(T64)。
電力指令装置6の中央制御部27は、前記信号L5を受けて、炊飯器3の運転状態、電力量を監視するため、炊飯器3を基本データベースの監視対象リストに記憶させる(T65)。
炊飯器3は、炊飯工程が終わり、むらし工程も終わると、保温工程に入る(T66)が、このむらし工程が終わったことを示す運転情報信号L7を、電力指令装置6へ送信する(T67)。
電力指令装置6の中央制御部27は、前記信号L7を受けて、基本データベースの監視対象リストを更新し、炊飯器3は、予約炊飯を終えたことをそのデータベースに反映させる(T68)。
更に電力指令装置6は、情報通信端末機器20に対して、炊飯器3の予約炊飯動作が完了していることを報知する(「報知D」、T69)。
この後、居住者Bが最初に帰宅し、玄関の電子錠で開錠操作をし、玄関の電子錠33を開錠する入力データから、個人認証装置34が開錠操作信号を出し、開錠する。こうして居住空間HAに戻って来た居住者Bが、表示盤24において「留守モード」を解除して「在宅モード」に復帰させる(T70)。
その際、この留守モード解除の信号を受けて中央制御部27は、液晶表示画面26において、留守中に運転を開始した家電機器EEが特定できる情報を表示する。また特に留守中に運転開始することを、設定しておいた家電機器EEが予約通りに運転開始し、終了しているのかどうかも表示する(T71)。なお、この場面の液晶表示画面26の表示内容については、図22〜図26で詳しく説明する。
図19と図20の説明から明らかなように、居住者Bが帰宅時に留守モードを解除する場面では、その居住者Bが留守モードを解除する操作を行う表示盤24の液晶表示画面26において、留守中に運転を開始すべきであった家電機器EE(炊飯器3)を特定できる情報と、その家電機器(炊飯器3)が予約通りに、位置対応予約炊飯モードで運転開始し、終了しているのかどうかを示した情報と、を一度に視覚的に確認できる。
仮にステップT63以降、もし炊飯動作が実行されなかった場合は、図18で説明したように、電力指令装置6と炊飯器3は連携動作を行い、炊飯動作が実行されなかったことを、情報通信端末機器20に送信する。
以下、この動作ステップについて、図21を参照しながら説明する。
図21において、電力指令装置6は、留守モード設定用データベースのデータを利用して、炊飯器3が事前に算出した予約炊飯の開始時刻TN、つまり適正炊飯開始時刻が近づくかどうかを監視しており、その時刻TNの所定時間(例えば5分間)前になったと判定すると(T56)、炊飯器3に対して待ち受け電力遮断状態から電力を復帰させる指令信号を発信する(T57)。前述したように、予約炊飯の開始時刻TNは21時00分であるとすると、T57は20時55分である。
更に電力指令装置6は、情報通信端末機器20に対して、炊飯器3を復帰させる指令を出したことを報知する(「報知C」、T58)。
炊飯器3では、待機判断部101が待ち受け電力遮断状態から復帰させるため、電源部84から制御部85への電力供給を再開する(T59)。
外出先に居る居住者Bが、保持している情報通信端末機器20に、上記報知Cが届くので、その情報通信端末機器20から、所定の承認情報を返信すれば(T60)、電力指令装置6は、炊飯器3に対して予約炊飯動作の開始を許可する信号(加熱調理開始許可信号KS)を発信する(T61)。なお、この承認情報の返信ステップを省略して、加熱調理開始許可信号KSを自動的に発信しても良いし、一定の短時間だけ待って、その期間中に承認情報が送信されてこない場合には、承認されたとみなして処理を進める方法でも良い。これは、情報通信端末機器20を携帯している居住者Bが、自動車の運転中等の状況で直ぐに返信できない場面も想定されるからである。承認情報を返信する信号も、本発明でいう「家電機器に対する情報通信端末機器からの遠隔操作信号」の1つである。
炊飯器3は、許可信号KSを受けたあと、制御装置85は予約炊飯開始時刻(TN)になったと判断した段階で(T62)、加熱手段61への通電を開始し(T63)、炊飯を開始することになる。
しかしながら、予約炊飯の運転開始許可信号KSを受けたあとでも、炊飯器3が何らかの原因で炊飯動作開始しなかった場合(T63)は、以下のような動作になる。なお、炊飯動作開始しない原因は、図18で説明しているので、説明は省略する。
炊飯器3は、制御装置85は予約炊飯開始時刻(TN)になったと判断した段階で(T62)、加熱手段61への通電を開始して炊飯動作開始する訳であるが、この炊飯動作を開始しなかった場合(T63)、電力指令装置6の中央制御部27は、予約炊飯開始時刻(TN)になった以降、炊飯器3から予約炊飯の開始情報を受信したかどうかを(複数回)チェックする(T64)。
そして、予約炊飯開始時刻(TN)から5分以内に、依然として予約炊飯の開始情報を受信できていない場合には、炊飯器3自身の問題で、予約炊飯を開始していないと推定し、電力指令装置6の中央制御部27は、炊飯器3を基本データベースの監視対象リストに記憶させる(T65)。
そして、電力指令装置6の中央制御部27は、情報通信端末機器20に対して、炊飯器3の予約炊飯動作が完了していないことを報知する(「報知D」、T66)。さらに、中央制御部27は、この後も、複数回に亘り、炊飯器3に対して(炊飯動作)の「実施状況」を確認するため、実施状況の照会信号を送信する(T67、T68)。この照会は、予約炊飯開始時刻(TN)から最大6時間も継続する(例えば、少なくとも30分間隔で繰り返し実施)。
炊飯器3では、通信機能等が故障して通信不能でない場合には、制御部85が、例えば水位センサー89の異常検知で運転開始禁止している等の情報を取得する(T72)。
炊飯器3では、このようにして取得した(炊飯動作)未実施履歴情報を統合し、電力指令装置6へ送信する(T73)。この時の信号は「予約炊飯未実施報知信号」LNである。
この送信結果を受けて、電力指令装置6は情報通信端末機器20に対して、炊飯器3の予約炊飯動作が完了していない原因等の情報を報知する(「報知E」、T74)。
この後、居住者B(他の居住者でも良い)が帰宅し、玄関の電子錠で開錠操作をし、玄関の電子錠33を開錠する入力データから、個人認証装置34が開錠操作信号を出し、開錠する。こうして居住空間HAに戻って来た居住者Bが、表示盤24において「留守モード」を解除して「在宅モード」に復帰させる(T75)。
その際、この留守モード解除の信号を受けて中央制御部27は、液晶表示画面26において、留守中に運転を開始した家電機器EEが特定できる情報を表示する(また、音声ガイド装置でも音声で報知する)。また特に留守中に運転開始することを、設定しておいた家電機器EEが予約通りに運転開始し、終了しているのかどうかも表示する(T76)。この図21の例では、炊飯器3が、予約炊飯したが、炊飯が全く行われていないことを報知する。なお、この場面の液晶表示画面26の表示内容については、図22〜図26で詳しく説明する。
図21の説明から明らかなように、居住者Bが帰宅時に留守モードを解除する場面では、その居住者Bが留守モードを解除する操作を行う表示盤24の液晶表示画面26において、留守中に運転を開始すべきであった家電機器EE(炊飯器3)を特定できる情報と、その家電機器(炊飯器3)が予約通りに運転開始し、終了しているのかどうかを示した情報と、を一度に視覚的に確認できる。また、帰宅する前に、居住者Bには、報知DとEの2回にわたり、炊飯されていないことを報知しているので、炊飯器Bの予約炊飯作業をした居住者Bは、帰宅の前から炊飯器3のことに注意が払え、また帰宅時にも報知されるので、そのまま忘れてしまい、炊飯器3の中に米と水を入れたまま長期間放置してしまうような事態が殆ど起こらない。
この後、居住者Bの情報通信端末機器20に対して、炊飯器3の予約炊飯は、行われていないとの確定情報を再度送信する(「報知F」、T77)。これは、居住者B以外の居住者が先に帰宅した場合も想定した安全策である。この報知Fを受けた居住者Bは、先に帰宅した他の居住者に電話やメールを送り、炊飯器3の様子を見て欲しいと要請したり、水を補給したりして炊飯しておいて欲しい等、適切な確認や改善の指示が可能となり、利便性が高い。
(表示盤24の液晶表示画面)
図20〜図24は、電力指令装置6の表示盤24の液晶表示画面26の詳細を示すものである。これらの図において、110はその家庭で使用が許されているブレーカーBKの定格容量(第1の上限容量:8000W)の値を数字で示す最大許容電力情報、111は現在使用しているその家庭の使用電力量を数字で示す現在使用電力表示情報である。なお、最大許容電力値に対して現在使用している電力値との余裕度を示す電力余裕値情報112(図示せず)を表示させても良い。
113は、家庭の最大許容電力を、4段階から1つだけ選択できる設定キーであり、各キー113には、各設定キーの内容を示す電力量が表示されている。図22の状態では、4000Wキーのみが白抜き文字で表示されているので、電力使用限度はブレーカーBKの既定容量(8000W)の半分である。
これら設定キー113は、静電容量式などのタッチ式キーで構成されており、タッチして入力可能な場合のみ、そのキーの輪郭と機能の一部を示す文字(例:4000W)が目視できるように表示されるものである。言い換えると入力ができない状態では、入力キー自体が表示されないか、あるいは殆ど目視で確認できない程度薄く表示される。実際には、液晶表示画面26の表面を覆うガラス板に、静電容量式の入力キーが形成されており、所定位置のキーをタッチすれば、そのキーに対応した入力信号が操作入力部25から中央制御部27に与えられる。
114は、前記電力指令装置6が制御対象にしている家庭内の家電機器EEの名称や略称を示す使用機器表示情報であり、誘導加熱調理器51の名称114Aや炊飯器3の名称114Bなどから構成されており、表示エリア122の中に一覧形式で表示される。この使用機器表示情報114は、左側に表示されたものほど、電力確保の面で、優先度が高い機器になっている。
115は、電力が使用されている場合、つまり現在使用されている場合は、点灯する使用表示部である。図20では、空気調和機4と照明器具が使用されていることが分かる。なお、使用表示部115の近傍に表示された数値は、使用されている電力量であり、例えば1分毎に、過去1分間における平均電力値が表示される。なお、家電機器EEの優先度を設定すると、その優先度が最も高い順に左から右に、その設定された各家電機器の名称が表示されるような画面表示構成にしても良い。そうすれば使用者は優先順位の高い家電機器を直ぐに認識できる。
116は、インフォーメーション・キーである。このインフォーメーション・キーに使用者が触れると、その場面で使用者に参考になる電力関連情報や、電力を効率的に使用する調理方法や空調機の温度設定方法などの情報がこの液晶表示画面26の中にその都度表示される。
液晶表示画面26の中に、家電機器EEで異常発生や故障の表示がされた場合において、このインフォーメーション・キー116を押すと、異常発生や故障の情報データベースから、特定の家電機器に関する故障や、異常内容が詳しく文字で表示される。
117は、ヘルプモードキーであり、使用者がこれに触れると、その場面で使用者の操作に参考になる情報が表示されるとともに、別途設けた音声ガイド装置(図示せず)によって、正しい操作方法が音声で報知される。なお、何度もこのキーを押した場合、この液晶表示画面26の見方や入力方法などが、模式図と文字で液晶表示画面26全体に表示される。
図22では、誘導加熱調理器51に異常が発生し、現在停止していることが分かる。他の家電機器の使用機器表示情報とは異なり、誘導加熱調理器51だけが白抜き文字で表示され、また使用表示部115は、異常発生を示す文字が表示された異常表示部118に変更になっている。
使用機器表示情報の表示エリア122の中には、節電のチェックポイントやその他家電機器EEの異常、故障や安全上の情報等を表示するための、アドバイスエリア119がある。このアドバイスエリア119では、図22に示すように、異常が発生し、緊急停止した家電機器EE(例えば、誘導加熱調理器51)があることが文字で表示される。
図22において、選択キー(操作部)120は、居住者が帰宅している場面に最適な居住環境を設定する在宅モードを選択するものである。その選択キー120の右近傍には、留守モード(「外出モード」ともいう)に切り換える選択キー121が配置されている。
前記選択キー120は、これを押すことで、所定の留守モードの設定指令が前記制御部27に与えられるため、以後、この選択キーを「留守モード選択手段」と呼ぶ。また選択キー(操作部)121は、これを押すことで、所定の在宅モードの設定指令が前記中央制御部125に与えられるため、以後、この選択キーを「在宅モード選択手段」と呼ぶ。
前記留守モード選択手段121について説明する。このキーは居住者全員が外出する場合、例えば家族揃って買い物や旅行に出掛ける場合に利用すると便利なキーである。
図22の状態から、前記留守モード選択手段121を押すと、図23に示した通り電力指令装置6の中央制御部27が動作し、液晶表示画面26の表示内容が変化する。
居住者が外出するために留守モードを設定しようとした場合について説明する。
図23において、前記留守モード選択手段121を押すと、電力指令装置6の中央制御部27は、留守モードを設定するため所定の制御プログラムに従って動作開始する。そして中央制御部27は、第1の記憶部27Aの中に、異常監視データを取得した記録があるかどうかを照合する。
そして異常監視データを取得した記録があった場合、家電機器EEの何れかで過去に異常が発生していたことを意味するので、家屋全体の電源を切って外出する前に、最新状況を確認するため、電力指令装置6の中央制御部27は、前記した電力指令装置6から家電機器EE(誘導加熱調理器51など)に対する総電力量削減の指令信号と同様に、現時点の状況確認信号を当該誘導加熱調理器51に対して発する。
次に、誘導加熱調理器51側からは既に運転を停止している旨の報知信号(応答信号)が出されるか、又は既に電源が完全に遮断されて反応がない場合がある。これによって、電力指令装置6側では、最新の時点でも誘導加熱調理器51は既に停止していることが分かる。
次に電力指令装置6の中央制御部27は、誘導加熱調理器51の停止も確認できた段階で、留守モードの設定を完了し、所定の時間経過後(例えば10分後)に、家屋内の家電機器EEの電源を一斉に遮断するような「一括電源OFF動作」を開始する。
全ての家電機器EEの電源を同時に遮断するのではなく、玄関前の照明など、居住者が外出する際に点灯している方が好ましい照明器具等は、電源遮断のタイミングを遅延させて良い。言い換えると、電力指令装置6の中央制御部27は、居住者が事前に設定した例外的家電機器、すなわち外出時も電源供給を継続して運転しておくべき家電機器(例えば、電気冷蔵庫、熱帯観賞魚用の海水保温用電気ヒーターとその照明用電気器具等)を除いた他の家電機器の電源供給を遮断する(なお、完全に遮断せず、一部家電機器は、いわゆる待機モードにして小電力だけ供給しておく場合もある)。
次に中央制御部27は、居住者が居住空間の中に残っていないかどうか人感センサーを有する人検知部31でチェックし、人が居る反応を検知した場合は、電力指令装置6の本体6Aに内蔵してあるスピーカ(図示せず)で警報を出す。例えば、大型のペット(動物)を部屋に置いて外出する場合、そのペットを居住者と誤って人検知部31が検知する場合もあるので、そのような場合、そのようなペットを誤検知しないように特定の人感センサーの感度を変更するなどの入力操作を行う。なお、前記留守モード選択キー121が押されてから、前記警報を出すまでの所要時間は1分以内が良い。この警報タイミングが遅いと、その警報時には、居住者が全て屋外に出てしまっていて、警報に気が付かない場合が想定されるからである。
次に中央制御部27は、人検知部31で居住者の存在が検知されず、また玄関の電子錠33の施錠が完了したことを在宅検知部32からの信号で確認すると、在宅管理のデータベースを保管している記憶装置28の中のデータを一部変更し、居住者全員について、「在宅」から「不在」にデータを変更指令する。この時点で中央制御部27は、「留守モード」に入る。
この「留守モード」では、中央制御部27は、各種家電機器EEの電源供給の遮断を維持し、又は最小限度の電源供給は容認する(いわゆる、待機状態にする)が、各種家電機器の本来の機能(加熱や空気調和)を発揮するための本格的な動作の開始入力は受け付けないという強制的保留状態に維持する。
留守モードに入ると、前記中央制御部27は、環境検知部30に対して、居住空間HAに異常がないかどうかを監視するように留守モード実行中に、監視モードの動作指令を出する。これに応じて、環境検知部30は、所定の時間間隔(例えば数分置き)で、前記居住空間の気温や湿度等の計測、監視と、その計測データの記録動作を行う。なお、環境計測データは、ある情報量だけは環境検知部30の内部メモリーに一時的に記憶させておき、その後、その記憶データを前記第2の記憶部27Bか記憶装置28の方に自動的に移しても良い。
一方、玄関の電子錠の施錠が解除されたことを在宅検知部32からの信号で電力指令装置6の中央制御部27が確認し、さらに人検知部31で人の存在が検知された場合は、中央制御部27は居住者が帰宅したと判定し、前記「留守モード」を部分的に自動で解除し、玄関照明などを点灯する。その居住者が表示盤24の外郭正面にある「在宅モード選択手段」120にタッチすると、完全に在宅モードに復帰するので、家庭内の各家電機器EEの使用は可能になる(但し、全ての居住者が全ての家電機器を使用できる訳ではなく、専用家電機器は特定の居住者のみしか使用できない)。
次に、前記「留守モード」を設定する場合の前記選択キー121と使用状態表示情報エリア122について説明する。
在宅モードの状態(つまり留守モードに切り換える前)は、押しボタン式キー(操作部)120は、図22に示しているようにキーの輪郭も、またキーの名称も明瞭に表示される。一方、留守モード選択手段121は、図22に示しているように表示盤24の表面に目立たない状態に表示される。選択キー121の操作部を示す輪郭が薄く見える程度であるが、「留守モード選択」という機能を示す文字は明瞭に表示している。
次に、この状態からその留守モード選択手段121にタッチすると、図23に示すように、「一括電源OFF」という機能を示す文字が表示された選択キー123が初めて現れる。
使用者は、図22の状態で既に使用状態表示情報エリア122にて、誘導加熱調理器51が異常であることを異常表示情報118の表示によって確認できるが、更に液晶表示画面26が図23の状態に切り替わった段階でも異常表示情報118の表示は継続されるので、使用者(居住者)が見落とす可能性は殆どない。
このように、異常発生機器表示情報に相当する異常表示情報118とは、文字や図形など視覚情報によって、異常が発生した家電機器(運動計測機器と健康管理機器等を含めても良い)を特定できる1つ又は複数の情報をいう。
この図23の例では、誘導加熱調理器51が異常発生したことを示すため、その誘導加熱調理器51の名称表示部の直ぐ上に異常表示情報118が表示されている。
従って使用者は、誘導加熱調理器51の状態を直接現場に出向いて確認できる。そして実際確認した結果、誘導加熱調理器51は確かに停止していることが確認されたら、使用者は前記選択キー123(以後、「一括電源OFFキー」という)にタッチする。
次に、表示盤24の液晶表示画面26は、図24のように、前記誘導加熱調理器51の名称を示す情報114Bが消えた状態になる。従って、この状態で、次に、留守モード選択手段121にタッチすると、一括電源OFFキーの表示は薄く見える状態に変化し、代わりに留守モード選択手段121の操作部には「留守モード確定」という文字が明瞭に表示された形態に変化するので、使用者は留守モードの設定が完了したことを容易に理解できる。
図24に示したように、前記誘導加熱調理器51の名称を示す情報114Bを消したのは、一括電源OFFに設定する際に、そのような情報114Bが表示されていると、使用者は、この「一括電源OFFキー」や「留守モード確定」の段階で、遠隔操作で前記誘導加熱調理器51の電源を無条件に遠隔操作で遮断できるものと誤解する懸念があるからである。
図23において、124は、「予約動作済」という文字で示した第1の予約運転確認情報である。この情報は、炊飯器3を予約炊飯設定しておいた結果、この時点では既に炊飯は終えていることを示している。
次に図24は、在宅モードから留守モードを設定する場面における液晶表示画面26を示している。この図24において、125は、「予約」という文字で示した第2の予約運転確認情報である。この情報は、炊飯器3を予約炊飯設定しておいた結果、この時点では未だ炊飯は終えていないことを示している。
次に図25は、居住者が外出先から帰宅し、留守モードを解除して在宅モードに切り換える場面における液晶表示画面26を示している。この図25において、126は、「未完了」という文字で示した第3の予約運転確認情報である。この情報は、炊飯器3を予約炊飯設定しておいたが、この帰宅の時点では未だ炊飯は終えていないことを示している。
次に図26は、図25と同様に、居住者が外出先から帰宅し、留守モードを解除して在宅モードに切り換える場面における液晶表示画面26を示している。この図26において、126は、前述したように第3の予約運転確認情報である。
この図26では、図25のアドバイスエリア119の表示内容と異なり、炊飯器3が予約炊飯を完了していない旨文字で表示し、帰宅した居住者への注意喚起を図っている。
(実施の形態1の総括)
以上の説明から明らかなように、実施の形態1における炊飯器3は、
電気加熱源となる(誘導加熱式)ヒーター61と、
所定時刻になった時点で運転を開始する予約運転モードが指定できる、専用の予約キー76を備えた入力操作部71と、
外部に対して炊飯動作完了報知信号(図12。運転情報信号L7)を送信する無線送信部90と、
外部から無線で予約炊飯状況の照会信号を受信する受信部90と、
前記入力操作部71からの予約運転モードの指定を受け付け、また前記ヒーター61を制御し、前記予約運転モードでの運転が完了したかどうかを検知する制御手段83と、を備え、
前記制御手段83は、前記受信部90から(情報通信端末機器20又は電力指令装置6から発信された)予約炊飯状況の照会信号(図18。タンミングT27)を受信した場合、前記予約運転モードの運転状況を示す報知信号(T30。図18参照)を前記送信部90から発信することを特徴とする電気炊飯器である。
さらにこの炊飯器3の制御手段83では、情報通信端末機器20から発信された距離判定情報信号と移動速度情報とに基づいて、居住空間HAまで居住者が帰宅に要する時間(情報通信端末機器20が居住空間まで移動する時間)を算出している。
そして、居住空間HAまで居住者が帰宅に要する時間と、現在時刻との関係から、炊飯動作を開始するために適当な時刻を算出する機能を備えている(図20。TG1)。そしてその算出した時刻TBなると、炊飯動作を開始する(図19。T63)。
さらに、実施の形態1の炊飯器3では、
前記送信部90と受信部90は、1つの使用電力制御手段19として構成され、
前記使用電力制御手段19は、前記受信部90から受けた電力削減の指令信号AS2を、前記制御部85に伝達する構成を備えている。
さらに実施の形態1の炊飯器3では、
前記送信部90及び受信部90と別個に、情報通信端末機器20の通信部との間で近距離無線通信確立状態になるNFC入出力部81を更に有している。
前記制御手段83は、使用者が予約キー76によって予約炊飯モードを選択したときに前記送信部90から、所定の運転情報信号(図12。L2)を発信する構成を備えている。
前記制御手段83は、使用者が指定した予約炊飯モードに従って炊飯動作を開始する前に、その予告のための所定の運転情報信号(L3。図13のステップS7参照)を発信する構成を備えている。
前記制御手段83は、予約炊飯モードに従って炊飯工程を開始する場合、その工程の開始を報知するための所定の運転情報信号(L5。図12参照)を発信し、炊飯工程の期間中は、外部からの電力削減指令信号を受信しても、電力を削減しない構成を備えている。
さらに、実施の形態1における電力指令装置6は、
予約運転動作を設定できる家電機器(炊飯器3を含む)に対し、電力削減指令信号を発して家庭内の総電力量を制限する電力制御部23と、
情報通信端末機器20からの遠隔操作信号及び距離判定情報信号と、前記炊飯器3からの予約炊飯動作の設定信号(図16。炊飯開始時刻TAの情報含む。T4参照)及び予約炊飯動作の完了信号(図17。T27。図20。T67を参照)を受信する受信部(入出力部)29Aと、
家庭の消費電力量等の電力情報と、予約運転を設定した家電機器を特定する情報と、をそれぞれ報知する報知手段(表示盤)24と、
前記電力制御部23と前記報知手段24とを制御する中央制御部27と、を備え、
前記中央制御部27は、前記情報通信端末機器20の距離判定情報信号が示す距離に応じて、前記炊飯器3が予約炊飯の条件(炊飯動作の開始時刻)を変更した場合、又は中央制御部27が前記情報通信端末機器20の距離判定情報信号が示す距離に応じて帰宅までの所要時間を算出し、この所要時間の情報を炊飯器3に送信した結果、炊飯器3が予約炊飯の条件(炊飯動作の開始時刻)を変更したことを示す情報を送信してきた場合(図20。TG1参照)、変更後の予約炊飯条件を示す情報を記憶し(データベースに登録:図20。TG2参照)、さらに予約炊飯の条件の変更を前記情報通信端末機器20に報知し(図20。報知C1、TG3参照)、
前記中央制御部27は、前記予約炊飯動作の設定信号(図16。T4参照)を発した炊飯器3から、その後予約炊飯動作の完了信号(図17。T27と図20のT67参照)を受信していないときには、当該炊飯器3を特定する情報(図22〜図26の114A、126)を、報知手段24で報知(図23、図24参照)可能とすることを特徴とするものである。
さらに、実施の形態1における電力指令装置6は、
居住者の帰宅検知情報(図17。T30参照)を受信する在宅検知部32を有しており、
前記中央制御部27は、前記在宅検知部32が帰宅検知信号を受信した場合、予約炊飯動作を完了していない炊飯器3の存在を、前記報知手段24で報知する構成を備えている。
さらに、実施の形態1における家電機器の運転管理システムは、
無線通信用の第1の通信部90と、電気エネルギーで動作する加熱源(誘導加熱式ヒーター)61と、を備えた家電機器の1種である炊飯器3と、
前記炊飯器の予約運転条件を示す遠隔操作信号及び距離判定情報信号を発信する情報通信端末機器20と、
前記炊飯器3から運転情報信号(L1〜L8)を取得する統合管理装置6と、
を備え、
前記炊飯器3には、誘導加熱式ヒーター61を制御する制御手段83と、所定の時刻になった時点で運転開始する予約設定入力信号を前記制御手段83に入力する操作入力部71、とを有し、
前記統合管理装置6には、前記炊飯器3の運転状況を表示する表示手段(液晶表示画面)26を有し、
前記炊飯器3は、前記統合管理装置6を経由して情報通信端末機器20からの距離判定情報信号を受信し、当該信号が示す距離に応じて前記予約運転条件を変更する機能を有しており、
前記統合管理装置6は、前記炊飯器3から、その予約運転条件変更結果を示す情報を取得し、前記表示手段(液晶表示画面)26において表示する構成である。
さらに、実施の形態1における家電機器の運転管理システムは、
無線通信用の第1の通信部90と、電気エネルギーで動作する加熱源(誘導加熱ヒータ)61と、を備えた家電機器EEの1種である炊飯器3と、
前記家電機器の第1の通信部90に電力削減指令信号AS2を伝達し家庭内の総電力量を制限する電力指令装置6と、
前記炊飯器3の予約炊飯条件を示す遠隔操作信号及び距離判定情報信号を発信する情報通信端末機器20と、
を備え、
前記炊飯器3には、前記加熱源を制御する制御手段83と、所定の時刻になった時点で運転開始するため、予約キー76を操作することで予約設定入力信号を前記制御手段83に入力する操作入力部71、とを有し、
さらに前記炊飯器3は、前記情報通信端末機器20からの距離判定情報信号が示す距離に応じて炊飯開始時刻の適否を判定する機能と炊飯開始時刻を変更する機能とを有し、
前記電力指令装置6は、前記炊飯器3の予約炊飯条件変更結果を示す情報を取得し、その変更結果を表示する表示手段(液晶表示画面)26を有し、
前記電力指令装置6は、居住者の操作に応じて、予約炊飯が完了していない炊飯器3がある場合、当該炊飯器3を特定できる情報(114A、126)を前記表示手段26によって表示することを特徴とする構成である。
さらに、実施の形態1の家電機器の運転管理システムの電力指令装置6には、在宅モードと留守モードを選択できる選択操作部120、121を有する構成である。
さらに、実施の形態1の家電機器の運転管理システムでは、居住者が帰宅時に前記選択操作部120、121を操作する場面では、前記表示手段26には、予約設定がされている家電機器(炊飯器3)を示す情報(114A、125)と、運転中の家電機器(空気調和機4)を示す情報(114C、115)が表示される構成を備えている。
さらに、実施の形態1における別の家電機器の運転管理システムは、
無線通信用の第1の通信部90と、エネルギーで動作する加熱源(誘導加熱ヒータ)61を備えた炊飯器3と、
前記炊飯器3の第1の通信部90と無線通信する第2の通信部29Aを有し、運転情報信号L1〜L8を取得する電力指令装置5と、
前記炊飯器3の予約炊飯条件を示す遠隔操作信号及び距離判定情報信号を発信する情報通信端末機器20と、
を備え、
前記炊飯器3には、加熱源61を制御する制御手段83と、所定の時刻になった時点で炊飯動作開始する時間予約(タイマー)炊飯モードと位置対応予約炊飯モードの2つの予約炊飯モードが選択できる操作入力部71、とを有し、
さらに前記炊飯器3には、位置対応予約炊飯モードの場合、前記情報通信端末機器20からの距離判定情報信号が示す距離に応じて炊飯開始時刻の適否を判定する機能と炊飯開始時刻を調整する機能とを有し、
前記電力指令装置5には、在宅モードと留守モードを選択できる選択操作部120、121と、在宅モードと留守モードの期間中における炊飯器の運転状況を表示する表示手段(液晶表示画面26)と、を有し、
前記統合管理装置6は、居住者が前記留守モードから在宅モードへ前記選択操作部120、121を切り換え操作した場合、前記予約運転モードの期間中、前記炊飯器3が炊飯動作を完了したかどうかを示す情報(114A、126)を前記表示手段(液晶表示画面)26に表示する構成を備えている。
さらに、実施の形態1の家電機器の運転管理システムでは、前記統合管理装置6は、在宅モードを設定している期間中、異常の発生で停止した家電機器(誘導加熱調理器51)からの運転情報信号(異常発生報知信号)ESを取得し、当該家電機器(誘導加熱調理器51)を特定できる情報(114B、118)を前記液晶表示画面26に表示する構成を備えている。
さらに、実施の形態1の家電機器の運転管理システムでは、前記統合管理装置6は、在宅モードを設定している期間中、前記予約運転モードの家電機器(炊飯器3)がある場合、当該家電機器を特定できる情報(114A、125)を前記表示手段に表示する構成を備えている。
以上説明した実施の形態1では、電力指令装置6によって消費電力が制限される炊飯器3や誘導加熱調理器51側から、主電源投入、加熱調理開始などの動作変動がある度に、図12で説明したような運転情報信号L1〜L8が送信され、これを受けて電力指令装置6では炊飯器3等の家電機器EEについて、その主電源投入や調理メニューの選択、調理工程の進捗等を把握していたが、これに加え、電力指令装置6側から一定の時間間隔で運転状況を問い合わせるような信号を発しても良い。たとえば、電力指令装置6側から、使用電力制御手段19に対して、要求電力、調理進捗状況等の情報を求める指令を数秒〜30秒間隔で出すようにしても良い。
また、実施の形態1で説明した使用電力制御手段19を、通信用アダプター形式にして炊飯器3や誘導加熱調理器51の本体内部又は外側壁面に固定されて使用するようにしても良い。その通信用アダプターは、炊飯器3や誘導加熱調理器51等の家電機器EEとは別に直接電源線(主幹線)27に接続され、その電源線から電力を得る方式で良いが、家電機器EEの電源回路の途中から分岐させて、コネクタ等の接続手段で接続し、電力を得る方式でも良い。前記アダプターは、1つの家庭内で複数使用されることから、各アダプターには、各アダプター固有の識別番号(アダプターID)が付けられており、電力指令装置6の側から見て、通信相手の特定のアダプターだけを識別できるようになっている。
前記情報サーバー17から電力指令装置6や情報通信端末機器20に対して送信される情報には、家電機器EEの異常や緊急自動停止後の対応や復旧に関する(使用者に対して)有益な情報(家電機器EEの復旧のための特殊な操作方法の指示や解説含む)と、家電機器EEの異常発生原因の解析結果と、再発防止や修理・点検依頼に関する(使用者に対して)有益な情報を含めると更に良い。
広域通信回路網15は、双方向通信可能な任意の通信ネットワークである。この通信ネットワークは、例えば、インターネットでも有線通信網でも衛星通信網でもよい。また、家庭から情報サーバー17への送信経路(「上り通信経路」という)と、逆に情報サーバー17から家庭への送信経路(「下り通信経路」という)とで異なる通信ネットワークを用いてもよい。
また、実施の形態1で説明した高機能の携帯電話端末器等の情報通信端末機器20は、前記した「上り通信経路」と「下り通信経路」の何れか一方に使用しても良い。例えば、炊飯器3と誘導加熱調理器51は、自らの運転状態、異常監視情報等を示す信号を、電力指令装置6へ送信し、電力指令装置6が前記家電機器EEの運転状態を示すために、高速通信に適する信号に変換して情報通信端末機器20に送信し、情報通信端末機器20が広域通信回路網15を介して情報サーバー17に、炊飯器3、誘導加熱調理器51等の運転状態を報知するようにしても良い。あるいは、情報通信端末機器20を介在させずに、電力指令装置6が広域通信回路網15を介して情報サーバー17に炊飯器3等の運転状態を報知するようにしても良い。
実施の形態2.
次に図27〜図30に示す実施の形態2について説明する。
図27〜図30は、本発明の第2の実施形態に係る炊飯器3の動作を示すフローチャート図である。図27と図28が「時間予約炊飯モード」における動作を示し、図29と図30が「位置対応予約炊飯モード」おける動作を示している。なお、実施の形態1と同一又は相当部分については、同一符号を付けて重複した説明は省略する。
この実施の形態2は、実施の形態1に示したような統合管理装置(電力指令装置)6を利用しておらず、炊飯器3が家庭内に設置された通信端末(ホーム・ゲートウェイが一例)に無線又は有線で接続され、この通信端末を介して外部(居住空間外)の広域通信回路網15に接続されている。
図27において、ステップSV1〜SV19までが、炊飯器3の制御部85と使用電力制御手段19の動作である。
使用者が、電源コードのプラグを電源接続口につないで、主電源スイッチ68の操作ボタン68Aを押すと、主電源スイッチ68がON(閉)となる(SV1)。すると、液晶表示部64が起動される(SV2)。
次に、炊飯器3の予約キー76を押し、「時間予約炊飯モード」を選択するか、「位置対応予約炊飯モード」を選択する(SV3)。前者モードの場合には、炊飯完了設定時刻TFの入力を行う。また「位置対応予約炊飯モード」を選択した場合は、その次に予想される帰宅時刻TBや、帰宅するタイミングが何時間後であるかという大まかな条件を入力する。
時間予約炊飯モードを選択し、最後に炊飯開始ボタン59を押すと、時間予約炊飯モードの設定確定信号が制御部85に入力され、予約炊飯の設定が確定する(SV4)。
炊飯完了設定時刻TFを21時00分に設定した場合を想定して以下説明する。
この確定信号を受けて、次のステップSV5では、予約炊飯モードの設定を示す運転情報信号L2が、無線通信部90から外部に発信される。その運転情報信号L2の発信は、最終的にこの炊飯器3と通信するように初期設定しておいた情報通信端末機器20で確認される。
前記運転情報信号L2の発信の際に、炊飯完了設定時刻TFを示す情報を同時に送信する。また予約設定者(使用者と推定される)の情報を、例えば「居住者B」を示すコード番号等でそれらデータに含めて送信すると良い。
前記ステップSV5では、運転情報信号L2の送信完了後に、待機判断部101が制御装置85への電源部84を遮断し、液晶表示部64も動作も停止する。これにより制御部85側での電力消費を無くすことになる。このため、このステップSV5は、実施の形態1の図13で説明したステップS5に相当する。
次のステップSV6では、使用者が設定した炊飯完了設定時刻TFと、現在時刻の時間間隔を計算する。なお、使用者が炊飯を完了する時刻を設定する場合は、実際に炊飯を開始する時刻は、使用者では分からないことが通常である。しかし、帰宅時までには炊飯を完了させておきたいと考えて、「21時00分」と設定している。制御部85ではこの入力を受けて、炊飯工程(この場合、図9に示した、予熱工程H1、炊飯工程H2、むらし工程H3の3つ)の所要時間を計算し、予熱工程H1の開始時刻を計算する。
そして開始時刻までの時間を計算した結果から、実際に予熱工程H1の開始時刻を「20時10分」と算出し、この時刻の5分前(つまり、20時05分)になったかどうかの判定を一定時間間隔でチェックする。このステップで「Yes」となると、次のステップSV7に進む。
ステップSV7では、待機判断部101は、待機状態を解除するため、電源部84から制御部85に対する電源供給を復帰させる。制御部85は起動され、水位センサー88が蒸気処理装置57の中の水タンクの水位が、規定の範囲内であるかどうかを判定する(SV8)。
ステップSV8では、水位の異常はないとの判定を制御部85が行う(SV9)と、次のステップSV10に進む。しかし、万一、水位が異常に低下していることが検知されると、ステップSV20に進む。
ステップSV20は、異常発生時の対応を行うものであり、情報通信端末機器20に対して異常発生した旨の報知信号ESを発信させる。この報知信号(以下、「異常発生報知信号」という)ESは、水位センサー88の水位計測結果を示す所定電圧の検出信号を、制御部85が分析して、発生させる。
制御部85は、水位センサー88の検出出力(電圧)と、異常判定テーブル(対比データ)との比較を行い、異常内容を特定し、異常の種類(例えば、水位が異常に低い)と対応した原因等が分かるように、事前に分類された情報を抽出する。そしてこの異常判定日時と、この炊飯器3の識別情報(少なくとも、型名、形式番号、製造番号)をセットにして、異常発生報知信号ESとして情報通信端末機器20に送信する。この時、識別番号を追加しているのは、情報通信端末機器20経由で情報サーバー17に対して前記異常発生信号ESに含まれる固有情報を送信する場合に便利だからである。
水位の異常がない場合は、次のステップSV10では、炊飯動作開始予告信号L3を情報通信端末機器20に対して発信させる。そして次のステップSV11に進む。
SV11では、制御部85が設定した炊飯動作の開始時刻TAになったかどうかの判定が繰り返し行われる。もし、この時刻になった場合は、このステップSV11は「Yes」であり、ヒーター61に対する通電を開始する(SV12)。
次のステップに進み、ヒーター61が、内釜60を加熱するから、実施の形態1で説明したように、吸水用の予熱工程H1が開始され、これに引続いて炊飯工程H2の工程に進む。そしてステップSV13では、予熱工程H1、炊飯工程H2、むらし工程H3までが完了したかどうかの判定を行う。完了の場合は、次の工程SV14へ進む。
ステップSV14では、むらし工程まで終えたことを示す運転情報信号(実施の形態1の図12に示した信号L7に相当)を、情報通信端末機器20に対して発信させる。また、既に液晶表示部64は起動されているので、炊飯終了を表示し、合成音声装置96とスピーカ97によって、音声でも炊飯完了を報知する。
次に、保温工程H4を使用者が設定していた場合には、このステップSV15は「Yes」となり、保温工程が開始される(SV16)。
次のステップSV17は、予約炊飯動作を行ったかどうかの照会信号を、情報通信端末機器20から受けたかどうかの判断を行うステップである。照会があった場合には、炊飯を完了したことを示す所定の報知信号、例えば、実施の形態1の図12に示した運転情報信号L7に相当するような信号を発信する(SV18)。
ステップSV17で、予約炊飯を行ったかどうかの照会信号を受けていない場合には、次のステップSV19に進む。このステップは、使用者によって保温工程の中止の指令が行われたかどうかを判定する。中止の指令が無い場合には、例えば保温は、炊飯工程H2の完了から最大で12時間まで継続し、それ以降は自動停止するような制御プログラムになっている。従って、この場合、上記12時間の間は、情報通信端末機器20から予約炊飯を行ったかどうかの照会信号を受けると、何度でも自動的に応答(ステップSV18)する。
次に、図28について説明する。
図28において、ステップSV20〜SV25までが、炊飯器3で異常発生が検知された場合の制御部85と使用電力制御手段19の動作である。
ステップSV20では、制御部85の異常発生の判定結果と、その判定対象データ(水タンクの水位の異常低下)が、記憶部102に一時記憶される。この動作は、実施の形態1におけるの「予約炊飯履歴データ収集」T29(図18参照)に相当する。
次のステップSV21では、これらデータを遠隔制御部100が無線通信部90を介して情報通信端末機器20に送信する。この時の動作は、実施の形態1における「予約炊飯履歴信号」T30(図18参照)の送信に相当し、「予約炊飯未実施報知信号」LNが送信される。
ステップSV22では、待機判断部101は、待機状態にするため、電源部84から制御部85に対する電源供給を遮断させる。
次のステップSV23は、予約炊飯を完了したかどうかの照会信号を、情報通信端末機器20から受けたかどうかの判断を行うステップである。照会があった場合には、炊飯を完了していないことを示す所定の報知信号を情報通信端末機器20へ返信する。ステップSV21では既に異常発生の判定結果と、その判定対象データが送信されているので、同じデータは送信しないが、水位センサーの異常感知で、炊飯を予約通り行わなかったことが再度通知される。
上記のような自動応答は、水位の異常があるとの判定を制御部85が行ってから12時間継続し、以後自動的に終了する。12時間経過後は、予約炊飯を完了したかどうかの照会信号を、情報通信端末機器20から受けても、使用電力制御手段19から、予約炊飯動作の完了有無は応答しない。なお、この12時間を延長し、次に炊飯動作(予約炊飯以外も含む)が行われる時点まで継続させることでも良い。
次に、「位置対応予約炊飯モード」を選択した場合の炊飯器3の基本的動作について説明する。
図27において、ステップSP1〜SP19までが、炊飯器3の制御部85と使用電力制御手段19の動作である。
使用者が、主電源スイッチ68をONし(SV1)、液晶表示部64が起動され(SV2)、「位置対応予約炊飯モード」を選択する(SP1)。
次に、使用者(居住者)は、外出したあとで予想される帰宅時刻TBや、帰宅するタイミングが何時間後であるかという大まかな条件を入力する(SP2)。
帰宅予想時刻TRは21時00分に設定したものと想定して以下説明する。
位置対応予約炊飯モードを選択し、最後に炊飯開始ボタン59を押すと、位置対応予約炊飯モードの設定確定信号が制御部85に入力され、予約炊飯の設定が確定する(SP3)。
この確定信号を受けて、次のステップSP4では、予約炊飯モードの設定を示す運転情報信号L2が、無線通信部90から外部に発信される。その運転情報信号L2の発信は、最終的にこの炊飯器3と通信するように初期設定しておいた情報通信端末機器20で確認される。
前記運転情報信号L2の発信の際に、帰宅予想時刻TRを示す情報を同時に送信する。また予約設定者(使用者と推定される)の情報を、例えば「居住者B」を示すコード番号等でそれらデータに含めて送信すると良い。
前記ステップSP4では、運転情報信号L2の送信完了後に、待機判断部101が制御装置85への電源部84を遮断し、液晶表示部64も動作も停止する。これにより制御部85側での電力消費を無くすことになる。このため、このステップSP4は、実施の形態1の図13で説明したステップS5に相当する。
次のステップSP5では、使用者が炊飯器3に入力した帰宅予想時刻TRから120分前になったかどうかを判断する。このステップは、使用者が外出先に携帯している情報通信端末機器20の現在位置を示す情報を取得するステップを、帰宅予想時刻の2時間前から開始しようとするものである。なお、この2時間を3時間のように拡大することでも良いし、また逆に90分に短縮することでも良い。使用者の外出行動やパターン等から適宜決めれば良い。
次のステップSP6では、待機判断部101は、待機状態を解除するため、電源部84から制御部85に対する電源供給を復帰させる。
次のステップSP7では、情報通信端末機器20に対して、現在位置の情報提供と、移動速度の計算結果についての情報提供を求める要求信号を無線通信部90から発信させる。
情報通信端末機器20は、実施の形態1で説明したように、自身の現在位置を検出する位置検出部145と、位置情報記憶部146及び距離情報算出部147を、それぞれ備えている。
前記位置検出部145は、GPS衛星148から送信されているGPS信号を受信し、その受信した信号を解析して、情報通信端末機器20の地球上の現在位置を算出する機能を有している。つまり、この位置検出部145によって、情報通信端末機器20の地球上の現在位置は、リアルタイムで把握される。
距離情報算出部147は、事前に位置情報記憶部146に登録された居住空間HAの位置情報と、情報通信端末機器20との現在位置の情報とに基づいて、その目標物までの距離を算出する機能を有している。算出した距離の情報は、「距離判定情報信号」として出力される。
さらに実施の形態1で説明したように、情報通信端末機器20は、前記距離判定情報信号の時間的変化を監視している機能もあり、一定時間毎の変化値から、情報通信端末機器20の移動速度を算出する機能がある。
そこで、例えば1分間隔で距離判定情報信号が示す距離の変化を算出し、「分速100m」、「分速300m」等の「移動速度情報」を生成し、これを「距離判定情報信号」と同時に炊飯器3に向けて送信する動作を行う。このため、情報通信端末機器20から「距離判定情報信号」と「移動速度情報」を受信した炊飯器3では、この炊飯器の設置位置まで情報通信端末機器20が移動して到達する推定時間を計算で求めることができる。
炊飯器3では、現在の時刻から上記のように炊飯器3まで戻ってくる所要時間と、炊飯に必要な時間(図9に示した、予熱工程H1、炊飯工程H2、むらし工程H3の3つを行う所要時間)とを比較する。
例えば、帰宅の所要時間が70分、炊飯に必要な時間が60分であるとすると、現時点から10分後に炊飯動作を開始すれば良いことが制御部85の計算で判明する。
そして開始時刻までの時間を計算した結果から、実際に予熱工程H1の開始時刻を「20時10分」と算出し、この時刻の5分前(つまり、20時05分)になったか時点で、次のステップSP8に進む。
ステップSP8では、既に起動されている制御部85が、水位センサー88を通じて蒸気処理装置57の中の水タンクの水位をチェックする。
ステップSP8では、水位の異常はないとの判定を制御部85が行う(SP9)と、次のステップSP10に進む。しかし、万一、水位が異常に低下していることが検知されると、ステップSP30に進む。
ステップSP30は、異常発生時の対応を行うものであり、情報通信端末機器20に対して異常発生した旨の報知信号ESを発信させる。この報知信号(異常発生報知信号)ESは、水位センサー88の水位計測結果を示す所定電圧の検出信号を、制御部85が分析して、発生させる。
制御部85は、水位センサー88の検出出力(電圧)と、異常判定テーブル(対比データ)との比較を行い、異常内容を特定し、異常の種類(例えば、水位が異常に低い)と対応した原因等が分かるように、事前に分類された情報を抽出する。そしてこの異常判定日時と、この炊飯器3の識別情報(少なくとも、型名、形式番号、製造番号)をセットにして、異常発生報知信号ESとして情報通信端末機器20に送信する。この時、識別番号を追加しているのは、情報通信端末機器20経由で情報サーバー17に対して前記異常発生信号ESに含まれる固有情報を送信する場合に便利だからである。
水位の異常がない場合は、次のステップSP10では、炊飯動作開始予告信号L3を情報通信端末機器20に対して発信させる。そして次のステップSP11に進む。
SP11では、制御部85が予熱工程H1の開始時刻(20時10分)の5分前(つまり、20時05分)になったかの判定を繰り返し行う。もし、この時刻になった場合は、このステップSV11は「Yes」であり、ヒーター61に対する通電を開始する(SP12)。
次のステップに進み、ヒーター61が、内釜60を加熱するから、実施の形態1で説明したように、吸水用の予熱工程H1が開始され、これに引続いて炊飯工程H2の工程に進む。そしてステップSP13では、予熱工程H1、炊飯工程H2、むらし工程H3までが完了したかどうかの判定を行う。完了の場合は、次の工程SP14へ進む。
ステップSP14では、むらし工程まで終えたことを示す運転情報信号(実施の形態1の図12に示した信号L7に相当)を、情報通信端末機器20に対して発信させる。また、既に液晶表示部64は起動されているので、炊飯終了を表示し、合成音声装置96とスピーカ97によって、音声でも炊飯完了を報知する。
次に、保温工程H4を使用者が設定していた場合には、このステップSP15は「Yes」となり、保温工程が開始される。
次のステップSP17は、予約炊飯動作を行ったかどうかの照会信号を、情報通信端末機器20から受けたかどうかの判断を行うステップである。照会があった場合には、炊飯を完了したことを示す所定の報知信号、例えば、実施の形態1の図12に示した運転情報信号L7に相当するような信号を発信する。
ステップSP17で、予約炊飯を行ったかどうかの照会信号を受けていない場合には、次のステップSP19に進む。このステップは、使用者によって保温工程の中止の指令が行われたかどうかを判定する。中止の指令が無い場合には、例えば保温は、炊飯工程H2の完了から最大で12時間まで継続し、それ以降は自動停止するような制御プログラムになっている。従って、この場合、上記12時間の間は、情報通信端末機器20から予約炊飯を行ったかどうかの照会信号を受けると、何度でも自動的に応答する。
次に、図30について説明する。
図30において、ステップSP30〜SP35までが、炊飯器3で異常発生が検知された場合の制御部85と使用電力制御手段19の動作である。
ステップSP30では、制御部85の異常発生の判定結果と、その判定対象データ(水タンクの水位の異常低下)が、記憶部102に一時記憶される。この動作は、実施の形態1におけるの「予約炊飯履歴データ収集」T29(図18参照)に相当する。
次のステップSP31では、これらデータを遠隔制御部100が無線通信部90を介して情報通信端末機器20に送信する。この時の動作は、実施の形態1における「予約炊飯履歴信号」T30(図18参照)の送信に相当し、「予約炊飯未実施報知信号」LNが送信される。
ステップSP32では、待機判断部101は、待機状態にするため、電源部84から制御部85に対する電源供給を遮断させる。
次のステップSP33は、予約炊飯を完了したかどうかの照会信号を、情報通信端末機器20から受けたかどうかの判断を行うステップである。照会があった場合には、炊飯を完了していないことを示す所定の報知信号を情報通信端末機器20へ返信する。ステップSP31では既に異常発生の判定結果と、その判定対象データが送信されているので、同じデータは送信しないが、水位センサーの異常感知で、炊飯を予約通り行わなかったことが再度通知される。
上記のような自動応答は、水位の異常があるとの判定を制御部85が行ってから12時間継続し、以後自動的に終了する。12時間経過後は、予約炊飯を完了したかどうかの照会信号を、情報通信端末機器20から受けても、使用電力制御手段19から、予約炊飯動作の完了有無は応答しない。なお、この12時間を延長し、次に炊飯動作(予約炊飯以外も含む)が行われる時点まで継続させることでも良い。
(実施の形態2の総括)
以上の説明の通り、この実施の形態2に示した電気炊飯器3は、
電気加熱源となるヒーター61と、
所定時刻になった時点で運転を開始する時間予約炊飯モードと、位置対応予約炊飯モードの2つの予約炊飯モードが指定できる入力操作部71と、
外部に対して無線又は有線で炊飯動作完了報知信号を送信する送信部90と、
前記入力操作部71からの前記予約炊飯モードの指定を受け付け、また前記ヒーター61を制御し、指定した予約炊飯モードでの運転が完了したかどうかを検知する制御手段83と、を備え、
前記制御手段83は、前記予約炊飯モードでの炊飯動作が完了した場合、前記送信部から炊飯動作完了報知信号(L7。SV14。図27参照)を発信する構成である。
さらに前記制御手段83は、情報通信端末機器20から「距離判定情報信号」と「移動速度情報」を受信し、情報通信端末機器20を所持している居住者が移動して居住空間HAまで到達する推定時間を計算で求め、この「帰宅所要時間」と、炊飯に必要な時間(図9に示した、予熱工程H1、炊飯工程H2、むらし工程H3の3つを行う所要時間)とを比較し、炊飯動作を開始すれば良いタイミングを判定する機能を有する。
この構成の電気炊飯器によれば、居住者等が帰宅する前に、予約しておいた炊飯動作が行われた場合には、その炊飯器から予約炊飯を行ったことを示す報知信号が発信される。従って、その報知信号を利用すれば、居住者等が炊飯動作の完了を事前に知ることができる。
さらに、前記送信部90は、外部に対して無線で炊飯動作完了報知信号(L7。図27参照)と予約炊飯未実施報知信号(SV21。図26参照)の双方を送信するものであり、
前記制御部85は、前記受信部90から予約炊飯状況の照会信号を受信した場合、前記予約運転モードでの運転が完了している場合、前記送信部90から炊飯動作完了報知信号L7を発信し、指定した2つの炊飯モードの何れにおいても、その炊飯動作が完了していない場合には、前記送信部から炊飯動作未実施報知信号LN(SV21。図28、図30参照)を発信する構成である。
この構成の電気炊飯器3によれば、例えば居住者等が帰宅する前に、予約しておいた炊飯動作が行われたかどうかを確認するための照会信号を受信すると、炊飯器から予約炊飯を行ったこと、行っていないことの双方の報知信号が発信される。従って、その報知信号を利用すれば、居住者等が炊飯動作の完了、未完了を事前に知ることができる。
しかも、炊飯動作の完了、未完了を事前に知るための情報通信端末機器20を所持している居住者が、炊飯器3のある場所まで遠隔地等から戻ってくる帰宅(推定)所要時間を計算で求め、この「帰宅所要時間」と、炊飯に必要な時間(図9に示した、予熱工程H1、炊飯工程H2、むらし工程H3の3つを行う所要時間)とを比較し、炊飯動作を開始すれば良いタイミングを判定する機能を有する。
実施の形態3.
次に図31〜図34に示す実施の形態3について説明する。
図31は、炊飯器3の蓋体56の平面図を示しており、液晶表示部64も起動させ、全ての入力用キーも表示させた状態である。
図32は、図31の炊飯器3の予約炊飯モードを設定し、それを確定するまでの制御部85の動作ステップを示すフローチャート図である。
図33は、電力指令装置6の表示盤24の液晶表示画面26と入力操作部25を示す正面図である。
図34は、図33の電力指令装置6の中央制御部27の動作ステップの一部を示すものであり、炊飯器3等の家電機器の予約モードを設定する動作を段階的に示すものである。なお、実施の形態1と同一又は相当部分については、同一符号を付けて重複した説明は省略する場合がある。
図31において、71は、炊飯器3の操作部であり、予約炊飯機能の設定を行う予約キー76を有している。この予約キーは、炊飯器3の予約炊飯モードとして、時刻予約炊飯モードを設定するか、位置対応予約炊飯モードを設定する場合に押す必要がある。この予約キー76は、使用者が押すことによって内蔵された電気接点が閉じられ、制御部85に対する入力信号が発生するような機械的スイッチである。
前記時間予約炊飯モード」とは、実施の形態1と同じように、使用者が希望する時刻を指定し、その時刻までに炊飯が完了することを指定する使用形態をいう。なお、希望する時刻を入力する場合と、現在時刻から指定時間後までに炊飯動作を完了する場合の、2つのパターンを含んでいるが、以下の説明では、「19時30分」というように時刻を入力する場合で説明する。
予約炊飯機能の設定を行う予約キー76を押すと、既に起動している液晶表示部64には、図31に示すように、時間予約炊飯モードを選択するためのキー150と、位置対応予約炊飯モードを選択するためのキー151が、並んだ状態で表示される。
前記液晶表示部64は、操作部71の機能も有しており、使用者が前記キー150、151の表示部分にタッチすることによって、制御部85に対する入力信号が発生するような静電容量式のタッチ式スイッチを構成している。
以下、前記2つのキー150、151は、予約モード選択キーと称する。なお、この炊飯モード選択キー150、151は、炊飯開始ボタン59が押されて、実際に炊飯動作が開始された場合は、自動的に消え、そのように消えた状態では、選択キー150、151が表示されていた液晶表示部64の表面にタッチしても、制御部85に対しては、何の操作入力信号も発生しない。
81は、NFC入出力部を有した情報通信端末機器20を接近させて、近距離無線通信を可能とするためのNFC入出力部であり、蓋体56の上面に接近してその内部に埋め込まれている。
次に図32について説明する。
図32において、ステップSW1〜SW12までが、炊飯器3の制御部85と使用電力制御手段19の動作である。なお、実施の形態1と同一又は相当部分については、同一符号を併記している。
使用者が、電源コードのプラグを電源接続口につないで、主電源スイッチ68の操作ボタン68Aを押すと、主電源スイッチ68がON(閉)となる(SW1)。そして、すると、液晶表示部64が起動される(SW2)。
液晶表示部64には、予約モード選択キー150、151が同時に表示される(SW3)。そして「時間予約炊飯モード」を選択するための予約モード選択キー150にタッチしたかどうかのチェックが行われ(SW4)、タッチしていた場合には次のステップ(SW5)に進む。
使用者は、事前に携帯電話端末器等の情報通信端末機器20を炊飯器3のNFC入出力部81に接近させて、近距離無線通信(NFC通信セッション)を成立させ、情報通信端末機器20のMACアドレスを炊飯器2に送信し、初期設定を完了させているので、このような情報通信端末機器20の中の所定のアプリケーション・ソフトウェアを起動させて、例えば、音声で「炊飯時刻20時00分」と入力しておく。
前記ステップSW5の段階で上記のような炊飯予約時間を「20時00分」と登録した情報通信端末機器20を炊飯器3のNFC入出力部81に接近させる。これにより、再びNFC通信セッションが成立し、情報通信端末機器20で登録した炊飯予約時間が炊飯器3の制御部85に読み込まれる。
次に、炊飯開始ボタン59が押されたことが検知されると(SW6)、次のステップに進み、時間予約炊飯モードの設定確定信号が制御部85に入力され、予約炊飯の設定が確定する(SW7)。
次のステップSW8では、待機判断部101が、制御装置85への電源部84を遮断し、液晶表示部64も動作も停止する。これにより制御部85側での電力消費を無くすことになる。
この確定信号を受けて、この時点で予約炊飯モードの設定を示す運転情報信号L2(時間予約炊飯モードであることを示す識別信号も含む)を、無線通信部90から電力指令装置6に発信させる。その際に、炊飯動作開始時刻情報は、「20:00」であることを示すデータにして送信する。また予約設定者(使用者と推定される)の情報を、例えば情報通信端末機器20で登録した「居住者B」を示すコード番号等でそれらデータに含めて送信する。
一方、時間予約炊飯モードの予約モード選択キー150にタッチしなかった場合には、ステップSW9に進み、位置対応予約炊飯モードを選択するための予約モード選択キー151にタッチしたかどうかのチェックが行われ、タッチしていた場合には次のステップ(SW10)に進む。
使用者は、事前に情報通信端末機器20で「帰宅予定時刻20時00分」と帰宅時間の情報を登録しておく。
上記のような情報通信端末機器20を炊飯器3のNFC入出力部81に接近させるこれにより、情報通信端末機器20で登録した居住者Bの帰宅予定時間が炊飯器3の制御部85に読み込まれる(SW10)。
次に、炊飯開始ボタン59が押されたことが検知されると(SW11)、次のステップに進み、時間予約炊飯モードの設定確定信号が制御部85に入力され、予約炊飯の設定が確定する(SW12)。
次のステップSW8では、待機判断部101が、制御装置85への電源部84を遮断し、液晶表示部64も動作も停止する。これにより制御部85側での電力消費を無くすことになる。
この確定信号を受けて、この時点で予約炊飯モードの設定を示す運転情報信号L2(位置対応予約炊飯モードであることを示す識別信号も含む)を、無線通信部90から電力指令装置6に発信させる。その際に、帰宅予定時刻情報は、「20:00」であることを示すデータにして送信する。また予約設定者(使用者と推定される)の情報を、例えば情報通信端末機器20で登録した「居住者B」を示すコード番号等でそれらデータに含めて送信する。
上記のように、位置対応予約炊飯モードでは、情報通信端末機器20を炊飯器3のNFC入出力部81に接近させるステップ(SW10)は、必ずしも必要ではないが、この実施の形態では、情報通信端末機器20で登録した居住者Bの帰宅予定時間(20時00分)が、炊飯器3の炊飯完了時刻であると最初の段階では制御部85が判断し、この帰宅予定時間(20時00分)がある程度迫ってくる時刻までは、炊飯器3の炊飯動作を準備しない構成にしている。例えば、この帰宅予定時間(20時00分)の2時間前の段階で、情報通信端末機器20の現在位置の判定動作を開始する。このように居住者Bの帰宅予定時間を初期の参考情報にしているのは、大幅に帰宅時間が変動しないことが、過去の帰宅時間の履歴から居住者Bには分かっているためである。これは情報通信端末機器20の中に登録した帰宅予定時刻と対応させて、毎回炊飯動作完了時刻の情報が炊飯器3から送信されることで実現できる。なお、実施の形態1では、そのような炊飯動作完了時刻の情報は、炊飯器3から電力指令装置6を経由して、情報通信端末機器20に送信されていた(実施の形態1の「報知D」、T29を参照)が、この実施の形態3でも同様である。なお、電力指令装置6を経由しない場合でも、情報通信端末機器20には、予約炊飯を実施した場合には、毎回情報通信端末機器20に炊飯動作完了時刻の情報が送信される。
次に図33について説明する。
図33において、電力指令装置6の表示盤24の液晶表示画面26には、実施の形態1で示した使用機器表示情報114に代わるものとして、機器選択キー155A〜155Fが表示エリア122の中に一覧形式で表示される。この機器選択キー155A〜155Fは、静電容量式のタッチキーで形成されており、これにタッチすると、そのタッチしたキーに対応している家電機器(例えば、炊飯器3)に対する予約運転(予約炊飯)の入力が行える。
図33の状態では、炊飯器の機器選択キー155Aの真上に配置されている使用表示部115は点灯していないので、炊飯器3は炊飯動作していないことが分かる。
152、153は、表示エリア122の外側(下側)にそれぞれ並べて配置されたNFC入出力部であり、実施の形態1のNFC入出力部40と同じものである。また、このNFC入出力部152、153は、炊飯器3のNFC入出力部81と同様に、情報通信端末機器20との間でNFC通信によって情報を授受できる。152A、153Aは、無線タグ(NFCタグ)である。実施の形態1に示した炊飯器3の無線タグ82と同様なものである。
図33において、154は、電力指令装置6における家電機器EEの各種予約運転(予約炊飯を含む)の設定を解除できる解除キーであり、静電容量式のタッチキーで形成されている。これにタッチすると、そのタッチ前に予約運転(予約炊飯等)を設定していた家電機器の予約を解除できる。例えば、図33では、使用表示部115に「予約」と表示され、まだ運転を開始していない食器洗い乾燥機54の機器選択キー155Eを先にタッチし、これに続いてこの解除キー154を押せば、食器洗い乾燥機54の使用表示部115の「予約」の表示は消えて、炊飯器3のように、何も表示されない状態に戻る。なお、この解除キー154は、情報通信端末機器20によって居住空間HAの外部から予約運転を電力指定装置6が受け付けた全ての予約に対して、それを解除できる機能があり、これは、実際に居住空間HAに居る居住者の操作を優先するという思想に基づいている。
次に図34について説明する。図33に示したような液晶表示画面26と入力操作部25を備えた電力指令装置6の中央制御部27は、この図34に示す動作ステップで、炊飯器3等の家電機器の予約モードを簡単に設定することができる。
まず図33のように在宅モードを設定している状態(SY1)の段階において、使用表示部115に「運転中」と表示されている家電機器の機器選択キー(例えば、空気調和機4のキー155Cを)タッチする。あるいは、使用表示部115に何も表示されている家電機器の機器選択キー(例えば、炊飯器3のキー155Aを)タッチする。これにより家電機器の選択ステップ(SY2)を終える。
これに続いて、予約運転のモードを選択するステップになる。
使用者は、事前に携帯電話端末器等の情報通信端末機器20を電力指令装置6の2つのNFC入出力部152、153の何れか一方に接近させて、近距離無線通信(NFC通信セッション)を成立させ、情報通信端末機器20と電力指令装置6との間で相互に相手を識別できるよう、初期設定を完了させておく。
このような情報通信端末機器20を、機器選択キー(例えば、空気調和機4のキー155C)にタッチしたことに続いて、NFC入出力部152に接近させると、情報通信端末機器20で登録した予約運転の条件(電源ONの時刻や、電源OFFの時刻情報)が電力指令装置6の中央制御部27に読み込まれる。
NFC入出力部152にてNFC通信が行われたことが検知されると(SY3)、次のステップに進み、時間予約運転モードの設定確定信号が制御部85に入力され(SY5)、空気調和機は、所定の予約時刻になると運転が停止する。なお、空気調和機4の使用表示部115は、「運転中」の表示が継続する。
一方、ステップSY2の次に、情報通信端末機器20を、炊飯器3の選択キー155Aにタッチしたことに続いて、NFC入出力部153に接近させると、情報通信端末機器20で、位置対応予約モードを設定した事実を示す情報(設定日時、時間、情報通信端末機器20の登録ユーザー名など)が電力指令装置6の中央制御部27に読み込まれ、位置対応予約モードで炊飯器3の予約をすることができる(SY4)。この後、炊飯器3の使用表示部115に「予約」と表示される。そして、次のステップに進み、位置対応予約運転モードの設定確定信号が制御部85に入力される(SY6)。
このようにして、家電機器毎に、予めタッチ操作や音声で入力した予約条件を登録している情報通信端末機器20を、電力指令装置のNFC入出力部152、153に接近するだけで、時間予約運転モードの設定と位置対応予約運転モードの設定を簡単に行うことができる。
(実施の形態3の総括)
以上の説明の通り、この実施の形態3に示した電気炊飯器3は、
電気加熱源なるヒーター61と、
時間予約炊飯モードと、位置対応予約炊飯モードの2つの予約炊飯モードが選択できる入力操作部71と、
外部に対して炊飯動作完了報知信号を無線で送信する送信部90と、
外部の情報通信端末機器20から予約炊飯実行の照会信号と、当該情報通信端末機器20の距離判定情報信号とを無線で受信する受信部90と、
前記入力操作部71からの予約炊飯モードの選択を受け付け、また前記ヒーター61を制御する制御手段83と、を備え、
前記制御手段83は、位置対応予約炊飯モードの場合、前記位置情報信号から求めた距離に応じて、炊飯時刻を調整し、
さらに前記制御手段83は、前記受信部90から予約炊飯実行の照会信号を受信した場合、前記予約炊飯モードでの炊飯動作が完了しているときには、前記送信部90から予約炊飯動作完了報知信号を発信する構成である。
さらに、前記入力操作部71は、内釜60の上方を開閉する蓋体56に配置されており、
前記蓋体56には、前記時間予約炊飯モードと、位置対応予約炊飯モードの2つの予約炊飯モードを選択するキー150、151と、
前記キー150、151によって選択された予約炊飯モードを確定させるために前記制御手段83に所定の入力信号を与える炊飯開始用入力キー(炊飯開始ボタン)59を配置したことを特徴とする構成である。
さらに、前記蓋体56には、表示手段(液晶表示部)64が配置されており、
前記予約炊飯モードを選択する場面では、前記表示手段によって前記時間予約炊飯モードと、位置対応予約炊飯モードの2つの予約炊飯モードを選択するキー150、151をそれぞれ表示させる構成である。
以上の構成であるから、表示手段(液晶表示部)64に表示された時間予約炊飯モードの選択キー150と、位置対応予約炊飯モードの選択キー151を直接タッチすることで、予約炊飯モードを選択でき、そのあと、炊飯開始用入力キー(炊飯開始ボタン)59を操作することで予約炊飯モードを確定できるので、予約炊飯作業が簡単にできる。
さらに、この実施の形態3に示した電気炊飯器3は、
電気加熱源なるヒーター61と、
時間予約炊飯モードと、位置対応予約炊飯モードの2つの予約炊飯モードが選択できる入力操作部71と、
前記入力操作部71による入力結果を表示する表示手段としての液晶表示画面26と、
外部に対して運転完了報知信号を無線で送信する送信部90と、
外部の情報通信端末機器20から予約炊飯実行の照会信号と、当該情報通信端末機器20の距離判定情報信号とを無線で受信する第1の受信部90と、
前記情報通信端末機器20が近接又は接触することにより自動的に交信する第2の受信部となるNFC入出力部81と、
前記入力操作部71からの予約炊飯モードの選択を受け付け、また前記ヒーター61を制御する制御手段83と、を備え、
前記制御手段83は、位置対応予約炊飯モードの場合、前記距離判定情報信号から求めた距離に応じて、炊飯動作開始時刻を調整し、
さらに前記制御手段83は、前記受信部90から予約炊飯実行の照会信号を受信した場合、前記予約炊飯モードでの運転が完了しているときには、前記送信部90から予約炊飯動作完了報知信号を発信する構成である。
さらに、前記制御手段83は、入力操作部71において予約炊飯モードを選択したあと、前記情報通信端末機器20が前記NFC入出力部81と交信したときに、当該情報通信端末機器20を識別するデータを取得し、当該情報通信端末機器に関して予約炊飯モードを確定する構成である。
以上の構成であるから、表示手段(液晶表示部)64に表示された時間予約炊飯モードの選択キー150と、位置対応予約炊飯モードの選択キー151を選択して、予約炊飯モードを選択したあと、前記情報通信端末機器20を前記NFC入出力部81に接近又は接触させて所定の通信セッションを成立させれば、予約運転モードを確定でき、その情報通信端末機器20に対して炊飯器3等の加熱機器から予約運転の情報を送信できるという設定が簡単に行える。
実施の形態4.
次に図35〜図36に示すものは、本発明の実施の形態4に関するものである。
図35は、電力指令装置6の表示盤24の液晶表示画面26と入力操作部25を示す正面図である。図36は、図35の電力指令装置6の中央制御部27の動作ステップの一部を示すものであり、炊飯器3等の家電機器の予約運転モードに加え、見守りモードも選択できる動作を段階的に示すものである。なお、実施の形態1と同一又は相当部分については、同一符号を付けて重複した説明は省略する場合がある。
本発明の実施の形態4では、時間予約運転モードと、位置対応予約モードに加え、「見守りモード」も選択できるようにしたものである。
ここで、「見守りモード」とは、居住空間HAの中にある各種電気機器EE、屋外にある給湯装置39、住宅の入口(玄関)の外側に設置された(玄関ドアをロックしている)電子錠33等(これらを総称して、「見守り対象機器」という)からの状態(ある状態の継続時間や時間帯を含む)、消費電力量等を監視するために利用するモードである。
まず、「見守り」の意味、内容を明らかにするため、見守りに関する代表的な先行技術について説明する。
特開2011−227699号公報には、テレビ受像機を利用した生活状況確認システムが記載されている。そのテレビでは、操作情報格納部の格納データと、テレビの操作とを比較し、違いが発生すると、居住者の異常として検出し、見守り者にメールを送付する。具体的には、「設定時刻に、テレビの起動/停止スイッチが、ONされていません。」というような異常を知らせるメッセージをメールにて発信する。
この先行技術では、メッセージを発信するメッセージ生成装置は、参照情報として、家電機器の消費する電力情報ではなく、家電機器が生成する状態情報と操作情報とを含む機器情報を参照する点も、1つの実施形態として紹介されている。その状態情報は、家電機器における現時点の状態を示す情報である。また、操作情報とは、使用者からの指示に基づいて、家電機器が実行した操作に関する情報である。
別の先行技術文献として、特開2000−293774公報がある。この文献では、一人暮らしの居住者等がテレビ受像機や空気調和機等の家電機器の電源を「入」等するためにリモコンを操作すると、受光センサーがリモコンから発せられた光信号を検出する「安否確認装置」の発明が開示されている。
また、この特許文献では、電気ポットの蓋部にスイッチが押されると受光センサーが検出可能な光信号を発する光信号発信器(発光ダイオード)を備えたものが開示されている。
さらに別の先行技術文献として、特開2004−86383号公報がある。この特許文献では、見守り対象者である居住者の住居内の家電機器の動作状態(連続動作時間や連続不動作時間など)を、通電情報を基に検出し、住居外の管理機関がこの情報を管理し、関係者に対し情報を送信する生活モニタリングシステムが開示されている。
この特許文献が開示する生活モニタリングシステムは、家電機器毎に異常検知の規定となる値が予め決められており、検出した連続動作時間又は連続不動作時間をこの規定値と比較している。
本発明の実施の形態4では、以上のような先行技術も参考に、以下のような状態の有無を統合管理装置(電力指令装置)6が検出することが「見守りモード」である。
(1)炊飯器3において、電源ONされて、メニューキー73や予約炊飯キー76、予約モード選択キー76(図31参照)等が押されたまま、それ以後の入力操作が所定時間(例えば5分間以上)経過しても、行われていないことが検知された場合。例えば炊飯器3からは、主電源投入(ON)を示す運転情報信号L1を統合管理装置(電力指令装置)6が受信したまま、5分経過しても、その他運転情報信号が受信できない場合。
(2)炊飯器3において、予約炊飯工程が終わったことを示す運転情報信号L6を受信したが、保温動作を設定していないまま、2時間以上経過しても、主電源OFFを示す運転情報信号L8を受信していない場合。これは、例えば使用者(居住者)が炊飯を忘れていることが想定される。
(3)グリル調理器52による加熱調理が、タイマー設定時間通り(例:30分間)で終了したことを示す運転情報信号を受けたが、それ以降1時間経過しても、グリル調理器52のドアが開放されたことを示す情報が示されていない場合。これは、例えば使用者(居住者)が加熱調理したことを忘れていることが想定される。
(4)キッチンにある誘導加熱調理器51によって加熱調理が開始されたことを示す運転情報信号を受信したが、その時点から5分経過しても、キッチンにある換気装置から運転開始したことを示す運転情報信号を受信していない場合。誘導加熱調理器51の運転を検知して自動的に起動されるようになっている換気装置の故障が想定される。
(5)統合管理装置(電力指令装置)6の表示盤24の入力操作部26に設けてあるインフォーメーション・キー116やヘルプモードキー117が、短時間に頻繁に多数回(繰り返し)押されている場合。操作になれた居住者ではなく、例えば同居している子供が操作していることが想定される。
(6)環境検知部30が取得したキッチン等の居住空間HAの環境状況が変化した場合。例えば、キッチンにある誘導加熱調理器51やグリル調理器52、炊飯器3等の熱機器の運転は過去1時間以内に全く行われておらず、あるいは運転終了から1時間以上経過している状況で、環境検知部30が取得したキッチンの雰囲気計測結果は、湿度が急激に上昇していることを示した場合。例えば、この時点で、食器洗い乾燥機54が運転中である場合、何らかの原因で、食器洗い乾燥機54から高温の熱気(食器乾燥用)がキッチンの空気中に放出されている可能性がある(食器洗浄槽を封鎖する開閉ドアの閉鎖が不十分であるか、又はドアの内側のシール用パッキンが変形したりして密封性が損なわれている可能性も想定される)。
見守りモードでは、例えば、炊飯器3については、予約炊飯モードに設定してあって未だ炊飯動作が開始されていない状態から、炊飯完了し、保温動作に移行していることまでも電力指令装置6が一次的に把握する。
さらに、その状態はさらに携帯電話等の情報通信端末機器20でも二次的に把握できる。なお、見守りモードでは、留守モード時と同様に、前記中央制御部27は、環境検知部30に対して、居住空間HAに異常がないかどうか、監視動作指令を出する。これに応じて、環境検知部30は、所定の時間間隔で、見守り対象機器の設置された居住空間の中の、気温や湿度等の計測を行い、その計測データを環境検知部30の内部メモリーに一時的に記憶し、その後、その記憶データを中央制御部27に送信する。送信データは前記第2の記憶部27Bか記憶装置28に記憶される。
「見守りモード」では、複数の居住者が、同時に1つの家電機器EE等の見守り対象機器の状態を知ることができる。
次に図35について説明する。電力指令装置(統合管理装置)6の動作を集中的に設定できるように、表示盤24には、液晶表示画面26と入力操作部25を備えている。
その電力指令装置6の中央制御部27は、図36に示す動作ステップで、炊飯器3等の見守り対象機器の見守りモードを簡単に設定することができる。
図35において、電力指令装置6の表示盤24の液晶表示画面26には、実施の形態1で示した使用機器表示情報114に代わるものとして、機器選択キー155A〜155Fが表示エリア122の中に一覧形式で表示される。この機器選択キー155A〜155Fは、静電容量式のタッチキーで形成されており、これにタッチすると、そのタッチしたキーに対応している見守り対象機器(例えば、炊飯器3)に対するモードの入力が行える。
図35の状態では、炊飯器の機器選択キー155Aの真上に配置されている使用表示部115は、「見守り」という文字が表示された表示部162に変化している。つまり、炊飯器3は炊飯動作していないことが分かる。食器洗い乾燥機54にも「見守り」という文字が表示された表示部162が近接して表示されている。
160は、表示エリア122の外側(下側)で最も右側位置に配置されたタッチ式入力部(キー)であり、これにタッチすると、見守りモードや予約運転モードを設定したり、解除したりする信号が、前記中央制御部27に入力される。
161は、表示エリア122の外側(下側)に配置されたNFC入出力部であり、これに情報通信端末機器20でタッチすると、見守り対象機器の動作を常時監視する見守りモードが選択される。なお、その際に、監視データの送信先は、その情報通信端末機器20が中央制御部27に登録される。なお、152、153は、実施の形態3で説明したものと同じNFC入出力部である。
実施の形態3で示したような、時間予約炊飯モード選択用キー150や位置対応予約炊飯モード選択用キー151に相当する「見守りモード」選択用にキーは、家電機器EE側には設けていない。
次に図36に示すモード設定動作について説明する。
まず図35のように在宅モードを設定している状態の段階において、タッチ式入力部(キー)160にタッチする(SX1)。
次に、使用表示部115に「運転中」と表示されている家電機器の機器選択キー(例えば、空気調和機4のキー155C)や、使用表示部115に「予約」と表示されている家電機器の機器選択キー(例えば、給湯機器39のキー155Gを)タッチする。あるいは、使用表示部115に何も表示されている家電機器の機器選択キー(例えば、炊飯器3のキー155Aを)タッチする。これにより家電機器の選択ステップ(SX2)を終える。なお、図35では、炊飯器3のキー155Aには「見守り」と表示されており、また食器洗い乾燥機54でも「見守り」と表示されているが、これらは、見守りモード設定後に表示された状態を示している。
これに続いて、具体的なモードを選択するステップになる。
使用者は、事前に携帯電話端末器等の情報通信端末機器20を電力指令装置6の2つのNFC入出力部152、153の何れか一方に接近させて、近距離無線通信(NFC通信セッション)を成立させ、情報通信端末機器20と電力指令装置6との間で相互に相手を識別できるよう、初期設定を完了させておく。
このような情報通信端末機器20を、機器選択キー(例えば、炊飯器3のキー155A)にタッチしたことに続いて、NFC入出力部152に接近させると、情報通信端末機器20で登録した予約運転の条件(電源ONの時刻や、電源OFFの時刻情報)が電力指令装置6の中央制御部27に読み込まれる。なお、予約運転の条件を設定せずに、先にNFC入出力部152に接近させ、この後、時間予約運転モード確定後(ステップ:SX4)のあとで、情報通信端末機器20を起動して、炊飯器3に予約運転の条件(電源ONの時刻や、電源OFFの時刻情報)を入力しても良い。
NFC入出力部152にてNFC通信が行われたことが検知されると(SX3)、次のステップに進み、時間予約運転モードの設定確定信号が制御部85に入力され(SX4)、炊飯器3は、時間予約運転(炊飯)モードに設定が確定する。そして、炊飯器3のキー155Aの真上に配置された使用表示部115には、「予約」という文字が表示される(これは、図35には示していない)。
一方、ステップSX2の次に、情報通信端末機器20を、炊飯器3の選択キー155Aにタッチしたことに続いて、NFC入出力部153に接近させると、情報通信端末機器20で予約炊飯を登録した事実が電力指令装置6の中央制御部27に読み込まれ、位置対応予約モードで炊飯器3の予約をすることができる(SX5)。
この後、炊飯器3の使用表示部115に「予約」と表示される。そして、次のステップに進み、位置対応予約運転モードの設定確定信号が制御部85に入力される(SX6)。
このようにして、家電機器毎に、居住者が保有している情報通信端末機器20を、電力指令装置のNFC入出力部152、153に接近するだけで、時間予約運転モードの設定と位置対応予約運転モードの設定を簡単に行うことができる。
次に、ステップSX2の次に、居住者が保有している情報通信端末機器20を、見守りモードを選択するNFC入出力部161に接近させ又はタッチすると、見守りモードを選択した信号が、前記中央制御部27に入力される(SX7)。そして中央制御部27は、炊飯器3の使用表示部115に「見守り」という文字を表示し、これによって見守りモードの設定が(炊飯器3と、特定の情報通信端末機器20に限っては)確定する(SX8)。もし、食器洗い乾燥機54についても見守りモードを設定したい場合には、食器洗い乾燥機54の機器選択キー155Eを先にタッチし、これに続いてNFC入出力部161に情報通信端末機器20を接近又はタッチすれば、食器洗い乾燥機54の使用表示部115には、炊飯器3のように「見守り」という文字情報が表示され、見守りモードに設定されていることが分かる。
使用機器表示情報の表示エリア122の中には、節電のチェックポイントやその他家電機器EEの異常、故障や安全上の情報等を表示するための、アドバイスエリア119がある。このアドバイスエリア119では、図35に示すように、見守りモードの設定作業を行うため、見守り対象機器を登録することが文字で表示され、また既に登録されている家電機器EEがある場合には、このアドバイスエリアに文字で表示される(図35参照)。
この実施の形態4では、住宅の入口(玄関)の外側に設置された電子錠33も見守り対象機器の1つであった。電子錠33の場合には、見守りモードにすると、居住者が居住空間HAの中に留まっていても、別の居住者や外来者が玄関のドアを開けた時点又は閉じた時点で、その都度所定の開放信号又は閉鎖信号が在宅検知部32(図3参照)に入る。このため、例えば居住者Aが居住空間HAの中に居る場合(つまり、帰宅している状態)でも、または外出中の状態でも、電力指令装置6の第1の記憶部27にある「見守り設定用データベース」に、炊飯器3等の見守り対象機器と、見守り状況を報知する連絡先の情報通信端末機器20が登録されているので、その情報通信端末機器20に、リアルタイムで見守り情報が送信される。
全ての居住者が、一緒に外出して電力指令装置6の表示盤24において「留守モード」を設定しても、上記の「見守りモード」の設定は消えない。そのため、例えば留守中に、給湯機器39が運転開始されたり、食器洗い乾燥機54の運転が開始されたりしたような情報が仮に外出先の居住者の情報通信端末機器20に届いた場合には、「留守モード」の設定を忘れて外出した可能性もあるため、自宅や他の居住者に電話やメールで連絡して確認する等の対応をすることができる。なお、確認後、情報通信端末機器20から、運転開始を取り消す指令信号を電力指令装置6に送信して、運転を止めることも可能である。
なお、見守り設定用データベースと、留守モード設定用データベースは、一部分で共通するから、これらデータベースは統合して構築しても良い。
(実施の形態4の総括)
以上の説明の通り、この実施の形態4に示した家電機器の運転管理システムは、第4の課題に関するものであり、
無線通信用の第1の通信部90と、電気エネルギーで動作する加熱源又は動力源と、を備えた家電機器EEと、
前記家電機器EEの予約運転を可能とする遠隔操作信号及び距離判定情報信号を発信する情報通信端末機器20と、
前記家電機器EEから運転情報信号を取得する統合管理装置6と、
を備え、
前記家電機器EEには、加熱源又は動力源を制御する制御部85と、所定の時刻になった時点で運転開始する予約設定入力信号を前記制御部85に入力する操作入力部71、とを有し、
前記統合管理装置6には、前記家電機器EEの運転状況を表示する表示盤24を有し、
前記家電機器EEは、前記情報通信端末機器20からの距離判定情報信号が示す距離に応じて前記予約運転条件を調整する機能を有し、
前記統合管理装置6は、前記家電機器EEの予約運転条件調整結果を示す情報を取得し、前記表示盤24において表示する構成である。
さらに前記統合管理装置6には、各種運転情報信号L1〜L8を取得する中央制御部27を有し、
前記統合管理装置6には、見守りモードと予約運転モードを設定する入力操作部25を備え、
前記入力操作部には、見守りモードと予約運転モードを指定する信号を前記中央制御部27へ与えるための、NFC入出力部152、153、161を備えたものである。
この家電機器の運転管理システムによれば、家電機器から運転情報を取得する統合管理装置6において、予約運転モードや見守りモードを入力操作部25において簡単に設定することができる。
なお、図35と図36に示したように、見守りモードや予約運転モードを設定したい家電機器について、該当する機器選択キー155A〜155Gを設けて、これを居住者が直接選択して家電機器を選択できるので、居住者の設定間違いを無くすことができ、利便性の高いシステムである。
実施の形態4では、見守り情報を受け取る情報通信端末機器20は、1台の場合で説明したが、居住者Aの携帯する情報通信端末機器20Aと、居住者Bの携帯する情報通信端末機器20Bを、同時に統合管理装置6に登録しても良い。
また、統合管理装置6の見守りデータベースに記録された情報は、自動的に情報サーバー17に転送するように設定しても良い。このようにしておくと、仮に居住空間HAの外部にいる居住者が、居住空間HAの中の見守り対象機器の留守中の様子を監視したい場合にも、それぞれが携帯しているスマートフォン等の情報通信端末機器20を使って、情報サーバー17にアクセスして、制御用アプリケーション・ソフトウェアをダウンロード(読み込み)すれば、情報サーバーにある監視情報を知ることができる。また必要な家電機器については、その遠隔操作(運転条件変更、運転停止を含む)もできる。
以上の説明では、予約運転できる家電機器の代表として、炊飯器3を中心にして説明したが、その他家電機器にも本発明が適用できるので、以下説明する。
例えば、乾燥用の電気ヒーターを備えた食器洗い乾燥機54(図4参照)では、洗浄したい食器類を洗浄槽の中に入れておいて、使用者が外出時に洗浄させるという使い方をする場合があり、その場合、通常の洗浄コースや、時間を掛けて念入りに洗浄するコース等を使用者が選択して、予約運転を確定させるものである。
このような運転開始を所定の時刻又はその設定時から所定時間後に、予約設定できるものがある。本発明はこのような食器洗い乾燥機54にも適用できる。つまり、居住者が外出先から帰宅する前に、予約洗浄動作(乾燥工程も含む)を完了させるよう、所定時刻までに予約洗浄動作を終えるように予約設定しておけば、居住者が帰宅する前に、予約しておいた洗浄動作が行われたかどうかを確認するための照会信号を食器洗い乾燥機54が受信すると、食器洗い乾燥機54から予約洗浄を行ったこと、行っていないことの双方の報知信号が発信される。従って、その報知信号を利用すれば、居住者等が食器洗い乾燥機54の洗浄動作(予約運転)の完了、未完了を事前に知ることができる。
食器洗い乾燥機の場合、通常は洗浄とすすぎの工程は時間で決められているので、すすぎを1回行うか、2回行うか等により、運転開始から運転停止(食器の乾燥工程終えるとき)までの時間は決まっている。例えば、運転開始から最初は、ミスト(霧)を吹きかけて食器の表面の汚れを浮かし、その後、洗浄工程、すすぎ工程(1回か2回)、加熱すすぎ工程(1回か2回)、最後に乾燥工程を行うが、標準的なコースでは90分程度、念入りに洗浄するコースでは120分程度要する。
このような食器洗い乾燥機54でも、情報通信端末機器20を所持している居住者が、食器洗い乾燥機54や炊飯器3のある居住空間HAの場所まで遠隔地等から戻ってくる帰宅(推定)所要時間を計算で求め、その帰宅所要時間と、洗浄(乾燥工程を含む)に必要な時間とを比較し、洗浄動作を開始すれば良いタイミングを判定することで、居住者の帰宅のタイミングに合わせた運転終了が実現できる。
また、洗濯物を入れる回転式ドラム(洗濯槽)と、このドラムを回転駆動するモータと、前記ドラムの中の洗濯物に対し、温風を供給する温風発生手段(電気ヒーターや、ガス、ヒートポンプ式熱交換器など)を備えた自動洗濯乾燥機(自動洗濯衣類乾燥機)では、居住者が外出中に、洗濯から脱水、乾燥までの所定の一連のコースを自動的に行わせる機能があり、このような運転開始を所定の時刻又はその設定時から所定時間後に、予約設定できるものがある。本発明はこのような家電機器の予約運転(予約洗濯・乾燥)にも適用できる。
また実施の形態1(図1)で示した給湯機器39にも本発明は適用できる。
前記給湯機器39は、熱源機39Hと、この熱源機の熱で作られたお湯を蓄えるタンク39Tとを備えており、熱源機39Hは例えばヒートポンプ式のものであるが、このような給湯機器は、例えば、特開2014−163640号公報で提案されている。この先行技術では、ヒートポンプ貯湯式給湯機器が、電力指令装置(HEMSコントローラ)によって制御される構成になっており、タンク39Tの中にある水を、熱源機39Hが所定の加熱能力で湯に沸き上げるため、その沸き上げ開始時刻を算出する手段を備えている。
そこで、居住者が前記電力指令装置を情報通信端末機器20から遠隔制御して、沸き上げ開始時刻を予約設定する場合、上述したような炊飯器3と同様に、居住者が帰宅する前に、予約しておいた沸上げ動作が行われたかどうかを確認するための照会信号を給湯機器39が受信すると、その給湯機器39から予約沸き上げを行ったこと、行っていないことの双方の報知信号が発信されるように構成できる。従って、その報知信号を利用すれば、居住者等が給湯機器39の給湯動作(沸き上げ運転)の完了、未完了を事前に知ることができる。しかも、居住者の帰宅時間が遅くなれば、それに合わせて給湯動作(沸き上げ運転)の開始タイミングも遅くなるように変更し、余分な沸上げ運転を回避して、省エネルギー性能を向上させることもできる。これは、浴槽にお湯を貯める「湯はり」という操作をする場合にも適用できる。そのため、居住者の帰宅するタイミングに合わせて、浴槽にお湯を貯めることができるという便利な使用方法を実現できる。
(その他の実施形態)
実施形態1〜4における炊飯器3の制御部85の、少なくとも一部を、集積回路上に形成された論理回路によってハードウエアとして構成してもよいし、CPU等などを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
また、温度検出回路91、時計回路99、使用電力制御手段19をソフトウェアで実現しても良い。
例えば、使用電力制御手段19をソフトウェアによって実現する場合は、各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムを格納したROM、上記プログラムを展開するRAM、プログラム及び各種データを格納するメモリー等の記憶装置(記録媒体)などを備えた構成になる。
また実施の形態1〜4において、使用電力制御手段19と制御部85との間は、無線通信で指令信号の授受をしていたが、そのような無線通信手段を廃止し、使用電力制御手段19の機能を、集積回路上に形成された論理回路によってハードウエアとして構成し、制御部85と直接電気回路で集積回路上において接続しても良く、また制御部85の構成とハードウエアで一体化しても良い。
電力指令装置6は、中央制御部27の、少なくとも一部を、集積回路上に形成された論理回路によってハードウエアとして構成してもよいし、CPU等などを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
また電力制御部23と中央制御部27を、1つのホストコンピュータとなるCPUと、集積回路上に形成された論理回路とによって構成し、ハードウエアとしては一体構造であってもよい。在宅検知部32、人感知部31、記憶装置28についても、それらの少なくとも一部を、集積回路上に形成された論理回路によってハードウエアとして構成してもよいし、CPU等などを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
また実施の形態1〜4においては、炊飯器3等の1つの家電機器EEの運転開始時刻や終了時刻を自動的に調節することを述べたが、居住空間HAの中には、2つ以上の家電機器の運転タイミングを関連させた方が良い場合がある。例えば、実施の形態1〜3で述べた炊飯器3は、炊飯時に高温の蒸気が室内へそのまま放出されない構成であったが、仮に放出されるような炊飯器であった場合、外出中に予約炊飯動作が行われると、キッチンの中に放出された蒸気が滞留し、湿度を上げることにもなり、帰宅した居住者の快適性を損なうことも懸念される。そこで、炊飯器3の運転開始から所定時間(例えば、吸水工程の所要時間)が過ぎた時点で、電力指令装置6がキッチンにある換気装置の運転を指令し、キッチンの換気を開始させることが望ましい。このような連動を実現するには、事前に電力指令装置6の第1の記憶部27にある「留守モード設定用データベース」に、炊飯器3の予約炊飯動作と換気装置の運転開始・停止動作を連動させる条件を記憶させておけば良い。例えば、炊飯器3の運転開始後、15分経過したら換気装置を運転開始し、炊飯器3の運転が終わったら、むらし工程の完了後5分間まで運転をして自動停止するように設定すれば良い。
実施の形態1では、外出時に居住者A又はBの少なくとも何れか一方が、居住空間HAから出る前の段階で、電力指令装置6の表示盤24において「留守モード」を設定する際に、帰宅予定時刻を入力していたが、このような入力は必ずしも必要ない。
例えば、その帰宅予定時刻は、電力指令装置6で外出時に留守モード設定用データベースに自動的に反映されるように、情報通信端末機器20を、留守モード設定時に液晶表示画面26のNFC入出力部152、153(実施の形態3。図33参照)の何れかにタッチすると、その瞬間の時刻が電力指令装置6に記憶され、この時点から時間の計測が自動的に開始され、例えばタッチ時点から6時間経過した段階で、電力指令装置6から当該情報通信端末機器20に、帰宅予定時刻を照会するメール等を自動発信し、これに対してその情報通信端末機器20を所持した居住者Bが帰宅予定時刻を返信すると、この帰宅予定時刻が電力指令装置6の留守モード設定用データベースに登録され、居住者Bで予約運転を設定した家電機器は、全てその帰宅予定時刻情報が反映させるようにしても良い。
あるいは、電力指令装置6で外出時に留守モードを設定して外出すると、その時点の時刻情報から8時間経過した時刻を、自動的に(仮の)帰宅予定時刻として電力指令装置6がその留守モード設定用データベースに登録するようにしても良い。またこの8時間を10時間や、12時間等、簡単に居住者が電力指令装置6で選択できるようにしても良い。
また、実施の形態1では、情報通信端末機器20は、距離判定情報信号の時間的変化を監視し、情報通信端末機器20の移動速度を算出していた。そして単位時間(例えば1分間)あたりの「移動速度情報」を生成し、これと「距離判定情報信号」とを利用して炊飯器3では、情報通信端末機器20が居住空間HAまで到達する推定時間を求めていたが、このような帰宅時間の予測方法は、実施の形態1に何ら限定されない。例えば帰宅時間の精度を上げるために、例えば特開2002−267487号では、携帯端末(情報通信端末機器)と固定局と、帰宅時間予測装置を利用した帰宅時間予測システムが紹介されているが、このような専用のシステムを情報通信端末機器20と炊飯器3や電力指令装置6等の間で利用して、帰宅時間の予測精度を向上させても良い。
電力指令装置6の表示盤24における入力操作部25では、入力用の設定キー113等は、静電容量式などのタッチ式キーであった。また炊飯器3の各キー72〜78は、使用者が押すことによって内蔵された電気接点が閉じられ、入力信号が発生するような機械的スイッチ又は静電容量式のタッチ式スイッチの何れかで形成されていた。しかしながら、本発明で各種入力を行う手段は、これらのような機械的スイッチやタッチ式スイッチ、キー等に何ら限定されない。例えば、非接触式の入力方式を採用しても良い。この種の代表的なものは特許第5501992号公報や、特許第4766340号公報で紹介されている近接検知型の情報入力方式である。
また音声入力方式を採用しても良い。この種の代表的なものは特開2014−71477号公報や、特開2014−103536公報で紹介されている(情報端末機器に適する)情報入力方式である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の実質的な範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。
本発明に係る家電機器の運転管理システムは、家庭用だけではなく業務用の電化機器を設置した商店や小規模な工場等でも広く利用することができる。