実施の形態1.
以下、図1〜図19を参照して、実施の形態1を説明する。
図1は、本発明の実施の形態1に係る保湿用空気供給機を適用した1つの家庭の概要図。図2は、本発明の実施の形態1に係る保湿用空気供給機を適用した1つの家庭の外部通信構成を示す概念図。図3は、本発明の実施の形態1に係る電力指令装置の構成図。図4は、本発明の実施の形態1に係る保湿用空気供給機の中央部縦断面図。図5は、本発明の実施の形態1に係るシステムに使用する情報通信端末機器の内部構成を示すブロック図。図6は、本発明の実施の形態1に係る保湿用空気供給機のブロック図。図7は、本発明の実施の形態1に係る電力指令装置と保湿用空気供給機の制御動作を示す説明図1。図8は、本発明の実施の形態1に係る情報通信端末機器と保湿用空気供給機の制御動作を示す説明図1。図9は、本発明の実施の形態1に係る情報通信端末機器と保湿用空気供給機の制御動作を示す説明図2。図10は、本発明の実施の形態1に係る保湿用空気供給機の制御動作を示すフローチャート図1。図11は、本発明の実施の形態1に係る情報通信端末機器の制御動作を示すフローチャート図1。図12は、図5の情報通信端末機器の正面図1。図13は、図5の情報通信端末機器の正面図2。図14は、本発明の実施の形態1に係る電力指令装置5の制御部36の動作を示すフローチャート図。図15は、図5の情報通信端末機器の正面図3。図16は、図5の情報通信端末機器の正面図4。図17は、保湿用空気供給機の操作部と表示画面を示す正面図1。図18は、保湿用空気供給機の操作部と表示画面を示す正面図2。図19は、本発明の実施の形態1に係る保湿用空気供給機の保湿運転と、電力指令装置との間の各種指令信号、報知信号の発信・受信を時系列で示す説明図である。
(定義)
本発明で「家電機器」EEとは、主に家庭で使用されることを想定して設計された電気機器をいい、後述する保湿用空気供給機20やキッチン内家電機器KP、TV受像機2等の映像機器、空気調和機3、空気清浄機や空気脱臭機等の空気処理機、電気ストーブ等の暖房機器、電気掃除機、電気洗濯機(乾燥機能付きを含む)、お風呂に使用される給湯機器(給湯タンク付きを含む)を含む。なお、以下の説明では、家電機器という場合には、特に断りがない限り、保湿用空気供給機を含む。
本発明で家電機器EEの「識別情報」とは、家電機器EEを特定するための情報で、家電機器EEに固有の情報のことであり、的確な修理や点検を行う場合に必要となる重要な情報である。例えば、具体的には、以下のようなものが識別情報に含まれるが、これらには限定されない。なお、家電機器EEについては、あとで詳しく説明する。
(1)家電機器の製造者名
(2)型名
(3)形式番号
(4)定格消費電力
(5)購入年月日(製造業者や販売業者の品質保証期間の起算日になる場合が多い)
(6)使用開始年月日(食器洗い乾燥機では、法定点検時期の起算日になる)
(7)品質保証書番号
前記(6)の法定点検とは、2009年4月1日から改正・施行された「消費者生活用製品安全法」で新設された「長期使用製品安全点検制度」による点検をいう。なお、この法律とは別の「電気用品安全法」では、技術基準省令の改正により、長期使用製品安全表示制度が創設されており、消費生活用製品のうち、特定の製品にいついては、設計上の標準使用期間と経年劣化について、消費者に対し適切な保守点検を促すように注意喚起等の表示が義務化されている。そこで、その標準使用期間の参考となるように、消費者に対して表示する「製品の製造日」や製造年月から起算した「経過年数」の情報を、家電機器EEの「識別情報」に含めても良い。
また後述する空気調和機3等の「特定家電機器」(環境改善機器)SP1であるかどうかも識別情報の一部であり、電力指令装置5と相互に無線通信を行う場合、その電力指令装置5側にこの識別情報が、特定家電機器(環境改善機器)SP1側から提供される。
本発明では、「環境情報」とは、環境検知部9で検出する「環境データ」それ自体と、そのような環境データに基づいて作成される「環境評価情報」を総称したものをいい、家屋の居住快適性に影響する以下のような種類の情報を含むが、これに限定されない。
(1)温度情報
(2)湿度情報
(3)塵埃飛散度(単位容積あたり)情報
(4)花粉飛散量情報
(5)光量(可視光線量)情報・・言い換えると居住空間の明るさの情報である。
(6)騒音情報・・・居住空間の静けさの情報である。
また本実施の形態1では、「環境情報の利用」とは、後述する各種家電機器EEが前記環境情報をその家電機器EEの、効率的運転又は効果的運転又は環境に配慮した運転に利用することをいい、以下のような例を含む。
(1)温度高い場合、電気炊飯器の保温機能を炊飯工程の終了に連続して動作させる。
(2)湿度の場合、家電機器EEの1種である除湿機を動作させる。または換気扇を運転開始する。空気調和機3の運転条件(目標とする室温など)を変える。
(3)空中を浮遊するような微細な塵埃が飛量している場合、空気清浄機を動作させる。または換気扇を運転開始する。
(4)花粉飛散量の場合、空気清浄機の運転を開始する。
(5)比較的直径や長さが大きく、床に落下する土埃や衣類の埃等の場合、自走式電気掃除機を運転開始させる。
(6)光量(可視光線量)の場合、照明器具4を点灯させる。
(7)騒音の場合は、騒音がない状態から、深夜などの静寂な時間帯と判断し、ブロワーモーターの運転音や走行音が発生する自走式電気掃除機の運転や、洗濯乾燥用ドラムを回転させる電気モーターの運転音が発生する洗濯乾燥機の運転を避ける。
なお、気温と湿度の関係で、いわゆる「不快指数」を算出し、空気調和機3の運転を開始することも含む。
本発明で「環境データ」とは、計測された温度や湿度等の物理的状態を示すデータそれ自体をいう。例えば気温35℃は環境データに該当する。その気温35℃に基づいて、何らかの評価基準や計算処理等を経て分類やランク付け、又はその他加工をされた情報は「環境評価情報」に該当する。例えば、「室温は高い」、「標準気温」というような情報が前記「環境評価情報」に該当する。
本発明で「睡眠時間帯データ」とは、入眠時刻と覚醒時刻の双方を特定できるデータをいう。入眠時刻と覚醒時刻の両方のデータを含む場合に限られず、開始時刻と、その時点からの経過時間(睡眠時間)の2つを含むデータでも良い。
さらにまた本実施の形態1では、環境情報の利用により、以下のように居住者の利便性が向上する。
(1)居住環境を良くするために家電機器EEの使用について、アドバイス情報が出る(例えば、換気扇や空気清浄機など)。このアドバイス情報により、居住者の利便性、快適性が確保される。
(2)現在、運転中の家電機器EEが分かる。
(3)離れた居住空間の人の存在・不存在が分かる。
(4)高い温度で、かつ湿度も高い、快適ではない居住空間が分かる。
(5)室内運動をする際に、運動に不向きな居住空間が分かる。
(6)電力指令装置5から、警報を出すために、室温の上限値を設定しておけば、その設定値を超えた部屋があることを知ることが分かり、離れた部屋の環境も知ることができる。
また居住空間内の空気に良い影響を与え、改善することができる家電機器EEを「第1の特定家電機器」(「環境改善機器」)SP1という場合がある。室内空間の快適性を維持、向上させるために、暖房用の熱を発生する電気ヒーター式ストーブや空気調和機3は環境改善機器の1種である。一方、室内空間の快適性維持・向上が本来の目的ではなく、室内空間に熱を与えてしまう電熱加熱調理器等のような家電機器EEを「第2の特定家電機器SP2」という場合がある。
さらにまた、複数の家電機器EEの中で、電力削減要請信号AS2や電力削減指令信号AS3を受信するものを「第1の家電機器」いう場合があり、またその第1の家電機器と区別するために別の家電機器を「第2の家電機器」という場合がある。
「環境改善機器」SP1とは、居住空間内の空気の温度、湿度、質を改善する効果のあるものをいう。空気の質を向上させると有害物質や塵埃の含有量が少なく、清浄な空気となる。
本発明の「睡眠判定部」23とは、睡眠センサー24から、生体情報を受信して睡眠状態を判定する機能を発揮する手段をいう。この生体情報とは、例えば居住者の就寝時(就床時)の生体の心拍、呼吸数、および体動の時間変化を示す情報であるが、これに限定されない。
各種の睡眠検知手段や睡眠状態の判定技術が既に提案されており、例えば日本国特許公開2007−199025号公報には、睡眠センサー付き身体装着装置及び睡眠報知制御方法が提案されている。また日本国特許公開2014−73237号公報には、対象者の呼吸から睡眠状態を推定する睡眠モニタリングシステムが提案され、日本国特許公開2014−70766号公報には、脚を具備するベッドと、脚に設置され脚に掛かる荷重を検出する荷重計と、寝室を空調する空調機と、荷重計にて検出された荷重の変動に基づき使用者の睡眠状態を判定し、使用者の睡眠状態に基づきエアコンの設定温度を決定する温度決定部と、寝室の温度が温度決定部によって決定され設定温度になるようにエアコンを制御する制御基板と、を備える、睡眠環境制御システムが提案されている。日本国特許公開2014−42773号公報では、浅い睡眠から深い睡眠へと遷移する際に最適な制御を行い、利用者に違和感を与えることなく浅い睡眠から深い睡眠へと誘導することができる睡眠環境温度制御装置が提案されている。その他として日本国特許公開2013−213642号公報では、就寝者に快適な睡眠環境を提供可能な室内環境制御システムが提案されている。
本発明の睡眠判定部には、上記したような各種方式、構成の技術が適用できる。
本実施の形態1では、「在宅検知手段」41とは、以下のような手段を含むが、以下の実施の形態の説明では全ての手段については詳しく説明せず、代表的な手段についてのみ詳しく説明する。
(1)住宅の入口(玄関)の外側に設置された電子錠42とその電子錠に入力された暗証番号や生体情報(例えば指紋情報)から、居住者が帰宅したことを検知する手段。
(2)居住者が保持している固有の身分証やIDカード等に記録された個人特定情報を、磁気的又は光学的手段で、あるいは近距離通信やその他通信手段で電力指令装置5に直接読み込ませ、その読み込ませた情報を解読してその本人が在宅していると判定する手段。
(3)居住者が保持している携帯用電話等の情報通信端末機器25等に記録された個人特定情報を、近距離通信やその他通信手段で直接電力指令装置5に読み込ませ、その読み込ませた情報を解読してその本人が在宅していると判定する手段。
(4)個人が固有している身分証やIDカード等、情報通信端末機器25等に記録された個人特定情報を、特定の家電機器EEに読み込ませ、又は個人だけが知っているID番号やパスワードを家電機器EEに読み込ませたり、入力キーによって入力したりして、その個人特定情報やパスワードを電力指令装置5側にて解読し、読み込ませた本人が在宅していると判定する手段。
本実施の形態1では、「居住者」とは、後述する1つの家屋に居住する者をいい、血縁関係にある親子、兄弟、姉妹等を含むが、後述する居住空間HAに所定期間だけ臨時で宿泊する訪問者や、生活を共にするその他の者を含んでいる。1つ又は複数の居住空間を1人又は数人で借用している者も含む。なお、家電機器EEを使用した場合には、居住者を「使用者」と呼び、また睡眠時間を計測する場合には、その対象者を「睡眠者」と呼ぶ場合がある。
本実施の形態1では、「家庭」とは、特定の管理者が管理する1つの家屋を意味しており、複数の部屋があり、複数の家族が入居している集合住宅も含む場合がある。すなわち、そのような集合住宅でも、1つの家屋の場合と同様に商用電力の上限が1つの電力遮断機器(ブレーカーBK)で一元管理されている場合は、ここでいう家庭とみなす。
本実施の形態1において、後述する電力指令装置5の「動作情報」とは、1つの家庭に設定されている上限の総電力量を示す情報、現在使用している使用電力量を示す情報、前記総電力量と使用電力量の差を表す情報、前記電力指令装置5が制御対象にしている家電機器EEを具体的に特定する名称等の情報、当該家電機器EEの使用状態を示した情報、各家電機器EEで使用されている電力量の情報(例えば1分間の平均電力量)等をいうが、これに限定されるものではない。
本実施の形態1において、後述する保湿用空気供給機20の「記憶装置」(記憶部)とは、特に明記ない限り、制御装置33の記憶部33RとNFC記憶部31の一方又は両方をいうものとする。
本実施の形態1において、「家電機器側の電力制限情報」とは、電力指令装置5から家電機器が受けた電力消費量に関する何らかの信号に関する情報をいい、後述する電力削減要請信号AS2、電力削減指令信号AS3の送信を指令に関する情報を含んだものをいう。それら情報には、その信号の受信時期(年月と秒単位の時刻)と信号の意味を示す情報が含まれる。例えば、誘導加熱調理器に対するある時点の電力削減指令信号AS3について「受信時刻:2014年1月15日 17時00秒 瞬間最大消費電力量を2%下げ」のような情報である。なお、この家電機器側の電力制限情報は、家電機器、例えば誘導加熱調理器では、その制御装置の記憶装置の中に時系列で記憶されており、主電源をON又はOFFしても消えない。主電源をONし、OFFしたことを1回の調理と考えて、少なくとも数回分は記憶保持されるようになっている。それを超えた分が順次自動的に消去される。
本実施の形態1において、「家電機器側の位置情報」とは、居住空間HAの中のどの部屋に、家電機器が存在しているのかを示す情報(コード)であり、例えば居間はコード001、キッチンはコード002、寝室は003、のように事前に電力指令装置5の制御部36によってルール化されており、家電機器EEを使用して電力指令装置5の制御対象になる場合には、その家電機器の識別情報とともに当該位置情報が電力指令装置5に登録される。
キッチンの厨房家具の中に設置されて使用されるビルト・イン式の誘導加熱調理器や、壁に固定して使用される空気調和機3のように、最初の設置位置が変化しない(非可搬式)家電機器EEの場合は、そのまま永続的に位置情報を利用できる。
しかしながら、自走式電気掃除機や本発明の対象となる保湿用空気供給機20のように、使用者が任意の場所に持ち運び容易な(可搬式)家電機器EEの場合には、電力指令装置5と無線通信を行った場合に、その最新の位置が電力指令装置5によって割り出される。割り出された結果で、ある居住空間に保湿用空気供給機20があって保湿運転された場合には、その時の居住空間の識別コードが、その保湿用空気供給機20の保湿運転のデータ(例えば、運転開始時刻と終了時刻)と対になって、電力指令装置5の制御部36の記憶部(後述する第2の記憶部)36Bに記憶されるようになっている。言い換えると、その後に別の居住空間において、その保湿用空気供給機20を再度保湿運転すると、別の居住空間の識別コードが付されて制御部36の記憶部に記憶される。
電力指令装置5と電気的接続又は通信セッションが確立した家電機器について、その位置を電力指令装置5側から特定する技術は色々提案されている。例えば最近のものでは、日本国特許公開2014−79036号公報には、新規に導入した家電機器と電源タップとの関係情報を管理するために、従来では家電機器の使用者が手動で情報を手動登録しなければならないという課題があったことを解決するために、電源タップに家電機器を接続した際、電源タップからは機器接続検知イベントを、また家電機器からは起動完了イベント通知を行い、2つの通知を受信した、家電機器(情報家電)管理装置は、どの情報端末が、どのコンセント口に挿されたかの候補情報をテーブルに登録する。その後、家電機器管理装置より電源タップに対し、該当コンセントに対する電源OFF指示を行い、相関関係を仮定した情報家電との通信状態をモニタする。電源OFF指示の結果、相関関係を仮定した家電機器との通信が切れたた場合には、再度、該当コンセントに対する電源ON指示を行うとともに、仮定した相関関係が正しいものとして家電機器、及び接続コンセントの登録を行う。これにより、家電機器管理装置では、人手を介さずに自動的にコンセントと家電機器との正しい接続関係を検知し、自動登録処理を行うことが可能となる技術を提案している。つまり、コンセント口を把握することで、家電機器の使用される場所の特定が可能となる。
従って、この実施の形態1の説明では、保湿用空気供給機20やその他個々の可搬性家電機器の最新の位置を把握する手段についての詳細な説明は省略する
(全体構成)
図1は、本実施形態1の電力制御システムが適用された1つの家屋の例を示している。このような戸建ての家庭ではなく、マンション等の集合住宅であっても本発明は適用できる。
図1において、HA1は1つの家屋の居住空間(寝室)を示す。HA2は前記居住空間HA1と壁SBで仕切られた隣の居住空間(キッチン)を示す。なお、居住空間を総称する場合にはHAを符号として使用する。なお、居住空間はこの図1には示していないが、そのほかに「居間」や「浴室」等があり、またトイレのある部屋もある。これ以外の部屋があっても良い。
全ての居住空間HAには、家屋の外部にある電力会社の商用電源EPから例えば200Vの電力が供給されている。その電力は、電力量計300を介して家屋の内部に引き込まれている。1は前記200Vの商用電源EPにブレーカーBKを介して接続された電源線(主幹線)である。前記電源線には、テレビジョンの受像機(以下、「TV受像機」という)2、空気調和機3、照明器具4A、4B、台所用電気機器(以下、「キッチン内家電機器」という)KPがそれぞれ接続されている。なお、図1においては、TV受像機2、空気調和機3、キッチン内家電機器KPは、それぞれ1つしか示されていないが、複数個あっても良い。また照明器具も4A、4Bの2つだけではないが、図示省略している。
5はブレーカーBKを介して電力が供給される電力指令装置であり、居住空間HA2(キッチン)の壁面等のように、家族が容易に接近できる場所に壁掛け状態で設置されているか、又は床面の上に置いてある。なお、その他の家電機器として、食器洗い乾燥機(図示せず)や自動洗濯衣類乾燥機(図示せず)、その他の家電機器も複数あるが、これらは後で説明する。
図1において、SLは居住空間HAの天井を構成する壁面を示す。6は、居住空間HA2の室内の気温と湿度を検出する複合センサー(温度・湿度センサー)であり、環境センサーの1種である。7は、居住空間HA1の室内気温と室内湿度を検出する温度・湿度センサーであり、環境センサーの1種である。8は、家屋の外部空間に設置された温度センサーであり、環境センサーの1種である。
前記複合センサー6、温度センサー8、温度・湿度センサー7は、測定された温度や湿度を無線又は電気信号で後述する電力指令装置5の環境検知部9に送信する機能を有している。またその電源は充電された電池でも良いし、前記電源線1からの電力でも良い。またこれらセンサーの消費電力は1W(ワット)程度の小さいものであるため、前記電源線1からの電力で運転する場合でも、電力指令装置5の電力制限対象にはしていない。これら環境センサーは、所定のタイミングで電力指令装置5へ計測データを継続的に送信している。例えば、空気調和機3のある居住空間(寝室)HA2においては、10分間隔で、またキッチンでは5分間隔で気温と湿度が計測されている。
図示していないが、上記したものの他に、環境センサーの1種として、空気中の花粉の飛散量を測定する花粉センサーと、空気中の単位容積あたりの塵埃量を測定する塵埃センサーと、室内の騒音の大きさを検知する騒音センサーと、室内の明るさを検知する照度センサーとが、各居住空間内のそれぞれ適当な位置に設けてある。また前記温度・湿度センサー7の他に、室外又は家屋の外部の気温と湿度を検知する温度センサーや湿度センサーを設けても良く、花粉センサーは、室内だけではなく室外(例えば家屋の外壁表面や窓の外枠、ベランダ、屋上等)にも設置しても良い。なお、この環境検知部9自体は、前記電力指令装置5の本体5Aと離れた場所、あるいは別の居住空間に設置してあり、その本体5Aと無線又は有線で接続されている場合も、本発明では「電力指令装置5に備えている」と定義している。
図1において、10は、人間が自然に発する赤外線を検知して居住空間HA1の中に人間が居るかどうかを検知できる人感知センサーである。11は、同じく人間が自然に発する赤外線を検知して居住空間HA2の中に人間が居るかどうかを検知できる人感知センサーである。なお、この他の居住空間HAにもこのような人感知センサーを設置しても良い。
前記人感知センサー10、11は、人が居るかどうかを検出した結果を、無線又は電気信号で後述する電力指令装置5の人検知部12に送信する機能を有している。またその電源は、事前に充電された電池でも良いし、前記電源線1から分岐して供給される電力を使用しても良い。またこれらセンサーの消費電力は1W〜数W程度の小さいものであるため、前記電源線1からの電力で運転する場合でも、電力指令装置5の電力制限対象にはしていないので、所定のタイミング(例えば10秒毎)で電力指令装置9へ計測データを継続的に送信している。なお、人感知センサー10、11は、赤外線式だけに限定されず、他の方式、例えば超音波方式のものを採用しても良い。
引き続いて図1を説明する。13は、前記TV受像機2のチューナ(図示せず)に接続されている屋外アンテナ、14Aは、前記電力指令装置9に接続されたルーターAであり、このルーターAは、電力指令装置5を電力会社やその家屋の地域に情報を発信する地域地震情報提供機関等の外部機関15Aにインターネット等の広域通信回路網(「通信ネットワーク」又は「インターネット」と称する場合がある)16を介して接続している。
14Bは、前記TV受像機2に接続されたルーターBであり、このルーターBは、前記TV受像機2を、前記広域通信回路網16を介して外部機関15Bに接続している。この外部機関15Bは、例えば放送番組を提供する放送局や、医療・健康管理情報・運動計測(運動管理)情報を提供する公的機関や民間会社等であるが、これら以外であっても良い。前記2つの外部機関15A、15Bは別々のものであっても良く、また同じ機関であっても良い。
運動計測情報を提供する民間会社等とは、例えば、本格的なトレーニングプログラムを希望者へ提供し、また当該希望者が実施した各種運動(歩行、走行、ダンスやヨガ等)のデータや、それら運動した人の体組成バランス(例えば、体脂肪の率)や活動消費カロリー等の各種データを管理する組織をいう。怪我や病気で運動機能が低下した人に対し、その運動機能の改善を目的としたリハビリ情報を提供する機関も含まれている。
図1において、20は、本発明の対象となる保湿用空気供給機であり、1つの居住空間HA1の中に設置されたベッドやソファ等の寝具21の近くに置いて使用される。22は、その保湿用空気供給機20を置くためのサイドテーブル等の家具である。
図1において、23は、寝具21の近くに置いて使用される睡眠判定部である。この睡眠判定部23には、1つ又は複数の睡眠センサーを有している。HMは、居住者である。図1では寝具21の上に寝ている状態である。なお、前記睡眠センサーは、例えば、居住者HMの体(脚や指を含む)の一部に装着され、血圧や心拍、体温等を計測するようになっている。前記睡眠センサー24と睡眠判定部23との間は、無線通信や有線通信で計測データを送信するように構成されている。また生体から直接体温データ等を取得することに代えて、非接触で計測するセンサーであっても良い。さらに、睡眠判定部23に近距離無線通信機能を備えることにより、後述する近距離無線通信機能(NFC機能)を備えた情報通信端末機器25から、近距離無線通信によって直接睡眠に関する生体データを受信できるようにしても良い。
次に図2を参照しながら、この家庭の外部の通信環境を説明する。なお、この実施の形態1の電力指令装置5は、ルーターA14Aを介して外部機関15Aに通信ネットワークで接続されているが、一般にホーム・ゲートウエイと呼ばれる機器を使用しても良い。この場合のホーム・ゲートウエイとは、インターネット接続やデジタル放送,IP電話などの各種デジタル情報メディアと,電力指令装置5やデジタル家電機器などの端末の間に設置する家庭内用機器をいい、それら電力指令装置5等をネットワーク化して制御したり,通信・放送メディアから受け取ったりした情報をそれら電力指令装置5やデジタル家電機器に伝達する役割を担うものである。常時接続型のブロードバンド・サービスで,インターネット接続に加えてIP電話やコンテンツ配信サービスを提供している際に,事業者がこのような家庭の居住者(使用者)に貸し出すルーターを「ホーム・ゲートウエイ」と称する場合が多い。
前記電力指令装置5は、図1では広域通信回路網16を介して外部機関15Aに接続されていたが、実際にはこの図2に示すように、広域通信回路網16は、16Aと16Bの2つから構成されており、また中継サーバー26と、それぞれの広域通信回路網16A、16Bを介して外部機関15AのASP(「アプリケーション・サービス・プロバイダー」のことをいう)サーバー27にアクセスする。このASPサーバー27には、後述するように各種データベースが設けられており、多数の住宅に対応して後述する各種情報を記憶するように構成されている。つまり、このASPサーバー27は、情報サーバーとしての機能を保有するので、以後、情報サーバー27と呼ぶ。
前記情報サーバー27は、各種家電機器EEの主に制御手段及び情報提供手段として機能するもので、家電機器EEの製造業者(メーカ)、販売業者、修理業者、あるいは情報サービス提供業者等の組織が、単独で、又は2つ以上の組織が共同で設置しており、家電機器EEに関する各種サービスを、広域通信回路網16A、16Bを介して利用者に提供するものである。
前記情報サーバー27には、このサーバーのホストコンピュータとして機能する中央演算処理装置27CPと、広域通信回路網16に接続されて情報の授受を行う通信手段である通信部27IFと、前記家電機器EEのアプリケーション・ソフトウェアを記憶し、また改善ソフトウェアを蓄積している改善ソフトウェア(対策プログラム)提供部27Sと、家電機器EEの使用者を特定する利用者特定用データベース(「使用者情報データベース」ともいう)27Uと、家電機器EEの製造業者(メーカ)が提供した技術情報を蓄積したメーカ側情報データベース27Mと、が設けられている。
前記情報サーバー27は、一般に「Webサーバー」(以下「ウェブサーバー」という)と呼ばれているもので良い。ウェブサーバーは、HTTP(HTML文書や画像などのデータをWebサーバーとWebブラウザ間でやり取りするために使われるプロトコル)に則り、各種情報通信端末機器25、各家庭等にあり情報通信機能を備えた前記電力指令装置5、あるはその他パーソナル・コンピュータ等のような、「情報を受け取る側」の情報処理機器(クライアント)側ソフトウェアのウェブ・ブラウザに対して、HTMLやオブジェクト(画像など)の表示情報を提供するサービスプログラム及び、そのサービスが動作するサーバーコンピュータを指す。なお、ウェブ・ブラウザは、「インターネットブラウザ」、又は「WWWブラウザ」ともいい、「World Wide Web」の利用に供するブラウザである。
前記利用者特定用データベース27Uには、利用者からの、所謂ユーザー登録により受け付けた情報として例えば情報サーバー27へのログインIDやパスワードなどの利用者固有情報、ルーターA14Aのネットワークアドレス(MACアドレス)などの設定情報、特定の家電機器EEのネットワークアドレスや種類、型名といった固有の情報(前記した「識別情報」を含む)が記憶されている。つまり、前記家電機器EEの使用者情報を、検索可能な状態で蓄積する機能を備えている。
前記アプリケーションデータベース27Bには、居住空間の外部、例えば居住者の勤務先や外出先等の遠隔地から、電力指令装置5又は家電機器EEを遠隔制御することができるようにした制御用アプリケーション・ソフトウェアが格納・記憶されている。これにより、後述する情報通信端末機器25、例えばスマートフォンと呼ばれている端末機器から情報サーバー27にアクセスして制御用アプリケーション・ソフトウェアをダウンロード(読み込み)することにより、前記遠隔制御を実現することができる。
情報サーバー27には、家電機器EEの特定の機種モデルに対応して、家電機器EEの動作プログラムの内容を改善した「改善ソフトウェア」が保管してあり、それを電力指令装置5が広域通信回路網16を介して入手した場合、当該改善ソフトウェアは、電力指令装置5の入出力部30C(図3参照)を介して電力指令装置5から家電機器EE側へ提供される。なお、ここでいう「改善ソフトウェア」は、「対策ソフトウェア」と同じである。改善ソフトウェアは、1回作成されるだけではなく、必要に応じ、さらに改善したバージョン・アップ版が用意される場合がある。
この実施の形態1でいう情報通信端末機器25とは、使用者が気軽に携帯して屋内や屋外、その他外出先等で通話やデータ(メール情報を含む)の通信を行える携帯用通信機器のことである。インターネットで情報をダウンロードしたり、メールを送信・受信したり、遠隔操作信号を発信できる機器であるが、通話できない機器でも良く、そのような携帯用通信機器を総称して情報通信端末機器25と呼んでいる。なお、小型の携帯用パーソナル・コンピュータも情報通信端末機器の一種である。
本実施の形態1における情報通信端末機器25は、各家電機器EEの入出力部に数センチメートル程度接近させ(又は接触させても良い)、近距離通信で信号の授受をさせる機能を備えている。なお、この近距離通信とは、Near Field Communication(略称:NFC)としてとして知られている無線通信の国際規格技術のことである。
このNFCの通信では、保湿用空気供給機20を含む家電機器EE側に、いわゆる無線タグ(NFCタグ)が埋め込まれている。当該NFCタグは、NFC用の通信制御IC(以下、「NFC制御回路」という)28(図6参照)と、この制御回路に接続されていて、外部から所定の周波数の無線を受けると前記制御回路のための電力が発生するアンテナ29と、前記NFC制御回路に接続されているマイクロチップメモリー(以下、「NFC記憶部」31という)とから構成されている(図6参照)。
一方、情報通信端末機器25側では、そのNFCタグを介して家電機器EEの前記NFC記憶部31からデータを読み取る(ステータス情報を取得)こと、さらには、逆に情報通信端末機器25側から制御データ(「制御コマンド」ともいう)を前記家電機器EEのNFC記憶部31へ送り、家電機器EEの制御装置33(「ホストコンピューター」ともいう)が、前記NFC記憶部31に記憶された前記制御コマンドに従って制御動作することができる(このような形式のNFCタグを、「アクティブ・タグ」と呼ぶ場合がある)。
この実施の形態1のNFCは、家電機器EEの内部記憶装置にある情報を、情報通信端末機器25側で読み出す機能(このような機能のNFCタグを、「単純タグ」と呼ぶ場合がある)だけではなく、家電機器EE側の動作も情報通信端末機器25からの制御コマンドによって起動できる機能まで保有している。つまり、情報通信端末機器25は、家電機器EEからの各種情報の読み出しだけではなく、NFC記憶部31への書き込み機能を有しており、リーダーとライターの2つの機能を保有している。なお、NFCの利点は、一般的には通信で交換できるデータの形式を制限しておらず、テキストデータは勿論、動画やXMLデータ等を交換できる点にあると言われている。
図2において、35は基地局であり、居住者が所有している情報通信端末機器25を、図2に示すように離れた場所にある勤務先の施設34の場所で使用した場合に、情報通信端末機器25との間で通信を行う。
図2において、広域通信回路網98Bには、中継サーバー26、広域通信回路網16Aを介して情報通信端末機器25の基地局35が接続されており、情報通信端末機器25から基地局35を介して情報サーバー27やルーターA14Aにアクセスすることができるようになっている。つまり、この家庭の居住者が所有している情報通信端末機器25を、図2に示すように離れた場所にある勤務先の施設34から広域通信回路網16Aに接続すれば、情報サーバー27にアクセスすることができ、電力指令装置5又は電気機器EEの制御用アプリケーション・ソフトウェアをダウンロードすることにより、家庭から離れた施設34から、電気機器EEを遠隔制御することができる。
この実施の形態1においては、情報通信端末機器25から保湿用空気供給機20を含む家電機器EE側に対する直接的な遠隔操作はできないようにしてある。これは家電機器EEの中には、電熱調理器等のように高熱を発するもの(第2の特定家電機器SP2)もあるため、家屋の外から多くの人が利用する通信回路を経由して遠隔操作することは、安全面を考慮して採用していない。その代わり、全て電力指令装置5を経由して家電機器EEの操作が可能となるようにしている。なお、家屋の内部では、情報通信端末機器25はTV受像機2のみを操作できるように制限してある。遠隔制御の内容は後で詳しく説明する。
図3は、本実施形態1の電力制御システムが適用された電力指令装置5や家電機器EE等のハードウエアの構成例を示したブロック図である。この図3において、5Aは、前記電力指令装置5の本体で、外形は箱形状をしている。この本体5Aの内部には、1つの過程で使用できる電力使用限度の設定器や、家電機器EEと電力上限値(家庭内で使用できる総電力)との差を判定する比較器、強制的に電力を削減する場合に、削減すべき家電機器の優先順位の設定手段、及びこれら各構成要素を制御する制御部36が全て格納されている。
図3において、37は、電力指令装置5の本体5Aの正面に設けた表示盤、37Aは、その表示盤37の表示画面である。38は本体5Aに内蔵された記憶装置(大容量メモリー)で、例えばDVD記録装置や各種半導体メモリー、又はハードディスクドライブ装置(HDD)等である。また、表示盤37の表面は、例えばタッチ式パネルで構成されており、電力制御や居住空間HAの気温や湿度等の環境関係の情報を表示する表示部としての機能と、画面に触れることにより使用者からの入力が行われる操作入力部39としての機能とを有している。この操作入力部39を操作することにより、電力指令装置5における前記した使用限度設定器の上限電力値や削減すべき家電機器の優先順位の設定が行える。
図3において、30A、30B、30Cは、無線通信を行うための入出力部である。1つの入出力部30Aは、各種家電機器EEと無線通信を行うためのものである。入出力部30Bは、前記ルーター14Aと無線通信を行うためのものである。30Cは、TV受像機2と無線通信を行うためのものである。なお、各家電機器EEには、通信機能を内蔵させずに、通信用アダプター100(図16で説明する)が1つずつ設置してある。前記通信用アダプター100は、IEEEにより策定された、広く普及している無線LAN関連規格の一つである「国際標準規格IEEE 802.11b」で定める2.4GHzのISM帯と呼ばれる周波数帯域を利用するものである。なお、この実施の形態1では、実際の使用中心周波数は2.412GHz(2412MHz)〜2.472GHzに設定されている。
図3において、40は、NFCのための無線入出力部である。これは、前記情報通信端末機器25の無線通信部41(「無線入出力部」ともいう。図示せず)(図5参照)が所定の距離(約10センチメートル)まで接近した場合に、情報の授受が行える通信確立状態となり(1つの通信セッションの開始となる)、情報の授受が行えるための入出力部となる。
前記無線入出力部40は、電力指令装置9における表示盤37の操作入力部39の直ぐ近くの下方に、常時「NFC」の文字を表示して設けてある。これにより、無線入出力部40の設置位置が明確になるようにしてある。
TV受像機2は、外部機関15Bから緊急的な情報、例えば夏場の日中において、この家庭の総電力量の上限を早急に削減(いわゆる「ピークカット対応」)して欲しいという要請情報がTV受像機2に届いた場合、あるいは緊急地震情報が気象庁や居住地域を担当する地域の防災センターや地震警報センター等から届いた場合等に、それら情報をこの居住空間HAにいる居住者が早期に知ることができる。なお、TV受像機2を視聴していない場合であっても、緊急遮断情報が発信された場合、当該情報で起動され、情報を報知するようにしたTV受像機は従来から色々提案されているので、ここでは具体的な説明を省略する。
電力指令装置5の電力関連情報、例えばその時点における家庭内の総電力使用量や、外部から電力削減要請を受けていることを示す情報等を、前記電力指令装置5の表示画面37Aで表示するのではなく、居住者が集まっている居間等の居住空間に設置されているTV受像器2で表示させることができる。
36は、前記したように、3つの無線通信用の入出力部30A〜30Cや、表示画面37Aを集中的に制御する制御部である。またこの制御部36は、後述するように、家電機器EEに対して、電力削減要請信号AS2、電力削減指令信号AS3の送信を指令する。保湿用空気供給機20は、「第1の家電機器」ではないので、電力指令装置5の入出力部30Aから前記電力削減要請信号AS2、電力削減指令信号AS3を受信することはない。
前記制御部36には、電力制御関係で専用の「第1の記憶部」となる第1のメモリー(図示せず)36Aを保有しており、ブレーカーBKに設定された総電力量上限値の情報や、各種家電機器EEの消費電力量を制限するための電力量上限値のデータ、さらには居住者毎に設定された電力上限値等の情報が、それぞれ記憶されている。
また制御部36には、保湿用空気供給機20の関係で専用の「第2の記憶部」となる第2のメモリー(図示せず)36Bを保有しており、睡眠判定部23によって取得された睡眠時間、時刻等の各種データやその解析結果の情報が、それを実際に取得した日付や時刻等の詳細情報と対になって時系列に記憶されている。
さらに、この第2の記憶部36Bには、保湿用空気供給機20の保湿運転中において、保湿用空気供給機20が使用された居住空間における環境情報又は環境データ(例えば、気温、湿度)が、その保湿運転時間と対になって時系列で記録される。例えば、入眠時刻が23時10分であった場合、それから10分ごとに環境検知部9によって取得された気温と湿度の環境データが、その時刻情報と共に順次記憶され、睡眠時間帯が例えば23時10分から午前5時10分までの6時間と確定した段階、その6時間平均の気温と湿度が制御部36によって算出できるようになっている。従って環境データに基づく「環境快適度」等の「環境情報」の生成も可能となる。
なお、前記入出力部30Aは、電力指令装置9がインターネット経由で入手した各電気機器EEの動作プログラム改善用の特定のコンピュータ・プログラムソフトウェアを読み込む際に使用される。
図3において、9は前記環境検知部である。この環境検知部は、前記温度・湿度センサー6、7、8で測定された温度や湿度の情報を受け取る。41は、人感知センサー10、11の人感知情報を受け取る人感知部である。
前記環境検知部9には、各居住空間HAの中に、それぞれ照度センサー(図示せず)を設置している。その照度センサーは、居住空間が明るいか暗いかを見分けるためのものであり、例えば前記人感知部12が、ある居住空間HAに人がいないと判断している状況で、照度センサーが明るい状態であることを示している場合、居住者が照明器具4を点灯したままの状態であることを忘れている可能性が考えられる。そこでこのような場合は、電力指令装置5の制御部36は、その時点での総電力使用量が使用限度設定器で設定された上限値よりも十分に余裕のある少ない量であったとしても、電気エネルギーの無駄を無くすという観点から照明器具4の消灯を使用者に(表示画面37AやTV受像機2の表示画面を通じて)勧告する。その後、電力指令装置5の制御部36は消灯指令信号を当該照明器具に発する(但し、当該照明器具4を電力指令装置4の電力削減対象機器になるように、接続しておくことが必要)。
図3において、43は在宅検知手段(「在宅検知部」ともいう)であり、前記人感知部12からの人の存在を検知しているかどうかの検知信号を受ける構成になっている。
また居住空間HAの共通した出入口である玄関(図示せず)の外側には、電気錠42が設置されており、その電子錠に入力された暗証番号や生体情報(例えば指紋情報)に基づいて、居住者が帰宅したことを検知する個人認証手段(図示せず)を備えている。この個人認証装置では居住者からのパスワードの入力に基づいて、居住者であるかどうかを判定するが、その判定結果を前記在宅検知手段43に送信する構成になっている。
玄関のドアを電子的にロックしている前記電子錠と個人認証手段については、既に多くの構成例が提案されているので詳しく説明しないが、本実施の形態1においては、各居住者(例えば居住者A〜Dの4名)にそれぞれ固有のパスワードが割り当てられている。全ての居住者には「4桁の(共通の)数字の後に、個人別数字2文字」というルールでパスワードを決めるように指示されている。居住者Aのパスワードは「123401」、居住者Bのパスワードは「123402」、居住者Aのパスワードは「123403」となっている。なお、このパスワードは、玄関ドアの電子錠の所に設置してある10個の入力キー(テン・キー)で入力する。
前記パスワード入力して居住空間の中に入った後、玄関から逆に外に出る際には、パスワード入力は必要ないが、前記人検知部12が、所定の時間(例えば30分間)に亘って全ての居住空間HAから人の存在を検知できない場合は、在宅検知手段41が、全ての居住者が外出しているものと判断し、それまでに入力した全ての居住者のパスワード入力記録を取り消し、在宅状態から留守状態へ検知情報を変更する。
この後、居住者が帰宅した場合は、再度パスワード入力が必要となる。なお、玄関から外出する際に、各居住者が外出することを前記個人認証装置にインプットするようにすれば、更に在宅状態の検知は正確になる。また前記したように、パスワードの入力を省略するため、生体情報(例えば指紋情報)から、居住者が帰宅したことを検知する手段に変えたり、居住者が保持している固有の身分証やIDカード等に記録された個人特定情報を、磁気的又は光学的手段で個人認証装置に直接読み込ませたりするという方法でも良いが、詳しい説明は省略する。
図3に示した表示盤37の表示画面37Aでは、前記睡眠判定部23が判定した睡眠時間関係のデータを、前記情報通信端末機器25のNFC入出力部40から読み出すことができる。つまり、仮に保湿用空気供給機20と電力指令装置5の入出力部30Aとの間で、無線通信ができない状況(例えば一時的な通信障害)であっても、睡眠時間関係の情報の授受が行える。また情報通信端末機器25で睡眠時間データが取得できることから、情報通信端末機器25を家庭の外部に持ち出して、遠隔地でその睡眠時間のデータを専門家(例えば医師)に見て貰って質の良い睡眠の助言を得たり、そのデータを加工したりして、帰宅後に、保湿用空気供給機20に読み込ませ、その夜の保湿運転の時間設定に利用するという便利な利用方法も可能となる。
この実施の形態1でいうアイコンとは、前記した表示画面37Aや後述する保湿用空気供給機20の表示画面101の上に表示され、特定の機能の選択が行われるものであり、図形だけではなく、文字でその特定機能を表現している場合も含む。そのアイコンにタッチすれば、そのアイコンに対応付けてある所定の入力が行える。
図1〜図3に示したTV受像機2の表示画面で表示できる情報と、表示盤37の表示画面37Aで表示できる情報とは、基本的に較差はない。つまり電力指令装置5の「動作情報」、環境検知部9の「環境情報」は、TV受像機2の表示画面でも表示盤37の表示画面37Aでも、同様に表示可能である。但し、TV受像機2では、通常20〜60インチの画面サイズであるのに対し、表示盤37の表示画面37Aの画面サイズは、10〜15インチ程度と、数分の1以下と狭いので、全く同じ内容が同じ大きさで表示される訳ではない。当然ながら表示される文字のサイズは小さくなるが、前記した居住空間の温度・湿度表示情報や各種環境情報は、何れも表示される。
以上説明した構成により、TV受像機2の液晶表示画面と表示盤37の表示画面37Aとの間で、表示される情報の齟齬が生じないようにして、キッチンでも居間でも同じ情報を確認できるようにしている。なお、これら各種情報の表示画面37Aでの表示は、前記制御部36の表示用制御プログラムによって実行される。
(保湿用空気供給機)
次に図4に基づいて前記保湿用空気供給機20について説明する。
図4において、保湿用空気供給機20は、所定の温度(例えば40℃)の高い湿度の空気(蒸気と空気の混合物)を供給し、その高湿度の空気によって居住者が顔等の保湿効果を期待するものである。特に就寝中に用いられることを想定して設計されている。
前記保湿用空気供給機20は、本体20A全体の周囲を囲む本体ケース49と、この本体ケース49の底面を閉鎖している底板51と、本体ケース49の天井面を覆うように、前方方向(図4に示す矢印X方向)に移動自在に取り付けられたダクト50との3者によって外郭が構成されている。
前記本体ケース49の内部には、その後部にカートリッジタンク56が支持台58の上に載置されている。そしてこのカートリッジタンク56の中に入れた水が水受け弁57を介して、後述する高温空気生成部(ボイラー室)59の底部へパイプ(図示せず)によって供給されるようになっている。なお、カートリッジタンク56は、本体ケース49の中から容易に取り出せ、水を補給できる構造になっている。
59は、密閉空間である高温空気生成部(ボイラー室)であり、前記カートリッジタンク56から、常に一定の水位となるように水60が供給される。なお、高温空気生成部(ボイラー室)59の外壁面には、電気ヒーター等の電熱源90(図4参照)が装着されており、保湿運転時には、保湿用の高温蒸気を発生させるために、水60を蒸気化させることができる。
55は、クロスフローファン等の電動送風機であり、本体ケース49の一部に設けた吸込み口(図示せず)から、居住空間HA内の空気を吸い込み、これを矢印F1に示すように搬送風(案内風)として保湿用空気供給機20の前面上部に形成した送風口53に送る。
前記送風口53の真下の位置には、送風口53の横幅寸法と同等な横幅寸法の吹出口52が設けてある。この吹出口52は、使用者の指等の異物が入らないようにルーバー(格子)形状になっている。この吹出口52から吹き出された40℃程度の高湿度の空気が、送風口53からの冷たい空気流によって上昇することを抑制されながら、前方(図4の矢印X方向)へ送りだされることにより、吹出口52から70cm〜80cm程度の位置では、直径が30cm程度で、湿度が40%〜50%の適度な湿度の空間が生成される。その空間の位置に使用者の顔があれば、顔の湿度を適度に保つ効果が期待できる。なお、吹出口52から吹き出される高湿度の風の速度は、25cm/秒程度の遅いものであり、使用者にやさしい風になるように前記電動送風機55の送風量や前記高温空気生成部(ボイラー室)59の蒸気発生量が調整されている。
54は、一端開口部が前記電動送風機55の送風空間に、また他端開口部が前記送風口53を構成するダクトである。61は、前記高温空気生成部(ボイラー室)59の上部に連結されている混合室であり、その背面側には、前記ダクト54の途中から分配された空気を、矢印F2に示すように導入する連通孔(図示せず)が形成されている。
前記ダクト50の終端部の天井部には、左側の先端方向に向かうに従って下がるように全体が傾斜した風向板50Aが設置されている。この風向板は、吹き出される風(F1)を下向き方向にする効果がある。
前記本体ケース49の前面(正面)には、その上部に、液晶画面95を利用したタッチパネルが配置されているため、この液晶画面95が入力操作部71(図6参照)を兼ねている。前記液晶画面95の下方近傍には、近接通信のためのタッチ位置を示す表示部63が設けてあり、この表示部は、近距離通信(NFC)用入出力部でもある。64は、前記近距離通信(NFC)用入出力部63を内側から光で照らすための発光ダイオード素子(LED)である。以下、この液晶画面95と表示部63の両者を総称して「表示画面」又は「タッチ式表示画面」101と呼ぶ。
前記本体ケース49の前壁(正面壁)61には、その上部に、液晶画面95を利用したタッチパネルが配置されている。前記液晶画面95の下方近傍には、近接通信のためのタッチ位置を示す表示部63が設けてあり、この表示部は、近距離通信(NFC)用入出力部でもある。64は、前記近距離通信(NFC)用入出力部63を内側から光で照らすための発光ダイオード素子(LED)である。
70Aは、前記本体ケース49の前壁(正面壁)61に押圧操作可能に支持された主電源スイッチ70(図6参照)の押しボタン。69は、保湿用空気供給機20のホストコンピュータとして機能する制御装置33の中核を構成するマイクロコンピューターや、前記発光ダイオード素子(LED)、液晶画面55の駆動用電子回路部品等を実装した回路基板である。
67は、情報通信端末機器25の置き台であり、非接触給電部を内蔵しているため、この置き台に情報通信端末機器25を置いておくだけで自動的に充電することができる。
68Aは、電力指令装置5の入出力部30Aとの間で直接無線通信を行うための通信アンテナ部であり、前記液晶画面55の後方の空間内に水平に設置されている。この通信アンテナと送受信回路(図示せず)とによって無線通信用の入出力部68を構成している。
(情報通信端末機器25の内部構成)
図5において、情報通信端末機器25は、液晶表示基板等から構成された表示画面73Aを有する表示部73と、使用者が操作する複数の入力キーを有する操作入力部(操作部)74と、無線インターフェース(無線入出力部)41と、姿勢検知部75と、マイクロコンピューターを内蔵した制御部76と、操作場面に応じた複数種類の合成音声を出力し、かつ必要に応じて情報通信端末機器25を振動させる小型バイブレータを内蔵した報知部87と、を備えている。このバイブレータは、前記報知部87から音声を出す(鳴動)するときに、それと同期して情報通信端末機器25自体を振動させることができ、これにより表示部73だけでは確実に使用者に対して操作状況や通知の着信等を伝えることができない状況でも、音と振動でそれを補うことができる。
無線入出力部41は、2つの入出力部から構成され、その1つは、前記広域通信回路網(通信ネットワーク)16との間で所定の通信を行う無線入出力部41Aであり、他の1つは、前記電力指令装置5のNFC入出力部40及び保湿用空気供給機20のNFC入出力部63との間で、それぞれ近距離無線通信する無線入出力部41Bである。
前記表示部73、操作部74と、無線入出力部41、姿勢検知部75、制御部76、報知部87は、図示していないが、信号回路で相互に接続されている。前記姿勢検知部75には、ジャイロセンサーを備えており、使用者が情報通信端末機器25を(左右・前後方向に)傾ける際の姿勢を検出して、当該姿勢を示す信号を前記制御部76に出力する。
制御部76は、大きく分けて中央演算処理装置(CPU)77と、半導体記憶素子を主体に形成された記憶部78とを備える。CPU77は、記憶部78の中にあるROM、RAM部79に格納されている制御プログラムに従って、情報通信端末機器25全体の処理を実行するものであり、処理を実行する過程で必要なデータを前記ROM、RAM部79から読み出したり、処理を実行する過程で生成したデータを、前記ROM、RAM部79に格納したりする。86は、記憶部78の一部を構成する半導体製の不揮発性メモリーである。このメモリー86には、前記無線入出力部41から読み込んだ各種情報(睡眠時間の情報を含む)を記憶させておくことができる。また、電力指令装置5から読み込んだ各種電気機器EEの運転状況を示す情報、睡眠時間の情報や、環境検知部9から提供された環境情報、「異常発生情報」、及び情報サーバー27から送信された情報、後述する対策ソフトウェア等が一時的に記憶・蓄積される。この「一時的」という意味は、使用者が特に消去の指令操作をしない限り保存される場合や、1ケ月又は1週間等の一定期間だけ自動的に記憶保持され、その期間経過後には自動消去される場合を指す。
前記記憶部78には、前記アプリケーション・ソフトウェア部80が含まれ、このアプリケーション・ソフトウェア部80には、受信処理部81、送信処理部82、通信確立部83、表示制御部84、選択確定部85、メモリー86が含まれている。
前記「異常発生情報」とは、電力指令装置5の制御部36が、家電機器EE、例えば保湿用空気供給機20から、その電熱(加熱)源90(図6参照)の緊急停止を示す信号を受けた場合に、新たに生成する特別な情報である。この異常発生情報は、前記情報通信端末機器25と、情報サーバー27で認識される専用情報である。つまり、家庭の外部へ家電機器EEの異常発生を知らせるための情報である。この異常発生情報には、電気機器EEの個別の異常発生データ(例えば、電圧値や温度、温度上昇速度など)も含まれる。
前記記憶部78には、保湿用空気供給機20等の家電機器EEのアプリケーション・ソフトウェアを格納することができるアプリケーション・ソフトウェア部80がある。このアプリケーション処理部80は、また電力指令装置5の表示盤37のためのアプリケーション・ソフトウェアも格納する。アプリケーション・ソフトウェア部80のソフトウェアは、情報通信端末機器25の外部からインストールされたものでもよいし、情報通信端末機器25の出荷時から記憶部78に格納されているものでもよい。つまり、情報サーバー27から送信された対策ソフトウェアプログラムも、この記憶部78に格納される。
CPU77が上記のアプリケーション・ソフトウェア部80に従って処理を実行することによって、所定の受信処理81、送信処理部82、通信確立部83、表示制御部84、選択確定部85、の各機能が実現される。これら各部分の動作について後で説明する。
次に図6について説明する。この図6は、保湿用空気供給機20における表示画面101と、近距離無線通信用入出力部63を中心に説明するブロック図である。
前記表示画面101を構成している液晶表示基板95の表示画面は、周知のドットマトリックス型液晶表示画面である。また高精細(320×240ピクセルの解像度を備えているQVGAや640×480ドット、16色の表示が可能なVGA相当)の画面を実現でき、文字を表示する場合でも多数の文字を表示することができる。前記液晶表示画面は1層だけではなく、表示情報を増やすために上下2層以上で表示するものを使用しても良い。
(保湿用空気供給機の回路構成)
図6において、91は、前記表示画面101の駆動回路である。この駆動回路は前記制御装置33と接続されている。
駆動回路91は、表示用メモリー91A、表示コントローラー91B、インターフェース91C、電源91D、コモンドライバー91E、およびセグメントドライバー91Fを備えている。
駆動回路91は、図6に示している通り、電源回路92からの電力により動作し、インターフェース91Cにより制御装置33の内蔵メモリー33Rから表示用の画像情報を取得する。このメモリー33Rを、以下「第1の記憶部」と呼ぶ。
表示用メモリー91Aは、制御装置33から取得した画像情報を記憶する。
図6において、表示コントローラー91Bは、表示用メモリー91Aに記憶された画像情報を読み出し、この画像情報に基づいて、コモンドライバー91Eおよびセグメントドライバー91Fを継続的に駆動する。コモンドライバー91Eおよびセグメントドライバー91Fは、表示画面55の各画素に対応して設けられた互いに交差する電極に電圧を印加することで液晶を駆動する。
前記駆動回路91は、表示用メモリー91Aに記憶された画像情報を、必要な都度表示画面101に表示させる。なお、表示コントローラー91Bによって表示画面101に表示させる情報は、後述するように異常の種類や原因等が分かるように、文章化されたテキストデータも含まれる。
図6において、28は所定の位置に配置されたNFCタグの一部を構成するNFC用の通信制御IC(NFC制御回路)である。29は、このNFC制御回路28に接続されていて、外部から所定の周波数の無線を受けるとNFC制御回路28のための電源となる誘導電力を発生させアンテナである。31は、前記NFC制御回路28に接続されているマイクロチップメモリー(前述した「NFC記憶部」と同じ)である。このメモリーを以下「第2の記憶部」と呼ぶ。
図6において、64は、前記NFC用入出力部63を構成するアンテナ29部分の近傍を囲むように設置された発光ダイオード素子(LED)である。このLEDによって近接通信のためのタッチ位置を示す表示部63(前記近距離通信用入出力部と同じ)は、本体ケース49の前面壁(正面壁)の内側から光で照らされるので、使用者は、保湿用空気供給機20と情報通信端末機器25との間でNFC通信状態を確立させる場合に、情報通信端末機器25を接近させる位置が容易に分かる。
前記LED64は、常時発光していなくとも良く、制御装置33によって駆動回路91の動作と連携するようになっているため、近距離通信(NFC)機能のある情報通信端末機器25等で、睡眠時間データや、詳しい異常内容と対処方法等の情報が得られる旨表示することに同期して、駆動回路35により所定タイミングで点灯される。なお、点灯から一定時間経過後、LED64を自動消灯する構成にしても良い。
表示部駆動回路91は、制御装置33を構成するマイクロコンピューターとは別の、専用のマイクロコンピューターによって構成されているが、同じマイクロコンピューターで構成しても良い。
図6において、93は、リアルタイム・クロックとも呼ばれている時計回路であり、後述する主電源スイッチ70に繋がる電源回路92とは別の専用電源(内蔵電池)から電源が供給され、長期間に亘って駆動されるようになっている。これは例えば電波時計でも良く、常に制御装置33から求めがあれば、現在の日にちと正確な時刻を秒単位で知らせるものである。このため、保湿用空気供給機20の製造段階で正しい日時にセットされている。従って、保湿用空気供給機20の主電源を切り、その後再度主電源を投入しても、この時計回路の時刻情報は影響受けず、常に最新の正しい時刻を制御装置33に伝える機能がある。このため、前記制御装置33の記憶装置33Rに記録される各種情報は、常に正確な時間が同時に記録されて保存されることになる。従ってNFC用入出力部63から情報通信端末機器25によって外部に読み出される異常監視データには、前記した発生時刻情報が付加されている。これにより後でデータを分析する際に、時間経過が正確に把握できる。
前記制御装置33は、電力指令装置5に対して睡眠時間を把握するために、入眠時点の時刻データ等のような、リアルな情報の提供を求める場合がある(これは、図7で説明する)。つまり、睡眠判定部23を利用した電力指令装置5による睡眠時間の判定結果を待つのではなく、制御装置33自ら入眠時刻、覚醒時刻等のタイミングを示す情報から実際の睡眠時間帯を把握できる機能がある。
図6において、70Aは、前記したように主電源スイッチ70の操作ボタンであり、一度押すとスイッチは閉(ON)となり、次に押すと開(OFF)となり、以後これを繰り返す。
次に図7について説明する。図7は、本発明の実施の形態1に係る電力指令装置5と保湿用空気供給機20の制御動作を示すタイムチャート(説明図)である。
図7は、保湿用空気供給機20の運転開始にあたり、電力指令装置5から睡眠時間のデータを取得して、保湿運転開始するという場合のものである。
以下、各動作T1〜T13について説明する。
使用者が、保湿用空気供給機20の主電源スイッチ70をONし(T1)、「睡眠時間対応モード」ともいう「お任せモード」を選択すると、この選択結果を示す信号が保湿用空気供給機20から電力指令装置5に送信される(T2)。この送信は、前記無線通信用の入出力部68から行われる。
電力指令装置5の制御部36は、睡眠判定部23に対して、睡眠センサー24を起動して睡眠時間のデータを取得するように指令する(T3)。すると睡眠判定部23は、睡眠センサー24を起動する。
その後、使用者が入眠し、睡眠判定部23が「入眠状態になった」と判定した場合、その時点の時刻情報が制御部36へ報知される(T4)。制御部36は、前記入眠時刻のデータを、即時保湿用空気供給機20の無線通信用の入出力部68から制御装置33へ送信する(T5)。
保湿用空気供給機20では、制御装置33が、その通知された時刻を記憶装置33Rに記憶させる一方、電熱源90に通電開始し、高温空気生成部(ボイラー室)59で水蒸気の発生を開始する。そして蒸気が発生する段階で電動送風機55にも通電開始して送風を開始する。これにより保湿空気の供給が開始されるので、制御装置33は保湿運転を開始したことを電力指令装置5へ通知する(T6)。なお、図7においてT2からT5の時点までの時間Aが30分と記載しているが、この時間は、使用者が入眠するまでの時間に依存するので、毎回(入眠の都度)同じではない。この図7の例では、お任せモードを使用者が設定し、そのあと就寝したが、入眠と判定された時点は前記お任せモードの設定から30分後であったことを示している。
次に、保湿用空気供給機20では、制御装置33が予め決められた時間(この例では3時間=180分間で、「保湿運転時間B」)だけ、上記した保湿運転を行い、所定の時間が経過した段階で自動的に電熱源90への通電を停止し、そのあと数分して電動送風機55への通電も停止し、保湿用空気の供給を停止する。そしてこの保湿運転終了を電力指令装置5へ通知する(T7)。
その後、使用者が覚醒し、睡眠判定部23が「覚醒状態になった」と判定した場合、その時点の時刻情報が制御部36へ報知される(T8)。制御部36は、前記覚醒時刻のデータを、即時保湿用空気供給機20の無線通信用の入出力部68から制御装置33へ送信する(T9)。この例では、入眠時点T5から覚醒時点T9までの経過時間が360分であり、睡眠時間が6時間であったことが保湿用空気供給機20の制御装置33で分かる。そのため制御部33は、このような一連のデータを記憶装置33Rと、NFC記憶部31に、それぞれ記憶させる。またこの睡眠時刻データの取得日時もセットにして記憶させておく。なお、NFC記憶部31に記憶させておくのは、この保湿用空気供給機20の主電源を切った状態でも、情報通信端末機器25がデータを読み出せるようにするためである。
一方、電力指令装置5では、睡眠判定部23が、T4からT8の時刻における生体データとその変化を一連のデータに集約・整理し(T10)、この結果を制御部36に報知する(T11)。制御部36は受け取った生体データや睡眠時間のデータ(入眠時刻、覚醒時刻、日時)を基礎にして睡眠時間帯のデータを作り、就寝者を示す識別コードや日時データ、保湿運転の行われた居住空間名(位置コード)等とセットにして、第2の記憶部36Bに記憶させる(T12)。そして睡眠時間判定部23に判定動作を終了するように指令する(T13)。
以上の説明から明らかなように、この保湿用空気供給機20では、保湿用空気供給機20を起動した段階(主電源スイッチ70をONした時点)で、使用者の睡眠時間に関するデータが全くない状態であっても、最初に睡眠時間対応モード(お任せモード)を選択するだけで、実際の睡眠時間に対応してその睡眠中に保湿運転を開始し、また終了させることができる。なお、上記したように保湿運転時間Bは3時間であったので、通常では殆どの人の睡眠時間よりも短く、制御装置33の制御プログラムで規定されている標準条件通りに3時間運転しても、覚醒前に保湿運転を終了させることができる。
次に図8について説明する。図8は、本発明の実施の形態1に係る電力指令装置5と保湿用空気供給機20の制御動作を示すタイムチャート(説明図1)である。
図8は、保湿用空気供給機20の運転後、情報通信端末機器25が保湿用空気供給機20から、睡眠時間のデータを取得して、睡眠時間データを変更し、そのデータを再び保湿用空気供給機20へ記憶させ、次回の保湿運転に利用するという場合のものである。なお、保湿用空気供給機20が、電力指令装置5から睡眠時間データを取得する方法については、既に図7で説明している。
以下、各動作T21〜T31について説明する。なお、この動作タイミングT21〜T31は、図7に示した動作タイミングT13に連続するものではない。
使用者が、情報通信端末機器25を保湿用空気供給機20のNFC入出力部63に接近させると、情報通信端末機器25と保湿用空気供給機20との間の通信セッションが確立される。そのため、情報通信端末機器25から睡眠時間データの読み出し要求の信号を保湿用空気供給機20へ発信する(T21)。
保湿用空気供給機20では、これに応えて、情報通信端末機器25に対し睡眠時間データの読み出し許可の信号を送る(T22)。保湿用空気供給機20では、制御部33が情報通信端末機器25に対し睡眠時間データの読み出し指令の信号を送る(T23)。
次に、情報通信端末機器25が、保湿用空気供給機20側のNFCタグを介してNFC記憶部31に記憶させてある睡眠時間データの読み出す(T24)。情報通信端末機器25では、入手した睡眠時間データを記憶部78に一時的に記憶させ(T25)、またそのデータを表示部73に表示させ(T26)、さらにデータの一部を変更(例えば覚醒時刻を1時間早め、睡眠時間を全体として1時間短縮)し(T27)、その最終データを再び記憶部78に記憶させる(T25の時点のデータに上書き)(T28)。
情報通信端末機器25では、今度は逆に保湿用空気供給機20に対して、変更した睡眠時間データを記憶させるため、書き込み要求の信号を送る(T29)。これに応答して保湿用空気供給機20から書き込み許可の信号が届く(T30)。そこで情報通信端末機器25に一時的に記憶してある睡眠時間データを書き込む指令を送る(T31)。
なお、上記した各動作タイミングT21〜T24、T29〜T31は、情報通信端末機器25と保湿用空気供給機20との間の通信セッションが確立されている期間中に行われる。また保湿用空気供給機20の主電源スイッチ70はOFFにしておいたまま、上記の動作T21〜T31を実施できる。
次に、図9について説明する。図9は、本発明の実施の形態1に係る保湿用空気供給機20の制御動作を、情報通信端末機器25との関係で説明するタイムチャート(説明図2)である。
図9は、保湿用空気供給機20の運転開始の直前で、情報通信端末機器25から睡眠時間データを取得して、保湿運転を開始する、という事例である。なお、情報通信端末機器25が睡眠時間データを取得することについては、既に説明したので、説明を省略する。
以下、各動作T41〜T49について説明する。なお、この動作T41〜T49は、図8に示した動作T31に連続したものではない。
まず、使用者が保湿用空気供給機20の主電源スイッチ70をONし(T41)、「睡眠時間対応モード」(お任せモード)を選択する(T42)。もし、保湿用空気供給機20に適当な睡眠時間データがないことが制御装置33によって判明すると、制御装置33は、睡眠時間データの取得を勧告する。そこで使用者が保湿運転の開始前に、自分の睡眠時間を情報通信端末機器25から取得しようと考えた場合、その情報通信端末機器25をNFC入出力部63経由で読み込ませるために、そのNFC入出力部63に情報通信端末機器25を接近させる(この時点では、LED64によってNFC入出力部63の位置が、明瞭に表示される)。
情報通信端末機器25と保湿用空気供給機20との通信セッションが確立すると、情報通信端末機器25から、睡眠時間の書き込み要求信号が出される(T43)。すると、保湿用空気供給機20は、情報通信端末機器25が事前に認識した所定の端末機器であると認識し、睡眠時間データの書き込み許可信号を出す(T44)。
情報通信端末機器25は、睡眠時間データの書き込み指令信号を出す(T45)。そして情報通信端末機器25の記憶部78に一時的に記憶させてある睡眠時間データが読み出され、保湿用空気供給機20に送信される(情報通信端末機器25の記憶部78に一時的に記憶させてある睡眠時間データは、そのまま残存し、自動的に消える訳ではない)。
情報通信端末機器25からの睡眠時間データが読み込まれると、情報通信端末機器25と保湿用空気供給機20との通信セッションは、不要になるので、情報通信端末機器25を遠ざけることで、通信セッションが終了する。
情報通信端末機器25において、睡眠時間データはNFC記憶部31にまず記憶され、これと同じデータは制御装置33の記憶装置33Rに移される。そこで制御装置33は、この睡眠時間データを表示画面101に表示する(T46)。
使用者が表示画面101を見て、睡眠時間の確認をし、それを修正する場合には、その修正入力を待ち、使用者からの最終的な運転開始の指令を待つ(T47)。
そして運転開始の指令があった場合、制御装置33は最終的に設定された睡眠時間のデータを基礎にして、その睡眠時間の中における保湿運転の開始時刻や終了時刻を計算する(T48)。例えば、現在の時刻が、22時10分であり、睡眠時間のデータで示された入眠時刻が23時10分であった場合、保湿運転開始まで60分間あることが分かるので、例えば入眠と同じタイミングで保湿運転開始する場合には、電熱源90に通電開始して、高温空気生成部(ボイラー室)59から高温の水蒸気が発生するまでに10分間必要であることが分かっている場合、23時00分に通電開始すれば良いことが分かる。
なお、実際には、高温空気生成部(ボイラー室)59内部に蒸気が充満するためにも若干時間が必要であるので、23時よりも早い時点で電熱源90に通電開始する。そして制御部33の動作プログラムによって決められた所定の保湿運転(例えば180分間)の終了時間まで経過時間のカウントダウンを行う(T49)。なお、使用者が上記した所定の保湿運転(例えば180分間)を変更して運転条件確定させた場合は、その変更後の時間と前記睡眠時間との比較が(T48ステップで)行われる。
一般に、入眠した時間から早い段階は、眠りの質が良いと言われているので、この実施の形態1では、できるだけ入眠の時点からあまり遅れないタイミングで保湿運転を開始するようにしている。例えば、入眠の時点から遅くとも30分のタイミングで電熱源90に通電開始されるようにしている。そして電動送風機55は、入眠の時点から遅くとも35分のタイミングで通電開始される。なお、電熱源90への通電開始タイミングと電動送風機55への通電開始タイミングは、常に5分間を維持するように設定されている。
次に図10について説明する。図10は、本発明の実施の形態1に係る保湿用空気供給機の制御動作を示すフローチャート図1である。
以下、スタート(ST1)から終了(S16)までの各動作ステップについて説明する。最初に主電源スイッチ70をONする(S2)と、制御部33は、記憶部33Rの中に保存されている睡眠時間データの有無と対象となる居住者(就寝者)等の最新状況を確認し、それらを一時的に読み出す(S3)。
そして表示画面101を起動する(S4)。そしてその表示画面101において、使用者に、「睡眠時間対応モード」(お任せモード)のタッチキー(アイコン)102と、「手動モード」のタッチキー(アイコン)103を表示して、この何れか1つを選択するように表示する(S5)。なお、この表示画面101の表示内容については、図17と図18で説明する。
使用者が「手動モード」を選択した場合には、次のステップ(S6)に進み、使用者は運転時間を設定する。この場合の運転時間とは、タイマーを使用した「自動開始・自動停止」動作を行う場合も含む。そのため、例えば、現在時刻が22時00分であった場合、直ちに保湿運転開始して3時間後に終了させるパターンと、23時15分に運転開始させ、その3時間後(4時間後やその他時間でも良い)に自動停止させるパターン、の2つの選択肢がある。
使用者が運転時間を設定した場合、次のステップ(S7)に進み、保湿運転開始の指令を使用者が与えた場合には、次のステップ(S8)に進み、電熱源90に通電開始され、保湿運転が開始される。
そして規定の所定時間又は使用者が事前に設定した時間が経過した段階、又は使用者が途中で停止指令を与えた場合には、次のステップ(S9)の条件成立し、運転は終了する(S16)。
次に、前記ステップ(S5)で、「睡眠時間対応モード」(お任せモード)を選択した場合、ステップ(S10)に進み、そのステップで、適当な睡眠時間データが無い場合には、次のステップ(S11)に進む。そしてここでは、表示画面101において、使用者の睡眠時間データを読み込ませることを勧告する。適当な睡眠時間データが無い場合とは、例えば、使用者は合致しているが、取得したデータが1年以上も古い場合や、対象者が異なるデータであった場合である。なお、睡眠時間データを取得する前に、対象者(被計測者)の識別のために居住者別のコード番号を電力指令装置5にインプットするか、あるいは、取得されているデータを読み出して、識別コードを追加したり、居住者別のデータベースに編成したりする等の処理をしておくと良い。
使用者が、睡眠時間データの取得を希望しない場合には、ステップ(S5)に戻り、「手動モード」の選択ができる。一方、睡眠時間データの取得を希望する場合には、ステップ(S5)で説明したように、「睡眠時間対応モード」(お任せモード)のタッチキー(アイコン)102にタッチすれば良い。
すると、次のステップ(S13)に進み、制御部33は、電力指令装置5から最新の睡眠時間データを読み込む動作を行う。そのため、電力指令装置5と通信セッションを確立させ、最新の睡眠時間データを読み込む(S13)。そして通信セッションを解除し、読み込んだ睡眠時間データを記憶装置33Rに記憶させる(S14)。なお、さらにNFC記憶部31にもそのデータと同じデータを、コピーして移す処理をしておいても良い。
次に、入手した睡眠時間データを基礎にして、その睡眠時間の中で、どういうタイミングで運転を開始し、終了すべきか計算する(S14)。そして電熱源90の通電開始時刻等の計算を行い、全体の運転スケジュールを決定する(S15)。そして使用者からの運転開始の指令を待つため、前記ステップ(S7)に戻る。なお、前記ステップ(S10)で睡眠時間データがある場合には、このステップ(S15)に直接進む。
前記ステップS13では、電力指令装置5から睡眠時間のデータを取得したが、電力指令装置5から睡眠時間のデータが取得できない場合(睡眠時間のデータが無い場合、又は何らかの無線通信の障害が発生し、睡眠時間データが保湿用空気供給機20に迅速に到着しない場合を含む)、制御装置33は、電力指令装置5からの睡眠時間のデータ取得を取り消し、代わりに情報通信端末機器25からの睡眠時間データの取得を表示画面101で使用者に勧告する(同時に、音声ガイド装置でも報知する)。そして、前述したように、情報通信端末機器25と保湿用空気供給機20との通信セッションを確立させ、睡眠時間の取得動作をさせる。
保湿運転中においては、物理的、電気的な異常状態の有無の監視が制御装置33によって実施されている。さらに制御装置33は、温度検出素子(図示せず)から温度情報を得て、本体ケース49の内部にある主要な部分、電気部品等が異常な高温度になっていないかどうかを監視している。例えば前記高温空気生成部(ボイラー室)59は、前記カートリッジタンク56から、常に一定の水位となるように水60が供給されるが、何らかの原因でその高温空気生成部59の温度が所定の温度を超えた場合には、制御装置33は異常状態と認定し、電熱源90(図6参照)の通電を遮断する。
そして、このような異常の初期状態から緊急停止までの期間における保湿用空気供給機20の主要な部分の電気的、物理的(一例として前記した高温空気生成部59の温度)の変化状況を示す(異常監視)情報が、制御装置33の記憶部33Rの中に格納される。なお、記憶部33Rに記憶される異常監視情報は、主電源スイッチ70を入れた時点から取得開始され、保湿運転を完全に停止するまでの電気的、物理的変化の履歴が反映されたものとなる。そしてその異常監視情報は、前記主電源スイッチ70を切ったあとでも自動的には消去されず、前記記憶装置33Rに保存され続けることになる。
次に図11に基づいて、情報通信端末機器25が異常監視データを保湿用空気供給機20から取得する動作について説明する。なお、異常監視データだけではなく、保湿用空気供給機20が電力指令装置5から取得したデータ(例えば、睡眠時間データ)を取得する場合も、基本的にこの図11に示すように情報通信端末機器25は動作する。
図11は、情報通信端末機器25の処理ステップを示すものである。ここで示されるステップを実行するような制御プログラムが前記中央演算処理装置(CPU)77に最初から格納されている。なお、図11の説明において、符号「SV」は、処理のステップを示すものである。また保湿用空気供給機20では、保湿運転の途中で、何らかの異常が発生したため、使用者が表示部101に表示された表示内容見て、異常内容を確認する場合を想定して以下説明する。その表示内容とは、例えば、「異常が検知されたため、緊急停止しました。詳細は、NFC表示部にNFC機能付きの携帯電話等の端末機器を接近させると情報入手できます」という説明の文字情報である。なお、同時に音声ガイド装置(図示せず)によって報知しても良い。
先に起動しておいた情報通信端末機器25を保湿用空気供給機20のNFC用入出力部63に接近させる。すると、情報通信端末機器25は、記憶部76に格納されているアプリケーション・ソフトウェア部80を起動することによって処理が開始される。
SV1において、情報通信端末機器25の通信確立部83は、情報通信端末機器25と保湿用空気供給機20の間にNFC通信セッションが確立されることを監視している。NFC通信は、13.56MHz帯の電波を利用した近距離無線通信である。
使用者が情報通信端末機器25を、保湿用空気供給機20のNFC用入出力部63に近づけ、接近させる(例えば5cmまで)と、通信確立部83は、NFC通信セッションを確立する。
NFC通信セッションが確立されると、通信確立部83はステップSV1でYESと判断して、ステップSV2に進む。ステップSV2では、送信処理部82は、SV1で確立されたNFC通信セッションを用いて、保湿用空気供給機20の異常監視データや識別情報の提供を要求するための情報を保湿用空気供給機20に送信する(SV2)。この要求情報は、図6に示したNFC記憶部31に一時的に記憶される。
続いて、ステップSV3では、情報通信端末機器25は、ステップSV1で確立されたNFC通信セッションを用いて、保湿用空気供給機20から、使用者が表示を希望する情報を選択するための「専用の表示画面」を情報通信端末機器25の表示部73に表示する情報を受信する。この情報は、図11では「表示メニュー用の情報」と記載している。ここでいう「表示メニュー」とは、異常発生時においては、少なくとも次の3つの情報群をいう。
(1)識別情報(製品識別情報)
(2)異常内容情報(異常内容を解説した詳細情報)
(3)アドバイス情報(製品の正しい使用方法や異常時の対処方法等を解説した情報)
前記「専用の表示画面」とは、例えば図12、図13に示したものである。
表示メニュー用情報を受信すると、受信処理部81が受信内容を確認し、ステップSV4において、制御部76は、情報通信端末機器25を鳴動させる。これにより、使用者に受信(ここでは表示メニュー用情報の受信)が終了した旨が報知される。この直後に、情報通信端末機器25はSV1で確立されたNFC通信セッションを用いてMACアドレスを保湿用空気供給機20に送信する。このMACアドレスを保湿用空気供給機20が受信することにより、以後の通信で連続性・関連性が担保するために保湿用空気供給機20側において通信機器の識別に利用される。
前記ステップSV4の時点での報知により、使用者は、情報通信端末機器25を保湿用空気供給機20から遠ざけてよいことを知る。仮にこれを知らない場合でも、ステップSV6では、情報通信端末機器25の表示部73に、表示メニュー用情報の受信が完了し、通信は一旦中断するため、「保湿用空気供給機20から遠ざけるように」との表示が出るので、使用者の無用の混乱は回避される。これら表示部73の画面処理は表示制御部84で実行する。
情報通信端末機器25を保湿用空気供給機20からから遠ざけ、表示部73が見やすいよう自分の手元近くに移動させて、以後の操作を行うことができる。これにより、情報通信端末機器25と保湿用空気供給機20との間の距離が、互いに電波が届く距離より大きくなると、S1で確立されたNFC通信セッションが中断される(SV7)。なお、ここまでを第1のNFC通信セッションと定義すれば、このステップSV7の段階は第1のNFC通信セッションの完了と言える。
仮にステップSV7で、NFC通信セッションが前記したようにSV7で中断しないままになった場合は、ステップSV6の処理に戻り、使用者はNFC通信を一旦中断するように勧告される。
次に、ステップSV8において、制御部76は、保湿用空気供給機20を鳴動させる。これにより、使用者にはNFCが中断した旨が報知される。
表示制御部84は、ステップSV3で受信された表示メニュー用情報に含まれるテキストデータを用いて、所定の選択画面を生成する(SV9)。つまり、使用者が情報通信端末機器25の表示部73で最初に確認する内容は、図13に示すような「専用の表示画面」であり、表示を希望する情報の種類を3つの中から1つだけ選択することができるものである。なお、このステップSV9における情報の種類の選択方法については複数あるので、図13と図14の説明の際に詳しく述べる。
SV9において、例えば「異常内容情報表示」を選択した場合、この選択結果を保湿用空気供給機20にインプットする前には、NFC通信セッションを確立する必要がある。そこで前記したように、使用者が情報通信端末機器25を、保湿用空気供給機20の前面壁61のNFC用入出力部63に近づけ、通信確立部83が、NFC通信セッションの確立を確認した場合、通信確立部83はSV10でYESと判断して、SV11に進む。
この後、情報通信端末機器25は、ステップSV11で確立されたNFC通信セッションを用いてMACアドレスを再び保湿用空気供給機20に送信する。このMACアドレスを保湿用空気供給機20が再度受信することにより、保湿用空気供給機20では前回との通信の関連性が確認される。また同時に、情報通信端末機器25はSV9において選択した「異常内容情報表示」という表示指令を保湿用空気供給機20に送信する(SV11)。
続いて、ステップSV12では、情報通信端末機器25は、ステップSV10で確立されたNFC通信セッションを用いて、保湿用空気供給機20から、使用者が表示を指定した「異常内容」に関する情報を受信する。
この異常内容に関する情報を受信すると、受信処理部81が受信内容を確認し、ステップSV13において、制御部76は、情報通信端末機器25を鳴動させる。これにより、使用者に指定した情報を受信(ここでは「異常内容情報」の受信)が終了した旨が報知される。
その後、制御部76は表示部73に、NFC通信セッションは切断することを表示し、使用者が所定時間内に新たな操作入力をしない限り、NFC通信セッションを自動的に遮断して一連の処理を終了する。なお、使用者が受信した前記「異常内容情報」は、情報通信端末機器25の記憶部80のメモリー86に記憶されるので、使用者は後日その内容を再び読み出して表示部73に表示させることができる。またその「異常内容情報」は、情報通信端末機器25の通信機能を使って広域通信回路網16経由で保湿用空気供給機20の販売会社や修理業者のサーバー等に送信することもできるし、情報通信端末機器25を修理業者等の所まで持参して、当該業者のところで異常監視データの内容を見せることができる。また、そのような場合、保湿用空気供給機20の識別情報も記録されているので、修理業者等に正確な識別情報を伝達できる。
異常監視データには、後述する各種運転情報信号L1〜L10、対象機器登録信号AS1、家電機器の総電力量を下げる要請信号(予告信号)AS2、電力削減指令信号AS3を含ませている。そのため、実際の異常を示すデータ(例えば、温度や電圧値)の計測タイミングと、例えば運転情報信号L1〜L7の送信タイミング等を時間的に対応付けてあるので、異常発生後の原因分析が容易になる。
なお、情報通信端末機器25が、ステップSV11において「異常内容情報表示」という表示指令を保湿用空気供給機20に送信した場合、前記表示指令は保湿用空気供給機20のNFC記憶部31に一旦記録され、その表示指令を受けてNFC制御回路28では、制御装置33の記憶装置33Rに記憶している異常監視データをNFC制御回路28側へ送信するような(異常管理)データ送信命令を出す。
前記NFC制御回路28のデータ送信命令を監視していた保湿用空気供給機20の制御装置33が、前記NFC制御回路28の送信命令を受けて動作する。つまり、情報通信端末機器25側から制御データ(データ送信命令という制御コマンド)を前記家電機器EEの一種である保湿用空気供給機20のNFC記憶部31へ送り、当該保湿用空気供給機20の制御装置33(「ホストコンピューター」機能を有する)が、前記NFC記憶部31に記憶された前記制御コマンドに従って制御動作するものである。但し、後述する図14のフローチャート図では、セキュリティの面から、電力指令装置5側から保湿用空気供給機20へ、情報通信端末機器25での異常監視データ取得を許可するステップ(SY11)があると説明しており、そのような指令が第1の通信手段8A経由で保湿用空気供給機20へ届いた後で、情報通信端末機器25が異常監視データを読み出せるようにしている。
保湿用空気供給機20が主電源を切られ、あるいは保湿運転が終了又は一時停止している期間中でも、使用者が情報通信端末機器25を、保湿用空気供給機20のNFC用入出力部63に接近させれば、その都度NFC通信をできるようにするために、前記ステップ(SY11)は削除しても良い。
次に情報通信端末機器25が異常監視データを保湿用空気供給機20から取得する場面での表示部73の表示内容について、図12と図13を参照しながら説明する。
図12は、情報通信端末機器25の表示部73の表示内容を示すものである。ここで示される表示部73の表示内容は、図11のステップSV9の段階におけるものである。
図12に示している通り、表示部73には表示を希望する情報の種類を、3つの項目の中から1つ選択するように求める画面を生成している。
この図12において、111は異常発生を知らせる文字情報、112は、使用者に表示すべき情報の種類を選択するように促す操作誘導情報、113Aは「製品識別情報表示」という表示をした選択情報、113Bは「異常内容情報表示」という表示をした選択情報、113Cは「アドバイス情報表示」という文字が表示された選択情報である。
この図12の表示画面で、例えば「異常内容情報表示」を選択する場合は、2つの方法がある。
第1の方法:
操作入力部74に設けた4つの方向の選択キー(タッチ式又は押しボタン式)を使用し、例えば、選択項目を下方向に順次選ぶには、下方向指定選択キー114Bを押せば良い。最初は「製品識別情報表示」の項が選択されるように、その文字情報113Aがハイライト表示等で強調された表示になっていた場合、前記した下方向指定選択キー114Bを1回押せば、「異常内容情報表示」の項が選択され、その文字情報113Bがハイライト表示等で強調された表示になる。下方向指定選択キー114Bを更に1回押せば、更に下方に表示されている「アドバイス情報表示」の項が選択され、その文字情報113Cがハイライト表示等で強調された表示になる。さらに1回下方向指定選択キー114Bを1回押せば、最初に戻って「製品識別情報表示」の項が選択され、「製品識別情報表示」の文字情報113Aがハイライト表示等で強調された表示になる。以後もこのように下方向指定選択キー114Bを押せば、選択項目が巡回する。なお、同じように上方向指定選択キー114A、右方向指定選択キー114C、左方向指定選択キー114Dも操作入力部74に設けてある。なお、選択を確定するには、操作入力部74中央部にある確定キー(タッチ式又は押しボタン式)115を押せば良い。この確定キー115を押した段階で、図11に示したSV9の処理が終わる。
第2の方法:
操作入力部74に設けた4つの方向の選択キー114A〜114Dを一切使用せずに、情報通信端末機器25を水平面にした段階から、左右又は水平に傾ける動作で「製品識別情報表示」の項から「アドバイス情報表示」の項まで選択できる。前記したように、情報通信端末機器25には、姿勢検知部75を内蔵しているので、使用者が情報通信端末機器25を傾ける際の姿勢(より具体的には回転角度)を検出して、当該姿勢を示す信号を制御部76に出力する。従って、例えば下方向指定選択キー114Bを1回押すのと同様にするには、情報通信端末機器25の表示部73が最も上で、下方向指定選択キー114Bが最も下になるように傾斜させれば良い。そして所望の項が選択された段階で前記確定キー115を押せば良い。この確定キー115を押した段階で、図11に示したSV9の処理が終わる。
次に図13について説明する。
図13は、保湿用空気供給機20から情報通信端末機器25で異常監視データを表示させた場面を示している。図14において、116は異常の内容を知らせる文字情報、117Aは、異常発生個所を示した文字情報、117Bは異常の原因を示した文字情報である。118は、使用者にこの製品(保湿用空気供給機20)の異常について修理や点検の依頼先の情報を表示するかどうか使用者に判断を求める選択情報である。この118の項を選択して更に詳しい情報を求める場合には、前記右方向指定選択キー114Cを1回押せば良い。この図13には示していないが、保湿用空気供給機20を販売した時点で、製造業者がNFC記憶部31に書き込んでおいた連絡先の所在地、電話番号等の文字情報が表示部73にて表示できる。
前記した「識別情報」は、保湿用空気供給機20に固有の情報のことであり、的確な修理や点検を行う場合に必要となる重要な情報であるから、前記NFC記憶部31に記録しておくことが望ましいが、前記制御装置33の記憶装置33Rに「識別情報」を記憶させておくことでも良い。あるいは双方に重複して記憶させておくことでも良い。例えば、工場の製造段階で識別情報が確定する製造年月や製品(シリアル)番号、保証書番号等は、記憶装置33Rに記憶させ、製品の販売時点で確定する販売日、販売業者名等の識別情報については販売店や設置業者が、NFC用入出力部63を介して後から情報を書き込んでも良い。
保湿用空気供給機20や空気調和機3は、電力指令装置5の本体5Aとの間で、無線信号によって電力削減指令や運転状態報知等の通信を行っている。前記保湿用空気供給機20からの異常監視データや識別情報は、入出力部68と入出力部30Aとの間の無線通信を利用して、電力指令装置5の本体5A側へ送信され、最終的には当該本体5Aの中にある記憶装置38に記録させる。
保湿用空気供給機20の異常監視データの容量が大きく、情報通信端末機器25が近距離無線通信(NFC)によって当該データを読み込むまでに時間を要することが懸念される場合にも、迅速に異常監視データを保湿用空気供給機20から取り出すことができる。そして記憶装置38に保存した異常監視データは、操作入力部39からの操作によって、表示盤37の表示画面37Aに表示させることができる。そのため、使用者は、手元に適当な情報通信端末機器25がない場合でも、前記表示盤37を利用して異常の内容や推定原因、その他アドバイスを確認することができる。
同様に、識別情報も本体5A側へ送信し、記憶装置38に記憶させておけば良い。このようにすることで、仮に数年前に保湿用空気供給機20を購入し、既に取扱説明書や保証書等の物的な書面、資料が手元に無い場合であっても、使用者はその保湿用空気供給機20に異常が発生した段階で、異常の内容や識別情報を確認し、販売店やメーカ(製造業者やその委託を受けた業者等)に修理や点検を依頼する場合でも、的確に保湿用空気供給機20に関する事実関係を伝達でき、早期に的確な対応をすることを可能にし、使用者だけではなく、販売店やメーカ側においても利便性が向上する。
保湿用空気供給機20等の家電機器EEの識別情報は、異常監視データとは異なり、常に変化するものではないので、1回だけ記憶装置38に記憶できれば良い。従って、異常発生の都度、必ずしも識別情報を取得する必要はないが、古い記録の中から探す労力を減らすためには、異常が発生した場合に識別情報を保湿用空気供給機20側から提供することが望ましい。
次に、図12に示した場面で、前記「アドバイス情報表示」という文字が表示された選択情報113Cを選択した場合について、図13を参照しながら説明する。この選択情報113Cを選択すると、情報通信端末機器25は、その無線入出力部41によって、前記情報サーバー27に接続し、保湿用空気供給機20から取得した、異常監視データを含む異常発生情報を、前記情報サーバー27に送信し、異常発生原因の解明や異常発生に対するメーカ側情報データベース27Mからの参考情報を求めることができる。
上記のように保湿用空気供給機20から情報通信端末機器25が異常監視データを直接受け取り、情報サーバー27にその異常監視データを転送する方法では、保湿用空気供給機20の周囲の環境データ(例えば、居住空間HAの気温や湿度情報)や電力指令装置5から、他の家電機器EEに対して実施していた電力制限動作等の情報が情報サーバー27に伝達できない。そこで、これを解決する方法として、電力指令装置5が異常監視データを、前記「異常発生データ」に変更(データ充実化)して、情報サーバー27に送る方法も実施できるように構成している。これについては、次の図14を参照しながら説明する。
図14は、電力指令装置5の制御部36の動作を示すフローチャート図である。
保湿用空気供給機20の保湿運転が緊急停止した情報が、入出力部68と入出力部30ACを介して電力指令装置5の制御部36に届く(SY1)(図3参照)と、制御部36は、使用者が情報通信端末機器25を介して外部に異常監視データの送信を設定しているかどうかを判定する(SY2)。
情報通信端末機器25を介して異常監視データを送信するように事前に設定してあった場合、制御部36は、保湿用空気供給機20に対して、情報通信端末機器25が異常監視データを取得し、外部へ送信することを通知する(SY10)。これに続いて、保湿用空気供給機20に対して、その制御装置33が把握している異常監視データを、情報通信端末機器25がNFC通信で読み取ることを許可するように指令する(SY11)。これ以降は、前記したように、情報通信端末機器25が異常監視データを直接受け取り、情報サーバー27にその異常監視データを転送することができる。なお、前記したように、保湿用空気供給機20から、いつでも情報通信端末機器25がNFC通信で異常監視データや識別情報を読み取ることができるよう、前記2つのステップ(SY10)、(SY11)は省略しても良い。
一方、前記ステップSY2において、異常監視データを情報通信端末機器25経由で送信するよう事前に設定してない場合には、制御部36は、環境検知部9に対して、最新の環境情報を取得するように指令し、環境検知部9は、保湿用空気供給機20が設置されている寝室等の気温や湿度等の環境情報を取得して、制御部36に送信する(SY3)。
次に、制御部36は、保湿用空気供給機20が設置されている寝室等において、他に運転中の家電機器がある場合、その運転情報を取得する。例えば、空気調和機3が運転中であり、消費電力は1300Wであること、また運転開始から120分経過していること、電力指令装置5からは何の電力制限指令も出されていないこと、等の情報が取得される(SY4)。このような情報取得は、前記電力指令装置5に対して、各家電機器EEの設置位置の情報が登録されているため、可能となっている。同じ居住空間における家電機器は、電力指令装置5側の制御部36に保存されている「設置位置情報」を検索することで直ぐに分かる。
次に、制御部36は、保湿用空気供給機20から受信した異常監視データに、環境データをセットにして情報サーバー27に対して、異常発生情報を送信するための指令を出す。このデータ送信時には、前記した「同一居住空間における、他の家電機器EE等の運転情報」も送信する(SY5)。つまり、単なる異常を監視していて計測、取得されたデータそれだけではなく、異常が発生したことを電気機器側が一次判定したことを示す特別な識別コードも含め、「異常発生情報」としている。なお、異常発生情報が、1度の通信で送信できない場合には、複数回に分割して自動的に送信するようにしておいても良い。
次に、制御部36は、情報サーバー27に送信した異常監視データ等の異常発生情報を、記憶装置38の内部に、識別情報とセットにして記憶させる。これにより、上記情報サーバー27への送信が、何らかの通信異常で失敗した場合でも、後日また電力指令装置5としてデータを取り出し、再送信することができる。
次に、制御部36は、居間のTV受像機2が既に起動されているかどうかを判定する(SY12)。寝室で保湿用空気供給機20を使用中に、その使用者(就寝者)がその寝室から離れて別の部屋(居住空間)に行っていることは想定し難いが、可能性としてはゼロではないので、居間にあるTV受像機2で、保湿用空気供給機20の使用者や他の居住者へ、異常の発生を報知した方が安全性向上する。このためにこの処理(SY12)がある。但し、保湿用空気供給機20の異常発生タイミングが、深夜(23時)から早朝(午前5時)の間である場合には、突然居間のTV受像機2が起動されて画像や音声で報知されると、安眠妨害や他の居住者の不安感を招くおそれがあるので、上記のSY12の処理を受けて、TV受像機75を起動するという後述の処理(SY7)は、深夜から早朝の間は省略される。
次に、制御部36は、TV受像機2が既に起動されていた場合、その表示画面において、異常発生を警報文字やアニメーション等で速やかに報知する(SY8)。
もしこのステップ(SY12)でTV受像機2が起動していない場合は、電力指令装置5の制御部36は、TV受像機2に、起動要請信号を送り、TV受像機2を起動する(SY7)。そして異常発生を警報文字やアニメーション等で速やかに報知する(SY8)。
次に、制御部36は、保湿用空気供給機20から受信した異常監視データと、環境データとをセットにして、異常発生情報を(情報サーバー27に向けて)送信するよう、入出力部30Bへ指令を出す。またこのデータ送信時には、前記した「同一居住空間における、他の家電機器EE等の運転情報」も送信する(SY9)。以上で電力指令装置5により情報サーバー27への異常発生情報の送信動作を終える。
この図14に説明した機能は、例えば子供や高齢者が自宅の寝室で保湿用空気供給機20を使用中に、もし異常が発生した場合でも、その異常の発生を子供の親や高齢者の介護者等が保有している情報通信端末機器25で確認でき、またその就寝場所と離れた居住空間のTV受像機2でも知ることができるので、居住者の安全性や安心感を増大させることができる。
次に図15について説明する。
図15は、保湿用空気供給機20の保湿運転が終了した後、例えば前日の23時に保湿用空気供給機20を使用開始し、翌日の朝6時に使用を終了し、その朝7時に情報通信端末機器25でその保湿運転の結果を確認した場合の表示画面73の表示内容を示している。
この場面の情報通信端末機器25は、図11にて説明したNFC通信セッションの確立により、保湿用空気供給機20のNFC記憶部31に予め記憶されていた直前の(昨夜から今朝まで)保湿運転データを読み取った状態である。
図15において、120は保湿運転の終了確認する画面であることを知らせる文字情報である。この図15に示している通り、表示部73には表示を希望する情報の種類を、3つの項目の中から1つ選択するように求める画面を生成している。121は、選択を促す文字情報である。
この図15において選択できる3つの情報とは、睡眠時間について情報と、保湿運転の結果に関する情報と、アドバイス情報である。
122Aは、「睡眠情報表示」という表示をした選択情報、122Bは、「保湿運転結果表示」という表示をした選択情報、122Cは、「アドバイス情報表示」という表示をした選択情報である。
図15において、「保湿運転結果表示」という表示をした選択情報122Bを入力操作部74で選択した場合、図16の画面表示に変化する。図16において、124は保湿運転の結果を表示する画面であることを知らせる文字情報である。
125Aは、保湿運転開始された時刻を示した情報、125Bは、保湿運転を終了した時刻を示した情報、126は、昨夜の保湿運転で使用者への助言内容を示した情報である。
この図16の例では、保湿運転と同時に、その保湿用空気供給機20が使用されている居住空間で空気調和機3による空調が行われていたことを報知し、設定温度を下げ過ぎないように注意喚起している。なお、入眠を早くするために特に夏場の暑い時期に、寝室の湿度を下げるよう空気調和機3を運転することがあるが、その設定湿度が低すぎると、逆に喉の渇きにより入眠を妨害したり、肌荒れを招いたりするという懸念がある。また空気調和機3から吹き出される空調用空気の向きや強さによっては、保湿用空気供給機20から吹き出される高湿度空気の流れや向きが悪影響を受ける懸念があるため、保湿用空気供給機20の本来の使用目的・効果が損なわれないような注意点を示している。このような、空気調和機3等の他の家電機器EEの運転情報は、電力指令装置5から随時保湿用空気供給機20に提供される構成になっているが、これについては、図19で説明する。
図17は、保湿用空気供給機20の前記表示画面101の表示例を示したものである。 主電源スイッチ70をONさせた場合、最初に図17の画面が表示される。つまり、この図17は、前記した図10のフローチャート図でいう「ステップS4」の場面の表示画面である。
図17から明らかなように、表示画面101には、運転モードの選択用として、左側には「睡眠時間対応モード」(お任せモード)のタッチキー(「アイコン」ともいう)102が表示され、右側には「手動モード」のタッチキー(アイコン)103が表示される。表示画面101は、使用者が指などを触れることで静電容量が変化し、入力できる接触式の入力キーを採用したタッチ式表示画面である。このため、前記タッチキー(アイコン)102、103の表示部分に、使用者が軽く触れることで制御装置33に対する有効な入力信号が発生するものである。
前記タッチキー(アイコン)102,103を表示した前記表示画面101の表面には、当該タッチキーの入力機能を示す文字や図形などが印刷や刻印等で何ら表示されていないが、これらキーの下方の液晶画面95には、それらタッチキーの操作場面毎に、キーの入力機能を示す文字や図形をその都度表示する構成し、その表示画面101に触れた場合、その触れた位置にあるキーが選択されたことになる。
130は、使用者に運転モードの選択を促すことを文字で知らせる(運転モードの)選択表示部である。この選択表示部130は、入力キー機能は有していないので、この選択表示部130にタッチしても制御装置33には何の入力もされない。
131は、ヘルプモードキーであり、使用者がこれに触れると、その場面で使用者の操作に参考になる情報が表示されるとともに、別途設けた音声ガイド装置(図示せず)によって、正しい操作方法が音声で報知される。なお、何度もこのキーを押した場合、この表示画面102の見方や操作方法が、模式図と文字で表示画面101全体に表示される。
132は、インフォーメーション・キーであり、これにタッチした場合、その都度、保湿運転の条件を設定するために参考になる情報や、上手に保湿運転する注意点などを詳しく表示画面101に文字で表示する。
133は、最も新しい(最近の)使用時の睡眠時間帯を示す時間帯表示部であり、図17の例では、昨夜保湿運転されたので、「昨夜の睡眠時間帯」という表示になっている。
134は、同じく最も新しい使用時の睡眠時の平均気温と湿度を示す環境情報表示部である。このような、空気調和機3等による環境情報は、環境検知部9の検知結果を電力指令装置5が分析し、それを保湿用空気供給機20とTV受像機2等に、それぞれ提供される構成になっているが、これについては、図19で説明する。
135は、同じく新しい使用時(睡眠時)に、空気調和機3が使用されていたかどうかを示す空調運転表示部である。この情報も電力指令装置5が保湿用空気供給機20に提供したものである。
図18は、保湿用空気供給機20の前記表示画面101の表示例を示したものである。 図17に示した「睡眠時間対応モード」(お任せモード)のタッチキー(アイコン)102を選択した場合には、この図18の画面が表示される。
136は環境詳細情報であり、最も新しい(最近の保湿用空気供給機20の)使用時、空気調和機3の運転条件(この場合、目標の室温)が25℃で、風速は「弱」に設定されていたことが分かる。
137は、環境検知部9が取得した気温や室温から電力指令装置5の制御部36が算出した快適度(快適性)の情報である。不快指数等の他の指標を表示しても良いし、使用者が予め快適度の評価レベルを定義して、電力指令装置5に記憶させておき、それに基づいて算定する者でも良い。
具体的には、快適度(快適性)の情報として、137Aは、気温と湿度とから、前記電力指令装置6によって算出される星形の快適度マークである。
ところで、日本では、気温と湿度で算出する不快指数という指標がある。例えば、気温29℃、湿度70%では、不快指数80である。この不快指数が75を越えると人口の10%が不快に感じ、80を越えると全員が不快になると言われている。
そこで、前記快適度マーク137Aを2段階で表示する場合は、不快指数75未満は2つ、不快指数75以上は1つ、と定義して表示させるようにしても良い。つまり、快適度マーク137Aが多いほど快適性が高いということになる。なお、電力指令装置5の表示盤37の表示画面37Aにおいても、このマーク137Aは、各居住空間にそれぞれ表示され、居住空間の環境情報の1つとして利用される。
なお、室温が30度以上で、湿度75%を超えた場合、不快指数は80を超え、室内に居ても熱中症になる危険性がある。特に、熱中症の発症現場を見ると、65歳以上の男性、女性とも室内が圧倒的に多いということが分かっている(参考文献:日本の環境省の「熱中症環境保健マニュアル」:2011年5月改訂版)。
そこで、環境検知部9は、気温29℃で、湿度70%になった時点で「第1次警報」レベルの信号を前記制御部36に送り、室温が30度以上で、湿度75%を超えた場合時点で「第2次警報」レベルの信号を制御部36に対して送る。制御部36は、人検知部12が何らかの居住者等の人の存在を検知している居住空間が、前記「第1次警報」を出された場合は、以下に示す「第1次警報」を出すための処理を行う。
対策1:電力指令装置5の表示盤37の表示画面37Aで警報出す。
対策2:TV受像機2を視聴している状態であれば、その表示画面に文字で警報出す。
前記対策1、対策2の動作指令を出してから5分以内に、気温29℃未満か、湿度70%未満に改善されない場合は、当該居住空間にいる人が暑さを体感していない場合も想定されるので、この場合は、制御部36は次に示す「第2次警報」を出すための処理をする。
対策3:当該居住空間にある環境改善機器の内、冷房能力(気温上昇抑制効果)のある空気調和機2を強制的に運転開始する(例えば、その時の室内目標温度は27℃)。
そしてこれら第1次警報と第2次警報を出したかどうかを前記環境詳細情報136(図18参照)に含めて表示しても良い。
この実施の形態1で、空気調和機3が居住空間にある場合とは、居住空間の内部に装置自体があることは勿論含む。また居住空間の外部に装置自体があっても良いが、処理された空気が居住空間内へ供給される場合も含むものである。空気調和機3が居住空間に無い場合又は電源コードのプラグが接続口から抜かれている等、運転不能であることが分かった場合は、他の環境改善機器(後述するが、例えば換気装置や空気清浄機等)を運転開始する。
熱中症を防止するために室内の空気を対流させることも効果があることは知られている。そこで本発明の実施の形態1では、居住空間の外にいる居住者に対して、環境状態が健康上で危険であることを報知する。具体的には報知情報は、電力指令装置5の入出力部30B(図3参照)からルーター14Aを介して屋外の広域通信回路網16に通信で送られ、屋外にいる別の居住者の情報通信端末機器25に届くようにする。
屋外にいる居住者が遠隔操作で電力制御装置5を経由して空気調和機3の運転を行うようにするが、これが出来ない場合には、近親者や介護ヘルパー派遣事務所などに連絡して直接居住空間に出向いて貰うこともできる(この場合、玄関の電子錠の開錠方法は、居住者Bがその訪問者に伝える)。つまり、前記制御部36は、前記第2次警報信号を受けてから所定時間内に気温と湿度が第1の所定値未満の状態に改善しない場合、居住空間の外にいる居住者に対して、環境状態が危険であることを報知する。この構成であるから、環境改善機器の使用に不慣れな高齢者や子供が1人で部屋にいる場合でも、その環境を前記検知部9が見守り、屋内居住空間での安全性を高めることが期待できる。
また、環境検知部9は、「第1次警報」を出したかどうかに関係なく、室温が30度以上で、湿度75%を超えた場合時点で直ちに「第2次警報」を制御部36に対して出す。制御部36は、人検知部12が何らかの居住者等の人の存在を検知している居住空間が、前記「第2次警報」を出された場合は、前記した対策3の処理を指令する。対策3を指令してから以後1分経過毎に環境検知部9は、当該警報を出した居住空間の最新環境条件を計測して監視する。
上記のように強制的に運転開始された空気調和機3等の環境改善機器は、居住空間の環境条件が、居住者の定めた所定の条件になった場合には、制御部36が指令を出し、環境改善機器の運転を自動停止させる。あるいは環境改善機器の運転を30分継続したら、自動停止させることでも良い。必要以上に運転すると省エネの観点から好ましくないからである。
138は、最も新しい使用時(昨夜の睡眠時)の運転情報で、保湿用空気供給機20を運転することを指令するタッチキー(アイコン)である。なお、この場合、睡眠時間帯(入眠時刻と覚醒時刻)の情報もそのまま使用され、実際に使用者の睡眠時間は計測しない。
139は、昨夜の睡眠時間帯情報等を参考にしたが、結果的に過去の保湿運転の条件や過去の睡眠時間対応運転の実績等に従わず、使用者が任意に決めた条件で保湿運転することを選ぶ手動モードのタッチキー(アイコン)である。なお、このタッチキー(アイコン)139と、図17に示した「手動モード」のタッチキー(アイコン)103との相違点は、後者を選んだ場合には、図18の表示画面101が表示されないことである。
140は、次の表示工程を進むタッチキー(アイコン)、141は、逆に前の工程の表示画面まで戻るように指令するタッチキー(アイコン)である。
142は、便利情報表示画面であることを示す文字情報である。
図17、18において、前記NFC用入出力部63は、破線で示した枠になっているが、これはNFC用アンテナ29の位置を模式的に示したもので、アンテナ29の大きさは、この点線の枠で示した形状とは異なっている。NFC用アンテナ29は直接目視できないため、発光ダイオード素子(LED)64が点灯していない状態でもNFC入出力部63のアンテナ29の位置が分かるように、本体ケース49の前壁(正面壁)61の表面には、文字と図形で、NFC用入出力部63のアンテナ29の位置を示してある。この図17、18の例では「近距離通信 TOUCH」と文字で表示している。
次に図19について説明する。
図19において、L1〜L10が、保湿用空気供給機20から電力指令装置5に送信される運転情報信号である。L1は、主電源投入(ON)を示す信号、AS1は、信号L1を受けて通信対象機器として登録したことの報知信号、L2は、保湿用空気供給機20の表示画面101が起動されたことを示す信号である。
L3は、保湿用空気供給機20から睡眠時間データの提供求める信号と、その後入手した時点で確認のために送信する受領報知信号である。
L4は、運転モード、すなわち、睡眠時間対応モード(お任せモード)と、手動モードのどちらを選択したのかを報知する信号、L5は、睡眠時間が設定されたことを示す信号、L5は、保湿用空気供給機20の運転開始する予告信号である。
KSは、前記予告信号L5に応答して、電力指令装置5から運転開始を許可するという信号である。
L6は、電熱源90に通電が開始されて実際に蒸気発生動作を開始したことを示す信号、L7は、前記信号L6の後(例えば5分後)に、電動送風機55に通電開始したことを示す信号であり、実質的にはこのL6の段階から、高温の蒸気に空気が混合され、40℃程度の高湿度の風が吹き出されて保湿運転が開始となる。
L8は、電熱源90への通電停止したことを示す信号、L9は電動送風機55と、表示画面101への通電を停止したことを示す信号、L1は、主電源を遮断(OFF)したことを示す信号である。
図17と図18では、表示画面101において、環境情報表示部134や空調運転表示部135が設けられる旨を説明したが、電力指令装置5の制御部36は、保湿用空気供給機20が停止されることを運転情報信号L9で知った段階で、それまでに蓄積していた環境情報に基づき、保湿運転期間中に空気調和機3が運転されていたかどうかを、保湿用空気供給機20へ送信する(図19に示す報知信号EV)。
また、空気調和機3が保湿運転期間中に運転されていたかどうかに関係なく、少なくとも前記運転情報信号L7からL9までの期間中、つまり実質的に保湿運転が行われていた期間中の平均気温、湿度等のデータを、制御部36は保湿用空気供給機20へ送信する。この平均気温等のデータは、環境検知部9から制御部36が取得した環境データに基づく。すなわち、第2の記憶部36Bには、保湿用空気供給機20の保湿運転中に、その保湿用空気供給機20が使用された居住空間の環境データ(例えば、気温、室温)が、その保湿運転時間と対になって時系列で記録されており、この環境データが居住者に利用されるようになっている。
電力指令装置5には、前記信号L1〜L10の受信時刻が秒単位まで記憶されている。またその他信号AS1、LM、KSについても同様である。
保湿用空気供給機20は、電力指令装置5によって消費電力の上限値が制限される対象製品になっていないが、仮に対象製品にした場合には、前記運転情報信号L5の後、又は少なくともL6の後で、電力指令装置5から電力削減要請信号AS2又は電力削減指令信号AS3が発せられる場合がある。
電力削減要請信号AS2とは、速やかに電力を下げて欲しいと電力指令装置9が促す信号であり、この信号から所定時間以内に総電力量が下がらない場合には強制的に電力を下げる。そのため、前記した電力削減要請信号AS2を発してから所定時間内(例えば、数秒〜10秒以内)に電力削減指令信号AS3が発せられる。電力削減要請信号AS2が発せられてから所定時間内に保湿用空気供給機20やその他家電機器EEの何れかが電力を自発的に下げたことにより、十分な余裕電力が確保された場合、前記電力削減要請信号AS2は撤回される場合があり得る。
前記電力指令装置5は、各家電機器EEからの要求電力の合計電力値と、ブレーカーBKの上限容量(1つとは限らない。使用者が複数設定する場合がある)とを比較し、合計電力が上限容量を超える可能性があれば、その超過量を削減するように、要求電力超過量判定手段(図示せず)から所定の指令出力を行う。もし超過量がなければ(すなわち、超過量が0)、その要求電力を発信してきた家電機器EEに対して、その要求電力と同じ使用可能電力を当該家電機器に返信する。また超過量の出力があれば、この合計電力の超過量と予め定めた優先順位に従って、使用電力の削減幅と対象となる家電機器を決定し、その関係する家電機器には、電力削減幅を指令するように構成している。
なお、電力削減対象の家電機器として登録されていない家電機器は「未登録機器」と呼ぶが、この「未登録機器」の電力使用量も想定して、電力指令装置5は、電力削減量を決定する。
電力指令装置5は、図1で説明したように、家屋の外部の電力会社やその他の外部機関15Aのサーバーに接続されている。このため、例えば官公庁やその地域の電力会社などから、電力逼迫情報などが送信された場合、その情報は電力指令装置5の制御部36に送信され、また前記表示盤37に表示され、居住者へ注意喚起と電力削減の勧告を行う。但し、電力逼迫情報とは、前述したように、各家庭の使用電力を強制的に下げる指令と、強制的ではなく任意で下げて欲しいという要請レベルの指令の少なくとも2種類があるので、強制的に下げる指令の場合は、前記制御部36が、電力を使用している家電機器の中から適当なものを選定し、電力削減の指令を出すため、家電機器EEの電力が強制的に削減される場合もある。
居住者は、任意の時点で電力指令装置5の電力制限値を複数の中から選択できる。例えば、広域通信回路網16から電力逼迫情報などを受信した場合、その旨表示盤37で表示されるので(また音声ガイド装置でも報知される)、これを見て自発的に上限値を下げるような設定操作をすることができる。
また、実施の形態1で示した電力制御システムは、保湿用空気供給機20等の家電機器EEが、家屋の外部にある通信ネットワーク(広域通信回路網)16と直接接続されていない。それら家電機器EEは、電力指令装置9を介して通信ネットワーク98と接続されているので、通信ネットワーク16を通じて外部から保湿用空気供給機20等が不正な遠隔操作をされるリスクを大幅に低減できる。すなわち、一般的に、キッチン内家電機器KPや寝室や居間等で使用される家電機器は、高性能のファイアーウォール、情報処理デバイスを内蔵しておらず、十分なセキュリティ機能を備えていないものが多い。このため通信ネットワークを通じて外部から冷蔵庫等のキッチン内家電機器KPに不正侵入され、他人の情報端末機器やコンピュータ等への攻撃の踏み台として使われていたという事例が最近社会問題になっている。セキュリティ専門機関等は、ボットネット(BOTNET)型マルウェア(MALWARE)を使って他人のコンピュータを操るのと同じ手口で、家庭用のルーターや家電機器が不正に操られていると危険性を指摘している。
これに対して、この実施の形態1では、保湿用空気供給機20等の家電機器EE単体では、通信ネットワーク16への直接的な通信は行えず、電力指令装置5を介するか、あるいは情報通信端末機器25を介しての情報授受ができるだけである。このため、この実施の形態1は、セキュリティ対策の面でも有利であり、居住者が安心して日常の生活ができる居住空間を提供できる。
(実施の形態1の総括)
以上説明した通り、実施の形態1における保湿用空気供給機20は、
保湿用の空気を吹きだす吹出口52を有した本体20Aと、
前記本体内部に設けられ、前記保湿用空気のための蒸気を発生させる蒸気発生部59と、
前記蒸気発生部の蒸気を前記吹出口52から室内へ吹き出す気流を生成する電動送風機55と、
前記蒸気発生部と前記電動送風機を制御する制御部33と、
前記本体の外部から前記制御部に対して運転条件を入力する操作部71と、
前記操作部の入力結果を表示する表示部101と、
外部の情報通信端末機器25と近距離無線通信を行うための通信部63と、
を備えた保湿用空気供給機において、
保湿運転を決定する運転プログラムを記憶させる記憶部33Rと、
前記通信部63を介して受け取った睡眠時間帯のデータを記憶する記憶部31と、を備え、
前記制御部33は、前記情報通信端末機器25を前記通信部63に接近させて当該情報通信端末機器25から使用者の睡眠時間帯のデータを受け取ることができることを示す情報を前記表示画面101に表示させ、
前記制御部33は、前記通信部63を介して受け取った前記睡眠時間帯のデータを前記記憶部31に記憶させ、
さらに前記操作部71には、前記記憶部に記憶させた睡眠時間帯の中で、前記保湿運転が開始され、かつ終了するように保湿運転の運転時間の自動調節を前記制御部に指令する入力キー102(表示画面中に適時現れる「お任せモード」又は「睡眠時間対応モード」アイコンを含む)を設けた構成であった。
このため、実施の形態1の保湿用空気供給機によれば、その表示画面101に、外部のスマートフォン等の情報通信端末機器25を接近させて使用者の睡眠時間帯のデータを受け取り、この睡眠時間帯のデータに基づいてその睡眠時間帯の中で、保湿運転を開始させ、かつ終了させるように保湿運転の運転時間を自動的に調節する動作を行わせることができる。このため、使用者の睡眠中に、保湿運転を自動的に行わせることができる。
更に、実施の形態1における保湿用空気供給制御システムは、
保湿用空気供給機20と、
就寝者の睡眠時間を計測するため睡眠センサー24からの生体情報を受信して睡眠状態を判定する睡眠判定部23を有し、前記保湿用空気供給機20との間で無線通信によってデータを授受する制御装置36と、を備え、
前記保湿用空気供給機20には、前記制御装置36から送信された睡眠データを記憶する機器側記憶部31、33Rと、保湿運転を制御する制御部33と、を有し、
前記保湿用空気供給機20の制御部33は、前記制御装置36から無線通信で受信した前記睡眠データに基づいて、当該睡眠時間帯の中で、前記保湿運転が開始され、かつ終了するように保湿運転のタイミングを合わせる動作プログラムを有していることを特徴とするものである
この保湿用空気供給制御システムによれば、保湿用空気供給機20が、制御装置36から無線通信で送付された睡眠データに基づいて、当該睡眠時間帯の中で、保湿運転を自動的に開始させ、かつ終了させることができる。このため、使用者の睡眠中に、保湿運転を自動的に行わせることができる。
この実施の形態1における家電機器の運転管理システムは、
保湿用空気供給機20を含む複数の家電機器EEと個々に通信を行い、それら家電機器を個々に制御して家庭内の総電力量を制御する電力指令装置5と、
保湿用空気供給機20と近距離無線通信するNFC通信部41を備えた情報通信端末機器25と、を備え、
前記電力指令装置5には、就寝者の睡眠時間を計測するため睡眠センサー24からの生体情報を受信して睡眠状態を判定する睡眠判定部23と、睡眠判定部で取得した睡眠時間データを記憶する記憶装置36Bと、を有し、
前記保湿用空気供給機20には、前記NFC通信部41と通信状態が確立できる機器側通信部63と、この機器側通信部63から読み込まれたデータを記憶する機器側記憶部31、33Rと、運転を制御する制御部33と、を有し、
前記情報通信端末機器25は、前記電力指令装置5の記憶装置36Bに記憶された睡眠時間データを、前記NFC通信部41を介して読み出し、当該データを前記保湿用空気供給機20の機器側記憶部31、33Rに前記NFC通信部41を介して送信し、
前記保湿用空気供給機20の制御部33は、前記機器側通信部63から受信した前記睡眠時間のデータを前記機器側記憶部31、33Rに記憶させ、
さらに前記保湿用空気供給機20の制御部33は、前記機器側記憶部31、33Rに記憶させた睡眠時間帯に、前記保湿運転の時間帯が重なるように保湿運転のタイミングを自動的に合わせる構成である。
この実施の形態1の家電機器の運転管理システムによれば、家電機器EEを集中制御する電力指令装置5を利用して、効果的な保湿運転を行わせることができる。すなわち、スマートフォン等の情報通信端末機器25を利用して、前記電力指令装置5で取得している睡眠時間データを保湿用空気供給機20へ提供するから、保湿用空気供給機20では、睡眠時間のデータに基づいて保湿運転時間を決めることができ、使用者が睡眠している間に効果的に保湿運転を行える。このため、家庭内の総電力量を制御するという本来機能の電力指令装置5について、その利用価値を向上させることも期待できる。
この実施の形態1における家電機器の、別の運転管理システムは、
可搬式の保湿用空気供給機20及び空気調和機3を含む複数の家電機器EEと個々に通信を行い、それら家電機器を個々に制御する集中制御装置5と、
広域通信回路網16を介して前記集中制御装置5と通信する第1の無線通信部68と、家庭内の通信網を介して又は近距離無線通信部を介して通信する第2の無線通信部41と、を備えた情報通信端末機器25と、を備え、
前記電力指令装置5には、就寝者の睡眠時間を計測するため睡眠センサー24からの生体情報を受信して睡眠状態を判定する睡眠判定部23と、前記就寝者の居る居住空間の気温等の環境を計測する環境検知部9と、睡眠判定部23で取得した睡眠時間データと前記環境検知部9から送信された環境データとを、対にして時系列で記憶する記憶装置36B、を有し、
前記保湿用空気供給機20には、前記集中制御装置5と通信状態が確立できる機器側通信部68と、この機器側通信部から読み込まれたデータを記憶する機器側記憶部31、33Rと、運転の開始指令と運転条件を入力する操作部71と、この操作部の入力結果を表示する表示画面101と、運転を制御する制御部33と、を有し、
前記保湿用空気供給機の制御部33は、前記集中制御装置5から送信された前記睡眠時間データを前記機器側記憶部31、33Rに記憶させ、
さらに前記保湿用空気供給機20の制御部33は、前記機器側記憶部31、33Rに記憶させた睡眠時間帯に、前記保湿運転の時間帯が重なるように保湿運転のタイミングを自動的に合わせる動作を行い、
前記保湿用空気供給機の制御部33は、前記操作部71の入力操作に応じて前記機器側記憶部31、33Rに記憶させてある前記睡眠時間データと、当該睡眠時間の計測時に対応する環境データとを、前記表示画面101に表示させる構成である。
このため、この運転管理システムによれば、家電機器EEを集中制御する集中制御装置5を利用して、効果的な保湿運転を行わせることができる。すなわち、スマートフォン等の情報通信端末機器25を利用して、前記電力指令装置5で取得している睡眠時間データと気温等の環境データとを保湿用空気供給機20へ提供するから、保湿用空気供給機20では、睡眠時間のデータに基づいて保湿運転時間を決めることができ、使用者が睡眠している間に効果的に保湿運転を行える。また、使用者が睡眠時間の確認する際に、その睡眠時の気温等の環境情報も確認できるから、再び保湿用空気供給機20を使用する前に、保湿運転のタイミングを検討する際に参考となる。このため、集中制御装置は、単に家電機器EEを集中制御できるだけではなく、保湿用空気の供給を効果的に行えるために機能し、利用価値を向上させることも期待できる。
実施の形態2.
図20は、本発明の実施の形態2に係る家電機器の制御システムで使用される通信アダプター、電力指令装置及び家電機器の全体構成を示すブロック図である。図中、前記実施の形態1のものと同一又は相当部分には同一符号を付してある。
図19における電力制御システムは、実施の形態1のものと基本的構成は同じである。但し、電力指令装置5の制御部36と、保湿用空気供給機20含む家電機器EEとの間は、直接情報の授受ができず、介在物として別個の通信アダプターを使用している点が大きく異なっている。また、保湿用空気供給機20は、「第1の家電機器」と定義されており、電力指令装置5から電力削減指令信号AS3等を受ける可能性がある点で、実施の形態1とは大きく異なっている、
前記「通信アダプター」とは、個々の家電機器とその電源との間に設けられる通信制御機器をいう。例えばここでいう通信アダプターとは、特開2010−288388号公報に示されるような通信アダプターをいい、電源プラグとコンセントを有し、そのコンセントに通電を制御すべき電気機器を接続する。そして電力指令信号を通信アダプターが無線や有線通信手段によって受け取ると、制御すべき家電機器の電源供給を制限し、又は遮断する。このように既存の家電機器に通信アダプターを接続し、その通信アダプターに電力制御装置5から電力指令信号を送り、その信号によって通信アダプターが家電機器を制御するので、既存の家電機器にも通信アダプターを電源側に介在させることで、電力指令装置5によって電力を集中制御できる利点が得られる。
150は、通信アダプターである。この通信アダプターは、電力指令装置5の入出力部30Aに無線で接続される入出力部151と、通信アダプター150自身の制御を行う制御部152と、通信アダプター150が制御対象とする保湿用空気供給機20の通電制御を行うための制御プログラム及び制御用データを格納したプログラム格納部153と、保湿用空気供給機20の制御装置33に所定の信号ケーブルで接続された入出力部(インターフェース部)154と、により構成されている。
前記通信アダプター150は、保湿用空気供給機20とは別に直接電源線(主幹線)1に接続され、その電源線から電力を得る方式で良いが、保湿用空気供給機20の電源回路92に、コネクタ等の接続手段で接続し、電力を得る方式でも良い。電源線1に直接接続したものでは、保湿用空気供給機20の主電源を切断しても、常に通信アダプター150には電力が供給されるから、保湿用空気供給機20の運転中、主電源切断中の何れにあっても電力指令装置5との通信を実行することができる。
この図20の実施の形態2では、保湿用空気供給機20以外の家電機器EEにも、それぞれ前記通信アダプター150と同様な構成のアダプター(図示せず)が設置されている。このため、1つの家庭内、居住空間等で複数の通信アダプター150が同時に使用されることから、各通信アダプター150には、各通信アダプター固有の識別番号(通信アダプターID)が付けられており、電力指令装置5の側から見て、通信相手の特定の通信アダプター150だけを識別できるようになっている。
1つの通信アダプター150は、保湿用空気供給機20の本体20Aの外郭となる本体ケース(箱体)に直接固定し、又はそのような本体と信号用ケーブル等で接続し、その本体の近傍に設置されて使用されるようになっている。またこの通信アダプター150があることから、実施の形態1における保湿用空気供給機20で備えていた無線通信用の入出力部68は不要となっている。
実 施の形態2においては、実施の形態1のように、保湿用空気供給機20に異常が発生したことが制御装置33によって判定されると、直ちに保湿用空気供給機20の動作を緊急停止し、電熱源90の緊急停止を示す信号を、前記通信アダプター150から電力指令装置5に送信し、その後、制御装置33で保湿運転中に連続的に取得していた監視データが、通信アダプター150から電力指令装置5に送信される。
この実施の形態2によれば、通信アダプター150が、電力指令装置5との間で各種信号を授受できる。
しかも、保湿用空気供給機20の中に、前記した通信アダプター150のような機能を組み込んで製造する必要がないので、保湿用空気供給機20自体のコストを低く抑えることができる。つまり、この通信アダプター150は、保湿用空気供給機20の特定モデル専用に設計されたものでなくとも良く、他の家電機器EEにも(前記プログラム格納部153の記憶内容を入れ替えること等で)広く利用することができるので、多数の家電機器EEを使用する1つの家庭でも、全体の設置費用を抑制できるという効果もある。
前記した実施の形態1〜2では、居住空間HAの快適性の具体的指標について述べなかったが、初期設定を、気温26℃、湿度50%未満に快適の範囲を、デフォルト値として設定しておく案がある。
一般的に、快適な環境を絶対的な数値で表現することは難しい。例えば快適性とは、ASHRAE(アメリカ暖房冷凍空調学会 1996年)によると、「環境条件への満足度を表す知覚の状態」と定義している。つまり、今よりも暑くなっても寒くなっても不快感をもたらすような環境条件を意味していると言える。このため、居住者が受ける印象は、必ずしも常に環境から受ける感じに対応している訳ではなく、居住者の気分や、体験、体調等でも変化する。
そこで一般に「快適な室内環境(気候)」とはどのような状態であるのか、定義を述べると、例えばIEA(国際エネルギー機関)では、室内(部屋)における状態を次のように定義している。
(1)室内気温:冬においては20℃前後であること。
夏においては28℃前後であること。
(2)部屋の水平温度:一様であること。
(3)部屋の上下の温度差:3℃〜4℃以下であること。
一方、家庭内の部屋やオフィスの空気調和機での設定温度は夏の冷房時で28℃、冬の暖房時で20度が、省エネルギーの観点から日本では推奨されているが、実際に人が快適と感じる室温は25℃前後であるとも一般に言われている。
従って、本発明の実施の形態1〜2を実施する場合に、快適性を算出し、それを表示する場合には、家屋のある地域や居住者の年齢や性別等の種類のような、多様な前提条件で快適性の判断が変わる可能性があるので、居住者が例えば、快適性の「気温」を、適宜調整できるようにすると更に良い。また電力指令装置5に電波時計等を内蔵させ、季節に応じて前記気温を自動的に変化させるようにしても良い。さらには、具体的には、居住者が快適と感じた段階で、TV受像機2や電力指令装置5又は情報通信端末機器25、保湿用空気供給機20で、快適と感じた時点を特定する信号を電力指令装置5に入力し、電力指令装置5がその入力受付時の環境情報(気温や湿度など)を、以後の快適性判定の基礎データに用いるようにしても良い。このような居住者の快適性に関係する情報の蓄積で電力指令装置5による快適性判定は、更に居住者の認識、感覚にも近いものにできる。
実施の形態3.
図21〜図22は、本発明の実施の形態3に係る家電機器の運転管理システムに関するものである。図21は、電力指令装置が保湿用空気供給機を運転開始許可し、運転開始の動作信号を受信するまでの一連の動作ステップを示すフローチャート図、図22は、その保湿用空気供給機の表示画面を示す正面図であり、実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付して説明は省略する。
この実施の形態3の保湿用空気供給機20は、同じ居住空間にある空気調和機3の運転により悪影響を受けないことを目的に、更に改良したものである。
この実施の形態3の保湿用空気供給機20及びその他対象となる家電機器EEは、電力指令装置5と相互に無線通信を行い、電力指令装置5から運転許可の指令を受けて運転開始できるものである。つまりこの実施の形態3の保湿用空気供給機20は、保湿運転許可信号が到着した場合に、使用者からの操作指令で使用開始できる。但し、この実施の形態3の電力指令装置5は、家庭内の総電力量を制限するために、空気調和機3やキッチン内家電機器KPには、電力削減要請信号AS2や電力削減指令信号AS3等のような指令を出すが、保湿用空気供給機20に対しては、そのような電力削減要請信号AS2等の指令は出さないので、保湿用空気供給機20から見た場合は、「家電機器の(情報)統合管理装置」(又は「集中管理装置」)という位置づけである。
また、この実施の形態3の保湿用空気供給機20は、実施の形態1のような蒸気発生タイプではなく、ナノサイズのミストを発生させる方式を採用した保湿用空気供給機20である。このため、図示していないが、保湿用空気供給機20の本体20A内部には、絶縁性材料から形成され、ミストの吐出口を備えたミストケースと、このケースの内部に配置された(放電用)電極と、空気中の水分を基にして前記電極に水を供給する水供給手段と、前記電極に高電圧を印加する電圧印加手段と、前記電極を冷却する冷却部と、を備えている。実施の形態1で説明したような蒸気発生室や電熱源90に相当する構造物はない。これによれば、水タンクのような水を貯める部品は不要であり、必要な水は空気中の水分で確保できるので、便利である。
このようなナノサイズのミストを発生させる保湿用空気供給機20であるため、前記電極に供給された水に高電圧を印加すると、電極の近傍でナノサイズのミストを生成し、ミストケースの天井部に設けた吐出口から、ナノサイズのミストが居住空間に向けて放出される。このミストの雰囲気に使用者が触れることで肌の保湿効果が期待できる。なお、このようなナノサイズのミストによる保湿装置は、例えば日本国特開2013−135931号公報で提案されている。
この実施の形態3の保湿用空気供給機20のように、ナノサイズのミストを放出する保湿用空気供給機20も、実施の形態1で示した蒸気発生タイプの保湿用空気供給機20も、使用者が就寝する場面で注意を払うべき対象は、その居住(就寝)空間全体の環境改善のために使用される空気調和機3の存在である。
空気調和機3は、広い居住空間全体に冷気や温風を循環させることができる能力があるため、空調運転(冷房や、除湿、暖房)時には、大きな風速で、空調の風が吹き出されることがある。これに対して、保湿用空気供給機20の保湿用空気は、使用者の顔の周辺に微速(毎秒25cm程度、最大でも50cm以下)の、微風状態で到達し、肌の表面に接触する時間を長くすることが望ましいので、保湿運転時に、前記空気調和機3の空調気流が保湿用空気の流れや供給を妨げるという懸念がある。
例えば、家庭用(壁掛け型)空気調和機(冷房消費電力365W。冷房能力は鉄筋洋室目安で9畳)を実験した結果、天井までの高さが2.4m、奥行き2.7mの部屋で、その奥側の垂直壁にその空気調和機3を設置し(床上2mの位置)、「定格最大能力の」冷房を行った場合には、その空気調和機3の冷風吹き出しを水平に設定したとき、空気調和機3の冷風吹出口から出た直後の風速は、毎秒1.65m、その吹出口から2m離れた位置(床上からの距離は約2m強)での風速は、75cm(毎秒)であり、空気調和機3真下の床面近傍では、吹き出された風が戻って来たものであるが、最も弱い風になり、毎秒15cm程度であるという試験データがある(この家庭用空気調和機の最大送風量は、1時間あたり560立方メートル)。
このことから、空気調和機3を同じ居住空間で同時に使用した場合には、その空気調和機3からの風速は、局所において保湿用の空気による空間を形成しようとする保湿用空気供給機20の保湿運転効果に大きな悪影響を与える懸念がある。
そこで、この実施の形態3の保湿用空気供給機20では、前記電力指令装置5の情報統合機能を利用して、空気調和機5の影響を最小限にする連携運転をできるようにした点が大きな特徴である。
以下、図21について説明する。図21は、電力指令装置5が保湿用空気供給機20から、保湿運転を開始するとの予告信号を受けた以降で、保湿運転を許可するまでの動作ステップを示すフローチャート図である。電力指令装置5の制御部36は、この図21のスタート(S100)から、終了(S113)までの動作ステップを行う「保湿・空調連携用プログラム」を保有している。
まず、電力指令装置5が保湿用空気供給機20から、保湿運転を開始するとの予告信号(運転情報信号の1つ)を受けた場合(S101)、次のステップ(S102)へ進む。そして保湿用空気供給機20のある居住空間(例:寝室)に、環境改善機器SP1があるかどうかの判定が行われる。
環境改善機器SP1がある場合には、次のステップ(S103)へ進む。
次のステップ(S103)では、環境改善機器SP1が空気調和機3であり、それが運転中であるかどうかの判定が行われ、空気調和機3が運転中である場合には、次のステップ(S104)において、その空気調和機3の運転条件が判定される。
次のステップ(S104)では、空気調和機3が「強運転」又は「中運転」に設定されているかどうかの判定を行う。「強運転」とは、冷房や暖房能力が最高レベルになるように、空気調和機3から吹き出される冷房や暖房の空調の風速が大きい場合をいう。「中運転」とは、風速が中程度である場合をいう。一方、「弱運転」とは、空調の風速が空気調和機3の吹出口の出口部で毎秒1m以下の速度である場合をいう。
前記ステップ(S104)で、「強運転」又は「中運転」に設定されている場合には、次のステップ(S105)において、保湿用空気供給機20に対して電力指令装置(統合管理装置)5から、表示画面101へ表示指令信号が発信される。
前記ステップ(S105)で、表示指令信号が発信された場合、保湿用空気供給機20の表示画面101は、図22のように変化する(S106)が、図22については後で説明する。
前記3つのステップ(S102)(S103)(S104)で、何れも「No」の場合には、保湿運転の許可指令を出すステップ(S110)に進む。
使用者が前記表示画面101を見て、空気調和機3の運転条件に注意を払うように促した結果、それを使用者が確認したことは、表示画面101の中の特定の入力キー(アイコン)166にタッチしたことにより、電力指令装置(統合管理装置)5側では検知できる。すなわち、ステップ(S106)で特別のアイコン166を操作した場合、操作部71で所定の「確認」入力があったことになるから、ステップ(S110)へ進み、保湿運転開始の許可信号送信をすることになる。
一方、前記ステップ(S106)で、保湿用空気供給機20に対して確認要請が行われているのに対し、所定時間内(例えば30秒以内)に、保湿用空気供給機20から電力指令装置(統合管理装置)5に対し、所定の確認信号の送信がない場合、今度は電力指令装置(統合管理装置)5から空気調和機3に対して、空調風の風向きと風速の確認要請信号が出される(S107)。具体的には、空気調和機3に備えられている音声ガイド装置で確認用の音声ガイドをし、又は空気調和機3の本体外郭にある発光表示部やリモコンに、文字や図形でメッセージを表示して、報知する。
ステップ(S107)で、空気調和機3に対して確認要請が行われているのに対し、所定時間内(例えば30秒以内)に、電力指令装置(統合管理装置)5に対し、所定の確認信号の送信があるかどうかの判定が行われ(S108)、送信がなかった場合、ステップ(S109)に進む。なお、この段階(S108)において、使用者が空気調和機3の空調風の風速を「弱」レベルに変更したり、又は空気調和機3自体の運転を止めたりした場合には、このステップ(S108)から保湿運転許可の発信ステップ(S110)へ進む。
ステップ(S109)の段階では、電力指令装置(統合管理装置)5は、空気調和機3から随時送信されて来ている運転情報信号によって、空調風の風向きが、水平よりも下向きに指定され、また風速も「強」や「中」段階にセットされていることが分かっているので、これらの設定条件を強制的に変更し、保湿用空気の所定方向、所定エリアへの供給に悪影響が出ない対応(例えば、風速は「弱」レベルへの変更)をする(S109)。これにより、その空気調和機3から保湿用空気供給機20が(直線距離で)2m以上離れていれば、その保湿用空気供給機20の付近では、空気調和機3からの空調風は微速レベルである。但し、電力指令装置(統合管理装置)5では、空調の目標気温の設定値は変更を指令しない。目標温度を変化させると、使用者の就寝(入眠)に影響が出る可能性があるためである。
この後ステップ(S109)から、保湿運転許可発信ステップ(S110)へ進み、睡眠判定部による睡眠判定動作を開始させる(S111)。そして保湿用空気供給機20から保湿運転の開始を示す運転情報信号が届いたかどうかの判定が行われ(S112)、当該信号が来た場合には、保湿運転が開始されたことになるので、この一連の動作を終了する(S113)。これ以降は、電力指令装置(統合管理装置)5の制御部36では、保湿用空気供給機20の設置空間である寝室の気温や湿度等の環境データを取得する動作を引き続き制御し、また睡眠センサーから生体データを睡眠判定部が受け取る動作を監視する。
なお、前記ステップ(S100)からステップ(S112)までは、保湿用空気供給機20の居住空間(寝室)には1人以上の居住者が居るという前提であった。実施の形態1で説明したように、少なくともこの居住空間(寝室)に人がいるかどうかは、人検知部12で検知できる。従って、電力指令装置5が保湿用空気供給機20から、保湿運転を開始するとの予告信号を受けた場合(S101)、人の検知も行われるので、仮に人が居ないと人検知部12で判定された場合には、ステップ101以降には進まないようになっている。つまり、前記ステップ(S105)〜ステップ(S108)は、保湿用空気供給機20のある居住空間(寝室)に、人が居ない場合には、無意味であるので、人検知部12からの情報も利用して、電力指令装置(統合管理装置)5では、より正確な制御を行えるようになっている。
次に、前記ステップ(S105)で言及した、保湿用空気供給機20の表示画面101について、図22を参照しながら説明する。
図22に示すように、保湿用空気供給機20を運転開始するにあたり、使用者へ空気調和機3との関係を再確認してもらう目的で表示画面101には、色々な注意喚起情報を表示している。
図22において、160は、保湿運転開始前のチェック要請を示す案内情報で、確認キーにタッチすることを保湿用空気供給機20の使用者に求めている。
161は、エアコン(空気調和機3)からの空調風を保湿用空気供給機20に当てないように注意喚起した風向き情報、162は、保湿用空気供給機20の位置を示すイメージ図、163は、同じく空気調和機3のイメージ図、164は、本製品(保湿用空気供給機20)に対する空気調和機3の注意事項として2つ列挙した注意情報である。この例では、風を当てないことと、風速は最低レベルにすること、の2つを指摘している。
165は、さらに空気調和機3から見て本製品(保湿用空気供給機20)は、1メートル(m)以上の間隔が保たれるように下方に位置していることを示した位置情報である。
図22において、166は、確認用の入力キー(アイコン)であり、これにタッチすることにより、保湿用空気供給機20から電力指令装置(統合管理装置)5に対し、所定の確認信号が送信され、図21のステップ(S106)は「Yes」となる。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態3では、保湿用空気供給機20を居住者が使用する場面で、その居住(就寝)空間における空気調和機3の運転状態に注意を払うことができる。そして仮に使用者が、電力指令装置(統合管理装置)5からの注意喚起情報を何らかの理由で見落としても、電力指令装置(統合管理装置)5が、保湿用空気供給機20の保湿用空気の供給に悪影響を少なくできるように、強制的に空気調和機3の空調運転に対し何らかの制限をすることができる。つまり、この実施の形態3では、このような連携動作は、保湿用空気供給機20専用に装置を用意せずに、居住空間の環境情報や運転情報信号を取得して家電機器を統合的に管理する統合管理装置(電力指令装置)5を利用して実現しており、システム全体の信頼性を高めることができる。また保湿用空気供給機20を使用した場合に、適正な保湿運転の環境が得られる。このため、ナノサイズのミストを含んだ保湿用空気は、使用者の顔の周辺に微速、微風状態で到達し、肌の表面に接触している時間を長くすることで所期の保湿効果を期待できる。
なお、一般に家庭用空気調和機3では、「自動運転モード(「空調お任せモード」ともいう)」を備えている。そのモードは、空気調和機3が専用の室温検知センサー等の検知出力を監視しながら、空気調和機3が使用者に設定された目標の室温になるように自動的に空調風の温度や風量を制御するものであるが、保湿用空気供給機20の運転中、そのような「自動運転モード」が設定されると、予期せぬ時点から空調風の強度や方向が変化し、保湿効果に影響が出る可能性があるので、電力指令装置(統合管理装置)5は、保湿運転開始直前での自動運転モードは、手動モードへ変更するようにし、また保湿運転中には、自動運転モードの設定を禁止する動作も実行する。具体的には、前記統合管理装置5は、前記保湿用空気供給機20へ運転許可信号を送信した後、当該保湿用空気供給機20から保湿運転を開始したことを示す運転情報信号を受信した時点(図21のステップS112)から、保湿運転を終了した運転情報信号を受信するまでの期間中は、前記空気調和機3に対して、空調風の風速を上げる変更を禁止する指令信号を送信する制御を行う。
なお、図21のステップ(S104)では、空気調和機3が「強運転」又は「中運転」に設定されているかどうかの判定を行って、保湿用空気供給機20の保湿運転時の保湿用空気の流れを阻害する運転状態であるかどうかを判定していたが、これに加えて、空調風の吹出方向を判定要件にしても良い。
一般に家庭用壁掛け型の空気調和機3では、例えば、日本国特許公開2014−44039号公報に示されているように、空調風の上下方向の風向きを変更するために、吹出口付近に1枚あるいは、複数枚の風向制御板を備えている。そして、居住空間の快適性を向上するために、冷房時には、前記風向制御板の角度を上向きにすることで、冷たい空気を天井方向へ流れるようにして、直接使用者には当たらないようにしている。一方、暖房時には、前記風向制御板の角度を下向きにすることで、暖かい空気を床方向へ流れるようにして、居住空間全体が温まるようにしている。
そこで、保湿運転時に、電力指令装置(統合管理装置)5は、空気調和機3の運転情報信号から、前記したような空調風の風向制御板の設定を把握し、その風向制御板を、水平よりも下向きに設定していた場合には、その風向制御板を水平又はそれよりも上向きに変更させた後に、保湿用空気供給機20の運転を開始するように、空気調和機3に、風向制御板の角度変更指令を出すようにしても良い。言い換えると、電力指令装置(統合管理装置)5は、保湿用空気供給機20から実質的に保湿用空気の供給が開始される前に、風向制御板を水平又はそれよりも上向きに変更させる指令を出し、その指令の後に、保湿用空気供給機20に対して運転開始指令を出す、という制御方法にしても良い。このため、図21のステップ(S104)の条件に「空調風の風向きが水平又はそれより上向きか?」という判定ステップを設け、そのステップで「No」の場合に限り、図21のステップ(S110)に進むようにしても良い。
また、そのように空調風の風向きも、ステップ(S104)で判定すれば、その結果に応じて、使用者に確認を求める表示画面(図22参照)の案内情報160と、風向き情報161において、更に具体的な注意喚起ができる。例えば、「空調の風を水平に設定して下さい」とか「エアコンの風を、斜め下方向に向けないで下さい」等と報知でき、使用者の更に確実な確認動作等を期待できる。
この実施の形態3は、実施の形態1で説明したような、電熱源90を用いて蒸気を発生させるタイプの保湿用空気供給機20にも適用でき、また、超音波振動子によって水を霧化する方式のもの等、他の方式のも同様に適用可能である。
実施の形態4.
図23〜図24は、本発明の実施の形態4に係る家電機器の運転管理システムに関するものである。図23は、電力指令装置が保湿用空気供給機を運転開始するまでの一連の動作の動作ステップを示すフローチャート図、図24は、その保湿用空気供給機の表示画面を示す正面図であり、実施の形態1と同一又は相当部分には同一符号を付して説明は省略する。また図23において、前記図21のフローチャート図と同一又は相当部分には、同一符号を付して重複した説明は省略するが、図21のフローチャート図と連続したものではない。
以下、図23について説明する。図21は、電力指令装置5が保湿用空気供給機20から、保湿運転を開始する予告信号(運転情報信号の1つ)を受けた以降で、保湿運転を許可し、運転開始の動作信号を受信するまでの動作ステップを示すフローチャート図である。電力指令装置5の制御部36は、この図23のスタート(S100)から、終了(S120)までの動作ステップを行う「保湿・空調連携用プログラム」を保有している。
この実施の形態4の家電機器の運転管理システムは、
空気調和機3と前記保湿用空気供給機20とを含む家電機器EEから、運転情報信号を受け、運転許可信号を送信する統合管理装置5を備えた家電機器の運転管理システムにおいて、
前記統合管理装置5が、前記保湿用空気供給機20から、保湿運転開始を予告する運転情報信号を受けた場合、
前記統合管理装置5は、
1)前記保湿用空気供給機20のある居住空間(寝室等)HAにおいて前記空気調和機3が運転中であり、しかも当該空気調和機3が所定の環境条件を目標にした運転途中にある場合、当該環境条件を満たすまでの間は、前記保湿用空気供給機20に対して運転許可の信号を送信することを保留にし、しかも、
2)前記環境条件を満たしたと判定した場合、前記保湿用空気供給機20に対して運転許可信号を送信する、
ことを特徴としている。
以下、図23において、スタート(S100)から、空調風の風向きと風速の確認要請信号が出されるステップ(S107)までは図21と同じであるので、説明は省略する。
ステップ(S107)で、空気調和機3に対して確認要請が行われているのに対し、所定時間内(例えば30秒以内)に、電力指令装置(統合管理装置)5に対し、所定の確認信号の送信があるかどうかの判定が行われ(S115)、送信がなかった場合、ステップ(S121)に進む。なお、この段階(S115)において、使用者が空気調和機3の空調風の風速を「弱」レベルに変更したり、又は空気調和機3自体の運転を止めたりした場合には、このステップ(S115)から次のステップ(S116)へ進む。その次のステップ(S116)は、保湿運転を実質的に開始したことを示す運転情報信号L7(図19参照)を、保湿用空気供給機20から受信したかどうか判定するステップである。
ステップ(S121)は、保湿運転を開始したことを示す運転情報信号を、保湿用空気供給機20から受信したかどうか判定するステップである。
その運転情報信号を受信した場合は、使用者が保湿用空気供給機20の運転開始を操作部71によって指令したことを示す。このステップ(S121)は、ステップ(S116)と同様に、使用者が保湿用空気供給機20の操作部で、保湿運転を開始する操作し、既に就寝行動に移っている可能性のある段階であり、使用者には、何らかの報知をしても、それを視認できない可能性があるので、この後は、使用者に何か入力操作を求めることはしない。
ステップ(S121)で「Yes」の場合、次のステップ(S122)へ進む。そして、制御部36は、環境検知部9から環境情報を取得し、保湿用空気供給機20のある居住空間(寝室)の環境状況を確認する。例えば、この寝室へ就寝する予定の居住者が、室温が高く、不快な状況を解消しながら就寝するため、寝る前に空気調和機3に対し、目標室温26℃という空調条件を設定している場合があり、これを仮に保湿用空気供給機20の保湿運転開始を理由に、強制的に制御部36が変更した場合、居住者の入眠への妨げや睡眠の質低下を招く可能性がある。
そこで、このステップ(S122)では、居住者が設定した空気調和機3の設定室温の範囲内にあるかどうかを制御部36で判定する。なお、設定室温だけではなく、湿度も設定してある場合には、それも判定対象となる。前記した例で、目標室温26℃という空調条件設定されている場合、冷房の上限気温が26℃、下限気温が25℃となるように、空気調和機3が制御するので、この温度帯に入っている場合には、このステップ(S122)は「Yes」となる。例えば、暖房の1例では、目標気温を22℃に設定すると、上限気温23℃、下限気温を22℃となるように、空気調和機3が制御するので、この温度帯に入っている場合には、このステップ(S122)は「Yes」となる。このステップ(S122)が「Yes」と判定されるまで、居住空間の大きさと空気調和機3の空調能力に依存するが、例えば30分以上要する場合がある(その30分間に、居住者が入眠してしまう場合もあるが、それでも問題はない。その入眠は、ステップS119の段階で検知される)。
次のステップ(S123)の段階では、電力指令装置(統合管理装置)5は、空気調和機3から随時送信されて来ている運転情報信号によって、空調風の風向きが、水平よりも下向きに指定され、また風速も「強」や「中」段階にセットされていることが分かっているので、これらの設定条件を強制的に変更し、保湿用空気の所定方向、所定エリアへの供給に悪影響が出ない対応(例えば、風速は「弱」レベルへの変更)をする。これにより、その空気調和機3から保湿用空気供給機20が2m以上離れていれば、その保湿用空気供給機20の付近では、空気調和機3からの空調風は微速レベルに抑制される。
この後ステップ(S123)から、保湿運転許可発信ステップ(S118)へ進み、睡眠判定部による睡眠判定動作を開始させ(S119)、一連の動作を終了する(S120)。これ以降は、電力指令装置(統合管理装置)5の制御部36では、保湿用空気供給機20の設置空間(寝室)の気温や湿度等の環境データを取得する動作を引き続き制御し、また睡眠センサーから生体データを睡眠判定部が受け取る動作を監視する。
一方、保湿運転を開始したことを示す運転情報信号を、保湿用空気供給機20から受信したかどうか判定する前記ステップ(S116)が「Yes」であった場合、次のステップ(S117)に進む。
ステップ(S117)は、前記ステップ(S122)と同様に、環境検知部9から環境情報を取得し、保湿用空気供給機20のある居住空間(寝室)の環境状況を確認する。
このステップ(S117)が「Yes」と判定されるまで、居住空間の大きさと空気調和機3の空調能力に依存するが、例えば30分以上要する場合がある(その30分間に、居住者が入眠してしまう場合もあるが、問題はない。その入眠は、ステップS119の段階で検知される)。
そして、このステップ(S117)で、居住者が設定した空気調和機3の設定室温の範囲内にあるという判定になった場合、次の保湿運転許可発信ステップ(S118)に進む。これ以降は、前記したように、睡眠判定部による睡眠判定動作を開始させ(S119)、一連の動作を終了する(S120)。
なお、前記統合管理装置5は、前記保湿用空気供給機20へ保湿運転許可信号を送信した後(ステップS118)、当該保湿用空気供給機20が保湿運転中である限り、前記空気調和機3に対して、空調風の風速を上げるような変更を空気調和機3の操作部やリモコンで使用者が入力しても、その入力による運転を禁止する指令信号を制御部36が空気調和機に発信するので、使用者(就寝者)又は他の居住者等の設定ミスにより、保湿運転中に意図しない時点で空気調和機3が「強」レベルの空調風を吹き出すような事態は防止される。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態4に示す家電機器の運転管理システムは、
居住空間HAの局所において保湿用の空気を放出する保湿用空気供給機20と、
居住空間HA全体の環境改善に使用される空気調和機3と前記保湿用空気供給機20とを含む家電機器EEから、運転情報信号L1〜L9を受け、運転許可信号を送信する統合管理装置5と、を備え、
前記統合管理装置5が、前記保湿用空気供給機20から、保湿運転開始を予告する運転情報信号を受けた場合(S101)、当該保湿用空気供給機20のある居住空間HAにおいて前記空気調和機3が運転中であるときは、当該空気調和機3の運転条件が所定条件を満たした場合(S104、S117、S122)、前記統合管理装置5は、前記保湿用空気供給機20に対して運転許可信号(KS:図19参照)を送信する(図21:ステップS110)(図23:ステップS118)ことを特徴とする家電機器の運転管理システムである。
この構成であるから、この実施の形態4では、実施の形態1の効果に加え、保湿用空気供給機20を居住者が使用する場面で、その居住(就寝)空間における空気調和機3の運転状態が、保湿用空気供給機20の保湿運転の効果を損なわないように、統合管理装置(電力指令装置)5によって制御され、保湿用空気供給機20を使用する場合に、適正な保湿運転の環境が得られるという効果を期待できる。
また、前記統合管理装置5は、保湿用空気供給機20に対して運転許可信号を送信する前に、前記空気調和機3の運転条件が所定条件を満たすかどうかの確認を求める情報を前記保湿用空気供給機20に送信し、当該保湿用空気供給機20から所定の確認済信号を受信した場合(図23:ステップS106)に、前記運転許可信号を送信する(図23:ステップS118)ことを特徴とする家電機器の運転管理システムである。
この構成であるから、この実施の形態4では、保湿用空気供給機20を居住者が使用する場面で、その居住(就寝)空間における空気調和機3の運転状態に注意を払うことができる。そしてこのような連携動作は、保湿用空気供給機20専用に装置を用意せずに、居住空間の環境情報や運転情報信号を取得して家電機器を統合的に管理する統合管理装置5(電力指令装置)5を利用して実現しており、システム全体の信頼性を高めることができる。また保湿用空気供給機20を使用した場合に、適正な保湿運転の環境が得られる。
さらに、前記統合管理装置5は、
前記保湿用空気供給機20から所定の確認済信号を、所定時間内に受信しなかった場合、前記空気調和機3に対して、空調風の風速を制限することを勧告する情報を送信する(ステップS107)構成である。
この構成であるから、この実施の形態4では、統合管理装置5からの注意喚起情報を、保湿用空気供給機20の側で何らかの理由で見落としても、統合管理装置5が、保湿用空気供給機20の保湿用空気の供給に悪影響を少なくできるように、空気調和機3に対して、空調風の風速を制限することを勧告する情報を送信する(ステップS107)から、適正な保湿運転の環境が得られ、システム全体の信頼性を更に高めることができる。
この構成であるから、この実施の形態4では、統合管理装置5からの注意喚起情報を何らかの理由で見落としても、統合管理装置5が、保湿用空気供給機20の保湿用空気の供給に悪影響を少なくできるように、強制的に空気調和機3の空調運転に対し何らかの制限をする(ステップS123)ことができるため、保湿用空気は、使用者の顔の周辺に微速、微風状態で到達し、肌の表面に接触している時間を長くすることで所期の保湿効果を期待できる。
以上の説明から明らかなように、この実施の形態4に示す家電機器の運転管理システムは、
居住空間へ保湿用の空気を放出する保湿用空気供給機20と、
居住空間に使用される空気調和機3と前記保湿用空気供給機20とを含む家電機器から、運転情報信号L1〜L9を受け、運転許可信号を送信する統合管理装置5と、を備えた家電機器の運転管理システムにおいて、
前記統合管理装置5が、前記保湿用空気供給機20から、保湿運転開始を予告する運転情報信号を受けた場合(S101)、前記統合管理装置5は、
1)前記保湿用空気供給機20のある居住空間において前記空気調和機3が運転中であり、しかも当該空気調和機3が所定の環境条件(例えば、気温)を目標にした運転途中にある場合、当該環境条件を満たすまでの間は、前記保湿用空気供給機20に対して運転許可の信号(KS:図19参照)を送信することを保留にし(図23、ステップS117、S122)、しかも、
2)前記当該環境条件を満たしたと判定した場合(図23、ステップS117、S122)、前記保湿用空気供給機20に対して運転許可信号を送信する(図23:ステップS118)、
ことを特徴とする家電機器の運転管理システムである。
この構成であるから、この実施の形態4の家電機器の運転管理システムによれば、実施の形態1の効果に加え、統合管理装置5の制御部36は、保湿用空気供給機20の運転を許可する前に、保湿用空気供給機20のある居住空間(寝室)の環境状況を確認する。そして、居住者が事前に設定していた就寝時の目標室温等の条件を優先して満たすように、空気調和機3の運転を優先させ、その空気調和機3が所定の環境条件(例えば室温26℃)を満たした場合、自動的に保湿運転を開始する処理の方に進めるため、就寝者の入眠を阻害せず、睡眠の質低下を招くことを回避しながら保湿運転を実行できるという効果が期待できる。
この実施の形態4の家電機器の運転管理システムでは、前記保湿用空気供給機20は、空気調和機3が所定の環境条件を満たすまで統合管理装置5が運転許可信号を保留にし、所定の環境条件を満たした場合、自動的に保湿運転に移行することを表示画面101にて報知する(図24参照)構成であるので、保湿用空気供給機20よりも先に空気調和機3の運転を開始している居住者に、無用の混乱を招くことがなく、空気調和機3を使用しながら、保湿用空気供給機20に運転開始の指令を与えた以後、就寝しても自動的に所期の保湿運転ができるという安心感を与えることができる。
この実施の形態4は、実施の形態1で説明したような、電熱源90を用いて蒸気を発生させるタイプの保湿用空気供給機20にも適用でき、また、超音波振動子によって水を霧化する方式のものにも同様に適用可能である。
また以上の実施の形態1〜4は、大気中での放電により空気から生成する正イオンと負イオンを同時に肌表面に照射して肌表面の水分量を増加させる方式の保湿用空気供給機にも同様に適用可能である。このような方式は、例えば、日本国特許公開2011−98187号(特許第4790068号)公報、同じく特許公開2011−200722号(特許第5285749号)公報にて提案されている。
それらの先行技術文献によれば、イオン発生素子を使用して発生させた正負イオンを、低速の気流に載せて使用者に照射するとともに、肌表面に照射するイオン濃度を所定値以上に高めることにより、正負イオンが反応して生成する水が肌に潤いを与えると共に、肌の弾力を向上させることが可能になる。また、イオン発生手段から供給されるイオンを吹出口から放出する際、イオン濃度が高くなるように吹出口イオン検出器を備えることにより、イオン濃度を高めながらも吹出し速度を低速に保つように制御している。具体的には、イオン吹出口から放出された空気は、距離が遠くなるに従って含有するイオン数は急激に減少する。また、吹出し風速にも影響されるので実験により吹出し風速を決定してあり、望ましい実験例として、人の顔表面で正イオン濃度と負イオン濃度を、それぞれ7,000個以上(1立方センチメートルあたり)となるようにイオン発生量と風速とが調節されている。
つまり、正イオンと負イオンを同時に肌表面に照射して肌表面の水分量を増加させる方式の保湿用空気供給機(先行技術文献では「美容器具」と称している)でも、正イオンと負イオンを含む空気を、使用者の顔の位置まで、所定のイオン濃度維持したまま、低速度で吹き付けることが必須である。このため、特に本発明の実施の形態3及び4のように、空気調和機3による高速風による悪影響を排除できる本発明は、このような正・負イオン方式においても高い効果が期待できる。
また以上の実施の形態1〜4については、睡眠者の睡眠時間帯(例えば連続6時間)の中で、保湿運転を連続的(例えば3時間)に行うことを説明したが、睡眠時間帯の中で、保湿運転を間欠的に行っても良い。例えば、入眠から1時間は、連続的に使用者の顔の周囲における雰囲気の(目標の)湿度が55%〜65%になるように、高湿度空気を供給し、その後30分間は保湿運転休止し、その後また1時間は同様な目標湿度になるように運転する、という複数工程を数回繰り返すことでも良い。なお、このように肌に湿度を、目標65%から55%の間で、揺らぎ制御することで保湿効果が高まることは、日本国特許公開2004−294058号公報の加湿器で提案されている。それによれば、目標湿度65%で30分間維持し、その後15〜60分加湿は休止し、この15〜60分間の間に湿度が50%に下がった時点で、再び加湿開始し、目標湿度65%になった時点でそのまま30分維持するという実例が紹介されている。本発明の実施にあたり、このような技術を組み合わせることも有益である。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の実質的な範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されている。