JP4957334B2 - 車両およびその制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、車両およびその制御方法に関する。
従来、この種の車両としては、電動機からの動力を変速機を介して駆動軸に出力する装置において、バッテリの出力制限によりバッテリからの電力による電動機の回転数の同期を伴って変速機の変速段を変更することができないときには、変速機のブレーキを半係合することにより電動機の回転数を同期して変速するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2006−194412号公報
このように、上述の車両では、変速機のブレーキを半係合することにより電動機の回転数を同期して変速するため、車軸に連結された駆動軸に変速に伴うトルクショックが生じ、乗員に変速ショックを感じさせる場合がある。
本発明の車両およびその制御方法は、電動機からの動力を変速機を介して車軸側に出力する車両において、二次電池などの蓄電装置の出力制限により蓄電装置からの電力によっては電動機の回転数の同期を行なって変速機の変速段を変更することができないときでも変速ショックを抑制しながら変速機の変速段を変更することを目的とする。
本発明の車両およびその制御方法は、上述の目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の車両は、
内燃機関と、
動力を入出力可能な発電機と、
車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、
動力を出力可能な電動機と、
前記電動機の回転軸と前記駆動軸との間で変速段の変更を伴って動力を変速して伝達する変速伝達手段と、
前記発電機および前記電動機と電力のやり取りが可能な蓄電手段と、
前記蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限を設定する入出力制限設定手段と、
車両に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
アクセルオフに伴って前記要求駆動力設定手段により要求駆動力として制動力が設定され且つ少なくとも該設定された要求駆動力の一部を出力するために前記発電機により前記内燃機関をモータリングしている最中に前記変速伝達手段の変速段をダウンシフトするとき、前記設定された出力制限から前記内燃機関のモータリングにより前記発電機によって消費している電力を減じて得られる余裕電力が所定電力以上のときには前記発電機による前記内燃機関のモータリングの状態を維持しながらダウンシフトの際に前記電動機の回転数の同期制御を実行して前記変速伝達手段の変速段がダウンシフトされるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御し、前記余裕電力が前記所定電力未満のときには前記余裕電力を増加するための電力増加制御と前記発電機による前記内燃機関のモータリングとを伴ってダウンシフトの際に前記電動機の回転数の同期制御を実行して前記変速伝達手段の変速段がダウンシフトされるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の車両では、アクセルオフに伴って車両に要求される要求駆動力として制動力が設定され且つ少なくとも設定された要求駆動力の一部を出力するために発電機により内燃機関をモータリングしている最中に変速伝達手段の変速段をダウンシフトするときには、蓄電手段の出力制限から内燃機関のモータリングにより発電機によって消費している電力を減じて得られる余裕電力が所定電力以上のときには発電機による内燃機関のモータリングの状態を維持しながらダウンシフトの際に電動機の回転数の同期制御を実行して変速伝達手段の変速段がダウンシフトされるよう内燃機関と発電機と電動機と変速伝達手段とを制御する。電動機の回転数の同期制御を実行して変速伝達手段の変速段をダウンシフトするから変速時に生じ得る変速ショックを抑制することができる。一方、余裕電力が所定電力未満のときには余裕電力を増加するための電力増加制御と発電機による内燃機関のモータリングとを伴ってダウンシフトの際に電動機の回転数の同期制御を実行して変速伝達手段の変速段がダウンシフトされるよう内燃機関と発電機と電動機と変速伝達手段とを制御する。即ち、余裕電力を増加することにより電動機の回転数の同期制御に必要な電力を確保し、電動機の回転数の同期制御を実行して変速伝達手段の変速段をダウンシフトするのである。これにより、変速時に生じ得る変速ショックを抑制することができる。
こうした本発明の車両において、前記電力増加制御は、前記設定された出力制限をダウンシフトの間に亘って所定電力だけ増加する補正を行なう制御であるものとすることもできる。二次電池などの蓄電手段は、その特性によっても異なるが、短時間であれば出力制限を若干超えても過熱や破損,劣化などを生じない。そこで、ダウンシフトの際に電動機の回転数の同期制御を行なう時間だけ蓄電手段の出力制限を増加補正することにより、電動機の回転数の同期制御に必要な電力を確保し、電動機の回転数の同期制御を実行して変速伝達手段の変速段をダウンシフトするのである。なお、増加補正する所定電力は、蓄電手段の種類や性能によって定めることができる。
また、本発明の車両において、前記電力増加制御は、前記発電機による前記内燃機関のモータリングの際の該内燃機関の回転数を小さくする制御であるものとすることもできる。この場合、前記電力増加制御は、前記発電機による前記内燃機関のモータリングの際の該内燃機関の回転数を単位時間当たり所定回転数の割合で小さくする制御であるものとすることもできる。内燃機関の回転数を減少すると、時間当たりの回転数変化量に内燃機関側の回転系の慣性モーメントを乗じた分だけパワーが出力されるから、その分だけ発電機のモータリングに必要なトルクを小さくすることができる。このとき、発電機の消費電力が小さくなるから、その分だけ余裕電力を増加することができ、その電力を電動機の回転数の同期制御に用いることができる。即ち、内燃機関の回転数を減少することにより得られるパワーを用いて電動機の回転数の同期制御に必要な電力を確保し、電動機の回転数の同期制御を実行して変速伝達手段の変速段をダウンシフトするのである。この場合、内燃機関の回転数を小さくする単位時間当たり所定回転数は、内燃機関の特性などにより定めることができる。
さらに、本発明の車両において、前記電力増加制御は、前記発電機の消費電力を小さくする制御であるものとすることもできる。この場合、前記電力増加制御は、前記発電機の回転数を小さくする制御であるものとすることもできるし、前記電力増加制御は、前記所定電力と前記余裕電力の差分だけ前記発電機の消費電力を小さくする制御であるものとすることもできる。発電機の消費電力を小さくすることにより余裕電力を増加して、電動機の回転数の同期制御に必要な電力を確保し、電動機の回転数の同期制御を実行して変速伝達手段の変速段をダウンシフトするのである。このとき、所定電力と余裕電力の差分だけ発電機の消費電力を小さくするものとすれば、必要以上に発電機による内燃機関のモータリングに影響を与えないようにすることができる。
本発明の車両の制御方法は、
内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、動力を出力可能な電動機と、前記電動機の回転軸と前記駆動軸との間で変速段の変更を伴って動力を変速して伝達する変速伝達手段と、前記発電機および前記電動機と電力のやり取りが可能な蓄電手段と、を備える車両の制御方法であって、
アクセルオフに伴って車両の走行に要求される要求駆動力として制動力が設定され且つ少なくとも該設定された要求駆動力の一部を出力するために前記発電機により前記内燃機関をモータリングしている最中に前記変速伝達手段の変速段をダウンシフトするとき、蓄電手段から放電してもよい最大電力としての出力制限から前記内燃機関のモータリングにより前記発電機によって消費している電力を減じて得られる余裕電力が所定電力以上のときには前記発電機による前記内燃機関のモータリングの状態を維持しながらダウンシフトの際に前記電動機の回転数の同期制御を実行して前記変速伝達手段の変速段がダウンシフトされるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御し、前記余裕電力が前記所定電力未満のときには前記余裕電力を増加するための電力増加制御と前記発電機による前記内燃機関のモータリングとを伴ってダウンシフトの際に前記電動機の回転数の同期制御を実行して前記変速伝達手段の変速段がダウンシフトされるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御する、
ことを特徴とする。
この本発明の車両の制御方法では、アクセルオフに伴って車両に要求される要求駆動力として制動力が設定され且つ少なくとも設定された要求駆動力の一部を出力するために発電機により内燃機関をモータリングしている最中に変速伝達手段の変速段をダウンシフトするときには、蓄電手段の出力制限から内燃機関のモータリングにより発電機によって消費している電力を減じて得られる余裕電力が所定電力以上のときには発電機による内燃機関のモータリングの状態を維持しながらダウンシフトの際に電動機の回転数の同期制御を実行して変速伝達手段の変速段がダウンシフトされるよう内燃機関と発電機と電動機と変速伝達手段とを制御する。電動機の回転数の同期制御を実行して変速伝達手段の変速段をダウンシフトするから変速時に生じ得る変速ショックを抑制することができる。一方、余裕電力が所定電力未満のときには余裕電力を増加するための電力増加制御と発電機による内燃機関のモータリングとを伴ってダウンシフトの際に電動機の回転数の同期制御を実行して変速伝達手段の変速段がダウンシフトされるよう内燃機関と発電機と電動機と変速伝達手段とを制御する。即ち、余裕電力を増加することにより電動機の回転数の同期制御に必要な電力を確保し、電動機の回転数の同期制御を実行して変速伝達手段の変速段をダウンシフトするのである。これにより、変速時に生じ得る変速ショックを抑制することができる。
こうした本発明の車両の制御方法において、前記電力増加制御は、前記設定された出力制限をダウンシフトの間に亘って所定電力だけ増加する補正を行なう制御であるものとすることもできる。二次電池などの蓄電手段は、その特性によっても異なるが、短時間であれば出力制限を若干超えても過熱や破損,劣化などを生じない。そこで、ダウンシフトの際に電動機の回転数の同期制御を行なう時間だけ蓄電手段の出力制限を増加補正することにより、電動機の回転数の同期制御に必要な電力を確保し、電動機の回転数の同期制御を実行して変速伝達手段の変速段をダウンシフトするのである。なお、増加補正する所定電力は、蓄電手段の種類や性能によって定めることができる。
また、本発明の車両の制御方法において、前記電力増加制御は、前記発電機による前記内燃機関のモータリングの際の該内燃機関の回転数を単位時間当たり所定回転数の割合で小さくする制御であるものとすることもできる。内燃機関の回転数を減少すると、時間当たりの回転数変化量に内燃機関側の回転系の慣性モーメントを乗じた分だけパワーが出力されるから、その分だけ発電機のモータリングに必要なトルクを小さくすることができる。このとき、発電機の消費電力が小さくなるから、その分だけ余裕電力を増加することができ、その電力を電動機の回転数の同期制御に用いることができる。即ち、内燃機関の回転数を減少することにより得られるパワーを用いて電動機の回転数の同期制御に必要な電力を確保し、電動機の回転数の同期制御を実行して変速伝達手段の変速段をダウンシフトするのである。この場合、内燃機関の回転数を小さくする単位時間当たり所定回転数は、内燃機関の特性などにより定めることができる。
さらに、本発明の車両の制御方法において、前記電力増加制御は、前記発電機の回転数を小さくする制御であるものとすることもできる。発電機の回転数を小さくして発電機の消費電力を小さくすることにより余裕電力を増加して、電動機の回転数の同期制御に必要な電力を確保し、電動機の回転数の同期制御を実行して変速伝達手段の変速段をダウンシフトするのである。このとき、所定電力と余裕電力の差分だけ発電機の消費電力を小さくするものとすれば、必要以上に発電機による内燃機関のモータリングに影響を与えないようにすることができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、変速機60を介して動力分配統合機構30に接続されたモータMG2と、車両全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関であり、エンジン22の運転状態を検出する各種センサから信号を入力するエンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、エンジンECU24は、クランクシャフト26に取り付けられた図示しないクランクポジションセンサからの信号に基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して変速機60がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構37,デファレンシャルギヤ38を介して駆動輪39a,39bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、共に発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2の一方で発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2から生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1とモータMG2とにより電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、共にモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、回転位置検出センサ43,44から入力した信号に基づいて図示しない回転数算出ルーチンによりモータMG1,MG2の回転子の回転数Nm1,Nm2を計算している。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
変速機60は、モータMG2の回転軸48とリングギヤ軸32aとの接続および接続の解除を行なうと共に両軸の接続をモータMG2の回転軸48の回転数を2段に減速してリングギヤ軸32aに伝達できるよう構成されている。変速機60の構成の一例を図2に示す。この図2に示す変速機60は、ダブルピニオンの遊星歯車機構60aとシングルピニオンの遊星歯車機構60bと二つのブレーキB1,B2とにより構成されている。ダブルピニオンの遊星歯車機構60aは、外歯歯車のサンギヤ61と、このサンギヤ61と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ62と、サンギヤ61に噛合する複数の第1ピニオンギヤ63aと、この第1ピニオンギヤ63aに噛合すると共にリングギヤ62に噛合する複数の第2ピニオンギヤ63bと、複数の第1ピニオンギヤ63aおよび複数の第2ピニオンギヤ63bを連結して自転かつ公転自在に保持するキャリア64とを備えており、サンギヤ61はブレーキB1のオンオフによりその回転を自由にまたは停止できるようになっている。シングルピニオンの遊星歯車機構60bは、外歯歯車のサンギヤ65と、このサンギヤ65と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ66と、サンギヤ65に噛合すると共にリングギヤ66に噛合する複数のピニオンギヤ67と、複数のピニオンギヤ67を自転かつ公転自在に保持するキャリア68とを備えており、サンギヤ65はモータMG2の回転軸48に、キャリア68はリングギヤ軸32aにそれぞれ連結されていると共にリングギヤ66はブレーキB2のオンオフによりその回転が自由にまたは停止できるようになっている。ダブルピニオンの遊星歯車機構60aとシングルピニオンの遊星歯車機構60bとは、リングギヤ62とリングギヤ66、キャリア64とキャリア68とによりそれぞれ連結されている。変速機60は、ブレーキB1,B2を共にオフとすることによりモータMG2の回転軸48をリングギヤ軸32aから切り離すことができ、ブレーキB1をオフとすると共にブレーキB2をオンとしてモータMG2の回転軸48の回転を比較的大きな減速比で減速してリングギヤ軸32aに伝達し(以下、この状態をLoギヤの状態という)、ブレーキB1をオンとすると共にブレーキB2をオフとしてモータMG2の回転軸48の回転を比較的小さな減速比で減速してリングギヤ軸32aに伝達する(以下、この状態をHiギヤの状態という)。ブレーキB1,B2を共にオンとする状態は回転軸48やリングギヤ軸32aの回転を禁止するものとなる。
ブレーキB1,B2は、図3に例示する油圧回路100からの油圧によりオンオフされる。油圧回路100は、図示するように、エンジン22からの動力によりオイルを圧送する機械式ポンプ102と、内蔵されたモータ103からの動力によりオイルを圧送する電動ポンプ104と、機械式ポンプ102や電動ポンプ104から圧送されたオイルの圧力(ライン圧)の高低を切替可能な3ウェイソレノイド105およびプレッシャーコントロールバルブ106と、ライン圧を調節可能な圧力をもってブレーキB1,B2側に個別に供給可能なリニアソレノイド110,111およびコントロールバルブ112,113と、ライン圧を降圧して3ウェイソレノイド105やリニアソレノイド110,111の入力ポートに供給するモジュレータバルブ108と、コントロールバルブ112,113とブレーキB1,B2との間の油路に各々設けられコントロールバルブ112,113のいずれか一方から油圧が供給されるときには対応するブレーキへの油路を開放すると共に他方のブレーキへの油路を遮断しコントロールバルブ112,113の両方から油圧が供給される異常時にはブレーキB1,B2への油路の両方を遮断するフェールセーフバルブ114,115と、フェールセーフバルブ114,115とブレーキB1,B2との間の油路に設けられたアキュムレータ116,117と、から構成されている。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された電圧センサ51aからの端子間電圧やバッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた電流センサ51bからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからの電池温度Tbなどが入力されており、バッテリ50を管理するために、電流センサ51bにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)を計算したり、この残容量(SOC)が目標SOCから所定範囲内になるようにバッテリ50が充放電すべき充放電要求パワーPb*を設定したり、電池温度Tbや残容量(SOC)に基づいてバッテリ50の入出力制限Win,Woutを設定したりしている。こうして検出したデータや演算した結果,設定した設定値は、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータとして通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じて入出力制限Win,Woutを設定することができる。図4に電池温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示し、図5にバッテリ50の残容量(SOC)と入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量に対応したアクセル開度Accを検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70からは、電動ポンプ104を駆動する電動モータへの駆動信号や3ウェイソレノイド106への駆動信号,リニアソレノイド110,111への駆動信号などが出力ポートを介して出力されている。なお、ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成されたハイブリッド自動車20の動作、特にアクセルオフ時にバッテリ50の入力制限WinによりモータMG2によって回生トルクを出力することができないために、モータMG1によりエンジン22をモータリングして、いわゆるエンジンブレーキを作用させている最中に変速機60の変速段をダウンシフトする際の動作について説明する。図6はハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるダウンシフト時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートであり、図7はこのダウンシフト時駆動制御ルーチンと平行してハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるダウンシフト処理の一例を示すフローチャートである。説明の容易のために、まず、図7を用いてダウンシフト処理の際の動作を説明し、その後、こうしたダウンシフトしている最中の駆動制御を図6のダウンシフト時駆動制御ルーチンを用いて説明する。
ダウンシフト処理では、ハイブリッド用電子制御ユニット70の72は、まず、モータMG1のトルク指令Tm1*やモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,バッテリ50の出力制限Woutなどを入力する処理を実行する(ステップS300)。ここで、モータMG1のトルク指令Tm1*は、ダウンシフト時駆動制御ルーチンにより設定されたものを入力するものとした。また、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。さらに、バッテリ50の出力制限Woutは、電池温度Tbや残容量(SOC)に基づいて演算されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したバッテリ50の出力制限Woutからトルク指令Tm1*に回転数Nm1を乗じたものを減じて余裕電力ΔPを計算すると共に(ステップS310)、計算した余裕電力ΔPを閾値Prefと比較し(ステップS320)、余裕電力ΔPが閾値Pref以上のときには余裕電力増加フラグFに値0をセットし(ステップS330)、余裕電力ΔPが閾値Pref未満のときには余裕電力増加フラグFに値1をセットする(ステップS340)。ここで、閾値Prefは、ダウンシフトする際にモータMG2の回転数の同期制御に要する通常の電力として設定されており、モータMG2の性能や変速機60のギヤ比などにより定めることができる。したがって、余裕電力増加フラグFは、値0のときにはバッテリ50の出力制限Woutの範囲内でモータMG2の回転数の同期制御を行なうことができることを示すことになり、値1のときにはバッテリ50の出力制限Woutの範囲内ではモータMG2の回転数の同期制御を行なうことがでないことを示すことになる。
続いて、モータMG2の回転数Nm2に変速機60がLoギヤの状態のときのギヤ比Gloを乗じたものを変速機60がHiギヤの状態のときのギヤ比Ghiで除して値を変速機60のダウンシフトした後のモータMG2の目標回転数である変速後目標回転数Nm2*として設定する(ステップS350)。
こうしてダウンシフトの準備を終了すると、まず、ファストフィルを実行する(ステップS360)。ここで、ファストフィルは、摩擦部材が当接するまでの隙間を埋めるためにパックにオイルを急速に充填させる処理である。具体的には、ブレーキB2側のリニアソレノイド111を100%かそれに近いデューティ比で駆動する処理となる。なお、このファストフィルの実行と併せて、ブレーキB1に作用しているオイルを抜く動作も行なわれる。ファストフィルの実行が終了すると(ステップS370)、ブレーキB1を完全にオフとし(ステップS380)、モータMG2の同期制御を開始する指示を出力する(ステップS390)。そして、ブレーキB2を作動する油圧が所定の待機圧となるようリニアソレノイド110,111のデューティ比を調節して定圧待機し(ステップS400)、モータMG2の回転数Nm2が変速後目標回転数Nm2*近傍に至ったときに(ステップS410,S420)、ブレーキB2を作動する油圧が待機圧で定圧待機している状態からブレーキB2がオンされるようリニアソレノイド110,111のデューティ比を調節して(ステップS430)、ダウンシフト処理を終了する。図8にダウンシフトの際のモータMG2の回転数Nm2とブレーキB1,B2の油圧指令の時間変化の様子を示し、図9にダウンシフトの際の変速機60の共線図の一例を示す。図9中、S2軸はモータMG2の回転数Nm2であるシングルピニオンの遊星歯車機構60bのサンギヤ65の回転数を示し、C1,C2軸はリングギヤ軸32aの回転数Nrであるダブルピニオンの遊星歯車機構60aおよびシングルピニオンの遊星歯車機構60bのキャリア64,68の回転数を示し、R1,R2軸はダブルピニオンの遊星歯車機構60aおよびシングルピニオンの遊星歯車機構60bのリングギヤ62,66の回転数を示し、S1軸はダブルピニオンの遊星歯車機構60aのサンギヤ61の回転数を示す。図8に示すように、変速機60のダウンシフトが開始された時刻t1以降にブレーキB2側のファストフィルが実行されると共にブレーキB1の油圧が抜かれ、ファストフィルが終了した時刻t2以降にはブレーキB2の油圧が待機圧とされて定圧待機し、モータMG2の回転数Nm2の変速後目標回転数Nm2*への同期制御により回転数Nm2が変速後目標回転数Nm2*近傍に至ったときにブレーキB2がオンされるようブレーキB2の油圧が調整される。図8および図9に示すように、ダウンシフトを行なう際には、モータMG2の回転数Nm2を変速後目標回転数Nm2*に同期させるためにモータMG2から正のトルクを出力する必要があり、このための電力が必要となる。
次に、ダウンシフト時の駆動制御について説明する。図6のダウンシフト時駆動制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや車速センサ88からの車速V,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,変速後目標回転数Nm2*,余裕電力増加フラグF,バッテリ50の入出力制限Win,Woutなど制御に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。ここで、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されたモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて演算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。また、変速後目標回転数Nm2*や余裕電力増加フラグFについては図7のダウンシフト処理で設定されたものを入力するものとした。さらに、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、バッテリ50の電池温度Tbと残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度Accと車速Vとに基づいて車両に要求されるトルクとして駆動輪63a,63bに連結された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定する(ステップS110)。要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度Accと車速Vと要求トルクTr*との関係を予め定めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度Accと車速Vとが与えられると記憶したマップから対応する要求トルクTr*を導出して設定するものとした。図10に要求トルク設定用マップの一例を示す。いま、アクセルオフ時にダウンシフトする場合を考えているから、アクセル開度Accは0%であり、ある程度の車速Vにより走行しているから、要求トルクTr*は負の値、即ち、制動力が設定される。
こうして要求トルクTr*を設定すると、余裕電力増加フラグFを調べ(ステップS120)、余裕電力増加フラグFが値0のときには、バッテリ50の出力制限Woutの範囲内でモータMG2の回転数の同期制御を行なうことができると判断し、要求トルクTr*に基づいてエンジン22の目標回転数Ne*を設定する(ステップS140)。ここで、目標回転数Ne*は、エンジン22への燃料供給を停止した状態でエンジン22をモータリングしたときに動力分配統合機構30を介してリングギヤ軸32aに作用する制動力としてのトルクが要求トルクTr*に一致するように設定され、実施例では、要求トルクTr*と目標回転数Ne*との関係を予め求めて目標回転数設定用マップとしてROM74に記憶しておき、要求トルクTr*が与えられるとマップから対応する目標回転数Ne*を導出して設定するものとした。図11に目標回転数設定用マップの一例を示す。
次に、設定した目標回転数Ne*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(Nm2/Gr)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて次式(1)によりモータMG1の目標回転数Nm1*を計算すると共に計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいて式(2)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算する(ステップS150)。ここで、式(1)は、動力分配統合機構30の回転要素に対する力学的な関係式である。エンジン22をモータリングしている最中の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図を図12に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を変速機60のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。式(1)は、この共線図を用いれば容易に導くことができる。また、式(2)は、モータMG1を目標回転数Nm1*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(2)中、右辺第1項はエンジン22を目標回転数Ne*で安定してモータリングするのに必要なトルクであり、右辺第2項の「k1」は比例項のゲインであり、右辺第3項の「k2」は積分項のゲインである。
Nm1*=Ne*・(1+ρ)/ρ-Nm2/(Gr・ρ) (1)
Tm1*=ρ・Tr*+k1(Nm1*-Nm1)+k2∫(Nm1*-Nm1)dt (2)
そして、モータMG2の回転数の同期制御が開始されているか否かを判定し(ステップS160)、モータMG2の回転数の同期制御が開始されていないときにはモータMG2のトルク指令Tm2*に値0を設定して(ステップS170)、エンジン22の目標回転数Ne*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS210)、ダウンシフト時駆動制御ルーチンを終了する。ここで、同期制御の開始は、図7のダウンシフト処理のステップS390で行なわれる。なお、目標回転数Ne*を受信したエンジンECU24は、エンジン22への燃料噴射を停止した状態でエンジン22が目標回転数Ne*でモータリングされるよう燃料噴射制御や点火制御などを停止する制御を行ない、トルク指令Tm1*,Tm2*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されると共にトルク指令Tm2*でモータMG2が駆動されるようインバータ41,42のスイッチング素子のスイッチング制御を行なう。こうした制御により、エンジン22を目標回転数Ne*でモータリングして制動力としての要求トルクTr*を駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力して走行することができる。
ステップS160でモータMG2の回転数の同期制御の開始が判定されると、バッテリ50の入出力制限Win,Woutと設定したモータMG1のトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの上下限としてのトルク制限Tmin,Tmaxを次式(3)および式(4)により計算すると共に(ステップS180)、モータMG2が変速後目標回転数Nm2*で回転するよう仮モータトルクTm2tmpを式(5)により計算し(ステップS190)、計算したトルク制限Tmin,Tmaxで仮モータトルクTm2tmpを制限した値としてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し(ステップS200)、エンジン22の目標回転数Ne*についてはエンジンECU24に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*についてはモータECU40にそれぞれ送信して(ステップS210)、ダウンシフト時駆動制御ルーチンを終了する。ここで、式(5)はモータMG2を変速後目標回転数Nm2*で回転させるためのフィードバック制御における関係式であり、式(5)中、右辺第1項の「k3」は比例項のゲインであり、右辺第2項の「k4」は積分項のゲインである。このようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定することにより、モータMG2の回転数を変速後目標回転数Nm2*に同期することができる。こうしたモータMG2の回転数を変速後目標回転数Nm2*に同期制御することにより、変速機60をダウンシフトする際に生じ得るショックを抑制することできる。なお、こうしたモータMG2の回転数の同期制御の最中でも、モータMG1は、燃料噴射を停止した状態のエンジン22を要求トルクTr*に基づく目標回転数Ne*でモータリングするのに必要なトルクがトルク指令Tm1*として設定されて制御されるから、モータMG1によるエンジン22のモータリングの状態は継続され、駆動軸としてのリングギヤ軸32aには制動力としての要求トルクTr*が出力される。
Tmin=(Win-Tm1*・Nm1)/Nm2 (3)
Tmax=(Wout-Tm1*・Nm1)/Nm2 (4)
Tm2tmp=k3(Nm2*-Nm2)+k4∫(Nm2*-Nm2)dt (5)
一方、ステップS120で余裕電力増加フラグFが値1であると判定されたときには、バッテリ50の出力制限Woutの範囲内ではモータMG2の回転数の同期制御を行なうことがでないと判断し、出力制限Woutに増加電力ΔWを加えた値を新たな出力制限Woutとする補正を行ない(ステップS130)、この新たな出力制限Woutを用いてステップS140以降の処理を実行する。ここで、増加電力ΔWは、ダウンシフトに要する時間程度の短時間であれば出力制限Woutを若干超えた電力をバッテリ50から放電してもバッテリ50が過熱したり、破損したり、劣化したりしない程度の出力制限Woutを超える超過分の電力であり、バッテリ50の種類や性能などにより定めることができる。このように、出力制限Woutを増加補正することにより、その範囲内でモータMG2の回転数の同期制御を行なうことができる。即ち、余裕電力増加フラグFが値0のときに比して若干時間を要するもののモータMG2の回転数は変速後目標回転数Nm2*に同期されるから、変速機60をダウンシフトする際に生じ得るショックを抑制することできる。もとより、こうした増加補正した出力制限Woutの範囲内でモータMG2の回転数を同期制御している最中でも、モータMG1は、燃料噴射を停止した状態のエンジン22を要求トルクTr*に基づく目標回転数Ne*でモータリングするのに必要なトルクがトルク指令Tm1*として設定されて制御されるから、モータMG1によるエンジン22のモータリングの状態は継続され、駆動軸としてのリングギヤ軸32aには制動力としての要求トルクTr*が出力される。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、アクセルオフ時にバッテリ50の入力制限WinによりモータMG2によって回生トルクを出力することができないためにモータMG1によりエンジン22をモータリングしている最中に変速機60の変速段をダウンシフトする際に、バッテリ50の出力制限Woutからトルク指令Tm1*に回転数Nm1を乗じたものを減じて得られる余裕電力ΔPがダウンシフトする際にモータMG2の回転数の同期制御に要する通常の電力として設定された閾値Pref以上のときには、モータMG1によるエンジン22のモータリングの状態を継続しながらモータMG2の回転数を変速後目標回転数Nm2*に同期して変速機60の変速段をダウンシフトするから、変速機60をダウンシフトする際に生じ得るショックを抑制することできる。また、余裕電力ΔPが閾値Pref未満のときには、出力制限Woutに増加電力ΔWを加えた値を新たな出力制限Woutとする出力制限Woutの増加補正を行ない、この増加補正された出力制限Woutの範囲内でモータMG1によるエンジン22のモータリングの状態を継続しながらモータMG2の回転数を変速後目標回転数Nm2*に同期して変速機60の変速段をダウンシフトするから、変速機60をダウンシフトする際に生じ得るショックを抑制することできる。
実施例のハイブリッド自動車20では、余裕電力ΔPが閾値Pref未満のときには出力制限Woutに増加電力ΔWを加えた値を新たな出力制限Woutとする出力制限Woutの増加補正を行なうことにより、モータMG2の回転数を変速後目標回転数Nm2*に同期させる同期制御に必要な電力を賄うものとしたが、余裕電力ΔPが閾値Pref未満のときにはエンジン22のモータリング回転数を徐々に小さくすることにより、回転数変化量にエンジン22を含む回転系の慣性モーメントを乗じて得られるパワーを用いることによりモータMG1による消費電力を小さくし、これによりモータMG2の回転数を変速後目標回転数Nm2*に同期させる同期制御に必要な電力を賄うものとしてもよい。この場合、図6のダウンシフト時駆動制御ルーチンに代えて図13のダウンシフト時駆動制御ルーチンを実行すればよい。このルーチンでは、余裕電力ΔPが閾値Pref以上となって余裕電力増加フラグFに値0がセットされたときや余裕電力ΔPが閾値Pref未満となって余裕電力増加フラグFに値1がセットされたときでもモータMG2の回転数の同期制御が開始されるまでは(ステップS120,S122)、要求トルクTr*に応じた目標回転数Ne*が設定されると共に(ステップS140)、エンジン22が目標回転数Ne*でモータリングされるようモータMG1のトルク指令Tm1*が設定され(ステップS150)、且つ、値0のトルク指令Tm2*が設定されて(ステップS170)、モータMG1,MG2が制御される(ステップS210)。一方、余裕電力ΔPが閾値Pref未満となって余裕電力増加フラグFに値1がセットされたときにモータMG2の回転数の同期制御が開始されると(ステップS120,S122)、それまでのエンジン22の目標回転数Ne*からレート値Nrtを減じたものを仮回転数Netmpとして設定し(ステップS142)、設定した仮回転数Netmpとエンジン22のアイドル回転数Nildとのうち大きい方を目標回転数Ne*として設定し(ステップS144)、エンジン22が目標回転数Ne*でモータリングされるようモータMG1のトルク指令Tm1*を設定し(ステップS150)、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内でモータMG2の回転数が変速後目標回転数Nm2*となるようトルク指令Tm2*を設定して(ステップS180〜S200)、モータMG1,MG2を制御する(ステップS210)。ここで、レート値Nrtは、エンジン22の回転数の単位時間当たりの減少量であり、ダウンシフト時駆動制御ルーチンの起動間隔やエンジン22の慣性モーメントなどにより定めることができる。図14にエンジン22の回転数Neを徐々に小さくしている最中の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す。このように、エンジン22の目標回転数Ne*をレート値Nrtずつ減少させることにより、その回転数変化量にエンジン22を含む慣性モーメントを乗じて得られるパワーの分だけモータMG1のモータリングトルクを小さくすることができ、モータMG1の消費電力を小さくすることができる。そして、その分だけ余裕電力ΔPを増加させ、モータMG2の回転数を変速後目標回転数Nm2*に同期させる同期制御に必要な電力を賄うのである。このように余裕電力増加フラグFが値1でも、余裕電力ΔPを増加させて、モータMG2の回転数を変速後目標回転数Nm2*に同期して変速機60をダウンシフトするから、変速機60をダウンシフトする際に生じ得るショックを抑制することできる。
また、余裕電力ΔPが閾値Pref未満のときにはモータMG1の回転数Nm1を小さくしてモータMG1の消費電力を小さくし、これによりモータMG2の回転数を変速後目標回転数Nm2*に同期させる同期制御に必要な電力を賄うものとしてもよい。この場合、図6のダウンシフト時駆動制御ルーチンに代えて図15のダウンシフト時駆動制御ルーチンを実行すればよい。このルーチンでも、余裕電力ΔPが閾値Pref以上となって余裕電力増加フラグFに値0がセットされたときや余裕電力ΔPが閾値Pref未満となって余裕電力増加フラグFに値1がセットされたときでもモータMG2の回転数の同期制御が開始されるまでは(ステップS120,S122)、要求トルクTr*に応じた目標回転数Ne*が設定されると共に(ステップS140)、エンジン22が目標回転数Ne*でモータリングされるようモータMG1のトルク指令Tm1*が設定され(ステップS150)、且つ、値0のトルク指令Tm2*が設定されて(ステップS170)、モータMG1,MG2が制御される(ステップS210)。一方、余裕電力ΔPが閾値Pref未満となって余裕電力増加フラグFに値1がセットされたときにモータMG2の回転数の同期制御が開始されると(ステップS120,S122)、まず、閾値Prefと余裕電力ΔPとの偏差をそれまでのモータMG1のトルク指令Tm1*で除して得られる回転数をモータMG1の回転数Nm1から減じた値としてモータMG1の目標回転数Nm1*を計算する(ステップS152)。ここで、閾値Prefと余裕電力ΔPとの偏差は、モータMG2の回転数を変速後目標回転数Nm2*で同期制御するのに不足する電力であるから、ステップS152では、この不足する電力をモータMG1の消費電力から賄うために不足する電力に相当する回転数を現在の回転数から減じてモータMG1の目標回転数Nm1*を設定することになる。したがって、モータMG1をトルク指令Tm1*で駆動することにより、モータMG2の回転数を変速後目標回転数Nm2*で同期制御するのに不足する電力を丁度賄うことができるようになる。モータMG1の回転数Nm1を小さくしてエンジン22をモータリングする際の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を図16に示す。そして、計算した回転数Nm1*とリングギヤ軸32aの回転数Nr(Nm2/Gr)と動力分配統合機構30のギヤ比ρとを用いて上述した式(1)を目標回転数Ne*について解いた式によりエンジン22の目標回転数Ne*を計算すると共に(ステップS154)、計算した目標回転数Nm1*と現在の回転数Nm1とに基づいて上述した式(2)によりモータMG1のトルク指令Tm1*を計算し(ステップS156)、バッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内でモータMG2の回転数が変速後目標回転数Nm2*となるようトルク指令Tm2*を設定して(ステップS180〜S200)、モータMG1,MG2を制御する(ステップS210)。モータMG1のトルク指令Tm1*は同期制御を開始する前とは若干異なるものとなるが、その回転数Nm1が目標回転数Nm1*とされることにより、モータMG1の消費電力の低下分は、概ねモータMG2の回転数を変速後目標回転数Nm2*で同期制御するのに不足する電力を賄うことができる程度のものとなる。これにより、その分だけ余裕電力ΔPが増加するから、モータMG2の回転数を変速後目標回転数Nm2*に同期させて変速機60をダウンシフトすることができる。この結果、変速機60をダウンシフトする際に生じ得るショックを抑制することできる。
実施例のハイブリッド自動車20では、Hi,Loの2段の変速段をもって変速可能な変速機60を用いるものとしたが、変速機の変速段は2段に限られず、3段以上の変速段をもって変速可能な変速機を用いるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を変速機60により変速して駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図17の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力を変速機60により変速してリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪39a,39bが接続された車軸)とは異なる車軸(図17における車輪39c,39dに接続された車軸)に接続するものとしてもよい。
また、こうしたハイブリッド自動車に適用するものに限定されるものではなく、自動車以外の車両の形態や車両の制御方法の形態としてもよい。
ここで、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG1が「発電機」に相当し、動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当する。モータMG2が「電動機」に相当し、変速機60が「変速伝達手段」に相当し、バッテリ50が「蓄電手段」に相当し、電流センサ51bにより検出された充放電電流の積算値に基づくバッテリ50の残容量(SOC)とバッテリ50の電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算するバッテリECU52が「入出力制限設定手段」に相当し、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて要求トルクTr*を設定する図6のダウンシフト時駆動制御ルーチンのステップS110の処理を実行するハイブリッド用電子制御ユニット70が「要求駆動力設定手段」に相当し、アクセルオフ時にバッテリ50の入力制限WinによりモータMG2によって回生トルクを出力することができないためにモータMG1によりエンジン22をモータリングしている最中に変速機60の変速段をダウンシフトする際に、バッテリ50の出力制限Woutからトルク指令Tm1*に回転数Nm1を乗じたものを減じて得られる余裕電力ΔPがダウンシフトする際にモータMG2の回転数の同期制御に要する通常の電力として設定された閾値Pref以上であることから余裕電力増加フラグFが値0にセットされたときにはモータMG1によるエンジン22のモータリングの状態を継続しながらモータMG2の回転数を変速後目標回転数Nm2*に同期するようモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してモータECU40に送信し、余裕電力ΔPが閾値Pref未満であることから余裕電力増加フラグFに値1がセットされたときには出力制限Woutに増加電力ΔWを加えた値を新たな出力制限Woutとする出力制限Woutの増加補正を行なうと共にこの増加補正された出力制限Woutの範囲内でモータMG1によるエンジン22のモータリングの状態を継続しながらモータMG2の回転数を変速後目標回転数Nm2*に同期するようモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定してモータECU40に送信する図6のダウンシフト時駆動制御ルーチンのステップS120〜S210の処理を実行したり、この図6のダウンシフト時駆動制御ルーチンと平行に図7のダウンシフト処理を実行することによりモータMG2の回転数の変速後目標回転数Nm2*への同期を伴って変速機60の変速段をHiギヤの状態からLoギヤの状態にダウンシフトするハイブリッド用電子制御ユニット70と目標回転数Ne*に基づいてエンジン22を制御するエンジンECU24とトルク指令Tm1*,Tm2*に基づいてモータMG1,MG2を制御するモータECU40とが「制御手段」に相当する。
ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「発電機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの発電機としても構わない。「3軸式動力入出力手段」としては、上述の動力分配統合機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものや複数の遊星歯車機構を組み合わせて4以上の軸に接続されるものやデファレンシャルギヤのように遊星歯車とは異なる作動作用を有するものなど、車軸に連結された駆動軸と内燃機関の出力軸と発電機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちのいずれかに軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するものであれば如何なるものとしても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、動力を入出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「変速伝達手段」としては、Hi,Loの2段の変速段をもって変速可能な変速機60に限定されるものではなく、3段以上の変速段をもって変速する変速機としたりするなど、電動機の回転軸と駆動軸との間で変速段の変更を伴って動力を変速して伝達するものであれば如何なるものとしても構わない。「蓄電手段」としては、二次電池としてのバッテリ50に限定されるものではなく、キャパシタなど、電力動力入出力手段とや電動機と電力のやりとりが可能であれば如何なるものとしても構わない。「入出力制限設定手段」としては、バッテリ50の残容量(SOC)とバッテリ50の電池温度Tbとに基づいて入出力制限Win,Woutを演算するものに限定されるものではなく、残容量(SOC)や電池温度Tbの他に例えばバッテリ50の内部抵抗などに基づいて演算するものなど、蓄電手段の状態に基づいて蓄電手段を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「要求駆動力設定手段」としては、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて要求トルクTr*を設定するものに限定されるものではなく、アクセル開度Accだけに基づいて要求トルクを設定するものや走行経路が予め設定されているものにあっては走行経路における走行位置に基づいて要求トルクを設定するものなど、車両に要求される要求駆動力を設定するものであれば如何なるものとしても構わない。「制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とエンジンECU24とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「制御手段」としては、アクセルオフ時にバッテリ50の入力制限WinによりモータMG2によって回生トルクを出力することができないためにモータMG1によりエンジン22をモータリングしている最中に変速機60の変速段をダウンシフトする際に、余裕電力ΔPが閾値Pref以上であることから余裕電力増加フラグFが値0にセットされたときにはモータMG1によるエンジン22のモータリングの状態を継続しながらモータMG2の回転数を変速後目標回転数Nm2*に同期して変速機60の変速段をダウンシフトし、余裕電力ΔPが閾値Pref未満であることから余裕電力増加フラグFに値1がセットされたときには出力制限Woutに増加電力ΔWを加えた値を新たな出力制限Woutとする出力制限Woutの増加補正を行なうと共にこの増加補正された出力制限Woutの範囲内でモータMG1によるエンジン22のモータリングの状態を継続しながらモータMG2の回転数を変速後目標回転数Nm2*に同期して変速機60の変速段をダウンシフトするものに限定されるものではなく、余裕電力ΔPが閾値Pref未満のときにはエンジン22のモータリング回転数を徐々に小さくすることにより、回転数変化量にエンジン22を含む回転系の慣性モーメントを乗じて得られるパワーを用いることによりモータMG1による消費電力を小さくし、これによりモータMG2の回転数を変速後目標回転数Nm2*に同期させる同期制御に必要な電力を賄って、エンジン22をモータリングしながらモータMG2の回転数を変速後目標回転数Nm2*に同期して変速機60の変速段をダウンシフトするものとしたり、余裕電力ΔPが閾値Pref未満のときにはモータMG1の回転数Nm1を小さくしてモータMG1の消費電力を小さくし、これによりモータMG2の回転数を変速後目標回転数Nm2*に同期させる同期制御に必要な電力を賄って、エンジン22をモータリングしながらモータMG2の回転数を変速後目標回転数Nm2*に同期して変速機60の変速段をダウンシフトするものとしたりするなど、アクセルオフに伴って車両に要求される要求駆動力として制動力が設定され且つ少なくとも要求駆動力の一部を出力するために発電機により内燃機関をモータリングしている最中に変速伝達手段の変速段をダウンシフトするとき、蓄電手段の出力制限から内燃機関のモータリングにより発電機によって消費している電力を減じて得られる余裕電力が所定電力以上のときには発電機による内燃機関のモータリングの状態を維持しながらダウンシフトの際に電動機の回転数の同期制御を実行して変速伝達手段の変速段がダウンシフトされるよう内燃機関と発電機と電動機と変速伝達手段とを制御し、余裕電力が所定電力未満のときには余裕電力を増加するための電力増加制御と発電機による内燃機関のモータリングとを伴ってダウンシフトの際に電動機の回転数の同期制御を実行して変速伝達手段の変速段がダウンシフトされるよう内燃機関と発電機と電動機と変速伝達手段とを制御するものであれば如何なるものとしても構わない。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、車両の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 変速機60の構成の概略を示す構成図である。 油圧回路100の構成の概略を示す構成図である。 電池温度Tbと入出力制限Win,Woutとの関係の一例を示す説明図である。 バッテリ50の残容量(SOC)と入出力制限Win,Woutの補正係数との関係の一例を示す説明図である。 実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるダウンシフト時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるダウンシフト処理の一例を示すフローチャートである。 ダウンシフトの際のモータMG2の回転数Nm2とブレーキB1,B2の油圧指令の時間変化の様子を示す説明図である。 ダウンシフトの際の変速機60の共線図の一例を示す説明図である。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 目標回転数設定用マップの一例を示す説明図である。 エンジン22をモータリングしている最中の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 変形例のダウンシフト時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 エンジン22の回転数Neを徐々に小さくしている最中の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 変形例のダウンシフト時駆動制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 モータMG1の回転数Nm1を小さくしてエンジン22をモータリングする際の動力分配統合機構30の回転要素における回転数とトルクとの力学的な関係を示す共線図の一例を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120 ハイブリッド自動車、22 エンジン、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、37 ギヤ機構、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、39c,39d 車輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、48 回転軸、50 バッテリ、51a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 変速機、60a ダブルピニオンの遊星歯車機構、60b シングルピニオンの遊星歯車機構、61 サンギヤ、62 リングギヤ、63a 第1ピニオンギヤ、63b 第2ピニオンギヤ、64 キャリア、65 サンギヤ、66 リングギヤ、67 ピニオンギヤ、68 キャリア、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、100 油圧回路、102 機械式ポンプ、103 モータ、104 電動ポンプ、105 3ウェイソレノイド、106 プレッシャコントロールバルブ、108 モジュレータバルブ、110,111 リニアソレノイド、112,113 コントロールバルブ、114,115 フェールセーフバルブ、116,117 アキュムレータ、121 温度センサ、120,122,123 油圧スイッチ、MG1,MG2 モータ、B1,B2 ブレーキ。

Claims (11)

  1. 内燃機関と、
    動力を入出力可能な発電機と、
    車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、
    動力を出力可能な電動機と、
    前記電動機の回転軸と前記駆動軸との間で変速段の変更を伴って動力を変速して伝達する変速伝達手段と、
    前記発電機および前記電動機と電力のやり取りが可能な蓄電手段と、
    前記蓄電手段の状態に基づいて該蓄電手段を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限を設定する入出力制限設定手段と、
    車両に要求される要求駆動力を設定する要求駆動力設定手段と、
    アクセルオフに伴って前記要求駆動力設定手段により要求駆動力として制動力が設定され且つ少なくとも該設定された要求駆動力の一部を出力するために前記発電機により前記内燃機関をモータリングしている最中に前記変速伝達手段の変速段をダウンシフトするとき、前記設定された出力制限から前記内燃機関のモータリングにより前記発電機によって消費している電力としてダウンシフトの処理を開始した直後の前記発電機の回転数に基づいて計算される電力を減じて得られる余裕電力が所定電力以上のときには前記発電機による前記内燃機関のモータリングの状態を維持しながらダウンシフトの際に前記電動機の回転数の同期制御を実行して前記変速伝達手段の変速段がダウンシフトされるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御し、前記余裕電力が前記所定電力未満のときには前記余裕電力を増加するための電力増加制御と前記発電機による前記内燃機関のモータリングとを伴ってダウンシフトの際に前記電動機の回転数の同期制御を実行して前記変速伝達手段の変速段がダウンシフトされるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御する制御手段と、
    を備える車両。
  2. 前記電力増加制御は、前記設定された出力制限をダウンシフトの間に亘って所定電力だけ増加する補正を行なう制御である請求項1記載の車両。
  3. 前記電力増加制御は、前記発電機による前記内燃機関のモータリングの際の該内燃機関の回転数を小さくする制御である請求項1記載の車両。
  4. 前記電力増加制御は、前記発電機による前記内燃機関のモータリングの際の該内燃機関の回転数を単位時間当たり所定回転数の割合で小さくする制御である請求項3記載の車両。
  5. 前記電力増加制御は、前記発電機の消費電力を小さくする制御である請求項1記載の車両。
  6. 前記電力増加制御は、前記発電機の回転数を小さくする制御である請求項5記載の車両。
  7. 前記電力増加制御は、前記所定電力と前記余裕電力の差分だけ前記発電機の消費電力を小さくする制御である請求項5または6記載の車両。
  8. 内燃機関と、動力を入出力可能な発電機と、車軸に連結された駆動軸と前記内燃機関の出力軸と前記発電機の回転軸との3軸に接続され該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、動力を出力可
    能な電動機と、前記電動機の回転軸と前記駆動軸との間で変速段の変更を伴って動力を変速して伝達する変速伝達手段と、前記発電機および前記電動機と電力のやり取りが可能な蓄電手段と、を備える車両の制御方法であって、
    アクセルオフに伴って車両の走行に要求される要求駆動力として制動力が設定され且つ少なくとも該設定された要求駆動力の一部を出力するために前記発電機により前記内燃機関をモータリングしている最中に前記変速伝達手段の変速段をダウンシフトするとき、蓄電手段から放電してもよい最大電力としての出力制限から前記内燃機関のモータリングにより前記発電機によって消費している電力としてダウンシフトの処理を開始した直後の前記発電機の回転数に基づいて計算される電力を減じて得られる余裕電力が所定電力以上のときには前記発電機による前記内燃機関のモータリングの状態を維持しながらダウンシフトの際に前記電動機の回転数の同期制御を実行して前記変速伝達手段の変速段がダウンシフトされるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御し、前記余裕電力が前記所定電力未満のときには前記余裕電力を増加するための電力増加制御と前記発電機による前記内燃機関のモータリングとを伴ってダウンシフトの際に前記電動機の回転数の同期制御を実行して前記変速伝達手段の変速段がダウンシフトされるよう前記内燃機関と前記発電機と前記電動機と前記変速伝達手段とを制御する、
    ことを特徴とする車両の制御方法。
  9. 前記電力増加制御は、前記設定された出力制限をダウンシフトの間に亘って所定電力だけ増加する補正を行なう制御である請求項8記載の車両の制御方法。
  10. 前記電力増加制御は、前記発電機による前記内燃機関のモータリングの際の該内燃機関の回転数を単位時間当たり所定回転数の割合で小さくする制御である請求項8記載の車両の制御方法。
  11. 前記電力増加制御は、前記発電機の回転数を小さくする制御である請求項8記載の車両の制御方法。
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