JP4956982B2 - 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 - Google Patents

半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4956982B2
JP4956982B2 JP2005358494A JP2005358494A JP4956982B2 JP 4956982 B2 JP4956982 B2 JP 4956982B2 JP 2005358494 A JP2005358494 A JP 2005358494A JP 2005358494 A JP2005358494 A JP 2005358494A JP 4956982 B2 JP4956982 B2 JP 4956982B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
epoxy resin
general formula
resin composition
represented
integer
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2005358494A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007161833A (ja
Inventor
伸一 前佛
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Bakelite Co Ltd filed Critical Sumitomo Bakelite Co Ltd
Priority to JP2005358494A priority Critical patent/JP4956982B2/ja
Publication of JP2007161833A publication Critical patent/JP2007161833A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4956982B2 publication Critical patent/JP4956982B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本発明は、半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いた半導体装置に関するものである。
従来からダイオード、トランジスタ、集積回路等の電子部品は、主にエポキシ樹脂組成物を用いて封止されている。特に集積回路では、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、及び溶融シリカ、結晶シリカ等の無機充填材を配合した耐熱性、耐湿性に優れたエポキシ樹脂組成物が用いられている。ところが近年、電子機器の小型化、軽量化、高性能化の市場動向において、半導体素子の高集積化が年々進み、また半導体装置の表面実装化が促進されるなかで、半導体素子の封止に用いられているエポキシ樹脂組成物への要求は益々厳しいものとなってきている。特に半導体装置の表面実装化が一般的になってきている現状では、吸湿した半導体装置が半田リフロー処理時に高温にさらされる。更に、環境負荷物質の撤廃の一環として、鉛を含まない半田への代替が進められており、従来の半田に比べ融点が高いため表面実装時のリフロー温度は、従来よりも20℃程度高く、260℃が必要とされる。その為、半導体装置が従来以上に高い温度にさらされることになり、半導体素子やリードフレームとエポキシ樹脂組成物の硬化物との界面に剥離が発生し、半導体装置にクラックを生じる等、半導体装置の信頼性を大きく損なう不良が生じ易くなっている。
また、リードフレームについても脱鉛の観点から、外装半田メッキの代わりに予めNiやNi−Pd、Ni−Pd−Au等でメッキを施したプレプレーティングフレームを用いた半導体装置が増加している。これらのメッキはエポキシ樹脂組成物の硬化物との密着性が著しく悪いという欠点があり、表面実装時に界面において剥離が発生する等の問題が生じており、これらの不良の防止、即ち耐半田リフロー性の向上が求められている。
通常、エポキシ樹脂組成物中には耐燃性を付与するために臭素含有有機化合物等のハロゲン系難燃剤、及び三酸化ニアンチモン、四酸化ニアンチモン等のアンチモン化合物が配合されていることが多いが、前記と同様に環境負荷物質の撤廃の観点から、ハロゲン系難燃剤、アンチモン化合物を使用しないで、耐燃性に優れたエポキシ樹脂組成物の開発が要求されている。これらに代わる環境対応の難燃剤としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等が用いられるようになってきている。しかし、これらは多量に配合しないと耐燃性の効果が発現せず、しかも充分な耐燃性が得られる程度に配合量を増やすとエポキシ樹脂組成物の成形時の流動性、硬化性及び硬化物の機械強度が低下、耐半田リフロー性を悪化させる恐れがある。
実装温度の上昇に伴う耐半田リフロー性の低下については、低吸水性のエポキシ樹脂や硬化剤を適用することにより(例えば、特許文献1、2、3参照。)対応がとられてきた。しかし、これらのエポキシ樹脂組成物では耐燃性が不足しているため難燃剤を添加しなければならず、また、前記のようなプレプレーティングフレームに対しての密着性も低く、これらのフレームを使用したパッケージでは特に信頼性が劣るという問題がある。
更にこれらの低吸水性のエポキシ樹脂や硬化剤を用いた材料では、成形品の硬度不足、硬化性不足によるパッケージの金型取られ、離型剤の過度の染み出しによる外観の悪化といった、連続成形性上の不具合があり、必ずしも満足できるものではなかった。
特開平1−275618号公報(第1〜5頁) 特開平5−097965号公報(第2〜6頁) 特開平5−097967号公報(第2〜7頁)
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、難燃性付与剤を使用することなく高い耐燃性を有し、成形性とりわけ連続成形性とパッケージ外観に優れ、かつ耐半田リフロー性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用いて半導体素子を封止してなる半導体装置を提供するものである。
本発明は、
[1](A)下記一般式(1)で示されるエポキシ樹脂、(B)下記一般式(2)で示されるフェノール樹脂、(C)無機充填剤、(D)トリアゾール系化合物、(E)下記一般式(3)で表されるシランカップリング剤、(F)芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物、及び(G)グリセリンと炭素数24以上36以下の飽和脂肪酸からなるグリセリントリ脂肪酸エステルを必須成分として含み、前記(C)無機充填剤を全エポキシ樹脂組成物中に84重量%以上、92重量%以下含み、(A)一般式(1)で示されるエポキシ樹脂が全エポキシ樹脂に対して70〜100重量%含み、(B)一般式(2)で示されるフェノール樹脂が全フェノール樹脂に対して70〜100重量%含み、(D)トリアゾール系化合物の配合量が全エポキシ樹脂組成物に対して0.01重量%以上2重量%以下であり、(E)下記一般式(3)で表されるシランカップリング剤の配合量が全エポキシ樹脂組成物に対して0.01重量%以上1重量%以下であり、(F)芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物の配合量が全エポキシ樹脂組成物に対して0.01重量%以上1重量%以下であり、(G)グリセリンと炭素数24以上36以下の飽和脂肪酸からなるグリセリントリ脂肪酸エステルの配合量が全エポキシ樹脂組成物に対して0.01重量%以上1重量%以下であることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
Figure 0004956982
(ただし、上記一般式(1)において、Rは水素または炭素数1〜4のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。aは0〜4の整数、bは0〜4の整数、cは0〜3の整数、dは0〜4の整数。nは平均値で、0〜10の正数。)
Figure 0004956982
(ただし、上記一般式(2)において、Rは水素または炭素数1〜4のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。aは0〜4の整数、bは0〜4の整数、cは0〜3の整数、dは0〜4の整数。nは平均値で、0〜10の正数。)
Figure 0004956982
(ただし、上記一般式(3)において、R1は炭素数1〜12の有機基、R2,R3,R4は炭素数1〜12の炭化水素基、nは1〜3の整数。)
[2] 前記(A)一般式(1)で示されるエポキシ樹脂の軟化点が35℃以上、60℃以下である第[1]項記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
[3] 前記(D)トリアゾール系化合物が1,2,4−トリアゾール環を有する化合物である第[1]項又は第[2]項記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
[4] 前記(D)トリアゾール系化合物が下記一般式(4)で示される化合物である第[1]項又は第[2]項記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
Figure 0004956982
(ただし、上記一般式(4)において、R1は水素原子、又はメルカプト基、アミノ基、水酸基、もしくはそれらの官能基が付加された炭化水素基を示す。)
[5] 前記(A)一般式(1)で示されるエポキシ樹脂と前記(B)一般式(2)で示されるフェノール樹脂とを予め溶融混合して得られる樹脂を用いる第[1]項ないし第[4]項のいずれかに記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
[6] さらに(H)硬化促進剤を含むものである第[1]項ないし第[5]項のいずれか記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物、
[7] 第[1]項ないし第[6]項のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を混合及び/又は溶融混練してなる半導体封止用エポキシ樹脂成形材料、
[8] 第[7]項記載の半導体封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置、
である。
本発明に従うと、ハロゲン系難燃剤、及びアンチモン化合物、その他の難燃性付与剤を使用することなく、難燃グレードがUL−94のV−0であり、かつ半導体素子、リードフレーム等の各種基材との密着性、特にNi、Ni−Pd、Ni−Pd−Au等のプレプレーティングフレームとの密着性に優れた特性を有し、吸湿後の半田処理においても半導体装置にクラックや基材との剥離が発生しない耐半田リフロー性に優れる特性を有する半導体封止用エポキシ、及びこれを用いて半導体素子を封止してなる半導体装置を得ることができる。
(A)一般式(1)で示されるエポキシ樹脂、(B)一般式(2)で示されるフェノール樹脂、(C)無機充填剤、(D)トリアゾール系化合物、(E)一般式(3)で表されるシランカップリング剤、(F)芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物、及び(G)グリセリンと炭素数24以上36以下の飽和脂肪酸からなるグリセリントリ脂肪酸エステルを必須成分として含み、前記(C)無機充填剤を全エポキシ樹脂組成物中に84重量%以上、92重量%以下含むことにより、ハロゲン系難燃剤、アンチモン化合物、その他の難燃性付与剤を使用せず、難燃グレードがUL−94のV−0であり、成形性とりわけ連続成形性とパッケージ外観に優れ、かつ耐半田リフロー性に優れた半導体封止用エポキシ樹脂組成物が得られるものである。
以下、各成分について詳細に説明する。
本発明で用いられる下記一般式(1)で示されるエポキシ樹脂(A)は、樹脂骨格が疎水性を示すので硬化物が低吸湿性を示すと共に、硬化物の架橋点間距離が長くなるため半田リフロー温度での弾性率が低い特長を有し、このため発生する応力が低く密着性にも優れるため、耐半田リフロー性が良好であり好ましい。更に、樹脂骨格に占める芳香族環含有率が高いために、樹脂そのものの耐燃性は比較的高いものである。下記一般式(1)中のRは水素または炭素数1〜4のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。aは0〜4の整数、bは0〜4の整数、cは0〜3の整数、dは0〜4の整数、nは平均値で0〜10の正数であるが、これらの内では硬化性の点から下記式(5)の樹脂等が好ましい。nが上記範囲内であると、樹脂の粘度が増大化することなく、成形時の樹脂組成物の流動性が低下することがないため、より一層の低吸湿化のための無機充填材の高充填化が可能となる。
Figure 0004956982
(ただし、上記一般式(1)において、Rは水素または炭素数1〜4のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。aは0〜4の整数、bは0〜4の整数、cは0〜3の整数、dは0〜4の整数。nは平均値で、0〜10の正数。)
Figure 0004956982
(ただし、上記式(5)において、nは平均値で、1〜10の正数。)
また本発明では、一般式(1)で示されるエポキシ樹脂(A)を用いることによる特徴を損なわない範囲で、他のエポキシ樹脂と併用することができる。併用することができるエポキシ樹脂は、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂(フェニレン骨格、ビフェニル骨格等を有する)、ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂、スチルベン型エポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、トリアジン核含有エポキシ樹脂等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。他のエポキシ樹脂を併用する場合の配合量としては、全エポキシ樹脂に対して、一般式(1)で示されるエポキシ樹脂(A)が、70〜100重量%であることが好ましい。一般式(1)で示されるエポキシ樹脂(A)の含有量が上記範囲内であると、吸湿率の増大、耐半田リフロー性の低下を抑えることができる。
本発明で用いられる下記一般式(2)で示されるフェノール樹脂(B)は、フェノール性水酸基間に疎水性で剛直なビフェニレン骨格を有しており、これを用いたエポキシ樹脂組成物の硬化物は低吸湿性を示すと共に、硬化物の架橋点間距離が長くなるためTgを超えた高温域での弾性率が低いという特長を有し、このため発生する応力が低く密着性にも優れるため、耐半田リフロー性が良好であり好ましい。またこれらのフェノール樹脂(B)は樹脂骨格に占める芳香族環含有率が高いために、樹脂そのものの耐燃性も高く、架橋密度が低い割には耐熱性が高いという特徴を有している。
下記一般式(2)中のRは水素または炭素数1〜4のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。aは0〜4の整数、bは0〜4の整数、cは0〜3の整数、nは平均値で0〜10の正数であるが、これらの内では硬化性の点から下記式(6)の樹脂等が好ましい。nが上記範囲内であると、樹脂の粘度が増大化することなく、成形時の樹脂組成物の流動性が低下することがないため、より一層の低吸湿化のための無機充填材の高充填化が可能となる。
Figure 0004956982
(ただし、上記一般式(2)において、Rは水素または炭素数1〜4のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。aは0〜4の整数、bは0〜4の整数、cは0〜3の整数、dは0〜4の整数。nは平均値で、0〜10の正数。)
Figure 0004956982
(ただし、上記式(6)において、nは平均値で0〜10の正数。)
本発明では、一般式(2)のフェノール樹脂(B)を配合することによる特徴を損なわない範囲で、他のフェノール樹脂を併用することができる。併用することができるフェノール樹脂は、1分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン樹脂、テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂、フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。他のフェノール樹脂を併用する場合の配合量としては、全フェノール樹脂に対して、一般式(2)で示されるフェノール樹脂(B)が70〜100重量%であることが好ましい。一般式(2)で示されるフェノール樹脂(B)の含有量が上記範囲内であると、吸湿率の増大、耐半田リフロー性の低下、耐燃性の低下を抑えることができる。
本発明では、前記一般式(1)で示されるエポキシ樹脂(A)と前記一般式(2)で示されるフェノール樹脂(B)とを予め溶融混合して得られる樹脂を用いることもできる。
本発明で用いられる全エポキシ樹脂のエポキシ基数(a)と全フェノール樹脂のフェノール性水酸基数(b)との当量比((a)/(b))としては、好ましくは0.5以上2以下であり、特に0.7以上1.5以下がより好ましい。上記範囲内であると、耐湿性、硬化性などの低下を抑えることができる。
本発明で用いられる無機充填材(C)としては、その種類について特に限定するものではなく、一般に封止材料に用いられているものを使用することができる。例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、ガラス繊維等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。これらのうちでは、特に溶融シリカが好ましい。溶融シリカとしては、破砕状、球状のいずれでも使用可能であるが、無機充填材の含有量を高め、且つエポキシ樹脂組成物の溶融粘度の上昇を抑えるためには、球状溶融シリカを主に用いる方がより好ましい。更に球状溶融シリカの含有量を高めるためには、球状溶融シリカの粒度分布をより広くとるよう調整することが望ましい。全無機充填材の含有量は、成形性、信頼性のバランスから全エポキシ樹脂組成物中に84重量%以上、92重量%以下であることが必須であり、好ましくは87重量%以上、92重量%以下である。上記範囲内であると、低吸湿性、低熱膨張性が得られずに耐半田リフロー性が不十分となるのを抑えることができ、また、流動性が低下して成形時に充填不良等が生じたり、高粘度化による半導体装置内の金線変形等の不都合が生じたりするのを抑えることができる。
本発明で用いられるトリアゾール系化合物(D)は、窒素原子を含んだ五員環構造を有する化合物である。トリアゾール系化合物(D)は、樹脂組成物の硬化物とプレプレーティングフレーム表面との親和性を改善し、界面の剥離を抑える効果があるため、樹脂組成物の硬化物で半導体素子を封止してなる半導体装置の耐湿信頼性、耐半田リフロー性を改善させる役割を果たす。従って、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
本発明で用いられるトリアゾール系化合物(D)としては、特に限定するものではないが、下記一般式(4)で示される化合物のように、少なくとも1つ以上のメルカプト基を有するトリアゾール系化合物であることが好ましい。メルカプト基を有するトリアゾール系化合物であると、プレプレーティングフレーム表面との親和性が高くなり、半導体装置の信頼性を向上させることができる。
Figure 0004956982
(ただし、上記一般式(4)において、R1は水素原子、又は、メルカプト基、アミノ基、水酸基もしくはそれらの官能基が付加された炭化水素鎖を示す。)
本発明で用いられるトリアゾール系化合物(D)の添加量は、特に限定するものではないが、樹脂組成物全体に対して、0.01重量%以上2重量%以下2重量%であることが好ましい。上記範囲内であると、フレームとの密着性を向上させることができ、また、組成物の流動性の低下や耐半田リフロー性の低下を抑えることができる。
本発明で用いられる下記一般式(3)で表されるシランカップリング剤(E)としては、例えば、N−フェニルγアミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニルγアミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルγアミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−ブチルγアミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γアミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γアミノプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げられ、最も好適に使用されるものとしては、N−フェニルγアミノプロピルトリメトキシシラン等である。下記一般式(3)で表されるシランカップリング剤(E)は、1種類を単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
Figure 0004956982
(ただし、上記一般式(3)において、R1は炭素数1〜12の有機基、R2,R3,R4は炭素数1〜12の炭化水素基、nは1〜3の整数。)
本発明で用いられる上記一般式(3)で表されるシランカップリング剤(E)は、エポキシ樹脂組成物の樹脂成分と無機充填剤との界面強度を向上させる効果を有するとともに、後述する芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物(F)と併用することにより、樹脂組成物の成形時の粘度を低くし、流動性を向上させるという相乗効果を示すことができるものである。
また、上記一般式(3)で表されるシランカップリング剤(E)の配合量は、特に限定されないが、全エポキシ樹脂組成物中0.01重量%以上1重量%以下が望ましく、より好ましくは0.05重量%以上0.8重量%以下である。上記範囲内であると、芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物(F)との相乗効果により、樹脂組成物の成形時の低粘度化と高流動化を得ることができ、また、硬化性の低下を抑えることができる。
本発明で用いられる芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物(F)(以下化合物(F)と称する)は、特に限定するものではなく、また水酸基以外の置換基を有していてもよく、例えば、下記一般式(7)で表される化合物、下記一般式(8)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0004956982
(上記一般式(7)において、R1、R5はどちらか一方が水酸基であり、片方が水酸基のとき他方は水素、水酸基又は水酸基以外の置換基。R2、R3、R4は水素、水酸基又は水酸基以外の置換基。
Figure 0004956982
(上記一般式(8)において、R1、R7はどちらか一方が水酸基であり、片方が水酸基のとき他方は水素、水酸基又は水酸基以外の置換基。R2、R3、R4、R5、R6は水素、水酸基又は水酸基以外の置換基。)
上記、一般式(7)で表される化合物の具体例としては、例えば、カテコール、ピロガロール、没食子酸、没食子酸エステル又はこれらの誘導体が挙げられる。また、一般式(8)で表される化合物の具体例としては、例えば、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレンおよびこれらの誘導体が挙げられる。これらのうち、流動性と硬化性の制御のしやすさから、芳香環を構成する2個の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物が好ましい。また、混練工程での揮発を考慮した場合には、母核は低揮発性で秤量安定性の高いナフタレン環である化合物とすることがより好ましい。流動性と硬化性の制御のしやすさ、及び混練工程での揮発の双方を考慮した場合には例えば、1,2−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレンおよびその誘導体等のナフタレン環を構成する2個の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物とすることができる。これらの化合物(F)は、1種類を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
本発明で用いられる化合物(F)の配合量は、全エポキシ樹脂組成物中0.01重量%以上1重量%以下が好ましく、より好ましくは0.03重量%以上0.8重量%以下である。化合物(F)の配合量が上記範囲内であると、シランカップリング剤(E)との相乗効果により低粘度化と高流動化が図れ、またエポキシ樹脂組成物の硬化が阻害され連続成形性に支障をきたすことを抑えることができる。また、エポキシ樹脂組成物の硬化物の物性低下や、半導体封止樹脂としての性能低下を抑えることができる。
本発明で用いられるグリセリントリ脂肪酸エステル(G)は、グリセリンと飽和脂肪酸より得られるトリエステルであり、離型性が非常に優れている。モノエステル、ジエステルでは残存する水酸基の影響によりエポキシ樹脂の硬化物の耐湿性が低下し、その結果として耐半田リフロー性に悪影響を及ぼすので好ましくない。本発明で用いられるグリセリントリ脂肪酸エステル(G)のうちでは、炭素数24以上36以下の飽和脂肪酸とのグリセリントリ脂肪酸エステルが、離型性と成形品外観の観点から望ましい。尚、本発明において、飽和脂肪酸の炭素数とは飽和脂肪酸中のアルキル基とカルボキシル基の炭素数を合計したものを指す。
本発明で用いられるグリセリントリ脂肪酸エステル(G)の滴点は、70℃以上、120℃以下が好ましく、より好ましくは80℃以上、110℃以下である。下限値未満だと熱安定性が十分でないため、連続成形時にグリセリントリ脂肪酸エステルの焼き付きが発生し、離型性が悪化し、連続成形性を損なう恐れがある。上限値を越えるとエポキシ樹脂組成物の硬化の際、グリセリントリ脂肪酸エステルが十分に溶融しないことにより、グリセリントリ脂肪酸エステルの分散性が低下し、グリセリントリ脂肪酸エステルの硬化物表面への偏析による金型汚れや樹脂硬化物外観の悪化を引き起こす恐れがある。酸価は10mg/KOH以上、50mg/KOH以下が好ましく、より好ましくは15mg/KOH以上、40mg/KOH以下である。酸価は樹脂硬化物との相溶性に影響し、下限値未満だとグリセリントリ脂肪酸エステルはエポキシ樹脂マトリックスと相分離を起こし、金型汚れや樹脂硬化物外観の悪化を引き起こす恐れがある。上限値を越えるとエポキシ樹脂マトリックスとの相溶性がよすぎるため、硬化物表面に染み出すことが出来ず、十分な離型性を確保することができない恐れがある。平均粒径は20μm以上、70μm以下が好ましく、より好ましくは30μm以上、60μm以下である。下限値未満だとグリセリントリ脂肪酸エステルがエポキシ樹脂マトリックスとの相溶性がよすぎるため、硬化物表面に染み出すことが出来ず、十分な離型付与効果が得られない恐れがある。上限値を越えるとグリセリントリ脂肪酸エステルが偏析し、金型汚れや樹脂硬化物外観の悪化を引き起こす恐れがある。また、エポキシ樹脂組成物の硬化の際、グリセリントリ脂肪酸エステルが十分に溶融しないことにより、流動性を阻害する恐れがある。また、全グリセリントリ脂肪酸エステル中における粒径106μm以上の粒子の含有比率は0.1重量%以下であることが好ましい。上限値を越えるとグリセリントリ脂肪酸エステルが偏析し、金型汚れや樹脂硬化物外観の悪化を引き起こす恐れがある。また、エポキシ樹脂組成物の硬化の際、グリセリントリ脂肪酸エステルが十分に溶融しないことにより、流動性を阻害する恐れがある。グリセリントリ脂肪酸エステルの含有量はエポキシ樹脂組成物中に、0.01重量%以上1重量%以下であり、好ましくは0.03重量%以上0.5重量%以下である。下限値未満だと離型性不足となり、上限値を越えるとリードフレーム部材との密着性が損なわれ、半田処理時に部材との剥離が発生する恐れがある。また、金型汚れや樹脂硬化物外観の悪化を引き起こす恐れがある。
本発明では、グリセリントリ脂肪酸エステル(G)を用いることによる効果を損なわない範囲で、他の離型剤を併用することもできる。併用することのできる離型剤としては、例えばカルナバワックス等の天然ワックス、ポリエチレンワックス等の合成ワックス、ステアリン酸やステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸及びその金属塩類等が挙げられる。
本発明で用いることができる硬化促進剤(H)は、エポキシ基とフェノール性水酸基との架橋反応を促進させるものであればよく、一般に封止材料に使用するものを用いることができる。例えば、1、8−ジアザビシクロ(5、4、0)ウンデセン−7等のジアザビシクロアルケン及びその誘導体、トリフェニルホスフィン、メチルジフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類、2−メチルイミダゾール等のイミダゾール化合物、テトラフェニルホスホニウム・テトラフェニルボレート等のテトラ置換ホスホニウム・テトラ置換ボレート等が挙げられ、これらは単独でも混合して用いても差し支えない。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記(A)〜(H)成分の他、必要に応じて、酸化ビスマス水和物等の無機イオン交換体、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等の前記(E)成分以外のシランカップリング剤、カーボンブラック、ベンガラ等の着色剤、シリコーンオイル、シリコーンゴム等の低応力成分、酸化防止剤等の各種添加剤を適宜配合してもよい。更に、必要に応じて無機充填材をエポキシ樹脂あるいはフェノール樹脂で予め処理して用いてもよく、処理の方法としては、溶媒を用いて混合した後に溶媒を除去する方法や、直接無機充填材に添加し、混合機を用いて処理する方法等がある。
本発明に用いるエポキシ樹脂組成物は、(A)〜(H)成分、その他の添加剤等を、例えば、ミキサーを用いて常温混合した後、ロール、ニーダー等の押出機等の混練機で溶融混練し、冷却後粉砕してエポキシ樹脂成形材料とすることができる。
本発明のエポキシ樹脂成形材料を用いて、半導体素子等の電子部品を封止し、半導体装置を製造するには、トランスファーモールド、コンプレッションモールド、インジェクションモールド等の従来からの成形方法で硬化成形すればよい。
以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。配合割合は重量部とする。
実施例1
エポキシ樹脂1:下記式(5)で示されるエポキシ樹脂(軟化点44℃、エポキシ当量234、式(5)においてn=3.4、以下E−1という)
6.21重量部
Figure 0004956982
フェノール樹脂1:下記式(6)で示されるフェノール樹脂(軟化点107℃、水酸基当量203、式(6)においてn=2.5、以下H−1という)
4.89重量部
Figure 0004956982
溶融球状シリカ(平均粒径25μm) 87.70重量部
下記式(9)で示される1,2,4−トリアゾール−5−チオール(試薬)
0.10重量部
Figure 0004956982
下記式(10)で示されるシランカップリング剤[信越化学製、KBM−573]
0.20重量部
Figure 0004956982
1,2−ジヒドロキシナフタレン 0.10重量部

グリセリントリメリシン酸エステル(滴点95℃、酸価30mg/KOH、平均粒径45μm、粒径106μm以上の粒子0.0重量%) 0.10重量部
グリセリントリモンタン酸エステル(クラリアントジャパン(株)製、リコルブWE4、滴点82℃、酸価25mg/KOH、平均粒径45μm、粒径106μm以上の粒子0.0重量%) 0.10重量部
1、8−ジアザビシクロ(5,4,0)ウンデセン−7(以下、DBUという)
0.20重量部
カーボンブラック 0.40重量部
をミキサーを用いて混合した後、表面温度が95℃と25℃の2本ロールを用いて混練し、冷却後粉砕してエポキシ樹脂成形材料を得た。得られたエポキシ樹脂成形材料の特性を以下の方法で評価した。結果を表1に示す。
評価方法
スパイラルフロー:低圧トランスファー成形機を用いて、EMMI−1−66に準じたスパイラルフロー測定用の金型に、金型温度175℃、注入圧力6.9MPa、硬化時間120秒の条件でエポキシ樹脂成形材料を注入し、流動長を測定した。単位はcm。80cm以下であるとパッケージ未充填などの成形不良が生じる。
密着強度:トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.8MPa、硬化時間120秒の条件で、リードフレーム上に2mm×2mm×2mmの密着強度試験片を1水準当たり10個成形した。リードフレームには銅フレームに銀メッキしたもの(フレーム1)とNiPd合金フレームに金メッキしたもの(フレーム2)の2種類を用いた。その後、自動せん断強度測定装置(DAGE社製、PC2400)を用いて、エポキシ樹脂組成物の硬化物とリードフレームとのせん断強度を測定した。試験片10個のせん断強度の平均値を表示した。単位はN/mm2
耐燃性:トランスファー成形機を用いて、成形温度175℃、注入圧力9.8Mpa、硬化時間120秒で試験片(127mm×12.7mm×1.6mm)を成形し、アフターベークとして175℃、8時間処理した後、UL−94垂直法に準じてΣF、Fmaxを測定し、耐燃性を判定した。
耐半田リフロー性:トランスファー成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.6MPa、硬化時間90秒で80pQFP(80pinプリプレーティングフレーム、NiPd合金にAuメッキしたもの、パッケージ外寸:14mm×20mm×2mm厚、パッドサイズ:8mm×8mm、チップサイズ:7mm×7mm)を成形し、175℃で8時間の後硬化をした。得られたパッケージを85℃、相対湿度60%の環境下で168時間加湿処理した。その後このパッケージを260℃の半田槽に10秒間浸漬した。半田に浸漬させたパッケージ10個を、超音波探傷装置を用いて観察し、半導体素子(チップ)及びリードフレーム(インナーリード部)とエポキシ樹脂組成物の硬化物との界面に剥離か発生した剥離発生率[(剥離発生パッケージ数)/(全パッケージ数)×100]を%で表示した。
連続成形性:低圧トランスファー自動成形機を用いて、金型温度175℃、注入圧力9.6MPa、硬化時間70秒で、80pQFP(Cu製リードフレーム、パッケージ外寸:14mm×20mm×2mm厚、パッドサイズ:6.5mm×6.5mm、チップサイズ6.0mm×6.0mm)を連続で500ショットまで成形した。判定基準は未充填等の問題が全く発生せずに500ショットまで連続成形できたものを○、それ以外を×とした。
成形品外観及び金型汚れ:上記連続成形性の評価において500ショット経過後のパッケージ及び金型について、目視で汚れを評価した。パッケージ外観判断及び金型汚れ基準は、汚れているものを×、500ショットまで汚れていないものを○で表す。
実施例2〜18、比較例1〜9
表1、2、3の配合に従い、実施例1と同様にしてエポキシ樹脂組成物を得て、実施例1と同様にして評価した。結果を表1、2、3に示す。
実施例1以外で用いた原材料を以下に示す。
エポキシ樹脂2:下記式(5)で示されるエポキシ樹脂(軟化点55℃、エポキシ当量236、式(5)においてn=4.1、以下E−2という)
Figure 0004956982
エポキシ樹脂3:オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(日本化薬(株)製、EOCN−1020 62、エポキシ当量200、軟化点62℃、以下E−3という)
フェノール樹脂2:パラキシリレン変性ノボラック型フェノール樹脂(三井化学(株)製、XLC−4L、水酸基当量168、軟化点62℃、以下H−2という)
溶融混合物A:E−1(55.9重量部)とH−1(44.1重量部)を120℃で30分間、溶融混合することにより得られた混合物。
下記式(11)で示される3−アミノ−1,2,4−トリアゾール−5−チオール(試薬)
Figure 0004956982
下記式(12)で示される3,5−ジメルカプト−1,2,4−トリアゾール(試薬)
Figure 0004956982
下記式(13)で示される3−ヒドロキシ−1,2,4−トリアゾール−5−チオール(試薬)
Figure 0004956982
下記式(14)で示される5−メルカプト−1,2,4−トリアゾール−3−メタノール(試薬)
Figure 0004956982
下記式(15)で示される2−(4'−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾール(川口化学)
Figure 0004956982
2,3−ジヒドロキシナフタレン (試薬)
Figure 0004956982
Figure 0004956982
Figure 0004956982
実施例1〜18は、一般式(1)で示されるエポキシ樹脂(A)の軟化点、配合割合、一般式(2)で示されるフェノール樹脂(B)の配合割合、トリアゾール化合物(D)の種類、配合量、一般式(1)で示されるエポキシ樹脂(A)と一般式(2)で示されるフェノール樹脂(B)との予備溶融混合の有無、無機充填剤(C)の配合割合、グリセリントリ脂肪酸エステル(G)の配合割合、化合物(F)の配合割合、一般式(3)で表されるシランカップリング剤(E)の配合割合に関わらず、いずれも、成形時の連続成形性、並びにパッケージ外観及び金型汚れという点で良好であり、かつ、その硬化物も高い耐燃性、密着性、耐半田リフロー性を示す結果となった。
これに対し、トリアゾール化合物(D)を用いていない比較例1は、成形時の連続成形性、パッケージ外観及び金型汚れという点で劣り、その硬化物もリードフレームとの密着性、耐半田リフロー性が劣る結果となった。また、トリアゾール化合物(D)の代わりに2−(4’−モルホリノジチオ)ベンゾチアゾールを用いた比較例2は、成形時の連続成形性は良好であったがパッケージ外観及び金型汚れという点では劣っており、その硬化物もリードフレームとの密着性、耐半田リフロー性で不充分な結果となった。また、無機充填剤(C)の配合割合が不足している比較例3は、成形時のパッケージ外観及び金型汚れという点で劣り、その硬化物も耐燃性、耐半田リフロー性が劣る結果となった。逆に、無機充填剤(C)の配合割合が過剰である比較例4は、流動性が低く未充填となった。また、一般式(1)で示されるエポキシ樹脂(A)の代わりにオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂を用いた比較例5は、耐半田リフロー性が著しく劣る結果となった。一般式(2)で示されるフェノール樹脂(B)の代わりにパラキシリレン変性ノボラック型フェノール樹脂を用いた比較例6は、成形時のパッケージ外観及び金型汚れという点で劣り、その硬化物も耐半田リフロー性が不充分な結果となった。一般式(3)で表されるシランカップリング剤(E)の代わりにγ−グリシジルプロピルトリメトキシシランを用いた比較例7は、成形時のパッケージ外観及び金型汚れという点で劣り、その硬化物もリードフレームとの密着性、耐半田リフロー性が劣る結果となった。化合物(F)を用いていない比較例8は、成形時のパッケージ外観及び金型汚れという点で劣り、その硬化物も耐半田リフロー性が不充分な結果となった。グリセリントリ脂肪酸エステル(G)の代わりにカルナバワックスを用いた比較例9は、流動性が低く未充填となった。
以上のとおり、本発明のエポキシ樹脂組成物を混合及び/又は溶融混練してなる半導体封止用エポキシ樹脂成形材料は、成形時の連続成形性、並びにパッケージ外観及び金型汚れという点で優れたものであり、かつ該半導体封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて半導体素子を封止してなる半導体装置は、耐燃性、密着性、耐半田リフロー性に優れたものとなることがわかった。
本発明により得られる半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、ハロゲン系難燃剤、及びアンチモン化合物、その他の難燃性付与剤を使用することなく、難燃グレードがUL−94のV−0であり、かつこれを用いて得られた半導体装置は、樹脂組成物の硬化物とリードフレーム、特にメッキを施された銅リードフレーム(銀メッキリードフレーム、ニッケルメッキリードフレーム、ニッケル/パラジウム合金に金メッキが施されたプレプリーティングフレーム等)との密着性に優れており、半導体実装時において優れた耐半田リフロー性を示すため、工業的な樹脂封止型半導体装置、特に表面実装用の樹脂封止型半導体装置の製造に好適に用いることができる。

Claims (8)

  1. (A)下記一般式(1)で示されるエポキシ樹脂、(B)下記一般式(2)で示されるフェノール樹脂、(C)無機充填剤、(D)トリアゾール系化合物、(E)下記一般式(3)で表されるシランカップリング剤、(F)芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物、及び(G)グリセリンと炭素数24以上36以下の飽和脂肪酸からなるグリセリントリ脂肪酸エステルを必須成分として含み、前記(C)無機充填剤を全エポキシ樹脂組成物中に84重量%以上、92重量%以下含み、(A)一般式(1)で示されるエポキシ樹脂が全エポキシ樹脂に対して70〜100重量%含み、(B)一般式(2)で示されるフェノール樹脂が全フェノール樹脂に対して70〜100重量%含み、(D)トリアゾール系化合物の配合量が全エポキシ樹脂組成物に対して0.01重量%以上2重量%以下であり、(E)下記一般式(3)で表されるシランカップリング剤の配合量が全エポキシ樹脂組成物に対して0.01重量%以上1重量%以下であり、(F)芳香環を構成する2個以上の隣接する炭素原子にそれぞれ水酸基が結合した化合物の配合量が全エポキシ樹脂組成物に対して0.01重量%以上1重量%以下であり、(G)グリセリンと炭素数24以上36以下の飽和脂肪酸からなるグリセリントリ脂肪酸エステルの配合量が全エポキシ樹脂組成物に対して0.01重量%以上1重量%以下であることを特徴とする半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
    Figure 0004956982
    (ただし、上記一般式(1)において、Rは水素または炭素数1〜4のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。aは0〜4の整数、bは0〜4の整数、cは0〜3の整数、dは0〜4の整数。nは平均値で、0〜10の正数。)
    Figure 0004956982
    (ただし、上記一般式(2)において、Rは水素または炭素数1〜4のアルキル基を示し、互いに同一であっても異なっていても良い。aは0〜4の整数、bは0〜4の整数、cは0〜3の整数、dは0〜4の整数。nは平均値で、0〜10の正数。)
    Figure 0004956982
    (ただし、上記一般式(3)において、R1は炭素数1〜12の有機基、R2,R3,R4は炭素数1〜12の炭化水素基、nは1〜3の整数。)
  2. 前記(A)一般式(1)で示されるエポキシ樹脂の軟化点が35℃以上、60℃以下である請求項1記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  3. 前記(D)トリアゾール系化合物が1,2,4−トリアゾール環を有する化合物である請求項1又は請求項2記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  4. 前記(D)トリアゾール系化合物が下記一般式(4)で示される化合物である請求項1又は請求項2記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
    Figure 0004956982
    (ただし、上記一般式(4)において、R1は水素原子、又はメルカプト基、アミノ基、水酸基、もしくはそれらの官能基が付加された炭化水素基を示す。)
  5. 前記(A)一般式(1)で示されるエポキシ樹脂と前記(B)一般式(2)で示されるフェノール樹脂とを予め溶融混合して得られる樹脂を用いる請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  6. さらに(H)硬化促進剤を含むものである請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の半導体封止用エポキシ樹脂組成物。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のエポキシ樹脂組成物を混合及び/又は溶融混練してなる半導体封止用エポキシ樹脂成形材料。
  8. 請求項7記載の半導体封止用エポキシ樹脂成形材料を用いて半導体素子を封止してなることを特徴とする半導体装置。
JP2005358494A 2005-12-13 2005-12-13 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置 Active JP4956982B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005358494A JP4956982B2 (ja) 2005-12-13 2005-12-13 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005358494A JP4956982B2 (ja) 2005-12-13 2005-12-13 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007161833A JP2007161833A (ja) 2007-06-28
JP4956982B2 true JP4956982B2 (ja) 2012-06-20

Family

ID=38245106

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2005358494A Active JP4956982B2 (ja) 2005-12-13 2005-12-13 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4956982B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009235164A (ja) * 2008-03-26 2009-10-15 Panasonic Electric Works Co Ltd 半導体封止用エポキシ樹脂組成物、及び該組成物を用いて半導体素子を封止して得られる片面封止型半導体装置
WO2016145650A1 (en) * 2015-03-19 2016-09-22 Ablestik (Shanghai) Ltd. Epoxy molding compound with high adhesion for nickel surface, method for preparing the same and uses thereof

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS62161820A (ja) * 1986-01-10 1987-07-17 Hitachi Chem Co Ltd エポキシ樹脂組成物
JP3377408B2 (ja) * 1997-07-15 2003-02-17 松下電工株式会社 封止用樹脂組成物及び半導体装置
JP4238431B2 (ja) * 1999-09-27 2009-03-18 住友ベークライト株式会社 エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2001106768A (ja) * 1999-10-04 2001-04-17 Toshiba Chem Corp エポキシ樹脂組成物および半導体封止装置
JP4411760B2 (ja) * 2000-09-06 2010-02-10 住友ベークライト株式会社 エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2002348442A (ja) * 2000-12-28 2002-12-04 Hitachi Chem Co Ltd 封止用エポキシ樹脂成形材料及び半導体装置
JP5008222B2 (ja) * 2001-01-26 2012-08-22 住友ベークライト株式会社 エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
US7023098B2 (en) * 2003-03-11 2006-04-04 Sumitomo Bakelite Company Resin composition for encapsulating semiconductor chip and semiconductor device therewith
JP4353180B2 (ja) * 2003-10-20 2009-10-28 住友ベークライト株式会社 エポキシ樹脂組成物および半導体装置
JP4691886B2 (ja) * 2004-02-12 2011-06-01 住友ベークライト株式会社 エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
WO2005097892A1 (ja) * 2004-03-30 2005-10-20 Sumitomo Bakelite Co., Ltd. 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007161833A (ja) 2007-06-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5487540B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
KR101254524B1 (ko) 에폭시 수지 조성물 및 반도체 장치
JP4946115B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP4892955B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP4687074B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP5277609B2 (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP5141125B2 (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2006328360A (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP4956982B2 (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP4984596B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP4973146B2 (ja) エポキシ樹脂組成物、封止用エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置
JP4682617B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP4561220B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2006282765A (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2008007692A (ja) 封止用エポキシ樹脂組成物及び電子部品装置
JP5029133B2 (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2008024757A (ja) 封止用エポキシ樹脂組成物、及び電子部品装置
JP2005281584A (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP5024073B2 (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP5186936B2 (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP5326975B2 (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物、および半導体装置
JP5179701B2 (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2006335830A (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP5332900B2 (ja) 半導体封止用エポキシ樹脂組成物及び半導体装置
JP2006335829A (ja) エポキシ樹脂組成物及び半導体装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20080707

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20110419

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110426

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110607

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20120221

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20120305

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150330

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4956982

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150