JP4955874B2 - 位置合わせ装置、露光装置、およびデバイス製造方法 - Google Patents
位置合わせ装置、露光装置、およびデバイス製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、精密な位置合わせ手段を備える装置、例えば電子回路パターンを半導体基板上に投影露光する縮小投影型露光装置等において、複数の対象物を相互に正確に位置合わせする位置合わせ方法および位置合わせ装置に関する。さらには、該位置合わせ装置を備える露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイナミックラム(DRAM)に代表される半導体の集積度は近年著しく高くなり、高集積化に伴って半導体素子上に形成されるパターン寸法はサブミクロンのオーダとなっている。このような背景から、半導体等のデバイスを製造する露光装置においては、マスク等の原版とウエハ等の基板の位置合わせ精度を向上させるための技術開発が盛んに行なわれている。半導体露光装置としては、縮小投影型のステッパ、あるいはスキャン露光装置であるスキャナが広く用いられている。図12は、従来例に係る露光装置の概略図および位置合わせ用マークを示す図であり、図12(a)は、従来例に係る縮小投影型の半導体露光装置の一例を概略図で示したものである。
【0003】
同図において、不図示の露光照明系から照射された露光光束は、レチクルR上に形成された電子回路パターンを、投影光学系1を介して2次元に移動可能なXYステージ11上に載置されたウエハWに投影、露光している。同図中、Sは位置合わせ用光学系であり、同図においては、x方向の位置を検出するものである。また、これと同様な不図示の位置合わせ用光学系が搭載されており、これによってy方向の位置を検出するようになっている。露光に先立ち、レチクルRとウエハWの相対的な位置合わせは、次のような手順により行なっている。
【0004】
不図示のウエハ搬送装置により、ウエハWがXYステージ11に載置されると、CPU9は1番目の計測ショットSS1に形成されている位置合わせ用マークM1xが、位置合わせ光学系Sの視野範囲内に位置するよう、ステージ駆動装置10に対してコマンドを送り、XYステージ11を駆動する。ここで、非露光光を照射する位置合わせ用照明装置2より照射された光束は、ビームスプリッタ3、レチクルR、および投影光学系1を介して、位置合わせ用マークM1x(以降ウエハマークと称する)を照明している。
【0005】
図12(b)はウエハマークM1xを示した図であり、同一形状の矩形パターンを一定ピッチλp で複数配置したものである。ウエハマークM1xから反射した光束は、再度投影光学系1、レチクルRを介してビームスプリッタ3に到達し、ここで反射して結像光学系4を介して撮像装置5の撮像面上にウエハマークM1xの像WMを形成する。撮像装置5において、マークM1xの像は光電変換され、A/D変換装置6にて2次元のディジタル信号列に変換される。7は積算装置を示す。積算装置7は、図12(b)に示すように、A/D変換装置6によりディジタル信号化されたウエハマーク像WM’に対して処理ウインドウWpを設定し、該ウインドウWp内において、図12(b)に示すY方向に移動平均処理を行い、2次元画像信号を1次元のディジタル信号列S(x)に変換している。
【0006】
8は位置検出装置であり、積算装置7から出力された1次元のディジタル信号列S(x)に対し、予め記憶しておいたテンプレートパターンを用いてパターンマッチを行ない、最もテンプレートパターンとのマッチ度が高いS(x)のアドレス位置を検出し、このアドレス位置を中央演算処理装置(CPU)9に出力する。この出力信号は、撮像装置5の撮像面を基準としたマーク位置であるため、CPU9は、予め不図示の方法により求められている撮像装置5とレチクルRとの相対的な位置から、ウエハマークM1xのレチクルRに対する位置ax1を計算により求めている。以上で1番目の計測ショットのx方向の位置ずれ量が計測されたことになる。次にCPU9は、1番目の計測ショットのy方向計測用マークM1yがy方向用位置合わせ光学系の視野範囲に入るよう、XYステージ11を駆動する。ここで、x方向計測と同様な手順でy方向の位置ずれ量ay1を計測する。以上で、1番目の計測ショットSS1での計測が終了したことになる。
【0007】
次に、CPU9は、2番目の計測ショットSS2に移動し、1番目と同様な手順でx、y方向の位置ずれ量を計測する。以下同様に、本装置は、予め定められた計測ショット数n(図12(b)ではn=8)分の計測を行ない、各々の計測ショットでの位置ずれ計測値axi,ayi(i=1,2,…n)を記憶する。
【0008】
CPU9は、このようにして得られた各計測ショットでの位置ずれ量から、次のようにしてウエハWのレチクルRに対する相対的な位置合わせを行なっている。
【0009】
CPU9は、各計測ショットでの設計上のマーク位置di =[dxi,ayi]T をウエハマーク計測によって得られた実際のマーク位置ai =[axi,ayi]T に補正変換により重ね合わせようとしたとき、補正の残差ei =[exi,eyi]T を含んだ補正位置gi =[gxi,gyi]T =[axi+exi,axi+exi]T とdi の関係が数式1として表されたとする。
【0010】
【数1】
【0011】
さらに数式2に示される補正の残差ei の2乗和が最小になるような変換パラメータA,Sを計算する。
【0012】
【数2】
【0013】
次に、CPU9は、AおよびSで定められた所定の変換パラメータを元にXYステージを駆動し、計測されたマーク位置と設計上のマーク位置との誤差が最小になるようなステップ&リピートを行なうことにより、ウエハ上に形成された全てのショットの露光を行なっている。
ここで、AおよびSは、数式3のように示される。
【0014】
【数3】
【0015】
数式3において、ax ,ay は、各々ウエハのx方向、y方向の伸びを表し、θx ,θy は各々ショット配列のx軸、y軸の回転成分を表している。また、Sはウエハ全体としての並行ずれを表している。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来例における方法によれば、全ての露光ショット(ES1〜ES32)で位置ずれ計測を行なわず、限られたサンプルショットを使って位置合わせを行なうため、装置のスループットが向上するメリットがある。
【0017】
しかしながら、露光ショット配列の非線形な歪みが発生した場合は、このような線形の補正では非線形誤差が大きくなり、補正精度を低下させてしまうという問題がある。また、補正精度を高めるため、露光ショット毎のアライメント、または一部の領域のみに限定した線形補正、いわゆるゾーンアライメント等の手法を用いた場合も、スループットと精度の両立は困難となる。さらに、マークを生成したレイアウトを露光する際に、露光装置のステージ駆動機構等に由来するステップ方向差オフセットやスキャン方向差オフセット等が生じている場合は、部分的な線形のゾーンアライメントや露光ショット近傍の計測値の重みを補正式に加味するアライメント方式ではアライメント精度を向上させることが難しいという欠点があった。
【0018】
本発明の課題は、高精度な位置合わせに有利な位置合わせ装置を提供することである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の位置合わせ装置は、基板上の複数のショットにそれぞれ形成された複数のマークの位置を計測して各ショットの位置を求め、各ショットを基準位置に位置合わせする位置合わせ装置であって、
各ショットの位置を求める処理手段を有し、
前記処理手段は、
前記基板上のショットの位置を、その設計上の位置を用いて表す式の係数を、計測された前記複数のマークの位置に基づいて決定し、
前記式によって求められたショットの位置と計測された該ショットの位置との間のずれ量のヒストグラムに基づいて、前記複数のショットを複数のクラスに分類し、
前記複数のクラスそれぞれにおいて、各ショットの近傍のショットの前記ずれ量を統計処理して各ショットの補正量を求め、
前記式によって求められたショットの位置をそれに対応する前記補正量で補正して該ショットの位置を求める、
ことを特徴とする位置合わせ装置である。
【0025】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施形態においては、複数の基板のそれぞれに予め所定の配列にしたがって形成された複数の位置合わせ対象物(各ショット位置に形成されているパターン)を所定の基準位置に順次位置合わせする位置合わせ方法であって、1枚の基板上に形成されている各位置合わせ対象物の位置を順次計測する第1工程と、前記計測位置とそれらの設計上の位置との関係を、所定の変換パラメータにより記述したときの各計測位置についての残差(ei)に基づく全計測位置の総体的な誤差(残差eiの2乗和)が最小になるように該変換パラメータ(B,Θ,S)を決定する第2工程と、前記決定された変換パラメータに従って各位置合わせ対象物の位置を求め、さらに予めショット毎に記憶されている補正テーブルの補正量(Oi )にて対象物の位置を補正する第3工程と、この決定された各位置合わせ対象物の位置を前記基準位置に順次位置するように前記他の基板を移動させる第4工程とを具備する。
【0026】
また本発明の好ましい実施形態においては、複数の基板のそれぞれに予め所定の配列に従って形成された複数の位置合わせ対象物を所定の基準位置に順次位置合わせする位置合わせ装置であって、1枚の基板上に形成されている各位置合わせ対象物の位置を順次計測する第1の位置計測手段(CPU9、位置合わせ光学系S、ステージ駆動装置10等)と、前記計測位置とそれらの設計上の位置との関係を、所定の変換パラメータにより記述したときの各計測位置についての残差に基づく全計測位置の総体的な誤差が最小になるように該変換パラメータを決定する第1のパラメータ決定手段(CPU9)と、前記決定された変換パラメータと予め記憶手段(12)に記憶された補正テーブルを参照し補正された位置を決定する位置決定手段(CPU9)と、この決定された各位置合わせ対象物の位置を前記基準位置に順次位置するように前記他の基板を移動させる基板移動手段(CPU9、ステージ駆動装置10等)とを具備する。
【0027】
ここで、括弧内の記載は、後述する実施例において対応する構成要素を示す。
さらに本実施形態の位置合わせ方法および/または位置合わせ装置においては、位置合わせ対象物の位置の計測は、その設計上の位置からのずれ量を計測することにより行うことができる。また、位置合わせ対象物の補正テーブルとしては、対象物毎に組になった補正偏差量や、基板の座標と偏差量の組で表されたデータのリストを用いることができる。さらに、補正テーブルは、複数の基板のうちの全部または一部を予め先行して位置合わせし、その結果を用いて露光したいわゆる先行ウエハのアライメント誤差をそのまま、あるいは線形エラーを排除した非線形成分に分離して、さらに必要に応じて一定クラスタに分割し、クラスタ毎の統計処理を施した結果を用いることができる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明の実施例について具体的に説明する。
(第1の実施例)
図1は、本発明の第1の実施例に係る位置合わせ装置を有する露光装置を示す概略図である。同図において、位置合わせ光学系S、A/D変換装置6、積算装置7、および位置検出装置8の機能は従来例と同様であるので、ここでは詳細な説明は省くが、本実施例では従来例の構成に加えて記憶装置12が追加されている。以下に、本実施例による位置合わせ方法および位置合わせ装置について説明する。
【0029】
図2は、図1の露光装置における露光シーケンスの一例を示すフローチャートである。不図示のウエハ搬送装置により、ウエハW1がXYステージ11に載置される(ステップ201)と、CPU9は1番目のサンプルショットSS1に形成されている位置合わせ用マークM1xが、位置合わせ光学系Sの視野範囲内に位置するよう、ステージ駆動装置10に対してコマンドを送り、XYステージ11を駆動する(ステップ202)。非露光光を照射する位置合わせ用照明手段2より照射された光束は、ビームスプリッタ3、レチクルR、および投影光学系1を介して、位置合わせ用マークM1xを照明している。位置合わせマークM1xは、図12(b)で示した格子状マークである。
【0030】
A/D変換装置6、積算装置7、および位置検出装置8は、従来例で説明したのと同様な方法で、レチクルRとマークM1xとの相対的な位置ずれ量を求める。次に、CPU9は、y方向の位置合わせマークであるM1yが、位置合わせ光学系Sの視野範囲に入るよう、XYステージ11を駆動し(ステップ202)、M1xと同様な方法でレチクルRとマークM1yとの相対的な位置ずれ量を求める。
【0031】
CPU9は、XYステージ11を2番目のサンプルショットSS2のx方向計測用マークM2xが位置合わせ光学系Sの視野範囲に入るよう移動し、以下SS1と同様にSS2,SS3,SS4,…,SS8とウエハW1上に形成されている露光ショットのうちの予め設定されたサンプルショットについて、そのx方向ずれとy方向ずれ量を計測する。このときのウエハW1上に位置する露光ショットとサンプルショットを図3(a)に示す。
【0032】
ステップ203でサンプルショットの計測が終了した場合、CPU9は、各露光ショットの設計上の位置di =[dxi,dyi]T をウエハマーク計測(ステップ204)によって得られた実際のショット位置ai =[axi,ayi]T に補正変換により重ね合わせようとしたとき、補正の残差ei =[exi,eyi]T を含んだ補正位置gi =[gxi,gyi]T =[axi,+exi,axi+exi]T とdi の関係が数式4のように示されたとする。
【0033】
【数4】
【0034】
CPU9は、補正の残差ei の2乗和が最小になるような変換パラメータB,Θ,Sを、数式5として示されたときのVが最小になる条件の元に計算する(ステップ205)。
【0035】
【数5】
【0036】
数式4におけるB,Θ,Sは、数式6として示される。
【0037】
【数6】
【0038】
数式6において、βx ,βy は各々ウエハのx方向、y方向の伸びを表し、θx ,θy は各々ショット配列のx軸、y軸の回転成分を表している。また、Sはウエハ全体としての並行ずれを表している。これらの変換パラメータは、ウエハW1に形成されているパターンの、理想的な位置からのずれの誤差要因として、倍率成分、回転成分、並行ずれ成分を表している。
【0039】
次に、CPU9は求めた変換パラメータβx ,βy ,θx ,θy ,sx ,sy に従った配列位置を露光ショット毎に算出する。一方、記憶装置12には予め記憶された露光ショット毎の非線形誤差が格納されている。この予め記憶されている誤差を、Oi =[oxi,oyi]T としたときに、i番目の露光ショット(ESi)の位置は数式7として示される。
【0040】
【数7】
【0041】
次に、CPU9は求めた変換パラメータにより設計上のショット配列格子を変換した格子に従ってXYステージ11をステップ&リピート駆動し、ウエハW1の各ショットを順次露光し(ステップ206)、全てのショットの露光が終了した時点でウエハW1をウエハ搬送装置により排出し(ステップ207)、不図示のウエハ収納キャリアに収納する。ステップ208では最終ウエハか否かを判断する。ステップ208でNoの場合、つまりウエハW1と同様に次のウエハW2がXYステージ11に載置されると、CPU9はやはりウエハW1と同様、各サンプルショットについて位置合わせマークを計測し、変換パラメータを算出する。
【0042】
図3(b)は、図1の記憶装置12に予め記憶された露光ショット毎の補正値を示す図である。一般に、非線形誤差はロットを通じて一定していると考えられる。そのため、次のウエハW2についても同様に算出された変換パラメータと図3(b)に示すように記憶装置12に予め記憶された露光ショット毎の補正値Oiを用いて露光位置を上記した数式7に従って算出する。
【0043】
次に、CPU9は求めた変換パラメータにより設計上のショット配列格子を変換した格子に従ってXYステージ11をステップ&リピート駆動し、ウエハW2の各ショットを順次露光し(ステップ206)、全てのショットの露光が終了した時点で、ウエハW2をウエハ搬送装置により排出し(ステップ207)、不図示のウエハ収納キャリアに収納する。以上のシーケンスをロットが終了(ステップ208でYes)するまで繰り返す。
【0044】
ここで、補正テーブルの作成方法について説明する。本実施例では、予め露光しようとする複数のウエハのうちの1ないし数枚を抜き取り、実際にアライメントして露光する。これを不図示のずれ量計測装置にて計測する。この計測値にはアライメントと同様に、変換パラメータB,Θ,Sで表される線形成分と線形補正後の非線形成分がある。次に、CPU9は、ウエハアライメントと同様のシーケンスにて線形成分と非線形成分を分離し、その非線形成分をそのまま記憶装置12の補正テーブルに格納する。
【0045】
補正テーブルは、ジョブが終了した時点で削除してもよいし、不図示のオンラインホストコンピュータに転送し、同様のロットを露光する際にオンラインホストコンピュータから転送し、記憶装置12の補正テーブルを書換えてもよい。また、露光結果の非線形成分のヒストグラムを作成し、平均値または中央値から所定の異常値リミットを越える非線形データについてはリジェクトし、そのショットの近傍の非線形データの平均値または中央値を用いてもよい。これには、計測エラーや計測ばらつきに起因する非線形成分を排除する効果がある。これらの判断基準は、オペレータ指定の異常リミット値であるが、CPU9は不図示のコンソール装置から特定のショットの補正量をオペレータが指定する入力値に書換え、記憶装置12に格納できるようにもなっている。
【0046】
本実施例においては、先行ウエハの露光結果をフィードバックするかわりに、露光装置で予め数枚のウエハについて全ショットまたは複数のショットについてアライメントのみを実施し、その線形補正後の非線形残差を統計処理し、補正テーブルに格納してもよい。図4は、この場合の露光シーケンスを示すフローチャートである。ステップ401では、先行ウエハを選別する。統計処理は、平均値、中央値、あるいは所定の指定された異常値リミットを用いた平均値、中央値処理でもよい。また、高次関数によるフィッティングを実施してもよい。アライメントのみを実施することで、露光・現像・ずれ量計測を省略することができ、スループットが向上する。この際、先行ウエハをレジスト未塗布の状態でアライメントしてもよい。こうすることで、レジスト塗布むらの計測精度に及ぼす影響を排除することができ、より高精度の補正テーブルを作成することが可能となる。
【0047】
また本実施例においては、同一の先行ウエハを、レジスト未塗布の場合とレジストを塗布した場合の二例について、CPU9にてアライメントのみを実施してもよい。この二例から得られたそれぞれの変換パラメータと非線形成分は、記憶装置12にデータファイルとして格納される。次に、CPU9は、図4のフローチャートに従ってウエハを順次アライメントする(ステップ402)。この際、それぞれのウエハについて求めた変換パラメータについて、さらにCPU9は記憶装置12に格納されたレジスト未塗布ウエハの補正パラメータからレジスト塗布ウエハの補正パラメータを減算したオフセットを加算し、これを新たな補正パラメータとし、さらにレジスト未塗布ウエハの非線形成分を補正テーブルに上書きし、露光位置を数式7に従って算出する。
【0048】
次に、先行ウエハの露光結果または先行ウエハのアライメント結果に装置固有の方向オフセットが発生している場合の補正テーブルの求め方を説明する。装置固有の方向オフセットとは、ステージがステップする方向に依存してオフセットが発生するステップ方向オフセットや、スキャナにおけるスキャン方向に依存してオフセットが発生するスキャン方向差オフセット等がある。このような系統的な非線形成分が発生している場合、非線形成分の分布は正規分布に従わず、発生要因別に極を持つ分布となる。よって、先行ウエハの露光結果または先行ウエハのアライメント結果の計測系の計測ばらつきを補正するために単純な統計処理(ステップ406)をした場合、これらの方向オフセットの分布が極を持ち、なおかつ近傍ショットの方向オフセットが同系統とは限らないため、むしろ補正精度を悪化させることになる。
【0049】
そこで、本実施例では、ステップ405にてYesの場合、補正残差をクラスタリングし、発生要因に応じた数のクラス、すなわち2ないし4程度に分類している(ステップ407)。この分類のアルゴリズムは、クラス間分散を最大にする判別分析法を用いている。分類された各クラスに対して、それぞれ前記統計処理を施し(ステップ408)、それぞれの位置合わせマークの補正量を決定することにより、方向差オフセットの影響を受けず、なおかつ計測系の計測ばらつきを低減させることで高精度のアライメントが可能となっている。
【0050】
スキャン方向オフセットが発生している場合の例として、単純な近傍平均化処理を施した例である図5と、クラスタリングして近傍平均化した例である図6を示す。ここで、図5(a)は図1の記憶装置12に予め記憶された露光ショット毎の補正値を示す図であり、図5(b)は補正値のヒストグラムを示す図である。また、図6(a)は図1の記憶装置12に予め記憶された露光ショット毎の補正値を示す図であり、図6(b)は補正値のヒストグラムを示す図である。クラスタリングすることにより、スキャン方向別の統計処理が可能となり、スキャン方向別に最適の平均化が可能となっている。
【0051】
図4においては、さらに上述した補正テーブルの登録を行ない(ステップ409)、ウエハ再生を行ない(ステップ410)、補正テーブルを用いたアライメントおよび露光を行なう(ステップ411)。
【0052】
本方式では、露光結果または先行ウエハのアライメント結果から自動的に方向オフセットを抽出できる効果もある。その場合は、補正テーブルにクラス毎の統計結果(平均値、中央値等)を各クラスに属するショットの補正値に採用すればよい。
【0053】
また本実施例においては、線形な変換パラメータに加え予め設定された非線形の変換パラメータ(例えば2次の項)を加えてもよい。この場合は予め設定されている非線形成分からのエラー成分が補正可能となる。
【0054】
(第2の実施例)
次に、本発明の第2の実施例について説明する。
第1の実施例では、補正テーブルの補正量は露光ショットと対になって格納されていたが、本実施例ではウエハ上の補正すべき位置座標と補正量の対となって記憶装置(12)に保存されている。第1の実施例では補正テーブルを作成する際に、ずれ量測定装置から出力されるずれ量データとショットのデータを露光装置が持っているショットと対応づける必要があったが、本実施例ではずれ量測定装置から出力されるデータを計測点のウエハ上座標に変換し、そのまま補正テーブルに格納することもできる。本方式は、座標と補正量の組を格納することにより、ずれ量検定装置のショット情報と露光装置のショット情報の対応づけが不要になるメリットがある。また、特定ショットの近傍を検索する場合には、ショットとショットの座標を補正テーブルのみの情報で比較することが可能となる。
【0055】
(半導体生産システムの実施例)
次に、半導体デバイス(ICやLSI等の半導体チップ、液晶パネル、CCD、薄膜磁気ヘッド、マイクロマシン等)の生産システムの例を説明する。これは半導体製造工場に設置された製造装置のトラブル対応や定期メンテナンス、あるいはソフトウェア提供などの保守サービスを、製造工場外のコンピュータネットワークを利用して行うものである。
【0056】
図7は全体システムをある角度から切り出して表現したものである。図中、101は半導体デバイスの製造装置を提供するベンダー(装置供給メーカー)の事業所である。製造装置の実例として、半導体製造工場で使用する各種プロセス用の半導体製造装置、例えば、前工程用機器(露光装置、レジスト処理装置、エッチング装置等のリソグラフィ装置、熱処理装置、成膜装置、平坦化装置等)や後工程用機器(組立て装置、検査装置等)を想定している。事業所101内には、製造装置の保守データベースを提供するホスト管理システム108、複数の操作端末コンピュータ110、これらを結んでイントラネットを構築するローカルエリアネットワーク(LAN)109を備える。ホスト管理システム108は、LAN109を事業所の外部ネットワークであるインターネット105に接続するためのゲートウェイと、外部からのアクセスを制限するセキュリティ機能を備える。
【0057】
一方、102〜104は、製造装置のユーザーとしての半導体製造メーカーの製造工場である。製造工場102〜104は、互いに異なるメーカーに属する工場であっても良いし、同一のメーカーに属する工場(例えば、前工程用の工場、後工程用の工場等)であっても良い。各工場102〜104内には、夫々、複数の製造装置106と、それらを結んでイントラネットを構築するローカルエリアネットワーク(LAN)111と、各製造装置106の稼動状況を監視する監視装置としてホスト管理システム107とが設けられている。各工場102〜104に設けられたホスト管理システム107は、各工場内のLAN111を工場の外部ネットワークであるインターネット105に接続するためのゲートウェイを備える。これにより各工場のLAN111からインターネット105を介してベンダー101側のホスト管理システム108にアクセスが可能となり、ホスト管理システム108のセキュリティ機能によって限られたユーザーだけがアクセスが許可となっている。具体的には、インターネット105を介して、各製造装置106の稼動状況を示すステータス情報(例えば、トラブルが発生した製造装置の症状)を工場側からベンダー側に通知する他、その通知に対応する応答情報(例えば、トラブルに対する対処方法を指示する情報、対処用のソフトウェアやデータ)や、最新のソフトウェア、ヘルプ情報などの保守情報をベンダー側から受け取ることができる。各工場102〜104とベンダー101との間のデータ通信および各工場内のLAN111でのデータ通信には、インターネットで一般的に使用されている通信プロトコル(TCP/IP)が使用される。なお、工場外の外部ネットワークとしてインターネットを利用する代わりに、第三者からのアクセスができずにセキュリティの高い専用線ネットワーク(ISDNなど)を利用することもできる。また、ホスト管理システムはベンダーが提供するものに限らずユーザーがデータベースを構築して外部ネットワーク上に置き、ユーザーの複数の工場から該データベースへのアクセスを許可するようにしてもよい。
【0058】
図8は本実施形態の全体システムを図7とは別の角度から切り出して表現した概念図である。先の例ではそれぞれが製造装置を備えた複数のユーザー工場と、該製造装置のベンダーの管理システムとを外部ネットワークで接続して、該外部ネットワークを介して各工場の生産管理や少なくとも1台の製造装置の情報をデータ通信するものであった。これに対し本例は、複数のベンダーの製造装置を備えた工場と、該複数の製造装置のそれぞれのベンダーの管理システムとを工場外の外部ネットワークで接続して、各製造装置の保守情報をデータ通信するものである。図中、201は製造装置ユーザー(半導体デバイス製造メーカー)の製造工場であり、工場の製造ラインには各種プロセスを行う製造装置、ここでは例として露光装置202、レジスト処理装置203、成膜処理装置204が導入されている。なお図7では製造工場201は1つだけ描いているが、実際は複数の工場が同様にネットワーク化されている。工場内の各装置はLAN206で接続されてイントラネットを構成し、ホスト管理システム205で製造ラインの稼動管理がされている。一方、露光装置メーカー210、レジスト処理装置メーカー220、成膜装置メーカー230などベンダー(装置供給メーカー)の各事業所には、それぞれ供給した機器の遠隔保守を行なうためのホスト管理システム211, 221, 231を備え、これらは上述したように保守データベースと外部ネットワークのゲートウェイを備える。ユーザーの製造工場内の各装置を管理するホスト管理システム205と、各装置のベンダーの管理システム211, 221, 231とは、外部ネットワーク200であるインターネットもしくは専用線ネットワークによって接続されている。このシステムにおいて、製造ラインの一連の製造機器の中のどれかにトラブルが起きると、製造ラインの稼動が休止してしまうが、トラブルが起きた機器のベンダーからインターネット200を介した遠隔保守を受けることで迅速な対応が可能で、製造ラインの休止を最小限に抑えることができる。
【0059】
半導体製造工場に設置された各製造装置はそれぞれ、ディスプレイと、ネットワークインターフェースと、記憶装置にストアされたネットワークアクセス用ソフトウェアならびに装置動作用のソフトウェアを実行するコンピュータを備える。記憶装置としては内蔵メモリやハードディスク、あるいはネットワークファイルサーバーなどである。上記ネットワークアクセス用ソフトウェアは、専用又は汎用のウェブブラウザを含み、例えば図9に一例を示す様な画面のユーザーインターフェースをディスプレイ上に提供する。各工場で製造装置を管理するオペレータは、画面を参照しながら、製造装置の機種(401)、シリアルナンバー(402)、トラブルの件名(403)、発生日(404)、緊急度(405)、症状(406)、対処法(407)、経過(408)等の情報を画面上の入力項目に入力する。入力された情報はインターネットを介して保守データベースに送信され、その結果の適切な保守情報が保守データベースから返信されディスプレイ上に提示される。またウェブブラウザが提供するユーザーインターフェースはさらに図示のごとくハイパーリンク機能(410〜412)を実現し、オペレータは各項目の更に詳細な情報にアクセスしたり、ベンダーが提供するソフトウェアライブラリから製造装置に使用する最新バージョンのソフトウェアを引出したり、工場のオペレータの参考に供する操作ガイド(ヘルプ情報)を引出したりすることができる。ここで、保守データベースが提供する保守情報には、上記説明した本発明の特徴に関する情報も含まれ、また前記ソフトウェアライブラリは本発明の特徴を実現するための最新のソフトウェアも提供する。
【0060】
次に上記説明した生産システムを利用した半導体デバイスの製造プロセスを説明する。図10は半導体デバイスの全体的な製造プロセスのフローを示す。ステップ1(回路設計)では半導体デバイスの回路設計を行なう。ステップ2(マスク製作)では設計した回路パターンを形成したマスクを製作する。一方、ステップ3(ウエハ製造)ではシリコン等の材料を用いてウエハを製造する。ステップ4(ウエハプロセス)は前工程と呼ばれ、上記用意したマスクとウエハを用いて、リソグラフィ技術によってウエハ上に実際の回路を形成する。次のステップ5(組み立て)は後工程と呼ばれ、ステップ4によって作製されたウエハを用いて半導体チップ化する工程であり、アッセンブリ工程(ダイシング、ボンディング)、パッケージング工程(チップ封入)等の組立て工程を含む。ステップ6(検査)ではステップ5で作製された半導体デバイスの動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行なう。こうした工程を経て半導体デバイスが完成し、これを出荷(ステップ7)する。前工程と後工程はそれぞれ専用の別の工場で行い、これらの工場毎に上記説明した遠隔保守システムによって保守がなされる。また前工程工場と後工程工場との間でも、インターネットまたは専用線ネットワークを介して生産管理や装置保守のための情報がデータ通信される。
【0061】
図11は上記ウエハプロセスの詳細なフローを示す。ステップ11(酸化)ではウエハの表面を酸化させる。ステップ12(CVD)ではウエハ表面に絶縁膜を成膜する。ステップ13(電極形成)ではウエハ上に電極を蒸着によって形成する。ステップ14(イオン打込み)ではウエハにイオンを打ち込む。ステップ15(レジスト処理)ではウエハに感光剤を塗布する。ステップ16(露光)では上記説明した露光装置によってマスクの回路パターンをウエハに焼付露光する。ステップ17(現像)では露光したウエハを現像する。ステップ18(エッチング)では現像したレジスト像以外の部分を削り取る。ステップ19(レジスト剥離)ではエッチングが済んで不要となったレジストを取り除く。これらのステップを繰り返し行なうことによって、ウエハ上に多重に回路パターンを形成する。各工程で使用する製造機器は上記説明した遠隔保守システムによって保守がなされているので、トラブルを未然に防ぐと共に、もしトラブルが発生しても迅速な復旧が可能で、従来に比べて半導体デバイスの生産性を向上させることができる。
【0062】
【発明の効果】
本発明によれば、高精度な位置合わせに有利な位置合わせ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施例に係る位置合わせ装置を有する露光装置を示す概略図である。
【図2】 図1の露光装置における露光シーケンスの一例を示すフローチャートである。
【図3】 (a)はウエハ上に位置する露光ショットとサンプルショットの一例を示す図、(b)は図1の記憶装置12に予め記憶された露光ショット毎の補正値を示す図である。
【図4】 本発明の一実施例に係る予め数枚のウエハについて全ショットまたは複数のショットについてアライメントのみを実施し、その線形補正後の非線形残差を統計処理し、補正テーブルに格納する場合の露光シーケンスを示すフローチャートである。
【図5】 本発明の一実施例に係る単純な近傍平均化処理を施した例であり、(a)は図1の記憶装置12に予め記憶された露光ショット毎の補正値を示す図、(b)は補正値のヒストグラムを示す図である。
【図6】 本発明の一実施例に係るクラスタリングして近傍平均化した例であり、(a)は図1の記憶装置12に予め記憶された露光ショット毎の補正値を示す図、(b)は補正値のヒストグラムを示す図である。
【図7】 本発明の一実施例に係る半導体デバイスの生産システムをある角度から見た概念図である。
【図8】 本発明の一実施例に係る半導体デバイスの生産システムを別の角度から見た概念図である。
【図9】 本発明の一実施例に係るユーザーインターフェースの具体例を示す図である。
【図10】 本発明の一実施例に係るデバイスの製造プロセスのフローを説明する図である。
【図11】 本発明の一実施例に係るウエハプロセスを説明する図である。
【図12】 従来例に係る露光装置の概略図および位置合わせ用マークを示す図であり、(a)は従来例に係る縮小投影型の半導体露光装置の一例を示す概略図、(b)は位置合わせ用マークを示す図である。
【符号の説明】
1:投影光学系、2:位置合わせ用照明装置、3:ビームスプリッタ、4:結像光学系、5:撮像装置、6:A/D変換装置、7:積算装置、8:位置検出装置、9:CPU、10:ステージ駆動装置、11:XYステージ、12:記憶装置、S:位置合わせ光学系、R:レチクル、W:ウエハ。
Claims (8)
- 基板上の複数のショットにそれぞれ形成された複数のマークの位置を計測して各ショットの位置を求め、各ショットを基準位置に位置合わせする位置合わせ装置であって、
各ショットの位置を求める処理手段を有し、
前記処理手段は、
前記基板上のショットの位置を、その設計上の位置を用いて表す式の係数を、計測された前記複数のマークの位置に基づいて決定し、
前記式によって求められたショットの位置と計測された該ショットの位置との間のずれ量のヒストグラムに基づいて、前記複数のショットを複数のクラスに分類し、
前記複数のクラスそれぞれにおいて、各ショットの近傍のショットの前記ずれ量を統計処理して各ショットの補正量を求め、
前記式によって求められたショットの位置をそれに対応する前記補正量で補正して該ショットの位置を求める、
ことを特徴とする位置合わせ装置。 - 前記式は、ショットの設計上の位置座標に関して1次の多項式である、ことを特徴とする請求項1に記載の位置合わせ装置。
- 前記式は、ショットの設計上の位置座標に関して2次の項を含む多項式である、ことを特徴とする請求項1に記載の位置合わせ装置。
- 前記係数の決定は、最小2乗法により行う、ことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の位置合わせ装置。
- 前記クラスの分類は、前記複数のショットを3以上の複数のクラスに分類するように、判別分析法により行う、ことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の位置合わせ装置。
- 前記統計処理は、平均値または中央値を求める処理を含む、ことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の位置合わせ装置。
- 請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の位置合わせ装置を含み、
前記位置合わせ装置により前記基準位置に位置合わせされた各ショットを露光する、
ことを特徴とする露光装置。 - 請求項7に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
前記工程で露光された前記基板を現像する工程と、
を含むことを特徴とするデバイス製造方法。
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