JP4955864B2 - 窒化珪素製細長物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、直動軸受用レール等の厳しい真直度が要求される窒化珪素製細長物の製造方法に関する。特に詳しくは、焼成時に反りが発生しやすい直動軸受用レール等の窒化珪素製細長物について、焼成後に所定の加熱処理を施して反りを矯正する窒化珪素製細長物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、直動軸受用レールや、軸、熱電対保護管などのセラミック製細長物に対し、寸法精度の良好なものが望まれている。
【0003】
上記のセラミック製細長物は、焼成時に反りが発生しやすく、寸法精度に狂いが生じることが多い。反りの原因としては、焼成炉内の温度差、成形体の形状、成形体の密度差等が考えられる。このような反り解消手段としては、細長物では、従来から、成形体を吊って焼成する、いわゆる吊り焼成が採られているが、反り解消のためには充分ではなかった。
【0004】
一方、反り量を加味して焼結体寸法を設定すると、原料ロスや研削代が増加し、コストアップにつながる。特に、直動軸受用レール等は、厳しい真直度が要求されるため、焼結体の反り具合によって焼成後の研削代が所定以上に大きくなりコストに大きく影響する。
そこで、特開昭61−44782号公報では、セラミック磁器をスライシング後、3〜10g/cm2の加重をかけ500〜900℃の範囲で熱処理を行うことにより、スライシングによる歪み(反り)を取り除くことが提案されている。
【0005】
しかしながら、この方法によっても、直動軸受用レール等の窒化珪素製細長物に発生した反りを充分に矯正することはできなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、上記した従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、厳しい真直度が要求されるとともに焼成時に反りが発生しやすい直動軸受用レール等の窒化珪素製細長物について、反りが矯正された真直度の優れた窒化珪素製細長物の製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明によれば、断面における外周寸法の総和に対して3倍以上の長さを有する部材である窒化珪素製角柱細長物(傘部を有する形状を除く。)の焼結体に対し、5MPa以上の曲げ応力を付与しつつ1300〜1500℃の範囲の温度で加熱することにより、反りを矯正して矯正後の反り量を0.5mm以下とすることを特徴とする窒化珪素製細長物の製造方法、が提供される。
本発明においては、細長物焼結体の長手方向に垂直な方向に曲げ応力を付与することが好ましい。この窒化珪素製細長物の具体例としては、厳しい真直度が要求される直動軸受用レールや軸が挙げられる。
【0008】
なお、本発明において、「細長物」とは、図2に示すような単純形状を想定した場合、次式で表されるように、断面における外周寸法(外周長)の総和に対して3倍以上の長さを有する部材をいう。
(20+20+10+10)×3≦A(長さ:180以上)
(10×π)×3≦A(長さ:30π以上)
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をその実施の形態に従ってさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
本発明の製造方法は、窒化珪素製細長物の焼結体に対し、5MPa以上の曲げ応力を付与しつつ1300〜1500℃の範囲の温度で加熱することにより、反りを矯正することに特徴を有する。
【0010】
本発明では、窒化珪素製細長物の焼結体に対して、反りを矯正する方向に5MPa以上の曲げ応力を付与する。曲げ応力としては、好ましくは8MPa以上、さらに好ましくは10MPa以上である。曲げ応力が5MPa未満の場合には、反り矯正の効果が低い。
細長物焼結体に対する曲げ応力の付与方向は、反りの矯正方向、通常は厚み方向である。
【0011】
また、細長物焼結体に対しては、曲げ応力を付加するとともに、1300〜1500℃の範囲の温度で加熱処理を施す。1300℃未満の温度では、反り矯正効果を得ることができず、一方、1500℃を超える温度で加熱処理を施すと、反りの矯正は可能でも、得られる細長物焼結体の強度が著しく低下する。
なお、加熱処理は、窒化珪素製の焼結体が対象であることから、通常、窒素雰囲気等の不活性雰囲気で行われる。また、加熱圧力としては限定されず、常圧、加圧のいずれの圧力条件でも、当該処理を行うことができるが、HIPなどの高圧焼結を行ったものに対しては加圧下の方が好ましい。
【0012】
本発明では、窒化珪素製細長物の焼結体を対象とする。このような窒化珪素焼結体の細長物は、たとえば次のようにして製造することができる。
まず、窒化珪素原料に焼結助剤と適当量のバインダーを添加、混合する。この混合物を成形後仮焼してバインダーを除去し、得られた仮焼体を窒素雰囲気中、1700〜1800℃程度の高温で焼結することにより窒化珪素焼結体を得る。次いで、得られた窒化珪素焼結体をスライスなどの加工により、窒化珪素製細長物の焼結体を得ることができる。
なお、スライスなどの加工を行わず、直接焼結体として細長物として得ることももちろん可能である。
上記のようにして得られる窒化珪素製細長物の焼結体は、通常真直度が低く、反り等が生じており、寸法精度が劣っている。本発明では、このような窒化珪素製細長物の焼結体を対象とするものである。
【0013】
【実施例】
(実施例1)
窒化珪素原料に焼結助剤と所定量のバインダーを添加し、混合機にて混合した後、スプレードライヤーにて乾燥造粒した。この造粒原料をゴム型より構成される成形型に充填し、静水圧プレス機により成形し角柱成形体を制作した。
これらの成形体を大気中400℃にて仮焼しバインダーを除去した後、NCフライス盤により所定形状に加工した。
【0014】
これらを高圧窒素雰囲気中で1700℃×1hr焼成し窒化珪素製の角柱(12mm×10mm×長さ300mm)焼結体を得た。
得られた窒化珪素製角柱焼結体の中から反り量3mmのものを6体選択し、最大曲げ応力5MPaを掛けながら、常圧窒素雰囲気中で処理温度1300℃、1400℃、1500℃にてそれぞれ2本づつ1時間キープして反り修正を行った。
【0015】
この反り修正は、図1に示すように、1体の窒化珪素製角柱焼結体10を接触面側を研削仕上げしたSiC基板12上に載置し、上方から同様な仕上げを施した荷重用SiC基板14を被せることにより行った。
【0016】
得られた反り修正品の反り量を測定した。その後、反り修正品から試験片を切りだしJIS R1601に基づき、4点曲げ強度測定を行った。合格値は、反り量0.5mm以下、曲げ強度900MPa以上とし、○と表示した。不合格品は、×と表示した。その結果を表1に示す。
【0017】
(実施例2)
最大曲げ応力を10MPaとした以外は、実施例1と同様に窒化珪素製角柱焼結体を製造し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0018】
(比較例1)
処理温度を1200℃、1250℃、1550℃とした以外は、実施例1と同様に窒化珪素製角柱焼結体を製造し、評価を行った。その結果を表1に示す。
【0019】
(比較例2)
処理温度を1200℃、1250℃、1550℃とした以外は、実施例2と同様に窒化珪素製角柱焼結体を製造し、評価を行った。その結果を表2に示す。
【0020】
(比較例3)
実施例1と同様の反り量3mmの窒化珪素製角柱焼結体10本を最大曲げ応力を3MPaとし、処理温度を1200℃、1250℃、1300℃、1400℃、1500℃、1550℃にてそれぞれ2本づつ1時間キープして反り修正を行い、得られた反り修正品について実施例1と同じようにして測定、評価を行った。その結果を表3に示す。
【0021】
【表1】
【0022】
【表2】
【0023】
【表3】
【0024】
(実施例3:特性の確認)
転がり軸受で重要特性であるスラスト転がり寿命試験を行った。
試験片は、実施例1と同材質の窒化珪素素材各2個を実施例1と同様の熱履歴・曲げ応力を付加し、その後所定の寸法に仕上げて得た。
図3にスラスト型試験機の概要を示し、試験片たるセラミック円板1に対し、油3中において鋼球2を回転させながら面圧4900MPaをかけてその寿命を計測した。その結果を表4に示す。
【0025】
(比較例4)
試験片は、実施例1と同様に製作された焼結体(未処理)を所定の寸法に仕上げて得た。
得られた試験片について、実施例3と同様の試験を行った。その結果を表4に示す。
【0026】
【表4】
【0027】
まず、表1〜3の結果から明らかなように、角柱焼結体に付与する最大曲げ応力が5MPa以上、及び加熱処理温度が1300〜1500℃の範囲という要件が臨界的であるということがわかる。この範囲を逸脱した温度で加熱した場合には、反り矯正が不十分であるか、あるいは得られる角柱焼結体の曲げ強度が著しく低下している。
さらに、1300〜1500℃の範囲で加熱処理することで、未処理品に比して転がり寿命が大幅に向上しており、したがって、本発明の反り矯正処理を受けた窒化珪素製角柱焼結体は、転がり軸受の1種である直動軸受用レールとして極めて優れたものということができる。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の製造方法によれば、厳しい真直度が要求され、かつ焼成時に反りが発生しやすい直動軸受用レール等の窒化珪素製細長物について、強度等の特性低下がなく、反りが矯正され、真直度に優れた窒化珪素製細長物を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 窒化珪素製角柱焼結体の反り修正方法の一例を示す説明図である。
【図2】 単純形状の細長物を示す斜視図である。
【図3】 スラスト試験機の概要を示す説明図である。
【符号の説明】
1…セラミック円板、2…鋼球、3…油、10…窒化珪素製角柱焼結体、12…SiC基板、14…荷重用SiC基板。
Claims (3)
- 断面における外周寸法の総和に対して3倍以上の長さを有する部材である窒化珪素製角柱細長物(傘部を有する形状を除く。)の焼結体に対し、5MPa以上の曲げ応力を付与しつつ1300〜1500℃の範囲の温度で加熱することにより、反りを矯正して矯正後の反り量を0.5mm以下とすることを特徴とする窒化珪素製細長物の製造方法。
- 該細長物焼結体の長手方向に垂直な方向に曲げ応力を付与する請求項1記載の窒化珪素製細長物の製造方法。
- 該窒化珪素製細長物が、直動軸受用レール、又は軸である請求項1又は2記載の窒化珪素製細長物の製造方法。
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