JP4955132B1 - 風検出装置 - Google Patents

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Abstract

風検出装置(100)は、移動体に対する風向および風圧を検出する。第1圧力検出部(101)は、流体の第1方向成分の全圧および静圧を検出する。第1方向は、移動体の進行方向である。第2圧力検出部(102)は、流体の第2方向成分の全圧および静圧を検出する。第2方向は、第1方向に直交する方向である。第1動圧算出部(111)は、第1圧力検出部(101)によって検出された流体の全圧および静圧に基づいて、流体の第1方向成分の動圧を算出する。第2動圧算出部(112)は、第2圧力検出部(102)によって検出された流体の全圧および静圧に基づいて、流体の第2方向成分の動圧を算出する。風算出部(121)は、第1動圧算出部(111)によって算出された流体の動圧および第2動圧算出部(112)によって算出された流体の動圧に基づいて、移動体の進行方向に対する風向、全風圧、第1方向成分の風圧、第2方向成分の風圧を算出する。
【選択図】図5

Description

この発明は、風向および風圧を検出する風検出装置に関する。ただし、この発明の利用は、風検出装置に限らない。
従来、流体の全圧および静圧を測定するピトー管を複数設置し、複数のピトー管の測定値に基づいて移動体に対する風圧を検出する風検出装置が知られている(たとえば、下記特許文献1〜4参照。)。下記特許文献1〜4では、各ピトー管に沿った流線を形成する流体の流れにそれぞれベルヌーイの定理を適用し、各ピトー管によって測定された流体の全圧と静圧との差圧(動圧)に基づいて移動体に対する風圧を検出している。
特開平9−176937号公報 特表2007−532407号公報 特開2010−106838号公報 特表2010−516998号公報
しかしながら、上述した各特許文献の技術では、たとえば移動体の進行方向からずれた方向から流体が流れている場合(横風)、流体の流れがピトー管の中心軸に平行にならないので、ピトー管によって測定された流体の全圧および静圧に誤差が生じ、流体の動圧を正確に算出することができない。このため、移動体に対する風圧を正確に検出することができないという問題点が一例として挙げられる。
上述した課題を解決し、目的を達成するため、請求項1の発明にかかる風検出装置は、流体の全圧を検出する第1圧力計および当該流体の静圧を検出する第2圧力計を有する第1圧力検出手段と、前記第1圧力検出手段によって検出された全圧および静圧に基づいて、前記流体の動圧を算出する第1動圧算出手段と、前記第1圧力検出手段と直交する向きに配置され、前記流体の全圧を検出する第3圧力計および当該流体の静圧を検出する第4圧力計を有する第2圧力検出手段と、前記第2圧力検出手段によって検出された全圧および静圧に基づいて、前記流体の動圧を算出する第2動圧算出手段と、前記第1動圧算出手段によって算出された動圧および前記第2動圧算出手段によって算出された動圧に基づいて、風向、全風圧、第1方向成分の風圧、および前記第1方向成分に直交する第2方向成分の風圧を算出する風算出手段と、前記第1圧力検出手段と対向する向き、かつ前記第2圧力検出手段と直交する向きに配置され、前記流体の全圧を検出する第5圧力計および当該流体の静圧を検出する第6圧力計を有する第3圧力検出手段と、前記第3圧力検出手段によって検出された全圧および静圧に基づいて、前記流体の動圧を算出する第3動圧算出手段と、を備え、前記第1圧力検出手段、前記第2圧力検出手段および前記第3圧力検出手段のそれぞれは、開放部を有する中空部材で覆われており、前記風算出手段は、前記第1動圧算出手段によって算出された動圧および前記第3動圧算出手段によって算出された動圧のいずれか大きい動圧と、前記第2動圧算出手段によって算出された動圧とに基づいて、前記風向、前記全風圧、前記第1方向成分の風圧、および前記第2方向成分の風圧を算出することを特徴とする。
図1は、実施の形態にかかる風検出装置の機能的構成を示すブロック図である。 図2は、風検出装置による風検出処理の手順を示すフローチャートである。 図3は、ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。 図4は、実施例にかかる圧力センサの構成について示す概念図である。 図5は、実施例にかかる圧力センサ群の構成について示す概念図である。 図6は、ナビゲーション装置による風検出について示す説明図である。 図7は、ナビゲーション装置による風検出について示す説明図である。 図8は、ナビゲーション装置による風検出について示す説明図である。 図9は、実施例にかかる圧力センサ群の配置について示す説明図である。 図10は、実施例にかかる圧力センサ群の配置について示す説明図である。 図11は、実施例にかかる圧力センサ群の配置について示す説明図である。
以下に添付図面を参照して、この発明に係る風検出装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(実施の形態)
図1は、実施の形態にかかる風検出装置の機能的構成を示すブロック図である。実施の形態にかかる風検出装置100は、移動体に対する風向および風圧を検出する。風検出装置100は、少なくとも第1圧力検出部101、第2圧力検出部102、第1動圧算出部111、第2動圧算出部112、風算出部121によって構成される。また、風検出装置100は、上記構成部に加えて、さらに第3圧力検出部103、第4圧力検出部104、第3動圧算出部113、第4動圧算出部114によって構成されてもよい。
第1圧力検出部101は、流体の全圧を検出する第1圧力計と、流体の静圧を検出する第2圧力計と、を有する。そして、第1圧力検出部101は、移動体の前部に設置され、流体の第1方向成分の全圧および静圧を検出する。移動体の前部とは、たとえば、ボンネットや、フロントバンパー、フロントスポイラーなど、移動体の正面部分である。第1方向とは、たとえば、移動体の進行方向である。
具体的には、第1圧力検出部101は、たとえば、流体の全圧および静圧を測定するピトー管で構成される。ピトー管は、流体の全圧を測定する全圧管と、流体の静圧を測定する静圧管とからなる。第1圧力計は、ピトー管の全圧管に接続され、ピトー管によって測定された全圧を検出する。第2圧力計は、ピトー管の静圧管に接続され、ピトー管によって測定された静圧を検出する。
より具体的には、第1圧力検出部101は、ピトー管の全圧管の先端部の孔(全圧測定孔)が移動体の進行方向を向くように設置される。そして、第1圧力検出部101は、たとえば、移動体の進行方向から吹いてくる風(向かい風)や、移動体の進行方向に対して斜め前方から吹いてくる風の第1方向成分の全圧および静圧を検出する。
また、第1圧力検出部101は、開放部を有する中空部材で覆われている。具体的には、少なくとも第1圧力検出部101を構成するピトー管が、開放部を有する中空部材で覆われていればよい。第1圧力検出部101を中空部材で覆うことによって、流れ場の流れの渦が変化する場合や、せん断の大きな流れ場の場合に、流体の流れの方向をピトー管の中心軸に対して平行にすることができる。これにより、第1圧力検出部101によって検出される流体の動圧の誤差を小さくすることができる。
第2圧力検出部102は、流体の全圧を検出する第3圧力計と、流体の静圧を検出する第4圧力計と、を有する。そして、第2圧力検出部102は、移動体の前部または側部に、第1圧力検出部101と直交となる向きで設置され、流体の第2方向成分の全圧および静圧を検出する。移動体の側部とは、たとえば、サイドバンパー、サイドスポイラーなど、移動体の側面部分である。第2方向とは、第1方向に直交する方向であり、たとえば、移動体の進行方向に直交する方向である。
具体的には、第2圧力検出部102は、たとえば、ピトー管で構成され、ピトー管の全圧測定孔が移動体の進行方向に直交する方向を向くように、かつピトー管の全圧測定孔が移動体の外部側を向くように設置される。そして、第2圧力検出部102は、たとえば、移動体の進行方向に直交する方向から吹いてくる風(横風)や、移動体の進行方向に対して斜め前方や斜め後方から吹いてくる風の第2方向成分の全圧および静圧を検出する。より詳細には、第2圧力検出部102は、たとえば、移動体の進行方向に対して左側から吹いてくる風の全圧および静圧を検出する。
また、第2圧力検出部102は、開放部を有する中空部材で覆われている。具体的には、少なくとも第2圧力検出部102を構成するピトー管が、開放部を有する中空部材で覆われていればよい。第2圧力検出部102を中空部材で覆うことによって得られる効果は、第1圧力検出部101を中空部材で覆うことによって得られる効果と同様である。
第3圧力検出部103は、流体の全圧を検出する第5圧力計と、流体の静圧を検出する第6圧力計と、を有する。そして、第3圧力検出部103は、第1圧力検出部101と対向する向きで設置され、流体の第1方向成分の全圧および静圧を検出する。具体的には、第3圧力検出部103は、移動体の後部に設置され、流体の第1方向成分の全圧および静圧を検出する。移動体の後部とは、たとえば、リアバンパー、リアスポイラーなど、移動体の背面部分である。
より具体的には、第3圧力検出部103は、たとえば、ピトー管で構成され、ピトー管の全圧測定孔が第1圧力検出部101のピトー管の全圧測定孔の向きに対して反対側を向くように設置される。そして、第3圧力検出部103は、たとえば、移動体の進行方向に吹く風(追い風)や、移動体の進行方向に対して斜め後方から吹く風の第1方向成分の全圧および静圧を検出する。
また、第3圧力検出部103は、開放部を有する中空部材で覆われている。具体的には、少なくとも第3圧力検出部103を構成するピトー管が、開放部を有する中空部材で覆われていればよい。第3圧力検出部103を中空部材で覆うことによって得られる効果は、第1圧力検出部101を中空部材で覆うことによって得られる効果と同様である。
第4圧力検出部104は、流体の全圧を検出する第7圧力計と、流体の静圧を検出する第8圧力計と、を有する。そして、第4圧力検出部104は、第1圧力検出部101と直交となる向きで、かつ第2圧力検出部102と対向する向きで設置され、流体の第2方向成分の全圧および静圧を検出する。具体的には、第4圧力検出部104は、移動体の前部または側部に設置され、第2圧力検出部102によって検出される流体と対向する向きに流れる流体の第2方向成分の全圧および静圧を検出する。
より具体的には、第4圧力検出部104は、たとえば、ピトー管で構成され、ピトー管の全圧測定孔が移動体の進行方向に直交する方向を向くように、かつ第2圧力検出部102のピトー管の全圧測定孔の向きに対して反対側を向くように設置される。そして、第4圧力検出部104は、たとえば、移動体の進行方向に直交する方向から吹いてくる風(横風)や、移動体の進行方向に対して斜め前方や斜め後方から吹いてくる風の第2方向成分の全圧および静圧を検出する。より詳細には、第4圧力検出部104は、たとえば、移動体の進行方向に対して右側から吹いてくる風の全圧および静圧を検出する。
また、第4圧力検出部104は、開放部を有する中空部材で覆われている。具体的には、少なくとも第4圧力検出部104を構成するピトー管が、開放部を有する中空部材で覆われていればよい。第4圧力検出部104を中空部材で覆うことによって得られる効果は、第1圧力検出部101を中空部材で覆うことによって得られる効果と同様である。
第1動圧算出部111は、第1圧力検出部101によって検出された流体の全圧および静圧に基づいて、流体の第1方向成分の動圧を算出する。具体的には、第1動圧算出部111は、流体の第1方向成分の動圧として、第1圧力検出部101の、第1圧力計によって検出された流体の全圧と第2圧力計によって検出された流体の静圧との差圧を算出する。
第2動圧算出部112は、第2圧力検出部102によって検出された流体の全圧および静圧に基づいて、流体の第2方向成分の動圧を算出する。具体的には、第2動圧算出部112は、流体の第2方向成分の動圧として、第2圧力検出部102の、第3圧力計によって検出された流体の全圧と第4圧力計によって検出された流体の静圧との差圧を算出する。
第3動圧算出部113は、第3圧力検出部103によって検出された流体の全圧および静圧に基づいて、流体の第1方向成分の動圧を算出する。具体的には、第3動圧算出部113は、流体の第1方向成分の動圧として、第3圧力検出部103の、第5圧力計によって検出された流体の全圧と第6圧力計によって検出された流体の静圧との差圧を算出する。
第4動圧算出部114は、第4圧力検出部104によって検出された流体の全圧および静圧に基づいて、流体の第2方向成分の動圧を算出する。具体的には、第4動圧算出部114は、流体の第2方向成分の動圧として、第4圧力検出部104の、第7圧力計によって検出された流体の全圧と第8圧力計によって検出された流体の静圧との差圧を算出する。
第1〜4動圧算出部111〜114は、流体の全圧と静圧との差圧を算出する構成に代えて、ピトー管によって測定された流体の全圧と静圧との差圧を検出する構成であってもよい(微差圧センサ)。
風算出部121は、第1動圧算出部111によって算出された流体の第1方向成分の動圧および第2動圧算出部112によって算出された流体の第2方向成分の動圧に基づいて、風向、全風圧、第1方向成分の風圧、および第2方向成分の風圧を算出する。風向とは、たとえば、移動体の進行方向に対する流体の流れの方向である。具体的には、風向とは、移動体の進行方向と流体の流れの方向とのなす角度である。全風圧とは、たとえば、第1動圧算出部111によって算出された流体の第1方向成分の動圧と、第2動圧算出部112によって算出された流体の第2方向成分の動圧との総和である。
第1方向成分の風圧とは、移動体の進行方向に対する風圧である。具体的には、第1方向成分の風圧とは、たとえば、第1動圧算出部111によって算出された流体の動圧の第1方向成分である。第2方向成分の風圧とは、移動体の進行方向に直交する方向に対する風圧である。具体的には、第2方向成分の風圧とは、たとえば、第2動圧算出部112によって算出された流体の動圧の第2方向成分である。
より具体的には、風算出部121は、たとえば、圧力検出部のピトー管に沿った流線を形成する流体の流れにベルヌーイの定理を適用し、第1,2動圧算出部111,112によってそれぞれ検出された流体の第1,2方向成分の動圧に基づいて、風向、全風圧、第1方向成分の風圧、および第1方向成分に直交する第2方向成分の風圧を算出する。
さらに、風算出部121は、第1〜3動圧算出部111〜113によって検出された流体の動圧をそれぞれ取得可能な場合、第1動圧算出部111によって算出された流体の動圧および第3動圧算出部113によって算出された流体の動圧のいずれか大きい動圧と、第2動圧算出部112によって算出された流体の動圧とに基づいて、風向、全風圧、第1方向成分の風圧、および第2方向成分の風圧を算出する。
風算出部121が第1,3動圧算出部111,113による算出値を取得可能な場合、全風圧は、第1動圧算出部111によって算出された流体の動圧および第3動圧算出部113によって算出された流体の動圧のいずれか大きい動圧と、第2動圧算出部112によって算出された流体の動圧との総和である。第1方向成分の風圧は、たとえば、第1動圧算出部111によって算出された流体の動圧および第3動圧算出部113によって算出された流体の動圧のいずれか大きい動圧の第1方向成分である。
風算出部121は、第1,2,4動圧算出部111,112,114によって検出された流体の動圧をそれぞれ取得可能な場合、第1動圧算出部111によって算出された動圧と、第2動圧算出部112によって算出された流体の動圧および第4動圧算出部114によって算出された流体の動圧のいずれか大きい動圧とに基づいて、風向、全風圧、第1方向成分の風圧、および第2方向成分の風圧を算出する。
風算出部121が第2,4動圧算出部112,114による算出値を取得可能な場合、全風圧は、第1動圧算出部111によって算出された流体の動圧と、第2動圧算出部112によって算出された流体の動圧および第4動圧算出部114によって算出された流体の動圧のいずれか大きい動圧との総和である。第2方向成分の風圧は、たとえば、第2動圧算出部112によって算出された流体の動圧および第4動圧算出部114によって算出された流体の動圧のいずれか大きい動圧の第2方向成分である。
また、風算出部121は、第1〜4動圧算出部111〜114によって検出された流体の動圧をそれぞれ取得可能な場合、第1動圧算出部111によって算出された流体の動圧および第3動圧算出部113によって算出された流体の動圧のいずれか大きい動圧と、第2動圧算出部112によって算出された流体の動圧および第4動圧算出部114によって算出された流体の動圧のいずれか大きい動圧とに基づいて、風向、全風圧、第1方向成分の風圧、および第2方向成分の風圧を算出する。
風算出部121が第1〜4動圧算出部111〜114による算出値を取得可能な場合、全風圧は、第1動圧算出部111によって算出された流体の動圧および第3動圧算出部113によって算出された流体の動圧のいずれか大きい動圧と、第2動圧算出部112によって算出された流体の動圧および第4動圧算出部114によって算出された流体の動圧のいずれか大きい動圧との総和である。
また、風算出部121が第1〜4動圧算出部111〜114による算出値を取得可能な場合、第1方向成分の風圧は、たとえば、第1動圧算出部111によって算出された流体の動圧および第3動圧算出部113によって算出された流体の動圧のいずれか大きい動圧の第1方向成分である。第2方向成分の風圧は、たとえば、第2動圧算出部112によって算出された流体の動圧および第4動圧算出部114によって算出された流体の動圧のいずれか大きい動圧の第2方向成分である。
つぎに、風検出装置100による風検出処理について説明する。図2は、風検出装置による風検出処理の手順を示すフローチャートである。図2のフローチャートにおいて、風検出装置100は、まず、第1動圧算出部111によって、流体の第1方向成分の動圧を算出する(ステップS201)。第1方向とは、たとえば、移動体の進行方向である。つぎに、風検出装置100は、第2動圧算出部112によって、流体の第2方向成分の動圧を算出する(ステップS202)。第2方向とは、第1方向に直交する方向である。
そして、風検出装置100は、風算出部121によって、ステップS201,S202において算出された流体の第1方向成分の動圧および流体の第2方向成分の動圧に基づいて、風向、全風圧、第1方向成分の風圧、および第2方向成分の風圧を算出し(ステップS203)、本フローチャートによる処理を終了する。その後、風検出装置100は、たとえば、ステップS203において検出した移動体に対する風向、全風圧、第1方向成分の風圧、および第2方向成分の風圧に基づいて、移動体の電力消費量などを算出してもよい。
また、風検出装置100は、ステップS201において、さらに、第3動圧算出部113によって流体の第1方向成分の動圧を算出してもよい。風検出装置100は、第3動圧算出部113によって流体の第1方向成分の動圧を算出した場合、ステップS203において、第1動圧算出部111によって検出された流体の第1方向成分の動圧と第3動圧算出部113によって検出された流体の第1方向成分の動圧とのいずれか大きい動圧を用いる。
風検出装置100は、ステップS202において、さらに、第4動圧算出部114によって流体の第2方向成分の動圧を算出してもよい。風検出装置100は、第4動圧算出部114によって流体の第2方向成分の動圧を算出した場合、ステップS203において、第2動圧算出部112によって検出された流体の第2方向成分の動圧と第4動圧算出部114によって検出された流体の第2方向成分の動圧とのいずれか大きい動圧を用いる。
以上説明したように、実施の形態にかかる風検出装置100は、互いに直交する向きで設置された複数の圧力検出部を備える。より詳細には、風検出装置100は、ピトー管の全圧測定孔が移動体の進行方向(第1方向)を向くように設置された第1圧力検出部101と、ピトー管の全圧測定孔が移動体の進行方向に直交する方向(第2方向)を向くように設置された第2圧力検出部102と、を備える。これにより、風検出装置100は、互いに直交する向きで設置した第1,2圧力検出部101,102によって流体の第1方向成分および第2方向成分を検出可能であるので、移動体の進行方向に対して流体の流れがずれている場合でも正確に風向および風圧を検出することができる。
また、風検出装置100は、移動体の進行方向に平行に設置された複数の圧力検出部を備える。より詳細には、風検出装置100は、ピトー管の全圧測定孔が移動体の前方を向くように設置された第1圧力検出部101と、ピトー管の全圧測定孔が移動体の後方を向くように設置された第3圧力検出部103と、を備える。これにより、風検出装置100は、第1,3圧力検出部101,103によって移動体の前方および後方から流れる流体を検出可能であるので、より正確に風向および風圧を検出することができる。
さらに、風検出装置100は、移動体の進行方向に直交する方向に平行に設置された複数の圧力検出部を備える。より詳細には、風検出装置100は、ピトー管の全圧測定孔が移動体の外部の左側を向くように設置された第2圧力検出部102と、ピトー管の全圧測定孔が移動体の外部の右側を向くように設置された第4圧力検出部104と、を備える。これにより、風検出装置100は、第2,4圧力検出部102,104によって移動体の左側および右側から流れる流体を検出可能であるので、より正確に風向および風圧を検出することができる。
このように、移動体に対する風向および風圧を正確に算出することができるため、たとえば、電気を動力源として走行するEV(Electric Vehicle)車やHV(Hybrid Vehicle)車、PHV(Plug−in Hybrid Vehicle)車などにおける消費電力を正確に算出することができる。これにより、移動体における安全対策や消費電力低減を図ることができる。
以下に、本発明の実施例について説明する。本実施例では、車両などの移動体に搭載されるナビゲーション装置によって、本発明の風検出装置を実施した場合の一例について説明する。
(ナビゲーション装置のハードウェア構成)
つぎに、ナビゲーション装置300のハードウェア構成について説明する。図3は、ナビゲーション装置のハードウェア構成を示すブロック図である。図3において、ナビゲーション装置300は、CPU301、ROM302、RAM303、磁気ディスクドライブ304、磁気ディスク305、光ディスクドライブ306、光ディスク307、音声I/F(インターフェース)308、マイク309、スピーカ310、入力デバイス311、映像I/F312、ディスプレイ313、カメラ314、通信I/F315、GPSユニット316および各種センサ317を備えている。各構成部301〜317は、バス320によってそれぞれ接続されている。
まず、CPU301は、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。ROM302は、ブートプログラム、データ更新プログラム、風検出プログラムなどのプログラムを記録している。また、RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。すなわち、CPU301は、RAM303をワークエリアとして使用しながら、ROM302に記録された各種プログラムを実行することによって、ナビゲーション装置300の全体の制御を司る。
風検出プログラムには、複数の圧力センサ(各種センサ317)によってそれぞれ検出された流体の全圧および静圧に基づいて流体の動圧を算出した後、流体の動圧に基づいて風向および風圧を検出する処理手順が記述されている。具体的には、風検出プログラムが実行されることにより、流体の第1方向成分の全圧と静圧との差圧(流体の第1方向成分の動圧)および流体の第2方向成分の全圧と静圧との差圧(流体の第2方向成分の動圧)が算出され、流体の第1,2方向成分の動圧に基づいて風向、全風圧、第1方向成分の風圧および第2方向成分の風圧が算出される。
磁気ディスクドライブ304は、CPU301の制御にしたがって磁気ディスク305に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。磁気ディスク305は、磁気ディスクドライブ304の制御で書き込まれたデータを記録する。磁気ディスク305としては、たとえば、HD(ハードディスク)やFD(フレキシブルディスク)を用いることができる。
また、光ディスクドライブ306は、CPU301の制御にしたがって光ディスク307に対するデータの読み取り/書き込みを制御する。光ディスク307は、光ディスクドライブ306の制御にしたがってデータが読み出される着脱自在な記録媒体である。光ディスク307は、書き込み可能な記録媒体を利用することもできる。着脱可能な記録媒体として、光ディスク307のほか、MO、メモリカードなどを用いることができる。
磁気ディスク305および光ディスク307に記録される情報の一例としては、地図データなどが挙げられる。地図データは、カーナビゲーションシステムにおいて経路探索処理や経路誘導処理に用いられ、建物、河川、地表面などの地物(フィーチャ)をあらわす背景データ、道路の形状をリンクやノードなどであらわす道路形状データなどを含んでいる。
音声I/F308は、音声入力用のマイク309および音声出力用のスピーカ310に接続される。マイク309に受音された音声は、音声I/F308内でA/D変換される。マイク309は、たとえば、車両のダッシュボード部などに設置され、その数は単数でも複数でもよい。スピーカ310からは、所定の音声信号を音声I/F308内でD/A変換した音声が出力される。
入力デバイス311は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えたリモコン、キーボード、タッチパネルなどが挙げられる。入力デバイス311は、リモコン、キーボード、タッチパネルのうちいずれか1つの形態によって実現されてもよいが、複数の形態によって実現することも可能である。
映像I/F312は、ディスプレイ313に接続される。映像I/F312は、具体的には、たとえば、ディスプレイ313全体を制御するグラフィックコントローラと、即時表示可能な画像情報を一時的に記録するVRAM(Video RAM)などのバッファメモリと、グラフィックコントローラから出力される画像データに基づいてディスプレイ313を制御する制御ICなどによって構成される。
ディスプレイ313には、アイコン、カーソル、メニュー、ウインドウ、あるいは文字や画像などの各種データが表示される。ディスプレイ313としては、たとえば、TFT液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどを用いることができる。
カメラ314は、車両内部あるいは外部の映像を撮影する。映像は静止画あるいは動画のどちらでもよく、たとえば、カメラ314によって車両外部を撮影し、撮影した画像をCPU301において画像解析したり、映像I/F312を介して磁気ディスク305や光ディスク307などの記録媒体に出力したりする。
通信I/F315は、無線を介してネットワークに接続され、ナビゲーション装置300およびCPU301のインターフェースとして機能する。ネットワークとして機能する通信網には、CAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)などの車内通信網や、公衆回線網や携帯電話網、DSRC(Dedicated Short Range Communication)、LAN、WANなどがある。通信I/F315は、たとえば、公衆回線用接続モジュールやETC(ノンストップ自動料金支払いシステム)ユニット、FMチューナー、VICS(Vehicle Information and Communication System)/ビーコンレシーバなどである。
GPSユニット316は、GPS衛星からの電波を受信し、車両の現在位置を示す情報を出力する。GPSユニット316の出力情報は、後述する各種センサ317の出力値とともに、CPU301による車両の現在位置の算出に際して利用される。現在位置を示す情報は、たとえば緯度・経度、高度などの、地図データ上の1点を特定する情報である。
各種センサ317は、車速センサ、圧力センサ、角速度センサなどの、車両の位置や挙動を判断するための情報や、車両に対する風向および風圧を判断するための情報を出力する。圧力センサは、たとえば車両の前部、側部および後部のバンパーやスポイラーなど、複数箇所にそれぞれ設置される。各種センサ317の出力値は、CPU301による車両の現在位置の算出や、速度や方位の変化量の算出、車両に対する風向および風圧の算出に用いられる。
圧力センサは、たとえば、ピトー管および2つの圧力計を備えている。ピトー管は、流体の全圧を測定する全圧管と、流体の静圧を測定する静圧管とを備えている。第1圧力計は、ピトー管の全圧管に接続され、ピトー管によって測定された流体の全圧を検出する。第2圧力計は、ピトー管の静圧管に接続され、ピトー管によって測定された流体の静圧を検出する。
図1に示した風検出装置100の第1圧力検出部101、第2圧力検出部102、第3圧力検出部103、第4圧力検出部104、第1動圧算出部111、第2動圧算出部112、第3動圧算出部113、第4動圧算出部114、風算出部121は、上述したナビゲーション装置300におけるROM302、RAM303、磁気ディスク305、光ディスク307などに記録されたプログラムやデータを用いて、CPU301が所定のプログラムを実行し、ナビゲーション装置300における各部を制御することによってその機能を実現する。
(圧力センサの構成)
まず、車両に設置される圧力センサ(各種センサ317)の構成について説明する。図4は、実施例にかかる圧力センサの構成について示す概念図である。圧力センサ400は、ピトー管401、第1圧力計402、第2圧力計403を備えている。圧力センサ400は、ピトー管401の軸中心と車両の進行方向とが等しくなるように、たとえば車両の正面部分、背面部分に設置される。また、圧力センサ400は、ピトー管401の軸中心と車両の進行方向に直交する方向とが等しくなるように、たとえば車両側面部分に設置される。そして、圧力センサ400は、流体430の全圧および静圧を検出する。
ピトー管401は、流体430の全圧を測定する全圧管411と、流体430の静圧を測定する静圧管421と、を備えている。全圧管411の先端部には、流体430の全圧を測定するための孔(全圧測定孔)412が設けられている。静圧管421の側壁部には、流体430の静圧を測定するための孔(静圧測定孔)422が設けられている。
ピトー管401は、たとえば、全圧管411と静圧管421とを平行に配置した構成となっている。全圧測定孔412および静圧測定孔422は互いに直交する方向に開口している。ピトー管401はL字状の断面形状を有していてもよい。L字状のピトー管401の場合、ピトー管401の全圧測定孔412側の直線部分に、静圧測定孔422が設けられる。
第1圧力計402は、全圧管411に接続され、ピトー管401によって測定された流体430の全圧を検出する。具体的には、第1圧力計402は、全圧管411の全圧測定孔412が設けられた端部に対して反対側の端部の孔に接続されている。第2圧力計403は、ピトー管401の静圧管421に接続され、ピトー管によって測定された流体430の静圧を検出する。具体的には、第2圧力計403は、静圧管421の静圧測定孔422と異なる孔に接続されている。
このような圧力センサ400は、流体430の流れの中に設置される。そして、ピトー管401に沿った流線を形成する流体430の流れにベルヌーイの定理が適用されることで、流体430の動圧が算出される。図4において、ピトー管401に沿った流線を形成する流体430の流れを、任意点423からピトー管401の全圧測定孔412が設けられた側の先端部の頂点413に向かう矢印で示す。任意点423は、ピトー管401の中心軸の延長線上に位置する点である。また、流体430の流れをピトー管401の中心軸に平行な流れで示しているが、流体430の流れがピトー管401の中心軸に対して傾いている場合、ピトー管401は、流体430の、ピトー管401の中心軸に平行な方向の成分を測定する。
(ナビゲーション装置300による風圧・風速検出の概要)
つぎに、ナビゲーション装置300による風圧・風速検出方法について説明する。車両に対する風圧および風速は、上述したピトー管401の中心軸の延長線上に位置する任意点423における風圧および風速にほぼ等しい。このため、圧力センサ400を流体430の流れの中に設置し、任意点423における風圧および風速を算出することにより、車両に対する風圧および風速が検出される。
圧力センサ400が流体430の流れの中に設置されることにより、圧力センサ400によって流体430の流れがせき止められ、圧力センサ400の表面に流体430の速度(風速)がゼロとなる点(よどみ点)が発生する。具体的には、流体430の流れがピトー管401の全圧測定孔412が設けられた側の先端部でせき止められるため、ピトー管401の先端部の頂点413がよどみ点となる(以下、よどみ点413とする)。
よどみ点413における流体430の全圧は、流体430のエネルギー保存則(静圧+動圧=全圧(一定))により、任意点423における流体430の全圧と等しい。このため、よどみ点413における風速V1とし、任意点423における風速V2とした場合、よどみ点413と任意点423との間に、下記式(1)が成り立つ。
Figure 0004955132
上記式(1)において、左辺第1項は、よどみ点413における流体430の静圧である。左辺第2項は、よどみ点413における流体430の動圧である。すなわち、上記式(1)の左辺は、よどみ点413における流体430の全圧である。右辺第1項は、任意点423における流体430の静圧である。右辺第2項は、任意点423における流体430の動圧である。すなわち、上記式(1)の右辺は、任意点423における流体430の全圧である。ρは、流体430の密度である。
よどみ点413における風速V1はゼロであるので、上記式(1)において、左辺第2項はゼロとなり、左辺第1項のみが残る。このため、上記式(1)の左辺第1項のP1は、よどみ点413における流体430の全圧である。また、よどみ点413における風速V1がゼロであるので、よどみ点413における流体430の全圧P1と任意点423における流体430の静圧P2との差圧(P1−P2)をΔPとすることにより、上記式(1)は、下記式(2)であらわされる。また、下記式(2)によって、下記式(3)が成り立つ。
Figure 0004955132
Figure 0004955132
上記式(2)に示すように、任意点423における流体430の動圧は、よどみ点413における流体430の全圧P1と任意点423における流体430の静圧P2との差圧ΔPと等しくなる。したがって、よどみ点413における流体430の全圧P1と任意点423における流体430の静圧P2との差圧ΔPを算出することで、任意点423における流体430の動圧、すなわち車両に対する風圧が検出される。
よどみ点413における流体430の全圧P1は、第1圧力計402によって検出される。また、ピトー管401は流体430の流れに対して平行に設置されるので、任意点423における風速V2は、静圧測定孔422における風速にほぼ等しい。このため、任意点423における流体430の静圧P2は、静圧測定孔422における流体430の静圧にほぼ等しい。したがって、任意点423における流体430の静圧P2は、第2圧力計403によって検出される。
流体430の密度ρは、定数として扱われてもよいし、温度や大気圧に基づいて算出されてもよい。流体430の密度ρは、たとえば、下記式(4)を用いて算出される。下記式(4)において、P0は大気圧であり、tは温度である。
Figure 0004955132
(ナビゲーション装置300による風検出の概要)
つぎに、実施例にかかる圧力センサの構成について説明する。実施例にかかるナビゲーション装置300が搭載された車両には、たとえば、図4に示すピトー管401からなる圧力センサ400が複数設置されている。以下、車両に設置された複数の圧力センサを圧力センサ群とする。たとえば、車両の前部および側部にそれぞれ1つの圧力センサを設置する。これら2つの圧力センサは、互いに直交となる向きに配置される。
図5は、実施例にかかる圧力センサ群の構成について示す概念図である。図5に示すように、圧力センサ群のうちの一方の圧力センサ(以下、第1圧力センサとする)500aは、ピトー管501aの軸中心が車両の進行方向x0に平行になるように設置されている。ピトー管501aの全圧測定孔502aは、たとえば、車両の進行方向x0を向いている。ピトー管501aは、たとえば、I字状の断面形状を有する。
ピトー管501aの全圧測定孔502a側の端部は、開放部を有する外筒(中空部材)503aで覆われている。図5の紙面右上に、第1圧力センサ500aのピトー管501aの全圧測定孔502a側の端部の断面図を示す。ピトー管501aの全圧測定孔502aが設けられた側に対して反対側の端部には、差圧センサ504aが接続されている。具体的には、差圧センサ504aは、チューブ505aを介してピトー管501aの全圧管に接続され、チューブ506aを介してピトー管501aの静圧管に接続されている。
圧力センサ群のうちの他方の圧力センサ(以下、第2圧力センサとする)500bは、ピトー管501bの軸中心が車両の進行方向に直交する方向y0に平行になるように設置されている。ピトー管501bの全圧測定孔502bは、たとえば、車両の進行方向に直交する方向y0で、かつ車両の外部のたとえば左側を向いている。ピトー管501bは、たとえば、L字状の断面形状を有する。
ピトー管501bの全圧測定孔502b側の端部は、開放部を有する外筒503bで覆われている。具体的には、図示を省略するが、第1圧力センサ500aのピトー管501aの全圧測定孔502a側の端部の断面構造と同様である。ピトー管501bの全圧測定孔502bが設けられた側に対して反対側の端部には、差圧センサ504bが接続されている。具体的には、差圧センサ504bは、チューブ505bを介してピトー管501bの全圧管に接続され、チューブ506bを介してピトー管501bの静圧管に接続されている。
つぎに、図5に示す圧力センサ群を用いて、車両の進行方向x0に対して斜め方向から流れてくる流体の風算出方法について説明する。図6〜8は、ナビゲーション装置による風検出について示す説明図である。図6,7において、圧力センサ群は車両(不図示)に設置されている。流体は、車両の進行方向x0に対して角度θだけずれた方向(流体の流れの方向)x1から車両に向って流れている。車両の進行方向x0に対する角度θは、車両に対する風向である。外筒内を通過する流管600,700を形成する流線を実線の矢印で示す。外筒内を通過しない流線を符号x0,x1の矢印よりも細かい点線の矢印で示す。図8には、全風圧P、全風圧Pの第1方向成分の風圧Pxおよび全風圧Pの第2方向成分の風圧Pyを示す。
まず、車両の進行方向x0(第1方向)における風圧の算出方法について説明する。図6に示すように、ピトー管501aは、ピトー管501aを覆う外筒503aを通過する流線(実線で示す流体)の束である流管600の全圧および静圧を測定する。流管600の任意点601における断面積A1は、外筒503aの断面積A0としたときにA0・cosθとなる。任意点601は、外筒503aの外部に位置する。
流管600の、任意点601における流量と外筒503a内における流量とは等しい。このため、任意点601における風速Vとし、外筒503a内における風速Vxとしたときに、下記式(5)が成り立つ。そして、下記式(5)より、外筒503a内における風速Vxは、下記式(6)であらわされる。
Figure 0004955132
Figure 0004955132
したがって、上記式(2)の任意点における風速V2に上記式(6)の外筒503a内における風速Vxを代入することにより、第1圧力センサ500aによって検出される流体の全圧と静圧との差圧(第1方向成分の動圧)ΔP1は、下記式(7)であらわされる。下記式(7)において、外筒503a内における流体の流れの方向はピトー管501aの中心軸に平行であるとし、圧力係数を1とする。
Figure 0004955132
つぎに、車両の進行方向に直交する方向y0(第2方向)における風圧の算出方法について説明する。図7に示すように、ピトー管501bは、ピトー管501bを覆う外筒503bを通過する流線(実線で示す流体)の束である流管700の全圧および静圧を測定する。流管700の任意点701における断面積A2は、外筒503bの断面積A0としたときにA0・sinθとなる。任意点701は、外筒503bの外部に位置する。
流管700の、任意点701における流量と外筒503b内における流量とが等しい。このため、任意点701における風速Vとし、外筒503b内における風速Vyとしたときに、下記式(8)が成り立つ。そして、下記式(8)より、外筒503b内における風速Vyは、下記式(9)であらわされる。
Figure 0004955132
Figure 0004955132
したがって、上記式(2),式(9)により、第2圧力センサ500bによって検出される流体の全圧と静圧との差圧(第2方向成分の動圧)ΔP2は、下記式(10)であらわされる。下記式(10)において、外筒503b内における流体の流れの方向はピトー管501bの中心軸に平行であるとし、圧力係数を1とする。
Figure 0004955132
そして、第2方向の動圧ΔP2を第1方向成分の動圧ΔP1によって除算することにより、上記式(7),式(10)を用いて下記式(11),式(12)に示すように風向θが算出される。
Figure 0004955132
Figure 0004955132
また、車両に対する風向θの流体によって車両が受ける全風圧Pは、下記式(13)であらわされる。そして、全風圧Pの第1方向成分の風圧Pxは、下記式(14)であらわされる。全風圧Pの第2方向成分の風圧Pyは、下記式(15)であらわされる。
Figure 0004955132
Figure 0004955132
Figure 0004955132
つぎに、第1方向成分の動圧ΔP1を検出する第1圧力センサ500a、および第2方向の動圧ΔP2を検出する第2圧力センサ500bをそれぞれ複数設置する場合の風算出方法について説明する。図9〜11は、実施例にかかる圧力センサ群の配置について示す説明図である。まず、第1圧力センサ500aおよび第2圧力センサ500bをそれぞれ複数設置する場合の各第1,2圧力センサ500a,500bの配置の一例について説明する。
図9に示すように、車両900の前部に1つの第1圧力センサ500aおよび2つの第2圧力センサ500bを配置してもよい。具体的には、第1圧力センサ500aは、第1圧力センサ500aを構成するピトー管の軸中心が車両の進行方向x0に平行になるように、かつピトー管の全圧測定孔が車両の進行方向x0を向くように設置される。
第2圧力センサ500bは、第2圧力センサ500bを構成するピトー管の軸中心が車両の進行方向に直交する方向y0に平行になるように設置される。また、2つの第2圧力センサ500bのうちの一方の第2圧力センサ500b_leftは、第2圧力センサ500b_leftを構成するピトー管の全圧測定孔が車両の進行方向x0に対して左側を向くように設置される。2つの第2圧力センサ500bのうちの他方の第2圧力センサ500b_rightは、第2圧力センサ500b_rightを構成するピトー管の全圧測定孔が車両の進行方向x0に対して右側を向くように設置される。
また、図10に示すように、車両1000の前部に1つの第1圧力センサ500aを配置し、車両1000の進行方向x0に対して左側部および右側部にそれぞれ第2圧力センサ500b_leftおよび第2圧力センサ500b_rightを配置してもよい。第1圧力センサ500a、第2圧力センサ500b_leftおよび第2圧力センサ500b_rightの向きは、図9に示す車両900の各圧力センサと同様である。
このように第1圧力センサ500a、第2圧力センサ500b_leftおよび第2圧力センサ500b_rightを設置した場合の風算出方法について説明する。図10に示す車両1000を例に説明する。車両に対する風向θは、図6〜8に示す風向と同様である。具体的には、流体1010は、車両1000の車両方向x0に対して角度θだけずれた左斜め前方から車両1000に向かって流れている。
流体1010の流線の束である流管1001は、車両1000の左側部に配置された第2圧力センサ500b_leftの外筒503b_left内を通過する。したがって、上記式(10)を用いて、第2方向成分の動圧ΔP2_leftが算出される。
一方、車両1000の右側部における流体1010の流線1002は、車両1000の車体に遮られ、車両1000の車体表面に沿って車両1000の右側部に配置された第2圧力センサ500b_rightに直交する方向に流れる。このため、流体1010の流線1002は第2圧力センサ500b_rightの外筒内にほぼ流れず、上記式(10)を用いて算出される第2方向成分の動圧ΔP2_rightは第2方向成分の動圧ΔP2_leftよりも小さくなる。
したがって、第2方向成分の動圧ΔP2_leftおよび第2方向成分の動圧ΔP2_rightのうち、値の大きい第2方向成分の動圧ΔP2_leftを選択することで、第2方向成分の動圧ΔP2が算出される。また、第2圧力センサ500b_leftによって検出された第2方向成分の動圧ΔP2_leftが選択されたことで、車両1000に対する風向θは、車両1000の進行方向x0に対して左側に傾いた値として算出される。
具体的には、上記式(10)により、第2方向成分の動圧ΔP2_leftおよび第2方向成分の動圧ΔP2_rightが算出される。そして、下記式(16)に示すように、第2方向成分の動圧ΔP2_leftおよび第2方向成分の動圧ΔP2_rightのいずれか大きい動圧が第2方向成分の動圧ΔP2として選択される。その後、上記式(12)〜式(15)により、車両1000に対する風向θ、全風圧P、第1方向成分の風圧Pxおよび第2方向成分の風圧Pyが検出される。
Figure 0004955132
また、図11に示すように、車両1100の後部に、1つの第1圧力センサ500a_rearを配置してもよい。第1圧力センサ500a_rearは、第1圧力センサ500a_rearを構成するピトー管の軸中心が車両の進行方向x0に平行になるように、かつピトー管の全圧測定孔が車両の進行方向x0に対して反対側を向くように設置される。車両1100の前部に配置された第1圧力センサ500a_front、車両1100の側部に配置された第2圧力センサ500b_leftおよび第2圧力センサ500b_rightの配置位置および向きは、図10に示す車両1000の各圧力センサと同様である。
このように車両1100の前部および後部にそれぞれ第1圧力センサ500a_frontおよび第1圧力センサ500a_rearが設置されている場合、第1方向成分の動圧ΔP1_frontおよび第1方向成分の動圧ΔP1_rearのいずれか値の大きい動圧を選択することで、第1方向成分の動圧ΔP1が検出される。
具体的には、上記式(7)により、第1方向成分の動圧ΔP1_frontおよび第1方向成分の動圧ΔP1_rearが算出される。そして、下記式(17)に示すように、第1方向成分の動圧ΔP1_frontおよび第1方向成分の動圧ΔP1_rearのいずれか大きい風圧が第2方向成分の動圧ΔP1として選択される。その後、上記式(12)〜式(15)により、車両1000に対する風向θ、全風圧P、第1方向成分の風圧Pxおよび第2方向成分の風圧Pyが算出される。
Figure 0004955132
上記式(1)〜(17)は、たとえば、ナビゲーション装置300のROM302に記録された風検出プログラムに組み込まれている。そして、ナビゲーション装置300は、風検出プログラムを実行し、車両に対する風向θ、全風圧P、第1方向成分の風圧Pxおよび第2方向成分の風圧Pyを算出する。
以上説明したように、ナビゲーション装置300によれば、互いに直交する向きで設置された複数の圧力検出部を備える。より詳細には、ナビゲーション装置300は、ピトー管の全圧測定孔が車両の進行方向(第1方向)を向くように設置された第1圧力センサと、ピトー管の全圧測定孔が車両の進行方向に直交する方向(第2方向)を向くように設置された第2圧力センサと、を備える。これにより、ナビゲーション装置300は、互いに直交する向きで設置した第1,2圧力センサによって流体の第1方向成分および第2方向成分を検出可能であるので、車両の進行方向に対して流体の流れがずれている場合でも正確に風向および風圧を検出することができる。
また、ナビゲーション装置300は、車両の進行方向に平行に設置された複数の圧力センサを備える。より詳細には、ナビゲーション装置300は、ピトー管の全圧測定孔が車両の前方を向くように設置された第1圧力センサと、ピトー管の全圧測定孔が車両の後方を向くように設置された第3圧力センサと、を備える。これにより、ナビゲーション装置300は、第1,3圧力センサによって車両の前方および後方から流れる流体を検出可能であるので、より正確に風向および風圧を検出することができる。
さらに、ナビゲーション装置300は、車両の進行方向に直交する方向に平行に設置された複数の圧力検出部を備える。より詳細には、ナビゲーション装置300は、ピトー管の全圧測定孔が車両の外部の左側を向くように設置された第2圧力センサと、ピトー管の全圧測定孔が車両の外部の右側を向くように設置された第4圧力センサと、を備える。これにより、ナビゲーション装置300は、第2,4圧力センサによって車両の左側および右側から流れる流体を検出可能であるので、より正確に風向および風圧を検出することができる。
このように、車両に対する風向および風圧を正確に算出することができるため、たとえば、電気を動力源として走行するEV(Electric Vehicle)車やHV(Hybrid Vehicle)車、PHV(Plug−in Hybrid Vehicle)車などにおける消費電力を正確に算出することができる。これにより、車両における安全対策や消費電力低減を図ることができる。
なお、本実施の形態で説明した風検出方法は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナル・コンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することにより実現することができる。このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、MO、DVDなどのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行される。またこのプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することが可能な伝送媒体であってもよい。
100 風検出装置
101,102,103,104 圧力検出部(第1〜4)
111,112,113,114 動圧算出部(第1〜4)
121 風算出部

Claims (9)

  1. 流体の全圧を検出する第1圧力計および当該流体の静圧を検出する第2圧力計を有する第1圧力検出手段と、
    前記第1圧力検出手段によって検出された全圧および静圧に基づいて、前記流体の動圧を算出する第1動圧算出手段と、
    前記第1圧力検出手段と直交する向きに配置され、前記流体の全圧を検出する第3圧力計および当該流体の静圧を検出する第4圧力計を有する第2圧力検出手段と、
    前記第2圧力検出手段によって検出された全圧および静圧に基づいて、前記流体の動圧を算出する第2動圧算出手段と、
    前記第1動圧算出手段によって算出された動圧および前記第2動圧算出手段によって算出された動圧に基づいて、風向、全風圧、第1方向成分の風圧、および前記第1方向成分に直交する第2方向成分の風圧を算出する風算出手段と、
    前記第1圧力検出手段と対向する向き、かつ前記第2圧力検出手段と直交する向きに配置され、前記流体の全圧を検出する第5圧力計および当該流体の静圧を検出する第6圧力計を有する第3圧力検出手段と、
    前記第3圧力検出手段によって検出された全圧および静圧に基づいて、前記流体の動圧を算出する第3動圧算出手段と、を備え、
    前記第1圧力検出手段、前記第2圧力検出手段および前記第3圧力検出手段のそれぞれは、開放部を有する中空部材で覆われており、
    前記風算出手段は、前記第1動圧算出手段によって算出された動圧および前記第3動圧算出手段によって算出された動圧のいずれか大きい動圧と、前記第2動圧算出手段によって算出された動圧とに基づいて、前記風向、前記全風圧、前記第1方向成分の風圧、および前記第2方向成分の風圧を算出することを特徴とする風検出装置。
  2. 前記第1圧力検出手段、前記第2圧力検出手段および前記第3圧力検出手段はそれぞれピトー管で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の風検出装置。
  3. 前記第1動圧算出手段或いは前記第3動圧算出手段によって算出された動圧をΔP1とし、前記第2動圧算出手段によって算出された動圧をΔP2としたときに、全風圧Pは、下記式(1)を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の風検出装置。
    Figure 0004955132
  4. 前記風向θは、下記式(2)を満たすことを特徴とする請求項3に記載の風検出装置。
    Figure 0004955132
  5. 前記第1方向成分の風圧Pxは、下記式(3)を満たすことを特徴とする請求項4に記載の風検出装置。
    Figure 0004955132
  6. 前記第2方向成分の風圧Pyは、下記式(4)を満たすことを特徴とする請求項4または5に記載の風検出装置。
    Figure 0004955132
  7. 開放部を有する中空部材で覆われ、前記第2圧力検出手段と対向する向きに配置され、かつ、前記流体の全圧を検出する第7圧力計および当該流体の静圧を検出する第8圧力計を有する第4圧力検出手段と、
    前記第4圧力検出手段によって検出された全圧および静圧に基づいて、前記流体の動圧を算出する第4動圧算出手段と、
    をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の風検出装置。
  8. 前記風算出手段は、前記第1動圧算出手段によって算出された動圧および前記第3動圧算出手段によって算出された動圧のいずれか大きい動圧と、前記第2動圧算出手段によって算出された動圧および前記第4動圧算出手段によって算出された動圧のいずれか大きい動圧とに基づいて、前記風向、前記全風圧、前記第1方向成分の風圧、および前記第2方向成分の風圧を算出することを特徴とする請求項7に記載の風検出装置。
  9. 前記第1圧力検出手段、前記第2圧力検出手段および前記第3圧力検出手段は移動体に設置されており、
    前記風向は、前記移動体の進行方向に対する風向であり、
    前記第1方向成分の風圧は、前記移動体の進行方向に対する風圧であり、
    前記第2方向成分の風圧は、前記移動体の進行方向に直交する方向に対する風圧であることを特徴とする請求項1に記載の風検出装置。
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