JP4954684B2 - 自動製氷機の運転方法 - Google Patents

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Description

この発明は、除氷運転に際し、製氷部に配設した蒸発器に供給したホットガスにより離氷を図る自動製氷機の運転方法に関するものである。
図8に示すように、製氷室(製氷部)12に設けた下向きに開口する多数の製氷小室12aに製氷水を下方から噴射供給して、氷塊を連続的に製造する製氷機構10を備えた自動製氷機が、喫茶店やレストラン等の施設、その他の厨房で好適に使用されている(例えば、特許文献1参照)。製氷機構10は、本体内に水平に配置した製氷室12の直下に、支軸16aを介して傾動可能に枢支した水皿16と、この水皿16の下部に一体的に設けられ、所定量の製氷水を貯留する製氷水タンク18とを備えている。また、製氷室12の上面には、圧縮機CM,凝縮器CD,膨張手段EV,冷却ファンFM等から構成される冷凍機構20の一部をなす蒸発器14が密着的に蛇行配置されている。
前記冷凍機構20は、圧縮機CMからの冷媒を、冷却ファンFMで冷却された凝縮器CDおよび膨張弁EVを経て蒸発器14へ供給する冷凍回路22と、バイパス管24aを介して圧縮機CMから吐出した高温・高圧の気化冷媒(ホットガス)を蒸発器14へ直接供給するバイパス回路24とを備えている。冷凍機構20には、バイパス管24aの途中に管路を開閉するホットガス弁HVが介挿され、製氷運転時にホットガス弁HVを閉成することで冷凍回路22に冷媒が循環し、凝縮器CDおよび膨張弁EVの作用下に蒸発器14を冷却する冷凍サイクルが形成される。このとき、製氷機構10では、製氷小室12aを下方から閉成する閉成位置に水皿16を保持した状態で、冷却された各製氷小室12aに対し、製氷水タンク18の製氷水を水皿16から噴射供給することで、各製氷小室12aに氷塊が生成される。
前記冷凍機構20では、除氷運転時にホットガス弁HVを開放することでバイパス回路24にホットガスが循環し、このホットガスにより蒸発器14を加熱する除氷サイクルが形成される。このとき、製氷機構10では、水皿開閉機構28の開閉モータAMを駆動することで、水皿16を支軸16aを中心として斜め下方の開放位置へ傾動して、製氷小室12aを開放するよう構成される。そして、蒸発器14へのホットガスの供給により氷塊における製氷小室12aとの氷結部分が融解され、自重により製氷小室12aから離氷し、開放位置の水皿16上を滑落した氷塊がストッカ26に貯蔵される。製氷運転および除氷運転の切替は、製氷室12に配設したサーミスタ等の運転切替手段TPの温度検知に基づいて行なわれ、製氷運転において製氷完了温度を検知すると除氷運転に切替えられ、除氷運転において除氷完了温度を検知すると水皿16を上昇した後に製氷運転に切替えられる。
特開2006−52879号公報
ところで、除氷運転時に圧縮機CMから吐出されるホットガスは、全てがバイパス回路24を循環する訳ではなく、小量ではあるが一部のホットガスは、凝縮器CDに流入した後に液化して停滞する、所謂寝込みと云う現象が生じることがある。このように、ホットガスの一部が凝縮器CDで滞留すると、バイパス回路24におけるホットガスの循環量は、時間の経過と共に冷媒の寝込み量だけ減少するから、蒸発器14での除氷能力は次第に低下し、除氷運転に長時間を要する問題が発生する。特に、自動製氷機の周囲温度が低くなると、圧縮機CMから吐出されたホットガスの温度も低下するので、凝縮器CDだけでなく、蒸発器14においても冷媒の寝込み現象が生じることがあり、前述した問題が顕著に発現する。そして、除氷運転に際し、蒸発器14に供給されるホットガスの温度や供給量が低下すると、蒸発器14における冷媒の入口側と出口側とで温度差が顕著になり、各製氷小室12aからの離氷タイミングのばらつきが大きくなる。すなわち、製氷小室12aに氷塊が残っているのにもかかわらず、運転切替手段TPが除氷完了温度を誤検知するおそれがあり、製氷室12と水皿16との間で氷塊の噛み込み等が発生し、製氷室12、水皿16または水皿開閉機構28等の破損に繋がる。
すなわち本発明は、従来の技術に係る自動製氷機の運転方法に内在する前記問題に鑑み、これらを好適に解決するべく提案されたものであって、周囲温度が低温域にある場合であっても、効率よく除氷を行ない得る自動製氷機の運転方法を提供することを目的とする。
前記課題を克服し、所期の目的を達成するため、本願の請求項1に係る発明の自動製氷機の運転方法は、
製氷運転時に、圧縮機から冷却ファンで冷却される凝縮器および膨張手段を介して蒸発器へ冷媒を供給すると共に、蒸発器により冷却された製氷部へ製氷水を供給して氷塊を生成し、除氷運転時に、ホットガス弁の開放により圧縮機から蒸発器にホットガスを直接供給することで、蒸発器の加熱により前記製氷部から離氷させるようにした自動製氷機の運転方法において、
除氷運転に際し、前記凝縮器の周辺に設けられた温度検知手段で検知した該凝縮器の周囲温度が、予め設定した設定温度以下の場合は、除氷過程の間で前記ホットガス弁を所定時間だけ閉成して、前記冷却ファンを停止した状態で、前記凝縮器および膨張手段を介して前記蒸発器へホットガスを供給する時間帯を設けたことを特徴とする。
請求項1に係る発明によれば、凝縮器の周囲温度が設定温度以下の場合は、除氷過程の間で冷却ファンを停止した状態で凝縮器にホットガスを供給することで、凝縮器の圧力を上昇させることができる。これにより、凝縮器に滞留している液化冷媒の気化を促すことができ、滞留した液化冷媒に起因するホットガスの循環量の低下を解消することができる。
請求項2に係る発明は、前記温度検知手段で検知した凝縮器の周囲温度が前記設定温度以下の場合において、除氷運転開始と同時に前記ホットガス弁を開放した後、該ホットガス弁を閉成および開放する工程を所定回数繰返すように設定したことを要旨とする。
請求項2に係る発明によれば、除氷運転開始と同時にホットガス弁を開放することで、蒸発器に滞留した液化冷媒の循環を促すことができる。この後、ホットガス弁を閉成することで、充分な量のホットガスを凝縮器に供給することができる。すなわち、ホットガスの供給量を多く確保することができ、凝縮器における液化冷媒の滞留状態をより円滑に解消し得る。
請求項3に係る発明は、前記圧縮機の起動時における除氷運転において、前記温度検知手段で検知した凝縮器の周囲温度が設定温度以下の場合は、除氷運転開始から前記ホットガス弁を遅延させて開放するように設定したことを要旨とする。
請求項3に係る発明によれば、圧縮機の起動時における除氷運転では、蒸発器の温度が製氷完了時と比べて高く、蒸発器における液化冷媒の滞留量が少ないから、除氷運転開始からホットガス弁を遅延させて開放するように設定することで、無駄なく凝縮器における液化冷媒の滞留状態を解消し得る。
本発明に係る自動製氷機の運転方法によれば、周囲温度が設定温度以下の場合は、滞留した液化冷媒に起因するホットガスの循環量の低下を解消し得るから、蒸発器により製氷部を適切に加熱することができる。従って、周囲温度が何れの条件にあっても、除氷運転において製氷部からの離氷を円滑に行なうことができる。
次に、本発明に係る自動製氷機の運転方法につき、好適な実施例を挙げて、添付図面を参照して以下に説明する。なお、説明の便宜上、図8に示した自動製氷機の構成要素と同様の要素については、同一の符号を使用する。
図1は、実施例に係る自動製氷機の製氷機構10と、この製氷機構10の製氷室(製氷部)12を冷却および加熱する蒸発器14に冷媒を供給する冷凍機構20とを示す概略図である。この自動製氷機は、図2に示すように、運転切替手段TPや温度検知手段TH等のセンサや計時手段TM等の入力に基づいて、制御手段Cにより製氷機構10および冷凍機構20を構成する圧縮機CM等の機器が駆動制御されて、製氷運転および除氷運転を交互に繰返すようになっている。ここで、自動製氷機は、電源を投入して圧縮機CMを起動した際、制御手段Cや図示しない操作手段からの入力に基づいて圧縮機CMを再起動した際および異常や故障時から復帰して圧縮機CMを再起動した際に(何れも単に起動と云う)、一定の保護時間だけ遅延して除氷運転から開始するように設定されている(図6および図7参照)。すなわち、自動製氷機が製氷運転中に停電等で停止した場合に、製氷室12に氷塊が残っていることがあり、このまま製氷運転を開始すると氷噛み等の問題が生じるおそれがあるので、除氷運転から開始するようになっている。
前記製氷機構10は、本体内部に水平に配置され、下方に開口する多数の製氷小室12aを備えた製氷室12と、製氷小室12aを開閉自在に閉成し、製氷水を貯留する製氷水タンク18を下方に一体的に備えた水皿16とから基本的に構成されている。製氷室12の上面には、冷凍機構20の一部を構成する蒸発器14が密着的に蛇行配置され、この蒸発器14により製氷運転時に各製氷小室12aを強制冷却すると共に、除氷運転時に各製氷小室12aを加熱するようになっている。水皿16は、支軸16aにより製氷室12に対して傾動可能に枢支され、水皿16および製氷水タンク18は、製氷運転に際して水平に位置して製氷室12と平行に保持されて製氷小室12aの開口を閉成するよう構成される。また水皿16は、開閉モータAMの駆動に基づく水皿開閉機構28の付勢により傾動され、除氷運転開始時に水皿開閉機構AMにより支軸16aを中心として下方へ傾動して製氷小室12aを開放するようになっている。更に水皿16は、除氷運転において、製氷小室12aから離氷したことを条件として、水皿開閉機構28により支軸16aを中心として上方へ傾動して製氷小室12aを閉成するよう構成される。そして、製氷水タンク18には、給水弁WVが介挿された給水管30から製氷水が供給されて、所定量の製氷水が貯留される。製氷運転に際し、製氷水タンク18に連通した製氷水ポンプPMを駆動することで、製氷小室12aを閉成する水皿16から製氷水が各製氷小室12aに供給される。製氷室12には、当該製氷室12の温度を検知する運転切替手段TPが配設され、この運転切替手段TPの温度検知結果に基づいて製氷運転における製氷または除氷運転における除氷の完了が判定される。
前記水皿開閉機構28は、除氷運転の開始と同時に駆動される開閉モータAMにより水皿16を下方へ傾動して、水皿16の開放位置への到来を切替スイッチSWが検知すると開閉モータAMが停止されるよう構成される。また、水皿開閉機構28は、除氷運転において運転切替手段TPが除氷完了温度を検知すると、開放位置から水皿16を開閉モータAMの駆動により上方へ傾動して、水皿16の閉成位置への到来を切替スイッチSWが検知すると開閉モータAMが停止されるようになっている。
前記冷凍機構20では、図示しない機械室に配設された圧縮機CM、凝縮器CD、この凝縮器CDを冷却する冷却ファンFM、膨張弁(膨張手段)EVおよび製氷室12の上面に配設された蒸発器14を冷媒配管で接続して冷凍回路22が構成される。この冷凍回路22は、圧縮機CM、凝縮器CD、膨張手段EV、蒸発器14、圧縮機CMの順番で冷媒が循環するように各機器が冷媒配管23で接続されている。冷凍回路22では、製氷運転時に、圧縮機CMで圧縮した冷媒が、冷却ファンFMで冷却される凝縮器CDにおける凝縮および膨張手段EVでの減圧を経て蒸発器14に供給される。これにより冷媒は、蒸発器14で製氷室12から熱を奪って蒸発して製氷室12を氷点下にまで強制冷却し、その後、圧縮機CMに帰還する冷凍サイクルを反復するようになっている。なお、停止状態にあった圧縮機CMは、除氷運転の開始と同時に駆動され、除氷運転および製氷運転において連続して駆動される。
実施例の膨張弁EVとしては、温度に応じて弁の開度を調節する温度作動式のものが採用されている。膨張弁EVは、蒸発器14の出口側に配設した温度検出部TKを備え(図1参照)、この温度検出部TKで検出した温度が低くなると弁の開度が大きくなる一方、温度が高くなると弁の開度が小さくなり、所定温度に至ると管路を完全に閉成するよう構成される。すなわち、除氷運転において、ホットガス弁HVを開放することで、蒸発器14の出口側の温度が所定温度より高くなったときには、冷凍回路22における高圧側の回路(圧縮機CMから凝縮器CDを介して膨張弁EVに至る経路)を閉成するように機能する。
前記冷凍機構20は、前述した冷凍回路22に加えて除氷運転時に蒸発器14へホットガスを供給するバイパス回路24を備えている。バイパス回路24は、始端を圧縮機CMの吐出側から凝縮器CDの吸込み側の間で冷媒配管23に接続すると共に、終端を蒸発器14の吸込み側の冷媒配管23に接続したバイパス管24aを有している。このバイパス管24aには、制御手段Cの制御下に動作して該バイパス管24aの管路を開閉するホットガス弁HVが介挿されている。冷凍機構20では、ホットガス弁HVの開放(ON)によりバイパス回路24をホットガスが循環して、凝縮器CDおよび膨張弁EVを介さずにホットガスが蒸発器14に直接供給され、ホットガスにより製氷室12を加熱する除氷サイクルが行なわれる。これに対し、冷凍機構20では、ホットガス弁HVの閉成(OFF)により冷凍回路22を冷媒が循環される。
前記冷却ファンFMは、ホットガス弁HVが閉成しているときに駆動し、ホットガス弁HVが開放しているときに停止するように制御手段Cで制御される。冷凍機構20では、除氷運転を開始した際に、駆動していた冷却ファンFMは停止されると共に、停止していた冷却ファンFMは停止状態が維持され、運転切替手段TPによる除氷完了温度の検知を条件として、冷却ファンFMの駆動が開始される。すなわち、冷却ファンFMは、水皿16の上方への傾動時から製氷運転に亘って連続駆動される。
前記自動製氷機は、設置環境における周囲温度を検知する温度検知手段THを備え、この温度検知手段THの検知結果に基づいて、制御手段Cにより除氷運転における冷凍機構20の動作条件が切替えられる。すなわち、温度検知手段THの温度検知結果が制御手段Cに予め設定した設定温度(例えば、10℃程度)を上回る場合は、冷凍機構20は起動時の除氷運転で通常起動工程を行ない、その他の除氷運転でも通常除氷工程を行なうように制御される。これに対し、温度検知手段THの温度検知結果が前記設定温度以下の場合は、冷凍機構20は起動時の除氷運転で低温起動工程を行ない、その他の除氷運転でも低温除氷工程を行なうように制御される。なお、温度検知手段THは、凝縮器CDの周辺に設けられ、特に凝縮器CDにおける冷媒の流入側に配置するのがよい。なぜなら、凝縮器CDが設置される機械室の温度は、圧縮機CMの排熱により昇温されるから機外の温度と必ずしも一致するとは限らず、凝縮器CDの液化冷媒の滞留による不都合を解消する目的上、凝縮器CDの周辺の雰囲気温度を検知するのが最適である。
通常起動工程および通常除氷工程において、冷凍機構20は、除氷運転を開始すると直ちにホットガス弁HVを開放し、除氷運転の開始から運転切替手段TPにより除氷完了温度が検知されるまでの間(除氷過程)に亘ってホットガス弁HVの開放状態を維持するように制御される。そして、運転切替手段TPで除氷完了温度が検知されると、冷凍機構20ではホットガス弁HVが閉成されると共に冷却ファンFMが駆動され、製氷機構10では切替スイッチSWによる水皿16における上方への傾動の完了検知に基づいて、除氷運転から製氷運転に切替えられる。
低温起動工程および低温除氷工程において、冷凍機構20では、除氷過程の間でホットガス弁HVを所定時間(閉成時間)だけ閉成して、冷却ファンFMを停止した状態で、凝縮器CDおよび膨張弁EVを介して蒸発器14へ冷媒を供給する時間帯が設けられる。これにより、凝縮器CDに対して、温度および圧力の高いホットガスを供給する圧力上昇サイクルが行なわれる。低温起動工程において、冷凍機構20は、除氷運転を開始してもホットガス弁HVを直ちに開放せず、所要時間だけ冷凍回路22における冷媒の圧力上昇サイクルを行なった後に、ホットガス弁HVを開放してホットガスの加熱による除氷が行なわれるように設定されている。実施例では、低温起動工程におけるホットガス弁HVの開放タイミングを、水皿16を傾動させる水皿開閉機構28に連動させる構成となっている。すなわち、開閉モータAMの駆動による水皿開閉機構28の付勢により水皿16が下方傾斜して切替スイッチSWにより検知されることを条件として、ホットガス弁HVが開放されて、運転切替手段TPによる除氷完了温度の検知によりホットガス弁HVが閉成される。
低温除氷工程において、冷凍機構20は、計時手段TMによる開放時間および閉成時間の計時に基づいて制御手段Cによりホットガス弁HVの開閉が所定回数(実施例では、開−閉−開−閉の動作)繰返し行なわれる。制御手段Cに接続された計時手段TMは、温度検知手段THの検知結果が設定温度以下である場合に起動されて、除氷運転開始当初にホットガス弁HVの開放状態を維持する開放時間および除氷過程の間にホットガス弁HVの閉成状態を維持する閉成時間を計時するよう構成される(図7参照)。計時手段TMは、除氷運転の開始時点から開放時間の計時を開始して、当該開放時間を経過すると閉成時間の計時を開始し、当該閉成時間を経過するとリセットするように設定され、開放時間と閉成時間とが1回ずつ計時される。
低温除氷工程では、除氷運転を開始すると、開放時間だけホットガス弁HVを開放してバイパス回路24にホットガスを循環させる除氷サイクルを行ない、その後、閉成時間だけホットガス弁HVを閉成して冷却ファンFMを停止したまま冷凍回路22に冷媒を循環させる圧力上昇サイクルを行なうように設定される(図7参照)。そして、再びホットガス弁HVを開放してバイパス回路24をホットガスが循環する除氷サイクルを行ない、運転切替手段TPが除氷完了温度を検知することで、ホットガス弁HVが閉成される。実施例では、水皿16が閉成位置から開放位置までに到る時間(開閉モータAMの駆動時間)と、除氷運転開始当初におけるホットガス弁HVの開放時間とが同じになるように設定されている。なお、ホットガス弁HVの閉成時間は、40秒から90秒程度に設定される。
〔実施例の作用〕
次に、実施例に係る自動製氷機の運転方法の作用について、図3〜図5のフローチャートおよび図6および図7のタイミングチャートを参照して説明する。図3に示すように、自動製氷機を起動すると、構成機器を保護するために制御手段Cに設定した保護時間だけ遅延させて(ステップS1)、除氷運転が開始される(ステップS10)。先ず、温度検知手段THで検知した周囲温度が、設定温度以下であるか否かが判定される(ステップS11)。温度検知手段THによる周囲温度の検知結果が設定温度を上回る場合は、通常起動工程に移行し(ステップS12)、自動製氷機の設置環境が低温域にあって設定温度以下となる場合は、低温起動工程に移行する(ステップS16)。通常起動工程では、冷却ファンFM、製氷水ポンプPMは停止状態が維持され、圧縮機CMが駆動される(ステップS13)。また、ホットガス弁HVを開放して蒸発器14にバイパス管24aを介してホットガスが供給されると共に、開閉モータAMが駆動されて水皿開閉機構28の付勢により水皿16が下方へ向けて傾動される(ステップS13)。水皿16が開放位置まで到来すると、切替スイッチSWの検知により開閉モータAMが停止され(ステップS14,S15)、水皿16が製氷小室12aを開放した開放位置で停止される。バイパス回路24にホットガスを循環させることで、ホットガスによって蒸発器14が加熱されて製氷室12の温度を徐々に上昇させる。
前記運転切替手段TPが除氷完了温度を検知することで(ステップS20)、除氷が完了したことを判定し(ステップS21)、ホットガス弁HVが閉成される(ステップS22)。同時に、水皿開閉機構28の開閉モータAMが駆動して開放位置の水皿16を上方へ傾動することで、製氷小室12aを閉成すると共に、冷却ファンFMが駆動されて、冷凍回路22において冷媒の冷凍サイクルが行なわれる(ステップS22)。このように、通常起動工程では、除氷運転開始から除氷完了温度の検知までの間に亘って、ホットガス弁HVが開放状態にあって、ホットガスによる除氷が連続して行なわれる(図6参照)。そして、水皿16が閉成位置まで到来したことが切替スイッチSWにより検知されると(ステップS23)、製氷運転に移行する(ステップS30)。
一方、低温起動工程に移行すると(ステップS16)、開閉モータAMが駆動されて水皿開閉機構28の付勢により水皿16が下方へ向けて傾動されるが、ホットガス弁HVの閉成状態および冷却ファンFMの停止状態が維持される(ステップS17)。圧縮機CMから吐出されたホットガスは、冷凍回路22を循環することになるものの、凝縮器CDは冷却ファンFMにより冷却されていないから、ホットガスが凝縮器CDにおいて凝縮液化されることはない。すなわち、冷凍回路22では、ホットガスの状態で冷媒を循環させて、凝縮器CDの圧力を上昇する圧力上昇サイクルが実施される。ここで、圧縮機CMの起動時における除氷運転では、蒸発器14の温度が製氷運転完了時と比べて高く、蒸発器14における液化冷媒の滞留量が少なく、特に通常の停止状態からの起動時は蒸発器14に液化冷媒が滞留していないから、除氷運転の開始時にホットガス弁HVを開放して蒸発器14にホットガスを供給する時間帯を設けていない。従って、除氷運転開始からホットガス弁HVを遅延させて開放するように設定することで、無駄なく凝縮器CDにおける液化冷媒の滞留状態を解消し得る。
前記水皿16が開放位置まで到来すると切替スイッチSWの検知により(ステップS18)、開閉モータAMが停止され(ステップS19)、水皿16が製氷小室12aを開放した開放位置で停止される。同時に、ホットガス弁HVを開放することで、バイパス回路24にホットガスを循環し、蒸発器14に対しホットガスを直接供給することにより、蒸発器14が更に加熱される。ここで低温起動工程において、ホットガス弁HVの開閉のタイミングを、開閉モータAMの駆動による水皿16の下方への傾動に連動するように構成してあるから、ホットガス弁HVの開閉に際してタイマ等の別の手段を設ける必要はなく、コストを低減し得る。なお、低温起動工程において、運転切替手段TPによる除氷完了温度の検知以降のステップ(ステップS20〜S23)は、前述した通常起動工程と同様である。
製氷運転では、切替スイッチSWによる水皿16の閉成位置検知により開閉モータAMが停止されると共に、製氷水ポンプPMが駆動されて水皿16から製氷水が製氷小室12aに供給される(ステップS31)。このとき、冷却ファンFMを駆動した状態で、冷凍回路22を所定の冷凍作用のもとで循環する冷媒が蒸発器14に供給されることで、 製氷室12は蒸発器14により強制冷却されるから、製氷小室12aに氷塊Mが生成される。製氷運転は、運転切替手段TPが予め設定していた製氷完了温度を検知すると、製氷運転を完了して除氷運転に移行する(ステップS32,S33)。なお、製氷運転では、除氷運転で高温となった製氷室12が抵抗となって、圧力が一度上昇するが、製氷室12の温度が下がるにつれて圧縮機CMも冷やされることで、圧力が次第に低下する(図7参照)。
除氷運転を開始すると(ステップS40)、温度検知手段THで検知した周囲温度が、設定温度以下であるか否かが判定される(ステップS41)。温度検知手段THによる周囲温度の検知結果が設定温度を上回る場合は、通常除氷工程に移行し(ステップS42)、自動製氷機の設置環境が低温域にあって設定温度以下となる場合は、低温除氷工程に移行する(ステップS46)。通常除氷工程では、製氷水を製氷小室12aに供給していた製氷水ポンプPMおよび凝縮器CDを冷却していた冷却ファンFMが停止されると共に、ホットガス弁HVを開放して蒸発器14にバイパス管42を介してホットガスが供給される(ステップS43)。また、水皿開閉機構28の開閉モータAMが駆動されることで、水皿16を下方へ向けて傾動し(ステップS43)、製氷小室12aを開放する。水皿16が開放位置まで到来すると切替スイッチSWの検知により(ステップS44)、開閉モータAMが停止され(ステップS45)、水皿16が製氷小室12aを開放した開放位置で停止される。製氷小室12aと氷塊との氷結面が融解されることで、自重で製氷小室12aから離氷する。これにより、運転切替手段TPが除氷完了温度を検知することで(ステップS20)、前述した通常起動工程と同様に、運転切替手段TPによる除氷完了温度の検知以降のステップ(ステップS20〜S23)が実施される。
低温除氷工程では、製氷水を製氷小室12aに供給していた製氷水ポンプPMおよび凝縮器CDを冷却していた冷却ファンFMが停止されると共に、ホットガス弁HVを開放して蒸発器14にバイパス管42を介してホットガスが供給される(ステップS47)。また、水皿開閉機構28の開閉モータAMを駆動することで、水皿16を下方へ向けて傾動し(ステップS47)、製氷小室12aを開放する。同時に、計時手段TMによるホットガス弁HVの開放時間の計時が開始される(ステップS47)。そして、計時手段TMが開放時間を計時すると(ステップS48)、ホットガス弁HVを閉成して蒸発器14へのホットガスの供給を停止すると共に、ファンモータFMの停止状態を維持したまま冷凍回路22へホットガスを循環させる(ステップS49)。また、開放時間を計時した計時手段TMは、ホットガス弁HVの閉成時間の計時を開始する。このとき、蒸発器14および蒸発器14の出口側はホットガスにより昇温されるから、温度検出部TKによる所定温度の検出に基づいて、膨張弁EVは閉成状態にある。そして、蒸発器14に滞留した液化冷媒が蒸発して気化冷媒として、冷凍回路22における低圧側の回路(蒸発器14から圧縮機CMに至る経路)を循環するようになるから、冷凍回路22に循環させるホットガスの量を確保し得る。
前記ホットガス弁HVを開放してから開放時間を経過すると(計時手段TMによる開放時間の計時完了:ステップS48)、冷却ファンFMを停止した状態でホットガス弁HVが閉成され(ステップS49)、冷凍回路22における高圧側の回路にホットガスが供給される。このとき、膨張弁EVが温度検出部TKによる所定温度の検出により閉成された状態であると共に、ホットガス弁HVが閉成されているから、圧縮機CMからホットガスが押し込まれて、凝縮器CD(高圧側の回路)では、圧力が上昇する。そして、凝縮器CDの圧力の上昇に伴って凝縮器CDの温度も上昇するから、凝縮器CDに滞留していた液化冷媒を気化させることができる。この際、冷凍回路22における低圧側の回路では、圧力および温度の変化は余り起こらない。このように、冷凍機構20では、除氷運転を開始してから開放時間だけバイパス回路24にホットガスを循環させて蒸発器14にホットガスを直接供給した後、バイパス回路24へのホットガスの供給を停止して、閉成時間に亘って冷凍回路22において圧力上昇サイクルを行なう。
前記ホットガス弁HVを閉成してから閉成時間を経過すると(計時手段TMによる閉成時間の計時完了:ステップS50)、ホットガス弁HVが開放され、運転切替手段TPが除氷完了温度を検知するまでの間に亘って、ホットガスを蒸発器14へ直接供給する(ステップS51)。すなわち、冷凍回路22における高圧側の回路は圧力が高くなっているから、ホットガス弁HVを開放すると、押し込まれていたホットガスが蒸発器14に一気に供給される。これにより、蒸発器14の出口側までホットガスを確実に到達させることができる。
前記水皿16が開放位置まで到来すると切替スイッチSWの検知により(ステップS52)、開閉モータAMが停止され(ステップS53)、水皿16が製氷小室12aを開放した開放位置で停止される。なお、低温除氷工程において、運転切替手段TPによる除氷完了温度の検知以降のステップ(ステップS20〜S23)は、前述した通常起動工程と同様である。
実施例の自動製氷機によれば、除氷運転における除氷過程において、冷却ファンFMを停止した状態で冷凍回路22にホットガスを循環させることで、凝縮器CDの圧力の上昇に伴って凝縮器CDを昇温し得る(図7参照)。これにより、凝縮器CDに滞留していた液化冷媒を気化させることができる。そして、冷媒の循環経路をバイパス回路24に切替えたときには、凝縮器CDにおける液化冷媒の寝込み状態が解消されているから、バイパス回路24に充分な量のホットガスが循環する。すなわち、蒸発器14へのホットガスの供給が適切に行なわれ、蒸発器14の流入側と流出側との間で温度に過大な温度差が生じることを回避して、製氷室12全体をバランスよく加熱し得る。しかも、圧力上昇サイクルを終了してホットガス弁HVを開放することで、蒸発器14に対しホットガスが勢いよく供給されて出口側まで到達するから、蒸発器14全体を均等に加熱し得る。従って、特定の製氷小室12aにおいて氷塊が異常に融解することを抑制でき、異形氷の発生を防ぎ、所望の形状の氷塊を得ることが可能となる。また、各製氷小室12aから同様のタイミングで離氷し得るので、除氷時間を短縮でき、製氷能力の向上に繋がる。しかも、運転切替手段TPによる除氷完了温度の誤検知を抑制し得るから、製氷室12と水皿16との間で氷塊の噛み込み等により製氷室12、水皿16または水皿開閉機構28等の破損を防ぐことができる。
前記冷凍機構20は、周囲温度が設定温度以下の場合にだけ選択的に圧力上昇サイクルを行なうように設定してあるから、特に周囲温度が低温域にあるときに発現する冷媒の寝込み現象を好適に解消し得ると共に、寝込み現象が起きにくい通常の温度域においてホットガス弁HVの開閉を繰返すことによる冷凍機構20への負荷を軽減し得る。また、自動製氷機の周囲温度が低温域にある場合でも、除氷時間を短縮でき、除氷効率を向上し得ると共に、省エネルギー化を図り得る。
(変更例)
本発明は、実施例の構成に限定されず、以下の如く変更することも可能である。
(1)実施例の製氷機構は、水皿により製氷室を開閉する所謂クローズドセル方式であるが、これに限定されず、オープンセル方式や流下式等の除氷運転においてホットガスを利用する製氷機構であれば、前述した運転方法を適用し得る。
(2)低温除氷工程におけるホットガス弁の開閉を計時手段ではなく、水皿開閉機構による水皿の開閉に連動させてもよい。
(3)ホットガス弁は、電磁弁や電動弁等が好適に採用されるが、制御手段の制御によって任意に動作(バイパス管の開閉)するものであれば特に限定されない。
(4)実施例では、計時手段が開放時間を1回計時した後に、閉成時間を1回計時する態様について説明したが、ホットガス弁を閉成した後に開放する態様であっても、開放時間と閉成時間とを複数回交互に計時する態様であってもよい。
(5)除氷運転の開始時に、毎回温度検知手段の温度検知結果を参照するステップを有する場合について説明したが、これに限定されず、除氷運転の複数回毎や月日毎等で検知する態様であってもよい。
(6)低温起動工程では、ホットガス弁の開放制御を水皿の下方傾動に連動させたが、低温除氷工程と同様に、除氷運転の開始と共に起動する計時手段による計時に基づいてホットガス弁の開閉を行なってもよい。
(7)周囲温度が設定温度を上回る場合において、バイパス回路に温度検知手段を設け、除氷運転開始時に温度検知手段の検知した温度が設定値より高い場合に、ホットガス弁を所定時間閉成すると共に、冷却ファンを駆動することで、除氷過程において蒸発器の過熱を防ぐために冷凍サイクルを行なってもよい。
本発明の好適な実施例に係る運転方法に用いられる自動製氷機の要部を示す概略図である。 実施例の自動製氷機の制御ブロック図である。 実施例の自動製氷機において、起動時の除氷運転を示すフローチャート図である。 実施例の自動製氷機の製氷運転を示すフローチャート図である。 実施例の自動製氷機において、通常時の除氷運転を示すフローチャート図である。 実施例の自動製氷機における各機器の動作状態を示すタイミングチャート図であって、周囲温度が通常の場合である。 実施例の自動製氷機における各機器の動作状態を示すタイミングチャート図であって、周囲温度が低温域にある場合である。 従来の自動製氷機を示す概略図である。
符号の説明
12 製氷室(製氷部),14 蒸発器,CM 圧縮機,FM 冷却ファン,CD 凝縮器,
EV 膨張手段,HV ホットガス弁,TH 温度検知手段

Claims (3)

  1. 製氷運転時に、圧縮機(CM)から冷却ファン(FM)で冷却される凝縮器(CD)および膨張手段(EV)を介して蒸発器(14)へ冷媒を供給すると共に、蒸発器(14)により冷却された製氷部(12)へ製氷水を供給して氷塊を生成し、除氷運転時に、ホットガス弁(HV)の開放により圧縮機(CM)から蒸発器(14)にホットガスを直接供給することで、蒸発器(14)の加熱により前記製氷部(12)から離氷させるようにした自動製氷機の運転方法において、
    除氷運転に際し、前記凝縮器(CD)の周辺に設けられた温度検知手段(TH)で検知した該凝縮器(CD)の周囲温度が、予め設定した設定温度以下の場合は、除氷過程の間で前記ホットガス弁(HV)を所定時間だけ閉成して、前記冷却ファン(FM)を停止した状態で、前記凝縮器(CD)および膨張手段(EV)を介して前記蒸発器(14)へホットガスを供給する時間帯を設けた
    ことを特徴とする自動製氷機の運転方法。
  2. 前記温度検知手段(TH)で検知した凝縮器(CD)の周囲温度が前記設定温度以下の場合において、除氷運転開始と同時に前記ホットガス弁(HV)を開放した後、該ホットガス弁(HV)を閉成および開放する工程を所定回数繰返すように設定した請求項1記載の自動製氷機の運転方法。
  3. 前記圧縮機(CM)の起動時における除氷運転において、前記温度検知手段(TH)で検知した凝縮器(CD)の周囲温度が設定温度以下の場合は、除氷運転開始から前記ホットガス弁(HV)を遅延させて開放するように設定した請求項1記載の自動製氷機の運転方法。
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