冷媒として空気を用い、圧縮機で高圧高温の空気とし、これを冷却器で冷却した後、膨張機で低圧低温とする空気冷媒式冷凍装置は、温暖化係数の高いフロン系冷媒などを用いないので、環境を害しない利点がある。しかし、蒸発と凝縮とを行わせる相変化方式の冷凍サイクルに比べると、冷却能力は劣る。しかし、冷媒空気を各種用途の空間内に直接吹き出してその空間を冷却する直接冷却方式は、室内空気と熱交換する間接冷却方式と比べて、冷却効果が高く、NH3やCO2を冷媒として用いた冷凍装置と比べて、−50〜―60℃以下の極低温への冷凍で、効率良い冷凍が可能になる。
空気冷媒式冷凍装置の冷凍サイクルは、反時計方向に作動する逆ブレートンサイクルと称される冷凍サイクルを構成し、航空機の空調用冷凍サイクルとしてよく知られている。逆ブレートンサイクルは、等エントロピー工程(断熱圧縮工程及び断熱膨張工程)と等圧工程との組み合わせからなっている。
図8に一般的な空気冷媒式冷凍装置の構成を示す。一般的な空気冷媒式冷凍装置100は、冷媒循環路102に冷凍サイクル構成機器類が介設されている。駆動モータ104の単一の出力軸104aに圧縮機106と膨張機108とが連結され、圧縮機106と膨張機108とは同時に駆動される。圧縮機106から吐出された高圧高温の空気冷媒は、一次冷却器112で一次冷却される。一次冷却器112には冷却水循環路110が接続されている。冷却水循環路110では、冷却水ポンプ116と流量調整可能な通水弁118とが設けられ、冷却水ポンプ116によって矢印方向に冷却水が循環している。冷却水は、冷却塔114で冷却され、一次冷却器112で空気冷媒と熱交換して空気冷媒を冷却する。
一次冷却器112で冷却された空気冷媒は、熱回収器120で、被冷却室122から戻る空気冷媒と熱交換して、さらに冷却される。熱回収器120で冷却された空気冷媒は、膨張機108で膨張し、低圧低温空気となって、被冷却室122に供給される。被冷却室122は、例えば冷凍庫やフリーザ等で構成される。被冷却室122で被冷却品の冷凍に供した後の空気冷媒は、被冷却室122内から運ばれる浮遊した微細氷が含まれ、この微細氷はフロストトラップ124で一部が捕集される。フロストトラップ124を出た空気冷媒は、熱回収器120で一次冷却器112を出た高圧高温空気冷媒と熱交換され、該高圧高温空気冷媒を冷却し、その後、圧縮機106に送られる。
空気冷媒式冷凍装置の冷凍サイクル(逆ブレートンサイクル)が理想的に作動する場合を図9により説明する。図9において、図中の符号a〜fの位置は、図8中の符号a〜fの位置に合わせてある。行程(a→b)及び行程(d→e)は、等エントロピー行程であり、行程(a→b)は断熱圧縮行程であり、行程(d→e)は断熱膨張行程である。行程(b→d)及び行程(e→a)は等圧行程である。行程(b→c)は、一次冷却器112で空気冷媒が冷却されるときの行程であり、行程(e→f)は、被冷却室122で、空気冷媒が被冷却品を冷却し、被冷却品の保有熱を受け取るときの行程である。
行程(c→d)は、一次冷却器112を出た空気冷媒が熱回収器120で熱交換され冷却されるときの行程であり、行程(f→a)は、フロストトラップ124を出た空気冷媒が熱回収器120で熱交換され吸熱するときの行程である。両行程の前後のエンタルピー差は同一である。また、点aと点cの温度は同一であり、点dと点fの温度は同一である。
通常の冷凍運転においては、駆動モータ104は定格回転数に維持され、冷却水循環路110に設けられた通水弁118は常時全開(最大通水量)となっている。低温側等圧熱交換行程(f→a)と高温側等圧熱交換行程(c→d)とは、等圧状態で等量の熱量を交換する行程、即ち、冷熱の再生利用行程である。
このような空気冷媒式冷凍装置の最大の課題は、運転時間の経過に従い、被冷却室122の出口側から熱回収器120の入口側低温部までの冷媒循環路に、被冷却室122から運ばれる微細氷が次第に堆積(着霜)することである。熱回収器120の入口側での着霜進行に伴い、低温側冷媒路の圧損が増加し、終には冷媒通路が閉塞状態となる。また、着霜の進行と共に圧縮機106の吸入圧が低下し、冷凍サイクルのCOPが低下する。着霜防止法として、被冷却室122の出口側冷媒路に簡易な分離器、即ち、デフロストトラップ124を設ける試みがなされている。このデフロストトラップ124で捕集した霜や、熱回収器120の低温側冷媒循環路の着霜は、デフロスト運転を行なって融解除去している。
特許文献1〜3には、夫々、空気冷媒式冷凍装置において、低温側冷媒路にデフロストトラップを設けること、及びデフロスト運転時に圧縮機吐出側の0℃以上の空気冷媒を、バイパス路を通して着霜区域に流し、デフロストトラップ等に溜まった着霜を溶解除去する技術が開示されている。
特許文献1(図2)には、デフロスト運転時に、圧縮機吐出側の高圧高温空気冷媒を、膨張機を通して低圧低温にし、低圧低温にした空気冷媒を、膨張機の出口側から被冷却室をバイパスさせ、被冷却室下流側の着霜区域に送るデフロスト方法が開示されている。
また、特許文献1(図1)及び特許文献2及び3には、デフロスト運転時に、圧縮機吐出側の高圧高温空気冷媒を、膨張機及び被冷却室をバイパスして、被冷却室下流側の着霜区域に送るデフロスト方法が開示されている。
また、特許文献4には、空気冷媒式冷凍装置において、デフロスト運転を行なった後、融解水を排出する工程、及び融解水排出工程後、被冷却室をバイパスさせて空気冷媒を循環させることで、冷媒循環路を予冷する予冷工程をもうけることが開示されている。
図10は、空気冷媒式冷凍装置の実際の冷凍サイクルを示した図である。図10に示すように、実際の冷凍サイクルでは、圧縮機106の圧縮行程(a→b)及び膨張機108の膨張行程(d→e)は、等エントロピー行程ではなく、夫々Δi1及びΔi2だけエントロピーが増加する行程、即ち不可逆行程となる。
そのため、特許文献1〜3に開示されているように、デフロスト運転時に、圧縮機吐出側の高圧高温空気冷媒を、膨張機をバイパスして、被冷却室下流側の着霜区域に流すデフロスト方法では、空気冷媒を循環させていくにつれて、圧縮機吐出後の空気冷媒温度が急速に異常上昇し、空気冷媒の温度制御が困難になる。その結果、デフロスト運転の継続が困難になるおそれがある。
また、特許文献1(図2)に開示されているように、圧縮機吐出側の高圧高温空気冷媒を、膨張機を通し低圧低温にして、被冷却室下流側の着霜区域に循環するデフロスト方法では、圧縮機吸入側および吐出側空気冷媒温度や着霜区域の配管系の温度等を監視しながら、圧縮機の容量や冷却水循環路の冷却水量等を制御していかないと、圧縮機吐出温度の異常上昇や余分な熱量消費を引き起こし、省エネされた効率の良いデフロスト運転はできない。そのため、デフロスト工程の経済性、安定性および信頼性に問題が残り、冷凍装置の稼働率が低下するという問題がおこる。
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、空気冷媒式冷凍装置において、省エネ化され、短時間で効率の良いデフロスト運転を可能にし、これによって、デフロスト工程に要する時間を短縮し、冷凍装置の稼働率を向上することを目的とする。
かかる目的を達成するため、本発明の空気冷媒式冷凍装置のデフロスト方法は、駆動装置の単一出力軸に連結された圧縮機及び膨張機と、圧縮機吐出側空気冷媒を冷却する冷却器と、冷却された空気冷媒を冷却室から出た戻り空気冷媒と熱交換する熱回収器とを備え、熱回収後の空気冷媒を膨張機で減圧し、冷却室に供給する空気冷媒式冷凍装置のデフロスト方法において、圧縮機吸入圧、圧縮機入口側空気冷媒温度、膨張機出口側の着霜区域の冷媒温度及び膨張機出口側の着霜区域の冷媒通路壁温度を監視する工程と、圧縮機吸入圧が設定圧以下になった時、空気冷媒を膨張機出口側から被冷却室出口側にバイパスさせる第1バイパスステップと、空気冷媒を冷却器出口側から膨張機入口側にバイパスさせる第2バイパスステップとからなるデフロスト運転を行ない、冷却器への冷却媒体の供給を遮断又は加減することにより、圧縮機及び膨張機の損失動力の全量又は一部に相当するエンタルピー熱量を用いて着霜区域の融解を行うデフロスト工程と、からなり、デフロスト工程の開始後、圧縮機入口側冷媒温度を設定温度に維持しながら、第2バイパスステップの冷媒バイパス流量を増加させることにより着霜区域の冷媒温度を上昇させ、着霜区域の冷媒通路壁温度が0℃を超え10℃以下(好ましくは2〜7℃)の着霜融解終了温度となった時、デフロスト工程を終了するようにしたものである。
本発明方法では、圧縮機吸入圧が設定圧以下になった時、冷却室の出口側から熱交換器の低温部入口側の冷媒流路に着霜が堆積されたと判定し、デフロスト運転を行なう。デフロスト工程では、冷却器への冷却媒体の供給を遮断又は加減することにより、デフロスト運転時の冷媒温度を必要以上に昇温させることなく、圧縮機及び膨張機の損失動力の全量又は一部に相当するエンタルピー熱量のみを利用したデフロスト運転が可能になる。そのため、省エネ化され、短時間で効率の良いデフロスト運転を可能にする。また、デフロスト工程に要する時間を短縮できるので、冷凍装置の稼働率を向上できる。
デフロスト工程の開始後、第2バイパスステップの冷媒バイパス流量を増加させ、膨張機出口側の着霜区域の冷媒温度を上昇させながら、圧縮機入口側冷媒温度を設定温度に維持するように運転する。デフロスト工程中の圧縮機入口側冷媒温度は設定値に維持されているため、デフロスト工程で圧縮機吐出側冷媒温度が異常上昇することを防止でき、圧縮機吐出側の軸受及びその他の機器の焼損を防止できる。
また、圧縮機入口側冷媒温度を制御対象とすることで、冷却器に供給する冷却媒体流量による制御が容易になると共に、圧縮機入口側冷媒温度の設定温度を通常冷凍運転時の定格温度に近い温度とすることで、通常冷凍運転からデフロスト工程に移るとき、急激な運転条件の変化をなくすことができ、デフロスト工程にスムーズに移行できる。例えば、デフロスト工程開始時の圧縮機入口側冷媒温度を40℃とすると、冷却器の冷却媒体流量制御に入っても、大きな運転条件の変化なく移行でき、冷却器に供給する冷却媒体流量のハンチングなどが起こらず、滑らかに移行できる。
季節により外気条件が変化するため、圧縮機入口側冷媒温度の設定温度も季節に合わせて変える必要があるが、圧縮機入口側冷媒温度を設定対象とすることで、季節に合わせた設定変更が容易になる。また、圧縮機入口側冷媒温度を設定温度に維持することで、圧縮機吐出側冷媒温度を許容温度以下に維持できる。
なお、「膨張機出口側の着霜区域」とは、膨張機の翼車近傍及び出口配管から冷却室をバイパスし、熱回収器の低温側配管に至る低温側冷媒流路に沿う領域を指す。また、「空気冷媒通路壁温度」とは、冷媒通路に面し、空気冷媒と接して空気冷媒と熱交換する伝熱面を形成する構成体の温度を指す。過去の試験や経験から、着霜融解終了時の膨張機出口側着霜区域の各ポイントの冷媒通路壁温度を把握しておくとよい。そして、該冷媒通路壁温度を計測する温度センサの取付位置は、事前の実験により最適な場所を選定しておくとよい。
本発明方法によれば、デフロスト工程が短時間で済むようになるので、冷凍装置の稼働率を低下させることなく、デフロスト工程を頻繁に行なうことが可能になる。そのため、膨張機出口側の着霜区域に、必ずしもフロストトラップを設ける必要がなくなる。
本発明方法において、好ましくは、デフロスト工程の開始と同時に、冷却器に供給する冷却媒体流量を調整し、膨張機出口側冷媒温度を設定温度に維持しながら、通常冷凍運転からデフロスト工程に移るときの着霜区域の冷媒通路壁温度の低下を防止するようにするとよい。デフロスト工程への移行時に、冷却室をバイパスした低温冷媒が着霜区域に流れることになる。そのため、膨張機出口の冷媒は被冷却物の熱負荷を吸収することなく無負荷状態のままで熱回収器低温側入口に到達するので、通常冷凍運転からデフロスト工程に移るときに熱回収器入口温度が低下する。その結果、圧縮機入口側冷媒温度が低下し、同時にデフロスト負荷を増加させることになる。
これを防止するため、着霜区域の冷媒温度を検出する温度センサを設けて前記の操作を行い、通常冷凍運転からデフロスト工程に移るときの着霜区域の冷媒通路壁温度の低下を防止する。これによって、デフロスト負荷を低減できる。膨張機出口の冷媒温度を制御できる時間帯は、デフロスト工程開始直後の時間帯(図3の温度Teの保持期間)だけであり、その後は成り行きで上昇していく。ここで、圧縮機入口側冷媒温度ではなく、膨張機出口側冷媒温度を制御対象とする理由は、圧縮機入口空気冷媒温度は、外気の温度変動の影響を受けるが、膨張機出口側空気冷媒温度は外気の影響を受けず、基本的に冷却室の保冷温度で決まる。そのため、圧縮機入口側冷媒温度と比べて、温度変動が少ないので、制御しやすい。
本発明方法において、好ましくは、デフロスト工程終了後、融解水を排出する排水工程、冷媒通路を乾燥する乾燥工程、及び通常冷凍運転への移行のための復帰工程を順次行ない、復帰工程の終了時点は着霜区域の冷媒通路壁温度が通常冷凍運転時の定格温度に一致した時点とするとよい。乾燥工程を行なうことで、冷媒通路の融解水は完全に蒸発して水蒸気になる。復帰工程において、水蒸気は膨張機出口側冷媒の温度低下に従い、相対湿度100%を維持しながら余分な水蒸気が均等に空気冷媒通路壁に結露し着霜する。
乾燥工程を実施しないと、排水工程終了時の冷媒通路壁に付着した融解水は、そのまま局部的に凍結する。通常冷凍運転中に、この凍結点を起点として着霜が増加し、この部分の冷媒通路を閉塞し、デフロスト回数の増加と稼働率の低下に繋がる。乾燥工程を行なうことで、冷媒中の微量な含有水蒸気を低温側冷媒通路に均等に着霜させ、このような局所閉塞を防止できる。
また、復帰工程の終了時点を、着霜区域の冷媒通路壁温度が通常冷凍運転時の定格温度に一致した時点とすることにより、復帰工程から通常冷凍運転への移行時に、運転条件を大きく変動させることなく、通常冷凍運転に移行できる。そのため、移行時にハンチングを起さず、通常冷凍運転条件へ短時間でスムーズに移行できる。
本発明方法によるデフロスト運転を行なう場合、例えば、夏期のデフロスト運転終了間際において、冷却器出口の空気冷媒温度がより高い温度となったとき、膨張機出口の空気冷媒温度も0℃より相当高くなり、無駄なエネルギーを消費することになる。夏期の冷却水温が高すぎる場合、このような事態が発生する。この場合、冷却器に供給される冷却水量を最大にして無駄を最小限に抑えるようにするとよい。また、膨張機出口側冷媒温度が0℃以下になる場合には、冷却器への冷却媒体供給量を減少して、該冷媒温度を0℃以上に高めるようにするとよい。
本発明方法において、デフロスト工程時に、圧縮機出口側冷媒温度を監視し、冷却器への冷却媒体の供給を最大としても、圧縮機出口側冷媒温度が許容温度を超えるとき、圧縮機の回転数を減少させて圧縮機出口側冷媒温度を許容温度以下の設定値に維持するようにするとよい。このように、冷却器への冷却媒体供給と、圧縮機の回転数制御とを併用することにより、夏期のような高温環境下においても、圧縮機出口側冷媒温度を許容温度以下に維持することができる。これによって、圧縮機出口の温度上昇による駆動モータの巻線および軸受等の機器の温度上昇による焼損を防止できる。
デフロスト工程では、膨張機出口側冷媒温度が上昇していても、融け残りの着霜が存在する可能性がある。これを回避するためには、膨張機出口側の着霜区域に設けられた温度センサの設置場所を当該融け残り着霜部に移動して、最後の着霜部温度が測定できるようにするとよい。
本発明方法において、冷却室が空気冷媒によって被冷却物を凍結処理するフリーザであるとき、デフロスト工程が、第1バイパスステップを行なわず、第2バイパスステップのみを行なって、着霜区域及びフリーザの冷凍空間に付着した着霜を同時に融解させるものであるとよい。フリーザには、被冷却物の入口及び出口から外部空気が流入するため、外部空気に接する低温部の着霜量が多い。そのため、デフロスト回数が多くなり、あるいはデフロスト工程に長時間を要する。着霜区域及びフリーザのデフロスト工程を同時に行なうことで、デフロスト運転時間を短縮でき、フリーザの稼動効率を向上できる。
本発明方法において、デフロスト工程後、着霜融解水を除去した後の圧縮機吐出側空気冷媒を圧縮機吐出側冷媒流路に設けられたバッファータンクに貯留する工程と、空気冷媒の不足時にバッファータンクに貯留した空気冷媒を圧縮機入口側冷媒路に補給する工程とを行なうようにするとよい。
雨季などの高湿度の空気が冷媒流路に吸入された場合、定格運転条件で運転してから一度デフロスト工程を行い、着霜区域の溶解水を外部に排出する。該溶解水が排出された後の圧縮機吐出側の乾燥空気をバッファータンクに貯留する。その後の通常冷凍運転時に空気冷媒が不足した時、バッファータンクから冷媒流路に乾燥した空気冷媒を補給すれば、冷媒流路の着霜を回避でき、デフロスト工程は不要になる。
考えられる問題としては、年間の運転を通して、温度が高い夏季運転時には冷媒圧が上昇するので、定格圧力となるように、空気冷媒を系外へ排出することが必要になる。逆にその後の冬季運転時には、冷媒循環路に空気冷媒を補給することが必要になる。この補給の問題をバッファータンクに貯留した空気冷媒で賄うことで解決できる。バッファータンク内の空気を使い尽くした後は、再度バッファータンクに高圧の乾燥空気を満たし、補給用空気が必要な場合、バッファータンクから補給するようにする。
前記本発明方法の実施に直接使用可能な本発明の空気冷媒式冷凍装置のデフロスト装置は、駆動装置の単一出力軸に連結された圧縮機及び膨張機と、圧縮機吐出側空気冷媒を冷却する冷却器と、冷却された空気冷媒を冷却室から出た戻り空気冷媒と熱交換する熱回収器とを備え、熱回収後の空気冷媒を膨張機で減圧し、冷却室に供給する空気冷媒式冷凍装置のデフロスト装置において、圧縮機吸入圧を検出する圧力センサと、圧縮機入口側冷媒温度を検出する第1温度センサと、膨張機出口側の着霜区域の冷媒温度を検出する第2温度センサと、膨張機出口側着霜区域の冷媒通路壁温度を検出する第3温度センサと、圧縮機吐出側冷媒温度を検出する第4温度センサと、膨張機出口側冷媒を冷却室出口側にバイパスさせる弁介装の第1バイパス路と、冷却器出口側の空気冷媒を膨張機入口側にバイパスさせる弁介装の第2バイパス路と、圧縮機吸入圧が設定圧以下になった時、空気冷媒を第1バイパス路及び第2バイパス路に通してデフロスト運転を行ない、圧縮機入口側冷媒温度を設定温度に維持しながら、第2バイパス路の冷媒バイパス流量を増加させることにより着霜区域の冷媒温度を上昇させ、着霜区域の冷媒通路壁温度が0℃を超え10℃以下の着霜融解終了温度となった時、デフロスト工程を終了させるコントローラと、を備えたものである。
本発明装置では、デフロスト工程時に、圧縮機入口側温度を設定温度に維持しながら、第2バイパス路の冷媒バイパス流量を増加させることにより、着霜区域の冷媒温度を上昇させる。また、冷却器への冷却媒体の供給を遮断又は加減することにより、圧縮機及び膨張機の損失動力の全量又は一部に相当するエンタルピー熱量を用いて着霜区域の着霜を融解させるデフロスト工程を行なう。そして、着霜区域の冷媒通路壁温度が0℃を超え10℃以下(好ましくは2〜7℃)の着霜融解終了温度となった時、デフロスト工程を終了させるようにする。
これによって、デフロスト運転時の冷媒温度を必要以上に昇温させることなく、通常冷凍運転時と同一流量の空気冷媒により同一着霜区域全域に亘り、圧縮機及び膨張機の損失動力の全量又は一部に相当するエンタルピー熱量のみを利用したデフロスト運転が可能になる。そのため、余分な動力を消費せず、省エネ化され、短時間に完璧な効率の良いデフロスト運転が可能になり、デフロスト工程に要する時間を短縮できるので、冷凍装置の稼働率を向上できる。
また、膨張機出口側着霜区域の通路壁温度が設定温度に到達した時点でデフロスト工程を終了することで、圧縮機吐出側冷媒温度を許容温度以下に保持でき、圧縮機出口の温度上昇による駆動モータの巻線および軸受等の機器の温度上昇による焼損を防止できる。また、圧縮機吐出側冷媒温度を第4温度センサで監視し、何らかの理由で圧縮機吐出側冷媒温度が許容温度を超えたときでも、これを第4温度センサで検出し、コントローラで圧縮機の回転数を制御することで、許容温度以下に下げることができる。
また、圧縮機入口側冷媒温度を制御対象とすることで、冷却器に供給する冷却媒体流量による制御が容易になると共に、圧縮機入口側冷媒温度の設定温度を通常冷凍運転時の定格温度に近い温度とすることで、通常冷凍運転からデフロスト工程に移るとき、急激な運転条件の変化をなくすことができ、デフロスト工程にスムーズに移行できる。
本発明装置によれば、デフロスト運転が短時間で済むようになるので、デフロスト運転を頻繁に行なっても、冷凍装置の稼働率を高く維持できる。そのため、膨張機出口側の着霜区域に、必ずしもフロストトラップを設ける必要がなくなる。
本発明装置において、好ましくは、冷却器に冷却媒体を供給する流路に流量調整弁を設けると共に、第1バイパス路及び第2バイパス路に設けられた弁を流量調整弁とし、デフロスト工程の開始と同時に、コントローラでこれら流量調整弁の開度を制御し、膨張機出口側冷媒温度を設定温度に維持しながら、デフロスト工程開始直後の着霜区域の冷媒通路壁温度の低下を防止するようにするとよい。冷却器に冷却媒体を供給する流路、及び第1・第2バイパス路に流量調整弁を設けることで、冷却器に供給する冷却媒体の流量調整が容易になる。これら流量調整弁の開度操作を行い、デフロスト工程開始直後の着霜区域の冷媒通路壁温度の低下を防止することにより、デフロスト負荷を低減できる。
さらに好ましくは、第1・第2バイパス路に設けられた流量調整弁の開閉速度に、予め設定された設定値をもたせるようにするとよい。第2バイパス路に設けられた流量調整弁の開閉速度の加減により、膨張機出口側空気冷媒温度の温度上昇が速くも遅くもなる。また、第1バイパス路に設けられた流量調整弁の開閉速度が速過ぎると、冷却器への冷却媒体供給流路に設けられた流量調整弁の制御が追従不能になったり、ハンチングを起したりする。そのため、前記流量調整弁の開閉速度を設定値とすることで、デフロスト工程開始直後の膨張機出口側冷媒温度を通常冷凍工程終了時の温度のまま一定温度に保持できる。同様なことが乾燥工程終了時又は復帰工程終了時にも言える。
本発明装置において、冷却器に冷却媒体を供給する流路に流量調整弁を設けると共に、コントローラが、融解水を排出する排水工程及び空気冷媒通路を乾燥する乾燥工程の時間を夫々設定するタイマーを備え、コントローラで前記流量調整弁の開度を制御すると共に、第1・第2バイパス路に設けられた弁、及び空気冷媒通路に設けられた排水弁の開閉を制御し、デフロスト工程終了後、排水工程、乾燥工程、及び通常冷凍運転への移行のための復帰工程を順次行ない、タイマーで設定された時間で排水工程及び乾燥工程を行うようにするとよい。
このように、排水工程及び乾燥工程の時間をタイマーで設定することで、複雑な制御が不要になり、制御手段も簡素化かつ低コスト化できる。また、復帰工程の終了時点を、着霜区域の冷媒通路壁温度が通常冷凍運転時の定格温度に一致した時点とすることで、復帰工程から通常冷凍運転への移行時に、運転条件を大きく変動させることなく、通常冷凍運転に移行できる。そのため、移行時に冷却室の温度変動を起こすことなく、通常冷凍運転条件へ短時間でスムーズに移行できる。この場合でも、第1・第2バイパス路に設けられた弁が流量調整弁であることが望ましい。
本発明装置において、圧縮機吐出側冷媒流路に分岐流路を介して接続されたバッファータンクと、バッファータンクに貯留された空気冷媒を圧縮機入口側冷媒流路に供給する戻り流路と、該分岐流路及び戻り流路の開閉を行なう開閉機構と、を備えているとよい。デフロスト工程後、着霜融解水を除去した後の乾燥した圧縮機吐出側空気冷媒をバッファータンクに貯留し、空気冷媒の不足時にバッファータンクに貯留した乾燥空気冷媒を圧縮機入口側冷媒路に補給するようにする。
これによって、通常冷凍運転時に空気冷媒が不足した時、バッファータンクから冷媒流路に乾燥した空気冷媒を補給すれば、冷媒流路の着霜を回避でき、デフロスト工程は不要になる。
本発明方法によれば、駆動装置の単一出力軸に連結された圧縮機及び膨張機と、圧縮機吐出側空気冷媒を冷却する冷却器と、冷却された空気冷媒を冷却室から出た戻り空気冷媒と熱交換する熱回収器とを備え、熱回収後の空気冷媒を膨張機で減圧し、冷却室に供給する空気冷媒式冷凍装置のデフロスト方法において、圧縮機吸入圧、圧縮機入口側空気冷媒温度、膨張機出口側の着霜区域の空気冷媒温度及び膨張機出口側の着霜区域の空気冷媒通路壁温度を監視する工程と、圧縮機吸入圧が設定圧以下になった時、空気冷媒を膨張機出口側から被冷却室出口側にバイパスさせる第1バイパスステップと、空気冷媒を冷却器出口側から膨張機入口側にバイパスさせる第2バイパスステップとからなるデフロスト運転を行ない、冷却器への冷却媒体の供給を遮断又は加減することにより、圧縮機及び膨張機の損失動力の全量又は一部に相当するエンタルピー熱量を用いて着霜区域の着霜を融解させるデフロスト工程と、からなり、デフロスト工程の開始後、圧縮機入口側空気冷媒温度を設定温度に維持しながら、第2バイパスステップのバイパス冷媒流量を増加させることにより着霜区域の空気冷媒温度を上昇させ、着霜区域の空気冷媒通路壁温度が0℃を超え10℃以下の着霜融解終了温度となった時、デフロスト工程を終了するようにしたので、デフロスト運転時の空気冷媒温度を必要以上に昇温させることなく、圧縮機及び膨張機の損失動力に相当するエンタルピー熱量のみを利用したデフロスト運転が可能になり、余分な動力を消費しない省エネ化された効率の良いデフロスト運転を実現できる。また、デフロスト工程に要する時間を短縮化できるので、冷凍装置の稼働率を向上できる。さらに、圧縮機出口側空気冷媒温度を許容温度以下に保持できるので、圧縮機出口側機器類の焼損等を防止し、長寿命化できる。
また、本発明装置によれば、駆動装置の単一出力軸に連結された圧縮機及び膨張機と、圧縮機吐出側空気冷媒を冷却する冷却器と、冷却された空気冷媒を被冷却室から出た戻り空気冷媒と熱交換する熱回収器とを備え、熱回収後の空気冷媒を膨張機で減圧し、被冷却室に供給する空気冷媒式冷凍装置において、圧縮機吸入圧を検出する圧力センサと、圧縮機入口側空気冷媒温度を検出する第1温度センサと、膨張機出口側の着霜区域の空気冷媒温度を検出する第2温度センサと、膨張機出口側の着霜区域の空気冷媒通路壁温度を検出する第3温度センサと、圧縮機出口側空気冷媒温度を検出する第4温度センサと、膨張機出口側の空気冷媒を被冷却室出口側にバイパスさせる弁介装の第1バイパス路と、冷却器出口側の空気冷媒を膨張機入口側にバイパスさせる弁介装の第2バイパス路と、圧縮機吸入圧が設定圧以下になった時、空気冷媒を第1バイパス路及び第2バイパス路に通してデフロスト運転を行ない、圧縮機入口側空気冷媒温度を設定温度に維持しながら、第2バイパス路の空気冷媒バイパス流量を増加させることにより着霜区域の空気冷媒温度を上昇させ、前記着霜区域の空気冷媒通路壁温度が0℃を超え10℃以下の着霜融解終了温度となった時、デフロスト工程を終了させるコントローラと、を備えているので、前記本発明方法と同様の作用効果を得ることができるのに加え、前記コントローラによって、このデフロスト運転を自動化できる。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
(実施形態1)
本発明方法及び装置の第1実施形態を図1〜図4に基づいて説明する。図1において、本実施形態の空気冷媒式冷凍装置10Aは、冷媒循環路12に冷凍サイクル構成機器類が介設されている。駆動モータ14の単一の出力軸14aに圧縮機16と膨張機18とが連結され、圧縮機16と膨張機18とは、同軸で駆動される。圧縮機16から吐出された高圧高温の空気冷媒は、一次冷却器22で一次冷却される。一次冷却器22には冷却水循環路20が接続されている。冷却水循環路20では、冷却水ポンプ26と流量調整可能な通水弁28とが設けられ、冷却水ポンプ26によって矢印方向に冷却水が循環される。冷却水は、冷却塔24で冷却され、一次冷却器22で空気冷媒と熱交換し空気冷媒を冷却する。
一次冷却器22で冷却された空気冷媒は、熱回収器30で、冷却室32から戻る空気冷媒と熱交換され、さらに冷却される。熱回収器30で冷却された空気冷媒は、膨張機18で膨張し、低圧低温空気となって、冷却室32内の空気吹出口320に供給される。被冷却室32は、例えば冷凍庫やフリーザ等で構成される。被冷却室32内に貯蔵された被冷却品の冷凍に供した後の空気冷媒は、空気取入口322から吸入され、フロストトラップ34で、空気冷媒に含まれる微細氷の一部が捕集される。フロストトラップ34を出た空気冷媒は、熱回収器30で一次冷却器22の出口側空気冷媒と熱交換され、該出口側空気冷媒を冷却し、その後、圧縮機16に送られる。
また、熱回収器30をバイパスして一次冷却器22の出口側と膨張機18の入口側とを接続する第2バイパス路36と、冷却室32をバイパスして膨張機18の出口側とフロストトラップ34の入口側とを接続する第1バイパス路38が設けられている。圧縮機16の入口側冷媒循環路12には、吸入圧を調整する吸入圧力調整弁160が設けられ、出口側冷媒循環路12には吐出圧を調整する吸入圧力調整弁162が設けられている。熱回収器30の出口側冷媒循環路12にドレン弁300が設けられ、膨張機18の入口側及び出口側の冷媒循環路12に、夫々ドレン弁12a及び12bが設けられている。また、フロストトラップ34の下部にドレン弁340が設けられている。
冷媒循環路12には、止め弁40,入口弁42及び出口弁44が介設され、第2バイパス路36にはバイパス弁46が介設され、第1バイパス路38にはバイパス弁48が介設されている。バイパス弁46及び48は流量調整弁で構成されている。
また、圧縮機16の入口側冷媒圧力を検出する圧力センサ50と、圧縮機16の入口側空気冷媒温度を検出する第1温度センサ51と、フロストトラップ34から流入する熱回収器30の低温側入口領域の冷媒温度を検出する第2温度センサ52と、熱回収器30の低温側入口で熱交換領域の伝熱面を構成する冷媒通路壁に設けられ、該通路壁温度を検出する第3温度センサ53と、圧縮機16の吐出側冷媒温度を検出する第4温度センサ54とが設けられている。
また、図2に示すように、空気冷媒式冷凍装置10Aの運転を制御するコントローラ56が設けられている。コントローラ56は、圧力センサ50、第1〜第4温度センサ51〜54の検出値を入力し、これらの検出値に基づいて、駆動モータ14及び冷却水ポンプ26を定格回転数で駆動すると共に、流量調整可能な通水弁28の開度を制御し、開閉弁40,42、44及びバイパス弁46、48の開閉動作を制御するものである。
かかる構成において、圧力センサ50によって圧縮機入口側冷媒圧力Pを検出し、この検出値が設定値Pcsまで低下した時点で、冷媒循環路12の低温側着霜区域で着霜が増加したと判定する。この時点で通常冷凍運転を停止し、デフロスト運転を開始する。なお、本実施形態で、着霜区域とは、膨張機18の出口側から熱回収器30の低温側入口領域に至る冷媒循環路12の領域を言う。デフロスト運転では、まず、圧縮機入口側冷媒温度T1の設定値Tcsを設定し、駆動モータ14及び冷却水ポンプ26を定格回転数で駆動する。
図3に、通水弁28及びバイパス弁46、48の開度操作状況、及び第2温度センサ52の検出値T2 及び第3温度センサ53の検出値T3 を示す。図中、A1は通常冷凍工程が終了し、バイパス弁48が全開に移行し、入口弁42及び出口弁44が全閉するまでの第1ステップ、Aはデフロスト工程、Bは排水工程、Cは乾燥工程、Dは復帰工程を示す。また、Teは通常冷凍運転時の膨張機出口側着霜区域の冷媒温度であり、Tgは2〜7℃の範囲内にある融解終了温度であり、Tcsは圧縮機入口側冷媒温度の設定値である。図4は空気冷媒式冷凍装置10Aの運転操作をまとめた図表である。デフロスト工程では、バイパス弁48を全開し、冷却室32の入口弁42及び出口弁44を全閉する。さらにバイパス弁46を全開し、止め弁40を全閉する。その後、通水弁28の開度を徐々に閉鎖していく。
仮に、通水弁28を閉鎖すると、一次冷却器22の出口側冷媒温度は、圧縮機吐出側冷媒温度と一致する。この冷却されていない高温の空気冷媒を第2バイパス路36を通して直接膨張機18に導入したときの膨張行程は、図10中、膨張行程(b→g2)で示される。膨張機18の出口側冷媒は、状態g2となる。膨張機18出口の高温冷媒は、第1バイパス路38を通して直接フロストトラップ34の入口側にバイパスされる。これによって、膨張機18の翼車付近及び出口側配管、フロストトラップ34、熱回収器30の低温側着霜区域及びこれら装置が介設された低温側冷媒循環路12の着霜の融解が進行する。
図10中、熱回収器30の低温側出口aの冷媒温度(圧縮機入口側冷媒温度)は、デフロスト運転の進行と共に、徐々に上昇する。即ち、冷却水循環路20の通水は遮断状態であるため、デフロスト運転中、冷媒循環路12の外部への放熱は零である。そのため、駆動モータ14から常時エンタルピー差(ΔH=Hg2−Ha)に相当する熱量が、空気冷媒から、膨張機18出口からフロストトラップ34を経て熱回収器30に亘る着霜区域に投入される。従って、圧縮機入口側冷媒温度は徐々に上昇する。
圧縮機入口側冷媒温度が上昇すれば、圧縮機出口bの冷媒温度及び膨張機出口e(g2)の冷媒温度も上昇する。換言すれば、デフロスト運転時の冷凍サイクル全体が高温側へ移行することになる。しかし、圧縮機出口の冷媒温度は許容温度以下に抑える必要がある。そこで、圧縮機入口側冷媒温度に設定値Tcsを設定し、一次冷却器22に流入する冷却水量を制御することにより、圧縮機入口側冷媒温度を設定値Tcsに制御する。これによって、圧縮機吐出側冷媒温度T4も一定温度に制御することが可能となる。コントローラ56によって、圧縮機入口側冷媒温度T1が設定値Tcsに維持され、かつ膨張機出口側着霜区域の冷媒温度T2が上昇して当該着霜区域のデフロストが進行するように、冷凍装置10Aの運転を制御する。
デフロスト工程への移行時に、冷却室32をバイパスした低温冷媒が着霜区域に流れることになる。そのため、デフロスト開始直前、即ち図3で通常冷凍工程が終了し、バイパス弁48が全開に移行し、入口弁42及び出口弁44が全閉するまでの第1ステップA1の間は、無負荷状態となり、熱回収器入口温度及び圧縮機入口側冷媒温度が、例えば、−60〜−80℃程度まで低下し、デフロスト負荷を増加させることになる。これを防止するため、膨張機出口側冷媒温度T2に設定値Ttsを定め、膨張機出口側冷媒温度T2が設定値Ttsとなるように、一次冷却器22に供給する冷却水の流量を調整する。
即ち、通水弁28を通常冷凍運転時の全開状態から制御状態に切り替え、冷却水量を調整する。これによって、熱回収器30の低温側入口領域の冷媒通路壁温度T3を通常冷凍運転時の温度Teに維持できる。入口弁42及び出口弁44の全閉と同時に、バイパス弁46を開いて開度を増加させることにより、膨張機出口側冷媒温度T2は、成り行きで上昇を開始する。
理論的には、冷却水量の制御により、圧縮機入口側冷媒温度T1と膨張機出口側冷媒温度T2のいずれの温度制御も可能であるが、ここで膨張機出口側冷媒温度T2を選択した理由は、圧縮機入口側冷媒温度T1は、外気の温度変動の影響を受けるが、膨張機出口側冷媒温度T3は外気の影響を受けず、基本的に冷却室32の保冷温度で決まる。そのため、圧縮機入口側冷媒温度T1と比べて、温度変動が少ないので、制御しやすい。
通水弁28の開閉速度Svw(%/分)、バイパス弁48の開閉速度Sv1(%/分)及びバイパス弁46の開閉速度Sv2(%/分)は、図3に示す弁開度曲線を辿るように、予め決められた設定値に従って弁動作させる。即ち、バイパス弁48の開き速度が速過ぎると、通水弁28の制御が追従不能になったり、ハンチングを起したりする。そのため、これら弁の開き速度を設定値とすることで、デフロスト工程開始直後の膨張機出口側冷媒温度T2を通常冷凍工程終了時の温度のまま一定温度に保持できる。同様なことが乾燥工程終了時又は復帰工程終了時にも言える。
また、一次冷却器22に供給する冷却水量を最大としても、圧縮機16の入口側冷媒温度T1が設定値Tcsを超えたときは、圧縮機16の回転数を減少させて、設定値Tcsが維持可能にする。夏季以外は、冷却水量の調整で十分であり、夏季においても、冷却水量の調整と圧縮機16の回転数制御とを併用することで、設定値Tcsに制御できる。
なお、特許文献2及び3に開示されたデフロスト手段、即ち、圧縮機吐出側空気冷媒を膨張機を通さないで着霜区域に導入するデフロスト方法では、デフロスト運転の進行と共に、圧縮機吐出側冷媒温度が異常に上昇し、空気冷媒の温度制御が困難になる。その結果、デフロスト運転の継続が困難になるおそれがある。
本実施形態において、デフロスト運転により着霜区域の全着霜が最終的に完全融解する場所と温度を、過去の試験等から得られた知見を基に予め設定しておく。温度センサ52及び53は最後に融解する場所に設置するのがよい。本実施形態では、熱回収器30の低温側入口領域の冷媒温度と冷媒通路壁温度を選定している。融解終了温度Tgは2〜7℃の温度とする。デフロスト工程の進行とともにデフロスト負荷が減少するため、熱回収器30の低温側入口温度は上昇するが、圧縮機入口側温度T1は設定温度Tcsに維持される。冷媒温度T2と冷媒通路壁温度T3との間には時間遅れがある為、冷媒通路壁温度T3が融解終了温度Tgに到達した時点をもって、全着霜の融解終了時点と定める。
デフロスト運転の終了状態における圧縮膨張サイクルは、図10の(g→b1→c→g)となる。デフロスト負荷が零であるから、圧縮機入口点と膨張機出口点は点gで一致する。即ち、圧縮機入口点の冷媒温度、膨張機出口点の冷媒温度及び冷媒通路の設定温度Tfsの三点の温度は理論的には一致する。デフロスト運転開始時点における膨張機入口点bは、デフロスト運転終了時点で点b1に移る。同様に圧縮機入口点aは点gに移り、膨張機出口点g2は点gに移行する。ただし、図3に示すように、実際の運転では3点が一致する以前にデフロスト工程は終了し、復帰工程に移行する。なお、図10中、膨張行程(c1→g1)は、膨張機出口側冷媒温度が0℃となる膨張行程を示す。
図3に示すように、融解終了温度Tgを0℃近傍に設定することで、通常冷凍運転への復帰時に、復帰に要する時間とエネルギー(駆動モータ14の動力)が無駄に消費されることを防止できる。夏季において、一次冷却器22の出口冷媒温度が高い温度になり、冷媒温度T2が0℃よりかなり高い温度となったとき、無駄なデフロストエネルギーを消費することになる。この場合、一次冷却器22への通水量を最大にして無駄を最小限に抑えるようにする。
冷媒通路壁温度T3が0℃近傍に制御されると、圧縮機入口側冷媒温度及び圧縮機吐出側温度も低下する。そのため、圧縮機入口側冷媒温度T1を設定値Tcsに維持し易くなると共に、圧縮機出口側冷媒温度を許容温度以下に維持し易くなる。
デフロスト工程の終了と同時に、排水・乾燥工程を開始する。排水・乾燥工程は、まず、ドレン弁12a,12b、300及び340を開いて、融解水を系外に排出し、融解水の排除確認後、全ドレン弁を閉鎖する。次に、冷媒循環路12及び第1バイパス路38に空気冷媒を巡回させ、冷媒循環路12を乾燥させる。乾燥確認後、排水・乾燥工程を終了する。排水終了及び乾燥終了の確認方法は、事前実験等によりやり方を決める。例えば、事前設定された排水時間及び乾燥時間を用いた時間制限方法を用いればよい。
コントローラ56は、排水工程Bの所要時間を設定するタイマー57と、乾燥工程Cの所要時間を設定するタイマー58とを内蔵している。タイマー57及び58によって、排水工程B及び乾燥工程Cの所要時間が自動的に設定される。
排水・乾燥工程が終了した時点で、通常の冷凍運転に復帰するための準備行程として、デフロスト工程中の温度が上昇した部分を予冷する復帰工程Dを行なう。復帰工程Dを省略すると、膨張機出口の高温冷媒が被冷却室32に供給されてしまう。デフロスト工程同様に、復帰工程Dをできるだけ短時間に完了させて、速やかに通常冷凍運転に移行することが望ましい。
復帰工程Dでは、止め弁40を全開、バイパス弁46を全閉とし、バイパス弁48はそのまま全開状態とする。圧縮機回転数は定格回転数とし、一次冷却器22の通水弁28は全開とする。一次冷却器22の出口冷媒を熱回収器30に導入し、その後膨張機18に導入する。次に、膨張機出口側冷媒を第1バイパス路38を通し、冷却室32をバイパスさせる。復帰工程Dにより、熱回収器30の低温側入口領域の冷媒温度T2及び冷媒通路壁温度T3は次第に低下していき、冷媒通路壁温度T3が冷凍運転時の定格温度に達した時点で、復帰工程Dを終了する。
復帰工程後、通常冷凍運転を開始する。通常冷凍運転では、バイパス弁46及び48を閉とし、止め弁40、入口弁42及び出口弁44を開とする。なお、通常冷凍運転中及びデフロスト工程(第1ステップA1から乾燥工程Cまでを含む。)中に、圧縮機吐出側冷媒温度T4を第4温度センサ54で監視する。図4に示すように、圧縮機吐出側冷媒温度の許容温度Tdsを設定し、圧縮機吐出側冷媒温度T4が設定値Tdsを越えないように、コントローラ56で圧縮機16の回転数を制御する。
本実施形態のデフロスト工程は、図10中のデフロスト行程(a→b→g2→a)における行程(g2→a)に相当するエンタルピー熱量ΔHを利用するものである。圧縮機16及び膨張機18の断熱効率及び機械効率を83%程度とすると、圧縮動力の30%前後がデフロストに利用可能である。
本実施形態によれば、圧力センサ50の検出値Pを監視し、その検出値Pが設定値Pcs以下となった時、コントローラ56によって自動的にデフロスト運転を開始できる。また、デフロスト運転時、一次冷却器22への冷却水量の調整と、圧縮機16の回転数制御とを併用することで、圧縮機入口側冷媒温度T1を設定値Tcsに維持し、空気冷媒通路壁温度T3が2〜7℃の融解終了温度Tgに達した時、デフロスト工程を終了するようにしている。
そのため、デフロスト運転時の空気冷媒温度を必要以上に昇温させることなく、圧縮機16及び膨張機18の損失動力の全量又は一部に相当するエンタルピー熱量のみを利用したデフロスト運転が可能になる。そのため、従来のように、高温乾燥ではなく、中温、低温のマイルドな乾燥を実施できる。従って、デフロスト工程でエネルギーやモータ動力を無駄に消費することなく、省エネ化され、短時間で効率の良いデフロスト運転を可能にする。また、デフロスト工程に要する時間を短縮でき、空気冷媒式冷凍装置10Aの稼働率を向上できる。さらに、冷凍装置10Aは、かかるデフロスト運転を自動化できる。
圧縮機入口側冷媒温度T1を設定値Tcsに維持することで、圧縮機吐出側冷媒温度T4を許容温度Tds以下に維持できるが、何らかの理由で圧縮機吐出側冷媒温度T4が設定値Tcsを超えることもあり得る。例えば、軸受の一部損傷による動力増加が原因で出口温度が上昇する場合がある。これに対し、冷凍装置10Aの運転中、常に圧縮機吐出側冷媒温度T4を第4温度センサ54で監視し、圧縮機吐出側冷媒温度T4が設定値Tdsを越えないように、コントローラ56で圧縮機16の回転数を制御するようにしているので、圧縮機吐出側冷媒温度T4を確実に許容温度Tds以下に保持できる。
また、圧縮機入口側空気冷媒温度T1を制御対象とすることで、一次冷却器22に供給する冷却水の流量による制御が容易になると共に、圧縮機入口側空気冷媒温度T1の設定温度Tcsを通常冷凍運転時の定格温度に近い温度とすることで、通常冷凍運転からデフロスト工程に移るとき、急激な運転条件の変化をなくすことができ、デフロスト工程にスムーズに移行できる。例えば、デフロスト工程開始時の圧縮機入口側空気冷媒温度T1を40℃とすると、一次冷却器22の冷却水流量の制御に入っても、大きな運転条件の変化なく移行でき、冷却水量のハンチングなどが起こらず、滑らかに移行できる。
また、季節により外気条件が変化するため、圧縮機入口側空気冷媒温度T1の設定温度Tcsも季節に合わせて変える必要があるが、圧縮機入口側空気冷媒温度T1を設定対象とすることで、季節に合わせた設定変更が容易になる。また、熱回収器30の低温側入口領域の空気冷媒通路壁温度T3が設定温度Tgに達した時点でデフロスト工程を終了することで、圧縮機出口側空気冷媒温度T4を許容温度以下に保持でき、圧縮機出口側機器類の焼損等を防止できる。
また、通常冷凍運転からデフロスト工程に移るときの膨張機出口側着霜区域の空気冷媒通路壁温度T3を通常冷凍運転時の温度より低下させないので、デフロスト負荷を低減できる。
また、乾燥工程Cを行うことで、空気冷媒中の水蒸気を低温側冷媒通路に均等に着霜させることができるので、低温側冷媒通路の局所閉塞を防止できる。
また、復帰工程Dの終了時点を、着霜区域の空気冷媒通路壁温度T3が通常冷凍運転時の定格温度に一致した時点とすることにより、復帰工程Dから通常冷凍運転への移行時に、運転条件を大きく変動させることなく、通常冷凍運転に移行できる。そのため、移行時にハンチングを起さず、通常冷凍運転条件へ短時間でスムーズに移行できる。
また、通水弁28、バイパス弁46,48を流量調整弁で構成したので、冷却水や空気冷媒の流量制御が容易になり、圧縮機入口側空気冷媒温度T1や熱回収器30の低温側入口領域の冷媒温度T2及び冷媒通路壁温度T3の制御が容易になる。さらに、通水弁28の開閉速度Svw(%/分)、バイパス弁48の開閉速度Sv1(%/分)及びバイパス弁46の開閉速度Sv2(%/分)を設定したことで、図3に示す弁開度制御を達成できる。
また、排水工程B及び乾燥工程Cの所要時間をタイマー57及び58で設定しているので、複雑な制御が不要になり、コントローラ56の構成を簡素化かつ低コスト化できる。
また、デフロスト運転時、空気冷媒を膨張機18を通すことによって、膨張機18の翼車近傍及び出口配管まで含め、冷媒循環路12の低温域にある着霜区域全域を隈なく除霜できる。
また、本実施形態によれば、デフロスト運転時間を短縮できるので、デフロスト運転の頻度を上げることができ、これによって、場合によっては、フロストトラップ34の設置を不要とすることも可能になる。
なお、本実施形態では、第2温度センサ52及び第3温度センサ53を熱回収器30の低温側入口領域に設けたが、フロストトラップ34の内部に設けてもよい。第2温度センサ52及び第3温度センサ53は、過去の運転結果等から、最後まで着霜が残りそうな場所に設置すればよい。
(実施形態2)
次に、本発明方法及び装置の第2実施形態を図5に基づいて説明する。本実施形態の空気冷媒式冷凍装置10Bは、被冷却室として、ブライン冷却装置60を用いた場合の例である。ブライン冷却装置60は、蛇行形状のブライン通路602が、ブライン冷却装置60のケーシング600の外部から内部に貫通配置されている。ブライン通路602の入口にはブライン入口弁604が介設され、ブライン通路602の出口にはブライン出口弁606が介設されている。また、ケーシング600の下方位置で、冷媒循環路12にドレン弁608が設けられている。その他の構成は第1実施形態(図1)と同一である。
かかる構成において、ブライン通路602を流れるブラインは、ケーシング600の内部で、空気冷媒と熱交換し冷却され、冷却されたブラインは、使用先(冷凍負荷側)に送られる。圧力センサ50の検出値Pが設定値Pcsとなった時点で、通常冷凍運転は終了し、デフロスト運転が開始される。
デフロスト運転時には、入口弁42及び出口弁44を全開状態としたまま、まず、ブライン入口弁604及びブライン出口弁606を閉鎖する。次に、圧縮機16の出口冷媒温度が設定値Tcsに維持されるように、圧縮機16の回転数を制御する。次に、バイパス弁46を全開した後、止め弁40を全閉にし、次に、冷却水ポンプ26を停止し、通水弁28を閉鎖する。バイパス弁46が開いた時点でデフロスト運転が開始される。デフロスト運転により、膨張機18の低温部位から熱回収器30の低温側着霜域、及びこれらの間の冷媒循環路12で着霜の融解が進行する。
空気冷媒通路壁温度T3が融解終了温度Tgに達した時点で、デフロスト運転を終了する。次工程の排水・乾燥工程では、ドレン弁12a,300、340及び608を開いて、融解水を外部に排出する。排出終了後に、これらのドレン弁を閉じた状態で空気冷媒の巡回運転を行い、低温側冷媒循環路12及びケーシング6内のブライン通路602を含め、該低温側冷媒循環路12に介設された機器類に付着している融解水を乾燥させる。これで排水・乾燥工程を終了する。
次工程の復帰工程では、まず、通水弁28を全開する。次に、止め弁40を全開すると共に、バイパス弁46を全閉し、駆動モータ14の回転数を定格回転数とする。この状態で、熱回収器30の低温側入口領域の冷媒温度T2及び冷媒通路壁温度T3は次第に低下していき、冷媒通路壁温度T3が通常冷凍運転の定格温度に達した時点で、復帰工程を終了する。
通常冷凍運転では、ブライン入口弁604及びブライン出口弁606を閉鎖した状態で、通常冷凍運転を開始し、温度センサ53の検出値T3が定格温度となった時点で、ブライン入口弁604及びブライン出口弁606を全開し、ブライン通路602に介設されたブラインポンプ(図示省略)を起動させる。なお、温度センサ52及び53は、ケーシング600の内部に設けてもよい。
本実施形態によれば、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができることに加え、ブライン冷却装置60のケーシング600の内部に配設されたブライン通路602のデフロストを同時に行なうことができ、ブライン通路602だけのデフロスト工程を設ける必要がないという利点がある。
(実施形態3)
次に、本発明方法の第3実施形態を図6により説明する。本実施形態は、冷却室がフリーザの場合である。フリーザ62の構成は、ベルトコンベアの出入口以外密閉された冷凍空間をもつハウジング64と、ハウジング64の内外に貫通配置されたコンベア装置66とを備えている。コンベア装置66は、駆動ホィール68と従動ホィール70間に巻回された無端ベルトコンベア72とで構成されている。無端ベルトコンベア72は、伝熱係数が高く、冷却効果が大きいスチール製ベルトで構成されている。
被凍結品rは、ハウジング64の外部で前段コンベア74から無端ベルトコンベア72上に載置され、入口64aからハウジング64内に搬送される。ハウジング64内に配置された空気吹出口320から空気冷媒が吹き出し、分散板78を介して、無端ベルトコンベア72上の被凍結品rに噴きかかり、被凍結品rを凍結する。冷却に供した後の空気冷媒は、空気取入口322から冷媒循環路12に排出される。凍結された被凍結品rは、出口64bからハウジング64外に出て、後段コンベア76で後工程に搬送される。フリーザ62以外の構成は、図1に示す第1実施形態と同一である。
本実施形態のデフロストの実施方法は、2通りある。ひとつは第1実施形態と同様に、フリーザ62を除いた冷媒循環路12の着霜区域のデフロストのみを行なう方法である。もうひとつは、フリーザ62の内部と冷媒循環路12の着霜区域とを同時にデフロストする方法である。フリーザ62は、入口64a及び出口64bから外部空気が流入するため、外部空気に接する低温部の着霜量が多くなる。必然的に冷媒循環路12の着霜量も増加することになり、この部分のデフロスト回数を増加する必要がある。また、フリーザ62は、毎日1回終業後に洗浄作業が必要なため、通常冷凍運転中にデフロスト運転を行なわない。終業時にフリーザと冷媒循環路12を直列同時にデフロストすることにより、その後の洗浄工程と蒸気殺菌行程が容易かつ短時間で行うことが可能となる。
従って、通常冷凍運転中のデフロスト運転は第1実施形態(図1)と同様に、フリーザ62を除く冷媒循環路12のデフロスト運転を行なうことになる。この場合の運転方法は、フリーザ62を停止状態(無負荷状態)にし、入口弁42および出口弁44を全閉する。
図3に示すように、バイパス弁46の開動作開始でデフロスト工程を開始する。その後復帰工程までは第1実施形態と同一の操作を行なう。復帰工程は、止め弁40の開動作開始、通水弁28の開度増加及びバイパス弁46の閉動作開始で開始される。止め弁40及び通水弁28の全開及びバイパス弁46の全閉で、弁操作状態は定格運転時の状態となるので、短時間で定格運転状態に到達できる。
第3温度センサ53の検出値T3が定格運転温度に達した時点で、復帰工程は終了するので、入口弁42及び出口弁44を全開し、バイパス弁48を全閉する。ここでフリーザ62の運転開始、即ち、フリーザ62への被凍結品rの投入が開始される。復帰工程終了時に特別な弁操作は必要なく、フリーザ62への被凍結品rの投入開始が復帰工程終了時点となる。このように、本実施形態によれば、フリーザ62と冷媒循環路12の着霜区域とのデフロスト工程を同時に実施できるので、デフロスト工程に要する時間を短縮でき、通常冷凍運転の稼動率を向上できる。
(実施形態4)
次に、本発明方法及び装置の第4実施形態を図7により説明する。本実施形態では、圧縮機吐出側冷媒循環路12に分岐路82が設けられ、分岐路82にはオンオフ開閉用電磁弁84及びバッファータンク80が接続されている。また、バッファータンク80と圧縮機入口側冷媒路12とを接続する戻り路86が設けられ、戻り路86には定圧弁(圧力調整弁)88が介設され。圧縮機吸入側冷媒循環路12に接続されている。定圧弁88は、圧力調整弁160と許容圧力を同一圧力に設定されている。圧縮機吐出側冷媒循環路12との接続部には三方弁90が介設されている。また、本実施形態では、フリーザ62の出口側冷媒循環路12からフロストトラップ34及びドレン弁340をなくしている。その他の構成は、図5に示す第2実施形態と同一である。
かかる構成において、通常冷凍運転時、電磁弁84を閉じ、三方弁90は戻り路86側を閉じておく。デフロスト工程後、電磁弁84を開き、着霜融解水を除去した後の乾燥した圧縮機吐出側空気冷媒をバッファータンク80に貯留する。貯留工程が終わったら、電磁弁84を閉じる。その後、冷媒循環路12の空気冷媒量が不足したとき、三方弁72で戻り路86と圧縮機吸入側冷媒循環路12とを連通させ、バッファータンク80内の乾燥空気を圧縮機入口側冷媒循環路12に供給する。
雨季などの高湿度の空気が冷媒流路に吸入された場合、定格運転条件で運転してから一度デフロスト工程を行い、着霜区域の溶解水を外部に排出する。溶解水が排出された後の圧縮機吐出側の乾燥空気をバッファータンク80に貯留する。その後の通常冷凍運転時に空気冷媒が不足した時、バッファータンク80から冷媒循環路12に乾燥空気を補給すれば、低温側冷媒循環路12の着霜を回避でき、デフロスト工程は不要になる。そのため、本実施形態では、低温側冷媒循環路12にフロストトラップ34を設ける必要がなくなる。