JP2004019950A - 冷蔵庫 - Google Patents
冷蔵庫 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004019950A JP2004019950A JP2002170922A JP2002170922A JP2004019950A JP 2004019950 A JP2004019950 A JP 2004019950A JP 2002170922 A JP2002170922 A JP 2002170922A JP 2002170922 A JP2002170922 A JP 2002170922A JP 2004019950 A JP2004019950 A JP 2004019950A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- temperature
- heating
- defrost heater
- evaporator
- detected
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Defrosting Systems (AREA)
Abstract
【課題】蒸発器での霜の発生の偏りに関わらず確実に除霜を行えるとともに,温度センサの異常発生時にも除霜を続行できること。
【解決手段】冷凍サイクルを構成する蒸発器の両側に設けられる冷媒の入口側及び出口側の各温度センサの検出温度THin,THoutのうち,出口側温度センサが正常である場合(S14のN側)には,検出温度THin,THoutがともに各所定の温度T1,T2を超えた場合(S15のY側)に除霜ヒータを停止させ(S16),出口側温度センサが正常である場合(S14のY側)には,検出温度THinが所定温度T1を超えた場合(S17のY側)に除霜ヒータを停止させる(S16)。さらに,除霜ヒータを作動(S13)させてから所定時間経過後には他の条件に関わらず除霜ヒータを停止させる。
【選択図】図4
【解決手段】冷凍サイクルを構成する蒸発器の両側に設けられる冷媒の入口側及び出口側の各温度センサの検出温度THin,THoutのうち,出口側温度センサが正常である場合(S14のN側)には,検出温度THin,THoutがともに各所定の温度T1,T2を超えた場合(S15のY側)に除霜ヒータを停止させ(S16),出口側温度センサが正常である場合(S14のY側)には,検出温度THinが所定温度T1を超えた場合(S17のY側)に除霜ヒータを停止させる(S16)。さらに,除霜ヒータを作動(S13)させてから所定時間経過後には他の条件に関わらず除霜ヒータを停止させる。
【選択図】図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,冷凍サイクルの一部を構成する蒸発器の表面に発生した霜を加熱溶融する除霜ヒータを具備する冷蔵庫に関し,さらには,前記蒸発器の両側に設けられた冷媒導入部及び冷媒導出部の各温度に基づいて前記除霜ヒータによる加熱の制御を行う冷蔵庫に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来,冷蔵庫においては,圧縮機,凝縮器,絞り装置(毛細管等),及び蒸発器等により冷凍サイクルが構成され,冷凍庫内に設置される蒸発器へ冷媒を導入する入口パイプ(前記冷媒導入部の一例)や,蒸発器の前記入口パイプとは反対側に設けられ,蒸発器から冷媒を導出する出口パイプ或いは該出口パイプに接続されたアキュムレータ(前記冷媒導出部の一例)に各位置での冷媒温度を検出するための温度センサ(サーミスタ等の温度検出手段)が設けられて,その検出温度によって各種状態の検知が行われている。
例えば,特開平8−261610号公報(公報1)に示される冷蔵庫は,蒸発器の出口側に接続されるアキュムレータの温度により蒸発器の除霜完了を検知して蒸発器を加熱する除霜ヒータを停止させるよう制御するものである。これは,前記圧縮機の作動時間が所定時間以上になったとき等に前記除霜ヒータを作動させた後,前記アキュムレータ或いは前記出口パイプの温度が所定温度以上になったときに除霜が完了したと判断し,前記除霜ヒータによる加熱を停止させるものである。このような冷蔵庫では,前記アキュムレータ等の蒸発器出口側の温度センサに異常(故障)が生じると,除霜ヒータの停止制御に支障が生じて異常加熱等が発生し得るので,前記蒸発器出口側の温度センサ(の検出温度)の異常が検知された場合には,除霜ヒータを作動させないよう構成されている。ここで,温度センサの異常は,例えば,その温度センサの検出温度が通常とり得る温度範囲外の温度となったこと(例えば,温度センサの断線やショートにより上限温度や下限温度に振り切る等)等により検知される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,従来の冷蔵庫では,蒸発器の冷媒の出口側の温度(出口パイプやアキュムレータ等の温度)のみで除霜の完了を判断しているため,冷凍庫への食品等の入れ方の偏りやドアの密閉不良等により蒸発器に霜が偏って発生した場合,特に,蒸発器の冷媒の入口側寄りに霜が偏って発生した場合に,十分に除霜されていない状態で除霜ヒータを停止させてしまうことになり,この残存した霜が蓄積して蒸発器に目詰まりが生じ,冷却性能が低下するという問題点があった。また,蒸発器の出口側の温度センサに異常が生じた場合にも,除霜が行われないために蒸発器に霜が蓄積して目詰まりが生じ,冷却性能が低下するという問題点があった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,冷凍サイクルを構成する蒸発器の両側,即ち冷媒導入部側及び冷媒導出部側に設けられる両温度センサ(温度検出手段)を用いることにより,蒸発器での霜の発生の偏りに関わらず確実に除霜を行えるとともに,温度センサの異常発生時にも除霜を続行できる冷蔵庫を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は,冷凍サイクルの一部を構成し,その両側に冷媒を導入する冷媒導入部及び冷媒を導出する冷媒導出部が設けられた蒸発器と,該蒸発器表面に発生した霜を加熱溶融する除霜ヒータとを具備する冷蔵庫において,前記冷媒導入部の温度を検出する第1の温度検出手段と,前記冷媒導出部の温度を検出する第2の温度検出手段と,前記第1及び第2の温度検出手段による各検出温度に基づいて前記除霜ヒータによる加熱の制御を行う加熱制御手段と,を具備してなることを特徴とする冷蔵庫として構成されるものである。例えば,前記加熱制御手段が,前記第1及び第2の温度検出手段による各検出温度がともに各所定の設定温度を超えた場合に前記除霜ヒータの加熱を制御するものである。
これにより,前記蒸発器の冷媒導入側と冷媒導出側とで霜の発生に偏りが生じている場合であっても,前記第1及び第2の温度検出手段によって前記蒸発器の両側それぞれの除霜状況を検知できるので,いずれかの側の除霜が不完全のまま前記除霜ヒータの加熱停止や減熱をさせてしまうことによる冷却性能の低下を防止できる。
【0005】
また,前記第2の温度検出手段の異常を検出する異常検出手段を具備し,前記第2の温度検出手段の異常が検出された場合には,前記加熱制御手段が前記第1の温度検出手段による検出温度のみに基づいて前記除霜ヒータによる加熱の制御を行うよう構成したものも考えられる。
これにより,前記第2の温度検出手段の異常が修復されるまでの間も,除霜動作を続行させることができる。前記異常検出手段としては,一般的に行われる温度センサの断線や短絡(検出値が上限や下限に振り切ること)の検知を行うもの等が考えられる。
さらに,前記第2の温度検出手段の異常が検出された場合には,前記加熱制御手段が,前記第1の温度検出手段による検出温度が前記設定温度と異なる異常時設定温度を超えた場合に前記除霜ヒータによる加熱を制御するよう構成したものも考えられる。
例えば,前記異常時設定温度が前記所定の設定温度よりも高い所定の温度であるものや,前記異常時設定温度が,前記第2の温度検出手段が正常な場合における前記加熱制御手段による加熱制御時の前記第1の温度検出手段による検出温度の実績値に基づいて決定されてなるもの等である。
これにより,例えば前記蒸発器への霜の発生に偏りがある等により,前記第1の温度検出手段による検出温度(冷媒導入側)が通常の設定温度を越えるまで加熱しても,前記第2の温度検出手段による検出温度(冷媒導出側)はその設定温度を超えるに至らない(即ち,除霜が完了しない)ような状況下で前記第2の温度検出手段に異常が生じた場合であっても,前記第1の温度検出手段側の前記異常時設定温度をそのような状況を見込んだ高めの温度,或いは前記第2の温度検出手段が正常であったときの近時の実績値に基づく温度とすることができ,前記蒸発器の冷媒導出側の除霜が未完全のまま前記除霜ヒータによる加熱の停止や減熱をさせてしまうことを防止できる。
【0006】
また,前記加熱制御手段が,前記除霜ヒータの加熱時間にも基づいて前記除霜ヒータによる加熱の制御を行うものであってもよい。
これにより,何らかの原因で前記第1及び第2の温度検出手段による検出温度が前記除霜ヒータの停止や減熱を行う制御条件を充足しない状況が長時間継続した場合に,前記除霜ヒータ近傍が異常高温となって部品を損傷させる等の不具合の発生を防止できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態及び実施例について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る冷蔵庫Xの冷凍室内に設置される主要部の構成を表す図,図2は本発明の実施の形態に係る冷蔵庫Xにおける冷凍サイクルを模式的に表す図,図3は本発明の実施の形態に係る冷蔵庫Xを構成するMPUの概略接続回路を表す図,図4は本発明の実施の形態に係る冷蔵庫Xにおける除霜ヒータの制御手順を表すフローチャート,図5は本発明の実施例に係る除霜ヒータの制御手順を表すフローチャートである。
【0008】
まず,図1を用いて,本発明の実施の形態に係る冷蔵庫Xの冷凍室内に設置される主要部の構成について説明する。
本冷蔵庫Xの冷凍室には冷凍サイクルの一部を構成する蒸発器4が設置され,該蒸発器4の左右両側には,冷媒の流入経路である入口パイプ6(前記冷媒導入部の一例)と同流出経路である出口パイプ7(前記冷媒導出部の一例)とが設けられている。さらに,前記入口パイプ6には冷媒を減圧するキャプラリチューブ(毛細管)等の絞り装置3が,前記出口パイプ7には余剰冷媒を蓄積するアキュムレータ5(前記冷媒導出部の他の一例)がそれぞれ接続されている。また,前記蒸発器4の下方には,前記蒸発器4表面に発生した霜を加熱溶融する除霜ヒータ10が設けられている。さらに,前記入口パイプ6表面には前記第1の温度検出手段の一例であるサーミスタ等の温度センサ8が,前記アキュムレータ5表面には前記第2の温度検出手段の一例である温度センサ9がそれぞれ取り付けられている。これら入口側温度センサ8及び出口側温度センサ9により,前記入口パイプ6及び前記アキュムレータ5の内部を流れる冷媒の温度が検出される。ここで,前記出口側温度センサ9は,前記出口パイプ7に取り付けてもかまわない。これら温度センサ8,9の信号線は,図3に示すように,本冷蔵庫Xの所定の位置に設けられたMPU13に接続され,各検出温度が前記MPU13に取り込まれる。さらに,前記MPU13は,前記除霜ヒータ10にも接続され,前記各センサ8,9の検出温度に基づいて,前記センサ9の異常検出及び前記除霜ヒータ10の作動・停止制御が行われる(前記MPU13が前記異常検出手段及び前記加熱制御手段の一例)。また,図3に示したもの以外にも,前記MPU13には本冷蔵庫Xを構成する他の機器(後述する圧縮機等)も接続され,それらが前記MPU13により制御される。前記MPU13には,前記異常検出やその他の制御を実行するための所定のプログラムが記憶されている。
【0009】
次に,図2を用いて,前記冷凍サイクルについて説明する。
冷媒は,圧縮機1により圧縮され,高温・高圧のガス状冷媒となる。このガス状冷媒は,凝縮器2によって放熱されて中温・高圧の液状冷媒となる。さらにこの液状冷媒は,前記絞り装置3によって減圧された後,前記蒸発器4内に流入して蒸発し,低温・低圧の冷媒ガスになる。このとき,前記蒸発器4の周辺から熱を奪うので,前記蒸発器4周辺が冷却される。そして,前記圧縮機1により前記蒸発器4から低温・低圧の冷媒ガスが吸入され,再度圧縮されて前記凝縮器2に送られることにより,冷凍サイクルが構成される。
【0010】
次に,図4を用いて,本冷蔵庫Xの前記MPU13による前記除霜ヒータ10の作動及び停止の制御手順について説明する。以下,S11,S12,…は,処理手順(ステップ)の番号を表すものとする。
まず,冷蔵庫Xの電源が投入されると,前記圧縮機1の作動等による冷却制御が開始(S11)された後,前記蒸発器4の除霜を行うタイミングとなっているか否かが判別される(S12)。ここで,除霜タイミングとなっているか否かは,例えば,前回の前記除霜ヒータ10による加熱停止以降の前記圧縮機1の作動積算時間が所定時間以上となっているか否か等によって判別される。このときの所定時間は,前記蒸発器4への着霜量がその冷却性能に影響し始める前の時間を事前のテスト等により定める。S12において,除霜タイミングではないと判別されたときはS11へ戻って処理が繰り返される一方,除霜タイミングであると判別されたときは前記除霜ヒータ10の作動が開始(S13)される。
前記除霜ヒータ10の作動が開始されると,次に,前記蒸発器4出口側の前記アキュムレータ5に設けられた前記出口側温度センサ9の検出温度THout(以下,出口側温度という)の異常有無が判別される(S14)。この異常有無の判別は,例えば,前記出口側温度THoutが通常とり得る温度範囲外の温度となったこと(例えば,温度センサの断線やショートにより上限温度や下限温度に振り切っている)等により判別される。ここで,前記出口側温度THoutが異常ではない(即ち,前記出口側温度センサ9が正常)と判別された場合は,前記入口側温度センサ8の検出温度HTin(以下,入口側温度という)と前記出口側温度THoutとの両方によって前記除霜ヒータ10の停止制御がなされる。即ち,前記入口側温度THin及び前記出口側温度THoutがともに各所定の設定温度T1,T2を超える(THin>T1かつTHout>T2)まで各温度THin,THoutが監視され(S15),両温度THin,THoutが前記各設定温度T1,T2を超えたと判別(S15のY側)された時点で前記除霜ヒータ10の作動(加熱)が停止(S116)された後,S11へ戻って処理が繰り返される。
このように,前記除霜ヒータ10の停止条件に前記入口側温度THinを用いるのは,前記除霜ヒータ10により加熱されて前記蒸発器4表面の霜が溶融すると,前記除霜ヒータ10による熱が前記蒸発器4から前記入口パイプ7へ伝熱すること,及び前記蒸発器4の前記入口パイプ7寄りに存在していた霜による低温の輻射熱(負の輻射)が減ること等により前記入口側温度THinも上昇するので,この温度上昇を検出することによって前記蒸発器4の除霜状況,特に前記蒸発器4の前記入口パイプ7側寄りに発生した霜の除霜状況を検出できるからである。従って,前記蒸発器4の入口側及び出口側の各温度THin,THoutがともに各設定温度T1,T2を超えたことを前記除霜ヒータ10の停止条件とすることにより,前記蒸発器4の入口側と出口側とで霜の発生状況に偏りがある場合であっても,前記蒸発器4全体が確実に除霜された後に前記除霜ヒータ10が停止されることになる。また,前記入口側温度センサ9は,例えば特開平9−14811号公報に示されるように,前記蒸発器4の前記入口パイプ8及び出口パイプ9の温度差によって冷媒漏れを検出し,炭化水素系のガス等の可燃性冷媒への引火・爆発を防止するために冷蔵庫の電源を遮断する等の用途のため,通常設けられるセンサであるため,新たな温度センサを特別に追加する必要もない。ここで,前記設定温度T1,T2は,前記蒸発器4に発生した霜が完全に溶融するときの各温度を事前のテスト等により定める。
一方,S14において,前記出口側温度THoutが異常(即ち,前記出口側温度センサ9が異常)であると判別された場合は,前記入口側温度THinのみによって前記除霜ヒータ10の停止制御がなされる。即ち,前記入口側温度THinが前記所定の設定温度T1を越える(THin>T1)まで監視され(S17),超えた時点で前記除霜ヒータ10の作動が停止(S16)された後,S11へ戻って処理が繰り返される。これにより,前記出口側温度センサ9の異常発生時であっても除霜を続行することができるので,前記蒸発器4への着霜で目詰まりが生じて冷却性能が低下することを防止できる。
【0011】
【実施例】
続いて図5を用いて,前記冷蔵庫Xの前記MPU13による前記除霜ヒータ10の制御手順の他の実施例について説明する。
この実施例では,図4に示した実施形態でのS11〜S14と同様に,前記冷蔵庫Xの電源が投入されると,前記圧縮機1の作動等による冷却制御の開始(S31),除霜タイミングの判別(S32),前記除霜ヒータ10の作動開始(S33),及び前記出口側温度THoutの異常有無判別(S34)が行われる。さらに,前記出口側温度THoutが異常ではない(即ち,前記出口側温度センサ9が正常)であると判別された場合は,図4のS15,S116と同様に,前記入口側温度THin及び前記出口側温度THoutがともに各所定の設定温度T1,T2を超える(THin>T1かつTHout>T2)まで各温度THin,THoutが監視され(S35),両温度THin,THoutが前記各設定温度T1,T2を超えたと判別(S35のY側)された時点で前記除霜ヒータ10の作動(加熱)が停止(S36)される。そして,図4の処理と異なるのは,S36の加熱停止処理の後,S31へ戻る前に,前記除霜ヒータ10を停止させた時点の前記入口側温度THinを前記MPU13の具備するメモリに保存する(S37)とともに,このようにして現在及び過去に保存された前記入口側温度THinの実績値に基づいて,前記出口側温度THoutが異常であるときに前記除霜ヒータ10の停止条件として用いる前記入口側温度THinの設定温度TB(以下,異常時設定温度という)を算出及び前記メモリに保存(S38)する点である。前記異常時設定温度TBは,例えば,最近の数点分の実績値の平均値や最大値,或いは前回値等とすることが考えられる。
【0012】
一方,S34において,前記出口側温度THoutが異常(即ち,前記出口側温度センサ9が異常)であると判別された場合は,図4での処理と同様に前記入口側温度THinのみによって前記除霜ヒータ10の停止制御がなされるが,その停止条件に用いる前記入口側温度THinの設定温度としては,前記出口側温度THoutが正常であるときに用いた設定温度T1とは異なる前記異常時設定温度TBを用いる。即ち,前記入口側温度THinが前記異常時設定温度TBを越える(THin>TB)まで監視され(S39),超えた時点で前記除霜ヒータ10の作動が停止(S40)された後,S31へ戻って処理が繰り返される。
【0013】
以上示した実施例のように,前記出口側温度THoutが異常時の前記入口側温度THinの温度条件(設定温度)を通常時(前記出口側温度THoutが正常時)と異ならせるメリットは以下の通りである。
冷凍庫内の状況(食品収納の偏り等による着霜の偏り)によって,例えば,前記蒸発器4に発生した霜が完全に溶融した時点,即ち,前記入口側温度THin>T1かつ前記出口側温度THout>T2の条件が満たされた時点で,THoutはT2に近い温度(THout≒T2)であるが,THinはT1を比較的大きく上回っている(即ち,前記入口側温度THinの条件の方が前記出口側温度THoutの条件よりも先に充足している)場合もあり,このような庫内状況である場合に,前記入口側温度THinの条件を通常と同じ(設定温度をT1)にしていると,前記蒸発器4の前記出口パイプ7寄りの部分の除霜が不完全のまま前記除霜ヒータ10の加熱が終了してしまうという問題が生じ得る。ここで,前述したように前記出口側温度THoutが異常時に,それが正常であった近時における前記除霜ヒータ10停止時の前記入口側温度THinの実績値から求めた前記異常時設定温度TBを除霜解除の条件とすることにより,庫内状況に応じた除霜解除条件が設定されることになり,前記問題が解決される。この他にも,庫内状況に関わらず常に安全サイド(除霜不完全とならない方向)となるように,前記異常時設定温度TBを通常時の設定温度T1よりも高い所定温度としてもよい。
【0014】
また,前述した実施の形態及び実施例では,前記除霜ヒータ10を作動させた後,前記入口側温度THinと前記出口側温度THoutとに基づくいずれかの除霜解除条件(THin>T1かつTHout>T2,THin>T1,THin>TBのいずれか)が充足されるまで前記除霜ヒータ10を停止させないが,この除霜解除条件に前記除霜ヒータ10の加熱時間t(前記除霜ヒータ10を作動後の経過時間)を加えることも考えられる。
例えば,前述した実施の形態(図4)及び実施例(図5)での処理中に,前記加熱時間tが,それ以上加熱を継続すると前記除霜ヒータ10近傍の部品が変形する等の異常な高温状態となるおそれがある時間を経過した場合には,いずれの処理中にあるかに関わらず,前記除霜ヒータ10の作動を停止させるよう構成する等である。これにより,前記蒸発器4に通常考えられない大量の霜が発生した場合等の異常な状態が生じた場合であっても,部品を損傷する等の弊害を防止できる。
また,以上示した実施の形態及び実施例は,前記除霜ヒータ10による加熱の停止制御を行うものであるが,これに限るものでなく,例えば,前記除霜ヒータ10への電流値や,その通電時間(即ち,加熱時間)の調節等による制御を行うものであってもよい。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,冷媒漏れ検出用等のために蒸発器の両側(冷媒の入口側及び出口側)に通常設けられるの温度センサを用いて除霜ヒータの制御を行うことにより,蒸発器での霜の発生の偏りに関わらず確実に除霜を行える。さらに,出口側の温度センサの異常発生時にも入口側の温度センサのみを用いて除霜を続行できる。その結果,蒸発器に霜が残存して目詰まりが生じることによる冷却性能の低下を防止できる。また,除霜ヒータの加熱時間もその制御条件に加えることにより,除霜ヒータの異常高温化による部品の損傷等も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る冷蔵庫Xの冷凍室内に設置される主要部の構成を表す図。
【図2】本発明の実施の形態に係る冷蔵庫Xにおける冷凍サイクルを模式的に表す図。
【図3】本発明の実施の形態に係る冷蔵庫Xを構成するMPUの概略接続回路を表す図。
【図4】本発明の実施の形態に係る冷蔵庫Xにおける除霜ヒータの制御手順を表すフローチャート。
【図5】本発明の実施例に係る除霜ヒータの制御手順を表すフローチャート。
【符号の説明】
1…圧縮機
2…凝縮器
3…絞り装置(キャプラリチューブ)
4…蒸発器
5…アキュムレータ
6…蒸発器の入口パイプ
7…蒸発器の出口パイプ
8…蒸発器の入口側温度センサ
9…蒸発器の出口側温度センサ
10…除霜ヒータ
13…MPU
S11,S12,,…処理手順(ステップ)
【発明の属する技術分野】
本発明は,冷凍サイクルの一部を構成する蒸発器の表面に発生した霜を加熱溶融する除霜ヒータを具備する冷蔵庫に関し,さらには,前記蒸発器の両側に設けられた冷媒導入部及び冷媒導出部の各温度に基づいて前記除霜ヒータによる加熱の制御を行う冷蔵庫に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来,冷蔵庫においては,圧縮機,凝縮器,絞り装置(毛細管等),及び蒸発器等により冷凍サイクルが構成され,冷凍庫内に設置される蒸発器へ冷媒を導入する入口パイプ(前記冷媒導入部の一例)や,蒸発器の前記入口パイプとは反対側に設けられ,蒸発器から冷媒を導出する出口パイプ或いは該出口パイプに接続されたアキュムレータ(前記冷媒導出部の一例)に各位置での冷媒温度を検出するための温度センサ(サーミスタ等の温度検出手段)が設けられて,その検出温度によって各種状態の検知が行われている。
例えば,特開平8−261610号公報(公報1)に示される冷蔵庫は,蒸発器の出口側に接続されるアキュムレータの温度により蒸発器の除霜完了を検知して蒸発器を加熱する除霜ヒータを停止させるよう制御するものである。これは,前記圧縮機の作動時間が所定時間以上になったとき等に前記除霜ヒータを作動させた後,前記アキュムレータ或いは前記出口パイプの温度が所定温度以上になったときに除霜が完了したと判断し,前記除霜ヒータによる加熱を停止させるものである。このような冷蔵庫では,前記アキュムレータ等の蒸発器出口側の温度センサに異常(故障)が生じると,除霜ヒータの停止制御に支障が生じて異常加熱等が発生し得るので,前記蒸発器出口側の温度センサ(の検出温度)の異常が検知された場合には,除霜ヒータを作動させないよう構成されている。ここで,温度センサの異常は,例えば,その温度センサの検出温度が通常とり得る温度範囲外の温度となったこと(例えば,温度センサの断線やショートにより上限温度や下限温度に振り切る等)等により検知される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら,従来の冷蔵庫では,蒸発器の冷媒の出口側の温度(出口パイプやアキュムレータ等の温度)のみで除霜の完了を判断しているため,冷凍庫への食品等の入れ方の偏りやドアの密閉不良等により蒸発器に霜が偏って発生した場合,特に,蒸発器の冷媒の入口側寄りに霜が偏って発生した場合に,十分に除霜されていない状態で除霜ヒータを停止させてしまうことになり,この残存した霜が蓄積して蒸発器に目詰まりが生じ,冷却性能が低下するという問題点があった。また,蒸発器の出口側の温度センサに異常が生じた場合にも,除霜が行われないために蒸発器に霜が蓄積して目詰まりが生じ,冷却性能が低下するという問題点があった。
従って,本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり,その目的とするところは,冷凍サイクルを構成する蒸発器の両側,即ち冷媒導入部側及び冷媒導出部側に設けられる両温度センサ(温度検出手段)を用いることにより,蒸発器での霜の発生の偏りに関わらず確実に除霜を行えるとともに,温度センサの異常発生時にも除霜を続行できる冷蔵庫を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は,冷凍サイクルの一部を構成し,その両側に冷媒を導入する冷媒導入部及び冷媒を導出する冷媒導出部が設けられた蒸発器と,該蒸発器表面に発生した霜を加熱溶融する除霜ヒータとを具備する冷蔵庫において,前記冷媒導入部の温度を検出する第1の温度検出手段と,前記冷媒導出部の温度を検出する第2の温度検出手段と,前記第1及び第2の温度検出手段による各検出温度に基づいて前記除霜ヒータによる加熱の制御を行う加熱制御手段と,を具備してなることを特徴とする冷蔵庫として構成されるものである。例えば,前記加熱制御手段が,前記第1及び第2の温度検出手段による各検出温度がともに各所定の設定温度を超えた場合に前記除霜ヒータの加熱を制御するものである。
これにより,前記蒸発器の冷媒導入側と冷媒導出側とで霜の発生に偏りが生じている場合であっても,前記第1及び第2の温度検出手段によって前記蒸発器の両側それぞれの除霜状況を検知できるので,いずれかの側の除霜が不完全のまま前記除霜ヒータの加熱停止や減熱をさせてしまうことによる冷却性能の低下を防止できる。
【0005】
また,前記第2の温度検出手段の異常を検出する異常検出手段を具備し,前記第2の温度検出手段の異常が検出された場合には,前記加熱制御手段が前記第1の温度検出手段による検出温度のみに基づいて前記除霜ヒータによる加熱の制御を行うよう構成したものも考えられる。
これにより,前記第2の温度検出手段の異常が修復されるまでの間も,除霜動作を続行させることができる。前記異常検出手段としては,一般的に行われる温度センサの断線や短絡(検出値が上限や下限に振り切ること)の検知を行うもの等が考えられる。
さらに,前記第2の温度検出手段の異常が検出された場合には,前記加熱制御手段が,前記第1の温度検出手段による検出温度が前記設定温度と異なる異常時設定温度を超えた場合に前記除霜ヒータによる加熱を制御するよう構成したものも考えられる。
例えば,前記異常時設定温度が前記所定の設定温度よりも高い所定の温度であるものや,前記異常時設定温度が,前記第2の温度検出手段が正常な場合における前記加熱制御手段による加熱制御時の前記第1の温度検出手段による検出温度の実績値に基づいて決定されてなるもの等である。
これにより,例えば前記蒸発器への霜の発生に偏りがある等により,前記第1の温度検出手段による検出温度(冷媒導入側)が通常の設定温度を越えるまで加熱しても,前記第2の温度検出手段による検出温度(冷媒導出側)はその設定温度を超えるに至らない(即ち,除霜が完了しない)ような状況下で前記第2の温度検出手段に異常が生じた場合であっても,前記第1の温度検出手段側の前記異常時設定温度をそのような状況を見込んだ高めの温度,或いは前記第2の温度検出手段が正常であったときの近時の実績値に基づく温度とすることができ,前記蒸発器の冷媒導出側の除霜が未完全のまま前記除霜ヒータによる加熱の停止や減熱をさせてしまうことを防止できる。
【0006】
また,前記加熱制御手段が,前記除霜ヒータの加熱時間にも基づいて前記除霜ヒータによる加熱の制御を行うものであってもよい。
これにより,何らかの原因で前記第1及び第2の温度検出手段による検出温度が前記除霜ヒータの停止や減熱を行う制御条件を充足しない状況が長時間継続した場合に,前記除霜ヒータ近傍が異常高温となって部品を損傷させる等の不具合の発生を防止できる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施の形態及び実施例について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施の形態及び実施例は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は本発明の実施の形態に係る冷蔵庫Xの冷凍室内に設置される主要部の構成を表す図,図2は本発明の実施の形態に係る冷蔵庫Xにおける冷凍サイクルを模式的に表す図,図3は本発明の実施の形態に係る冷蔵庫Xを構成するMPUの概略接続回路を表す図,図4は本発明の実施の形態に係る冷蔵庫Xにおける除霜ヒータの制御手順を表すフローチャート,図5は本発明の実施例に係る除霜ヒータの制御手順を表すフローチャートである。
【0008】
まず,図1を用いて,本発明の実施の形態に係る冷蔵庫Xの冷凍室内に設置される主要部の構成について説明する。
本冷蔵庫Xの冷凍室には冷凍サイクルの一部を構成する蒸発器4が設置され,該蒸発器4の左右両側には,冷媒の流入経路である入口パイプ6(前記冷媒導入部の一例)と同流出経路である出口パイプ7(前記冷媒導出部の一例)とが設けられている。さらに,前記入口パイプ6には冷媒を減圧するキャプラリチューブ(毛細管)等の絞り装置3が,前記出口パイプ7には余剰冷媒を蓄積するアキュムレータ5(前記冷媒導出部の他の一例)がそれぞれ接続されている。また,前記蒸発器4の下方には,前記蒸発器4表面に発生した霜を加熱溶融する除霜ヒータ10が設けられている。さらに,前記入口パイプ6表面には前記第1の温度検出手段の一例であるサーミスタ等の温度センサ8が,前記アキュムレータ5表面には前記第2の温度検出手段の一例である温度センサ9がそれぞれ取り付けられている。これら入口側温度センサ8及び出口側温度センサ9により,前記入口パイプ6及び前記アキュムレータ5の内部を流れる冷媒の温度が検出される。ここで,前記出口側温度センサ9は,前記出口パイプ7に取り付けてもかまわない。これら温度センサ8,9の信号線は,図3に示すように,本冷蔵庫Xの所定の位置に設けられたMPU13に接続され,各検出温度が前記MPU13に取り込まれる。さらに,前記MPU13は,前記除霜ヒータ10にも接続され,前記各センサ8,9の検出温度に基づいて,前記センサ9の異常検出及び前記除霜ヒータ10の作動・停止制御が行われる(前記MPU13が前記異常検出手段及び前記加熱制御手段の一例)。また,図3に示したもの以外にも,前記MPU13には本冷蔵庫Xを構成する他の機器(後述する圧縮機等)も接続され,それらが前記MPU13により制御される。前記MPU13には,前記異常検出やその他の制御を実行するための所定のプログラムが記憶されている。
【0009】
次に,図2を用いて,前記冷凍サイクルについて説明する。
冷媒は,圧縮機1により圧縮され,高温・高圧のガス状冷媒となる。このガス状冷媒は,凝縮器2によって放熱されて中温・高圧の液状冷媒となる。さらにこの液状冷媒は,前記絞り装置3によって減圧された後,前記蒸発器4内に流入して蒸発し,低温・低圧の冷媒ガスになる。このとき,前記蒸発器4の周辺から熱を奪うので,前記蒸発器4周辺が冷却される。そして,前記圧縮機1により前記蒸発器4から低温・低圧の冷媒ガスが吸入され,再度圧縮されて前記凝縮器2に送られることにより,冷凍サイクルが構成される。
【0010】
次に,図4を用いて,本冷蔵庫Xの前記MPU13による前記除霜ヒータ10の作動及び停止の制御手順について説明する。以下,S11,S12,…は,処理手順(ステップ)の番号を表すものとする。
まず,冷蔵庫Xの電源が投入されると,前記圧縮機1の作動等による冷却制御が開始(S11)された後,前記蒸発器4の除霜を行うタイミングとなっているか否かが判別される(S12)。ここで,除霜タイミングとなっているか否かは,例えば,前回の前記除霜ヒータ10による加熱停止以降の前記圧縮機1の作動積算時間が所定時間以上となっているか否か等によって判別される。このときの所定時間は,前記蒸発器4への着霜量がその冷却性能に影響し始める前の時間を事前のテスト等により定める。S12において,除霜タイミングではないと判別されたときはS11へ戻って処理が繰り返される一方,除霜タイミングであると判別されたときは前記除霜ヒータ10の作動が開始(S13)される。
前記除霜ヒータ10の作動が開始されると,次に,前記蒸発器4出口側の前記アキュムレータ5に設けられた前記出口側温度センサ9の検出温度THout(以下,出口側温度という)の異常有無が判別される(S14)。この異常有無の判別は,例えば,前記出口側温度THoutが通常とり得る温度範囲外の温度となったこと(例えば,温度センサの断線やショートにより上限温度や下限温度に振り切っている)等により判別される。ここで,前記出口側温度THoutが異常ではない(即ち,前記出口側温度センサ9が正常)と判別された場合は,前記入口側温度センサ8の検出温度HTin(以下,入口側温度という)と前記出口側温度THoutとの両方によって前記除霜ヒータ10の停止制御がなされる。即ち,前記入口側温度THin及び前記出口側温度THoutがともに各所定の設定温度T1,T2を超える(THin>T1かつTHout>T2)まで各温度THin,THoutが監視され(S15),両温度THin,THoutが前記各設定温度T1,T2を超えたと判別(S15のY側)された時点で前記除霜ヒータ10の作動(加熱)が停止(S116)された後,S11へ戻って処理が繰り返される。
このように,前記除霜ヒータ10の停止条件に前記入口側温度THinを用いるのは,前記除霜ヒータ10により加熱されて前記蒸発器4表面の霜が溶融すると,前記除霜ヒータ10による熱が前記蒸発器4から前記入口パイプ7へ伝熱すること,及び前記蒸発器4の前記入口パイプ7寄りに存在していた霜による低温の輻射熱(負の輻射)が減ること等により前記入口側温度THinも上昇するので,この温度上昇を検出することによって前記蒸発器4の除霜状況,特に前記蒸発器4の前記入口パイプ7側寄りに発生した霜の除霜状況を検出できるからである。従って,前記蒸発器4の入口側及び出口側の各温度THin,THoutがともに各設定温度T1,T2を超えたことを前記除霜ヒータ10の停止条件とすることにより,前記蒸発器4の入口側と出口側とで霜の発生状況に偏りがある場合であっても,前記蒸発器4全体が確実に除霜された後に前記除霜ヒータ10が停止されることになる。また,前記入口側温度センサ9は,例えば特開平9−14811号公報に示されるように,前記蒸発器4の前記入口パイプ8及び出口パイプ9の温度差によって冷媒漏れを検出し,炭化水素系のガス等の可燃性冷媒への引火・爆発を防止するために冷蔵庫の電源を遮断する等の用途のため,通常設けられるセンサであるため,新たな温度センサを特別に追加する必要もない。ここで,前記設定温度T1,T2は,前記蒸発器4に発生した霜が完全に溶融するときの各温度を事前のテスト等により定める。
一方,S14において,前記出口側温度THoutが異常(即ち,前記出口側温度センサ9が異常)であると判別された場合は,前記入口側温度THinのみによって前記除霜ヒータ10の停止制御がなされる。即ち,前記入口側温度THinが前記所定の設定温度T1を越える(THin>T1)まで監視され(S17),超えた時点で前記除霜ヒータ10の作動が停止(S16)された後,S11へ戻って処理が繰り返される。これにより,前記出口側温度センサ9の異常発生時であっても除霜を続行することができるので,前記蒸発器4への着霜で目詰まりが生じて冷却性能が低下することを防止できる。
【0011】
【実施例】
続いて図5を用いて,前記冷蔵庫Xの前記MPU13による前記除霜ヒータ10の制御手順の他の実施例について説明する。
この実施例では,図4に示した実施形態でのS11〜S14と同様に,前記冷蔵庫Xの電源が投入されると,前記圧縮機1の作動等による冷却制御の開始(S31),除霜タイミングの判別(S32),前記除霜ヒータ10の作動開始(S33),及び前記出口側温度THoutの異常有無判別(S34)が行われる。さらに,前記出口側温度THoutが異常ではない(即ち,前記出口側温度センサ9が正常)であると判別された場合は,図4のS15,S116と同様に,前記入口側温度THin及び前記出口側温度THoutがともに各所定の設定温度T1,T2を超える(THin>T1かつTHout>T2)まで各温度THin,THoutが監視され(S35),両温度THin,THoutが前記各設定温度T1,T2を超えたと判別(S35のY側)された時点で前記除霜ヒータ10の作動(加熱)が停止(S36)される。そして,図4の処理と異なるのは,S36の加熱停止処理の後,S31へ戻る前に,前記除霜ヒータ10を停止させた時点の前記入口側温度THinを前記MPU13の具備するメモリに保存する(S37)とともに,このようにして現在及び過去に保存された前記入口側温度THinの実績値に基づいて,前記出口側温度THoutが異常であるときに前記除霜ヒータ10の停止条件として用いる前記入口側温度THinの設定温度TB(以下,異常時設定温度という)を算出及び前記メモリに保存(S38)する点である。前記異常時設定温度TBは,例えば,最近の数点分の実績値の平均値や最大値,或いは前回値等とすることが考えられる。
【0012】
一方,S34において,前記出口側温度THoutが異常(即ち,前記出口側温度センサ9が異常)であると判別された場合は,図4での処理と同様に前記入口側温度THinのみによって前記除霜ヒータ10の停止制御がなされるが,その停止条件に用いる前記入口側温度THinの設定温度としては,前記出口側温度THoutが正常であるときに用いた設定温度T1とは異なる前記異常時設定温度TBを用いる。即ち,前記入口側温度THinが前記異常時設定温度TBを越える(THin>TB)まで監視され(S39),超えた時点で前記除霜ヒータ10の作動が停止(S40)された後,S31へ戻って処理が繰り返される。
【0013】
以上示した実施例のように,前記出口側温度THoutが異常時の前記入口側温度THinの温度条件(設定温度)を通常時(前記出口側温度THoutが正常時)と異ならせるメリットは以下の通りである。
冷凍庫内の状況(食品収納の偏り等による着霜の偏り)によって,例えば,前記蒸発器4に発生した霜が完全に溶融した時点,即ち,前記入口側温度THin>T1かつ前記出口側温度THout>T2の条件が満たされた時点で,THoutはT2に近い温度(THout≒T2)であるが,THinはT1を比較的大きく上回っている(即ち,前記入口側温度THinの条件の方が前記出口側温度THoutの条件よりも先に充足している)場合もあり,このような庫内状況である場合に,前記入口側温度THinの条件を通常と同じ(設定温度をT1)にしていると,前記蒸発器4の前記出口パイプ7寄りの部分の除霜が不完全のまま前記除霜ヒータ10の加熱が終了してしまうという問題が生じ得る。ここで,前述したように前記出口側温度THoutが異常時に,それが正常であった近時における前記除霜ヒータ10停止時の前記入口側温度THinの実績値から求めた前記異常時設定温度TBを除霜解除の条件とすることにより,庫内状況に応じた除霜解除条件が設定されることになり,前記問題が解決される。この他にも,庫内状況に関わらず常に安全サイド(除霜不完全とならない方向)となるように,前記異常時設定温度TBを通常時の設定温度T1よりも高い所定温度としてもよい。
【0014】
また,前述した実施の形態及び実施例では,前記除霜ヒータ10を作動させた後,前記入口側温度THinと前記出口側温度THoutとに基づくいずれかの除霜解除条件(THin>T1かつTHout>T2,THin>T1,THin>TBのいずれか)が充足されるまで前記除霜ヒータ10を停止させないが,この除霜解除条件に前記除霜ヒータ10の加熱時間t(前記除霜ヒータ10を作動後の経過時間)を加えることも考えられる。
例えば,前述した実施の形態(図4)及び実施例(図5)での処理中に,前記加熱時間tが,それ以上加熱を継続すると前記除霜ヒータ10近傍の部品が変形する等の異常な高温状態となるおそれがある時間を経過した場合には,いずれの処理中にあるかに関わらず,前記除霜ヒータ10の作動を停止させるよう構成する等である。これにより,前記蒸発器4に通常考えられない大量の霜が発生した場合等の異常な状態が生じた場合であっても,部品を損傷する等の弊害を防止できる。
また,以上示した実施の形態及び実施例は,前記除霜ヒータ10による加熱の停止制御を行うものであるが,これに限るものでなく,例えば,前記除霜ヒータ10への電流値や,その通電時間(即ち,加熱時間)の調節等による制御を行うものであってもよい。
【0015】
【発明の効果】
以上説明したように,本発明によれば,冷媒漏れ検出用等のために蒸発器の両側(冷媒の入口側及び出口側)に通常設けられるの温度センサを用いて除霜ヒータの制御を行うことにより,蒸発器での霜の発生の偏りに関わらず確実に除霜を行える。さらに,出口側の温度センサの異常発生時にも入口側の温度センサのみを用いて除霜を続行できる。その結果,蒸発器に霜が残存して目詰まりが生じることによる冷却性能の低下を防止できる。また,除霜ヒータの加熱時間もその制御条件に加えることにより,除霜ヒータの異常高温化による部品の損傷等も防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る冷蔵庫Xの冷凍室内に設置される主要部の構成を表す図。
【図2】本発明の実施の形態に係る冷蔵庫Xにおける冷凍サイクルを模式的に表す図。
【図3】本発明の実施の形態に係る冷蔵庫Xを構成するMPUの概略接続回路を表す図。
【図4】本発明の実施の形態に係る冷蔵庫Xにおける除霜ヒータの制御手順を表すフローチャート。
【図5】本発明の実施例に係る除霜ヒータの制御手順を表すフローチャート。
【符号の説明】
1…圧縮機
2…凝縮器
3…絞り装置(キャプラリチューブ)
4…蒸発器
5…アキュムレータ
6…蒸発器の入口パイプ
7…蒸発器の出口パイプ
8…蒸発器の入口側温度センサ
9…蒸発器の出口側温度センサ
10…除霜ヒータ
13…MPU
S11,S12,,…処理手順(ステップ)
Claims (8)
- 冷凍サイクルの一部を構成し,その両側に冷媒を導入する冷媒導入部及び冷媒を導出する冷媒導出部が設けられた蒸発器と,該蒸発器表面に発生した霜を加熱溶融する除霜ヒータとを具備する冷蔵庫において,
前記冷媒導入部の温度を検出する第1の温度検出手段と,
前記冷媒導出部の温度を検出する第2の温度検出手段と,
前記第1及び第2の温度検出手段による各検出温度に基づいて前記除霜ヒータによる加熱の制御を行う加熱制御手段と,
を具備してなることを特徴とする冷蔵庫。 - 前記加熱制御手段が,前記第1及び第2の温度検出手段による各検出温度がともに各所定の設定温度を超えた場合に前記除霜ヒータの加熱を制御するものである請求項1に記載の冷蔵庫。
- 前記第2の温度検出手段の異常を検出する異常検出手段を具備し,
前記第2の温度検出手段の異常が検出された場合には,前記加熱制御手段が前記第1の温度検出手段による検出温度のみに基づいて前記除霜ヒータによる加熱の制御を行うよう構成されてなる請求項1又は2のいずれかに記載の冷蔵庫。 - 前記第2の温度検出手段の異常が検出された場合には,前記加熱制御手段が,前記第1の温度検出手段による検出温度が前記設定温度と異なる異常時設定温度を超えた場合に前記除霜ヒータによる加熱を制御するよう構成されてなる請求項3に記載の冷蔵庫。
- 前記異常時設定温度が前記所定の設定温度よりも高い所定の温度である請求項4に記載の冷蔵庫。
- 前記異常時設定温度が,前記第2の温度検出手段が正常な場合における前記加熱制御手段による加熱制御時の前記第1の温度検出手段による検出温度の実績値に基づいて決定されてなる請求項4に記載の冷蔵庫。
- 前記加熱制御手段が,前記除霜ヒータの加熱時間にも基づいて前記除霜ヒータによる加熱の制御を行うものである請求項1〜6のいずれかに記載の冷蔵庫。
- 前記加熱制御手段による加熱の制御が,加熱の停止制御である請求項1〜7のいずれかに記載の冷蔵庫。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002170922A JP2004019950A (ja) | 2002-06-12 | 2002-06-12 | 冷蔵庫 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002170922A JP2004019950A (ja) | 2002-06-12 | 2002-06-12 | 冷蔵庫 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004019950A true JP2004019950A (ja) | 2004-01-22 |
Family
ID=31170913
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002170922A Pending JP2004019950A (ja) | 2002-06-12 | 2002-06-12 | 冷蔵庫 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004019950A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012032064A (ja) * | 2010-07-29 | 2012-02-16 | Sanyo Electric Co Ltd | 冷凍装置 |
CN102927786A (zh) * | 2012-11-30 | 2013-02-13 | 合肥美的荣事达电冰箱有限公司 | 冰箱的除霜控制方法、系统及具有该系统的冰箱 |
JP2016090073A (ja) * | 2014-10-30 | 2016-05-23 | シャープ株式会社 | 冷蔵庫 |
CN107606860A (zh) * | 2017-09-07 | 2018-01-19 | 浙江金丝通科技股份有限公司 | 制冷设备的化霜装置及方法 |
CN114562851A (zh) * | 2022-03-28 | 2022-05-31 | 长虹美菱股份有限公司 | 一种冰箱及其化霜控制方法 |
-
2002
- 2002-06-12 JP JP2002170922A patent/JP2004019950A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012032064A (ja) * | 2010-07-29 | 2012-02-16 | Sanyo Electric Co Ltd | 冷凍装置 |
CN102927786A (zh) * | 2012-11-30 | 2013-02-13 | 合肥美的荣事达电冰箱有限公司 | 冰箱的除霜控制方法、系统及具有该系统的冰箱 |
JP2016090073A (ja) * | 2014-10-30 | 2016-05-23 | シャープ株式会社 | 冷蔵庫 |
CN107606860A (zh) * | 2017-09-07 | 2018-01-19 | 浙江金丝通科技股份有限公司 | 制冷设备的化霜装置及方法 |
CN114562851A (zh) * | 2022-03-28 | 2022-05-31 | 长虹美菱股份有限公司 | 一种冰箱及其化霜控制方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US10788256B2 (en) | Cooling device | |
JP4622990B2 (ja) | 空気調和機 | |
JP5053430B2 (ja) | 空気調和機 | |
JP2010532462A (ja) | 高温ガス霜取り方法および装置 | |
JP6545252B2 (ja) | 冷凍サイクル装置 | |
JP2008096033A (ja) | 冷凍装置 | |
CN105135772B (zh) | 水制冷装置及其防止冷水结冰的控制方法 | |
JP3221232B2 (ja) | ヒートポンプ式冷凍装置 | |
JP2008116156A (ja) | 空気調和装置 | |
WO2010070932A1 (ja) | 冷凍装置 | |
JP4954684B2 (ja) | 自動製氷機の運転方法 | |
US11181308B2 (en) | Air-conditioner that prevents degradation in heating capability during defrosting operation | |
JP2004019950A (ja) | 冷蔵庫 | |
JP2014214974A (ja) | 加熱システム | |
JP6076583B2 (ja) | ヒートポンプ | |
US11940192B2 (en) | Air conditioning device | |
KR100645905B1 (ko) | 히트 펌프식 공기조화기의 제상 운전 방법 | |
JP5458656B2 (ja) | 冷却装置 | |
JP3416897B2 (ja) | 空気調和機 | |
JPH1038387A (ja) | 空気調和機の運転制御装置 | |
JP2012026590A (ja) | 冷凍装置 | |
KR20070064908A (ko) | 공기조화기 및 그 운전방법 | |
CN114440400B (zh) | 一种空调器控制方法、装置及空调器 | |
JP3219040B2 (ja) | 冷凍装置 | |
JP2927230B2 (ja) | 二元冷凍装置 |