JP4954103B2 - 包装用フィルム - Google Patents
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Description
密着包装という点においては、熱収縮フィルムによる熱収縮包装が一般的である。熱収縮包装は、一般に延伸固定により熱収縮性を付与したフィルムを用いて、予め被包装物よりも大きめの包装体を作成し、この包装体に被包装物を収納した状態で加熱し、包装体を収縮させることにより行なわれる。このような熱収縮包装は、不定形、異形の被包装物であっても密着包装することができることから、多用されている。
例えば、PVDCフィルムや塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体フィルムは、収縮温度が低く、常温でも収縮性を示すことができる。これらの塩素系フィルムは、ガスバリヤー性、防湿性も有しているので、常温での密着包装用フィルムとして汎用されている。
例えば、特開2001−88863には、ガスバリア性としてEVOH100質量部あたり熱可塑性ポリエステル1〜100質量部を配合してなる樹脂組成物層を用いた積層包装材が開示されている。ここに開示されている包装材は、ビニルアルコール系フィルムの吸湿による強度低下を防止するためにビニルアルコール系フィルムの両面に、接着剤層を介して、直鎖状低密度ポリエチレンフィルムを積層し、表層を上記ポリエチレンフィルムとした積層フィルムである。低温での屈曲疲労に優れ、主用途として、バッグインボックスなどのフレキシブル容器が挙げられているが、収縮包装用フィルムとしての適正は考慮されていない。
以下、本発明の包装用フィルムの構成について、詳述する。
はじめに、本発明の包装用フィルムに含まれる常温伸縮層の構成について説明する。
本発明の包装用フィルムにおける伸縮層は、エチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物(EVOH)と熱可塑性ポリエステルとを特定割合で混合してなる樹脂組成物で構成される。
脂肪族ジカルボン酸としては、炭素数1〜10の飽和カルボン酸、例えば、アジピン酸、セバシン酸などが好ましく用いられ、これらのうち、特にアジピン酸が好ましく用いられる。
炭素数1〜10のジオールとしては、脂肪族ジオールが好ましく、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなどが挙げられ、これらのうち、1,4−ブタンジオールが好ましく用いられる。
以上のような構成を有する熱可塑性ポリエステルの弾性率は高く、所定範囲の引張り力が作用しても、該引張り力の解除による復元率が高い。
本発明の包装用フィルムは、上記伸縮層の吸湿による強度低下、伸縮性の低下を防止するために、表層が防湿層で構成されている。
防湿層は、耐湿性に優れ、上記伸縮層の常温伸縮性を損なわないような追随性を有する非塩素系樹脂で構成されることが好ましい。具体的には、50〜250kg/cm2程度の引張り力で破断しない破断強度を有し、当該引張り力による伸張状態から回復できる粘弾性を有する樹脂組成物で構成されることが好ましい。
本発明の包装用フィルムにおいて、上記常温伸縮層の両面を防湿層で直接挟持することによって構成してもよいが、接着剤層を介在させてもよい。接着剤層の介在により、防湿層の伸縮性が伸縮層の伸縮度に比べて小さくても、介在している接着剤層により伸縮の際に生じる両層のひずみを緩和し、防湿層の伸縮層への追随に寄与できるからである。
具体的には、無水マレイン酸グラフト変性ポリエチレン、無水マレイン酸グラフト変性ポリプロピレン、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−プロピレン共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−エチルアクリレート共重合体、無水マレイン酸グラフト変性エチレン−酢酸ビニル共重合体等の無水マレイン酸変性EVAが好ましく用いられる。
接着剤層の厚みは、通常1〜50μmであり、好ましくは1〜25μm、より好ましくは5〜10μmである。薄すぎた場合、接着剤層としての役目が不十分となる場合があり、厚すぎた場合、柔軟性が低下して好ましくない。
伸張方向は特に限定せず、1方向(フィルムの長手方向又は幅方向)、2方向、あるいは均等に全方方向に放射的に伸張してもよい。
フィルムの伸張には、チャック、プラグなどで直接フィルムを引張ることによって行なっても良いし、真空力、圧空力、ブローなどをの空気力を利用した、非接触で行なってもよい。
復元率(%)=[(a1−a2)/(a1−a0)〕×100
そして、本発明の包装用フィルムは、伸縮層のEVOHに基づいて、優れたガスバリアー性を有しおり、このガスバリアー性は、両面に積層された防湿層により保持されているので、従来、熱収縮できない食品などについて用いられていた塩化ビニリデンなどの塩素系包装フィルムの代替え包装材として有用である。
伸張時、伸張力解除時の温度は、被包装物の種類に応じて適宜設定すればよい。本発明の包装用フィルムは、10〜50℃といった実質的に非加熱の状態でも伸張、収縮させることが可能であるから、通常、室温で包装作業を行なえばよい。
包装にあたっての伸張の程度は、1〜18%程度とすることが好ましく、より好ましくは10%程度である。20%を越えると、伸縮層の弾性限界を超えてしまい、元のサイズに回復することが困難になる傾向がある。
伸張状態には、上述のように、チャック、プラグなどで直接フィルムを引張ることによって行なっても良いし、真空力、圧空力、ブローなどをの空気力を利用した、非接触で行なってもよい。
(1)常温伸縮層用樹脂組成物
EVOH(エチレン含有率44モル%、ケン化度99.5モル%、MFR3.5g/10分(210℃、2160g荷重))100部に、熱可塑性ポリエステル(テレフタル酸22.5モル%、アジピン酸27.5モル%、1,4−ブタンジオール50モル%組成であり、ガラス転移温度Tg=−20℃、結晶融解熱(△Hu=16J/g))5部を配合し、径30mmの二軸延伸押出機(L/D=43)により、温度220℃で溶融混練を行ない、ストランド状に押出して、カッターで切断し、伸縮層用樹脂組成物のペレットを得た。
(2)防湿層用樹脂組成物
直鎖状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン社製「ノバテック C6−SF720」、MFR0.8g/10分(190℃)、密度0.928g/cm3)を用いた。
(3)接着剤層用樹脂組成物
無水マレイン酸変性EVA(三菱化学社製「モディック−AP A543」、MFR1.5g/10分(190℃)、密度0.92g/cm3)を用いた。
(4)フィルムの作製
上記常温伸縮層用樹脂組成物、防湿層用樹脂組成物、接着剤層用樹脂組成物を、防湿層/接着剤層/伸縮層/接着剤層/防湿層の順になるように、共押出多層インフレーション製膜装置を用いて共押出しをして、厚み35/5/5/5/35μmを有する5層共押出多層インフレーションフィルムを得た。
常温伸縮用樹脂組成物の調製において、ポリエステル配合量を10部に変更した以外は同様にして、No.1と同様の層構成を有する5層共押出多層フィルムを作製した。
EVOH樹脂組成物ペレットの調製において、熱可塑性ポリエステルを添加しなかった以外は同様にして、No.1と同様の層構成を有する5層共押出多層フィルムを作製した。
常温伸縮層を塩化ビニリデンとした以外は、包装用フィルムNo.1と同様にして、No.1と同様の層構成を有する5層共押出多層フィルムを作製した。
作製した包装用フィルムを、JIS K7113タイプ2に基づいて試験片を切り取り(TD方向)、試験片の長手方向の中央にあたる部分に、長手方向と直交する中心線を引き、当該中心線から左右に20mmづつ振り分けた標線を引いた(a0=40mm、図1参照)。
オートグラフを用いて、引張り速度10mm/分(23℃、50%RH雰囲気下)にて、標線間距離が46mm(a1=46mm)となるように、6mm分引張り、その後、チャックにより試験片をとりはずし、自動収縮後の標線間距離(a2)を測定した。下記式により、復元率を求めた。
復元率(%)=(46−a2)/6〕×100
そして、ポリエステル含有量を特定範囲としたNo.1では、塩化ビニリデンフィルムに匹敵する復元率を有しており、塩化ビニリデンの代替えとしての包装用フィルムとして用いることができる。
Claims (5)
- 10〜50℃で引張り力を付与することにより伸張状態として被包装物を包装した後、該引張り力の解除により該被包装物を密着包装するのに用いられる包装用フィルムであって、
エチレン含有率40〜60モル%のエチレン−酢酸ビニル共重合体ケン化物100質量部あたり、芳香族ジカルボン酸10〜40モル%、飽和ジカルボン酸20〜50モル%、及び炭素数1〜10のジオール20〜60モル%で構成されるポリエステル3〜8質量部を含有する樹脂組成物層を有し、
表層が、防湿層で構成されている積層フィルムであることを特徴とする包装用フィルム。 - 前記防湿層は、ポリオレフィン樹脂組成物で構成されている請求項1に記載の包装用フィルム。
- 前記樹脂組成物層と防湿層とは、接着剤層を介して積層されている請求項1又は2に記載の包装用フィルム。
- 前記樹脂組成物層は、23℃において、15%伸張状態から、前記引張り力解除による復元率が83%以上である請求項1〜3のいずれかに記載の包装用フィルム。
- 23℃において、15%伸張状態から、前記引張り力解除による復元率が83%以上である請求項1〜4のいずれかに記載の包装用フィルム。
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