JP4953817B2 - エチレン及びプロピレンの製造法 - Google Patents

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Description

【技術分野】
【0001】
本発明は、炭化水素原料を接触転化する方法に関する。さらに詳しくは、特定のゼオライト、反応条件、反応プロセスを用いることによって、オレフィン系炭化水素原料から石油化学原料として有用なエチレン及びプロピレンを効率よく安定に製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
オレフィン類を含有する炭化水素原料を、ゼオライトを含有する触媒を用いて接触転化する方法については、多くの方法が知られており、そのような接触転化によって、エチレン及びプロピレンを製造する方法についても、多くの報告がある。
特許文献1には、H(プロトン)型ZSM−5ゼオライトを用いて炭素数5以上のパラフィン、オレフィン及び/又はシクロパラフィン(ナフテン)を芳香族炭化水素、エチレン及びプロピレンに転化する方法が開示されている。しかしこの方法においては、芳香族炭化水素は比較的高収率で得られるが、エチレンおよびプロピレンの収率は低い。
【0003】
特許文献2には、プロトン型ZSM−5ゼオライトを用いて炭素数2〜4のオレフィン、パラフィンを芳香族炭化水素、エチレン及びプロピレンに転化する方法が開示されている。しかしこの方法においても、芳香族炭化水素は比較的高収率で得られるが、エチレンおよびプロピレンの収率は低い。
特許文献3および4には、アルミノリン酸塩系モレキュラーシーブを用いて、ブテンをエチレンおよびプロピレンに転換する方法が開示されている。しかしこの方法においても、エチレンおよびプロピレンの収率が低い。
【0004】
特許文献5には、SiO/Alモル比が350以上のH型ZSM−5ゼオライトを用いて、炭素数4〜12のオレフィンを特定反応条件下でエチレンおよびプロピレンに転化する方法が開示されている。
特許文献6には、SiO/Alモル比が200〜5000のIB族金属を含有する非プロトン型ZSM−5ゼオライトを用いて、炭素数4〜12のオレフィンをエチレンおよびプロピレンに転化する方法が開示されている。
【0005】
炭素数4〜12のオレフィンをゼオライト含有触媒を用いてエチレンおよびプロピレンに転化する方法においては、反応生成物としてエチレンおよびプロピレンの他に炭素数4〜8程度のオレフィンが得られる。これは、原料オレフィンが触媒によって2量化および分解され、反応条件における平衡組成に近似した組成に変換されるためである。従って、原料オレフィンを効率よくエチレンおよびプロピレンに転化するためには、反応生成物中の炭素数4以上のオレフィンを簡便な方法で効率よく反応器にリサイクルすることが必須である。
【0006】
特許文献5には、反応生成物から芳香族炭化水素を除いた炭素数4〜8のオレフィンを反応器にリサイクルする方法について記載がある。また、特許文献6には、反応生成物から炭素数8の芳香族炭化水素以上の沸点を持つ留分を除いた炭素数4〜8のオレフィンを反応器にリサイクルする方法について記載がある。しかし、これらの方法においてもリサイクル原料を得るためには複数の分離装置が必要であり、装置および運転経費が高価になるため、より簡便な方法が求められている。
【特許文献1】
特開昭49−41322号公報
【特許文献2】
特開昭50−49233号公報
【特許文献3】
米国特許第4,527,001号明細書
【特許文献4】
米国特許第4,613,721号明細書
【特許文献5】
ヨーロッパ特許出願公開第0109060号公報
【特許文献6】
国際出願公開公報WO2000/010948
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、中間細孔径ゼオライト含有触媒を用いて、少なくとも1種の炭素数4〜12のオレフィンを含有する炭化水素原料からエチレンおよびプロピレンを製造する方法において、反応生成物から簡便な方法でリサイクル原料を取得し、効率よく安定にエチレンおよびプロピレンを製造できる、改良されたリサイクルプロセスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
[0008] 本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を行った。その結果、意外にも炭素数4〜12のオレフィンを含有する炭化水素原料を特定のゼオライト含有触媒と特定条件下で接触させて、エチレンおよびプロピレンを含有する反応混合物を得る方法において、該反応混合物を炭素数3の炭化水素以下の留分と炭素数4以上の炭化水素とに分離し、炭素数4以上の炭化水素をそのままリサイクル原料として用いても(重質分を除去しない)、触媒の劣化に悪影響を及ぼさず安定な運転が可能であることを見出し、この知見に基づき、本発明を完成するに至った。
[0009] すなわち、本発明は下記に示された製造方法に関する。
(1)少なくとも1種の炭素数4〜12のオレフィンを20質量%以上含有する炭化水素原料を、反応器内でSiO/Alモル比が200〜5000であり、銀を含有し、実質的にプロトンを含まないZSM−5型よりなる群から選ばれる中間細孔径ゼオライト含有触媒と反応温度400〜600℃、該炭化水素原料の分圧0.01〜0.5MPa、重量時間空間速度1〜100hr−1の条件下で接触させて、該少なくとも1種の炭素数4〜12のオレフィンの接触転化反応を行うことにより、エチレンおよびプロピレンを含有する反応混合物を得、該反応混合物を水素および炭素数1〜3の炭化水素を主に含む留分Aと少なくとも1種の炭素数4以上の炭化水素を主に含む留分Bとに分離し、該留分Aからエチレンおよびプロピレンを分離することを包含する、エチレンおよびプロピレンの製造方法であって、下記(i)および(ii)の条件を満足する上記方法:
(i) ΔAROMA/P≦13
ΔAROMA=AROMAout−AROMAin
(AROMAin:該反応器入口における該炭化水素原料中の炭素数6〜8の芳香族炭化水素成分の比率[質量%]
AROMAout:該反応器出口における該反応混合物中の炭素数6〜8の芳香族炭化水素成分の比率[質量%]
P:該炭化水素原料の分圧[MPa])を満たすこと;及び
(ii)該留分Bの10〜95質量%を該反応器にリサイクルし、該炭化水素原料として用いること。
(2)該留分Aを、水素および炭素数1〜2の炭化水素を主に含む留分Aと、炭素数3の炭化水素を主に含む留分Aとに分離し、該留分Aの少なくとも一部を該反応器にリサイクルし、該炭化水素原料の一部として用いる、前項(1)に記載の方法。
(3)該留分Bの15〜90質量%を該反応器にリサイクルし、該炭化水素原料の一部として用いる、前項(1)に記載の方法。
(4)該(i)式がΔAROMA/P≦10を満たす、前項(1)に記載の方法。
(5)少なくとも1種の炭素数4〜12のオレフィンを20質量%以上含有する炭化水素原料を、反応器内でSiO/Alモル比が200〜5000であり、銀を含有し、実質的にプロトンを含まないZSM−5型よりなる群から選ばれる中間細孔径ゼオライト含有触媒と反応温度400〜600℃、該炭化水素原料の分圧0.01〜0.5MPa、重量時間空間速度1〜100hr−1の条件下で接触させて、該少なくとも1種の炭素数4〜12のオレフィンの接触転化反応を行うことにより、エチレンおよびプロピレンを含有する反応混合物を得、該反応混合物を水素および炭素数1〜2の炭化水素を主に含む留分Cと少なくとも1種の炭素数3以上の炭化水素を主に含む留分Dとに分離し、該留分Dを、炭素数3の炭化水素を主に含む留分Dと、少なくとも1種の炭素数4以上の炭化水素を主に含む留分Dとに分離し、該留分Cおよび/または該留分Dからエチレンおよび/またはプロピレンを分離することを包含するエチレンおよびプロピレンの製造方法であって、下記(i)および(ii)の条件を満足する上記方法:
(i) ΔAROMA/P≦13
ΔAROMA=AROMAout−AROMAin
(AROMAin:該反応器入口における該炭化水素原料中の炭素数6〜8の芳香族炭化水素成分の比率[質量%]
AROMAout:該反応器出口における該反応混合物中の炭素数6〜8の芳香族炭化水素成分の比率[質量%]
P:該炭化水素原料の分圧[MPa])を満たすこと;及び
(ii)該留分Dの10〜95質量%を該反応器にリサイクルし、該炭化水素原料として用いること。
(6)該留分Cの少なくとも一部を該反応器にリサイクルし、該炭化水素原料の一部として用いる、前項(5)に記載の方法。
(7)該留分Dの15〜90質量%を該反応器にリサイクルし、該炭化水素原料として用いる、前項(5)に記載の方法。
(8)該(i)式がΔAROMA/P≦10を満たす、前項(5)に記載の方法。
(9)該反応器が、断熱型固定床反応器である、前項(1)〜(8)のいずれか1項に記載の方法。
(10)該反応温度が500〜580℃、該炭化水素原料の分圧が0.05〜0.3MPa、該重量時間空間速度が2〜10hr−1である、前項(1)〜(8)のいずれか1項に記載の方法。
(11)該留分Bの一部を炭化水素原料の一部または全部として用い、周期律表第IIB族、IIIB族およびVIII族に属する金属及びそれらの化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する中間細孔径ゼオライト含有触媒と気相650℃以下の温度で接触させて、芳香族炭化水素を得る、前項(1)〜(4)のいずれか1項に記載の方法。
(12)該留分Bの一部を炭化水素原料の一部として用いる場合において、さらに、該留分Aから分離された水素および炭素数1〜2の炭化水素を主に含む留分Aを該炭化水素原料の一部として用いる、前項(11)に記載の方法。
(13)該留分Dの一部を炭化水素原料の一部または全部として用い、周期律表第IIB族、IIIB族およびVIII族に属する金属及びそれらの化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する中間細孔径ゼオライト含有触媒と気相650℃以下の温度で接触させて、芳香族炭化水素を得る、前項(5)〜(8)のいずれか1項に記載の方法。
(14)該留分Dの一部を炭化水素原料の一部として用いる場合において、さらに、留分Cを該炭化水素原料の一部として用いる、前項(13)に記載の方法。
【発明の効果】
[0010] 本発明の製造方法によれば、オレフィン系炭化水素原料からプロピレンおよびエチレンを効率よく安定に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の方法においては、少なくとも1種の炭素数4〜12のオレフィンを20重量%以上含有する炭化水素原料を、エチレンおよびプロピレンを製造するための原料として用いる。
本発明において「炭化水素原料」とは、炭素数1〜12の炭化水素、例えば炭素数1〜12のノルマルパラフィン、イソパラフィン、オレフィン、シクロパラフィン(ナフテン)、側鎖アルキル基を有するシクロパラフィンよりなる群から選ばれる、少なくとも1種を主に含む原料を表わす。
【0012】
本発明の方法において、上記炭化水素原料は、少なくとも1種の炭素数4〜12のオレフィンを、上記炭化水素原料の重量に対して20重量%以上含有する。
尚、上記の「オレフィン」という用語は、直鎖状、分岐状及び環状オレフィンに加え、シクロパラフィンを含むものとする。
【0013】
一方、上記炭化水素原料におけるオレフィンの含有量が20%未満では、エチレン及びプロピレンの収量が不充分になってしまう。本発明の方法において、上記炭化水素原料は、少なくとも1種の炭素数4〜12のオレフィンを、好ましくは30重量%以上、更に好ましくは40重量%以上、最も好ましくは50重量%以上含有する。
【0014】
また上記の炭化水素原料は、ターシャリーブタノール、メチルターシャリーブチルエーテル、メタノール等の含酸素化合物を不純物として少量含んでいてもよい。また、メチルアセチレン、プロパジエン、ブタジエン、ペンタジエン等のジエン、アセチレン類を少量含んでいても良い。ジエン、アセチレン類は、その反応性の高さ故、触媒の表面における炭素質の析出(コーキング)を促進する。このため、転化反応を継続的に行っているうちに、コーキングによって触媒が劣化(コーキング劣化)し、触媒活性が低下する。炭化水素原料中のジエン、アセチレン類の含量に特に制限はないが、エチレンおよびプロピレンを効率よく安定に製造するためには、ジエン、アセチレン類の合計濃度は、反応器入口において炭化水素原料中の2質量%以下が好ましい。更に好ましくは1.5質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。
【0015】
本発明の方法において使用可能な炭化水素原料として好ましいものの例としては、次のようなものを挙げることができる。
(1)ナフサなどの石油系炭化水素を熱分解して得られる生成物から分離されるC4留分及びC5留分、および該C4留分及びC5留分中のジオレフィンをオレフィンに部分水素化した留分、
(2)上記C4留分からブタジエンおよびイソブテンの一部若しくは全部を分離除去した留分、
(3)上記C5留分からイソプレンおよびシクロペンタジエンの一部若しくは全部を分離除去した留分、
(4)減圧軽油などの石油系炭化水素を流動接触分解(FCC)して得られる生成物から分離されるC4留分および/又はガソリン留分、
(5)コーカーから分離されるC4留分および/又はガソリン留分、および
(6)一酸化炭素と水素からフィッシャー・トロプシュ反応(FT合成)によって合成される炭化水素から分離されるC4留分および/又はガソリン留分。
またこれらは、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0016】
本発明の方法においては、上記のような炭化水素原料を、反応器内で特定のゼオライト含有触媒と接触させて、上記炭化水素原料に含まれる少なくとも1種の炭素数4〜12のオレフィンの接触転化反応を行うことにより、エチレンおよびプロピレンを含有する反応混合物を得、得られた反応混合物からエチレンおよびプロピレンを分離する。
【0017】
本発明の方法においては、上記のゼオライト系触媒中のゼオライトとして、5〜6.5Åの細孔径を有する、いわゆる「中間細孔径ゼオライト」を用いる。
用語「中間細孔径ゼオライト」は、「細孔径の範囲が、A型ゼオライトに代表される小細孔径ゼオライトの細孔径と、モルデナイトやX型やY型ゼオライトに代表される大細孔径ゼオライトの細孔径の中間にあるゼオライト」を意味する。「中間細孔径ゼオライト」は、その結晶構造中にいわゆる酸素10員環を有する。
【0018】
中間細孔径ゼオライトの例としては、ZSM−5、ZSM−8、ZSM−11、ZSM−12、ZSM−21、ZSM−23、ZSM−35、ZSM−38等が挙げられるが、中でもZSM−5、ZSM−11、ZSM−8などのZSM−5型ゼオライトや、ZSM−38が好ましい。また、P.A.Jacobs and J.A.Martens著“Stud.Surf.Sci.Catal.”33,P.167−215(1987、オランダ)に記載の、ZSM−5、ZSM−11に類似のゼオライトを用いることもできる。これらのうち、ZSM−5が特に好ましい。
【0019】
また、本発明の方法においては、上記のゼオライトとして、プロトン型若しくは周期律表第IB族に属する金属を含有し実質的にプロトンを含まないゼオライトを用いることができる。周期律表第IB族に属する金属を含有し実質的にプロトンを含まないゼオライトが特に好ましい。
【0020】
プロトン型ゼオライトを得るために公知の方法が利用できる。即ち、水熱合成後、乾燥、焼成して得られるゼオライトを硝酸、塩酸等の水溶液中でイオン交換する方法;硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム等のアンモニウム塩の水溶液中でイオン交換し、アンモニウム型のゼオライトとした後、乾燥、焼成しプロトン型とする方法;多価金属カチオンでイオン交換し、焼成する方法などによって調製することができる。
【0021】
また、周期律表第IB族に属する金属を含有し実質的にプロトンを含まないゼオライトは、例えば以下の方法で得ることができる。
【0022】
本発明において「実質的にプロトンを含まない」とは、後述する液相イオン交換/濾液滴定法によって求めた、上記ゼオライト中のプロトン量(酸量)が、上記ゼオライト1グラムあたり0.02ミリモル以下であることを意味する。本発明において、上記ゼオライト1グラムあたりのプロトン量は、0.01ミリモル以下であることがより好ましい。
【0023】
液相イオン交換/濾液滴定法とは、Intrazeolite Chemistry,「ACS Symp.Ser.」,218,P369−382(1983,米)、日本化学会誌、[3],P.521−527(1989)等に記載されている方法である。この方法を用いたプロトン量の測定は以下のようにして行うことができる。
空気中で焼成したゼオライトを、NaCl水溶液を用いてイオン交換処理した後、ゼオライトを濾過により回収すると共に、濾液を得る。回収したゼオライトを純水で洗浄し、得られる洗液を全量回収して、上記の濾液と混合する。得られた混合溶液中のプロトン量を中和滴定により求め、その値をゼオライトのプロトン量とする。
【0024】
なお、アンモニウムイオン型及び多価金属カチオン型ゼオライト(例えば希土類金属カチオン型ゼオライト)は、加熱処理によりプロトンを生成することが知られている。従って、上記の方法によるプロトン量の測定に先立って、ゼオライトを焼成処理する必要がある。
【0025】
本発明の方法においては、ゼオライトとして、周期律表第IB族に属する金属(以降「IB族金属」と称する)、即ち、銅、銀、金よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有するものを用いる。IB族金属としては、銅、銀が好ましく、銀が特に好ましい。
尚、本発明において、「周期律表」とは、CRC Handbook of Chemistry and Physics,75th edition[(David R.Lideら著、CRC Press Inc.発行(1994−1995年)]、1−15頁に記載の周期律表を示すものとする。
【0026】
上記の「IB族金属を含有する」とは、IB族金属を対応する陽イオンの状態で含むことを意味する。ただし、IB族金属は、上記ゼオライト中に陽イオンの状態で含まれているものに加えて、陽イオン以外の状態で更に含まれていてもよく、例えば酸化物の状態で含まれていてもよい。
【0027】
ゼオライトにIB族金属を含有させる方法の例としては、IB族金属を含有していないゼオライトを、公知の方法、例えばイオン交換法、含浸法、混練り法等の方法、好ましくはイオン交換法により処理する方法を挙げることができる。
イオン交換法によってゼオライトにIB族金属を含有させる場合、IB族金属の塩を使用する必要がある。IB族金属の塩としては、例えば硝酸銀、酢酸銀、硫酸銀、塩化銅、硫酸銅、硝酸銅、塩化金等が挙げられる。
【0028】
IB族金属の含有量に厳密な限定はないが、ゼオライトの重量に対し0.01〜5重量%、より好ましくは0.02〜3重量%の範囲であることが好ましい。IB族金属の含有量が0.01重量%以下ではゼオライト含有触媒の触媒活性が不充分であり、また5重量%以上添加しても、通常ゼオライト含有触媒の性能は向上しない。なお、ゼオライト中のIB族金属の含有量は、公知の方法、例えばX線蛍光分析法などにより求めることができる。
【0029】
本発明の方法においては、上記のゼオライトのSiO/Alモル比が200以上、5,000以下であることが必須である。SiO/Alモル比が200を下回ると、転化反応に伴うコーキングによってゼオライト含有触媒が劣化しやすくなる。SiO/Alモル比が5000を超えると、ゼオライト含有触媒の触媒活性が不充分となる。上記ゼオライトのSiO/Alモル比は、好ましくは220以上、4,000以下、より好ましくは250以上、3,500以下、最も好ましくは500以上、3,000以下であることが好ましい。ゼオライトのSiO/Alモル比は、公知の方法、例えばゼオライトをアルカリ水溶液に完全に溶解し、得られた溶液をプラズマ発光分光分析法などにより分析し、求めることができる。
【0030】
なお、本発明の方法においては、上記のゼオライトとして、ゼオライト骨格を構成するアルミニウム原子の一部がGa、Fe、B、Cr等の金属で置換されたメタロアルミノシリケートや、ゼオライト骨格を構成するアルミニウム原子が全て上記のような金属で置換されたメタロシリケートを用いることもできる。その場合、メタロアルミノシリケートまたはメタロシリケート中における上記の金属の含有量をAlのモル数に換算した上で、SiO/Alモル比を算出する。
【0031】
また上記のゼオライトは、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属、より好ましくはアルカリ金属から選ばれる少なくとも1種の金属、更に好ましくはナトリウムおよびカリウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を更に含有することが好ましい。この場合、上記ゼオライトは、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属と、IB族金属の両方を含有するゼオライトであることになる。
ゼオライトにアルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属を含有させる方法の例としては、ゼオライトにIB族金属を含有させる方法と同様の方法を挙げることができる。
【0032】
アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属の含有量は金属の種類により異なるが、例えばナトリウムの場合はゼオライトの重量に対し0.01〜0.4重量%、カリウムの場合はゼオライトの重量に対し0.01〜0.8重量%の範囲であることが好ましい。アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属は、対応する陽イオンの状態で含まれることが好ましい。
【0033】
そのようなゼオライトを調製する場合、ゼオライトにアルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属を含有させる方法と、IB族金属を含有させる方法の順序や回数に特に制限はない。例えば、ゼオライトにアルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属を含有させた後に、IB族金属を含有させてもよく、IB族金属を含有させた後に、アルカリ金属およびアルカリ土類金属から選ばれる少なくとも1種の金属を含有させてもよい。ただしいずれの場合に於いても、上記の通り、金属を含有させた後のゼオライトが、実質的にプロトンを含まないようにすることが好ましい。
【0034】
所望であれば、コーキング劣化の抑制や、エチレンおよびプロピレンの収率の向上を目的として、上記ゼオライト含有触媒に、V、Cr、Mo、W、Mn、Pt、Pd、Fe、Ni、Zn、Ga等のIIb、III、Vb、VIb、VIIb、VIII族に属する金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を、更に含有させて用いてもよい。
これらの金属を含有させる方法は、使用する金属の種類が異なる以外は、上記のIB族金属を含有させる方法と同様である。これらの金属の含有量は、ゼオライトの重量に対し0.1〜2重量%の範囲であることが好ましい。
【0035】
また、コーキング劣化に対する耐性をより向上させる目的で、該炭化水素原料との接触に先立ち、上記ゼオライト含有触媒を、水蒸気の存在下、500℃以上の温度で加熱処理することができる。上記の加熱処理は、500℃以上、900℃以下の温度で、水蒸気分圧0.01気圧以上の条件で行うことが好ましい。
また、IB族金属を含有し実質的にプロトンを含まないゼオライト含有触媒に上記の加熱処理を行う場合は、上記のゼオライトにIB族金属を含有させる前に実施することもできる。ゼオライトにIB族金属を含有させた後に実施する方がより好ましい。
【0036】
なお、上記のゼオライト含有触媒を、長期間転化反応に用いるとコーキング劣化を起こす場合がある。その場合には、通常空気中又は酸素と不活性ガスよりなる混合ガス中、400〜700℃の温度で触媒上のコークを燃焼除去することにより、コーキング劣化を起こした触媒を再生させることができる。本明細書では、この処理を「再生処理」と呼ぶ。
【0037】
この再生処理の際に水蒸気が発生するので、この水蒸気を利用して、上記の水蒸気の存在下での加熱処理を行うこともできる。即ち、長期間転化反応に用い、コーキング劣化を起こしたゼオライト含有触媒を再生処理に付すことを繰り返すことにより、上記の加熱処理と同等の効果を得ることができる。
また所望であれば、本発明で用いられるゼオライトは焼成してから触媒として用いることができる。その場合、焼成温度は通常500〜900℃とする。
[0038] また上記ゼオライト含有触媒の使用に際して、適切な形状を有する粒子とするために、上記ゼオライト含有触媒を成型体とすることが好ましい。その場合、上記のゼオライトのみを成型し、得られた成形体をゼオライト含有触媒として用いることもできる。しかし、通常は、アルミナ、シリカ、シリカ/アルミナ、ジルコニア、チタニア、ケイソウ土、粘土等の多孔性耐火性無機酸化物をバインダーまたは成型用希釈剤(マトリックス)として上記のゼオライトに混合して得られる混合物を成型し、得られた成形体をゼオライト含有触媒として用いる。
マトリックスまたはバインダーを用いる場合、それらの含有量は、ゼオライトとマトリックスまたはバインダーの重量の合計に対して、好ましくは10〜90重量%、より好ましくは20〜50重量%の範囲である。
[0039] 本発明の方法においては、以上のようなゼオライト含有触媒を用いることにより、20重量%以上に及ぶ高濃度のオレフィンを含有する炭化水素原料を用いるにもかかわらず、従来法に比べゼオライト含有触媒のコーキング劣化が起こりにくい。従って再生操作を頻繁に繰り返す必要がない。その結果、エチレンおよびプロピレンを長期間にわたり安定且つ効率よく製造することが可能となる。
[0040] 本発明の方法においては、以上のようなゼオライト含有触媒と接触させることによって、反応器内で少なくとも1種の炭素数4〜12のオレフィンの接触転化反応を行う。炭素数4〜12のオレフィンの接触転化反応は、原料炭化水素中の炭素数4〜12のオレフィンが高選択率でエチレンおよびプロピレンに転化され、原料炭化水素中に共存するパラフィンが実質的に反応しない、以下に示すような条件で行うことが好ましい。反応温度は、好ましくは400〜600℃、より好ましくは500〜580℃である。炭化水素原料の分圧は低いほうが望ましく、通常0.01〜0.5MPa、好ましくは0.05〜0.3MPaである。ゼオライト含有触媒中のゼオライトの重量に対する炭化水素原料の重量時間空間速度WHSVは、1〜100hr−1、好ましくは2〜10hr−1の範囲であることがより好ましい。炭化水素原料とゼオライト含有触媒との接触時間は、好ましくは5秒以下、より好ましくは1秒以下である。
[0041] また、上記炭化水素原料は希釈ガスとの混合物であってもよい。希釈ガスとしては、水素、メタン、水蒸気、窒素などの不活性ガスなどを用いることができるが、好ましくは水素希釈は行わない。即ち、水素は触媒のコーキング劣化を抑制するために使用される。しかし、同時に生成プロピレン等の水素化反応が起こり、プロピレン純度(プロピレン/(プロピレン+プロパン))を低下させる悪影響がある。本発明の方法においては、水素の希釈をしなくても触媒のコーキング劣化は小さく、安定な運転が可能であるので、水素希釈を行わないほうが好ましい。(ただし、後述のC2−留分のリサイクル等によって反応器に供給される少量の水素は上記水素希釈におけるような悪影響を生じない。)
【0042】
上記のパラフィンが実質的に反応しない条件で転化反応を行うと、炭化水素原料中のオレフィンの転化反応が選択的に促進され、パラフィンの転化反応は抑制される。その結果、パラフィンの転化反応によるメタン、エタン、プロパン等の副生が抑制され、反応混合物からのエチレンおよびプロピレンの分離・精製が容易になる。
【0043】
本発明の方法において、炭化水素原料をゼオライト含有触媒と接触させるための反応器は、固定床式、移動床式、流動床式あるいは気流搬送式のいずれの反応器も利用できる。本発明の方法において用いられるゼオライト含有触媒は、コーキングによる劣化を起こしにくい。そのため、固定床反応器を用いても、長期間にわたりエチレンおよびプロピレンを安定して製造することが可能となる。
また、パラフィンの転化反応は大きな吸熱反応であり、一方、オレフィンの転化反応は、反応条件により異なるが、微吸熱反応または発熱反応である。そのため、上記のパラフィンが実質的に反応しない条件下で、炭化水素原料中のオレフィンを選択的に反応させる場合、反応熱を供給する必要がなく、そのため構造が簡単な1段断熱式の固定床反応器を用いることもできる。
【0044】
以上のようにして得たエチレンおよびプロピレンを含有する反応混合物からエチレンおよびプロピレンを分離する。具体的に述べると、第1のプロセスとしては、上記反応混合物を、水素および炭素数1〜3の炭化水素を主に含む留分Aと、少なくとも1種の炭素数4以上の炭化水素を主に含む留分Bとに分離し、上記留分Aからエチレンおよびプロピレンを分離することが好ましい。第2のプロセスとしては、上記反応混合物を、水素および炭素数1〜2の炭化水素を主に含む留分Cと、少なくとも1種の炭素数3以上の炭化水素を主に含む留分Dとに分離し、該留分Dを、炭素数3の炭化水素を主に含む留分Dと、少なくとも1種の炭素数4以上の炭化水素を主に含む留分Dとに分離し、上記留分CおよびDからエチレンおよびプロピレンを分離することが好ましい。これらの分離工程は、分留、抽出など、種々の公知の方法を組み合わせることによって実施することができる。
[0045] 前述した通り、上記の反応混合物中には、エチレンおよびプロピレンの他に、炭素数4以上のオレフィンおよび芳香族炭化水素等が存在する。従って、反応混合物中から炭素数4以上のオレフィンの全量または一部を分離して反応器にリサイクルし、再び反応させる、いわゆるリサイクル反応システムを用いることにより、炭化水素原料の有効利用を図ることができる。
本発明の方法においては、上記留分BないしはDの少なくとも一部を反応器にリサイクルし、炭化水素原料の一部として用いる。即ち、上記留分BないしはDを精製することなく、そのままリサイクル原料として利用するので、最もシンプルなリサイクルプロセスを構築することができる。
[0046] 本発明の方法において、上記リサイクルプロセスからエチレン、プロピレンを効率よく得るためには、
ΔAROMA/P≦13
とすることが好ましい。より好ましくは
ΔAROMA/P≦10
である。ここで、
ΔAROMA=AROMAout−AROMAin
である。AROMAinとは、該反応器入口における該炭化水素原料中の炭素数6〜8の芳香族炭化水素成分の比率[質量%]を示し、AROMAoutとは、該反応器出口における該反応混合物中の炭素数6〜8の芳香族炭化水素成分の比率[質量%]を示す。またPは、該炭化水素原料の分圧[MPa]をさす。
[0047] ΔAROMAは反応器内で生成する炭素数6〜8の芳香族炭化水素成分の収率[質量%]を示す。従って、上記の式は、エチレンおよびプロピレンを効率よく得るためには、炭素数6〜8の芳香族炭化水素成分の生成を極力抑えることが望ましいことを表している。ΔAROMA/P>13となる、つまり芳香族炭化水素が生成しやすい反応条件では、コーキングによる触媒活性の低下を引き起こしやすい。また、反応器内で生成する炭素数6〜8の芳香族炭化水素成分が増えることでエチレンおよびプロピレンの収率が下がるばかりでなく、リサイクル原料中の炭素数6〜8の芳香族炭化水素成分及び炭素数9以上の炭化水素成分の比率が高まる。その結果、反応系内への蓄積とコーキング促進が問題となる。
【0048】
本発明の方法における炭素数6〜8の芳香族炭化水素成分の生成を制御する方法としては、限定するものではないが、一般には炭化水素原料中のオレフィンの転化率を下げる手法が採られる。ここでオレフィンの転化率とは、下式で表されるブテン基準のオレフィン転化率をさすこととする。
オレフィン転化率(%)={(反応器入口における炭化水素原料中の炭素数4以上のオレフィン濃度−反応器出口における炭化水素成分中のブテン濃度)/反応器入口における炭化水素原料中の炭素数4以上のオレフィン濃度}×100
好ましいオレフィン転化率は40〜75質量%である。
【0049】
オレフィン転化率を下げる手段としては、これも限定するものではないが、該炭化水素原料の重量時間空間速度を上げる;反応温度を下げる;または中間細孔径ゼオライト含有触媒中の中間細孔径ゼオライトのSiO/Alモル比を上げる等の方法が用いられる。また、該ゼオライトを変更する際に、先述の周期律表第IB族に属する金属を含有し実質的にプロトンを含まないゼオライトを用いると更に好ましい。これは該ゼオライトが、一般に用いられるH型ゼオライトよりも炭素数6〜8の芳香族炭化水素の生成を抑制するため、よりオレフィン転化率を高めることが可能となり、従ってエチレンおよびプロピレンの収量を高められるという効果を生むためである。
【0050】
本発明の方法において、該留分BないしはDの好ましいリサイクル比率は10〜95質量%であり、15〜90質量%がより好ましい。該リサイクル比率が10質量%未満では、エチレンおよびプロピレンの収量が充分でない。一方、95質量%より該リサイクル比率を高くすると、原料炭化水素中に含まれるパラフィン成分や反応器で生成した炭素数6〜8の芳香族炭化水素成分の蓄積が顕著になり、反応装置への負荷が過大になる。
本発明の方法における該留分BないしはD中における炭素数9以上の炭化水素成分の比率は20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下である。該炭素数9以上の炭化水素成分の比率が20質量%を超えるような条件では、エチレンおよびプロピレンが効率よく得られないためである。
【0051】
石油系炭化水素のスチームクラッキング生成物から得られるC4留分(ブタン、イソブタン、ブテン、イソブテンなど、炭素数4の炭化水素を主に含む留分)を炭化水素原料として用いる場合を例にとり、本発明の方法をより詳しく説明する。
図1は、C4留分を炭化水素原料として用いる場合の、リサイクル反応システムの好ましい一つの態様を示したものである。反応混合物(水素及び炭素数1以上の炭化水素の混合物)を、水素および炭素数1〜3の炭化水素を主に含む留分(以降「H〜C3留分」という)と、少なくとも1種の炭素数4以上の炭化水素を主に含む留分(以降「C4+留分」という)とに分離する。分離に用いる装置(C3分離器)としては、例えば、蒸留塔、フラッシュドラム(気液分離器)などを用いることができるが、好ましくは蒸留塔を用いる。得られたH〜C3留分から、エチレンおよびプロピレンを回収する。一方、上記C4+留分の少なくとも一部は、反応器にリサイクルして原料の一部として利用する。C4+留分のリサイクルによって、C4+留分には原料炭化水素中に含まれるブタンが濃縮される。そのため、C4+留分の全量をリサイクルするとブタンが蓄積されるので、反応器にリサイクルするC4+留分の量を得られたC4+留分の一部にとどめることによって、ブタンの蓄積を制御する。
【0052】
更に、H〜C3留分は、水素および炭素数1〜2の炭化水素を主に含む留分(以降「C2−留分」という)と、炭素数3の炭化水素を主に含む留分(以降「C3留分」という)とに分離してもよい。分離に用いる装置(C2分離器)としては、例えば、蒸留塔、フラッシュドラム(気液分離器)などを用いることができるが、好ましくは蒸留塔を用いる。プロピレンを選択的に製造する場合には、このC2−留分の少なくとも一部を反応器にリサイクルして、C2−留分中のエチレンを原料の一部として利用することができる。C2−留分には、エチレンの他に水素、メタン、エタンが含まれるため、C2−留分を全量リサイクルすると水素、メタン、エタンが蓄積する。そのため、反応器にリサイクルするC2−留分の量を得られたC2−留分の一部にとどめることによって、水素、メタン、エタンの蓄積を制御する。一方、C3留分からはプロピレンを回収するが、反応条件および分離条件を適切に設定した場合は、そのままケミカルグレードのプロピレンとして利用することが可能である。
【0053】
また、C4+留分は、必要により、炭素数4の炭化水素を主に含む留分(以降「C4留分」という)と、少なくとも1種の炭素数5以上の炭化水素を主に含む留分(以降「C5+留分」という)とに分離することができる。C4+留分からC4留分を分離する個所は、C4+留分をリサイクルする前および後のいずれでも良い。分離に用いる装置(C4分離器)としては、例えば、蒸留塔、フラッシュドラム(気液分離器)などを用いることができるが、好ましくは蒸留塔を用いる。得られたC4留分および/またはC5+留分の少なくとも一部は、反応器にリサイクルし、原料炭化水素の一部として用いることができる。
【0054】
図2は、C4留分を炭化水素原料として用いる場合の、リサイクル反応システムの好ましいもう一つの態様を示したものである。反応混合物(水素及び炭素数1以上の炭化水素の混合物)を、水素および炭素数1〜2の炭化水素を主に含む留分(以降「C2−留分」という)と、少なくとも1種の炭素数3以上の炭化水素を主に含む留分(以降「C3+留分」という)とに分離する。分離に用いる装置(C2分離器)としては、例えば、蒸留塔、フラッシュドラム(気液分離器)などを用いることができるが、好ましくは蒸留塔を用いる。得られたC2−留分から、エチレンを回収する。尚、プロピレンを選択的に製造する場合には、前述の通り、このC2−留分の少なくとも一部を反応器にリサイクルして、C2−留分中のエチレンを原料の一部として利用する。
【0055】
一方、上記C3+留分は、炭素数3の炭化水素を主に含む留分(以降「C3留分」という)と、少なくとも1種の炭素数4以上の炭化水素を主に含む留分(以降「C4+留分」という)とに分離する。分離に用いる装置(C3分離器)としては、例えば、蒸留塔、フラッシュドラム(気液分離器)などを用いることができるが、好ましくは蒸留塔を用いる。C3留分からはプロピレンを回収するが、反応条件および分離条件を適切に設定した場合は、そのままケミカルグレードのプロピレンとして利用することが可能である。
【0056】
一方、上記C4+留分の少なくとも一部は反応器にリサイクルして原料の一部として利用する。C4+留分のリサイクルによって、C4+留分には原料炭化水素中に含まれるブタンが濃縮される。そのため、C4+留分の全量をリサイクルするとブタンが蓄積されるため、反応器にリサイクルするC4+留分の量を得られたC4+留分の一部にとどめることによって、ブタンの蓄積を制御する。また、図1に関して上で説明したのと同様に、C4+留分は、必要により、炭素数4の炭化水素を主に含む留分(以降「C4留分」という)と、少なくとも1種の炭素数5以上の炭化水素を主に含む留分(以降「C5+留分」という)とに分離することができる。C4+留分からC4留分を分離する個所は、C4+留分をリサイクルする前および後のいずれでも良い。分離に用いる装置(C4分離器)としては、例えば、蒸留塔、フラッシュドラム(気液分離器)などを用いることができるが、好ましくは蒸留塔を用いる。得られたC4留分および/またはC5+留分の少なくとも一部は、反応器にリサイクルし、原料炭化水素の一部として用いることができる。
【0057】
なお、本発明の方法においては、上記の接触転化によるエチレンおよびプロピレンの製造と、スチームクラッキング法(管式熱分解法)によるエチレンおよびプロピレンの製造を併行することによって、炭化水素原料当たりのエチレンおよびプロピレンの収率を向上させることができる。またこの場合、メタン等の副生を抑制することができるため、エチレン、プロピレンの精製を効率的に実施できる。このような方法の例として、上記留分B若しくはDを管式熱分解炉に供給し、スチームクラッキングに付すことにより、エチレンおよびプロピレンを含有するスチームクラッキング生成物を得、得られたスチームクラッキング生成物からエチレンおよびプロピレンを分離する方法を挙げることができる。この場合のスチームクラッキングは、管式熱分解炉内の温度750〜850℃、圧力0〜15kg/cm2G、滞留時間0.1〜0.8秒、スチーム/炭化水素重量比0.1〜1の条件下で行うことが好ましい。
【0058】
[接触環化反応]
また、本発明の方法のもう一つの態様においては、該留分Bもしくは該留分Dの一部を炭化水素原料の一部または全部として用い、中間細孔径ゼオライト含有触媒と接触させて、炭素数6〜9の芳香族炭化水素を得ることができる。本明細書では、この反応を「接触環化反応」という。接触環化反応において、該留分Bもしくは該留分Dに加えうる炭化水素原料としては、炭素数1〜12の炭化水素、例えば炭素数1〜12のノルマルパラフィン、イソパラフィン、オレフィン、シクロパラフィン(ナフテン)、及び側鎖アルキル基を有するシクロパラフィンよりなる群から選ばれる、少なくとも1種を主に含む原料が挙げられる。また、
接触環化反応に用いられる炭化水素原料は、ターシャリーブタノール、メチルターシャリーブチルエーテル、メタノール等の含酸素化合物を不純物として少量含んでいても良い。また、メチルアセチレン、プロパジエン、ブタジエン、ペンタジエン等のジエン、アセチレン類を少量含んでいても良い。
【0059】
接触環化反応において、該留分Bもしくは該留分Dに加えうる炭化水素原料として好ましいものの例としては、上記同様に、次のようなものを挙げることができる。
(1)ナフサなどの石油系炭化水素を熱分解して得られる生成物から分離されるC4留分及びC5留分、および該C4留分及びC5留分中のジオレフィンをオレフィンに部分水素化した留分、
(2)上記C4留分からブタジエンおよびイソブテンの一部若しくは全部を分離除去した留分、
(3)上記C5留分からイソプレンおよびシクロペンタジエンの一部若しくは全部を分離除去した留分、
(4)減圧軽油などの石油系炭化水素を流動接触分解(FCC)して得られる生成物から分離されるC4留分および/又はガソリン留分、
(5)コーカーから分離されるC4留分および/又はガソリン留分、および
(6)一酸化炭素と水素からフィッシャー・トロプシュ反応(FT合成)によって合成される炭化水素から分離されるC4留分および/又はガソリン留分。
またこれらは、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
【0060】
接触環化反応に用いるゼオライトは、5〜6.5Åの細孔径を有する、いわゆる「中間細孔径ゼオライト」を用いる。用語「中間細孔径ゼオライト」の意味とその例は上記の同様である。
さらに、この接触環化反応に用いる中間細孔径ゼオライト含有触媒は、水添/脱水素金属成分を上記触媒に添加することで、より好適な触媒となる。特に周期律表第IIB族、IIIB族及びVIII族に属する金属及びそれらの化合物から選ばれる1種以上を添加した場合、ゼオライト含有触媒の脱水素環化能が向上し、芳香族炭化水素を製造するための好適な触媒とすることができる。周期律表第IIB族、IIIB族及びVIII族に属する金属及びそれらの化合物は、好ましくは亜鉛、ガリウム、インジウム、ニッケル、パラジウム、白金及びそれらの酸化物、複合酸化物であり、更に好ましくは、亜鉛及び酸化亜鉛、アルミン酸亜鉛等の亜鉛の複合酸化物である。ゼオライト含有触媒に対する周期律表第IIB族、IIIB族及びVIII族に属する金属及びそれらの化合物の量は、金属換算で0.1〜20質量%であることが好ましい。
【0061】
また上記の中間細孔径ゼオライト含有触媒に含まれるゼオライトとして、プロトン型若しくは、IB族金属、即ち、銅、銀、金よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有するゼオライトを用いることができる。IB族金属としては、銅、銀が好ましく、銀が特に好ましい。プロトン型ゼオライトを得る方法およびゼオライトにIB族金属を含有させる方法の例は前述の通りである。
IB族金属の含有量に厳密な限定はないが、ゼオライトの重量に対し0.1〜10重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.2〜5重量%である。IB族金属の含有量が0.1重量%未満では接触環化反応に対する活性が充分ではなく、10重量%を超えて加えてもそれ以上性能が向上しない。
【0062】
接触環化反応におけるゼオライトのSiO/Alモル比は、触媒としての安定性から20以上が必要である。SiO/Alモル比の上限は特に限定されるものではないが、一般的には、SiO/Alモル比が20〜500程度のもの、好ましくは28〜300程度のものが用いられる。
なお接触環化反応においては、ゼオライトとして上記同様に、ゼオライト骨格を構成するアルミニウム原子の一部がGa、Fe、B、Cr等の金属で置換されたメタロアルミノシリケートや、ゼオライト骨格を構成するアルミニウム原子が全て上記のような金属で置換されたメタロシリケートを用いることもできる。その場合、メタロアルミノシリケートまたはメタロシリケート中における上記の金属の含有量をAlのモル数に換算した上で、SiO/Alモル比を算出する。
接触環化反応における、ゼオライトのアルカリ金属およびアルカリ土類金属の含有、及びゼオライトの水蒸気存在下での加熱処理については上記と同様である。
【0063】
なお、上記のゼオライト含有触媒を、長期間接触環化反応に用いるとコーキング劣化を起こす場合があるが、その場合には、通常空気中又は酸素と不活性ガスよりなる混合ガス中、400〜700℃の温度で触媒上のコークを燃焼除去することにより、再生処理させることができる。この再生処理の際に水蒸気が発生するので、この水蒸気を利用して、上記の水蒸気の存在下での加熱処理を行うこともできる。即ち、長期間接触環化反応に用い、コーキング劣化を起こしたゼオライト含有触媒を再生処理に付すことを繰り返すことにより、上記の加熱処理と同等の効果を得ることができる。
また所望であれば、接触環化反応で用いられるゼオライトは焼成してから触媒として用いることができる。その場合、焼成温度は通常500〜900℃とする。
【0064】
また、接触環化反応における上記ゼオライト含有触媒の使用に際して、適切な形状を有する粒子とするために、上記ゼオライト含有触媒を成型体とすることが好ましい。その場合、上記のゼオライトのみを成型し、得られた成形体をゼオライト含有触媒として用いることもできるが、通常は、アルミナ、シリカ、シリカ/アルミナ、ジルコニア、チタニア、ケイソウ土、粘土等の多孔性耐火性無機酸化物をバインダーまたは成型用希釈剤(マトリックス)として上記のゼオライトに混合して得られる混合物を成型し、得られた成形体をゼオライト含有触媒として用いる。
マトリックスまたはバインダーを用いる場合、それらの含有量は、ゼオライトとマトリックスまたはバインダーの重量の合計に対して、好ましくは5〜90重量%、より好ましくは10〜50重量%の範囲である。
【0065】
本発明の接触環化反応の条件は、炭化水素原料、特に原料中のオレフィンとパラフィンの量比により変化するが、300〜650℃の温度で、0.01〜3MPaの炭化水素分圧、0.1〜50hr−1の重量時間空間速度であることが好ましく、更に好ましくは400〜600℃の温度である。
本発明の接触環化反応においては、固定床式、移動床式、流動床式のいずれの反応器も適用でき、反応様式は特に問わないが、好ましいものとしては、構造が簡単な断熱式の固定床反応器が挙げられる。
【0066】
(実施例)
以下、実施例及び比較例によって、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
尚、実施例及び比較例において行われた測定は以下の通りである。
(1)液相イオン交換/濾液滴定法によるゼオライトのプロトン量の測定
ゼオライト1.5gを、空気中400〜600℃の温度で焼成した後、3.4モル/リットルのNaCl水溶液25ml中で氷冷下10分間イオン交換を行った。得られる混合物を濾過した後、50mlの純水でゼオライトを洗浄し、洗浄に用いた水を含む濾液を全量回収した。この濾液(洗浄に用いた水を含む)を0.1NのNaOH水溶液により中和滴定し、中和点からゼオライトのプロトン量を求めた。
(2)反応速度定数Kの計算
尚、触媒活性の指標である反応速度定数K(hr−1)は以下の式によって求めた。
K=WHSV×ln[1/(1−X)]
[式中、WHSV(hr−1)はゼオライトの重量に対する供給原料の重量時間空間速度であり、X(無単位)はブテン基準のオレフィン転化率{(原料中の炭素数4〜8のオレフィン濃度(質量%)−生成物中のブテン濃度(質量%))/原料中の炭素数4〜8のオレフィン濃度(質量%)}である。]
【実施例1】
[0067]
SiO/Alモル比が1000のH型ZSM−5の押出し成型品(SiOバインダー30重量%含有、1.6mmφ、日揮ユニバーサル(株)より購入)を、1N硝酸ナトリウム水溶液(10cc/g−ゼオライト成型体)中に分散させ、室温、1時間のイオン交換処理を3回繰り返した。次いで濾過、水洗、乾燥を行い、Na型ZSM−5/SiOを調製した。これを、0.01N硝酸銀水溶液(10cc/g−ゼオライト成型体)中に分散させ、室温、2時間イオン交換処理した。次いで濾過、水洗、乾燥して触媒Aを調製した。蛍光X線分析で測定される触媒AのAg量は0.15質量%であった。触媒Aを内径16mmφの石英ガラス製反応器に充填し、温度650℃、スチーム流量27.6g/hr、窒素流量140Ncc/minの条件で5時間スチーミングを行った。スチーミング処理後の触媒Aのプロトン量を液相イオン交換/濾液滴定法により求めたところ0.002mmol/gであった。スチーミング処理後の触媒A10gを、内径17mmφのハステロイC製反応器に充填した。
【0068】
表1に示すC4ラフィネート−2(ナフサをスチームクラッキングして得られるC4留分から、ブタジエン及びイソブテンを抽出して得られる)を原料とし、反応温度580℃、C4ラフィネート−2の供給量60g/hr(WHSV=6hr−1)、0.1MPaGの条件で反応を行い、得られる反応生成物を反応器出口で熱交換器を用いて約30℃まで冷却した後、気液分離ドラムに導入して液(C4+留分)を分離、回収した。回収したC4+留分の組成を表1に示した。次に、上記の回収C4+留分とC4ラフィネート−2を原料として、C4+リサイクルの実験を下記の実験条件で24時間行った。
実験条件
反応温度:580℃、C4ラフィネート−2の供給量:30g/hr、C4+留分の供給量:31.2g/hr(WHSV=6.1hr−1)、反応圧力0.1MPaG
【0069】
原料供給開始から所定時間後の反応生成物を直接ガスクロマトグラフィー(TCD、FID検出器)に導入して組成を分析した。
尚、ガスクロマトグラフによる分析は以下の条件で行った。
装置:島津製作所社製GC−17A
カラム:米国SUPELCO社製カスタムキャピラリーカラム SPB−1(内径0.25mm、長さ60m、フィルム厚3.0μm)
サンプルガス量:1ml(サンプリングラインは200〜300℃に保温し、液化を防止)
昇温プログラム:40℃で12分間保持し、次いで5℃/分で200℃まで昇湿した後、200℃で22分間保持した。
スプリット比:200:1
キャリアーガス(窒素)流量:120ml/分
FID検出器:エアー供給圧50kPa(約500ml/分)、水素供給圧60kPa(約50ml/分)
測定方法:TCD検出器とFID検出器を直列に連結して、水素及び炭素数1及び2の炭化水素をTCD検出器で検出し、炭素数3以上の炭化水素をFID検出器で検出した。分析開始10分後に、検出の出力をTCDからFIDに切り替えた。
【0070】
反応開始12時間後の反応生成物の分析結果は、供給原料中の炭素数4〜8のオレフィンに対するプロピレン、エチレンの収率(質量%)がそれぞれ、32.1%、8.7%であった。ただし、回収C4+留分中の炭素数6〜8の成分は、芳香族炭化水素以外はすべてオレフィンとした。また、反応開始4時間後と24時間後の反応速度定数Kの比〔K(24時間)/K(4時間)〕は0.90であった。
【0071】
〔比較例1〕
反応器供給原料としてC4ラフィネート−2 60g/hr(WHSV=6hr−1)のみを用いる以外は実施例1と同条件で、C4ラフィネート−2の反応を行った。反応開始12時間後の反応生成物の分析結果は、供給原料中の炭素数4〜8のオレフィンに対するプロピレン、エチレンの収率(質量%)がそれぞれ、31.1%、8.9%であった。また、反応開始4時間後と24時間後の反応速度定数Kの比〔K(24時間)/K(4時間)〕は0.87であった。
実施例1と比較例1の比較から、C4+留分を重質分の除去をせずにそのままリサイクル原料として用いても、触媒の劣化に悪影響を及ぼさないことが分かった。また、C4+留分中の炭素数6〜8の非芳香族成分は、プロピレン、エチレンの製造に有効に利用できることが分かった。
【0072】
〔実施例2〕
反応器供給原料としてC4ラフィネート−2 26.8g/hr、C4+留分27.2g/hr、エチレン6g/hr(WHSV=6hr−1)とした以外は実施例1と同条件で、エチレンのリサイクル相当の実験を行った。
反応開始4時間後の反応生成物の分析結果は、供給原料中の炭素数4〜8のオレフィンに対するプロピレン、エチレンの収率(質量%)がそれぞれ、34.8%、0.5%であった。実施例1と比較すると、エチレンをリサイクルすることによって、エチレンの生成が抑制され、プロピレンの収率が向上することが分かった。
【0073】
[実施例3]
SiO/Alモル比が1200のNa型ZSM−5の押出し成型品(SiOバインダー30重量%含有、1.6mmφ、日揮ユニバーサル(株)より購入)を、0.02N硝酸銀水溶液(10cc/g−ゼオライト成型体)中に分散させ、60℃、1時間のイオン交換処理を2回繰り返した。次いで濾過、水洗、乾燥して触媒Bを調製した。蛍光X線分析で測定される触媒BのAg量は0.22質量%であった。触媒Bを内径27mmφのハステロイC製反応器に充填し、温度650℃、スチーム流量214g/hr、窒素流量400NL/hr、圧力0.1MPaGの条件で5時間スチーミングを行った。スチーミング処理後の触媒Bのプロトン量を液相イオン交換/濾液滴定法により求めたところ0.002mmol/gであった。スチーミング処理後の触媒B60gを、内径27mmφのハステロイC製反応器に充填した。
【0074】
表2に示すC4ラフィネート−2を原料とし、反応温度550℃、C4ラフィネート−2の供給量220.2g/hr、リサイクルC4+留分の供給量139.8g/hr(WHSV=6hr−1)、スチーム供給量108g/hr、反応圧力0.1MPaGの条件で反応を行い、得られる反応生成物を蒸留塔に供給し、H〜C3留分とC4+留分に分離し、このC4+留分の約56質量%を反応器にリサイクルした。反応を2日間継続した後、以下の条件で触媒の再生処理を実施した。
再生処理条件
再生温度:500〜550℃、再生圧力:0.5MPaG、窒素+空気流量:1008NL/hr、酸素濃度:1〜5容量%、再生時間:10時間。
【0075】
C4ラフィネート−2に対する収率(質量%)を表2に示した。ΔAROMA/Pは3.5であった。再生処理の際に反応器出口の再生ガスを定期的にサンプリングして、ガスクロマトグラフを用いて再生ガスの分析を行い、CO、COの濃度を測定し、この値からコーク量を求めた。コーク量を反応中にフィードする原料の合計量で割って、コークの収率を求めたところ、72質量ppmであった。
【0076】
〔比較例2〕
反応器供給原料として、実施例3で用いるC4ラフィネート−2 360g/hr(WHSV=6hr−1)のみを用いた以外は実施例3と同条件で、C4ラフィネート−2の反応を行った。C4ラフィネート−2に対する収率(質量%)を表2に示した。また、コーク収率は、77質量ppmであった。
実施例3と比較すると、C4+留分リサイクルによってエチレン、プロピレンの収率が向上することが分かった。また、コーク収率はC4+留分をそのままリサイクルしても増加しないことが分かった。
【0077】
[実施例4]
H型ZSM−5(SiO/Alモル比=80)を72重量部、硝酸亜鉛(亜鉛金属として10重量部)及びアルミナゾル(Alとして18重量部)を混練後、押出し成型を実施し、直径1.6mm、長さ4〜6mmに成型した。次いで、120℃、4時間乾燥後、500℃、3時間焼成し、ZSM−5ゼオライト成型触媒を得た。この触媒を1N硝酸ナトリウム水溶液(10cc/g−ゼオライト成型体)中に分散させ、室温、1時間のイオン交換処理を3回繰り返した。次いで濾過、水洗、乾燥を行い、Na含有ZSM−5/SiOを調製した。これを、0.1N硝酸銀水溶液(10cc/g−ゼオライト成型体)中に分散させ、室温、2時間イオン交換処理した。次いで濾過、水洗、乾燥して触媒Cを調製した。蛍光X線分析で測定される触媒CのAg量は1.8重量%であった。触媒Cを内径27mmφのハステロイC製反応器に充填し、温度650℃、スチーム流量214g/hr、窒素流量400NL/hr、圧力0.1MPaGの条件で3時間スチーミングを行った。スチーミング処理後の触媒C39.6gを、内径27mmφのハステロイC製反応器に充填した。
【0078】
実施例3で得られたC4+留分の供給量110.9g/hr、反応温度515℃、圧力0.5MPaの条件で反応を行った。反応開始2時間後の炭素数6〜9の芳香族炭化水素の収率は45.32質量%であった。実施例3及び実施例4の結果から、C4ラフィネート−2に対する収率は、エチレン9.08、プロピレン38.05、炭素数6〜9の芳香族炭化水素22.82質量%となった。このことから、副生C4+留分を接触環化反応に供することによって、エチレン、プロピレン、および炭素数6〜9の芳香族炭化水素が選択的に得られることがわかった。
【0079】
【表1】
Figure 0004953817
【0080】
【表2】
Figure 0004953817
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明の製造方法は、オレフィンを含有する炭化水素原料からエチレン及びプロピレンを製造する方法において、反応生成物から簡便な方法でリサイクル原料を取得し、効率的かつ安定なリサイクルプロセスを構築できる。従って、上記の製造方法として工業的に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の方法によるエチレンおよびプロピレンの製造に用いられるシステムの構成の一態様を示すフローシートである。
【図2】本発明の方法によるエチレンおよびプロピレンの製造に用いられるシステム構成の別の一態様を示すフローシートである。

Claims (14)

  1. 少なくとも1種の炭素数4〜12のオレフィンを20質量%以上含有する炭化水素原料を、反応器内でSiO2/Al23モル比が200〜5000であり、銀を含有し、実質的にプロトンを含まないZSM−5型よりなる群から選ばれる中間細孔径ゼオライト含有触媒と反応温度400〜600℃、該炭化水素原料の分圧0.01〜0.5MPa、重量時間空間速度1〜100hr-1の条件下で接触させて、該少なくとも1種の炭素数4〜12のオレフィンの接触転化反応を行うことにより、エチレンおよびプロピレンを含有する反応混合物を得、該反応混合物を水素および炭素数1〜3の炭化水素を主に含む留分Aと少なくとも1種の炭素数4以上の炭化水素を主に含む留分Bとに分離し、該留分Aからエチレンおよびプロピレンを分離することを包含する、エチレンおよびプロピレンの製造方法であって、下記(i)および(ii)の条件を満足する上記方法:
    (i)ΔAROMA/P≦13
    ΔAROMA=AROMAout−AROMAin
    (AROMAin:該反応器入口における該炭化水素原料中の炭素数6〜8の芳 香族炭化水素成分の比率[質量%]
    AROMAout:該反応器出口における該反応混合物中の炭素数6〜8の芳香 族炭化水素成分の比率[質量%]
    P:該炭化水素原料の分圧[MPa])を満たすこと;及び
    (ii)該留分Bの10〜95質量%を該反応器にリサイクルし、該炭化水素原料として 用いること。
  2. 該留分Aを、水素および炭素数1〜2の炭化水素を主に含む留分A1と、炭素数3の炭化水素を主に含む留分A2とに分離し、該留分A1の少なくとも一部を該反応器にリサイクルし、該炭化水素原料の一部として用いる、請求項1に記載の方法。
  3. 該留分Bの15〜90質量%を該反応器にリサイクルし、該炭化水素原料の一部として用いる、請求項1に記載の方法。
  4. 該(i)式がΔAROMA/P≦10を満たす、請求項1に記載の方法。
  5. 少なくとも1種の炭素数4〜12のオレフィンを20質量%以上含有する炭化水素原料を、反応器内でSiO2/Al23モル比が200〜5000であり、銀を含有し、実質的にプロトンを含まないZSM−5型よりなる群から選ばれる中間細孔径ゼオライト含有触媒と反応温度400〜600℃、該炭化水素原料の分圧0.01〜0.5MPa、重量時間空間速度1〜100hr-1の条件下で接触させて、該少なくとも1種の炭素数4〜12のオレフィンの接触転化反応を行うことにより、エチレンおよびプロピレンを含有する反応混合物を得、該反応混合物を水素および炭素数1〜2の炭化水素を主に含む留分Cと少なくとも1種の炭素数3以上の炭化水素を主に含む留分Dとに分離し、該留分Dを、炭素数3の炭化水素を主に含む留分D1と、少なくとも1種の炭素数4以上の炭化水素を主に含む留分D2とに分離し、該留分Cおよび/または該留分D1からエチレンおよび/またはプロピレンを分離することを包含するエチレンおよびプロピレンの製造方法であって、下記(i)および(ii)の条件を満足する上記方法:
    (i)ΔAROMA/P≦13
    ΔAROMA=AROMAout−AROMAin
    (AROMAin:該反応器入口における該炭化水素原料中の炭素数6〜8の芳香 族炭化水素成分の比率[質量%]
    AROMAout:該反応器出口における該反応混合物中の炭素数6〜8の芳香族 炭化水素成分の比率[質量%]
    P:該炭化水素原料の分圧[MPa])を満たすこと;及び
    (ii)該留分D2の10〜95質量%を該反応器にリサイクルし、該炭化水素原料とし て用いること。
  6. 該留分Cの少なくとも一部を該反応器にリサイクルし、該炭化水素原料の一部として用いる、請求項5に記載の方法。
  7. 該留分D2の15〜90質量%を該反応器にリサイクルし、該炭化水素原料として用いる、請求項5に記載の方法。
  8. 該(i)式がΔAROMA/P≦10を満たす、請求項5に記載の方法。
  9. 該反応器が、断熱型固定床反応器である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 該反応温度が500〜580℃、該炭化水素原料の分圧が0.05〜0.3MPa、該重量時間空間速度が2〜10hr-1である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
  11. 該留分Bの一部を炭化水素原料の一部または全部として用い、周期律表第IIB族、IIIB族およびVIII族に属する金属及びそれらの化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する中間細孔径ゼオライト含有触媒と気相650℃以下の温度で接触させて、芳香族炭化水素を得る、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  12. 該留分Bの一部を炭化水素原料の一部として用いる場合において、さらに、該留分Aから分離された水素および炭素数1〜2の炭化水素を主に含む留分A1を該炭化水素原料の一部として用いる、請求項11に記載の方法。
  13. 該留分D2の一部を炭化水素原料の一部または全部として用い、周期律表第IIB族、IIIB族およびVIII族に属する金属及びそれらの化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有する中間細孔径ゼオライト含有触媒と気相650℃以下の温度で接触させて、芳香族炭化水素を得る、請求項5〜8のいずれか1項に記載の方法。
  14. 該留分D2の一部を炭化水素原料の一部として用いる場合において、さらに、該留分Cを該炭化水素原料の一部として用いる、請求項13に記載の方法。
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