JP5156313B2 - プロピレンの製造方法およびプロピレンの製造装置 - Google Patents
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Description
プロピレンのほとんどは原油由来の原料を使用するナフサクラッカー、流動接触分解(Fluid Catalytic Cracking、FCC)装置などから副製品として製造されている。これらの製造プロセスでは、炭素数が4のオレフィンおよび炭素数が5のオレフィンを多く含有する留分が存在するため、これらの留分のプロピレンへの有効な転換技術が望まれている。
また、ゼオライト触媒を用い、メタノールおよび/またはジメチルエーテルと、炭化水素との混合物の接触変化により、エチレン、芳香族類を生成する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
前記オレフィン生成装置は、炭化水素を熱分解する装置、炭化水素を接触分解する装置、および含酸素炭化水素を脱水縮合反応させる装置から選ばれる1以上の装置であればよい。
また、前記反応触媒は、アルカリ土類金属を含むMFI構造ゼオライト触媒であって、該MFI構造ゼオライトのSi/Alモル比は10以上、300以下、アルカリ土類金属/Alモル比は0.75以上、15以下であればよい。
なお、上記水添反応は液相反応、気相反応のどちらでもよい。
この実施形態のプロピレンの製造装置10は、オレフィン生成装置11、水添反応器12、反応器13、分離器14を備えている。オレフィン生成装置11は、供給された原料から低級オレフィンを含む生成物を生成する。水添反応器12は、生成装置11で生成された炭素数が4および/または5の炭化水素と、後述する分離器14から還流された炭素数が4および/または5の炭化水素に、水素を加えたものを反応させる。そして、これら炭素数が4および/または5の炭化水素に含まれているアルキン類/ジエン類を部分水添により二重結合が1つのオレフィンに転化させる。
また、WHSVが0.025g−DME/(g−反応触媒・時間)未満では、固定床反応器の単位容積当たりの生産性が低くなり経済的でない。一方、WHSVが50g−DME/(g−反応触媒・時間)を超えると、反応触媒の寿命が短くなったり、反応触媒の活性が不十分となる。
炭素数が4および/または5のオレフィン主体の炭化水素の反応器13における反応は、総合的には吸熱反応であり、ジメチルエーテルおよび/またはメタノールの反応器13における発熱反応による昇温を緩和し、この結果、反応触媒の劣化が低減されるためである。このため、反応触媒の充填量の低減や、反応触媒の再生周期の延長などが可能となり、設備費、運転費を削減することができる。
特開2005−138000号公報に記載された調製方法によって、カルシウム含有MFI構造ゼオライトを調製した。次いで、塩酸を使用して通常の操作によりプロトン型とし、120℃にて5時間乾燥した後、空気中で520℃にて10時間焼成し、プロトン型カルシウム含有MFI構造ゼオライト触媒を得た。
水添触媒としては、炭酸カルシウムにパラジウムを担持させたリンドラー(Lindlar)触媒を使用することができる。部分水添用としては、副反応であるオレフィン類の水添反応を抑制させるため、Pbを添加したリンドラー触媒(5%Pd−Pb/CaCO3)を使用することができる。
[低級炭化水素の合成]
反応触媒として、上記のHCaMFIを用いて、ジメチルエーテル、ブタジエンを含む炭素数が4および/または5の炭化水素とから、または、ジメチルエーテルと、ブタジエンを含まない炭素数が4および/または5の炭化水素とから、あるいは、ジメチルエーテルのみから低級炭化水素を合成した。
ジメチルエーテルを1291Ncm3 /時間、ブタジエンを含まない炭素数4または5の炭化水素の混合ガスを645Ncm3 /時間、窒素を646Ncm3 /時間の流量で混合させてHCaMFI触媒を充填した等温の反応器に送り、温度530℃、常圧で反応させた。触媒量に対する原料のジメチルエーテル(DME)の供給量比である重量基準空問速度(WHSV)については、9.6g−DME/(g−触媒・時間)とした。24時間反応後の触媒のTG測定結果よりCarbon生成速度を算出した。
「実施例2」
ジメチルエーテルを1291Ncm3 /時間、ブタジエンを5%含む炭素数4または5の炭化水素の混合ガスを645Ncm3 /時間、窒素を646Ncm3 /時間の流量で混合させてHCaMFI触媒を充填した等温の反応器に送り、温度530℃、常圧で反応させた。触媒量に対する原料のジメチルエーテル(DME)の供給量比である重量基準空問速度(WHSV)については、9.6g−DME/(g−触媒・時間)とした。24時間反応後の触媒のTG測定結果よりCarbon生成速度を算出した。
「比較例1」
ジメチルエーテルを1291Ncm3 /時間、ブタジエンを40%含む炭素数4または5の炭化水素の混合ガスを645Ncm3 /時間、窒素を646Ncm3 /時間の流量で混合させてHCaMFI触媒を充填した等温の反応器に送り、温度530℃、常圧で反応させた。触媒量に対する原料のジメチルエーテル(DME)の供給量比である重量基準空問速度(WHSV)については、9.6g−DME/(g−触媒・時間)とした。
24時間反応後の触媒のTG測定結果よりCarbon生成速度を算出した。
「比較例2」
ジメチルエーテルを1291Ncm3 /時間、窒素を1291Ncm3 /時間の流量で混合させてHCaMFI触媒を充填した等温の反応器に送り、温度530℃、常圧で反応させた。触媒量に対する原料のジメチルエーテル(DME)の供給量比である重量基準空問速度(WHSV)については、9.6g−DME/(g−触媒・時間)とした。24時間反応後の触媒のTG測定結果よりCarbon生成速度を算出した。
また、比較例1および実施例1、2との対比から、ブタジエンの濃度が40%と高い比較例1に対し、ブタジエン濃度が5%と低い実施例2のほうがCarbon生成速度が遅く、ブタジエンが含まれていない実施例1のCarbon生成速度は比較例1のCarbon生成速度に比べて大幅に低下した。すなわち、炭素数が4および/または5の炭化水素を反応器に供給する場合であっても、ブタジエンを部分水添してジエン類の濃度を下げることによりCarbon生成速度を低くすることができ、触媒への負荷を大幅に低減できることが確認された。
更に、ブタジエン濃度が低い実施例1、2では問題なく反応試験が実施できたが、ブタジエン濃度が高い比較例1では予熱配管(約400℃)において、炭素質の析出によりΔPが上昇し、配管閉塞の問題が生じることが確認された。
また、反応器に充填された反応触媒の耐久性が高められることも確認された。
Claims (7)
- ジメチルエーテルまたはメタノールのうち少なくとも1種と、炭素数が4および/または5の炭化水素を含むフィードガスとを反応器に送り、反応触媒の存在下で反応させることによりプロピレンを製造する方法であって、
前記炭素数が4および/または5の炭化水素は、アルキン類またはジエン類のうち少なくとも1種を含み、
前記炭素数が4および/または5の炭化水素と水素とを水添反応器に供給し、前記アルキン類またはジエン類を二重結合が1つのオレフィンに転化させた後、前記ジメチルエーテルまたはメタノールのうち少なくとも1種とともに前記反応器に供給し、
前記反応器によって生成された水素を分離器によって分離し、
前記分離器によって分離された水素を前記水添反応器に還流させることを特徴とするプロピレンの製造方法。 - 前記炭素数が4および/または5の炭化水素は、オレフィン生成装置により生成された生成物を分離して得られたものを含むことを特徴とする請求項1に記載のプロピレンの製造方法。
- 前記オレフィン生成装置は、炭化水素を熱分解する装置、炭化水素を接触分解する装置、および含酸素炭化水素を脱水縮合反応させる装置から選ばれる1以上の装置であることを特徴とする請求項2に記載のプロピレンの製造方法。
- 前記反応触媒は、MFI構造ゼオライト触媒であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のプロピレンの製造方法。
- 前記反応触媒は、アルカリ土類金属を含むMFI構造ゼオライト触媒であって、該MFI構造ゼオライトのSi/Alモル比は10以上、300以下、アルカリ土類金属/Alモル比は0.75以上、15以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載のプロピレンの製造方法。
- アルキン類またはジエン類のうち少なくとも1種を含む炭素数が4および/または5の炭化水素に水素を供給し、前記アルキン類またはジエン類を部分水添により二重結合が1つのオレフィンに転化させる水添反応器と、該水添反応器で得られた炭素数が4および/または5の炭化水素と、ジメチルエーテルまたはメタノールのうち少なくとも1種とを含むフィードガスを触媒の存在下で反応させる反応器と、該反応器で得られた反応生成物からプロピレンと水素とをそれぞれ分離する分離器と、該分離器で分離された水素を前記水添反応器に還流させる還流管と、を備えたことを特徴とするプロピレンの製造装置。
- 前記水添反応器は、パラジウムを含む水添触媒を有することを特徴とする請求項6に記載のプロピレンの製造装置。
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