JP4953613B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
パンティーライナー1は、下着に装着して身体から排泄される体液(おりもの、汗、尿、経血)を吸収保持するための薄型シートである。このパンティーライナー1は、図2に示すように、トップシート10とバックシート20とそれら両シートに挟まれた吸収シート30との3枚のシートで構成されている。
パンティーライナー1を製造する段階において、上記の各シートを重ねて接合した複合シート基材は、トップシート10の肌側面から吸収シート30までの厚みが1.5mmと距離があるものとなっている。このため、体液を吸収シート30へ移行するという機能は落ちている。そこで、体液を吸収シート30へスムーズに移行させるため(肌側面と吸収シートとのの距離を縮めるため)に、図2に示すように熱エンボス41が施されている。
本発明に係る吸収性物品のサイズとしては、かかる吸収性物品が下着に貼って使用するものであり、貼り位置が少しずれてしまった時でも着用者の性器に個別対応できるように、女性の平均的な性器の大きさを覆えるようなサイズであることが望ましい。具体的には、長手方向の長さが50〜220mm、短手方向の長さが20〜60mm、最大幅部が30〜90mmが好ましい。本実施形態のパンティーライナー1は、長手方向の長さは140mm、短手方向の長さは長手方向の両端に位置する最狭部の長さが44mm、最大幅部の長さが54mmとなっている。
トップシート10は肌当接層11とクッション層12との2つの層から構成されている。肌当接層11は肌への接触感を良くするためにすばやく液を透過して表面に体液を残さないものであり、また、クッション層12は着用感を良くし、かつ、吸収シート30へ体液を引き込むものとなっている。トップシート10は体液を下層の吸収シート30へと移送させるため、吸収シート30よりクレム吸水力が低く、具体的には、クレム吸水力が肌当接層11<クッション層12<吸収シート30となっている。
本実施形態におけるトップシート10には、目付が35g/m2であり、ワインダー仕上がり時の厚みが3g/cm2荷重時に3.0mmであるスルーエア不織布を用いている。この不織布は、基材ロール時の厚みが、3g/cm2荷重時に0.7mmであり、後述する熱ロールを経た後には、3g/cm2荷重時に1.8mmとなる。具体的な繊維構成は、肌当接層11は繊維の長さが2.2dtex、太さが45mmで一般親水の繊維(株式会社チッソ社製「ETC」)と、繊維の長さが2.2dtex、太さが45mmで弱疎水性の繊維(株式会社チッソ社製「ESC」)とを50:50で混合したもので、目付が27g/m2の繊維構成のものである。また、クッション層12は、繊維の長さが2.6dtex、太さが45mmで一般親水性の繊維(株式会社チッソ社製「ETC」)と、繊維の長さが2.6dtex、太さが45mmで耐久親水性の繊維(株式会社チッソ社製「ESC」)とを50:50で混合したもので、目付が8g/m2の繊維構成のものである。
トップシート10を製造するときは、熱風のエアー量や加工機のニップ条件を調整することで、ワインダー仕上がりの厚みを3g/cm2、荷重時に2.0mm以上(Y値)を保つようにするのが好ましい。このようにすることによりパンティーライナー1の製造工程においてトップシート10の厚みを復元しやすくなる。その後、スリット工程などを通じてトップシートの基材をロール状にしたときには、Y値の50%以下のシート厚みになっているが、パンティーライナー1を製造するライン中で、120℃の熱ロールで0.3秒以上接触させ、Y値の70%までに嵩を回復させてパンティーライナー1のトップシート10として用いることとなる。
吸収シート30は、有孔、無孔の不織布や粉砕パルプなどを用いることができる。不織布の製法としては、湿式または、乾式のスパンレース法、スルーエア法などがあげられる。使用する繊維としては、セルロース繊維(コットン、ウールなど)、化学繊維(レーヨン)、合成繊維(ポリエチレン繊維)などを、単独もしくは、2種類以上組合わせて使用することが可能である。また、パルプを接着剤と共に積層させたエアレイドパルプ、パルプと上記繊維とを接着剤で積層させたエアレイドパルプとしてもよい。それぞれの繊維には、超吸収性粒子を含んでいてもよい。
本実施形態における吸収シート30には、トップシート10よりも親水性を高くしてトップシート10の体液が吸収シートに移行しやすくするために、レーヨンとポリエステルとを90:10の比率で配合した湿式スパンレース不織布で、目付が25g/m2のものを用いている。
バックシート20は吸収した体液が下着までに透過するのを防ぐための不透液性シートである。このため、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファンのような物質からなるプラスチックフィルムを用いることができるが、好ましくは、通気不透液性のプラスチックフィルムであり、さらに好ましくは、ポリプロピレンを主原料としたSMS(スパンボンド、メルトブローン、スパンボンド)、SMS/MB/SMSなどの耐水性の高い不織布である。このような不織布とした場合には、非常に高い透湿性を有し、体液の滲みを防ぐことだけでなく、使用時の熱や常散(湿気)の滞留によるムレ感を防ぐことができる。なお、上記以外にもポリプロピレンやセロファンのような物質からなるプラスチックフィルムに不織布を積層したラミネート不織布を用いてもよい。
上述したトップシート10、吸収シート30、バックシート20を用いたパンティーライナー1は、以下のような特性を持つ。
3g/cm2荷重時において、吸収性物品の厚みが1.3〜2mm、より好ましくは、1.5mm〜1.8mmであるのが本発明の所望の効果が一層顕著に発現できる。1.3mm以下では、手に持った時にパンティーライナー1が薄いと感じてしまい、吸収性の不安を与えてしまう。また、2mm以上では、逆にパンティーライナー1を分厚く感じてしまい、使用中の装着感や、ごわごわした感じといった印象を着用者に与えてしまう。この点、上述の厚みの範囲であれば、パンティーライナーとして、適度な厚みとなる。今回は、3g/cm2荷重時に1.8mmの厚み寸法であるため、好適な厚みとなっている。
パンティーライナー1の中心部を長さ38mm、幅25mmでカットした試験片を長手方向(MD方向)、短手方向(CD方向)にそれぞれ作製して、剛性試験機を用いて測定を行ったときの値が、長手方向、短手方向それぞれ0.3〜0.9mN/25mmであるのが好ましい。今回のサンプルは、長手方向が0.78mN/25mm、短手方向が0.5mN/25mmであるため、体のラインに沿って変形しやすく柔軟なものであり、かつ装着しやすいものとなっている。
圧縮測定器を用いて、圧縮特性を測定した時における圧縮レジリエンス(回復性(RC))は50%以上であれば加圧状態になり、その加圧から開放されたときに回復しやすい特性とするため、55%以上であるのが好ましい。今回の実施例では61.05%であるため形状を回復しやすくなっている。
圧縮測定器を用いて、圧縮特性を測定した時における圧縮剛性(WC)は、1.533N/mであった。圧縮剛性は1.2以上N/mであると、圧縮されやすい特性となり、少しの荷重で圧縮される厚みの変化が大きいので、着用者は柔らかく感じることとなる。この点、今回の実施形態では1.2N/m以上となっているため、好ましい柔らかさを有していることになる。
曲げ試験機を用いてパンティーライナー1の長手方向の曲げ特性(KES(2HB)曲げヒステリシス(回復性))は0.4340N/mであった。曲げヒステリシスの値が大きいと回復性がない特性になってしまい、ヨレ防止効果が低いこととなるため0.8N/m以下であるのが好ましい。この点、今回の実施形態では0.8N/m以下であるため、好ましい回復性を有している。
上記の特性の評価方法を具体的に示す。
使用器具にはYasuda Seiki Ltd., 製のGurley’s Stiffness Testerを用いる。手順は、まず(1)セパレーターを剥がし、バックシートの接着剤の粘着面にシッカロールを付着させる。(2)図4に示すように、パンティーライナー1の横方向(短手方向)及び縦方向(長手方向)についてサンプル60を、図5のように矢印Wの長さが25mm、矢印Lの長さが38mmとなるようにカットし、N=5で採取する。なお、サンプルはパンティーライナー1のシワの無い部分を用い、ハサミでカットする。(3)サンプルの上端に位置する長さ6.3mmのL1が図6に示すようにチャック上部端に位置するように器具63にセットする。この場合、サンプル60の下端に位置する長さ6.3mmのL2に振り子64がかかるようになる。(4)メモリが3〜6の間になるように補助重りを取り付ける。(5)スイッチを押し、サンプル60から振り子64の回転ロッドが離れる瞬間の目盛りを読む。(6)装置のLEFT、RIGHTについて測定する。(7)3検体を測定する。
使用器具にKATO TECH CO.,Ltd製の「KES−FB3 AUTO−A」を用いて以下の手順により測定する。まず、(1)セパレーターを剥がし、バックシートの接着剤の粘着面にシッカロールを付着させる。(2)パンティーライナー1の中央部に位置するようにセンサーの端子をセットする。(3)上述のように作成したパンティーライナー1をセットして、機器に付属の説明書に従って操作し、スタートスイッチを押すことによりすみやかに初期設定(ギャップ設定)を行い自動的に圧縮測定(RC,WC値)を行う。(4)3検体を測定する。
使用器具にKATO TECH CO.,Ltd製「KES−FB2 AUTO−A」を用いて以下の手順により測定する。まず(1)セパレーターを剥がし、バックシートの接着剤の粘着面にシッカロールを付着させる。(2)パンティーライナー1の中央部が曲がる支点に位置するようにセットする。(3)パンティーライナー1をセットして、機器に付属の説明書に従い、KES−EB2 AUTO−Aを操作し、スタートスイッチを押すことにより、自動的にクランプ(締め付け)し、一定曲率(最大曲率K=±2.5cm−1)を与え、曲げ回復性(2HB値)を計測する。(4)3検体を測定する。
実施例1で使用されている「ETC」は株式会社チッソ社の製品であって、芯鞘型繊維であり、芯部がPET(ポリエチレンテレフタレート)、鞘部がPE(ポリエチレン)で構成されている。また、実施例1と実施例2の双方で使用されている「ESC」は株式会社チッソ社の製品であって芯鞘型繊維であり、芯部がPP(ポリプロピレン)、鞘部がPE(ポリエチレン)で構成されている。実施例3及び実施例4で使用されている「AJS」は株式会社東洋紡社の製品名繊維であって、中空型繊維であり、芯部が空洞でその外側部にPET、最外側部にPPが配置されて構成されている。実施例3及び4で使用されている「ARH」は株式会社東洋紡社の製品であって、芯部がPET、鞘部がPPで構成されている。実施例3で使用されている「FMS」は株式会社東洋紡社の製品であって、芯部が中心より偏倚して位置付けられたPETで構成され、鞘部がPEで構成された熱で巻縮しやすい潜在巻縮型繊維である。実施例4で使用されている「ARS」は株式会社東洋紡社の製品であって、芯鞘型繊維であり、芯部がPET、鞘部がPEで構成されている。
従来品1は、表面の肌触りをよくするめに天然素材のコットン100%をトップシートに用いたスパンレース製法の不織布としたものであり、従来品2は吸収性を良くするために、トップシートに厚みの薄いスルーエア不織布を、吸収シートにエアレイドパプルを用いたものであり、従来品3は、吸収性をよくするために、目付が60gsmのティッシュを三つに折り畳んだ状態(剛性が高い状態)のものを吸収シートとしたものである。
10 トップシート
11 肌当接層
12 クッション層
20 バックシート
30 吸収シート
40 熱エンボスシール
41 熱エンボス
50 粘着剤
100 トップシート基材
Claims (6)
- 長手方向と短手方向とを有する実質的に縦長形状の体液を吸収することが可能な吸収性物品であって、
使用時に着用者の肌に当接する側に配置される液透過性のトップシートと、着衣に当接する側に配置される液不透過性のバックシートと、これらトップシートとバックシートとの間に介在する吸収シートと、を備え、
前記トップシートは、クッション層と、該クッション層よりも親水度が低い肌当接層との2層からなり、
ワインダー仕上がりの厚みが3g/m2荷重時に2.0mm以上であり、
熱エンボスが前記トップシートの全面に形成されており、
前記吸収性物品は、厚み寸法が1.3mmから2mmであり、長手方向の剛性が短手方向の剛性よりも高くかつ長手方向及び短手方向のガーレー剛性値が0.3mN/25mmから0.9mN/25mmであり、KES測定におけるWC(圧縮剛性)値が1.2N/m以上であり、RC(圧縮回復性)値が50%以上であり、曲げヒステリシス2HB(曲げ回復性)値が0.8×10−2N/m以下であり、
前記熱エンボスは、該熱エンボスの長手方向が前記吸収性物品の短手方向に向く形状を有すると共に、前記トップシートに千鳥状に配置され、かつ、隣り合って配置される熱エンボスの長手方向及び短手方向の間隔は、前記熱エンボスを施す部材の厚みの2倍以上である吸収性物品。 - 前記トップシート、前記バックシート及び前記吸収シートを合わせた合計の目付が70g/m2から110g/m2である請求項1記載の吸収性物品。
- 前記トップシートは、親水性の繊維と疎水性の繊維とを20:80から100:0の比率割合で混合したシートから成り、または、前記シートを含むものである請求項1又は2記載の吸収性物品。
- 前記肌当接層を構成する繊維の太さが3dtex以下である請求項1〜3のいずれか記載の吸収性物品。
- 前記クッション層を構成する繊維の太さが1.7dtex以上4.4dtex以下である請求項1〜4のいずれか記載の吸収性物品。
- 前記熱エンボスは、前記トップシートと前記吸収シートとを一体化させるように施される請求項1〜5のいずれか記載の吸収性物品。
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