請求項1に記載の発明は、冷蔵庫本体内に断熱箱体により形成した冷凍室を含む複数の貯蔵室と、前記冷凍室内の背面に仕切部材により区画された冷却室とを有し、前記冷却室内に収容された前記貯蔵室を冷却するための冷却器と、前記室内背面に冷却室を設けた冷凍室以外の貯蔵室から前記冷却器に冷気を戻す独立した戻りダクトを前記冷却室内に配置するとともに、前記戻りダクトを着脱可能とした着脱手段を備え、前記着脱手段のみにより工具を用いず、前記冷蔵庫本体に対して前記戻りダクトを着脱可能としたもので、前記着脱手段は回転部材と固定部材とを備え、前記固定部材は前記断熱箱体内の発泡断熱材で固定され、前記戻りダクトは前記回転部材の傾斜面を回転することで前記固定部材に押圧して固定されるものであり、戻りダクト内に液体や異物が混入したり、戻りダクト内に異物や汚れが付着しても、サービスマン等でない使用者自らが、戻りダクトの取り外し、取り付けを着脱手段のみにより工具を用いず手で容易に行い、戻りダクト内部の雑菌繁殖の元となる汚れや混入異物の清掃や洗浄が可能となり、冷蔵庫をより衛生的に維持したいという使用者のニーズに応えることができる。また、その結果、食品保存に影響を与える雑菌の庫内への拡散等を未然に防止して衛生的な冷蔵庫に保つことができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、冷蔵庫本体上部に冷蔵室を、前記冷蔵室の下方に前記冷凍室を配置し、前記戻りダクトを前記冷蔵室から前記冷却器に冷気を戻す戻りダクトとしたものであり、通常、冷蔵室内の空気が最初に通過する風路部位である戻りダクトは、他のダクト部と比べて菌が繁殖したり汚れたりしやすく、さらには、戻りダクトが重力方向下方部に向って配置構成されているため、食品汁などの異物や汚れが庫内開口部から戻りダクトの内部に流れ落ち、液体や異物が混入したり、ダクト内に異物や汚れが付着しやすく、その結果、発生した菌が冷蔵庫内を循環し、冷蔵庫内の食品等に菌を付着/増殖させ食品等を劣化させる可能性があるのに対して、戻りダクトを着脱手段のみにより工具を用いず、着脱可能としたことにより、使用者自らが、戻りダクト内部を清掃,洗浄でき、戻りダクトの清掃性を向上できることから、冷蔵庫内の食品等の菌の繁殖を効果的に抑制することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、冷蔵庫本体上部に冷蔵室を、前記冷蔵室の下方に冷凍室を、前記冷凍室の下方に野菜室を配置し、前記戻りダクトを前記冷蔵室から前記野菜室に冷気を供給する連通ダクトとしたものであり、冷蔵室から連通ダクトに液体や異物が混入したり異物や汚れが付着しても、使用者自らが、連通ダクトの取り外し、取り付けを工具を用いず着脱手段により手で容易に行えることができ、使用者自らが、連通ダクト内部を清掃でき、連通ダクト内部の清掃性を向上できるとともに、連通ダクト内部を使用者自らが洗って安心感を満足させたいというニーズを満たすことができる。また、冷蔵室に比べ温度が高い野菜室で、臭いや菌の繁殖を抑制できることとなり、野菜の保存状態を良好に保つことができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記戻りダクトもしくは前記連通ダクトは、断熱部材で筒状に断熱構成されており、前記断熱部材を着脱することで前記戻りダクトもしくは前記連通ダクトを着脱可能としたものであり、戻りダクトもしくは前記連通ダクトが断熱部材そのもので筒状に予め形成されているので、内箱との間にシール部材を用いる必要がなくダクトが完成するため、冷気漏れに対するシールの信頼性が高い。
請求項5に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載の発明において、前記戻りダクトもしくは前記連通ダクトは、断熱部材と前記断熱箱体の内箱の一部とで筒状に断熱構成されており、前記断熱部材を着脱することで前記戻りダクトもしくは前記連通ダクトを着脱可能としたものであり、使用者が戻りダクトもしくは前記連通ダクトを取り外した際に、戻りダクトもしくは前記連通ダクトの内箱と対面する側は開放しており、ダクト内部が露出して良く確認できる状態となり、使用者による清掃,洗浄を一層容易に確実に行うことができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、前記戻りダクトもしくは前記連通ダクトには電気部品を設けず、前記着脱手段のみにより工具を用いず、前記冷蔵庫本体に対して着脱可能としたものであり、戻りダクトもしくは前記連通ダクトの着脱に伴う電気部品のコネクタの挿着・脱着や配線の引回し作業等が不要となり、製品の安全面から、一般の使用者自らが、戻りダクトもしくは前記連通ダクトを着脱できなかったことに対して、専門的な知識を有するサービスマンではなくても戻りダクトもしくは前記連通ダクトを取り外し、取り付けすることができるようになるものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明において、前記着脱手段は、前記戻りダクトもしくは前記連通ダクトを前記冷蔵庫本体に対して着脱させる第1の着脱手段と、前記仕切部材を前記冷蔵庫本体に対して着脱させる第2の着脱手段とよりなるものであり、使用者が、戻りダクトもしくは前記連通ダクトを清掃したり洗浄したりしたい場合には、まず、仕切部材の第2の着脱手段を操作して取り外し、次に、戻りダクトもしくは前記連通ダクトの第1の着脱手段を操作して取り外すことにより戻りダクトもしくは前記連通ダクトの取り外しが可能となり、処置後は、この逆の手順で、戻りダクトもしくは前記連通ダクトの第1の着脱手段を操作して取り付け、次に、仕切部材の第2の着脱手段を操作して取り付けることで、使用者により工具を用いず容易に戻りダクトもしくは前記連通ダクトを着脱することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明において、前記着脱手段は、前記仕切部材を前記冷蔵庫本体に対して着脱させる着脱手段のみによりなり、前記仕切部材の装着により前記戻りダクトもしくは前記連通ダクトを押圧保持するものであり、仕切部材と戻りダクトもしくは前記連通ダクトとを組み込み状態で押圧状態に維持できるような組み込みの奥行き寸法関係を適度に設計したり、フォーム材などの圧縮部材を採用することで、仕切部材の着脱手段を操作して戻りダクトもしくは前記連通ダクトを間接的に押圧シールすることができ、この場合、着脱手段は仕切部材側にのみ設けることで足り、合理的な構成となる。
請求項9に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明において、前記仕切部材と前記戻りダクトもしくは前記連通ダクトとが一体に構成され、前記仕切部材を前記冷蔵庫本体に対して着脱させる着脱手段のみにより前記戻りダクトもしくは前記連通ダクトを着脱可能としたものであり、使用者は仕切部材を着脱する着脱手段を工具を用いず手で操作して内箱から取り外すだけで、戻りダクトもしくは前記連通ダクトも同時に取り外すことができ、より一層容易に戻りダクトもしくは前記連通ダクトを清掃することができる。そして、戻りダクトもしくは前記連通ダクト固定専用の着脱手段は設ける必要がなく構成が簡素化でき、コスト低減が図れると同時に使用者の着脱の手間も軽減できる。
請求項10に記載の発明は、請求項1から9のいずれか一項に記載の発明において、前記冷却器は前記仕切部材との間で少なくとも前面を第2の仕切部材で覆われ、前記第2の仕切部材は前記冷蔵庫本体に工具を用いて着脱させるものであり、使用者自らが手で着脱できる仕様とせず、サービスマンなどの専門の技術者が修理や部品交換のための必要時のみ工具と例えばビス等による手段、もしくは一般の使用者が簡単には着脱できない組み合わせ構造で着脱が可能な構成としているので、戻りダクトもしくは前記連通ダクトを使用者が容易に着脱できる構成としたとしても、使用者が第2の仕切部材を容易に取り外すことはできず、使用者の安全を確保し、第2の仕切部材内に収容した電気部品,冷凍サイクル部品などの機能部品に触れることによる製品機能面の信頼性への影響を排除することができる。
請求項11に記載の発明は、請求項7から9のいずれか一項に記載の発明において、前記仕切部材は前記戻りダクトもしくは前記連通ダクトを前面より覆う仕切部材と前記第2の仕切部材を前面より覆う仕切部材とに分割され、前記戻りダクトもしくは前記連通ダクトを前面より覆う仕切部材を前記着脱手段のみにより工具を用いず、前記冷蔵庫本体に対して着脱可能としたものであり、着脱手段により、戻りダクトもしくは連通ダクトを前面より覆う仕切部材を取り外すことで、戻りダクトもしくは連通ダクトのみが露出し、第2の仕切部材は仕切部材で覆われているので、第2の仕切部材内に収容された電気部品や冷凍サイクル部品などの機能部品に使用者の手が触れることなく、戻りダクトもしくは連通ダクトを着脱することが可能となり、使用者が誤って怪我などをするのを未然に防止し、安全性を確保することができる。
しかも冷凍室と冷却室とを区画する仕切部材の大きさが左右に2分割されて小さくなっており、着脱が必要な仕切部材の大きさがコンパクトであるので、取り扱い性がよく使用者の作業負担や難易度を軽減できる。
請求項12に記載の発明は、請求項10または11に記載の発明において、前記第2の仕切部材に、前記冷却器で冷却した冷気を前記貯蔵室に送るための送風機を備え、前記送風機の前面を覆うように安全保護構造を設けたものであり、使用者が冷蔵庫の運転を止めずに仕切部材を取り外した場合に、誤って送風機に手が触れて怪我をするのを未然に防止し、安全を保つことができる。
請求項13に記載の発明は、請求項5に記載の発明において、前記冷蔵室戻りダクトもしくは前記連通ダクトは、前記内箱のダクト投影面裏側にヒーターを設けたものであり、戻りダクトの断面形状がたとえば略コの字型で内箱との対向面が開放されているため、ヒーターの熱は内箱を介して戻りダクト内に作用し、戻りダクト自体にはヒーターを設けることがなくても、戻りダクト内の結露や着霜/氷結の発生を防止できる。
請求項14に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明において、前記冷却器は前記仕切部材との間で少なくとも前面を第2の仕切部材で覆われ、前記戻りダクトもしくは前記連通ダクトは、前記第2の仕切部材を覆う断熱部材の一部で構成し、前記仕切部材と前記戻りダクトもしくは前記連通ダクトとが一体に構成されるとともに、前記仕切部材を前記第2の仕切部材に対して着脱させる第3の着脱手段のみにより、前記戻りダクトもしくは前記連通ダクトを着脱可能としたことにより、使用者は仕切部材を着脱する着脱手段を工具を用いず手で操作して第2の仕切部材から取り外すだけで、戻りダクトもしくは前記連通ダクトも同時に取り外すことができ、より一層容易に戻りダクトもしくは前記連通ダクトを清掃することができる。そして、戻りダクトもしくは前記連通ダクト固定専用の着脱手段は設ける必要がなく構成が簡素化でき、コスト低減が図れると同時に使用者の着脱の手間も軽減できる。
さらには、仕切部材は、第3の着脱手段で、断熱部材を介して第2の仕切部材に取り付けられていることにより、第2の仕切部材と断熱部材とで形成される隙間を狭めることとなり、第2の仕切部材と断熱部材とで形成される隙間へ冷却器で冷却された冷気がショートサーキットすることを低減できる。また、戻りダクトもしくは連通ダクトと内箱とのシール性を向上させることとなり、連通ダクトから野菜室へ流れる冷気の風量を確保できるとともに、連通ダクトと内箱とのシール不良による第2の仕切部材への着霜を低減できる。
請求項15に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載の発明において、前記冷却器は前記仕切部材との間で少なくとも前面を第2の仕切部材で覆われ、前記戻りダクトもしくは前記連通ダクトは、前記第2の仕切部材を覆う断熱部材の一部で構成し、前記仕切部材と前記戻りダクトもしくは前記連通ダクトとが一体に構成されるとともに、前記仕切部材を前記第2の仕切部材に対して着脱させる第3の着脱手段と、前記仕切部材を内箱に対して着脱させる第4の着脱手段と、により、前記戻りダクトもしくは前記連通ダクトを着脱可能としたことにより、使用者は仕切部材を着脱する着脱手段を工具を用いず手で操作して第2の仕切部材と内箱とから取り外すだけで、戻りダクトもしくは前記連通ダクトも同時に取り外すことができ、より一層容易に戻りダクトもしくは前記連通ダクトを清掃することができる。そして、戻りダクトもしくは前記連通ダクト固定専用の着脱手段は設ける必要がなく構成が簡素化でき、コスト低減が図れると同時に使用者の着脱の手間も軽減できる。
さらには、仕切部材は、第3の着脱手段で、断熱部材を介して第2の仕切部材に取り付けられていることにより、第2の仕切部材と断熱部材とで形成される隙間を狭めることとなり、第2の仕切部材と断熱部材とで形成される隙間へ冷却器で冷却された冷気がショートサーキットすることを低減できる。また、連通ダクトと内箱とのシール性を向上させることとなり、連通ダクトから野菜室へ流れる冷気の風量を確保できるとともに、連通ダクトと内箱とのシール不良による第2の仕切部材への着霜を低減できる。
さらには、仕切部材は、第4の着脱手段で、内箱に取り付けられていることにより、仕切部材の両端が冷凍室手前側へ反ることを防止できることとなり、すなわち、仕切部材の両端を冷凍室奥側に押し付けることとなり、連通ダクトを流れる冷気が冷凍室へショートサーキットすることを低減できる。
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の発明において、前記第4の着脱手段は、前記仕切部材に設けた爪部と、前記内箱に設けた凹部と、からなることにより、簡易な構造でかつ部品点数を増加させることなく、戻りダクトもしくは連通ダクトを着脱可能とすることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明するが、従来例または先に説明した実施の形態と同一構成については同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における冷蔵庫の扉を省略した正面図、図2は、同実施の形態における冷蔵庫の扉を省略した側面の断面図、図3は、同実施の形態における冷蔵庫の冷却室の構成を示す斜視図、図4は、同実施の形態における冷蔵庫の冷却室の構成を示す平面図、図5は同実施の形態における戻りダクトの装着状態を示す図である。
また、図6は、同実施の形態における冷蔵庫に用いる着脱手段の操作側の一例を示す斜視図、図7は、同実施の形態における冷蔵庫に用いる着脱手段の固定側の一例を示す斜視図、図8は、同実施の形態における着脱手段の連結状態の斜視図である。
図1,図2,図3において、冷蔵庫本体100は断熱箱体101内に、断熱性能を有する断熱仕切壁102により複数の貯蔵室が区画形成されている。断熱仕切壁102の下段の室は、その背部に、冷却器103を収容する冷却室104を備えた冷凍室105として構成してあり、冷凍室105の上方であって断熱仕切壁102の上段には冷蔵室106が配置されており、すなわち、冷蔵庫本体上部に冷蔵室106と、冷蔵室106の下方に冷凍室105を配置した少なくとも2つの貯蔵室を設けた断熱箱体101からなる。
各貯蔵室の前面開口部には、例えばウレタンのような発泡断熱材を発泡充填した断熱扉が設けられ、冷蔵室106には回転式の扉(図示せず)、冷凍室105には引き出し式の扉(図示せず)が設けられている。
断熱箱体101は、ABSなどの樹脂体を真空成型した内箱107とプリコート鋼板などの金属材料を用いた外箱108とで構成された空間に発泡断熱材109を注入してなる断熱壁を備えている。発泡断熱材109はたとえば硬質ウレタンフォームやフェノールフォームやスチレンフォームなどが用いられる。発泡材としてはハイドロカーボン系のシクロペンタンを用いると、温暖化防止の観点でさらによい。
次に、断熱箱体101の各貯蔵室について説明する。
冷蔵室106は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1〜5℃で設定されている。また、食品などを整理して収納するための複数の棚(図示せず)を設けている。
冷凍室105は、冷凍保存のために通常−22〜−18℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、たとえば−30℃や−25℃の低温で設定されることもある。庫内は食品を整理して収納できる冷凍室容器(図示せず)を収容している。
次に、断熱箱体101の冷気の流れを説明する。
冷凍室105へは冷却室104内の冷却器103において生成された冷気を送風機110によって強制送風することにより、また、冷蔵室106へは、冷却室104内の冷却器103において生成された冷気を、ダンパー装置111および冷蔵室冷却用送風ダクト112を介して送風機110によって強制送風することにより、これらの室内を所定の温度に冷却するように構成してある。
冷却室104内には、冷却器103の側方に隣接して冷蔵室106からの冷気を冷却器103に戻すための戻りダクト113が配置されており、戻りダクト113の下端部は、冷却器103の下部に連通して開口している。
冷却室104と冷凍室105との間には、これらの両室を前後に区画して冷凍室105の背面カバーを構成する硬質樹脂材料からなる仕切部材114が設けられている。仕切部材114には、冷凍室105内への冷気吐出口114a,冷凍室105からの冷気吸入口114bが設けられている。
そして、冷却室104内には、仕切部材114により一体に覆われた発泡ポリプロピレンなどの軟質発泡樹脂やポリプロピレン樹脂などからなる第2の仕切部材115および発泡ポリスチレン樹脂などからなる戻りダクト113とが配置され、第2の仕切部材115内には庫内の空気を熱交換させて冷却された冷気とする冷却器103と、冷却器103の上方に配置され冷凍室105,冷蔵室106に冷気を送るための送風機110と、冷却器103の下方に冷却時に冷却器103に付着する霜を除霜するための除霜ヒーター116とが収容されている。ダンパー装置111は断熱仕切壁102や冷蔵室106内に配置することも可能だが、第2の仕切部材115内に一体に収容しても構わない。
すなわち、仕切部材114と第2の仕切部材115と戻りダクト113とは、個々に分割されており、3つの部品ブロックからなる。
ここで、これらの組立構成としては、使用者自らが、仕切部材114を取り外し、使用者自らが、工具を用いることなく、戻りダクト113を着脱可能なように構成している。
具体的には、戻りダクト113を工具を用いず着脱可能とした着脱手段117(詳細は後述)を備え、着脱手段117のみにより工具を用いず手で、冷蔵庫本体100に対して戻りダクト113を着脱可能としている。
なお、図4,図5に示すように、戻りダクト113は、断面が略コの字状に形成された発泡ポリスチレンなどで形成した断熱部材118と、内箱107の一部とで筒状に断熱構成されており、使用者自らが、断熱部材118を着脱することで戻りダクト113を着脱することができる。また断面略コの字状の断熱部材118の内箱107との当接面には、戻りダクト113のシール性をより確実にしようとすれば、軟質の発泡フォームなどのシール部材119が戻りダクト113の後端面側に貼り付けられて内箱107との間を圧接シールされる。
戻りダクト113の上端部も連結部とシールする必要があるが、着脱性をより容易にするためには、図5に示すように、断熱部材118の上端の形状を工夫し、たとえば後方に向かってテーパー状となる斜めカットの端面として、この端面に発泡フォームなどのシール部材120を貼り付けておくと、使用者は断熱部材118を持って前後方向の動作のみで着脱すれば、内箱107とのシール性だけでなく、上部連結部のシール性も容易に確保することができる利点がある。
なお、上端面のシール部材120は断熱部材118の上端面側に貼り付けてもよいが、使用者による断熱部材118の清掃や洗浄時の取り扱い時の損傷や、洗浄時の水分の含有残存の影響(凍結など)が懸念されるのであれば、冷蔵庫本体100側にシール部材を装着しておいてもよい。
また、戻りダクト113には直接ヒーター等の電気部品を設けておらず、戻りダクト113内の結露や着霜/氷結の防止のためのヒーター121は、内箱107の戻りダクト113投影面裏側に設けられている。
なお、ここでは、使用者とは、冷蔵庫を使用する一般の消費者を意味するものであって、専門的な知識や特殊な工具を有した修理や点検などを行うサービスマンを意味するものではない。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
冷却器103において生成された冷気の一部が、送風機110によって仕切部材114に設けた冷気吐出口114aより冷凍室105内へ送り込まれ、冷凍室105を冷却した後、仕切部材114に設けた冷気吸入口114bを通じて冷却室104内の冷却器103の下部に戻され、再び循環を繰り返す。
一方、冷却器103において生成された冷気の残りが、送風機110によって、ダンパー装置111に送られる。ダンパー装置111は、庫内温度センサー(図示せず)の検知値により、その通風路の開度を制御しながら、冷気を冷蔵室冷却用送風ダクト112に送る。
冷蔵室冷却用送風ダクト112に送られた冷気は、断熱仕切壁102の背部に設けた冷蔵室冷気通路入口122、及び、冷蔵室106の背部に設けた冷蔵室冷気通路123を経由して、冷蔵室の背面カバーを構成する冷蔵室パネル124に設けた冷蔵室冷気吹出口125から吐出され、冷蔵室106内を所定の温度に冷却する。
冷蔵室106内を所定の温度に冷却した冷気は、冷蔵室106の背部や底部に設けた冷蔵室冷気吸入口126から、冷却室104内の冷却器103の側部に設けられた戻りダクト113に送られ、冷却器103の下部に戻され、再び冷却器103において熱交換されて冷却される。
また、使用者自らが、仕切部材114を取り外し、戻りダクト113を着脱可能なように構成しているので、冷蔵室内の冷蔵室冷気吸入口126等から戻りダクト113に冷蔵室106内に収納された食品や飲料等の液体や異物が混入したり、冷蔵室106内を介して、庫内や扉開閉による庫外の臭気や汚れを含んだ空気の流通等により汚れが付着して、使用者が衛生状態を気にするようになっても、使用者自らが戻りダクト113の取り外し、取り付けを工具を用いず、手で容易に行えることができ、使用者自らが、戻りダクト113内部を清掃や洗浄ができ、戻りダクト113内部の衛生状態を保つことができるとともに、戻りダクト113内部を使用者自ら清掃や洗浄をして安心感を満足させたいというニーズを満たすことができる。
通常、冷蔵室106内の空気が最初に通過する風路部位である戻りダクト113は、他のダクト部と比べて菌が繁殖したり汚れたりしやすく、さらには、冷蔵室106が冷蔵庫本体100の上部に配置される近年主流のレイアウトでは、戻りダクト113の庫内開口部の配置位置は、室内の対流冷却効率を高めるために冷蔵室106の下方部に設けられることが一般的であり、かつ戻りダクト113が重力方向下方部に向って配置構成されているため、食品汁などの異物や汚れが庫内開口部から戻りダクト113の内部に流れ落ち、戻りダクト113内に液体や異物が混入したり、ダクト内に異物や汚れが付着しやすく、その結果、発生した菌が冷蔵庫内を循環し、冷蔵庫内の食品等に菌を付着/増殖させ食品等を劣化させる可能性がある。
しかしながら、本実施の形態によれば、戻りダクト113を着脱可能とした着脱手段117を備え、しかも、この着脱手段117のみにより工具を用いず、冷蔵庫本体100に対して戻りダクト113を着脱可能としたことにより、使用者自らが、戻りダクト113内部を清掃,洗浄でき、戻りダクト113内部の清掃性を向上できることから、冷蔵庫内の食品等の菌の繁殖を抑制することができる。
なお、図4に示すように、戻りダクト113は、断熱部材118と内箱107の一部とで筒状に断熱構成されており、使用者自らが、断熱部材118を着脱することで戻りダクト113を着脱することができ、一般の使用者自らが、戻りダクト113の取り外し、取り付けをより容易に行うことができる。
そして、断熱部材118がこのような断面略コの字状の形態であれば、戻りダクト113の内箱107と対面する側が開放された構造となり、戻りダクト113を取り外した際にダクト内部が露出して良く確認できる状態となり、使用者による清掃,洗浄が一層容易に確実に行える利点がある。
また、戻りダクト113にヒーター等の電気部品を設けず、戻りダクト113を独立して着脱可能としたことにより、戻りダクト113の着脱に伴うコネクタの挿着・脱着や配線の引回し作業等が不要となり、製品の安全面から、一般の使用者自らが、戻りダクト113を着脱できなかったことに対して、戻りダクト113を取り外し、取り付けすることができるようになるものである。
なお、戻りダクト113は、内箱107の戻りダクト113投影面裏側にのみヒーター121を設けており、戻りダクト113の断面形状が略コの字型で内箱107との対向面が開放されているため、ヒーター121の熱は内箱107を介して戻りダクト113内に作用し、戻りダクト113自体にはヒーターを設けることがなくても、戻りダクト113内の結露や着霜/氷結の発生を防止できる。
次に、これら戻りダクト113を工具を用いず手で着脱可能とした着脱手段117について説明する。
図6,図7,図8に示すように、戻りダクト113の内箱107への着脱を可能とする着脱手段117は、回動部材としてのプッシュリベット127と、固定部材としてのグロメット128とから構成される。
そして、プッシュリベット127は、戻りダクト113を内箱107に取り付けるためのオス型の固定具であり、手動で操作するためのつまみ部129とグロメットの凹部130と嵌合する凸部131から形成されている。
グロメット128は、戻りダクト113を内箱107に取り付けるためのメス型の固定具であり、プッシュリベットの凸部131と嵌合する凹部130と内箱107の内部に埋設され、発泡断熱材により固定される凸部132から形成されている。
戻りダクト113には、プッシュリベットの取付孔133が左右それぞれに合計4箇所形成されている。具体的には、プッシュリベットのつまみ部129を手でつまんで持ち、それぞれの取付孔133を介して、プッシュリベットの凸部131を、グロメットの凹部130に挿入し、手で押し付け力を加えながら回転させることでプッシュリベット127がグロメット128に固定され、戻りダクト113が内箱107に取り付けられる。
プッシュリベット127および、グロメット128には、取り付けの回転方向に互いに傾斜したカム面134、135を有しており、プッシュリベット127を90度回転させて固定する際に軸方向にスライドすることにより、戻りダクト113には、内箱107に対して押圧力(圧縮力)が働いている。この押圧力により、断熱部材118が内箱107に確実に圧接され、その外周において冷気漏れを起こさない冷気通路を形成している。
また、プッシュリベットの凸部131および、グロメットの凹部130には、互いに当たり面136、137を設け、90度回転した状態で回転が止まるようになっている。さらに、プッシュリベット127および、グロメット128には、固定状態において互いにラップさせた凸形状138、139を設けており、着脱手段の固定時に係止手段として機能し、輸送などの振動で容易に外れないようにしている。
一方、戻りダクト113の内箱107からの取り外しについては、プッシュリベット127を取り付けとは逆方向に手で回転させることにより、プッシュリベット127はグロメット128から分離され、戻りダクト113の内箱107からの取り外しが可能となる。
以上のように構成された着脱手段117について、以下その作用を説明する。
戻りダクト113は、プッシュリベット127を、取付孔(後述)を介して、手で回転方向の押し付け力を加えながら内箱107に埋設されるグロメット128にねじ込むことで、圧縮力が加わった状態で内箱107に取り付けられ、プッシュリベット127を取り付けとは逆回転方向に手で回すことで戻りダクト113の内箱107からの取り外しができる構成とすることにより、戻りダクト113には常に圧縮力が加わるため、戻りダクト113と内箱107とのシールを確実に行うことが可能となり、気密性の高い冷却通路を有する戻りダクト113を提供することが可能となる。
また、戻りダクト113と内箱107との取り外し、取り付けを手で容易に行うことが可能となる。
さらに、戻りダクト113の内部は開放されているため戻りダクト113の内部の清掃性が向上する。
また、プッシュリベット127およびグロメット128の嵌合部の外周に傾斜面としてのカム面134、135を設けたことにより、取り付けの回転時にプッシュリベット127を押し込まなくても、回動により固定時に戻りダクト113の内箱107への押し付け力(圧縮力)を付与することができ作業性を向上させた構成にすることができる。
また、プッシュリベット127の回転角度を90度で止まるように当たり面136,137を設け、さらに逆回転を防止する凸形状138,139を設けたことにより、意匠面となるつまみ部129の見栄えを一定に保つことができ、品位を高めることできる。
なお、上記のような着脱手段117を用いて戻りダクト113と内箱107とを密着固定させる場合に、着脱手段117の具体的にはプッシュリベット127に相当する操作側の部品を位置決めして嵌め込む取付孔133の加工が必要であるが、これを発泡ポリスチレン製などの断熱部材118に直接形成すると固定強度も弱く、繰り返し使用に耐えず永久変形したり損傷してしまって所期の取り付け精度が維持できず信頼性を損なう虞があるので、実用的には取付孔133に筒状の樹脂をインサート成型したり、戻りダクト113の取り付け孔部近傍のみ部分的に樹脂成型の保持部材を一体加工したり、或いは戻りダクト113の外郭全体を取付孔加工を一体に施した樹脂カバーで覆ったりして取付孔133を加工する手段を併用すると効果的である。
このように、工具を用いず着脱が可能な着脱手段117の一例を上記に示したが、この例に限定されず、市販されているものを含め、多様な種類の着脱手段に置き換えて用いることができる。
なお、冷却器103,送風機110,除霜ヒーター116或いは場合によってはダンパー装置111などの電気部品や冷凍サイクル部品などの機能部品が収容されている第2の仕切部材115は、これらの安全性や信頼性に直接関わる部品が装着されていない戻りダクト113とは異なり、使用者自らが工具を用いず着脱する構成とはしておらず、例えばビス止めなど工具を用いなくては着脱出来ない構成や、工具を用いずとも容易には着脱できない構成として、使用者自らが手で着脱できる仕様とせずサービスマンなどの専門の技術者が修理や部品交換のための必要時のみ着脱が可能な構成としている。たとえば本実施の形態では、図3に示すように第2の仕切部材115の左右の適当な箇所に取付孔140を設け、この取付孔140を介して内箱107の裏面に固定した受け部(図示せず)に対してビス等を工具を用いて確実に固定して取り付けている。
このように、サービスマンなどの専門の技術者が修理や部品交換のための必要時のみ工具と例えばビス等による手段、もしくは一般の使用者が簡単には着脱できない組み合わせ構造で着脱が可能な構成としているので、戻りダクト113を使用者が容易に着脱できる構成としたとしても、使用者が第2の仕切部材115を容易に取り外すことはできず、使用者の安全を確保し、第2の仕切部材115内に収容した電気部品,冷凍サイクル部品などの機能部品に触れることによる製品機能面の信頼性への影響を排除することができる。
また、第2の仕切部材の送風機110の取付部には前面開口部115aを覆うようにたとえば指が入らない程度の大きさの間隔をもったスリット状に形成された安全保護構造となるリブ115bが設けられており、使用者が冷蔵庫の運転を止めずに仕切部材114を取り外した場合に、誤って送風機110に手が触れて怪我をするのを未然に防止し、安全を保つことができる。なお、ここでは、スリット状に形成されたものとしたが、格子状など送風抵抗とのバランスでどのような形状とすることも可能である。
一方、第2の仕切部材115と戻りダクト113を前面より一体に覆う仕切部材114の着脱については、戻りダクト113の着脱と同様に、外周部の適所に設けた取付孔141を介して着脱手段117を用いて内箱107に使用者自らが工具を用いず、手で容易に着脱ができるような構成としている。
したがって、冷却室104の構成は大きく分けて仕切部材114と第2の仕切部材115と戻りダクト113とに分割された3つの部品ブロックからなるが、このうち、仕切部材114と戻りダクト113とが使用者の手による着脱が可能であり、すなわち、使用者が、戻りダクト113を清掃したり洗浄したりしたい場合には、まず、冷凍室105の奥面の仕切部材114を着脱手段(説明上区別するためには第2の着脱手段という)117を操作して取り外し、次に、戻りダクト113を着脱手段(説明上区別するためには第1の着脱手段という)117を操作して取り外すことにより可能となる。処置後は、この逆の手順で、戻りダクト113を着脱手段(説明上区別するためには第1の着脱手段という)117を操作して取り付け、次に、仕切部材114を着脱手段(説明上区別するためには第2の着脱手段という)117を操作して取り付ければ、再び冷却室104を通常の構成に戻すことができる。
以上のように、近年主流の冷凍室105の上方に冷蔵室106を配置したレイアウトの冷蔵庫では、戻りダクト113の冷蔵室106側の開口部(すなわち、冷蔵室冷気吸入口126)の配置位置は、その室内対流冷却の効率の良さから、冷蔵室の下方部とする場合が多く、具体的には、冷蔵室の下面(底面)あるいは冷蔵室の背面下方部に、室内開口部を設けることが多い。
この場合、汁物を入れた食器や液体の飲料ビン,調味料等は、出し入れ時の腕の負担を考慮して、使用者自らの肩より下方に置くことが多く、食器や飲料ビン等から流れでた異物や食品汁や飲料などが、庫内開口部(冷蔵室冷気吸入口126)から戻りダクト113に流れ込むケースが考えられる。また、収納量が大きく、雑多な食品が収納され、扉の開閉による庫外空気の室内侵入の機会や量の多い冷蔵室106に対しては、種々の雑菌成分や臭気成分を含んだ空気が存在することになり、これらの空気を第1に戻りダクト113を介して流通させることから、戻りダクト113内の汚れや雑菌の付着が懸念される。
本実施の形態によれば、このような課題に対しても、着脱手段117のみにより工具を用いず手で、冷蔵庫本体100に対して戻りダクト113を着脱可能としたことにより、使用者自らが、戻りダクト113内部を清掃,洗浄でき、戻りダクト113内部を衛生的に保つことができることから、冷蔵庫内の食品等の菌の繁殖を抑制してより衛生的な冷蔵庫を提供することができる。
なお、庫内開口部(冷蔵室冷気吸入口126)の配置に関しては、上記のように冷蔵室106内の下部に設ける場合が多いが、たとえば冷蔵室106の下部以外にも、食品などを整理して収納するための棚の奥端近傍に庫内開口部を設ける(最下段の棚のみに限らず、複数の各棚に分散して設けてもよい)場合もある。この場合、食器や飲料ビン等から流れでた異物や食品汁や飲料などが、この棚を伝って庫内開口部(冷蔵室冷気吸入口126)から戻りダクト113に流れ込むケースに対しても同様の作用効果を発揮させることができるものである。
(実施の形態2)
図9は、本発明の実施の形態2における冷蔵庫の冷却室の構成を示す平面図である。
戻りダクトの断熱部材の形状に関しては、実施の形態1のように断面略コの字状とする形態のほかに、図9に示すように断熱部材142を断面筒状に形成する方法もある。
この場合、断熱部材142そのもので筒状に予め形成されているので、戻りダクト143内部の清掃や洗浄の容易さは図4に示す実施の形態1の断熱部材118の形状に対しては劣るが、図4に示す断熱部材118のように内箱107との間にシール部材119を用いる必要がなく、上端面のシール部材(図示せず)のみで足り、しかも筒状に予め形成されているのでシールの信頼性は高い。
なお、上端面のシール部材(図示せず)は断熱部材142の上下端面側に貼り付けてもよいが、使用者による断熱部材142の清掃や洗浄時の取り扱い時の損傷や、洗浄時の水分の含有残存の影響(凍結など)が懸念されるのであれば、冷蔵庫本体100側にシール部材を装着しておいてもよい。
なお、このように断熱部材142が筒状であると、戻りダクト143内の結露や着霜/氷結の防止のためのヒーターを内箱107の戻りダクト投影面裏側に設けても効果が十分に望めないが、これに対しては内箱107にヒーターを設けなくとも、冷却器の除霜ヒーター144をガラス管ヒーター等の放射加熱型ヒーターとして、この除霜ヒーター144の一端側を戻りダクト143の下端開口部に臨ませるように延長配置などすると、冷却器103の除霜時に除霜ヒーター144の放射熱のドラフト効果により戻りダクト143内が加温されて結露や着霜/氷結を防止することが可能である。
なお、断面略コの字状の断熱部材に、良熱伝導性でないシート状もしくはテープ状の薄い部材を貼り付けて、断熱部材を断面筒状に形成してもよい。
この場合、戻りダクト内部の清掃や洗浄の容易さは図4に示す実施の形態1の断熱部材118の形状に対しては劣るが、戻りダクトの上端面や下端面と冷蔵庫本体側のダクトとの接合部の隙間は、異物がしみ込んだり、たまったりしやすく、そのような時には、戻りダクトの上端面や下端面を清掃や洗浄ができ、戻りダクトの清掃性を向上できる。
(実施の形態3)
図10は、本発明の実施の形態3における冷蔵庫の冷却室の構成を示す平面図である。
図において、冷凍室105の背面カバーを構成する硬質樹脂材料からなる1枚の仕切部材145は、第2の仕切部材115と戻りダクト146とを同時に覆っているが、戻りダクト146は、第2の仕切部材115の左右方向側方に配置されて仕切部材145と一体に構成されている。すなわち本実施の形態では、一体化された仕切部材145および戻りダクト146、第2の仕切部材115と、2つの部品ブロックから構成される。
一体に構成とは、材料的に一体成形加工を指すばかりでなく、異なる材料でも例えば接着剤や噛み合わせ構造などの結合手段により結合構成されているものも指す。
仕切部材145と戻りダクト146とがこのような一体構成とされたことにより、使用者は仕切部材145を着脱する着脱手段117を工具を用いず手で操作して内箱107から取り外すだけで、戻りダクト146も同時に取り外すことができ、戻りダクトの断熱部材147の断面形状が略コの字状の場合は、特に戻りダクト146の内部が露出し、より一層容易に戻りダクト146を清掃することができる。
したがって、戻りダクト146の固定専用の着脱手段117は設ける必要がなく構成が簡素化でき、コスト低減が図れると同時に使用者の着脱の手間も軽減できる。
但し、仕切部材145の着脱手段117のみで、断面形状が略コの字状の戻りダクト146の内箱107とのシール性をも同時に確保するためには、戻りダクト146の奥行き寸法を内箱107と仕切部材145との奥行き間隔に対して極力タイトな寸法とし、着脱手段117で取り付ける際の押圧力で、戻りダクトの断熱部材147の後端面に設ける軟質の発泡断熱フォーム等のシール部材を圧縮して内箱107に圧接するような構成の配慮が必要である。
なお、本実施の形態では戻りダクト146を仕切部材145に一体構成する構成として、仕切部材145を着脱手段117で取り付ける際の押圧力で戻りダクト146を内箱107に対して押圧シールすることとしたが、戻りダクト146の仮固定が精度よく行えるのであれば、戻りダクト146を仕切部材145に一体構成しなくても組み込みの奥行き寸法関係を適度に設計したり、フォーム材などの圧縮部材を採用することで、まず戻りダクト146を内箱107に接して仮固定し、次に仕切部材145を押し当てて着脱手段117を操作して戻りダクト146を間接的に押圧シールすることも可能である。
この場合にも、着脱手段117は仕切部材側にのみ設けることで足りる。
なお、戻りダクト146の仮固定は、冷蔵庫本体100側でなく、仕切部材145側に対して予め仮固定しておくことでも可能である。
(実施の形態4)
図11は、本発明の実施の形態4における冷蔵庫の冷却室の構成を示す斜視図、図12は、同実施の形態における冷蔵庫の冷却室の構成を示す平面図である。
図において、冷却室148は、冷凍室105の背面カバーを構成する硬質樹脂材料からなる左右に分割された2枚の仕切部材149と150とで覆われている。仕切部材149は第2の仕切部材151を、仕切部材150は戻りダクト152を独立して覆っており、すなわち本実施の形態では、仕切部材149,150,第2の仕切部材151,戻りダクト152と、4つの部品ブロックから構成される。
なお、仕切部材149と150との側端部は、前後に重なり合うようにラップした構成としている。使用者による着脱機会のある仕切部材150の方を仕切部材149の上から重ねるラップ構造とすることが望ましい。
そして、工具を用いず着脱を可能とする着脱手段117は、仕切部材150と戻りダクト152とに必ず設けられ、仕切部材149は着脱手段117を設けても、ビス等の工具による固定方法をとってもよい。着脱手段117を用いる場合は、第2の仕切部材151内の送風機110に直接手が触れないスリット構造などの構造的な配慮が必要である。一方、第2の仕切部材151は内部に電気部品や冷凍装置の部品などの機能部品を収容するので使用者が容易に手に触れないようビス等の工具による固定方法や容易に外れない方法をとる。
そして、使用者自らが戻りダクト152を取り外そうとする場合、着脱手段117により、まず仕切部材150を取り外すことで、戻りダクト152のみが露出し、第2の仕切部材151は仕切部材149で覆われているので、第2の仕切部材151内に収容された送風機110に使用者の手が触れることなく、戻りダクト152を着脱することが可能となり、使用者が誤って送風機110に手が触れて怪我をするのを未然に防止し、安全性を向上させることができる。
次に、使用者は戻りダクト152を固定している着脱手段117を工具を用いず手で操作して戻りダクト152を取り外して清掃,洗浄などの処置をし、その後再び着脱手段117を操作して戻りダクト152を所定に位置に取り付け、さらに、仕切部材150を着脱手段117により工具を用いず手で操作して取り付けて元の状態に戻すことができる。
以上のように、本実施の形態によれば、使用者は工具を用いることなく手で容易に部品の着脱ができ、しかも冷凍室105と冷却室148を区画する仕切部材150の大きさが左右に2分割されて小さくなっており、着脱が必要な仕切部材150の大きさがコンパクトであるので、取り扱い性がよく使用者の作業負担や難易度を軽減できる。
(実施の形態5)
図13は、本発明の実施の形態5における冷蔵庫の冷却室の構成を示す平面図である。
図において、冷却室148は、冷凍室105の背面カバーを構成する硬質樹脂材料からなる左右に分割された2枚の仕切部材149と153とで覆われている。仕切部材149は第2の仕切部材151を、仕切部材153は戻りダクト154を独立して覆っているが、仕切部材153は戻りダクト154と一体に構成されている。すなわち本実施の形態では、仕切部材149,第2の仕切部材151、一体化された仕切部材153と戻りダクト154と、3つの部品ブロックから構成される。
一体に構成とは、材料的に一体成形加工を指すばかりでなく、異なる材料でも例えば接着剤や噛み合わせ構造などの結合手段により結合構成されているものも指す。
なお、仕切部材149と153との側端部は、前後に重なり合うようにラップした構成としている。使用者による着脱機会のある仕切部材153の方を仕切部材149の上から重ねるラップ構造とすることが望ましい。
そして、工具を用いず着脱を可能とする着脱手段117は、仕切部材153に必ず設けられ、仕切部材149は着脱手段117を設けても、ビス等の工具による固定方法をとってもよい。着脱手段117を用いる場合は、第2の仕切部材151内の送風機110に直接手が触れないスリット構造などの構造的な配慮が必要である。一方、第2の仕切部材151は内部に電気部品や冷凍装置の部品などの機能部品を収容するので使用者が容易に手に触れないようビス等の工具による固定方法や容易に外れない方法をとる。
仕切部材153と戻りダクト154とがこのような一体構成とされたことにより、使用者は仕切部材153を着脱する着脱手段117を工具を用いず手で操作して内箱107から取り外すだけで、戻りダクト154も同時に取り外すことができ、戻りダクトの断熱部材155の断面形状が略コの字状の場合は、特に戻りダクト154の内部が露出し、より一層容易に戻りダクト154を清掃することができる。
したがって、戻りダクト154の固定専用の着脱手段117は設ける必要がなく構成が簡素化でき、コスト低減が図れると同時に使用者の着脱の手間も軽減できる。
但し、仕切部材153の着脱手段117のみで、断面形状が略コの字状の戻りダクト154の内箱107とのシール性をも同時に確保するためには、戻りダクト154の奥行き寸法を内箱107と仕切部材153との奥行き間隔に対して極力タイトな寸法とし、着脱手段117で取り付ける際の押圧力で、戻りダクトの断熱部材155の後端面に設ける軟質の発泡断熱フォーム等のシール部材を圧縮して内箱107に圧接するような構成の配慮が必要である。
なお、本実施の形態では戻りダクト154を仕切部材153に一体構成する構成として、仕切部材153を着脱手段117で取り付ける際の押圧力で戻りダクト154を内箱107に対して押圧シールすることとしたが、戻りダクト154の仮固定が精度よく行えるのであれば、戻りダクト154を仕切部材153に一体構成しなくても組み込みの奥行き寸法関係を適度に設計することで、まず戻りダクト154を内箱107に接して仮固定し、次に仕切部材153を押し当てて着脱手段117を操作して戻りダクト154を押圧シールすることも可能である。
(実施の形態6)
図14は、本発明の実施の形態6における冷蔵庫の扉を省略した正面図、図15は、同実施の形態における冷蔵庫の扉を省略した側面の断面図、図16は、同実施の形態における冷蔵庫の冷却室の構成を示す斜視図、図17は、同実施の形態における冷蔵庫の冷却室の構成を示す平面図、図18は同実施の形態における連通ダクトの装着状態を示す図である。
図14,図15,図16において、冷蔵庫本体200は断熱箱体201内に、断熱性能を有する断熱仕切壁202,203により複数の貯蔵室に区画されている。上側の断熱仕切壁202と下側の断熱仕切壁203とに挟まれた中段の室は、その背部に、冷却器204を収容する冷却室205を備えた冷凍室206として構成してあり、冷凍室206の上方には冷蔵室207が、冷凍室206の下方には野菜室208が配設されており、すなわち、冷蔵庫本体上部に冷蔵室207、冷蔵室207の下方に冷凍室206、冷凍室206の下方に野菜室208と、三つの貯蔵室を設けた断熱箱体201からなる。
各貯蔵室の前面開口部には、例えばウレタンのような発泡断熱材を発泡充填した断熱扉が設けられ、冷蔵室207には回転式の扉(図示せず)、冷凍室206、野菜室208には、それぞれ引き出し式の扉(図示せず)が設けられている。
断熱箱体201は、ABSなどの樹脂体を真空成型した内箱209とプリコート鋼板などの金属材料を用いた外箱210とで構成された空間に発泡断熱材211を注入してなる断熱壁を備えている。発泡断熱材211はたとえば硬質ウレタンフォームやフェノールフォームやスチレンフォームなどが用いられる。発泡材としてはハイドロカーボン系のシクロペンタンを用いると、温暖化防止の観点でさらによい。
次に、断熱箱体201の各貯蔵室について説明する。
冷蔵室207は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1〜5℃で設定されている。また、食品などを整理して収納するための複数の棚(図示せず)を設けている。
冷凍室206は、冷凍保存のために通常−22〜−18℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、たとえば−30℃や−25℃の低温で設定されることもある。庫内は食品を整理して収納できる冷凍室容器(図示せず)を収容している。
野菜室208は、冷蔵室207と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが一般的で、低温にするほど葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。庫内は野菜などの食品を整理して収納できる野菜室容器(図示せず)を収容している。
次に、断熱箱体201の冷気の流れを説明する。
冷蔵室207へは、冷却室205において生成された冷気を、ダンパー装置212および冷蔵室冷却用送風ダクト213を介して、また、野菜室208へは、冷蔵室207から野菜室208へ冷気を送る連通ダクト214を介して、送風機215によって強制送風することにより、これらの室内を所定の温度に冷却するように構成してある。
ここで、連通ダクト214とは、冷蔵室207の背部の下方部に設けた開口部と野菜室の背部の上方部に設けた開口部とを上下方向に繋ぐ風路である。
冷却室205と冷凍室206との間には、冷凍室206の背面カバーを構成する硬質樹脂材料からなる仕切部材216が設けられている。仕切部材216には、冷凍室206内への冷気吐出口216a,冷凍室206からの冷気吸入口216bが設けられている。
そして、冷却室205内には、仕切部材216により一体に覆われた発泡ポリプロピレンなどの軟質発泡樹脂やポリプロピレン樹脂などからなる第2の仕切部材217および発泡ポリスチレン樹脂などからなる連通ダクト214とが配置され、第2の仕切部材217内には庫内の空気を熱交換させて冷却された冷気とする冷却器204と、冷却器204の上方に配置され冷凍室206,冷蔵室207,野菜室208に冷気を送るための送風機215と、冷却器204の下方に冷却時に冷却器204に付着する霜を除霜するための除霜ヒーター218とが収容されている。ダンパー装置212は断熱仕切壁202や冷蔵室207内に配置することも可能だが、第2の仕切部材217内に一体に収容しても構わない。
すなわち、仕切部材216と第2の仕切部材217と連通ダクト214とは、個々に分割されており、3つの部品ブロックからなる。
ここで、これらの組立構成としては、使用者自らが、仕切部材216を取り外し、使用者自らが、工具を用いることなく、連通ダクト214を着脱可能なように構成している。
具体的には、連通ダクト214を工具を用いず着脱可能とした着脱手段117(詳細は後述)を備え、着脱手段117のみにより工具を用いず手で、冷蔵庫本体200に対して連通ダクト214を着脱可能としている。
なお、図16,図17に示すように、連通ダクト214は、断面が略コの字状に形成された発泡ポリスチレンなどで形成した断熱部材219と、内箱209の一部とで筒状に断熱構成されており、使用者自らが、断熱部材219を着脱することで連通ダクト214を着脱することができる。また断面略コの字状の断熱部材219の内箱107との当接面には、連通ダクト214のシール性をより確実にしようとすれば、軟質の発泡フォームなどのシール部材220が連通ダクト214の後端面側に貼り付けられて内箱209との間を圧接シールされる。
連通ダクト214の上下端部も連結部とシールする必要があるが、着脱性をより容易にするためには、図18に示すように、断熱部材219の上下端の形状を工夫し、たとえば後方に向かってテーパー状となる斜めカットの端面として、この端面に発泡フォームなどのシール部材220を貼り付けておくと、使用者は断熱部材219を持って前後方向の動作のみで着脱すれば、内箱209とのシール性だけでなく、上部連結部のシール性も容易に確保することができる利点がある。
なお、上下端面のシール部材220は断熱部材219の上下端面側に貼り付けてもよいが、使用者による断熱部材219の清掃や洗浄時の取り扱い時の損傷や、洗浄時の水分の含有残存の影響(凍結など)が懸念されるのであれば、冷蔵庫本体200側にシール部材を装着しておいてもよい。
また、連通ダクト214には直接ヒーター等の電気部品を設けておらず、連通ダクト214内の結露や着霜/氷結の防止のためのヒーター221は、内箱209の連通ダクト214投影面裏側に設けられている。
なお、ここでは、使用者とは、冷蔵庫を使用する一般の消費者を意味するものであって、専門的な知識や特殊な工具を有した修理や点検などを行うサービスマンを意味するものではない。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
冷却器204において生成された冷気の一部が、送風機215によって仕切部材216に設けた冷気吐出口216aより冷凍室206内へ送り込まれ、冷凍室206を冷却した後、仕切部材216に設けた冷気吸入口216bを通じて冷却室205内の冷却器204の下部に戻され、再び循環を繰り返す。
一方、冷却器204において生成された冷気の残りが、送風機215によって、ダンパー装置212に送られる。ダンパー装置212は、庫内温度センサー(図示せず)の検知値により、その通風路の開度を制御しながら、冷気を冷蔵室冷却用送風ダクト213に送る。
冷蔵室冷却用送風ダクト213に送られた冷気は、断熱仕切壁202の背部に設けた冷蔵室冷気通路入口221、及び、冷蔵室207の背部に設けた冷蔵室冷気通路222を経由して、冷蔵室の背面カバーを構成する冷蔵室パネル223に設けた冷蔵室冷気吹出口224から吐出され、冷蔵室207内を所定の温度に冷却する。
冷蔵室207内を所定の温度に冷却した冷気は、冷蔵室207の背部または底部に設けた冷蔵室冷気吸入口225,226から、冷却室205内の冷却器204の側部に設けられた連通ダクト214に送られ、野菜室208内に流入して所定の温度に冷却した後、冷気戻り口(図示せず)を経て冷却器204の下部に戻され、再び冷却器204において熱交換されて冷却される。
また、使用者自らが、仕切部材216を取り外し、連通ダクト214を着脱可能なように構成しているので、冷蔵室内の冷蔵室冷気吸入口225,226等から連通ダクト214に冷蔵室207内に収納された食品や飲料等の液体や異物が混入したり、冷蔵室207内を介して、庫内や扉開閉による庫外の臭気や汚れを含んだ空気の流通等により汚れが付着して、使用者が衛生状態を気にするようになっても、使用者自らが連通ダクト214の取り外し、取り付けを工具を用いず、手で容易に行えることができ、使用者自らが、連通ダクト214内部を清掃や洗浄ができ、連通ダクト214内部の衛生状態を保つことができるとともに、連通ダクト214内部を使用者自ら清掃や洗浄をして安心感を満足させたいというニーズを満たすことができる。
通常、冷蔵室207内の空気が最初に通過する風路部位である連通ダクト214は、他のダクト部と比べて菌が繁殖したり汚れたりしやすく、さらには、冷蔵室207が冷蔵庫本体200の上部に配置される近年主流のレイアウトでは、連通ダクト214の庫内開口部の配置位置は、室内の対流冷却効率を高めるために冷蔵室207の下方部に設けられることが一般的であり、かつ連通ダクト214が重力方向下方部に向って配置構成されているため、食品汁などの異物や汚れが庫内開口部から連通ダクト214の内部に流れ落ち、連通ダクト214内に液体や異物が混入したり、ダクト内に異物や汚れが付着しやすく、その結果、発生した菌が冷蔵庫内を循環し、冷蔵庫内の食品等に菌を付着/増殖させ食品等を劣化させる可能性がある。
しかしながら、本実施の形態によれば、連通ダクト214を着脱可能とした着脱手段117を備え、しかも、この着脱手段117のみにより工具を用いず、冷蔵庫本体200に対して連通ダクト214を着脱可能としたことにより、使用者自らが、連通ダクト214内部を清掃,洗浄でき、連通ダクト214内部の清掃性を向上できることから、冷蔵庫内の食品等の菌の繁殖を抑制することができる。
また、冷蔵室207に比べ高い温度設定にする場合が多い野菜室208で、臭いや菌の繁殖を抑制できることとなり、特に、野菜の保存状態を良好に保つことができる。
なお、図17に示すように、連通ダクト214は、断熱部材219と内箱209の一部とで筒状に断熱構成されており、使用者自らが、断熱部材219を着脱することで連通ダクト214を着脱することができ、一般の使用者自らが、連通ダクト214の取り外し、取り付けをより容易に行うことができる。
そして、断熱部材219がこのような断面略コの字状の形態であれば、連通ダクト214を取り外した際にダクト内部が露出して良く確認できる状態となり、使用者による清掃,洗浄が一層容易に確実に行える利点がある。
また、連通ダクト214にヒーター等の電気部品を設けず、連通ダクト214を独立して着脱可能としたことにより、連通ダクト214の着脱に伴うコネクタの挿着・脱着や配線の引回し作業等が不要となり、製品の安全面から、一般の使用者自らが、連通ダクト214を着脱できなかったことに対して、連通ダクト214を取り外し、取り付けすることができるようになるものである。
なお、連通ダクト214は、内箱209の連通ダクト214投影面裏側にのみヒーター221を設けており、連通ダクト214自体にはヒーターを設けることなく、連通ダクト214内の結露や着霜/氷結の発生を防止できる。
なお、これら連通ダクト214を工具を用いず手で着脱可能とした着脱手段117自体については、先に示した実施の形態で説明したものと同様であり説明を省略する。
そして、連通ダクト214は、着脱手段117として用いるプッシュリベット127を、取付孔(後述)を介して、手で回転方向の押し付け力を加えながら内箱209に埋設される着脱手段117として用いるグロメット128にねじ込むことで、圧縮力が加わった状態で内箱209に取り付けられ、プッシュリベット127を取り付けとは逆回転方向に手で回すことで連通ダクト214の内箱209からの取り外しができる構成とすることにより、連通ダクト214には常に圧縮力が加わるため、連通ダクト214と内箱209とのシールを確実に行うことが可能となり、気密性の高い冷却通路を有する連通ダクト214を提供することが可能となる。
また、連通ダクト214と内箱209との取り外し、取り付けを手で容易に行うことが可能となる。
さらに、連通ダクト214の内部は開放されているため連通ダクト214の内部の清掃性が向上する。
また、プッシュリベット127およびグロメット128の嵌合部の外周に傾斜面としてのカム面134、135を設けたことにより、取り付けの回転時にプッシュリベット127を押し込まなくても、回動により固定時に連通ダクト214の内箱209への押し付け力(圧縮力)を付与することができ作業性を向上させた構成にすることができる。
また、プッシュリベット127の回転角度を90度で止まるように当たり面136,137を設け、さらに逆回転を防止する凸形状138,139を設けたことにより、意匠面となるつまみ部129の見栄えを一定に保つことができ、品位を高めることできる。
なお、上記のような着脱手段117を用いて連通ダクト214と内箱209とを密着固定させる場合に、着脱手段117の具体的にはプッシュリベット127に相当する操作側の部品を位置決めして嵌め込む取付孔227の加工が必要であるが、これを発泡ポリスチレン製などの断熱部材219に直接形成すると固定強度も弱く、繰り返し使用に耐えず永久変形したり損傷してしまって所期の取り付け精度が維持できず信頼性を損なう虞があるので、実用的には取付孔227に筒状の樹脂をインサート成型したり、連通ダクト214の取り付け孔部近傍のみ部分的に樹脂成型の保持部材を一体加工したり、或いは連通ダクト214の外郭全体を取付孔加工を一体に施した樹脂カバーで覆ったりして取付孔227を加工する手段を併用すると効果的である。
このように、工具を用いず着脱が可能な着脱手段117の一例を上記に示したが、この例に限定されず、市販されているものを含め、多様な種類の着脱手段に置き換えて用いることができる。
なお、冷却器204,送風機215,除霜ヒーター218或いは場合によってはダンパー装置212などの電気部品や冷凍サイクル部品などの機能部品が収容されている第2の仕切部材217は、これらの安全性や信頼性に直接関わる部品が装着されていない連通ダクト214とは異なり、使用者自らが工具を用いず着脱する構成とはしておらず、例えばビス止めなど工具を用いなくては着脱出来ない構成や、工具を用いずとも容易には着脱できない構成として、使用者自らが手で着脱できる仕様とせずサービスマンなどの専門の技術者が修理や部品交換のための必要時のみ着脱が可能な構成としている。たとえば本実施の形態では、図16に示すように第2の仕切部材217の左右の適当な箇所に取付孔228を設け、この取付孔228を介して内箱209の裏面に固定した受け部(図示せず)に対してビス等を工具を用いて確実に固定して取り付けている。
また、第2の仕切部材の送風機215の取付部には前面開口部217aを覆うようにたとえば指が入らない程度の大きさの間隔をもったスリット状に形成されたリブ217bが設けられており、使用者が冷蔵庫の運転を止めずに仕切部材216を取り外した場合に、誤って送風機215に手が触れて怪我をするのを未然に防止し、安全を保つことができる。なお、ここでは、スリット状に形成されたものとしたが、格子状など送風抵抗とのバランスでどのような形状とすることも可能である。
一方、第2の仕切部材217と連通ダクト214を前面より一体に覆う仕切部材216の着脱については、連通ダクト214の着脱と同様に、外周部の適所に設けた取付孔229を介して着脱手段117を用いて内箱209に使用者自らが工具を用いず、手で容易に着脱ができるような構成としている。
したがって、冷却室205の構成は大きく分けて仕切部材216と第2の仕切部材217と連通ダクト214とに分割された3つの部品ブロックからなるが、このうち、仕切部材216と連通ダクト214とが使用者の手による着脱が可能であり、すなわち、使用者が、連通ダクト214を清掃したり洗浄したりしたい場合には、まず、冷凍室206の奥面の仕切部材216を着脱手段117を操作して取り外し、次に、連通ダクト214を着脱手段117を操作して取り外すことにより可能となる。処置後は、この逆の手順で、連通ダクト214を着脱手段117を操作して取り付け、次に、仕切部材216を着脱手段117を操作して取り付ければ、再び冷却室205を通常の構成に戻すことができる。
以上のように、近年主流の冷凍室206の上方に冷蔵室207を配置したレイアウトの冷蔵庫では、連通ダクト214の冷蔵室207側の開口部(すなわち、冷蔵室冷気吸入口226)の配置位置は、その室内対流冷却の効率の良さから、冷蔵室の下方部とする場合が多く、具体的には、冷蔵室の下面(底面)あるいは冷蔵室の背面下方部に、室内開口部を設けることが多い。
この場合、汁物を入れた食器や液体の飲料ビン,調味料等は、出し入れ時の腕の負担を考慮して、使用者自らの肩より下方に置くことが多く、食器や飲料ビン等から流れでた異物や食品汁や飲料などが、庫内開口部(冷蔵室冷気吸入口226)から連通ダクト214に流れ込むケースが考えられる。また、収納量が大きく、雑多な食品が収納され、扉の開閉による庫外空気の室内侵入の機会や量の多い冷蔵室205に対しては、種々の雑菌成分や臭気成分を含んだ空気が存在することになり、これらの空気を第1に連通ダクト214を介して流通させることから、連通ダクト214内の汚れや雑菌の付着が懸念される。
本実施の形態によれば、このような課題に対しても、着脱手段117のみにより工具を用いず手で、冷蔵庫本体200に対して連通ダクト214を着脱可能としたことにより、使用者自らが、連通ダクト214内部を清掃,洗浄でき、連通ダクト214内部を衛生的に保つことができることから、冷蔵庫内の食品等の菌の繁殖を抑制してより衛生的な冷蔵庫を提供することができる。
なお、庫内開口部(冷蔵室冷気吸入口226)の配置に関しては、上記のように冷蔵室207内の下部に設ける場合が多いが、たとえば冷蔵室207の下部以外にも、食品などを整理して収納するための棚の奥端近傍に庫内開口部を設ける(最下段の棚のみに限らず、複数の各棚に分散して設けてもよい)場合もある。この場合、食器や飲料ビン等から流れでた異物や食品汁や飲料などが、この棚を伝って庫内開口部(冷蔵室冷気吸入口226)から連通ダクト214に流れ込むケースに対しても同様の作用効果を発揮させることができるものである。
なお、本実施の形態の例は、先の実施の形態1の上段が冷蔵室,下段が冷凍室のレイアウト配置の冷蔵庫に対して、上段が冷蔵室,中段が冷凍室,下段が野菜室のレイアウト配置の冷蔵庫とした点が異なり、具体的には実施の形態1の冷蔵庫の冷凍室後方に配置される着脱可能な戻りダクト113が、本実施の形態の冷蔵庫では、冷凍室後方に配置される着脱可能な冷蔵室と野菜室を連通させる連通ダクト214に置き換わっているものである。
すなわち、実施の形態1の戻りダクト113と仕切部材114との関係は、ほぼそのまま本実施の形態の連通ダクト214と仕切部材216との関係となるものである。
したがって、詳細な実施の形態の記載は省略するが、実施の形態2乃至5の各実施の形態に示した戻りダクトと仕切部材との関係構成も、そのまま本実施の形態の連通ダクトと仕切部材との関係構成に置き換えて転用できるものである。
さらに、上記の各実施の形態において、戻りダクトや連通ダクト内に食汁や異物が混入しやすい配置として、戻りダクトや連通ダクトの冷気の吸入側の開口部をレイアウト配置的に上部にある貯蔵室、中でも特に冷蔵室とする例を示したが、戻りダクトや連通ダクト内への雑菌の付着に関しては食汁や異物以外にも庫内外の汚れや臭気成分を含んだ空気の循環によるものもあり、こうした対象に対しては必ずしも戻りダクトや連通ダクトの冷気の吸入側の開口部の配置が、ダクトより上部の貯蔵室であったり、冷蔵室であったりすることに限定されるものではなく、他のレイアウト配置、他の貯蔵室であっても一定の実用効果を有するものである。
(実施の形態7)
図22は、本発明の実施の形態7における冷蔵庫の扉を省略した正面図、図23は、同実施の形態における冷蔵庫の扉を省略した側面の断面図、図24は、同実施の形態における冷蔵庫の冷却室の構成を示す平面図である。
図22,図23,図24において、冷蔵庫本体200は断熱箱体201内に、断熱性能を有する断熱仕切壁202,203により複数の貯蔵室に区画されている。上側の断熱仕切壁202と下側の断熱仕切壁203とに挟まれた中段の室は、その背部に、冷却器204を収容する冷却室205を備えた冷凍室206として構成してあり、冷凍室206の上方には冷蔵室207が、冷凍室206の下方には野菜室208が配設されており、すなわち、冷蔵庫本体上部に冷蔵室207、冷蔵室207の下方に冷凍室206、冷凍室206の下方に野菜室208と、三つの貯蔵室を設けた断熱箱体201からなる。
各貯蔵室の前面開口部には、例えばウレタンのような発泡断熱材を発泡充填した断熱扉が設けられ、冷蔵室207には回転式の扉(図示せず)、冷凍室206、野菜室208には、それぞれ引き出し式の扉(図示せず)が設けられている。
断熱箱体201は、ABSなどの樹脂体を真空成型した内箱209とプリコート鋼板などの金属材料を用いた外箱210とで構成された空間に発泡断熱材211を注入してなる断熱壁を備えている。発泡断熱材211はたとえば硬質ウレタンフォームやフェノールフォームやスチレンフォームなどが用いられる。発泡材としてはハイドロカーボン系のシクロペンタンを用いると、温暖化防止の観点でさらによい。
次に、断熱箱体201の各貯蔵室について説明する。
冷蔵室207は冷蔵保存のために凍らない温度を下限に通常1〜5℃で設定されている。また、食品などを整理して収納するための複数の棚(図示せず)を設けている。
冷凍室206は、冷凍保存のために通常−22〜−18℃で設定されているが、冷凍保存状態の向上のために、たとえば−30℃や−25℃の低温で設定されることもある。庫内は食品を整理して収納できる冷凍室容器(図示せず)を収容している。
野菜室208は、冷蔵室207と同等もしくは若干高い温度設定の2℃〜7℃とすることが一般的で、低温にするほど葉野菜の鮮度を長期間維持することが可能である。庫内は野菜などの食品を整理して収納できる野菜室容器(図示せず)を収容している。
次に、断熱箱体201の冷気の流れを説明する。
冷蔵室207へは、冷却室205において生成された冷気を、ダンパー装置212および冷蔵室冷却用送風ダクト213を介して、また、野菜室208へは、冷蔵室207から野菜室208へ冷気を送る連通ダクト314を介して、送風機215によって強制送風することにより、これらの室内を所定の温度に冷却するように構成してある。
ここで、連通ダクト314とは、冷蔵室207の背部の下方部に設けた開口部と野菜室の背部の上方部に設けた開口部とを上下方向に繋ぐ風路である。
冷却室205と冷凍室206との間には、冷凍室206の背面カバーを構成する硬質樹脂材料からなる仕切部材316が設けられている。仕切部材316には、冷凍室206内への冷気吐出口316a,冷凍室206からの冷気吸入口316bが設けられている。
そして、冷却室205内には、仕切部材316により覆われた発泡ポリスチレン樹脂などからなる第2の仕切部材317を覆う断熱部材300が配置され、断熱部材300の左右方向の一部を用いて連通ダクト314が形成されている。また断熱部材300の左右方向の一部を用いて形成された連通ダクト314の反対側には、発泡ポリプロピレンなどの軟質発泡樹脂やポリプロピレン樹脂などからなる第2の仕切部材317が配置され、第2の仕切部材317内には庫内の空気を熱交換させて冷却された冷気とする冷却器204と、冷却器204の上方に配置され冷凍室206,冷蔵室207,野菜室208に冷気を送るための送風機215と、冷却器204の下方に冷却時に冷却器204に付着する霜を除霜するための除霜ヒーター218とが収容されている。ダンパー装置212は断熱仕切壁202や冷蔵室207内に配置することも可能だが、第2の仕切部材317内に一体に収容しても構わない。
すなわち、図24において、冷凍室206の背面カバーを構成する硬質樹脂材料からなる1枚の仕切部材316は、第2の仕切部材317と連通ダクト314とを同時に覆っているが、連通ダクト314は、第2の仕切部材317の左右方向側方に配置されて仕切部材316と一体に構成されている。すなわち本実施の形態では、一体化された仕切部材316および連通ダクト314、第2の仕切部材317と、2つの部品ブロックから構成される。
一体に構成とは、材料的に一体成形加工を指すばかりでなく、異なる材料でも例えば接着剤や噛み合わせ構造などの結合手段により結合構成されているものも指す。
次に、一体構成について説明する。
仕切部材316は、冷凍室206の背面カバーを構成するカバー部370と、カバー部370の両端近傍から略直角に突出した突出部371と、からなる。
仕切部材316の突出部371の先端近傍には、断熱部材300側(内側)に設けられた爪部352を備え、また、断熱部材300には、爪部352が係合する凹部362が設けられている。
よって、爪部352を凹部362に係合させることで、連通ダクト314を仕切部材316に一体構成する構成としている。
仕切部材316と断熱部材300の左右方向の一部を用いて形成された連通ダクト314とがこのような一体構成とされたことにより、使用者は仕切部材316を着脱する着脱手段320(後述する)を工具を用いず手で操作して第2の仕切部材317から取り外すだけで、連通ダクト314も同時に取り外すことができ、断熱部材300の左右方向の一部を用いて形成された連通ダクト314の断面形状が略コの字状の場合は、特に連通ダクト314の内部が露出し、より一層容易に連通ダクト314を清掃することができる。
したがって、連通ダクト314の固定専用の着脱手段を設ける必要がなく構成が簡素化でき、コスト低減が図れると同時に使用者の着脱の手間も軽減できる。
次に、着脱手段320(説明上区別するためには第3の着脱手段という)について説明する。
仕切部材316は、着脱手段320で、断熱部材300を介して第2の仕切部材317に取り付けられている。
なお、着脱手段320は、第2の仕切部材317が配置される箇所に、第2の仕切部材317の幅方向(図24の左右方向)の略中心からほぼ等間隔を置いて2個設けている。
仕切部材316は、着脱手段320で、断熱部材300を介して第2の仕切部材317に取り付けられていることにより、第2の仕切部材317と断熱部材300とで形成される隙間を狭めることとなり、第2の仕切部材317と断熱部材300とで形成される隙間へ冷却器204で冷却された冷気がショートサーキットすることを低減できる。また、連通ダクト314と内箱209とのシール性を向上させることとなり、連通ダクト314から野菜室208へ流れる冷気の風量を確保できるとともに、連通ダクト314と内箱209とのシール不良による第2の仕切部材への着霜を低減できる。
すなわち、断熱部材300の左右方向の一部を用いて形成された連通ダクト314を工具を用いず着脱可能とした着脱手段320を備え、着脱手段320により工具を用いず手で、冷蔵庫本体200に対して断熱部材300の左右方向の一部を用いて形成された連通ダクト314を着脱可能としている。
なお、連通ダクト314は、第2の仕切部材317を覆う断熱部材300の一部で構成していることにより、第2の仕切部材を覆う断熱部材と、連通ダクト314を形成する断熱部材と、を別々の部品として準備する必要がなく、すなわち、断熱部材300で、第2の仕切部材を覆う断熱部材と、連通ダクト314を形成する断熱部材と、を共用することができ、部品点数を削減できる。
なお、図24に示すように、断熱部材300の左右方向の一部を用いて形成された連通ダクト314は、断面が略コの字状に形成され、内箱209の一部とで筒状に断熱構成されており、使用者自らが、仕切部材316を着脱することで連通ダクト314を着脱することができる。また断面略コの字状の連通ダクト314の内箱209との当接面には、連通ダクト314のシール性をより確実にしようとすれば、軟質の発泡フォームなどのシール部材220が連通ダクト314の後端面側に貼り付けられて内箱209との間を圧接シールされる。
また、連通ダクト314には直接ヒーター等の電気部品を設けておらず、連通ダクト314内の結露や着霜/氷結の防止のためのヒーター221は、内箱209の連通ダクト314投影面裏側に設けられている。
なお、ここでは、使用者とは、冷蔵庫を使用する一般の消費者を意味するものであって、専門的な知識や特殊な工具を有した修理や点検などを行うサービスマンを意味するものではない。
ここで、第2の仕切部材317は、ビス340で、内箱209を介して冷蔵庫本体200に取り付けられており、使用者自らが手で着脱できる仕様とせず、サービスマンなどの専門の技術者が修理や部品交換のための必要時のみ工具と例えばビス等による手段、もしくは一般の使用者が簡単には着脱できない組み合わせ構成で着脱が可能な構成としているので、連通ダクトを使用者が容易に着脱できる構成としたとしても、使用者が第2の仕切部材317を容易に取り外すことはできず、使用者の安全を確保し、第2の仕切部材317内に収容した電気部品,冷凍サイクル部品などの機能部品に触れることによる製品機能面の信頼性への影響を排除することができる。
以上のように構成された冷蔵庫について、以下その動作、作用を説明する。
冷却器204において生成された冷気の一部が、送風機215によって仕切部材316に設けた冷気吐出口316aより冷凍室206内へ送り込まれ、冷凍室206を冷却した後、仕切部材316に設けた冷気吸入口316bを通じて冷却室205内の冷却器204の下部に戻され、再び循環を繰り返す。
一方、冷却器204において生成された冷気の残りが、送風機215によって、ダンパー装置212に送られる。ダンパー装置212は、庫内温度センサー(図示せず)の検知値により、その通風路の開度を制御しながら、冷気を冷蔵室冷却用送風ダクト213に送る。
冷蔵室冷却用送風ダクト213に送られた冷気は、断熱仕切壁202の背部に設けた冷蔵室冷気通路入口221、及び、冷蔵室207の背部に設けた冷蔵室冷気通路222を経由して、冷蔵室の背面カバーを構成する冷蔵室パネル223に設けた冷蔵室冷気吹出口224から吐出され、冷蔵室207内を所定の温度に冷却する。
冷蔵室207内を所定の温度に冷却した冷気は、冷蔵室207の背部または底部に設けた冷蔵室冷気吸入口225,226から、冷却室205内の冷却器204の側部に設けられた連通ダクト314に送られ、野菜室208内に流入して所定の温度に冷却した後、冷気戻り口(図示せず)を経て冷却器204の下部に戻され、再び冷却器204において熱交換されて冷却される。
また、使用者自らが、仕切部材316を取り外すことで連通ダクト314を着脱可能なように構成しているので、冷蔵室内の冷蔵室冷気吸入口225,226等から連通ダクト314に冷蔵室207内に収納された食品や飲料等の液体や異物が混入したり、冷蔵室207内を介して、庫内や扉開閉による庫外の臭気や汚れを含んだ空気の流通等により汚れが付着して、使用者が衛生状態を気にするようになっても、使用者自らが連通ダクト314の取り外し、取り付けを工具を用いず、手で容易に行えることができ、使用者自らが、連通ダクト314内部を清掃や洗浄ができ、連通ダクト314内部の衛生状態を保つことができるとともに、連通ダクト314内部を使用者自ら清掃や洗浄をして安心感を満足させたいというニーズを満たすことができる。
通常、冷蔵室207内の空気が最初に通過する風路部位である連通ダクト314は、他のダクト部と比べて菌が繁殖したり汚れたりしやすく、さらには、冷蔵室207が冷蔵庫本体200の上部に配置される近年主流のレイアウトでは、連通ダクト314の庫内開口部の配置位置は、室内の対流冷却効率を高めるために冷蔵室207の下方部に設けられることが一般的であり、かつ連通ダクト314が重力方向下方部に向って配置構成されているため、食品汁などの異物や汚れが庫内開口部から連通ダクト314の内部に流れ落ち、連通ダクト314内に液体や異物が混入したり、ダクト内に異物や汚れが付着しやすく、その結果、発生した菌が冷蔵庫内を循環し、冷蔵庫内の食品等に菌を付着/増殖させ食品等を劣化させる可能性がある。
しかしながら、本実施の形態によれば、連通ダクト314を着脱可能とした着脱手段320を備え、しかも、この着脱手段320により工具を用いず、冷蔵庫本体200に対して連通ダクト314を着脱可能としたことにより、使用者自らが、連通ダクト314内部を清掃,洗浄でき、連通ダクト314内部の清掃性を向上できることから、冷蔵庫内の食品等の菌の繁殖を抑制することができる。
また、冷蔵室207に比べ高い温度設定にする場合が多い野菜室208で、臭いや菌の繁殖を抑制できることとなり、特に、野菜の保存状態を良好に保つことができる。
なお、図24に示すように、連通ダクト314は、断熱部材300と内箱209の一部とで筒状に断熱構成されており、使用者自らが、仕切部材316を着脱することで連通ダクト314を着脱することができ、一般の使用者自らが、連通ダクト314の取り外し、取り付けをより容易に行うことができる。
そして、断熱部材300の左右方向の一部がこのような断面略コの字状の形態であれば、仕切部材316を取り外した際にダクト内部が露出して良く確認できる状態となり、使用者による清掃,洗浄が一層容易に確実に行える利点がある。
また、連通ダクト314にヒーター等の電気部品を設けず、連通ダクト314を独立して着脱可能としたことにより、連通ダクト314の着脱に伴うコネクタの挿着・脱着や配線の引回し作業等が不要となり、製品の安全面から、一般の使用者自らが、連通ダクト314を着脱できなかったことに対して、連通ダクト314を取り外し、取り付けすることができるようになるものである。
なお、連通ダクト314は、内箱209の連通ダクト314投影面裏側にのみヒーター221を設けており、連通ダクト314自体にはヒーターを設けることなく、連通ダクト314内の結露や着霜/氷結の発生を防止できる。
なお、これら仕切部材316を工具を用いず手で着脱可能とした着脱手段320自体については、先に示した実施の形態で説明したものと同様であり説明を省略する。
そして、仕切部材316は、着脱手段320として用いるプッシュリベット127を、取付孔(後述)を介して、手で回転方向の押し付け力を加えながら第2の仕切部材317に埋設される着脱手段320として用いるグロメット128にねじ込むことで、圧縮力が加わった状態で第2の仕切部材317に取り付けられ、プッシュリベット127を取り付けとは逆回転方向に手で回すことで仕切部材316の第2の仕切部材317からの取り外しができる構成とすることにより、連通ダクト314には常に圧縮力が加わるため、連通ダクト314と内箱209とのシールを確実に行うことが可能となり、気密性の高い冷却通路を有する連通ダクト314を提供することが可能となる。
また、仕切部材316と第2の仕切部材317との取り外し、取り付けを手で容易に行うことが可能となる。
さらに、連通ダクト314の内部は開放されているため連通ダクト314の内部の清掃性が向上する。
また、プッシュリベット127およびグロメット128の嵌合部の外周に傾斜面としてのカム面134、135を設けたことにより、取り付けの回転時にプッシュリベット127を押し込まなくても、回動により固定時に仕切部材316の第2の仕切部材317への押し付け力(圧縮力)を付与することができ作業性を向上させた構成にすることができる。
また、プッシュリベット127の回転角度を90度で止まるように当たり面136,137を設け、さらに逆回転を防止する凸形状138,139を設けたことにより、意匠面となるつまみ部129の見栄えを一定に保つことができ、品位を高めることできる。
このように、工具を用いず着脱が可能な第3の着脱手段320の一例を上記に示したが、この例に限定されず、市販されているものを含め、多様な種類の着脱手段に置き換えて用いることができる。
例えば、仕切部材316には、第2の仕切部材317側に設けられた爪部(図示せず)を備え、また、第2の仕切部材317には、爪部が係合する凹部(図示せず)が設けられている。
ここで仕切部材316に設けられ樹脂の弾性を利用した爪部が、第2の仕切部材317に設けられ樹脂の弾性を利用した凹部と係合することによって、簡易な構造でかつ部品点数を増加させることなく、戻りダクトもしくは連通ダクトを着脱可能とすることができる。
なお、ここでは、仕切部材316に爪部が設けられ、第2の仕切部材317に凹部が設けられているものとしたが、仕切部材316に凹部が設けられ、第2の仕切部材317に爪部が設けられているものとしてもよい。
なお、冷却器204,送風機215,除霜ヒーター218或いは場合によってはダンパー装置212などの電気部品や冷凍サイクル部品などの機能部品が収容されている第2の仕切部材317は、これらの安全性や信頼性に直接関わる部品が装着されていない連通ダクト314とは異なり、使用者自らが工具を用いず着脱する構成とはしておらず、例えばビス止めなど工具を用いなくては着脱出来ない構成や、工具を用いずとも容易には着脱できない構成として、使用者自らが手で着脱できる仕様とせずサービスマンなどの専門の技術者が修理や部品交換のための必要時のみ着脱が可能な構成としている。
また、第2の仕切部材317の送風機215の取付部には前面開口部217aを覆うようにたとえば指が入らない程度の大きさの間隔をもったスリット状に形成されたリブ217bが設けられており、使用者が冷蔵庫の運転を止めずに仕切部材316を取り外した場合に、誤って送風機215に手が触れて怪我をするのを未然に防止し、安全を保つことができる。なお、ここでは、スリット状に形成されたものとしたが、格子状など送風抵抗とのバランスでどのような形状とすることも可能である。
したがって、冷却室205の構成は大きく分けて、一体化された仕切部材316および連通ダクト314と、第2の仕切部材317と、2つの部品ブロックからなるが、このうち、仕切部材316と連通ダクト314が形成された断熱材300とが使用者の手による着脱が可能であり、すなわち、使用者が、連通ダクト314を清掃したり洗浄したりしたい場合には、冷凍室206の奥面の仕切部材316を着脱手段320を操作して取り外すことにより可能となる。処置後は、この逆の手順で、仕切部材316を着脱手段320を操作して取り付ければ、再び冷却室205を通常の構成に戻すことができる。
以上のように、近年主流の冷凍室206の上方に冷蔵室207を配置したレイアウトの冷蔵庫では、連通ダクト314の冷蔵室207側の開口部(すなわち、冷蔵室冷気吸入口226)の配置位置は、その室内対流冷却の効率の良さから、冷蔵室の下方部とする場合が多く、具体的には、冷蔵室の下面(底面)あるいは冷蔵室の背面下方部に、室内開口部を設けることが多い。
この場合、汁物を入れた食器や液体の飲料ビン,調味料等は、出し入れ時の腕の負担を考慮して、使用者自らの肩より下方に置くことが多く、食器や飲料ビン等から流れでた異物や食品汁や飲料などが、庫内開口部(冷蔵室冷気吸入口226)から連通ダクト314に流れ込むケースが考えられる。また、収納量が大きく、雑多な食品が収納され、扉の開閉による庫外空気の室内侵入の機会や量の多い冷蔵室205に対しては、種々の雑菌成分や臭気成分を含んだ空気が存在することになり、これらの空気を第1に連通ダクト314を介して流通させることから、連通ダクト314内の汚れや雑菌の付着が懸念される。
本実施の形態によれば、このような課題に対しても、着脱手段320により工具を用いず手で、冷蔵庫本体200に対して連通ダクト314が形成された断熱材部300を着脱可能としたことにより、使用者自らが、連通ダクト314内部を清掃,洗浄でき、連通ダクト314内部を衛生的に保つことができることから、冷蔵庫内の食品等の菌の繁殖を抑制してより衛生的な冷蔵庫を提供することができる。
なお、庫内開口部(冷蔵室冷気吸入口226)の配置に関しては、上記のように冷蔵室207内の下部に設ける場合が多いが、たとえば冷蔵室207の下部以外にも、食品などを整理して収納するための棚の奥端近傍に庫内開口部を設ける(最下段の棚のみに限らず、複数の各棚に分散して設けてもよい)場合もある。この場合、食器や飲料ビン等から流れでた異物や食品汁や飲料などが、この棚を伝って庫内開口部(冷蔵室冷気吸入口226)から連通ダクト314に流れ込むケースに対しても同様の作用効果を発揮させることができるものである。
なお、本実施の形態の例は、先の実施の形態1の上段が冷蔵室,下段が冷凍室のレイアウト配置の冷蔵庫に対して、上段が冷蔵室,中段が冷凍室,下段が野菜室のレイアウト配置の冷蔵庫とした点が異なり、具体的には実施の形態1の冷蔵庫の冷凍室後方に配置される着脱可能な戻りダクト113が、本実施の形態の冷蔵庫では、冷凍室後方に配置される着脱可能な冷蔵室と野菜室を連通させる連通ダクト314に置き換わっているものである。
すなわち、実施の形態1の戻りダクト113と仕切部材114との関係は、ほぼそのまま本実施の形態の連通ダクト314と仕切部材316との関係となるものである。
したがって、詳細な実施の形態の記載は省略するが、実施の形態2乃至5の各実施の形態に示した戻りダクトと仕切部材との関係構成も、そのまま本実施の形態の連通ダクトと仕切部材との関係構成に置き換えて転用できるものである。
さらに、上記の各実施の形態において、戻りダクトや連通ダクト内に食汁や異物が混入しやすい配置として、戻りダクトや連通ダクトの冷気の吸入側の開口部をレイアウト配置的に上部にある貯蔵室、中でも特に冷蔵室とする例を示したが、戻りダクトや連通ダクト内への雑菌の付着に関しては食汁や異物以外にも庫内外の汚れや臭気成分を含んだ空気の循環によるものもあり、こうした対象に対しては必ずしも戻りダクトや連通ダクトの冷気の吸入側の開口部の配置が、ダクトより上部の貯蔵室であったり、冷蔵室であったりすることに限定されるものではなく、他のレイアウト配置、他の貯蔵室であっても一定の実用効果を有するものである。
なお、本実施の形態では、着脱手段320は2個設けているが、少なくとも1個以上設けていればよく、必要に応じて例えば3個設けてもよい。
なお、本実施の形態では、爪部352を凹部362に係合させることで、連通ダクト314を仕切部材316に一体構成する構成としているが、テープや接着剤を用いて、連通ダクト314を仕切部材316に一体構成する構成としてもよく、また、爪部352を凹部362に係合させることで、連通ダクト314を仕切部材316に一体構成する構成としたうえで、テープや接着剤を用いてより強くした一体構成としてもよい。
(実施の形態8)
図25は、本発明の実施の形態8における冷蔵庫の冷却室の構成を示す平面図である。
仕切部材316の着脱手段に関しては、実施の形態7のように第3の着脱手段のみとする形態のほかに、図25に示すように、第3の着脱手段と、仕切部材を内箱に対して着脱させる第4の着脱手段と、で構成する方法もある。
ここでは、実施の形態7と異なる点を中心に説明する。
次に、着脱手段350(説明上区別するためには第4の着脱手段という)について説明する。
仕切部材316の突出部371の先端近傍には、内箱209側(外側)および断熱部材300側(内側)に設けられた爪部351を備え、また、内箱209には、爪部351の内箱209側が係合する凹部361が設けられている。また、断熱部材300には、爪部351の断熱部材300側が係合する凹部362が設けられている。
ここで爪部351が、まず凹部362と係合することによって、断熱部材300とカバー部370とが固定され一体化される。次に、爪部351が、凹部361に係合することによって、断熱部材300の左右方向の一部を用いて形成された連通ダクト314を着脱可能としている。すなわち、爪部351と凹部361とで着脱手段350を構成することになる。
なお、爪部351は、仕切部材316の高さ方向(図25の奥行き方向)の左辺、右辺に対してそれぞれ間隔を置いて3個、すなわち、仕切部材316に合計6個設けている。
なお、凹部361は、内箱209の高さ方向(図25の奥行き方向)の左辺、右辺に対してそれぞれ間隔を置いて爪部351が係合する箇所に3個、すなわち、内箱に合計6個設けている。
着脱手段350は、仕切部材316に設けた爪部351と、内箱209に設けた凹部361と、からなることにより、簡易な構造でかつ部品点数を増加させることなく、戻りダクトもしくは連通ダクトを着脱可能とすることができる。
なお、実施の形態7で示したものでは、仕切部材316の両端が冷凍室手前側へ反る可能性はあるが、仕切部材316は、着脱手段350で、内箱209に取り付けられていることにより、仕切部材316の両端が冷凍室手前側へ反ることを防止できることとなり、すなわち、仕切部材316の両端を冷凍室奥側に押し付けることとなり、連通ダクト314を流れる冷気が冷凍室206へショートサーキットすることを低減できる。
なお、本実施の形態では、着脱手段350は、仕切部材316の左辺、右辺にそれぞれ3個、すなわち、仕切部材316に合計6個設けているが、仕切部材316の左辺、右辺にそれぞれ少なくとも1個以上設けていればよく、必要に応じて例えば左辺、右辺にそれぞれ2個、すなわち、仕切部材316に合計4個設けてもよく、また、左辺、右辺に設ける着脱手段の数は必ずしも同じでなくてもよい。
なお、工具を用いず着脱が可能な第3の着脱手段320の一例を上記に示したが、この例に限定されず、市販されているものを含め、多様な種類の着脱手段に置き換えて用いることができる。
実施の形態7で示したものと同様に、例えば、仕切部材316には、第2の仕切部材317側に設けられた爪部(図示せず)を備え、また、第2の仕切部材317には、爪部が係合する凹部(図示せず)が設けられている。
ここで仕切部材316に設けられ樹脂の弾性を利用した爪部が、第2の仕切部材317に設けられ樹脂の弾性を利用した凹部と係合することによって、簡易な構造でかつ部品点数を増加させることなく、戻りダクトもしくは連通ダクトを着脱可能とすることができる。
なお、ここでは、仕切部材316に爪部が設けられ、第2の仕切部材317に凹部が設けられているものとしたが、仕切部材316に凹部が設けられ、第2の仕切部材317に爪部が設けられているものとしてもよい。