JP4952105B2 - 液体現像剤、画像形成方法、および画像形成装置 - Google Patents
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Description
乾式トナーを用いる方法は、固体状態のトナーを取り扱うので、取り扱い上の有利さはあるものの、粉体による人体等への悪影響が懸念されるほか、トナーの飛散による汚れ、トナーを分散した際の均一性等に問題がある。また、乾式トナーでは、粒子の凝集が起こり易く、トナー粒子の大きさを十分に小さくするのが困難であり、解像度の高いトナー画像を形成するのが困難であるという問題がある。また、トナー粒子の大きさを比較的小さなものとした場合には、上述したような粉体であることによる問題が更に顕著なものとなる。
ところで、液体現像剤で用いられるトナー粒子の粒度分布が狭いと一般的に定着後の記録媒体に付着した画像解像度、画像濃度が優れているとされる。また、現像剤容器から塗布ローラに液体現像剤をくみ出した場合において、トナー粒子が均一であるためにトナー粒子間に空隙が多くでき、多量の絶縁性液体がトナー粒子間に存在するため、トナー画像の現像、転写が効率的に行われる。
本発明の液体現像剤は、絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤であって、
前記トナー粒子の平均粒径が0.7〜3μmであり、
下記式(I)で表される前記トナー粒子の粒度分布の幅Sが1.4以下であり、
かつ、前記絶縁性液体が不飽和脂肪酸のグリセリドを含み、
前記絶縁性液体のヨウ素価が100〜200であることを特徴とする。
S=〔D(90)−D(10)〕/D(50) ・・・ (I)
(ただし、トナー粒子を小さい粒径から粒度分布の測定をした場合において累積体積にて全体の体積のX%の地点での粒径をD(X)とする。)
これにより、記録媒体へのトナー粒子の定着強度、トナー画像の転写性、現像性に優れ、かつ形成したトナー画像の解像度が優れた画像を形成することができる液体現像剤を提供できる。
これにより、定着時に適量の絶縁性液体を記録媒体上に供給でき、記録媒体へのトナー粒子の定着強度、トナー画像の転写性、現像性が特に優れ、かつ形成したトナー画像の解像度が特に優れた画像を形成することができる液体現像剤を提供できる。
これにより、記録媒体とトナー粒子の定着強度を特に優れたものにし、鮮明なトナー画像を得ることができる。
本発明の液体現像剤では、前記不飽和脂肪酸のグリセリドを構成する全脂肪酸成分に対する前記リノール酸の含有率は15mol%以上であることが好ましい。
これにより、記録媒体とトナー粒子の定着強度を特に優れたものにし、鮮明なトナー画像を得ることができる。
これにより、液体現像剤の転写性および現像性に優れ、かつ定着強度、画像解像度が優れたトナー画像が得られる画像形成方法を提供できる。
これにより、定着速度、定着強度が特に優れたトナー画像が得られる画像形成方法を提供できる。
本発明の画像形成装置は、トナー粒子が付着した記録媒体に対して加熱しつつ圧力をかけることにより前記トナー粒子を記録媒体に定着させる画像形成装置において本発明の液体現像剤を用いることを特徴とする。
これにより、液体現像剤の転写性および現像性に優れ、定着強度、画像解像度が優れたトナー画像が得られる画像形成装置を提供できる。
本発明の画像形成装置では、前記記録媒体への前記トナー粒子の定着時にトナー画像に対して紫外線を照射する装置を有することが好ましい。
これにより、定着速度、定着強度が特に優れたトナー画像が得られる画像形成装置を提供できる。
≪液体現像剤≫
まず、本発明の液体現像剤について説明する。本発明の液体現像剤は、絶縁性液体中にトナー粒子が分散したものである。
<絶縁性液体>
絶縁性液体について説明する。本発明において、絶縁性液体は、不飽和脂肪酸グリセリド、すなわち脂肪酸成分として不飽和脂肪酸を有するグリセリドを含むものである。
また、リノール酸成分としては、例えば、共役二重結合を有する共役リノール酸で構成されたものを用いてもよい。これにより、記録媒体に対するトナー粒子の定着強度を特に優れたものとすることができる。
このような不飽和脂肪酸グリセリドは、例えば、紅花油、米油、米ぬか油、菜種油、オリーブ油、カノーラ油、大豆油等の植物由来の油脂、牛油等の各種動物由来の油脂等の天然由来の油脂から効率良く得ることができる。
このような飽和脂肪酸成分を構成する飽和脂肪酸としては、例えば、酪酸(C4)、カプロン酸(C6)、カプリル酸(C8)、カプリン酸(C10)、ラウリン酸(C12)、ミスチリン酸(C14)、パルミチン酸(C16)、ステアリン酸(C18)、アラキジン酸(C20)、ベヘン酸(C22)、リグノセリン酸(C24)等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。上記のような飽和脂肪酸の中でも、分子内の炭素数が、6〜22のものであるのが好ましく、8〜20のものであるのがより好ましく、10〜18のものであるのがさらに好ましい。このような飽和脂肪酸で構成された飽和脂肪酸成分を含むことにより、前述したような効果はさらに顕著なものとして発揮される。
酸化防止剤の熱分解温度は、具体的には、200℃以下であるのが好ましく、180℃以下であるのがより好ましい。これにより、酸化防止剤としての機能を十分に保持しつつ、トナー粒子の定着強度をより効果的に向上させることができる。
液体現像剤中に酸化重合促進剤が含まれる場合、当該酸化重合促進剤は、特に限定されないが、保存時等(画像形成装置のアイドリング時等を含む)においては、実質的に、不飽和脂肪酸成分の酸化重合反応に寄与せず、必要時(定着時)において不飽和脂肪酸成分の酸化重合(硬化)反応に寄与するものであるのが好ましい。これにより、液体現像剤の保存性(長期安定性)を優れたものとしつつ、記録媒体へのトナー粒子の定着強度を特に優れたものとすることができる。
上述したような絶縁性液体の室温(20℃)での電気抵抗は、1×109Ωcm以上であるのが好ましく、1×1011Ωcm以上であるのがより好ましく、1×1013Ωcm以上であるのがさらに好ましい。
また、絶縁性液体の誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
次にトナー粒子について説明する。
[トナー粒子の構成材料]
本発明の液体現像剤を構成するトナー粒子(トナー)は、少なくとも、結着樹脂(樹脂材料)と着色剤とを含むものである。
1.樹脂材料
液体現像剤を構成するトナーは、主成分としての樹脂材料を含む材料で構成されている。
また、トナーは、着色剤を含んでいる。着色剤としては、例えば、顔料、染料等を使用することができる。このような顔料、染料としては、例えば、カーボンブラック、スピリットブラック、ランプブラック(C.I.No.77266)、マグネタイト、チタンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、カルコオイルブルー、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ファイナルイエローグリーンG、ローダミン6G、キナクリドン、ローズベンガル(C.I.No.45432)、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー5:1、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー162、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、トナーは、上記以外の成分を含んでいてもよい。このような成分としては、例えば、ワックス、帯電制御剤、磁性粉末等が挙げられる。
ワックスとしては、例えば、オゾケライト、セルシン、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャー・トロプシュワックス等の炭化水素系ワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、ラウリン酸メチル、ミリスチン酸メチル、パルミチン酸メチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸ブチル、キャンデリラワックス、綿ロウ、木ロウ、ミツロウ、ラノリン、モンタンワックス、脂肪酸エステル等のエステル系ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等のオレフィン系ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド等のアミド系ワックス、ラウロン、ステアロン等のケトン系ワックス、エーテル系ワックス等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
また、トナー粒子の構成材料(成分)としては、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム、シリカ、酸化チタン、酸化鉄、脂肪酸、脂肪酸金属塩、等を用いてもよい。
上記のような材料で構成された本発明でのトナー粒子の平均粒径は、0.7〜3μmである。トナー粒子の平均粒径が前記範囲内の値であると、各トナー粒子間での特性のばらつきを小さいものとし、液体現像剤全体としての信頼性を高いものとしつつ、液体現像剤により形成されるトナー画像の解像度を十分に高いものとすることができる。また、トナー粒子の絶縁性液体への分散を良好にし、液体現像剤の保存性を高いものとできる。
一方、トナー粒子の平均粒径が前記上限値を超えると形成されるトナー画像の解像度を十分に高くできない。また、液体現像剤の保存時において、沈降が起こりやすくなり、液体現像剤の保存性を十分なものとできない。
前記トナー粒子の平均粒径は0.8〜2.5μmであるのが好ましく、0.8〜2.0μmであるのがより好ましく顕著な効果を得ることができる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
S=〔D(90)−D(10)〕/D(50) ・・・ (I)
(ただし、トナー粒子を小さい粒径から粒度分布の測定をした場合において累積体積にて全体の体積のX%の地点での粒径をD(X)とする。)
前記トナー粒子の粒度分布の幅Sは1.3以下が好ましく、1.2以下がより好ましく、顕著な効果を得ることができる。
R=L0/L1・・・(II)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
これにより、トナー粒子の粒径を十分に小さいものとしつつ、トナー粒子の転写効率、機械的強度を特に優れたものとすることができる。
本発明で用いるトナー粒子は、前記粒径と粒度分布を満たすものであれば特に限定されず、例えば樹脂と着色材料を含む微粒子を凝集させてなる粒子、樹脂と着色材料を含む微粒子を会合させてなる粒子(以下、会合粒子という。)、モノマー成分を絶縁体性中で重合させることにより絶縁性液体に不溶な樹脂微粒子を形成する重合法等で得られる球状の粒子、樹脂と着色材料を含む水乳化液を噴霧乾燥させて得られる粒子、およびそれらを絶縁体性液体中で粉砕または解砕させて得られる粒子、粉砕法にて得られる粒子等を用いることができる。
会合解砕粒子は微粒子が複数結合したものを解砕しており、トナー粒子表面に微小の凹凸を有している。このような微小の凹凸を有することにより、より多くの絶縁性液体を粒子表面に保持することができる。このため、保存時には前記トナー粒子の絶縁性液体への分散を容易にし、前記トナー粒子を含む液体現像剤の保存性を特に優れたものにできる。また、トナー粒子に微小の凹凸があると、トナー粒子の体積あたりの表面積が大きく、トナー粒子表面が絶縁性液体に接する面積が大きい。このため、定着時に可塑化効果をもった絶縁性液体が可塑剤としてより効果的に作用し、トナー粒子が特に容易に可塑化する。加えて、トナー粒子が微小の凹凸を有することで、記録媒体上にてトナー粒子同士の接触面積が増える結果、定着時にトナー粒子同士が溶融しやすくなり、形成された画像の定着強度を特に優れたものにし、特に高い光沢を得ることで目的とする色調の画像を特に容易に得ることが可能になる。
液体現像剤の製造方法の一例として、トナー粒子として会合解砕粒子を用いた場合について説明する。説明する製造方法は主として、樹脂材料で構成された樹脂微粒子を会合させ、会合粒子を得る会合粒子形成工程と、絶縁性液体中において会合粒子を解砕してトナー粒子を得る工程とを有する。
まず、主として樹脂材料で構成された樹脂微粒子が会合した会合粒子の調製方法の一例について説明する。
会合粒子の調製は、いかなる方法を用いるものであってもよいが、本実施形態では、水系液体で構成された水系分散媒中に、主として樹脂材料(トナー構成材料)で構成された分散質(微粒子)が分散した水系乳化液を得、当該水系乳化液中の分散質を会合させることにより、会合粒子を得る。
本実施形態で用いる水系乳化液について説明する。
後述する水系乳化液調製工程で得られる水系乳化液は、水系液体で構成された水系分散媒中に、分散質(微粒子)が微分散した構成となっている。
(水系分散媒(水系液体))
水系分散媒は、水系液体で構成されている。
本発明において、「水系液体」とは、水および/または水との相溶性に優れる液体(例えば、25℃における水100gに対する溶解度が30g以上の液体)で構成されたもののことを指す。このように、水系液体は、水および/または水との相溶性に優れる液体で構成されたものであるが、主として水で構成されたものであるのが好ましく、特に、水の含有量が70wt%以上のものであるのが好ましく、90wt%以上のものであるのがより好ましい。このようなものを用いることにより、例えば、水系分散媒中における分散質の分散性を高めることができ、水系乳化液中における分散質を、粒径が比較的小さく、かつ、大きさのばらつきの少ないものとすることができる。その結果、最終的に得られる液体現像剤中のトナー粒子は、粒子間での大きさ、形状のばらつきが小さく、円形度の大きいものとなる。
分散質は、液体現像剤中のトナー粒子を構成する成分を含むものであり、少なくとも、主成分としての樹脂またはその前駆体(以下、これらを総称して、「樹脂材料」とも言う)を含む材料で構成されている。樹脂の前駆体としては、例えば、当該樹脂のモノマー、ダイマー、オリゴマー、プレポリマー等が挙げられる。
1.樹脂(樹脂材料)
分散質は、主成分としての樹脂を含む材料で構成されている。
樹脂は、特に限定されず、前述のトナー粒子を構成する樹脂およびその前駆体を用いることができる。なお、前述した樹脂には、必要に応じて硬化剤等が含まれていてもよい。
分散質中には、その成分の少なくとも一部を溶解する溶媒が含まれていてもよい。これにより、例えば、水系乳化液中における分散質の流動性を高めることができ、水系乳化液中における分散質を、粒径が比較的小さく、かつ、大きさのばらつきの少ないものとすることができる。その結果、最終的に得られる液体現像剤中のトナー粒子は、粒子間での大きさ、形状のばらつきが小さく、円形度の大きいものとなる。
また、溶媒は、前述した水系分散媒(水系液体)との相溶性が低いもの(例えば、25℃における水系分散媒100gに対する溶解度が30g以下のもの)であるのが好ましい。これにより、水系乳化液中において、分散質を安定した状態で微分散させることができる。
例えば、溶媒としては、二硫化炭素、四塩化炭素等の無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−メトキシエタノール、アリルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、2−メトキシエタノール等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ジデカン、メチルシクロヘキセン、イソプレン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、フルフリルアルコール等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化合物系溶媒、アセチルアセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、クロロ酢酸エチル、クロロ酢酸ブチル、クロロ酢酸イソブチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル等のエステル系溶媒、トリメチルアミン、ヘキシルアミン、トリエチルアミン、アニリン等のアミン系溶媒、アクリロニトリル、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ系溶媒、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、アクリルアルデヒド等のアルデヒド系溶媒等の有機溶媒等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を混合したものを用いることができる。
水系乳化液中における着色剤の含有量は、特に限定されないが、0.1〜15wt%であるのが好ましく、0.3〜10wt%であるのがより好ましい。着色剤の含有量が前記下限値未満であると、着色剤の種類によっては、十分な濃度の可視像を形成するのが困難になる可能性がある。一方、着色剤の含有量が前記上限値を超えると、最終的に得られるトナーの定着強度や帯電特性が低下する可能性がある。
水系乳化液中におけるワックスの含有量は、特に限定されないが、1.0wt%以下であるのが好ましく、0.5wt%以下であるのがより好ましい。ワックスの含有量が多すぎると、最終的に得られる液体現像剤中において、トナー粒子からワックスが遊離し、粗大化して、トナーの転写効率が低下する傾向を示す。
また、水系乳化液中には、これら以外の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、例えば、乳化分散剤、帯電制御剤、磁性粉末等が挙げられる。この中でも、乳化分散剤を用いた場合、分散質の分散性が向上するとともに、比較的容易に、水系乳化液中での分散質の形状、大きさのばらつきを特に小さいものとし、また、分散質の形状を略球形状とすることができる。その結果、最終的な液体現像剤を、略球形状で、均一な形状、大きさの揃ったトナー粒子で構成されたものとして得ることができる。ここで、乳化分散剤としては、例えば、乳化剤、分散剤、分散助剤等が挙げられる。
また、分散助剤としては、例えば、アニオン、カチオン、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
分散助剤は、分散剤と併用するものであるのが好ましい。水系乳化液が分散剤を含むものである場合、水系乳化液中における分散助剤の含有量は、特に限定されないが、2.0wt%以下であるのが好ましく、0.005〜0.5wt%であるのがより好ましい。
また、水系乳化液中には、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム等が添加されていてもよい。
また、水系乳化液中には、分散質以外の成分が、不溶分として分散していてもよい。例えば、水系乳化液中には、シリカ、酸化チタン、酸化鉄等の無機系微粉末、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の有機系微粉末等が分散していてもよい。
水系乳化液中における分散質の含有率は、特に限定されないが、5〜55wt%であるのが好ましく、10〜50wt%であるのがより好ましい。これにより、水系乳化液中における分散質同士の結合(凝集)をより確実に防止しつつ、トナー粒子(液体現像剤)の生産性を特に優れたものとすることができる。
水系乳化液中の分散質(液状の分散質)の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜3μmであるのが好ましく、0.1〜2μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の大きさを最適なものとすることができる。
上述したような水系乳化液は、例えば、以下のようにして調製することができる(水系乳化液調製工程)。
まず、前述した水系液体に、必要に応じて分散剤を添加した水性溶液を用意する。
一方、前述したようなトナーの主成分となる樹脂またはその前駆体(以下、これらを総称して、「樹脂材料」とも言う)を含む樹脂液を調製する。樹脂液の調製には、例えば、樹脂材料に加えて前述した溶媒を用いてもよい。また、樹脂液は、樹脂材料を加熱することにより得られる溶融した液体であってもよい。また、樹脂液の調製には、例えば、樹脂材料、着色剤等のトナー用材料を混練して得られた混練物を用いてもよい。このような混練物を用いることにより、トナーの構成材料中に、互いに分散または相溶し難い成分を含む場合であっても、混練を施すことにより、得られる混練物中においては、各成分が十分に相溶、微分散した状態とすることができる。特に、前述したような溶媒に対する分散性が比較的低い顔料(着色剤)を用いた場合、溶媒に分散する前に予め混練が施されることにより、顔料粒子の周囲を樹脂成分等が効果的にコーティングすることとなり、これにより、溶媒への顔料の分散性が向上し(特に溶媒への微分散が可能となり)、最終的に得られるトナーの発色性も良好となる。このようなことから、トナーの構成材料中に、前述した水系乳化液の水系分散媒に対する分散性に劣る成分や水系乳化液の分散媒に含まれる溶媒に対する溶解性に劣る成分が含まれる場合であっても、水系乳化液における分散質の分散性を特に優れたものとすることができる。
また、上記の操作の代わりに、攪拌した状態の樹脂液中に水溶性溶液を徐々に滴下しながら加えていってもよい。水溶性溶液を加えられることで、樹脂液が転相乳化し、上記の操作で得られる水系乳化液と同様の、水系分散媒中に、樹脂材料を含む分散質が分散した水系乳化液が得られる。
次に、上記のようにして得られた水系乳化液に、電解質を添加し、分散質を会合させ、会合粒子を形成する(会合粒子形成工程)。
添加する電解質としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸などの酸性物質、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニュウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシュウム、酢酸ナトリウム等の有機、無機の水溶性の塩等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、硫酸ナトリウムや硫酸アンモニウム等の1価のカチオンの硫酸塩は、均一な会合を進める上で好適に用いることができる。
このような分散安定剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、各種プルロニック系等の非イオン性界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩型のアニオン性界面活性剤、第四級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤等が挙げられる。中でも、アニオン性、非イオン性の界面活性剤は、少量の添加量であっても分散安定性に効果があり、好適に用いることができる。非イオン性界面活性剤の曇点は40℃以上であることが好ましい。
得られる会合粒子の平均粒径は、1〜10μmであるのが好ましく、1〜7μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の粒径を適度なものとすることができる。また、会合粒子の平均粒径がこのような範囲のものであると、乾燥の際に、乾燥が容易であるとともに、乾燥の際に、会合粒子が凝集し、粒子が粗大化するのを防止することができる。
次に、上記のようにして得られた会合粒子を、液体現像剤を構成する絶縁性液体中で解砕する(解砕工程)。これにより、絶縁性液体中に十分に小さい大きさのトナー粒子が安定して分散し、トナー粒子の粒度分布の幅が十分に狭い液体現像剤を提供することができる。
なお、比較的小さい会合粒子を調製して、該会合粒子を解砕せずにトナー粒子として絶縁性液体に分散し、液体現像剤とすることも考えられるが、この場合、会合粒子を乾燥させる際に、粒子が小さいため、凝集等を起こしやすく、トナー粒子の大きさにばらつきが生じてしまう。
以上、本発明の液体現像剤の実施形態としてトナー粒子に会合解砕粒子を用いた場合について説明したが、樹脂と着色材料を含んだ分散質の分散液を吐出させ、吐出液を乾燥させて粒子を得る方法でトナー粒子を製造してもよい。この方法では、分散液中には製造されるトナー粒子よりも微小な分散質を分散させることができる。したがって、核分散質の大きさおよび特性にばらつきがあったとしても分散液を吐出、乾燥させたときに、複数の分散質を結合させることができ、大きさおよび特性のばらつきの少ないトナー粒子を得ることができる。また、圧電パルス等で吐出する分散液量を調節することにより、吐出する液滴の大きさを調節することができ、容易に大きさ、形状の均一なトナー粒子を得ることができる。トナー粒子の形状は凹凸のある微粒子の結合体としても得ることができるし、また微粒子の結合体に熱処理等を施して凹凸のない球状の形状としても得ることもできる。この分散液を吐出する方法を用いた場合、得られる液体現像剤は粒度分布の幅が狭く、粒子同士のばらつきが少ないため、現像性、転写性を優れたものにできる。
次に、上述したような液体現像剤を用いる本発明の画像形成方法および画像形成装置の好適な実施形態について説明する。本発明の画像形成装置は上述したような液体現像剤を用いるものであり、トナー粒子が付着した記録媒体に対して加熱しつつ圧力をかけることによりトナー粒子を記録媒体に定着させる機構を有する。
まず、本発明の画像形成装置の第1実施形態について説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の一例を示すものであり、図2は図1に示す画像形成装置が有する定着装置の断面を示す図である。なお、図1では定着装置を省略して画像形成装置を図示した。画像形成装置P1には、円筒状の感光体P2のドラムを有し、エピクロロヒドリンゴム等で構成された帯電器P3によりその表面が均一に帯電された後、レーザーダイオード等によって記録すべき情報に応じた露光P4が行なわれて静電潜像が形成される。
同様に、中間転写ローラP18から情報記録媒体P20へ転写後に中間転写ローラP18に残留した転写残りトナーは、ウレタンゴム等で構成されたクリーニングブレードP23によって除去される。
熱定着ロールF1は、外径25mm程度、肉厚0.7mm程度のパイプ材をロール基材F1bとして、その外周に厚み0.4mm程度の弾性体F1cを被覆して形成され、ロール基材F1bの内部に、加熱源として1,050W、2本の柱状ハロゲンランプF1aが内蔵されており、図に矢印で示す反時計方向に回転可能になっている。また、加圧ロールF2は、外径25mm程度、肉厚0.7mm程度のパイプ材をロール基材F2bとして、その外周に厚み0. 2mm程度の弾性体F2cを被覆して形成し、熱定着ロールF1と加圧ロールF2の圧接力を10kg以下、ニップ長を10mm程度で構成し、熱定着ロールF1に対向して配置し、図に矢印で示す時計方向に回転可能になっている。
記録媒体上の未定着のトナー画像を熱定着ローラで加熱し、その後紫外線照射することにより、記録媒体に染み込んだ不飽和脂肪酸成分が確実に酸化重合して、定着に寄与することができる。これにより、染み込んだ絶縁性液体中の不飽和脂肪酸成分を熱と紫外線照射により固化させて、アンカー効果を起こし、トナー粒子を記録媒体上に強固に定着させることができる。加えて、不飽和脂肪酸成分の酸化重合を利用することにより、熱定着ローラによって特に高い温度に加熱しなくても、トナー粒子を記録媒体上に強固に定着させることができる。さらに、定着に大きな熱量を必要としないため、前述した定着ニップ部を通過する時間を比較的短いものとしても、紫外線照射によって十分にトナー粒子を記録媒体上に定着させることができる。すなわち、定着に時間がかからないため、印刷速度のさらなる高速化を図ることができる。また、定着に大きい熱量を必要としないため、省エネルギー化も図ることができ、環境に優しいトナー定着を行える。
次に、本発明の画像形成装置の第2実施形態について説明する。
図3は、本発明の非接触方式の画像形成装置の一例を示すものである。非接触方式にあっては、現像ローラP13には0.5mm厚のリン青銅板で構成された帯電ブレードP24が設けられる。帯電ブレードP24は液体現像剤層に接触して摩擦帯電させる機能を有すると共に、塗布ローラP12がグラビアロールであるために現像ローラP13上にはグラビアロール表面の凹凸に応じた現像剤層が形成されるので、その凹凸を均一に均す機能を果たすものであり、配置方向としては現像ローラの回転方向に対してカウンタ方向でもトレイル方向のいずれでもよく、また、ブレート形状ではなくローラ形状でもよい。
上述のような方法、装置を用いて画像形成を行った場合、未定着トナー画像を定着する際に熱あるいは紫外線等のエネルギーを未定着トナー画像に加えることにより、トナー粒子表面に付着した不飽和脂肪酸グリセリドの酸化重合反応が起こり、トナー間の絶縁性液体の固化反応が起こる結果、定着強度が特に優れ、画像解像度が特に優れたトナー画像が得られる。
例えば、本発明の液体現像剤は、前述したような画像形成装置、定着装置に適用されるものに限定されない。
また、前述した実施形態では、水系乳化液を得、該水系乳化液に電解質を添加することにより会合粒子を得るものとして説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、会合粒子は、水系液体に、着色剤とモノマーと界面活性剤と重合開始剤とを分散させ、乳化重合により、水系乳化液を調製し、該水系乳化液に電解質を添加して会合させる乳化重合会合法を用いて調製されたものであってもよいし、得られた水系乳化液を噴霧乾燥することにより会合粒子を得るものであってもよい。
(実施例1)
<絶縁性液体を構成する液体の調製>
絶縁性液体として用いる、主として不飽和脂肪酸グリセリドを含む液体および主として不飽和脂肪酸メチルエステルを含む液体を以下のようにして調製した。
はじめに、溶剤として、メタノール、ジエチルエーテル、石油エーテル、アセトン等を用いた低温結晶法により粗大豆油を粗精製した。
次に、粗精製した粗大豆油(第1の粗精製油):300体積部をフラスコに投入し、その後、フラスコ内に沸騰した水:100体積部を注いでフラスコに栓をした。
次に、フラスコ内の混合液が、3層に分離するまで、フラスコを静置した。
完全に分離が確認された後、フラスコを冷凍庫に移し、24時間放置した。
その後、凍結していない成分を別のフラスコに移した。
次に、フラスコ内に、前述のようにして得られた粗製油脂(第2の粗精製油):100体積部と、主として含水ケイ酸アルミニウムで構成された活性白土:35体積部とを混合・撹拌した。
その後、沈殿物を除去し、精製した大豆油(以下、単に大豆油という。)を得た。なお、大豆油には主にリノール酸を主成分とする脂肪酸グリセリドが含まれており、大豆油中の不飽和脂肪酸グリセリドは98wt%であった。また、リノール酸成分は全脂肪酸成分のうち53mol%であった。
まず、ポリエステル樹脂(軟化温度:125℃、Tg:60.5℃、酸価:7.7)と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3)との混合物(質量比50:50)を用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を2軸混練押出機を用いて混練した。2軸混練押出機の押出口から押し出された混練物を冷却した。
得られた混練物の粉末に固形分含有量が30質量%となるようにメチルエチルケトンを加え、アイガーモーターミル(米国アイガー社製:M−1000)で湿式分散して着色剤マスター溶液を調製した。
上記着色剤マスター溶液:133重量部にメチルエチルケトン:140重量部および前記ポリエステル樹脂:60重量部を加えて、アイガーモーターミル(米国アイガー社製:M−1000)で混合し、樹脂液を作製した。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
マックスブレンド攪拌翼を有する円筒型の2Lセパラブルフラスコに上述の樹脂液を500重量部、メチルエチルケトンを45.5重量部入れ、樹脂液の固形分含有量を55%とした。
次いでフラスコ内の樹脂液に1規定アンモニア水:41.7重量部(前記ポリエステル樹脂が有するカルボキシル基の総量に対するモル当量比は1.1)を加えて、スリーワンモーター(新東科学社製)により、攪拌羽の回転数を210rpm(攪拌翼の周速:0.71m/s)として十分に攪拌し、その後攪拌を維持しながら、脱イオン水:133重量部を加えた。フラスコ内の溶液の温度を25℃に調整し、攪拌を継続しながら、上記樹脂液に対して133重量部の脱イオン水を滴下して転相乳化を起こし、樹脂材料を含む分散質が分散した水系乳化液を得た。
次に、フラスコ内の攪拌を継続しつつ、水系乳化液に1規定アンモニア水と水との総量が593重量部となるように脱イオン水:285重量部を加えた。次いで、水系乳化液に対して、アニオン型乳化剤であるエマール0(花王社製):2.6重量部を脱イオン水:30重量部に希釈して添加した。
得られた会合体分散液に対して、減圧下で有機溶剤を留去することにより乾燥し、会合粒子を得た。
なお、各実施例、比較例でのそれぞれの粒子の平均粒径は体積基準平均粒径であり、これらの粒子の平均粒径および粒度分布はMastersizer 2000粒子解析装置(Malvern Instruments Ltd.製)にて測定を行った。
上記の方法で得られた会合粒子:40g、大豆油脂肪酸メチルエステル:60g、大豆油:100g、ポリアミン脂肪族縮重合体(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース11200」):1g及びステアリン酸アルミニウム(日本油脂製):0.5gをセラミック製ポット(内容積600ml)に入れ、さらにジルコニアボール(ボール直径:3mm)を体積充填率30%になるようにセラミック製ポットに入れた。卓上ポットミルにて回転速度210rpmで120時間解砕を行い、ポット内の分散液をジルコニアボールと分離して取り出し液体現像剤を得た。
粗菜種油を実施例1の大豆油と同様の操作にて精製し、精製した菜種油(以下、単に菜種油という。)を得た。なお、菜種油には主にオレイン酸を主成分とする脂肪酸グリセリドが含まれており、菜種油中の不飽和脂肪酸グリセリドは98wt%であった。また、オレイン酸成分、リノール酸成分は全脂肪酸成分のうちそれぞれ、58mol%、24mol%であった。
以下、絶縁性液体として、大豆油脂肪酸メチルエステルの代わりに、菜種油脂肪酸メチルエステル:60gを用い、大豆油の代わりに、菜種油:100gを用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
粗ヒマシ油を実施例1の大豆油と同様の操作にて精製し、精製したヒマシ油(以下、単にヒマシ油という。)を得た。なお、ヒマシ油には主にオレイン酸を主成分とする脂肪酸グリセリドが含まれており、ヒマシ油中の不飽和脂肪酸グリセリドは98wt%であった。また、オレイン酸成分、リノール酸成分は全脂肪酸成分のうちそれぞれ、92mol%、3mol%であった。 次に、このヒマシ油の一部とメタノールとのエステル交換反応を行い、この反応により生じたグリセリンを取り除くことにより、主として脂肪酸モノエステルで構成された液体を得た。さらに、この液体を精製することにより、脂肪酸モノエステルの含有率が99.9wt%以上のヒマシ油脂肪酸メチルエステルを得た。
以下、絶縁性液体として、大豆油脂肪酸メチルエステルの代わりに、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル:60gを用い、大豆油の代わりに、ヒマシ油:100gを用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
絶縁性液体として、大豆油脂肪酸メチルエステルの量を120gとし、大豆油の量を40gとした以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(実施例5)
卓上ポットミルでの解砕時間を96時間とした以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(実施例6)
卓上ポットミルでの解砕において、ボール直径:1mmのジルコニアボールを用い、解砕時間を168時間とした以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
粗アマニ油を実施例1の大豆油と同様の操作にて精製し、精製したアマニ油(以下、単にアマニ油という。)を得た。なお、アマニ油には主にα−リノレン酸を主成分とする脂肪酸グリセリドが含まれており、アマニ油中の不飽和脂肪酸グリセリドは98wt%であった。また、α−リノレン酸成分、リノール酸成分は全脂肪酸成分のうちそれぞれ、18mol%、15mol%であった。
以下、絶縁性液体として、大豆油脂肪酸メチルエステルの代わりに、アマニ油脂肪酸メチルエステル:60gを用い、大豆油の代わりに、アマニ油:80gと大豆油:20gを用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
まず、自己分散型樹脂としての、側鎖に多数の−SO3 −基(スルホン酸Na基)を有するポリエステル樹脂(ガラス転移点:55℃、軟化温度:123℃):80重量部と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3):20重量部とを用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の粉末とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
次に、混練物の粗粉砕物:100重量部をトルエン:250重量部に添加し、超音波ホモジナイザー(出力:400μA)を用いて、1時間処理することにより、混練物の自己分散型樹脂が溶解した溶液を得た。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
この水系液体をホモミキサー(特殊機化工業社製)で攪拌回転数を調整しながら攪拌した。
このような攪拌状態の水系液体中に、上記溶液(混練物のトルエン溶液)を滴下した。これにより、平均粒径が0.2μmの分散質が均一に分散した水系乳化液が得られた。
得られたトナー粒子:40gと、絶縁性液体としての大豆油脂肪酸メチルエステル:60gおよび大豆油:100gと、分散剤としてのポリアミン脂肪族縮重合体(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース11200」):1gと、帯電制御剤としてのステアリン酸マグネシウム:0.5gとを用意した。
これらの成分を乳化分散機(エム・テクニック社製)を用いて回転数10000rpmで液温が樹脂のガラス転移温度以上にならないよう注意しながら分散させた。
なお、得られた液体現像剤中における、トナー粒子の平均粒径は1.03μmであった。
(実施例9)
絶縁性液体として、大豆油脂肪酸メチルエステルを用いず、大豆油の量を160gとした以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
絶縁性液体として、大豆油脂肪酸メチルエステル、大豆油の代わりに、流動パラフィン:160gを用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
(比較例2)
絶縁性液体として、大豆油脂肪酸メチルエステルの代わりに、アマニ油脂肪酸メチルエステル:60gを用い、大豆油の代わりに、アマニ油:100gを用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
粗オリーブ油を実施例1の大豆油と同様の操作にて精製し、精製したオリーブ油(以下、単にオリーブ油という。)を得た。なお、オリーブ油には主にオレイン酸を主成分とする脂肪酸グリセリドが含まれており、オリーブ油中の不飽和脂肪酸グリセリドは99wt%であった。また、オレイン酸成分、リノール酸成分は全脂肪酸成分のうちそれぞれ、73mol%、11mol%であった。
以下、絶縁性液体として、大豆油脂肪酸メチルエステルの代わりに、オリーブ油脂肪酸メチルエステル:60gを用い、大豆油の代わりに、オリーブ油:100gを用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
卓上ポットミルでの解砕時間を40時間とした以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した
(比較例5)
卓上ポットミルでの解砕において、ボール直径:1mmのジルコニアボールを用い、解砕時間を300時間とした以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
卓上ポットミルでの解砕において、ボール直径:5mmのジルコニアボールを用いて解砕した以外は前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
以上の各実施例および各比較例について、液体現像剤の製造条件および物性を表1に示した。なお、表中、不飽和脂肪酸の種類の項目においてオレイン酸をOL、リノール酸をLN、α−リノレン酸をLLと示す。
上記のようにして得られた各液体現像剤を用いて形成したトナー画像について定着強度、転写効率、現像効率および解像力の評価を行った。
[2.1]定着強度
図1に示すような画像形成装置から定着装置を取り外して、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙(セイコーエプソン社製、上質紙 LPCPPA4)上に形成した。その後、記録紙上に形成された画像について、オーブンによる熱定着を行った。この熱定着は、120℃×30分間という条件で行った。
◎◎:画像濃度残存率が95%以上。
◎ :画像濃度残存率が90%以上95%未満。
○ :画像濃度残存率が80%以上90%未満。
△ :画像濃度残存率が70%以上80%未満。
× :画像濃度残存率が70%未満。
図1に示すような画像形成装置から、二次転写ローラP19および図2のような定着装置を取り外し、中間転写ローラP18に画像形成を行った。感光体P2上の残存トナーおよび中間転写ローラP18上に付着したトナーをそれぞれメンディングテープにより採取した。各メンディングテープ上のトナー画像の画像濃度をX−Rite Inc社製「X−Rite model 404」により測定し、下記式より転写効率を求め、以下の4段階の基準に従い評価した。
(A:感光体P2上の残存トナーを採取したメンディングテープ上にあるトナー画像の画像濃度。B:中間転写ローラP18上のトナーを採取したメンディングテープ上にあるトナー画像の画像濃度。)
◎ :転写効率が90%以上。
○ :転写効率が80%以上90%未満。
△ :転写効率が70%以上80%未満。
× :転写効率が70%未満。
図1に示すような画像形成装置から、中間転写ローラP18、二次転写ローラP19および図2のような定着装置を取り外し、感光体P2に現像を行った。感光体P2上の残存トナーおよび現像ローラP13上に付着したトナーをそれぞれメンディングテープにより採取した。各メンディングテープ上のトナー画像の画像濃度をX−Rite Inc社製「X−Rite model 404」により測定し、下記式より現像効率を求め、以下の5段階の基準に従い評価した。
(C:現像ローラP13の残存トナーを採取したメンディングテープ上にあるトナー画像の画像濃度。D:感光体P2上のトナーを採取したメンディングテープ上にあるトナー画像の画像濃度。)
◎◎:現像効率が95%以上。
◎ :現像効率が90%以上95%未満。
○ :現像効率が80%以上90%未満。
△ :現像効率が70%以上80%未満。
× :現像効率が70%未満。
図1に示すような画像形成装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙上に形成し、目視にて解像力を調べた。
[2.5]高速印刷適性
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤を用いて、画像形成装置の定着温度を160℃、定着ロールのニップ時間を0.06秒に設定して紫外線照射手段F8にて紫外線照射を行わずに、画像形成を行い、得られた画像についてムラ、にじみ等の画質等の不良を以下の4段階の基準に従い評価した。(条件1)
◎ :ムラ、にじみ等の画質等の不良はまったく認められない。
○ :ムラ、にじみ等の画質等の不良はわずかに認められる。
△ :ムラ、にじみ等の画質等の不良ははっきりと認められる。
× :ムラ、にじみ等の画質等の不良は顕著に認められる。
また、各実施例および各比較例で得られた液体現像剤を用いて、画像形成装置の定着温度を140℃、定着ロールのニップ時間を0.03秒に設定して紫外線照射手段F8にて紫外線照射を行いながら画像形成を行い、上記と同様にして得られた画像について画質の不良を評価した。(条件2)
これらの結果を表2にまとめて示す。
また、各実施例では紫外線照射手段にて紫外線を照射した場合には、短時間かつ低温での定着にて良好な画像品質が得られたのに対し、比較例では良好な画像品質が得られなかった。
さらに、着色剤として、シアン系顔料の代わりに、ピグメントレッド122、ピグメントイエロー180、カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)を用いた以外は、上記と同様に液体現像剤の製造、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
Claims (8)
- 絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤であって、
前記トナー粒子の平均粒径が0.7〜3μmであり、
下記式(I)で表される前記トナー粒子の粒度分布の幅Sが1.4以下であり、
かつ、前記絶縁性液体が不飽和脂肪酸のグリセリドを含み、
前記絶縁性液体のヨウ素価が100〜200であることを特徴とする液体現像剤。
S=〔D(90)−D(10)〕/D(50) ・・・ (I)
(ただし、トナー粒子を小さい粒径から粒度分布の測定をした場合において累積体積にて全体の体積のX%の地点での粒径をD(X)とする。) - 前記絶縁性液体の粘度は5〜1000mPa・sである請求項1に記載の液体現像剤。
- 前記不飽和脂肪酸のグリセリドを構成する不飽和脂肪酸成分としてリノール酸を含むものである請求項1または2に記載の液体現像剤。
- 前記不飽和脂肪酸のグリセリドを構成する全脂肪酸成分に対する前記リノール酸の含有率は15mol%以上である請求項3に記載の液体現像剤。
- トナー粒子が付着した記録媒体に対して加熱しつつ圧力をかけることにより前記トナー粒子を前記記録媒体に定着させる画像形成方法において請求項1ないし4のいずれかに記載の液体現像剤を用いることを特徴とする画像形成方法。
- 前記記録媒体への前記トナー粒子の定着時にトナー画像に対して紫外線を照射する請求項5に記載の画像形成方法。
- トナー粒子が付着した記録媒体に対して加熱しつつ圧力をかけることにより前記トナー粒子を記録媒体に定着させる画像形成装置において請求項1ないし4のいずれかに記載の液体現像剤を用いることを特徴とする画像形成装置。
- 前記記録媒体への前記トナー粒子の定着時にトナー画像に対して紫外線を照射する装置を有する請求項7に記載の画像形成装置。
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