JP4940697B2 - 液体現像剤の製造方法および液体現像剤 - Google Patents
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Description
乾式トナーは、通常、着色剤および結着樹脂を含む材料を乾式状態で粉砕する乾式粉砕法により製造される。しかしながら、乾式トナーでは、固体状態のトナーを取り扱うので、取り扱い上の有利さはあるものの、粉体による人体等への悪影響が懸念されるほか、トナーの飛散による汚れ、トナーを分散した際の均一性等に問題があった。また、乾式トナーでは、保存時等における粒子の凝集が起こり易く、トナー粒子の大きさを十分に小さくするのが困難であり、解像度の高いトナー画像を形成するのが困難であるという問題がある。また、トナー粒子の大きさを比較的小さなものとした場合には、上述したような粉体であることによる問題が更に顕著なものとなる。
しかしながら、従来の液体現像剤の製造方法では、以下のような問題点があった。
本発明の液体現像剤の製造方法は、絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を製造する方法であって、
主として樹脂材料で構成された微粒子を会合させ、会合粒子を得る工程と、
前記絶縁性液体中において、前記会合粒子を解砕し、トナー粒子を得る工程とを有することを特徴とする。
これにより、十分に小さい大きさのトナー粒子が安定して分散した液体現像剤を効率良く製造することができる。
脂肪酸モノエステルは、比較的粘度が低いため、会合粒子を構成する微粒子の間に侵入しやすく、好適に会合粒子を解砕することができる。また、環境に優しい液体現像剤を提供することができる。
中鎖脂肪酸エステルは、トナー粒子を構成する樹脂材料に対する界面張力が小さく、また、粘度も小さいため、会合粒子を構成する微粒子の間により効果的に侵入させることができ、より効果的に会合粒子を解砕することができる。また、トナー粒子を構成する樹脂材料に対する界面張力が小さいとともに、トナー粒子(トナー粒子を構成する樹脂材料)との親和性が高いため、トナー粒子の分散性を特に高いものとすることができる。また、環境に優しい液体現像剤を提供することができる。
これにより、液体現像剤の保存性、長期安定性を特に優れたものとすることができる。
本発明の液体現像剤の製造方法では、解砕に用いる前記絶縁性液体は、低粘度流動パラフィンを含むものであることが好ましい。
低粘度流動パラフィンは、粘度が低いため、会合粒子を構成する微粒子の間に侵入しやすく、好適に会合粒子を解砕することができる。
これにより、会合粒子の解砕をより効率良く行うことができる。
本発明の液体現像剤の製造方法では、解砕に用いる前記絶縁性液体の前記樹脂材料に対する界面張力は、35mN/m以下であることが好ましい。
これにより、トナー粒子の分散性をより効果的に向上させることができ、液体現像剤の保存性を効果的に向上させることができる。
ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性を高いものとすることができる。
本発明の液体現像剤は、本発明の方法により製造されたことを特徴とする。
これにより、十分に小さい大きさのトナー粒子が安定して分散した液体現像剤を提供することができる。
まず、本発明の液体現像剤の製造方法について説明する。
本発明の液体現像剤の製造方法は、主として樹脂材料で構成された樹脂微粒子を会合させ、会合粒子を得る会合粒子形成工程と、絶縁性液体中において会合粒子を解砕してトナー粒子を得る工程とを有する。
まず、主として樹脂材料で構成された樹脂微粒子が会合した会合粒子の調製方法の一例について説明する。
会合粒子の調製は、いかなる方法法を用いるものであってもよいが、本実施形態では、水系液体で構成された水系分散媒中に、主として樹脂材料(トナー構成材料)で構成された分散質(微粒子)が分散した水系乳化液を得、当該水系乳化液中の分散質を会合させることにより、会合粒子を得る。
まず、本実施形態で用いる水系乳化液について説明する。
後述する水系乳化液調製工程で得られる水系乳化液は、水系液体で構成された水系分散媒中に、分散質(微粒子)が微分散した構成となっている。
(水系分散媒(水系液体))
水系分散媒は、水系液体で構成されている。
分散質は、液体現像剤中のトナー粒子を構成する成分を含むものであり、少なくとも、主成分としての樹脂またはその前駆体(以下、これらを総称して、「樹脂材料」とも言う)を含む材料で構成されている。樹脂の前駆体としては、例えば、当該樹脂のモノマー、ダイマー、オリゴマー等が挙げられる。
1.樹脂(樹脂材料)
分散質は、主成分としての樹脂(バインダー樹脂)を含む材料で構成されている。
本発明においては、樹脂(バインダー樹脂)は、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。上述した中でも、ポリエステル樹脂は、例えば、後に詳述するような絶縁性液体との親和性が特に高く、トナー粒子を構成する樹脂材料としてポリエステル樹脂を用いた場合、液体現像剤中でのトナー粒子の分散性を特に優れたものとすることができる。また、ポリエステル樹脂は、透明性が高く、結着樹脂として用いた場合、得られる画像の発色性を高いものとすることができる。
なお、前述した樹脂には、必要に応じて硬化剤等が含まれていてもよい。
分散質中には、その成分の少なくとも一部を溶解する溶媒が含まれていてもよい。これにより、例えば、水系乳化液中における分散質の流動性を高めることができ、水系乳化液中における分散質を、粒径が比較的小さく、かつ、大きさのばらつきの少ないものとすることができる。その結果、最終的に得られる液体現像剤中のトナー粒子は、粒子間での大きさ、形状のばらつきが小さく、円形度の大きいものとなる。
また、溶媒は、前述した水系分散媒(水系液体)との相溶性が低いもの(例えば、25℃における水系分散媒100gに対する溶解度が30g以下のもの)であるのが好ましい。これにより、水系乳化液中において、分散質を安定した状態で微分散させることができる。
例えば、溶媒としては、二硫化炭素、四塩化炭素等の無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−メトキシエタノール、アリルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、2−メトキシエタノール等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ジデカン、メチルシクロヘキセン、イソプレン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、フルフリルアルコール等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化合物系溶媒、アセチルアセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、クロロ酢酸エチル、クロロ酢酸ブチル、クロロ酢酸イソブチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル等のエステル系溶媒、トリメチルアミン、ヘキシルアミン、トリエチルアミン、アニリン等のアミン系溶媒、アクリロニトリル、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ系溶媒、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、アクリルアルデヒド等のアルデヒド系溶媒等の有機溶媒等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を混合したものを用いることができる。
ワックスの軟化温度は、特に限定されないが、50〜130℃であるのが好ましく、50〜120℃であるのがより好ましい。
また、分散助剤としては、例えば、アニオン、カチオン、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
分散助剤は、分散剤と併用するものであるのが好ましい。水系乳化液が分散剤を含むものである場合、水系乳化液中における分散助剤の含有量は、特に限定されないが、2.0wt%以下であるのが好ましく、0.005〜0.5wt%であるのがより好ましい。
前記磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
また、水系乳化液中には、分散質以外の成分が、不溶分として分散していてもよい。例えば、水系乳化液中には、シリカ、酸化チタン、酸化鉄等の無機系微粉末、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の有機系微粉末等が分散していてもよい。
水系乳化液中における分散質の含有率は、特に限定されないが、5〜55wt%であるのが好ましく、10〜50wt%であるのがより好ましい。これにより、水系乳化液中における分散質同士の結合(凝集)をより確実に防止しつつ、トナー粒子(液体現像剤)の生産性を特に優れたものとすることができる。
水系乳化液中の分散質(液状の分散質)の平均粒径は、特に限定されないが、0.01〜3μmであるのが好ましく、0.1〜2μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の大きさを最適なものとすることができる。なお、本明細書では、「平均粒径」とは、体積基準の平均粒径のことを指すものとする。
上述したような水系乳化液は、例えば、以下のようにして調製することができる(水系乳化液調製工程)。
まず、前述した水系液体に、必要に応じて分散剤を添加した水性溶液を用意する。
一方、前述したようなトナーの主成分となる樹脂またはその前駆体(以下、これらを総称して、「樹脂材料」とも言う)を含む樹脂液を調製する。樹脂液の調製には、例えば、樹脂材料に加えて前述した溶媒を用いてもよい。また、樹脂液は、樹脂材料を加熱することにより得られる溶融した液体であってもよい。また、樹脂液の調製には、例えば、樹脂材料、着色剤等のトナー用材料を混練して得られた混練物を用いてもよい。このような混練物を用いることにより、トナーの構成材料中に、互いに分散または相溶し難い成分を含む場合であっても、混練を施すことにより、得られる混練物中においては、各成分が十分に相溶、微分散した状態とすることができる。特に、前述したような溶媒に対する分散性が比較的低い顔料(着色剤)を用いた場合、溶媒に分散する前に予め混練が施されることにより、顔料粒子の周囲を樹脂成分等が効果的にコーティングすることとなり、これにより、溶媒への顔料の分散性が向上し(特に溶媒への微分散が可能となり)、最終的に得られるトナーの発色性も良好となる。このようなことから、トナーの構成材料中に、前述した水系乳化液の水系分散媒に対する分散性に劣る成分や水系乳化液の分散媒に含まれる溶媒に対する溶解性に劣る成分が含まれる場合であっても、水系乳化液における分散質の分散性を特に優れたものとすることができる。
次に、上記のようにして得られた水系乳化液に、電解質を添加し、分散質を会合させ、会合粒子を形成する(会合粒子形成工程)。
添加する電解質としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸などの酸性物質、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニュウム、硫酸カリウム、硫酸マグネシウム、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、塩化カルシュウム、酢酸ナトリウム等の有機、無機の水溶性の塩等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。中でも、硫酸ナトリウムや硫酸アンモニウム等の1価のカチオンの硫酸塩は、均一な会合を進める上で好適に用いることができる。
このような分散安定剤としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、各種プルロニック系等の非イオン性界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩型のアニオン性界面活性剤、第四級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤等が挙げられる。中でも、アニオン性、非イオン性の界面活性剤は、少量の添加量であっても分散安定性に効果があり、好適に用いることができる。非イオン性界面活性剤の曇点は40℃以上であることが好ましい。
得られる会合粒子の平均粒径は、1〜10μmであるのが好ましく、1〜7μmであるのがより好ましい。これにより、最終的に得られるトナー粒子の粒径を適度なものとすることができる。また、会合粒子の平均粒径がこのような範囲のものであると、乾燥の際に、乾燥が容易であるとともに、乾燥の際に、会合粒子が凝集し、粒子が粗大化するのを防止することができる。
次に、上記のようにして得られた会合粒子を、液体現像剤を構成する絶縁性液体中で解砕する(解砕工程)。これにより、絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤が得られる。
このように、本発明では、得られた会合粒子を絶縁性液体中で解砕してトナー粒子する点に特徴を有している。これにより、十分に小さい大きさのトナー粒子が安定して分散した液体現像剤を提供することができる。
なお、比較的小さい会合粒子を調製して、該会合粒子を解砕せずにトナー粒子として絶縁性液体に分散し、液体現像剤とすることも考えられるが、この場合、会合粒子を乾燥させる際に、粒子が小さいため、凝集等を起こしやすく、トナー粒子の大きさにばらつきが生じてしまう。
なお、本明細書中において、中鎖脂肪酸エステルを構成する中鎖脂肪酸とは、炭素数が8〜10のもののことを指す。
なお、上記説明では、会合粒子の解砕を、最終的に得られる液体現像剤を構成する絶縁性液体の全量を用いて行うものとして説明したが、絶縁性液体の一部を用いて行うものであってもよい。これにより、より効率良く解砕することができる。
上述したような絶縁性液体の室温(20℃)での電気抵抗は、1×109Ωcm以上であるのが好ましく、1×1011Ωcm以上であるのがより好ましく、1×1013Ωcm以上であるのがさらに好ましい。
また、解砕に用いる絶縁性液体の粘度は、1000mPa・s以下であるのが好ましく、1〜300mPa・sであるのがより好ましい。これにより、会合粒子の解砕をより効率良く行うことができる。
また、解砕に用いる絶縁性液体の、トナー粒子を構成する樹脂材料に対する界面張力は、35mN/m以下であるのが好ましく、32mN/m以下であるのがより好ましい。これにより、トナー粒子の分散性をより効果的に向上させることができ、液体現像剤の保存性を効果的に向上させることができる。
また、液体現像剤を構成するトナー粒子についての下記式(I)で表される円形度Rの平均値(平均円形度)は、0.85以上であるのが好ましく、0.90〜0.98であるのがより好ましく、0.92〜0.98であるのがさらに好ましい。
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
これにより、トナー粒子の絶縁性液体に対する分散性を高いものとしつつ、トナー粒子の転写効率、機械的強度を特に優れたものとすることができる。
図1は、本発明の液体現像剤が適用される接触方式の液体現像装置の一例を示すものである。液体現像装置P1には、円筒状の感光体P2のドラムを有し、エピクロロヒドリンゴム等で構成された帯電器P3によりその表面が均一に帯電された後、レーザーダイオード等によって記録すべき情報に応じた露光P4が行なわれて静電潜像が形成される。
また、感光体から中間転写ローラへのトナー画像の転写の後には、感光体は、除電光P21によって除電されるとともに、感光体上に残留した転写残りトナーは、ウレタンゴム等で構成されたクリーニングブレードP22によって除去される。
感光体P2上に形成されたトナー像は、中間転写ローラP18に対して転写された後に、二次転写ローラP19に転写電流を通電して、両者の間を通過する記録媒体F5に画像が転写され、記録媒体F5上でのトナー画像は、後述するような定着装置を使用して定着が行われる。
なお、図1、図2共に一色の液体現像剤による画像形成について説明したが、複数色のカラートナーを用いて画像形成する場合には、複数色の現像器を用いて各色の画像を形成してカラー画像を形成することができる。
定着装置F40は、図3に示すように、熱定着ローラF1と、加圧ローラF2と、耐熱ベルトF3と、ベルト張架部材F4と、クリーニング部材F6と、フレームF7と、スプリングF9とを有している。
熱定着ローラ(定着ローラ)F1は、パイプ材で構成されたローラ基材F1bと、その外周を被覆する弾性体F1cと、ローラ基材F1bの内部に、加熱源としての柱状ハロゲンランプF1aとを有しており、図に矢印で示す反時計方向に回転可能になっている。
また、熱定着ローラF1の弾性体F1cの表層にはPFA層が設けられている。これにより、各弾性体F1c、2cの厚みは異なるが、両弾性体F1c、2cは略均一な弾性変形をして、いわゆる水平ニップが形成され、また、熱定着ローラF1の周速に対して、後述する耐熱ベルトF3または記録媒体F5の搬送速度に差異が生じることもないので、極めて安定した画像定着が可能となる。
前述した熱定着ローラF1の弾性体F1cと加圧ローラF2の弾性体F2cとは、略均一な弾性変形をして、いわゆる水平ニップを形成する。また、熱定着ローラF1の周速に対して、後述する耐熱ベルトF3または記録媒体F5の搬送速度に差異が生じることもないので、極めて安定した画像定着が可能となる。
この耐熱ベルトF3は、0.03mm以上の厚みを有し、その表面(記録媒体F5が接触する側の面)をPFAで形成し、裏面(加圧ローラF2およびベルト張架部材F4と接触する側の面)をポリイミドで形成した2層構成のシームレスチューブで形成されている。なお、耐熱ベルトF3は、これに限定されず、ステンレス管やニッケル電鋳管等の金属管、シリコーン等の耐熱樹脂管等の他の材料で形成することもできる。
ベルト張架部材F4は、記録媒体F5が定着ニップ部を通過しない状態において、耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架するように構成されている。記録媒体F5が定着ニップ部に進入する初期位置で定着圧力が大きいと進入がスムーズに行われなくて、記録媒体F5の先端が折れた状態で定着される場合があるが、このように耐熱ベルトF3を熱定着ローラF1の接線方向に張架する構成にすることで、記録媒体F5の進入がスムーズに行われる記録媒体F5の導入口部が形成でき、安定した記録媒体F5の定着ニップ部への進入が可能となる。
定着装置F40において、後述するような画像形成装置を用いて未定着のトナー画像F5aが形成された記録媒体F5は、上記ニップ初期位置から定着ニップ部に進入して耐熱ベルトF3と熱定着ローラF1との間を通過し、ニップ終了位置から抜け出ることで、記録媒体F5上に形成された未定着のトナー画像F5aが熱定着され、その後、熱定着ローラF1への加圧ローラF2の押圧部の接線方向Lに排出される。
このクリーニング部材F6は耐熱ベルトF3の内周面に摺接して耐熱ベルトF3の内周面の異物や摩耗粉等をクリーニングするものである。このように異物や摩耗粉等をクリーニングすることで、耐熱ベルトF3をリフレッシュし、前述の摩擦係数の不安定要因を除去している。また、ベルト張架部材F4に凹部F4fが設けられており、耐熱ベルトF3から除去した異物や摩耗粉等を収納するよう構成されている。
未定着トナー画像を定着する際の定着温度は、80〜200℃であるのが好ましく、80〜180℃であるのがより好ましい。
例えば、本発明の液体現像剤は、前述したような液体現像装置、定着装置に適用されるものに限定されない。
また、前述した実施形態では、水系乳化液を得、該水系乳化液に電解質を添加することにより会合粒子を得るものとして説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、会合粒子は、水系液体に、着色剤とモノマーと界面活性剤と重合開始剤とを分散させ、乳化重合により、水系乳化液を調製し、該水系乳化液に電解質を添加して会合させる乳化重合会合法を用いて調製されたものであってもよいし、得られた水系乳化液を噴霧乾燥することにより会合粒子を得るものであってもよい。
(実施例1)
まず、ポリエステル樹脂(軟化温度:99℃):80重量部と、着色剤としてのシアン系顔料(大日精化社製、ピグメントブルー15:3):20重量部とを用意した。これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
上記のようにして冷却された混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.0mm以下の粉末とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
次に、混練物の粗粉砕物:100重量部をトルエン:250重量部に添加し、超音波ホモジナイザー(出力:400μA)を用いて、1時間処理することにより、混練物のポリエステル樹脂が溶解した溶液を得た。なお、この溶液中において、顔料は均一に微分散していた。
この水系液体をホモミキサー(特殊機化工業社製)で攪拌回転数を調整しつつ、撹拌した。
このような攪拌状態の水系液体中に、上記溶液(混練物のトルエン溶液)を滴下した。これにより、平均粒径が0.5μmの分散質が均一に分散した水系乳化液が得られた。なお、得られた水系乳化液中の固形分(分散質)濃度は35wt%であった。
次に、撹拌速度を調整するとともに、温度を30℃とした後、水系乳化液:100重量部に対して、3%の硫酸アンモニウム水溶液:35重量部を滴下した。これにより、会合粒子が分散した会合粒子分散液が得られた。
次に、500mLの容器に、4mmの炭素クロムビーズを入れ、その後、カプリル酸メチル(ライオン社製、商品名「パステルM−08」):50重量部と、分散剤としてのポリアミン脂肪族縮重合体(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース11200」):5重量部とを投入した。なお、カプリル酸メチルの粘度は、1.3mPa・s、樹脂材料に対する界面張力は、28mN/mであった。
解砕終了後、中鎖脂肪酸トリグリセライド:150重量部を投入し、混合した。混合はは、ボールミルを用いて4mmビーズを入れて24時間行った。これにより、液体現像剤が得られた。
得られた液体現像剤中における、トナー粒子の平均粒径は1.3μm、各トナー粒子間での粒径の標準偏差は0.50μmであった。
解砕に用いる絶縁性液体として、カプリル酸メチルの代わりに、大豆油脂肪酸メチル(日清オイリオ社製)を用い、解砕後に添加する絶縁性液体として、中鎖脂肪酸トリグリセライドの代わりに、大豆油(日清オイリオ社製)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。なお、大豆油脂肪酸メチルの粘度は、6.5mPa・s、樹脂材料に対する界面張力は、31mN/mであった。
解砕に用いる絶縁性液体として、カプリル酸メチルの代わりに、低粘度流動パラフィン(和光純薬工業社製)を用い、解砕後に添加する絶縁性液体として、中鎖脂肪酸トリグリセライドの代わりに、高粘度流動パラフィン(和光純薬工業社製)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。なお、低粘度流動パラフィンの粘度は、10.0mPa・s、樹脂材料に対する界面張力は、32mN/mであった。
まず、実施例1と同様にして、会合粒子を作製した。
次に、200mLの容器に、1mmの炭素クロムビーズを入れて、その後、カプリル酸メチル(ライオン社製、商品名「パステルM−08」):80重量部と、分散剤としてのポリアミン脂肪族縮重合体(日本ルーブリゾール社製、商品名「ソルスパース11200」):0.5重量部とを投入した。
得られた液体現像剤中における、トナー粒子の平均径は1.3μm、各トナー粒子間での粒径の標準偏差は0.48μmであった。
(実施例5)
樹脂材料として、エポキシ樹脂(軟化温度:80.5℃)を用いた以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を製造した。
エポキシ樹脂(軟化温度:80.5℃):80重量部と、着色剤としてのフタロシアニン顔料:20重量部とを二本ロールで樹脂の軟化点を超える100°Cで混練し、1〜10mm角に粗粉砕し、着色チップを得た。
次に、液体窒素にて冷却しながらピンミルで粉砕し、150μmの目開きのメッシュで分級すると、平均粒径42μmの粉砕物が得られた。
次に、得られた粉砕液:100重量部を、絶縁性液体:100重量部中に、超音波ホモジナイザーを照射しつつ徐々に滴下することにより、混合液を得た。なお、絶縁性液体としては、低粘度流動パラフィンと、界面活性剤(1,2−ヒドロキシステアリン酸メチル):2重量部との混合物を用いた。
次に、得られた混合液から、エバポレーターを用いて、水を除去することにより、液体現像剤を得た。なお、水の除去は、処理温度が70℃、処理圧が10kPaの条件下で行った。得られた液体現像剤中のトナー粒子の平均粒径は2.1μmであった。各トナー粒子間での粒径の標準偏差は0.85μmであった。
水系乳化液の調製における撹拌速度等の調製条件や、電解質(硫酸アンモニウム)の添加量および添加条件を適宜調整することにより、会合粒子分散液中の会合粒子の平均粒径が1.5μmとなるようにした。
次に、当該会合粒子分散液から、前述した実施例1と同様にして会合粒子を分離・乾燥した。
以上の各実施例および各比較例について、液体現像剤の製造条件を表1に示した。なお、表1中、比較例1および2の「解砕に使用した絶縁性液体」の欄には、使用した絶縁性液体の種類を記載した。
上記のようにして得られた各液体現像剤について、以下の評価を行った。
[2.1]分散安定性試験
各実施例および各比較例で得られた液体現像剤10mLを遠沈管に入れ、1000G、10分間の条件で遠心分離機にかけた後、上澄みの200μLを分集し、各実施例および各比較例で用いた絶縁性液体で100倍に希釈し、サンプルとした。
シアン系顔料の吸収域(685nm)の吸光度の値より、以下の4段階の基準に従って評価した。
◎ :吸光度が1.50以上(沈降が全く見られない)。
○ :吸光度が1.00以上1.50未満(沈降がほとんど見られない)。
△ :吸光度が0.50以上1.00未満(沈降が確認される)。
× :吸光度が0.50未満(沈降が顕著で自然放置でも沈降が始まる)。
前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤を、温度:15〜25℃の環境下に、6ヵ月間静置した。その後、液体現像剤中のトナーの様子を目視にて確認し、以下の5段階の基準に従い評価した。
◎◎:トナー粒子の浮遊および凝集沈降がまったく認められない。
◎ :トナー粒子の浮遊および凝集沈降がほとんど認められない。
○ :トナー粒子の浮遊または凝集沈降がわずかに認められるが、液体現像剤として
問題の無い範囲である。
△ :トナー粒子の浮遊または凝集沈降がはっきりと認められる。
× :トナー粒子の浮遊および凝集沈降が顕著に認められる。
帯電特性の評価は、大塚電子社製の「レーザーゼータ電位計」ELS−6000を用い、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎ :電位差が+50mV以上。
○ :電位差が+45mV以上+50mV未満。
△ :電位差が+30mV以上+45mV未満。
× :電位差が+30mV未満。
これらの結果を、トナー粒子の体積基準の平均粒径、粒径標準偏差とともに表2に示す。
また、着色剤として、シアン系顔料の代わりに、ピグメントレッド122、ピグメントイエロー180、カーボンブラック(デグサ社製、Printex L)を用いた以外は、上記と同様に液体現像剤の製造、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
Claims (9)
- 絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を製造する方法であって、
主として樹脂材料で構成された微粒子を会合させ、会合粒子を得る工程と、
前記絶縁性液体中において、前記会合粒子を解砕し、トナー粒子を得る工程とを有することを特徴とする液体現像剤の製造方法。 - 解砕に用いる前記絶縁性液体は、脂肪酸モノエステルで構成された請求項1に記載の液体現像剤の製造方法。
- 解砕に用いる前記絶縁性液体は、中鎖脂肪酸エステルを含むものである請求項1に記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記中鎖脂肪酸エステルは、中鎖脂肪酸とグリセリンとのエステルである請求項3に記載の液体現像剤の製造方法。
- 解砕に用いる前記絶縁性液体は、低粘度流動パラフィンを含むものである請求項1に記載の液体現像剤の製造方法。
- 解砕に用いる前記絶縁性液体の粘度は、1000mPa・s以下である請求項1ないし5のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
- 解砕に用いる前記絶縁性液体の前記樹脂材料に対する界面張力は、35mN/m以下である請求項1ないし6のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
- 前記樹脂材料は、ポリエステル樹脂である請求項1ないし7のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
- 請求項1ないし8のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする液体現像剤。
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