JP2006195010A - 液体現像剤の製造方法および液体現像剤 - Google Patents

液体現像剤の製造方法および液体現像剤 Download PDF

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Abstract

【課題】均一な形状を有し、粒度分布の幅の小さいトナーが分散した液体現像剤を提供すること、また、このような液体現像剤を効率良く製造することが可能な液体現像剤の製造方法を提供すること。特に、環境に優しい方法で、均一な形状を有し、粒度分布の幅の小さいトナーが分散した液体現像剤を提供すること。
【解決手段】本発明の液体現像剤の製造方法は、高絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を製造する方法であって、水系液体で構成された水系分散媒中にトナー用材料で構成された分散質が分散した水系乳化液を得る水系乳化液調製工程と、前記水系乳化液と前記高絶縁性液体とを用いて、前記分散質と前記水系分散媒と前記高絶縁性液体とを含む混合液を得る混合液調製工程と、前記混合液から、水系分散媒を除去する水系分散媒除去工程とを有することを特徴とする。前記水系乳化液中の前記分散質の平均粒径は、1〜5μmである。
【選択図】なし

Description

本発明は、液体現像剤の製造方法および液体現像剤に関するものである。
潜像担持体上に形成した静電潜像を現像するために用いられる現像剤には、顔料等の着色剤および結着樹脂を含む材料で構成されるトナーを乾式状態で用いる乾式トナーによる方法と、トナーを電気絶縁性の担体液に分散した液体現像剤を用いる方法とがある。
乾式トナーを用いる方法は、固体状態のトナーを取り扱うので、取り扱い上の有利さはあるものの、粉体による人体等への悪影響が懸念されるほか、トナーの飛散による汚れ、トナーを分散した際の均一性等に問題がある。また、乾式トナーでは、粒子の凝集が起こり易く、トナー粒子の大きさを十分に小さくするのが困難であり、解像度の高いトナー画像を形成するのが困難であるという問題がある。また、トナー粒子の大きさを比較的小さなものとした場合には、上述したような粉体であることによる問題が更に顕著なものとなる。
一方、液体現像剤を用いる方法では、液体現像剤中におけるトナー粒子の凝集が効果的に防止されるため、微細なトナー粒子を用いることが可能であり、また、結着樹脂として、低軟化点のものを用いることができる。その結果、液体現像剤を用いる方法では、細線画像の再現性が良く、階調再現性が良好で、カラーの再現性に優れており、また、高速での画像形成方法としても優れているという特徴を有している。
従来、液体現像剤は、従来、樹脂を粉砕することによりトナーを製造する粉砕法(例えば、特許文献1参照)、樹脂材料を溶媒に溶解させて得られる樹脂液を、着色剤の共存下で電気絶縁性液体と混合した後、溶媒を除去することにより、液体現像剤を製造する方法(例えば、特許文献2参照)等により、製造されてきた。
しかしながら、従来の液体現像剤の製造方法では、以下のような問題点があった。
すなわち、粉砕法では、トナー粒子を十分小さな大きさ(例えば、5μm以下)に粉砕するのが困難であり、トナー粒子の大きさを、上述したような液体現像剤を用いることによる効果を十分に発揮し得る大きさとするには、非常に長い時間、非常に大きな粉砕エネルギーを要し、液体現像剤の生産性が著しく低かった。また、粉砕法では、トナー粒子の粒度分布が広く(粒径のばらつきが大きく)なり易く、また、トナー粒子の形状が不定形で不均一になり易い。その結果、各トナー粒子間での特性(例えば、帯電特性等)のばらつきが大きくなり易い。
また、樹脂液を直接高絶縁性液体に投入する方法では、高絶縁性液体中において所望の大きさおよび形状のトナー粒子を形成するのが困難で、トナー粒子の大きさのばらつきを十分に小さくするのが困難である。その結果、トナーの品質の安定性、信頼性は、低いものになり易い。また、重合法では、トナー粒子の形成に比較的長い時間を要し、液体現像剤の生産性に劣る。
特開平7−234551号公報 特開平2000−147840号公報
本発明の目的は、均一な形状を有し、粒度分布の幅の小さいトナーが分散した液体現像剤を提供すること、また、このような液体現像剤を効率良く製造することが可能な液体現像剤の製造方法を提供することにある。特に、環境に優しい方法で、均一な形状を有し、粒度分布の幅の小さいトナーが分散した液体現像剤を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の液体現像剤の製造方法は、高絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を製造する方法であって、
水系液体で構成された水系分散媒中にトナー用材料で構成された分散質が分散した水系乳化液を得る水系乳化液調製工程と、
前記水系乳化液と前記高絶縁性液体とを用いて、前記トナー用材料と前記水系分散媒と前記高絶縁性液体とを含む混合液を得る混合液調製工程と、
前記混合液から、前記水系分散媒を除去する水系分散媒除去工程とを有することを特徴とする。
これにより、均一な形状を有し、粒度分布の幅の小さいトナーが分散した液体現像剤を効率良く製造することができる。
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記水系乳化液中の前記分散質の平均粒径は、2〜8μmであることが好ましい。
これにより、水系乳化液中における分散質同士の結合(凝集)をより確実に防止することができるとともに、最終的に得られるトナー粒子の大きさを最適なものとすることができる。また、トナー粒子を、十分に円形度が高く、各粒子間(トナー粒子間)での特性、大きさ、形状の均一性が特に優れたものとして得ることができる。
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記水系乳化液調製工程において、少なくとも樹脂またはその前駆体およびその少なくとも一部を溶解する溶媒を含む樹脂液と、前記水系液体とを混合する工程を経て、前記水系乳化液を調製することが好ましい。
これにより、各トナー粒子間での形状、大きさのばらつきを特に小さくすることができ、各トナー粒子間での特性(帯電特性等)のばらつきを特に小さくすることができる。また、トナー粒子の粒径をより小さくすることができる。
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記樹脂液と前記水系液体との混合は、前記水系液体中に、前記樹脂液の液滴を滴下することにより行うことが好ましい。
これにより、水系乳化液中における分散質の円形度をさらに高めることができる。その結果、最終的に得られる液体現像中のトナー粒子は、円形度が特に高く、各粒子間での形状のばらつきが特に小さいものとなる。
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記水系乳化液から前記溶媒を除去することにより得られる水系懸濁液を前記混合液調製工程に供することが好ましい。
これにより、混合液調製工程等における粒子の不本意な凝集を、より効果的に防止することができ、結果として、トナー粒子の形状、大きさの均一性を特に優れたものとすることができる。
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記混合液は、前記高絶縁性液体中に、前記水系懸濁液を滴下することにより調製されることが好ましい。
これにより、混合液中における分散質の凝集等をより効果的に防止することができる。
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記高絶縁性液体の沸点は、前記水系液体の沸点よりも高いことが好ましい。
これにより、水系分散媒除去工程において、水系分散媒を容易に除去することができる。
本発明の液体現像剤の製造方法では、前記水系分散媒の除去は、前記混合液を減圧雰囲気下で加熱することにより行うことが好ましい。
これにより、水系分散媒除去工程において、水系分散媒をより効率良く除去することができる。
本発明の液体現像剤は、本発明の方法により製造されたことを特徴とする。
これにより、均一な形状を有し、粒度分布の幅の小さいトナーが分散した液体現像剤を提供することができる。
本発明の液体現像剤では、トナー粒子の平均粒径は、1〜5μmであることが好ましい。
これにより、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等の特性のばらつきを特に小さいものとし、液体現像剤全体としての信頼性を特に高いものとしつつ、液体現像剤(トナー)により形成される画像の解像度を十分に高いものとすることができる。
本発明の液体現像剤では、各トナー粒子間での粒径の標準偏差が1.0μm以下であることが好ましい。
これにより、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等の特性のばらつきが特に小さくなり、液体現像剤全体としての信頼性がさらに向上する。
本発明の液体現像剤では、トナー粒子についての下記式(I)で表される円形度Rの平均値(平均円形度)が0.95以上であることが好ましい。
R=L0/L1・・・(I)
(ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
これにより、トナー粒子の粒径を十分に小さいものとしつつ、トナー粒子の転写効率、機械的強度を特に優れたものとすることができる。
本発明の液体現像剤では、各粒子間での平均円形度の標準偏差が0.02以下であることが好ましい。
これにより、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等の特性のばらつきが特に小さくなり、液体現像剤全体としての信頼性がさらに向上する。
以下、本発明の液体現像剤の製造方法および液体現像剤の好適な実施形態について詳細に説明する。
本発明の液体現像剤の製造方法は、水系液体で構成された水系分散媒中にトナー用材料で構成された分散質が分散した水系乳化液を得る水系乳化液調製工程と、水系乳化液と高絶縁性液体とを用いて、分散質と水系分散媒と高絶縁性液体とを含む混合液を得る混合液調製工程と、混合液から、水系分散媒を除去する水系分散媒除去工程とを有することを特徴とする。
[水系乳化液]
本発明の液体現像剤は、以下に説明するような水系乳化液を用いて製造されるものである。
後述する水系乳化液調製工程で得られる水系乳化液は、水系液体で構成された水系分散媒中に、分散質(分散相)が微分散した構成となっている。なお、本明細書中において、「乳化液(エマルション、乳濁液、乳状液)」とは、液状の分散媒中に、液状の分散質(分散粒子)が分散した分散液のことを指し、「懸濁液(サスペンション)」とは、液状の分散媒中に、固体状(固形)の分散質(懸濁粒子)が分散した分散液(懸濁コロイドを含む)のことを指す。また、分散液中に、液状の分散質と、固体状の分散質とが併存する場合には、分散液中において、液状の分散質の総体積が、固体状の分散質の総体積よりも大きいものを乳化液とし、分散液中において、固体の分散質の総体積が、液状の分散質の総体積よりも大きいものを懸濁液とする。
<水系分散媒(水系液体)>
水系分散媒は、水系液体で構成されている。
本発明において、「水系液体」とは、水および/または水との相溶性に優れる液体(例えば、25℃における水100gに対する溶解度が30g以上の液体)で構成されたもののことを指す。このように、水系液体は、水および/または水との相溶性に優れる液体で構成されたものであるが、主として水で構成されたものであるのが好ましく、特に、水の含有率が70wt%以上のものであるのが好ましく、90wt%以上のものであるのがより好ましい。このようなものを用いることにより、例えば、水系分散媒中における分散質の分散性を高めることができ、水系乳化液中における分散質を、粒径が比較的小さく、かつ、大きさのばらつきの少ないものとすることができる。その結果、最終的に得られる液体現像剤中のトナー粒子は、粒子間での大きさ、形状のばらつきが小さく、円形度の大きいものとなる。
また、水系分散媒(水系液体)は、後述する高絶縁性液体との相溶性が低いもの(例えば、25℃における高絶縁性液体100gに対する溶解度が0.01g以下のもの)であるのが好ましい。これにより、後述する混合液調製工程で得られる混合液中において、分散質の形状を好適に保持することができ、最終的に得られる液体現像剤中のトナー粒子の形状をより均一なものとすることができる。
水系液体の具体例としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)等のエーテル系溶媒、ピリジン、ピラジン、ピロール等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、アセトアルデヒド等のアルデヒド系溶媒等が挙げられる。
<分散質>
分散質は、液体現像剤中のトナー粒子を構成する成分を含むものであり、少なくとも、主成分としての樹脂またはその前駆体(以下、これらを総称して、「樹脂材料」とも言う)を含む材料で構成されている。樹脂の前駆体としては、例えば、当該樹脂のモノマー、ダイマー、オリゴマー等が挙げられる。
以下、分散質の構成材料について説明する。
1.樹脂(樹脂材料)
分散質は、主成分としての樹脂(バインダー樹脂)を含む材料で構成されている。
本発明においては、樹脂(バインダー樹脂)は、特に限定されず、例えば、ポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体等のスチレン系樹脂でスチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体、ポリエステル系樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、塩化ビニル樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェニール樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂等が挙げられる。これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
樹脂(樹脂材料)の軟化温度は、特に限定されないが、50〜130℃であるのが好ましく、50〜120℃であるのがより好ましく、60〜115℃であるのがさらに好ましい。なお、本明細書で、軟化温度とは、高化式フローテスター(島津製作所製、測定条件;昇温温度5℃/min、ダイ穴径1.0mm、荷重20kgf)で規定される軟化開始の温度のことを指す。
分散質中における樹脂材料の含有量は、特に限定されないが、2〜98wt%であるのが好ましく、5〜95wt%であるのがより好ましい。
なお、前述した樹脂には、必要に応じて硬化剤等が含まれていてもよい。
2.溶媒
分散質中には、その成分の少なくとも一部を溶解する溶媒が含まれていてもよい。これにより、例えば、水系乳化液中における分散質の流動性を高めることができ、水系乳化液中における分散質を、粒径が比較的小さく、かつ、大きさのばらつきの少ないものとすることができる。その結果、最終的に得られる液体現像剤中のトナー粒子は、粒子間での大きさ、形状のばらつきが小さく、円形度の大きいものとなる。
溶媒としては、分散質を構成する成分の少なくとも一部を溶解するものであればいかなるものであってもよいが、前述した水系液体よりも沸点が低いものを用いるのが好ましい。これにより、溶媒を容易に除去することができる。
また、溶媒は、前述した水系分散媒(水系液体)との相溶性が低いもの(例えば、25℃における水系分散媒100gに対する溶解度が30g以下のもの)であるのが好ましい。これにより、水系乳化液中において、分散質を安定した状態で微分散させることができる。
また、溶媒の組成は、例えば、前述した樹脂、着色剤の組成や、水系分散媒の組成等に応じて適宜選択することができる。
例えば、溶媒としては、二硫化炭素、四塩化炭素等の無機溶媒や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−メトキシエタノール、アリルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール等のアルコール系溶媒、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、2−メトキシエタノール等のエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系溶媒、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ジデカン、メチルシクロヘキセン、イソプレン等の脂肪族炭化水素系溶媒、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、フルフリルアルコール等の芳香族複素環化合物系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化合物系溶媒、アセチルアセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、クロロ酢酸エチル、クロロ酢酸ブチル、クロロ酢酸イソブチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル等のエステル系溶媒、トリメチルアミン、ヘキシルアミン、トリエチルアミン、アニリン等のアミン系溶媒、アクリロニトリル、アセトニトリル等のニトリル系溶媒、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ系溶媒、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、アクリルアルデヒド等のアルデヒド系溶媒等の有機溶媒等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を混合したものを用いることができる。この中でも特に、有機溶媒を含むものであるのが好ましく、エーテル系溶媒、セロソルブ系溶媒、脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、芳香族複素環化合物系溶媒、アミド系溶媒、ハロゲン化合物系溶媒、エステル系溶媒、ニトリル系溶媒、ニトロ系溶媒、アルデヒド系溶媒から選択される1種または2種以上を含むものであるのがより好ましい。このような溶媒を用いることにより、分散質中において、比較的容易に、前述したような各成分を十分均一に分散させることができる。
また、分散質中には、通常、着色剤が含まれている。着色剤としては、例えば、顔料、染料等を使用することができる。このような顔料、染料としては、例えば、カーボンブラック、スピリットブラック、ランプブラック(C.I.No.77266)、マグネタイト、チタンブラック、黄鉛、カドミウムイエロー、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、キノリンイエロー、タートラジンレーキ、赤口黄鉛、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、カドミウムレッド、パーマネントレッド4R、ウオッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、紺青、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、カルコオイルブルー、クロムグリーン、酸化クロム、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、ファイナルイエローグリーンG、ローダミン6G、キナクリドン、ローズベンガル(C.I.No.45432)、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド184、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ピグメントブルー15:1、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー5:1、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー162、ニグロシン染料(C.I.No.50415B)、金属錯塩染料、シリカ、酸化アルミニウム、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
水系乳化液中における着色剤の含有量は、特に限定されないが、0.1〜15wt%であるのが好ましく、0.3〜10wt%であるのがより好ましい。着色剤の含有量が前記下限値未満であると、着色剤の種類によっては、十分な濃度の可視像を形成するのが困難になる可能性がある。一方、着色剤の含有量が前記上限値を超えると、最終的に得られるトナーの定着特性や帯電特性が低下する可能性がある。
また、分散質中には、ワックスが含まれていてもよい。ワックスは、通常、離型性を向上させる目的で用いられるものである。このようなワックスとしては、例えば、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、綿ロウ、木ロウ等の植物系ワックス・ロウ、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス・ロウ、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン等の鉱物系ワックス・ロウ、パラフィンワックス、マイクロワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の石油ワックス・ロウ等の天然ワックス・ロウや、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス(ポリエチレン樹脂)、ポリプロピレンワックス(ポリプロピレン樹脂)、酸化型ポリエチレンワックス、酸化型ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素ワックス、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス・ロウ等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。また、ワックスとしては、さらに低分子量の結晶性高分子樹脂を使用してもよく、例えば、ポリn−ステアリルメタクリレート、ポリn−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等を使用することもできる。
水系乳化液中におけるワックスの含有量は、特に限定されないが、1.0wt%以下であるのが好ましく、0.5wt%以下であるのがより好ましい。ワックスの含有量が多すぎると、最終的に得られる液体現像剤中において、トナー粒子からワックスが遊離し、粗大化して、トナーの転写効率が低下する傾向を示す。
ワックスの軟化温度は、特に限定されないが、50〜130℃であるのが好ましく、50〜120℃であるのがより好ましい。
また、水系乳化液中には、これら以外の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、例えば、乳化分散剤、帯電制御剤、磁性粉末等が挙げられる。この中でも、乳化分散剤を用いた場合、分散質の分散性が向上するとともに、比較的容易に、水系乳化液中での分散質の形状、大きさのばらつきを特に小さいものとし、また、分散質の形状を略球形状とすることができる。その結果、最終的な液体現像剤を、略球形状で、均一な形状、大きさの揃ったトナー粒子で構成されたものとして得ることができる。ここで、乳化分散剤としては、例えば、乳化剤、分散剤、分散助剤等が挙げられる。
分散剤としては、例えば、粘土鉱物、シリカ、燐酸三カルシウム等の無機系分散剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ヒドロキシステアリン酸エステル等の非イオン性有機分散剤、トリステアリン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩等)、ジステアリン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩、バリウム塩等)、ステアリン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、鉛塩、亜鉛塩等)、リノレン酸金属塩(例えば、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等)、オクタン酸金属塩(例えば、アルミニウム塩、カルシウム塩、コバルト塩等)、オレイン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩等)、パルミチン酸金属塩(例えば、亜鉛塩等)、ナフテン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン塩、鉛塩、亜鉛塩等)、レジン酸金属塩(例えば、カルシウム塩、コバルト塩、マンガン鉛塩、亜鉛塩等)、ポリアクリル酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリメタクリル酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリマレイン酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、アクリル酸−マレイン酸共重合体金属塩(例えば、ナトリウム塩等)、ポリスチレンスルホン酸金属塩(例えば、ナトリウム塩等)等のアニオン性有機分散剤、4級アンモニウム塩等のカチオン性有機分散剤等が挙げられる。この中でも、非イオン性有機分散剤またはアニオン性有機分散剤が特に好ましい。
水系乳化液中における分散剤の含有量は、特に限定されないが、3.0wt%以下であるのが好ましく、0.01〜1.0wt%であるのがより好ましい。
また、分散助剤としては、例えば、アニオン、カチオン、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。
分散助剤は、分散剤と併用するものであるのが好ましい。水系乳化液が分散剤を含むものである場合、水系乳化液中における分散助剤の含有量は、特に限定されないが、2.0wt%以下であるのが好ましく、0.005〜0.5wt%であるのがより好ましい。
前記帯電制御剤としては、例えば、安息香酸の金属塩、サリチル酸の金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、カテコールの金属塩、含金属ビスアゾ染料、ニグロシン染料、テトラフェニルボレート誘導体、第四級アンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、塩素化ポリエステル、ニトロフミン酸等が挙げられる。
前記磁性粉末としては、例えば、マグネタイト、マグヘマイト、各種フェライト類、酸化第二銅、酸化ニッケル、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウム等の金属酸化物や、Fe、Co、Niのような磁性金属を含む磁性材料で構成されたもの等が挙げられる。
また、水系乳化液中には、上記のような材料のほかに、例えば、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛、酸化セリウム等が添加されていてもよい。
また、水系乳化液中には、分散質以外の成分が、不溶分として分散していてもよい。例えば、水系乳化液中には、シリカ、酸化チタン、酸化鉄等の無機系微粉末、脂肪酸、脂肪酸金属塩等の有機系微粉末等が分散していてもよい。
以上説明したような本発明に用いる水系乳化液においては、分散質が液状であるため、分散質はその表面張力により、円形度(真球度)の大きい形状になる傾向を示す。したがって、最終的に得られる液体現像中のトナー粒子は、円形度が特に高く、各粒子間での形状のばらつきが特に小さいものとなる。
水系乳化液中における分散質の含有率は、特に限定されないが、5〜55wt%であるのが好ましく、10〜50wt%であるのがより好ましい。これにより、水系乳化液中における分散質同士の結合(凝集)をより確実に防止しつつ、トナー粒子(液体現像剤)の生産性を特に優れたものとすることができる。
水系乳化液中の分散質(液状の分散質)の平均粒径は、特に限定されないが、2〜8μmであるのが好ましく、1.5〜7μmであるのがより好ましい。これにより、分散質同士の結合(凝集)をより確実に防止することができるとともに、最終的に得られるトナー粒子の大きさを最適なものとすることができる。
[水系乳化液調製工程]
上述したような水系乳化液は、例えば、以下のようにして調製することができる(水系乳化液調製工程)。
まず、前述した水系液体に、必要に応じて分散剤を添加した水性溶液を用意する。
一方、前述したようなトナーの主成分となる樹脂またはその前駆体(以下、これらを総称して、「樹脂材料」とも言う)を含む樹脂液を調製する。樹脂液の調製には、例えば、樹脂材料に加えて前述した溶媒を用いてもよい。また、樹脂液は、樹脂材料を加熱することにより得られる溶融した液体であってもよい。また、樹脂液の調製には、例えば、樹脂材料、着色剤等のトナー用材料を混練して得られた混練物を用いてもよい。このような混練物を用いることにより、トナーの構成材料中に、互いに分散または相溶し難い成分を含む場合であっても、混練を施すことにより、得られる混練物中においては、各成分が十分に相溶、微分散した状態とすることができる。特に、前述したような溶媒に対する分散性が比較的低い顔料(着色剤)を用いた場合、溶媒に分散する前に予め混練が施されることにより、顔料粒子の周囲を樹脂成分等が効果的にコーティングすることとなり、これにより、溶媒への顔料の分散性が向上し(特に溶媒への微分散が可能となり)、最終的に得られるトナーの発色性も良好となる。このようなことから、トナーの構成材料中に、前述した水系乳化液の水系分散媒に対する分散性に劣る成分や水系乳化液の分散媒に含まれる溶媒に対する溶解性に劣る成分が含まれる場合であっても、水系乳化液における分散質の分散性を特に優れたものとすることができる。
次に、上記樹脂液を、撹拌した状態の水性溶液中に、徐々に滴下しながら加えていくことにより、水系分散媒中に、樹脂材料を含む分散質が分散した水系乳化液が得られる。このような方法で、水系乳化液を調製することにより、水系乳化液中における分散質の円形度をさらに高めることができる。その結果、最終的に得られる液体現像中のトナー粒子は、円形度が特に高く、各粒子間での形状のばらつきが特に小さいものとなる。なお、樹脂液の滴下を行う際、水性溶液および/または樹脂液を加熱しておいてもよい。また、樹脂液の調製に溶媒を用いた場合、例えば、上記のような滴下を行った後に、得られた水系乳化液を加熱したり、減圧雰囲気下に置くことにより、分散質中に含まれる溶媒の少なくとも一部を除去してもよい。
以上、水系乳化液の調製方法の一例について説明したが、分散液はこのような方法により調製されたものに限定されない。例えば、水系乳化液は、以下のような方法によっても、調製することができる。
まず、少なくとも樹脂材料を分散してなる樹脂乳化液と、少なくとも着色剤を分散してなる着色剤乳化液とを調製する。
次に、樹脂分散液と、着色剤分散液とを混合・撹拌する。このとき、必要に応じて、撹拌しながら無機金属塩等の凝集剤を加えてもよい。
所定時間、撹拌することにより、樹脂材料、着色剤等が凝集した凝集体が形成される。その結果、前記凝集体が分散質として分散した水系乳化液が得られる。
[混合液調製工程]
次に、前述したような水系乳化液と高絶縁性液体とを用いて、トナー用材料と水系分散媒と高絶縁性液体とを含む混合液を調製する(混合液調製工程)。
混合液の調製方法は、特に限定されないが、本実施形態では、(液状の分散質が水系分散媒中に分散した)水系乳化液から、固形状の分散質が分散媒(水系分散媒)中に分散した水系懸濁液を得、当該水系懸濁液と高絶縁性液体とを混合することにより、混合液を調製する。
このような水系懸濁液を用いることにより、混合液調製工程等における粒子の不本意な凝集を、より効果的に防止することができ、結果として、トナー粒子の形状、大きさの均一性を特に優れたものとすることができる。
まず、水系懸濁液の調製方法について詳細に説明する。
水系懸濁液の調製は、水系乳化液から分散質を構成する溶媒を除去することにより行うことができる。
このように水系乳化液を用いて調製される水系懸濁液は、分散質の形状が比較的円形度(真球度)の大きいものとなり、結果として、最終的に得られるトナー粒子も比較的円形度(真球度)の大きいものとなる。これに対して、水系懸濁液として、水系乳化液を経由することなく調製されたものを用いた場合、懸濁液中に含まれる分散質は、円形度の小さいものとなり、特に、各粒子間での形状のばらつきが大きいものとなる。
溶媒の除去は、例えば、水系乳化液を加熱(加温)したり、減圧雰囲気下に置くことにより行うことができるが、水系乳化液を減圧下で加熱することにより行うものであるのが好ましい。これにより、分散質の大きさ、形状のばらつきが特に小さい水系懸濁液を、比較的容易に得ることができる。
水系乳化液を加熱(加温)する場合、加熱温度は、30〜110℃であるのが好ましく、40〜100℃であるのがより好ましい。加熱温度が前記範囲内の値であると、異形状の分散質の発生を十分に防止しつつ(水系乳化液の分散質の内部から溶媒が急激に気化(沸騰)するのを確実に防止しつつ)、溶媒を速やかに除去することができる。
また、水系乳化液を減圧雰囲気下に置く場合、水系乳化液が置かれる雰囲気の圧力は、0.1〜50kPaであるのが好ましく、0.5〜5kPaであるのがより好ましい。水系乳化液が置かれる雰囲気の圧力が前記範囲内の値であると、異形状の分散質の発生を十分に防止しつつ(水系乳化液の分散質の内部から溶媒が急激に気化(沸騰)するのを確実に防止しつつ)、溶媒を速やかに除去することができる。
なお、溶媒の除去は、少なくとも分散質が固形状となる程度に行われるものであればよく、水系乳化液中に含まれる実質的に全ての溶媒を除去するものでなくてもよい。
水系懸濁液中における固形状の分散質の平均粒径は、特に限定されないが、1〜5μmであるのが好ましく、1〜3μmであるのがより好ましい。これにより、分散質同士の結合(凝集)をより確実に防止することができるとともに、最終的に得られるトナー粒子の大きさを最適なものとすることができる。
次に、得られた水系懸濁液と高絶縁性液体とを混合し、混合液を調製する。
混合液の調製方法(水系懸濁液と高絶縁性液体との混合方法)は、特に限定されないが、本実施形態では、水系懸濁液を、撹拌した状態の高絶縁性液体中に、徐々に滴下しながら加えていくことにより、分散質と水系分散媒と高絶縁性液体とを含む混合液を調製する。このような方法で、混合液を調製することにより、混合液中における分散質の凝集等をより効果的に防止することができる。また、特に、本実施形態では、混合液の調製に固形状の分散質が分散した水系懸濁液を用いることにより、混合する際に、分散質(固形状の分散質)が外力により変形し、異形状となるのをより効果的に防止することができ、その結果、最終的に得られる液体現像中のトナー粒子は、円形度が特に高く、各粒子間での形状のばらつきが特に小さいものとなる。
なお、高絶縁性液体には、必要に応じて、前述したような分散剤(界面活性剤)を添加しておいてもよい。
高絶縁性液体は、十分に絶縁性の高い液体であればよいが、具体的には、室温(20℃)での電気抵抗が10Ωcm以上のものであるのが好ましく、1011Ωcm以上のものであるのがより好ましく、1013Ωcm以上のものであるのがさらに好ましい。
また、高絶縁性液体の誘電率は、3.5以下であるのが好ましい。
また、高絶縁性液体の沸点は、前述した水系液体(水系分散媒)の沸点よりも高いのが好ましい。これにより、後述する水系分散媒除去工程において、水系分散媒を容易に除去することができる。
このような条件を満足する高絶縁性液体としては、例えば、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、アイソパーE、アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL(アイソパー;エクソン社の商品名)、シエルゾール70、シエルゾール71(シエルゾール;シエルオイル社の商品名)、アムスコOMS、アムスコ460溶剤(アムスコ;スピリッツ社の商品名)、シリコーンオイル、植物油及びこれらの変性化合物またはこれらの混合物等が挙げられる。
[水系分散媒除去工程]
次に、得られた混合液から、水系分散媒を除去する。これにより、固形状の分散質としてのトナー粒子が、高絶縁性液体(担持液)中に分散した液体現像剤が得られる。
水系分散媒の除去は、例えば、混合液を加熱(加温)したり、減圧雰囲気下に置くことにより行うことができるが、混合液を減圧雰囲気下で加熱することにより行うのが好ましい。これにより、水系分散媒をより効率良く除去することができる。
混合液を加熱(加温)する場合、加熱温度は、30〜80℃であるのが好ましく、30〜60℃であるのがより好ましい。加熱温度が前記範囲内の値であると、異形状の分散質の発生を十分に防止しつつ(混合液中の分散質の内部から水系分散媒が急激に気化(沸騰)するのを確実に防止しつつ)、水系分散媒を速やかに除去することができる。
また、混合液を減圧雰囲気下に置く場合、混合液が置かれる雰囲気の圧力は、0.1〜50kPaであるのが好ましく、0.5〜5kPaであるのがより好ましい。混合液が置かれる雰囲気の圧力が前記範囲内の値であると、異形状の分散質の発生を十分に防止しつつ(混合液中の分散質の内部から水系分散媒が急激に気化(沸騰)するのを確実に防止しつつ)、水系分散媒を速やかに除去することができる。
以上のようにして得られる液体現像剤中におけるトナー粒子の平均粒径は、1〜5μmであるのが好ましく、1〜3μmであるのがより好ましく、1.5〜3μmであるのがさらに好ましい。トナー粒子の平均粒径が前記範囲内の値であると、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等の特性のばらつきを特に小さいものとし、液体現像剤全体としての信頼性を特に高いものとしつつ、液体現像剤(トナー)により形成される画像の解像度を十分に高いものとすることができる。
また、液体現像剤を構成するトナー粒子間での粒径の標準偏差は、1.0μm以下であるのが好ましく、0.1〜1.0μmであるのがより好ましく、0.1〜0.8μmであるのがさらに好ましい。これにより、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等の特性のばらつきが特に小さくなり、液体現像剤全体としての信頼性がさらに向上する。
また、液体現像剤を構成するトナー粒子についての下記式(I)で表される円形度Rの平均値(平均円形度)は、0.95以上であるのが好ましく、0.95〜0.99であるのがより好ましく、0.95〜0.97であるのがさらに好ましい。
R=L/L・・・(I)
(ただし、式中、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
これにより、トナー粒子の粒径を十分に小さいものとしつつ、トナー粒子の転写効率、機械的強度を特に優れたものとすることができる。
また、液体現像剤を構成するトナー粒子間での平均円形度の標準偏差は、0.02以下であるのが好ましく、0.001〜0.1であるのがより好ましく、0.001〜0.05であるのがさらに好ましい。これにより、各トナー粒子間での帯電特性、定着特性等の特性のばらつきが特に小さくなり、液体現像剤全体としての信頼性がさらに向上する。
次に、上述したような本発明の液体現像剤が適用される画像形成装置の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の液体現像剤が適用される接触方式の画像形成装置の一例を示すものである。画像形成装置P1には、円筒状の感光体P2のドラムを有し、エピクロロヒドリンゴム等で構成された帯電器P3によりその表面が均一に帯電された後、レーザーダイオード等によって記録すべき情報に応じた露光P4が行なわれて静電潜像が形成される。
現像器P10は、現像剤容器P11中にその一部が浸漬された塗布ローラP12、現像ローラP13を有している。塗布ローラP12は、例えば、ステンレス等の金属製のグラビアローラであり、現像ローラP13と対向して回転する。また、塗布ローラP12の表面には、液体現像剤塗布層P14が形成され、メータリングブレードP15によってその厚さが一定に保持される。
そして、塗布ローラP12から現像ローラP13に対して液体現像剤が転写される。現像ローラP13は、ステンレス等の金属製のローラ芯体P16上に低硬度シリコーンゴム層を有し、その表面には導電性のPFA(ポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロビニルエーテル共重合体)製の樹脂層が形成されており、感光体P2と等速で回転して液体現像剤を潜像部に転写する。感光体P2へ転写後に現像ローラP13に残った液体現像剤は、現像ローラクリーニングブレードP17によって除去されて現像剤容器P11内へ回収される。
また、感光体から中間転写ローラへのトナー画像の転写の後には、感光体は、除電光P21によって除電されるとともに、感光体上に残留した転写残りトナーは、ウレタンゴム等で構成されたクリーニングブレードP22によって除去される。
同様に、中間転写ローラP18から情報記録媒体P20へ転写後に中間転写ローラP18に残留した転写残りトナーは、ウレタンゴム等で構成されたクリーニングブレードP23によって除去される。
感光体P2上に形成されたトナー像は、中間転写ローラP18に対して転写された後に、二次転写ローラP19に転写電流を通電して、両者の間を通過する紙等の情報記録媒体P20に画像が転写され、紙等の情報記録媒体P20上でのトナー画像は図3に示す定着装置使用して定着が行われる。
図2は、本発明の液体現像剤が適用される非接触方式の画像形成装置の一例を示すものである。非接触方式にあっては、現像ローラP13には0.5mm厚のリン青銅板で構成された帯電ブレードP24が設けられる。帯電ブレードP24は液体現像剤層に接触して摩擦帯電させる機能を有すると共に、塗布ローラP12がグラビアロールであるために現像ローラP13上にはグラビアロール表面の凹凸に応じた現像剤層が形成されるので、その凹凸を均一に均す機能を果たすものであり、配置方向としては現像ローラの回転方向に対してカウンタ方向でもトレイル方向のいずれでもよく、また、ブレート形状ではなくローラ形状でもよい。
また、現像ローラP13と感光体P2との間は、200μm〜800μmの間隔が設けられると共に、現像ローラP13と感光体P2との間には直流電圧200〜800Vに重畳される500〜3000Vpp、周波数50〜3000Hzの交流電圧が印加されるのが好ましい。それ以外は、図1を参照しつつ説明した画像形成装置と同様である。
なお、図1、図2共に一色の液体現像剤による画像形成について説明したが、複数色のカラートナーを用いて画像形成する場合には、複数色の現像器を用いて各色の画像を形成してカラー画像を形成することができる。
図3は定着装置の断面図であり、F1は熱定着ロール、F1aはハロゲンランプ、F1bはロール基材、F1cは弾性体、F2は加圧ロール、F2aは回転軸、F2bはロール基材、F2cは弾性体、F3は耐熱ベルト、F4はベルト張架部材、F4aは突壁、F5はシート材、F5aは未定着トナー像、F6はクリーニング部材、F7はフレーム、F9はスプリング、Lは押圧部接線である。
図に示すように、定着装置F40は、熱定着ロール(以下、加熱ロールともいう)F1、加圧ロールF2、耐熱ベルトF3、ベルト張架部材F4、およびクリーニング部材F6を備えている。
熱定着ロールF1は、外径25mm程度、肉厚0.7mm程度のパイプ材をロール基材F1bとして、その外周に厚み0.4mm程度の弾性体F1cを被覆して形成され、ロール基材F1bの内部に、加熱源として1,050W、2本の柱状ハロゲンランプF1aが内蔵されており、図に矢印で示す反時計方向に回転可能になっている。また、加圧ロールF2は、外径25mm程度、肉厚0.7mm程度のパイプ材をロール基材F2bとして、その外周に厚み0. 2mm程度の弾性体F2cを被覆して形成し、熱定着ロールF1と加圧ロールF2の圧接力を10kg以下、ニップ長を10mm程度で構成し、熱定着ロールF1に対向して配置し、図に矢印で示す時計方向に回転可能になっている。
このように、熱定着ロールF1および加圧ロールF2の外径が25mm程度の小径に構成されているため、定着後のシート材F5が熱定着ロールF1または耐熱ベルトF3に巻き付くことがなく、シート材を強制的に剥がすための手段が不要となっている。また、熱定着ロールF1の弾性体F1cの表層には約30μmのPFA層を設けることで、その分剛性が向上する。これにより、各弾性体F1c、2cの厚みは異なるが、両弾性体F1c、2cは略均一な弾性変形をして、いわゆる水平ニップが形成され、また、熱定着ロールF1の周速に対して耐熱ベルトF3またはシート材F5の搬送速度に差異が生じることもないので、極めて安定した画像定着が可能となる。
また、熱定着ロールF1の内部に、加熱源を構成する2本のハロゲンランプ1a、1aが内蔵されており、これらのハロゲンランプ1a、1aの発熱エレメントはそれぞれ異なった位置に配置されている。そして、各ハロゲンランプ1a、1aが選択的に点灯されることにより、耐熱ベルトF3が熱定着ロールF1に巻き付いた定着ニップ部位とベルト張架部材F4が熱定着ロールF1に摺接する部位との異なる条件や、幅の広いシート材と幅の狭いシート材との異なる条件下での温度コントロールが容易に行われるようになっている。
耐熱ベルトF3は、加圧ロールF2とベルト張架部材F4の外周に張架されて移動可能とされ、熱定着ロールF1と加圧ロールF2との間に挟圧されるエンドレスの環状のベルトである。この耐熱ベルトF3は0.03mm以上の厚みを有し、その表面(シート材F5が接触する側の面)をPFAで形成し、また、裏面(加圧ロールF2およびベルト張架部材F4と接触する側の面)をポリイミドで形成した2層構成のシームレスチューブで形成されている。耐熱ベルトF3は、これに限定されず、ステンレス管やニッケル電鋳管等の金属管、シリコーン等の耐熱樹脂管等の他の材料で形成することもできる。
ベルト張架部材F4は、熱定着ロールF1と加圧ロールF2との定着ニップ部よりもシート材F5搬送方向上流側に配設されるとともに、加圧ロールF2の回転軸F2aを中心として矢印P方向に揺動可能に配設されている。ベルト張架部材F4は、シート材F5が定着ニップ部を通過しない状態において、耐熱ベルトF3を熱定着ロールF1の接線方向に張架するように構成されている。シート材F5が定着ニップ部に進入する初期位置で定着圧力が大きいと進入がスムーズに行われなくて、シート材F5の先端が折れた状態で定着される場合があるが、このように耐熱ベルトF3を熱定着ロールF1の接線方向に張架する構成にすることで、シート材F5の進入がスムーズに行われるシート材F5の導入口部が形成でき、安定したシート材F5の定着ニップ部への進入が可能となる。
ベルト張架部材F4は、耐熱ベルトF3の内周に嵌挿されて加圧ロールF2と協働して耐熱ベルトF3に張力fを付与する略半月状のベルト摺動部材(耐熱ベルトF3はベルト張架部材F4上を摺動する)である。このベルト張架部材F4は、耐熱ベルトF3が熱定着ロールF1と加圧ロールF2との押圧部接線Lより熱定着ロールF1側に巻き付けてニップを形成する位置に配置される。突壁F4aはベルト張架部材F4の軸方向一端または両端に突設されており、この突壁F4aは、耐熱ベルトF3が軸方向端の一方に寄った場合に、この耐熱ベルトF3がこの突壁F4aに当接することで耐熱ベルトF3の端への寄りを規制するものである。突壁F4aの熱定着ロールF1と反対側の端部とフレームとの間にスプリングF9が縮設されていて、ベルト張架部材F4の突壁F4aが熱定着ロールF1に軽く押圧され、ベルト張架部材F4が熱定着ロールF1に摺接して位置決めされる。
耐熱ベルトF3を加圧ロールF2とベルト張架部材F4とにより張架して加圧ロールF2で安定して駆動するには、加圧ロールF2と耐熱ベルトF3との摩擦係数をベルト張架部材F4と耐熱ベルトF3との摩擦係数より大きく設定するとよい。しかし、摩擦係数は、耐熱ベルトF3と加圧ロールF2との間あるいは耐熱ベルトF3とベルト張架部材F4との間への異物の侵入や、耐熱ベルトF3と加圧ロールF2およびベルト張架部材F4との接触部の摩耗などによって不安定になる場合がある。
そこで、加圧ロールF2と耐熱ベルトF3の巻き付け角よりベルト張架部材F4と耐熱ベルトF3の巻き付け角が小さくなるように、また、加圧ロールF2の径よりベルト張架部材F4の径が小さくなるように設定する。これにより、耐熱ベルトF3がベルト張架部材F4を摺動する長さが短くなり、経時変化や外乱などに対する不安定要因から回避でき、耐熱ベルトF3を加圧ロールF2で安定して駆動することができるようになる。
更に、クリーニング部材F6が加圧ロールF2とベルト張架部材F4との間に配置されており、このクリーニング部材F6は耐熱ベルトF3の内周面に摺接して耐熱ベルトF3の内周面の異物や摩耗粉等をクリーニングするものである。このように異物や摩耗粉等をクリーニングすることで、耐熱ベルトF3をリフレッシュし、前述の摩擦係数の不安定要因を除去している。また、ベルト張架部材F4に凹部F4fが設けられており、この凹部F4fは、耐熱ベルトF3から除去した異物や摩耗粉等の収納に好適である。
ベルト張架部材F4が熱定着ロールF1に軽く押圧される位置がニップ初期位置とされ、また、熱定着ロールF1に加圧ロールF2が押圧する位置がニップ終了位置とされる。そして、シート材F5はニップ初期位置から定着ニップ部に進入して耐熱ベルトF3と熱定着ロールF1との間を通過し、ニップ終了位置から抜け出ることで、シート材F5上に形成された未定着トナー像F5aが定着され、その後、熱定着ロールF1への加圧ロールF2の押圧部の接線方向Lに排出される。
以上、本発明について、好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
例えば、本発明の液体現像剤は、前述したような画像形成装置に適用されるものに限定されない。
また、前述した実施形態では、水系乳化液調製工程において、撹拌した状態の水系液体(水性溶液)中に樹脂液を滴下するものとして説明したが、これに限定されず、撹拌した状態の樹脂液中に水系液体を滴下するものであってもよい。
また、前述した実施形態では、混合液調製工程において、水系乳化液から得られた水系懸濁液を得、該水系懸濁液と高絶縁性液体とを混合することにより混合液を調製するものとして説明したが、これに限定されず、例えば、水系乳化液をそのまま高絶縁性液体と混合するものであってもよい。この場合、水系乳化液(混合液)中の溶媒は、そのまま混合液中に残っていてもよいし、別途除去してもよいし、水系分散媒除去工程において水系分散媒とともに除去してもよい。
また、前述した実施形態では、混合液調製工程において、撹拌した状態の高絶縁性液体中に水系懸濁液を滴下するものとして説明したが、これに限定されず、撹拌した状態の水性懸濁液中に高絶縁性液体を滴下するものであってもよい。
また、水系乳化液、水系懸濁液の調製方法は、前述したような方法に限定されない。例えば、固体状態の分散質が分散した分散液を加熱することにより、分散質を一旦液状として水系乳化液を得、当該水系乳化液を冷却することにより乳化懸濁液を得てもよい。
また、前述した実施形態では、水系乳化液から溶媒を除去して水系懸濁液を得るものとして説明したが、溶媒の除去は、例えば、樹脂液(分散質形成用液体)を、水系液体中に加えるのとほぼ同時に行うものであってもよい。すなわち、水系液体中に、分散質形成用液体を加えるのとほぼ同時に溶媒が気化して、固形状の分散質が形成されるような構成であってもよい。言い換えると、分散質を形成するための分散質形成用液体を用いて水系分散液を得る水系分散液調製工程と、該水系分散液と高絶縁性液体とを混合して混合液を得る混合液調製工程と、当該混合液から水系分散媒を除去する水系分散媒除去工程とを有していてもよい。こういった構成であっても、上述したのと同様の効果が得られる。
[1]液体現像剤の製造
(実施例1)
まず、樹脂としてのエポキシ樹脂(軟化温度:80.5℃):100重量部と、着色剤としてのフタロシアニン顔料:5重量部と、酢酸エチル:300重量部とを用意した。
これらの各成分をサンドミル分散機に投入し、25℃に冷却しつつ3時間混合し、着色樹脂溶液(樹脂液)を調製した。
一方、分散剤としてのポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬社製、平均重合度n=2700〜7500):5重量部をイオン交換水:590重量部に溶解した水溶液(水性溶液)を用意した。
次に、この水溶液:600重量部を3リットルの丸底ステンレス容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化工社製)を用いて、回転数:4000rpmで攪拌しながら、着色樹脂溶液:258重量部を10分かけて徐々に滴下した。この際、液温を70℃に保持した。結着樹脂溶液の滴下完了からさらに10分間、液温を70℃に保持しつつ攪拌して、水系乳化液を得た。
このようにして得られた水系乳化液中における分散質の含有率は30wt%であった。また、乳化液中の分散質の平均粒径は3μmであった。なお、分散質の平均粒径の測定は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−920)を用いて行った。
次に、得られた水系乳化液:100重量部を、高絶縁性液体:902重量部中に、超音波ホモジナイザーを照射しつつ徐々に滴下することにより、混合液を得た。高絶縁性液体としては、アイソパーH(エクソン化学社製):900重量部と、界面活性剤(1,2−ヒドロキシステアリン酸メチル):2重量部との混合物を用いた。この高絶縁性液体の室温(20℃)での電気抵抗は1.6×1015Ωcm、高絶縁性液体の比誘電率は2.5であった。
次に、得られた混合液から、エバポレーターを用いて、水(および酢酸エチル)を除去することにより、液体現像剤を得た。なお、水の除去は、処理温度が80℃、処理圧が10kPaの条件下で行った。
(実施例2〜4)
着色樹脂溶液調製時における酢酸エチルの使用量、水系乳化液の調製時における水系液体の撹拌条件、溶液の滴下速度を変更することにより、水系乳化液中における分散質の平均粒径、含有率を表1に示すように変更した以外は、前記実施例1と同様にして液体現像剤を調製した。
(実施例5)
まず、樹脂としてのエポキシ樹脂(軟化温度:128℃):100重量部と、着色剤としてのフタロシアニン顔料:5重量部と、酢酸エチル:300重量部とを用意した。
これらの各成分をサンドミル分散機に投入し、25℃に冷却しつつ3時間混合し、着色樹脂溶液(樹脂液)を調製した。
一方、分散剤としてのポリアクリル酸ナトリウム(和光純薬社製、平均重合度n=2700〜7500):5重量部をイオン交換水:590重量部に溶解した水溶液(水性溶液)を用意した。
次に、この水溶液:600重量部を3リットルの丸底ステンレス容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化工社製)を用いて、回転数:4000rpmで攪拌しながら、着色樹脂溶液:258重量部を10分かけて徐々に滴下した。この際、液温を70℃に保持した。結着樹脂溶液の滴下完了からさらに10分間、液温を70℃に保持しつつ攪拌して、乳化液(水系乳化液)を得た。
このようにして得られた水系乳化液中における分散質の含有率は30wt%であった。また、乳化液中の分散質の平均粒径は3μmであった。なお、分散質の平均粒径の測定は、レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−920)を用いて行った。
次に、温度:45℃、雰囲気圧力:10〜20kPaの条件下で、乳化液(分散質)中の酢酸エチルを除去し、その後、室温まで冷却することにより、固形状の分散質が分散した水系懸濁液を得た。
このようにして得られた水系懸濁液中における分散質の含有率は25wt%であった。また、水性懸濁液中の分散質の平均粒径は2.5μmであった。
次に、得られた水系懸濁液:100重量部を、高絶縁性液体:902重量部中に、超音波ホモジナイザーを照射しつつ徐々に滴下することにより、混合液を得た。高絶縁性液体としては、アイソパーH(エクソン化学社製):900重量部と、界面活性剤(1,2−ヒドロキシステアリン酸メチル):2重量部との混合物を用いた。この高絶縁性液体の室温(20℃)での電気抵抗は1.8×1015Ωcm、高絶縁性液体の比誘電率は2.1であった。
次に、得られた混合液から、エバポレーターを用いて、水(水系分散媒)を除去することにより、液体現像剤を得た。なお、水の除去は、処理温度が80℃、処理圧が10kPaの条件下で行った。
(実施例6〜8)
着色樹脂溶液調製時における酢酸エチルの使用量、水系乳化液の調製時における水系液体の撹拌条件、溶液の滴下速度を変更することにより、水系懸濁液中における分散質の平均粒径、含有率を表1に示すように変更した以外は、前記実施例5と同様にして液体現像剤を調製した。
(実施例9)
以下のようにして着色樹脂溶液を得た以外は、前記実施例5と同様にして液体現像剤を調製した。なお、得られた水系乳化液中の分散質の含有量は32wt%、分散質の平均粒径は4μmであった。
まず、スチレン:727重量部、2−ヒドロキシエチルアクリレート:196重量部、アクリル酸:77重量部、重合開始剤としてt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート(日本油脂株式会社製、商品名:「パーブチルO」):20重量部を用意した。
これらの各成分を混合し、反応液を得た。
一方、アセトン:1000重量部を用意し、ビニルモノマー滴下装置、温度計、窒素ガス導入管、撹拌装置および環流冷却器を備えた3リットルのフラスコに投入した。
次に、アセトンを撹拌しつつ、反応液:1020重量部を3時間かけて徐々に滴下した。この際、液温を80℃に保持した。
滴下が終了した後、3時間後に重合開始剤:5重量部を添加し、さらにその3時間後に同様に重合開始剤:5重量部を添加した。その後、さらに、80℃にて3時間反応させた。
反応終了後、アセトンにて不揮発分が50wt%になるように調製し、樹脂溶液を得た。
次に、得られた樹脂溶液に、樹脂溶液中の樹脂:100重量部に対して、フタロシアニン顔料:5重量部の割合で混合することにより、着色樹脂溶液(樹脂液)を得た。
(実施例10)
以下のようにして着色樹脂溶液を得た以外は、前記実施例5と同様にして液体現像剤を調製した。なお、得られた水系乳化液中の分散質の含有量は30wt%、分散質の平均粒径は3μmであった。
まず、樹脂としてのエポキシ樹脂(軟化温度:80.5℃):100重量部と、着色剤としてのフタロシアニン顔料:5重量部とを用意した。
これらの各成分を20L型のヘンシェルミキサーを用いて混合し、トナー製造用の原料を得た。
次に、この原料(混合物)を、2軸混練押出機を用いて混練し、混練物を得た。
次に、得られた混練物を粗粉砕し、平均粒径:1.5mmの粉末とした。混練物の粗粉砕にはハンマーミルを用いた。
次に、混練物の粗粉砕物:105重量部を酢酸エチル:300重量部に添加し、超音波ホモジナイザー(出力:400μA)を用いて、1時間処理することにより、混練物のエポキシ樹脂が溶解した溶液を得た。なお、このよう液中において、顔料は均一に微分散していた。
(比較例1)
まず、前記実施例10と同様にして混練物の粗粉砕物(平均粒径:1.5mm)を得た。
次に、ジェットミル粉砕機を用いて、この粗粉砕物を微粉砕し、平均粒径:3.2μmの微粉末とした。
その後、上記のようにして得られた微粉砕物を、アイソパーH(エクソン化学社製):360重量部と、界面活性剤(1,2−ヒドロキシステアリン酸メチル):1重量部との混合物中に分散させることにより、液体現像剤を得た。
(比較例2)
まず、樹脂としてのエポキシ樹脂(軟化温度:128℃):100重量部と、着色剤としてのフタロシアニン顔料:5重量部と、テトラヒドロフラン:300重量部とを用意した。
これらの各成分をサンドミル分散機に投入し、25℃に冷却しつつ3時間混合し、着色樹脂溶液(樹脂液)を調製した。
次に、得られた着色樹脂溶液:105重量部を、高絶縁性液体:897重量部中に投入し、ボールミルを用いて撹拌し、混合物を得た。高絶縁性液体としては、アイソパーH(エクソン化学社製):895重量部と、界面活性剤(1,2−ヒドロキシステアリン酸メチルエステル):2重量部との混合物を用いた。この高絶縁性液体の室温(20℃)での電気抵抗は1.5×1015Ωcm、高絶縁性液体の比誘電率は2.3であった。
次に、得られた混合物から、エバポレーターを用いて、テトラヒドロフランを除去することにより、液体現像剤を得た。なお、テトラヒドロフランの除去は、処理温度が40℃、処理圧が10kPaの条件下で行った。
以上の各実施例および各比較例について、液体現像剤の製造条件を表1に示した。
Figure 2006195010
[2]評価
上記のようにして得られた各液体現像剤について、解像力および保存性の評価を行った。
[2.1]解像力
図1に示すような画像形成装置、図3に示すような定着装置を用いて、前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤による所定パターンの画像を記録紙上に形成し、目視にて解像力を評価した。
[2.2]保存性
前記各実施例および前記各比較例で得られた液体現像剤を、温度:15〜25℃の環境下に、6ヵ月間静置した。その後、液体現像剤中のトナーの様子を目視にて確認し、以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:トナー粒子の浮遊および沈降がまったく認められない。
○:トナー粒子の浮遊および沈降がほとんど認められない。
△:トナー粒子の浮遊または沈降がわずかに認められる。
×:トナー粒子の浮遊および沈降がはっきりと認められる。
これらの結果を、トナー粒子の平均円形度R、円形度標準偏差、体積基準の平均粒径、粒径標準偏差とともに表2に示す。なお、円形度の測定は、フロー式粒子像解析装置(東亜医用電子社製、FPIA−2000)を用いて行った。ただし、円形度Rは、下記式(I)で表されるものとする。
R=L/L・・・(I)
(ただし、式中、L[μm]は、測定対象の粒子の投影像の周囲長、L[μm]は、測定対象の粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
Figure 2006195010
表2から明らかなように、本発明の液体現像剤では、いずれも、トナー粒子の円形度が大きく、粒度分布の幅の小さいものであった。また、トナー粒子の形状のばらつき(円形度の標準偏差)も小さかった。
これに対し、比較例の液体現像剤では、トナー粒子の形状、大きさのばらつきが大きかった。また、比較例の液体現像剤では、トナー粒子が不定形状をなし、円形度も低かった。
また、表2から明らかなように、本発明の液体現像剤は、解像力および保存性に優れていた。これに対し、各比較例の液体現像剤では、満足な結果が得られなかった。
また、実施例10の液体現像剤は、発色性が特に良好であった。これは、樹脂液の調製に、混練物を用いたため、溶媒への着色剤の分散性が向上したためであると考えられる。
本発明の液体現像剤が適用される接触方式の画像形成装置の一例を示す断面図である。 本発明の液体現像剤が適用される非接触方式の画像形成装置の一例を示す断面図である。 本発明の液体現像剤が適用される定着装置の一例を示す断面図である。
符号の説明
P1…画像形成装置 P2…感光体 P3…帯電器 P4…露光 P10…現像器 P11…現像剤容器 P12…塗布ローラ P13…現像ローラ P14…液体現像剤塗布層 P15…メータリングブレード P16…ローラ芯体 P17…現像ローラクリーニングブレード P18…中間転写ローラ P19…二次転写ローラ P20…情報記録媒体 P21…除電光 P22…クリーニングブレード P23…クリーニングブレード P24…帯電ブレード F40…定着装置 F1…熱定着ロール(加熱ロール) F1a…柱状ハロゲンランプ F1b…ロール基材 F1c…弾性体 F2…加圧ロール F2a…回転軸 F2b…ロール基材 F2c…弾性体 F3…耐熱ベルト F4…ベルト張架部材 F4a…突壁 F4f…凹部 F5…シート材 F5a…未定着トナー像 F6…クリーニング部材 F9…スプリング

Claims (13)

  1. 高絶縁性液体中にトナー粒子が分散した液体現像剤を製造する方法であって、
    水系液体で構成された水系分散媒中にトナー用材料で構成された分散質が分散した水系乳化液を得る水系乳化液調製工程と、
    前記水系乳化液と前記高絶縁性液体とを用いて、前記トナー用材料と前記水系分散媒と前記高絶縁性液体とを含む混合液を得る混合液調製工程と、
    前記混合液から、前記水系分散媒を除去する水系分散媒除去工程とを有することを特徴とする液体現像剤の製造方法。
  2. 前記水系乳化液中の前記分散質の平均粒径は、2〜8μmである請求項1に記載の液体現像剤の製造方法。
  3. 前記水系乳化液調製工程において、少なくとも樹脂またはその前駆体およびその少なくとも一部を溶解する溶媒を含む樹脂液と、前記水系液体とを混合する工程を経て、前記水系乳化液を調製する請求項1または2に記載の液体現像剤の製造方法。
  4. 前記樹脂液と前記水系液体との混合は、前記水系液体中に、前記樹脂液の液滴を滴下することにより行う請求項3に記載の液体現像剤の製造方法。
  5. 前記水系乳化液から前記溶媒を除去することにより得られる水系懸濁液を前記混合液調製工程に供する請求項4に記載の液体現像剤の製造方法。
  6. 前記混合液は、前記高絶縁性液体中に、前記水系懸濁液を滴下することにより調製される請求項5に記載の液体現像剤の製造方法。
  7. 前記高絶縁性液体の沸点は、前記水系液体の沸点よりも高い請求項1ないし6のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
  8. 前記水系分散媒の除去は、前記混合液を減圧雰囲気下で加熱することにより行う請求項1ないし7のいずれかに記載の液体現像剤の製造方法。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする液体現像剤。
  10. トナー粒子の平均粒径は、1〜5μmである請求項9に記載の液体現像剤。
  11. 各トナー粒子間での粒径の標準偏差が1.0μm以下である請求項9または10に記載の液体現像剤。
  12. トナー粒子についての下記式(I)で表される円形度Rの平均値(平均円形度)が0.95以上である請求項9ないし11のいずれかに記載の液体現像剤。
    R=L0/L1・・・(I)
    (ただし、式中、L1[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の周囲長、L0[μm]は、測定対象のトナー粒子の投影像の面積に等しい面積の真円の周囲長を表す。)
  13. 各粒子間での平均円形度の標準偏差が0.02以下である請求項9ないし12のいずれかに記載の液体現像剤。
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JP2012002930A (ja) * 2010-06-15 2012-01-05 Kao Corp 液体現像剤の製造方法
JP2012098349A (ja) * 2010-10-29 2012-05-24 Kao Corp 液体現像剤の製造方法

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