JP4949704B2 - セメントモルタルの連続練混ぜ吹付け施工システムおよびそれを用いた吹付け施工方法 - Google Patents
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Description
セメントモルタルの練混ぜ機は、羽根が回転するパン型ミキサー、回転軸が2本ある二軸ミキサーなどのバッチ式のミキサー、水とドライセメントモルタルを連続的に供給し攪拌部を通過させることで連続的に練り混ぜる連続練りミキサーなどがある。バッチ式のミキサーは、練り混ぜる材料を予め所定量計量してからミキサーに材料を投入し練り混ぜる方法であり計量作業が必要であり、連続練りミキサーは、バッチ式のような計量作業を必要としないことが特徴であり省力化された練混ぜ方法である。
また、バッチ式は、計量して材料を練り混ぜるため、品質変動が少ないウェットセメントモルタルが製造できるのに対し、連続練り混ぜ方式は、練り混ぜる時間が極端に短いため得られるウェットセメントモルタルの品質変動が大きいという課題がある。さらに、粘性の高い場合や硬いウェットセメントモルタルの練混ぜは困難という課題もあった。
特許文献1は、低フローのモルタルを連続的に製造できる連続モルタルミキサーに関するもので、トンネル支保用のロックボルト定着材を製造するミキサーについて記載してある。
そこで、本発明者は、前記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、粘性の高いポリマーを含有したドライセメントモルタルを安定した品質で連続的に練り混ぜ吹付け施工が行える連続練混ぜ吹付け施工システムおよびそれを用いた吹付け施工方法を提供するものである。
本発明の連続練混ぜシステムを用いて製造されたウェットセメントモルタルはバッチ式で練り混ぜた場合の30分後のフロー変化量に対し5mm以内の変動であることが特徴である。変動の確認方法は、所定の練り混ぜ配合でパン型ミキサー(バッチ式)を用いて4分間ウェットセメントモルタルを練混ぜて、練混ぜ直後および30分経過後のフローを測定し、同配合において、本発明のシステムを用いて練り混ぜたときの直後および30分経過後のフローを測定し、そのときの両者のフロー変化量が5mm以内に収まることが本発明の条件である。
耐圧フレキシブルホースの長さで十分施工できる範囲であれば定置して吹き付ければよい。移動しながら施工する場合は、台車や荷台のあるトラックにシステムを載せて吹き付ければよい。また、貯蔵ホッパーへ解体投入をせずに、より粉塵発生の少ないクリーンな作業環境で吹付けを実施したい場合は、ドライセメントモルタルの貯蔵タンクを吹付け作業場所と離れた箇所に設置し、貯蔵ホッパーに、ドライモルタルの貯蔵タンクから空気輸送して貯蔵ホッパーに供給できるようにした配管口と圧縮空気のみが排出できるようにフィルターを装備したカバーを取り付けることで解体投入時に発生する粉塵を少なくすることが可能となる。貯蔵タンクへのドライセメントモルタルの供給は、袋、タンクローリー、フレコンバックなどで実施できる。
表1に示す配合の再乳化型粉末ポリマーを含有するドライセメントモルタルを用いて、図1に示す本発明の連続練混ぜシステム、市販の連続練り式ミキサー、バッチ式ミキサーでウェットセメントモルタルを製造し、その物性を測定した。なお、材料は解袋投入した。結果を表1に示す。
再乳化型粉末ポリマー:エロテックス社製、アクリル酸エステル系再乳化粉末ポリマー、商品名AP200
ドライセメントモルタル:砂/セメント質量比2.0、砂は乾燥石灰砂、セメントは普通ポルトランドセメント
流動化剤:日本シーカ社製、メチロールメラミン系流動化剤、商品名シーカメント
ドライモルタルの製造:セメント100質量部に対し、砂200質量部、再乳化型粉末ポリマー5質量部、流動化剤0.1質量部をナウターミキサーで混合した。
本発明の連続練混ぜシステム:図1に示す攪拌羽根(7)の回転数280rpm、水供給口(4)と排出口(1)の距離1m、供給水量はドライセメントモルタルの1分あたりの排出量を予め計測し、それに対して表1に示す割合となるように流量計を見ながらバルブ調整した。
市販の連続練り式ミキサー:攪拌羽根の回転数150rpm、水供給口と排出口の距離2.0m、供給水量はドライセメントモルタルの1分あたりの排出量を予め計測し、それに対して表1に示す割合となるように流量計を見ながらバルブ調整した。
市販のバッチ式ミキサー:回転数45rpmで回転する羽根を有する通常のパン型ミキサーを用いて練り混ぜた。ドライセメントモルタルの練り混ぜ量は50Kg、水は表1に示す割合で加え、4分間練り混ぜた。
フロー:JIS R 5201に準拠した。
変動率:各練り混ぜ方式によりウェットセメントモルタルを製造したときのフローを測定し、バッチ式ミキサーで製造したウェットセメントモルタルの直後のフロー値に対するフローの値の割合。
変動率(%)=[(バッチ式のフロー値−連続練混ぜシステムのフロー値)/バッチ式の値]×100
変動率の値が+の場合はバッチ式と比べ本発明システムあるいは連続練混ぜシステムのフローは小さく、変動率の値が−の場合はバッチ式と比べ本発明システムあるいは連続練混ぜシステムのフローは大きく、変動率の値がゼロの場合はバッチ式と同じフローである。
フロー変化量を測定しバッチ式の場合との変動を求めた以外は実施例1と同様に行った。結果を表2に示す。
フロー変化量=(練り混ぜ直後のフロー)−(30分経過後のフロー)
変動=(バッチ式ミキサーでのフロー変化量)−(連続練りでのフロー変化量)
変動が+の場合はバッチ式と比べフローダウンが小さく、変動が−の場合はバッチ式と比べフローダウンが大きく、変動がゼロの場合はバッチ式とフローダウンが同じである。
連続練りのフロー変化量は、バッチ式のフロー変化量に近づくほどバッチ式と練り混ぜ効率は同じになるので変動差が小さくなるほど好ましい。バッチ式に比べフローダウンが大きい場合は−の値、小さい場合は+の値となる。
別途ドライセメントモルタルの貯蔵タンクを設け、連続練混ぜシステムに装備する貯蔵ホッパーまで空気輸送しながら、ウェットセメントモルタルを製造しているときの連続練混ぜシステムに装備する貯蔵ホッパー部の粉塵発生量について環境条件を変えて測定したこと以外は実施例1と同様に行った。練り混ぜ時の配合は実施例1の実験No.1-13とした。なお、材料の供給は、空気輸送システムを装備せずに、貯蔵ホッパーに解袋投入した場合の粉塵発生量も測定した。その結果を表3に示す。
環境条件1:内空断面6m2の模擬トンネル内(長さ20m、片側のみ開放)
環境条件2:内空断面3.2m2のボックスカルバート内(長さ5.4m、両端開放)
環境条件3:屋外環境
環境条件4:防音シートで全面覆われた空間(5m×12m×高さ1.8m)
粉塵発生量:JSCE−F 564−2005に準拠し、デジタル粉塵濃度計にて測定した。測定時間は10分間。
実施例1の実験No.1-13の配合で実施例1と同様に連続練混ぜシステムによりウェットセメントモルタルを製造し、スクイズポンプを用いてモルタルを圧送し吹付けを実施した。なお、材料の供給は実施例3と同様に空気輸送と解袋投入で行った。その結果を表4に示す。
スクイズポンプ:岡三機工社製OKG−35E型、消費電力3.7KW、電源200V
圧送ホース:内径1.5インチの耐圧ホース、ホース長20m
吹付けノズル:友定建機社製TPG−40型
コンプレッサー:消費電力5.5KWの電動コンプレッサー
圧縮空気ホース:内径12mm、ホース長20m
圧縮強度:縦30cm×横30cm×厚さ15cmの箱型枠に吹き付けて、3日後にφ55mmのコアドリルで抜き取り、φ55×110mmの円柱に成形した。養生方法は、温度20℃、相対湿度80%で材齢28日まで行った。測定数は5本とした。測定はJIS A 1108に準拠した。
中性化抵抗性:供試体の作製は圧縮強度と同じ箱型枠に採取し、3日後に縦10cm×横10cm×高さ10cmの角柱に成形し、28日間、20℃、相対湿度80%で養生したものについて促進中性化試験を行った。促進条件はJIS A 1171に準拠した。中性化深さはフェノールフタレイン法により測定した。
塩化物イオン浸透抵抗性:中性化抵抗性と同様に供試体を作製・養生し、擬似海水中に28日間浸漬することで塩化物イオン浸透抵抗性試験を行った。試験方法はJIS A 1171に準拠した。
(2):攪拌羽根
(3):フローメーター
(4):水供給配管
(5):貯蔵ホッパー
(6):スクリューフィーダー
(7):円筒状攪拌部
Claims (6)
- 内部に横向きのスクリュー軸が収容され、そのスクリュー軸が回転することで投入された再乳化型粉末ポリマーを含有するドライセメントモルタルを排出口に導くようにした貯蔵ホッパーと、連続的に送り出されるドライセメントモルタルに連続的に水/ドライセメントモルタル比10〜15質量%となるように加圧された水を供給することでウェットセメントモルタルを製造できる横向きのスクリュー軸が収容された円筒状の攪拌部を有する連続練り混ぜシステムで連続的に練り混ぜられたウェットセメントモルタルを、ポンプ圧送し、圧送されたウェットセメントモルタルと圧縮空気を合流混合させて吹き付けて施工する際に、再乳化型粉末ポリマーを含有するドライセメントモルタルを貯蔵する貯蔵タンクを別途設け、その貯蔵タンクと貯蔵ホッパーを金属製管やフレキシブルホースで接続し、貯蔵タンクに投入したドライセメントモルタルを圧縮空気で空気輸送するシステムを組み合わせることを特徴とするセメントモルタルの連続練混ぜ吹付け施工システム。
- 貯蔵タンクからドライセメントモルタルを空気輸送するときに、貯蔵ホッパー位置での粉塵発生量が6mg/m3以下となるように密閉構造とすることを特徴とする請求項1記載のセメントモルタルの連続練混ぜ吹付け施工システム。
- 連続練混ぜシステムを用いて製造されたウェットセメントモルタルのフローがバッチ式ミキサーで4分間練混ぜたウェットセメントモルタルのフローに対して6%以内の変動であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のセメントモルタルの連続練混ぜ吹付け施工システム。
- 連続練り混ぜシステムで練り混ぜたモルタルの30分後のフロー変化量がバッチ式で練り混ぜたモルタルの30分後のフロー変化量に対し5mm以内の変動であることを特徴とする請求項1または請求項2記載のセメントモルタルの連続練混ぜ吹付け施工システム。
- ウェットセメントモルタルを圧送するポンプがスネークポンプまたはスクイズポンプであることを特徴とする請求項1〜4のうち1項記載のセメントモルタルの連続練混ぜ吹付け施工システム。
- 請求項1〜5のうちの1項記載のセメントモルタルの連続練混ぜ吹付け施工システムを用いる吹付け施工方法。
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